(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】血圧測定装置用カフの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
A61B5/022 300C
(21)【出願番号】P 2018246134
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】佐野 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 貴之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 実
(72)【発明者】
【氏名】有馬 悠一郎
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-174860(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146968(WO,A1)
【文献】米国特許第9155477(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚のシート部材で形成される袋状構造体を六層有し、一つの前記袋状構造体を含む第1外層
と、前記第1外層に積層された二層の前記袋状構造体により構成される第1中間層と、前記第1中間層に積層された二層の前記袋状構造体により構成される第2中間層と、前記第2中間層に積層された一つの前記袋状構造体により構成される第2外層と、を含む血圧測定装置用カフの製造方法であって、
前記第1外層の前記第1中間層と対向する前記シート部材及び前記第1中間層の前記第1外層と対向する前記袋状構造体の前記第1外層と対向する前記シート部材同士、前記第1中間層の前記第2中間層と対向する前記袋状構造体の前記第2中間層と対向する前記シート部材及び前記第2中間層の前記第1中間層と対向する前記袋状構造体の前記第1中間層と対向する前記シート部材同士、並びに、前記第2中間層の前記第2外層と対向する前記袋状構造体の前記第2外層と対向する前記シート部材及び前記第2外層の前記第2中間層と対向する前記シート部材同士を、それぞれ前記袋状構造体の外周縁形状よりも内側でブリッジ溶着し、
前記第1外層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第1中間層の前記シート部材及び前記第2中間層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第1中間層の前記シート部材の間、並びに、前記第1中間層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第2中間層の前記シート部材及び前記第2外層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第2中間層の前記シート部材の間のそれぞれに、ブリッジ溶着していない前記シート部材を二枚配置し、
前記第1中間層を構成する4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する4枚の前記シート部材を、それぞれ前記袋状構造体の外周縁形状で溶着する、
血圧測定装置用カフの製造方法。
【請求項2】
前記ブリッジ溶着した前記第1中間層の前記シート部材及び前記第2中間層の前記シート部材の間に、平板状の中間電極を配置し、
下金型及び上金型の間に前記第1外層、前記第1中間層、前記第2中間層及び前記第2外層を構成する前記ブリッジ溶着した前記シート部材及びブリッジ溶着していない前記シート部材を配置し、
前記第1中間層を構成する4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する4枚の前記シート部材を前記下金型、前記中間電極及び前記上金型により溶着する、請求項1に記載の血圧測定装置用カフの製造方法。
【請求項3】
前記第1中間層を構成する4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する4枚の前記シート部材を同時に溶着する、請求項2に記載の血圧測定装置用カフの製造方法。
【請求項4】
前記ブリッジ溶着された前記第1外層の前記シート部材に前記シート部材を配置し、
この配置された二枚の前記シート部材を前記袋状構造体の外周縁形状で溶着して前記第1外層を形成し、
前記ブリッジ溶着された前記第2外層の前記シート部材に前記シート部材を配置し、
この配置された二枚の前記シート部材を前記袋状構造体の外周縁形状で溶着して前記第2外層を形成し、
前記第1外層及び前記第2外層を形成後に、前記下金型、前記中間電極及び前記上金型により、前記第1中間層を構成する前記4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する前記4枚の前記シート部材を溶着する、請求項2に記載の血圧測定装置用カフの製造方法。
【請求項5】
袋状構造体を構成するシート部材を二枚配置し、
二組の前記二枚のシート部材を前記袋状構造体の外周縁形状よりも内側でそれぞれブリッジ溶着し、
前記二組の前記ブリッジ溶着した前記二枚のシート部材間にブリッジ溶着していない前記シート部材を二枚配置し、
前記ブリッジ溶着した前記二組の前記二枚のシート部材うち前記二組の前記ブリッジ溶着した前記二枚のシート部材の間に配置した二枚の前記シート部材と対向する2枚の前記シート部材、及び、前記二組の前記ブリッジ溶着した前記二枚のシート部材間に配置された2枚の前記シート部材を、前記袋状構造体の外周縁形状で溶着する、血圧測定装置用カフの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定装置に用いられるカフの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療設備においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。このような血圧測定装置に用いられるカフとして、三層の袋状構造体を有する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上述した血圧測定装置は、手首に装着するウェアラブルデバイスも考えられており、さらなる小型化が求められている。また、血圧測定装置の小型化のために、カフの小型化としても好適な血圧測定精度を得るために、カフのさらなる多層化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カフの層が増えると、カフを膨張させたときにカフの積層方向に対して直交する方向が膨張する、所謂横膨れがカフに生じ、カフが手首を好適に押圧できない虞がある。また、二枚のシート部材によって袋状構造体が形成されることから、層が増える毎に袋状構造体同士を溶着する工程が必要となり、製造工程が増える、という問題がある。
【0006】
そこで本発明は、横膨れを防止できるとともに、製造工程を低減可能な複数の袋状構造体を有する血圧測定装置用カフの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、二枚のシート部材で形成される袋状構造体を六層有し、一つの前記袋状構造体を含む第1外層と、前記第1外層に積層された二層の前記袋状構造体により構成される第1中間層と、前記第1中間層に積層された二層の前記袋状構造体により構成される第2中間層と、前記第2中間層に積層された一つの前記袋状構造体により構成される第2外層と、を含む血圧測定装置用カフの製造方法であって、前記第1外層の前記第1中間層と対向する前記シート部材及び前記第1中間層の前記第1外層と対向する前記袋状構造体の前記第1外層と対向する前記シート部材同士、前記第1中間層の前記第2中間層と対向する前記袋状構造体の前記第2中間層と対向する前記シート部材及び前記第2中間層の前記第1中間層と対向する前記袋状構造体の前記第1中間層と対向する前記シート部材同士、並びに、前記第2中間層の前記第2外層と対向する前記袋状構造体の前記第2外層と対向する前記シート部材及び前記第2外層の前記第2中間層と対向する前記シート部材同士を、それぞれ前記袋状構造体の外周縁形状よりも内側でブリッジ溶着し、前記第1外層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第1中間層の前記シート部材及び前記第2中間層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第1中間層の前記シート部材の間、並びに、前記第1中間層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第2中間層の前記シート部材及び前記第2外層の前記シート部材と前記ブリッジ溶着した前記第2中間層の前記シート部材の間のそれぞれに、ブリッジ溶着していない前記シート部材を二枚配置し、前記第1中間層を構成する4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する4枚の前記シート部材を、それぞれ前記袋状構造体の外周縁形状で溶着する、血圧測定装置用カフの製造方法が提供される。
【0008】
ここで、流体とは、液体及び空気を含む。カフとは、血圧を測定するときに生体の手首等に巻き付けられ、流体が供給されることで膨張する一つ又は多層の袋状構造体を含む。袋状構造体とは、流体により膨張するものであり、流体が空気である場合には空気袋である。
【0009】
第1外層は、六層の袋状構造体の積層方向で一方の端部側の第一層である。また、第1中間層は、第一層の袋状構造体に積層される第二層及び第三層の袋状構造体であり、そして、第2中間層は、第三層の袋状構造体に接続される第四層及び第五層の袋状構造体である。第2外層は、六層の袋状構造体の積層方向で他方の端部側の第六層である。
【0010】
また、ブリッジ溶着とは、隣り合う袋状構造体を接合するための溶着であり、袋状構造体の外周縁の溶着部よりも内側でシート部材同士が溶着される。
【0011】
この態様によれば、六層の袋状構造体を有するカフを製造する場合において、第1中間層である第二層及び第三層の袋状構造体、並びに、第2中間層である第四層及び第五層の袋状構造体をそれぞれ4枚のシート部材をまとめて溶着することで形成するため、溶着の工程を低減することが可能となる。
【0012】
また、第一層及び第二層の対向するシート部材同士、第三層及び第四層の対向するシート部材同士、及び、第五層及び第六層の対向するシート部材同士を予めブリッジ溶着する。このため、形成した袋状構造体同士を溶着する必要がなく、容易に袋状構造体を形成することができる。また、隣り合う袋状構造体のシート部材同士を溶着するブリッジ溶着は、積層方向で三箇所を溶着するだけで良く、袋状構造体同士の溶着の工程を低減することができる。
【0013】
このように、血圧測定装置用カフの製造方法は、製造工程を低減できるとともに、容易に製造することが可能となる。また、第二層及び第三層、並びに、第四層及び第五層の袋状構造体がカフの外周縁の溶着部によって一体に構成されることから、六層の袋状構造体を設けたとしても、カフの外周縁の溶着部は4箇所となる。即ち、六層の袋状構造体を有しても、二つの外層及び二つの中間層により構成された四層構造のカフとなる。このため、第二層及び第三層の袋状構造体、並びに、第四層及び第五層の袋状構造体は、積層方向に対して直交する方向の変形が抑制されることから、カフを血圧測定装置に設け、血圧測定装置を手首に装着させて膨張したときに、カフに横膨れが生じることを防止できる。
【0014】
上記一態様の血圧測定装置用カフの製造方法において、前記ブリッジ溶着した前記第1中間層の前記シート部材及び前記第2中間層の前記シート部材の間に、平板状の中間電極を配置し、下金型及び上金型の間に前記第1外層、前記第1中間層、前記第2中間層及び前記第2外層を構成する前記ブリッジ溶着した前記シート部材及びブリッジ溶着していない前記シート部材を配置し、前記第1中間層を構成する4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する4枚の前記シート部材を前記下金型、前記中間電極及び前記上金型により溶着する血圧測定装置用カフの製造方法が提供される。
【0015】
この態様によれば、中間電極を第三層の袋状構造体及び第四層の袋状構造体のシート部材間に配置することから、第二層及び第三層の袋状構造体を構成する4枚のシート部材、並びに、第四層及び第五層の袋状構造体を構成する4枚のシート部材を、それぞれ溶着することができる。このため、カフの製造方法は、製造が容易となるとともに、溶着のための電極は、下金型、上金型及び中間電極を用いれば良く、製造装置の構成も簡素とすることができる。
【0016】
上記一態様の血圧測定装置用カフの製造方法において、前記第1中間層を構成する4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する4枚の前記シート部材を同時に溶着する血圧測定装置用カフの製造方法が提供される。
【0017】
この態様によれば、第1中間層及び第2中間層を同時に溶着することで、製造工程を低減することができる。
【0018】
