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▶ キューサーティー スポーツ サイエンス エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】外傷性脳損傷保護装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20220627BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20220627BHJP
   A63B 71/08 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A41D13/00 105
A61B17/12
A63B71/08 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018545122
(86)(22)【出願日】2016-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 US2016062335
(87)【国際公開番号】W WO2017087556
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2019-11-18
(31)【優先権主張番号】62/256,093
(32)【優先日】2015-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517172975
【氏名又は名称】キューサーティー スポーツ サイエンス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Q30 SPORTS SCIENCE,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィラ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギーエフ,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】トレンブレイ,マーティン
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-517654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0343599(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00
A61B 17/12
A63B 71/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの対象の頸部周囲に着用するよう寸法決めされたモジュール式カラーであって、
(a)第1の端部の第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の噛み合う対部材とを有する中央部材と、
(b)第1の端部の相補的な第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第1の圧迫器とを有する第1の側部部材と、
(c)第1の端部の相補的な第2の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の圧迫器とを有する第2の側部部材と
を備え、
前記第1の噛み合う対部材は前記相補的な第1の噛み合う対部材と噛み合わせ、前記第2の噛み合う対部材は前記相補的な第2の噛み合う対部材と噛み合わせて、前記組み立てられたカラーが180°より大きい円弧を画定し、
前記第1及び第2の圧迫器は、それぞれ前記第1及び第2の側部部材に摺動可能に係合されており、且つ前記カラーが前記頸部の周囲に着用されたときに前記対象の2つ以上の頸部静脈に接触するように前記カラー上に配置され、
着用時に前記第1及び第2の圧迫器に内側に向く力を加えるように適合されており且つ該第1及び第2の圧迫器が身体に向く方向に拡張可能である、前記カラー。
【請求項2】
前記第1の噛み合う対と前記第2の噛み合う対が可逆的な取り付けを形成する、請求項1に記載のモジュール式カラー。
【請求項3】
前記圧迫器が前記側部部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項1~2のいずれか一項に記載のモジュール式カラー。
【請求項4】
前記中央部材が、前記身体に向いている面に取り付けられた嵌合調整要素をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載のモジュール式カラー。
【請求項5】
前記嵌合調整要素が膨張式である、請求項に記載のモジュール式カラー。
【請求項6】
ヒトの対象の頸部周囲に着用するように寸法決めされたカラーを構築するためのモジュール式カラーシステムであって、
(a)第1の端部の第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の噛み合う対部材とを有する1つ以上の中央部材と、
(b)第1の端部の相補的な第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第1の圧迫器とを有する2つ以上の第1の側部部材と、
(c)該第1の側部部材の数と等しい数の第2の側部部材であって、各々の該第2の側部部材は第1の端部の相補的な第2の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の圧迫器とを有する前記第2の側部部材とを備え、
前記第1の噛み合う対の前記噛み合わせと前記第2の噛み合う対の前記噛み合わせにより180°より大きい円弧を画定するカラーが形成され、
前記第1及び第2の圧迫器は、前記装置が前記頸部の周囲に着用されたときに前記対象の2つ以上の頸部静脈に接触するように前記カラー上に配置され、
前記カラーは、着用時に前記第1及び第2の圧迫器に内側に向く力を加えるように適合されており、且つ該第1及び第2の圧迫器が身体に向く方向に拡張可能である、システム。
【請求項7】
前記第1の噛み合う対と前記第2の噛み合う対が可逆的な取り付けを形成する、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1及び第2の圧迫器がそれぞれ前記第1及び第2の側部部材に摺動可能に係合されている、請求項またはに記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上の中央部材が、前記身体に向いている面に取り付けられた嵌合調整要素をさらに備える、請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記嵌合調整要素が膨張式である、請求項に記載のモジュール式カラー。
【請求項11】
