(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】がんを処置する使用のための複素環式PDK1インヒビター
(51)【国際特許分類】
A61K 31/497 20060101AFI20220627BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20220627BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220627BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220627BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A61K31/497
A61K31/4985
A61P35/02
A61P35/00
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2018520428
(86)(22)【出願日】2016-10-21
(86)【国際出願番号】 US2016058255
(87)【国際公開番号】W WO2017070565
(87)【国際公開日】2017-04-27
【審査請求日】2019-10-18
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500586635
【氏名又は名称】サネシス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, スティッグ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ビナーツ, ミンク イー.
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506715(JP,A)
【文献】PNAS, 2014, 111, 52, 18590-18595,2014年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要性のある被験体において、
白血病、リンパ腫、および骨髄腫から選択される、RSK-2依存性の血液のがんを処置するための組成物であって、
【化22】
またはこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される化合物を含み、
ここで、該化合物は、RSK-2のリン酸化を、該化合物の非存在下でのRSK-2のリン酸化に対して低減する、
組成物。
【請求項2】
前記化合物は、
【化2】
またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物は、
【化3】
またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物は、
【化4】
またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記血液のがんは、未分化大細胞型リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、T細胞白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、および形質細胞白血病から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項6】
前記血液のがんは、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択される、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
被験体において
、白血病、リンパ腫、および骨髄腫から選択される、RSK-2依存性のがんを処置するための併用療法における使用のための薬学的組成物であって、該組成物は、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む製剤を含み、ここで該併用療法は、第2の抗がん剤の有効量をさらに含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2015年10月23日に出願された米国仮特許出願番号第62/245,606号に基づく優先権を主張しており、その全体の内容は、参考として本明細書によって援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
3-ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ-1(PDK1(PDPK1としても公知))は、細胞成長および生存において重要な他のキナーゼ(Akt(プロテインキナーゼB)、PKC、RSK(S6K)、およびSGKファミリーのメンバーが挙げられる)を活性化する支配的なキナーゼである。PDK1は、Tループリン酸化の活性化を介して基質キナーゼを活性化する(Belhamら, Curr. Biol., 1999, 9:R93-R96)。
【0003】
PDK1は、N末端キナーゼ(触媒性)ドメインおよびC末端pleckstrin相同性(PH)ドメインからなる556アミノ酸のタンパク質である。PHドメインは、ホスファチジルイノシトール(PI)(3,4)-ビスホスフェートおよびホスファチジルイノシトール(3,4,5)-トリホスフェートと相互作用して、ある特定のPDK1基質(顕著なことには、Aktを含む)の局在化および活性化に寄与する。Aktの活性化は、膜での上記キナーゼおよびPDK1のPHドメインおよびAktの適切な配向を要すると考えられる。Aktは、それ自体、がんと関連することが公知であり(Manningら, Cell, 2007, 129(7):1261-1274)、ヒトのがんにおいて頻繁に変異または過剰活性化される。
【0004】
しかし、PDK1は、このPI依存性(PH媒介性)機構を通じてある特定のその基質と相互作用し得る一方で、別個のPI非依存性機構を通じて他の基質と相互作用し得る。そのN末端キナーゼドメインは、3つのリガンド結合部位を有する;基質結合部位、ATP結合部位、および基質との相互作用のためのドッキング部位(PIFポケットとしても公知)である。このドッキング部位は、プロテインキナーゼC関連キナーゼ-2(PRK2)の領域(PDK1相互作用フラグメント(PIF)といわれる)へのその結合に言及して、「PIFポケット」としても公知である(Biondiら, EMBO J., 2000, 19(5):979-988)。S6KおよびプロテインキナーゼCを含むいくつかのPDK1基質は、このPIFポケットドッキング部位での結合を要する。
【0005】
注記されるように、PDK1は、他のキナーゼの活性を調節することにおいて重要である。PDK1の主な標的は、プロテインキナーゼのAGCサブファミリー(Alessiら, Biochem. Soc. Trans, 2001, 29(2):1-14)、例えば、プロテインキナーゼB(PKB、Aktとしても公知)のアイソフォーム、p70リボソームS6キナーゼ(S6K)(Avruchら, Prog. Mol. Subcell. Biol., 2001, 26:115)、p90リボソームS6キナーゼ(RSK1-4)(Frodinら, EMBO J., 2000, 19:2924-2934)、IKKおよびプロテインキナーゼC(PKC)ファミリーのメンバー(Le Goodら, Science, 1998, 281:2042-2045)である。PDK1媒介性シグナル伝達は、インスリン、増殖因子、および細胞外マトリクス細胞結合(インテグリンシグナル伝達)に応じて増大し、多様な細胞事象(例えば、細胞生存、成長、増殖、およびグルコース調節(Lawlorら, J. Cell Sci., 2001, 114:2903-2910; Lawlorら, EMBO J., 2002, 21:3728-3738))を生じる。上記で言及されるいくつかのPDK1基質のうち、AKTに大きく注意が集められる。強力かつ選択的なAKTインヒビターの開発は挑戦し続けられており、わずか2種の化合物が、臨床開発に成功した:AZD5363およびMK2206。これらの化合物は、ある特定の腫瘍タイプにおいて有望な抗がん活性を示した。しかし、これらの化合物を使用するより近年の研究は、驚くべきことに、多くの腫瘍タイプがAKT阻害に感受性でなく、活性化AKTを全くもしくはほとんど発現しないことを明らかにした。
【0006】
PDK1は、AKTキナーゼの活性化にとって極めて重要なAKTの活性化ループの中のThr306をリン酸化することが公知である唯一のキナーゼである。従って、PDK1は、AKT活性化において極めて重要な役割を果たす。適切な薬物様特性を有する強力かつ選択的なPDK1インヒビターを開発しようとする努力は、不成功に終わってしまい、臨床開発に入った化合物はなかった。PDK1インヒビターであるGSK2334470およびBX-320/-795での報告された前臨床試験研究は、中程度の効力を示したので、PDK1は、がん細胞成長を促進するにあたって律速ではない可能性があることが提唱された。あるいは、これらのインヒビターは、効果を生じるために十分な阻害を達成できない不十分な薬理学的特性を有し得るか、または使用したがん細胞は、成長に関してPDK1に依存しなかった。
【0007】
腫瘍抑制因子である、テンシン相同性を有するホスファターゼ(PTEN)は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)によって開始される細胞生存シグナル伝達経路の重要な負の調節因子である。PDK1/Akt経路は、レセプターチロシンキナーゼ(RTK)、Ras、PI-3キナーゼ、またはPTENにおける変異を介して、多くのがんにおいて活性化される(Cullyら, Nature Reviews Cancer, 2006, 6:184-192)。上昇したPDK1活性化およびシグナル伝達は、明確な遺伝的事象(例えば、PTEN変異またはある特定の鍵となる調節タンパク質の過剰発現)から生じるいくつかのがんにおいて検出されてきた(Graff, Expert Opin. Ther. Targets, 2002, 6:103-113, Brognardら, Cancer Res., 2001, 61:3986-3997)。実際に、PTENは、ヒトのがんにおいて最も頻繁に変異される遺伝子のうちの1つである。PDK1は、急性骨髄性白血病において過剰発現されることが見出された(Zabkiewiczら, Haematologica, 2014, 99(5):858-864)。抗がん化合物としてのPDK1インヒビターの可能性は、PDK1に対して指向されるアンチセンスオリゴヌクレオチドでのPTEN陰性ヒトがん細胞株(U87MG)のトランスフェクションによって示された。PDK1プロテインレベルにおける得られた低下は、細胞増殖および生存における低下をもたらした(Flynnら, Curr. Biol., 2000, 10:1439-1442)。
【0008】
RSK2(p90RSK2)は、ヒトにおいて公知の4種のリボソームS6キナーゼ(S6K)のうちの1つ、MAPK/ERK経路によって活性化されるセリン/スレオニンキナーゼのファミリーである。RSKは、2つのキナーゼドメインを含む:C末端ドメインは、RSK2を自己リン酸化し、これは、その活性化に必須である;活性化RSK2のN末端ドメインは、下流の基質(例えば、ある特定の転写調節因子)をリン酸化する。RSK2が、AKTに依存性ではない腫瘍において鍵となる役割を果たすか、またはAKTインヒビターでの処置の際に、AKTシグナル伝達を迂回するために鍵となる抵抗機構を提供することは考えられる。
【0009】
RSK2は、PI非依存性PIFポケット機構を通じてPDK1によるリン酸化を通じて活性化されることは公知であり、種々の細胞タイプにおいて細胞増殖を促進し、ある特定のがんに寄与し得る。例えば、RSK2は、骨髄性白血病におけるある特定の形態で活性化されることが示された。RSK2の阻害は、Molm14およびMv(4;11)白血病細胞、ならびにAML患者に由来する初代サンプルにおいてアポトーシス性細胞死を誘導したが、Ba/F3もしくはK562細胞、またはCML患者に由来する初代サンプルにおいてアポトーシスに影響を及ぼさなかった(Elfら, Blood, 2011, 117(25):6885-6894)。別個に、RSK2阻害は、ある特定の骨髄腫細胞においてアポトーシスを誘導したこと、およびレセプターチロシンキナーゼである線維芽細胞増殖因子レセプター3(FGFR3)がRSK2を活性化し、これは、造血性形質転換を誘導し得ることが報告された(Kangら, J. Biol. Chem., 2008, 283(8):4652-4657; Kangら, Mol. Cell. Biol., 2009, 29(8):2105-2117)。
結果的に、特異的な薬理学的なおよび治療上の特徴を有するPDK1の有効なインヒビターが必要である。本発明は、これらおよび他の必要性を満たす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Belhamら, Curr. Biol., 1999, 9:R93-R96
【文献】Manningら, Cell, 2007, 129(7):1261-1274
【文献】Biondiら, EMBO J., 2000, 19(5):979-988
【文献】Alessiら, Biochem. Soc. Trans, 2001, 29(2):1-14
【文献】Avruchら, Prog. Mol. Subcell. Biol., 2001, 26:115
【文献】Frodinら, EMBO J., 2000, 19:2924-2934)
【文献】Le Goodら, Science, 1998, 281:2042-2045
【文献】Lawlorら, J. Cell Sci., 2001, 114:2903-2910
【文献】Lawlorら, EMBO J., 2002, 21:3728-3738
【文献】Cullyら, Nature Reviews Cancer, 2006, 6:184-192
【文献】Graff, Expert Opin. Ther. Targets, 2002, 6:103-113
【文献】Brognardら, Cancer Res., 2001, 61:3986-3997
【文献】Zabkiewiczら, Haematologica, 2014, 99(5):858-864
【文献】Flynnら, Curr. Biol., 2000, 10:1439-1442
【文献】Kangら, J. Biol. Chem., 2008, 283(8):4652-4657
【文献】Kangら, Mol. Cell. Biol., 2009, 29(8):2105-2117
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発目の要旨
ある特定の化合物がPI非依存性PIFポケット媒介性基質結合を損なうかもしくはブロックし、そして血液のがんおよび他のがんにおいて広い抗腫瘍活性を有することが、いまや見出された。他方では、これらの化合物が、PDK1のコンホメーションを改変してPIF結合をブロックし、それによって、ATP結合をブロックすることによってもPDK1キナーゼ活性化をなお阻害しながら、PI非依存性(PIF依存性)基質の結合およびリン酸化を防止するようであるということが、いまや見出された。この二重機構的機能は、PI依存性およびPI非依存性の基質リン酸化の両方に影響を及ぼすことによって、PDK1シグナル伝達を効果的に阻害するために極めて重要であり得る。この機能は、従って、これらの化合物を、Akt非依存性であるかまたはAktインヒビターへの抵抗性が生じるがんの処置において有用にし得る。さらに、このような二重機構インヒビターは、AKTが活性であろうとなかろうと、成長に関してRSK2活性またはPDK1の下流にある他のPIF依存性基質に依存性であるがんの処置において有用性を有し得る。
【0012】
本発明に従う方法は、式Iの化合物:
【化1】
またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、ここでA
1、環A
2、環A
3、環A
4、L
1、L
2、L
3、X、およびR
1の各々は、本明細書中のクラスおよびサブクラスで定義されかつ記載されるとおりである。このような化合物は、ある特定のプロテインキナーゼ(例えば、PDK1、RSK2、Akt)に影響を及ぼす細胞生存経路の調節因子として有用であるので、例えば、PDK1媒介性、RSK2媒介性、およびAkt媒介性の疾患の処置のために有用である。
【0013】
ある特定の実施形態において、本発明は、記載されるとおりの式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供し、ここで上記化合物は、がんの成長および生存に影響を及ぼされるPDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性がん生存経路(例えば、RSK2依存性経路)またはAkt非依存性経路を阻害するために有効な量で存在する。ある特定の他の実施形態において、本発明は、式Iの化合物を含み、そして必要に応じてさらなる治療剤をさらに含む薬学的組成物を提供する。さらに他の実施形態において、上記さらなる治療剤は、がんの処置のための薬剤である。
【0014】
さらに別の局面において、本発明は、患者もしくは生物学的サンプル中でのがんの成長および生存に影響が及ぼされるキナーゼ活性化経路を阻害するための方法を提供し、上記方法は、式Iの化合物の有効な阻害量を、上記患者に投与するか、または上記生物学的サンプルと接触させる工程を包含する。なお別の局面において、本発明は、このようなキナーゼ活性化経路が関わる任意の障害を処置するための方法を提供し、上記方法は、必要性のある被験体に、式Iの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。このような方法は、本明細書で詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1Aは、ホスファチジルイノシトール(PI)依存性(PH媒介性)またはPI非依存性(PIF媒介性)の細胞経路のエレメントの間の相互作用を示す;
図1Bは、PDK1とAktとの間のPHドメイン相互作用を示す;
図1Cは、PDK1とAktとの間のPIF媒介性相互作用を示す;
図1Dは、PDK1とRSK2との間のPIF媒介性相互作用を示す。
【0016】
【0017】
【
図3】
図3は、試験化合物によるインビトロでの血液腫瘍細胞株の増殖の阻害を示す。
【0018】
【
図4】
図4A~4Dは、試験化合物によるいくつかの血液腫瘍細胞株:MV4-11(
図4A)、C1498(
図4B)、およびA20(
図4C)における成長阻害を示す。
図4Dは、
図4A~4Cの鍵を提供し、各細胞株における化合物に関するIC
50データを提供する。
【0019】
【
図5】
図5Aは、ビヒクルもしくは試験化合物で処理したMV4-11細胞のFACSドットプロットを示す。パラメーターは、ヨウ化プロピジウム(PI;垂直軸)に対してアネキシンV(AV;水平軸)である;
図5Bは、
図5AにおけるプロットのPI+AV+およびPI-AV+に関するゲート四分円中の総細胞の%を示す;
図5Cは、
図5A中のプロットのPI-AV+四分円中の細胞によって測定される場合に、試験化合物がアポトーシスを誘導する能力の用量-応答関係を示す。
【0020】
【
図6】
図6Aは、試験化合物の種々の濃度でのリン酸化RSK2(pRSK2)およびリン酸化PDK1(pPDK1)レベルのウェスタンブロットを示す;
図6Bは、コントロールサンプル中で検出されたそれぞれのリン酸化されたタンパク質のパーセンテージとして表される、試験化合物の種々の濃度への24時間曝露で検出されたpRSK2およびpPDK1の量(GAPDHに対して正規化した6Aの定量化)を示す;
図6Cは、コントロールサンプル中で検出されたそれぞれのリン酸化されたタンパク質のパーセンテージとして表される、種々の時間にわたる30nM 試験化合物への曝露に基づいて検出されたpRSK2およびpPDK1の量を示す。
【0021】
【
図7】
図7Aは、3種の試験化合物の種々の濃度でのリン酸化RSK2(pRSK2)およびリン酸化PDK1(pPDK1)レベルのウェスタンブロットを示す;
図7Bおよび
図7Cは、コントロールサンプル中で検出されたそれぞれのリン酸化されたタンパク質のパーセンテージとして表される、試験化合物の種々の濃度への曝露後に検出されたpPDK1およびpRSK2の量(GAPDHに対して正規化した7Aの定量化)を示す。
【0022】
【
図8】
図8Aは、3種の試験化合物の種々の濃度でのリン酸化RSK2(pRSK2)、リン酸化PDK1(pPDK1)、リン酸化Akt(pAkt)、およびリン酸化IKK(pIKK)レベルのウェスタンブロットを示す;
図8B~8Eは、コントロールサンプル中で検出されたそれぞれのリン酸化されたタンパク質のパーセンテージとして表される、試験化合物の種々の濃度への曝露後に検出されたpPDK1、pRSK2、pAkt、およびpIKKの量(GAPDHに対して正規化した8Aの定量化)を示す。
【0023】