上記一態様の血圧測定装置用カフの製造方法において、前記ブリッジ溶着された前記第1外層の前記シート部材に前記シート部材を配置し、この配置された二枚の前記シート部材を前記袋状構造体の外周縁形状で溶着して前記第1外層を形成し、前記ブリッジ溶着された前記第2外層の前記シート部材に前記シート部材を配置し、この配置された二枚の前記シート部材を前記袋状構造体の外周縁形状で溶着して前記第2外層を形成し、前記第1外層及び前記第2外層を形成後に、前記下金型、前記中間電極及び前記上金型により、前記第1中間層を構成する前記4枚の前記シート部材、及び、前記第2中間層を構成する前記4枚の前記シート部材を溶着する血圧測定装置用カフの製造方法が提供される。
【0019】
この態様によれば、予め第1外層及び第2外層を形成することで、第1中間層及び第2中間層を形成した後に第1外層及び第2外層を形成する場合よりも、下金型、上金型及び中間電極で袋状構造体の外周縁を溶着するとき、各金型から逃がす作業が容易となる。
【0020】
上記一態様の血圧測定装置用カフの製造方法において、袋状構造体を構成するシート部材を二枚配置し、二組の前記二枚のシート部材を前記袋状構造体の外周縁形状よりも内側でそれぞれブリッジ溶着し、前記二組の前記ブリッジ溶着した前記二枚のシート部材間にブリッジ溶着していない前記シート部材を二枚配置し、前記ブリッジ溶着した前記二組の前記二枚のシート部材うち前記二組の前記ブリッジ溶着した前記二枚のシート部材の間に配置した二枚の前記シート部材と対向する2枚の前記シート部材、及び、前記二組の前記ブリッジ溶着した前記二枚のシート部材間に配置された2枚の前記シート部材を、前記袋状構造体の外周縁形状で溶着する、血圧測定装置用カフの製造方法が提供される。
【0021】
この態様によれば、隣り合う二つの袋状構造体を4枚のシート部材を一体に溶着することで形成できることから、溶着の工程を低減することができるとともに、隣り合う二つの袋状構造体を積層方向に対して直交する方向の変形が抑制されることから、カフを血圧測定装置に設け、手首に装着させて膨張したときに、カフに横膨れが生じることを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、横膨れを防止できるとともに、製造工程を低減可能な血圧測定装置用カフの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【
図2】同血圧測定装置の構成を分解して示す斜視図。
【
図4】同血圧測定装置を手首に装着した状態を示す説明図。
【
図7】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を分解して示す斜視図。
【
図8】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図9】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図10】同血圧測定装置の引張カフの構成を示す断面図。
【
図11】同血圧測定装置の引張カフの構成を示す断面図。
【
図12】同血圧測定装置のカーラの構成を示す斜視図。
【
図13】同血圧測定装置のカフ構造体の構成を示す平面図。
【
図15】同血圧測定装置の押圧カフの構成を示す平面図。
【
図17】同血圧測定装置のセンシングカフの構成を示す平面図。
【
図19】同血圧測定装置の引張カフの構成を示す平面図。
【
図20】同血圧測定装置の引張カフの構成を示す断面図。
【
図21】センシングカフの製造方法の一例を示す流れ図。
【
図28】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図29】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図30】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図31】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図32】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図33】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図34】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図35】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図36】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図37】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図38】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図39】引張カフの製造方法の一工程の例を示す説明図。
【
図40】同血圧測定装置の製造方法の一例を示す流れ図。
【
図41】同血圧測定装置の使用の一例を示す流れ図。
【
図42】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
【
図43】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
【
図44】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
【
図45】同血圧測定装置が手首に取り付けられた状態を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、
図1乃至
図20を用いて以下例示する。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。
図2は、血圧測定装置1の構成を分解して示す斜視図である。
図3は、血圧測定装置1の構成を示す側面図である。
図4は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態を示す説明図である。
図5は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。
図6は、血圧測定装置1の一部の構成を省略して示す斜視図である。
図7は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成
を分解して示す斜視図である。
図8は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成を示す断面図である。
図9は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成を示す断面図である。
図10は、血圧測定装置1の引張カフ74の構成を示す断面図である。
図11は、血圧測定装置1の引張カフ74の構成を示す断面図である。
図12は、血圧測定装置1のカーラ5の構成を示す斜視図である。
図13は、血圧測定装置1のカフ構造体6の手首200側の構成示す平面図である。
図14は、カフ構造体6のカーラ5の内周面側の構成を示す平面図である。
【0026】
図15は、血圧測定装置1の押圧カフ71の構成を示す平面図である。
図16は、押圧カフ71の構成を
図15中XVI-XVI線断面で示す断面図である。
図17は、血圧測定装置1のセンシングカフ73の構成を示す平面図である。
図18は、血圧測定装置1のセンシングカフ73の構成を
図17中XVIII-XVIII線断面で示す断面図である。
図19は、血圧測定装置1の引張カフ74の構成を示す平面図である。
図20は、引張カフ74の構成を示す断面図である。
【0027】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態においては、生体の手首200に装着するウェアラブルデバイスの態様をもつ電子血圧測定装置を用いて説明する。
【0028】
図1乃至
図6に示すように、血圧測定装置1は、装置本体3と、手首に装置本体3を固定するベルト4と、ベルト4及び手首の間に配置されるカーラ5と、押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74を有するカフ構造体6と、装置本体3及びカフ構造体6を流体的に接続する流体回路7と、カーラ5に設けられた給電部8と、を備えている。
【0029】
図1乃至
図6に示すように、装置本体3は、例えば、ケース11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、流路部15と、開閉弁16と、圧力センサ17と、電力供給部18と、振動モータ19と、制御基板20と、を備えている。装置本体3は、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17及び制御基板20等によって、カフ構造体6に流体を供給する。
【0030】
図1乃至
図3に示すように、ケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の手首200側とは反対側(外方側)の開口を覆う風防32と、外郭ケース31の内部の手首200側に設けられた基部33と、外郭ケース31の手首200側を覆う裏カバー35と、裏カバー35の下面に設けられるシール部材36と、を備えている。
【0031】
外郭ケース31は、円筒状に形成される。外郭ケース31は、外周面の周方向で対称位置にそれぞれ設けられた一対のラグ31aと、2つの一対のラグ31a間にそれぞれ設けられるバネ棒31bと、を備えている。風防32は、例えば、円形状のガラス板である。
【0032】
基部33は、表示部12、操作部13、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17、電力供給部18、振動モータ19及び制御基板20を保持する。また、基部33は、例えば、ポンプ14及びカフ構造体6を流体的に連続する流路部15の一部を構成する。
【0033】
裏カバー35は、中央側が開口する環状に構成される。裏カバー35は、外郭ケース31の手首200側の端部の外周縁側を覆う。このような裏カバー35は、カーラ5と一体に組み合わされることで、中央の開口がカーラ5により覆われ、そしてカーラ5とともに外郭ケース31の手首200側の端部を覆う裏蓋を構成する。具体的には、裏カバー35は、4つの第1締結部材35aによってカーラ5に固定されるとともに、4つの第2締結部材35bによって外郭ケース31の手首200側の端部に固定される。裏カバー35は、底部に設けられ、カーラ5に固定される第1締結部材35aを挿通する4つの孔部35cと、外周部の4箇所が径方向に突出し、この突出した部位に設けられた外郭ケース31に固定される第2締結部材35bを挿通する4つの孔部35dと、を有する。
【0034】
第1締結部材35a及び第2締結部材35bは、螺子、ボルト、ビス、リベット等の二つの部品を機械的に締結する部材である。本実施形態において、第1締結部材35a及び第2締結部材35bは、ネジである。
【0035】
シール部材36は、裏カバー35のカーラ5と接触する領域の形状に形成された、例えば両面テープである。シール部材36は、カーラ5及び裏カバー35の間に存することで、カーラ5及び裏カバー35間をシールする。
【0036】
表示部12は、外郭ケース31の基部33上であって、且つ、風防32の直下に配置される。
図5に示すように、表示部12は、電気的に制御基板20に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0037】
操作部13は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部13は、
図1及び
図5に示すように、ケース11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサ42と、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備える。操作部13は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ42及びタッチパネル43は、電気的に制御基板20に接続され、電気信号を制御基板20へ出力する。
【0038】
複数の釦41は、例えば3つ設けられる。釦41は、基部33に支持されるとともに、外郭ケース31の外周面から突出する。複数の釦41及び複数のセンサ42は、基部33に支持される。タッチパネル43は、例えば、風防32に一体に設けられる。
【0039】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、空気を圧縮し、流路部15を介して圧縮空気をカフ構造体6に供給する。ポンプ14は、電気的に制御基板20に接続される。
【0040】
流路部15は、
図5に示すように、ポンプ14から押圧カフ71及び引張カフ74へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路を構成する。また、流路部15は、押圧カフ71及び引張カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を構成する。流路部15は、基部33等に設けられた中空部、溝、流路タンク及びチューブ等により構成された空気の流路である。
【0041】
開閉弁16は、流路部15の一部を開閉する。開閉弁16は、複数、具体例として、