前記システムが2つ以上の中央部材を備える、請求項10のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳震盪を含む外傷性脳損傷の緩和及び防止のための頸部カラー装置及びシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
外傷性脳損傷(TBI)は、人間が衝撃または外的な力を受けたときに起こり得る。例えば、TBIは、選手に互いとのまたはグラウンド/競技台表面(例えば、サッカー、アイスホッケーなど)との物理的接触があったり、選手がボール(例えば、サッカー)と接触したりするスポーツで生じ得る。TBIはまた、個人(軍事要員)が爆発性の装置に起因するものを含む、爆発または圧力波に曝される場合に発生する可能性がある。一般に、有害な力は、頭部に力を伝えるか、頭部に急激な回転、加速、及び/または減速を受けさせるように、頭部または身体の他の場所に加えられる可能性がある。
【0003】
通常、頭部を損傷から保護するために、ヘルメットを使用している。ヘルメットは、深達性の脳損傷及び頭蓋骨の骨折に対する保護に非常に有効であり得るが、脳震盪などの頭蓋内損傷に対する保護にはほとんど効果を示さないことが判明している。これらの頭蓋内損傷は、衝突、爆風、及び/または急な加速/減速中に脳が受ける回転性の力及び他の力に起因すると考えられている。
【0004】
頭蓋内血圧及び/または血液の体積を増加させると、脳構造自体の回復係数を増加させることにより、深達性の脳損傷のない状態でTBIの発生を低減または防止することができることが発見されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4、特許文献5、及び特許文献6参照)。頭蓋内血圧及び/または血液の体積を増加させるための1つの安全かつ有効な方法は、1つまたは複数の頸部の静脈を通る血流の部分的または完全な閉塞によるものである(例えば、内頸静脈(複数可)及び/または外頸静脈(複数可))。したがって、頸部の静脈の血流を閉塞し、正確なサイジング、位置決め、及び頸部静脈圧の供給が可能である便利で着用可能な装置に対する必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,985,120号明細書
【文献】米国特許第9,168,045号明細書
【文献】米国特許第9,173,660号明細書
【文献】米国特許第8,900,169号明細書
【文献】米国特許出願公開第13/489,536号明細書
【文献】米国特許出願公開第14/317,282号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、カラーを着用する対象において、外傷性脳損傷(TBI)(例えば、脳震盪)の重篤度を軽減するため、またはその発生を防止するために使用できるモジュール式及び拡張可能なカラーを構築するためのモジュール式カラー、拡張可能なカラー、及びシステムならびに構成要素を提供する。いくつかの実施形態では、対象が、例えば頭部を含む身体の任意の部分に送達される震盪を起こす力(例えば、衝突または爆風)を受けるとき、TBIは緩和または防止される。カラーは、例えば、内頸静脈(IJV)、外頸静脈(EJV)、またはその両方を含む1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多い)の頸部静脈に圧力を加えることによって機能する。頸部静脈圧は、外部の震盪を起こす力の前及びその間に加えられる。
【0007】
一態様では、本発明は、ヒトの対象の頸部周囲に着用するよう寸法決めされたモジュール式カラーを提供し、カラーは、(a)第1の端部の第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の噛み合う対部材とを有する中央部材と;(b)第1の端部の相補的な第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第1の圧迫器とを有する第1の側部部材と;(c)第1の端部の相補的な第2の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の圧迫器とを有する第2の側部部材とを備える。カラーは第1の噛み合う対部材を相補的な第1の噛み合う対部材と噛み合わせ、第2の噛み合う対部材を相補的な第2の噛み合う対部材と噛み合わせて組み立てられ、組み立てられたカラーが実質的に円形(例えば、円形、長円形、または楕円形)を有し、180°より大きい円弧(例えば、210°、240°、270°、300°、または330°より大きい、または例えば約180°~300°を含む任意の中間範囲)を画定するようにする。
【0008】
別の態様では、本発明は、ヒトの対象の頸部周囲に装着するように寸法決めされたカラーを構築するためのモジュール式カラーシステムを提供し、システムは、(a)第1の端部の第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の噛み合う対部材とを有する1つ以上の中央部材と;(b)第1の端部の相補的な第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第1の圧迫器とを有する1つ以上の第1の側部部材と;(c)第1の端部の相補的な第2の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の圧迫器とを有する1つ以上の第2の側部部材とを備える。システムは上で定義したように、1つまたは複数のカラーを組み立てるために使用される。各カラーは、中央部材、第1の側部部材、及び第2の側部部材を選択することによって組み立てられ、完全に組み立てられたカラーが、使用者が所望する適切なサイズ及び機能を有するようにする。カラーは、(選択された第1の側部アーム上の)第1の噛み合う対部材を(選択された中央部材上の)相補的な第1の噛み合う対部材と噛み合わせ、(選択された第2の側部アーム上の)第2の噛み合う対部材を(選択された中央部材上の)相補的な第2の噛み合う対部材と噛み合わせて組み立てられ、組み立てられたカラーが実質的に円形(例えば、円形、長円形、または楕円形)を有し、180°より大きい円弧(例えば、210°、240°、270°、300°、または330°より大きい、または例えば約180°~300°を含む任意の中間範囲)を画定するようにする。任意選択で、システムは、2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い)の中央部材を提供する。任意選択で、システムは、複数の中央部材の代わりに、またはそれに加えて、2つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い)第1の側部部材及び第2の側部部材を提供する。一実施形態では、第1及び第2の側部部材は、適合する対で提供され、したがって、等しい数で存在するが、必ずしもそうであるわけではない。
【0009】
