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  • 特許-レーヨン繊維 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】レーヨン繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 2/10 20060101AFI20220627BHJP
   D04H 1/4258 20120101ALI20220627BHJP
   D04B 1/16 20060101ALI20220627BHJP
   D03D 15/225 20210101ALI20220627BHJP
【FI】
D01F2/10
D04H1/4258
D04B1/16
D03D15/225
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018118451
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019011542
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2017129123
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000103622
【氏名又は名称】オーミケンシ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】307033763
【氏名又は名称】グリーンサイエンス・マテリアル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597002748
【氏名又は名称】株式会社ロイネ
(74)【代理人】
【識別番号】100141472
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 善弘
(72)【発明者】
【氏名】徳田 宏
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】植村 卓司
【審査官】南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-221136(JP,A)
【文献】特公昭49-013398(JP,B1)
【文献】特表2016-531210(JP,A)
【文献】特開2012-171958(JP,A)
【文献】国際公開第2008/062574(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 1/00-6/96
D04H 1/00-18/04
D04B 1/00-1/28
D03D 1/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保湿性を有するレーヨン繊維であって、レーヨン100質量部あたりスイゼンジノリ由来多糖体0.01~0.5質量部の割合でスイゼンジノリ由来多糖体を含有していることを特徴とするレーヨン繊維。
【請求項2】
請求項1に記載のレーヨン繊維を含有することを特徴とする編織布。
【請求項3】
請求項1に記載のレーヨン繊維を含有することを特徴とする不織布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーヨン繊維に関する。さらに詳しくは、本発明は、吸湿性、吸水性および速乾性に優れ、手袋、肌着、靴下、シャツ、洋服などの衣類をはじめ、フェースマスク、紙おむつ用素材、拭き取り化粧水シートなどの化粧用シートなどの種々の用途に使用することが期待されるレーヨン繊維、当該レーヨン繊維を含有する編織布、および当該レーヨン繊維を含有する不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
保湿性に優れたレーヨン繊維として、備長炭を粉砕した多数の備長炭微粒子をレーヨン繊維の母体に埋入させた保湿性レーヨン繊維が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記レーヨン繊維は、保湿性に優れ、当該レーヨン繊維を皮膚から取り去った後であっても水分を肌に保持させることができることから、化粧用シートに使用することができるものである。
【0003】
しかし、前記保湿性レーヨン繊維には備長炭が使用されており、保湿性を向上させるために当該備長炭の量を増加させると備長炭による当該保湿性レーヨン繊維の着色が濃くなることから下着などの用途に適さなくなる。また、保湿性レーヨン繊維の保湿性は、当該保湿性レーヨン繊維に含まれている備長炭に由来することから、それほど高いものではない。
【0004】