図5に示すように、4つ設けられ、各開閉弁16の開閉の組み合わせによりポンプ14から押圧カフ71及び引張カフ74へつながる流路、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路、押圧カフ71及び引張カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を選択的に開閉する。具体例として、4つの開閉弁16は、第1開閉弁16A、第2開閉弁16B、第3開閉弁16C及び第4開閉弁16Dにより構成される。第1開閉弁16Aは、ポンプ14とセンシングカフ73とを接続する流路を開閉する。第2開閉弁16Bは、ポンプ14と引張カフ74とを接続する流路を開閉する。第2開閉弁16B及び第3開閉弁16Cは、ポンプ14と押圧カフ71とを接続する流路を開閉する。第2開閉弁16B、第3開閉弁16C及び第4開閉弁16Dは、ポンプ14及び大気を接続する流路を開閉する。
【0042】
圧力センサ17は、少なくともセンシングカフ73の圧力を検出する。圧力センサ17は、例えば、第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bを備える。圧力センサ17は、検出した圧力を電気信号に変換し、制御基板20へ出力する。例えば、第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bは、流路部15の第1開閉弁16A及びセンシングカフ73を接続する流路に設けられる。この流路は押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74とポンプ14とが、各開閉弁の開閉によって連続することから、これら流路内の圧力がポンプ14のつながる押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74の内部空間の圧力となる。
【0043】
具体例として圧力センサ17は、第1開閉弁16Aが開であり、そして、第2開閉弁16Bが閉であるときにセンシングカフ73の圧力、換言すると、ポンプ14及びセンシングカフ73を接続する流路部15の圧力を検出する。また、圧力センサ17は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが開であり、そして、第3開閉弁16Cが閉であるときに、センシングカフ73及び引張カフ74の圧力、換言すると、ポンプ14、センシングカフ73及び引張カフ74を接続する流路部15の圧力を検出する。さらに、圧力センサ17は、第1開閉弁16A、第2開閉弁16B及び第3開閉弁16Cが開であり、そして、第4開閉弁16Dが開又は閉であるときに、押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74の圧力、換言すると、ポンプ14、押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74を接続する流路部15の圧力を検出する。
【0044】
電力供給部18は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電力供給部18は、
図5に示すように、制御基板20に電気的に接続される。電力供給部18は、制御基板20に電力を供給する。
【0045】
図5に示すように、制御基板20は、例えば、基板51と、加速度センサ52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55と、を備えている。制御基板20は、加速度センサ52、通信部53、記憶部54及び制御部55が基板51に実装されることで構成される。
【0046】
基板51は、ケース11の基部33にビス等によって固定される。
【0047】
加速度センサ52は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ52は、装置本体3の互いに直交する3方向の加速度を表す加速度信号を制御部55に出力する。例えば、加速度センサ52は、検出された加速度から血圧測定装置1を装着した生体の活動量を測定するために用いられる。
【0048】
通信部53は、外部の装置と無線又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部53は、例えば、制御部55によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信し、また、外部の装置からネットワークを介してソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。
【0049】
本実施形態において、ネットワークは、例えばインターネットであるが、これに限定されず、病院内に設けられたLAN(Local Area Network)等のネットワークであってもよく、また、USB等の所定の規格の端子を有するケーブルなどを用いた外部の装置との直接的な通信であってもよい。このため、通信部53は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数を含む構成であってもよい。
【0050】
記憶部54は、血圧測定装置1全体及び流体回路7を制御するためのプログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で測定された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を予め記憶する。また、記憶部54は、測定された血圧値や脈拍等の情報を記憶する。
【0051】
制御部55は、単数又は複数のCPUにより構成され、血圧測定装置1全体の動作、及び、流体回路7の動作を制御する。制御部55は、表示部12、操作部13、ポンプ14、各開閉弁16及び各圧力センサ17に電気的に接続されるとともに、電力を供給する。また、制御部55は、操作部13及び圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、表示部12、ポンプ14及び開閉弁16の動作を制御する。
【0052】
例えば、制御部55は、
図5に示すように、血圧測定装置1全体の動作を制御するメインCPU(Central Processing Unit)56及び流体回路7の動作を制御するサブCPU57を有する。例えば、メインCPU56は、圧力センサ17が出力する電気信号から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を表示部12へ出力する。
【0053】
例えば、サブCPU57は、操作部13から血圧を測定する指令が入力されると、ポンプ14及び開閉弁16を駆動して押圧カフ71及びセンシングカフ73に圧縮空気を送る。また、サブCPU57は、圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、ポンプ14の駆動及び停止、並びに、開閉弁16の開閉を制御する。サブCPU57は、ポンプ14及び開閉弁16を制御することで、圧縮空気を押圧カフ71及びセンシングカフ73に選択的に送るとともに、押圧カフ71及びセンシングカフ73を選択的に減圧する。
【0054】
図1乃至
図4に示すように、ベルト4は、一方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第1ベルト61と、他方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第2ベルト62と、を備える。ベルト4は、カーラ5を介して手首200に巻き付けられる。
【0055】
第1ベルト61は、所謂親と呼ばれ、第2ベルト62と連結可能な帯状に構成される。第1ベルト61は、
図1乃至
図3に示すように、ベルト部61a及び尾錠61bを有する。ベルト部61aは、帯状に構成される。ベルト部61aは、弾性変形可能な樹脂材料で形成される。また、ベルト部61aは、可撓性を有するとともに、ベルト部61aの長手方向の伸縮が抑制されるシート状のインサート部材を内部に有する。ベルト部61aは、一方の端部に形成され、ベルト部61aの長手方向に直交する第1孔部61c及び他方の端部に形成され、第1ベルト61の長手方向に直交する第2孔部61dを有する。
【0056】
図4及び
図6に示すように、第1孔部61cは、ベルト部61aの端部に設けられる。第1孔部61cは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第1ベルト61が回転可能な内径を有する。即ち、第1ベルト61は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第1孔部61cが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0057】
図1及び
図3に示すように、第2孔部61dは、ベルト部61aの先端に設けられる。第2孔部61dは、尾錠61bが取り付けられる。
【0058】
図1及び
図3に示すように、尾錠61bは、矩形枠状の枠状体61eと、枠状体61eに回転可能に取り付けられたつく棒61fと、を有する。枠状体61eは、つく棒61fが取り付けられた一辺が第2孔部61dに挿入され、ベルト部61aに関して回転可能に取り付けられる。
【0059】
第2ベルト62は、所謂剣先と呼ばれ、枠状体61eに挿入可能な幅を有する帯状に構成される。第2ベルト62は、弾性変形可能な樹脂材料で形成される。また、第2ベルト62は、可撓性を有するとともに、第2ベルト62の長手方向の伸縮が抑制されるシート状のインサート部材を内部に有する。
【0060】
また、第2ベルト62は、
図1及び
図2に示すように、つく棒61fが挿入される小孔62aを複数有する。また、第2ベルト62は、一方の端部に設けられ、第2ベルト62の長手方向に直交する第3孔部62bを有する。第3孔部62bは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第2ベルト62が回転可能な内径を有する。即ち、第2ベルト62は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第3孔部62bが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0061】
このようなベルト4は、第2ベルト62が枠状体61eに挿入され、小孔62aにつく棒61fが挿入されることで、第1ベルト61及び第2ベルト62が一体に接続され、外郭ケース31とともに、手首200の周方向に倣った環状となる。ベルト4は、手首200の周方向に倣った環状となることで、カーラ5を押圧し、カーラ5を血圧測定装置1の装着者の手首の周方向に倣うように、弾性変形させる。
【0062】
カーラ5は、
図1乃至
図4に示すように、手首200の周方向に倣って湾曲する帯状に構成される。カーラ5は、一端と他端が離間して形成される。カーラ5は、例えば、一端側の外面が装置本体3の裏カバー35に固定される。カーラ5は、一端及び他端が裏カバー35よりも手首200の一方の側方側に突出した位置に配置される。これにより、カーラ5は、血圧測定装置1を手首200に装着したときに、一端及び他端が手首200の側方に配置される。また、カーラ5は、所定の距離だけ離間して一端及び他端が隣接する。カーラ5は、例えば、樹脂材料で形成される。具体例として、カーラ5は、ポリプロピレンによって厚さが1mm程度に形成される。
【0063】
具体例として、
図1乃至
図4に示すように、カーラ5は、手首の周方向に倣って湾曲する帯状に構成される。また、カーラ5は、一端側の手首200の手の甲側に対向する位置に設けられ、裏カバー35とともに裏蓋を構成する円板状のカバー部5a、カバー部5aの周囲に設けられ、及び、外郭ケース31及び裏カバー35を固定する第2締結部材35bを移動可能な逃げ部5bを有する。カーラ5は、例えば、カバー部5a及びその隣接する部位が平板状に形成されるとともに、カバー部5aよりも一端側及び他端側が所定の曲率で湾曲して形成される。そして、カーラ5は、カバー部5aから一端までの長さが、カバー部5aから他端までの長さよりも短く形成される。具体例として、カーラ5は、カバー部5aから一端までの短手側が、手首の手の甲側に配置され、そして、カバー部5aから他端までの長手側が、手首の手の甲側から一方の側方を通って手首200の手の平側まで延びる。
【0064】
また、
図12に示すように、カーラ5は、一端及び他端が近接したときに、一端側の内周面側に他端が位置する形状に形成される。具体例として、カーラ5の手首200の幅方向の幅は、カーラ5の手首200の手の平側よりもカーラ5の手首200の手の甲側が大きく設定される。そして、カーラ5は、手首200の手の甲側の一端の曲率半径が手首200の手の平側の他端の曲率半径よりも大きく設定される。このような構成により、カーラ5は、カーラ5の両端側が当接すると、一端よりも他端がカーラ5の内方に配置される。また、カーラ5は、カバー部5aの一部、及び、カバー部5aから一端側の外面、さらに言えば、カバー部5aから延びる短手側の外面に、カバー部5aに隣接して設けられた窪み5cが設けられる。
【0065】
カバー部5aは、インサートされた補強用のインサート部材5dを含む。カバー部5aは、固定された裏カバー35を介して外郭ケース31の手首200側に固定される。カバー部5aは、裏カバー35の4つの孔部35cと対向する位置に設けられ、裏カバー35を固定する第1締結部材35aが螺合される螺子孔5e、及び、カバー部5aは、カフ構造体6を装置本体3に接続するための3つ孔部5fを有する。