【
図9】
図9A~9Cは、化合物1へのKG-1細部株感受性、ならびに100nM 化合物濃度でのpRSK2およびpPDK1レベルの阻害を示す。
【0024】
【
図10】
図10A~10Dは、化合物の単一用量後のMV4-11腫瘍異種移植片に由来する腫瘍サンプルのウェスタンブロット分析の定量化から得られる例示的データを示す。
図10Aおよび
図10Bは、コントロールサンプル中で検出されたレベルのパーセンテージとして表される、試験化合物への4時間曝露および8時間曝露後のpPDK1レベルを示す。
図10Cおよび
図10Dは、コントロールサンプル中で検出されたレベルのパーセンテージとして表される、試験化合物への8時間曝露後のpRSK2レベルおよびpAktレベルを示す。棒の上の数字は、LC-MS/MSによって決定される場合、腫瘍に存在する化合物の濃度(mM)を示す。
【0025】
【
図11】
図11Aは、マウス異種移植片モデルにおいて、式Iの化合物に曝露した種々の処置群に関して時間の関数としてメジアンMV4-11腫瘍容積を示す;
図11Bは、処置群にわたる腫瘍容積分布を示す;
図11Cは、種々の処置群に関して時間の関数として%群平均体重を示す。
【0026】
【
図12】
図12Aは、共結晶(その中で化合物3がPDK1に結合されている)の三次元表示を示す;
図12Bは、共結晶(その中で化合物3(薄い方の灰色)またはATP(濃い方の灰色)がPDK1に結合されている)の比較三次元表示を示す;
図12Cは、共結晶(その中で化合物3(濃い方の灰色)またはGSK2334470(薄い方の灰色)がPDK1に結合されている)の比較三次元表示を示す;
図12Dは、共結晶(その中で化合物3(薄い方の灰色)またはBX-320(濃い方の灰色)がPDK1に結合されている)の比較三次元表示を示す;
図12Eは、共結晶(その中で化合物3(中間の灰色)、GSK2334470(最も薄い灰色)、またはBX-320(最も濃い灰色)がPDK1に結合されている)の比較三次元表示を示す
【0027】
【
図13】
図13Aは、共結晶(その中で化合物3(中間の灰色)、GSK2334470(最も薄い灰色)、またはBX-320(最も濃い灰色)がPDK1に結合されている)の三次元表示を示す;
図13Bは、試験化合物のPIF-tideブロッキングの相対的活性が評価され得るPIF-tide結合アッセイの概念的な概要を図示する;
図13Cは、DMSOコントロールのパーセンテージとして表される、試験化合物の存在下および非存在下でのPDK1による測定されたPIF-tide結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ある特定の実施形態の詳細な説明
本発明の方法において有用な化合物
PDK1は、ホスファチジルイノシトール(PI)依存性(PH媒介性)またはPI非依存性(PIF媒介性)機構を通じて、その基質と相互作用し得る。ここで本発明者らは、ATP結合ポケットおよび適応性(adaptive)(「アロステリック」)ポケットの両方を占めかつPI非依存性基質結合をブロックし、そして固形腫瘍および血液のがんにおいて抗腫瘍活性を有する化合物のファミリーを記載する。式Iの化合物は、以下で記載されるように、がん細胞(例えば、Akt阻害に抵抗性である細胞、またはRSK2活性に依存性である細胞)の成長および生存を損なう能力において明白である、明確な活性プロフィールを有する。
【0029】
従って、一局面において、本発明は、式Iの化合物:
【化2】
またはその薬学的に受容可能な塩の使用法を提供し、ここで:
R
1は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であるか、または:
R
1および環A
4上の置換基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~7員の部分不飽和もしくは芳香族の縮合環を形成し;
Xは、-C(O)-もしくは-S(O)
2-であり、
L
1は、共有結合であるか、またはC
1-4アルキレン、C
2-4アルケニレン、もしくはC
2-4アルキニレンから選択される必要に応じて置換された二価の基であり、ここでL
1の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-Cy
1-、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
Cy
1は、フェニレン、3~7員の飽和もしくは部分不飽和のカルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロシクリレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
各R
2は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であり;
A
1は、共有結合であるか、あるいは3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式カルボシクリレン、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式カルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式ヘテロシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式ヘテロシクリレン、フェニレン、8~10員の二環式アリーレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリーレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
L
2は、共有結合、アルキリデニレン、,または必要に応じて置換されたアルキレン鎖であり、ここでL
2の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
2は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する10~16員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の三環式環であり、ここで環A
2は、1~4個のR
x基で必要に応じて置換され;
各R
xは、独立して、-R、必要に応じて置換されたアルキリデニル、オキソ、ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R,もしくは-OC(O)N(R’)
2であり;
各Rは、独立して、水素、あるいはC
1-6脂肪族、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された基であり;
各R’は、独立して、-Rであるか、または同じ窒素上の2個のR’基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~8員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の環を形成し;
L
3は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4アルキレン鎖であり、ここでL
3の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
3は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された環であり;
環A
4は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環であり;ここで環A
4上の任意の置換可能な炭素は、R
3、R
4、もしくはR
5で必要に応じて置換され、環A
4上の任意の置換可能な窒素は、R
6で必要に応じて置換され;
R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4、またはR
4およびR
5は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、もしくは-S(O)
2N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
6は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
ただし:
A
1が二価の単環式環でありかつL
1が共有結合である場合、L
2は、-O-ではない;
A
1が二価の単環式もしくは二環式の環である場合、L
1およびL
2は、同時に共有結合ではない;ならびに
L
1、A
1、およびL
2は、同時に共有結合ではない。
【0030】
例えば、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物は、がん細胞の成長、増殖、もしくは生存を阻害するために使用され得、上記がん細胞においてPDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路が影響を及ぼされる。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性がん生存経路の阻害を通じてがん細胞アポトーシスを誘導することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性のがん細胞の成長もしくは増殖を阻害することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0033】
いくつかの実施形態において、本発明は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であるAkt非依存性のがん細胞の成長もしくは増殖経路を阻害することによって、がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法を提供し、上記方法は、上記がん細胞と、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であるAkt非依存性がん細胞生存経路を阻害することによって、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記方法は、上記がん細胞と、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1によるPIF媒介性基質結合に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物とを、上記がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するために十分な量で接触させる工程を包含する。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1によるPIF媒介性基質結合に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞においてPDK1によるPIF媒介性基質結合を阻害するための方法を提供し、上記方法は、上記細胞と式Iの化合物とを接触させる工程を包含し、それによって上記がん細胞の成長もしくは増殖は阻害される。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記方法は、がん細胞と、PDK1によるPIF媒介性基質結合を阻害する本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物とを接触させる工程を包含する。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明は、がんの処置における使用のための医薬を調製するための方法を提供し、上記がんの成長もしくは生存は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であり、上記医薬は、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の治療上有効な量および薬学的に受容可能な賦形剤を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明は、容器およびがんの処置における使用のための医薬を含む製品を提供し、上記がんの成長もしくは生存は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であり、ここで上記医薬は、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物および薬学的に受容可能な賦形剤を含む。
【0041】
別の局面において、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物は、がん細胞の成長、増殖、もしくは生存を阻害するために使用され得、上記がん細胞において、RSK2依存性細胞生存経路が影響を及ぼされる。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明は、RSK2依存性生存経路の阻害を通じてがん細胞アポトーシスを誘導することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明は、RSK2依存性がん細胞の成長もしくは増殖を阻害することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、RSK2のキナーゼ活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物とを、上記がん細胞においてRSK2活性を阻害するために十分な量で接触させる工程を包含する。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記方法は、がん細胞と、PDK1によるRSK2活性化を阻害する本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物とを接触させる工程を包含する。
【0046】
別の局面において、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物は、がん細胞の成長、増殖、もしくは生存を阻害するために使用され得、上記がん細胞において、Akt非依存性細胞生存経路が影響を及ぼされ得る。このような細胞は、Akt活性の阻害またはAkt媒介性生存経路の活性の阻害に抵抗性であると考えられる。従って、Aktがたとえ実質的に不活性であるとしても生存し得るか、またはAktインヒビターに抵抗性であるかもしくは応答しない細胞は、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物によってなお阻害され得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明は、Akt非依存性がん細胞生存経路の阻害を通じてがん細胞アポトーシスを誘導することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明は、Akt非依存性がん細胞の成長もしくは増殖を阻害することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、Aktのキナーゼ活性に依存性でなく、上記方法は、上記がん細胞と本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物とを、上記がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するために十分な量で接触させる工程を包含する。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、Aktのキナーゼ活性に依存性でなく、上記方法は、上記がん細胞と本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記がん細胞において生存性は、Akt非依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、上記がん細胞においてPDK1によるPIF媒介性基質結合に干渉するために有効である本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の量とを接触させる工程を包含する。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞のAkt非依存性の成長もしくは増殖を阻害するための方法を提供し、上記方法は、上記がん細胞と本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明は、がんを有する被験体を処置するための方法を提供し、上記がんの成長もしくは増殖は、Akt非依存性であり、上記方法は、上記被験体に、がんの成長もしくは増殖を損なうために有効である本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の量を投与する工程を包含する。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記がん細胞において、生存性は、RSK2依存性またはAkt非依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、上記がん細胞においてPDK1によるPIF媒介性基質結合に干渉するために有効である本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の量とを接触させる工程を包含する。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1 PIF結合活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1 PIF結合活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供し、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、RSK2活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する。
【0058】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、式Iaの化合物:
【化3】
またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、ここで:
R
1は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であるか、または:
R
1および環A
4上の置換基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~7員の部分不飽和もしくは芳香族の縮合環を形成し;
Xは、-C(O)-もしくは-S(O)
2-であり、
L
1は、共有結合、またはC
1-4アルキレン、C
2-4アルケニレン、もしくはC
2-4アルキニレンから選択される必要に応じて置換された二価の基であり、ここでL
1の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-Cy
1-、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
Cy
1は、フェニレン、3~7員の飽和もしくは部分不飽和のカルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロシクリレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
各R
2は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であり;
A
1は、共有結合であるか、あるいは3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式カルボシクリレン、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式カルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式ヘテロシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式ヘテロシクリレン、フェニレン、8~10員の二環式アリーレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリーレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
L
2は、共有結合、アルキリデニレン、もしくは必要に応じて置換されたアルキレン鎖であり、ここでL
2の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
