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▶ グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ナンバー2、リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 281/10 20060101AFI20220627BHJP
   A61K 31/554 20060101ALN20220627BHJP
   A61P 1/16 20060101ALN20220627BHJP
   A61P 17/04 20060101ALN20220627BHJP
【FI】
C07D281/10 Z
A61K31/554
A61P1/16
A61P17/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018567649
(86)(22)【出願日】2017-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 IB2017053839
(87)【国際公開番号】W WO2018002827
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-05-20
(31)【優先権主張番号】62/355,016
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/411,776
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513110104
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、(ナンバー2)、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY (NO.2) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーカン,グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ジアシェン
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ロイバン,ゲオルゲ
(72)【発明者】
【氏名】サットン,ピーター ダブリュ.
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/020785(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/137135(WO,A1)
【文献】KRENN, W et al.,Bacterial epoxide hydrolases of opposite enantiopreference,Biotechnology Letters,1999年,Vol. 21,pp. 687-690
【文献】HAGADE, VS et al.,P1323: A STUDY TO EVALUATE THE SAFETY, TOLERABILITY, PHARMACOKINETICS AND PHARMACODYNAMICS OF REPEAT DOSES OF GSK2330672 ADMINISTRATION IN SUBJECTS WITH PRIMARY BILIARY AND SYMPTOMS OF PRURITUS,Journal of heptalogy,2015年,Vol. 62,pp. S851-S852
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物
【化1】
の合成の方法であって、
エポキシド加水分解酵素を使用した、中間体A:(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン
【化2】
の製造のステップを含む、方法。
【請求項2】
(R)-2-ブチル-2-エチルオキシランを、3-ヒドロキシ-4-メトキシチオフェノールと反応させて、中間体C
【化3】
を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中間体Cを、立体選択的リッター反応を介して下に示される中間体E
【化4】
に変換するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化合物
【化5】
の合成の方法であって、
下に描かれる中間体H
【化6】
の製造のステップを含む、方法。
【請求項5】
下に描かれる中間体H
【化7】
の製造のステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
中間体Hを下に描かれる中間体I
【化8】
に変換するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
中間体Iを、下に描かれる中間体J
【化9】
に変換するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物Aが、エポキシド加水分解酵素を用いたラセミ体2-ブチル-2-エチルオキシランの速度論的分割により作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エポキシド加水分解酵素が、アグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID: JX467176から得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エポキシド加水分解酵素が、アグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID: JX467176から得られる、エポキシド加水分解酵素の突然変異株N240Dである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ラセミ体2-ブチル-2-エチルオキシランの濃度が、200~330g/Lである、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真性糖尿病(I型及びII型)、肥満を含めた代謝障害の治療及び予防において、並びに肝疾患の予防(prophylaxix)及び/又は治療のために有用である特定の化合物の改善された合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許公報WO2011/137,135号は、他の化合物の中でも、以下のIBAT阻害剤化合物を開示する。この特許公報は、その化合物の合成の方法も開示する。
