(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】FCRN抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220627BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P37/06
(21)【出願番号】P 2019504902
(86)(22)【出願日】2017-07-31
(86)【国際出願番号】 US2017044765
(87)【国際公開番号】W WO2018023136
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-20
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508134441
【氏名又は名称】モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】リング レオナ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ロイ スチャリタ
(72)【発明者】
【氏名】ワッシュバーン ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】ケーリー マリリン
(72)【発明者】
【氏名】キング デビット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ミーダー ジェイムズ ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】マニング アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ヒルソン ジャン
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523737(JP,A)
【文献】特表2011-523351(JP,A)
【文献】特許第6853178(JP,B2)
【文献】Blood,2015年,126(23),3472,http://doi.org/10.1182/blood.V126.23.3472.3472
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61P 1/00 - 43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠した対象における同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を治療す
るための、抗体を含む医薬組成物であって、該方法は妊娠した対象に該抗体を投与することを含み、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、かつ
前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
前記医薬組成物。
【請求項2】
前記軽鎖可変領域が、
である配
列を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記重鎖可変領域が、
である配
列を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:19の配列を含み、かつ
前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:24の配列を含む、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記
妊娠した対象が
、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を
有する胎児を以前に有したことがあるという経歴を有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記
妊娠した対象が、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を
有する胎児を有する危険性がある、請求項1から
4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前
記同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、
及び先天性心ブロッ
クからなる群から選択される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前
記胎児の溶血性疾患
を治療するためのものである、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前
記胎児の同種免疫性血小板減少症
を治療するためのものである、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前
記先天性心ブロック
を治療するためのものである、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記治療により、流産
/胎児喪失の危険性が軽減される、請求項1から
10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記妊娠した対象の前記自己免疫障害が、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、温式自己免疫性溶血性貧血、抗因子抗体、ヘパリン起因性血小板減少症、感作移植(sensitized transplant)、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記妊娠した対象、前記妊娠した対象の胎児、及び/又はそれらの組み合わせを治療するためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記妊娠した対象における抗体の異化作用を増加させるためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
抗体の異化作用を増加させることが、病原抗体(pathogenic antibo
dy)の異化作用を増加させることを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記病原抗体は、前記妊娠した対象、前記胎児、又は前記妊娠した対象と胎児の両方にとって病原となる、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記妊娠した対象における自己抗体を軽減させるためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記妊娠した対象の胎盤を越えた抗体の移行を減少させるためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記妊娠した対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させるためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記免疫応答は、前記妊娠した対象における急性免疫応答又は慢性免疫応答である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記急性免疫応答は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症及び血清病からなる群から選択される医学的状態により活性化される、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎及び抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎からなる群から選択される医学的状態により活性化される、請求項20に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
治療用タンパク質、例えば、治療用抗体は、急速に、免疫疾患をもつ患者にとって臨床的に重要な薬剤分類になってきた。多くの自己免疫疾患及び同種免疫疾患は、病原抗体(pathogenic antibody)により引き起こされる。例えば、多数の胎児免疫疾患及び新生児免疫疾患は、妊娠した対象、特に免疫疾患をもつ妊娠した対象から、胎盤中のヒト新生児型Fc受容体(FcRn)を介して胎児に母親由来抗体が移行することによる結果である。新規の免疫疾患治療方法が要望されている。
【発明の概要】
【0002】
第一の態様においては、この出願は、妊娠した対象に抗体を投与することを含む、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療する方法を特徴とするものであり、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む(include)、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む(include)、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む(comprise)、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0003】
一部の実施形態においては、抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3ERPS又はGDSX
4RPSを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、
の配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は配列LAZ
5GDSY又はLAIZ
6DSYを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0004】
一部の実施形態においては、抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含む、該配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0005】
一部の実施形態においては、対象は、以前に胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有したことがあるという経歴を有する。一部の実施形態においては、対象は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有する危険性がある。一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症(pan-thrombocytopenia)、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される。
【0006】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の溶血性疾患である。一部の実施形態においては、胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症である。一部の実施形態においては、胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、先天性心ブロックである。
【0007】
一部の実施形態においては、治療により流産の危険性が軽減される。
【0008】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象に抗体を投与することを含む、胎児及び新生児の溶血性疾患に関連する胎児貧血を治療する方法を特徴とするものであり、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列X
5SYX
6GSGIYV(SEQ ID NO:14)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、
CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0009】
一部の実施形態においては、この方法は、妊娠した対象、妊娠した対象の胎児、及び/又は、それらの組み合わせを治療する。
【0010】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象に抗体を投与することを含む、自己免疫障害を治療する方法を特徴とする。一部の実施形態においては、この自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0011】
一部の実施形態においては、抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0012】
一部の実施形態においては、治療により流産/胎児喪失の危険性が軽減される。
【0013】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象にFcRn抗体を投与することを含む、自己免疫障害もしくは同種免疫障害の危険性を軽減させる、又は自己免疫障害もしくは同種免疫障害が発症する危険性を軽減させる方法を特徴とする。
【0014】
一部の実施形態においては、この自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0015】
一部の実施形態においては、治療により流産/胎児喪失の危険性が軽減される。
【0016】
別の態様においては、この出願は、対象における抗体の異化作用を増加させる方法を特徴とするものであり、該方法は、妊娠した対象に抗体を投与することを含み、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0017】
一部の実施形態においては、抗体の異化作用を増加させることは、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、病原抗体の異化作用を増加させることからなる、又は実質的に病原抗体の異化作用を増加させることからなる。
【0018】
一部の実施形態においては、病原抗体は、母親、胎児、又は母親と胎児の両方にとって病原となる。
【0019】
一部の実施形態においては、抗体は、IgG抗体である。
【0020】
別の態様においては、この出願は、対象における自己抗体を減らす方法を特徴とするものであり、該方法は、妊娠した対象に抗体を投与することを含み、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0021】
別の態様においては、この出願は、対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させる方法を特徴とするものであり、該方法は、妊娠した対象に抗体を投与することを含み、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0022】
一部の実施形態においては、免疫応答は、対象における急性免疫応答又は慢性免疫応答である。
【0023】
一部の実施形態においては、急性免疫応答は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症及び血清病からなる群から選択される医学的状態により活性化される。
【0024】
一部の実施形態においては、慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、全身性ループス(systemic lupus)、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎及び抗好中球細胞質抗体関連血管炎からなる群から選択される医学的状態により活性化される。一部の実施形態においては、慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーによって活性化される。
【0025】
一部の実施形態においては、対象は自己免疫疾患を有する。一部の実施形態においては、この自己免疫疾患は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、温式自己免疫性溶血性貧血、抗因子抗体、ヘパリン起因性血小板減少症、感作移植(sensitized transplant)、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0026】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象の胎盤を越えた抗体の移行を減少させる方法を特徴とするものであり、該方法は、妊娠した対象に抗体を投与することを含み、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7は、S又はTである。
【0027】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象における抗体の異化作用を増加させる方法を特徴とするものであり、該方法は、妊娠した対象に抗体を投与することを含み、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0028】
一部の実施形態においては、抗体は、妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす。
【0029】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される。
【0030】
一部の実施形態においては、抗体は、IgG抗体である。
【0031】
別の態様においては、この出願は、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法を特徴とするものであり、該方法は、妊娠した対象に抗体を投与することを含み、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0032】
一部の実施形態においては、ウイルス性疾患は、アルファウイルス感染症、フラビウイルス感染症、ジカウイルス感染症、チクングニアウイルス感染症、ロスリバーウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群、鳥インフルエンザ感染症、インフルエンザウイルス感染症、ヒトRSウイルス感染症、エボラウイルス感染症、黄熱病ウイルス感染症、デングウイルス感染症、ヒト免疫不全症ウイルス感染症、RSウイルス感染症、ハンタウイルス感染症、ゲタウイルス感染症、シンドビスウイルス感染症、ブニヤムウェラウイルス感染症、西ナイルウイルス感染症、日本脳炎ウイルスB感染症、家兎痘ウイルス感染症、乳酸脱水素酵素上昇ウイルス感染症、レオウイルス感染症、狂犬病ウイルス感染症、口蹄疫ウイルス感染症、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス感染症、サル出血熱ウイルス感染症、ウマ伝染性貧血ウイルス感染症、ヤギ関節炎ウイルス感染症、アフリカブタ熱ウイルス感染症、レンチウイルス感染症、BKパポバウイルス感染症、マレー渓谷脳炎ウイルス感染症、エンテロウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、ニューモウイルス感染症、モルビリウイルス感染症及び麻疹ウイルス感染症からなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる。
【0033】
一部の実施形態においては、妊娠した対象は、妊娠した対象において免疫応答を活性化する医学的状態を有するか、又は、該医学的状態を有する危険性がある。
【0034】
一部の実施形態においては、医学的状態は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症、血清病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症である。
【0035】
一部の実施形態においては、妊娠した対象は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有していた胎児又は新生児を以前に産んだことがあるという経歴がある。
【0036】
一部の実施形態においては、妊娠した対象から得た生体試料中に、免疫疾患に関連する抗体が検出される。
【0037】
一部の実施形態においては、生体試料は血液試料又は尿試料である。
【0038】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなるものであり、CDR L1は、
の配列と比べて2以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR L3は、
の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR H2は、
の配列と比べて2以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有する。
【0039】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とからなるものであり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3ERPS又はGDSX
4RPSを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、
の配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5GDSY又はLAIZ
6DSYを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0040】
一部の実施形態においては、抗体は、配列
のCDR L1、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)のCDR L2、配列
のCDR L3、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)のCDR H1、配列
のCDR H2、及び配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)のCDR H3である、上記6つのCDRを含む、該6つのCDRを含む、該6つのCDRからなる、又は実質的に該6つのCDRからなる。
【0041】
一部の実施形態においては、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列DYAMG(SEQ ID NO:5)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0042】
一部の実施形態においては、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列NYAMG(SEQ ID NO:6)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0043】
一部の実施形態においては、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0044】
一部の実施形態においては、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0045】
一部の実施形態においては、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであって、X
1はT、A、S又はIであり、X
2はL又はIであり、X
3はS、N又はTであり、X
4はQ、E又はNであり、X
5はC、S、I又はYであり、X
6はA又はVであり、Z
1はE、T、D又はNであり、Z
2はS又はAであり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4はK又はRであり、Z
5はI、L又はHであり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0046】
一部の実施形態においては、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、Z
1はT、D又はNであり、Z
2はS又はAであり、Z
3はG、S又はAであり、Z
7はS又はTである。
【0047】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0048】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0049】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0050】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0051】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0052】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0053】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0054】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0055】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0056】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0057】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0058】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0059】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:19に示す配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0060】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0061】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0062】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0063】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0064】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0065】
一部の実施形態においては、抗体は、1pMから100nMのKDでヒトFcRnと結合する。
【0066】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、抗体N026のKD未満または該KDと等しいKDでヒトFcRnと結合する。
【0067】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、モノクローナル抗体である。
【0068】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、IgG1又はその変異体である。
【0069】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、λ軽鎖を含む、λ軽鎖を含む、λ軽鎖からなる、又は実質的にλ軽鎖からなる。
【0070】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、シアル酸付加された抗体である。
【0071】
別の態様においては、この出願は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、(a)CDR L1は、配列SDVGSYNL(SEQ ID NO:47)又はVG_YNL(SEQ ID NO:34)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであって、ここで、「_」は任意のアミノ酸とすることが可能であり、(b)CDR L2は、配列GDSE(SEQ ID NO:35)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、(c)CDR L3は、配列YAGSGIY(SEQ ID NO:36)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、(d)CDR H1は、配列TYA(SEQ ID NO:37)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、(e)CDR H2は、配列SIGASGSQTR(SEQ ID NO:38)又はSI_AS_SQ_R(SEQ ID NO:39)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであって、「_」は任意のアミノ酸とすることが可能であり、(f)CDR H3は、配列LAI(SEQ ID NO:40)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0072】
一部の実施形態においては、抗体は、ヒトFcRnにおけるa)SEQ ID NO:25及びb)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を認識する。
【0073】
一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のK80、A81、L82、G83、G84、K85、G86、P87、Y88、L112、N113、E115、G129、D130、W131、P132、E133、L135、A136及びQ139からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のアミノ酸を含む、FcRn上のエピトープに結合する。
【0074】
一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のK80、A81、L82、G83、G84、K85、G86、P87、Y88、L112、N113、G129、D130、W131、P132、E133、L135、A136及びQ139からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のアミノ酸を含む、FcRn上のエピトープに結合する。
【0075】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、SEQ ID NO:30のW131及び/又はY88を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は実質的に該アミノ酸からなる。
【0076】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、SEQ ID NO:30のD130W131、W131P132、P87Y88及び/又はY88T89を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は実質的に該アミノ酸からなる。
【0077】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、SEQ ID NO:30のG129D130W131、W131P132E133、D130W131P132、P87Y88T89、G86P87Y88及び/又はY88T89L90を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は実質的に該アミノ酸からなる。
【0078】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、SEQ ID NO:30のG129D130W131P132、D130W131P132E133、W131P132E133A134、G128G129D130W131、K85G86P87Y88、G86P87Y88T89、P87Y88T89L90及び/又はY88T89L90Q91を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は実質的に該アミノ酸からなる。
【0079】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、SEQ ID NO:30のG129D130W131P132E133、D130W131P132E133A134、W131P132E133A134L315、G128G129D130W131P132、W127G128G129D130W131、G84K85G86P87Y88、K85G86P87Y88T89、G86P87Y88T89L90、P87Y88T89L90Q91及び/又はY88T89L90T91Q92を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は実質的に該アミノ酸からなる。
【0080】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、SEQ ID NO:30のT126W127G128G129D130W131、W127G128G129D130W131P132、G128G129D130W131P132E133、G129D130W131P132E133A134、D130W131P132E133A134L135、W131P132E133A134L135A136、G83G84K85G86P87Y88、G84K85G86P87Y88T89、K85G86P87Y88T89L90、G86P87Y88T89L90Q91、P87Y88T89L90T91Q92及び/又はY88T89L90Q91G92L93を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は実質的に該アミノ酸からなる。
【0081】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、W131から約3アミノ酸もしくは10オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、Y88から約5アミノ酸もしくは8オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、又は、第一の組がSEQ ID NO:30のW131であるかもしくは該アミノ酸を含むものであり、且つ、第二の組がSEQ ID NO:30のY88であるかもしくは該アミノ酸を含むものである、任意の二組のアミノ酸を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は、実質的に該アミノ酸からなる。
【0082】
一部の実施形態においては、FcRn上のエピトープは、K80、A81、L82、G83、G84、K85、G86、P87、Y88、L112、N113、E115、G129、D130、W131、P132、E133、L135、A136及びQ139を含む、該アミノ酸を含む、該アミノ酸からなる、又は実質的に該アミノ酸からなる。
【0083】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、SEQ ID NO:31のI1、Q2、P32及びV85からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸を含む、β(2)-ミクログロブリン上のエピトープに結合する。
【0084】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、Kabatの位置66~68にアミノ酸配列KSGを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0085】
別の態様においては、この出願は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体を特徴とするものであり、(a)CDR L1は、SDVGSYNLを含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるが、ただし
は含まず、(b)CDR L2は、GDSEを含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるが、ただしGDSERPS(SEQ ID NO:2)は含まず、(c)CDR L3は、YAGSGIYを含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるが、ただし
は含まず、(d)CDR H1は、TYAを含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるが、ただしTYAMG(SEQ ID NO:4)は含まず、(e)CDR H2は、SIGASGSQTRを含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるが、ただし
は含まず、又は、(f)CDR H3は、LAIを含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるが、ただしLAIGDSY(SEQ ID NO:11)は含まない。
