(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】緊急通報システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20220627BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G08B25/04 J
H04M9/00 D
(21)【出願番号】P 2018154887
(22)【出願日】2018-08-21
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】村井 徹
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-184378(JP,A)
【文献】特開2001-355361(JP,A)
【文献】特開平7-073241(JP,A)
【文献】特開昭58-026179(JP,A)
【文献】特開2004-206539(JP,A)
【文献】特開2007-129321(JP,A)
【文献】特開2008-157015(JP,A)
【文献】特開2018-059315(JP,A)
【文献】特開2009-081515(JP,A)
【文献】特開2013-238071(JP,A)
【文献】特開2010-282316(JP,A)
【文献】特開平07-160977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-25/00
H04M 9/00
E05B 49/00
E05G 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急信号を送信するための緊急通報ボタン及び通話機能を備えた通報手段、カメラ、拡声スピーカ、及び警告灯を備えた緊急通報装置が建屋内に複数設置されると共に、前記通報手段から送信された前記緊急信号を受けて通話する機能及び前記カメラの撮像映像を表示する表示部を具備する応答装置を備えた緊急通報システムであって、
前記建屋内の複数の扉の電気錠の解錠/施錠を制御する錠制御装置を具備すると共に、前記応答装置は前記緊急信号を受信したら前記錠制御装置を動作させるための錠操作信号を出力し、
前記錠制御装置は、前記錠操作信号に基づいて解錠或いは施錠のうちの予め設定された一方の制御を実施することを特徴とする緊急通報システム。
【請求項2】
前記緊急通報装置毎に制御する電気錠のグループを記憶する電気錠グループ記憶部を有して、前記錠操作信号から緊急信号送信元の緊急通報装置を判別し、当該緊急通報装置に関連付けられている電気錠グループを前記電気錠グループ記憶部から読み取り、当該グループの電気錠を一斉に制御するよう前記錠制御装置に指示を出す電気錠一斉操作装置を備え、
前記錠制御装置は、前記電気錠一斉操作装置が指示したグループの電気錠を制御することを特徴とする請求項1記載の緊急通報システム。
【請求項3】
前記電気錠一斉操作装置が前記錠制御装置に出力する指示が施錠を実施させる指示であり、
前記応答装置は、前記緊急信号を受けてから一定時間経過後に錠操作信号を出力することを特徴とする請求項2記載の緊急通報システム。
【請求項4】
携帯電話を含む登録された複数の通報先に一斉通報を実施する一斉通報装置を備え、
前記応答装置は、前記錠操作信号を出力したら、電気錠を操作した旨を通報する錠操作情報を前記一斉通報装置を介して、複数の前記通報先に送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の緊急通報システム。
【請求項5】
前記緊急通報装置が設置された建屋は、複数階から成るビルであり、
前記応答装置は、前記建屋の各階のフロアマップを記憶する地図情報記憶部と、フロアマップを表示するディスプレイと、表示を制御する表示制御部とを有し、
前記表示制御部は、前記緊急信号を受信したら、当該緊急信号送信元の前記緊急通報装置のある階のフロアマップを前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の緊急通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋内に不審者の侵入等の異常な状況が発生したら、それを警備員等に通報する緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のエリアに不審者の侵入等の緊急事態が発生したら、それを警備員等に通報する装置として、例えば通報機器、拡声スピーカ、警告灯を備えた防犯灯ポールがある(例えば、特許文献1参照)。