前述の態様のいずれかにおいて、組み立てられたカラーは、一般に対称である(例えば、第1及び第2の側部部材は同じ長さ、曲率、及び他の構造/機能的特徴を有する)が、非対称的なカラーを、異なる大きさの側部部材、またはオフセットの中央部材(すなわち、その中心軸の両側で対称ではない)を使用することによって、構成し得る。組み立てられると、第1及び第2の圧迫器は、カラーを頸部の周囲に着用するときに、それらが対象の2つ以上の頸部静脈に接触するようにカラーに配置され、カラーは、着用したとき第1及び第2の圧迫器に内側に向く力を加えるよう適合される。噛み合う対部材は、可逆的な取り付け、恒久的/不可逆的な取り付け、または摺動可能な取り付け(可逆的でも非可逆的でも)を形成して、モジュール式の調整可能なカラーを形成することができる。
【0010】
前述の態様のいずれかにおいて、第1及び第2の圧迫器は、側部部材に恒久的に固定しても、取り外し可能であってもよい。任意選択で、圧迫器は、カラーの身体に向いている面に沿って転位することができるように側部部材と摺動可能に係合される。いくつかの実施形態では、圧迫器は、身体に向く方向に拡張可能である(すなわち、頸部静脈に対してより多くの圧力を加え、及び/またはより堅固な/より確実な嵌合を提供するために、拡張してカラー本体/圧迫器の組み合わせの厚さを増大する)。任意選択で、圧迫器は膨張式である(例えば、膨張式ブラダを含む)。膨張式要素は、一体化されたポンプ(例えば、バルブポンプ)を用いて膨張されてもよく、または外部のガス源への接続を介して膨張してもよい。任意選択で、膨張式要素はまた、所定の圧力を超えたときに膨張ガスを自動的に放出するように構成しても、及び/または膨張ガスを放出するように手動で操作してもよい圧力解放弁を含む。
【0011】
前述の態様のいずれかにおいて、中央部材(複数可)はまた、身体に向いている面に取り付けられた嵌合調整要素を含む。嵌合調整要素は、中央部材に恒久的に固定しても、取り外し可能であってもよい。それは、硬質、半硬質、及び/または圧縮可能な形態、例えばフォームパッドまたは硬質プラスチックの形状を含むことができる。任意選択で、嵌合調整要素は、膨張式(例えば、膨張式ブラダを含む)である。膨張式要素は、一体化されたポンプ(例えば、バルブポンプ)を用いて膨張しても、外部のガス源への接続を介して膨張してもよい。任意選択で、膨張式要素はまた、所定の圧力を超えたときに膨張ガスを自動的に放出するように構成しても、及び/または膨張ガスを放出するように手動で操作してもよい圧力解放弁を含む。
【0012】
別の態様では、本発明は、ヒト対象の頸部の周囲に装着するように寸法決めされたカラーを構築するためのモジュール式カラーシステムを提供し、システムは(a)第1の端部の第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第2の噛み合う対部材とを有する1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い)の中央部材と;(b)第1の端部の相補的な第1の噛み合う対部材と、第2の端部の第3の噛み合う対部材とを有する1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い)の第1の側部部材と;(c)第1の端部の相補的な第2の噛み合う対部材と、第2の端部の第3の噛み合う対部材とを有する1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い)の第2の側部部材と;(d)外側に向いた側にそれぞれ相補的な第3の噛み合う対部材を有する1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い)の第1の圧迫器と1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い)の第2の圧迫器とを含む。システムは、上で定義したように、1つまたは複数のカラーを組み立てるために使用する。各カラーは、中央部材(複数設けられている場合)、第1の側部部材(複数設けられている場合)、第2の側部部材(複数設けられている場合)、第1の圧迫器(複数設けられている場合)を選択することによって組み立てられ、完全に組み立てられたカラーが、使用者が所望する適切なサイズ及び特徴を有するようにする。カラーは、(選択された第1の側部アーム上の)第1の噛み合う対部材を(選択された中央部材上の)相補的な第1の噛み合う対部材と噛み合わせ、(選択された第2の側部アーム上の)第2の噛み合う対部材を(選択された中央部材上の)相補的な第2の噛み合う対部材と噛み合わせて組み合わせ、組み立てられたカラーが実質的に円形(例えば、円形、長円形、または楕円形)を有し、180°より大きい円弧(例えば、210°、240°、270°、300°、または330°より大きい、または例えば約180°~300°を含む任意の中間範囲)を画定するようにする。各圧迫器は、側部部材上の第3の噛み合う対部材を、対応する圧迫器の相補的な第3の噛み合う対部材と噛み合わせることによって、それぞれの側部部材に取り付けられる。組み立ての順序は、装置の全体構成にとって重要ではないことが理解される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の側部部材は、適合する対で提供され、したがって、等しい数で存在するが、必ずしもそうであるわけではない。
【0013】
組み立てられたカラーは、一般に対称である(例えば、第1及び第2の側部部材は同じ長さ、曲率、及び他の構造/機能的特徴を有する)が、非対称的なカラーを、異なる大きさの側部部材、またはオフセットの中央部材(すなわち、その中心軸の両側で対称ではない)を使用することによって、構成しうる。組み立てられると、第1及び第2の圧迫器は、カラーを頸部の周囲に着用するときに、それらが対象の2つ以上の頸部静脈に接触するようにカラーに配置され、カラーは、着用したとき第1及び第2の圧迫器に内側に向く力を加えるよう適合される。噛み合う対部材は、可逆的な取り付け、恒久的/不可逆的な取り付け、または摺動可能な取り付け(可逆的でも非可逆的でも)を形成して、モジュール式の調整可能なカラーを形成することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の圧迫器は、適合する対で提供され、したがって、等しい数で存在するが、必ずしもそうであるわけではない。噛み合う対部材は、可逆的な取り付け、恒久的な/不可逆的な取り付けを形成することができる。任意選択で、圧迫器は、カラーの身体に向いている面に沿って転位することができるように側部部材と摺動可能に係合される。いくつかの実施形態では、圧迫器は、身体に向く方向に拡張可能である(すなわち、頸部静脈に対してより多くの圧力を加え、及び/またはより堅固な/より確実な嵌合を提供するために、拡張してカラー本体/圧迫器の組み合わせの厚さを増大する)。任意選択で、圧迫器は膨張式である(例えば、膨張式ブラダを含む)。膨張式要素は、一体化されたポンプ(例えば、バルブポンプ)を用いて膨張されてもよく、または外部のガス源への接続を介して膨張してもよい。