(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220627BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20220627BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20220627BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/01 D
G02F1/13363
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2019517050
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2017074903
(87)【国際公開番号】W WO2018060497
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-25
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507230267
【氏名又は名称】シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】ライスター, ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】レイチェルト, ステファン
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-530951(JP,A)
【文献】特開2003-279899(JP,A)
【文献】特開平11-282434(JP,A)
【文献】特表2012-530949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/13357
G02F 1/13363
G02B 5/30
G02F 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置であって、
前記光変調器は複数のピクセルを含み、2つの隣接ピクセルがそれぞれマクロピクセルを形成するように駆動され、
ビーム分離器は、入射光ビームが第1サブビームと第2サブビームとに分離され、前記第1サブビームは前記マクロピクセル
の第1ピクセルの方向に伝搬し、前記第2サブビームは前記マクロピクセル
の第2ピクセルの方向に伝搬するように構成および配置されたマクロピクセルに関して設けられ、
第1
の構造化されたビーム作用コンポーネントは、前記ビーム分離器と前記光変調器との間に設けられ、前記第1サブビームが前記第2サブビームとは異なる方法で作用されうるように構成され、
前記第1および第2サブビームは、前記マクロピクセル
の個別のピクセルとの相互作用の後で、前記第1サブビームが前記第2サブビームとは異なる方法で作用されうるように構成された第2の構造化されたビーム作用コンポーネントを通過し、
前記第1サブビームおよび前記第2サブビームが結合されうるように構成および配置されたビーム結合器が設けられ、
ビーム選択器は、前記光変調器と前記第1または第2の構造化されたビーム作用コンポーネントとの間に配置され、前記マクロピクセルに属さない前記第1および/または第2サブビームがそれによってブロックされるように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置であって、
前記光変調器は複数のピクセルを含み、2つの隣接ピクセルがそれぞれマクロピクセルを形成するように駆動され、
ビーム分離器は、入射光ビームが第1サブビームと第2サブビームとに分離され、前記第1サブビームは前記マクロピクセル
の第1ピクセルの方向に伝搬し、前記第2サブビームは前記マクロピクセル
の第2ピクセルの方向に伝搬するように構成および配置されたマクロピクセルに関して設けられ、
構造化されたビーム作用コンポーネントは、前記ビーム分離器と前記光変調器との間に設けられ、前記第1サブビームが前記第2サブビームとは異なる方法で作用されうるように構成され、
前記サブビームが反射される反射手段が設けられ、
前記第1および/または第2サブビームは、前記第1および前記第2サブビームを再結合するために、前記光
変調器の個別のピクセルとの相互結合の後で、前記構造化されたビーム作用コンポーネントおよび前記ビーム分離器を再び通過し、
ビーム選択器は、前記光変調器と前記構造化されたビーム作用コンポーネントとの間に配置され、前記マクロピクセルに属さない第1および/または第2サブビームがそれによってブロックされるように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記ビーム分離器および前記ビーム結合器は、同じように構成された光学的に複屈折性の一軸性コンポーネントで構成され、および/または、同一の材料および/または同一の光軸を有して形成され、
前記2つの複屈折性の一軸性コンポーネントの前記光軸は、
前記2つの複屈折性の一軸性コンポーネントの界面に対する角度(θ)が前記2つのコンポーネントに対する通常サブビームと異常サブビームとの間で等しい角度を形成するように配向されうる、
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、前記ビーム分離器は光学的に複屈折性の一軸性コンポーネントの形態で構成されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の装置であって、前記ビーム分離