【0066】
逃げ部5bは、裏カバー35側から外郭ケース31に裏カバー35を第2締結部材35bにより固定するときに、第2締結部材35bがカーラ5に干渉せずに第2締結部材35bを裏カバー35に配置するため及び第2締結部材35bを回転させる工具を配置するための逃げである。
【0067】
3つの孔部5fは、押圧カフ71の後述する接続部84を挿入可能な内径に形成された第1孔部5f1、センシングカフ73の後述する接続部93を挿入可能な内径に形成された第2孔部5f2、及び、引張カフ74の後述する接続部103を挿入可能な内径に形成された第3孔部5f3である。本実施形態において、第2孔部5f2は、第1孔部5f1及び第3孔部5f3よりも、カバー部5a内のカーラ5の手の平側の他端側に配置される。
【0068】
このようなカーラ5は、一端及び他端がベルト4の第2ベルト62と対向する向きで外郭ケース31に固定される。また、カーラ5は、少なくとも、手首200の手の平側と対向する位置が、手首200の手の平側に沿って周方向に沿って湾曲することで、手首200の手の平側と対向するカフ構造体6を、手首200の手の平側の形状に倣って湾曲させた状態で保持する。
【0069】
また、カーラ5は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ5にベルト4の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。例えば、可撓性とは、ベルト4によってカーラ5が押圧されたときに、手首に近接するか、手首の形状に沿うか、又は、手首の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ5が予め賦形された形状を維持できることをいう。例えば、形状保持性とは、本実施形態においてはカーラ5の形状が手首の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。
【0070】
カーラ5は、内周面にカフ構造体6が配置され、そして、カーラ5の内周面形状に沿ってカフ構造体6を保持する。具体例として、カーラ5は、押圧カフ71及び引張カフ74が内周面に配置され、カーラ5並びに押圧カフ71及び引張カフ74との間に設けられる接合層75により、カフ構造体6が固定されることで、カフ構造体6を保持する。本実施形態においては、接合層75は、接着剤や両面テープである。
【0071】
図1乃至
図6、
図13及び
図14に示すように、カフ構造体6は、押圧カフ71と、背板72と、センシングカフ73と、引張カフ74と、を備えている。また、カフ構造体6は、各構成同士、及び、カーラ5とカフ71、74を接合する接合層75を備えている。カフ構造体6は、カーラ5に固定される。カフ構造体6は、押圧カフ71、背板72及びセンシングカフ73が積層してカーラ5に配置され、引張カフ74が押圧カフ71、背板72及びセンシングカフ73と離間してカーラ5に配置される。
【0072】
具体例として、カフ構造体6は、
図4に示すように、カーラ5の手首200の手の平側の内周面に、カーラ5の内周面から手首200側に向かって、押圧カフ71、背板72及びセンシングカフ73の順に積層して固定される。また、カフ構造体6は、カーラ5の手首200の手の甲側の内周面に引張カフ74が配置される。カフ構造体6の各部材は、積層方向に隣接する部材に接合層75によって固定される。
【0073】
押圧カフ71は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。押圧カフ71は、膨張することで背板72及びセンシングカフ73を手首200側に押圧する。押圧カフ71は、
図8、
図9、
図13乃至
図17に示すように、複数の、例えば二層の空気袋81と、カーラ5と対向する空気袋81に設けられた被接合部82と、空気袋81と連通する流路体(第1流路体)83と、流路体83の先端に設けられた接続部(第1接続部)84と、を含む。このような押圧カフ71は、複数のシート部材86を一体に溶着することで構成される。
【0074】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。複数の空気袋81は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0075】
空気袋81は、一方向に長い矩形状の袋形状に形成される。また、空気袋81は、短手方向の幅が、カーラ5の短手方向の幅と同じ幅に設定される。空気袋81は、例えば、二枚のシート部材86を組み合わせ、
図8、
図9、
図13乃至
図17に
示すように、溶着部81a
を一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。また、二層の空気袋81は、二つの空気袋81を熱により溶着して一体に組み合わせるか、又は、隣り合う空気袋81の対向するシート部材86同士を溶着したあとに空気袋81を溶着して形成することで構成される。具体例として、二層の空気袋81は、互いに対向するシート部材86に設けられた開口によって流体的に連続する。また、二層の空気袋81は、対向するシート部材86同士を外周縁に位置する溶着部81aよりも小さい四辺枠状にブリッジ溶着し、このブリッジ溶着部(接合部)81bで複数の開口を囲うことで、隣り合う空気袋81を一体に形成し、そして、ブリッジ溶着部81bの内側で流体的に連続させる。ここで、ブリッジ溶着及びブリッジ溶着部のブリッジとは、隣り合う空気袋81を一体に接合することを意味する。
【0076】
被接合部82は、カーラ5と隣接して配置される空気袋81の縁部の少なくとも一部に、単数又は複数設けられる。被接合部82は、空気袋81を構成するシート部材86の一部によって形成される。
【0077】
本実施形態においては、被接合部82は、
図7乃至
図9、
図13乃至
図15に示すように、空気袋81の短手方向の縁部のそれぞれに一つずつ設けられる例を用いて説明する。なお、例えば、被接合部82は、スリットにより空気袋81の長手方向に分割されていてもよく、また、空気袋81の長手方向に複数設けられていてもよい。被接合部82は、押圧カフ71がカーラ5の内周面に配置されたときに、少なくとも、カーラ5の外周面に接合される。また、例えば、二つの被接合部82は、積層され、そして溶着される。
【0078】
なお、二つの被接合部82は、例えば、空気袋81の短手方向の長さが異なる長さに設定される。この例においては、二つの被接合部82は、カーラ5の短手方向の一端側において積層されて溶着される。なお、二つの被接合部82は、先端がカーラ5の外周面に配置可能であれば、その長さは適宜設定可能であり、積層可能であってもなくてもよいが、積層可能な長さに設定される場合には、先端がカーラ5の外周面の外縁よりも外方に延設されない長さが好ましい。
【0079】
流路体83は、
図7、
図13乃至
図17に示すように、一つの空気袋81、例えば、カーラ5に隣接する空気袋81の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。具体例として、流路体83は、空気袋81の装置本体3に近い端部に設けられる。また、流路体83は、空気袋81の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成され、先端が円形状に形成される。流路体83は、先端に接続部84を有する。流路体83は、接続部84を介して流路部15に接続され、装置本体3の流路部15と空気袋81との間の流路を構成する。
【0080】
流路体83は、二枚のシート部材86に接続部84を配置した状態で、シート部材86の空気袋81を構成する領域に隣接するシート部材86の一部を一方向に長い枠状に熱により溶着することで構成される。このような流路体83は、カーラ5の内周面及び引張カフ74の間に配置され、先端がカーラ5のカバー部5aが設けられた領域の手首200側の主面であって、且つ、第1孔部5f1と対向する位置に配置される。
【0081】
なお、流路体83が設けられる空気袋81は、二枚のシート部材86を矩形枠状に溶着する溶着部81aの一部を非溶着とし、流路体83を構成する溶着部83aと連続する構成とすることで、空気袋81が流路体83に流体的に連続する。
【0082】
接続部84は、例えばニップルである。接続部84は、流路体83の先端に設けられる。接続部84の先端は、流路体83を構成する二枚のシート部材86のうち、カーラ5と対向するシート部材86から露出する。接続部84は、カバー部5aの第1孔部5f1に挿通され、流路部15に接続される。
【0083】
具体例として、押圧カフ71は、
図8、
図9及び
図45に示すように、手首200側から、第1シート部材86aと、第1シート部材86aと一層目の空気袋81を構成する第2シート部材86bと、第2シート部材86bと一体に接合されるとともに、被接合部82を構成する第3シート部材86cと、第3シート部材86cと二層目の空気袋81及び流路体83を構成する第4シート部材86dと、を備える。なお、押圧カフ71は、隣り合うシート部材86が熱による溶着により接合されることで一体に構成される。
【0084】
第1シート部材86a及び第2シート部材86bは、空気袋81と同様の矩形状に構成され、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。第2シート部材86b及び第3シート部材86cは、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋81を流体的に連続させる複数の開口86b1、86c1を有する。また、第2シート部材86b及び第3シート部材86cは、複数の開口86b1、86c1の周囲を、空気袋81を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱によりブリッジ溶着されることで、一体に接合される。
【0085】
第3シート部材86cは、例えば、空気袋81、被接合部82及び流路体83を構成可能な形状に構成される。第4シート部材86dは、例えば、空気袋81及び流路体83を構成可能な形状に構成される。また、第4シート部材86dは、例えば、接続部84の先端を挿入可能な孔部86d1を有する。
【0086】
第3シート部材86c及び第4シート部材86dは、対向して配置され、空気袋81及び流路体83が流体的に連続するように、空気袋81及び流路体83の周縁形状に沿って熱により溶着され、所定の形状に裁断されることで空気袋81、被接合部82及び流路体83を構成する。
【0087】
第4シート部材86dの孔部86d1に接続部84が配置され、孔部86d1の周囲が接続部84と熱により溶着される。さらに、第4シート部材86dはカーラ5の内周面に、第3シート部材86cの被接合部82はカーラ5の外周面に、それぞれ接合層75を介して接合される。
【0088】
背板72は、
図8、
図9及び
図45に示すように、接合層75により押圧カフ71の第1シート部材86aの外面に貼付される。背板72は、樹脂材料で板状に形成される。背板72は、例えば、ポリプロピレンからなり、厚さが1mm程度の板状に形成される。背板72は、形状追従性を有する。
【0089】
ここで、形状追従性とは、配置される手首200の被接触箇所の形状を倣うように背板72が変形可能な機能をいい、手首200の被接触箇所とは、背板72が対向する手首200の領域をいう。ここでの接触とは、直接的な接触及びセンシングカフ73を介した間接的な接触の双方を含む。
【0090】
例えば、
図9に示すように、背板72は、その両主面に長手方向に対して直交する方向に延びる複数の溝72aを有する。複数の溝72aは、背板72の厚さ方向においてそれぞれ対向する。また、複数の溝72aは、背板72の長手方向に等間隔に配置される。
【0091】
背板72は、複数の溝72aを有する部位が溝72aを有さない部位に比べて薄肉となることで、複数の溝72aを有する部位が変形しやすいことから、手首200の形状に倣って変形し、手首の周方向に延在する形状追従性を有する。背板72は、手首200の手の平側を覆う長さに形成される。背板72は、手首200の形状に沿った状態で、押圧カフ71からの押圧力をセンシングカフ73の背板72側の主面に伝達する。
【0092】
センシングカフ73は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。センシングカフ73は、背板72の手首200側の主面に固定される。センシングカフ73は、
図4及び
図45に示すように、手首200の動脈210が存する領域に直接接触する。ここで、動脈210とは、橈骨動脈及び尺骨動脈である。センシングカフ73は、背板72の長手方向及び幅方向で、背板72と同一形状か、又は、背板72よりも小さい形状に形成される。センシングカフ73は、膨張することで手首200の手の平側の動脈210が存する領域を圧迫する。センシングカフ73は、膨張した押圧カフ71により、背板72を介して手首200側に押圧される。
【0093】
具体例として、センシングカフ73は、
図8、
図9、
図13、
図14、
図17及び
図18に示すように、一つの空気袋91と、空気袋91と連通する流路体(第2流路体)92と、流路体92の先端に設けられた接続部93と、を含む。センシングカフ73は、空気袋91の一方の主面が背板72に固定される。例えば、センシングカフ73は、背板72の手首200側の主面に接合層75により接合される。このようなセンシングカフ73は、二枚のシート部材96を一体に溶着することで構成される。
