(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】線状多孔チタン酸リチウム材料及びその調製並びに製品
(51)【国際特許分類】
C01G 23/00 20060101AFI20220627BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20220627BHJP
【FI】
C01G23/00 B
H01M4/485
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019160625
(22)【出願日】2019-09-03
【審査請求日】2019-09-03
(31)【優先権主張番号】201811018059.8
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519316254
【氏名又は名称】中国石油天然气股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PetroChina Company Limited
【住所又は居所原語表記】9 Dongzhimen North Street,Dongcheng District,Beijing,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】李建明
(72)【発明者】
【氏名】金旭
(72)【発明者】
【氏名】劉合
(72)【発明者】
【氏名】王曉▲チィ▼
(72)【発明者】
【氏名】劉曉丹
(72)【発明者】
【氏名】焦航
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-281050(JP,A)
【文献】KIM, Jinyoung et al,"Spinel Li4Ti5012 Nanowires for High-Rate Li-Ion Intercalation Electrode",ELECTROCHEM. SOLID-STATE LETTERS,2007年,Vol.10,pp.A81-A84
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/00
H01M 4/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸リチウム材料の晶相がスピネル型チタン酸リチウムであり、
前記チタン酸リチウム材料が線状構造であり、前記線状構造のアスペクト比が10を超え、
前
記チタン酸リチウム材料が多孔構造であり、
前
記チタン酸リチウム材料の構造が複数の粒子からなり、前記粒子が配向の成長方向を有し、前記成長方向が<001>方向であり、
前
記チタン酸リチウム材料は全体的に単結晶構造であり、単結晶の長軸配向が<001>方向であり、
前
記多孔構造において、孔の大きさが2ナノメートルから50ナノメートルまでである線状多孔チタン酸リチウム材料。
【請求項2】
前記チタン酸リチウム材料はアスペクト比が10
を超え100までの線状構造である、請求項1に記載の線状多孔チタン酸リチウム材料。
【請求項3】
矩形柱又は複数の矩形柱構造であり、平坦で互いに垂直の側面を有し、前記側面が{110}結晶面である請求項1に記載の線状多孔チタン酸リチウム材料。
【請求項4】
前
記多孔構造の径が20ナノメートルから1ミクロンまでであり、長さが1ミクロンから50ミクロンまでである請求項1に記載の線状多孔チタン酸リチウム材料。
【請求項5】
チタンペルオキシ錯体を含有する分散液を調製するステップS11と、
前記チタンペルオキシ錯体を含有する分散液にリチウム化合物を添加して溶液を形成するステップS12と、
前記溶液を加熱反応させて線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られるステップS13と、
前記線状構造の過酸化チタン酸リチウムを低温アニーリング処理して線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られるステップS14と、ステップS14において前記低温アニーリング処理の温度は150℃~250℃であり、前記低温アニーリング処理の時間は1h~24hであって、
前記線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを浸漬処理及び高温アニーリング処理して線状多孔チタン酸リチウム材料が得られるステップS15と、を含み、ステップS15において前記高温アニーリング処理の温度は350℃~800℃であり、前記高温アニーリング処理の時間は1h~24hである、請求項1~3のいずれか1項に記載の線状多孔チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項6】
チタンペルオキシ錯体を含有する分散液を調製するステップS11と、
前記チタンペルオキシ錯体を含有する分散液にリチウム化合物を添加して溶液を形成するステップS12と、
前記溶液を加熱反応させて線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られるステップS13と、
前記線状構造の過酸化チタン酸リチウムを低温アニーリング処理して線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られるステップS14と、ステップS14において前記低温アニーリング処理の温度は150℃~250℃であり、前記低温アニーリング処理の時間は1h~24hであって
、
前記線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを水素イオン交換して線状構造のチタン酸が得られた後、前記線状構造のチタン酸をリチウムイオン交換及び熱処理して線状多孔チタン酸リチウム材料が得られる
ステップS15と、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の線状多孔チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項7】
前記チタンペルオキシ錯体を含有する分散液中で、チタンペルオキシ錯体の濃度が0.01mol/Lから1mol/Lまでである請求項5に記載の調製方法。
【請求項8】
前記チタンペルオキシ錯体を含有する分散液を調製する方法は、チタン源を過酸化物の水溶液に分散させて分散液を形成するものである請求項5に記載の調製方法。
【請求項9】
前記チタン源は、金属チタン、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタングリコール、チタングリセロール、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、四フッ化チタン、フッ化チタン酸アンモニウム、窒化チタン、二酸化チタン、水和チタン酸、メタチタン酸、及びオルトチタン酸から選択されるから一種又は複数種の組み合わせである請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