【0003】
【化1】
【0004】
上記化合物の製造は、J. Med. Chem,56巻、pp5094~5114(2013年)及びJ. Org. Chem.,78巻、pp12726~12734(2013年)でも開示されている。この化合物は、GSK2330672としても知られており、GSK672と略記される場合もある。
【0005】
この化合物は、胆汁うっ滞性肝疾患及び関連のそう痒症の予防(prophylaxix)及び/又は治療についての臨床試験中である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2011/137,135号
【非特許文献】
【0007】
【文献】J. Med. Chem,56巻、pp5094~5114(2013年)
【文献】J. Org. Chem.,78巻、pp12726~12734(2013年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡潔には、第一の態様で、本発明は、化合物
【化2】
の改善された合成であって、中間体A、(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン
【化3】
の製造のステップを含む、改善された合成を開示する。
【0009】
簡潔には、第二の態様で、本発明は、化合物
【化4】
の改善された合成であって、下に描かれる中間体H
【化5】
の製造のステップを含む、改善された合成を開示する。
【0010】
別の態様では、本発明は、化合物GSK2330672を含む錠剤を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、本発明の錠剤の投与を含む、胆汁うっ滞性肝疾患及び/又は関連のそう痒症を治療するための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、上に記載されるとおりの第一の態様は、エポキシド加水分解酵素を使用した、ラセミ体2-ブチル-2-エチルオキシランの速度論的分割で、(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン(化合物A)を得ることを含む。2-ブチル-2-メチルオキシラン(methloxirane)及び他のジェミナルに二置換されたエポキシドを選択的に加水分解する能力のあるエポキシド加水分解酵素は、文献(Bala, N.及びChimni, S. S. Tetrahedron: Asymmetry 2010, 21, 2879)で知られているが、8つのエポキシド加水分解酵素のランダム選択をスクリーニングする上で、本発明者らは、先に報告されていなかった、より対称の2-ブチル-2-エチルオキシラン基質のいずれかの鏡掌体を選択的に加水分解する能力があるいくつかのヒットを識別することに驚かされた。特に、アグロマイセス・メジオラヌス(Agromyces mediolanus)ZJB1202030ID:JX467176から得られるエポキシド加水分解酵素は、非常に有効であり、15時間で300g/Lのラセミ体エポキシドを形質転換して、減圧下での希釈による抽出後処理及びそれに続く精製に続いて20%単離収率で、98%ee(溶液収率、40%)より大きい所望の生成物(R)-2-ブチル-2-エチルオキシランを得た。
【0013】
300~330g/Lの範囲内の2-ブチル-2-エチルオキシラン濃度は、特に野生型酵素に関して文献でまれにしか報告されず、その酵素は、格別に活性且つ安定であることを示唆する。最適化実験の間、本発明者らは、規格に適さない生成物をもたらすか、高い変換への解決に及ぶ必要性のため実質的な収率損失を生じるかのいずれかで、2-ブチル-2-エチルオキシランの高い装填が、エナンチオ選択性減少をもたらすことを見い出した。他方では、低すぎる2-ブチル-2-エチルオキシラン濃度が、高いエナンチオ選択性をもたらすが、高い反応体積のため規模拡大には魅力的でない。
【0014】
他のパラメーターは、酵素エナンチオ選択性/活性に影響することも示され、プロセスの最適条件を識別するためにスクリーニングされた。それは、温度、緩衝剤、混合速度、共溶媒効果(試験された溶媒:ヘプタン、TBME、ヘキサン、ジエチルエーテル、トルエン);反応容器(試験管、ファルコン管15mL、50mL、振盪フラスコ、制御された実験室反応器)、反応時間である。
【0015】
酵素は、様々な形態;全細胞、凍結乾燥された不透明な溶解物、固定化又は凍結乾燥された透明な溶解物で使用されうる一方で、その装填は、20%から5~8%まで下がって減少し、より遅い反応になる可能性もあるが、エナンチオ選択性は変化なしである。凍結乾燥された透明な溶解物の使用は、問題が少なく、保存及び輸送するのに安価であり、より容易な下流加工に至るという点で、細胞ペーストを超える特定の利点を有する。凍結乾燥された溶解物は、固定化酵素より安価でもあり、リサイクルする必要性を打ち消す上で有利である場合もある。
【0016】
エピクロロヒドリンに対して改善されたエナンチオ選択性を提供することが報告されたアグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID:JX467176のいくつかの変異株(Xue, F.; Liu, Z.-Q.;Wan, N.-W.; Zhu H.-Q.及びZheng, Y.-G. RSC Adv., 2015, 5, 31525.)も、製造及び試験された。これらの変異株のうちの1つN240Dは、野生型酵素より高い活性(30%まで高い)及び僅かに高いエナンチオ選択性を示した。
【0017】
アグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID:JX467176から得られるエポキシド加水分解酵素は、大型のα/β-加水分解酵素フォールドファミリーの構成要素である(Xue, F.; Liu, Z.-Q.; Zou, S.-P.;Wan, N.-W.; Zhu, W.-Y.; Zhu, Q.及びZheng, Y.-G. Process Biochemistry 2014, 49 409~417)。全ての構成要素が、非常に類似の3D構築物を含むこのクラスのエポキシド加水分解酵素は、驚くべき多様な配列範囲を含むことが十分に知られている(Widersten, M.; Gurell, A.及びLindberg, D. Biochim. Biophys. Acta, 2010, 1800, 316)。いくつかのエナンチオ選択性エポキシド加水分解酵素が、試験された小さな部分集合から識別されたことを考慮すると、より大きな集合のエポキシド加水分解酵素が、識別されたアグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID:JX467176から得られるエポキシド加水分解酵素と同程度、場合によりいっそう、選択性があるヒットを生じるであろうことは明らかである。エピクロロヒドリン分割について選択されたアグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID:JX467176から得られるエポキシド加水分解酵素の3つの変異株のうちの1つの増加した活性及びエナンチオ選択性を考慮して、2-ブチル-2-メチルオキシラン(methloxirane)に向けられた展開が、さらに改善された突然変異株を生じる可能性も非常に高い。