防犯灯ポールは、例えば公共施設や大学構内といった不特定の人物が入ることのできるエリアに複数設置され、防犯灯ポールに設置されている緊急通報ボタンが押下されたら、警備室等に設置されている通話機器に通報が成されて、応答操作することで通報者との間で通話が可能となる。また、必要に応じて、警備員の操作で防犯灯ポールに設置されている拡声スピーカから警報音を鳴動させたり、警告メッセージを報音させる等、必要な処置を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記防犯灯ポール等の緊急通報装置を備えたシステムでは、緊急通報ボタンが操作されたら、通報信号と共に緊急通報装置に設けられているカメラの撮像映像が送信され、警備員がその映像を見ながら通報者と通話することができたため、状況の把握に有効であった。また、状況を認識した警備員により、緊急通報装置において警報音の鳴動や警告メッセージの報音を行うことで、不審者等に対して威嚇したり周囲の人物に対して注意を促すことができた。
一方で、この緊急通報装置をビル等の建屋内に設置して建屋内で発生した異常に対処しようとした場合、不審者の侵入による異常発生に対しては、扉を施錠して不審者を閉じ込めてしまう対策が考えられる。また、異常事態が発生したフロアに居る人を速やかに避難させるためには、通常は施錠されている扉を一斉に開放する対応が考えられる。
しかしながら、従来のシステムは扉の施錠/解錠の制御を併せて行うことができなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、建屋内の緊急通報装置から通報が成されたら、自動的に複数の扉の電気錠の施錠或いは解錠の制御を実施する緊急通報システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、緊急信号を送信するための緊急通報ボタン及び通話機能を備えた通報手段、カメラ、拡声スピーカ、及び警告灯を備えた緊急通報装置が建屋内に複数設置されると共に、通報手段から送信された緊急信号を受けて通話する機能及びカメラの撮像映像を表示する表示部を具備する応答装置を備えた緊急通報システムであって、建屋内の複数の扉の電気錠の解錠/施錠を制御する錠制御装置を具備すると共に、応答装置は緊急信号を受信したら錠制御装置を動作させるための錠操作信号を出力し、錠制御装置は、錠操作信号に基づいて解錠或いは施錠のうちの予め設定された一方の制御を実施することを特徴とする。
この構成によれば、緊急通報ボタンの操作を受けたら建屋内の複数の扉の電気錠が解錠/施錠のうち予め設定された一方の状態に移行するため、施錠制御すれば建屋内に居る不審者を閉じ込めることができるし、解錠制御すれば建屋内に居る人の速やかな避難が可能となる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、緊急通報装置毎に制御する電気錠のグループを記憶する電気錠グループ記憶部を有して、錠操作信号から緊急信号送信元の緊急通報装置を判別し、当該緊急通報装置に関連付けられている電気錠グループを電気錠グループ記憶部から読み取り、当該グループの電気錠を一斉に制御するよう錠制御装置に指示を出す電気錠一斉操作装置を備え、錠制御装置は、電気錠一斉操作装置が指示したグループの電気錠を制御することを特徴とする。
この構成によれば、緊急通報ボタンが操作された場所に関連付けられた扉の電気錠が施錠或いは解錠されるため、制御する電気錠が全体の一部であっても有効に機能させることができるし、電気錠制御の影響を最小限に留めることができ、混乱を防止できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、電気錠一斉操作装置が錠制御装置に出力する指示が施錠を実施させる指示であり、応答装置は、緊急信号を受けてから一定時間経過後に錠操作信号を出力することを特徴とする。