前記過酸化物は、過酸化水素、過酸化尿素、及び過酢酸から選択される一種又は複数種の組み合わせである請求項8に記載の調製方法。
【請求項11】
ステップS11において、チタンペルオキシ錯体を含有する分散液を調製するときに、分散液に重合体を添加してもよく、前記重合体はキトサン、グアーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド及びポリビニルピロリドンから選択される一種又は複数種であり、前記溶液中に添加される重合体の含有量が1/10000から10/100までである請求項5に記載の調製方法。
【請求項12】
ステップS12において、前記リチウム化合物は水酸化リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、超酸化リチウムから選択される一種又は複数種の組み合わせである請求項5に記載の調製方法。
【請求項13】
ステップS12において、リチウム化合物を添加して形成する前記溶液中で、リチウムイオンの濃度が0.4mol/Lから2.0mol/Lまでであり、添加される前記リチウム化合物はリチウム化合物固体又はリチウム化合物水溶液から選択されるものである請求項5に記載の調製方法。
【請求項14】
ステップS13において、前記加熱反応の温度が60℃~100℃であり、前記加熱反応の時間が0.5h~24hである請求項5に記載の調製方法。
【請求項15】
ステップS15において、前記浸漬処理は線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを水に添加して浸漬させた後、分離乾燥する処理方式であり、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムと水の質量%が1:1000から1:100000までであり、前記浸漬処理が1h~24hの間の時間で行われる請求項5に記載の調製方法。
【請求項16】
ステップS15において、前記水素イオン交換の過程は線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを複数回洗浄して分離した後、酸溶液中に添加して水素イオン交換を行うことにより線状構造のチタン酸が得られることであり、前記酸溶液は硝酸、塩酸、硫酸、及び酢酸から選択される一種又は複数種であり、酸溶液の濃度が0.001mol/L~0.1mol/Lである請求項6に記載の調製方法。
【請求項17】
ステップS15において、前記リチウムイオン交換の過程は水素イオン交換して得られた線状構造のチタン酸をリチウムイオンを含有する溶液中に入れてリチウムイオン交換を行うことにより線状構造のチタン酸リチウム前駆体が得られることであり、前記リチウムイオンの溶液は硝酸リチウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、及び水酸化リチウムから選択される一種又は複数種の溶液であり、前記リチウムイオンの溶液中で、リチウムイオンの濃度が0.1mol/L~1.0mol/Lである請求項6に記載の調製方法。
【請求項18】
ステップS15において、前記熱処理の方式は水熱反応、及び高温アニーリングの一種又はこちらの組み合わせである請求項6に記載の調製方法。
【請求項19】
前記水熱反応の系は純水系、リチウムイオン含有水系、水酸化リチウムの水系から選択される一種で反応され、
前記水熱反応の温度が100℃~200℃であり、前記水熱反応の時間が1h~24hであって、
高温アニーリングの温度が350℃~800℃であり、前記高温アニーリングの時間が1h~24hである請求項18に記載の調製方法。
【請求項20】
請求項1~3のいずれか1項に記載の線状多孔チタン酸リチウム材料を原料として調製されるイオン電池電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー、環境保護材料の調製分野に関し、具体的には、本発明は線状多孔チタン酸リチウム材料及びその調製並びに製品に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸リチウムは理想的な、非常に有望なリチウムイオン電池の負極材料であり、その充放電サイクルが数千回以上となり、電極材料分野の研究のホットスポットである。
【0003】
チタン酸リチウムの寸法及び形態はリチウムイオン電池への応用を大きく影響できる。粒子に比べて、線状構造のチタン酸リチウム材料は粒子間の結晶粒界を減少し、キャリアの長軸方向の輸送に寄与できる。電池電極材料分野において、長軸は電子の有効遷移に寄与し、短軸はリチウム、ナトリウム又はカリウムイオンの高速挿入と放出の過程に寄与する。粒子に比べて、線状構造はよい充放電性能などを有する。また、多孔構造の材料は大きい比表面積、高い孔隙率を有するので、応用の点では、優れた特性を多く有する。チタン酸リチウムを多孔構造とすることで、(1)多孔構造は材料の比表面積を増加し、電極と電解液の接触面積を広げ、電流密度を減少し、充放電速率を向上することができる、(2)多孔構造は電解液の輸送に寄与し、導電性能を向上する、(3)多孔構造を構成する材料は全体的に大粒子の範囲に属し、材料のタップ密度を増加することに寄与し、電池の体積比容量を向上するというメリットがある。従って、線状構造、単結晶構造、多孔構造を結合することで、線状、多孔、単結晶を有するチタン酸リチウム材料が得られ、材料の比表面積を大きく向上し、材料の表面活性を向上し、粒子間の結晶粒界を減少し、キャリアの長軸方向の有効輸送を向上することができ、電池電極の容量及び高速充放電等の分野における材料の応用性能を幅広く向上することができる。
【0004】
従来、チタン酸リチウムの調製方法は主に固体合成及び水熱反応調製を含む。その中でも、固体合成方法は、まず水酸化リチウム又は炭酸リチウムと二酸化チタンなどの原料をボールミルにより、又は有機溶剤に均一に混合した後、800摂氏温度を越える高温で焼結することにより調製するのが一般的である。該方法により調製する過程で、過剰な水酸化リチウム又は炭酸リチウムが必要になり、得られたチタン酸リチウムは一般的に純度が高くなく、寸法がミクロンオーダーであり、形態及び均一性がともに不良である。チタン酸リチウムの水熱調製方法は、一般的に市販の二酸化チタン及び水酸化ナトリウムを開始原材料として、水熱法によりチタン酸ナトリウムを調製し、チタン酸ナトリウムを酸溶液に浸漬させ、イオン交換法によりチタン酸が得られた後、チタン酸と水酸化リチウム溶液を混合した後、チタン酸リチウム前駆体が得られ、その後、生成物を異なる温度でアニーリング処理して、生成物であるチタン酸リチウムが得られた。該調製方法の水熱過程は高温高圧に関与するので一定の危険性を有する。そして、該反応系が10mol/Lの強アルカリであり、高温で強い腐食性を有するので、水熱反応機器への要求があまりにひどく、好適な反応機器を見つけることが困難になった。また、該調製方法で使用されているアルカリ濃度が高く、次の製品の分離、精製が困難になり、環境に一定の汚染を与えられる。従って、チタン酸リチウムの水熱調製方法は合成機器及び次の処理などで多くの課題に直面し、大規模な生産を実現することができない。