【0094】
ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は流体袋等であってもよい。
【0095】
空気袋91は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋91は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材96を組み合わせ、
図8、
図9、
図13、
図14、
図17及び
図18に
示すように、溶着部91a
を一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。また、空気袋91は、例えば、空気袋91を背板72に接合層75を用いて接合するための面積を確保するために、接合代91bを有する。接合代91bは、例えば、背板72に対向するシート部材96により形成される。
【0096】
流路体92は、空気袋91の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。具体例として、流路体92は、空気袋91の装置本体3に近い端部に設けられる。また、流路体92は、空気袋91の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成され、先端が円形状に形成される。流路体92は、先端に接続部93を有する。流路体92は、接続部93を介して流路部15に接続され、装置本体3の流路部15と空気袋91との間の流路を構成する。
【0097】
流路体92は、二枚のシート部材96に接続部93を配置した状態で、シート部材96の空気袋91を構成する領域に隣接するシート部材96の一部を一方向に長い枠状に熱により溶着することで構成される。なお、空気袋91は、二枚のシート部材96を矩形枠状に溶着する溶着部91aの一部を非溶着とし、流路体92を構成する溶着部92aと連続する構成とすることで、空気袋91及び流路体92を流体的に連続する。このような流路体92は、カーラ5の内周面及び引張カフ74の間に配置され、先端がカーラ5のカバー部5aが設けられた領域の手首200側の主面であって、且つ、第2孔部5f2と対向する位置に配置される。
【0098】
接続部93は、例えばニップルである。接続部93は、流路体92の先端に設けられる。また、接続部93の先端は、流路体92を構成する二枚のシート部材96のうち、カーラ5及び背板72と対向するシート部材96から外部に露出する。接続部93は、カバー部5aの第2孔部5f2に挿通され、流路部15に接続される。
【0099】
具体例として、センシングカフ73は、
図8及び
図9に示すように、手首200側から第5シート部材96a及び第6シート部材96bを備える。なお、センシングカフ73は、隣り合うシート部材96が熱による溶着により接合されることで構成される。
【0100】
例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、空気袋91、接合代91b及び流路体92を構成可能な形状に構成される。第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、対向して配置され、空気袋91及び流路体92が流体的に連続するように、空気袋91及び流路体92の周縁形状に沿って熱により溶着され、所定の形状に裁断されることで空気袋91及び流路体92を構成する。
【0101】
また、第6シート部材96bは、例えば、接続部93の先端を挿入可能な孔部96b1を有する。孔部96b1に接続部93が配置され、孔部96b1の周囲が接続部93と熱により溶着される。第6シート部材96bは、背板72の内周面に、接合層75を介して接合される。
【0102】
引張カフ74は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。
図4に示すように、引張カフ74は、膨張することで手首200から離間するようにカーラ5を押圧することで、ベルト4及びカーラ5を手首200の手の甲側に引っ張る。引張カフ74は、
図10、
図11、
図19及び
図20に示すように、複数の、例えば六層の空気袋101と、カーラ5と対向する空気袋101に設けられた被接合部102と、カーラ5と対向する空気袋101に設けられた接続部(第3接続部)103と、少なくともカーラ5と対向する空気袋101に設けられた切欠部104と、を含む。このような引張カフ74は、複数のシート部材106を一体に溶着することで構成される。また、引張カフ74は、流路体83、92が設けられた領域、及び、カバー部5aを含むカーラ5の手首200の手の甲側に固定される。即ち、カーラ5の手首200の手の甲側及び引張カフ74の間に、押圧カフ71の流路体83及びセンシングカフ73の流路体92が配置される。
【0103】
また、引張カフ74は、膨張方向、本実施形態においては、カーラ5及び手首200の対向する方向で、膨張時の厚さが、押圧カフ71の膨張方向における膨張時の厚さ、及び、センシングカフ73の膨張方向における膨張時の厚さよりも厚く構成される。即ち、引張カフ74の空気袋101は、押圧カフ71の空気袋81及びセンシングカフ73の空気袋91よりも多い層構造を有し、カーラ5から手首200に向かって膨張したときの厚さが押圧カフ71及びセンシングカフ73よりも厚い。
【0104】
本実施形態において、六層の空気袋101を含む引張カフ74は、
図10、
図11及び
図20に示すように、一つの空気袋101により構成される第1外層111、第1外層111に熱により溶着して一体に組み合わされた二層の空気袋101により構成される第1中間層112、第1中間層112に熱により溶着して一体に組み合わされた二層の空気袋101により構成される第2中間層113、及び、第2中間層113に熱により溶着して一体に組み合わされた一つの空気袋101により構成される第2外層114を備える。
【0105】
ここで、空気袋101とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。複数の空気袋101は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0106】
空気袋101は、一方向に長い矩形状の袋形状に形成される。また、空気袋101は、短手方向の幅が、カーラ5の短手方向の幅と同じ幅に設定される。空気袋101は、例えば、二枚のシート部材106を組み合わせ、
図10、
図11、
図13、
図14、
図19及び
図20に
示すように、溶着部101a
を一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。六層の空気袋101は、互いに対向するシート部材106に設けられた開口によって流体的に連続する。
【0107】
また、六層の空気袋101は、第1外層111及び第1中間層112、第1中間層112及び第2中間層113、並びに、第2中間層113及び第2外層114がそれぞれ対向するシート部材106同士を外周縁に位置する溶着部81aよりも小さい四辺枠状にブリッジ溶着し、このブリッジ溶着部(接合部)101bで複数の開口を囲うことで、隣り合う空気袋101を一体に形成し、そして、ブリッジ溶着部101bの内側で流体的に連続させる。
【0108】
第1外層111は、手首200側に配置される一つの空気袋101により形成される。第1外層111は、六層の空気袋101のうち、手首200側から第一層の空気袋101を構成する。
【0109】
第1中間層112は、第1外層111に積層される。第1中間層112は、二層の空気袋101により形成される。第1中間層112は、六層の空気袋101のうち、手首200側から第二層及び第三層の空気袋101を構成する。第1中間層112は、二層の空気袋101が外周縁で一体に溶着されることで構成される。換言すると、第1中間層112は、4枚のシート部材106を空気袋101の外周縁形状で一体に溶着することで形成される。
【0110】
第2中間層113は、第1中間層112に積層される。第2中間層113は、二層の空気袋101により形成される。第2中間層113は、六層の空気袋101のうち、手首200側から第四層及び第五層の空気袋101を構成する。第2中間層113は、二層の空気袋101が外周縁で一体に溶着されることで構成される。換言すると、第2中間層113は、4枚のシート部材106を空気袋101の外周縁形状で一体に溶着することで形成される。
【0111】
第2外層114は、カーラ5側に配置される一つの空気袋101により形成される。第2外層114は、六層の空気袋101のうち、手首200側から第六層の空気袋101を構成する。
【0112】
被接合部102は、カーラ5と隣接して配置される空気袋(第六層の空気袋)101の縁部の少なくとも一部に、単数又は複数設けられる。被接合部102は、空気袋101を構成するシート部材106の一部によって形成される。
【0113】
本実施形態においては、被接合部102は、空気袋101の短手方向の縁部のそれぞれに、空気袋101の長手方向で二つずつ設けられる例を用いて説明する。なお、例えば、被接合部102は、カーラ5のカバー部5aと対向する位置を避けて空気袋101に設けられる。また、例えば、被接合部102は、カーラ5に設けられた給電部8の後述する給電端子8bと対向する部位に、給電端子8bを外部に露出させるための逃げ部102aを有する。逃げ部102aは、例えば、給電端子8bを外部に露出可能な開口であり、一例として円形状である。
【0114】
被接合部102は、引張カフ74がカーラ5の内周面に配置されたときに、少なくとも、カーラ5の外周面に接合される。また、空気袋101の短手方向で同じ位置に配置される被接合部102は、積層され、そして溶着される。
【0115】
なお、二つの被接合部102は、例えば、空気袋101の短手方向の長さが異なる長さに設定される。この例においては、二つの被接合部102は、カーラ5の短手方向の一端側において積層されて溶着される。なお、二つの被接合部102は、先端がカーラ5の外周面に配置可能であれば、その長さは適宜設定可能であり、積層可能であってもなくてもよいが、積層可能な長さに設定される場合には、先端がカーラ5の外周面の外縁よりも外方に延設されない長さが好ましい。
【0116】
接続部103は、例えばニップルである。接続部103は、カーラ5と隣接して配置される空気袋101の長手方向で中央側であって、且つ、カバー部5aの第3孔部5f3と対向する位置に設けられる。接続部103の先端は、空気袋101を構成する二枚のシート部材106のうち、カーラ5と対向するシート部材106から露出する。接続部103は、カバー部5aの第3孔部5f3に挿通され、流路部15に接続される。
【0117】
切欠部104は、
図19に示すように、カーラ5に設けられた逃げ部5bと対向する位置に設けられる。切欠部104は、第2外層114を形成する第六層の空気袋101に設けられる。
【0118】
具体例として、引張カフ74は、
図10、
図11及び
図20に示すように、手首200側から、第7シート部材106aと、第8シート部材106bと、第9シート部材106cと、第10シート部材106dと、第11シート部材106eと、第12シート部材106fと、第13シート部材106gと、第14シート部材106hと、第15シート部材106iと、第16シート部材106jと、第17シート部材106kと、第18シート部材106lと、を備えている。なお、引張カフ74は、隣り合うシート部材106が熱による溶着により接合されることで一体に構成される。
【0119】
第7シート部材106a乃至第18シート部材106lは、空気袋101と同様の矩形状に構成される。第7シート部材106a及び第8シート部材106bは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により溶着されることで、手首200側から一層目(第一層)の空気袋101を構成する。即ち、第7シート部材106a及び第8シート部材106bは、第1外層111を構成する。
【0120】
第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106b1、106c1を有する。また、第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、複数の開口106b1、106c1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱によりブリッジ溶着されることで、一体に接合される。
【0121】
第9シート部材106c及び第10シート部材106dは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により溶着されることで、手首200側から二層目(第二層)の空気袋101を構成する。
【0122】
第10シート部材106d及び第11シート部材106eは、
図10及び
図11及び
図20に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106d1、106e1を有する。第11シート部材106e及び第12シート部材106fは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により溶着されることで、手首200側から三層目(第三層)の空気袋101を構成する。
【0123】