任意選択で、膨張式要素はまた、所定の圧力を超えたときに膨張ガスを自動的に放出するように構成しても、及び/または膨張ガスを放出するように手動で操作してもよい圧力解放弁を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、中央部材(複数可)はまた、身体に向いている面に取り付けられた嵌合調整要素を含む。嵌合調整要素は、中央部材に恒久的に固定しても、取り外し可能であってもよい。それは、硬質、半硬質、及び/または圧縮可能な形態、例えばフォームパッドまたは硬質プラスチックの形状を含むことができる。任意選択で、嵌合調整要素は、膨張式(例えば、膨張式ブラダを含む)である。膨張式要素は、一体化されたポンプ(例えば、バルブポンプ)を用いて膨張しても、外部のガス源への接続を介して膨張してもよい。任意選択で、膨張式要素はまた、所定の圧力を超えたときに膨張ガスを自動的に放出するように構成しても、及び/または膨張ガスを放出するように手動で操作してもよい圧力解放弁を含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、ヒトの対象の頸部周囲に着用されるように寸法決めされた拡張可能なカラーを提供し、カラーは(a)第1の端部及び第2の端部を有する中央部材と;(b)中央部材の第1の端部に摺動可能に係合された第1の端部と、第1の圧迫器を含む第2の端部とを有する第1の側部部材と;(c)中央部材の第2の端部に摺動可能に係合された第1の端部と、第2の圧迫器を含む第2の端部とを有する第2の側部部材とを含み、カラーは、直径Dを有する180°より大きい円弧(例えば、210°、240°、270°、300°または330°より大きい、または例えば約180°~300°を含む任意の中間範囲)を画定し;第1の側部部材と中央部材との摺動可能な係合と、第2の側部部材と中央部材との摺動可能な係合によって直径Dが変更され;着用時に第1及び第2の圧迫器に内側に向く力を加えるように適合されている。
【0017】
圧迫器は、本明細書で説明するように、取り外し可能であっても、側部部材に恒久的に固定してもよく、摺動可能に係合または固定してもよい。いくつかの実施形態では、圧迫器は、身体に向く方向に拡張可能である(すなわち、頸部静脈に対してより多くの圧力を加え、及び/またはより堅固な/より確実な嵌合を提供するために、拡張してカラー本体/圧迫器の組み合わせの厚さを増大する)。任意選択で、圧迫器は膨張式である(例えば、膨張式ブラダを含む)。膨張式要素は、一体化されたポンプ(例えば、バルブポンプ)を用いて膨張されてもよく、または外部のガス源への接続を介して膨張してもよい。任意選択で、膨張式要素はまた、所定の圧力を超えたときに膨張ガスを自動的に放出するように構成しても、及び/または膨張ガスを放出するように手動で操作してもよい圧力解放弁を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、膨張式カラーと、2対以上の取り外し可能な圧迫器対とを含むシステムを提供する。圧迫器は、適合する対で提供され、したがって、等しい数で存在するが、必ずしもそうであるわけではない。
【0018】
前述の態様のいずれかにおいて、中央部材(複数可)はまた、身体に向いている面に取り付けられた嵌合調整要素を含む。嵌合調整要素は、中央部材に恒久的に固定しても、取り外し可能であってもよい。それは、硬質、半硬質、及び/または圧縮可能な形態、例えばフォームパッドまたは硬質プラスチックの形状を含むことができる。任意選択で、嵌合調整要素は、膨張式(例えば、膨張式ブラダを含む)である。膨張式要素は、一体化されたポンプ(例えば、バルブポンプ)を用いて膨張しても、外部のガス源への接続を介して膨張してもよい。任意選択で、膨張式要素はまた、所定の圧力を超えたときに膨張ガスを自動的に放出するように構成しても、及び/または膨張ガスを放出するように手動で操作してもよい圧力解放弁を含む。
【0019】
別の態様では、本発明は、震盪を起こす力に曝される前及び間に、本明細書に記載されているように、カラー装置を対象(例えば、震えの曝露の危険性があると識別された対象)の頸部に適用することにより、その震盪を起こす力に曝されることで生じるTBI、または内耳及び/または眼の構造に対する損傷を軽減または防止する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】喉頭の隆起部で開いている、対象の頸部の周囲に着用された部分的に周状のカラーを示す。
図2】カラー本体とカラー装置の特定の特徴を示す単一のカラー本体の概略図である。
図3】単一のカラー本体の平面図である。
図4】モジュール式カラー本体の概略図である。
図5】別のモジュール式カラー本体の概略図である。
図6】モジュール式カラー本体の様々な要素と共に使用できるコネクタシステムの概略図である。
図7】モジュール式カラー本体の様々な要素と共に使用できる別のコネクタシステムの概略図である。
図8】モジュール式カラー本体の様々な要素と共に使用できる磁気コネクタシステムの概略図である。
図9】拡張可能なカラー本体の概略図である。
図10】拡張可能なカラー本体の様々な要素と共に使用できるコネクタの概略図である。
図11図10に示すコネクタシステムの断面図である。
図12図10に示すコネクタシステムの別の断面図である。
図13】戻り止め及びノッチのサイズ調節システムの概略図である。
図14】調整可能な圧迫器を有するカラー本体の概略図である。
図15】調整可能な圧迫器について使用するためのカラー本体噛み合いシステムの概略図である。
図16】調整可能な圧迫器及び係合機構の概略図である。
図17】カラー本体と係合した調整可能な圧迫器を示す概略図である。
図18】カラー本体と係合した別の調整可能な圧迫器を示す概略図である。
図19】圧縮状態の拡張可能圧迫器を示す概略図である。
図20】拡張状態の拡張可能圧迫器を示す概略図である。
図21】身体に向いている面の嵌合調整要素を有する単一のカラー本体の概略図である。
図22】複数の曲げ角度センサを有するカラーを示す概略図である。
図23】1つのタイプの曲げ角度センサの構成要素を示す概略図である。
図24】組み立てられた曲げ角度センサの概略図である。
図25】保護ハウジング内の曲げ角度センサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、対象の頸部の周囲に着用するように設計され、例えば、内頸静脈(IJV)及び外頸静脈(EJV)を含む1つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれより多い)頸部静脈に圧力を加えるように設計されたカラー装置を提供する。カラーは、部分的に周状である(すなわち、対象の頸部の一部のみの周囲に延在する)。いくつかの実施形態では、部分的に周状のカラーは、後部か前部で開いて(すなわち、喉頭の隆起部を露出させる)おり、カラーを装着するときに対象の頸部が開口部を通るように設計される。任意選択で、後部が開いたカラーの前部(すなわち、咽喉及び喉頭の隆起部の上に位置する領域)には、下部の頸部構造を、切り傷(例えば、ホッケー用スケートシューズ)、またはスポーツ用装具の他のピース(例えば、パック、ボール、スティック、ラケットなど)との接触から生じる鈍い外傷から保護するのに有用な硬質の保護用部材が含まれる。同様に、前部が開いたカラーは、カラーを装着した後に独立して取り付け得る同様の保護用ピースを有することができる。例えば、硬質の前部保護用部材は、全体が取り外し可能かつ取り付け可能な、任意のタイプの適切な可逆性閉鎖を用いるのであっても、一方の側はヒンジにより、他方の側は可逆性閉鎖により係合してもよく、装着する間は頸部が通るよう前部開口部が開いていて、その後はカラーを所定の位置に置いた後に前部保護用部材を閉鎖し得るようにする。