2は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する10~16員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の三環式環であり、ここで環A
2は、1~4個のR
x基で必要に応じて置換され;
各R
xは、独立して、-R、必要に応じて置換されたアルキリデニル、オキソ、ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であり;
各Rは、独立して、水素であるか、あるいはC
1-6脂肪族、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された基であり;
各R’は、独立して、-Rであるか、あるいは同じ窒素上の2個のR’基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~8員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の環を形成し;
L
3は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4アルキレン鎖であり、ここでL
3の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
3は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された環であり;
環A
4は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環であり;ここで環A
4上の任意の置換可能な炭素は、R
3、R
4、もしくはR
5で必要に応じて置換され、環A
4上の任意の置換可能な窒素は、R
6で必要に応じて置換され;
R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4、またはR
4およびR
5は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、もしくは-S(O)
2N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
6は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する。
【0059】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、式Ia(上記)の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、ここで:
R
1は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であり;
Xは、-C(O)-もしくは-S(O)
2-であり;
L
1は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4アルキレンであり;
A
1は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式カルボシクリレン、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式カルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式ヘテロシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式ヘテロシクリレン、フェニレン、8~10員の二環式アリーレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリーレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
L
2は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたアルキレン鎖であり;
環A
2は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する10~16員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の三環式環であり、ここで環A
2は、1~4個のR
x基で必要に応じて置換され;
各R
xは、独立して、-R、必要に応じて置換されたアルキリデニル、オキソ、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であり;
各Rは、独立して、水素であるか、あるいはC
1-6脂肪族、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された基であり;
各R’は、独立して、-Rであるか、または同じ窒素上の2個のR’基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~8員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の環を形成し;
L
3は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4アルキレン鎖であるか;または
L
3は、置換されていないメチレン、またはメチルもしくはエチルで置換されたメチレンであり;
環A
3は、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された環であり;
環A
4は、
【化4】
であり;そして
R
3は、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であり;
R
4は、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR,-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-NHS(O)C
1-6アルキル、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する。
【0060】
このような化合物およびそれらの調製法は、国際特許公開WO 2011-044157 A1(その内容全体は、本明細書に参考として援用される)に詳細に記載される。
【0061】
ある特定の実施形態において、本発明は、式Iの化合物の使用法を提供し、ここで環A3は、フェニルであり、メタ位もしくはオルト位で1個もしくは2個のフッ素によって置換されている。
【0062】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、式Isの化合物:
【化5】
またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、
ここでA
1、A
2、L
1およびL
2の各々は、式Iに関して定義されるとおりであり、そして
環A
4上の任意の置換可能な炭素は、R
3、R
4、もしくはR
5で必要に応じて置換され、環A
4上の任意の置換可能な窒素は、R
6で必要に応じて置換され;
R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4、またはR
4およびR
5は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、もしくは-S(O)
2N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
6は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
R
7は、水素もしくはメチルであり;そして
各R
8は、独立して、水素もしくはハロである。
【0063】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、式Iwの化合物:
【化6】
またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、
ここでA
1、A
2、L
1およびL
2の各々は、式Iに関して定義されるとおりであり、環A
4上の任意の置換可能な炭素は、R
3、R
4、もしくはR
5で必要に応じて置換され、環A
4上の任意の置換可能な窒素は、R
6で必要に応じて置換され;
R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4、またはR
4およびR
5は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、もしくは-S(O)
2N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
6は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する。
【0064】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、式Ixの化合物:
【化7】
またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、
ここでA
1、A
2、L
1およびL
2の各々は、式Iに関して定義されるとおりであり、そしてR
3およびR
4の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する。
【0065】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、式Iyの化合物:
【化8】
またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、
ここでA
1、A
2、L
1およびL
2の各々は、式Iに関して定義されるとおりであり、そしてR
3は、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2である。
【0066】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、式Izの化合物:
【化9】
またはその薬学的に受容可能な塩を使用し、
ここでA
1、A
2、L
1およびL
2は、式Iに関して定義されるとおりである。
【0067】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、以下の化合物のうちのいずれかを使用する:
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【化10-5】
【化10-6】
【化10-7】
またはその薬学的に受容可能な塩。
【0068】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、以下の化合物のうちのいずれかを使用する:
【化11】
3-[4-(3-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)-ベンジルアミノ]-6-シアノ-ピラジン-2-カルボン酸[1-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-エチル]-アミド(化合物3)、
【化12】
3-[4-(3-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-5-イル)-ベンジルアミノ]-6-シアノ-ピラジン-2-カルボン酸[1-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-エチル]-アミド(化合物1)、
【化13】
6-シアノ-3-[4-(3-メチルアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)-ベンジルアミノ]-ピラジン-2-カルボン酸[1-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-エチル]-アミド(化合物2)、または前述のうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩。
【0069】
別の局面において、本発明は、がんの処置のための医薬の調製のための本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の使用であって、このがんにおいて、PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路が影響を及ぼされる使用を提供する。
【0070】
別の局面において、本発明は、がんの処置のための医薬の調製のための本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の使用であって、このがんにおいて、RSK2依存性細胞生存経路が影響を及ぼされる使用を提供する。
【0071】
別の局面において、本発明は、がんの処置のための医薬の調製のための本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物の使用であって、このがんにおいて、Akt非依存性細胞生存経路が影響を及ぼされる使用を提供する。
【0072】
具体的な官能基および化学用語の定義は、以下でより詳細に記載される。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表(CASバージョン、 Handbook of Chemistry and Physics, 第75版、中表紙)に従って同定され、具体的な官能基は、一般に、その中で記載されるように定義される。さらに、有機化学の一般原理、ならびに具体的な官能部分および反応性は、以下に記載される:Organic Chemistry, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry, 第5版, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001; Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989; Carruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 第3版, Cambridge University Press, Cambridge, 1987;これらの各々の内容全体は、本明細書に参考として援用される。
【0073】
別段述べられなければ、本明細書で示される構造はまた、この構造の全ての異性形態(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(もしくはコンホメーション))形態を含むことが意味される;例えば、各不斉中心に関するR配置およびS配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびEコンホメーション異性体。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(またはコンホメーションの)混合物は、本発明の範囲内である。別段述べられなければ、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。さらに、別段述べられなければ、本明細書で示される構造はまた、1もしくはこれより多くの同位体が富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことが意味される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換、または13C富化もしくは14C富化炭素による炭素の置換を含む本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本発明に従う治療剤として、有用である。
【0074】
特定のエナンチオマーが好ましい場合、それは、いくつかの実施形態においては、相当するエナンチオマーを実質的に含まずに提供されてもよく、「光学的に富化(optically enriched)」されているともいわれ得る。「光学的に富化」されているとは、本明細書で使用される場合、その化合物が1種のエナンチオマーの顕著により大きな割合で構成されることを意味する。ある特定の実施形態において、その化合物は、好ましいエナンチオマーの少なくとも約90重量%で構成される。他の実施形態において、その化合物は、好ましいエナンチオマーの少なくとも約95重量%、98重量%、もしくは99重量%で構成される。好ましいエナンチオマーは、当業者に公知の任意の方法(キラル高速液体クラマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化が挙げられる)によってラセミ混合物から単離され得るか、または不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacquesら, Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981); Wilenら, Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E.L., Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962); Wilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)を参照のこと。
【0075】
用語「ヘテロ原子(heteroatom)」とは、酸素、硫黄、窒素、リン、もしくはケイ素(窒素、硫黄、リン、もしくはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態;または複素環式環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリル中にあるような)、NH(ピロリジニル中にあるような)もしくはNR+(N置換されたピロリジニル中にあるような)を含む)のうちの1もしくはこれより多くを意味する。
【0076】
「PDK1触媒活性(PDK1 catalytic activity)」とは、本明細書で使用される場合、PDK1キナーゼ触媒活性をいう。従って、PDK1触媒活性が提供された化合物の存在下で低減される場合、PDK1基質(例えば、自己リン酸化の場合には、AktもしくはPDK1それ自体)のリン酸化が、その提供される化合物の非存在下でのリン酸化速度に対して低減される。いくつかの実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、1μM未満である。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、500nM未満である。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、100nM未満である。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、10nM未満である。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、1nM未満である。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~10μMである。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~1μMである。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~100nMである。他の実施形態において、PDK1触媒活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~10nMである。
【0077】
「PDK1 PIF結合活性(PDK1 PIF-binding activity)」とは、本明細書で使用される場合、PDK1によるPIF依存性基質結合に言及する。従って、PDK1 PIF結合活性が、提供される化合物の存在下で低減される場合、PIF結合依存性PDK1基質(例えば、RSK2)のリン酸化は、提供される化合物の非存在下でのリン酸化速度に対して低減される。いくつかの実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、1μM未満である。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、500nM未満である。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、100nM未満である。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、10nM未満である。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、1nM未満である。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~10μMである。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~1μMである。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~100nMである。他の実施形態において、PDK1 PIF結合活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~10nMである。