器は少なくとも1つの体積格子または少なくとも1つの偏光格子の形態で構成されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記ビーム結合器は少なくとも1つの体積格子または少なくとも1つの偏光格子の形態で構成されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の装置であって、前記構造化されたビーム作用コンポーネントは、領域的に、偏光回転板、λ/2プレートおよび/またはλ/4プレートの機能を有する空間構造を含み、および/または前記構造化されたビーム作用コンポーネントは、サブビームの光学特性を領域的に変更しない空間構造を含み、および/または前記構造化されたビーム作用コンポーネントの前記空間構造は、前記光変調器のピクセルの前記空間構造に適合されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項2に記載の装置であって、前記光変調器の前記ピクセルはそれ自体が反射的に構成される、または前記光変調器
の光学的な透過性ピクセルの後にミラーが配置されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記ビーム分離器、前記ビーム結合器、前記第1および/または前記第2の構造化されたビーム作用コンポーネントは、前記第1サブビーム
のビームパスと前記第2サブビーム
のビームパスとが、前記マクロピクセルの前記第1ピクセルと前記第2ピクセルとの間の中点に関して基本的に点対称に構成されるように構成および配置されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の装置であって、前記ビーム選択器はポラライザを含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の装置であって、前記第1サブビームと前記第2サブビームとが干渉するようなビーム重畳コンポーネントが設けられることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の装置であって、マクロピクセルのうちの前記ピクセルは同一符号を有する電圧で個別に駆動されることができることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の装置であって、前記ビーム分離器、随意に存在するビーム結合器、前記少なくとも1つの構造化されたビーム作用コンポーネントおよび/または前記ビーム選択器は互いに直接配置される、または例えば接着剤によって互いに固定されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の装置であって、前記入射光ビームは、前記光ビームを前記第1および第2サブビームに分離し再結合することができるように配向または調整された直線偏光または円偏光を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項
2に記載の装置であって、
前記第1サブビームと前記第2サブビームとが干渉するようなビーム重畳コンポーネントと、
前記第1サブビームおよび前記第2サブビームが結合されうるように構成および配置されたビーム結合器と、
が設けられ、
平坦形状の照射装置が前記光変調器と前記ビーム分離器との間、または前記ビーム分離器と前記ビーム重畳コンポーネントとの間に配置され、前記照射装置は、平坦形状の導光体および抽出ユニットを備え、前記光は前記導光体から抽出され、前記光変調器の方向に偏向させることができ、前記反射手段で反射された前記光は基本的に偏向されずに前記照射装置を介し、続いて前記ビーム結合器を介して伝搬することを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか1項に記載の装置であって、前記光変調器は液晶を備え、前記液晶は面外回転を実行するよう構成され、前記入射光ビームは直線偏光され、前記構造化されたビーム作用コンポーネントは、領域的にλ/2プレートの機能を有することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか1項に記載の装置であって、前記光変調器は液晶を備え、前記液晶は面内回転を実行するよう構成され、前記入射光ビームは直線偏光され、前記構造化されたビーム作用コンポーネントは、領域的にλ/4プレートの機能を有することを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置を有する、二次元および/または三次元の画像コンテンツ、および/または移動シーンを表現するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置に関する。本発明はさらに、ビーム結合のための装置および光の複素値変調のための空間光変調装置に関する。本発明は、ビーム結合のための装置、および位相変調光変調器と照射波の入射方向の変化に影響されないビーム結合器とによる光フィールドの複素値変調を可能にする偏光センシティブな構成部品の光学的配置に関する。
【0002】
導入で述べたタイプの装置は、物体および/またはシーンの三次元再構成のためのホログラフィックディスプレイにおいて特に使用されるか、またはそのために有用であり、そのようなディスプレイは例えばWO2006/066919A1または出願人による他の特許公開で説明されている。