また、近年においては、吸湿性、吸水性および速乾性に優れているレーヨン繊維の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-299211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、吸湿性、吸水性および速乾性に優れ、例えば、手袋、肌着、靴下、シャツ、洋服などの衣類をはじめ、フェースマスク、紙おむつ用素材、拭き取り化粧水シートなどの化粧用シートなどの種々の用途に使用することが期待されるレーヨン繊維、当該レーヨン繊維を含有する編織布、および当該レーヨン繊維を含有する不織布を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1) 保湿性を有するレーヨン繊維であって、レーヨン100質量部あたりスイゼンジノリ由来多糖体0.01~0.5質量部の割合でスイゼンジノリ由来多糖体を含有していることを特徴とするレーヨン繊維、
(2) 前記(1)に記載のレーヨン繊維を含有することを特徴とする編織布、および
(3) 前記(1)に記載のレーヨン繊維を含有することを特徴とする不織布
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸湿性、吸水性および速乾性に優れ、例えば、手袋、肌着、靴下、シャツ、洋服などの衣類をはじめ、フェースマスク、紙おむつ用素材、拭き取り化粧水シートなどの化粧用シートなどの種々の用途に使用することが期待されるレーヨン繊維、当該レーヨン繊維を含有する編織布、および当該レーヨン繊維を含有する不織布が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例10~12および比較例3で得られた不織布の吸水率Bの経時変化の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のレーヨン繊維は、前記したように、保湿性を有するレーヨン繊維であって、レーヨン100質量部あたりスイゼンジノリ由来多糖体0.01~0.5質量部の割合でスイゼンジノリ由来多糖体を含有していることを特徴とする。
【0011】
本発明のレーヨン繊維の原料として、レーヨンおよびスイゼンジノリ由来多糖体が用いられる。当該原料には、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、染料、顔料などの着色剤、帯電防止剤、柔軟剤、抗菌剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0012】
レーヨンには、一般にレーヨン繊維に使用されているビスコースを用いることができる。ビスコースは、例えば、亜硫酸パルプなどの原料パルプを17~18質量%程度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、得られたアルカリセルロースを圧搾し、粉砕し、必要により熟成させ、当該アルカリセルロースに二硫化炭素を吹き付けることにより、ザンテートを調製した後、当該ザンテートを水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液に溶解させることによって調製することができる。ビスコースには、一般に、セルロースが7~10質量%程度の含有率で含まれており、水酸化ナトリウムなどのアルカリが3~10質量%程度の含有率で含まれている。
【0013】
スイゼンジノリ由来多糖体は、スイゼンジノリから抽出された高分子多糖類である。スイゼンジノリは、日本国の九州地方に自生している淡水性藍藻類である。スイゼンジノリは、天然由来のものであってもよく、培養されたものであってもよい。スイゼンジノリは、そのままの状態で用いてもよく、乾燥させたものを用いてもよい。
【0014】
スイゼンジノリ由来多糖体は、ヘキソース構造を有する糖構造体およびペントース構造を有する糖構造体がα-グリコシド結合またはβ-グリコシド結合によって直鎖状または分岐鎖状に連結した繰り返し単位を有しており、硫酸化ムラミン酸を含有する。
【0015】
スイゼンジノリ由来多糖体は、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、糖構造体としてヘキソース、ペントースおよび硫酸化ムラミン酸を含有し、式(I):
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、R1~R8はそれぞれ独立して水酸基、スルホオキシ基または炭素数1~3のアルコキシ基を示す)
で表わされる3糖構造と、ヘキソースおよびペントースを構成単糖として有する2糖構造、ヘキソースおよびデオキシヘキソースを構成単糖として有する2糖構造、2つのペントースを構成単糖として有する2糖構造、ペントースおよびデオキシヘキソースを構成単糖として有する2糖構造、2つのヘキソサミンを構成単糖として有する2糖構造、およびウロン酸およびデオキシヘキソースを構成単糖として有する2糖構造からなる群より選ばれた少なくとも1種の2糖構造とを含有していることが好ましい。
【0018】
式(I)において、R1~R8は、それぞれ独立して、水酸基、スルホオキシ基または炭素数1~3のアルコキシ基である。炭素数1~3のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素数1~3のアルコキシ基のなかでは、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、メトキシ基が好ましい。