この構成によれば、緊急信号を受けて扉は施錠されるため、不審者を閉じ込めることができるし、緊急通報ボタンを操作してから一定時間の経過を待って施錠するため、通報者の居るフロア全体が施錠されるような場合でも、避難する時間を確保でき、通報者が閉じ込められてしまう事態を防止できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、携帯電話を含む登録された複数の通報先に一斉通報を実施する一斉通報装置を備え、応答装置は、錠操作信号を出力したら、電気錠を操作した旨を通報する錠操作情報を一斉通報装置を介して、複数の通報先に送信することを特徴とする。
この構成によれば、電気錠を一斉操作した旨が複数の通知先に通知されるため、関係者に一斉に通知でき、異常事態発生の未伝達による問題発生を防止できる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、緊急通報装置が設置された建屋は、複数階から成るビルであり、応答装置は、建屋の各階のフロアマップを記憶する地図情報記憶部と、フロアマップを表示するディスプレイと、表示を制御する表示制御部とを有し、表示制御部は、緊急信号を受信したら、当該緊急信号送信元の緊急通報装置のある階のフロアマップをディスプレイに表示することを特徴とする。
この構成によれば、緊急通報があった場所のフロアマップが表示されるため、警備員は場所を把握し易い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、緊急通報ボタンの操作を受けたら建屋内の扉の電気錠が解錠/施錠のうち予め設定された一方の状態に移行するため、施錠制御すれば建屋内に居る不審者を閉じ込めることができるし、解錠制御すれば建屋内に居る人の速やかな避難が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る緊急通報システムの一例を示す構成図である。
【
図5】応答装置に表示される緊急通報装置の配置を示す地図の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る緊急通報システムの一例を示す構成図であり、1は異常発生を通報するための緊急通報装置、2は緊急通報装置1からの通報に応答するための応答装置、3は一斉通報を制御する一斉通報装置、4は放送を行うためのページング用スピーカ、5はページング用スピーカ4を制御するページング装置である。
また、6は応答装置2と一斉通報装置3との通信を可能とするための信号変換アダプタ、7はページング装置5と一斉通報装置3との通信を可能とするためのページングアダプタ、8はスマートフォン等の携帯電話、16は電気錠16aを備えた扉、17は電気錠16aを制御する錠制御装置である。
【0014】
緊急通報装置1、ページング用スピーカ4は、建屋内の適宜位置に加え、必要に応じて屋外の複数箇所に設置されている。また、応答装置2はその建屋内或いは建屋の近くに設けられた警備室Sに設置されている。尚、建屋は複数階から成るビルとして説明する。
【0015】
緊急通報装置1は、屋外では自立設置され、屋内では壁面等に固定される柱状のハウジング10を有し、ハウジング10内に異常発生を通報する機能に加えて通話する機能を備えたインターホン子機11、放送するためのスピーカ(拡声スピーカ)12、スピーカ12の放送を制御するページング装置13、異常発生を周囲に発光通知するための警告灯14を備えている。
ページング装置13は、スピーカ12、警告灯14に加えてインターホン子機11に接続されており、外部からの信号に加えてインターホン子機11の操作によっても、スピーカ12からの報音及び警告灯14の警報動作が実施される。また、警告灯14は異常事態発生時に点滅する照明或いは回転灯が使用され、ハウジング10の頂部に設置されて周囲から視認し易いよう配置されている。
【0016】
図2はインターホン子機11の機能ブロック図を示している。
図2に示すように、異常発生を通知するための緊急通報ボタン41に加えて、警備員を呼出操作する呼出ボタン42を備えている。そして、43はマイク及びスピーカを備えた通話部、44は通報者の撮像に加えて周囲を撮像するためのカメラ、45は映像を外部に送信するために変調等の処理を実施する映像処理部、46はインターホン子機11を制御する子機CPU、47は応答装置2と通信するための子機通信IFである。
【0017】