【0086】
別の態様においては、この出願は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体を特徴とするものであり、(a)CDR L1は、
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、ここで、6以下の単一アミノ酸が欠失又は置換されているが、ただしサブ配列SDVGSYNLの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、(b)CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失又は置換されているが、ただしサブ配列GDSEの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、(c)CDR L3は、
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失又は置換されているが、ただしサブ配列YAGSGIYの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、(d)CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)及びNYAMG(SEQ ID NO:6)からなる群から選択される配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失又は置換されているが、ただしサブ配列YAの範囲内のアミノ酸は置換されておらず、(e)CDR H2は、
からなる群から選択される配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失又は置換されており、(f)CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、ここで、4以下の単一アミノ酸が欠失又は置換されているが、ただしサブ配列LAIの範囲内のアミノ酸は欠失又は置換されていない。
【0087】
一部の実施形態においては、CDR L1は、5以下(例えば、4、3、2又は1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR L2は、2以下(例えば、1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR L3は、2以下(例えば、1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR H1は、2以下(例えば、1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR H2は、2以下(例えば、1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR H3は、3以下(例えば、2又は1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。
【0088】
別の態様においては、この出願は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体を特徴とするものであり、(a)CDR L1は、
を含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるものであり、ここで、SEQ ID NO:1において9以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしSEQ ID NO:1のVG及びYNLであるサブ配列の範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、(b)CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるものであり、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列GDSEの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、(c)CDR L3は、
を含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるものであり、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列YAGSGIYの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、(d)CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)及びNYAMG(SEQ ID NO:6)からなる群から選択される配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるものであり、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、サブ配列YAの範囲内のアミノ酸は置換されておらず、(e)CDR H2は、
からなる群から選択される配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるものであり、ここで、7以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列SI、AS、SQ又はRの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、又は、(f)CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、もしくは実質的に該配列からなるものであり、ここで、4以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列LAIの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされていない。
【0089】
一部の実施形態においては、CDR L1は、8以下(例えば、7、6、5、4、3、2又は1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR L2は、2以下(例えば、1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR L3は、2以下(例えば、1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR H1は、2以下(例えば、1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR H2は、6以下(例えば、5、4、3、2又は1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。一部の実施形態においては、CDR H3は、3以下(例えば、2又は1)の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む。
【0090】
一部の実施形態においては、抗体は、ヒトFcRnにおけるa)SEQ ID NO:25及びb)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を認識する。
【0091】
一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のW131及び/又はY88を含む、FcRn上のアミノ酸配列を認識する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のDW、WP、PY及び/又はYTを含む、FcRn上のアミノ酸配列を認識する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のGDW、WPE、DWP、PYT、GPY及び/又はYTLを含む、FcRn上のアミノ酸配列を認識する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のGDWP、DWPE、WPEA、GGDW、KGPY、GPYT、PYTL及び/又はYTLQを含む、FcRn上のアミノ酸配列を認識する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のGDWPE、DWPEA、WPEAL、GGDWP、WGGDW、GKGPY、KGPYT、GPYTL、PYTLQ及び/又はYTLTQを含む、FcRn上のアミノ酸配列を認識する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:30のTWGGDW、WGGDWP、GGDWPE、GDWPEA、DWPEAL、WPEALA、GGKGPY、GKGPYT、KGPYTL、GPYTLQ、PYTLTQ及び/又はYTLQGLを含む、FcRn上のアミノ酸配列を認識する。一部の実施形態においては、抗体は、W131から約3アミノ酸もしくは10オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、Y88から約5アミノ酸もしくは8オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、又は、第一の組がSEQ ID NO:30のW131であるかもしくは該アミノ酸を含むものであり、且つ、第二の組がSEQ ID NO:30のY88であるかもしくは該アミノ酸を含むもの(例えば、Y88とY88周辺のアミノ酸)である任意の二組のアミノ酸を含む、FcRn上のアミノ酸配列を認識する。
【0092】
別の態様においては、この出願は、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
(a)
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含む第一のアミノ酸配列と、
(b)
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含む第二のアミノ酸配列とを含むエピトープに結合するものであり、該抗体はIgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0093】
別の態様においては、この出願は、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含むエピトープに結合し、該抗体は、SEQ ID NO:25のアミノ酸残基9、12又は13のうちの少なくとも一つに結合し、且つ該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0094】
別の態様においては、この出願は、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、FcRnにおける
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含むエピトープに結合し、該抗体は、配列
からなるペプチドにもEEFMNFDL(SEQ ID NO:28)の配列にも結合せず、且つ該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0095】
一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおけるWGGDWPEAL(SEQ ID NO:29)の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含む、該少なくとも一つのアミノ酸を含む、該少なくとも一つのアミノ酸からなる、又は実質的に該少なくとも一つのアミノ酸からなる。
【0096】
一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基9を含む、該少なくともアミノ酸残基9を含む、該少なくともアミノ酸残基9からなる、又は実質的に該少なくともアミノ酸残基9からなる。一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12を含む、該少なくともアミノ酸残基12を含む、該少なくともアミノ酸残基12からなる、又は実質的に該少なくともアミノ酸残基12からなる。一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13を含む、該少なくともアミノ酸残基13を含む、該少なくともアミノ酸残基13からなる、又は実質的に該少なくともアミノ酸残基13からなる。一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおける
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸を含む、該少なくとも一つのアミノ酸を含む、該少なくとも一つのアミノ酸からなる、又は実質的に該少なくとも一つのアミノ酸からなる。一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおける
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸を含む、該少なくとも二つのアミノ酸を含む、該少なくとも二つのアミノ酸からなる、又は実質的に該少なくとも二つのアミノ酸からなる。
【0097】
一部の実施形態においては、抗体は、FcRnにおける
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸を含むエピトープに結合するものであり、該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおける
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸を含む、該少なくとも二つのアミノ酸を含む、該少なくとも二つのアミノ酸からなる、又は実質的に該少なくとも二つのアミノ酸からなる。
【0098】
一部の実施形態においては、エピトープは、FcRnにおける
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸をさらに含む、該少なくとも一つのアミノ酸をさらに含む、さらに該少なくとも一つのアミノ酸からなる、又はさらに実質的に該少なくとも一つのアミノ酸からなる。
【0099】
一部の実施形態においては、抗体は、FcRnにおける
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸に結合する。
【0100】
一部の実施形態においては、抗体は、FcRnにおけるSEQ ID NO:25のアミノ酸残基9、12又は13のうちの少なくとも一つに結合する。
【0101】
一部の実施形態においては、抗体は、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基9に結合する。一部の実施形態においては、抗体は、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12に結合する。一部の実施形態においては、抗体は、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13に結合する。
【0102】
一部の実施形態においては、抗体は、1pM~100nMのKDでヒトFcRnと結合する。
【0103】
一部の実施形態においては、抗体は、抗体N026のKD以下のKDでヒトFcRnと結合する。
【0104】
一部の実施形態においては、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0105】
一部の実施形態においては、抗体は、IgG1である。
【0106】
一部の実施形態においては、抗体は、λ軽鎖を含む、λ軽鎖を含む、λ軽鎖からなる、又は実質的にλ軽鎖からなる。
【0107】
一部の実施形態においては、抗体は、シアル酸付加された抗体である。
【0108】
一部の実施形態においては、抗体は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である。
【0109】
一部の実施形態においては、抗体は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の発症の危険性の軽減用である。
【0110】
一部の実施形態においては、抗体は、自己免疫障害又は同種免疫障害の発症の危険性の軽減用である。
【0111】
一部の実施形態においては、抗体は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である。
【0112】
別の態様においては、この出願は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体をコードする核酸分子を特徴とする。別の態様においては、この出願は、この核酸分子を含むベクターを特徴とする。宿主細胞により、単離された抗体を発現させることができるものであって、該宿主細胞は、核酸分子もしくはベクターを含む、核酸分子もしくはベクターを含む、核酸分子もしくはベクターからなる、又は実質的に核酸分子もしくはベクターからなるものであり、この核酸分子又はベクターが、宿主細胞内で発現される。宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であり得る。
【0113】
別の態様においては、この出願は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体と、1種又は複数種の薬剤的に許容できるキャリア又は賦形剤とを含む医薬組成物を特徴とする。抗体は、治療有効量で配合され得る。
【0114】
別の態様においては、この出願は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体を調製する方法を特徴とし、該方法は、
a)請求項178記載の核酸分子又は請求項179記載のベクターを含む宿主細胞を提供することと、
b)抗体の形成を可能にする条件下で、宿主細胞内で核酸分子又はベクターを発現させることとを含む。
【0115】
一部の実施形態においては、該方法は、約1~100、1~50、1~25、2~50、5~50又は2~20mg/mlの濃度で抗体を回収するステップをさらに含んでもよい。
【0116】
一部の実施形態においては、宿主細胞がCHO細胞である。
【0117】
別の態様においては、この出願は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を治療する方法であって、妊娠した対象に抗体を投与することを含む方法を特徴とするものであり、該抗体は、上記態様のうちのいずれかの抗体である。
【0118】
一部の実施形態において、対象は、以前に胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有したことがあるという経歴を有する。
【0119】
一部の実施形態において、対象は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有する危険性がある。
【0120】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される。
【0121】
一部の実施形態においては、治療により流産の危険性が軽減される。
【0122】
別の態様においては、この出願は、胎児及び新生児の溶血性疾患に関連する胎児貧血を治療する方法であって、妊娠した対象に上記態様のうちのいずれかの抗体を投与することを含む方法を特徴とする。
【0123】
一部の実施形態においては、この方法は、妊娠した対象、妊娠した対象の胎児、及び/又は、それらの組み合わせを治療する。
【0124】
別の態様においては、この出願は、自己免疫障害を治療する方法であって、妊娠した対象に上記態様のうちのいずれかの抗体を投与することを含む方法を特徴とする。
【0125】
一部の実施形態においては、この自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0126】
一部の実施形態においては、治療により流産/胎児喪失の危険性が軽減される。
【0127】
別の態様においては、この出願は、自己免疫障害もしくは同種免疫障害の危険性を軽減させる、又は自己免疫障害もしくは同種免疫障害が発症する危険性を軽減させる方法であって、妊娠した対象に上記態様のうちのいずれかの抗体を投与することを含む方法を特徴とする。
【0128】
一部の実施形態においては、この自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0129】
一部の実施形態においては、治療により流産/胎児喪失の危険性が軽減される。
【0130】
別の態様においては、この出願は、対象における抗体の異化作用を増加させる方法を特徴とするものであり、該方法は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体又は医薬組成物を該対象に投与することを含む。
【0131】
一部の実施形態においては、抗体の異化作用を増加させることは、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、病原抗体の異化作用を増加させることからなる、又は実質的に病原抗体の異化作用を増加させることからなる。
【0132】
一部の実施形態においては、病原抗体は、母親、胎児、又は母親と胎児の両方にとって病原となる。
【0133】
一部の実施形態においては、抗体は、IgG抗体である。
【0134】
別の態様においては、この出願は、対象における自己抗体を軽減させる方法を特徴とするものであり、該方法は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体又は医薬組成物を該対象に投与することを含む。
【0135】
別の態様においては、この出願は、対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させる方法を特徴とするものであり、該方法は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体又は医薬組成物を該対象に投与することを含む。
【0136】
一部の実施形態においては、免疫応答は、対象における急性免疫応答又は慢性免疫応答である。
【0137】
一部の実施形態においては、急性免疫応答は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症及び血清病からなる群から選択される医学的状態により活性化される。
【0138】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の溶血性疾患である。
【0139】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症である。
【0140】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、先天性心ブロックである。
【0141】
一部の実施形態においては、慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎及び抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎からなる群から選択される医学的状態により活性化される。
【0142】
一部の実施形態においては、対象は自己免疫疾患を有する。
【0143】
一部の実施形態においては、自己免疫疾患は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0144】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象の胎盤を越えた抗体の移行を減少させる方法を特徴とするものであり、該方法は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体又は医薬組成物を妊娠した対象に投与することを含む。
【0145】
一部の実施形態においては、抗体の移行を減少させることは、病原抗体の移行を減少させることを含む、病原抗体の移行を減少させることを含む、病原抗体の移行を減少させることからなる、又は実質的に病原抗体の移行を減少させることからなる。
【0146】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象における抗体の異化作用を増加させる方法を特徴とするものであり、該方法は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体又は医薬組成物を妊娠した対象に投与することを含む。
【0147】
一部の実施形態においては、抗体の異化作用を増加させることは、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、病原抗体の異化作用を増加させることからなる、又は実質的に病原抗体の異化作用を増加させることからなる。
【0148】
別の態様においては、この出願は、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法を特徴とするものであり、該方法は、上記態様のうちのいずれかの単離された抗体又は医薬組成物を妊娠した対象に投与することを含む。
【0149】
一部の実施形態においては、病原抗体は、妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす。
【0150】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される。
【0151】
一部の実施形態においては、抗体は、IgG抗体である。
【0152】
一部の実施形態においては、ウイルス性疾患は、アルファウイルス感染症、フラビウイルス感染症、ジカウイルス感染症、チクングニアウイルス感染症、ロスリバーウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群、鳥インフルエンザ感染症、インフルエンザウイルス感染症、ヒトRSウイルス感染症、エボラウイルス感染症、黄熱病ウイルス感染症、デングウイルス感染症、ヒト免疫不全症ウイルス感染症、RSウイルス感染症、ハンタウイルス感染症、ゲタウイルス感染症、シンドビスウイルス感染症、ブニヤムウェラウイルス感染症、西ナイルウイルス感染症、日本脳炎ウイルスB感染症、家兎痘ウイルス感染症、乳酸脱水素酵素上昇ウイルス感染症、レオウイルス感染症、狂犬病ウイルス感染症、口蹄疫ウイルス感染症、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス感染症、サル出血熱ウイルス感染症、ウマ伝染性貧血ウイルス感染症、ヤギ関節炎ウイルス感染症、アフリカブタ熱ウイルス感染症、レンチウイルス感染症、BKパポバウイルス感染症、マレー渓谷脳炎ウイルス感染症、エンテロウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、ニューモウイルス感染症、モルビリウイルス感染症及び麻疹ウイルス感染症からなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる。
【0153】
一部の実施形態においては、妊娠した対象は、妊娠した対象において免疫応答を活性化する医学的状態を有するか、又は、該医学的状態を有する危険性がある。
【0154】
一部の実施形態においては、医学的状態は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症、血清病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症である。
【0155】
一部の実施形態において、妊娠した対象は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有していた胎児又は新生児を以前に産んだことがあるという経歴がある。
【0156】
一部の実施形態においては、妊娠した対象から得た生体試料中に、免疫疾患に関連する抗体が検出される。
【0157】
一部の実施形態においては、生体試料は血液試料又は尿試料である。
【0158】
一部の実施形態においては、抗体は、1pM~100nMのKDでヒトFcRnと結合する。
【0159】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、抗体N026のKD未満または該KDと等しいKDでヒトFcRnと結合する。
【0160】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、モノクローナル抗体である。
【0161】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、IgG1又はその変異体である。
【0162】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、λ軽鎖を含む、λ軽鎖を含む、λ軽鎖からなる、又は実質的にλ軽鎖からなる。
【0163】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、シアル酸付加された抗体である。
【0164】
別の態様においては、この出願は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用の、単離された抗体を特徴とするものであり、CDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0165】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域とを含む、該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域からなる、又は実質的に該軽鎖可変領域と該重鎖可変領域からなるものであって、CDR L1は、
の配列と比べて2以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、
の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、
の配列と比べて2以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0166】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0167】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列DYAMG(SEQ ID NO:5)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0168】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列NYAMG(SEQ ID NO:6)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0169】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0170】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0171】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X
1はT、A、S又はIであり、X
2はL又はIであり、X
3はS、N又はTであり、X
4はQ、E又はNであり、X
5はC、S、I又はYであり、X
6はA又はVであり、Z
1はE、T、D又はNであり、Z
2はS又はAであり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4はK又はRであり、Z
5はI、L又はHであり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTである。
【0172】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体のCDR L1は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR L3は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H1は、配列Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H2は、配列
を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体のCDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、Z
1はT、D又はNであり、Z
2はS又はAであり、Z
3はG、S又はAであり、Z
7はS又はTである。
【0173】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0174】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0175】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0176】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものである。
【0177】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0178】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0179】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0180】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0181】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0182】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0183】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0184】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0185】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:19に示す配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0186】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0187】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0188】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0189】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0190】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用に、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなり、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなる。
【0191】
別の態様においては、この出願は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体を特徴とするものであり、CDR L1は、配列VGX1YNX2を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX3X4を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列YX6GSGIYを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z1YAを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列Z8IZ2Z3SZ4Z5QZ6Rを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ7を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X1は任意のアミノ酸であり、X2はL又はIであり、X3はS、N又はTであり、X4はQ、E又はNであり、X6はA又はVであり、Z1はE、T、D又はNであり、Z2は任意のアミノ酸であり、Z3はS又はAであり、Z4は任意のアミノ酸であり、Z5はG、S又はAであり、Z6は任意のアミノ酸であり、Z7はI、L又はHであり、Z8はS又はTである。
【0192】