【0019】
2糖構造において、ヘキソースとしては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノースなどのアルドヘキソースなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのヘキソースのなかでは、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、アルドヘキソースが好ましく、グルコース、ガラクトースおよびマンノースがより好ましい。ペントースとしては、例えば、キシロース、アラビノースなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのペントースのなかでは、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、キシロースおよびアラビノースが好ましい。デオキシヘキソースとしては、フコース、ラムノースなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのデオキシヘキソースのなかでは、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、フコースおよびラムノースが好ましい。ウロン酸としては、例えば、グルクロン酸、ガラクツロン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのウロン酸のなかでは、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、グルクロン酸およびガラクツロン酸が好ましい。
【0020】
前記スイゼンジノリ由来多糖体を調製する方法としては、例えば、国際公開第2008/062574号に記載の方法などが挙げられる。前記スイゼンジノリ由来多糖体を調製する具体的な方法としては、例えば、以下の調製例に記載されているように、スイゼンジノリをアルカリ水溶液に添加し、スイゼンジノリに含まれているスイゼンジノリ由来多糖体をアルカリ水溶液に抽出させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0021】
なお、スイゼンジノリは、例えば、水洗などによって水溶性色素があらかじめ除去されていてもよく、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールなどでスイゼンジノリを洗浄することによって脂溶性色素があらかじめ除去されていてもよい。
【0022】
スイゼンジノリ由来多糖体を調製する際に用いられるアルカリ水溶液のアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルカリのなかでは、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0023】
アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、通常、0.01~1N程度であることが好ましい。スイゼンジノリをアルカリ水溶液に添加する際のアルカリ水溶液の温度は、好ましくは20~90℃、より好ましくは60~85℃である。スイゼンジノリをアルカリ水溶液に添加した後、得られた混合物を1~5時間程度攪拌することが好ましい。
【0024】
以上のようにしてアルカリ水溶液を用いることにより、スイゼンジノリからスイゼンジノリ由来多糖体をアルカリ水溶液中に抽出することができる。
【0025】
スイゼンジノリ由来多糖体の重量平均分子量は、特に限定されないが、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、好ましくは2000以上、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは1万以上であり、前記と同様に吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、好ましくは4000万以下、より好ましくは2000万以下、より一層好ましくは1000万以下、さらに好ましくは500万以下、さらに一層好ましくは300万以下、特に好ましくは100万以下である。なお、スイゼンジノリ由来多糖体の重量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィーで測定したときの値である。
【0026】
スイゼンジノリ由来多糖体の重量平均分子量は、例えば、スイゼンジノリから抽出されたスイゼンジノリ由来多糖体を含有するアルカリ水溶液に酸を添加し、得られた混合溶液を20~80℃程度の温度に加熱することによって調整することができる。前記混合溶液の加熱時間は、当該混合溶液の加熱温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、0.5~2時間程度である。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、酪酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0027】