なお、第9シート部材106c、第10シート部材106d、第11シート部材106e及び第12シート部材106fは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により一体に溶着され、されることで、第二層及び第三層の空気袋101が一体に形成された第1中間層112を構成する。
【0124】
第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、
図10、
図11及び
図20に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106f1、106g1を有する。また、第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、複数の開口106f1、106g1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱によりブリッジ溶着されることで、一体に接合される。
【0125】
第13シート部材106g及び第14シート部材106hは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により溶着されることで、手首200側から四層目(第四層)の空気袋101を構成する。
【0126】
第14シート部材106h及び第15シート部材106iは、
図10、
図11及び
図20に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106h1、106i1を有する。第15シート部材106i及び第16シート部材106jは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により溶着されることで、手首200側から五層目(第五層)の空気袋101を構成する。
【0127】
なお、第13シート部材106g、第14シート部材106h、第15シート部材106i及び第16シート部材106jは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により一体に溶着されることで、第四層及び第五層の空気袋101が一体に形成された第2中間層113を構成する。
【0128】
第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、
図10、
図11及び
図20に示すように、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106j1、106k1を有する。また、第17シート部材106kは、例えば、空気袋101及び被接合部102を構成可能な形状に構成される。第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、複数の開口106j1、106k1の周囲を、空気袋101を溶着した四辺よりも小さい四辺枠状に熱によりブリッジ溶着されることで、一体に接合される。
【0129】
第17シート部材106k及び第18シート部材106lは、空気袋101の四辺の周縁部形状に沿って熱により溶着され、所定の形状に裁断されることで、手首200側から六層目(第六層)の切欠部104を有する空気袋101及び被接合部102を構成する。
【0130】
また、第18シート部材106lは、例えば、接続部103の先端を挿入可能な孔部106l1を有する。第18シート部材106lは、孔部106l1に接続部103が配置され、そして、孔部106l1の周囲が接続部103と熱により溶着される。また、第18シート部材106lは、カーラ5の内周面に、第17シート部材106kの被接合部102はカーラ5の外周面に、それぞれ接合層75を介して接合される。
【0131】
また、押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74を形成する各シート部材86、96、106は、例えば、0.15mmの厚さに形成される。各シート部材86、96、106は、熱可塑性樹脂材料により形成される。熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性エラストマーである。シート部材86、96、106を構成する熱可塑性樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane、以下TPUと表記する)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)を用いることができる。なお、押圧カフ71、センシングカフ73は、少なくとも空気袋81、101を構成する複数のシート部材86、106のうち、少なくともカーラ5と溶着されるシート部材86、106がカーラ5と同種材料で構成される。
【0132】
例えば、シート部材86、96、106は、Tダイ押し出し成形や射出成形等の成形方式が用いられる。シート部材86、96、106は、各成形方式で成形された後、所定の形状にサイジングされ、そして、サイジングした個片を溶着等により接合することで袋状構造体81、91、101を構成する。溶着の方式としては、高周波ウェルダーやレーザー溶着が用いられる。
【0133】
流体回路7は、ケース11、ポンプ14、流路部15、開閉弁16、圧力センサ17、押圧カフ71、センシングカフ73、及び、引張カフ74によって構成される。以下、流体回路7の具体例を説明する。
【0134】
流体回路7は、
図5に示すように、例えば、第1開閉弁16Aを介してポンプ14とセンシングカフ73、第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bとを連続する第1流路7aと、ポンプ14及び第1開閉弁16Aの間の第1流路7aから分岐されることで構成され、第2開閉弁16B、第3開閉弁16C及び第4開閉弁16Dを順次介してポンプ14と大気とを連続する第2流路7bと、第2流路7bの第2開閉弁16B及び第3開閉弁16C間の中途部が分岐されることで構成され、ポンプ14から引張カフ74を連続する第3流路7cと、第2流路7bの第3開閉弁16C及び第4開閉弁16D間の中途部が分岐されることで構成され、ポンプ14から押圧カフ71を連続する第4流路7dと、を備えている。
【0135】
このような流体回路7は、第2開閉弁16B及び第3開閉弁16Cが開き、第1開閉弁16A及び第4開閉弁16Dが閉じることで、第2流路7bから分岐する第3流路7c及び第4流路7dがポンプ14と接続し、ポンプ14、押圧カフ71及び引張カフが流体的に接続される。
【0136】
流体回路7は、第1開閉弁16A、第2開閉弁16B及び第3開閉弁16Cが開き、そして、第4開閉弁16Dが閉じることで、第1流路7a、第2流路7bから分岐する第3流路7c及び第4流路7dがポンプ14と接続され、ポンプ14、押圧カフ71及び引張カフ、並びに、ポンプ14及びセンシングカフ73が流体的に接続される。流体回路7は、第2開閉弁16B、第3開閉弁16C及び第4開閉弁16Dが開き、そして、第1開閉弁16Aが閉じることで、第2流路7b、第3流路7c及び第4流路7dがポンプ14と接続され、ポンプ14、押圧カフ71、引張カフ74及び大気が流体的に接続される。また、流体回路7は、第1開閉弁16A、第2開閉弁16B、第3開閉弁16C及び第4開閉弁16Dが開くことで、第1流路7a、第2流路7b、第3流路7c及び第4流路7dがポンプ14と接続され、ポンプ14、押圧カフ71、センシングカフ73、引張カフ74及び大気が流体的に接続される。
【0137】
給電部8は、
図6及び
図7に示すように、装置本体3から突出するカーラ5の一端側の外面に形成された窪み5cに設けられる。例えば、給電部8は、充電器の充電ケーブルに設けられたコネクタと接続可能に構成される。
【0138】
図3、
図6及び
図7に示すように、給電部8は、配線部8aと、給電端子8bと、カーラ5の窪み5cに配置された配線部8aを覆うカバー8cと、を備えている。配線部8aは、一端が給電端子8bに、他端が制御部55に接続される。給電端子8bは、例えば二つの円形状の端子により構成される。例えば、配線部8a及び給電端子8bは、ポリイミド等のベースフィルムに導電性金属膜等が設けられたFPC(Flexible printed circuits)等により形成される。カバー8cは、窪み5cと同形状に形成され、窪み5cを覆うとともに、窪み5cに設けられたときに、上面が、カーラ5の短手側の外面と面一となる。
【0139】
次に、血圧測定装置1の製造方法の一例について、
図21乃至
図40を用いて以下説明する。
【0140】
先ず、
図21に示すように、押圧カフ71の製造方法の一例を説明する。
【0141】
材料を裁断し(ステップST11)、所定の形状のシート部材86を形成する。具体例として、プレス機によって、材料を所定の形状のシート部材86a、86b、86c、86dに打ち抜く。なお、ここで、所定の形状とは、空気袋81、流路体83及び被接合部82の形状に加え、溶着代や各加工機に位置合わせを行う位置合わせ用のダミー部等を含む形状である。
【0142】
次に、裁断した第4シート部材86dに接続部84を溶着する(ステップST12)。具体例として、第4シート部材86dの流路体83を構成する部位の先端に設けられた孔部86d1に接続部84を差し込み、高周波溶着機によって、接続部84を第4シート部材86dに溶着する。
【0143】
次に、各シート部材86a、86b、86c、86dを一体に溶着する(ステップST13)。具体例として、先ず、冶具の位置決めピンに第2シート部材86b及び第3シート部材86cを順次セットし、第2シート部材86b上に第3シート部材86cを重ねて配置する。次いで、シート部材86b、86cの開口86b1、86c1を囲うように、高周波溶着機によって矩形枠状に溶着することで、ブリッジ溶着部81bを形成し、シート部材86b、86cを一体に溶着する。次に、溶着したシート部材86b、86cの間に中間電極を配置する。そして、冶具の位置決めピンに手首200側の第1シート部材86a、中間電極を配置したシート部材86b、86c、接続部84が溶着された第4シート部材86dを順次セットし、シート部材86a、86b、86c、86dを重ねて配置する。そして、シート部材86a、86b、86c、86dを高周波溶着機によって押圧カフ71の外周形状に溶着し、溶着部81aを形成し、シート部材86a、86b、86c、86dを一体に溶着する。これにより、空気袋81及び流路体83が形成される。
【0144】
次に、被接合部82を形成する(ステップST14)。具体例として、一体に溶着したシート部材86a、86b、86c、86dを冶具の位置決めピンにセットし、プレス機によって、被接合部82の形状に打ち抜く。次に、一体に溶着したシート部材86a、86b、86c、86dを仕上げ裁断し(ステップST15)、一体に溶着したシート部材86a、86b、86c、86dを押圧カフ71の外形状に形成する。具体例として、一体に溶着したシート部材86a、86b、86c、86dを冶具の位置決めピンにセットし、プレス機によって、押圧カフ71の形状に打ち抜く。次に、製造した押圧カフ71の所定の箇所に、ロット番号等の情報を印字する(ステップST16)。
【0145】
次に、
図22に示すように、センシングカフ73の製造方法の一例を説明する。
【0146】
材料を裁断し(ステップST21)、所定の形状のシート部材96を形成する。具体例として、プレス機によって、材料を所定の形状のシート部材96a、96bに打ち抜く。なお、ここで、所定の形状とは、空気袋91及び流路体92の形状に加え、溶着代や各加工機に位置合わせを行う位置合わせ用のダミー部等を含む形状である。
【0147】
次に、裁断した第6シート部材96bに接続部93を溶着する(ステップST22)。具体例として、第6シート部材96bの流路体92を構成する部位の先端に設けられた孔部96b1に接続部93を差し込み、高周波溶着機によって、接続部93を第6シート部材96bに溶着する。
【0148】
次に、二枚のシート部材96a、96bを一体に溶着する(ステップST23)。具体例として、冶具の位置決めピンに第5シート部材96a及び第6シート部材96bを順次セットし、第5シート部材96a上に第6シート部材96bを重ねて配置する。次いで、シート部材96a、96bを高周波溶着機によってセンシングカフ73の外周形状に溶着し、溶着部91aを形成し、シート部材96a、96bを一体に溶着する。これにより、空気袋91及び流路体92が形成される。
【0149】
次に、一体に溶着したシート部材96a、96bをセンシングカフ73の外形状に仕上げ裁断する(ステップST24)。具体例として、一体に溶着したシート部材96a、96bを冶具の位置決めピンにセットし、プレス機によって、センシングカフ73の形状に打ち抜く。次に、製造したセンシングカフ73の所定の箇所に、ロット番号等の情報を印字する(ステップST25)。
【0150】
次に、
図23乃至
図39に示すように、引張カフ74の製造方法を説明する。
【0151】
材料を裁断し(ステップST31)、所定の形状のシート部材106を形成する。なお、ここで、所定の形状とは、空気袋101及び被接合部102の形状に加え、溶着代や各加工機に位置合わせを行う位置合わせ用のダミー部等を含む形状である。具体例として、プレス機によって、熱可塑性樹脂材料で形成されたシート状の材料から、
図24乃至
図27に示すように、第1シート106A、第2シート106B、第3シート106C及び第4シート106Dをそれぞれ打ち抜く。
【0152】