【0005】
以上により、リチウムイオンなどの電池分野におけるチタン酸リチウム材料の応用性能をさらに向上するために、線状、多孔及び単結晶構造を有するチタン酸リチウム電極材料の開発が緊急に必要になった。また、開発プロセスの流れが簡単で、大規模にチタン酸リチウムを生産する調製方法、特に多孔線状構造を有するチタン酸リチウム材料の調製方法に対して、やはり難題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は線状多孔チタン酸リチウム材料を提供することを一つの目的とする。
本発明は前記線状多孔チタン酸リチウム材料の調製方法を提供することを他の目的とする。
【0007】
本発明は前記線状多孔チタン酸リチウム材料を原料として調製されるガスセンサ又はイオン電池電極を提供することを更に他の目的とする。
【0008】
上記の目的を達成するために、
一方では、本発明は、
前記チタン酸リチウム材料の晶相がスピネル型チタン酸リチウムであり、
前記チタン酸リチウム材料が線状構造であり、前記線状構造のアスペクト比が10を超え、
前記線状チタン酸リチウム材料が多孔構造であり、
前記線状多孔チタン酸リチウム材料の構造が複数の粒子からなり、前記粒子が配向の成長方向を有し、前記成長方向が<001>方向であることが好ましい線状多孔チタン酸リチウム材料が提供されている。
【0009】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記線状構造のアスペクト比が10から100までである。
【0010】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記線状多孔チタン酸リチウム材料が矩形柱又は複数の矩形柱構造であり、平坦で互いに垂直の側面を有する。
【0011】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記線状多孔チタン酸リチウム材料が矩形柱又は複数の矩形柱構造であり、平坦で互いに垂直の側面を有し、前記側面が{110}結晶面である。
【0012】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記スピネル型チタン酸リチウム晶相には、アナターゼ型二酸化チタン晶相、単斜晶系チタン酸リチウム晶相の一種を含有してもよい。
【0013】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記線状多孔構造の径が20ナノメートルから1ミクロンまでであり、長さが1ミクロンから50ミクロンまでである。
【0014】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記線状構造の径が50ナノメートルから500ナノメートルまでであり、長さが5ミクロンから20ミクロンまでである。
【0015】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記線状多孔構造において、孔の大きさが2ナノメートルから50ナノメートルまでである。
【0016】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記線状多孔構造において、孔の大きさが5ナノメートルから20ナノメートルまでである。
【0017】
もう一方では、本発明は、
チタンペルオキシ錯体を含有する分散液を調製するステップS11と、
チタンペルオキシ錯体を含有する前記分散液にリチウム化合物を添加して溶液を形成するステップS12と、
前記溶液を加熱反応させて線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られるステップS13と、
前記線状構造の過酸化チタン酸リチウムを低温アニーリング処理して線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られるステップS14と、
前記線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを浸漬処理及び高温アニーリング処理して線状多孔チタン酸リチウム材料が得られるステップS15とを含む前記線状多孔チタン酸リチウム材料の調製方法も提供されている。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS15において、前記線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを水素イオン交換して線状構造のチタン酸が得られた後、前記線状構造のチタン酸をリチウムイオン交換及び熱処理して線状多孔チタン酸リチウム材料が得られる。
【0018】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、チタンペルオキシ錯体を含有する前記分散液中で、チタンペルオキシ錯体の濃度が0.01mol/Lから1mol/Lまでである。
【0019】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、チタンペルオキシ錯体を含有する前記分散液中で、チタンペルオキシ錯体の濃度が0.05mol/Lから0.5mol/Lまでである。
【0020】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、チタンペルオキシ錯体を含有する分散液を調製する前記方法は、チタン源を過酸化物の水溶液に分散させて分散液を形成するものである。
【0021】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記チタン源は金属チタン、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタングリコール、チタングリセロール、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、四フッ化チタン、フッ化チタン酸アンモニウム、窒化チタン、二酸化チタン、水和チタン酸、メタチタン酸、及びオルトチタン酸から選択される一種又は複数種の組み合わせである。
【0022】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記過酸化物は過酸化水素、過酸化尿素、及び過酢酸から選択される一種又は複数種の組み合わせである。