別の態様においては、この出願は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体を特徴とするものであり、CDR L1は、配列VGX1YNX2を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L2は、配列GDX3X4を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR L3は、配列YX6GSGIYを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H1は、配列Z1YAを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H2は、配列Z8IZ2Z3SZ4Z5QZ6Rを含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、CDR H3は、配列LAZ7を含む、該配列を含む、該配列からなる、又は実質的に該配列からなるものであり、X1は任意のアミノ酸であり、X2は疎水性アミノ酸であり、X3は極性アミノ酸であり、X4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X6は疎水性アミノ酸であり、Z1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z2は任意のアミノ酸であり、Z3は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z4は任意のアミノ酸であり、Z5はG、S又はAであり、Z5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z6は任意のアミノ酸であり、Z7は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z8はS又はTである。
【0193】
一部の実施形態においては、抗体は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である。一部の実施形態においては、先の二つの態様の抗体は、上記方法のうちのいずれかと共に使用される。
【0194】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、抗FcRn抗体である。一部の場合、抗体は、IgGのFcRnへの結合を阻害する。一部の実施形態においては、単離された抗体は、FcRnのE115(SEQ ID NO:30)に結合しない。一部の実施形態においては、単離された抗体は、FcRnのE115(SEQ ID NO:30)を含まないエピトープと結合する。
【0195】
本願はまた、妊娠した対象の胎盤を越えた病原抗体の移行を減少させる方法、妊娠した対象における病原抗体の異化作用を増加させる方法、妊娠した対象にヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合する単離された抗体を投与することによって、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法も特徴とする。一部の実施形態においては、妊娠した対象における病原抗体は、妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす。
【0196】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含有するものであり、CDR L1は、
の配列と比べて2以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR L3は、
の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR H2は、
の配列と比べて2以下のアミノ酸置換を有する配列を有し、CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列と比べて1以下のアミノ酸置換を有する配列を有する。
【0197】
一部の実施形態においては、抗体は、200、150、100、50又は40pM未満のKDでヒトFcRnと結合する。
【0198】
一部の実施形態においては、抗体は、N022、N023、N024、N026又はN027の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有し、且つ、比較されている抗体と同じFc領域をさらに有する抗体のKD未満または該KDと等しいKDでヒトFcRnと結合する。
【0199】
他の実施形態においては、単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含有するものであり、CDR L1は、
の配列を有し、CDR L2は、GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)の配列を有し、CDR L3は、
の配列を有し、CDR H1は、Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)の配列を有し、CDR H2は、
の配列を有し、CDR H3は、LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)の配列を有し、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
2は疎水性アミノ酸であり、X
3は極性アミノ酸であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸であり、X
6は疎水性アミノ酸であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであって、抗体は、N026の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有し、且つ、比較されている抗体と同じFc領域をさらに有する抗体のK
D未満または該K
Dと等しいK
DでヒトFcRnと結合する。一部の実施形態においては、X
1はT、A、S又はIである。他の実施形態においては、X
2はL又はIである。一部の実施形態においては、X
3はS、N又はTである。さらに他の実施形態においては、X
4はQ、E又はNであり、X
5はC、S、I又はYである。一部の実施形態においては、X
6はA又はVであり、Z
1はE、T、D又はNである。さらなる実施形態においては、Z
2はS又はAである。一部の実施形態においては、Z
4はK又はRである。また他の実施形態においては、Z
5はI、L又はHである。
【0200】
さらに他の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を有するCDR L1と、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列を有するCDR L2と、
の配列を有するCDR L3とを含む軽鎖可変領域と、Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)の配列を有するCDR H1と、
の配列を有するCDR H2と、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列を有するCDR H3とを含む重鎖可変領域とを含有するものであり、Z
1はT、D又はNであり、Z
2はS又はAであり、Z
3はG、S又はAである。
【0201】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を有するCDR L1と、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列を有するCDR L2と、
の配列を有するCDR L3と、TYAMG(SEQ ID NO:4)の配列を有するCDR H1と、
の配列を有するCDR H2と、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列を有するCDR H3とを含有する。
【0202】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を有するCDR L1と、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列を有するCDR L2と、
の配列を有するCDR L3と、DYAMG(SEQ ID NO:5)の配列を有するCDR H1と、
の配列を有するCDR H2と、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列を有するCDR H3とを含有する。
【0203】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を有するCDR L1と、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列を有するCDR L2と、
の配列を有するCDR L3と、NYAMG(SEQ ID NO:6)の配列を有するCDR H1と、
の配列を有するCDR H2と、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列を有するCDR H3とを含有する。
【0204】
他の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を有するCDR L1と、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列を有するCDR L2と、
の配列を有するCDR L3と、TYAMG(SEQ ID NO:4)の配列を有するCDR H1と、
の配列を有するCDR H2と、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列を有するCDR H3とを含有する。
【0205】
また他の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を有するCDR L1と、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列を有するCDR L2と、
の配列を有するCDR L3と、TYAMG(SEQ ID NO:4)の配列を有するCDR H1と、
の配列を有するCDR H2と、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列を有するCDR H3とを含有する。
【0206】
一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0207】
一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0208】
他の実施形態においては、この出願の単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0209】
他の実施形態においては、この出願の単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0210】
一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0211】
他の実施形態においては、この出願の単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0212】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0213】
他の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0214】
他の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0215】
他の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0216】
他の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0217】
一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を有する。他の実施形態においては、この出願の単離された抗体の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:19である配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を有する。
【0218】
一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と比べて、アミノ酸置換N297Aをさらに含む。
【0219】
他の実施形態においては、単離された抗体は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と比べて、アミノ酸置換D355E及びL357Mをさらに含む。
【0220】
他の実施形態においては、この出願の単離された抗体は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と比べて、次のアミノ酸置換:A23V、S30R、L80V、A84T、E85D、A93V、ならびに、SEQ ID NO:19の配列と比べて、次のアミノ酸置換:Q38H、V58I及びG99D、のうちのいずれか一つ又は複数をさらに含む。
【0221】
また他の実施形態においては、この出願の単離された抗体は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と比べて、残基446においてC末端リシンを含有しない。
【0222】
一部の実施形態においては、上記態様のうちのいずれかの抗体は、N022、N023、N024、N026又はN027の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有し、且つ、比較されている抗体と同じFc領域をさらに有する抗体のKD未満または該KDと等しいKDでヒトFcRnと結合する。例えば、特定のKDアッセイにおいては、抗体のKDは、200、150、100、50又は40pM未満である。
【0223】
本明細書に記載のいずれの単離された抗体の相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)に割り当てられるアミノ酸位置は、KabatのEUインデックス(Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))に従って規定した。
【0224】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0225】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0226】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0227】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0228】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有するものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0229】
上記態様のうちのいずれかの一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態においては、単離された抗体は、IgG1である。一部の実施形態においては、単離された抗体は、λ軽鎖を含む。一部の実施形態においては、単離された抗体は、カッパ軽鎖を含む。一部の実施形態においては、単離された抗体のFc領域上の糖鎖修飾部位は、シアル酸付加されている(例えば、ジシアル化(disialylated))。
【0230】
上記態様のうちのいずれかの一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体は、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体(fully human antibody)である。
【0231】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、1~100、5~150、5~100、5~75、5~50、10~50又は10~40pMのKDでヒトFcRnに結合する。
【0232】
一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体は、げっ歯類の、例えばマウス又はラットのFcRnと結合する。一部の実施形態においては、この出願の単離された抗体は、200、150、100、50又は40pM未満のKDで、げっ歯類の、例えばマウス又はラットのFcRnと結合する。
【0233】
本願は、ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に対する新規抗体を特徴とする。これら抗FcRn抗体は、例えば、対象における自己抗体のクリアランスの促進、対象における抗原提示の抑制、例えば対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化の阻止である、免疫応答の阻止、又は、対象における免疫疾患(例えば、自己免疫疾患)の治療に有用である。これら抗FcRn抗体はまた、妊娠した対象の胎盤を越えた病原抗体の移行を減少させる方法、妊娠した対象における病原抗体の異化作用を増加させる方法、妊娠した対象にFcRnに結合する単離された抗体を投与することによって、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法においても有用である。一部の実施形態においては、妊娠した対象における病原抗体は、妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす。
【0234】
一態様においては、この出願は、FcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、(a)
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸と、(b)
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合するものであり、該抗体はIgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0235】
別の態様においては、この出願は、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合し、該抗体は、SEQ ID NO:25のアミノ酸残基5、12又は13のうちの少なくとも一つに結合し、また該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0236】
別の態様においては、この出願は、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合し、該抗体は、配列
からなるペプチドにもEEFMNFDL(SEQ ID NO:28)の配列のうちの一つ又は複数のアミノ酸にも結合せず、また該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0237】
一部の実施形態においては、抗体は、WGGDWPEAL(SEQ ID NO:29)の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合する。
【0238】
一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基5に結合する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12に結合する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13に結合する。
【0239】
一部の実施形態においては、抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合する。一部の実施形態においては、抗体は、
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸。
【0240】
別の態様においては、この出願は、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸と結合し、該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。一部の実施形態においては、抗体は、
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸に結合する。
【0241】
一部の実施形態においては、抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸にさらに結合する。一部の実施形態においては、抗体は、
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸にさらに結合する。
【0242】
一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:25のアミノ酸残基5、12又は13のうちの少なくとも一つに結合する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基5に結合する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12に結合する。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13に結合する。
【0243】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の抗体が、抗体N026のKD未満または該KDと等しいKDでヒトFcRnと結合する。
【0244】
一部の実施形態においては、抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態においては、抗体は、IgG1である。一部の実施形態においては、抗体は、λ軽鎖を含む。一部の実施形態においては、単離された抗体は、カッパ軽鎖を含む。一部の実施形態においては、抗体は、シアル酸付加(例えば、ジシアル化)された抗体である。一部の実施形態においては、抗体は、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である。
【0245】
別の態様においては、この出願は、本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体をコードする核酸分子を特徴とする。
【0246】
別の態様においては、この出願は、本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体をコードする核酸分子を含むベクターを特徴とする。
【0247】
別の態様においては、この出願は、本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体を発現する宿主細胞を特徴とするものであり、該宿主細胞は、単離された抗FcRn抗体をコードする核酸分子、又は、該核酸分子を含むベクターを含み、この核酸分子又はベクターが、宿主細胞内で発現される。一部の実施形態においては、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0248】
別の態様においては、この出願は、本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体と、1種又は複数種の薬剤的に許容できるキャリア又は賦形剤とを含む医薬組成物を特徴とする。一部の実施形態においては、抗体は、治療有効量で存在する。
【0249】
別の態様においては、この出願は、本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体を調製する方法を特徴とするものであり、該方法は、a)単離された抗FcRn抗体をコードする核酸分子又は該核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を提供することと、b)該抗体の形成を可能にする条件下で宿主細胞内で核酸分子又はベクターを発現させることとを含む。
【0250】
一部の実施形態においては、該方法は、約1~100、1~50、1~25、2~50、5~50又は2~20mg/mlの濃度で、抗体を回収するステップをさらに含む。
【0251】
一部の実施形態においては、この方法で用いる宿主細胞は、CHO細胞である。
【0252】
別の態様においては、この出願は、対象における病原抗体(例えば、IgG抗体)の異化作用を増加させる方法を特徴とする。別の態様においては、この出願は、対象における自己抗体を減らす方法を特徴とする。また別の態様においては、この出願は、対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させる方法を特徴とする。この方法は、本明細書に記載の単離された抗体又は本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0253】
一部の実施形態においては、免疫応答は、対象における急性免疫応答又は慢性免疫応答である。
【0254】
一部の実施形態においては、急性免疫応答は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症及び血清病からなる群から選択される医学的状態により活性化される。
【0255】
一部の実施形態においては、慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎及び抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎からなる群から選択される医学的状態により活性化される。
【0256】
一部の実施形態においては、対象は自己免疫疾患を有する。自己免疫疾患は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症であり得る。
【0257】
別の態様においては、この出願は、妊娠した対象の胎盤を越えた病原抗体の移行を減少させる方法を特徴とする。別の態様においては、この出願は、妊娠した対象における病原抗体の異化作用を増加させる方法を特徴とする。また別の態様においては、この出願は、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法を特徴とする。この方法は、本明細書に記載の単離された抗体又は本明細書に記載の医薬組成物を妊娠した対象に投与することを含む。
【0258】
一部の実施形態においては、病原抗体は、妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす。
【0259】
一部の実施形態においては、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症(FNAIT)、胎児及び新生児の溶血性疾患(HDFN)、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症からなる群から選択される。ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患及び新生児I型糖尿病。
【0260】
一部の実施形態においては、病原抗体はIgG抗体である。
【0261】
一部の実施形態においては、ウイルス性疾患は、アルファウイルス感染症、フラビウイルス感染症、ジカウイルス感染症、チクングニアウイルス感染症、ロスリバーウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群、鳥インフルエンザ感染症、インフルエンザウイルス感染症、ヒトRSウイルス感染症、エボラウイルス感染症、黄熱病ウイルス感染症、デングウイルス感染症、ヒト免疫不全症ウイルス感染症、RSウイルス感染症、ハンタウイルス感染症、ゲタウイルス感染症、シンドビスウイルス感染症、ブニヤムウェラウイルス感染症、西ナイルウイルス感染症、日本脳炎ウイルスB感染症、家兎痘ウイルス感染症、乳酸脱水素酵素上昇ウイルス感染症、レオウイルス感染症、狂犬病ウイルス感染症、口蹄疫ウイルス感染症、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス感染症、サル出血熱ウイルス感染症、ウマ伝染性貧血ウイルス感染症、ヤギ関節炎ウイルス感染症、アフリカブタ熱ウイルス感染症、レンチウイルス感染症、BKパポバウイルス感染症、マレー渓谷脳炎ウイルス感染症、エンテロウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、ニューモウイルス感染症、モルビリウイルス感染症及び麻疹ウイルス感染症からなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる。
【0262】
一部の実施形態においては、妊娠した対象は、妊娠した対象において免疫応答を活性化する医学的状態を有するか、又は、該医学的状態を有する危険性がある。一部の実施形態においては、医学的状態は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症、血清病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症である。
【0263】
一部の実施形態においては、妊娠した対象は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有していた胎児又は新生児を以前に産んだことがあるという経歴がある。
【0264】
一部の実施形態においては、妊娠した対象から得た生体試料(例えば、血液試料又は尿試料)中で、免疫疾患に関連する病原抗体が検出される。
【0265】
一部の実施形態においては、この出願の単離された抗FcRn抗体は、げっ歯類の、例えばマウス又はラットのFcRnと結合する。一部の実施形態においては、この出願の単離された抗FcRn抗体は、200、150、100、50又は40pM未満のKDで、げっ歯類の、例えばマウス又はラットのFcRnと結合する。
【0266】
定義
本明細書において「抗体」という語は広義で用いられ、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(multispecific antibody)(例えば、二重特異性抗体)及び抗体断片を含むが、FcRn抗原結合活性を呈するものであればこれらに限定されず種々の抗体構造が包含される。
【0267】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の部分を含み、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片、二重特異性抗体、直鎖状抗体(linear antibody)、単鎖抗体分子、ならびに、多重特異性抗体が挙げられる。
【0268】
本明細書で用いる場合、「単離された抗体」という語は、該抗体を生成用宿主細胞環境のうちのある成分から、分離された及び/又は回収された抗体を指す。抗体の研究用途、診断用途又は治療用途で干渉することになるような物質は、該抗体の生成用宿主細胞環境のうちの夾雑成分である。夾雑成分には、酵素、ホルモン、及び、他のタンパク質性の溶質又は非タンパク質性の溶質が含まれ得る。一部の実施形態においては、ある抗体は、(1)例えばLowry法によって決定されるように、95重量%を超える抗体に精製され、また一部の実施形態においては、99重量%を超える抗体に精製され、(2)例えばスピニングカップ配列決定装置(spinning cup sequenator)を用いて、N末端もしくは内部アミノ酸配列のうち少なくとも15の残基を得るのに十分な程度に精製され、又は、(3)例えばクマシーブルー染色もしくは銀染色を用いる還元条件又は非還元条件下のSDS-PAGEにより均質に精製される。単離された抗体は、組換え細胞内の原位置(in situ)の抗体を含む。しかしながら通例は、単離された抗体は、少なくとも一つの精製ステップによって調製されることとなる。単離された抗体の医薬品は、典型的には、FDAの「産業界のためのガイダンス(Guidance for Industry)」文書で推奨されるとおりに行われるELISAによるHCPアッセイによって決定されるように、250ppm未満(例えば、200ppm、150ppm、100ppm未満)の宿主細胞由来タンパク質(HCP)を有する。
【0269】
本明細書で用いる場合、「モノクローナル抗体」という語は、実質的に均質な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、わずかに存在し得るような自然発生する可能性がある変異を除いて、該集団中の個々の抗体が、同一の一次配列を有する。モノクローナル抗体は、特異性が高いものであり、単一の抗原部位(antigenic site)(すなわち、ヒトFcRn上のあるエピトープ)に対するものである。様々なエピトープに対する様々な抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の医薬品とは対照的に、モノクローナル抗体はそれぞれ、抗原上の単一のエピトープに対するものである。「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均質な集団から得られているという抗体の特性を示しているのであり、任意の特定の方法により抗体を産生する必要があるものとして解釈されるべきではない。
【0270】
本明細書で用いる場合、「可変領域」及び「可変ドメイン」という語は、相補性決定領域(例えばCDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2及びCDR H3であるCDR)及びフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む、抗体の軽鎖及び重鎖の部分を指す。この開示で用いる方法によれば、CDR及びFRに割り当てられるアミノ酸位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))に従って規定される。このナンバリングシステムを用いて、実際の直鎖アミノ酸(linear amino acid)配列は、可変領域のCDR(本明細書でさらに規定される)もしくはFR(本明細書でさらに規定される)の短縮、又は、該CDRもしくは該FRへの挿入に相当する、より少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含有することができる。例えば、重鎖可変領域は、CDR H2の残基52の後に一つの挿入された残基(すなわち、Kabatに従うと残基52a)と、重鎖FRの残基82の後に挿入された残基(すなわち、Kabatに従うと残基82a、82b、82c等)とを含むことができる。Kabatによる残基のナンバリングは、所与の抗体に対して、「標準(standard)」のKabatで番号付けした配列で、該抗体の配列の相同性領域においてアラインメントすることにより決定され得る。
【0271】
本明細書で用いる場合、「相補性決定領域」及び「CDR」という語は、配列内で超可変性であるか、及び/又は、構造的に画成されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。CDRは、超過変領域としても知られている。軽鎖可変領域及び重鎖可変領域はそれぞれ、三つのCDRを有する。軽鎖可変領域はCDR L1、CDR L2及びCDR L3を含有する。重鎖可変領域はCDR H1、CDR H2及びCDR H3を含有する。CDRはそれぞれ、Kabatで規定されるような、ある相補性決定領域からのアミノ酸残基を含み得る(すなわち、軽鎖可変領域内に、概ね、残基24~34(CDR L1)、50~56(CDR L2)及び89~97(CDR L3)、また重鎖可変領域内に、概ね、残基31~35(CDR H1)、50~65(CDR H2)及び95~102(CDR H3))。
【0272】
本明細書で用いる場合、「FcRn」という語は、例えばIgG1抗体であるIgG抗体のFc領域に結合する新生児型Fc受容体を指す。例示的なFcRnとしては、UniProt ID No.P55899を有するヒトFcRnがある。ヒトFcRnは、内在性IgGに結合して恒常的に輸送してIgGリサイクリングのために細胞表面に戻すことによって、IgGの半減期の保持に関与していると考えられている。
【0273】
本明細書で用いる場合、「親和性」及び「結合親和性」という語は、2分子間の結合相互作用の強度を指す。概して、結合親和性は、単離された抗体及びその標的(例えば、単離された抗FcRn抗体とヒトFcRn)等である、分子の一つの結合部位とその結合相手との間における非共有結合性相互作用を合計した強度を指す。別に示さない限り、結合親和性は、結合対の成分間における1:1の相互作用を反映するものである本来備わっている結合親和性を指す。2分子間の結合親和性は、通常、解離定数(KD)又は親和定数(KA)によって記述される。互いに低い結合親和性を有する二つの分子は、概して、結合が遅く、容易に解離して、大きいKDを示す傾向がある。互いに高い結合親和性を有する二つの分子は、概して、結合が速やかで、長い間結合を維持し、小さいKDを示す傾向がある。ヒトFcRnに対する抗体のKDを決定する方法の一つを、実施例2(「SPR(表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance))法」)で説明している。この方法を用いると、N022、N023、N024、N026及びN027のKDはそれぞれ、31、31.4、35.5、36.5及び19.3pMであった。