【0018】
好ましくは、上に記載されるとおりの本発明の第一の態様は、(R)-2-ブチル-2-エチルオキシランを3-ヒドロキシ-4-メトキシチオフェノールと反応させて、中間体C
【化6】
を生成するステップをさらに含む。
【0019】
好ましくは、上に記載されるとおりの本発明の第一の態様は、中間体Cを、下に示される中間体E
【化7】
に変換するステップをさらに含む。
【0020】
好ましくは、上に記載されるとおりの本発明の第二の態様は、中間体Hを、下に描写される中間体I
【化8】
に変換するステップをさらに含む。
【0021】
好ましくは、本発明の錠剤及び治療の方法は、本発明の方法により製造されるGSK2330672を含む。
【0022】
一態様では、本発明の錠剤は、フィラー、崩壊剤及び滑沢剤をさらに含む。一態様では、本発明の錠剤は、20~200mgのGSK2330672を含む。適切な錠剤の1つの例は、GSK2330672、微結晶性セルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む錠剤である。
【0023】
IBAT阻害剤化合物GSK672を製造する方法の例示の合成スキームは、スキーム1に描写される。エポキシド加水分解酵素を用いた(±)-2-ブチル-エチルオキシランの酵素的分割は、(R)-2-ブチル-エチルオキシラン(A)を引き起こした。酸性条件下で、チオフェノール(B)を用いた(R)-2-ブチル-エチルオキシランのエポキシド開環、及びクロロアセトニトリルを用いた(R)-3級アルコール(C)の後続処理で、クロロアセトアミド(D)を得たが、その後、チオウレアを用いたクロロアセトアミドの開裂により中間体(E)に変換された。トリフリン酸及び塩化ベンゾイルを用いた中間体(E)のベンゾイル化は、中間体(F)をもたらした。中間体(F)の環化、続いてスルフィドの不斉スルホキシドへのジアステレオ選択性スルホキシド化、水素化ホウ素ナトリウム又はボランを用いた後続イミン還元が、中間体(I)を提供し、それは、その後、中間体(J)に変換された。中間体(J)を、特許公報WO2011/137,135号に開示される方法を使用して標的化合物に変換した。
【0024】
【化9】
【0025】
本発明は、本発明での中間体E及びJが、新たな立体選択的で、費用対効果がある合成を介して製造されるという点で、WO2011/137,135号、J. Med. Chem, 2013,56, 5094、J. Org. Chem. 2013, 78, 12726及びWO2016020785号で開示される合成と異なる。
【0026】
略語
Bz ベンゾイル
TfOH トリフルオロメタンスルホン酸
BzCl 塩化ベンゾイル
S-BINOL (S)-(-)-1,1′-ビ(2-ナフトール)
Ti(OiPr)4 チタンイソプロポキシド
t-BuOOH tert-ブチルヒドロペルオキシド
DCM ジクロロメタン
NaBH4 水素化ホウ素ナトリウム
MeOH メタノール
mCPBA メタクロロ過安息香酸
TFA トリフルオロ酢酸
MTBE メチルt-ブチルエーテル
【0027】
中間体A:(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン
【0028】
【化10】
【0029】
注釈:1wtは、グラムで反応器に充填された(±)-2-ブチル-2-エチルオキシランの重量として定義される。付与される全ての他の重量、体積及び当量は、この図に関連して計算される。
【0030】
清澄化された溶解産物(20wt%)から得られた凍結乾燥された(Lyopholized)エポキシド加水分解酵素を、反応容器に充填した。その後、pH7.4に調整したリン酸カリウム緩衝剤(100mM、1.4vol)を、同じ反応容器に充填し、撹拌を調整した。ラセミ体2-ブチル-2-エチルオキシラン(22.6g、176.3mmol、1wt)の添加により、反応を開始させた。反応混合物を、30℃で撹拌した。(R)-2-ブチル-2-エチルオキシランの鏡像体過剰(ee)が、値≧95%(R)に達するまで、不斉GCにより反応をモニタリングした(典型的には、変換は、15時間の期間にわたり、およそ≧62±2%である)。酢酸エチル(2.4vol)を添加することにより、反応を停止させた。その後、結果として得られる二相性溶液を、Celiteでろ過した。追加の酢酸エチル(1.2vol)を使用して、セライトケークを洗浄した。その後層を分離した。水性層を、廃棄した。有機層を、食塩水で洗浄した(1.2vol)。その後、有機層を、減圧下での希釈により濃縮して、所望のエポキシド(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン及びジオール副産物(S)-2-エチルヘキサン-1,2-ジオールのそのままの混合物(neat mixture)を得た。この混合物を、90℃及び20±5mbarで希釈して、所望のエポキシド(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン(4.58g、収率20%、純度99.2%、95%ee)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.61 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 2.59 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 1.72-1.46 (m, 4H), 1.42-1.26 (m, 4H), 0.99-0.87 (m, 6H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 60.2, 52.2, 33.7, 27.0, 26.9, 22.9, 14.0, 8.9.