【0023】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、チタンペルオキシ錯体を含有する前記分散液の状態は溶液状態、懸濁液状態、エマルジョン状態の一種であってもいい。
【0024】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS11において、チタンペルオキシ錯体を含有する分散液を調製するときに、分散液に重合体を添加してもよい。前記重合体はキトサン、グアーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンから選択される一種又は複数種である。前記溶液に添加される重合体の含有量が1/10000から10/100までである。
【0025】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、溶液に添加される重合体の含有量が1/1000から1/100までである。
【0026】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、添加される前記重合体は重合体固体又は重合体水溶液から選択されるものである。
【0027】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS12において、前記リチウム化合物は水酸化リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、超酸化リチウムから選択される一種又は複数種の組み合わせである。
【0028】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS12において、リチウム化合物を添加して形成する前記溶液中で、リチウムイオンの濃度が0.4mol/L~2.0mol/Lである。
【0029】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、添加される前記リチウム化合物はリチウム化合物固体又はリチウム化合物水溶液から選択されるものである。
【0030】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS13において、前記加熱反応の温度が60℃~100℃であり、前記加熱反応の時間が0.5h~24hである。
【0031】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS14において、前記低温アニーリング処理の温度が150℃~250℃であり、前記低温アニーリング処理の時間が1h~24hであり、ステップS15において、前記高温アニーリングの温度が350℃~800℃であり、前記高温アニーリング処理の時間が1h~24hである。
【0032】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS15において、前記浸漬処理は線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを水に添加して浸漬させた後、分離乾燥する処理方式であり、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムと水の質量%が1:1000から1:100000までであり、前記浸漬時間が1h~24hである。
【0033】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS15において、前記水素イオン交換の過程は線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを複数回洗浄して分離した後、酸溶液中に添加して水素イオン交換を行うことにより線状構造のチタン酸が得られることである。前記酸溶液は硝酸、塩酸、硫酸、及び酢酸から選択される一種又は複数種であり、酸溶液の濃度が0.001mol/L~0.1mol/Lである。
【0034】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS15において、前記リチウムイオン交換の過程は水素イオン交換して得られた線状構造のチタン酸をリチウムイオンを含有する溶液中に入れてリチウムイオン交換を行うことにより線状構造のチタン酸リチウム前駆体が得られることである。前記リチウムイオンの溶液は硝酸リチウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、及び水酸化リチウムから選択される一種又は複数種の溶液であり、前記リチウムイオンの溶液中で、リチウムイオンの濃度が0.1mol/L~1.0mol/Lである。
【0035】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、ステップS15において、前記熱処理の方式は水熱反応、及び高温アニーリングの一種又はこちらの組み合わせである。
【0036】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記水熱反応の系は純水系、リチウムイオン含有水系、水酸化リチウムの水系から選択される一種で反応され、前記水熱反応の温度が100℃~200℃であり、前記水熱反応の時間が1h~24hである。
【0037】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記熱処理方式は高温アニーリングであるときに、高温アニーリングの温度が350℃~800℃であり、前記高温アニーリングの時間が1h~24hである。
【0038】
更にもう一方では、本発明は本発明のいずれか1項に記載の線状多孔チタン酸リチウム材料を原料として、調製されるガスセンサ又はイオン電池電極も提供されている。
【0039】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によると、前記イオン電池はリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池、又はマグネシウムイオン電池から選択されるものである。
【0040】
以上のように、本発明は線状多孔チタン酸リチウム材料及びその調製並びに製品が提供されている。本発明の材料は、以下のような利点を具備する。
(1)該出願は始めて線状構造、単結晶構造、多孔構造のチタン酸リチウム材料が提供されている。
(2)該方法は線状構造、単結晶構造、多孔構造のチタン酸リチウム材料の調製技術が提供されており、他の方法で達成できないものである。
(3)該方法により提供されている多孔構造はチタン酸リチウムの比表面積を増加し、チタン酸リチウムを電極材料とするときの電解液との接触面積を増加し、電流密度を減少し、電池性能を向上することができる。
(4)該方法により提供されている線状単結晶構造は粒子間の結晶粒界を減少し、キャリアの長軸方向の輸送に寄与し、電極材料の応用効果を向上することができる。