スイゼンジノリ由来多糖体は、必要により、当該スイゼンジノリ抽出多糖類の水溶液をフィルターで濾過し、不溶物を除去することによって精製されていてもよく、スイゼンジノリ由来多糖体の水溶液とメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの有機溶媒とを混合することにより、繊維状のスイゼンジノリ由来多糖体に調製されていてもよい。
【0028】
スイゼンジノリ由来多糖体の25℃の水に対する溶解度は、通常、2~30%程度である。
【0029】
スイゼンジノリ由来多糖体は、商業的に容易に入手することができるものであり、例えば、グリーンサイエンス・マテリアル(株)から商品名:サクラン(登録商標)として容易に入手することができる。
【0030】
本発明のレーヨン繊維を製造するにあたり、まず、ビスコースとスイゼンジノリ由来多糖体とを混合する。その際、スイゼンジノリ由来多糖体は、ビスコースとスイゼンジノリ由来多糖体との分散性を向上させる観点から、通常、スイゼンジノリ由来多糖体の水溶液の状態で用いることが好ましい。
【0031】
ビスコースとスイゼンジノリ由来多糖体とを混合することにより、紡糸原液を調製することができる。
【0032】
レーヨン100質量部あたりのスイゼンジノリ由来多糖体の量は、吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、0.01質量部以上であり、前記と同様に吸湿性、吸水性および速乾性に優れたレーヨン繊維を得る観点から、0.5質量部以下、好ましくは0.3質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
【0033】
前記で得られた紡糸原液を圧搾ポンプなどで紡糸口金の細孔から凝固浴中に押し出して凝固させることにより、レーヨン繊維を得ることができる。
【0034】
紡糸口金は、一般に、金と白金との合金、白金とイリジウムとの合金、白金とパラジウムとの合金などの合金で製造されている。紡糸口金の孔径は、目的とするレーヨン繊維の繊度に応じて適宜決定されるが、通常、0.05~0.1mm程度である。紡糸口金に設けられる孔の数は、特に限定されないが、通常、30個~2万個程度である。複数の孔から押し出された複数の単繊維は、収束され、1つの束となって1本のレーヨン繊維が形成される。
【0035】
凝固液には、例えば、希硫酸に硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛などを添加したものを用いることができる。
【0036】
以上のようにして得られたレーヨン繊維には、必要により、脱硫処理を施してもよい。レーヨン繊維の脱硫処理は、例えば、レーヨン繊維を水洗し、レーヨン繊維に含まれている分解生成物やイオウなどを硫酸ナトリウム水溶液で溶出させることにより、行なうことができる。また、必要により、レーヨン繊維を漂白し、水洗し、乾燥させてもよい。
【0037】
レーヨン繊維の繊度は、当該レーヨン繊維の用途などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1~30デシテックス程度である。レーヨン繊維の繊度は、紡糸口金の孔径を調節することにより、容易に調整することができる。
【0038】
レーヨン繊維は、必要により延伸させてもよい。また、レーヨン繊維は、長繊維のまま用いてもよく、所望の繊維長となるように切断して短繊維として用いてもよい。レーヨン繊維の繊維長は、当該レーヨン繊維の用途などによって異なることから、当該レーヨン繊維の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
【0039】
本発明のレーヨン繊維は、吸湿性、吸水性および速乾性に優れていることから、例えば、編織布、不織布などに好適に使用することができる。なお、編織布は、編物または織布を意味する。
【0040】
編物は、本発明のレーヨン繊維を用い、メリヤス編機などを用いて製造することができる。編物を製造する際には、本発明のレーヨン繊維をそのままの状態で用いてもよく、例えば、本発明のレーヨン繊維とポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維、綿糸、毛糸、生糸などの繊維との混紡糸を用いてもよい。
【0041】
一般に、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維を含有する混紡糸は、当該混紡糸に使用されている合成繊維が疎水性および親油性を有することから、当該混紡糸がヒトの皮膚と接触したときに皮脂を吸収するため、皮膚の痒みの一因となることが考えられる。
【0042】
これに対して、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維以外に、本発明のレーヨン繊維を含有する混紡糸は、当該レーヨン繊維が吸湿性および吸水性に優れていることから、当該混紡糸とヒトの皮膚と接触による皮膚の痒みを抑制することが期待される。