【0031】
中間体E:(R)-5-((2-アミノ-2-エチルヘキシル)チオ)-2-メトキシフェノール
【0032】
【化11】
【0033】
窒素保護下で、反応容器に、3-ヒドロキシ-4-メトキシチオフェノール(564mg、3.61mmol)、(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン(509mg、3.97mmol)及びEtOH(3.4mL)を充填した。その混合物を、水(2.3mL)中のNaOH(318mg、7.94mmol)の溶液で処理した。その混合物を、20時間、周囲温度で撹拌した。その混合物を、トルエン(4mL)で処理し、2分間撹拌した。その層を分離し、有機層を廃棄した。水層を、2NのHClで中和し、トルエンで抽出した。抽出物を、飽和Na2CO3水溶液及び水で連続的に洗浄し、真空で濃縮して、油状物として中間体Cを得た。その油状物中間体Cを、クロロアセトニトリル(5.5mL)及びHOAc(2mL)に溶解した。その混合物を、0℃に冷却した。H2SO4(0.96mL、18.05mmol、0.33mLの水で予め希釈された)を、5℃より下の温度を維持する速度で添加した。10℃未満で、0.5時間撹拌した後、反応混合物を水で処理し、MTBEで抽出した。抽出物を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、真空中で濃縮して、油状物として中間体Dを得た。その後、油状物中間体Dを、EOH(9.1mL)に溶解し、HOAc(1.8mL)及びチオウレア(0.412g、5.42mmol)で処理した。完了まで、混合物を、還流で加熱し、その後、周囲温度に冷却した。固形分を、ろ過により除去した。ろ液を、真空で濃縮して、油状物を得た。油状物を、EtOAcで処理し、飽和Na2CO3水溶液及び水で連続的に洗浄し、その後真空で濃縮して、油状物として、中間体E(851mg、3ステップかけて収率83%、純度79%)を得た。425mgの中間体Eを、シリカゲルクロマトグラフィーによりさらに精製して、中間体E(223mg、純度100%、94.8%ee)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.94 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.85 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.23 (s, 1H), 3.78 (s, 3H), 2.87 (s, 2H), 1.46-1.28 (m, 4H), 1.25-1.05 (m, 4H), 0.81 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 0.76 (t, J = 7.45 Hz, 3H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 146.0, 129.1, 122.9, 117.7, 111.2, 56.0, 54.8, 47.5, 38.6, 31.8, 25.8, 23.3, 14.1, 8.0.
【0034】
中間体H:(1S,3R)-3-ブチル-3-エチル-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-5-フェニル-2,3-ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン1-オキシド
【0035】
【化12】
【0036】
(S)-(-)-1,1’-ビ(2-ナフトール(napthol))(387mg、1.353mmol、1当量)を、15mLのRBFに充填した。磁気撹拌棒を添加し、フラスコをセプタムで密閉し、10分間、窒素でフラッシュした。ジクロロメタン(5ml、10vol)を添加し、続いてチタンイソプロポキシド(0.200mL、0.677mmol、0.5当量)の滴下の添加を行ったが、その時点で、深赤色の変化が観察された。水(49μL、2.71mmol、2当量)を添加し、反応物を、15分間撹拌した。セプタムを取り外し、中間体G(500mg、1.353mmol、1当量)を一度に添加した。セプタムを交換し、反応物を、15分間撹拌し、その後tert-ブチルヒドロペルオキシド(デカン中5.0~6.0M、0.284mL、約1.42mmol、約1.05当量)を滴下で添加した。高速HPLCによりモニタリングしながら、反応物を、周囲温度で、2.5時間撹拌し、その後、さらに27μLのtert-ブチルヒドロペルオキシドを添加した。さらに1時間後、反応は、高速HPLCにより完了と判断され、飽和亜硫酸ナトリウム(1mL、2vol)の添加により反応停止させた。反応物を、分液ロートに移し、少量の水及びジクロロメタンで希釈した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20~100%のEtOAcの勾配)により直接精製して、オレンジ色の固形分として、単一ジアステレオマーとして90%PAR及び収率80%で、419mgの中間体Hを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74 (s, 1H), 7.60-7.54 (m, 2H), 7.46-7.40 (m, 1H), 7.39-7.33 (m, 2H), 6.67 (s, 1H), 3.81 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.30 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.07-1.84 (m, 2H), 1.24-0.94 (m, 9H), 0.74 (t, J = 6.6 Hz, 3H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 163.4, 149.0, 148.9, 140.5, 135.7, 130.4, 129.1, 128.2, 123.2, 112.3, 109.1, 70.6, 60.7, 56.5, 38.2, 37.2, 25.4, 22.9, 13.9, 8.6.
