(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】建具、及び、建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20220627BHJP
E05D 13/00 20060101ALI20220627BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
E05D15/06 125C
E05D13/00 A
E06B3/46
(21)【出願番号】P 2018191125
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 康臣
(72)【発明者】
【氏名】荒川 哲也
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3211594(JP,U)
【文献】特開2009-102863(JP,A)
【文献】特開2002-168052(JP,A)
【文献】実開昭57-93574(JP,U)
【文献】実開昭48-99638(JP,U)
【文献】特開2000-265736(JP,A)
【文献】実開昭50-61116(JP,U)
【文献】実開平1-162588(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 11/00-15/58
E06B 1/00- 1/70
3/04- 3/46
3/50- 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠及び下枠を備えた枠体、
前記下枠が有する下レール上に載置されて移動可能に支持されている障子、及び、
前記上枠に取り付けられ、前記下レールに支持されている前記障子と見込み方向における一方側にて対向する対向部と、前記上枠に当接されて前記障子と上下方向において対向する上枠当接部と、前記上枠当接部より下方に突出して前記障子を案内する上レールと、
前記上枠の下面に当接した状態で、前記一方側に向かって突出し、見込み方向に間隔を空けて設けられた複数の係止部と、を有する上枠取付部材、
を有し、
前記障子は、上端から下方に窪み当該障子の面内方向に沿う障子溝部を有し、
前記上枠当接部の上下方向における厚みは、上下方向における前記障子の前記上端と、前記上枠において前記障子よりも前記一方側に位置する部位の下端との間隔より薄く、
前記上レールの下方への突出量は、前記障子溝部の深さより小さ
く、
前記上枠は、前記下レールに支持されている前記障子と見込み方向における他方側にて対向する部位と、前記一方側に向かって窪み前記係止部が各々挿入されて係止される複数の被係止部と、を有し、
前記上枠取付部材は、前記上枠の下面に当接した状態で前記係止部が前記被係止部に挿入されて上枠に係止されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項
1に記載の建具の施工方法であって、
前記上枠取付部材が前記上端に載置された前記障子を前記下レール上に載置する障子載置ステップと、
前記上枠取付部材を前記上枠の下面に当接させた後に、前記一方側に移動させて前記係止部を前記被係止部に挿入させて係止する上枠取付部材係止ステップと、
前記上枠取付部材を前記上枠に固定する上枠取付部材固定ステップと、
を有することを特徴とする建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具、及び、建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引戸障子の下部を案内する下側レールが一体に形成されており、引戸障子の上部を呑み込む障子呑み込み溝部内に設けられ、引戸障子の上部を案内するレールは右側レールと左側レールとの二部材から形成されている。そして、引戸障子を上下枠間に建て込む際には、例えば、上枠から左側のレールを外しておき、引戸障子を持ち上げて室内側より引戸障子の上部を上枠の引戸障子呑み込み溝部の左側レールを取外した範囲内に呑み込ませてから、引戸障子の下部の戸車を下枠の下側レール上に載置する。次に、引戸障子を右側のレール側に移動させ、引戸障子のレール呑み込み溝に右側レールを呑み込ませる。そして、左側レールを上枠に取付けて建込み作業を完了することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の建具は、引戸障子を取り付ける際に、左右に分割されている上枠の左側レールを取り外して引戸障子を下側レール上に載置した後に、引戸障子を右側に移動し、左側レールを取り付けているため、作業が繁雑である。