第1シート106Aは、位置決めピン301を挿入可能な位置決めピン用穴311を有し、空気袋101の外周縁形状よりも大きい矩形状のシート部材である。第1シート106Aは、第7シート部材106aを形成する。
【0153】
第2シート106Bは、位置決めピン301を挿入可能な位置決めピン用穴311、及び、隣接する空気袋101を流体的に連通する開口を有し、空気袋101の外周縁形状よりも大きい矩形状のシート部材である。第2シート106Bは、第8シート部材106b、第9シート部材106c、第10シート部材106d、第11シート部材106e、第12シート部材106f、第13シート部材106g、第14シート部材106h、第15シート部材106i、第16シート部材106jを形成する。また、ここで、第2シート106Bの開口は、第8シート部材106b~第16シート部材106jの開口106b1~106j1のいずれかを構成する。
【0154】
第3シート106Cは、位置決めピン301を挿入可能な位置決めピン用穴311、及び、隣接する空気袋101を流体的に連通する開口を有し、空気袋101及び被接合部102の外周縁形状よりも大きい矩形状のシート部材である。第3シート106Cは、第17シート部材106kを形成する。
第4シート106Dは、位置決めピン301を挿入可能な位置決めピン用穴311、及び、接続部103を挿入する孔部106l1を有し、空気袋101の外周縁形状よりも大きい矩形状のシート部材である。
【0155】
次に、第4シート106Dに接続部103を溶着する(ステップST32)。具体例として、第4シート106Dの中央側に設けられた孔部106l1に接続部103を差し込み、高周波溶着機によって、接続部103を第4シート106Dに溶着する。
【0156】
次に、
図28乃至
図31に示すように、二組の二枚の第2シート106Bをそれぞれブリッジ溶着するとともに、第2シート106B及び第3シート106Cをブリッジ溶着する(ステップST33)。具体的には、二枚の第2シート106Bを積層させて、各シート106Bの位置決めピン用穴311を位置決めピン301に配置し、下金型302に二枚の第2シート106Bを配置する。なお、下金型302には、電極を構成する突起である電極部302aが設けられる。また、電極部302aは、シート106B、106Cを溶着する領域に当接可能な形状に形成されており、この工程で用いられる電極部302aは、端面がブリッジ溶着部101bの形状に形成された突起である。
【0157】
そして、高周波溶着機によって、空気袋101の外周縁形状よりも小さい矩形枠状にブリッジ溶着して、ブリッジ溶着部101bを形成し、二枚の第2シート106Bを一体に溶着する。同様に、二枚の第2シート106B、並びに、第2シート106B及び第3シート106Cを溶着する。
【0158】
なお、二組の溶着された二枚の第2シート106Bは、それぞれ、第1外層111を構成する第1層の空気袋101及び第1中間層112を構成する第二層の空気袋101の対向する第8シート部材106b及び第9シート部材106c、並びに、第1中間層112の第3層の空気袋101及び第2中間層113の第4層の空気袋101の対向する第12シート部材106f及び第13シート部材106gを形成する。
【0159】
また、溶着された第2シート106B及び第3シート106Cは、第2中間層113の第5層の空気袋101及び第2外層114の第6層の空気袋101の対向する第16シート部材106j及び第17シート部材106kを形成する。
【0160】
次に、第1外層111を形成する(ステップST34)。具体的には、
図32及び
図33に示すように、ステップST33でブリッジ溶着した二枚の第2シート106B及び第1シート部材106A
の位置決めピン用穴311を位置決めピン301に配置し、下金型302にブリッジ溶着した二枚の第2シート106B及び第1シート106Aを配置する。なお、この工程で用いられる下金型302の電極部302aは、端面が溶着部101aの形状に形成された突起である。
【0161】
このとき、
図32に示すように、下金型302に設けられた空洞302bに下金型302側に配置される第2シート106Bの少なくとも第2シート106B及び第1シート106Aを溶着する部位と対向する部位を逃がす。なお、下金型302には、電極を構成する突起である電極部302aが設けられる。そして、高周波
溶着機によって、空気袋101の外周縁形状に溶着して、溶着部101aを形成する。これにより、第1外層111が形成される。
【0162】
次に、第2外層114を形成する(ステップST35)。具体的には、
図34に示すように、ステップST33でブリッジ溶着した第2シート106B及び第3シート106C、並びに、ステップST32で接続部103を溶着した第4シート106D
の位置決めピン用穴311を位置決めピン301に配置し、下金型302にブリッジ溶着した第2シート106B及び第3シート106C並びに第4シート106Dを配置する。なお、この工程で用いられる下金型302の電極部302aは、端面が溶着部101aの形状に形成された突起である。
【0163】
また、このとき、
図34に示すように、下金型302に設けられた空洞302bに第2シート106Bの少なくとも第3シート106C及び第4シート106Dを溶着する部位と対向する部位を逃がす。そして、高周波用着機によって、空気袋101の外周縁形状に溶着して、溶着部101aを形成する。これにより、第2外層114が形成される。
【0164】
次に、形成した第2外層114に被接合部102を形成する(ステップST36)。具体的には、
図35に示すように、第2外層114の位置決めピン用穴311を位置決めピン301に配置し、第6層の空気袋101、被接合部102及び切欠部104の外周縁形状に裁断可能な形状のプレス型401にステップST35で形成した第2外層114を配置する。なお、このとき、第2外層114にブリッジ溶着部101bで接合された第2シート106Bは、裁断されないようにプレス型401内に配置する。次に、第2外層114の上面に当て板を配置し、プレス加工機によりプレス加工することで、第2外層114は、第六層の空気袋101、被接合部102及び切欠部104の外周縁形状に裁断され、第2外層114に被接合部102が形成される。
【0165】
次に、第1中間層112及び第2中間層113を形成する(ステップST37)。先ず、
図36及び
図37に示すように、ステップST33でブリッジ溶着された第12シート部材106f及び第13シート部材106gを形成する二枚の第2シート106Bの位置決めピン用穴311及び中間電極304の位置決めピン用穴を中間電極セット冶具303の位置決めピン301に配置し、中間電極304を第2シート106B間にセットする。この中間電極304をセットした第2シート106Bを中間電極セット冶具303から取り外す。次に、第2シート106Bがブリッジ溶着部101bで溶着された第2外層114、ブリッジ溶着していない二枚の第2シート106B、中間電極304をセットした二枚の第2シート106B、ブリッジ溶着していない二枚の第2シート106B、及び、第2シート106Bがブリッジ溶着部101bで溶着された第1外層111を順次積層し、下金型302の位置決めピン301に各位置決めピン用穴311を配置する。なお、この工程で用いられる下金型302の電極部302aは、端面が溶着部101aの形状に形成された突起である。また、このとき、
図36及び
図37に示すように、下金型302に設けられた空洞302bに第2外層114の空気袋101の外周縁及び被接合部102を逃がす。
【0166】
そして、上金型305を第1外層111の第1シート106A上に配置する。上金型305には、電極を構成する突起である電極部305aが設けられる。なお、この工程で用いられる上金型305の電極部305aは、端面が溶着部101aの形状に形成された突起である。
【0167】
また、ここで、予め上金型305に第1外層111を配置し、第1外層111が配置された上金型305を第2シート106B上に配置する構成であってもよい。また、このとき、
図36に示すように、上金型305に設けられた空洞305bに第1外層111の空気袋101の外周縁を逃がす。そして、高周波用着機によって、下金型302及び中間電極304の間にある4枚の第2シート106B、並びに、中間電極304及び上金型305の間にある4枚の第2シート106Bを、それぞれ空気袋101の外周縁形状に溶着して、溶着部101aを形成する。これにより、第1中間層112及び第2中間層113が形成される。即ち、第1外層111、第1中間層112、第2中間層113及び第2外層114の6層の空気袋101が形成される。
【0168】
次に、形成した第1外層111、第1中間層112及び第2中間層113の仕上げ裁断する(ステップST38)。具体的には、
図38及び
図39に示すように、第2外層114の位置決めピン用穴311をプレス型の位置決めピンに配置し、第一層から第五層までの空気袋101を配置し、第1外層111の上面に当て板を配置し、プレス加工機によりプレス加工することで、第一層から第5層までの空気袋101の外周縁形状に裁断される。これらの工程により、引張カフ74が製造される。次に、製造した引張カフ74の所定の箇所に、ロット番号等の情報を印字する(ステップST39)。
【0169】
次に、
図40に示すように、血圧測定装置1の製造方法の一例を説明する。
【0170】
先ず、カーラ5に給電部8を形成する(ステップST41)。カーラ5に配線部8a及び給電端子8bを構成するFPCをカーラ5のカバー部5a及び窪み5cに両面テープ等により接合し、窪み5cにカバー8cを両面テープ等により接合する。
【0171】
次に、カーラ5にカフ構造体6を接合する(ステップST42)。具体例として、先ず、背板72を、湾曲する冶具に配置し、加熱炉で過熱することで、熱加工し、所定の形状に湾曲させる。次に、押圧カフ71の第4シート部材86dのカーラ5と対向する領域、及び、被接合部82に接合層75である両面テープを貼り付けて、カーラ5に押圧カフ71を貼り付ける。次に、センシングカフ73の第6シート部材96bの背板72と対向する領域に両面テープを貼り付けて、背板72にセンシングカフ73を貼り付ける。なお、これらの工程において、押圧カフ71の接続部84及びセンシングカフ73の接続部93は、カーラ5のカバー部5aの第1孔部5f1及び第2孔部5f2に挿通させておく。
【0172】
次に、背板72の押圧カフ71と対向する領域に両面テープを貼り付けて、押圧カフ71の第1シート部材86aに背板72を貼り付ける。次に、引張カフ74の第18シート部材106lのカーラ5と対向する領域、及び、被接合部102に両面テープを貼り付けて、カーラ5並びにカーラ5の内面に配置された押圧カフ71の流路体83及びセンシングカフ73の流路体92に引張カフ74を貼り付ける。これらの工程により、カーラ5にカフ構造体6が接合される。
【0173】
次に、カバー部5aにシール部材36及び裏カバー35を配置し、第1締結部材35aによりカバー部5aに裏カバー35を固定し(ステップST43)、裏蓋を構成する。
【0174】
次に、裏カバー35を除く装置本体3を一体に組み立てる(ステップST44)。次に、装置本体3の外郭ケース31の手首200側の端部に裏カバー35を配置し、第2締結部材35bにより外郭ケース31及び裏カバー35を固定する(ステップST45)。そして、外郭ケース31に第1ベルト61及び第2ベルト62を組み立てる(ステップST46)。これらの工程により、血圧測定装置1が製造される。
【0175】
次に、血圧測定装置1を使用した血圧値の測定の一例について、
図41乃至
図44を用いて説明する。
図41は、血圧測定装置1を用いた血圧測定の一例を示す流れ図であり、ユーザの動作及び制御部55の動作の双方を示す。また、
図42乃至
図44は、ユーザが手首200に血圧測定装置1を装着する一例を示す。
【0176】
先ず、ユーザは、手首200に血圧測定装置1を装着する(ステップST51)。具体例として、例えば、ユーザは、
図42に示すように、手首200の一方をカーラ5内に挿入する。
【0177】
このとき、血圧測定装置1は、装置本体3及びセンシングカフ73がカーラ5の相対する位置に配置されることから、センシングカフ73を手首200の手の平側の動脈210が存する領域に配置される。これにより、装置本体3及び引張カフ74は、手首200の手の甲側に配される。次いで
図43に示すように、ユーザが血圧測定装置1を配した手とは反対の手によって、第1ベルト61の尾錠61bの枠状体61eに第2ベルト62を通す。次いで、ユーザは、第2ベルト62を引っ張り、カーラ5の内周面側の部材、即ち、カフ構造体6を手首200に密着させ、小孔62aにつく棒61fを挿入する。これにより、
図4及び
図45に示すように、第1ベルト61及び第2ベルト62が接続され、血圧測定装置1が手首200に装着される。
【0178】
次に、ユーザは、操作部13を操作して、血圧値の測定開始に対応した指令の入力を行う。指令の入力操作が行われた操作部13は、測定開始に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST52)。制御部55は、当該電気信号を受信すると、例えば、第1開閉弁16A、第2開閉弁16B及び第3開閉弁16Cを開くとともに、第4開閉弁16Dを閉じ、ポンプ14を駆動し、第1流路7a、第2流路7b、第3流路7c及び第4流路7dを介して押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74へ圧縮空気を供給する(ステップST53)。これにより、押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74は膨張を開始する。
