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  • 特許-電気機器収納用箱体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】電気機器収納用箱体
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20220627BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20220627BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H02B1/30 B
H02B3/00 D
H05K5/02 Q
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018221596
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020089106
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】高木 競
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165579(JP,A)
【文献】特開平9-215122(JP,A)
【文献】実開平7-36506(JP,U)
【文献】特開2017-118609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/30
H02B 3/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面、左右両側面、及び背面を有し、少なくとも上面に開口する箱本体と、前記箱本体の上面開口を閉塞する天板とを備えているとともに、
前記箱本体の上端に、前辺部材、後辺部材、及び左右両側辺部材を矩形枠状に組み付けてなる上枠が固着され、前記前辺部材及び前記後辺部材に夫々固定具が取り付けられており、両前記固定具間に亘って前後方向へ長い帯状の天板支持部材が架設された電気機器収納用箱体であって、
前記固定具における前記上枠の内側へ突出した箇所に、左右方向へ所定の幅を有する切り欠きが設けられているとともに、前記切り欠きの左右両側にネジ孔が穿設されている一方、
前記天板支持部材の下面に、L字状に折り曲げられた金属板同士を背中合わせに固着してなる補強部材が前後方向に配設されているとともに、前記天板支持部材の前後両端における前記補強部材の左右両側にネジ孔が穿設されており、
前記固定具の前記切り欠き内に前記補強部材を位置させ、前記天板支持部材の前記ネジ孔と前記固定具の前記ネジ孔とを上下で一致させた上で、前記上面開口を閉塞するように前記天板を前記箱本体上に載置し、両前記ネジ孔でネジを締結することにより前記天板、前記天板支持部材、及び前記固定具が一体化されることを特徴とする電気機器収納用箱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電気機器を収納するためのキャビネット等といった電気機器収納用箱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配電盤等に使用される比較的大型の電気機器収納用箱体としては、たとえば特許文献1に記載されているようなものがある。そのような電気機器収納用箱体では、箱本体の上枠に天板を溶接することによって、箱本体の上面開口を閉塞している。また、補強面での必要性から、たとえば上枠の左右方向での略中央部に、柱状の天板支持部材を前後に亘って架設し、当該天板支持部材と天板とについても溶接していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-030364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように従来の電気機器収納用箱体は天板を溶接しているが故、設置現場での組み立ては困難である。したがって、製造工場等で予め組み立ててから設置現場へ運搬していた。