【0274】
本明細書で用いる場合、「IgGのFcRnへの結合を阻害する」という語は、IgG(例えば、IgG1)のヒトFcRnへの結合を阻止又は阻害する、抗FcRn抗体の能力を指す。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、例えば、ヒトFcRn上におけるIgGが結合する部位において、FcRnと結合する。そのため、抗FcRn抗体は、IgG(例えば、対象がもつ自己抗体)のFcRnへの結合を阻害することができる。一部の実施形態においては、分子(例えば、抗FcRn抗体)は、IgGとの結合を実質的に又は完全に阻害する。一部の実施形態においては、IgGの結合は、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、又は100%だけ軽減される。
【0275】
本明細書で用いる場合、「病原抗体のFcRnへの結合を阻害する」という語は、病原抗体(例えば、病原性IgG抗体)のヒトFcRnへの結合を阻止又は阻害する、抗FcRn抗体の能力を指す。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、例えば、ヒトFcRn上における病原抗体が結合する部位において、FcRnと結合する。そのため、抗FcRn抗体は、病原抗体(例えば、病原IgG抗体)のFcRnへの結合を阻害することができる。一部の実施形態においては、分子(例えば、抗FcRn抗体)は、病原抗体との結合を実質的に又は完全に阻害する。一部の実施形態においては、病原抗体のFcRnへの結合は、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、又は100%だけ軽減される。
【0276】
本明細書で用いる場合、「疎水性(の)アミノ酸」という語は、比較的低い水溶性を有するアミノ酸を指す。疎水性アミノ酸は、グリシン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、バリン及びプロリンである。本開示で特に好ましい疎水性アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリンである。
【0277】
本明細書で用いる場合、「極性(の)アミノ酸」という語は、異なる電気陰性度をもつ原子によって誘起される、アミノ酸の側鎖内に化学的な極性を有するアミノ酸を指す。極性アミノ酸の極性は、アミノ酸側鎖内の原子間の電気陰性度と側鎖の構造の非対称性とに依存する。極性アミノ酸は、セリン、トレオニン、システイン、ヒスチジン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン及びグルタミンである。本開示で特に好ましい極性アミノ酸は、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン及びチロシンである。
【0278】
本明細書で用いる場合、「酸性(の)アミノ酸」という語は、pKaが3.5~4.5であるカルボン酸基をその側鎖が含有するアミノ酸を指す。酸性アミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸である。
【0279】
本明細書で用いる場合、「塩基性(の)アミノ酸」という語は、pKaが9.5~13であるアミノ基をその側鎖が含有するアミノ酸を指す。塩基性アミノ酸は、ヒスチジン、リシン及びアルギニンである。
【0280】
本明細書で用いる場合、「パーセント(%)同一性」という語は、例えば抗FcRn抗体である候補配列のアミノ酸(又は核酸)残基であって、配列を整列させて、必要であれば最大のパーセント同一性を達成するようにギャップを導入しておいて(すなわち、最適なアラインメントのために候補配列及び参照配列の一方又は両方においてギャップを導入することが可能であり、比較目的のために非均一の配列は無視することが可能である)、野生型の抗FcRn抗体等の参照配列のアミノ酸(又は核酸)残基に対して一致している、上記候補配列のアミノ酸(又は核酸)残基の百分率を指すものである。パーセント同一性の決定のためのアラインメントは、この分野の技術の範囲内である種々の方法で、例えば、BLAST、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公に利用可能であるコンピュータソフトウェアを用いて達成することが可能である。当業者は、比較している配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメント測定用の適切なパラメータを決定することが可能である。一部の実施形態では、所与の参照配列との、該参照配列での又は該参照配列に対する、所与の候補配列のパーセントアミノ酸(又は核酸)配列同一性(あるいは、所与の参照配列との、該参照配列での又は該参照配列に対する、特定のパーセントアミノ酸(又は核酸)配列同一性を有する又は含む、所与の候補配列と表すことがある)は、以下のとおりに計算される:
100×(分数A/B)
式中、Aは候補配列及び参照配列のアラインメント内で同一として採点されたアミノ酸(又は核酸)残基の数であり、Bは参照配列内のアミノ酸(又は核酸)残基の総数である。候補配列の長さが参照配列の長さと等しくない場合の一部の実施形態では、参照配列に対する候補配列のパーセントアミノ酸(又は核酸)配列同一性は、候補配列に対する参照配列のパーセントアミノ酸(又は核酸)配列同一性と等しくないはずである。
【0281】
特定の実施形態では、候補配列の全長にわたって又は候補配列の連続的なアミノ酸(又は核酸)残基の選択された部分にわたって、候補配列が50%~100%の同一性をみせるということが、候補配列との比較のために整列した参照配列により示されることもある。比較の目的のために整列された候補配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は100%である。候補配列内のある位置が参照配列内の対応する位置と同じアミノ酸(又は核酸)残基で占有されている場合であれば、分子同士はその位置において一致している。位置は、置換、欠失又は挿入によって変わることがある。置換、欠失又は挿入は、或る数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上)を含み得る。n個以下のアミノ酸の置換、欠失又は挿入と記載する場合、これは、置換、欠失又は挿入が、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、・・・又はn個のアミノ酸を含むことを意味している。数もしくは置換、欠失又は挿入は、配列全体のある百分率(例えば、1%、5%、10%、15%、20%又はそれ以上)を含むことが可能であって、置換、欠失又は挿入の数で、配列全体のアミノ酸のうち5%、10%、15%、20%又はそれ以上が変わるものである。本明細書で用いる場合、「胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害」という語は、胎児及び/又は新生児の抗原に対する母親由来抗体(例えば、病原性の母親由来抗体)の経胎盤移行が原因となる、胎児及び/又は新生児における免疫障害を指す。例えば、妊娠した対象の抗体(例えば、病原抗体)は、胎児における抗原(例えば、胎児が胎児の父親から遺伝したものである抗原)に対して反応することがある。胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の例は、本明細書で提供している。
【0282】
本明細書で用いる場合、「病原抗体(pathogenic antibody)」という語は、対象(例えば、妊娠した対象)、妊娠した対象の胎児、及び/又は、新生児における一つもしくは複数の免疫疾患又は免疫障害を引き起こす抗体を指す。一部の実施形態においては、病原抗体は、対象自身のタンパク質のうちの1種又は複数種に対して対象(例えば、妊娠した対象)中で産生され、それによって対象において自己免疫疾患又は自己免疫障害を引き起こす、自己抗体である。一部の実施形態においては、妊娠した対象における病原抗体は、胎盤を介して胎児に移行して、胎児からの抗原(例えば、胎児が胎児の父親から遺伝したものである抗原)に対して反応し得、それによって、例えば胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こすものである。
【0283】
本明細書で用いる場合、「ウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強」という語は、抗体がウイルスの宿主細胞への侵入を促進し得、それによって細胞内の感染性を増加又は増強させることにつながるようなウイルス性疾患を指す。一部の実施形態においては、ある抗体は、ウイルス表面のタンパク質に結合することができ、抗体/ウイルス複合体が、細胞表面上のFcRn受容体に、該抗体及び該受容体間の相互作用を介して結合することができる。その後、この抗体/ウイルス複合体が、細胞中に内在するようになり得る。
【0284】
ここで「宿主細胞」という語は、タンパク質をそれらの対応する核酸から発現するのに必要であるような、例えばオルガネラである、必要な細胞成分を含む担体を指す。核酸は典型的に、この技術分野で公知の従来の技術(例えば、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、直接の微量注入等)によって宿主細胞内に導入されることが可能である核酸ベクター中に含まれる。宿主細胞は、例えば細菌細胞である原核細胞、又は、例えば哺乳動物細胞(例えばCHO細胞)である真核細胞とすることができる。本明細書に記載するように、宿主細胞を用いて、抗FcRn抗体をコードする1種又は複数種のポリペプチドを発現する。
【0285】
本明細書で用いる場合、「ベクター」という語は、それと既に結合している別の核酸分子を輸送することが可能である核酸分子を指す。一つのタイプのベクターは、「プラスミド」であって、これはさらなるDNAセグメントがその内部にライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターは、ファージベクターである。別のタイプのベクターは、ウイルスベクターであって、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノム内にライゲーションさせることができるウイルスベクターである。特定のベクターは、内部に該ベクターが導入される宿主細胞内で自己複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及び哺乳動物のエピソーマルベクター)。他のベクター(例えば、哺乳動物の非エピソーマルベクター)は、宿主細胞内に導入されると宿主細胞のゲノム内に組み込まれることが可能であり、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、該ベクターが操作可能に連結されている遺伝子の発現を指向できる。本明細書においては、こうしたベクターを「組換え発現ベクター」(又は単に「組換えベクター」)と称する。通常、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミド形態である。
【0286】
本明細書で用いる場合、「対象」という語は、例えば、好ましくはヒトである、哺乳動物を指す。哺乳動物には、ヒトと、サル(例えば、カニクイザル)、マウス、イヌ、ネコ、ウマ及びウシ等である家畜とが含まれるが、これらに限定されない。
【0287】
本明細書で用いる場合、「医薬組成物」という語は、活性成分のみならず、活性成分を投与方法に好適にさせることが可能である、1種又は複数種の賦形剤及び希釈剤を含有する薬用製剤又は医薬製剤を指す。医薬組成物は、抗FcRn抗体と互換性がある、薬剤的に許容できる成分を含む。該医薬組成物は、静脈もしくは皮下投与のために水性形態又は経口投与のために錠剤もしくはカプセル形態であり得る。
【0288】
ここで「薬剤的に許容できるキャリア」という語は、医薬組成物中の賦形剤又は希釈剤を指す。薬剤的に許容できるキャリアは、製剤の他の成分と互換性があり、レシピエントにとって有害でないものでなくてはならない。薬剤的に許容できるキャリアは、Fcコンストラクトに対して十分な薬剤的安定性を与える必要がある。キャリアの性質は、投与形態によって異なる。例えば、静脈投与では、概して水溶液キャリアが用いられ、経口投与では、固体キャリアが好ましい。
【0289】
ここで「治療有効量」という語は、例えば薬剤投与量である、対象もしくは患者において所望の生物学的な効果の誘導に、又は、本明細書に記載の状態又は障害を有する患者の治療に有効である量を指す。本明細書においては、「治療有効量」が、単回投薬又は任意の投薬量もしくは経路での摂取、単独で又は他の治療薬剤と組み合わせての摂取のいずれでも、所望の治療効果をもたらす量として解釈できるということも理解されたい。
【0290】
本明細書で用いる場合、「以下(no more than)」という語は、同等より少ない量を指す。これは整数での量とすることができる。例えば、2以下の置換とは、0、1又は2の置換を意味することが可能である。
【0291】
本明細書で用いる場合、「治療」又は「治療する(こと)」という語は、特定の疾患もしくは状態を軽減させる、特定の疾患もしくは状態を減少させる、特定の疾患もしくは状態の危険性を減少させる、又は、特定の疾患もしくは状態の副作用を減少させることを指す。治療を受けなかった対象と比べて、例えば、コントロール、ベースライン、又は公知のコントロールのレベルもしくは測定値と比べて、軽減させる、減少させる、その危険性を減少させる、又はその副作用を減少させるということである。
[本発明1001]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を治療する方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1002]
前記抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
ERPS又はGDSX
4
RPSを含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)、又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列を含み、
前記CDR H2は、
の配列を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
GDSY又はLAIZ
6
DSYを含む、
本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記対象が、以前に胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有したことがあるという経歴を有する、本発明1001から1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記対象が、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有する危険性がある、本発明1001から1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症(pan-thrombocytopenia)、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される、本発明1001から1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の溶血性疾患である、本発明1006の方法。
[本発明1008]
前記胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症である、本発明1006の方法。
[本発明1009]
前記胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、先天性心ブロックである、本発明1006の方法。
[本発明1010]
治療により、流産の危険性が軽減される、本発明1001から1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、胎児及び新生児の溶血性疾患に関連する胎児貧血を治療する方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1012]
前記妊娠した対象、前記妊娠した対象の胎児、及び/又は、それらの組み合わせを治療する、本発明1011の方法。
[本発明1013]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、自己免疫障害を治療する方法。
[本発明1014]
前記自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、本発明1013の方法。
[本発明1015]
前記抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
本発明1013又は1014の方法。
[本発明1016]
治療により、流産/胎児喪失の危険性が軽減される、本発明1013から1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
妊娠した対象にFcRn抗体を投与することを含む、自己免疫障害もしくは同種免疫障害の危険性を軽減させる、又は自己免疫障害もしくは同種免疫障害が発症する危険性を軽減させる方法。
[本発明1018]
前記自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、本発明1017の方法。
[本発明1019]
治療により、流産/胎児喪失の危険性が軽減される、本発明1017又は1018の方法。
[本発明1020]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、対象における抗体の異化作用を増加させる方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1021]
抗体の異化作用を増加させることが、病原抗体(pathogenic antibody)の異化作用を増加させることを含む、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記病原抗体は、母親、胎児、又は母親と胎児の両方にとって病原となる、本発明1021の方法。
[本発明1023]
前記抗体が、IgG抗体である、本発明1020の方法。
[本発明1024]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、対象における自己抗体を軽減させる方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1025]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させる方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1026]
前記免疫応答は、前記対象における急性免疫応答又は慢性免疫応答である、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記急性免疫応答は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症及び血清病からなる群から選択される医学的状態により活性化される、本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記急性免疫応答は、特発性血小板減少性紫斑病により活性化される、本発明1027の方法。
[本発明1029]
前記急性免疫応答は、尋常性天疱瘡により活性化される、本発明1027の方法。
[本発明1030]
前記急性免疫応答は、劇症型抗リン脂質抗体症候群により活性化される、本発明1027の方法。
[本発明1031]
前記急性免疫応答は、視神経脊髄炎により活性化される、本発明1027の方法。
[本発明1032]
前記急性免疫応答は、抗体媒介性拒絶反応により活性化される、本発明1027の方法。
[本発明1033]
前記急性免疫応答は、重症筋無力症により活性化される、本発明1027の方法。
[本発明1034]
前記慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、全身性ループス(systemic lupus)、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎及び抗好中球細胞質抗体関連血管炎からなる群から選択される医学的状態により活性化される、本発明1026の方法。
[本発明1035]
前記慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーにより活性化される、本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記対象が、自己免疫疾患を有する、本発明1029又は1030の方法。
[本発明1037]
前記自己免疫疾患は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、温式自己免疫性溶血性貧血、抗因子抗体、ヘパリン起因性血小板減少症、感作移植(sensitized transplant)、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、本発明1036の方法。
[本発明1038]
前記自己免疫疾患は、温式自己免疫性溶血性貧血である、本発明1037の方法。
[本発明1039]
前記自己免疫疾患は、抗因子抗体である、本発明1037の方法。
[本発明1040]
前記自己免疫疾患は、ヘパリン起因性血小板減少症である、本発明1037の方法。
[本発明1041]
前記自己免疫疾患は、感作移植である、本発明1037の方法。
[本発明1042]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、妊娠した対象の胎盤を越えた抗体の移行を減少させる方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1043]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、妊娠した対象における抗体の異化作用を増加させる方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1044]
前記抗体が、前記妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす、本発明1042又は1043の方法。
[本発明1045]
前記胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される、本発明1044の方法。
[本発明1046]
前記抗体が、IgG抗体である、本発明1042又は1043の方法。
[本発明1047]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法であって、該抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記方法。
[本発明1048]
前記ウイルス性疾患は、アルファウイルス感染症、フラビウイルス感染症、ジカウイルス感染症、チクングニアウイルス感染症、ロスリバーウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群、鳥インフルエンザ感染症、インフルエンザウイルス感染症、ヒトRSウイルス感染症、エボラウイルス感染症、黄熱病ウイルス感染症、デングウイルス感染症、ヒト免疫不全症ウイルス感染症、RSウイルス感染症、ハンタウイルス感染症、ゲタウイルス感染症、シンドビスウイルス感染症、ブニヤムウェラウイルス感染症、西ナイルウイルス感染症、日本脳炎ウイルスB感染症、家兎痘ウイルス感染症、乳酸脱水素酵素上昇ウイルス感染症、レオウイルス感染症、狂犬病ウイルス感染症、口蹄疫ウイルス感染症、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス感染症、サル出血熱ウイルス感染症、ウマ伝染性貧血ウイルス感染症、ヤギ関節炎ウイルス感染症、アフリカブタ熱ウイルス感染症、レンチウイルス感染症、BKパポバウイルス感染症、マレー渓谷脳炎ウイルス感染症、エンテロウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、ニューモウイルス感染症、モルビリウイルス感染症及び麻疹ウイルス感染症からなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる、本発明1047の方法。
[本発明1049]
前記妊娠した対象が、前記妊娠した対象において免疫応答を活性化する医学的状態を有するか、又は、該医学的状態を有する危険性がある、本発明1042から1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
前記医学的状態は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症、血清病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症である、本発明1049の方法。
[本発明1051]
前記妊娠した対象が、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有していた胎児又は新生児を以前に産んだことがあるという経歴を有する、本発明1042から1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記妊娠した対象から得た生体試料中に、免疫疾患に関連する抗体が検出される、本発明1042から1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記生体試料が、血液試料又は尿試料である、本発明1052の方法。
[本発明1054]
前記生体試料が、血液試料である、本発明1053の方法。
[本発明1055]
前記単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、
の配列と比べて、2以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR L3は、
の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR H2は、
の配列と比べて、2以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含むものであり、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
ERPS又はGDSX
4
RPSを含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)、又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列を含み、
前記CDR H2は、
の配列を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
GDSY又はLAIZ
6
DSYを含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記抗体が、以下の6つのCDRを含む、本発明1001~1054のいずれかの方法:
配列
であるCDR L1、
配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)であるCDR L2、
配列
であるCDR L3、
配列TYAMG(SEQ ID NO:4)であるCDR H1、
配列
であるCDR H2、及び、
配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)であるCDR H3。
[本発明1058]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列DYAMG(SEQ ID NO:5)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1059]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列NYAMG(SEQ ID NO:6)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1060]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1062]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
はT、A、S又はIであり、
X
2
はL又はIであり、
X
3
はS、N又はTであり、
X
4
はQ、E又はNであり、
X
5
はC、S、I又はYであり、
X
6
はA又はVであり、
Z
1
はE、T、D又はNであり、
Z
2
はS又はAであり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
はK又はRであり、
Z
5
はI、L又はHであり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1063]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含み、
Z
1
はT、D又はNであり、
Z
2
はS又はAであり、
Z
3
はG、S又はAであり、
Z
7
はS又はTである、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1064]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1065]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1066]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1067]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1068]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1069]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1070]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1072]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1073]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1074]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1075]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:20から24のうちのいずれか一つの配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:19の配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、本発明1001から1056のいずれかの方法。
[本発明1077]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1078]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1079]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1080]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1081]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、本発明1001から1054のいずれかの方法。
[本発明1082]
前記抗体が、1pM~100nMのK
D
でヒトFcRnと結合する、本発明1001から1081のいずれかの方法。
[本発明1083]
前記単離された抗体が、抗体N026のK
D
未満または該K
D
と等しいK
D
でヒトFcRnと結合する、本発明1001から1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
前記単離された抗体が、モノクローナル抗体である、本発明1001から1083のいずれかの方法。
[本発明1085]
前記単離された抗体が、IgG1又はその変異体である、本発明1001から1084のいずれかの方法。
[本発明1086]
前記単離された抗体が、λ軽鎖を含む、本発明1001から1085のいずれかの方法。
[本発明1087]
前記単離された抗体が、シアル酸付加された抗体である、本発明1001から1086のいずれかの方法。
[本発明1088]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、ヒトFcRnに結合する単離された抗体であって、
(a)前記CDR L1は、配列SDVGSYNL(SEQ ID NO:33)又はVG_YNL(SEQ ID NO:34)を含み、ここで「_」は任意のアミノ酸とすることが可能であり、
(b)前記CDR L2は、配列GDSE(SEQ ID NO:35)を含み、
(c)前記CDR L3は、配列YAGSGIY(SEQ ID NO:36)を含み、
(d)前記CDR H1は、配列TYA(SEQ ID NO:37)を含み、
(e)前記CDR H2は、配列SIGASGSQTR(SEQ ID NO:38)又はSI_AS_SQ_R(SEQ ID NO:39)を含み、ここで「_」は任意のアミノ酸とすることが可能であり、
(e)前記CDR H3は、配列LAI(SEQ ID NO:40)を含む、
前記単離された抗体。
[本発明1089]
ヒトFcRnにおける(a)SEQ ID NO:25及び(b)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を認識する、本発明1088の単離された抗体。
[本発明1090]
ヒトFcRnに結合する単離された抗体であって、
SEQ ID NO:30のK80、A81、L82、G83、G84、K85、G86、P87、Y88、L112、N113、E115、G129、D130、W131、P132、E133、L135、A136及びQ139からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のアミノ酸を含む、FcRn上のエピトープ
に結合する、前記単離された抗体。
[本発明1091]
ヒトFcRnに結合する単離された抗体であって、
SEQ ID NO:30のK80、A81、L82、G83、G84、K85、G86、P87、Y88、L112、N113、G129、D130、W131、P132、E133、L135、A136及びQ139からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のアミノ酸を含む、FcRn上のエピトープ
に結合する、前記単離された抗体。
[本発明1092]
FcRn上の前記エピトープは、SEQ ID NO:30のW131及び/又はY88を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1093]
FcRn上の前記エピトープは、SEQ ID NO:30のD130W131、W131P132、P87Y88及び/又はY88T89を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1094]
FcRn上の前記エピトープは、SEQ ID NO:30のG129D130W131、W131P132E133、D130W131P132、P87Y88T89、G86P87Y88及び/又はY88T89L90を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1095]
FcRn上の前記エピトープは、SEQ ID NO:30のG129D130W131P132、D130W131P132E133、W131P132E133A134、G128G129D130W131、K85G86P87Y88、G86P87Y88T89、P87Y88T89L90及び/又はY88T89L90Q91を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1096]
FcRn上の前記エピトープは、SEQ ID NO:30のG129D130W131P132E133、D130W131P132E133A134、W131P132E133A134L315、G128G129D130W131P132、W127G128G129D130W131、G84K85G86P87Y88、K85G86P87Y88T89、G86P87Y88T89L90、P87Y88T89L90Q91及び/又はY88T89L90T91Q92を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1097]