【0043】
混紡糸における本発明のレーヨン繊維と合成繊維との比(レーヨン繊維/合成繊維:質量比)は、当該混紡糸の用途などによって異なるので一概には決定することができないが、本発明のレーヨン繊維が有する吸湿性、吸水性および速乾性を維持しつつ、合成繊維が有する性質を十分に発現させる観点から、好ましくは10/90~90/10、より好ましくは20/80~80/20、さらに好ましくは30/70~70/30である。
【0044】
編物としては、例えば、平編み、ゴム編み、パール編みなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0045】
本発明のレーヨン繊維を含有する編物は、吸湿性、吸水性および速乾性を有するとともに、柔軟性、伸縮性および弾性を有することから、例えば、肌着、靴下、手袋などの用途に好適に用いることができる。
【0046】
織布は、本発明のレーヨン繊維を経糸、緯糸、または経糸と緯糸の双方に用い、織機などを用いて製造することができる。
【0047】
織布は、経緯糸の一部または全部に本発明のレーヨン繊維を含有する混紡糸が用いられた混紡織物であってもよく、経糸と緯糸との組成が相違し、経糸および/または緯糸に本発明のレーヨン繊維が使用されている交織織物であってもよく、さらに本発明のレーヨン繊維を含有し、繊維径が異なる経糸と緯糸とが用いられている高配織物であってもよい。
【0048】
織布が有する組織としては、例えば、平織り組織、斜文織り組織、綾織り組織、朱子織り組織、変化組織などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0049】
本発明のレーヨン繊維を含有する織布は、吸湿性、吸水性および速乾性を有することから、例えば、シャツ、洋服などに好適に用いることができる。
【0050】
不織布は、本発明のレーヨン繊維を含有する繊維として用い、乾式法または湿式法によって製造することができる。
【0051】
不織布に用いられる繊維は、本発明のレーヨン繊維のみであってもよく、本発明のレーヨン繊維とポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維、綿糸、毛糸、生糸などの繊維との混紡糸であってもよい。
【0052】
乾式法としては、例えば、ケミカルポンド法、サーマルポンド法、ニードルパンチ法、エアレイド法などに代表される機械結合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。湿式法としては、例えば、水流交絡法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0053】
本発明のレーヨン繊維を含有する不織布は、吸湿性、吸水性および速乾性を有することから、例えば、衣類をはじめ、フェースマスク、紙おむつ用素材、拭き取り化粧水シートなどの化粧用シートなどに好適に用いることができる。
【0054】
以上説明したように、本発明のレーヨン繊維は、吸湿性、吸水性および速乾性に優れていることから、手袋、肌着、靴下、シャツ、洋服などの衣類をはじめ、フェースマスク、紙おむつ用素材、拭き取り化粧水シートなどの化粧用シートなどの種々の用途に好適に使用することができる。
【実施例
【0055】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0056】
調製例1
原料パルプを約18質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、圧搾した後、粉砕することにより、アルカリセルロースを得た。前記で得られたアルカリセルロースを40~60℃の温度で6時間程度放置した後、当該アルカリセルロースに二硫化炭素を吹き付けて当該アルカリセルロースと二硫化炭素とを反応させることにより、ザンテートを得た。前記で得られたザンテートを希水酸化ナトリウム水溶液に溶解させることにより、ビスコースを調製した。
【0057】
前記で得られたビスコースにおけるセルロースの含有率は9質量%であり、前記ビスコースにおけるアルカリの含有率は5質量%であり、前記ビスコースの25℃における落球粘度は50秒であった。なお、落球粘度は、JIS Z8803に記載の方法で測定したときの値である。
【0058】
調製例2
凍結されたスイゼンジノリ1kgを融解した後、水洗した。前記スイゼンジノリをpHが3.0の塩酸5L中に添加し、攪拌下で60℃に1時間加熱し、当該塩酸から取り出した後、30容量%の水を含有するイソプロパノール水溶液に添加し、60℃の温度で攪拌しながら約12時間に加熱した。次に、スイゼンジノリを前記イソプロパノール水溶液から分離し、大気中にて室温下で約12時間放置することによって乾燥させ、スイゼンジノリの乾燥物約12gを得た。
【0059】
前記で得られたスイゼンジノリ乾燥物約12gを0.1N水酸化ナトリウム水溶液4L(リットル。以下同じ)中に添加し、攪拌下で70℃に3時間加熱することにより、当該スイゼンジノリ乾燥物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。得られた溶液を塩酸で中和させ、ガーゼで濾過することにより、スイゼンジノリ由来多糖体の溶液約3.9Lを得た。