また、引戸障子が案内される上枠のレールが分割されているので、左側レールを取り付ける際には、右側レールとより正確に繋げないと滑らかに引戸障子を移動させることができないため、左側レールの取り付けも慎重に行わなければならないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、障子を容易に建て込むことが可能な建具、及び、建具の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、上枠及び下枠を備えた枠体、前記下枠が有する下レール上に載置されて移動可能に支持されている障子、及び、前記上枠に取り付けられ、前記下レールに支持されている前記障子と見込み方向における一方側にて対向する対向部と、前記上枠に当接されて前記障子と上下方向において対向する上枠当接部と、前記上枠当接部より下方に突出して前記障子を案内する上レールと、を有する上枠取付部材、を有し、前記障子は、上端から下方に窪み当該障子の面内方向に沿う障子溝部を有し、前記上枠当接部の上下方向における厚みは、上下方向における前記障子の前記上端と、前記上枠において前記障子よりも前記一方側に位置する部位の下端との間隔より薄く、前記上レールの下方への突出量は、前記障子溝部の深さより小さいことを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、障子を容易に建て込むことが可能な建具、及び、建具の施工方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の建具を室内側から見た図である。
【
図4】
図4(a)は、上枠取付部材が載置されている障子を下枠上に移動する様子を示す縦断面図であり、
図4(b)は、上枠取付部材が載置されている障子が下レール上に載置された状態を示す縦断面図であり、
図4(c)は、障子が建て込まれた状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4(b)の上部を示す拡大図であり、
図5(b)は、上枠取付部材を上枠に当接した状態を示す図であり、
図5(c)は、上枠取付部材を上枠に係止した状態を示す図であり、
図5(d)は、障子が建て込まれた状態を示す図である。
【
図6】本実施形態の建具の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る建具及び建具の施工方法について図面を参照して説明する。
本実施形態においては、例えば、
図1に示すような片引き窓用の建具(以下、建具という)1を例に挙げて説明する。
【0010】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建物等に取り付けられた状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0011】
図1に示すように、建具1は、矩形状に枠組みされて建物等の躯体(不図示)に固定される枠体2と、枠体2の内側における右側の領域をFIXガラス3aにて覆うFIX窓部3と、枠体2の内側においてFIX窓部3の左側に形成される開口部を開閉自在に設けられた引戸障子(以下、障子という)4と、を有している。
枠体2は、下枠21、上枠22及び左右の縦枠23、24が矩形状に接合されている。
【0012】
図2、
図3に示すように、下枠21には、障子4の下端部が収容される下枠溝部21aが、見込み方向における室内側に左右方向の全長に亘って設けられている。下枠溝部21aには、障子4に設けられた戸車4aが載置される下レール21bが設けられている。
【0013】
上枠22は、下枠溝部21aと対向する部位がほぼ平坦な見込み面をなす2つの上枠下面部22a、22bを有しおり、2つの上枠下面部22a、22bの見込み方向における室内側の縁に各々下方に垂設された垂壁部22cと、垂壁部22cの下端が室外側に突出する上枠突起22dを有する被係止部としての上枠フック部22e、22fが設けられている。すなわち上枠下面部22a、22bと上枠突起22dとの間には、室内側に窪む上枠凹部22gが設けられている。
【0014】
上枠22には、上枠下面部22a、22bに当接される上枠取付部材5が取り付けられている。上枠取付部材5は、上枠下面部22a、22bに当接される上枠当接部5a、5bと、下方に突出して障子4に挿入される上レール5cと、室内側の上枠下面部22aの室内側の縁と面一の見付け面を形成する室内側見付け面部5dと、を有している。上枠当接部5a、5bは、見込み方向に間隔を空けて設けられており、2つの上枠当接部5a、5bは、下方に突出する上レール5cによって連結されている。
【0015】
上レール5cは、見込み方向に間隔を空けて対面する一対の上レール壁部5e、5fと、一対の上レール壁部5e、5fの下端同士を連結する下連結部5gと、を有し、室内側の上レール壁部5eの上端部が室内側の上枠当接部5aの室外側の縁と繋がり、室外側の上レール壁部5fの上端部が室外側の上枠当接部5bの室内側の縁5hより僅かに室外側の部位と繋がっている。すなわち、一対の上レール壁部5e、5fの間は、上方が開放されて空隙S1が形成され、室外側の上枠当接部5bの室内側の縁5hが空隙S1側に突出している。