FcRn上の前記エピトープは、SEQ ID NO:30のT126W127G128G129D130W131、W127G128G129D130W131P132、G128G129D130W131P132E133、G129D130W131P132E133A134、D130W131P132E133A134L135、W131P132E133A134L135A136、G83G84K85G86P87Y88、G84K85G86P87Y88T89、K85G86P87Y88T89L90、G86P87Y88T89L90Q91、P87Y88T89L90T91Q92及び/又はY88T89L90Q91G92L93を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1098]
FcRn上の前記エピトープは、
W131から約3アミノ酸もしくは10オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、Y88から約5アミノ酸もしくは8オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、又は、第一の組がSEQ ID NO:30のW131であるかもしくは該アミノ酸を含むものであり、且つ、第二の組がSEQ ID NO:30のY88であるかもしくは該アミノ酸を含むむものである、任意の二組のアミノ酸
を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1099]
FcRn上の前記エピトープは、K80、A81、L82、G83、G84、K85、G86、P87、Y88、L112、N113、E115、G129、D130、W131、P132、E133、L135、A136及びQ139を含む、本発明1090の単離された抗体。
[本発明1100]
SEQ ID NO:31のI1、Q2、P32及びV85からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸を含む、β2-ミクログロブリン上のエピトープ
に結合する、本発明1088から1099のいずれかの単離された抗体。
[本発明1101]
Kabatの位置66~68にアミノ酸配列KSGを含む、本発明1099から1100のいずれかの単離された抗体。
[本発明1102]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体であって、
(a)前記CDR L1は、SDVGSYNLを含むが、ただし
は含まず、
(b)前記CDR L2は、GDSEを含むが、ただしGDSERPS(SEQ ID NO:2)は含まず、
(c)前記CDR L3は、YAGSGIYを含むが、ただし
は含まず、
(d)前記CDR H1は、TYAを含むが、ただしTYAMG(SEQ ID NO:4)は含まず、
(e)前記CDR H2は、SIGASGSQTRを含むが、ただし
は含まず、又は、
(f)前記CDR H3は、LAIを含むが、ただしLAIGDSY(SEQ ID NO:11)は含まない、
前記単離された抗体。
[本発明1103]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体であって、
(a)前記CDR L1は、
を含み、ここで、6以下の単一アミノ酸が、欠失又は置換されているが、ただしサブ配列SDVGSYNLの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、
(b)前記CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、ここで、3以下の単一アミノ酸が、欠失又は置換されているが、ただしサブ配列GDSEの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、
(c)前記CDR L3は、
を含み、ここで、3以下の単一アミノ酸が、欠失又は置換されているが、ただしサブ配列YAGSGIYの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、
(d)前記CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)及びNYAMG(SEQ ID NO:6)からなる群から選択される配列を含み、ここで、3以下の単一アミノ酸が、欠失又は置換されているが、ただしサブ配列YAの範囲内のアミノ酸は置換されておらず、
(e)前記CDR H2は、
からなる群から選択される配列を含み、ここで、3以下の単一アミノ酸が、欠失又は置換されており、
(f)前記CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含み、ここで、4以下の単一アミノ酸が欠失又は置換されているが、ただしサブ配列LAIの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされていない、
前記単離された抗体。
[本発明1104]
前記CDR L1は、5以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1105]
前記CDR L1は、4以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1106]
前記CDR L1は、3以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1107]
前記CDR L1は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1108]
前記CDR L2は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1109]
前記CDR L2は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1110]
前記CDR L3は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1111]
前記CDR L3は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1112]
前記CDR H1は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1113]
前記CDR H1は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1114]
前記CDR H2は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1115]
前記CDR H2は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1116]
前記CDR H3は、3以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1117]
前記CDR H3は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1118]
前記CDR H3は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1103の単離された抗体。
[本発明1119]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体であって、
(a)前記CDR L1は、
を含み、ここで、SEQ ID NO:1において9以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしSEQ ID NO:1のVG及びYNLであるサブ配列の範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、
(b)前記CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列GDSEの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、
(c)前記CDR L3は、
を含み、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列YAGSGIYの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、
(d)前記CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)及びNYAMG(SEQ ID NO:6)からなる群から選択される配列を含み、ここで、3以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列YAの範囲内のアミノ酸は置換されておらず、
(e)前記CDR H2は、
からなる群から選択される配列を含み、ここで、7以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列SI、AS、SQもしくはRの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされておらず、又は、
(f)前記CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含み、ここで、4以下の単一アミノ酸が欠失もしくは置換されているが、ただしサブ配列LAIの範囲内のアミノ酸は欠失も置換もされていない、
前記単離された抗体。
[本発明1120]
前記CDR L1は、8以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1121]
前記CDR L1は、7以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1122]
前記CDR L1は、6以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1123]
前記CDR L1は、5以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1124]
前記CDR L1は、4以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1125]
前記CDR L1は、3以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1126]
前記CDR L1は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1127]
前記CDR L1は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1128]
前記CDR L2は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1129]
前記CDR L2は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1130]
前記CDR L3は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1131]
前記CDR L3は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1132]
前記CDR H1は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1133]
前記CDR H1は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1134]
前記CDR H2は、6以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1135]
前記CDR H2は、5以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1136]
前記CDR H2は、4以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1137]
前記CDR H2は、3以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1138]
前記CDR H2は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1139]
前記CDR H2は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1140]
前記CDR H3は、3以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1141]
前記CDR H3は、2以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1142]
前記CDR H3は、1以下の単一アミノ酸の置換又は欠失を含む、本発明1119の単離された抗体。
[本発明1143]
ヒトFcRnにおける(a)SEQ ID NO:25及び(b)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を認識する、本発明1088から1142のいずれかの単離された抗体。
[本発明1144]
SEQ ID NO:30のW131及び/又はY88を含む、FcRn上のアミノ酸配列
を認識する、本発明1088から1143のいずれかの単離された抗体。
[本発明1145]
SEQ ID NO:30のDW、WP、PY及び/又はYTを含む、FcRn上のアミノ酸配列
を認識する、本発明1088から1143のいずれかの単離された抗体。
[本発明1146]
SEQ ID NO:30のGDW、WPE、DWP、PYT、GPY及び/又はYTLを含む、FcRn上のアミノ酸配列
を認識する、本発明1088から1143のいずれかの単離された抗体。
[本発明1147]
SEQ ID NO:30のGDWP、DWPE、WPEA、GGDW、KGPY、GPYT、PYTL及び/又はYTLQを含む、FcRn上のアミノ酸配列
を認識する、本発明1088から1143のいずれかの単離された抗体。
[本発明1148]
SEQ ID NO:30のGDWPE、DWPEA、WPEAL、GGDWP、WGGDW、GKGPY、KGPYT、GPYTL、PYTLQ及び/又はYTLTQを含む、FcRn上のアミノ酸配列
を認識する、本発明1088から1143のいずれかの単離された抗体。
[本発明1149]
SEQ ID NO:30のTWGGDW、WGGDWP、GGDWPE、GDWPEA、DWPEAL、WPEALA、GGKGPY、GKGPYT、KGPYTL、GPYTLQ、PYTLTQ及び/又はYTLQGLを含む、FcRn上のアミノ酸配列
を認識する、本発明1088から1143のいずれかの単離された抗体。
[本発明1150]
W131から約3アミノ酸もしくは10オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、Y88から約5アミノ酸もしくは8オングストローム以内の一つもしくは複数のアミノ酸か、又は、第一の組がSEQ ID NO:30のW131であるかもしくは該アミノ酸を含むものであり、且つ、第二の組がSEQ ID NO:30のY88であるかもしくは該アミノ酸を含むものである、任意の二組のアミノ酸
を含む、FcRn上のアミノ酸配列
を認識する、本発明1088から1143のいずれかの単離された抗体。
[本発明1151]
ヒトFcRnに結合する単離された抗体であって、
(a)
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含む第一のアミノ酸配列と、
(b)
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸を含む第二のアミノ酸配列と
を含むエピトープに結合し、
IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する、
前記単離された抗体。
[本発明1152]
ヒトFcRnに結合する単離された抗体であって、
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含むエピトープと結合し、
SEQ ID NO:25のアミノ酸残基9、12又は13のうちの少なくとも一つに結合し、
IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する、
前記単離された抗体。
[本発明1153]
ヒトFcRnに結合する単離された抗体であって、
FcRnにおける
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含むエピトープに結合し、
配列
からなるペプチドにもEEFMNFDL(SEQ ID NO:28)の配列にも結合せず、
IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する、
前記単離された抗体。
[本発明1154]
前記エピトープは、FcRnにおけるWGGDWPEAL(SEQ ID NO:29)の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含む、本発明1151から1153のいずれかの単離された抗体。
[本発明1155]
前記エピトープは、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基9を含む、本発明1151から1154のいずれかの単離された抗体。
[本発明1156]
前記エピトープは、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12を含む、本発明1151から1155のいずれかの単離された抗体。
[本発明1157]
前記エピトープは、FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13を含む、本発明1151から1156のいずれかの単離された抗体。
[本発明1158]
前記エピトープは、FcRnにおける
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含む、本発明1152から1157のいずれかの単離された抗体。
[本発明1159]
前記エピトープは、FcRnにおける
の配列の少なくとも二つのアミノ酸を含む、本発明1151から1158のいずれかの単離された抗体。
[本発明1160]
ヒトFcRnに結合する単離された抗体であって、
FcRnにおける
の配列の少なくとも一つのアミノ酸を含むエピトープに結合し、
IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する、
前記単離された抗体。
[本発明1161]
前記エピトープは、FcRnにおける
の配列の少なくとも二つのアミノ酸を含む、本発明1160の単離された抗体。
[本発明1162]
前記エピトープは、FcRnにおける
の配列の少なくとも一つのアミノ酸をさらに含む、本発明1160又は1161の単離された抗体。
[本発明1163]
FcRnにおける
の配列の少なくとも二つのアミノ酸に結合する、本発明1162の単離された抗体。
[本発明1164]
FcRnにおけるSEQ ID NO:25のアミノ酸残基9、12又は13のうちの少なくとも1つに結合する、本発明1160から1163のいずれかの単離された抗体。
[本発明1165]
FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基9に結合する、本発明1164の単離された抗体。
[本発明1166]
FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12に結合する、本発明1164の単離された抗体。
[本発明1167]
FcRnにおけるSEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13に結合する、本発明1164の単離された抗体。
[本発明1168]
1pM~100nMのK
D
でヒトFcRnと結合する、本発明1088から1167のいずれかの単離された抗体。
[本発明1169]
抗体N026のK
D
以下のK
D
でヒトFcRnと結合する、本発明1088から1168のいずれかの単離された抗体。
[本発明1170]
モノクローナル抗体である、本発明1088から1169のいずれかの単離された抗体。
[本発明1171]
IgG1である、本発明1088から1170のいずれかの単離された抗体。
[本発明1172]
λ軽鎖を含む、本発明1088から1171のいずれかの単離された抗体。
[本発明1173]
シアル酸付加された抗体である、本発明1088から1172のいずれかの単離された抗体。
[本発明1174]
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、本発明1088から1173のいずれかの単離された抗体。
[本発明1175]
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の発症の危険性の軽減用である、本発明1088から1173のいずれかの単離された抗体。
[本発明1176]
自己免疫障害又は同種免疫障害の発症の危険性の軽減用である、本発明1088から1173のいずれかの単離された抗体。
[本発明1177]
ヒトFcRnに結合してIgGのヒトFcRnへの結合を阻害する、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用の、本発明1088から1173のいずれかの単離された抗体。
[本発明1178]
本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体をコードする、核酸分子。
[本発明1179]
本発明1178の核酸分子を含む、ベクター。
[本発明1180]
本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体を発現する宿主細胞であって、該宿主細胞が、本発明1155の核酸分子又は本発明1156のベクターを含み、該核酸分子又はベクターが、該宿主細胞内で発現される、宿主細胞。
[本発明1181]
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、本発明1180の宿主細胞。
[本発明1182]
本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体と、1種又は複数種の薬剤的に許容できるキャリア又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
[本発明1183]
前記抗体が、治療有効量で存在する、本発明1182の医薬組成物。
[本発明1184]
本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体を調製する方法であって、
a)本発明1178の核酸分子又は本発明1179のベクターを含む宿主細胞を提供することと、
b)抗体の形成を可能にする条件下で、前記宿主細胞内で該核酸分子又はベクターを発現させることと
を含む、前記方法。
[本発明1185]
約1~100、1~50、1~25、2~50、5~50又は2~20mg/mlの濃度で、前記抗体を回収するステップをさらに含む、本発明1184の方法。
[本発明1186]
前記宿主細胞がCHO細胞である、本発明1184又は1185の方法。
[本発明1187]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を治療する方法であって、該抗体が、本発明1088から1177のうちのいずれかの抗体である、前記方法。
[本発明1188]
前記対象が、以前に胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有したことがあるという経歴を有する、本発明1187の方法。
[本発明1189]
前記対象が、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有する危険性がある、本発明1187の方法。
[本発明1190]
前記胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される、本発明1187から1189のいずれかの方法。
[本発明1191]
治療により、流産の危険性が軽減される、本発明1187から1190のいずれかの方法。
[本発明1192]
妊娠した対象に本発明1088から1177のいずれかの抗体を投与することを含む、胎児及び新生児の溶血性疾患に関連する胎児貧血を治療する方法。
[本発明1193]
前記妊娠した対象、前記妊娠した対象の胎児、及び/又は、それらの組み合わせを治療する、本発明1192の方法。
[本発明1194]
自己免疫障害を治療する方法であって、妊娠した対象に本発明1088から1177のいずれかの抗体を投与することを含む、前記方法。
[本発明1195]
前記自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、本発明1194の方法。
[本発明1196]
治療により、流産/胎児喪失の危険性が軽減される、本発明1194又は1195の方法。
[本発明1197]
自己免疫障害もしくは同種免疫障害の危険性を軽減させる、又は自己免疫障害もしくは同種免疫障害が発症する危険性を軽減させる方法であって、妊娠した対象に本発明1088から1177のいずれかの抗体を投与することを含む、前記方法。
[本発明1198]
前記自己免疫障害は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症又はウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、本発明1197の方法。
[本発明1199]
治療により、流産/胎児喪失の危険性が軽減される、本発明1197又は1198の方法。
[本発明1200]
対象における抗体の異化作用を増加させる方法であって、本発明1088~1177のうちのいずれかの単離された抗体又は本発明1159もしくは1160の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1201]
抗体の異化作用を増加させることが、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、本発明1200の方法。
[本発明1202]
前記病原抗体は、母親、胎児、又は母親と胎児の両方にとって病原となる、本発明1201の方法。
[本発明1203]
前記抗体が、IgG抗体である、本発明1201の方法。
[本発明1204]
対象における自己抗体を減少させる方法であって、本発明1088~1177のうちのいずれかの単離された抗体又は本発明1159もしくは1160の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1205]
対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させる方法であって、本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体又は本発明1182もしくは1183の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1206]
前記免疫応答は、前記対象における急性免疫応答又は慢性免疫応答である、本発明1205の方法。
[本発明1207]
前記急性免疫応答は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症及び血清病からなる群から選択される医学的状態により活性化される、本発明1206の方法。
[本発明1208]
前記胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の溶血性疾患である、本発明1207の方法。
[本発明1209]
前記胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症である、本発明1208の方法。
[本発明1210]
前記胎児及び新生児の自己免疫障害及び/又は自己免疫障害は、先天性心ブロックである、本発明1208の方法。
[本発明1211]
前記慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎及び抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎からなる群から選択される医学的状態により活性化される、本発明1206の方法。
[本発明1212]
前記対象が、自己免疫疾患を有する、本発明1211の方法。
[本発明1213]
前記自己免疫疾患は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、本発明1212の方法。
[本発明1214]
妊娠した対象の胎盤を越えた抗体の移行を減少させる方法であって、本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体又は本発明1181もしくは1182の医薬組成物を、妊娠した対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1215]
抗体の移行を減少させることが、病原抗体の移行を減少させることを含む、本発明1214の方法。
[本発明1216]
妊娠した対象において抗体の異化作用を増加させる方法であって、本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体又は本発明1181もしくは1182の医薬組成物を、妊娠した対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1217]
抗体の異化作用を増加させることが、病原抗体の異化作用を増加させることを含む、本発明1216の方法。
[本発明1218]
胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法であって、本発明1088から1177のいずれかの単離された抗体又は本発明1181もしくは1182の医薬組成物を、妊娠した対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1219]
前記病原抗体が、前記妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす、本発明1216又は1217の方法。
[本発明1220]
前記胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害は、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症、胎児及び新生児の溶血性疾患、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症、ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患ならびに新生児I型糖尿病からなる群から選択される、本発明1219の方法。
[本発明1221]
前記抗体が、IgG抗体である、本発明1216又は1217の方法。
[本発明1222]
前記ウイルス性疾患は、アルファウイルス感染症、フラビウイルス感染症、ジカウイルス感染症、チクングニアウイルス感染症、ロスリバーウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群、鳥インフルエンザ感染症、インフルエンザウイルス感染症、ヒトRSウイルス感染症、エボラウイルス感染症、黄熱病ウイルス感染症、デングウイルス感染症、ヒト免疫不全症ウイルス感染症、RSウイルス感染症、ハンタウイルス感染症、ゲタウイルス感染症、シンドビスウイルス感染症、ブニヤムウェラウイルス感染症、西ナイルウイルス感染症、日本脳炎ウイルスB感染症、家兎痘ウイルス感染症、乳酸脱水素酵素上昇ウイルス感染症、レオウイルス感染症、狂犬病ウイルス感染症、口蹄疫ウイルス感染症、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス感染症、サル出血熱ウイルス感染症、ウマ伝染性貧血ウイルス感染症、ヤギ関節炎ウイルス感染症、アフリカブタ熱ウイルス感染症、レンチウイルス感染症、BKパポバウイルス感染症、マレー渓谷脳炎ウイルス感染症、エンテロウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、ニューモウイルス感染症、モルビリウイルス感染症及び麻疹ウイルス感染症からなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる、本発明1218の方法。
[本発明1223]
前記妊娠した対象が、前記妊娠した対象において免疫応答を活性化する医学的状態を有するか、又は、該医学的状態を有する危険性がある、本発明1216から1222のいずれかの方法。
[本発明1224]
前記医学的状態は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症、血清病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症である、本発明1223の方法。
[本発明1225]
前記妊娠した対象が、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有していた胎児又は新生児を以前に産んだことがあるという経歴を有する、本発明1216から1224のいずれかの方法。
[本発明1226]
前記妊娠した対象から得た生体試料中に、免疫疾患に関連する抗体が検出される、本発明1216から1225のいずれかの方法。
[本発明1227]
前記生体試料が、血液試料又は尿試料である、本発明1226の方法。
[本発明1228]
前記抗体が、1pM~100nMのK
D
でヒトFcRnと結合する、本発明1187から1227のいずれかの方法。
[本発明1229]
前記単離された抗体が、抗体N026のK
D
未満または該K
D
と等しいK
D
でヒトFcRnと結合する、本発明1187から1228のいずれかの方法。
[本発明1230]
前記単離された抗体が、モノクローナル抗体である、本発明1187から1229のいずれかの方法。
[本発明1231]
前記単離された抗体が、IgG1又はその変異体である、本発明1187から1230のいずれかの方法。
[本発明1232]
前記単離された抗体が、λ軽鎖を含む、本発明1187から1231のいずれかの方法。
[本発明1233]
前記単離された抗体が、シアル酸付加された抗体である、本発明1187から1232のいずれかの方法。
[本発明1234]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用の、単離された抗体であって、
前記CDR L1は、配列
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記CDR L3は、配列
を含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記CDR H2は、配列
を含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
5
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
は、塩基性アミノ酸であり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
前記単離された抗体。
[本発明1235]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用の、単離された抗体であって、
前記CDR L1は、
の配列と比べて、2以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR L2は、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR L3は、
の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR H1は、TYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR H2は、
の配列と比べて、2以下のアミノ酸置換を有する配列を含み、
前記CDR H3は、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列と比べて、1以下のアミノ酸置換を有する配列を含む、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1236]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1237]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列DYAMG(SEQ ID NO:5)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1238]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列NYAMG(SEQ ID NO:6)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1239]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1240]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列TYAMG(SEQ ID NO:4)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1241]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