【0060】
次に、前記で得られたスイゼンジノリ由来多糖体の溶液を攪拌下でイソプロパノールに添加することにより、繊維状のスイゼンジノリ由来多糖体を得た。前記で得られた繊維状のスイゼンジノリ由来多糖体を減圧乾燥させることによってイソプロパノールを除去し、乾燥されたスイゼンジノリ由来多糖体約7.5gを得た。
【0061】
実施例1
ビスコースに含まれるレーヨン100質量部あたりのスイゼンジノリ由来多糖体の量が0.01質量部となるように、前記で得られたビスコースと前記で得られたスイゼンジノリ由来多糖体とを混合し、均一な組成となるようにスイゼンジノリ由来多糖体を溶解させることにより、紡糸原液を調製した。
【0062】
前記で得られた紡糸原液を孔径が0.06mmであるノズル13000個が設けられている紡糸口金を47℃の凝固浴(硫酸95g/L、硫酸ナトリウム350g/Lおよび硫酸亜鉛12.5g/Lを含有する硫酸水溶液)に含浸させ、当該紡糸口金のノズルから紡糸原液を紡糸速度60m/minにて押し出し、凝固させることによって紡糸し、延伸させた後、切断することにより、繊度1.4デシテックス、繊維長38mmのレーヨン繊維を得た。
【0063】
次に、JIS L1015 8.26「水膨潤度測定法」に準じ、前記で得られたレーヨン繊維の水膨潤度を以下の測定方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
〔水膨潤度の測定方法〕
20±2℃の水200mLを入れた500mL容のビーカー中にレーヨン繊維約2gを添加し、水中に完全に水没させ、当該ビーカーを20±2℃の恒温槽中に15分間放置した後、遠心力1000~1050Gにて10分間遠心分離機で脱水させた。脱水させたレーヨン繊維の質量および当該レーヨン繊維の絶乾質量を秤量し、式:
[水膨潤度]
={[(脱水させたレーヨン繊維の質量)-(レーヨン繊維の絶乾質量)]
÷[レーヨン繊維の絶乾質量]}×100
に基づいて水膨潤度を求めた。
【0065】
実施例2
実施例1において、ビスコースに含まれるレーヨン100質量部あたりのスイゼンジノリ由来多糖体の量を0.02質量部に調整したこと以外は、実施例1と同様にして繊度1.4デシテックス、繊維長38mmのレーヨン繊維を得た。得られたレーヨン繊維の水膨潤度を前記と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
【0066】
実施例3
実施例1において、ビスコースに含まれるレーヨン100質量部あたりのスイゼンジノリ由来多糖体の量を0.05質量部に調整したこと以外は、実施例1と同様にして繊度1.4デシテックス、繊維長38mmのレーヨン繊維を得た。得られたレーヨン繊維の水膨潤度を前記と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
【0067】
実施例4
実施例1において、ビスコースに含まれるレーヨン100質量部あたりのスイゼンジノリ由来多糖体の量を0.10質量部に調整したこと以外は、実施例1と同様にして繊度1.4デシテックス、繊維長38mmのレーヨン繊維を得た。得られたレーヨン繊維の水膨潤度を前記と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
【0068】
比較例1
実施例1において、スイゼンジノリ由来多糖体を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして繊度1.4デシテックス、繊維長38mmのレーヨン繊維を得た。得られたレーヨン繊維の水膨潤度を前記と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示された結果から、実施例1~4で得られたレーヨン繊維は、比較例1で得られたスイゼンジノリ由来多糖体を含有しないレーヨン繊維と対比して、水膨潤度が10ポイント以上も高いことから、吸湿性に顕著に優れていることがわかる。
【0071】
製造例1
実施例2で得られたレーヨン繊維の含有率が30質量%、綿の含有率が70質量%となるようにレーヨン繊維と綿とを均一な組成となるように混合し、撚数22回/吋(約8.7回/cm)でリング紡績することにより、40単糸のレーヨン/綿混糸を製造した。
【0072】
製造例2
実施例2で得られたレーヨン繊維の含有率が30質量%、市販のレーヨン繊維の含有率が70質量%となるように両者を均一な組成となるように混合し、渦流空気精紡機〔村田機械(株)製、商品名:VORTEX精紡機〕で紡績することにより、40単糸のレーヨン糸を製造した。
【0073】
実施例5
表糸に製造例1で得られたレーヨン/綿混糸を用い、裏糸に22デシテックスのポリウレタン繊維を用い、28ゲージ、30吋(約76.2cm)の開反巻き取り機付シングルニット編機〔(株)福原精機製作所製〕で表糸の糸長を100ウェル300mm、裏糸の糸長を100ウェル120mmとなるように調整し、ベア天竺の生機を作製した。