【0022】
カラーは内側に向いている圧迫器を有し、この圧迫器は頸部静脈を覆う領域にある頸部に接触してその頸部静脈に圧力を加えるようにする隆起部または肥厚部であり得る。内側に向いている突出部は、プラスチック、発泡体、金属または任意の他の適切な材料で作られた非膨張性の剛性または半剛性のスタッドまたはパッド、またはパッドなどの膨張式部材とすることができる。この肥厚部は、膨張式でも非膨張式であってもよく、剛性でも半剛性であってもよく、プラスチック、フォームまたは金属を含む任意の適切な材料から形成してもよい。任意の膨張式要素は膨張装置を有し、カラーに一体化された一体型または作動可能に連結されたバルブポンプ、または外部加圧ガス源からの膨張に由来するポートであり得る。任意選択で、膨張式要素のいずれかは、所定の圧力で膨張ガスを自動的に放出/通気するように構成できる圧力解放弁に作動可能に連結する。
【0023】
任意選択で、カラーは、例えば圧力センサや加速度計を含む1つまたは複数のモニタまたは記録装置を含むことができる。任意選択で、カラー装置は、センサ(複数可)に動作可能にリンクされた有線または無線の通信インターフェースと、センサのデータを記憶するように構成された任意選択のデジタルメモリユニットとを有する。通信インターフェースは、無線周波数送信機(例えば、Bluetooth、WiFiなど)や有線インターフェース(例えば、USBポート)であってもよい。
【0024】
カラーの構成及び使用の原理及び特徴は、本明細書において、米国特許第8,985,120号、第9,168,045号及び第9,173,660号、米国特許出願公開第2014/0142616号及び第2014/0343599号、ならびにPCT公開WO2012/054262及びWO2013/05409に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
カラーの設計と構成
図1図3は、衝撃または他の外的な力によって引き起こされる脳震盪などの外傷性脳損傷(TBI)から対象を保護する、対象の頸部に着用するように適合されたカラー10の例を示す。カラー10は、1つ以上の頸部の静脈に圧力を加えるように構成される。頸部静脈に加えられる圧力は、頭蓋内血圧及び/または頭蓋内血液量の増加をもたらす任意の圧力であり得る。適切な圧力は、例えば、約5~100mmHg、5~80mmHg、10~80mmHg、20~60mmHg、及び30~50mmHg、または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80mmHgを含む。任意選択で、カラーは、最大頸部静脈圧を約40、50、60、70、80、90、または100mmHg以下に制限するよう構成できる。
【0025】
図1は、対象の頸部の周囲に着用しているカラー10を示している。カラー10は、部分的に周状であり、前部で開いていて、特に喉頭隆起部15を露出させるように開いている。この構成では、装着時に対象の頸部が開口部14(図2参照)を通るようにカラー10が伸長して、カラー10の形状記憶特性により、カラー10が頸部静脈(複数可)に圧力を加えるように開口部14のサイズが縮小する。
【0026】
図2は、カラー10の特徴をより詳細に示す。カラー10は、着用者の頸部の静脈に圧力を加えるための本体12を備える。一実施形態では、本体12は、端部16に、内側に向くバイアスを有する形状記憶特性を有する。本体12は、頸部と係合する内面18と、内面18に対向する外面20とを含む。本体12は、長手軸21(図3参照)を有し、着用者の頸部の周りを少なくとも部分的に巻いている。
【0027】
カラー10(及び本体12)は開口部14を含み、この開口部はカラー10に不連続性または間隙を形成し、着用者の頸部の周全体にわたって延在しないようにする。これは、カラー12を装着するのに及び/または快適性に役立ち得る。本体12は、開口部14を画定する端部16及び16を含む。この例では、本体12の開口部14は、カラー10を着用するとき着用者の頸部の前部に位置する。より詳細には、この実施形態では、カラー10の開口部14は、着用者の頸部の喉頭突出部15の上に配置される。他の例では、カラー10の開口部14は、着用者の頸部の周りの他の場所(例えば、着用者の頸部の側部または後部)に配置してもよい。
【0028】
例えば、この実施形態では、カラー12は、カラー12を着用者が装着したときに変形(すなわち、形状が変化)し、カラー12を着用者の頸部に着用したときにカラー12に着用者の頸部の静脈に圧力を加えさせるように構成されたバンド22を備える。例えば、この場合、バンド22は、カラー12を装着したときに、カラー12の端部16、16を互いに離れるように移動させることによって、カラー12の開口部14を拡大させ、次いで、カラー12の端部16、16を互いに向かうよう後退させることによってカラー12の開口部14を小さくし、それによってカラー12が着用者の頸部の静脈に圧力を加えるようにする。
【0029】
いくつかの実施形態では、本体12は、カラー10を着用者が装着するときにカラー10の端部16、16を互いに離れるよう移動させることで形状を変化させる弾力があり、またカラー10を着用者の頸部に着用したときに、カラー10の端部16、16が互いに向かって戻るよう付勢してカラー10に着用者の頸部の静脈に圧力を加えるようにする弾力があるバンド22を含む。バンド22は、C字形またはU字形のばねまたは弾力のある弓形のバンドを含むことができ、ポリマー材料、金属材料、複合材料、または、バンド22が、着用者がカラー10を装着したときに弾性で変形し、カラー12を着用者の頸部に着用したときカラー10が着用者の頸部の静脈に圧力を加えるようにし得るいずれかの他の適切な材料で形成できる。
【0030】
本体12は、着用者の頸部の静脈に圧力を加えるように構成された複数の圧迫器32、32をさらに備える。圧迫器32、32は、カラー10が、他の場所よりも圧迫器32、32が配置されている着用者の頸部を押すように適合されている。これにより、カラー10が静脈の位置する着用者の頸部の領域に加える圧力を、カラー10が静脈から離れた所で係合している着用者の頸部の他の領域(例えば、着用者の頸部の後ろ)においてカラー10が加える圧力よりも大きくすることができる。したがって、これにより、快適性を維持しながら、TBIに対する緩和のために、カラー12が着用者の頸部に最適に押せるようにし得る。