(5)該方法は、調製プロセスが簡単で、プロセスのパラメータを制御しやすく、原料の入手が容易で、生産コストが低く、大規模な工業化生産を行いやすい。
(6)該構造の長軸が電子の有効遷移に寄与し、多孔構造がリチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンの高速挿入と放出過程に寄与し、大きい比表面積が電解液と電極の接触面積に寄与し、電流密度を減少し、よい電池高速充放電性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は線状多孔チタン酸リチウム材料の調製のフローチャートAである。
【
図2】
図2は実施例1におけるチタン酸リチウム材料がスピネル型チタン酸リチウム晶相であるXRD図である。
【
図3】
図3は実施例1におけるチタン酸リチウム材料が線状構造であるSEM図である。
【
図4】
図4は実施例1における線状チタン酸リチウム材料が多孔構造であるTEM図である。
【
図5】
図5は実施例1における線状多孔チタン酸リチウム材料の高解像度透過HRTEM図である。
【
図6】
図6は実施例1における線状多孔チタン酸リチウム材料のTEM及びその分の制限視野電子回折(黒丸エリア)図である。
【
図7】
図7は実施例1における線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料の高解像度SEM形態図である。
【
図8】
図8は実施例1における線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料の形態構造の模式図である。
【
図9】
図9は実施例1における線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料のBET吸脱着曲線及び孔径分布(イラスト)図である。
【
図10】
図10は異なる充放電速率での、実施例1における線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料を電極材料とするリチウムイオン電池の放電容量図である。
【
図11】
図11は線状多孔チタン酸リチウム材料の調製のフローチャートBである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、具体的な実施例により本発明の実施過程及びそれによる有益な効果を詳細に説明し、読者に本発明の実質及び特徴をよく理解させるように意図されており、本件の実施範囲の限定とされていない。
【0043】
実施例1
図1における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、2グラムのチタンイソプロポキシドを100ミリリットルの水に分散させ、その後、5ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3.5グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を80摂氏温度に加熱した後、定温で6時間攪拌して白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、200摂氏温度のオーブンに入れて、20時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記したアモルファスのチタン酸リチウムと水の割合が質量比で1:10000である量でアモルファスのチタン酸リチウムを水中に浸漬させ、攪拌しながら12時間浸漬した後、分離して乾燥させた。最後に、上記の浸漬した後に乾燥させたアモルファスのチタン酸リチウムを550摂氏温度で4時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。
【0044】
線状多孔チタン酸リチウム材料のXRD晶相スペクトルを
図2に示す。標準なスピネル型チタン酸リチウム(PDFカード番号が49~0207である)の標準ピークと完全に重なるので、スピネル型チタン酸リチウムであると立証された。
線状多孔チタン酸リチウム材料のSEM形態スペクトルを
図3に示す。線状構造のアスペクト比が10を超え、そして、アスペクト比が10から100までの線状構造の割合が80%以上と高いことが分かる。図中から、線状多孔チタン酸リチウム材料の径が20ナノメートルから1ミクロンまでであり、長さが1ミクロンから50ミクロンまでであり、そして、径が50ナノメートルから500ナノメートルまで、長さが5ミクロンから20ミクロンまでの線状構造の割合が60%と高いことも分かる。
【0045】
線状多孔チタン酸リチウム材料のTEM形態スペクトルを
図4に示す。線状チタン酸リチウム材料が多孔構造であり、多孔構造における孔の大きさが2ナノメートルから50ナノメートルまでであり、そして、孔径の大きさが5ナノメートルから20ナノメートルまでの孔の割合が90%以上と高いことが分かる。
【0046】
線状多孔チタン酸リチウム材料の高解像度透過HRTEMスペクトルを
図5に示す。線状多孔チタン酸リチウム材料の構造が複数の粒子からなり、そして、こちら粒子が配向の配列成長方向を有し、<001>方向に沿って、配向の配列成長をすることが分かる。
【0047】
線状多孔チタン酸リチウム材料のTEMスペクトル及びその分の制限視野電子回折(黒丸エリア)を
図6に示す。線状多孔チタン酸リチウム材料が全体的に単結晶構造であり、単結晶の長軸配向が<001>方向であることが分かる。
【0048】
線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料の高解像度SEM形態スペクトルを
図7に示す。線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料が矩形柱又は複数矩形柱構造であり、平坦で互いに垂直な側面を有することが分かる。透過電子顕微鏡及び制限視野電子回折の実験結果と結合して、該材料の側面が{110}結晶面であると立証された。材料の形態構造の模式図を
図8に示す。
【0049】
線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料のBET吸脱着曲線及び孔径分布(イラスト)を
図9に示す。線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料が大きい比表面積を有し、56.6m
2/gであり、孔径分布が2ナノメートルから50ナノメートルまでであることが分かる。
【0050】
異なる充放電速率での、線状多孔単結晶チタン酸リチウム材料を電極材料とするリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果を