RPS(SEQ ID NO:13)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAZ
5
Z
6
DSY(SEQ ID NO:17)を含み、
X
1
はT、A、S又はIであり、
X
2
はL又はIであり、
X
3
はS、N又はTであり、
X
4
はQ、E又はNであり、
X
5
はC、S、I又はYであり、
X
6
はA又はVであり、
Z
1
はE、T、D又はNであり、
Z
2
はS又はAであり、
Z
3
は、G、S又はAであり、
Z
4
はK又はRであり、
Z
5
はI、L又はHであり、
Z
6
は、G、S、D、Q又はHであり、
Z
7
は、S又はTである、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1242]
前記単離された抗体の前記CDR L1は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L2は、配列GDSERPS(SEQ ID NO:2)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR L3は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H1は、配列Z
1
YAMG(SEQ ID NO:15)を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H2は、配列
を含み、
前記単離された抗体の前記CDR H3は、配列LAIGDSY(SEQ ID NO:11)を含み、
Z
1
はT、D又はNであり、
Z
2
はS又はAであり、
Z
3
はG、S又はAであり、
Z
7
は、S又はTである、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1243]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1244]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1245]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1246]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1247]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1248]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1249]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1250]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1251]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1252]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1253]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1254]
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:20から24のうちのいずれか一つの配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、単離された抗体であって、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、本発明1234の単離された抗体。
[本発明1255]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:19の配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、単離された抗体であって、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、本発明1234の単離された抗体。
[本発明1256]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1257]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1258]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1259]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1260]
前記単離された抗体の前記軽鎖可変領域が、
である配列を含み、
前記単離された抗体の前記重鎖可変領域が、
である配列を含む、
単離された抗体であって、
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、
本発明1234の単離された抗体。
[本発明1261]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体であって、
前記CDR L1は、配列VGX
1
YNX
2
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
を含み、
前記CDR L3は、配列YX
6
GSGIYを含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAを含み、
前記CDR H2は、配列Z
8
IZ
2
Z
3
SZ
4
Z
5
QZ
6
Rを含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
7
を含み、
X
1
は、任意のアミノ酸であり、
X
2
はL又はIであり、
X
3
はS、N又はTであり、
X
4
はQ、E又はNであり、
X
6
はA又はVであり、
Z
1
はE、T、D又はNであり、
Z
2
は、任意のアミノ酸であり、
Z
3
はS又はAであり、
Z
4
は、任意のアミノ酸であり、
Z
5
は、G、S又はAであり、
Z
6
は、任意のアミノ酸であり、
Z
7
はI、L又はHであり、
Z
8
はS又はTである、
前記単離された抗体。
[本発明1262]
(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、単離された抗体であって、
前記CDR L1は、配列VGX
1
YNX
2
を含み、
前記CDR L2は、配列GDX
3
X
4
を含み、
前記CDR L3は、配列YX
6
GSGIYを含み、
前記CDR H1は、配列Z
1
YAを含み、
前記CDR H2は、配列Z
8
IZ
2
Z
3
SZ
4
Z
5
QZ
6
Rを含み、
前記CDR H3は、配列LAZ
7
を含み、
X
1
は、任意のアミノ酸であり、
X
2
は、疎水性アミノ酸であり、
X
3
は、極性アミノ酸であり、
X
4
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
X
6
は、疎水性アミノ酸であり、
Z
1
は、極性又は酸性のアミノ酸であり、
Z
2
は、任意のアミノ酸であり、
Z
3
は、極性又は疎水性のアミノ酸であり、
Z
4
は、任意のアミノ酸であり、
Z
5
は、G、S又はAであり、
Z
5
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
6
は、任意のアミノ酸であり、
Z
7
は、疎水性又は塩基性のアミノ酸であり、
Z
8
はS又はTである、
前記単離された抗体。
[本発明1263]
胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の治療用である、本発明1261又は1262の単離された抗体。
[本発明1264]
本発明1261又は1262の単離された抗体をコードする、核酸分子。
[本発明1265]
本発明1164の核酸分子を含む、ベクター。
[本発明1266]
本発明1261又は1262の単離された抗体を発現する宿主細胞であって、該宿主細胞が、本発明1261の核酸分子又は本発明1262のベクターを含み、該核酸分子又はベクターが、該宿主細胞内で発現される、宿主細胞。
[本発明1267]
チャイニーズハムスター卵巣細胞である、本発明1266の宿主細胞。
[本発明1268]
本発明1261又は1262の単離された抗体と、1種又は複数種の薬剤的に許容できるキャリア又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
[本発明1269]
前記抗体が、治療有効量で存在する、本発明1268の医薬組成物。
[本発明1270]
本発明1269又は1270の単離された抗体を調製する方法であって、
a)本発明1242の核酸分子又は本発明1243のベクターを含む宿主細胞を提供することと、
b)該抗体の形成を可能にする条件下で、該宿主細胞内で該核酸分子又はベクターを発現させることと
を含む、前記方法。
[本発明1271]
妊娠した対象に抗体を投与することを含む、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を治療する方法であって、該抗体が、本発明1261又は1262の抗体である、前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0292】
【
図1】
図1は、pH6.0におけるヒトFcRn又はカニクイザルFcRnに対する抗体N022~N024、N026及びN027のIgGの競合的結合を示す二つのグラフと表とを示している。
【
図2-1】
図2は、トランスジェニックマウスにおけるIgG異化作用に対する抗体N023、N024、N026及びN027の効果を示すグラフを示している。
【
図3】
図3は、トランスジェニックマウスにおけるIgG濃度及び標的占有率に対する抗体N027の用量依存的な効果を示すグラフを示している。
【
図4A】
図4A~4Cは、様々な用量の抗体N027を投与した後のカニクイザルにおけるIgG異化作用の選択的誘発及び標的占有率を示すグラフを示している。
【
図5】
図5は、トランスジェニックマウスにおけるN027の生体内分布を示すグラフを示している。
【
図6】
図6は、実験タイムラインと、トランスジェニックマウスのマウスコラーゲン抗体誘導関節炎モデルでのN027の効能を示すグラフとを示している。
【
図7】
図7は、実験タイムラインと、トランスジェニックマウスのマウス慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)モデルでのN027の効能を示す二つのグラフとを示している。
【
図8A】
図8A~8Cは、それぞれ、大動脈内皮細胞、静脈内皮細胞及び胎盤トロホブラストにおける、N027で達成される用量依存性FcRn占有率を示すグラフを示している。
【
図9A】
図9A~9Cは、それぞれ、大動脈内皮細胞、静脈内皮細胞及び胎盤トロホブラストにおいて、N027による100%のFcRn占有率が細胞内IgGの蓄積量の増加をもたらすということを示すグラフを示している。
【
図10】
図10は、N027による100%のFcRn占有率を達成するのにかかる時間を示すグラフを示している。
【
図11A】
図11A及び11Bは、それぞれ、ヒトの内皮細胞及び絨毛トロホブラスト細胞において、N027による処置がFcRn代謝速度を変化させないということを示すグラフを示している。
【
図12】
図12A及び12Bは、ヒトの内皮細胞及び絨毛トロホブラスト細胞のエンドソーム中に局在化したFcRnの画像を示している。
【
図13A】
図13A及び13Bは、それぞれ、ヒト内皮細胞及びヒト胎盤トロホブラストにおける、N027処置の効果とIgG輸送の動態とを示すグラフを示している。
【
図13C】
図13C及び13Dは、N027が、細胞内IgGと、IgGのリソソームでの共局在化とを増加させることを示す画像を示している(リソソームマーカー:Lamp-1及びDextran)。
【
図14】
図14は、FcRn上のN027のFab結合部位と、Fc結合部位及びアルブミン結合部位とを比較する画像を示している。Fab結合部位及びFcの結合部位は、互いに重複しているが、アルブミン結合部位とは別個である。
【
図15】
図15は、N027のFab表面上のエピトープ(左)、及びFcRn表面上のパラトープ(右)の画像を示している。
【
図16】
図16は、配列にマッピングされたN027のFab:FcRnのエピトープ及びパラトープを示している。
【
図17】
図17は、4時間にわたる灌流によるアンチピリンの経胎盤移行を示すグラフである(n=14)。データは、t=0にアンチピリンを100μg/mlで母体投与した後の、胎児循環(四角)及び母体循環(円)におけるアンチピリン濃度を平均値±標準偏差(SD)として表している。
【
図18】
図18は、4時間にわたる灌流によるN027の経胎盤移行を示すグラフである。データは、t=0にN027を記載の濃度で母体投与した後の、胎児循環及び母体循環におけるN027濃度を平均値±SDとして表している。
【
図19】
図19は、妊娠中にN027で治療した後の、母体のIgG濃度を示すグラフである。
【
図20】
図20は、妊娠中に母親をN027で治療した後の、胎児のIgG濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0293】
詳細な説明
本開示は、高い親和性でヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合する、単離された抗体を特徴とする。本開示は、抗FcRn抗体、抗FcRn抗体を調製するための方法及び組成物、ならびに、FcRn活性を阻止し、免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減し、免疫疾患を治療するための方法を特徴とする。また、抗FcRn抗体を用いて、妊娠した対象の胎盤を越えた病原抗体の移行を減少させて、妊娠した対象における病原抗体の異化作用を増加させて、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療することが可能である。
【0294】
I.抗FcRn抗体
この開示は、概して、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とする。抗FcRn抗体は、ヒトFcRnに結合して、IgG(例えば、IgG自己抗体又は病原抗体)がFcRnに結合することを阻害可能である抗体を指す。一部の実施形態においては、抗体は、モノクローナル抗体である。他の実施形態においては、抗体は、ポリクローナル抗体である。一部の実施形態においては、抗体は、IgG1である。一部の実施形態においては、抗体は、λ軽鎖を含む。一部の実施形態においては、抗体は、シアル酸付加された抗体である。一部の実施形態においては、抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体(affinity matured antibody)、ヒト化抗体及びヒト抗体からなる群から選択される。或る実施形態においては、抗体は、例えばFab、Fab′、Fab′-SH、F(ab′)2又はscFvである抗体断片である。
【0295】
一部の実施形態においては、抗体は、キメラ抗体である。例えば、ある抗体は、異種の非ヒト配列、ヒト配列又はヒト化配列(例えば、フレームワーク及び/又は定常ドメイン配列)に移植された、非ヒトドナーからの抗原結合配列を含有する。一実施形態においては、非ヒトドナーはマウスである。別の実施形態においては、抗原結合配列は、合成的に、例えば変異導入(例えば、ファージディスプレイスクリーニング法等)によって得られる。さらなる実施形態においては、キメラ抗体は、非ヒト(例えば、マウス)の可変領域とヒト定常領域とを有する。一実施例においては、マウス軽鎖可変領域は、ヒトκ軽鎖と融合する。別の実施例においては、マウス重鎖可変領域は、ヒトIgG1定常領域と融合する。
【0296】
一部の実施形態においては、抗体のCDR配列について記述するとき、該抗体は、一組の6つのCDR配列を含むものとして規定されている。一組のCDR配列を含んでいるということが、これらCDR配列からなる、該CDR配列を含む、又は実質的に該CDR配列からなるような抗体を記述しているものである。
【0297】
一態様においては、この開示は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含む、ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合する単離された抗体を特徴とするものであり、CDR L1は、配列SDVGSYNL(SEQ ID NO:
47)又はVG_YNL(SEQ ID NO:34)を含み、ここで「_」は任意のアミノ酸とすることが可能であり、CDR L2は、配列GDSE(SEQ ID NO:35)を含み、CDR L3は、配列YAGSGIY(SEQ ID NO:36)を含み、CDR H1は、配列TYA(SEQ ID NO:37)を含み、CDR H2は、配列SIGASGSQTR(SEQ ID NO:38)又はSI_AS_SQ_R(SEQ ID NO:39)を含み、ここで「_」は任意のアミノ酸とすることが可能であり、CDR H3は、配列LAI(SEQ ID NO:40)を含み、また随意に、(a)CDR L1は
の配列と比べて、欠失を有するかもしくは2以上のアミノ酸置換を有し、(b)CDR L2はGDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列と比べて、欠失を有するかもしくは1以上のアミノ酸置換を有し、(c)CDR L3は
の配列と比べて、欠失を有するかもしくは1以上のアミノ酸置換を有し、(d)CDR H1はTYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)及びNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列のそれぞれと比べて、欠失を有するかもしくは1以上のアミノ酸置換を有し、(e)CDR H2は
の配列のそれぞれと比べて、欠失を有するかもしくは2以上のアミノ酸置換を有し、又は、(f)CDR H3はLAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列と比べて、欠失を有するかもしくは1以上のアミノ酸置換を有する。一部の実施形態においては、単離された抗体は、Kabatの位置66~68にアミノ酸配列KSGを含む。
【0298】
別の態様においては、この開示はヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、野生型FcRnのアミノ酸K103、A104、L105、G106、G107、K108、G109、P110、Y111、L135、N136、E138、G152、D153、W154、P155、E156、L158、A159、Q162にそれぞれ対応する、SEQ ID NO:30のK80、A81、L82、G83、G84、K85、G86、P87、Y88、L112、N113、E115、G129、D130、W131、P132、E133、L135、A136及びQ139からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のアミノ酸を含む、FcRn上のエピトープに結合する。一部の実施形態においては、FcRn上のこのエピトープは、野生型FcRnのアミノ酸E138に対応するE115を含まない。
【0299】
別の態様においては、この開示は、I21、Q22、P52及びV105からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸を含む、β(2)-ミクログロブリン上のエピトープに結合する単離された抗体を特徴とする。
【0300】
別の態様においては、この開示は、FcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、(a)
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸と、(b)
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合し、該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0301】
この開示はまた、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合し、該抗体は、SEQ ID NO:25のアミノ酸残基5、12又は13のうちの少なくとも一つに結合し、また該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0302】
この開示はまた、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合し、該抗体は、配列
からなるペプチドにもEEFMNFDL(SEQ ID NO:28)の配列にも結合せず、また該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0303】
一部の実施形態においては、本明細書に記載する抗FcRn抗体は、WGGDWPEAL(SEQ ID NO:29)の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基5に結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12に結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13に結合する。
【0304】
一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合する。抗FcRn抗体はまた、
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸に結合してもよい。
【0305】
別の態様においては、この開示はまた、ヒトFcRnに結合する単離された抗体を特徴とするものであり、該抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸に結合し、該抗体は、IgGのヒトFcRnへの結合を阻害する。
【0306】
この態様の一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸に結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸にさらに結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、
の配列のうちの少なくとも二つのアミノ酸にさらに結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:25のアミノ酸残基5、12又は13のうちの少なくとも一つに結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基5に結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基12に結合する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:25の少なくともアミノ酸残基13に結合する。
【0307】
別の態様においては、この開示は、ヒトFcRnに結合することが可能である単離された抗体を特徴とする。この単離された抗体は、(1)CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む軽鎖可変領域と、(2)CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む重鎖可変領域とを含有するものであり、CDR L1は
の配列と少なくとも92%の同一性を有する配列を有し、CDR L2はGDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を有し、CDR L3は
の配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、CDR H1はTYAMG(SEQ ID NO:4)、DYAMG(SEQ ID NO:5)又はNYAMG(SEQ ID NO:6)の配列と少なくとも80%の同一性を有する配列を有し、CDR H2は
の配列と少なくとも92%の同一性を有する配列を有し、CDR H3はLAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を有する。一部の実施形態においては、抗体は、200、150、100、50又は40pM未満のK
DでヒトFcRnと結合する。一部の実施形態においては、抗体は、N022、N023、N024、N026又はN027の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有し、且つ、比較されている抗体と同じFc領域をさらに有する抗体のK
D未満または該K
Dと等しい(例えば、それ未満である)K
DでヒトFcRnと結合する。
【0308】
一部の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を含む、該配列からなる、実質的に該配列からなる、又は該配列を有するCDR L1と、GDX
3X
4RPS(SEQ ID NO:13)の配列を含む、該配列からなる、実質的に該配列からなる、又は該配列を有するCDR L2と、
の配列を含む、該配列からなる、実質的に該配列からなる、又は該配列を有するCDR L3と、Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)の配列を含む、該配列からなる、実質的に該配列からなる、又は該配列を有するCDR H1と、
の配列を含む、該配列からなる、実質的に該配列からなる、又は該配列を有するCDR H2と、LAZ
5Z
6DSY(SEQ ID NO:17)の配列を含む、該配列からなる、実質的に該配列からなる、又は該配列を有するCDR H3とを有するものであり、X
1は極性又は疎水性のアミノ酸(例えば、好ましくはT、A、S又はI)であり、X
2は疎水性アミノ酸(例えば、好ましくはL又はI)であり、X
3は極性アミノ酸(例えば、好ましくはS、N又はT)であり、X
4は極性又は酸性のアミノ酸(例えば、好ましくはQ、E又はN)であり、X
5は極性又は疎水性のアミノ酸(例えば、好ましくはC、S、I又はY)であり、X
6は疎水性アミノ酸(例えば、好ましくはA又はV)であり、Z
1は極性又は酸性のアミノ酸(例えば、好ましくはE、T、D又はN)であり、Z
2は極性又は疎水性のアミノ酸(例えば、好ましくはS又はA)であり、Z
3はG、S又はAであり、Z
4は塩基性アミノ酸(例えば、好ましくはK又はR)であり、Z
5は疎水性又は塩基性のアミノ酸(例えば、好ましくはI、L又はH)であり、Z
6はG、S、D、Q又はHであり、Z
7はS又はTであり、また抗体は、200、150、100、50又は40pM未満のK
Dで、ヒトFcRnと結合する。
【0309】
他の実施形態においては、単離された抗体は、
の配列を有するCDR L1と、GDSERPS(SEQ ID NO:2)の配列を有するCDR L2と、
の配列を有するCDR L3と、Z
1YAMG(SEQ ID NO:15)の配列を有するCDR H1と、
の配列を有するCDR H2と、LAIGDSY(SEQ ID NO:11)の配列を有するCDR H3とを有するものであり、Z
1はT、D又はNであり、Z
2はS又はAであり、Z
3はG、S又はAであり、Z
7はS又はTである。
【0310】
表1に、一部の例示的な抗FcRn抗体の軽鎖及び重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を示している。
【0311】
【0312】
表2に、これら例示的な抗FcRn抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域の配列番号を示している。
【0313】
【0314】
一部の実施形態においては、単離された抗体の軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0315】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0316】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0317】
一部の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0318】
他の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0319】
また他の実施形態においては、単離された抗体の重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0320】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0321】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0322】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0323】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0324】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
【0325】
また、本明細書に記載の抗FcRn抗体のいずれにおいても、該抗体の重鎖可変領域が、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を有する。本明細書に記載の抗FcRn抗体のいずれにおいても、軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:19の配列と少なくとも95%、97%、99%又は100%の同一性を有する配列を有する。
【0326】
抗体は、CDRの外側(すなわち、フレームワーク領域(FR)内)に、アミノ酸の置換、付加、及び/又は欠失をさらに含有してもよい。アミノ酸の置換、付加、及び/又は欠失は、一つもしくは複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上)の置換、付加、及び/又は欠失とすることが可能である。アミノ酸の置換、付加、及び/又は欠失は、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、もしくは2以下の単一アミノ酸の置換、付加、及び/又は欠失とすることが可能である。一部の実施形態においては、抗体は、SEQ ID NO:20~24のいずれか一つの配列と比べて次のアミノ酸置換A23V、S30R、L80V、A84T、E85D、A93V、ならびに、SEQ ID NO:19の配列と比べて次のアミノ酸置換Q38H、V58I及びG99D、のうちのいずれか一つ又は複数をさらに含んでもよい。
【0327】
一部の実施形態においては、抗体は、例えば補体依存性細胞障害(complement-dependent cytolysis)(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)及び/もしくは抗体依存性細胞媒介性ファゴサイトーシス(ADCP)の減少、ならびに/又は、B細胞死滅の減少である、例えばエフェクター機能の減少につながるような、抗体の定常領域(例えば、Fc領域)におけるアミノ酸の置換、付加及び/又は欠失を含んでもよい。定常領域は、抗体のその標的との結合に直接関与していないが、抗体依存性細胞毒性に該抗体が関与する等、種々のエフェクター機能を呈する。一部の実施形態においては、抗体は、ナチュラルキラー(NK)細胞上のヒト補体因子C1q及び/又はヒトFc受容体との結合が減少すること(すなわち、結合がない)により特徴付けられる。他の実施形態では、抗体は、ヒトFcγRI、FcγRIIA及び/又はFcγRIIIAとの結合が減少すること(すなわち、結合がない)により特徴付けられる。CDC、ADCC、ADCP及び/又はB細胞死滅等の抗体依存性のエフェクター機能を変化させる又は軽減させるために、抗体は、IgGクラスのものとし得、且つ、一つ又は複数のアミノ酸の置換E233、L234、G236、D265、D270、N297、E318、K320、K322、A327、A330、P331及び/又はP329(KabatのEUインデックス(Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))に従って番号付け)を含有し得る。一部の実施形態においては、抗体は変異L234A/L235A又はD265A/N297Aを含有する。好ましくは、抗FcRn抗体は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と比べて、アミノ酸置換N297Aを含有するため、該抗体は、糖鎖修飾されていない形態(aglycosylated form)に変化する。得られたエフェクター機能のない(effectorless)抗体は、補体又はFc受容体との結合(すなわち、補体C1q結合)が非常にわずかであり、CDCの可能性が低いことの表れである。
【0328】
他の実施形態においては、抗体は、抗体の安定性を向上させる、特定のアミノ酸変化を有する抗体を含み得る。
【0329】
さらに、他の実施形態においては、可能性のある免疫原性を最小化するために、例えばN024、N026及びN027である一部の抗体は、アミノ酸D355及びL357をそれぞれグルタミン酸及びメチオニンに置換することによって(SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と比べて)、G1m17.1からG1m17へのアロタイプ変化を受け得る。
【0330】
他の実施形態においては、例えばN022~N024、N026及びN027である抗体は、SEQ ID NO:20~24のうちのいずれか一つの配列と比べて、例えば残基446にあるC末端リシンである、C末端リシンを含有しない。
【0331】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有する単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0332】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有する単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0333】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有する単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0334】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有する単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0335】
この開示は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含有する単離された抗体を特徴とするものであり、該軽鎖可変領域は、
である配列を有し、該重鎖可変領域は、
である配列を有する。
【0336】
また他の実施形態においては、抗体は、シアル酸付加された抗体である。
【0337】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の抗FcRn抗体のうちのいずれかにおいて、抗体が、200、150、100、50又は40pM未満のKDでマウス又はラットFcRnと結合する。
【0338】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の抗FcRn抗体のうちのいずれかにおいて、抗体が、1~100、5~150、5~100、5~75、5~50、10~50又は10~40pMの親和性でヒトFcRnに結合する。
【0339】
抗FcRn抗体は、免疫グロブリン抗体アイソタイプIgG、IgE、IgM、IgA又はIgDのものとすることができる。好ましくは、抗FcRn抗体は、免疫グロブリン抗体アイソタイプIgGのものとする。抗FcRn抗体はまた、いずれかの免疫グロブリン抗体アイソタイプのサブクラスのものとすることもできる。例えば、抗FcRn抗体は、IgGのサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のものとすることができる。好ましくは、抗FcRn抗体は、サブクラスIgG1のものとする。特に、抗FcRn抗体は、IgGのG1m17又はG1m17.1のアロタイプの重鎖を含有する。一部の実施形態においては、抗FcRn抗体の軽鎖は、κ軽鎖、λ軽鎖、又はκ-λキメラ軽鎖であり得る。好ましい実施形態においては、抗FcRn抗体は、完全長λ軽鎖を含有する。
【0340】