【背景技術】
【0003】
DE102009044910A1およびWO2010/149583A1は、以下ビーム結合器と呼ばれる、複素値ピクセルを形成するための光変調器(SLM)のそれぞれ2つの位相ピクセルのビーム結合のための装置の多様な構成を記載している。2つのピクセルは互いに隣接して配置される。本明細書では、光変調器の隣接配置されたピクセルは、特に空間的に互いに直接接合したピクセルを意味することを意図しており、その場合、ピクセルは水平方向、垂直方向または異なる方向、例えば斜めに、互いに隣接配置されうる。SLMを通過した後、ピクセルペアの2つのピクセルからの光に異なる偏光が付与される。これは構造化された偏光回転板によって行われる。一つの偏光の光は他の偏光とは異なるビーム結合器の経路を通過するので、重ね合わせ(重畳)または結合はビーム結合器の出口で行われる。光ビームの結合という用語は、結合の後に、結合された光ビームが空間的重複領域において本質的に同じ伝搬方向を有するように光ビームを空間的に重ね合わせることを意味することを特に意図する。
【0004】
図1、および同様にWO2010/149583A1の
図8、は先行技術に係る構造化された開口絞りAPと、偏光依存性の光伝搬を伴う例えば方解石レイヤであるレイヤPSと、を示す。光のパスは概略的に示される。簡略化のために、幾何学的な光の伝搬は概略的に示され、回折は考慮されていない。
【0005】
入射光は、SLM PIXの第1ピクセルまでレイヤを通過する例えば直線偏光の光と、SLM PIXの第2ピクセルまで進行する、例えば第1偏波とは垂直である、第2の直線偏光の光と、に分離される。説明のために、一方の偏光は破線で概略的に示され、他方の偏光は点線で示される。例えば特定の入射偏光と同相光のみを変調するLC型の位相変調SLMの場合、構造化された偏光回転板も偏光センシティブレイヤの出口に適用されてもよい。この効果は、SLM PIXに入る前に、例えば第2ピクセルに進行する光に対して、1つの偏光の光のみがSLM自体を通過するように偏光が回転されることである。反射性のSLMの場合、光は続いて同一の経路に沿って戻り、ピクセルペアの2つのピクセルの光は開口の位置で再び重ね合わされる。
【0006】
図2は開口絞りがない場合を示す。説明のために、以前に開口絞りがあった位置に入る光は、異なる灰色の陰影で示されている。両方の偏光方向の光は各ピクセルに到達する。SLM PIXを通過した後、光は各ピクセルから2つの方向で戻る。往路において、ピクセル1およびピクセル2からの光は所望の方法で重ね合わされるが、ピクセル3からの光も不要にピクセル2からの光に重ね合わされるであろう。この形態において、この構成は、ビーム結合のための装置(ビーム結合器)としては不十分にしか使用することができない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、これらの問題を実質的に回避する、光ビームを結合するための装置を提供および改良することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明に係る装置は光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するために使用される。光変調器は複数ピクセルを含み、2つの隣接ピクセルはそれぞれマクロピクセルを形成するように駆動される。ビーム分離器がマクロピクセルに関して設けられ、マクロピクセルは入射光ビームがそれによって第1サブビームと第2サブビームとに分割されるように、そしてその結果、第1サブビームがマクロピクセルの第1ピクセルの方向に伝搬し、第2サブビームは、マクロピクセルの第2ピクセルの方向に伝搬するように構成および配置される。好ましくは、第1サブビームと第2サブビームへの光ビームの分離は、基本的に等しい強度で行われる。第1サブビームが第2サブビームとは異なる方法で影響を受けることができるように構成される第1の構造化されたビーム作用コンポーネントがビーム分離器と光変調器との間に設けられる。第1および第2サブビームは、第2サブビームとは異なる、好ましくは反対の方法で第1サブビームが影響を受けることができるように構成される第2の構造化されたビーム作用コンポーネントを介してマクロピクセルのそれぞれのピクセルとの相互作用の後に通過する。第1サブビームと第2サブビームとが結合されうるように構成および配置されたビーム結合器が設けられる。ビーム選択器は、光変調器と第1または第2の構造化されたビーム作用コンポーネントとの間に配置され、マクロピクセルに属さない第1および/または第2サブビームがそれによって遮断、例えば吸収または反射されるように構成される。この装置の光変調器は、好ましくは、入射光または2つのサブビームによって透過的に通過するか、または入射光は一度だけ光変調器を通過する。本装置は以下では透過型の動作装置と呼ぶ。
【0009】