【0031】
圧迫器32、32は、任意の適切な方法で実装することができる。例えば、この実施形態では、圧迫器32、32は、カラー12を着用したときに着用者の頸部に向かって内側に突出する圧迫性突起36、36を各々備える。したがって、圧迫性突起36、36は、カラー12の頸部係合内面18が、他の場所よりも、圧迫性突起36、36が配置されている着用者の頸部を押すようになっている。この例では、圧迫性突起36、36は、本体12の拡張部によって形作られ、ここで着用者の頸部の静脈を押す。より具体的には、この例では、圧迫性突起36、36を形作る拡張部は、バンド22を広げることによって作られ、ここでカラー12が着用者の頸部の静脈を押す。
【0032】
TBIに対する保護を効果的に与えるべく着用者の頸部の静脈に圧力を加える他の実施形態では、カラー10を他のいずれかの適切な方法で構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本体12は、膨張式であってもよい(例えば、圧迫器32、32及び/または本体12の別の部分は、膨張式ブラダ及びバルブを備えることなどによって、空気または別のガスにより膨張できるようにし得る)。
【0033】
頸部のサイズ/直径に関しては個人間に差異があることが理解されている。例えば、成人は一般に子供よりも頸部の直径が大きく、男性は女性よりも頸部の直径が大きいことが頻繁にあるが、比較される実質的にいかなる人口統計的なグループ間でも相当な重複があり、人口統計的なグループ内でさえ個人間に相当な違いがある。したがって、調整可能なカラー装置を提供することが望ましい。特に、カラーの直径を変化させることができ、及び/または任意の所与のカラーの直径に対して圧迫器の相対的な配置を変更することができるカラー及びカラーシステムを提供することが望ましい。
【0034】
以下でより詳細に説明するように、カラー10及び/または本体12に対する調整は、
-本体12が部分的なカラーであるその実施形態で、本体12の端部17、17の間に画定される本体12の長さL、
-本体12の頸部係合内面18の対向する側部19、19の間で得る本体12の内側の寸法D、
-本体12の開口部14の寸法G、
-本体12の長手軸21に沿ったものなどの、本体12上の圧迫器32、32の位置、
-圧迫器32、32の寸法、例えば本体12の長手軸21に垂直な各圧迫器32の寸法C(例えば、厚さ)、及び/または本体12の長手軸21に沿った圧迫器32の寸法C(例えば、長さ)、
-本体12が膨張式の実施形態で、本体12内(例えば、本体12の膨張式部材内)のガス(例えば、空気)の内部圧力、及び/または
-本体が加える圧力及び/または本体が装着者の頸部に圧力を加える場所に影響を及ぼす本体12の他のいずれかの設定
を含み得る。
調整可能なカラー本体
図4図6は、本体12、及びしたがってカラー10の直径D及び/または長さLを変えることができる調整可能なカラー本体12のいくつかの実施形態を示す。具体的には、いくつかの実施形態では、本発明は、第1の側部部材42iと、第2の側部部材42kと、中央部材42jとを有するカラー本体システムを提供する。第1の側部部材42i及び第2の側部部材42kの各々は、内側に向いている面18上に、端部16または16に向けて、または端部16または16に圧迫器32を配置する。典型的には、第1の側部部材42i及び第2の側部部材42kは、長さが同じであるが反対向きであり、左側の部材及び右側の部材として機能する。カラー本体12を、第1の側部部材42iを中央部材42jの第1の端部にジョイント41aで恒久的または可逆的に係合させ、第2の側部部材42kを中央部材42jの第2の端部にジョイント41bで恒久的または可逆的に係合させることによって形成して、圧迫器32が内側に向いている面18上に、端部16、16に向けてまたはそれらに配置された状態で、完全な本体12を形成するようにする。第1及び第2の側部部材と中央部材との組み合わせが、カラー本体12を形成する。
【0035】
本発明はまた、複数の中央部材42j及び/または第1及び第2の側部部材42i、42kの複数の適合する対を含むことができるカラーシステムを提供する。いくつかの実施形態では、システムは、単一の中央部材42jと、第1及び第2の側部部材42i、42kの複数の適合する対(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多い適合する対)を含む。他の実施形態では、システムは、第1及び第2の側部部材42i、42kの1つまたは複数の適合する対(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれより多い適合する対)を有する複数の中央部材42jを含む。第1及び第2の側部部材42i、42kの複数の適合する対が設けられるシステムの実施形態では、様々な側部部材の対は、側部の長さ(すなわち、ジョイント41から端部16の終端までの長さ)及び/または側部部材の曲率において互いに異なっていてよい。例えば、システムは、短い、中位の、及び長い長さを有するものとして特徴付けられた3つの適合した側部部材対を備えてもよい。別法として、または側部部材の長さに差異があることに加えて、異なる形状の頸部に対応すべく、側部部材の曲率に、対の間で差異があってもよい。例えば、1つの側部部材対は、他の側部部材対に対してほぼ真っ直ぐで、同じ長さまたは異なる長さにわたってより大きい弧を画定することができる。複数の中央部材42jを設けるためのシステムの実施形態では、中央部材は、長さ及び/または曲率が互いに異なっていてもよい。そのようなシステムから、頸部の周に最も近似し、圧迫器32を目標の頸部静脈に最も正確に配置するに至る中央部材及び/または側部部材対を選択することによって、使用者がカラー装置の適合をカスタマイズすることが可能になる。
【0036】
図4及び図5は、これらのカラー本体及びシステムの2つの実施形態を示す。図4は、相対的に長い中央部材42jを使用して、相対的に狭い開口部14及びより小さい直径Dをもたらす、組み立てられたモジュール式カラー本体12を示す。対照的に、図5は、相対的に短い中央部材42jを使用して、相対的に大きな開口部14及びより大きい直径Dをもたらす、組み立てられたモジュール式カラー本体12を示す。
【0037】
ジョイント41は、側部部材を中央部材にしっかりと固定し、組み立てられた装置を、圧迫器32への内側に向く力を発生させるスポンジ様の本体の特性を維持する硬質の形態で保持する、任意の適切な可逆的または不可逆的な接合/ロック機構であってもよい。例えばまた図6に示すように、中央部材42jの各端部にあるコネクタ46は、雄型の対部材(例えば、突起)を備え、側部部材42i、42kの各端部は、相補的な雄部と係合可能な雌型の対部材(例えば、くぼみや開口部などの中空の空間)を有する。これらの対部材は、得られるモジュラー本体12の全体的な構造または組み立てに影響を及ぼすことなく、中央部材42jの一方または両方の側で逆にしてもよいことが理解される。
【0038】