【0016】
また、上枠取付部材5は、室内側の上枠当接部5aの室内側の縁5iより僅かに室外側の部位から下方に延出させた垂設片5jを有し、垂設片5jの下端が室内側に延出されて延出片5kをなし、延出片5kの室内側の縁から更に下方に垂設されて室内側見付け面部5dが設けられている。すなわち、室内側の上枠当接部5aの室内側の縁5iは、垂設片5jよりも室内側に突出しており、室内側見付け面部5dの上に空隙が設けられている。
【0017】
上枠取付部材5は、室外側の上枠当接部5bが、室外側の上枠フック部22fよりも室外側にて上枠下面部22bに当接され、室内側の上枠当接部5aが、上枠22の2つの上枠フック部22e、22f間にて上枠下面部22aに当接された状態で、室内側に移動されることにより、室外側の上枠フック部22fの上枠凹部22gに室外側の上枠当接部5bの室内側の縁5hが挿入され、室内側の上枠フック部22eの上枠凹部22gに室内側の上枠当接部5aの室内側の縁5iが挿入されて上枠22に係止される。ここで、室外側の上枠当接部5bの室内側の縁5hの空隙S1側に突出している部位、及び、室内側の上枠当接部5aの室内側の縁5iが垂設片5jよりも室内側に突出している部位が係止部に相当する。
【0018】
上枠22に係止された上枠取付部材5は、室外側及び室内側の上枠当接部5a、5bが、下方から進入するビス6により上枠22に固定されている。障子4が下レール21bに支持されて上枠取付部材5が上枠22に固定された状態では、障子4と室内側見付け面部5dが見込み方向において対向する。すなわち、室内側見付け面部5dが、下レール21bに支持された障子4と室内側にて対向する対向部に相当する。
【0019】
FIX窓部3は矩形状をなすFIXガラス3aの外周部が、下枠21と上枠22とを繋ぐ方立25と枠体2とにより囲まれた空間に配置され、押縁3bにより枠体2及び方立25に固定されている。
【0020】
障子4は、同一の押し出し成形材でなる框材が、上框41、下框42、戸尻框43及び戸先框44をなして矩形状に接合された框体40と、框体40に外周端部が収容される引戸ガラス4bと、を有している。各框材41、42、43、44には、外周部の見込み方向における中央部に、内周側に窪む障子溝部としての框溝部41a、42a、43a、44aを有している。下框42の框溝部42aには、戸車4aが設けられ、障子4が建込まれたときには、下レール21bが挿入される。障子4が建込まれた状態では、障子4の上端4cから下方に窪ませて面内方向に沿って設けられている框溝部41aに上レール5cが挿入され、障子4の上端4cをなす上框41の上面は、上枠当接部5a、5bと上下方向に対向している。
【0021】
2つの上枠当接部5a、5bより下方に突出する上レール5cの下方への突出量L1は、上框41の框溝部41aの深さDより小さく形成されており、上枠取付部材5が上枠22に取り付けられずに障子4上に載置された場合には、上レール5cが框溝部41a内に収容され、障子4の上端4cに上枠当接部5a、5bの下面が当接される。
【0022】
本実施形態の建具1の施工方法は、枠体2を建物の躯体に固定し、固定された枠体2の内側にFIX窓部3を取り付けられている状態で、障子4を建て込む。このとき、
図4(a)に示すように、まず、上枠取付部材5の上レール5cを、障子4の上框41に設けられた框溝部41aに挿入した状態で、上枠取付部材5が載置された障子4を、下端側が上端4c側より室外側に位置するように傾けつつ室内側から下枠21の下レール21b上に載置する。
【0023】
このとき、障子4上に載置した上枠取付部材5は、障子4の幅より広いため、障子4は、上枠取付部材5における左右方向のほぼ中央に配置し、より安定した状態としておく。そして、障子4の下框42を、下枠21の下枠溝部21a内に挿入しつつ下框42の框溝部42a内に下レール21bを挿入して、戸車4aを下レール21b上に当接させる。
【0024】
次に、
図4(b)に示すように、障子4の上部側を室外側に移動させて、障子4がほぼ鉛直になるように下レール21b上に載置する(障子載置ステップ)。ここで、室内側が、障子が下レール21b上に載置される、見込み方向における一方側に相当する。
【0025】
上枠取付部材5が載置された障子4が下レール21b上に載置されている状態では
図5(a)に示すように、上枠取付部材5と上枠22の上枠フック部22e、22fの下端、より具体的には、上枠フック部22e、22fの上枠突起22dの下端とは、上下方向に間隔L2が空けられている。このため、上枠取付部材5の上枠当接部5a、5bの上下方向における厚みt(
図5(c)参照)は、障子4が建て込まれた状態の上下方向において、障子4の上端4cと、上枠突起22dの下端との間隔L3(
図5(c)参照)よりも薄く形成されている。ここで、上枠突起22dの下端が、上枠22において障子4よりも室内側に位置する部位の下端に相当する。
【0026】