図10に示す。リチウムイオン電池電極の調製はナイフコートの方法が採用された。まず、生成物であるチタン酸リチウム:super P:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)=7:2:1の質量比で、N-メチルピロリドン(NMP)を溶剤としてスラリーと混合した後、ナイフコーターでスラリーを銅箔に均一に塗布し、その後、グローブボックス内で金属リチウムを対極とし、1mol/L LiPF
6/ EC-DMC-EMC (1:1:1)を電解液とし、Glass Fiberを隔膜として、型番がCR2032であるボタン電池と組み立てられ、電気化学的なテストを行った。
図10からわかるように、材料が線状、単結晶、多孔構造であり、線状長軸及び単結晶特性が電子の長軸有効遷移に寄与し、多孔構造がリチウムイオンの高速挿入と放出に寄与し、多孔構造がチタン酸リチウムの比表面積を増加し、電解液と電極の接触面積に寄与し、電流密度を減少するので、該構造材料が優れたリチウムイオン電池の高速充放電性能を有する。1C、2C、5C、10C、15C、20C、50Cという異なる充放電速率で、電池容量がぞれぞれ、220、210、204、198、198、198、198 mAhg
-1に保持されており、現在報告のチタン酸リチウム材料では容量が最も高い構造材料である。
【0051】
実施例2
図1における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、0.3グラムの硫酸チタンを100ミリリットルの水に分散させ、その後、2グラムの過酸化尿素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に1グラムの過酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を60摂氏温度に加熱した後、定温で24時間攪拌して白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、150摂氏温度のオーブンに入れて、24時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記アモルファスのチタン酸リチウムと水の割合が質量比で1:1000である量でアモルファスのチタン酸リチウムを水中に浸漬させ、攪拌しながら24時間浸漬した後、分離して乾燥させた。最後に、上記の浸漬した後に乾燥させたアモルファスのチタン酸リチウムを350摂氏温度で24時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0052】
実施例3
図1における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、8グラムの水和チタン酸を80ミリリットルの水中に分散させ、その後、25ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を100摂氏温度に加熱した後、定温で1時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、250摂氏温度のオーブンに入れて、2時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記アモルファスのチタン酸リチウムと水の割合が質量比で1:100000である量でアモルファスのチタン酸リチウムを水中に浸漬させ、攪拌しながら24時間浸漬した後、分離して乾燥させた。最後に、上記の浸漬した後に乾燥させたアモルファスのチタン酸リチウムを850摂氏温度で1時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0053】
実施例4
図1における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、3グラムの水和硫酸チタニルを100ミリリットルの水に分散させ、その後、5ミリリットルの濃度が30%の過酢酸を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの超酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を90摂氏温度に加熱した後、定温で3時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、180摂氏温度のオーブンに入れて、15時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記アモルファスのチタン酸リチウムと水の割合が質量比で1:50000である量でアモルファスのチタン酸リチウムを水中に浸漬させ、攪拌しながら15時間浸漬した後、分離して乾燥させた。最後に、上記の浸漬した後に乾燥させたアモルファスのチタン酸リチウムを650摂氏温度で3時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0054】
実施例5
図1における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、3グラムのチタンテトラブトキシドを100ミリリットルの水に分散させ、その後、6ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を70摂氏温度に加熱した後、定温で12時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、220摂氏温度のオーブンに入れて、10時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記アモルファスのチタン酸リチウムと水の割合が質量比で1:5000である量でアモルファスのチタン酸リチウムを水中に浸漬させ、攪拌しながら12時間浸漬した後、分離して乾燥させた。最後に、上記の浸漬した後に乾燥させたアモルファスのチタン酸リチウムを450摂氏温度で6時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0055】
実施例6
図1における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、3グラムのチタンテトラブトキシドを100ミリリットルの濃度が1/1000のヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液に分散させ、その後、6ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を75摂氏温度に加熱した後、定温で10時間攪拌して白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、200摂氏温度のオーブンに入れて、15時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記アモルファスのチタン酸リチウムと水の割合が質量比で1:8000である量でアモルファスのチタン酸リチウムを水中に浸漬させ、攪拌しながら18時間浸漬した後、分離して乾燥させた。最後に、上記の浸漬した後に乾燥させたアモルファスのチタン酸リチウムを500摂氏温度で8時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0056】