図7は、これらの実施形態での使用に適した別の固定機構を示す。この実施形態では、中央部材42j及び個々の側部部材42i及び42kのそれぞれは、一体構造を形成するために他のものと係合する相補的なノッチを含む。ノッチは、ねじ、クリップ、またはピンなどの締結具39を使用して定位置に保持してもよい。図8は、この嵌合システムの代替構成を示しており、それにおいては、反対の極性を有する磁気コネクタ43及び46を用いて中央部材42jが側部部材42i及び42kに固定されている。
【0039】
いくつかの実施形態では、調整可能なカラー本体12は、側部部材42i及び42kが中央部材42jに摺動可能に係合される単一の装置として提供される。図9は、側部部材42i及び42kが中央部材42jに対して前方位置に配置され、それによってカラー本体12の直径Dを増大するような調整可能なカラー本体12を示す。図10図12は、中央部材42jが、側部部材由来の摺動タブ62が係合するチャネル60及び受け入れスロット65を備える1つの摺動可能な係合機構を示す。摺動タブ62は、側部部材が中央部材42jから外れるのを防ぎ、その側部部材の最大限の伸長を制限するストッパ63を備える。側部部材は、任意の好都合の機構によって、中央部材42jに対して固定位置に保持してもよい。例えば、側部は、チャネル60とタブ62との間の単純な摩擦係合によって定位置に保持してもよい。あるいは、図13に示すように、側部部材は、戻り止め74及び一連のノッチ76により固定してもよい。図13は、中央部材42j上の単一の戻り止め74と係合するノッチ76が、摺動部材62上に存在している構成を示す。戻り止め74は側部部材66から延びており、これはピボット68で中央部材42jに取り付けられている。側部部材66は、ノッチ76から戻り止め74を手動で解放するために、カラー10を着用していないときに使用者が利用可能であってもよい。一実施形態では、戻り止め74はカラー10を装着した後の適切な嵌合を容易にするために、ノッチからノッチまで一方向に移動することができてもよい。この実施形態では、戻り止め74は、側部部材のさらなる伸長を防止するようにノッチ76を形成することによって、ストッパとして使用できる。この戻り止め及びノッチのシステムは、戻り止め(複数可)が側部部材に存在してノッチが中央部材42j上に存在するように、逆にできることが理解される。他の締結機構が当業者に知られており、機構は例えば、摩擦またはサムホイールスクリュを含み、レシーバと係合しても、単に個々の構成要素を一緒にクランプするように作用してもよい。
調整可能な圧迫器
いくつかの実施形態では、本発明はまた、カラー10またはカラー本体12上に調整可能な圧迫器32を有するカラー10を備える。図14は、圧迫器32及び32が本体12と摺動可能に係合して、圧迫器が、カラー10及び/または本体12の内面に沿った複数の位置に、長手軸に実質的に平行な方向に配置され得る一実施形態を示している。いくつかの実施形態では、圧迫器32は摺動レール80に摺動可能に係合される。図15及び図16は、摺動可能な圧迫器32とカラー本体12との間の係合機構の一例を示す。図15は、カラー本体12の長手軸に沿って取り付けることができる摺動レール80を示す。摺動レール80は、長手方向のスロット88と、スロット88と連続する複数の開口部90とを有する。任意選択で、各開口部90は、サイズを小さくした首部92及び本体部分により画定される。各開口部90は、圧迫器32を受け入れることができ、圧迫器32をカラー本体12にしっかりと固定することができる別個の位置に対応する。
【0040】
図16は、図15に示す摺動レール80と係合可能な圧迫器32を示している。圧迫器32は、その外側に向く側にある摺動可能な係合部材84を含む。係合部材84は、頭部94と、首部の部分90よりも大きな直径を有する首部の部分90とを有する。
【0041】
図17は、摺動レール80と係合する係合部材84の断面図を示す。具体的には、首部の部分90は、スロット88に沿って首部92を通って自由に摺動して、開口部90の本体部分内の頭部94に係合するように適合され、これにより、圧迫器32を適所内にロックする。一実施形態では、係合部材84はエラストマー材(例えば、ゴム)を含む。摺動部材84にエラストマー材を使用することにより、摺動部材84を開口部90に容易に固定することができ、摺動部材84の係合を解除するのに多大な労力が必要となるような弾力性を提供することができる。摺動部材84は、他の実施形態では、他のいずれかの適切な材料で製作してよい。
【0042】
図18は、調整可能な圧迫器32の代替的な係合機構を示す。この実施形態では、圧迫器32は、その外側に向いた面にコネクタ98を有する。コネクタ98は、例えば首部及びより大きな頭部106を有するように構成することができる。本体12は、頭部106を受け入れるように適合された複数の空洞96を含む。空洞96は、頭部106を受け入れるように適合された拡張部分102と、コネクタ98の首部の部分を受け入れるようにされた狭い部分104または首部とを有する鍵穴構成を有してもよい。いくつかの実施形態では、本体12の空洞96を含む部分は、十分に弾力性のある材料(例えば、エラストマー材)で構成され、垂直方向の力の適用下で頭部106を受け入れ、一旦位置に付いたらコネクタ98を相対的に動かないようにし、横方向の力(すなわち、カラー10の長手軸にほぼ平行)の下でコネクタ98が離れるのを阻止するようにする。任意選択で、カラーシステムは、異なる厚さ(高さ)及び/または形状を有する複数の適合する圧迫器32対を備える。使用者は、嵌合及び頸部静脈圧をカスタマイズして最適化するために、適切な厚さ及び/または形状を有する圧迫器32対を選択することができる。
【0043】
他の実施形態では、本発明は、カラーの長手軸に垂直な方向に調整可能な圧迫器32を有するカラー10及び/またはカラー本体12を提供する。この調整の形態により、使用者は圧迫器32によって加えられる頸部の静脈圧の量を変えることができる。図19図20は、圧迫器32が、本体12に取り付けられた拡張可能な要素108に取り付けられた一実施形態を示す。拡張可能な要素108は、圧迫器32の高さを、高さX1(図19)から高さX2(図20)に可逆的に調整するように適合されている。いくつかの実施形態では、圧迫器32の高さは、圧迫器本体32とカラー本体12との間に配置された機械的シザーリフトで調整してもよい。シザーリフトは、頸部に対して加えるべき所望の力よりも、開閉(伸長/後退)するための力を加える必要のある摩擦のジョイントである場合がある。シザーリフトを作動させるための力の要件を調節することはまた、過剰な頸部静脈圧を与える力の下ではシザーリフトが後退する圧力リミッタとして機能し得る。他の実施形態では、圧迫器32の高さは、圧迫器本体32とカラー本体12との間に配置される膨張式要素が制御してもよい。任意選択で、膨張式要素はまた、圧力解放弁も含み、それは過度の頸静脈圧を対象に加える圧力で膨張ガスを放出するよう設定してもよい。
【0044】