【0078】
「RSK2活性化活性(RSK2 activation activity)」とは、本明細書で使用される場合、RSK2のリン酸化(例えば、PDK1による)に言及する。従って、RSK2活性化活性が、提供される化合物の存在下で低減される場合、RSK2のリン酸化は、提供される化合物の非存在下でのリン酸化速度に対して低減される。いくつかの実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、1μM未満である。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、500nM未満である。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、100nM未満である。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、10nM未満である。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、1nM未満である。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~10μMである。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~1μMである。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~100nMである。他の実施形態において、RSK2活性化活性に対する提供される化合物のIC50は、0.1nM~10nMである。
【0079】
別の局面において、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物は、ある特定のPDK1活性(PI非依存性PIFポケット基質結合およびPDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性の細胞成長もしくは増殖が挙げられる)を阻害する(すなわち、低減する)ことによって緩和され得る1もしくはこれより多くの疾患、障害、および/もしくは状態の処置のために有用である。本明細書で使用される場合、用語「処置(treatment)」、「処置する(treat)」、および「処置する(treating)」とは、本明細書で記載されるように、疾患もしくは障害を、またはこれらの1もしくはこれより多くの症状を改善する、緩和する、それらの開始を遅らせる、またはそれらの進行を阻害することに言及する。いくつかの実施形態において、処置は、1もしくはこれより多くの症状が発生した後に投与され得る。他の実施形態において、処置は、症状の非存在下で投与され得る。例えば、処置は、症状の開始前に(例えば、症状の履歴に鑑みておよび/または遺伝的もしくは他の感受性因子に鑑みて)、感受性のある個体へと投与され得る。処置はまた、症状が消散した後に、例えば、それらの再発を防止もしくは遅らせるために継続され得る。
【0080】
一局面において、本発明は、必要性のある被験体にいてがんを処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、提供される方法は、提供される化合物の治療上有効な量を上記被験体に投与する工程を包含する。用語「がん(cancer)」とは、異常な細胞成長および/もしくは増殖が関わる疾患もしくは障害を含む。いくつかの実施形態において、本発明に従って処置されるがんは、非限定的な例によれば、神経膠腫、甲状腺がん、乳がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん)、胃がん、子宮頸がん、黒色腫、皮膚がん、結腸直腸がん、消化管間質腫瘍、膵臓がん、胆管がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、腎細胞がん、未分化大細胞型リンパ腫、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、T細胞白血病、慢性リンパ性白血病)、多発性骨髄腫、悪性中皮腫、悪性黒色腫、結腸がん(例えば、マイクロサテライト不安定性の高い結腸直腸がん)である。
【0081】
別の局面において、本発明は、血液のがんであるがんを処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、提供される方法は、上記被験体に提供される化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。用語「血液のがん(hematologic cancer)」とは、造血器官の組織における異常な細胞成長および/もしくは増殖が関わる血液由来の腫瘍および疾患もしくは障害(例えば、リンパ腫、白血病、および骨髄腫)を含む。本発明に従って処置され得る血液のがんとしては、非限定的な例によれば、未分化大細胞型リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫(例えば、ABCびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、GCBびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、T細胞白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、および急性骨髄芽球性白血病、形質細胞白血病が挙げられる。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「前がん状態(precancerous condition)」とは、がん性になる傾向にあるかもしくはがん性になる可能性が高い状態、異常な組織成長、または病変を意味する。前がん状態としては、例えば、日光角化症、大腸腺腫性ポリープ、子宮頚部異形成、および先行する血液障害(antecedent hematological disorder)(例えば、骨髄線維症、再生不良性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真正多血症、および骨髄異形成症候群)が挙げられる。
【0083】
アッセイ
がんの成長、増殖、もしくは生存の有用なインヒビターを開発するために、PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路を低減し得る候補インヒビターが、インビトロで同定され得る。提供される化合物の活性は、当該分野で公知の方法および/もしくは本明細書で提供されるそれら方法を利用してアッセイされ得る。
【0084】
PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路を低減する化合物は、生物学的に活性なPDK1およびこれらの経路の他のエレメント(組換えもしくは天然に存在するかのいずれか)を使用して同定および試験され得る。PDK1、RSK2、およびAktは、例えば、天然の細胞において見出され得るか、インビトロで単離され得るか、または細胞において共発現もしくは発現され得る。インヒビターの存在下でのPDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路における、そのインヒビターの非存在下での活性に対する低減を測定することは、当該分野で公知の種々の方法を使用して(例えば、本明細書で記載されるアッセイにおいて)行われ得る。PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路のエレメントの活性をアッセイするための他の方法は、当該分野で公知である。適切なアッセイ法の選択は、当業者の能力の十分に範囲内である。
【0085】
化合物は、これら化合物がPDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路に関する表現型において検出可能な変化を引き起こす能力に関して細胞モデルもしくは動物モデルにおいてさらに試験される。細胞培養に加えて、動物モデルは、PDK1のインヒビターが動物モデルにおいてがんを処置する能力に関して、上記インヒビターを試験するために使用され得る。
【0086】
化合物は、動物モデルまたは健康な被験体もしくは患者においてPDK1活性の阻害をモニターするための生体マーカーとして働き得る遺伝子もしくはタンパク質の発現を選択的に阻害または誘導するそれら化合物の能力に関してさらに試験される。
【0087】
薬学的組成物
別の局面において、本発明は、提供される化合物を、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、キャリア)と必要に応じて組み合わせて含む薬学的組成物を提供する。
【0088】
提供される薬学的組成物は、本明細書で開示される化合物の光学異性体、ジアステレオマー、または薬学的に受容可能な塩を含む。例えば、いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、薬学的に受容可能な塩を含む。その薬学的組成物中に含まれる化合物は、薬学的に受容可能なキャリアに共有結合的に結合され得る。あるいは、その薬学的組成物中に含まれる本発明の化合物は、薬学的に受容可能なキャリアに共有結合的に連結されない。
【0089】
「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、本明細書で使用される場合、薬学的賦形剤、例えば、提供される方法に従って使用される化合物と有害に反応しない、経口適用もしくは非経口適用に適切な、薬学的に、生理学的に、受容可能な有機キャリアもしくは無機キャリア物質に言及する。適切な薬学的に受容可能なキャリアとしては、水、塩溶液(例えば、リンゲル溶液)、アルコール、オイル、ゼラチンおよび炭水化物(例えば、ラクトース、アミロースもしくはデンプン)、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。このような調製物は、滅菌され得、そして望ましい場合、提供される方法に従って使用される化合物と有害に反応しない補助剤(例えば、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝化剤、着色物質および/または芳香物質など)と混合され得る。
【0090】
提供される化合物は、単独で投与され得るか、または1もしくはこれより多くの他の薬物とともに、患者に共投与され得る。共投与は、個々に、または組み合わせて(1種より多くの化合物)、化合物の同時または逐次的投与を含むことが意味される。いくつかの実施形態において、調製物は、他の活性物質と(例えば、代謝的分解を低減するために)組み合わせられ得る。
【0091】
製剤
本発明の化合物は、広く種々の経口、非経口、および局所的な剤形において調製および投与され得る。いくつかの実施形態において、提供される化合物は、注射によって(例えば、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に、もしくは腹腔内に)投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物は、吸入によって、例えば、鼻内に投与される。いくつかの実施形態において、提供される化合物は、経皮的に投与される。複数の投与経路(例えば、筋肉内、経口、経皮)が、本発明の化合物を投与するために使用され得ることもまた、想定される。本発明はまた、1もしくはこれより多くの提供される化合物および1もしくはこれより多くの薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0092】
薬学的組成物を提供される化合物から調製するために、薬学的に受容可能なキャリアは、固体もしくは液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性粒剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、固体キャリアは、希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、もしくは被包化物質としても作用し得る、1もしくはこれより多くの物質である。
【0093】
いくつかの実施形態において、組成物が散剤である場合、そのキャリアは、微細に分割された活性な構成要素と混合されている、微細に分割された固体である。いくつかの実施形態において、組成物が錠剤のために製剤化される場合、その活性な構成要素は、適切な割合で必要な結合特性を有するキャリアと混合され、望ましい形状およびサイズに圧縮される。
【0094】
いくつかの実施形態において、提供される散剤および錠剤は、5%~70%の活性化合物を含む。適切なキャリアとしては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などが挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物は、カシェ剤もしくはロゼンジのために製剤化される。いくつかの実施形態において、錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、および/もしくはロゼンジは、経口投与に適した固体剤形として使用される。
【0095】
いくつかの実施形態において、坐剤を調製するために、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドもしくはカカオ脂の混合物)は、最初に融解され、その活性な構成要素が、その中に均質に分散される。その融解した均質な混合物は、次いで、都合の良いサイズの型へと注がれ、冷却および固化させられる。
【0096】
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁物、およびエマルジョン、例えば、水もしくは水/プロピレングリコールの溶液が挙げられる。いくつかの実施形態において、非経口注射のために、液体調製物は、水性のポリエチレングリコール溶液中の液剤において製剤化され得る。
【0097】
非経口適用が必要とされるかもしくは望ましい場合、本発明の化合物の特に適切な混合物は、注射用の滅菌液剤、好ましくは油性もしくは水性の液剤、ならびに懸濁物、エマルジョン、または埋没物(坐剤が挙げられる)である。特に、非経口投与のためのキャリアとしては、デキストロース、塩類溶液、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ラッカセイ油、ゴマ油、ポリオキシエチレン-ブロックコポリマーなどの水性溶液などが挙げられる。アンプルは、都合の良い単位投与量である。本発明の化合物はまた、リポソームへと組みこまれ得るか、または経皮的なポンプもしくはパッチを介して投与され得る。本発明における使用に適した薬学的混合物は、例えば、Pharmaceutical Sciences (第17版, Mack Pub. Co., Easton, PA)およびWO 96/05309(これらの各々は、参考として援用される)に記載されるものを含む。
【0098】
経口使用に適した水性液剤は、活性な構成要素を水の中に溶解し、望ましい場合には、適切な着色剤、香料、安定化剤、および濃化剤を添加することによって調製され得る。経口使用に適した水性懸濁物は、微細に分割した活性な構成要素を、粘性物質(例えば、天然もしくは合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁剤)を含む水の中に分散させることによって作製され得る。
【0099】
使用直前に、経口投与のための液体形態の調製物へと変換することが意図された固体形態の調製物もまた、含まれる。このような液体形態としては、液剤、懸濁物、およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、活性な構成要素に加えて、着色剤、香料、安定化剤、緩衝化剤、人工および合成の甘味料、分散剤、濃化剤、可溶化剤などを含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、提供される薬学的組成物は、単位剤形にある。このような形態において、組成物は、活性な構成要素の適切な量を含む単位用量へとさらに分けられる。その単位剤形は、パッケージされた調製物(そのパッケージは、薬学的組成物の不連続な量を含む(例えば、パッケージされた錠剤、カプセル剤、およびバイアルもしくはアンプル中の散剤))であり得る。いくつかの実施形態において、その単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくはロゼンジ自体であるか、またはその単位剤形は、パッケージされた形態にあるこれらのうちのいずれかの適切な数である。
【0101】
単位剤形中の活性な構成要素の量は、特定の適用およびその活性な構成要素の有効性に従って、0.1mg~10000mg、より代表的には1.0mg~1000mg、最も代表的には10mg~500mgで変動され得るかまたは調節され得る。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、他の適合性の治療剤を含む。
【0102】
いくつかの化合物は、水中で制限された溶解度を有し得、組成物において界面活性剤もしくは他の適切な共溶媒を必要とし得る。このような共溶媒としては、以下が挙げられる:ポリソルベート20、60および80、プルロニックF-68、F-84およびP-103、シクロデキストリン、およびポリオキシ35ヒマシ油。このような共溶媒は、代表的には、約0.01重量%~約2重量%の間のレベルで使用される。
【0103】
いくつかの実施形態において、単純な水性の液剤のものより大きな粘性は、製剤を分散させることにおける変動性を低減するために、製剤の懸濁物もしくはエマルジョンの構成要素の物理的分離を低減するために、ならびに/または他の点で製剤を改善するために、望ましい可能性がある。このような粘性を確立する薬剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ならびに前述の組み合わせが挙げられる。このような薬剤は、代表的には、約0.01重量%~約2重量%の間のレベルで使用される。
【0104】
提供される組成物は、徐放性および/もしくは快適さを提供する構成要素をさらに含み得る。このような構成要素としては、高分子量のアニオン性疑似粘液(mucomimetic)ポリマー、ゲル化ポリサッカリド、および微細に分割された薬物キャリア物質が挙げられる。これらの構成要素は、以下でより詳細に考察される:米国特許第4,911,920号;同第5,403,841号;同第5,212,162号;および同第4,861,760号。これら特許の内容全体は、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0105】
有効投与量
提供される薬学的組成物は、治療上有効な量において、すなわち、その意図された目的を達成するために有効な量において、その活性成分が含まれる組成物を含む。特定の適用のために有効なその実際の量は、処置されている状態にとりわけ依存する。ある特定の実施形態において、がんを処置するための方法において投与される場合、提供される組成物は、所望の結果(例えば、被験体におけるがん細胞数の低減)を達成するために有効な活性成分の量を含む。
【0106】
哺乳動物に投与される投与量および頻度(単一もしくは複数の用量)は、種々の要因に依存して変動し得る(PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路の増大した活性を生じる疾患、その哺乳動物が別の疾患に罹患しているか、およびその投与経路;レシピエントのサイズ、年齢、性別、健康状態、体重、ボディーマスインデックス、および食餌;処置されている疾患(例えば、がん)の性質およびその症状の程度、現行の処置の種類、処置されている疾患に由来する合併症または他の健康状態に関連する問題が挙げられる)。他の治療レジメンもしくは治療剤は、本発明の方法および化合物とともに使用され得る。
【0107】
本明細書で記載される任意の化合物に関して、治療上有効な量は、最初に細胞培養アッセイから決定され得る。標的濃度は、例えば、本明細書で記載される方法を使用して測定される場合にPDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路の活性を低減し得る活性化合物のそれら濃度である。
【0108】
ヒトにおける使用のための治療上有効な量は、動物モデルから決定され得る。例えば、ヒトに関する用量は、動物において有効であることが見出された濃度を達成するように製剤化され得る。ヒトにおける投与量は、上記で記載されるように、PDK1阻害をモニタリングし、投与量を上下に調節することによって、調節され得る。
【0109】