本発明に係る装置は、光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するために使用される。光変調器は複数ピクセルを含み、2つの隣接ピクセルはそれぞれマクロピクセルを形成するように駆動される。ビーム分離器がマクロピクセルに関して設けられ、マクロピクセルは入射光ビームがそれによって第1サブビームと第2サブビームとに分割されるように、そしてその結果、第1サブビームがマクロピクセルの第1ピクセルの方向に伝搬し、第2サブビームは、マクロピクセルの第2ピクセルの方向に伝搬するように構成および配置される。好ましくは、第1サブビームと第2サブビームへの光ビームの分離は、基本的に等しい強度で行われる。第1サブビームが第2サブビームとは異なる方法で影響を受けることができるように構成される構造化されたビーム作用コンポーネントがビーム分離器と光変調器との間に設けられる。反射手段はサブビームが反射されるように設けられる。第1および/または第2サブビームは、第1サブビームと第2サブビームとを再結合するために、光変調器の個別のピクセルとの相互作用の後、構造化されたビーム作用コンポーネントおよびビーム分離器を再び通過する。ビーム選択器は、光変調器と構造化されたビーム作用コンポーネントとの間に配置され、マクロピクセルに属さない第1および/または第2サブビームがそれによって遮断されるように構成される。好ましくは、入射光または2つのサブビームは、本装置の光変調器と反射的に相互作用する。これは、一方では、例えば光が光変調器の液晶レイヤを初めて通過する際に、光変調器を二度通過する2つのサブビームによって実行され、反射手段で反射され、二度目に液晶レイヤを通過する。そのような光変調器の一例はLCoSである。一方、2つのサブビームがそれぞれ反射的に作用するピクセルと相互作用するように、光変調器自体のピクセルが反射手段を含んでもよい。そのような光変調器の一例はMEMSである。本装置は以下では反射型の動作装置と呼ぶ。
【0010】
本発明によれば、特に構造化された開口における回折効果の乱れは、特にそのような構造化された開口を装置内で使用する必要がなく、それにもかかわらず分離されたサブビームが、隣接するマクロピクセルによる不要なやり方で意図せずに作用されないという点で回避できることが初めて判明した。この理由は、したがって、構造化されたビーム作用コンポーネントと関連するビーム選択器の特定の構成および配置のために、すなわち、マクロピクセルに属さない第1および/または第2サブビームがブロックされるように、必要とされない構造化アパーチャと同等に作用する。しかしながら、動作モードは、構造化された開口とは異なり、その光学的に非透過性の位置において、先行技術に係るビーム結合のためにどのような光ビームも装置に入射させない。しかしながら、本発明に係る装置は、全ての入射光ビームが光ビームを結合するための本発明に係る装置に入射することを可能にし、装置の本質的に内側において、構造化されたビーム作用コンポーネントに関連してビーム選択器の結合によって、マクロピクセルに属さない第1および/または第2サブビームをブロックする。構造化された開口を装置内で使用する必要がないので、光変調器のピクセルの位置に対する構造化された開口の向きを有利に不要にする。
【0011】
本発明の好ましい実施形態および改良は、最初に以下にある程度一般化された方法で提示され、本発明の好ましい実施形態および改良は、ある程度より詳細に、そして具体的な例と共に特に図面の説明と共に説明される。
【0012】
透過型の動作装置の場合には、ビーム分離器とビーム結合器とは、光学的に複屈折性の一軸性コンポーネントと同じように構成することができる。この点で、ビーム分離器およびビーム結合器は、同じ材料から作られてもよく、および/または同じ光軸を有してもよい。特に、ビーム分離器の光軸の配向は、ビーム結合器の光軸の配向と同様に配向される。2つの複屈折性の一軸性コンポーネントの光軸は、界面に対する角度(θ)が2つの成分に対する通常サブビームと異常サブビームとの間で等しい角度を形成するように配向することができる。特に偏光された光ビームまたはサブビームが互いに組み合わされる場合には、光学的複屈折一軸性コンポーネントの使用が採用される。特に、入射光ビームが線形または円偏光され、ビーム分離器は、例えば入射光ビームが、基本的に同一の強度を有する第1サブビームと第2サブビームに分離され、第1サブビームはマクロピクセルの第1ピクセルの方向に伝搬し、第2サブビームはマクロピクセルの第2ピクセルの方向に伝搬するように、構成または構成されるように提供されるように、入射光ビームの偏光方向は所定の方向に配向される。
【0013】
反射型の動作装置の場合、2つのサブビームが2回通過するビーム分離器は、光学的に複屈折性の一軸性コンポーネントの形態で構成されることができる。この点で、ビーム分離器は、一方では入射光ビームを第1サブビームと第2サブビームに分離し、他方ではビーム分離器は第1サブビームと第2サブビームを互いに再結合するので、2つの機能を有する。
【0014】
ビーム分離器および/またはビーム結合器がそれぞれ複屈折性コンポーネントの形ではなく、少なくとも1つの体積格子または少なくとも1つの偏光格子の形で構成されることも考えられる。しかしながら、本発明による装置を異なる波長の光で動作させることを意図している場合には、使用される体積または偏光回折格子の分散特性は補正されるべきである。この場合、少なくとも1つの対応する格子は使用される各波長の光に対して提供されうる。この点で、本発明による装置におけるビーム分離器および/またはビーム結合器の機能のための光学的複屈折性コンポーネントの使用は、特に異なる波長を有する光が使用されるときに好ましい。
【0015】
特に好ましくは、構造化されたビーム作用コンポーネントは、λ/2プレートおよび/またはλ/4プレートを有する偏光回転板(リターダ)の機能を領域的に実現する空間構造を含む。代替的または付加的に、構造化されたビーム作用プレートは、サブビームの光学特性を領域的に変更しない、空間構造を含みうる。
【0016】