【0179】
第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bは、押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74の圧力を検出し、この圧力に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST54)。制御部55は、受信した電気信号に基づいて、押圧カフ71、センシングカフ73及び引張カフ74の内部空間の圧力が血圧測定のための所定の圧力に達しているか否かを判断する(ステップST55)。例えば、押圧カフ71及び引張カフ74の内圧が所定の圧力に達しておらず、且つ、センシングカフ73の内圧が所定の圧力に達した場合には、制御部55は、第1開閉弁16Aを閉じ、第2流路7b、第3流路7c、第4流路7dを介して圧縮空気を供給する。
【0180】
押圧カフ71及び引張カフ74の内圧並びにセンシングカフ73の内圧が、全て所定の圧力に達した場合には、制御部55は、ポンプ14の駆動を停止する(ステップST55でYES)。このとき、
図4に二点鎖線で示すように、押圧カフ71及び引張カフ74は十分に膨張しており、膨張した押圧カフ71は、背板72を押圧する。また、引張カフ74は、手首200から離間する方向に、カーラ5を押圧することから、ベルト4、カーラ5及び装置本体3は、手首200から離間する方向に移動し、結果、押圧カフ71、背板72、センシングカフ73が手首200側に引っ張られる。加えて、引張カフ74の膨張によってベルト4、カーラ5及び装置本体3が手首200から離間する方向に移動するときに、ベルト4及びカーラ5が、手首200の両側方に向かって移動し、手首200の両側方に密着した状態で、ベルト4、カーラ5及び装置本体3が移動する。このため、手首200の皮膚に密着したベルト4及びカーラ5は、手首200の両側方の皮膚を手の甲側に引っ張る。なお、カーラ5は、手首200の皮膚を引っ張ることができれば、例えば、シート部材86、106を介して間接的に手首200の皮膚に接触する構成であってもよい。
【0181】
さらに、センシングカフ73は、内圧が血圧を測定するために要する圧力となるように所定の空気量が供給され、膨張しており、そして、押圧カフ71に押圧された背板72によって手首200に向かって押圧される。このため、センシングカフ73は、手首200内の動脈210を押圧し、
図45に示すように動脈210を閉塞する。
【0182】
また、制御部55は、例えば、第3開閉弁16Cを制御し、第3開閉弁16Cの開閉を繰り返すか、又は、第3開閉弁16Cの開度を調整することで、押圧カフ71の内部空間の圧力を加圧させる。この加圧の過程において第2圧力センサ17Bが出力する電気信号に基づいて、制御部55は、最高血圧及び最低血圧等の血圧値や心拍数等の測定結果を求める(ステップST56)。制御部55は、求めた測定結果に対応した画像信号を、表示部12へ出力し、測定結果を表示部12に表示する(ステップST57)。また、制御部55は、血圧測定終了後、第1開閉弁16A、第2開閉弁16B、第3開閉弁16C及び第4開閉弁16Dを開く。
【0183】
表示部12は、画像信号を受信すると、当該測定結果を画面に表示する。使用者は、表示部12を視認することで、当該測定結果を確認する。なお、使用者は、測定終了後、小孔62aからつく棒61fを外し、枠状体61eから第2ベルト62を外し、カーラ5から手首200を抜くことで、手首200から血圧測定装置1を取り外す。
【0184】
このように構成された一実施形態に係る血圧測定装置1は、6層の空気袋101を有する引張カフ74を製造する場合において、第1中間層112である第二層及び第三層の空気袋101、並びに、第2中間層113である第四層及び第五層の空気袋101をそれぞれ4枚のシート部材106(第2シート106B)をまとめて溶着することで形成する。これにより、引張カフ74の空気袋101を形成するために必要な溶着の工程を低減することが可能となる。
【0185】
また、このような第1中間層112及び第2中間層113の溶着は、中間電極304を第三層の空気袋101を構成する第12シート部材106f(第2シート106B)及び第四層の空気袋101を構成する第13シート部材106g(第2シート106B)間に配置する簡単な構成で、4枚のシート部材106を、それぞれ溶着することができる。また、下金型302及び上金型305の空洞302b、305bに、第1中間層112及び第2中間層113の溶着時に溶着しない第1外層111及び第2外層114を逃がせばよい。このため、引張カフ74の製造方法は、容易に製造可能となるとともに、溶着のための電極には、下金型302、上金型305及び中間電極304を用いれば良く、製造装置の構成も簡素とすることができる。また、下金型302、上金型305及び中間電極304を用いれば、第1中間層112及び第2中間層113を同時に溶着することが可能となり、さらに製造工程を低減することができる。
【0186】
また、対向する第一層の空気袋101の第8シート部材106b(第2シート106B)及び第二層の空気袋101の第9シート部材106c(第2シート106B)同士、対向する第三層の空気袋101の第12シート部材106f(第2シート106B)及び第四層の空気袋101の第13シート部材106g(第2シート106B)同士、並びに、第五層の空気袋101の第16シート部材106j(第2シート106B)及び第六層の空気袋101の第17シート部材106k(第3シート106C)同士を予めブリッジ溶着する。このため、形成した空気袋101同士を溶着する必要がなく、容易に空気袋101を形成することができる。また、隣り合う空気袋101のシート部材106同士を溶着するブリッジ溶着は、積層方向で三箇所を溶着するだけで良く、空気袋101同士を接合するための溶着の工程を低減することができる。
【0187】
このように、引張カフ74の製造方法は、製造工程を低減できるとともに、容易に製造することが可能となる。また、第1中間層112及び第2中間層113は、第二層及び第三層の空気袋101、並びに、第四層及び第五層の空気袋101が空気袋101の外周縁を構成する溶着部101aによって一体に構成されることから、六層の袋状構造体とした場合であっても、空気袋101の外周縁の溶着部は4箇所となる。即ち、六層の空気袋101を有する構成であっても、二つの外層111、114及び二つの中間層112、113により構成された四層構造の引張カフ74となる。このため、第二層の空気袋101及び第三層の空気袋101、並びに、第四層の空気袋101及び第五層の空気袋101は、積層方向に対して直交する方向の変形が抑制される。結果、引張カフ74は、血圧測定装置1を手首200に装着させて膨張したときに、引張カフ74に横膨れが生じることを防止できる。
【0188】
また、第1中間層112及び第2中間層113を形成する前に、予め第1外層111及び第2外層114を形成する。そして、第1外層111の形成において、ブリッジ溶着された二枚のシート部材106b、106cのうち、一方の第8シート部材106b(第2シート106B)に別体の第7シート部材106a(第1シート106A)を溶着して形成する。このため、ブリッジ溶着された二枚のシート部材106b、106cのうち第1外層111を形成するときに溶着しない他方の第9シート部材106cを下金型302の空洞302bに配置し、電極部302aから逃がすだけでよい。このため、第1外層111を容易に形成することが可能となる。
【0189】
同様に、第2外層114の形成において、ブリッジ溶着された二枚のシート部材106j、106kのうち、一方の第17シート部材106k(第3シート106C)に別体の第18シート部材106l(第4シート106D)を溶着して形成する。このため、ブリッジ溶着された二枚のシート部材106j、106kのうち第2外層114を形成するときに溶着しない他方の第16シート部材106jを下金型302の空洞302bに配置し、電極部302aから逃がすだけでよい。このため、第2外層114の製造が容易となる。
【0190】
より具体的に説明すると、先に第1中間層112及び第2中間層113を形成し、その後第1外層111及び第2外層114を形成すると、下金型302の空洞302bに、第1外層111及び第2外層114を形成するときに溶着しない部位を逃がす必要があり、下金型302へのセットが煩雑となる。これに対し、本実施形態の第1外層111及び第2外層114の形成は、一枚のシート部材106だけを逃がせばよいことから、引張カフ74の形成が容易となる。
【0191】
上述したように本実施形態に係る血圧測定装置1に用いられる引張カフ74の製造方法によれば、引張カフ74の横膨れを防止できるとともに、製造工程を低減可能となる。
【0192】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。上述した例では、6層の空気袋101を有する引張カフ74及びその製造方法を説明したがこれに限定されない。即ち、少なくとも4層以上の空気袋101により形成されるカフとし、そのうち2層の空気袋101を少なくとも4枚のシート部材106により形成するカフであればよい。このような構成のカフであれば、隣り合う二つの空気袋101を4枚のシート部材106を一体に溶着することで形成できることから、溶着の工程を低減することができるとともに、隣り合う二つの空気袋101を積層方向に対して直交する方向の変形を抑制することができる。
【0193】
また、上述した例では、このような製造方法を引張カフ74の製造に用いる例を血圧測定装置用カフの製造方法として説明したがこれに限定されない。例えば、押圧カフ71を4層の空気袋81により形成する構成とし、上述の製造方法を用いても良い。
【0194】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0195】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…ベルト
5…カーラ
5a…カバー部
5b…逃げ部
5c…窪み
5d…インサート部材
5e…螺子孔
5f…孔部
5f1…第1孔部
5f2…第2孔部
5f3…第3孔部
6…カフ構造体
7…流体回路
7a…第1流路
7b…第2流路
7c…第3流路
7d…第4流路
8…給電部
8a…配線部
8b…給電端子
8c…カバー
11…ケース
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…流路部
16…開閉弁
16A…第1開閉弁
16B…第2開閉弁
16C…第3開閉弁
16D…第4開閉弁
17…圧力センサ
17A…第1圧力センサ
17B…第2圧力センサ
18…電力供給部
19…振動モータ
20…制御基板
31…外郭ケース
31a…ラグ
31b…バネ棒
32…風防
33…基部
35…裏カバー
35a…第1締結部材
35b…第2締結部材
35c…孔部
35d…孔部
36…シール部材
41…釦
42…センサ
43…タッチパネル
51…基板
52…加速度センサ
53…通信部
54…記憶部
55…制御部
56…メインCPU
57…サブCPU
61…第1ベルト
61a…ベルト部
61b…尾錠
61c…第1孔部
61d…第2孔部
61e…枠状体
61f…つく棒
62…第2ベルト
62a…小孔
62b…第3孔部
71…押圧カフ
72…背板
72a…溝
73…センシングカフ
74…引張カフ
75…接合層
81…空気袋(袋状構造体)
81a…溶着部
81b…ブリッジ溶着部
82…被接合部
83…流路体
83a…溶着部
84…接続部
86…シート部材
86a…第1シート部材
86b…第2シート部材
86b1…開口
86c…第3シート部材
86c1…開口
86d…第4シート部材
86d1…孔部
91…空気袋(袋状構造体)
91a…溶着部
91b…接合代
92…流路体
92a…溶着部
93…接続部
96…シート部材
96a…第5シート部材
96b…第6シート部材
96b1…孔部
101…空気袋(袋状構造体)
101a…溶着部
101b…ブリッジ溶着部
102…被接合部
102a…逃げ部
103…接続部
104…切欠部
106…シート部材
106A…第1シート(シート部材)
106B…第2シート(シート部材)
106C…第3シート(シート部材)
106D…第4シート(シート部材)
106a…第7シート部材
106b…第8シート部材
106b1…開口
106c…第9シート部材
106c1…開口
106d…第10シート部材
106d1…開口
106e…第11シート部材
106e1…開口
106f…第12シート部材
106f1…開口
106g…第13シート部材
106g1…開口
106h…第14シート部材
106h1…開口
106i…第15シート部材
106i1…開口
106j…第16シート部材
106j1…開口
106k…第17シート部材
106k…シート部材
106k1…開口
106l…第18シート部材
106l1…孔部
111…第1外層
112…第1中間層
113…第2中間層
114…第2外層
200…手首
210…動脈
301…位置決めピン
302…下金型
302a…電極部
302b…空洞
303…中間電極セット冶具
304…中間電極
305…上金型
305a…電極部
305b…空洞
311…位置決めピン用穴
401…プレス型