投与量は、患者の要件および使用されている化合物に依存して変動され得る。いくつかの実施形態において、患者に投与される用量は、経時的に患者において有益な治療応答をもたらすために十分である。その用量サイズはまた、任意の有害副作用の存在、性質および程度によって決定される。いくつかの実施形態において、処置は、その化合物の至適用量未満であるより小さな投与量で開始される。その後、その投与量は、状況下での最適な効果が達成されるまで少しずつ増大される。本発明の一実施形態において、投与量範囲は、0.001%~10% w/vである。別の実施形態において、その投与量範囲は、0.1%~5% w/vである。
【0110】
組み合わせ
別の局面において、本発明は、本明細書で提供される式Iの化合物または薬学的組成物を、1もしくはこれより多くの第2の活性薬剤と組み合わせて、および/または放射線療法もしくは手術と組み合わせて、投与する工程を包含する方法を提供する。
【0111】
別の局面において、本発明は、被験体においてがんを処置するための併用療法における使用のための薬学的組成物を提供し、上記方法は、式Iの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む製剤を含み、ここでその併用療法は、第2の抗がん剤の有効量をさらに含む。
【0112】
本発明はまた、患者が、式Iの化合物および第2の抗がん剤の組み合わせの有効量を投与され得る治療を包含する。このような併用療法において、このような薬剤が単独で投与される場合には治療量以下であるが、組み合わせにおいて、上記薬剤は、治療上有効であるように相加的もしくは相乗効果的(supra-additive)様式で作用する、その組み合わせの中の薬剤の各々の量を投与することは可能である。しかし、いくつかの組み合わせは、別な方法では単独で治療上有効であると考えられるが、組み合わせがより有効であると判明している量にある化合物を使用し得る。がんにおいて、特に、標準ケアは、患者におけるある部分セットでは有効である処置が、寿命を長くすることによって、もしくはより高い退縮確率を達成することによって、患者のより大きなセットにおいて有効である新たな標準ケアへと変えられるように、薬剤の組み合わせによって変化し得る。
【0113】
式Iの化合物と他の薬剤との有効な組み合わせは、その組み合わせの前臨床試験および臨床的試験を通じて同定され得、多くの要因(疾患タイプおよび発生のステージ、患者の全体的な健康状態、薬剤の毒性および副作用などが挙げられる)に依存する。
【0114】
式Iの化合物と組み合わせて第2の活性薬剤として使用され得る化学療法性の抗がん剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート)、auroraキナーゼインヒビター(例えば、ZM447439、ヘスペリジン、VX-680 AZD1152);プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(例えば、6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(Ara-C)、ゲムシタビン)、紡錘体毒素(spindle poison)(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(例えば、白金錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン))、酵素(例えば、アスパラギナーゼ)、ホルモン(例えば、タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、トポイソメラーゼIIインヒビターもしくは毒素、EGFR(Her1、ErbB-1)インヒビター(例えば、ゲフィチニブ)、抗体(例えば、ベバシズマブ、リツキシマブ)、IMID(例えば、サリドマイド、レナリドミド)、種々の標的化薬剤(例えば、HDACインヒビター(例えば、ボリノスタット)、Bcl-2インヒビター、VEGFインヒビター、プロテアソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)インヒビター(例えば、セイリシクリブ)、キノロン誘導体(例えば、ボサロキシン(vosaroxin))、およびデキサメタゾン)。
【0115】
他の実施形態において、式Iの化合物は、以下とともに併用療法において使用され得る:PDK1インヒビター、例えば、GSK2334470(GlaxoSmithKline)、BX-795、BX-912、およびBX-320(Berlex);Aktインヒビター、例えば、MK-2206(Merck);PI3Kインヒビター、例えば、GDC-0941(ピクチリシブ(pictilisib)、Genentech)、イデラリシブ(Gilead);BTKインヒビター、例えば、GS-4059(Gilead)。
【0116】
血液腫瘍および固形腫瘍の処置において、第2の薬剤は、PD-1/PD-L1のインヒビター、例えば、ニボルマブ(オプジーボ)、ペンブロリズマブ(キイトルーダ、MK-3475)、ピディリズマブ(pidilizumab)(CT-011)、BMS 936559、およびMPDL328OA;CTLA-4インヒビター、例えば、イピリムマブ(ヤーボイ)およびトレメリムマブ;ならびにホスファチジルセリンインヒビター、例えば、バビツキシマブ(PGN401)が挙げられ得る。
【0117】
急性骨髄性白血病の処置において、第2の薬剤としては、例えば、シタラビン(ara-C)、ダウノルビシン、およびボサロキシンが挙げられる。
【0118】
CLLの処置において、第2の薬剤としては、例えば、PCI-32765(イブルチニブ)が挙げられる。
【0119】
骨髄腫の処置において、第2の薬剤としては、例えば、レナリドミド(レブリミド(登録商標))およびボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標))が挙げられる。
【0120】
均等物
以下の代表例は、本発明を例証する一助とすることが意図され、本発明の範囲を限定することは意図されず、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。実際に、本発明の種々の改変およびその多くのさらなる実施形態は、本明細書で示されかつ記載されるものに加えて、以下の実施例および本明細書で引用される科学文献および特許文献への言及を含む、この文書の全内容から当業者に明らかになる。それらの引用される参考文献の内容が、当該分野の技術水準を例証する一助とするために、本明細書に参考として援用されることは、さらに認識されるべきである。
【0121】
本明細書で記載される化合物調製に関して、逆相HPLCを使用して化合物を精製する場合に、化合物は、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸もしくはトリフルオロ酢酸の塩として存在し得ることは、認識される。
【0122】
本発明が、本明細書で記載される個々の化合物を企図することは、さらに認識される。例示される個々の化合物が単離され、および/または塩として、例えば、トリフルオロ酢酸塩として特徴付けられる場合、本発明は、その塩の遊離塩基、ならびにその遊離塩基の他の薬学的に受容可能な塩を企図する。
【0123】
以下の実施例は、その種々の実施形態およびその均等物において、本発明の実施に適合され得る重要なさらなる情報、例証およびガイダンスを含む。
【実施例】
【0124】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、式Iの化合物が、PDK1の不活性コンホメーションを結合する(IC50<20nM)と考えられる。その化合物は、適応性(アロステリック)ポケットの中深くに結合し、N末端ドメインにおいて歪みを引き起こし、それによって、PIFポケットに摂動を起こさせ、従って、PI非依存性基質結合を負に調節する。化合物2は、例えば、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、DLBCL、およびマントル細胞リンパ腫を含む血液のがんに由来する20を超える細胞株のパネルにおいて評価したところ、EC50=3~900nMを有する強力な抗増殖活性を示す。経路調節と相関する抗増殖活性は、PDK1、RSK2、およびAKTのリン酸化の阻害によって評価した。興味深いことに、PDK1リン酸化の阻害は、時間依存性であり、4時間より24時間後に、2~5倍大きな阻害を示した。さらに、化合物2は、24時間後に実質的なアポトーシスを生じた。化合物2を、PDK1インヒビターであるGSK2334470と比較したところ、匹敵する生化学的有効性を示したが、化合物2は、試験した全ての細胞株におけるPDK1リン酸化およびRSK2リン酸化を阻害することにおいて10倍~30倍、より強力であった。さらに、化合物2は、72時間生存性アッセイにおいてGSK2334470より少なくとも10倍強力であった。
【0125】
マウスにおいて、化合物1および化合物2は、4~8時間のTmaxおよび長い半減期を伴って、経口的に生物学的に利用可能であった(%F>40%)。経路調節を、マウスにおけるMV4-11異種移植片を使用してインビボで評価した。強力な経路調節が、化合物1および化合物2の単一の経口用量の4時間後および24時間後に観察された。効力を、MV4-11異種移植片における21日投与によって評価した。化合物1および化合物2の両方が、96~97%に達するTGIおよび最高用量において動物のうちの70~100%における部分的退縮を伴う用量関連効力を示す。
【0126】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、PDK1の不活性コンホメーションを標的化し、PI非依存性基質結合を阻害することは、固形がんおよび血液のがんの処置のために、特に、PDK1キナーゼインヒビターもしくはAktインヒビターの有効性が不十分である状況において、広い可能性を有すると考えられる。
【0127】
実施例1-PDK1キナーゼ活性アッセイ
全長PDK1タンパク質(SignalChem)を、GST-λ-ホスファターゼ(社内で生成)を使用して脱リン酸化し、これをその後、グルタチオン-アガロースビーズ(Gold Biotechnology)を使用して除去した。全長AKT Ser476Asp(5nM)を、PDK1(40pM リン酸化もしくは100pM 非リン酸化)、100nM FITC-Crosstide(GSK-3 Ser 21ペプチド、CGSGSGRPRTSSFAEG(配列番号1);ThermoFisher)および24μM ATPとともに、2時間、10mM MgCl2、0.01% Triton X-100、および1mM ジチオスレイトール(DTT)を含む10mM Tris(pH7.5)中で、試験化合物(これを、Echo 555アコースティックディスペンサー(Labcyte)を使用して添加した)の存在下または非存在下で、インキュベートした。次いで、Tb-pCrosstide抗体(ThermoFisher)を、2nMの最終濃度へと添加し、その反応を、さらに30分間インキュベートした。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を、λex=340nm、λem1=485nm、λem2=520nmでのTecan Infinite F500プレートリーダーを使用して測定した。
【0128】
図2Aおよび
図2Bは、化合物1および化合物2に関するこのアッセイでのPDK1キナーゼ活性阻害曲線を示す。各グラフ中の挿入図の値は、IC
50値を提供する。これらのデータは、式Iの代表的化合物が、リン酸化PDK1および非リン酸化PDK1の両方の強力なインヒビターであることを確認する。
【0129】
実施例2-選択性
化合物1および化合物2の選択性を、Upstate(現Millipore)によって提供される270種の異なるヒトキナーゼのパネルにおいて評価した。その化合物を、10μM 濃度において試験したところ、化合物2に関しては20種のキナーゼ(PDK1を含む)および化合物1に関しては18種のキナーゼ(PDK1を含む)に対して90%より大きいかまたは90%に等しい阻害を示し、これは、この高濃度(PDK1に関してはIC50濃度の1,000倍より高い)において大きな選択性(キノームのうちの10%未満の阻害)を示した。
【0130】
実施例3-細胞増殖アッセイ(MTS)
細胞増殖を、CellTiter 96 Aqueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay(Promega)を使用して測定した。CellTiter 96(登録商標) AQueous Assayは、テトラゾリウム化合物[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム、分子内塩;MTS]および電子カップリング試薬(フェナジンメトサルフェート)PMSの溶液から構成される。MTSは、組織培養培地中に溶解性であるホルマゾン生成物へと細胞によって生体還元される。490nmでのホルマゾン生成物の吸光度は、さらなる加工処理なしに、アッセイプレートから直接測定され得る。490nm吸光度の量によって測定される場合のホルマザン生成物の量は、培養物中の生細胞の数に直接比例する。細胞を、96ウェルもしくは384ウェルの透明プレートへと、200μL(96ウェル)もしくは50μL(384ウェル)の容積において、細胞株に依存して96ウェルプレートに関しては1,000~40,000 細胞/ウェルもしくは384ウェルプレートに関しては1,200~25,000細胞/ウェルの範囲に及ぶ最適化した密度で、播種した。4~6時間の回復後、DMSO中で連続希釈した化合物を、(0.1% v/v 最終DMSO濃度)を使用して細胞に添加した。次いで、細胞を、37℃において加湿インキュベーター中、5% CO
2で72時間成長させた。DPBS中の20:1の[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム](MTS):フェナジンメトサルフェート(PMS)溶液を、使用直前に作製し、各ウェルに添加し、細胞を、1.5時間、37℃においてインキュベートした。次いで、490nmでの吸光度を、プレートリーダーを使用して測定した。吸光度値を、コントロール(0.1% v/v DMSOの存在下でインキュベートした細胞)の%として正規化した。シグモイド用量応答曲線を、最高値を100%に抑えて、log(インヒビター) 対 応答-可変傾き(4パラメーター)モデル(GraphPad Prism version 6.00 for Windows(登録商標), GraphPad Software, La Jolla California USA)を使用して、プロットした。最低値を、より高い濃度範囲においてプラトーに達しなかった化合物に関して0%に抑えた。プラトーに達した化合物に関する曲線を、測定点に正確にマッチさせた。高いプラトー(>20%)に達する曲線に関しては、EC
50を、細胞成長の50%阻害を生じる濃度として報告する。本発明の化合物が血液のがんの生存性に影響を及ぼす可能性を決定するために、種々の腫瘍タイプを表す細胞株を選択して試験した。試験したヒト細胞株は、以下であった:MOLM-13(急性骨髄性白血病(AML))、MV4-11(AML)、U-2932(ABCびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、U-937(組織球性リンパ腫)、U-266(多発性骨髄腫)、RPMI-8226(多発性骨髄腫)、CMK(巨核芽球性細胞株)、SU-DHL-4(GCBびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、KG1(AML)、Mec-1(慢性B細胞白血病)、MOLM-16(AML)、Jeko(B細胞リンパ腫)、WSU-DLCL2(B細胞リンパ腫)、JJN3(形質細胞白血病)、SU-DHL-6(GCBびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、およびZ-138(マントル細胞リンパ腫)。さらに、2種のマウス細胞株を試験した:A20(AML)およびC1498(ABCびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)。化合物3、化合物1、化合物2、GSK-2334470(PDK1インヒビター, GlaxoSmithKline,
図12A~12E)、MK-2206(AKTインヒビター; Merck)、およびGDC-0941(ピクチリシブ;汎PI3Kインヒビター;Genentech)を、このアッセイにおいて効果に関して試験した。代表的化合物である化合物3、化合物1、および化合物2は、種々の細胞株に対して3nM~853nMの間のEC
50を有する細胞増殖の強力な阻害を示し、これは、腫瘍タイプにわたって広い効果を示した(表1)。
【表1】
【0131】
図3に示されるように、MK-2206およびGDC-0941化合物は、MK-2206に関しては0.1μM~10.7μMの範囲に及ぶ活性(16種の細胞株のうちの9種に関してEC
50>1μM)およびGDC-0941に関しては0.05μM~6.1μMの範囲に及ぶ活性(16種の細胞株のうちの3種に関してEC
50>1μM)で、細胞増殖アッセイでの有効性において実質的変動性を示した。これは、1μM未満の濃度で全ての細胞株の、および大部分の場合に、500nM未満の濃度(16種の細胞株のうちの15種)で、成長阻害を示す化合物2に関して観察された有効性とは対照的である。これらのデータは、本発明の化合物が、同じ経路において他のキナーゼを標的とするインヒビターに対して感受性が低い種々の腫瘍において有用であり得、潜在的に、第1選択治療剤として、または他のキナーゼインヒビターが無効な処置であるかまたは無効な処置になっている症例において、救済治療剤として有用であることを示唆する。
【0132】
実施例4-細胞増殖アッセイ(MTS)
細胞株の部分セットに関して、代表的な式Iの化合物を、GSK2334470と比較し、より詳細に調査した。表2は、7種の細胞株における細胞増殖の阻害に関して、種々の化合物の比較EC
50データを示す。大部分の場合(7種の細胞株のうちの6種)、試験化合物は、GSK2334470より7倍~50倍の範囲で強力である。
【表2】
【0133】
成長阻害曲線のさらなる試験は、細胞殺滅(実験の開始時にプレートされたより72時間後に残っている細胞が少ない)を示すより高濃度で、おそらくアポトーシスの誘導によって試験化合物が低いプラトーを生じる(ドキソルビシン(広く使用されかつ有効な抗がん薬)について観察されるように、<20%)ことを示す(
図4A~4D)。対照的に、GSK2334470およびMK-2206の曲線は、MV4-11およびC1498に関して20%を下回ってプラトーに達しない。これは、これらの化合物が細胞成長を部分的に阻害するが、細胞死を誘導しないことを示唆する。有効ながん薬物は、細胞死を示す成長阻害を誘導する(
図4A~4Dおよび
図5A~5Cにおいてドキソルビシンによって例証されるとおり)。これらのデータは、式Iの化合物が抗がん剤としての有用性を有し得ることを示唆する。
【0134】
実施例5-アポトーシスの誘導
アポトーシスの誘導を、フローサイトメトリー用のAlexa Fluor 488 Annexin 5/Dead Cell Apoptosisキット(Life Technologies)を使用して、本質的に製造業者の説明書に従って評価した。細胞を、3mL 完全増殖培地中(3×105 細胞/ウェル)で6ウェル組織培養プレートに播種し、1時間、37℃において加湿インキュベーター中、5% CO2で平衡化させた。DMSO(コントロール)、試験化合物、もしくはドキソルビシンを、各ウェルに添加した(0.1% 最終DMSO濃度)。細胞を、24時間、インキュベーターに戻した。分析の日に、1×105 細胞を製造業者の説明書に従って標識し、フローサイトメトリー(BD FACSCaliburTM, GH)によって分析して、アポトーシス細胞(アネキシンV陽性、AV+)および/またはアポトーシス死細胞(AV+およびヨウ化プロピジウム陽性(PI+))のパーセントを決定した。
【0135】
この実施例は、化合物1および化合物2が、50nM程度の低さの濃度でアポトーシスを誘導することにおいて有効であることを示す。これは、50~100nM範囲において20%を十分に下回ってプラトーを示す
図3の成長阻害データと一致する。対照的に、GSK-2334470は、300nM程度の高さの濃度ですらアポトーシス誘導の徴候を示さない。
【0136】
実施例6-ウェスタンブロット分析