構造化されたビーム作用コンポーネントの空間的構造化は、基本的に合同領域をもたらす投射のように、例えば光変調器のピクセル構造上への構造化されたビーム作用コンポーネントの構造の仮想垂直な投射の意味で、光変調器のピクセルの空間構造に好ましくは適合される。この点で、これらの考察は、光ビームを結合するための本発明に係る装置の構成部品の光学特性に関係し、例えば、電子回路の一部も光と相互作用するにも関わらず、光変調器を駆動するための電子回路には関係しないことが言及されるべきである。
【0017】
反射型の動作装置の場合には、例えばMEMの場合のように、光変調器のピクセル自体が反射型に構成され得る。代替的に、ミラーは光変調器の光学的に透過型のピクセルの後に配置されうる。
【0018】
特に好ましくは、ビーム分離器、ビーム結合器、第1および/または第2の構造化されたビーム作用コンポーネントは、第1サブビームのビームパスと第2サブビームのビームパスとが、マクロピクセルの第1ピクセルと第2ピクセルとの間の中点に関して基本的に点対称に構成されるように構成および配置される。より正確には、マクロピクセルの第1ピクセルと第2ピクセルとの間の中点に対する点対称性は、第1サブビームのビーム経路と第1サブビームに関連する第2サブビームのビーム経路とが横たわる平面内に存在する。全体のマクロピクセルに関して、2つの隣接ピクセルの中心線分に関して対称性がある。特に透過型の動作装置の場合、ビーム分離器および/または構造化されたビーム作用コンポーネントは、前記第1サブビームの前記ビームパスと第2サブビームの前記ビームパスとが、ビーム分離ポイントおよび/またはビーム結合ポイントに関して基本的に点対称に構成されるように構成および配置されうる。光ビームを結合するための本発明による装置のこれらの改良において、入射光ビームは、基準状態を特徴付ける所定の入射方向とは異なる入射方向を特に有利に有し、それにもかかわらずサブビームの意図した分離および結合を達成する。言い換えると、光ビームを結合するための本発明に係る装置のそのような改良は入射方向の変化に対して鈍感である。これに関するさらなるコメントは、本書類の別の箇所で後述される。
【0019】
特に好ましくは、ビーム選択器はポラライザを含むまたはポラライザで構成される。ポラライザは好ましくは空間的に構造化されていないエレメントである。この場合、ポラライザは、マクロピクセルに属していない第1および/または第2サブビームがブロックされるように構成または配置される。
【0020】
特に好ましくは、第1サブビームと第2サブビームが干渉するようなビーム重畳コンポーネントが設けられる。ビーム重畳コンポーネントは同様にポラライザであってもよく、具体的には、マクロピクセルの効率的な位相変調のために、重ね合わされる2つのサブビームの最大振幅が結合後に基本的に同一の振幅値を有するように構成または配置されうる。
【0021】
光変調器が液晶を含む場合、その配向方向は電気的駆動によって変更されることができ、電気的駆動におけるバージョンの周期的電圧は原則として電気分解を避けるために行われる。電圧反転は、具体的には、フレーム反転、ライン反転、またはピクセル反転によって従来通りに実施することができる。フレーム反転の場合、最初に、全てのピクセルが同じ符号の電圧で駆動され、次に符号が全てのピクセルについて反転される。ライン反転の場合、光変調器のピクセルの隣接する行または列は、例えば最初に偶数行は正の符号で、奇数行は負の符号で、従来異なる符号の電圧で駆動される。その後、符号はすべてのピクセルに対して反転する。ピクセル反転の場合、正電圧および負電圧の市松模様の配置が従来使用されている。
【0022】
特に好ましくは、マクロピクセルのピクセルは同一符号の電圧でそれぞれ駆動される。ライン反転の場合、これは、マクロピクセルの2つの隣接ピクセルがそれぞれ反転されるように同じ行または列に配置されることで実行され得る。代替案として、ライン反転は二重ライン反転に置き換えられてもよく、そこでは2つの隣接する列または行がそれぞれ同じ符号の電圧で駆動され、次の2つの列または行が反対の符号で駆動される。次いで、マクロピクセルのそれぞれの第1ピクセルを第1行または列に配置し、マクロピクセルの第2ピクセルをそれぞれの第2行または第2列に配置することができる。ピクセル反転も想定され、これはマクロピクセルの2つのピクセルが同様に反転されるような電気的反転に関する。フレーム反転の場合には、光変調器の全てのマクロピクセルに対するピクセルの駆動は、それぞれ常に同じ符号の電圧で供給される。
【0023】
ここで、ビーム分離器、任意に存在するビーム結合器、少なくとも1つの構造化されたビーム作用コンポーネント、および/またはビーム選択器は、互いに実質的に平行に配置され、ある位置または別の位置に中間スペースを有することができる。しかしながら、特に好ましくは、ビーム分離器、随意に存在するビーム結合器、少なくとも1つの構造化されたビーム作用コンポーネントおよび/またはビーム選択器は互いに直接配置される、または互いに固定される(サンドイッチ配置)。このようにして、光学特性を実質的に変更することなく、例えば温度変動に関して最適化された、コンパクトで安定したサンドイッチ配置の構造を達成することができる。個々の構成部品は、例えば接着剤によって互いに固定されることができ、その場合、特に本発明による装置の構成部品の既に述べた対称化を考慮して、異なる層を互いに接着結合するために同じ接着剤が好ましくは使用される。
【0024】
具体的には、入射光ビームは、光ビームを第1および第2サブビームに分離し再結合することができるように配向または調整された直線偏光または円偏光を有しうる。
【0025】