呼出ボタン42は、従来のインターホン機器の呼出ボタンと同様の機能を有し、押下操作すると呼出信号が応答装置2へ送信されて呼び出しが行われ、呼び出しを受けた応答装置2が通話操作(応答操作)されると通話が可能となる。また、呼出信号の送信に連動してカメラ44の撮像映像が後述するディスプレイ21に表示される。
【0018】
応答装置2は、ここではインターホン親機2a及び通話機能を備えたパーソナルコンピュータ(以下、単に「PC親機」と称する。)2bにより構成されている。PC親機2bは、通話機能を備えると共に、応答操作するとインターホン子機11との間で通話路が形成されるアプリケーションソフトウェアがインストールされており、インターホン親機2aと同等の機能を備えている。尚、応答装置2としては少なくとも何れか一方を備えていれば良い。
【0019】
そして、インターホン親機2a、PC親機2bの双方とも、呼び出しを受けたら呼出音を鳴動し、応答操作で通話が可能となり、カメラ44の撮像映像を表示するディスプレイ21a,21b(21)を有している。
このように、インターホン親機2aとPC親機2bは機能が共通しており、どちらを操作しても良く、以下PC親機2bの説明は省略し、インターホン親機2aを応答装置2として説明する。
【0020】
図3はインターホン親機2aの機能ブロック図を示している。インターホン親機2aは、
図3に示すように、カメラ44の撮像映像をはじめ各種情報を表示するためのディスプレイ21a(21)、送信された映像信号の復調等の処理を行いディスプレイ21aに表示する映像を生成する映像処理部22,各種操作を行うための操作部23、ハンドセット24aを備えた通話部24、映像を記憶する映像記憶部25、監視エリア全体の地図情報に加えて監視エリア内にある建屋の各階のフロアマップを記憶する地図情報記憶部26、個々の緊急通報装置1の場所を記憶する場所情報記憶部27、インターホン親機2aを制御する親機CPU28、インターホン子機11及び一斉通報装置3と通信するための親機通信IF29等を備えている。
【0021】
図4は一斉通報装置3の機能ブロック図であり、放送するメッセージを記憶するメッセージ記憶部31、携帯電話8のメールアドレス等の一斉通報する通報先の情報を記憶する通報先記憶部32、一斉通報装置3を制御する一斉通報装置CPU33、LAN9を介してインターホン親機2a、ページング装置5,13、更に錠制御装置17と通信するための第1通信IF34、携帯電話8と通信するために通信ネットワークNに接続される第2通信IF35等を備えている。
通報先記憶部32は、携帯電話や固定電話の情報に加えて、通報元の緊急通報装置1毎に放送するエリアを限定するために、緊急通報装置1及びページング用スピーカ4をグループ分けした放送グループ記憶部32a、緊急通報装置1毎に錠操作する電気錠16aをグループ分けした電気錠グループ記憶部13bを備えている。
【0022】
インターホン子機11は伝送線L1を介して応答装置2に接続されている。応答装置2は伝送線L2を介して信号変換アダプタ6に接続され、信号変換アダプタ6は伝送線L3を介してLAN9に接続されている。こうして応答装置2は、信号変換アダプタ6、LAN9を介して一斉通報装置3に接続されている。
また、ページング用スピーカ4は伝送線L4を介してページング装置5に接続され、ページング装置5は伝送線L5を介してページングアダプタ7に接続され、ページングアダプタ7は伝送線L6を介してLAN9に接続されている。こうして、ページング用スピーカ4は、一斉通報装置3に接続されている。
【0023】
更に、一斉通報装置3は、錠制御装置17及び通信ネットワークNに接続され、通信ネットワークNを介して携帯電話8と通信を可能としている。
尚、ページングアダプタ7は、一方で伝送線L7を介して緊急通報装置1のページング装置13に接続されているし、錠制御装置17は複数の扉16が接続されて個々の電気錠16aを制御する。
【0024】
上記の如く構成された緊急通報システムの動作は以下のようである。但し、建屋内に設置されている緊急通報装置1が操作された場合を中心に説明する。また、緊急通報ボタン41の操作を受けた場合は、電気錠16aを施錠するよう設定されているとする。