リンタンパク質分析のために、細胞を、10% FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを補充した培地中、10cmのペトリ皿(10×106 細胞/ディッシュ)に播種した。37℃で1時間細胞を回復させた後、化合物を、DMSO(0.1% 最終)中で添加し、4時間または24時間、37℃でインキュベートした。次いで、細胞を、遠心分離によって採取し、冷PBSで洗浄した。細胞ペレットを、2×HaltTM プロテアーゼおよびホスファターゼインヒビターカクテル(Thermo Scientific)、2mM オルトバナジン酸ナトリウム、10mM EDTAおよび4mM PMSFを補充した細胞抽出緩衝液(Invitrogen)中に再懸濁した。サンプルを、超音波処理によって溶解し、氷上で30分間インキュベートした。細胞デブリを遠心分離によって除去し、タンパク質濃度を、BCA Protein Assay Kit(Pierce)を使用して決定した。清澄にした溶解物を、還元剤を有するLDSサンプル緩衝液(Life Technologies)中に希釈した。70℃へと加熱した後に、サンプルを冷却し、50μg/ウェルで4~12% Bis-Trisゲル(Life Technologies)上に載せた。ゲルを、110Vで泳動させ、タンパク質をPVDF膜に転写した。膜を、TBSブロッキング緩衝液(Li-Cor Biosciences)中で1時間ブロックした。一次抗体(Cell Signaling, Sant Cruz Biotechnology)を、0.1% Tween-20およびβ-アクチン抗体の1:20,000希釈物を有するブロッキング緩衝液中に添加し(1:1,000希釈)、14時間、4℃でインキュベートした。ブロットを、TBS-T中で洗浄した。標識結合体化ヤギ抗ウサギ二次抗体(IRdye(登録商標) 800CW; Li-Cor Biosciences)を、0.1% Tween-20および0.02% SDSを有するブロッキング緩衝液中で添加し、1時間インキュベートした。TBS-T中で、続いて、TBS中で洗浄した後、膜を、Odyssey画像化システム(Li-Cor Biosciences)でスキャンした。バンドを、ImageJを使用して定量化した。
【0137】
図6Aは、化合物2およびGSK-2334470が、PDK1リン酸化およびRSK2リン酸化を各々調節することを示す。
図6Cは、化合物2が、PDK1およびRSK2の両方のリン酸化を阻害するにあたって、GSK-2334470より10倍強力であるようであることを示す(
図5B中の破線を参照のこと)。
図6Cは、RSK2リン酸化の化合物2(30nM)阻害が、強力でありかつ時間依存性であるようであるのに対して、同じ濃度のGSK2334470は、RSK2リン酸化に対してほとんどもしくは全く効果を有しないことを示す。その一方で、PDK1リン酸化の阻害は、両方の化合物に関して時間依存性であり、化合物2は、4時間~24時間の間の曝露でPDK1リン酸化の1/5低下を示す。これは、PDK1脱リン酸化が、長期のPDK1占有を要する遅いプロセスであることを示唆する。PDK1は、自己リン酸化によって活性化されるので、インヒビターがなお存在する間に一旦PDK1が非リン酸化になった後に、その経路が完全に閉じられることに注意すべきである。100nM濃度では、化合物2は、P-PDK1の90%阻害およびP-RSK2の>95%阻害を達成する一方で、GSK2334470は、同じ濃度で、それぞれ70%阻害および55%阻害を達成するに過ぎない。この食い違いは、化合物2が100nMでアポトーシスを誘導する一方で、GSK2334470が、アポトーシスの証拠もなく、部分的な成長阻害を達成するに過ぎない理由を説明し得る。示されないデータでは、ごく弱いAKT-T308シグナルが観察された。MK-2206 Aktインヒビターは、上記の実施例4で記載されるMTS細胞増殖アッセイでは有効でなかったことに注意のこと。これは、この細胞株におけるPDK1媒介性生存が、主にRSK2を経ることを示唆する。これは、RSK2 siRNAが、MV4-11細胞の成長を阻害し、アポトーシスを誘発することを示す文献データと一致する(Elfら, Blood, 2011, 117(25):6885-6894)。
【0138】
図7A~Cは、C1498 B細胞リンパ腫細胞株(ABCタイプ)が、30~100nM範囲において>90% P-RSK2阻害および約80% P-PDK1阻害を示して、化合物2に感受性であることを示す。GSK2334470の効果は、遙かに弱く、300nMにおいて、P-PDK1およびP-RSK2両方のおよそ75%阻害に達する。相応して、化合物2は、200nMで80% 成長阻害を示す一方で、GSK2334470は、5~10μMの濃度になるまでこの効果を達成しない。MV4-11のように、C1498は、AKTもしくはIKKの顕著なリン酸化を示さない。これは、PDK1媒介性生存が、主にRSK2を経ることを示唆する。興味深いことには、AKTインヒビターであるMK-2206での処理が、PDK1およびRSK2のリン酸化を増強するようである。
【0139】
図8A~8Eは、A20 AML細胞が、300nM 化合物がP-RSK2の>90% 阻害を達成するために必要とされる、およびP-PDKが70% 阻害においてプラトーに達するという点において、化合物2に対する感受性が低いことを示す。これは、MV4-11およびC1498と比較した場合、増殖アッセイにおいて実質的により高いEC
50と一致する。A20細胞は、GSK2334470に対してさらに感受性が低く、最高濃度において45% P-PDK1阻害を示すに過ぎない。先の細胞株とは対照的に、A20は、AKT活性化を示し、P-AKTレベルは、AKTインヒビターであるMK-2206に対して感受性である。これは、
図3に示されるとおりのMK-2206による強力な成長阻害と一致する。P-AKTレベルはまた、GSK2334470によってほとんど影響を及ぼされないと同時に、化合物2に対して感受性である。これらデータは、化合物2およびMK-2206による経路調節と、細胞成長の阻害との間の明確な相関を示す一方で、GSK2334470は、2つのアッセイにおいて中程度の効果を示すに過ぎない。
【0140】
図9A~Cは、KG-1細胞株が、100nM 化合物においてpRSK2レベルおよびpPDK1レベルを>80% 阻害して、化合物1に感受性であることを示す。C1498細胞株と同様に、KG-1細胞は、顕著なAKTリン酸化を示さない。
【0141】
まとめると、上記データは、70~80% P-PDK1阻害および>90% P-RSK2阻害が、細胞増殖を有効に阻害しかつアポトーシスを潜在的に誘発するために必要とされ得ることを示す。重要なことには、成長阻害およびアポトーシスは、いくつかの細胞株においてAKTおよびIKKの阻害を必要とせず、代わりに、細胞生存の鍵となる駆動因子としてP-RSK2を指し示す。これは、予測外の知見であるが、式Iの化合物の重要な抗がん可能性を強調する。GSK2334470は、細胞においてP-PDK1を明確に阻害し得る一方で、この化合物は、化合物2と比較した場合に、経路調節および成長阻害アッセイにおいて、代表的には1/10~1/30倍の低さの有効性である。同じことが、試験した最高濃度で65~85%に達するP-RSK2阻害にも当てはまる。これは、GSK2334470が動物研究において効力を示すことができず、薬物候補として進められなかった理由を説明し得る。
【0142】
化合物1をも、上記のアッセイにおいて評価したところ、化合物2について記載されるものに類似の結果を提供した。
【0143】
実施例7-腫瘍異種移植片における経路調節
インビトロで増殖させたMV4-11細胞を、9週齢の雌性NCr nu/nuマウスの右側腹部へと皮下移植した。移植の日に、MV4-11細胞を、対数増殖期の間に採取し、50% Matrigel
TM(BD Biosciences)を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に1×10
8 細胞/mLの濃度で再懸濁した。異種移植片を、各試験動物の右側腹部へと1×10
7 MV-4-11細胞(0.1mL 懸濁物)を皮下移植することによって開始し、腫瘍を、その容積が175~225mm
3の目標範囲に達するようにモニターした。移植の2週間後に、動物を、およそ200mm
3の平均腫瘍容積を有する、3匹の動物の個々の群に割り当てた。動物に、5mL/kg ビヒクル(1% DMA/99% Labrasol)、化合物1(1% DMA/99% Labrasol中で)、化合物2(1% DMA/99% Labrasol中で)、GDC0941(脱イオン水中で0.5% メチルセルロース:0.2% Tween 80)を強制経口投与することによって、ならびにGSK2334470(1% DMSO、20% PEG400(pH 4.2)中で)の腹腔内注射(10mL/kg)によって、投与した。実際の投与濃度は、
図10A~10Dに示される。投与の8時間後に、イソフルラン麻酔下での心臓穿刺によって全血液容積を集め、腫瘍を摘出し、液体窒素中で急速凍結し、さらなる分析まで-80℃で貯蔵した。腫瘍を、液体窒素中でBiopulverizerを使用して粉砕し、2本のサンプルチューブに分けた:1本は、ウェスタンブロット分析用、1本はLC-MS/MSによる化合物レベルの分析用。ウェスタンブロット分析を、上記のように行った。MS分析に関しては、腫瘍サンプルを、Virsonic 100超音波ホモジナイザーでホモジナイズした。各サンプルを、まず秤量し、次いで、20:80 メタノール:水の適切な容積を添加して、9mL/g サンプルにした。次いで、サンプルを氷上でホモジナイズし、分析するまで凍結して貯蔵した。標準物質を、BALB/cマウス血漿またはブランクのホモジナイズした腫瘍組織中に調製した。標準物質およびサンプルを、PE Sciex API4000機器で分析し、化合物濃度を定量し、腫瘍組織1グラムあたりのng 化合物へと逆算し、1g 腫瘍組織が1mL 容積に等しいと仮定してμM濃度に変換した。
【0144】
MV4-11腫瘍をマウスに移植して、腫瘍におけるPDK1シグナル伝達のモジュレーターとしての式Iの代表的化合物の有用性をインビボで評価した。
図10Aおよび
図10Bに示されるように、化合物1および化合物2は、化合物の単一の強制経口投与の4時間後および8時間後に、MV4-11腫瘍においてPDK1を阻害する。その阻害は、用量依存性であり、最高濃度においてPDK1リン酸化の50~60% 阻害に達して、8時間でより強く、インビトロで細胞において観察されたP-PDK1の時間依存性阻害を反映する。そのP-PDK1阻害は、投与の8時間後に80~90%までの阻害を伴う、RSK2リン酸化およびAKTリン酸化の強い抑制を生じる(
図10C~D)。腫瘍中の化合物1および化合物2の濃度は、与えられた用量におよそ相当する。PI3KインヒビターであるGDC0941は、8時間でPDK1の45% 阻害を生じるが、P-PDK1の25% 阻害およびP-AKTの阻害なしを生じるに過ぎない。50mg/kg GDC0941という高用量にもかかわらず、腫瘍曝露は、化合物1および化合物2の1mg/kg 用量で達成された曝露に匹敵する0.4~1.4mMに過ぎなかった。この観察と一致して、50mg/kg GDC0941に関して観察された経路調節効果は、1mg/kgの化合物1または化合物2のものに匹敵した。50mg/kgでIP投与したPDK1インヒビターであるGSK2334470は、50mg/kg GDC0941および1mg/kgの化合物1または化合物2のものに匹敵する毛色調節および腫瘍曝露を示した。
【0145】
これら実験からのデータは、式Iの化合物が、ヒトのがんを処置するために直接関連する生理学的である用量で、インビボで腫瘍における強いPDK1経路調節を生じ得ることを示し、従って、ヒトのがんの潜在的治療としての本発明の化合物の有用性を強調する。さらに、式Iの化合物の効果は、PDK1活性またはPI3K経路を標的とする他の化合物と非常に都合良く匹敵する。
【0146】
実施例8-腫瘍異種移植片効力
MV4-11細胞を、インビトロで増殖させ、実施例7に記載されるように、9週齢の雌性NCr nu/nuマウスの右側腹部へと皮下移植した。動物に、水(逆浸透, 1ppm Cl)、ならびに18.0% 粗タンパク質、5.0% 粗脂肪、および5.0% 粗線維からなるNIH 31 Modified and Irradiated Lab Diet(登録商標)を制約なしに給餌した。腫瘍移植の14日後を、研究の1日目と指定し、動物を、7群に分け、各々は、10匹のマウスからなり、個々の腫瘍容積は、108~288mm3を有し、群平均腫瘍容積(MTV)は、162~165mm3を有した。研究の1日目に、強制経口投与による投与は、以下のとおりに開始した:投与容積は、0.100mL/20グラム 体重(5mL/kg)であり、各個々の動物の体重に応じて決定した。群1のマウスに、ビヒクルを与え、コントロール群として供した。群2~4に、5mg/kg、11mg/kg、および25mg/kgの化合物1をそれぞれ(qd×21)与えた。群5~7に、5mg/kg、11mg/kg、および25mg/kgの化合物2をそれぞれ(qd×21)与えた。投与溶液を、Labrasol(登録商標)(ビヒクル)中の1% ジメチルニトロソアミン(DMA)中で適切な量の粉末を溶解して5mg/mL 溶液を得ることによって、1週間間に1回調製した。その5mg/mL 溶液は、5mL/kgの投与容積中で25mg/kg 投与量を提供した。その5mg/mL 溶液のアリコートを、2.2mg/mLおよび1mg/mLの濃度へとビヒクル中で希釈したところ、これは、5mL/kgの投与容積でそれぞれ、11mg/kgおよび5mg/kgの投与量を提供した。
【0147】
腫瘍を、カリパスを使用して1週間に2回測定した。研究エンドポイントは、コントロール群において2000mm3の平均腫瘍容積または22日間として定義し、どちらが先に来るにせよ、研究は22日目で終了させた。動物を、1~5日目に1日に1回、次いで、研究が修了するまで1週間に2回体重測定した。そのマウスを、任意の有害な処置関連(TR)副作用の明らかな徴候に関して頻繁に観察し、観察された場合には、臨床徴候を記録した。個々の体重減少を、プロトコルに従ってモニターし、その体重が受容可能な体重減少に関する限界を超えた任意の動物を、安楽死させた。群平均体重減少もまた、プロトコルに従ってモニターした。投与を、その体重が受容可能な平均体重減少に関する限界を超えた任意の群において一時中止した。平均体重が回復した場合には、投与をその群において再開し得るが、より低用量もしくはより低頻度の投与スケジュールで再開し得る。受容可能な毒性を、研究の間に20%未満の群平均体重減少および10%以下の処置関連(TR)死亡として定義した。より高い毒性を生じる任意の投与レジメンは、最大耐量(MTD)を上回ると見做した。死亡を、臨床徴候および/または剖検によって証明される場合、処置副作用に帰し得るのであれば、TRとして分類したか、あるいは投与期間の間にもしくは最後の用量の14日間以内に未知の原因に起因するのであれば、TRとして分類されてもよい。死亡は、死亡が処置副作用に関連したという証拠が存在しなければ、非処置関連(NTR)として分類した。
【0148】
処置効力を、最終日からのデータを使用して決定した。最終日でのMTV(n)(動物の数、nに対するメジアン腫瘍容積)を、各群に関して決定した。ビヒクル p.o. qd×21を受けた群1のマウスを、以下の式に従って決定された腫瘍成長阻害(TGI)の分析のためのコントロール群として供した:%TGI=[1-(MTV薬物処置/MTVコントロール)]×100。処置効力をまた、研究の間に観察された退縮応答の発生率および大きさから決定した。処置は、動物において腫瘍の部分退縮(PR)または完全退縮(CR)を引き起こし得る。PR応答において、その腫瘍容積は、研究の過程の間で3回連続測定にわたってその1日目の容積の50%もしくはこれより小さく、これらの3回の測定のうちの1回もしくはこれより多くに関して13.5mm3に等しいかまたはこれより大きい。CR応答において、その腫瘍容積は、研究の過程の間で3回連続測定にわたって13.5mm3未満であった。
【0149】
22日目に、群1のMTVは、1421mm
3であり、範囲は、650~2890mm
3であった(
図11Aおよび
図11B)。
【0150】
化合物1での処置への応答(群2~4): 22日目に、群2~4のMTVは、それぞれ、446mm
3、288mm
3、および63mm
3であり、これらは、69%、80%および96%のTGIに相当した(
図11Aおよび
図11B)。用量関連TGIは、潜在的な治療活性に関する閾値を達成したが、11mg/kgおよび25mg/kgのレジメンのみが、コントロールと有意差があった(群1 対 群2、P>0.05; 群1 対 群3、P<0.05;群1 対 群4、P<0.001)。群2および群3において退縮応答は全く記録されなかったのに対して、群4は、7つのPRを生じた。全3群のメジアン腫瘍成長は、コントロールに関するものと比較して遅れた(
図11A)。
【0151】
化合物2での処置への応答(群5~7): 群5~7は、それぞれ、5mg/kg、11mg/kg、および25mg/kgの化合物2(p.o. qd×21)を受けた。22日目に、群5~7のMTVは、それぞれ、320mm
3、108mm
3、および40mm
3であり、これらは、77%、92%、および97%のTGIに相当した(
図10(A~B))。その用量関連TGIは、潜在的な治療活性に関する閾値を達成したが、11mg/kgおよび25mg/kgのレジメンのみが、コントロールと有意差があった(群1 対 群5、P>0.05;群1 対 群6、P<0.01;群1 対 群7、P<0.001)。群5において退縮応答は全く記録されなかったが、群6は3つのPRを生じ、群7は、8つのPRを生じた。全3群のメジアン腫瘍成長は、コントロールに関するものと比較して遅れた(
図10(A))。
【0152】
副作用:
図11Cは、各群に関する1日目からの%平均体重(BW)変化を示す。TR死亡は研究において評価せず、最大平均BW減少は、全群に関して受容可能な限界内であった。
【0153】
このMV4-11異種移植片研究は、潜在的な抗がん治療としての式Iの化合物の有用性を示す。強い腫瘍退縮応答は、観察された中程度の体重減少および処置関連死亡なしに鑑みれば、特に印象的である。
【0154】
実施例9-結晶構造
PDK1(残基51~360)は、GST融合タンパク質としてE.coliにおいて発現させ、GSHアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、切断し、透析し、濃縮した。PDK1 51~360を化合物と混合し、共結晶を、ハンギングドロップ蒸気拡散法を使用して生成した。
【0155】
図12A~12Eは、ATPならびにGSK2334470およびBX-320 PDK1インヒビターに対して対比させた場合の、本発明の化合物に関して観察された種々のPDK1-リガンド構造を図示する。12A):PDK1に結合した化合物3(式Iの代表的化合物)の結晶構造。化合物3は、ATPのプリンポケットの中に結合し、そのタンパク質のコアへと深く達し、そのタンパク質の表面に再配向されるDFGループのPheのために結合ポケットを占有し、Pheは、その化合物に対して隠れている。12B):ATP(PDBコード1h1w)および化合物3に結合したPDK1の重ね合わせ。大部分は、その2種のタンパク質骨格は、密接に重なるが、顕著な摂動(perturbation)は、タンパク質のN末端(上側)ローブ(lobe)において認められる。ATPおよび化合物3に特有である鍵となるコンホメーションは、それぞれ、薄い方の灰色および濃い方の灰色で示される。Phe/DFGループの2つの異なる位置が示される。化合物3が結合した構造において、Phe残基は、ATP結合構造においてATPのホスフェートによって占有される領域にある。対照的に、そのPhe残基は、化合物3の化合物によって占有される領域である、ATP結合構造におけるタンパク質のコアに向いている。従って、ATPおよび化合物3は、PDK1の2つの相互に排他的なコンホメーションを結合する。化合物3の結合が、ATP結合構造と比較して、PDK1タンパク質のαBヘリックスおよびαCヘリックスの変形を引き起こすこともまた認められる。12C):PDK1構造と化合物3およびGSK2334470(GSK、薄い方の灰色)との重ね合わせ。化合物3とGSK2334470結合構造との間の差異は、N末端(上側)ローブに主に位置する。化合物3は、本発明の化合物に特有でありかつGSK2334470によって接近されない領域を占有する。αBヘリックスおよびαCヘリックスの位置は、GSK2334470結合構造と比較した場合に異なり、これは、ATP結合構造に密接に似ている。12D):PDK1構造と、化合物3およびBX-320(濃い方の灰色)との重ね合わせ。化合物3は、本発明の化合物に特有であるPDK1の領域を占有し、DFGループ、ならびにαBヘリックスおよびαCヘリックスを置き換えるPDK1におけるコンホメーション変化を引き起こす。BX-320化合物によって占有される空間は、それ自体、GSK2334470とは視覚的に異なるが、これら2種の化合物とのPDK1結合構造は、実質的に同一であり、ATP結合構造に密接に似ている。12E)化合物3、GSK2334470、およびBX-320を有するN末端キナーゼドメインの上面図。全3種の化合物が、ATPのプリンを結合するポケットを占有する。さもなければ、上記化合物は、そのタンパク質の表面に沿って位置するBX-320(
図12E)およびGSK2334470とは異なる領域を占有し、式Iの化合物のみがそのタンパク質のコアの中に達する。ここで上記化合物は、ATP結合構造によって規定されるように、保持する相互作用、ならびにそれらの天然のコンホメーションにおいてαBヘリックスおよびαCヘリックスを破壊する。これは、αBヘリックスおよびαCヘリックスが基質結合において、およびキナーゼの触媒として活性なコンホメーションを安定化することにおいて役割を果たすので、重要である。
【0156】