次に、
図5(b)に示すように、上枠取付部材5を、上方に持ち上げて、室外側の上枠当接部5bを、室外側の上枠フック部22fよりも室外側にて上枠下面部22bに当接し、室内側の上枠当接部5aを、2つの上枠フック部22e、22f間にて室内側の上枠下面部22aに当接する。
【0027】
次に、
図5(c)に示すように、室内側及び室外側の上枠当接部5a、5bが上枠下面部22a、22bに当接している状態で、上枠取付部材5を室内側に移動し、室外側の上枠フック部22fの上枠凹部22gに室外側の上枠当接部5bの室内側の縁5hを挿入し、室内側の上枠フック部22eの上枠凹部22gに室内側の上枠当接部5aの室内側の縁5iを挿入して上枠取付部材5を上枠22に係止する(上枠取付部材係止ステップ)。
【0028】
次に、
図4(c)、
図5(d)に示すように、障子4を左右方向の一方側に移動して、障子4を移動した一方側と反対側において上枠取付部材5を上枠22にビス6にて固定する(上枠取付部材固定ステップ)。
【0029】
次に、障子4を左右方向の他方側に移動して、障子4を移動した他方側と反対側において上枠取付部材5を上枠22にビス6にて固定して建具1の施工が完了する。
【0030】
本実施形態の建具1によれば、下レール21bに支持されて、上枠22に取り付けられずに障子4上に載置されている上枠取付部材5と、上枠22とは、上下方向に間隔L2が空けられているので、障子4に上枠取付部材5を載置した状態で、下レール21b上に障子4を載置することが可能である。このため、重量が大きな障子4を、より早く下レール21b上に載置することができるので、作業者の負担を軽減することが可能であるとともに、誤って障子4を落下させて損傷することを防止することが可能である。
【0031】
また、障子4上に載置されている上枠取付部材5を、障子4を下レール21b上に載置した後に上枠22に取り付けることができるので、例えば、けんどん式で建て込む場合のように、上枠22に障子4の上部を深くのみ込ませる空間を設ける必要がない。このため、枠体2の見付け幅を小さくすることが可能である。
【0032】
また、上枠取付部材5を上枠22に取り付けた後には、上枠取付部材5の室内側見付け面部5dが、障子4と室内側にて対向するので、障子4を確実に案内することができると共に、障子4の室内側への倒れを防止することが可能である。また、障子4と上枠22との隙間を覆うので、意匠性も向上する。
【0033】
また、上枠取付部材5は、上框41の框溝部41aに入り込み障子4を案内する上レール5cを有しているので、障子4をより確実に案内することができると共に、障子4の室内側への倒れをより確実に防止することが可能である。
【0034】
また、上枠取付部材5は、上枠22の上枠下面部22aに当接した状態で、室内側に移動させることにより、上枠22に係止することが可能である。すなわち、上枠取付部材5は、室内側に押圧されることにより、より確実に係止される。このため、上枠取付部材5は上枠22に固定されていなくとも、障子4の倒れを防止することが可能である。このため、障子4の建て込み時に、上枠取付部材5を上枠22に係止するだけで、下レール21b上に載置した障子4の倒れを防止することが可能である。このため、より施工性に優れている。
【0035】
本実施形態の建具1の施工方法によれば、障子4に上枠取付部材5を載置した状態で、下レール21b上に障子4を載置するので、重量が大きな障子4を、より早く下レール21b上に載置することができる。このため、作業者の負担を軽減することが可能であるとともに、誤って障子4を落下させて損傷することを防止することが可能である。
【0036】
また、障子4上に載置されている上枠取付部材5を、障子4を下レール21b上に載置した後に上枠22に取り付けるだけで、上枠取付部材5の室内側見付け面部5dが、障子4と室内側にて対向して、障子4の室内側への倒れが防止されるので、障子4を容易に建込むことがかのうである。
【0037】
上記実施形態においては、上枠取付部材5が上レール5cを有している例について説明したが、上枠取付部材5は必ずしも上レール5cを有していなくとも構わない。例えば、
図6に示すように、上レールを有していない上枠取付部材5が上枠22に取り付けられて、上枠22と上枠取付部材5の室内側見付け面部5dとにより形成され、上方に窪む上枠側溝部22hに、上框41が挿入されている形態であっても構わない。
また、上記実施形態においては、片引き窓用の建具1を例に挙げて説明したが、これに限らず、引戸障子を備えた建具であれば構わない。
【0038】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0039】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