一部の実施形態においては、抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)はモノクローナルである。抗体はまた、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト抗体であり得る。一部の実施形態においては、抗体は、親和性成熟したものであり得る。他の実施形態においては、抗体は、抗体断片であり得る。
【0341】
理論に拘束されることなく、抗FcRn抗体が、IgGのヒトFcRnへの結合と競合して該結合を阻害すると考えられている。抗体の水素重水素交換によるエピトープマッピングによれば、この抗体が、Fc-FcRn間の相互作用界面に位置する及び/又は隣接している、FcRn上のエピトープに結合するということを示しており、このことは該抗体が、向きによる阻害(direction inhibition)によってIgGのFcRnへの結合を阻止するということを示唆している。また、エピトープマッピングした結合部位は、FcRnのアルブミン結合部位とは離れている。
【0342】
一部の実施形態においては、血清アルブミンの結合は阻害されない。一部の場合、抗FcRn抗体投与後に、血清アルブミン濃度は減少しない。
【0343】
II. シアル酸付加された抗FcRn抗体
一部の実施形態においては、抗FcRn抗体のFc領域の糖鎖修飾部位は、モル基準で、少なくとも25%、50%、75%又はそれ以上がシアル酸付加されている。該抗体は、基質を順序よくシアル酸付加するものである、シアル酸転移酵素(ST6 Gal-I)によりシアル酸付加され得る。詳細には、特定の条件下で、ST6シアル酸転移酵素は、抗FcRn抗体のFc領域上の多糖類のうち、α1,3アーム上でのシアル酸付加を、次いでα1,6アーム上での第二のシアル酸付加を、次いでα1,3アームからのシアル酸の除去を触媒する。
【0344】
単離された抗FcRn抗体は、生成用宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えばST6シアル酸転移酵素と同時導入された又はST6シアル酸転移酵素を過剰発現する哺乳動物細胞)内で産生中にシアル酸付加することができる。他の実施形態においては、単離された抗FcRn抗体は、生成用宿主細胞からの精製後に、例えば酵素的に又は化学結合を介して、生体外(in vitro)でシアル酸付加することができる。シアル酸付加された抗FcRn抗体の作製方法は、PCT公開公報である国際公開公報第2014/179601号に記載している。
【0345】
III. FcRn阻害
ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)は、IgG及び血清アルブミンと結合する、細胞内IgG輸送タンパク質として機能するI型膜貫通タンパク質である。FcRnは、内皮細胞、管腔上皮細胞、肝細胞、有足細胞、顆粒球、単球、マクロファージ、樹状細胞及びNK細胞内で発現するが、B細胞又はT細胞では発現しない。FcRnは、内在性IgGに結合して恒常的に輸送して細胞表面に戻すことによって、IgGの半減期を保持する。FcRnによるFc及び血清アルブミンの両方との結合は、pH6.0では初期エンドソーム内で起こり、次いで、FcRnが小胞に仕分けされて、この小胞によりFcRn結合IgG及び/又はアルブミンが輸送されて、pH7.4でFcRnがIgG及び/又はアルブミンを即座に開放するものである細胞表面に戻される。この輸送サイクルにより、両者を循環内にリサイクリングして、分解のためのリソソームへの輸送を防止することによって、IgG及びアルブミンの半減期が保持される。FcRnはまた、上皮細胞内の内在性IgGのFcを捕捉し、それらを対向し合う頂端膜又は側底膜へ双方向的に輸送する。この機能により、IgGは消化管等の器官の管腔に輸送され、又は、間質細胞層中の管腔から脈管構造又はリンパ組織へIgGもしくはIgG抗原複合体を輸送することが可能になる。
【0346】
FcRnのIgGのホメオスターシスへの寄与を調べるために、FcRnの軽鎖及び重鎖の部分を「ノックアウト」することによって、これらタンパク質が発現しないように、マウスを改変した(Junghans et al.,Proc Natl Acad Sci USA 93:5512,1996)。これらマウスにおいては、IgGの血清半減期及び濃度が劇的に減少したが、これはIgGのホメオスターシスのFcRn依存的な機序を示唆している。上記において述べたもの等であるげっ歯類モデルにおける試験では、FcRn機能の抑制は、病原性自己抗体のものを含めた、IgGの異化作用を増加させることが可能であり、それによって疾患(例えば、自己免疫疾患)の発症が阻害されること示唆している。FcRnはまた、抗原分解コンパートメント及びMHCロードコンパートメントへの免疫複合体の輸送を経る抗原提示にも寄与し得る。
【0347】
母体IgG抗体の胎児への胎盤移行は、新生児を守ることになる重要なFcRn依存性機序であるが、一方で、新生児の液性応答は非効率的である。胎生期の間、胎盤のシンシチウム栄養芽層内のFcRnが、母体IgG抗体の胎児への移行に関与している。病原性の母体抗体(例えば、病原性の母体IgG抗体)はまた、FcRnに結合することによって胎盤を横断して、胎児及び新生児において同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こし得る。一部の実施形態においては、妊娠した対象における病原抗体は、妊娠した対象の胎児において、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を引き起こす。本明細書に記載の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027、好ましくはN027及び/又はN024)は、FcRnへの母体病原抗体(例えば、母体病原性IgG抗体)の結合と競合して阻害し得、それによって、これら病原抗体の異化作用を増加させて、またその半減期を減少させる。
【0348】
本開示は、ヒトFcRnに結合する、単離された抗FcRn抗体を提供する。該抗FcRn抗体は、他の抗FcRn抗体(例えば、IgG、IgG自己抗体)のFcRnへの結合と競合して阻害し得、それによって他の抗FcRn抗体(例えば、IgG、IgG自己抗体)の異化作用を増加させて、またその半減期を減少させる。抗FcRn抗体は、自己免疫疾患において自己抗体により引き起こされる免疫応答等である、対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を治療する又は軽減させる方法において用いられ得る。免疫応答を減らすことは、治療を受けていない対象(例えば、コントロール対象)と比べて免疫応答が減るものとして記載され得る。抗FcRn抗体はまた、妊娠した対象の胎盤を越えた病原抗体の移行(例えば、病原性の母体IgG抗体の移行)を減少させる方法、妊娠した対象における病原抗体の異化作用を増加させる方法、妊娠した対象にヒトFcRnに結合する単離された抗体を投与することによって、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法においても用いられ得る。妊娠した対象の胎盤を越えた病原抗体の移行を減少させることは、治療を受けていない対象(例えば、コントロール対象)と比べて病原抗体の移行を減少させるものとして記載され得る。
【0349】
IV. ベクター、宿主細胞及び抗体の産生
抗FcRn抗体は、宿主細胞から産生させることが可能である。宿主細胞は、本明細書に記載のポリペプチド及びコンストラクトを、それらの対応する核酸から発現するのに必要であるような、例えばオルガネラである、必要な細胞成分を含む担体を指す。該核酸は、この技術分野で公知の従来の技術(例えば、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、直接の微量注入、感染等)によって宿主細胞内に導入されることが可能である核酸ベクター内に含まれ得る。核酸ベクターは、使用する宿主細胞に一部依存して選択される。概して、好ましい宿主細胞は、原核生物(例えば、細菌性の)又は真核生物(例えば、哺乳動物の)の由来のいずれかのものである。
【0350】
核酸ベクター構成及び宿主細胞
抗FcRn抗体のアミノ酸配列をコードする核酸配列は、この技術分野において公知の種々の方法によって調製されてよい。これら方法には、オリゴヌクレオチドが介在する(又は部位特異的な)変異導入及びPCR変異導入が含まれるが、これらに限定されない。抗FcRn抗体をコードする核酸分子は、例えば遺伝子合成である標準技術を用いて得ることができる。あるいは、野生型抗FcRn抗体をコードする核酸分子を、例えばQuikChange(商標)変異導入である、この技術分野の標準技術を用いて特異的なアミノ酸置換を含有するように変異させてもよい。核酸分子は、ヌクレオチドシンセサイザー又はPCR技術を用いて合成することが可能である。
【0351】
抗FcRn抗体をコードする核酸配列は、原核生物又は真核生物の宿主細胞において核酸分子を複製して発現することが可能であるベクター内に挿入することができる。多くのベクターがこの技術分野で利用可能であり、用いることが可能である。各ベクターは、特定の宿主細胞との互換性を調節して最適化させることができる、種々の成分を含有することができる。例えば、ベクター成分に、複製開始点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位、シグナル配列、関心のタンパク質をコードする核酸配列、及び転写終結配列が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0352】
一部の実施形態においては、哺乳動物細胞を、宿主細胞として用いる。哺乳動物細胞のタイプの例としては、ヒト胎生腎細胞(HEK)(例えば、HEK293、HEK293F)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、HeLa、COS、PC3、Vero、MC3T3、NS0、Sp2/0、VERY、BHK、MDCK、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、T47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因的に何も産生しないマウス骨髄腫株化細胞)、CRL7O3O及びHsS78Bstである細胞が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態においては、大腸菌(E.coli)細胞を、宿主細胞として用いる。大腸菌(E.coli)種の例としては、大腸菌(E.coli)294(ATCC(登録商標)31,446)、大腸菌(E.coli)λ1776(ATCC(登録商標)31,537、大腸菌(E.coli)BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025)及び大腸菌(E.coli)RV308(ATCC(登録商標)31,608)が挙げられるが、これらに限定されない。様々な宿主細胞が、タンパク質産物の翻訳後のプロセシング及び修飾に関する特性及び特異的な機序を有する。適切な株化細胞又は宿主系を選択して、発現された抗FcRn抗体の正確な修飾及びプロセシングを確実にすることができる。上記に記載した発現ベクターは、この技術分野における従来の技術、例えば形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿及び直接の微量注入を用いて、適切な宿主細胞内に導入され得る。タンパク質産生のために、該ベクターを宿主細胞内に導入したら、該宿主細胞を、プロモーターを誘発するため、形質転換体を選択するため又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅させるために適切であるように改変した従来の栄養培地中で培養する。治療用タンパク質を発現させる方法はこの技術分野で公知であるため、例えば、Paulina Balbas,Argelia Lorence(eds.)Recombinant Gene Expression:Reviews and Protocols (Methods in Molecular Biology),Humana Press;2nd ed.2004(July 20,2004)and Vladimir Voynov and Justin A.Caravella(eds.)Therapeutic Proteins:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)Humana Press;2nd ed.2012(June 28,2012)を参照されたい。
【0353】
タンパク質の産生、回収及び精製
抗FcRn抗体の産生に用いる宿主細胞は、この技術分野で公知で且つ選択された宿主細胞の培養に好適である培地中で、成長させることができる。哺乳動物の宿主細胞に好適である培地の例としては、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)(DMEM)、Expi293(商標)Expression Medium、ウシ胎児血清(FBS)を含むDMEM、及びRPMI-1640が挙げられる。細菌性の宿主細胞に好適な培地の例としては、例えばアンピシリンである選択試薬等、必要な補助剤を補ったL培地(Luria broth)(LB)が挙げられる。宿主細胞は、約20℃~約39℃等の好適な温度、例えば25℃~約37℃、好ましくは37℃で、またCO2濃度は5~10%等(好ましくは8%)で培養される。培地のpHは、概して約6.8~7.4、例えば7.0であり、主に宿主生物に依存する。発現ベクター中で誘導プロモーターを用いる場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。
【0354】
タンパク質の回収は、概して浸透圧ショック、超音波処理又は溶解等による、宿主細胞を破壊することを典型的に伴う。細胞を破壊すると、遠心分離又はろ過によって細胞片を除くことができる。タンパク質はさらに精製されてもよい。抗FcRn抗体は、タンパク質精製分野で公知である任意の方法、例えばプロテインAアフィニティー、他のクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又はタンパク質の精製に関するその他の標準技術によって、精製できる。(Process Scale Purification of Antibodies,Uwe Gottschalk(ed.)John Wiley&Sons,Inc.,2009を参照のこと)。一部の例においては、抗FcRn抗体は、ペプチド等の標識配列に結合して、精製を容易にすることが可能である。標識アミノ酸配列の例としては、ヘキサヒスチジンペプチド(Hisタグ)があり、それはマイクロモルレベルの親和性によりニッケル結合(nickel-functionalized)アガロースアフィニティーカラムに結合する。精製に有用な他のペプチドタグには、限定するものではないが、赤血球凝集素「HA」タグが含まれ、それはインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応するものである。
【0355】
あるいは、抗FcRn抗体は、対象(例えば、ヒト)の細胞によって産生させることが可能であり、例えば治療の文脈では、抗FcRn抗体をコードする核酸分子を含有するベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(poxviral vector)(例えば、改変ワクシニアアンカラ(Modified Vaccinia Ankara)(MVA)等のワクシニアウイルスベクター(vaccinia viral vector))、アデノ関連ウイルスベクター、及び、アルファウイルスベクター)を投与することによって産生させることが可能である。該ベクターは、対象の細胞内部に入ると(例えば、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、直接の微量注入、感染等によって)、その後細胞から分泌される抗FcRn抗体の発現を促進することとなる。疾患又は障害の治療が、所望の結果であれば、それ以上の動作は必要としなくてもよい。タンパク質の回収を望む場合には、対象から血液を採取して、この技術分野で公知の方法により、血液からタンパク質を精製してもよい。
【0356】
V. 医薬組成物及び製剤
この開示は、本明細書に記載する1種又は複数種の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)を含む医薬組成物を特徴とする。一部の実施形態においては、医薬組成物は、治療用タンパク質として1種又は複数種の抗体を含有する。他の実施形態においては、1種又は複数種の抗体を含有する医薬組成物を、治療の際に、他の試薬(例えば、治療用の生物製剤及び/又は小分子)又は組成物と組み合わせて用いてもよい。医薬組成物は、治療有効量の抗体に加えて、当業者に公知である方法によって調製することが可能である、1種又は複数種の薬剤的に許容できるキャリア又は賦形剤を含有してもよい。
【0357】
医薬組成物中で許容できるキャリア及び賦形剤は、採用される用量及び濃度でレシピエントにとって無毒である。許容できるキャリア及び賦形剤は、緩衝剤、抗酸化剤、防腐剤、ポリマー、アミノ酸及び炭水化物を含んでもよい。医薬組成物は、注射製剤の形態で非経口的に投与可能である。注射用(すなわち、静脈内注射)の医薬組成物は、担体として無菌液又は任意の薬剤的に許容できる液体を用いて調製可能である。薬剤的に許容できる担体には、滅菌水、生理食塩水及び細胞培養培地(例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、α-改変イーグル培地(α-MEM)、F-12培地)が含まれるが、これらに限定されない。調製方法は、この技術分野で公知であり、例えば、Banga(ed.)Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation,Processing and Delivery Systems(2nd ed.)Taylor&Francis Group,CRC Press(2006)を参照されたい。
【0358】
医薬組成物は、必要とする単位用量形態で形成することができる。医薬製剤に含まれる活性成分の量、例えば1種又は複数種の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)の量は、指定の範囲内で好適な用量が与えられるような量とする(例えば、体重1kg当たり0.01~500mgの範囲内である1回量)。
【0359】
VI. 経路、用量及び投与
治療用タンパク質として、本明細書に記載の1種又は複数種の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)を含有する医薬組成物は、静脈内投与用、非経口投与用、皮下投与用、筋肉内投与用、動脈内投与用、脊髄内投与用、又は、腹腔内投与用に、調製することができる。特に、静脈内投与が好ましい。医薬組成物はまた、経口用、経鼻用、スプレー用、エアロゾル用、経直腸用又は経腟の投与用で調製又は投与されてもよい。注射製剤に関して、種々の有効な医薬キャリアが、この技術分野で公知である。
【0360】
医薬組成物の用量は、投与経路、治療しようとする疾患、及び、例えば対象の年齢、体重、総合的な健康状態である身体特性を含む因子に左右される。典型的には、一回量に含有される、本明細書に記載の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)の量は、有意な毒性を誘発することなく、疾患を効果的に予防、遅延又は治療する量とすることができる。医薬組成物は、抗FcRn抗体を0.01~500mg/kg(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450又は500mg/kg)の範囲に及ぶ用量で含み得、より詳細な実施形態においては、約1~約100mg/kgであり、またより詳細な実施形態においては、約1~約50mg/kgである。該用量は、疾患の程度及び対象がもつ様々なパラメータ等である従来の因子に応じて医師によって適用され得る。
【0361】
医薬組成物は、投与形態と互換性のある手法で、治療効果があるような量で投与されて、症状の改善又は治療をもたらす。医薬組成物は、例えば静脈内投与剤形、皮下投与剤形、及び、経口投与剤形(例えば、摂取可能な溶液、薬剤放出カプセル)である、種々の剤形で投与される。概して、治療用タンパク質は、1~100mg/kgで、例えば1~50mg/kgで投薬される。例えば、毎日、毎週、毎月、半年毎に、毎年、1回もしくは複数回(例えば、1~10回又はそれ以上)、又は、医学上必要であるとおりに、本明細書に記載の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)を含有する医薬組成物を、投与が必要な対象に投与することができる。投薬は、単回投薬レジメン又は複数回投薬レジメンのいずれかで提供され得る。各投与間のタイミングは、医学的状態が改善されれば減らしてよく、又は、患者の健康状態が低下すれば増やしてよい。
【0362】
VII. 治療方法及び適応症
抗FcRn抗体でヒトFcRnを抑制することは、IgG自己抗体により影響を受ける疾患においては治療上有効であり得る。血清アルブミン、小さい血中代謝物又はリポ蛋白を乱すことなく、病原抗体(例えば、IgG抗体)全体の異化作用と複数種の自己抗体の除去とを誘導するFcRn抑制能により、自己抗体による自己免疫疾患の病理を伴う患者に対する自己抗体除去ストラテジーの有用性と実施容易性とを進展させる方法が提供される。この開示を理論と結びつけるものではないが、抗FcRn抗体の優位な作用機序は、循環内の病原性自己抗体の異化作用を増加させること及び罹患組織内での自己抗体と免疫とによる複合体の沈着を減少させることであり得る。
【0363】
本明細書に記載の1種又は複数種の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)を含有する医薬組成物及び方法は、異化作用と、例えば対象のIgG及びIgG自己抗体である病原抗体のクリアランスとを促進することと、例えば対象における免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を阻止することである、免疫応答を減らすことと、対象において免疫症状又は免疫疾患を治療することとに有用である。詳細には、医薬組成物及び方法は、急性又は慢性の免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させる又は治療することに有用である。急性免疫応答は、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症及び血清病からなる群から選択される医学的状態により活性化され得る。慢性免疫応答は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、全身性ループス、急性治療に適応される慢性形態の障害、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎及び抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎からなる群から選択される医学的状態により活性化され得る。
【0364】
一部の実施形態においては、医薬組成物及び方法は、胎児の貧血の危険性を減少させる又は胎児の貧血の発症の危険性を減少させるのに有用である。一部の実施形態においては、医薬組成物及び方法は、IUT(子宮内胎児輸血(intrauterine transfusion))の必要性を低減する又は未然に防ぐのに有用である。一部の実施形態においては、医薬組成物及び方法は、出生前のPPとIVIg、出生後の輸血、IVIg及び/又は光線療法の必要性を低減する又は未然に防ぐのに有用である。一部の実施形態においては、医薬組成物及び方法は、自己免疫疾患によって活性化された免疫応答を減らす又は治療することに有用である。自己免疫疾患は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択され得る。
【0365】
詳細には、医薬組成物及び方法は、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、尋常性天疱瘡/水疱性類天疱瘡、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、重症筋無力症又は視神経脊髄炎によって活性化される免疫応答を減らす又は治療することに有用である。
【0366】
医薬組成物及び方法は、妊娠した対象の胎盤を越えた病原抗体の移行(例えば、病原性の母体IgG抗体の移行)を減少させる方法、妊娠した対象における病原抗体の異化作用を増加させる方法、妊娠した対象にヒトFcRnに結合する単離された抗体を投与することによって、胎児又は新生児におけるウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療する方法において有用である。本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)によるFcRn阻害が有効となり得る疾患及び障害には、妊娠した対象から胎児及び/又は新生児への胎盤を越えた母体の病原抗体(例えば、病原性の母体IgG抗体)の移行により引き起こされる胎児及び/又は新生児における疾患及び障害が含まれ得る。
【0367】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)によるFcRn阻害が有効となり得る疾患及び障害は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害である。胎児及び新生児の同種免疫障害は、妊娠した対象における病原抗体によって引き起こされる、胎児及び/又は新生児における障害である。該妊娠した対象内の病原抗体は、胎児の抗原(例えば、胎児が胎児の父親から遺伝したものである抗原)を攻撃することがあり、胎児又は新生児が胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有する原因となる。
【0368】
本明細書に記載の方法によって治療することができる、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害の例としては、胎児及び新生児の同種免疫性血小板減少症(FNAIT)、胎児及び新生児の溶血性疾患(HDFN)、同種免疫性の汎血小板減少症、先天性心ブロック、胎児の関節拘縮症、新生児重症筋無力症、新生児自己免疫性溶血性貧血、新生児抗リン脂質抗体症候群、新生児多発筋炎、皮膚筋炎、新生児ループス、新生児強皮症が挙げられるが、これらに限定されない。ベーチェット病、新生児バセドウ病、新生児川崎病、新生児自己免疫性甲状腺疾患及び新生児I型糖尿病。
【0369】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の単離された抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)によるFcRn阻害が有効となり得る疾患及び障害は、ウイルス性疾患であって、抗体がウイルスの宿主細胞内への侵入を促進して、例えばウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強である、細胞内の感染性の増加又は亢進を導くウイルス性疾患である。一部の実施形態においては、抗体は、ウイルス表面のタンパク質に結合することができ、抗体/ウイルス複合体が、細胞表面上のFcRnに、抗体及び受容体間の相互作用を介して結合することができる。次いで、抗体/ウイルス複合体は、細胞中に内在するようになり得る。例えば、ウイルスは、母体IgG抗体との複合体を形成することにより、胎児の細胞及び/又は組織内に侵入することができる。母体IgG抗体は、ウイルス表面タンパク質に結合し得、そしてIgG/ウイルス複合体が、胎盤のシンシチウム栄養芽層内のFcRnに結合し得、その後複合体が胎児に輸送される。
【0370】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の方法を用いて、ウイルス性疾患の抗体媒介性感染増強を治療することができる。一部の実施形態においては、病原抗体(例えば、病原性IgG抗体)によって亢進されるウイルス性疾患は、アルファウイルス感染症、フラビウイルス感染症、ジカウイルス感染症、チクングニアウイルス感染症、ロスリバーウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群、鳥インフルエンザ感染症、インフルエンザウイルス感染症、ヒトRSウイルス感染症、エボラウイルス感染症、黄熱病ウイルス感染症、デングウイルス感染症、ヒト免疫不全症ウイルス感染症、RSウイルス感染症、ハンタウイルス感染症、ゲタウイルス感染症、シンドビスウイルス感染症、ブニヤムウェラウイルス感染症、西ナイルウイルス感染症、日本脳炎ウイルスB感染症、家兎痘ウイルス感染症、乳酸脱水素酵素上昇ウイルス感染症、レオウイルス感染症、狂犬病ウイルス感染症、口蹄疫ウイルス感染症、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス感染症、サル出血熱ウイルス感染症、ウマ伝染性貧血ウイルス感染症、ヤギ関節炎ウイルス感染症、アフリカブタ熱ウイルス感染症、レンチウイルス感染症、BKパポバウイルス感染症、マレー渓谷脳炎ウイルス感染症、エンテロウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、ニューモウイルス感染症、モルビリウイルス感染症及び麻疹ウイルス感染症により引き起こされるウイルス性疾患を含むが、これらに限定されない。
【0371】
抗FcRn抗体によりヒトFcRnを抑制することは、病原抗体(例えば、病原性IgG抗体)によって影響を受ける疾患においては治療上有効であり得る。血清アルブミン、小さい血中代謝物又はリポ蛋白を乱すことなく、病原抗体全体の異化作用と、複数種の病原抗体の除去とを誘導する、FcRn抑制能により、病原抗体による自己免疫疾患の病理を伴う患者に対する病原抗体除去ストラテジーの有用性と実施容易性とを進展させる方法が提供される。理論と結びつけるものではないが、抗FcRn抗体の優位な作用機序は、循環内の病原抗体の異化作用を増加させること及び罹患組織内での病原抗体と免疫とによる複合体の沈着を減少させることであり得る。
【0372】
本明細書に記載の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)を、妊娠した対象において免疫応答を活性化するような医学的状態を有する危険性をもつ又は該危険性がある妊娠した対象に投与することができる。一部の実施形態においては、該妊娠した対象は、過去に、妊娠した対象において免疫応答を活性化させた医学的状態を有していてもよい。一部の実施形態においては、妊娠した対象は、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有していた胎児又は新生児を以前に産んだことがあるという経歴がある。一部の実施形態においては、妊娠した対象から得た生体試料(例えば、血液試料又は尿試料)中で、免疫疾患に関連する病原抗体が検出された場合に、妊娠した対象に本明細書に記載の抗FcRn抗体を投与することができる。一部の実施形態においては、妊娠した対象の生体試料中で検出された病原抗体は、妊娠した対象の胎児からの抗原(例えば、胎児が胎児の父親から遺伝したものである抗原)に結合することがわかっている。
【0373】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の抗FcRn抗体(例えば、N022~N024、N026及びN027であり、好ましくはN027及び/又はN024)は、妊娠することを計画しており、且つ、妊娠した対象において免疫応答を活性化するような医学的状態を有するかもしくはその危険性がある対象、及び/又は、妊娠した対象において免疫応答を活性化させた医学的状態を過去に有したことがある対象に投与することができる。一部の実施形態においては、対象は、妊娠することを計画しており、且つ、胎児及び新生児の同種免疫障害及び/又は自己免疫障害を有していた胎児又は新生児を以前に産んだことがあるという経歴がある。一部の実施形態においては、本明細書に記載の抗FcRn抗体を、妊娠することを計画している対象であって、該対象の生体試料に免疫疾患に関連する病原抗体が含まれているものであるような対象に、投与することができる。
【0374】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の抗FcRn抗体を、対象(例えば、妊娠した対象)に投与して、該対象における急性又は慢性の免疫応答の、免疫複合体に基づく活性化を軽減させる又は治療することができる。該急性免疫応答は、医学的状態(例えば、尋常性天疱瘡、ループス腎炎、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、抗体媒介性拒絶反応、劇症型抗リン脂質抗体症候群、免疫複合体媒介性血管炎、糸球体炎、チャネル病、視神経脊髄炎、自己免疫性難聴、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、免疫性好中球減少症、拡張型心筋症、血清病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、全身性ループス、反応性関節障害、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、又は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎)により活性化され得る。
【0375】
一部の実施形態においては、本明細書に記載の抗FcRn抗体を、対象(例えば、妊娠した対象)に投与して、自己免疫疾患により活性化される免疫応答を減らす又は治療することができる。この自己免疫疾患は、例えば、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、アジソン病、溶血性貧血、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、抗因子抗体、ヘパリン起因性血小板減少症(HICT)、感作移植、自己免疫性肝炎、肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、限局型全身性強皮症(CREST症候群)、寒冷凝集素症、クローン病、皮膚筋炎、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、線維筋炎、バセドウ病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、炎症性腸疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、特発性肺線維症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、ループス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑症及びウェゲナー肉芽腫症であり得る。
【実施例】
【0376】
実施例1-抗体の産生
IgG重鎖及び軽鎖の核酸分子を、オステオネクチンの分泌シグナルを利用して、ベクターpCDNA 3.3内にクローン化した。HEK293F細胞を、8%のCO2と共に、37℃でExpi293培地中で増殖させた。細胞は、1リットル当たり1mgの全DNAと共に、密度3x106/mlでトランスフェクトした。2日目及び3日目に、製造元の指示に従ってエンハンサーを加えた。細胞の生存度が50%~60%以下に落ちる前に5日目又は6日目まで細胞を培養した。その後細胞を遠心分離にかけ、使用済み培地は無菌ろ過し、抗体の精製まで4℃で保存した。抗体は、以下の二つのカラム手順により精製した:POROSプロテインAクロマトグラフィー、その後のPOROS HS-50カチオン交換クロマトグラフィー。前者により、発現抗体から宿主細胞タンパク質の大部分が分離された一方、後者により、重鎖二量体、軽鎖二量体及び半抗体、ならびにより高分子量の種が取り出された。HS-50カチオン交換カラムからのフラクションを、完全長抗体の純度を最大化するために、SDS-PAGEゲル分析に基づいて貯留した。回収したフラクションは、pH7.2のPBS中で平衡化したセファデックス(Sephadex)G50バッファー交換カラムにかけた。ピークフラクションを貯留して、30kDaのスピンコンセントレータを用いて10mg/mlを超えるまでに濃縮させて、2mgアリコートと5mgアリコートとを-30℃で凍結させた。最終タンパク質サンプルの純度を、SDS-PAGEで確認した。
【0377】
実施例2-結合親和性