【0037】
中間体J:(3R,5R)-3-ブチル3-エチル-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-5-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン1,1-ジオキシド
【0038】
【化13】
【0039】
中間体H(100mg、0.259mmol)を、ジクロロメタン(370μL、3.7vol)に溶解させ、その後メタノール(830μL、8.3vol)を添加した。反応物を、氷浴で冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(11.8mg、1.2当量)を、一度に添加した。高速HPLCによるモニタリングは、反応が、10分以内に完了することを示した。水(0.5mL、5vol)の添加により、反応を停止させた。反応物を、分液ロートに移し、少量の水及びジクロロメタンで希釈した。有機層を、分割し、飽和NaHCO3、食塩水で洗浄し、その後硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮して、中間体Iを得た。中間体Iを、ジクロロメタン(1mL、1vol)に溶解させた。反応物を、氷浴で冷却し、トリフルオロ酢酸(21μL、1.05当量)を添加した。反応物を、5分間撹拌し、その後、mCPBA(77%、64mg、1.1当量)を一度に添加し、反応物を、氷浴から取り出した。10分後、高速HPLCは、出発材料の5%PAR未満を示した。反応物を、さらに10分間撹拌し、その後、飽和NaHCO3(2.5mL、2.5vol)及び1MのNaSO3(2.5mL、2.5vol)を添加し、反応物を、数分間撹拌した。反応物を、水及びジクロロメタンで希釈し、有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。その溶液を、濃縮し、再結晶化が、TBMEから試みられて、低純度の材料を得た。固形分及び母液を再び合わせ、クロマトグラフィー(ヘキサン中0~50%EtOAc)にかけて、2ステップにわたり、約97%PAR及び収率44%で44mgの中間体Jを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.65 (s, 1H), 7.46-7.35 (m, 4H), 7.35-7.28 (m, 1H), 6.15 (s, 1H), 6.02 (s, 1H), 3.58 (s, 3H), 3.41 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 3.05 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 2.22-2.09 (m, 1H), 1.89-1.77 (m, 1H), 1.57-1.39 (m, 2H), 1.35-1.06 (m, 4H), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.83 (t, J = 6.9 Hz, 3H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 149.6, 143.9, 142.3, 138.5, 132.5, 128.5, 127.8, 127.3, 114.5, 110.8, 63.9, 57.4, 55.8, 55.2, 34.1, 31.2, 25.3, 22.9, 14.1, 7.6.