【0074】
次に、界面活性剤および過酸化水素を含有する95℃の溶液を用い、前記で得られた生機を液流染色機で40分間処理することにより、精錬漂白を行なった後、当該溶液を中和し、当該生機を水洗し、次いで当該生機の柔軟仕上げを行なうことにより、白色編地を得た。
【0075】
反応染料を含有する中温タイプの染色液を用い、前記で得られた白色編地を液流染色機で60℃の温度で50分間染色処理し、次いで当該白色編地を洗浄し、中和し、当該白色編地の柔軟仕上げを行なうことにより、染色編地を得た。
【0076】
実施例6
表糸に製造例2で得られたレーヨン糸およびオーガニックコットンが用いられた綿100%の糸を1コース×1コースに交互に編成するように糸を配置し、裏糸に22デシテックスのポリウレタン繊維を用い、28ゲージ、30吋(約76.2cm)の開反巻き取り機付シングルニット編機〔(株)福原精機製作所製〕で表糸の糸長を100ウェル300mm、裏糸の糸長を100ウェル120mmとなるように調整し、ベア天竺の生機を作製した。
【0077】
次に、前記で得られたベア天竺の生機を用いて実施例5と同様にして白色編地を作製し、染色編地を作製した。
【0078】
実施例7
表糸に製造例2で得られたレーヨン糸を用い、裏糸に22デシテックスのポリウレタン繊維を用い、28ゲージ、30吋(約76.2cm)の開反巻き取り機付シングルニット編機〔(株)福原精機製作所製〕で表糸の糸長を100ウェル300mm、裏糸の糸長を100ウェル120mmとなるように調整し、ベア天竺の生機を作製した。
【0079】
次に、前記で得られたベア天竺の生機を用いて実施例5と同様にして白色編地を作製し、染色編地を作製した。
【0080】
比較例2
表糸にオーガニックコットンが用いられた綿100%の糸を1コース×1コースに交互に編成するように糸を配置し、裏糸に22デシテックスのポリウレタン繊維を用い、28ゲージ、30吋(約76.2cm)の開反巻き取り機付シングルニット編機〔(株)福原精機製作所製〕で表糸の糸長を100ウェル300mm、裏糸の糸長を100ウェル120mmとなるように調整し、ベア天竺の生機を作製した。
【0081】
次に、前記で得られたベア天竺の生機を用いて実施例5と同様にして白色編地を作製し、染色編地を作製した。
【0082】
実験例1
実施例5~7および比較例2で得られた染色編地を用い、以下の評価方法に基づいて各染色編地の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0083】
〔吸湿性および放湿性の評価方法〕
染色編地を縦10cm、横10cmの大きさに裁断することによって試験片を得た。得られた試験片を槽内温度が25℃であり、相対湿度が40%である恒温槽内に入れて当該試験片の質量を測定し、当該質量が一定となるまで放置することにより、試験片Xを得た。
【0084】
次に、前記で得られた試験片Xを槽内温度が25℃であり、相対湿度が80%である恒温槽内に入れて当該試験片に吸湿させ、当該試験片Xの質量を10秒ごとに測定し、当該質量が一定となるまで放置することにより、試験片Aを得た。
【0085】
次に、前記吸湿させた試験片Aを槽内温度が25℃であり、相対湿度が40%である恒温槽内に入れ、当該試験片Aの質量を10秒ごとに測定し、当該質量が一定となるまで放置することにより、試験片Bを得た。
【0086】
(1)吸湿量
試験片Aの質量から試験片Bの質量を減じることにより、吸湿量(g)を求めた。
(2)吸湿率
吸湿率は、式:
[吸湿率(%)]={[吸湿量(g)]÷[試験片Aの質量(g)]}×100
に基づいて求めた。
(3)吸湿速度
吸湿速度として、試験片Xを恒温槽内に入れたときから試験片Aが得られるまでに要する時間を測定した。
(4)放湿速度
放湿速度として、試験片Aを恒温槽内に入れたときから試験片Bが得られるまでに要する時間を測定した。
【0087】
(5)吸湿性A
比較例2で得られた染色編地の吸湿量を100としたときの実施例5~7で得られた染色編地の吸湿量の相対値を求め、その値を吸湿性の指標とした。なお、染色編地の吸湿性Aの値が大きいほど、当該染色編地は吸湿性に優れている。
(6)吸湿性B
比較例2で得られた染色編地の吸湿率を100としたときの実施例5~7で得られた染色編地の吸湿率の相対値を求め、その値を吸湿性の指標とした。なお、染色編地の吸湿性Bの値が大きいほど、当該染色編地は吸湿性に優れている。
(7)速乾性
比較例2で得られた染色編地の放湿速度を100としたときの実施例5~7で得られた染色編地の放湿速度の相対値を求め、その値を速乾性の指標とした。なお、染色編地の速乾性の値が大きいほど、当該染色編地は速乾性に優れている。
【0088】
【表2】
【0089】
表2に示された結果から、実施例5~7で得られた染色編地は、いずれも、比較例2で得られた染色編地と対比して、吸湿性Aおよび吸湿性Bに格段に優れており、さらに速乾性にも格段に優れていることがわかる。したがって、実施例5~7で得られた染色編地を例えば衣服などに使用したとき、衣服に付着した汗などの水分を迅速に吸収し、乾燥時には衣服内の水分を迅速に放出することから、衣服内の蒸れを軽減するものと考えられる。