親和性成熟を経て、マイクロモル以下(sub-micromolar)の範囲のKDでのヒトFcRnとの結合親和性を有する100以上の抗FcRn抗体を同定した。さらなる特性決定をするものとして、5つの抗体(N022~N024、N026及びN027)を選択した。表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いて、これら5つの抗体のそれぞれについて、結合速度及び解離速度(それぞれ、ka及びkd)を決定した。簡潔には、Bio-Rad GLCセンサーチップをProteOn XPR 36に挿入して、エアを初期化した。初期化後、ランニングバッファーは、必要に応じて、HBSP+(0.01M HEPES、0.15M NaCl、0.05% P20、pH7.4)又はリン酸ナトリウム緩衝液(0.02M リン酸ナトリウム、0.15M NaCl、0.05% P20、pH6.0)のいずれかである新たに調製した緩衝液に切り替えたが、これはその後のアッセイにも、全ての希釈液としても使用した。上記チップは、0.5%のSDS、50mMのNaOH及び10mMのHClのそれぞれについて、30μl/minで60秒間ずつ、一回注入することでプレコンディショニングした。GEヘルスケア社(BR100839)のマウス抗ヒトFc mAbをpH 5.0の10mM酢酸緩衝液で10μg/mlまで希釈して、約5,700反応単位(response unit)(RU)を、GLCセンサーチップ上に水平向きで、標準的なアミンカップリング化学により固定した。試験対象の抗hFcRn mAbは、表面上に垂直向きで、相互作用スポット当たり約200反応単位(RU)での固定化を目指して捕捉させた。rhFcRnは、開始濃度を1.25μg/mlとして5段階の3倍希釈系列で希釈して、1レーンはダブルリファレンス用に緩衝液のみのままとした。アナライトは、解離時間を3,600秒として、240秒間、100μl/minで水平向きでセンサー表面を横断するように流した。水平向き及び垂直向きの両方で、30秒間、100μl/minで3MのMgCl2を注入することによって、再生(Regeneration)を達成した。これら手順は、全てのリガンドで繰り返した。
【0378】
データ解析はProteOn Managerソフトウェアを用いて行った。各相互作用ステップをAuto Processツールを用いてY方向及びX方向に調整して、次いでインタースポットチャネルリファレンスによって非特異的な相互作用を除外し、またブランクのレーンのダブルリファレンスによってアッセイのドリフトを除外した。このデータを、Langmuirの1:1動態モデルを用いて、グループ化したRmaxにしてフィッティングを行った。シングルランでProteOn Managerより得られたka、kd及びKDの値を平均化して、Nが3以上であった場合、それらのパーセント変動係数CVをマイクロソフト社のExcelで計算した。
【0379】
表3は、5つの抗FcRn抗体である、N022、N023、N024、N026及びN027の全てが、pH7.4でヒトFcRnと高い親和性で結合することを示している。pH7.4、298KでのヒトFcRnとの結合に関しては、抗FcRn抗体の平衡解離定数KDは、19.4pM(N027)から36.5pM(N026)の範囲であった。表3はまた、5つの抗FcRn抗体の速い結合速度及び遅い解離速度を示している。pH7.4、298Kにおいては、ヒトFcRnとの結合に関しては、結合速度が0.93~1.42×1061/Msの範囲であった。解離速度は、2.31~4.44×1061/sの範囲であった。
【0380】
【0381】
実施例3-IgGとの競合
ヒト又はカニクイザルのFcRnとの結合に関してIgGと競合する抗FcRn抗体の能力について、細胞表面のグリコホスファチジルイノシトール(GPI)結合FcRnを異所的に発現する、ヒト胎生腎(HEK)293細胞上で評価した。ヒトFcRnのアルファアミノ酸配列とカニクイザルFcRnのアルファアミノ酸配列とは、97.5%の配列同一性を示す。ヒトFcRnアルファ及びカニクイザルFcRnアルファ間で、355のうち9つのアミノ酸残基が相違するが、いずれもエピトープマッピングした結合領域内には存在しない。細胞に結合したIgGの濃度は、66nMで蛍光プローブ標識した非特異的なIgGを用いて決定した。IgGの細胞表面FcRnへの結合は、pH6.0でなされたが、これはIgGのFc部分がFcRnと相互作用することを可能にする。
図1に示すように、細胞に結合したIgGの量は、抗FcRn抗体(N022~N024、N026又はN027)の濃度が増加するにつれて、有意に減少した。IgGの結合は、5つの例示的な抗FcRn抗体のそれぞれによって、濃度依存的で飽和依存的な手法で阻害され、pH6.0で効果的にIgGと競合してIgGのFcRnへの結合を阻害する、抗FcRn抗体N022~N024、N026及びN027の能力を実証する。抗体のEC50値は、2~6nMの範囲であった。
【0382】
実施例4-マウスのIgG異化作用に対する抗FcRn抗体の効果
生体内(in vivo)でのIgG異化作用に対する抗FcRn抗体の効果を測定するために、ヒトFcRnトランスジェニックマウス系統であって、マウスFcRnは欠いているがマウス及びヒトの内因性FcRnと同様の組織分布でヒトFcRnを発現する、ホモ接合B6.Cg-Fcgrt
tm1DcrTg(FCGRT)32Dcr/DcrJマウスを用いた。0日目に500mg/kgのヒトIVIGであるトレーサーを注射したFcRn-/-hFcRn(32)Tgマウスに、1日目及び4日目に10mg/kgで抗FcRn抗体の単回用量を投与した。
図2に示すように、IgGの異化作用は、抗FcRn抗体で処置したマウスにおいて経時的に低濃度のIgGが測定されたことからわかるように、抗FcRn抗体の投与によって増加した。N024(K
D=35.5pM)、N026(K
D=36.5pM)及びN027(K
D=19.4pM)の活性が、10mg/kgで同様に見られた。
【0383】
実施例5-抗FcRn抗体の試験管内(In vitro)での特性決定
抗体の細胞結合親和性を、細胞表面のグリコホスファチジルイノシトール(GPI)に結合したヒト又はカニクイザルのFcRnを異所的に発現する、ヒト胎生腎(HEK)293細胞上で測定した。FcRnは、エンドソーム膜の管腔側又は原形質膜に輸送された場合は細胞表面方向を向いた、IgG結合ドメイン及びアルブミン結合ドメインをもつI型膜貫通タンパク質である。pH7.4でのHEK293細胞上の、細胞表面の膜結合性FcRnへの抗FcRn抗体の結合は、抗体のFcドメインではなくFabドメインのみがFcRnと相互作用するような、生理的に適切な環境及びpHでの結合を模倣している。細胞外のFcRnドメインは、GPI結合を組み込んだC末端を介して、高密度で細胞表面上で見られた。抗FcRn抗体は、蛍光プローブで標識した。抗体は、氷上で30分間結合させた。その後細胞を4℃で洗浄して、結合した抗体は、蛍光標識した二次抗体、例えば、ヤギ抗ヒトIgG F(ab)2抗体を用いて検出した。ヒトFcRnへの結合は、濃度依存的であり、抗体は、4~7nMの範囲のEC50値を呈した。
【0384】
抗体の細胞結合親和性はまた、内因的に発現したヒトFcRn上で測定した。単球が、最も高濃度のFcRnを発現し、マウス及びヒトの血液中でのFcRn発現に関して最も高い陽性率(percent positivity)を示す。単球の株細胞THP-1を用いて、pH7.4での内因性ヒトFcRnへの抗FcRn抗体の結合を評価した。内因性FcRnは、主に細胞内エンドソーム小胞中にあるため、はじめにTHP-1細胞を固定してその後穏やかな界面活性剤で透過処理して固定した上で、ウシ血清の存在中で抗FcRn抗体と共に4℃で30分間インキュベートし、非特異的なFc受容体の結合を阻止した。このアッセイにより、内因性ヒトFcRnに対してより良好に結合する抗体を区別することができた。抗FcRn抗体のTHP-1細胞への結合は、濃度依存的である。全ての抗体、例えばN022~N024、N026及びN027が、IgG1よりも良好な結合親和性を示した。抗体N027が、EC50値3.0nMと最も高い結合親和性を呈した。
【0385】
抗体の水素重水素交換によるエピトープマッピングでは、抗体が、ヒトFcRn上の二つのアミノ酸配列の少なくとも一部を含む、あるエピトープと結合するということが示された。一つのアミノ酸配列は、Fc-FcRn相互作用界面に位置する及び/又は隣接する、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸を含むものであり、このことは抗体が、向きによる阻害(direction inhibition)によってIgGのFcRnへの結合を阻止するということを示唆している。第一のアミノ酸配列は、FcRnのW131(SEQ ID NO:30)を含む。第二のアミノ酸配列は、
の配列のうちの少なくとも一つのアミノ酸を含む。第二のアミノ酸配列は、FcRnのY88(SEQ ID NO:30)を含む。抗FcRn抗体のエピトープは、a)FcRnのW131を含むアミノ酸配列及びb)FcRnのY88を含むアミノ酸配列のうちの一方又は両方を含む。一部の実施形態においては、エピトープは、少なくとも、a)FcRnのW131を含むアミノ酸配列及びb)FcRnのY88を含むアミノ酸配列を含む。一部の実施形態においては、エピトープは、a)FcRnのW131を含むアミノ酸配列又はb)FcRnのY88を含むアミノ酸配列のいずれかを含む。エピトープマッピングした結合部位は、FcRnのアルブミン結合部位とは離れている。そのため、血清アルブミン結合は阻害されないはずであり、血清アルブミン濃度は減少しないはずである。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、抗体は、血清アルブミンのFcRnへの結合を阻害しないということを確認した。可溶性Hisタグを付加したヒトFcRnの細胞外ドメインをプレート表面に結合させて、pH6.0で、抗FcRn抗体の濃度を増加させながらプレインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヒト血清アルブミンを、可溶性Hisタグ付加したFcRnに結合させた。どの抗体も、FcRnへのアルブミンの結合を阻害しなかった。また、生体内(in vivo)実験の証拠により、抗FcRn抗体の投与後、カニクイザルのアルブミン濃度が一定のままであるということも示され、アルブミンのリサイクリングがFcRnに結合している抗体により妨げられなかったことを表した(
図4C)。
【0386】
実施例6-マウスのIgG濃度及び標的占有率に対する抗FcRn抗体の効果
500mg/kgのヒトIVIg(トレーサー)をホモ接合B6.Cg-Fcgrt
tm1DcrTg(FCGRT)32Dcr/DcrJマウスに投与した24時間後に、N027を静脈内(i.v.)投与した。循環ヒトIgGを、毎日ELISAで検出した。細胞表面の標識を免疫表現型検査しながら、細胞をインキュベーションし、その後固定及び透過処理した後で、蛍光活性化細胞分取(fluorescence-activated cell sorting)(FACS)によるRBC溶解全血からの単球中で、標的占有率を毎日測定した。占有されていないFcRnは、Dy650標識したN027で染色することによって測定した(一群当たりn=4の雄)。
図3に示すように、IgG濃度及び占有されていないFcRnの割合は、用量依存的な手法でN027を投与することで減少した。
【0387】
実施例7-カニクイザルにおけるIgG異化作用の選択的誘導及び標的占有率
IgG異化作用の誘導及び標的受容体占有率に対するN027の効果を調べるために、0日目に、カニクイザルにN027を静脈内(i.v.)投与した。循環内因性IgG及びアルブミンを、ELISAで検出した。免疫表現型検査の細胞表面マーカーをもつ細胞をインキュベーションし、次いで固定及び透過処理した後で、FACSによるRBC溶解全血からの単球中で、標的占有率を測定した。占有されていないFcRnは、Dy650標識したN027で染色することによって測定した。(一群当たりn=3の雄)。
図4A~4Cに示すように、IgG濃度及び占有されていないFcRnの割合は、用量依存的な手法でN027を投与することによって減少した一方で、血漿アルブミン濃度は変化がないままであった。
【0388】
実施例8-マウスにおけるN027の生体内分布
標的介在性でない分布でのN027及びヒトIgGの生体内分布を比較するため、フルオロフォア(VivoTag 680)で標識した、N027又はヒトIgG1のアイソタイプコントロール抗体を、30mg/kgで、ホモ接合B6.Cg-Fcgrt
tm1DcrTg(FCGRT)32Dcr/DcrJマウスに静脈内(i.v.)投与した。標識した抗体の濃度は、定量的なex vivo蛍光イメージングにより個々の器官で測定した。
図5に示すように、マウスの種々の器官におけるN027の生体内分布は、アイソタイプコントロール抗体のものと類似している。
【0389】
実施例9-マウスコラーゲン抗体誘導性関節炎におけるN027の効能
ホモ接合B6.Cg-Fcgrt
tm1DcrTg(FCGRT)32Dcr/DcrJマウスに、1日目にArthritoMab(商標)カクテル(MDバイオサイエンス社)を腹腔内(i.p.)注射してコラーゲン抗体誘導性関節炎を誘導し、また4日目に、100μgのLPSを腹腔内(i.p.)投与して炎症性疾患活性を誘導した。疾患誘導及びランダム化後、6日目に、N027を5mg/kgで治療的に静脈内(i.v.)投与した(矢印)。ランダム化後に、6日目に、1g/kgでIVIG(ポジティブコントロール群)を、又は、担体PBS(ネガティブコントロール)を投与した(一群当たりn=5)。
図6に示すように、N027は、治療的に投与した場合に、ヒトトランスジェニックFcRnマウスのコラーゲン抗体誘導性関節炎を強く阻害した。
【0390】
実施例10-マウス慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)におけるN027の効能
ホモ接合B6.Cg-Fcgrt
tm1DcrTg(FCGRT)32Dcr/DcrJマウスにおいて、ミニ浸透圧ポンプを介した(via)抗血小板抗体(抗CD41抗体、MWReg30)の持続皮下点滴によって血小板減少症を誘導した。ポンプ植え込み72時間後(3日目)までに、循環血小板濃度が300x10
9/L以下に減少した。ポンプ植え込み後72時間(3日目)及び120時間(5日目)に、N027を治療的に静脈内(i.v.)投与した(Aは一群当たりn=4、Bは一群当たりn=7)。
図7は、N027が、治療的に投与された場合に、血小板減少症を有するマウスにおける血小板濃度を有効に回復させることが可能であることを示している。
【0391】
実施例11-標的の細胞タイプにおいてN027により達成された、濃度依存的なFcRn占有率
N027による受容体占有率を、初代ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)細胞及び胎盤トロホブラスト(HVT)等である様々な細胞タイプについて比較した。細胞を、完全EBM-2培地(ロンザ社、ウォータービル)中、又は栄養芽細胞用培地(ScienCell社)中で、コンフルエントまで増殖させた。細胞単層を、様々な濃度の標識していないN027を含む培地1ml中で、37℃で1時間、インキュベートした。細胞は洗浄後、冷却したHyQTaseで回収し、固定及び透過処理した上で、VivoTag645標識したN027(10μg/ml)と共に、暗所で4℃で30分間インキュベートした。インキュベーションに次いで、細胞を、透過処理用緩衝液で洗浄した上で、FACS緩衝液中に再懸濁させた。細胞に結合したVivoTag645-N027を、フローサイトメトリーで測定した。その値は、幾何学的平均蛍光強度(gMFI)±SD(n=2)で表される。
図8A、8B及び8Cに、それぞれHAEC、HUVEC及びHVTに関する、複数のN027濃度でのFcRn占有率を示している。表4に要約した結果が、ヒトEC(HAEC、HUVEC)のみならず胎盤HVTがN027によって同様の濃度依存的な受容体占有率を呈するということ示している。
【0392】
【0393】
実施例12-100%の受容体占有率を達成するN027濃度がもたらす、細胞内IgG蓄積量の増加
N027による、受容体占有率のレベルとIgG細胞内輸送における変化との間の関係を、様々な細胞タイプについて比較した。ヒト内皮細胞(HAEC及びHUVEC)を内皮細胞培養液(EBM-2、ロンザ社)中で培養した一方で、ヒト胎盤トロホブラスト(HVT)を栄養芽細胞用培地(ScienCell社)中で培養した。その後細胞単層を、以下のいずれかを含有する1mL培地中で37℃で4~5時間パルスした:
1.様々な濃度のN027+VivoTag645-IgG(50μg/mL)、又は、
2.様々な濃度のアイソタイプコントロールIgG+VivoTag645-IgG(50μg/mL)。
【0394】
その後細胞単層を、冷却培地中で洗浄し、次いでHyQtase処理により細胞を分離した。細胞に結合したVivoTag645-N027を、フローサイトメトリーで測定した。値は、幾何学的平均蛍光強度(gMFI)±SD(n=2)で表される。
図9A、9B及び9Cに、それぞれHAEC、HUVEC及びHVTに関して、種々の用量のN027に対応する細胞内IgG濃度を示している。>100%のFcRn占有率に対応するN027用量は、アイソタイプコントロールと比較して、有意に高度なIgG蓄積をもたらした。この結果は、飽和濃度のIgG蓄積を達成するのに必要な有効なN027濃度は、これら標的細胞のタイプのうちで類似しており、表5に要約するように4.99~2.43μg/mLの範囲に及ぶということを実証している。
【0395】
【0396】
実施例13-100%FcRn占有率までにかかる時間の測定
N027がFcRnを飽和させてIgG輸送を阻止するまでにかかる時間を決定するために、37℃で、記載の時間の間(
図10)、EBM-2培地中において飽和濃度のN027(16.6μg/ml)を含む状態又は含まない状態で血管内皮細胞(HUVEC)の単層をコンフルエントにインキュベートした。インキュベーションが完了したら、細胞を洗浄し、冷却したHyQtaseで回収し、次いで固定及び透過処理を行った。その後これら細胞を、10%ヒト血清とVivoTag645標識したN027(10μg/mL)を加えた透過処理用緩衝液中で、暗所で4℃で30分間、インキュベートした。その後細胞を透過処理用緩衝液で洗浄して、FACS緩衝液中に再懸濁させて、細胞に結合したVivoTag645-N027をFACSで測定した。値は、平均gMFI±SD(n=2)で表される。
図10に示す結果は、この内皮細胞タイプにおいては、N027による100%FcRn占有率は約30分で達成されたことを示している。
【0397】
実施例14-N027により変化しない同様のFcRn代謝速度を示す、ヒト血管内皮細胞及び胎盤トロホブラスト
ヒト血管内皮細胞(HUVEC)及び胎盤トロホブラスト(HVT)のFcRn代謝速度を、N027存在下及び不在下で比較した。細胞は、75cm
2のフラスコで、25%のD
2O(重水、アルドリッチ社)を含有する培地中で、3日間培養した。3日後、培地を、N027(100μg/mL)又はコントロールIgG(100μg/ml)又はモック処置を含有する正常培地で置き換えた。その後細胞を、培地変更後の記載した時間(
図11A及び11B)にフラスコから回収した。細胞の単層を洗浄し、細胞を回収して、ペレット化し、個々のペレットを別個に溶解及び消化させた。ショットガンプロテオミクスと標的プロテオミクスとを行った。Qual Browserを用いて、同位体相対強度を抽出して、フラクションの存在比を、各強度を合計で割ることによってアイソトポマーごとに計算した。フラクションの存在比の値を用いて、系内に残るD
2O標識されたFcRnの割合を計算した。
図11A及び11Bには、ヒト血管内皮細胞(HUVEC)及び胎盤トロホブラスト(HVT)間でFcRn代謝速度が類似していたということが示されている。また、N027による処置は、FcRn代謝速度を変化させなかった。
【0398】
実施例15-標的細胞におけるFcRnの局在化
N027の局在化を、ヒト血管内皮細胞(HUVEC)及び胎盤トロホブラスト(HVT)中で比較した。細胞は、ガラス製カバーガラス上でEBM-2/TM培地中で増殖させた。生細胞を、DyLight594-N027(2μg/mL)含有培地中で、37℃で1時間、インキュベートした。その後細胞を洗浄して、適切なフィルターを用いて60×乾燥対物レンズにより共焦点モードにした蛍光顕微鏡でライブで撮影した。代表的な単一細胞の画像は、両細胞タイプで、FcRnのエンドサイトーシスプール(endocytic pool)に結合したN027の同様の局在化パターンを示している(
図12A及び12B)。細胞の中心にある円は、核の場所を示している。
【0399】
実施例16-IgG輸送の動態に対するN027処置の効果:細胞内IgGの蓄積及びリソソームでの共局在化
細胞内IgGの蓄積の動態に対するN027処置の効果を、ヒト血管内皮細胞(HUVEC)及び胎盤トロホブラスト(HVT)等のFcRnを発現する標的細胞タイプ間で比較した。細胞を、EBM-2培地(ロンザ社、ウォータービル)中、又はTM1培地(ScienCell社)中で、コンフルエントまで増殖させた。その後コンフルエントな細胞の単層を、N027(2μg/ml)+VivoTag645-IgG(50μg/mL)又はアイソタイプコントロールIgG(2μg/mL)+VivoTag645-IgG(50μg/ml)のいずれかを含有する1mlの培地中で、37℃で20時間、パルスした。その後細胞単層を洗浄し、その後N027(2μg/mL)か又はアイソタイプコントロール(2μg/ml)のいずれかを含有する追跡培地中で、37℃で0分間、30分間及び90分間、追跡した。各追跡時間後、細胞を洗浄し、分離させて、HyQtase処理により回収した。細胞に結合したVivoTag645-N027を、フローサイトメトリーで測定した。値は、幾何学的平均蛍光強度(gMFI)±SD(n=2)で表される。N027で処置した細胞は、高濃度の細胞内IgGを示した。また、細胞内IgGの蓄積の動態に対するN027の効果は、
図13A及び13Bに示すように、試験した二つの細胞タイプ間では同様であった。
【0400】
我々はまた、N027が、初代ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)内において細胞内IgG及びリソソームでのIgGの共局在化を増加させるか否かを判断した。細胞を、ガラス製カバーガラス上で増殖させて、10μg/mlのAlexa Fluor 594 Dextran(10,000MW、anionic、fixable)を含有する培地中で、37℃で2時間インキュベートした。次いで、インキュベートした細胞を洗浄し、N027(2μg/ml)+DyLight 488-IgG(50μg/ml)含有培地中か、もしくはアイソタイプコントロールIgG(2μg/ml)+DyLight 488-IgG(50μg/ml)含有培地中、又は、IgG処置を何も含まない培地中で、37℃で20時間パルスした。プレートは、冷却した培地で洗浄し、その後37℃で0分間又は30分間追跡した。以下の追跡条件を用いた:N027+DyLight 488-IgGパルスセットをN027(2μg/mL)の存在中で追跡、アイソタイプ+DyLight 488-IVIGパルスセットをアイソタイプコントロールIgG(2μg/mL)の存在中で追跡、及び、IgG処置を何も含まないセットを培地のみで追跡。細胞を洗浄し、BD Cytofix/Cytoperm溶液中で、暗所で4℃で30分間インキュベートし、perm wash緩衝液で洗浄し、次いでperm wash緩衝液+10%正常マウス血清+5μg/mlマウス抗ヒトLamp1抗体中、暗所で4℃で一晩インキュベートした。その後細胞をperm wash緩衝液及びPBSで洗浄して、その後カバーグラス上に載置した。オリンパス社蛍光顕微鏡において、60×乾燥対物レンズを用いて、2×光学倍率で、共焦点モードにして細胞イメージングを行った。
図13C及び13Dに示すように、N027処置が、アイソタイプコントロールIgGで処置した細胞と比べて、リソソームコンパートメント内のIgG蓄積量を増加させるということを示した。
【0401】
実施例17-N027 Fabをもつ複合体中のFcRn(FcRn/p51及びβ2-ミクログロブリン/p14で構成されるヘテロ二量体)の構造の決定及び解析
N027 Fab:FcRnの複合体を精製して、30mMのHEPES(pH7.5)、200mMのNaCl、3%グリセロールで構成される緩衝液中で約9mg/mlに濃縮した。この複合体を、シッティングドロップ蒸気拡散法による結晶化実験にセットアップした。0.3μlのリザーバー液を合わせた0.3μlのタンパク質溶液からなるドロップを、80μlのリザーバー溶液のリザーバーの上方で混合した。プレートを密封し、4℃で平衡化させた。
【0402】
4日間から7週間の経過の間、様々な条件で板状結晶を成長させた。最終的に複合体の構造をもたらす結晶は、10%のPEG1000、10%のPEG8000からなる母液中で成長させた。該結晶は、25%のPEG1000、10%のPEG8000、100mMのNaClの溶液中に約2分間浸漬させて凍結保護してから、クライオループ(Cryoloop)に載せて液体窒素に浸けて凍結(plunge-freezing)させた。
【0403】
X線回折データは、スタンフォード・シンクロトロン放射光施設(Stanford Synchrotron Radiation Lightsource)(SSRL)のビームラインBL9-2で、Dectris Pilatus 6M検出器を用いて、波長0.97946Åで収集した。回折画像を、HKL-2000を用いて分解能2.7Åに処理し、次いでCCP4(Collaborative Computational Project, Number 4)のソフトウェアスイートの種々のプログラムで処理した。データ収集及び処理の詳細については、表6にまとめている。
【0404】
N027 Fab:FcRn複合体の2.7Åの構造は、タンパク質構造データバンク(Protein Data Bank)(PDB) ID番号4k71からの、完全なFcRn(complete FcRn)(それぞれp51及びp14である大サブユニット及び小サブユニットのヘテロ二量体)と、PDB ID番号5v7uからのヒトFabの個々の重鎖及び軽鎖とからなる探索モデルを用いて、プログラムPhaserにより、分子置換法で解明した。約65%の溶媒容量をもつ非対称ユニット内に、一つの完全な複合体が存在している。次いで、プログラムCootにおいて手動での構築及び実空間精密化を行い、次いでプログラムRefmac5を用いてX線データに対して制限精密化(restrained refinement)とプログラムMolprobity及び種々のCoot内のツールを用いたバリデーションとを行うことによる連続した作業によって、構造が完成及び精密化される。Refmac5における最後の幾つかの構造精密化作業には、個別のTLS群として画成された各鎖によるTLS構造精密化が含まれた。構造解析及び構造精密化の詳細は、表7にまとめている。
【0405】
(表6)
*括弧内の値は最外殻(highest resolution shell)でのものである。
【0406】
【0407】
FcRnエピトープの構造解析
結晶構造により決定されたFcRnのエピトープは、主としてFcRn/p51サブユニット上のアミノ酸から構成されるが、β2-ミクログロブリン/p14サブユニットからの四つのアミノ酸もまた関与している。全体として、N027のFab及びFcRn間の相互作用は、約1020Å
2であり、軽鎖及びFcRn間で470Å
2、重鎖及びFcRn間で414Å
2、軽鎖及びβ2-ミクログロブリン間で136 Å
2と変動する。N027のFabの両鎖の三つのCDRループは全て、パラトープに含まれ、CDR H2及びCDR L1は共に、相互作用アミノ酸の約半分、それぞれ8つ、を与える。CDR H1、CDR H3及びCDR L2は、それぞれ三つのアミノ酸を与え、CDR L3は5つのアミノ酸を与える。CDR L2とCDR L3との間の、軽鎖フレームワーク内のKabatの位置66~68にある三つのアミノ酸(KSG)もまた、結合に関与している。エピトープ/パラトープ界面は、電子密度によって完全に画成されており、明確に完全にモデル化されている。FcRn上のFab結合エピトープはカノニカルFc結合部位に非常に密接に重なり、FcRn抗体による結合はFcの結合を阻止すると予想される。さらに、アルブミン結合部位は利用可能なままである。さらに、N-アセチルグルコサミンは、電子密度によって十分に規定されているFcRnのGln102上に存在している。
図14~16では、結晶構造により決定されたエピトープの概観を示しており、また配列上にマッピングされている。FCGRT上のW131及びY88の残基が、水素結合を介して抗FcRn N027抗体分子上のCDR L3(YAGSGIY)及びCDR H2(R58)に結合する最も有意な残基であるように見える。
【0408】
実施例18-N027によるカニクイザルにおける母体及び胎児の内因性IgGの抑制及び胎児循環へのN027輸送の欠如
妊娠中の雌のカニクイザルに対して、妊娠45日目(GD45)から、GD100(妊娠中期)又はGD140(妊娠後期)における帝王切開まで、毎週投薬を行った。乳児の出生(出生日[BD1])が可能となるような動物のコホートもまた、試験に含まれた。試験デザインを表8に示している。
【0409】
(表8)試験デザイン
a当初、24匹の妊娠中の雌を試験に登録した(1群当たり8匹)。1群当たり4匹の妊娠を、GD140±2での帝王切開コホートに割り当て、1群当たり残りの4匹の妊娠を、GD100±2のコホートに割り当てた。
【0410】
標準的な実証されている総IgG ELISAを用いて、母体及び新生児の血液試料のIgG濃度を測定した(表9)。簡潔には、ポリスチレンプレート(96ウェル)を市販の抗ヒトIgG抗原でコーティングした。コーティングしたプレートを洗浄して、結合していないサンプルを除去し、その後ブロッキング剤でブロックし、次いで残ったブロッキング剤を除去するために洗浄した。血清試料を希釈して、抗ヒトIgG抗体コーティングしたウェルに添加して、室温で60±5分間インキュベートした。各ウェルを洗浄した上で、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合した第二の(検出用)抗体を添加して、室温で60±5分間インキュベートした。次いで各ウェルにテトラメチルベンジジン(TMB)基質を添加し、プレート振とう機上で室温で20±5分間インキュベートしてから、酵素反応を停止するために2NのH2SO4を添加した。SpectraMax(登録商標)190マイクロプレートリーダーを用いて、各ウェルの450nmにおける吸光度を読み取った。抗ヒトIgG捕捉抗体と、総IgGを認識し且つカニクイザルIgGと交差反応を示すような、HRPに結合した抗ヒトIgG検出用抗体とによる任意の市販の又は所有の対を用いて、ELISAにおいてカニクイザル総IgGを測定することが可能である。IgG検出抗体は、例えば、インタクトIgG、ポリクローナル血清抗体、モノクローナル抗体、又は、Fab(2)断片とすることが可能である。
【0411】
【0412】
試験に割り当てた妊娠成熟雌性動物の全てに関して、表10に従って、大腿静脈(好ましい)又は橈側皮静脈/伏在静脈から静脈穿刺により血液を採取した。GD100±2又はGD140±2での帝王切開により得た全ての胎児について、表10に従って、臍帯から血液を採取した。試料(1mL)は少なくとも60分間凝固させて、遠心分離し、得られた血清を分離して、適切なラベルをつけた(例えば、IgG)ポリプロピレンチューブに移し、-80℃を維持するように設定したフリーザー中で直ちに凍結させた。
【0413】
(表10)評価のための試料採取時点
aこれらの時点では、GD100の帝王切開コホートの動物からのみ採取した。
b列記した採取日の幅はGD44~46の可能性のある投薬日を基準にした。全ての時点は、投薬日を基準にした。
【0414】
母体の内因性IgGの抑制
N027の投与は、投薬後72時間から始まる、成熟雌性動物における血清IgG濃度の用量非依存的減少をもたらし、最も大幅な血清IgG濃度の減少は、GD51~53:投薬前時点において、100mg/kgを投薬した動物及び300mg/kgを投薬した動物の両方で観察された(
図19)。第2群(100mg/kg)の血清IgG値は、用量依存的に投薬前濃度に向かう傾向があり、これは、GD65~67:投薬前時点で始まり、GD93~95及びGD135~137における次の用量投与まで続き、その後、同様の規模の減少が、投薬の72時間以内に見られた。第3群の動物(300mg/kg)は、投薬期間全体を通して、全ての投薬前時点(表10で言及)においてIgG値が最低値に留まった。担体で治療した動物では(第1群)、IgGはベースラインから変化しなかった。
【0415】
血清IgG濃度の用量依存的な増加が、GD44~46、GD93~95及びGD135~137での用量投与の2時間後に見られた。こうした増加はおそらく、総IgGアッセイによるN027検出の結果物であったものであり、N027の薬理に関連するものとは考えられなかった。GD100及びGD140におけるコントロール値と比べて、胎児血清IgG濃度における用量依存的な減少が見られ、また新生児のBD1時点で見られた(
図20)。
【0416】
母体から胎児循環へのN027移行の欠如
母体循環から胎児循環へのN027の移行を、胎児循環単球中のN027のFcRn占有率のレベルを測定することによって評価した。N027が飽和濃度で存在している状態と存在していない状態とにおいて、遊離/非結合のFcRnに対する蛍光標識N027の結合を測定するために、フローサイトメトリー(FACS)アッセイを用いて、単球、顆粒球、Bリンパ球及びTリンパ球上でN027受容体占有率を評価した。不飽和のサンプルでは、投薬前時点及び投薬後時点のそれぞれにおいて、各白血球サブセット上に存在する、遊離又は非結合のFcRn受容体の割合が示された。飽和のサンプルには、各投薬後時点において遊離/非結合のままであったあらゆるFcRn受容体を完全に飽和させるように決定された濃度で、非標識のN027を加えた。N027受容体占有率は、上記に記載したような不飽和サンプル解析の文脈では、GD100及びGD140日目の胎児、又は、BD1日目の新生児について、全血中で検出されなかった。
【0417】
実施例19-N027の経胎盤移行の評価
合併症のない満期妊娠より得たヒト胎盤を、一つの胎盤分葉におけるex-vivo二重灌流法(dual perfusion)を用いて、N027の経胎盤移行を評価した。簡潔にいえば、各胎盤について裂傷を調べ、一つの無傷の胎盤分葉の周辺部に供給する2本の絨毛血管(1本ずつの動脈と静脈)をそれぞれ、3F及び5Fの臍帯カテーテルを用いてカニューレ処置した。該胎盤分葉を切り取り、母体面を上にして灌流チャンバに載置した。基底面を貫通する2本のカテーテルによって、母体面の絨毛間腔を灌流した。胎児循環及び母体循環における灌流液の流速は、それぞれ3.0mL/min及び12mL/minとした。母体灌流を、95%のO2及び5%のCO2で構成された気体混合物で平衡化して、胎児灌流を、95%のN2及び5%のCO2の混合物で平衡化した。全ての実験は、37oCの温度で行った。
【0418】
初期コントロール期間である1時間の間、各胎盤分葉を灌流して、組織を、開放構成(open-open configuration)の灌流系によるその新規環境に安定化させた。コントロール期間の間に以下のうちのいずれかが生じた場合は、灌流を終了する:胎児循環での3mL/hを超過する循環量の減少、又は、胎児静脈及び動脈間のpO2差が60mmHg未満となるような場合(これらは二つの循環間での灌流のオーバーラップが不適当であることを表している)。その後、閉鎖構成(closed-closed configuration)の灌流系(すなわち、灌流液が再循環する)により、実験期間を4時間としたコントロール期間を続けた。後者は、母体リザーバー及び胎児リザーバーの灌流液を置き換えて、3mg/mlのBSAを添加することで初期化された。
【0419】
ヒト胎盤葉を越えたN027の移行について、以下の三つの異なる濃度で試験した:0.3mg/ml、3mg/ml及び30mg/ml。0.3mg/ml、3mg/ml及び30mg/mlで母体灌流にN027を添加しながら、14の別個の胎盤を4時間灌流させた。試料は、実験期間中に0、15、30、60、90、120、150、180、210及び240分に、母体動脈及び胎児静脈から0.5mLの一定分量で採取した。陽性コントロールとしてアンチピリンを用いて、循環の完全性を確認した(
図17~18)。母体試料及び胎児試料中のN027の濃度を、定量下限を5ng/mlとした高感度のメソスケールディスカバリー(MSD)イムノアッセイを用いて決定した。このアッセイは、抗イディオタイプ抗体ペアを用いたサンドイッチ法を伴うものであり、MSDプレートを抗イディオタイプ抗体でコーティングして次いで試料と共にインキュベーションし、該MSDプレートは、次いでMSD標識ストレプトアビジンとリード緩衝液(read buffer)の添加とにより検出される、ビオチン化した第二の抗イディオタイプ抗体により明らかにされた。アンチピリンの濃度を、液液抽出後に、260nmでのUV検出を伴うHPLCアッセイを用いて検出した。14の実験の、胎児に移行するアンチピリンの平均の割合は41±2.8%であった。14の実験の、胎児に移行するN027の平均の割合は、0.0027±0.0021%であり、移行が非常に低い濃度であることを示した。この結果は、胎児曝露を引き起こすことのない、妊娠中の患者を治療する方法に、N027を用いることができるということを示唆するものである。
【0420】
他の実施形態
この開示について、その特定の実施形態を説明したが、さらなる変形が可能であることと、この出願は、概してこの開示の原則に従い、かつ、この開示が関係する技術分野の範囲内で公知又は通例である範囲にあり、先に述べた本質的な特徴に応用することができるような、本開示からの逸脱を含んだ、この開示の任意のバリエーション、使用又は適応を網羅することを意図するものであることとが理解されるであろう。
【0421】
全ての公開公報、特許及び特許出願は、あたかも個々の公開公報、特許又は特許出願それぞれが特別にかつ個別に示されてその全体が参照によって組み入れられるかのように、同じ程度までその全体を参照によって本明細書に組み入れるものとする。
【0422】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内とする。
【配列表】