他の実施形態では、圧迫器の高さは、ねじ機構を使用して調節することができる。例えば、圧迫器は、外側に向いた面から延びるねじ切りのねじまたはロッドを有していてもよく、1つまたは複数の空洞96は、圧迫器のねじを受け入れるようにねじ切りしてもよい。調節のために、本体12の長手軸に沿って正しい長手方向の位置に圧迫器32を位置決めするよう、適切な空洞96を選択する。そのとき、圧迫器の高さは、選択された空洞96に圧迫器がねじ込まれる深さにより調整される。
【0045】
他の実施形態では、圧迫器32の高さは、圧迫器32と本体12との間にばねを配置することによって受動的に調整してもよい。適切な圧迫弾力性を有するばねを選択することによって、頸部静脈圧力を制御することができる。
嵌合調整器付カラー
本発明はまた、モジュール式調整可能カラーまたは単一カラーについて使用できる嵌合調整要素を有するカラーを提供する。図21は、身体に向いている面に配置された嵌合調整要素64を有する、単一のカラー本体12を示す。任意選択で、嵌合調整要素64は、本体12の後部(背側)領域に向かって配置される。嵌合調整要素64の目的は、異なるサイズの頸部に適合するようカラー10を改善することである。例えば、カラー10を使用者に装着して、圧迫器32が頸部静脈に接触して圧力を加えるように十分に配置されているが、カラーが断片的に大きすぎて、それによって頸部の後ろとカラーの間に空隙を残す可能性がある。嵌合調整要素64は、この空隙を埋めるために、及び/または頸部の周囲に着用されたときにカラーに対してより確実な嵌合を概して提供するために、使用できる。別の実施形態では、本発明は、中央部材42j上に嵌合調整要素64を有するモジュール式カラー本体12を備え得る。
【0046】
一実施形態では、嵌合調整要素64は取り外し可能である。任意選択で、本発明は、異なるサイズの複数の嵌合調整要素64を有するシステムを提供し、その結果、使用者は、圧迫器の快適性、嵌合、及び適切な位置決めを最大にするために最も適切なサイズを選択することができる。別の実施形態では、嵌合調整要素64は膨張式である。
曲げ角度測定システム
本発明はまた、曲げ角度測定システムを用いて頸部静脈にカラー10が加える圧力の量を測定または推定するためのシステム及び方法を提供する。上述したように、本体12を含むカラー10は、カラー10を着用したときに内側に向くバイアスを有するように構成され、圧迫器32が頸部静脈に圧力を加えるようにする。圧迫器32によって加えられる圧力は、開口部14の任意の特定の値について測定することができ、特定の材料及びカラー10の構成の関数である。また、任意のカラー10について、圧迫器によって加えられる圧力の量は、着用時のカラー10の曲げ角度の関数である。したがって、圧迫器の圧力は、様々な場所でカラーの曲げ角度から推測することができる。したがって、本発明は、1つまたは複数の曲げ角度センサを有する一体またはモジュール式カラー10を提供する。図22は、着用者の脊柱の真上に通常位置するカラーの長手軸の中央において、カラー10の外側に向く側に曲げ角度センサ942が配置されているカラー10を示す。任意選択で、図22に示すように、カラー10は、各端部16に曲げ角度センサ942をさらに備える。中央に位置する単一の曲げ角度センサのみが存在する実施形態では、圧迫器の圧力は、その領域でカラーが作る曲げ角度から計算できる。複数の(例えば、2つまたは3つの)曲げ角度センサが存在する実施形態では、圧迫器の圧力は、測定されたすべての曲げ角度の関数として計算してもよい。任意選択で、カラー10は、曲げ角度及び/または圧迫器の圧力を測定及び記録するためのマイクロプロセッサ及びデジタルメモリ記憶システムをさらに備える。これらのデータは、任意選択の無線送信機によって遅くにまたはリアルタイムに送信することができる。図22はまた、その静置形態(実線)におけるカラー10の構成と、着用したとき(破線)のような伸長形状を示している。着用している場合、端部16が距離「x」だけ外方に偏向される。
【0047】
様々な適切な曲げ角度センサが当該技術分野で知られている。例えば、図23は、米国特許第5,610,528号に記載されているような容量性曲げ角度センサの概略図である。容量性センサは、プラスチックなどの可撓性の電気絶縁材料からなる少なくとも2つの素子11、13を含む。各素子の一方の表面は、金属膜または導電性ポリマーなどの導電性材料の櫛形パターン15、17と、櫛形材料を覆う誘電体層19、21とを有する。図24は、組み立てられた曲げ角度センサを示しており、それにおいては2つの素子11、13が一緒に配置されて、2つの櫛形パターン15、17が近接し、1つ以上の誘電体層のみによって分離されている。その後、2つの素子11、13は互いに接合される。好ましくは、各素子11、13の櫛形パターン15、17は、素子の一端の近くに配置され、素子は、図25に示すように反対側の端部で互いに接合される。電気的接触子23、25(ワイヤ)を、導電性の櫛形パターン15、17に取り付ける。2つの素子11、13は、可撓性プラスチック管(図示せず)に配置しても、2つの素子11、13を含んで保護し、それらを一緒に押し続ける他の構造体に配置してもよい。
【0048】
説明を明瞭かつ簡潔にするために、概略図に示した多数の構成要素のすべてを記載しているわけではない。多くの構成要素を図面に示しており、当業者に本発明の完全に可能な開示を提供している。構成要素の多くの動作を、当業者は理解するであろう。
【0049】
本明細書で開示している付加的な特徴及び教示のそれぞれは、本発明を提供するために、他の特徴及び教示と別々にまたは組み合わせて利用できる。これらの付加的な特徴及び教示の多くを、別々に及び組み合わせて利用する代表的な例を、添付の図面を参照してより詳細に説明している。この詳細な説明は、本教示の好ましい態様を実施するためのさらなる詳細を当業者に教示することを意図しているだけのものであり、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。したがって、詳細な説明に開示された特徴を組み合わせることは、最も広い意味での教示を実行するために必要でない場合があり、むしろ本教示の特に代表的な例を説明するために教示している。
【0050】
さらに、代表例及び従属請求項の様々な特徴は、本教示の付加的な有用な実施形態を提示するために、特に明示的に列挙されていない方法で組み合わせることができる。さらに、説明及び/または特許請求の範囲で開示しているすべての特徴は、元の開示の目的で、ならびに実施形態及び/または特許請求の範囲の特徴の組成物と独立して特許請求される主題を制限する目的で、互いに別個にまたは独立して開示することを意図している。すべての値の範囲、または示している実体の群は、元の開示の目的で、ならびに特許請求される主題を制限する目的で、すべての可能な中間的な値または中間的な実体を開示している。図面に示された構成要素の寸法及び形状は、本教示をいかに実施するかを理解するのに役立つように設計しているが、例に示した寸法及び形状を限定することを意図するものではない。
図1
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