(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】オブジェクト、オブジェクトを生成するための方法、およびオブジェクトの位置を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20220627BHJP
G01N 27/72 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G01D5/245 110K
G01D5/245 110M
G01N27/72
(21)【出願番号】P 2018532027
(86)(22)【出願日】2016-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2016081222
(87)【国際公開番号】W WO2017102963
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-04
(31)【優先権主張番号】102015121812.7
(32)【優先日】2015-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521524014
【氏名又は名称】ボーゲン マグネティックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、トルステン
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-225316(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10038296(DE,A1)
【文献】特開2014-116528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252,5/39-5/62
G01N 27/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)とスケール(3)とを有するオブジェクトであって、前記スケールは、
磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む印刷媒体を使用して前記基板(2)へ適用され、
前記印刷媒体を有する領域と、前記印刷媒体を有する領域同士の間に前記印刷媒体が無い領域(5)とを有し、
前記印刷媒体を有する領域および前記印刷媒体が無い領域(5)によって位置を示すように構成されているものであり、
前記基板(2)は、外部磁場が前記オブジェクト(1)へ印加された際、または前記磁気粒子の磁場が読み取られた際に、前記基板(2)よりも前記印刷媒体からより強い磁場が生成される磁気特性を有するものであり、前記スケール(3)は複数のスケールマーク(4)を有し、この複数のスケールマーク(4)は、その長さを識別することにより前記位置を絶対的に決定可能にする、異なる長さを有するものである、
オブジェクト。
【請求項2】
請求項1記載のオブジェクトにおいて、前記基板(2)は、実質的に磁性を有さず、実質的に磁化可能ではない磁気特性を有するものである、オブジェクト。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載のオブジェクトにおいて、前記スケールマーク(4)のうちの少なくとも1つは、前記印刷媒体を使用して前記基板(2)へ適用されたラベル(6)を用いてタグ付けされるものである、オブジェクト。
【請求項4】
請求項3記載のオブジェクトにおいて、前記スケールマークは、1μm~1mm、10μm~100μm、または1μm~10μmの幅を有するものである、オブジェクト。
【請求項5】
請求項1記載のオブジェクトにおいて、前記印刷媒体は、前記磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む顔料を有し、および/または、染料を有するものである、オブジェクト。
【請求項6】
請求項1記載のオブジェクトにおいて、前記印刷媒体は、前記磁化可能粒子および/または磁気粒子の、30体積%~90体積%、または40体積%~70体積%の充填度を有するものである、オブジェクト。
【請求項7】
請求項1記載のオブジェクトにおいて、前記磁化可能粒子は、顔料、セラミック粒子、および/または、希土類金属を有し、前記磁気粒子は、硬磁気粒子、顔料、微小磁石、セラミック粒子、および/または、希土類金属を有するものである、オブジェクト。
【請求項8】
請求項1記載のオブジェクトにおいて、前記磁化可能粒子および/または磁気粒子のサイズ分布の平均は2μm未満である、オブジェクト。
【請求項9】