【0090】
以上の結果から、実施例5~7で得られた染色編地を衣服に用いた場合、当該衣服は、当該衣服内の湿度環境を快適に保つので、冬期における空気の乾燥からヒトの肌を守ることが期待される。
【0091】
実施例8
製造例1で得られたレーヨン/綿混糸を経糸および緯糸に用いて織布を製造した。得られた織布の性能を実験例1と同様にして評価したところ、吸湿性に優れ、速乾性にも優れていることが確認された。
【0092】
実施例9
実施例2で得られたレーヨン繊維を用い、水流交絡法によって不織布を製造した。得られた不織布の性能を実験例1と同様にして評価したところ、吸湿性に優れ、速乾性にも優れていることが確認された。
【0093】
実施例10
実施例2で得られたレーヨン繊維をカード機に装入することにより、繊維ウェブを形成させた。前記で得られた繊維ウェブを搬送ベルト上に載置した後、搬送ベルトを走行させながら、水流噴射器から当該繊維ウェッブに向けて水圧2MPa、5MPaおよび5MPaの高圧水流を順次噴射することにより、繊維ウェブに水流交絡処理を施した。次に、水流交絡処理が施された繊維ウェブを脱水し、乾燥させることにより、目付45g/m3の不織布を得た。
【0094】
実施例11
実施例10において、実施例2で得られたレーヨン繊維の代わりに実施例2で得られたレーヨン繊維50質量%と市販の普通レーヨン繊維50質量%との混合物を用いたこと以外は、実施例10と同様の操作を行なうことにより、目付45g/m3の不織布を得た。
【0095】
実施例12
実施例10において、実施例2で得られたレーヨン繊維の代わりに実施例2で得られたレーヨン繊維30質量%と市販の普通レーヨン繊維70質量%との混合物を用いたこと以外は、実施例10と同様の操作を行なうことにより、目付45g/m3の不織布を得た。
【0096】
比較例3
実施例10において、実施例2で得られたレーヨン繊維の代わりに市販の普通レーヨンを用いたこと以外は、実施例10と同様の操作を行なうことにより、目付45g/m3の不織布を得た。
【0097】
実験例2
実施例10~12および比較例3で得られた不織布を用い、各不織布の吸水率Aを以下の測定方法に基づいて測定した。
【0098】
〔吸水率Aの測定方法〕
実施例10~12および比較例3で得られた不織布を縦5cm、横5cmの大きさに裁断することによって試験片Pを得た。試験片Pを20℃に保たれた水中に15分間浸漬させることによって試験片Pに吸水させた後、遠心力1000Gにて10分間遠心分離機で脱水させることにより、試験片Qを得た。試験片Pおよび試験片Qを用い、式:
[吸水率A]
={[(試験片Qの質量)-(試験片Pの質量)]÷[試験片Pの質量]}×100
に基づいて吸水率を求めた。吸水率Aの測定結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
次に、実施例10~12および比較例3で得られた不織布の吸水率Bの経時変化を調べるために、前記で得られた試験片Pを用い、試験片Pの吸水率Bの経時変化の測定方法に基づいて調べた。
【0101】
〔吸水率Bの経時変化の測定方法〕
試験片Pを20℃に保たれた水中に15分間浸漬させることによって試験片Rを作製した。前記で得られた試験片Rを槽内温度が25℃であり、相対湿度が40%である恒温槽内に垂直に吊るして放置し、試験片Rの質量の経時変化を調べた。恒温槽内での放置開始から所定時間経過時の試験片Rの質量を測定し、式:
[吸水率B]
={[(恒温槽内での放置開始から所定時間経過時の試験片Rの質量)
-(試験片Pの質量)]÷[試験片Pの質量]}×100
に基づいて吸水率Bを求めた。吸水率Bの測定結果を図1に示す。図1は、実施例10~12および比較例3で得られた不織布の吸水率Bの経時変化の測定結果を示すグラフである。
【0102】
図1において、符号Aは、実施例10で得られた不織布の吸水率Bの経時変化を示し、符号Bは、実施例11で得られた不織布の吸水率Bの経時変化を示し、符号Cは、実施例12で得られた不織布の吸水率Bの経時変化を示し、符号Dは、比較例3で得られた不織布の吸水率Bの経時変化を示す。
【0103】
表3および図1に示された結果から、実施例10~12で得られた不織布は、いずれも、比較例3で得られた不織布と対比して、吸水率Aおよび吸水率Bが高いことから、吸水性に優れており、不織布に含まれているレーヨン繊維の含有率が高いほど吸湿性が向上する傾向があることがわかる。
【0104】
したがって、実施例10~12で得られた不織布が使用された化粧用フェースマスクは、吸水性に優れていることから、美容液などの化粧料を多量に含浸させることができるので、ヒトの肌に化粧料を多量に供給することによって美容効果を高めることが期待される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のレーヨン繊維は、吸湿性、吸水性および速乾性に優れていることから、例えば、手袋、肌着、靴下、シャツ、洋服などの衣類をはじめ、フェースマスク、紙おむつ用素材、拭き取り化粧水シートなどの化粧用シートなどの種々の用途に使用することが期待される。

図1