しかしながら、一旦組み立ててしまうと、箱本体の上面開口を利用して電気機器を搬入することができないため、使い勝手の点で問題を抱えていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、上面開口を利用して電気機器の箱本体内部への搬入が可能で、使い勝手が良い上、補強面での不安もない電気機器収納用箱体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、前面、左右両側面、及び背面を有し、少なくとも上面に開口する箱本体と、前記箱本体の上面開口を閉塞する天板とを備えているとともに、前記箱本体の上端に、前辺部材、後辺部材、及び左右両側辺部材を矩形枠状に組み付けてなる上枠が固着され、前記前辺部材及び前記後辺部材に夫々固定具が取り付けられており、両前記固定具間に亘って前後方向へ長い帯状の天板支持部材が架設された電気機器収納用箱体であって、前記固定具における前記上枠の内側へ突出した箇所に、左右方向へ所定の幅を有する切り欠きが設けられているとともに、前記切り欠きの左右両側にネジ孔が穿設されている一方、前記天板支持部材の下面に、L字状に折り曲げられた金属板同士を背中合わせに固着してなる補強部材が前後方向に配設されているとともに、前記天板支持部材の前後両端における前記補強部材の左右両側にネジ孔が穿設されており、前記固定具の前記切り欠き内に前記補強部材を位置させ、前記天板支持部材の前記ネジ孔と前記固定具の前記ネジ孔とを上下で一致させた上で、前記上面開口を閉塞するように前記天板を前記箱本体上に載置し、両前記ネジ孔でネジを締結することにより前記天板、前記天板支持部材、及び前記固定具が一体化されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固定具に切り欠きやネジ孔を、天板支持部材に補強部材やネジ孔を夫々設けており、固定具の切り欠き内に補強部材を位置させ、天板支持部材のネジ孔と固定具のネジ孔とを上下で一致させた上で、上面開口を閉塞するように天板を箱本体上に載置し、両前記ネジ孔でネジを締結することにより天板、天板支持部材、及び固定具を一体化可能とした。すなわち、ネジを緩めるだけで、天板支持部材を箱本体から取り外すことができる。したがって、たとえば設置現場において箱本体の上面開口から電気機器を搬入したいのであれば、天板支持部材及び天板を取り外せばよく、使い勝手が良い。また、天板支持部材を設けないわけではないため、強度も十分に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電気機器収納用箱体を前側から示した説明図である。
図2】電気機器収納用箱体を右側から示した説明図である。
図3】上枠を下側から示した説明図である。
図4】天板支持部材の一端を拡大して示した説明図であり、(a)は下側から、(b)は前側から、(c)は左側から夫々示している。
図5】固定具を示した説明図であり、(a)は下側から、(b)は前側から、(c)は左側から夫々示している。
図6】固定具と天板支持部材とを一体化した状態を下側から示した説明図である。
図7】固定具と天板支持部材とを一体化した状態を前側から示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる電気機器収納用箱体(以下、単に箱体と称す)について、図面にもとづき詳細に説明する。
図1は、箱体1を前側から示した説明図である。図2は、箱体1を右側から示した説明図である。図3は、上枠11を下側から示した説明図である。図4は、天板支持部材15の一端を拡大して示した説明図であり、(a)は下側から、(b)は前側から、(c)は左側から夫々示している。図5は、固定具16を示した説明図であり、(a)は下側から、(b)は前側から、(c)は左側から夫々示している。図6は、固定具16と天板支持部材15とを一体化した状態を下側から示した説明図である。図7は、固定具16と天板支持部材15とを一体化した状態を前側から示した説明図である。
【0010】
箱体1は、左右一対の側面3、3、前面4、及び背面5を有して上面及び下面に開口する箱本体と、箱本体の上面開口2を閉塞する天板10とを備えてなり、箱本体の内部には、トランスや遮断器等の各種電気機器が収納可能となっている。該箱本体の前面4は、左右に夫々片開きして前面開口を開閉する一対の前扉で構成されている。また、各側面3にも、側面開口を開閉する側扉6が設けられている。そして、箱本体は、チャンネルベース7を介してコンクリート基礎(図示せず)上に設置されるようになっている。なお、8は、前面4及び背面5に開設された換気口(図示せず)を覆うように取り付けられたフードである。
【0011】
ここで、発明の要部となる箱本体への天板10の取付構造について説明する。
箱本体の上端には、左右一対の側辺部材12、12、側辺部材12の前端同士を連結する前辺部材13、及び側辺部材12の後端同士を連結する後辺部材14を有する上枠11が溶接されている。側辺部材12の長さは側面3の前後長さと、前辺部材13は前面4の左右長さと、後辺部材14は背面5の左右長さと略同じとなっている。また、前辺部材13及び後辺部材14の左右方向での略中央となる位置には、後述する天板支持部材15を固定するための固定具16が夫々溶接されている。
【0012】