請求項1~8のうちのいずれか1つに記載のオブジェクト(1)を作製する方法であって、
基板(2)を提供する工程と、
磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む印刷媒体を使用して、前記基板(2)へスケール(3)を適用することによりオブジェクト(1)を完成する工程と
を含み、
前記スケール(3)は、前記印刷媒体を有する領域と、前記印刷媒体が無い領域(5)とを有し、前記印刷媒体を有する領域および前記印刷媒体が無い領域(5)とによって位置を示すように構成されるものであり、
前記基板(2)は、外部磁場が前記オブジェクト(1)へ印加された際、または、前記磁気粒子の磁場が読み取られた際に、前記基板(2)よりも、前記印刷媒体からより強い磁場が生成される磁気特性を有するものであり、前記スケール(3)は複数のスケールマーク(4)を有し、この複数のスケールマーク(4)は、その長さを識別することにより前記位置を絶対的に決定可能にする、異なる長さを有するものである、
方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、適用中および/または適用後に前記スケール(3)を磁化する工程を含むものである、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記印刷媒体は、オフセット印刷、レーザ印刷、および/または、インクジェット印刷を含む印刷によって、前記基板(2)へ適用されるものである、方法。
【請求項12】
基板(2)とスケール(3)とを有するオブジェクト(1)の位置を決定する方法であって、
前記スケールは、磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む印刷媒体を使用して前記基板(2)へ適用され、前記印刷媒体を有する領域と前記印刷媒体が無い領域(5)とを有し、前記印刷媒体が無い領域(5)は、前記印刷媒体を有する領域同士の間に配置され、前記印刷媒体を有する領域および前記印刷媒体が無い領域(5)によって位置を示すように構成されているものであり、前記基板(2)は、外部磁場が前記オブジェクト(1)へ印加された際、または前記印刷媒体の前記磁気粒子の磁場が読み取られた際に、前記基板(2)よりも前記印刷媒体からより強い磁場が生成される磁気特性を有するものであり、前記スケール(3)は、複数のスケールマーク(4)を有し、この複数のスケールマーク(4)は、その長さを識別することにより前記位置を絶対的に決定可能にする、異なる長さを有するものであり、
オブジェクト(1)の測定位置から発生する磁場が存在するか否かを検出する工程であって、前記測定位置は前記スケール(3)の領域内に配置されるものである、前記検出する工程と、
前記測定位置から発生する磁場が検出されたかどうかに基づいて、および/または、前記測定位置から発生する前記磁場の形状に基づいて、前記オブジェクト(1)の位置を予測する工程と
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、外部磁場を前記測定位置に印加して前記スケールを磁化させる工程を含むものである、方法。
【請求項14】
請求項12~
13記載の方法において、前記磁場は、誘起効果および/または磁気抵抗効果、あるいは、異方性磁気抵抗効果、巨大磁気抵抗効果、磁気トンネル抵抗効果、および/または、ホール効果を使用して検出されるものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクト、オブジェクトを生成するための方法、およびオブジェクトの位置を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械エンジニアリングでは、たとえば、刃物送り台の位置を決定するために磁気リニアスケールを使用することが知られている。位置は、相対的な測定または絶対的な測定によって決定することができる。相対的な位置決定のために、交互する等幅のN極とS極の反復ビットパターンが測定される。反復ビットパターンは識別可能ではないので、相対的にのみ位置は識別可能であり、また、通過したビット数をカウントすることによって通常位置を確認することができる。絶対的な位置決定のために、2番目のトラックによって、トラック間の位相比によって、または、識別可能なビットパターンを使用することによってのいずれかで、ビットパターンがインデクス付けされる。第1の場合では、2番目のトラックが、個々のビットをインデクス付けし、個々のビットを識別可能にする。第2の場合では、典型的に、1だけ異なるビットパターンが、2つのトラックにおいて使用される。第3の場合では、たとえば、個々のスケールインクリメントが異なる幅からなり、たとえば、絶対的な開始点から大きさが増加する、識別可能なビットパターンが使用される。しかしながら、強力な磁場の存在下では、恐らく2ビットおきに逆方向に磁化される。その結果、ビットのすべてが同じ極性を有し、もはや位置が決定できなくなる。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 独国特許出願公開第10038296号明細書