実施例7
図1における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、2グラムのチタンイソプロポキシドを100ミリリットルの濃度が5/1000のポリビニルアルコールの水溶液に分散させ、その後、5ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3.5グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を85摂氏温度に加熱した後、定温で6時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、240摂氏温度のオーブンに入れて、10時間定温アニーリング処理して線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記アモルファスのチタン酸リチウムと水の割合が質量比で1:80000である量でアモルファスのチタン酸リチウムを水中に浸漬させ、攪拌しながら10時間浸漬した後、分離して乾燥させた。最後に、上記の浸漬した後に乾燥させたアモルファスのチタン酸リチウムを600摂氏温度で6時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0057】
実施例8
図11における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、1.5グラムのチタンイソプロポキシドを100ミリリットルの水に分散させ、その後、4ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を75摂氏温度に加熱した後、定温で8時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、200摂氏温度のオーブンに入れて、20時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記得られた線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを脱イオン水で複数回洗浄した後、0.05モル/Lの硝酸溶液に入れて、水素イオン交換を行い、水素イオン交換した後、洗浄液のpHが中性に近いまで、脱イオン水で複数回洗浄し乾燥させて、線状構造のチタン酸が得られた。その後、上記線状構造のチタン酸を100ミリリットルの濃度が0.5モル/Lの水酸化リチウム溶液に添加し24時間攪拌しながら浸漬させ、リチウムイオン交換を行った後、分離して乾燥させた。最後に、上記の乾燥させたサンプルを550摂氏温度で4時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0058】
実施例9
図11における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、0.5グラムの硫酸チタンを100ミリリットルの水に分散させ、その後、2.5グラムの過酸化尿素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に1.2グラムの過酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を65摂氏温度に加熱した後、定温で20時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、160摂氏温度のオーブンに入れて、24時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記得られた線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを脱イオン水で複数回洗浄した後、0.001モル/Lの塩酸溶液に入れて、水素イオン交換を行い、水素イオン交換した後、洗浄液のpHが中性に近いまで、脱イオン水で複数回洗浄し乾燥させ、線状構造のチタン酸が得られた。その後、上記線状構造のチタン酸を100ミリリットルの濃度が0.1モル/Lの水酸化リチウム溶液に添加し、24時間攪拌しながら浸漬させ、リチウムイオン交換を行った後、分離して乾燥させた。最後に、上記の乾燥させたサンプルを350摂氏温度で24時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。該多孔構造のチタン酸リチウムの晶相が主にスピネル型であり、少量のアナターゼ型二酸化チタン晶相が含有されている。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0059】
実施例10
図11における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、8グラムのチタン酸を80ミリリットルの水に分散させ、その後、25ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を100摂氏温度に加熱した後、定温で2時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、250摂氏温度のオーブンに入れて、4時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記得られた線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを脱イオン水で複数回洗浄した後、0.1モル/Lの酢酸溶液に入れて、水素イオン交換を行い、水素イオン交換した後、洗浄液のpHが中性に近いまで、脱イオン水で複数回洗浄し乾燥させて、線状構造のチタン酸が得られた。その後、上記線状構造のチタン酸を100ミリリットルの濃度が1モル/Lの塩化リチウム溶液に添加し、24時間攪拌しながら浸漬させ、リチウムイオン交換を行った後、分離して乾燥させた。最後に、上記乾燥させたサンプルを850摂氏温度で2時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。該多孔構造のチタン酸リチウムの晶相が主にスピネル型であり、少量の単斜晶系チタン酸リチウム晶相が含有されている。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0060】
実施例11