固定具16は、左右方向へ長い金属板の左右両端を下方へ折り曲げてなるもので、何れか一方の長辺部(前辺部若しくは後辺部)には切り欠き17が設けられている。また、切り欠き17の左右両側には、固定具16と天板支持部材15及び天板10とを一体化するためのネジ孔18、18が穿設されている。そして、当該固定具16は、切り欠き17部分が上枠11から内側へ突出するような姿勢で、前辺部材13及び後辺部材14に夫々溶接されている。
【0013】
一方、天板支持部材15は、前後方向での長さが前辺部材13と後辺部材14との前後距離と略同じで、且つ、左右幅が固定具16の左右長さと略同じとされた帯状の金属板である。該天板支持部材15の下面で、左右方向で略中央となる位置には、前後方向へ延びる補強部材19が固着されている。この補強部材19は、L字状に折り曲げられた2つの金属部材を背中合わせに溶接してなるもので、左右幅は切り欠き17の左右幅と略同じとなっている。また、補強部材19の前後方向での長さは、天板支持部材15の前後方向での長さよりも短くなっており、補強部材19の前後両端部と天板支持部材15の前後両端部との間が、固定具16への固定に際しての固定代20となる。加えて、天板支持部材15の前後方向両端際で、補強部材19の左右両側となる位置には、天板支持部材15と固定具16及び天板10とを一体化するためのネジ孔21、21が夫々穿設されている。
【0014】
そして、天板10を取り付けるに際しては、まず上記天板支持部材15を、補強部材19の前後両端部が固定具16の切り欠き17内に夫々位置し、且つ、固定具16上にある天板支持部材15のネジ孔21、21と固定具16のネジ孔18、18とが上下で一致するように、固定具16、16間に架設する。それから、箱本体の上面開口2を覆うように天板10を載置して、両ネジ孔18、21でネジ9、9・・を締結すれば、天板10、天板支持部材15、及び固定具16が一体化され、天板10の取り付けは完了となる。また、このようにして組み立てた状態で箱体1を設置現場へ運搬し、チャンネルベース7上に固定した後で、箱体1内へ電気機器を搬入するにあたっては、ネジ9、9・・を緩めて天板10及び天板支持部材15を箱本体から取り外せば良い。すると、天板支持部材15により仕切られることなく、箱本体の上面が広く開放されるため、その上面開口2を介して電気機器を搬入すればよい。
【0015】
以上のような構成を有する箱体1によれば、固定具16に切り欠き17とネジ孔18、18とを設ける一方、天板支持部材15に補強部材19とネジ孔21、21・・とを設けている。そして、天板支持部材15を、補強部材19の前後両端部が固定具16の切り欠き17内に夫々位置し、且つ、固定具16上にある天板支持部材15のネジ孔21、21と固定具16のネジ孔18、18とが上下で一致するようにして、固定具16、16間に架設した上で、箱本体の上面開口2を覆うように天板10を載置して、両ネジ孔18、21でネジ9、9・・を締結することにより、天板10、天板支持部材15、及び固定具16が一体化され、天板10が取り付けられるようにした。すなわち、ネジ9、9・・を緩めることで、天板10のみならず、天板支持部材15についても固定具16、16から取り外されるようにした。したがって、天板10及び天板支持部材15を箱本体から取り外すことで、箱本体の上面に、天板支持部材15により仕切られることのない広い開口2を確保することができるため、その上面開口2を介して電気機器を搬入することができ、使い勝手が良い。
【0016】
また、広い上面開口2を確保可能とする代わりに天板支持部材15を設けないわけではなく、天板10の取り付け時には、補強部材19を有する天板支持部材15が固定されるようになっているため、箱体1の強度も十分に保つことができる。
【0017】
なお、本発明に係る電気機器収納用箱体は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、箱体の全体的な構成は勿論、固定具や天板支持部材の構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0018】
たとえば、上記実施形態では、上枠に1つの天板支持部材を着脱自在に設けるとしているが、箱本体の大きさによっては複数の天板支持部材を着脱自在に設けても何ら問題はない。
また、天板支持部材の前後両端のみならず、他の箇所(たとえば天板支持部材の前後方向での中央部分等)においても、天板と天板支持部材とをネジ止めするように構成してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1・・電気機器収納用箱体、2・・上面開口、3・・側面、4・・前面、5・・背面、9・・ネジ、10・・天板、11・・上枠、12・・側辺部材、13・・前辺部材、14・・後辺部材、15・・天板支持部材、16・・固定具、17・・切り欠き、18、21・・ネジ孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7