まず、緊急通報ボタン41、呼出ボタン42が押下されない待受状態では、カメラ44は常時撮像を実施し、その撮像映像がインターホン親機2aに送信されて映像記憶部25に保存される。この保存は、例えば5分等所定時間前の映像に自動的に上書きされ、常に所定時間前から現在までの映像が保存される。また、警告灯14は通常点灯状態(回転灯の場合は消灯状態)にある。
【0025】
この状態で、建屋内に設置された何れかの緊急通報装置1の緊急通報ボタン41が押下されると、子機CPU46の制御によりインターホン子機11からインターホン子機11の識別情報(ID情報)を含む緊急信号がインターホン親機2aに送信される。即ち緊急通報が成される。
また、この操作でインターホン子機11からページング装置13にも緊急信号が送信される。緊急信号を受けたページング装置13は、スピーカ12から警報音を報音させると共に、警告灯14の発光状態を常時点灯から点滅(回転灯の場合は、静止していた発光部が回転発光する動作)に移行させる。
【0026】
一方、緊急信号を受信したインターホン親機2aでは、親機CPU28の制御により呼出音が鳴動し、カメラ44の現在の撮像映像がディスプレイ21aに表示される。
同時に、緊急信号に含まれるインターホン子機11のID情報をもとに、親機CPU28は緊急信号送信元の緊急通報装置1の場所が建屋内であることを認識し、設置されているフロアマップが選択されてディスプレイ21aに表示する。このとき、カメラ44の撮像映像とフロアマップの画像はマルチウィンドウで表示される(図示せず)。
【0027】
図5はこのとき表示されるフロアマップの説明図であり、建屋の1階フロア全体が表示された状態を示し、1階に設置されている緊急通報装置1が操作された場合を示している。この表示において、アイコンA1,A2は緊急通報装置1の設置位置を示し、緊急通報装置1は2台設置されていることを示している。そして、このフロアマップの表示において、操作された緊急通報装置1の表示(アイコンA1で示す)が他の緊急通報装置1と異なる色(
図5ではハッチングして色分けしている)で表示される。
尚、ページング用スピーカ4の表示は省略してある。また、Eは扉(ドア)を示し、Dは別途設置されている監視カメラを示している。
【0028】
更に親機CPU28は、一斉通報装置3に一斉放送するための異常通知信号、緊急信号送信元の緊急通報装置1が建屋内であるため電気錠16aを施錠操作するための錠操作信号を送信する。更に、施錠操作したらその旨を特定の通知先に通知する制御を行う。
具体的に、緊急信号に含まれるインターホン子機11のID情報から、場所情報記憶部27を参照してインターホン子機11の場所を特定し、LAN9を介して一斉通報装置3に緊急信号送信元の場所情報を含む異常通知信号が送信される。
【0029】
異常通知信号を受信した一斉通報装置3は、異常通知信号に含まれる送信元の緊急通報装置1の場所情報、或いは送信元のインターホン子機11のID情報から、関連付けられているグループを放送グループ記憶部32aから選択し、そのグループに属している緊急通報装置1及びページング用スピーカ4に場所情報を含む異常発生情報を送信して警報音を発報させる。例えば、建屋内の全ての緊急通報装置1が共通するグループとして登録され、これらに一斉に異常発生情報が送信される。この情報には、メッセージ記憶部31から読み取った音声メッセージが含まれている。
【0030】
異常発生情報はページングアダプタ7を介して、各緊急通報装置1に送信され、個々の緊急通報装置1が警報音を発報すると同時に、警告灯14が例えば点灯から点滅に移行する。また、ページング装置5を介してページング用スピーカ4からも警報音を発報する。その後、緊急通報装置1のスピーカ12、ページング用スピーカ4から、異常発生情報に基づく音声メッセージ「○○の緊急通報ボタンが押されました。」等の場所情報を含むメッセージが報音される。
【0031】
一方、錠操作信号は遅延出力され、異常通知信号から例えば120秒等一定時間が経過したら出力される。一斉通報装置3は錠操作信号に含まれるID情報を基に、電気錠グループ記憶部32bから電気錠16aのグループを選択し、選択したグループの電気錠16aを施錠させる施錠信号を錠制御装置17に送信する。施錠信号を受けた錠制御装置17は、グループを構成する全ての電気錠16aを施錠制御する。
例えば、建屋の1階の緊急通報装置1が緊急通報操作された場合、この緊急通報装置1に1階の全ての電気錠16aが同一グループに設定されていたなら、1階の電気錠16aを備えた扉16が一斉に施錠され、他のフロアの電気錠16aは施錠操作等されない。