(特許文献2) 米国特許第5,720,012号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2012/225264号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2014/063100号明細書
(特許文献5) 英国特許出願公告第878056号明細書
(特許文献6) 独国特許出願公開第602004013155号明細書
(特許文献7) 独国特許出願公開第69838830号明細書
(特許文献8) 欧州特許出願公開第0557149号明細書
(特許文献9) 米国特許第4,094,804号明細書
(特許文献10) 米国特許出願公開第2007/0060820号明細書
(特許文献11) 米国特許出願公開第2014/0306099号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、オブジェクト、オブジェクトを生成するための方法、および、強力な磁場の存在化であっても、オブジェクトの位置が誤り無く読み取られる、オブジェクトの位置を決定するための方法を生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかるオブジェクトは、基板とスケールとを有し、スケールは、磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む印刷媒体を使用して基板へ適用され、印刷媒体を有する領域と、印刷媒体が無く、印刷媒体を有する領域同士の間に位置された領域とを有し、印刷媒体を有する領域と、印刷媒体が無い領域とによって位置を示すように構成され、基板は、外部磁場がオブジェクトへ印加された際、または、磁気粒子の磁場が読み取られた際に、基板からよりも印刷媒体からより強い磁場が生成される磁気特性を有する。
【0005】
オブジェクトを作製するための本発明にかかる方法は、基板の提供をする工程と、磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む印刷媒体を使用して、基板へスケールを適用することによりオブジェクトを完成する工程とを有し、スケールは、印刷媒体を有する領域と、印刷媒体が無く、印刷媒体を有する領域同士の間に位置された領域とを有し、印刷媒体を有する領域と、印刷媒体が無い領域とによって位置を示すように構成され、基板は、外部磁場がオブジェクトへ印加された際、または、磁気粒子の磁場が読み取られた際に、基板よりも印刷媒体からより強い磁場が生成される磁気特性を有する。
【0006】
オブジェクトの位置を決定するための本発明にかかる方法は、オブジェクトの測定位置から発生する磁場が存在するか否かを検出する工程であって、測定位置はスケールの領域内に配置されるものである、前記検出する工程と、測定位置から発生する磁場が検出されたかどうかに基づいて、および/または、測定位置から発生する磁場の形状に基づいてオブジェクトの位置を予測する工程とを有する。
【0007】
本発明にかかるオブジェクト、オブジェクトを生成するための本発明にかかる方法、および、オブジェクトの位置を決定するための本発明にかかる方法によれば、オブジェクトの位置が、干渉している強い磁場の存在下であっても、誤り無く読み取られることが有利に達成される。それに加えて、印刷媒体を用いて、従来のビットパターンよりも小さな構造が生成される。したがって、本発明にかかるオブジェクトの位置は、従来のビットパターンよりもより高い精度で決定される。それに加えて、従来のビットパターンよりも、より廉価でオブジェクトが生成される。
【0008】
好適には、基板は、実質的に磁気を有さず、実質的に磁化可能ではない磁気特性を有する。その結果、印刷媒体を有する領域から、印刷媒体の無い領域への移行時に、特に大きな磁場の勾配が達成される。磁場における大きな勾配によって、印刷媒体を有する領域およびそれらの位置は、特に誤りの無い手法で、高精度で決定される。したがって、オブジェクトの位置が、高精度で決定される。
【0009】