反射型の動作装置の場合、平坦形状の照射装置(国際公開第2010/149583号に相当)を、光変調器とビーム分離器との間、またはビーム分離器とビーム重畳コンポーネントとの間に配置することができる。そのような平坦形状の照射装置は、国際公開第2010/149583号と同等に構成することができる。照射装置は、平坦形状の導光体と、導光体から光が抽出され、光変調器の方向に偏向され得る抽出ユニットとを備えることができる。反射手段で反射された光は、例えば対応する光ビームの偏光方向が好適に調整されていれば、基本的に偏向されずに照射装置を通ってビーム結合器を通って伝搬することができる。
【0026】
例えばECB(電気制御複屈折)モードの液晶の場合のように、光変調器が液晶を含み、液晶が面外(アウトオブプレーン)回転を実行するように構成されている場合、入射光ビームは、この場合、構造化されたビーム作用コンポーネントは、λ/2プレートの機能を局所的に有しうる場合に直線偏光されてもよい。
【0027】
光変調器は液晶を備えることができ、液晶がインプレーン(面内)回転を実行するように構成される。そのような構成は、特に、HAN-LCモード(ハイブリッド配向ネマチック液晶モード)またはCIPR(連続面内回転)モードまたはスメクティックLCモードで提供され、その場合、電場中のLC分子の面内回転は、面外回転より支配的である。さらに、光変調器はまた、コレステリック相を含み、光軸が電場内で面内回転を有する液晶を含むことができる(一様に横たわっているらせん-ULH-モード)。言及した場合において、入射光ビームは直線偏光され、構造化されたビーム作用コンポーネントはλ/4プレートの機能を領域的に有する。次に、構造化されたビーム作用コンポーネントは、円偏光が光変調器自体に入るように偏光を変更する。構造化されたビーム作用コンポーネントにより、例えば、右円偏光を局所的に発生させることができ、左円偏光を局所的に発生させることができる。
【0028】
言い換えれば、本発明による目的は、構造化された偏光回転板を含むビーム結合装置によってさらに達成される。構造化された偏光回転板は、SLM側に、すなわち構造化された偏光回転板からSLMに向かって見たときに少なくとも1つの追加のポラライザを有する。
【0029】
本発明の開示を有利に構成し改良するための様々な可能性がある。これに関して、一方では、独立請求項を参照する従属請求項を参照し、他方で、図面を用いて本発明の好ましい例示的実施形態の以下の説明を参照する。図面を用いた本発明の好ましい例示的な実施形態の説明に関連して、教示の好ましい構成および改良もまた概して説明される。図面は、それぞれ概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3a】反射型配置で光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための本発明の装置に係る第1の例示的な実施形態を示す図。
【
図3b】反射型配置で光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための本発明の装置に係る第1の例示的な実施形態を示す図。
【
図4】透過型配置で光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための本発明の装置に係る第2の例示的な実施形態を示す図。
【
図5】上図:2つの位相値間の位相差の関数として生じる位相を示す図と、下図:位相差の関数としての振幅と強度を示す図。
【
図6】上図:位相差の関数としてMichelsonコントラストを示す図と、下図:位相差の関数として振幅差を示す図。
【
図7】先行技術に係る光ビームを結合するための装置を示し、隣接ピクセルの結合されるべき光ビームは、
図7aの左側で光変調器に基本的に垂直に当たり、
図7bの右側で表面に対する垂線とは異なる角度で光変調器に当たる。
【
図8】本発明に係る光ビームを結合するための装置を示し、隣接ピクセルの結合されるべき光ビームは、
図8aの上部で光変調器に基本的に垂直に当たり、
図8bの下部で表面に対する垂線とは異なる角度で光変調器に当たる。
【
図9】光ビームを結合するための本発明による
図8と同等の装置を示し、
図9に示される光変調器は面内LC変調に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ポラライザの使用は、偏光された光を必要とするSLM、例えば液晶ベースのSLMを使用する場合に特に有益である。しかしながら、それには限定されず、他の種類のSLMと共に有利に使用されてもよい。
【0032】
ポラライザの使用は、小さなピクセルを有する反射性のSLM、例えばLCoS(シリコン上の液晶)の場合に特に有益であるが、これには限定されない。
【0033】
ポラライザの動作モードおよび開口絞りとの等価物を以下に説明する。
【0034】
図3は本発明に係る、反射性のSLM PIXのためのポラライザを有するビーム結合のための配置または装置を示す。
【0035】
図3aは光の往路を示し、偏光選択性の光の伝搬を有するレイヤPSの効果は、両方の偏光方向の光が最初に2つのピクセルに到達することである。その後、光は構造化された偏光回転板WPを通過する。往路では、2つの偏光方向のうち片方がポラライザPolによってフィルタされる。
【0036】
幾何学的な光の伝搬の場合、このフィルタリングは、その効果において、
図1に示すような先行技術に係る構造化された開口絞りの効果と同等であろう。これは、開口内の位置から来る光だけがポラライザによって透過されるためである。しかしながら、開口における摂動回折が考慮される現実的な場合には、ポラライザを有する配置が好ましい。これは特に小さいピクセルに適用される。