【0040】
胆汁うっ滞性肝疾患の治療
原発性胆汁性胆管炎(PBC)及びそう痒症の徴候を有する患者における安全性、忍容性及びGSK672投与の反復投薬の効果を調査するために臨床試験を行った。この研究の結果を、要約し、clintrials.govで公開した。
【0041】
そう痒症を有するPBC患者での第2相二重盲検ランダム化プラセボ比較対照クロスオーバー試験(phase 2 double-blind, randomised, placebo controlled, crossover trial)が、2014年3月~2015年11月の間、英国で2名の専門家PBCセンターで行われた。対象者らは、交差配列で14日間、毎日2回、経口GSK672(45~90mg)及びプラセボを受けた。
【0042】
一次のエンドポイントは、安全性[臨床及び実験室評価及び有害事象(AE)により測定された]及び忍容性であった。二次のエンドポイントは、i)毎日2回完了した0~10の数値化スケール(NRS)、及びPBC-40そう痒ドメインスコア及び5-Dそう痒スケールを使用して測定されるベースラインから得られる、そう痒症スコアでの変化、並びにii)総胆汁酸(TBA)及び7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(C4)の血清中レベルでの変化であった。個別のBA種、オートタキシン(ATX)活性及びFGF19の血清中レベルを、ベースラインで及び各治療期間の終了時に測定した。
【0043】
21名の患者(n=21、全て白人、18名は女性、平均年齢52.9±10.5歳)がその研究を完了し、分析された。68%は、研究期間の間にウルソデオキシコール酸(UDCA)を取っていた。重症のAEは報告されなかった。任意のAEの頻度は、プラセボ及びGSK672期間中、各々、81%(17/21)であった。下痢(33%及び5%)並びに頭痛(29%及び33%)は、それぞれGSK672及びプラセボに関連した最も頻繁なAEであった。GSK672は、71%応答速度を実証し、NRS[-1.58(95%CI:-2.48~-0.68)]、PBC-40そう痒ドメイン[-0.59(95%CI:-0.94~-0.24)]及び5-Dそう痒[-4.55(95%CI:-6.60~-2.49)]により測定されるとおり、そう痒強度での有意な減少を示した。血清中TBAレベルのベースライン値(48.64±68.77μM)は、GSK672治療後減少したが(25.15±23.85μM、p=0.15)、プラセボ後には減少しなかった(50.29±55.96μM、p=0.93)。GSK672は、タウロコール酸(3.47±7.15対0.31±0.74μM、p=0.0004)、グリココール酸(4.44±7.43対0.9±1.21μM、p=0.0013)及びタウロケノデオキシコール酸(3.68±7.50対0.8±1.46μM、p=0.002)の血清中レベルを有意に減少した。GSK672に続いて、血清中ATX活性(8.25±4.17対6.95±2.62nMol/ml/分、p=0.006)及び血清中FGF19レベル(162.9±107.5対50.66±47.31pg/mL、p<0.0001)は低く、デオキシコール酸(3.1±0.55対3.39±0.64μM、p=0.009)及びC4(13.13±10.04対35.2±25.32ng/ml、p=0.0006)の血清中レベルは、高かった。
【0044】
研究結論
要約すると、2週間の経口の毎日2回のGSK2330672は、十分に忍容され、そう痒症を有するPBC患者の高い比率でそう痒強度を減じた。血清中の総及び接合した原発性胆汁酸及びFGF19レベルでの実質的な減少、及び血清中C4レベルでの増加は、IBAT阻害の作用の機構と一致する。これらの結果は、胆汁うっ滞性そう痒症のための将来性のある治療としてのGSK2330672のさらなる調査を支持する。
【0045】
上のPBC研究に加えて、GSK2330672は、他の研究でも投与された。GSK2330672は、2011年6月にヒトに最初に投与された回腸胆汁酸輸送体(IBAT)の阻害剤である。それは、胆汁うっ滞に関連した肝疾患のための治療として評価中である。2型糖尿病(T2D)の治療のための先の開発は、背景にメトホルミンを服用しているT2D対象での2つの第II相試験の完了後に終了された。2016年6月3日現在で、予備の結果は、原発性胆汁性胆管炎(PBC)のためそう痒症を有する対象で行われた1つの第II相反復投薬試験のために利用可能である。全部のデータは、59名の健康な対象、52名のT2D対象及び21名のPBCそう痒症の対象を含めた、GSK2330672に曝した132名の対象から入手可能である。これらのうち、90mgBIDの最大用量を、6名の健康な患者(1日)、24名のT2D患者(14日まで)及び21名のPBCそう痒症の対象(14日まで)を含めた、51名の対象に投与した。
【0046】
これらの研究の中で、3つの非致命的な重大な有害事象(SAE)が報告された。1名の健康な対象は、単回の30mgの投薬の後、出血性血栓性外痔核(bleeding thrombosed external haemorrhoid)を経験した。T2D対象の中で、1名が、急性胆嚢炎を経験し、1名が、心房粗動/細動を経験した。PBCそう痒症対象から報告されたSAEはなかった。いずれかの研究から報告された死亡又は妊娠はなかった。作用の標的部位に関連した胃腸の徴候は、GSK2330672に関連し、最も共通に報告された有害事象(AE)であり、下痢、腹部痛及び腸管運動異常を含んだ。微量の陽性糞便の潜血試験は、少数の参加者でも、臨床的続発症なしに観察された。健康な対象、T2D患者、又はPBCそう痒症患者で観察される異常な生体徴候測定結果、心電図(ECG)上の変化、肺活量パラメーター又は臨床検査室の所見の臨床的に有意なパターンはなかった。