スケールは、好適には、複数のスケールマーク、および/または、複数のキャラクタ、特に文字および/または数字を有する。スケールマークの使用によって、位置を決定するための方法において、スケールマークがカウントされ、オブジェクトの位置を相対的に決定することが可能である。異なる長さおよび/または幅のスケールマークを使用することによって、長さおよび/または幅を識別することにより、絶対的な位置の決定が実行される。オブジェクトの絶対的な位置の決定は、キャラクタを使用することによって実行される。絶対的な位置の決定はまた、スケールマークの複数のトラックを使用することによって実行される。
【0010】
好適には、スケールマークのうちの少なくとも1つが、印刷媒体を使用して基板へ適用されたラベルを用いてタグ付けされる。したがって、少なくとも、タグ付けされたスケールマークの絶対的な位置を決定することが可能である。
【0011】
好適には、スケールは、線形的、2次関数的、または対数的に分割されるか、または、スケールは、複数の識別ストライプのパターンから構成される。識別ストライプのパターンは、印刷媒体を使用して基板へ適用され、スケールの第1の位置と、スケールの長手方向において第1の位置から離間された第2の位置との間における識別ストライプのパターンの各々は、横方向に対してそれぞれ所定の傾斜角を有する。また、傾斜角の各々は、他の傾斜角の値とは異なる値を有する。スケールが位置を示すことができるように、スケールは、規則的に分割される。たとえば、バーコードまたはQR(登録商標)コードは、その不規則な構造によって、位置を識別するために使用することはできない。異なる傾斜角は、有利なことに、傾斜角を決定することによって、オブジェクトの絶対的な位置を容易に決定することを可能にする。
【0012】
スケールマークは好適には、1μm~1mm、特に10μm~100μm、特に1μm~10μmの幅を有する。オブジェクトの位置は、スケールマークの幅が小さいほど、より高い精度で確立される。この点について、幅が示されたスケールマークは、印刷媒体を使用して容易に生成される。
【0013】
好適には、印刷媒体は、特に、磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む顔料を有し、および/または、印刷媒体は、染料を有する。これは、スケールが、磁気的のみならず、光学的にも読み取られるという事実を有利に達成する。コストの理由で、顔料が磁化可能粒子および/または磁気粒子を含んでいるのであれば、磁化可能粒子を染料および/または顔料へさらに提供する必要はないので、特に有利である。
【0014】
印刷媒体は、好適には、磁化可能粒子および/または磁気粒子の、30体積%~90体積%、特に、40体積%~70体積%の充填度を有する。さらに、印刷媒体は、実質的に接着剤を含み、それに加えて、溶剤も提供されてもよい。接着剤は、オブジェクトへの印刷媒体の接着を保証する。溶剤は、染料を溶かすために提供されてもよい。磁化可能粒子および/または磁気粒子の、30体積%~、90体積%のパーセンテージは、パターンの高い磁性化を、同時の強い粘着力とともに、有利に達成する。約50体積%の充填度は、この観点において、特に好適である。
【0015】
好適には、磁化可能粒子は、顔料、セラミック粒子、および/または、希土類金属を有し、磁気粒子は、硬磁気粒子、顔料、微小磁石、セラミック粒子、および/または、希土類金属を有する。硬磁気粒子は、強い磁場強度を有しているので有利である。顔料は、磁石と着色剤との両方として機能するので、有利である。セラミック金属は、その耐化学性により有利である。希土類金属は、高い磁場強度を有する。
【0016】
磁化可能粒子および/または磁気粒子のサイズ分布の平均は、好適には、2μm未満である。磁化可能粒子が、たとえば球状であれば、そのサイズは、粒子直径を示す。磁化可能粒子の形が、球状以外であれば、そのサイズは、磁化可能粒子において生じる最大寸法である。小さな粒子サイズにより、磁化可能粒子および/または磁気粒子は、特に、既に磁化された状態にある硬磁気粒子である場合、外部磁場におけるオブジェクトの位置を決定するための方法に従うことは容易であるので、印刷媒体を有する領域の、特に強い磁化の達成を可能にする。
【0017】
好適には、印刷媒体は印刷媒体の中心領域が凹形状になるように形成され、その端部領域が隆起される。したがって、外部磁場がオブジェクトへ印加された際、印刷媒体から発生する磁場は、印刷媒体を有する領域から印刷媒体の無い領域への移行時において高い勾配を有する。高い勾配は、特に正確な手法で位置が決定されることを可能にする。
【0018】
好適には、印刷媒体は、印刷によって基板へ適用される。このための考えられるオプションは、オフセット印刷、レーザ印刷、および/または、インクジェット印刷を含む。
【0019】