【0037】
図3bは、反射型のSLMを通過した後の光の復路を示す。重ね合わせは、所望のピクセルの対、ピクセル1とピクセル2との間でのみ行われ、ピクセル2とピクセル3との間では行われない。反射型のSLMの場合、ポラライザそれ自体が任意選択的に反射性に構成され、SLMの後側に配置されてもよい。
【0038】
図4は、開口絞りを備えず、代わりに2つの偏波選択性レイヤPSの間に配置されたポラライザPolを有するSLM PIXの入射側に設けられた、傾斜に耐性のある透過型のSLMの例示的な実施形態を示す。2つの偏光回転エレメントWPがさらに設けられる。
【0039】
例えばSLMが装置に挿入される追加の偏光回転板によって円形光の位相を変調するような、他の構成もまた可能である。従って本発明は
図3および
図4に示す構成に限定されない。
【0040】
別の態様は、光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置と併せて以下に説明され、一方で上述のコンセプトと併せて実施されてもよいが、しかしながら他方では、それらは別個に実施されてもよい。この態様はさらに、光ビームを結合するための装置への光の入射角の変化に対する感度に関する。
【0041】
しかしながら、2つの位相ピクセルの重ね合わせのために光に影響するための構成部品の非対称な配置は、2ビームの干渉に基づいて、光変調器のサンドイッチを経由する光路の小さな変化にも非常に敏感な、2つの隣接するピクセル間の重ね合わせを引き起こす。これに関して、結果として生じる強度
が初めに考慮され、2つの波のコヒーレントな重ね合わせU
R=U
1+U
2の場合には以下のように与えられる。
ここでA
1およびA
2はサブ波の振幅であり、Δφは2つのサブ波(サブビーム)の相対位相差である。2つの振幅が同一値A
1=A
2=0.5である場合、
図5によれば結果として生じる強度は相対位相差Δφの余弦成分に依存し、Δφ=0に対する建設的干渉(すなわち最大強度)およびΔφ=πに対する破壊的干渉(すなわち最小強度)を有する。相対位相差Δφ=φ
2-φ
1に寄与する2つのサブ位相φ
1、φ
2が、SLMの出口において所望の強度値0≦I
R≦1を正しく示すように、空間光変調器のサンドイッチ(SLM)が校正されているものとする。この状態を以下では基準状態と呼ぶ。2つのサブビームのうちの1つが付加的な位相シフトπを経た場合、この効果は、グレー値の画像が反転されること、すなわちコントラスト反転が起こることである。
図6によると、オリジナルの明るいおよび暗い画像ピクセル間のMichelsonコントラストはC
M=-1となる。構成された基準状態において、Michelsonコントラストは1と等しい。この理想状態からのわずかな偏差のみが許容可能であり、コントラストの損失は問題とはみなされない。妥当ではあるが厳密には定義されていない制限として、以降の考察のために最小の許容可能な値C
M=0.924が仮定され、これは相対位相差π/8=0.3927radですでに生じる(
図V4および
図V5を参照)。
【0042】
しかしながら、ホログラフィックディスプレイにとって、再構成品質が著しく劣化するので、振幅と位相の両方を正しく表すことが非常に重要である。不正確に表されたホログラムの振幅値は、再構成において劣って再現されうるまたは再現不可能なグレー値をもたらす。
図6および
図V4から、特に0.5付近の強度に対応するグレー値は、この範囲において位相差(位相2-位相1)に関する強度の偏導関数が最大であるため、位相差の小さな変化に対して最も敏感に反応することが明らかである。
【0043】
これは、ビーム結合のための装置が開示されているWO2010/149588A1の例を参照して後述される。この点について、本出願の
図7が考慮される。この場合、偏光に敏感なエレメント(一軸結晶)は、SLMによって変調される2つのサブビームを結合して複合ビームを形成するために使用される。相対位相シフトなしに2つの波が「同相(インフェーズ)」であるように、基準状態のための2つのサブビーム間の、偏光センシティブ構成部品(一軸結晶)中の異なる光路長によってもたらされる相対位相差はすでに較正されていると仮定する。したがって、マクロピクセルの所望の振幅値を表すために、重ね合わせられるべき個別の位相サブピクセルに書き込まれるべき位相値は既知である。
【0044】
例えば、基準状態は、通常の入射に対して較正される(
図7(a))。ディスプレイまたはディスプレイの照明装置の熱膨張または機械的な応力のために、入射波とSLMのサンドイッチとの間に小さな相対的な傾斜が生じてもよい。この効果は、付加的な光路(光路差OPD)が結合されるべき2つのサブビームのうちの1つに進行すること、すなわち付加的な位相ΔΦ=OPD*2π/λが付加される。付加的な位相は、光の入射角α、重ね合わせられるべきピクセルpxの距離またはピッチ、および光路長に依存する。
理解のために、アプリケーションにとって重要である、光路差または光路長の変化は、偏波センシティブな構成部品によってもたらされるのではなく、幾何学的な傾斜によってのみもたらされることを認識することが重要である(
図V7参照)。
図7(b)に示すように、周囲の媒体中の経路はこの点で非常に重要である。定義により、全ての入射ビームおよび出射ビームは互いに平行に進行し(同じ媒体によって囲まれた平行平板の性質)、全てはプレーン内にある(入射面に光軸を有する一軸結晶の性質)。偏波センシティブな構成部品はそれゆえ「ブラックボックス」と見なされてもよく(