【0047】
要約すると、IBAT阻害剤であるGSK2330672の投与は、T2D又は原発性胆汁性胆管炎を有する患者集団での計画された短期臨床試験の実施を妨げるだろう安全性モニタリング中になんらかの所見を生じなかった。しかし、メトホルミン850mgBIDを取っているT2D対象の間の高い頻度の下痢AEは、この状態(condition)の進展を終わらせる決定に寄与した。
【0048】
GSK2330672の薬理学的標的が、腸管腔での腸細胞の刷子縁に配置されるので、分子は、部分的又は全身の循環への吸収を制限するために低い透過性及び高い極性表面積を有するように設計された。血漿中薬物濃度のアッセイのためのGSK2330672の投与後頻繁な間隔で、血液サンプルを得た。測定値の大半は、アッセイについての定量化の最低限より下であった(LLQ=1ng/mL)。1名の対象での投薬2時間後に得られた最高の測定可能な濃度は、5.33ng/mlであったが、これは、全身循環への吸収制限が確認された。
【0049】
用量≧10mgでのGSK2330672の経口投与は、回腸胆汁酸輸送体を明確に阻害した。健康な対象については、この範囲での単一用量は、その後48時間にわたり測定された糞便の胆汁酸排出を有意に増大した。反復投薬は、投薬の1日目及び10日目に測定された絶食状態及び食事後の胆汁酸濃度の両方を抑制した。阻害された胆汁酸再吸収に対する期待される適応反応、胆汁酸合成の上方調節は、7-α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(C4)の血清中濃度を測定することにより評価された。GSK2330672の反復投薬で、血清中C4濃度は、投薬の10日後に10倍まで増大した。
【0050】
研究200185でメトホルミンに加えてGSK2330672を用いた完全な7日治療期間を完了したT2D対象については、GSK2330672の反復投薬は、3日目に45~90mgのBIDで増大し、血清中総胆汁酸濃度を有意に減少させ、C4濃度を増加させた。さらに、GSK2330672は、プラセボと比較した場合に、ベースラインから血漿中グルコース及び低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を有意に減少させた。午前の投薬後24時間のグルコース加重平均濃度曲線下面積[AUC(0~24h)]については、減少は、統計学的に有意であった[プラセボからの最小二乗平均差(95%信頼区間):-34.76mg/dL(-54.67、-14.85)]。GSK2330672は、プラセボ群について、同時期間で3.5%平均増加に比較して、絶食状態のLDL-Cで、ベースラインから、41.7%平均減少を引き出した。絶食状態の血清トリグリセリドは、GSK2330672群では比較的安定であり、プラセボ群では、平均で-16.0%減少であった。
【0051】
研究201351で、メトホルミンに加えてGSK2330672を用いた14日の治療期間を完了したT2D対象については、10mg~90mgのBIDのGSK2330672の反復投薬は、投薬後14時間にわたり、プラセボ及びシタグリプチンに比較して、全ての投薬で、循環する食事中のグルコース濃度を減少させた。血清C4の循環濃度が、プラセボ及びシタグリプチンに比較して、全ての投薬でGSK2330672による投薬後14時間にわたり、増大された一方で、10mg、20mg、30mg及び60mgのGSK2330672群についてのC4濃度は、7日目までに安定状態に達したように見えるが、これは、14日目の値が、7日目のものより大きかった90mg群についての場合でなかった。
【0052】
T2D対象の中での2週間の投薬範囲の研究で、GSK2330672は、プラセボ又はシタグリプチンと比較した場合、ベースラインから、血漿中グルコース及び低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を有意に減少させた。絶食状態の血漿中グルコースでの減少は、プラセボ及びシタグリプチン群と比較して、7日目及び14日目に、GSK2330672の30mg、60mg及び90mgの群でより大きかった。90mgのBID群については、統計学的に有意な減少が、午前の投薬の後24時間、グルコース加重平均濃度曲線下面積について観察された。[AUC(0~24h)]:プラセボ(95%信頼区間)から得られる最小二乗平均差は、-34.76(-54.67、-14.85)mg/dLであった。絶食状態の血漿中インスリンでの減少は、GSK2330672投薬にわたり、投薬応答なしで14日目に可変であったが、最大の減少が、プラセボに比較してGSK2330672の90mg群で観察された(プラセボからLS平均差[95%CI]:-17.61pmol/L[-33.73、-1.48])。絶食状態の血清中のアポB、総コレステロール、直接的LDLコレステロール及び非HDLコレステロール濃度でのベースラインからの減少が、プラセボ及びシタグリプチンに比較して全てのGSK2330672投薬群で観察されたが、明らかな投薬応答はなかった。最大の平均減少は、GSK2330672の60mg群で観察された(プラセボからのベースライン(比として表現される)差から得られるLS平均変化[95%CI]:0.74(0.66、0.82)。全てのGSK2330672投薬群でのトリグリセリド濃度における増加についての傾向があったが、任意の投薬群でのHDLコレステロールにおける臨床的に意味のある変化はなかった。