好適には、オブジェクトを生成するための方法は、その適用中および/または適用後にスケールを磁化する工程を含む。この点について、スケールの磁化は、好適には、印刷媒体の接着剤の硬化前に生じる。これは、印刷媒体において既に磁化状態にある硬磁気粒子のために特に適切である。磁化によって粒子へ与えられる方位は、接着剤の硬化によって適所に固められる。
【0020】
スケールの適用前に、磁化可能粒子および/または磁気粒子の集塊を阻止するために、印刷媒体が攪拌され得、および/または、ふるいが印刷媒体のフローに提供される。ふるいのメッシュ穴は、個々の磁化可能粒子および/または磁気粒子が、ふるいを貫通するが、粒子の集塊が、ふるいによって保持されるような寸法とされる。
【0021】
好適には、オブジェクトを生成するための方法は、印刷媒体の基板への適用中および/または適用後に、印刷媒体の中心領域が凹形状になるように形成して端部領域を隆起させる工程を含み、それにより、外部磁場がオブジェクトへ印加された際、印刷媒体から発生する磁場は、前記印刷媒体を有する領域から前記印刷媒体の無い領域への移行時において、前記形成する工程前の勾配よりもより高い勾配を有する。
【0022】
好適には、オブジェクトの位置を決定するための方法は、スケールが磁化可能になるように、外部磁場を測定位置へ加える工程を含む。
【0023】
好適には、測定位置から発生する磁場は、誘起効果および/または磁気抵抗効果、特に、異方性磁気抵抗効果、巨大磁気抵抗効果、磁気トンネル抵抗効果、および/または、ホール効果を使用して検出される。この場合、巨大磁気抵抗効果および磁気トンネル抵抗効果を使用することによって、印刷媒体を有する特に小さな領域を読み取ることが可能である。この結果、特に高い位置決め精度となる。
【0024】
本発明にかかるオブジェクトの3つの好適な実施形態が、添付された概念図に基づいて、以下に、より詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、等しい長さのスケールマークを備えたスケールを有する、第1のオブジェクトの実施形態を図示する。
【
図2】
図2は、数字を備えたスケールを有する、第2のオブジェクトの実施形態を図示する。
【
図3】
図3は、異なる長さのスケールマークを備えたスケールを有する、第3のオブジェクトの実施形態を図示する。
【
図4】
図4は、異なる傾斜角を有する識別ストライプを備えたスケールを有する、第4のオブジェクトの実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~
図4から明らかなように、オブジェクト1は、基板2およびスケール3を有する。スケール3は、磁化可能粒子および/または磁気粒子を有する印刷媒体を使用して、基板2へ適用される。スケール3は、印刷媒体を有する領域と、印刷媒体の無い領域5とを有し、印刷媒体を有する領域と、印刷媒体の無い領域5とによって、複数の位置を示すように設計される。基板2の磁気特性は、外部磁場がオブジェクト1へ印加された場合、または、印刷媒体から磁気粒子の磁場が読み取られた場合、基板2の磁場よりも、より強い磁場が生成されるものである。これを達成するために、基板2の磁気特性は、基板2が実質的に磁性を有さず、実質的に磁化可能ではない。たとえば、基板2は、アルミニウムから構成される。
【0027】
印刷媒体は、特に磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む顔料、および/または、染料を有してもよい。さらに、印刷媒体は、磁化可能粒子および/または磁気粒子の、30体積%~90体積%の、特に40体積%~70体積%の充填度を有してもよい。磁化可能粒子は、顔料、セラミック粒子、および/または、希土類金属を有し得、磁気粒子は、硬磁気粒子、顔料、微小磁石、セラミック粒子、および/または、希土類金属を有してもよい。磁化可能粒子および/または磁気粒子のサイズ分布の平均は、2μm未満であってもよい。磁化可能粒子が、たとえば球状であれば、そのサイズは、粒子直径を示す。磁化可能粒子の形が、球状以外であれば、そのサイズは、磁化可能粒子において生じる最大寸法である。
【0028】
図1~
図3における3つの実施形態のスケールは、線形的に分割されたスケールである。2次関数的に分割された、または、対数的に分割されたスケールもまた考えられる。ノギスシステム、および、可変傾斜角を有するシステムもまた考えられる。対照的に、バーコードまたはQR(登録商標)コードを使用して位置を識別することは、バーコードまたはQR(登録商標)コードの不規則な構造により、可能ではない。
図1にかかる第1の実施形態のスケール3は、複数のスケールマーク4を有する。これらは、印刷媒体を使用して基板2へ適用され、印刷媒体を有する領域を構成する。この実施形態では、スケールマーク4のすべてが、同じ長さl
1および同じ幅d