図11における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、2.5グラムのチタンイソプロポキシドを100ミリリットルの濃度が8/1000のポリビニルアルコールの水溶液に分散させ、その後、6ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に4グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を80摂氏温度に加熱した後、定温で8時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、220摂氏温度のオーブンに入れて、16時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記得られた線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを脱イオン水で複数回洗浄した後、0.01モル/Lの硫酸溶液に入れて、水素イオン交換を行い、水素イオン交換した後、洗浄液のpHが中性に近いまで、脱イオン水で複数回洗浄し乾燥させて、線状構造のチタン酸が得られた。その後、上記線状構造のチタン酸を100ミリリットルの濃度が0.4モル/Lの酢酸リチウム溶液に添加し、24時間攪拌しながら浸漬させ、リチウムイオン交換を行った後、分離して乾燥させた。最後に、上記乾燥させたサンプルを50ミリリットルの水に入れて、150摂氏温度で12時間水熱反応させ、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0061】
実施例12
図11における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、3グラムの水和硫酸チタニルを100ミリリットルの水に分散させ、その後、5ミリリットルの濃度が30%の過酢酸を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの超酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を90摂氏温度に加熱した後、定温で3時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、180摂氏温度のオーブンに入れて、15時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記得られた線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを脱イオン水で複数回洗浄した後、0.02モル/Lの硝酸溶液に入れて、水素イオン交換を行い、水素イオン交換した後、洗浄液のpHが中性に近いまで、脱イオン水で複数回洗浄し乾燥させて、線状構造のチタン酸が得られた。その後、上記線状構造のチタン酸を100ミリリットルの濃度が0.6モル/Lの硝酸リチウム溶液に添加し、24時間攪拌しながら浸漬させ、リチウムイオン交換を行った後、分離して乾燥させた。その後、上記乾燥させたサンプルを50ミリリットルの水に入れて、100摂氏温度で24時間水熱反応させ、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0062】
実施例13
図11における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、2.5グラムのチタンテトラブトキシドを100ミリリットルの水に分散させ、その後、5ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に2.8グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を75摂氏温度に加熱した後、定温で10時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、200摂氏温度のオーブンに入れて、16時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記得られた線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを脱イオン水で複数回洗浄した後、0.05モル/Lの塩酸溶液に入れて、水素イオン交換を行い、水素イオン交換した後、洗浄液のpHが中性に近いまで、脱イオン水で複数回洗浄し乾燥させて、線状構造のチタン酸が得られた。その後、上記線状構造のチタン酸を100ミリリットルの濃度が0.8モル/Lのクエン酸リチウム溶液に添加し、24時間攪拌しながら浸漬させ、リチウムイオン交換を行った後、分離して乾燥させた。その後、上記乾燥させたサンプルを50ミリリットルの水に入れて、200摂氏温度で6時間水熱反応させ、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。
【0063】
実施例14
図11における線状多孔チタン酸リチウム材料を調製する流れに従って、まず、2グラムの四フッ化チタンを100ミリリットルの濃度が2/1000のヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液に分散させ、その後、5ミリリットルの濃度が30%の過酸化水素を添加し、攪拌してチタンを含有するペルオキシ錯体の懸濁液を形成した。次に、上記ペルオキシ錯体の懸濁液に3グラムの水酸化リチウムを添加し、攪拌して淡黄色透明溶液を形成した。次に、上記淡黄色透明溶液を70摂氏温度に加熱した後、定温で12時間攪拌して、白色生成物である線状構造の過酸化チタン酸リチウムが得られ、反応を停止させ、分離して白色固体が得られた。次に、上記白色固体を乾燥させた後、200摂氏温度のオーブンに入れて、15時間定温アニーリング処理して、線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムが得られた。次に、上記得られた線状構造のアモルファスのチタン酸リチウムを脱イオン水で複数回洗浄した後、0.05モル/Lの硝酸溶液に入れて、水素イオン交換を行い、水素イオン交換した後、洗浄液のpHが中性に近いまで、脱イオン水で複数回洗浄し乾燥させて、線状構造のチタン酸が得られた。その後、上記線状構造のチタン酸を100ミリリットルの濃度が0.6モル/Lの水酸化リチウム溶液に添加し、24時間攪拌しながら浸漬させ、リチウムイオン交換を行った後、分離して乾燥させた。その後、上記乾燥させたサンプルを50ミリリットルの水に入れて、120摂氏温度で1時間水熱反応させた。最後に、上記生成物を分離して乾燥させた後、500摂氏温度で3時間加熱して、線状多孔チタン酸リチウム材料が得られた。得られた線状多孔チタン酸リチウム材料の形態構造は実施例1に近いものである。異なる充放電速率での、本実施例における線状多孔チタン酸リチウム材料を電極材料として調製されたリチウムイオン電池の放電容量のテスト結果も実施例1に近いものである。