【0053】
PBCそう痒症を有する22名の対象でのランダム化プラセボ対照の14日のクロスオーバー研究(研究117213)で、90mgBDでのGSK2330672は、3つの異なる格付けスケール(10点の数値化スケール、5Dそう痒症スケール、及びPBC-40)により証明されるとおり、プラセボに比較してそう痒症重症度で統計学的に有意な減少を生じた。そう痒症重症度の減少は、GSK2330672の第一の週内に起こり、2週間の治療を通して減少し続け、盲検によるプラセボへの切り換え後にベースラインに戻った。疲労、睡眠障害及び全般的障害での減少は、プラセボと比較してGSK2330672投与にも留意された。GSK2330672による、統計学的に有意な標的関与は、血清中総胆汁酸の濃度でのおおよそ50%減少、及び血清中C-4での3倍増加により実証された。GSK2330672は、少数の対象(21名中の8名)で単離されたサンプルでの検出により証明されるとおり最小限で吸収された。GSK2330672に関連した代謝産物で、血漿又は尿で検出されたものはなかった。親化合物(GSK2330672)は、尿で観察された唯一の薬物関連材料であり、その濃度は、低く、全対象で観察されたわけではなかった。UDCA接合体、グリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)及びタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)の薬物動態学で統計学的に有意な減少があったが、GSK2330672は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の吸収を阻害しなかった。注目すべきは、TUDCA及びGUDCAの血漿中濃度は、なおPBCについてのUDCA療法の公開された研究での臨床効果に関連したレベルにあった。Dilger K, Hohenester S, Winkler Budenhofer U, Bastiaansen B, Schapp F, Rust C, Beuers U. Effect of ursodeoxycholic acid on bile acid profiles and intestinal detoxification machinery in primary biliary cirrhosis and health. Journal of Hepatology. 2012;57:133~40。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
化合物
【化14】
の合成の方法であって、
エポキシド加水分解酵素を使用した、中間体A、(R)-2-ブチル-2-エチルオキシラン
【化15】
の製造のステップを含む、方法。
(実施形態2)
(R)-2-ブチル-2-エチルオキシランを、3-ヒドロキシ-4-メトキシチオフェノールと反応させて、中間体C
【化16】
を生成するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
(実施形態3)
中間体Cを、立体選択的リッター反応を介して下に示される中間体E
【化17】
に変換するステップをさらに含む、実施形態2に記載の方法。
(実施形態4)
化合物
【化18】
の合成の方法であって、
下に描かれる中間体H
【化19】
の製造のステップを含む、方法。
(実施形態5)
下に描かれる中間体H
【化20】
の製造のステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
(実施形態6)
中間体Hを下に描かれる中間体I
【化21】
に変換するステップをさらに含む、実施形態4に記載の方法。
(実施形態7)
中間体Iを、下に描かれる中間体J
【化22】
に変換するステップをさらに含む、実施形態5に記載の方法。
(実施形態8)
前記化合物Aが、エポキシド加水分解酵素を用いたラセミ体2-ブチル-2-エチルオキシランの速度論的分割により作製される、実施形態1に記載の方法。
(実施形態9)
前記エポキシド加水分解酵素が、アグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID: JX467176から得られる、実施形態8に記載の方法。
(実施形態10)
前記エポキシド加水分解酵素が、アグロマイセス・メジオラヌスZJB1202030ID: JX467176から得られる、エポキシド加水分解酵素の突然変異株N240Dである、実施形態9に記載の方法。
(実施形態11)
前記ラセミ体2-ブチル-2-エチルオキシランの濃度が、200~330g/Lである、実施形態8に記載の方法。
(実施形態12)
化合物
【化23】
を含む錠剤であって、前記化合物が、実施形態1に記載の方法により製造される、錠剤。
(実施形態13)
20~200mgの間の前記化合物、微結晶性セルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む、実施形態12に記載の錠剤。
(実施形態14)
実施形態12に記載の錠剤の投与を含む、胆汁うっ滞性肝疾患及び/又は関連したそう痒症を治療する方法。