実施例10-蛍光PIF-tide結合アッセイ
ペプチド結合アッセイを、以下のプローブで行った:FITC-REPRILSEEEQEMFRDFDYIADWC(配列番号2)またはFITC-EEQEMFRDFDYIADW(配列番号3)(カスタム合成)。全長のリン酸化PDK1を、その標識したペプチドとともに1時間、化合物もしくはDMSO(0.1% 最終濃度)の存在下で、10mM MgCl2、0.01% Triton X-100、および1mM DTTを含む10mM Tris(pH7.5)中でインキュベートした。蛍光偏光度を、λex=535nm、λem1=590nmで、Tecan Infinite F500プレートリーダーを使用して測定した。
【0157】
FRETベースのペプチド結合アッセイを、FITC-REPRILSEEEQEMFRDFDYIADWC(配列番号2)で行った。全長のリン酸化PDK1を、その標識したペプチドおよび0.4nM 抗6His-Tbクリプターゼ抗体(Cisbio Bioassays)とともに1時間、化合物もしくはDMSO(0.1% 最終濃度)の存在下で、10mM MgCl2、0.01% Triton X-100、0.01% カゼインおよび1mM DTTを含む10mM Tris(pH7.5)中でインキュベートした。
【0158】
図13Aは、PDK1のN末端ローブの最も上にあるPIF-tide結合ポケット(黒丸)の概要とともに、化合物3(中間の灰色)、ならびに比較化合物であるGSK2334470(最も薄い灰色)およびBX-320(最も濃い灰色)に結合したPDK1の重ね合わせを示す。認められ得るように、式Iの代表的化合物(中間の灰色)は、αBヘリックスおよびαCヘリックスを押し出し、それによって、PIF結合ポケットの構造に摂動を起こさせる。これを実験的に試験するために、PDK1へのPIF-tide結合を測定するための結合アッセイを開発した。このアッセイにおいて、PIFポケットに摂動を起こすことなくPDK1のATP結合ポケットに結合する化合物は、
図13B(左半分)に図示されるように、蛍光偏光度によって測定される場合にPIF-tide結合の影響を示さない。しかし、PDK1のATP結合ポケットに結合し、かつPIFポケットに摂動を起こさせる化合物は、
図13B(右半分)に図示されるように、蛍光偏光度によって測定される場合に低下したPIF-tide結合を示す。これらの結合研究からの結果は、化合物のPDK1飽和量を使用して、
図13Cに示される:予測されるとおり、
図13C)は、BX-795(密接に似ておりかつBX-320と同じ結合様式を有するPDK1インヒビター)がPIF-tide結合の干渉を示さない一方で、試験した全3種の式Iの化合物(化合物3、化合物1、および化合物2)が、PIF-tide結合の顕著な阻害を示す(残りのバックグラウンドシグナルは、PIF-tideの非特異的結合にあるとされる)ことを示す。従って、式Iの化合物は、キナーゼ活性の阻害に加えて、PIF依存性基質相互作用に干渉し得る。
図13Dにおいて、PDK1へのPIF-tide結合に対する化合物の影響をモニターするための第2の方法のデータが示される。このアッセイにおいて、PDK1上の6Hisタグを認識する抗体に結合したTbキレートと、FITC標識したPIF-tideとの間のFRETをモニターする。汎キナーゼインヒビターであるスタウロスポリン(これは、PIF-tideポケットを破壊しない)は、PDK1とPIF-tideとの間でFRETを阻害しない一方で、化合物1および化合物2は、10nM 化合物でほぼ完全な阻害を示す。
図6(C)において、化合物2は、4時間で90% P-RSK2阻害および40% P-PDK1阻害を示した一方で、GSK2334470は、50% P-PDK1阻害を(24時間で)示すにも拘わらず、わずかな20% P-RSK2阻害を示したに過ぎなかった。これは、RSK2リン酸化が、GSK-2334470によるより化合物2によるPDK1の阻害に感受性であることを示す。PIFポケットおよび従ってPIF媒介性RSK2基質結合の摂動は、化合物2へのこの増強された感受性を説明し得る。これは、PDK1触媒性インヒビターに関しては観察されなかった本発明の化合物の特有かつ新規な局面であり、本発明の化合物の増強された細胞ベースの有効性および抗がん薬としてのそれらの有用性にとって決定的に重要であり得る。
【0159】
本発明のある特定の実施形態は、以下の番号付けされた段落において列挙される以下の実施形態によって例証される:
1.必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、ここでがん成長または生存は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であり、上記方法は、式Iaの化合物:
【化14】
またはその薬学的に受容可能な塩の治療上有効な量を上記被験体に投与する工程を包含し、ここで:
R
1は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であるか、または:
R
1および環A
4上の置換基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~7員の部分不飽和もしくは芳香族の縮合環を形成し;
Xは、-C(O)-もしくは-S(O)
2-であり、
L
1は、共有結合であるか、またはC
1-4アルキレン、C
2-4アルケニレン、もしくはC
2-4アルキニレンから選択される必要に応じて置換された二価の基であり、ここでL
1の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-Cy
1-、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
Cy
1は、フェニレン、3~7員の飽和もしくは部分不飽和のカルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロシクリレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
各R
2は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であり;
A
1は、共有結合であるか、あるいは3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式カルボシクリレン、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式カルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式ヘテロシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式ヘテロシクリレン、フェニレン、8~10員の二環式アリーレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリーレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
L
2は、共有結合、アルキリデニレン、もしくは必要に応じて置換されたアルキレン鎖であり、ここでL
2の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
2は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する10~16員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の三環式環であり、ここで環A
2は、1~4個のR
x基で必要に応じて置換され;
各R
xは、独立して、-R、必要に応じて置換されたアルキリデニル、オキソ、ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であり;
各Rは、独立して、水素、あるいはC
1-6脂肪族、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された基であり;
各R’は、独立して、-Rであるか、または同じ窒素上の2個のR’基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~8員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の環を形成し;
L
3は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4アルキレン鎖であり、ここでL
3の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)N(R
2)-、-N(R
2)C(O)-、-N(R
2)C(O)O-、-OC(O)N(R
2)-、-S(O)
2-、-S(O)
2N(R
2)-、-N(R
2)S(O)
2-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
3は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された環であり;
環A
4は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環であり;ここで環A
4上の任意の置換可能な炭素は、R
3、R
4、もしくはR
5で必要に応じて置換され、環A
4上の任意の置換可能な窒素は、R
6で必要に応じて置換され;
R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4、またはR
4およびR
5は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、もしくは-S(O)
2N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
6は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する、
方法。
2.PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性がん生存経路の阻害を通じてがん細胞アポトーシスを誘導することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、上記方法は、上記被験体に、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する方法。
3.PDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性のがん細胞の成長もしくは増殖を阻害することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、上記方法は、上記被験体に、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する方法。
4.PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性のAkt非依存性がん細胞成長もしくは増殖経路を阻害することによって、がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法であって、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法。
5.PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性のAkt非依存性がん細胞生存経路を阻害することによって、がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法。
6.がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1によるPIF媒介性基質結合に依存し、上記方法は、上記がん細胞と実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを、上記がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するために十分な量で接触させる工程を包含する方法。
7.がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1によるPIF媒介性基質結合に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法、
8.がん細胞においてPDK1によるPIF媒介性基質結合を阻害するための方法であって、上記方法は、上記細胞と実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを接触させる工程を包含し、それによって上記がん細胞の成長もしくは増殖が阻害される、方法。
9.がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法であって、がん細胞と、PDK1によるPIF媒介性基質結合を阻害する実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを接触させる工程を包含する方法。
10.がんの処置における使用のための医薬の調製における実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の使用であって、上記がんの成長もしくは生存は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存する、使用。
11.がんの処置のための容器および医薬の使用であって、上記がんの成長もしくは生存は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であり、ここで上記医薬は、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物および薬学的に受容可能な賦形剤を含む、使用。
12.がん細胞の成長、増殖、もしくは生存を阻害するための方法であって、上記がん細胞においてPDK1-PIF媒介性基質相互作用依存性細胞生存経路が影響を及ぼされ、上記方法は、上記細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを接触させる工程を包含し、それによって、上記がん細胞の成長もしくは増殖が阻害される方法。
13.がん細胞の成長、増殖もしくは生存を阻害するための方法であって、上記がん細胞においてRSK2依存性細胞生存経路が影響を及ぼされ、上記方法は、上記細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを接触させる工程を包含し、それによって上記がん細胞の成長もしくは増殖が阻害される方法。
14.RSK2依存性生存経路の阻害を通じてがん細胞アポトーシスを誘導することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、上記方法は、上記被験体に、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する方法。
15.RSK2依存性がん細胞の成長もしくは増殖を阻害することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、上記方法は、上記被験体に、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する方法。
16.がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、RSK2のキナーゼ活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを、上記がん細胞においてRSK2活性を阻害するための十分な量で接触させる工程を包含する方法。
17.がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法であって、がん細胞と、PDK1によるRSK2活性化を阻害する実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを接触させる工程を包含する方法。
18.がん細胞の成長、増殖、もしくは生存を阻害するための方法であって、上記がん細胞においてAkt非依存性細胞生存経路が影響を及ぼされ、上記方法は、上記細胞と実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを接触させる工程を包含し、それによって上記がん細胞の成長もしくは増殖が阻害される方法。
19.上記細胞は、Akt活性の阻害またはAkt媒介性生存経路の活性の阻害に抵抗性であると考えられる、実施形態18に記載の方法。
20.Akt非依存性がん細胞生存経路の阻害を通じてがん細胞アポトーシスを誘導することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、上記方法は、上記被験体に、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する方法。
21.Akt非依存性がん細胞の成長もしくは増殖を阻害することによって、必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、上記方法は、上記被験体に、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する方法。
22.がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、Aktのキナーゼ活性に依存性ではなく、上記方法は、上記がん細胞と実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物とを、上記がん細胞の成長もしくは増殖を阻害するために十分な量で接触させる工程を包含する方法。
23.がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、Aktのキナーゼ活性に依存性ではなく、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法。
24.がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法であって、上記がん細胞において生存性は、Akt非依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、上記がん細胞においてPDK1によるPIF媒介性基質結合に干渉するために有効である実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の量とを接触させる工程を包含する方法。
25.がん細胞のAkt非依存性の成長もしくは増殖を阻害するための方法であって、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法。
26.がんを有する被験体を処置するための方法であって、上記がんの成長もしくは増殖は、Akt非依存性であり、上記方法は、上記被験体に、上記がんの成長もしくは増殖を損なうために有効である実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の量を投与する工程を包含する方法。
27.がん細胞においてアポトーシスを誘導するための方法であって、上記がん細胞において、生存性はRSK2依存性またはAkt非依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、上記がん細胞においてPDK1によるPIF媒介性基質結合に干渉するために有効である実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の量とを接触させる工程を包含する方法。
28.がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1 PIF結合活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法。
29.がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、PDK1 PIF結合活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法。
30.がん細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、上記がん細胞の成長もしくは増殖は、RSK2活性に依存性であり、上記方法は、上記がん細胞と、実施形態1に記載されるとおりの式Iaの化合物の有効量とを接触させる工程を包含する方法。
31.上記がんまたはがん細胞は、PDK1インヒビターでの処置に不応性である、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
32.上記がんまたはがん細胞は、Aktインヒビターでの処置に不応性である、施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.