1を有する。2つの隣接するスケールマーク4同士の間の印刷媒体の無い領域5の幅は、d
2であり、隣接するスケールマーク4の各ペアについても同様に同じである。したがって、第1の実施形態にかかるスケール3は、線形的に分割される。このスケールのインクリメントzは、z=d
1+d
2である。
【0029】
図2にかかる第2の実施形態のスケール3は、複数の数字7を有する。これらは、印刷媒体を使用して基板2へ適用され、印刷媒体を有する領域を構成する。数字7は、昇順で配置される。2つの隣接する数字7の間には、印刷媒体の無いそれぞれの領域5がある。このスケールのインクリメントzは、隣接する数字の各ペアについて同じである。したがって、第2の実施形態にかかるスケール3は、線形的に分割される。インクリメントzは、たとえば、2つの隣接する数字の重心間の距離である。
【0030】
図3にかかる第3の実施形態のスケール3は、複数のスケールマーク4を有する。これらは、印刷媒体を使用して基板2へ適用され、印刷媒体を有する領域を構成する。この実施形態では、スケールマーク4のすべてが、同じ幅d
1を有する。2つの隣接するスケールマーク4同士の間の印刷媒体の無い領域5の幅は、d
2であり、隣接するスケールマーク4の各ペアについても同様に等しい。したがって、第3の実施形態にかかるスケール3は、線形的に分割される。このスケールのインクリメントzは、z=d
1+d
2である。第3の実施形態にかかるスケール3は、長さl
1を有するスケールマークと、長さl
2を有するスケールマークと、長さl
3を有するスケールマークとを有し、l
3>l
2>l
1である。スケール3は、各10番目のスケールマーク4が、長さl
3を有するように形成される。長手方向において、スケール3は、長さl
3の1つのスケールマーク4と、長さl
1の4つのスケールマーク4と、長さl
2の1つのスケールマーク4と、長さl
1の4つのスケールマーク4とをそれぞれ有する。
【0031】
第4の実施形態のスケール3は、パターンからなり、パターンは、印刷媒体を使用して基板2へ適用された識別ストライプ12から構成され、スケール3の第1の位置9と、スケール3の長手方向11において第1の位置9から離間された第2の位置10との間で、識別ストライプ12から識別ストライプ12へと、傾斜角8のおのおのが、他の傾斜角8の値とは異なる値を有するような、あらかじめ定められた手法で、横方向11に対するそれぞれの傾斜角8で、おのおの傾斜される。長手方向と横方向11は、同様である。
【0032】
2次関数的に分割されたスケール、または、対数的に分割されたスケールが使用されるのであれば、スケールの長手方向においてインクリメントが変化する。
【0033】
4つの実施形態にかかるオブジェクト1は、基板2を提供する工程と、磁化可能粒子および/または磁気粒子を含む印刷媒体を使用して、基板2へスケール3を適用することによりオブジェクト1を完成する工程によって作製される。この場合、印刷媒体は、印刷によって、特に、オフセット印刷、レーザ印刷、および/または、インクジェット印刷によって、基板2へ適用される。
【0034】
前記方法は、印刷媒体の基板2への適用中および/または適用後に、印刷媒体の中心領域が凹形状になるように形成して端部領域を隆起させる工程を含み、それにより、外部磁場がオブジェクトへ印加された際、印刷媒体から発生する磁場は、印刷媒体を有する領域から前記印刷媒体の無い領域5への移行時において、前記形成する工程前の勾配よりもより高い勾配を有することが考えられる。
【0035】
4つの実施形態にかかるオブジェクト1の位置は、以下のように読み取られる。すなわち、オブジェクト1の測定位置へ外部磁場を加え、測定位置は、スケール3が磁化可能になるように、スケール3の領域内に配置され、測定位置から発生する磁場が存在するか否かを検出し、測定位置から発生する磁場が検出されたかどうかに基づいて、および/または、測定位置から生じる磁場の形状に基づいて、オブジェクト1の位置を予測する。この場合、誘起効果および/または磁気抵抗効果、特に、異方性磁気抵抗効果、巨大磁気抵抗効果、磁気トンネル抵抗効果、および/または、ホール効果を使用して磁場を検出することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1...オブジェクト
2...基板
3...スケール
4...スケールマーク
5...印刷媒体の無い領域
6...ラベル
7...数字
8...傾斜角
9...第1の位置
10...第2の位置
11...横方向
12...識別ストライプ
d1...スケールマークの幅
d2...印刷媒体の無い領域の幅
z...インクリメント
l1...スケールマークの長さ
l2...スケールマークの長さ
l3...スケールマークの長さ