【0032】
また錠操作信号を出力して施錠操作したインターホン親機2aは、引き続き施錠制御を実施した旨を関係者に通知するために、錠制御情報を一斉通報装置3に送信する。錠制御情報を受信した一斉通報装置3は、通報先記憶部32に錠制御情報通知先として登録されている携帯電話8に対して1階を施錠した旨を通知する。
通報を受けた携帯電話8には、例えば「只今、異常発生を受けて、○○の1階の扉を施錠しました。」等の場所情報を含む施錠情報のメッセージが送信されて表示される。この送信は、例えば電子メールで実施される。
【0033】
尚、緊急信号を受けて呼出音を鳴動するインターホン親機2aに対して、警備員等がハンドセット24aを取り上げる等の応答操作をすれば、緊急通報装置1との間で通話路が形成され、通報者との間で通話することができる。
また、インターホン子機11の呼出ボタン42が押下された場合は、呼出信号がインターホン親機2aに送信されて呼出音が鳴動するが、呼出信号は警報信号とは異なり、インターホン親機2aから一斉通報装置3へ信号は送出されないし、警告灯14の発光状態も変化しない。
更に、建屋内の緊急通報装置1が操作されて緊急信号が送信された場合を説明したが、屋外の緊急通報装置1が操作された場合は、扉16の電気錠操作は行わず、通報元の周囲に設置された緊急通報装置1のスピーカ12から、異常事態発生のアナウンスが実施される。そして、所定の通報先に異常発生の通報が行われる。
【0034】
このように、緊急通報ボタン41の操作を受けたら建屋内の扉16の電気錠16aが施錠されるため、不審者を閉じ込めることができ被害の拡大を防止できる。
また、緊急通報ボタン41が操作された場所に関連付けられた扉16の電気錠16aが施錠されるため、制御する電気錠16aが制御可能な電気錠16aの一部であっても有効に機能させることができるし、電気錠制御の影響を最小限に留めることができ、混乱を防止できる。
更に、緊急信号を受けてから施錠されるまで一定時間の遅延があるため、通報者の居るフロア全体が施錠されるような場合でも避難する時間を確保でき、通報者が閉じ込められてしまう事態を防止できる。
また、建屋内の電気錠16aを一斉操作した旨が複数の登録された通知先に通知されるため、関係者に一斉に通知でき、異常事態発生の未伝達による問題発生を防止できるし、緊急通報が成されたフロアマップがインターホン親機2aに表示されるため、警備員は場所を把握し易い。
【0035】
尚、上記実施形態では、異常事態の発生を受けて電気錠16aを施錠操作する場合を説明したが、一斉に解錠させても良く、解錠制御すれば建屋内に居る人の速やかな避難を実施できる。
また、緊急信号が送信されてから施錠するまで一定の時間を設けたが、施錠しても通報者の避難路が確保されている場合は、緊急信号を受けて速やかに施錠制御しても良い。
更に、一斉通報装置3を介して電気錠16aを操作し、一斉通報装置3を電気錠16aを操作する電気錠一斉操作装置としても機能させているが、電気錠一斉操作装置は別途設けても良い。例えば、インターホン親機2aに電気錠一斉操作装置の機能を具備させて、LAN9に接続されている錠制御装置17に対してインターホン親機2aから直接操作信号を送信しても良い。
また、携帯電話8への錠制御情報の送信を電子メールで行っているが、ショートメールで送信しても良いし、LINE(登録商標)に代表されるSNS(Social Networking Service)を利用して送信しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1・・緊急通報装置、2・・応答装置、2a・・インターホン親機(応答装置)、2b・・PC親機(応答装置)、3・・一斉通報装置(電気錠一斉操作装置)、9・・LAN、10・・ハウジング、11・・インターホン子機(通報手段)、12・・スピーカ(拡声スピーカ)、14・・警告灯、16・・扉、16a・・電気錠、17・・錠制御装置、21、21a・・ディスプレイ(表示部)、24・・通話部、26・・地図情報記憶部、27・・場所情報記憶部、28・・親機CPU(表示制御部)、31・・メッセージ記憶部、32・・通報先記憶部、32a・・放送グループ記憶部、32b・・電気錠グループ記憶部、33・・一斉通報装置CPU、41・・緊急通報ボタン。