上枠及び下枠を備えた枠体、前記下枠が有する下レール上に載置されて移動可能に支持されている障子、及び、前記上枠に取り付けられ、前記下レールに支持されている前記障子と見込み方向における一方側にて対向する対向部と、前記上枠に当接されて前記障子と上下方向において対向する上枠当接部と、前記上枠当接部より下方に突出して前記障子を案内する上レールと、を有する上枠取付部材、を有し、前記障子は、上端から下方に窪み当該障子の面内方向に沿う障子溝部を有し、前記上枠当接部の上下方向における厚みは、上下方向における前記障子の前記上端と、前記上枠において前記障子よりも前記一方側に位置する部位の下端との間隔より薄く、前記上レールの下方への突出量は、前記障子溝部の深さより小さいことを特徴とする建具である。
【0040】
このような建具によれば、上枠当接部より下方に突出する上レールの下方への突出量は、障子溝部の深さより小さいので、上枠に取り付けられていない上枠取付部材を障子上に載置すると、障子の上端に上枠当接部を当接させることが可能である。また、上枠に当接されて障子と上下方向において対向する上枠当接部の厚みは、上下方向における障子の上端と、上枠において障子よりも一方側に位置する部位の下端との間隔より薄いので、下レール上に載置された障子上に上枠取付部材を載置した状態で、一方側から障子を枠体に建て込むこと、或いは、枠体から取り外すことが可能である。このため、例えば、けんどん式で建て込む場合のように、上枠に障子の上部を深くのみ込ませる空間を設ける必要がない。このため、枠体の見付け幅を小さくしすることが可能である。また、上枠取付部材を上枠に取り付けた後には、上枠取付部材の対向部が、障子と一方側にて対向するので、障子を確実に案内することができると共に、障子の一方側への倒れを防止することが可能である。
【0041】
また、障子上に上枠当接部を載置した状態で、一方側から障子を下レール上に載置して枠体に建て込むことが可能なので、障子に上枠取付部材を載置した状態で、下レール上に障子を載置することが可能である。このため、重量が大きな障子を、より早く下レール上に載置することができるので、作業者の負担を軽減することが可能である。また、障子と上枠との隙間を覆うので、意匠性も向上する。
【0042】
かかる建具であって、前記障子の上端には下方に窪み当該障子の面内方向に沿う障子溝部を有し、前記上枠取付部材は、前記上枠に取り付けられ、前記障子が前記下レールに支持された状態で、前記障子溝部に入り込み当該障子を案内する上レールを有していることを特徴とする。
【0043】
このような建具によれば、上枠取付部材は、障子溝部に入り込み障子を案内する上レールを有しているので、障子をより確実に案内することができると共に、障子の一方側への倒れをより確実に防止することが可能である。
【0044】
かかる建具であって、前記上枠取付部材は、前記上枠の下面に当接した状態で、前記一方側に向かって突出する係止部を有し、前記上枠は、前記一方側に向かって窪み前記係止部が挿入されて係止される被係止部を有していることを特徴とする。
【0045】
このような建具によれば、上枠取付部材は、上枠の下面に当接した状態で、一方側に移動させることにより、上枠に係止することが可能である。すなわち、上枠取付部材は、一方側に押圧されることにより、より確実に係止される。このため、上枠取付部材は上枠に固定されていなくとも、障子の倒れを防止することが可能である。このため、障子の建て込み時に、上枠取付部材を上枠に係止するだけで、下レール上に載置した障子の倒れを防止することが可能である。このため、より施工性に優れている。
【0046】
また、上記建具の施工方法であって、前記上枠取付部材が前記上端に載置された前記障子を前記下レール上に載置する障子載置ステップと、前記上枠取付部材を前記上枠の下面に当接させた後に、前記一方側に移動させて前記係止部を前記被係止部に挿入させて係止する上枠取付部材係止ステップと、前記上枠取付部材を前記上枠に固定する上枠取付部材固定ステップと、を有することを特徴とする建具の施工方法である。
【0047】
このような建具の施工方法によれば、障子に上枠取付部材を載置した状態で、下レール上に障子を載置するので、重量が大きな障子を、より早く下レール上に載置することができる。このため、作業者の負担を軽減することが可能である。また、障子上に載置されている上枠取付部材を、障子を下レール上に載置した後に上枠に取り付けるだけで、上枠取付部材の対向部が、障子と一方側にて対向させて、障子の一方側への倒れを防止することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 建具、2 枠体、4 障子、5c 上レール、5h 上枠当接部の室内側の縁、
5i 上枠当接部の室内側の縁、21 下枠21b 下レール、22 上枠、
22a 上枠下面部、22b 上枠下面部、22e 上枠フック部、
22f 上枠フック部、41a 框溝部、
D 上框の框溝部の深さ、L1 上レールの突出量、L2 上枠取付部材と上枠と間隔、L3 障子の上端と上枠突起の下端との間隔、t 上枠当接部の厚み、