A
1が二価の単環式環でありかつL
1が共有結合である場合、L
2は、-O-ではない;
A
1が二価の単環式もしくは二環式の環である場合、L
1およびL
2は、同時に共有結合ではない;ならびに
L
1、A
1、およびL
2は、同時に共有結合ではない、
実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
34.
R
1は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6脂肪族であり;
Xは、-C(O)-もしくは-S(O)
2-であり;
L
1は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4アルキレンであり;
A
1は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式カルボシクリレン、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式カルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式ヘテロシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式ヘテロシクリレン、フェニレン、8~10員の二環式アリーレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリーレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
L
2は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたアルキレン鎖であり;
環A
2は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する10~16員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の三環式環であり、ここで環A
2は、1~4個のR
x基で必要に応じて置換され;
各R
xは、独立して、-R、必要に応じて置換されたアルキリデニル、オキソ、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であり;
各Rは、独立して、水素、あるいはC
1-6脂肪族、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された基であり;
各R’は、独立して、-Rであるか、または同じ窒素上の2個のR’基が、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~8員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の環を形成し、;
L
3は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4アルキレン鎖であるか;あるいは
L
3は、置換されていないメチレン、またはメチルもしくはエチルで置換されたメチレンであり;
環A
3は、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、を有する8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子5~6員の単環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された環であり;
環A
4は、
【化15】
であり;そして
R
3は、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であり;
R
4は、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR,-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-NHS(O)C
1-6アルキル、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは
R
3およびR
4は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する、
実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
35.上記化合物は、式Isの化合物:
【化16】
またはその薬学的に受容可能な塩であり、ここで:
環A
4上の任意の置換可能な炭素は、R
3、R
4、もしくはR
5で必要に応じて置換され、環A
4上の任意の置換可能な窒素は、R
6で必要に応じて置換され;
R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4、またはR
4およびR
5は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、もしくは-S(O)
2N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
6は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
R
7は、水素もしくはメチルであり;そして
各R
8は、独立して、水素もしくはハロである、
実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
36.環A
3は、フェニルであり、該フェニルは、メタ位もしくはオルト位で1個もしくは2個のフッ素によって置換されている、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
37.上記化合物は、式Iwの化合物:
【化17】
またはその薬学的に受容可能な塩であり、
ここで環A
4上の任意の置換可能な炭素は、R
3、R
4、もしくはR
5で必要に応じて置換され、環A
4上の任意の置換可能な窒素は、R
6で必要に応じて置換され;
R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4、またはR
4およびR
5は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、もしくは-S(O)
2N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
6は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する、
実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
38.上記化合物は、式Ixの化合物:
【化18】
またはその薬学的に受容可能な塩であり、ここで
R
3およびR
4の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2であるか;あるいは:
R
3およびR
4は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成する、
実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
39.上記化合物は、式Iyの化合物:
【化19】
であり、ここでR
3は、-R、-ハロ、-NO
2、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2、-C(O)R、-CO
2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2R、-C(O)N(R’)
2、-S(O)
2N(R’)
2、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2、-C(=NR’)N(R’)
2、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2N(R’)
2、-N(R’)S(O)
2R、もしくは-OC(O)N(R’)
2である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
40.上記化合物は、式Izの化合物:
【化20】
またはその薬学的に受容可能な塩である、実施形態39に記載の方法。
41.上記化合物は、
【化21】
およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
42.上記化合物は、PI非依存性、PIFポケット媒介性基質結合を低下もしくは防止するという点で特徴付けられる、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
43.上記化合物は、PDK1のコンホメーションを改変して、PIF結合をブロックし、それによって、PI非依存性(PIF依存性)基質の結合およびリン酸化を防止するという点で特徴付けられる、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
44.上記化合物は、PIF媒介性RSK2基質結合に摂動を起こさせるという点で特徴付けられる、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
45.上記化合物は、PDK1キナーゼ活性を阻害するという点で特徴付けられる、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.上記化合物は、PDK1のATP結合ポケットを占めるという点で特徴付けられる、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
47.上記化合物は、ATP結合をブロックすることによってPDK1キナーゼ活性を阻害するという点で特徴付けられる、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
48.上記がんは、白血病、リンパ腫、および骨髄腫からなる群より選択される血液のがんである、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
49.前記血液のがんは、未分化大細胞型リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、T細胞白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、および形質細胞白血病から選択される、実施形態48に記載の方法。
50.被験体においてがんを処置することにおける使用のための薬学的組成物であって、ここで上記がんの成長もしくは増殖は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であり、上記組成物は、実施形態1または33~41のいずれかに記載されるとおりの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む製剤を含む、組成物。
60.被験体においてがんを処置するための併用療法における使用のための薬学的組成物であって、上記組成物は、実施形態1または33~41のいずれか1つに記載されるとおりの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む製剤を含み、ここで上記併用療法は、第2の抗がん剤の有効量をさらに含む、組成物。
【0160】
本発明者らは、本発明の多くの実施形態を記載してきた一方で、本発明者らの基本例が本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために変更され得ることは、明らかである。従って、本発明の範囲は例示によって表されてきた具体的実施形態によってではなく、添付の特許請求項の範囲によって規定されるべきであることが認識される。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
必要性のある被験体においてがんを処置するための方法であって、該方法において、がん成長または生存は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存し、該被験体に、本明細書で記載されるとおりの式Iの化合物:
【化22】
またはその薬学的に受容可能な塩の治療上有効な量を投与する工程を包含し、ここで:
R
1
は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6
脂肪族であるか、あるいは:
R
1
および環A
4
上の置換基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~7員の部分不飽和もしくは芳香族の縮合環を形成し;
Xは、-C(O)-もしくは-S(O)
2
-であり、
L
1
は、共有結合であるか、またはC
1-4
アルキレン、C
2-4
アルケニレン、もしくはC
2-4
アルキニレンから選択される必要に応じて置換された二価の基であり、ここでL
1
の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-Cy
1
-、-O-、-S-、-N(R
2
)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2
)-、-N(R
2
)C(O)N(R
2
)-、-N(R
2
)C(O)-、-N(R
2
)C(O)O-、-OC(O)N(R
2
)-、-S(O)
2
-、-S(O)
2
N(R
2
)-、-N(R
2
)S(O)
2
-、-OC(O)-、または-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
Cy
1
は、フェニレン、3~7員の飽和もしくは部分不飽和のカルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和のヘテロシクリレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
各R
2
は、水素もしくは必要に応じて置換されたC
1-6
脂肪族であり;
A
1
は、共有結合であるか、あるいは3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式カルボシクリレン、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式カルボシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式ヘテロシクリレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式ヘテロシクリレン、フェニレン、8~10員の二環式アリーレン、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリーレン、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレンから選択される必要に応じて置換された二価の環であり;
L
2
は、共有結合、アルキリデニレン、もしくは必要に応じて置換されたアルキレン鎖であり、ここでL
2
の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2
)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2
)-、-N(R
2
)C(O)N(R
2
)-、-N(R
2
)C(O)-、-N(R
2
)C(O)O-、-OC(O)N(R
2
)-、-S(O)
2
-、-S(O)
2
N(R
2
)-、-N(R
2
)S(O)
2
-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
2
は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する10~16員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の三環式環であり、ここで環A
2
は、1~4個のR
x
基で必要に応じて置換され;
各R
x
は、独立して、-R、必要に怖じて置換されたアルキリデニル、オキソ、ハロ、-NO
2
、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2
、-C(O)R、-CO
2
R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2
C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2
R、-C(O)N(R’)
2
、-S(O)
2
N(R’)
2
、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2
、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2
、-C(=NR’)N(R’)
2
、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
R、または-OC(O)N(R’)
2
であり;
各Rは、独立して、水素、あるいはC
1-6
脂肪族、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された基であり;
各R’は、独立して、-Rであるか、または同じ窒素上の2個のR’基は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5~8員の飽和、部分不飽和、もしくは芳香族の環を形成し;
L
3
は、共有結合もしくは必要に応じて置換されたC
1-4
アルキレン鎖であり、ここでL
3
の1個もしくはこれより多くのメチレン単位は、-O-、-S-、-N(R
2
)-、-C(O)-、-C(O)N(R
2
)-、-N(R
2
)C(O)N(R
2
)-、-N(R
2
)C(O)-、-N(R
2
)C(O)O-、-OC(O)N(R
2
)-、-S(O)
2
-、-S(O)
2
N(R
2
)-、-N(R
2
)S(O)
2
-、-OC(O)-、もしくは-C(O)O-によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
環A
3
は、3~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式炭素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する7~10員の飽和もしくは部分不飽和の二環式複素環式環、フェニル環、8~10員の二環式アリール環、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された環であり;
環A
4
は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環であり;ここで環A
4
上の任意の置換可能な炭素は、R
3
、R
4
、もしくはR
5
で必要に応じて置換され、環A
4
上の任意の置換可能な窒素は、R
6
で必要に応じて置換され;
R
3
、R
4
、およびR
5
の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2
、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2
、-C(O)R、-CO
2
R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2
C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2
R、-C(O)N(R’)
2
、-S(O)
2
N(R’)
2
、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2
、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2
、-C(=NR’)N(R’)
2
、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
R、もしくは-OC(O)N(R’)
2
であるか;あるいは:
R
3
およびR
4
、またはR
4
およびR
5
は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6
は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2
R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2
C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2
R、-C(O)N(R’)
2
、もしくは-S(O)
2
N(R’)
2
であるか;あるいは:
R
3
およびR
6
は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
ただし:
A
1
が二価の単環式環であり、L
1
が共有結合である場合、L
2
は、-O-ではない;
A
1
が二価の単環式もしくは二環式の環である場合、L
1
およびL
2
は、同時に共有結合ではない;ならびに
L
1
、A
1
、およびL
2
は、同時に共有結合ではない、
方法。
(項目2)
前記化合物は、式Isの化合物:
【化23】
またはその薬学的に受容可能な塩であり、ここで
環A
4
上の任意の置換可能な炭素は、R
3
、R
4
、もしくはR
5
で必要に応じて置換され、環A
4
上の任意の置換可能な窒素は、R
6
で必要に応じて置換され;
R
3
、R
4
、およびR
5
の各々は、独立して、-R、-ハロ、-NO
2
、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2
、-C(O)R、-CO
2
R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2
C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2
R、-C(O)N(R’)
2
、-S(O)
2
N(R’)
2
、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2
、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2
、-C(=NR’)N(R’)
2
、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
R、もしくは-OC(O)N(R’)
2
であるか;あるいは:
R
3
およびR
4
、またはR
4
およびR
5
は、これらの間にある原子と一緒になって、4~7員の部分不飽和の炭素環式環、フェニル、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
各R
6
は、独立して、-R、-C(O)R、-CO
2
R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2
C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2
R、-C(O)N(R’)
2
もしくは-S(O)
2
N(R’)
2
であるか;あるいは:
R
3
およびR
6
は、これらの間にある原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される必要に応じて置換された縮合環を形成し;
R
7
は、水素もしくはメチルであり;そして
各R
8
は、独立して、水素もしくはハロである、
請求項1に記載の方法。
(項目3)
環A
3
は、フェニルであり、該フェニルは、メタ位もしくはオルト位において1個もしくは2個のフッ素によって置換されている、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
(項目4)
前記化合物は、式Iyの化合物:
【化24】
であり、ここでR
3
は、-R、-ハロ、-NO
2
、-CN、-OR、-SR、-N(R’)
2
、-C(O)R、-CO
2
R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH
2
C(O)R、-S(O)R、-S(O)
2
R、-C(O)N(R’)
2
、-S(O)
2
N(R’)
2
、-OC(O)R、-N(R’)C(O)R、-N(R’)N(R’)
2
、-N(R’)OR、-N(R’)C(=NR’)N(R’)
2
、-C(=NR’)N(R’)
2
、-C=NOR、-N(R’)C(O)N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
N(R’)
2
、-N(R’)S(O)
2
R、もしくは-OC(O)N(R’)
2
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記化合物は、式Izの化合物:
【化25】
またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項4に記載の方法。
(項目6)
前記化合物は、
【化26】
ならびにこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
(項目7)
前記がんは、白血病、リンパ腫、および骨髄腫からなる群より選択される血液のがんである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記血液のがんは、未分化大細胞型リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、T細胞白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、および形質細胞白血病から選択される、請求項7に記載の方法。
(項目9)
被験体においてがんを処置することにおける使用のための薬学的組成物であって、ここで該がんの成長もしくは増殖は、PDK1-PIF媒介性基質相互作用に依存性であり、該組成物は、式Iの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む製剤を含む、薬学的組成物。
(項目10)
被験体においてがんを処置するための併用療法における使用のための薬学的組成物であって、該組成物は、式Iの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む製剤を含み、ここで該併用療法は、第2の抗がん剤の有効量をさらに含む、薬学的組成物。