図V11参照)、2つのサブビームが「同相」であるように一度較正される。較正された基準状態は入射角が厳密にはゼロではない状態であってもよい。重要なことは、同相の重ね合わせがこの1つの状態についてのみ行われることである。基準状態からの全ての相対的な偏差は、説明された問題をもたらし、それゆえ先行技術に係る既存の実施形態の不利益をもたらす。
【0045】
この問題を示す数値例を以下に示す。上記で導出された基準によれば、少なくともC
M=0.924のMichelsonコントラストに対して最大でΔΦ=π/8=0.3927radの相対位相誤差が許容され、光の入射角における最大許容偏差は式α=arcsin{λ/(16p
x)}によって与えられる。λ=532nmの波長において、これにより50umのピクセルピッチに対して入射角0.038°、100umのピクセルピッチに対して入射角0.019°(
図V12参照)の変化が許容できる。ディスプレイシステムの機械的応力および熱応力におけるこれらの狭い許容値の遵守は、多大な困難を伴い技術的に達成可能であるかほとんど達成可能ではない。ピクセルピッチは、平均ピクセルサイズまたは平均ピクセル間隔、具体的には特に2つのピクセルがマクロピクセルを形成するために結合される方向、すなわち2つの水平方向の隣接ピクセルがマクロピクセルを形成するために結合される場合に水平方向のピクセルピッチ/ピクセル間隔を特に意味することを意図する。
【0046】
さらに、WO2010/149583A1はビーム結合器およびフロントライトと反射性の光変調器(SLM)との組み合わせを開示している。この場合、フロントライトからからビーム結合器を通ってSLMまで、そしてSLMの後方で反射した後に再びビーム結合器を通って戻るように、光がビーム結合器を2回通る配置が示されている。この場合、構造化された開口は、入射光の偏光を往路における2つの成分への分離をもたらし、1つの成分はピクセルペアの第1ピクセルに向かい、第2の成分はピクセルペアの第2ピクセルに向かう。2つのSLMピクセルによる変調の後、復路においてこれらの成分はビーム結合器の出口で再度重ね合わされる。この配置はまた、基準状態に対する光ビームの幾何学的な傾斜の影響を受けやすい。
【0047】
従って、本発明の目的は、光の入射角の変化または基準状態からの偏差に最も鈍感である、光の複素値変調のためのビーム結合のための装置および空間光変調装置を提供することである。
【0048】
本発明によれば、この目的は、光変調器のサンドイッチ(SLM)内の全ビーム経路が対称に形成され、その結果、任意の傾斜が重ね合わされる両方のサブビームに均一に作用し、それによって互いに補償されることによって達成される。この目的のために、(本質的に位相変調する)SLMは、2つのサブビームが空間的に個別に通過する偏光センシティブな構成部品と光学媒体との間に埋め込まれ、2つのサブビームOPL1およびOPL2の光路長は、異なる入射角に対してそれぞれ一定となるように光の伝搬方向が対称に構成または配置される。
【0049】
光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための本発明に係る装置は、多数のピクセルを有する光変調器と、好ましくは一軸複屈折性に構成されたビーム分離コンポーネントと、好ましくは一軸複屈折性に構成されたビーム結合コンポーネントと、ビーム重畳コンポーネントとを備える。ビーム分離コンポーネントは、入射光ビームがビーム分離コンポーネントによって第1サブビームと第2サブビームとに分離し、第1サブビームが光変調器の第1ピクセルに向かって伝搬し、第2サブビームが光変調器の第2ピクセルに向かって伝搬し、好ましくはそれぞれの場合に基本的に同じ強度であるように構成および配置され、ビーム結合コンポーネントは、第1サブビームと第2サブビームとが光変調器の個別のピクセルとの相互作用の後に結合されるように構成および配置される。ビーム分離コンポーネントおよびビーム結合コンポーネントは、(例えば偏光特性に関して)第1サブビームの光学ビーム経路と、(例えば偏光特性に関して)第2サブビームの光学ビーム経路とが、第1ピクセルおよび第2ピクセルの間の中点に関して基本的に点対称に構成されるように、構成および配置される。
【0050】
この解決策は、複屈折材料を偏光センシティブな構成部品として使用する例示的な実施形態を用いてより詳細に説明される。しかしながら、記載された解決策の基本原理、すなわち個別に延びる光路の対称化は、体積格子(体積ブラッグ格子)または偏光格子のような他のタイプの偏光センシティブな光学部材にも同様に適用され得る。しかしながら、偏光センシティブな構成部品の種類および(特に位相変調)SLMの要求される入射偏光に応じて、使用される他の(構造化または非構造化)偏光回転板(例えばλ/4プレート(偏光回折格子用の四分の一波長板(QWP))または適応されるべき個別のレイヤの順番のために必要であってもよい。
【0051】
図8は、光変調器SLMの2つの位相変調サブピクセルを結合するための偏光センシティブな構成部品として少なくとも1つの複屈折性媒体(一軸結晶)を含む、ビーム結合装置と組み合わせた空間光変調装置の例示的な実施形態を示す図である。いずれの場合にも2つの位相変調サブピクセルのペアはマクロピクセルを形成する。明確性のために、空間光変調装置の一部(
図8では左方向および右方向に連続される)および、2ビーム干渉の原理に従って重ね合わせることを意図している2つの隣接ピクセルのみのサブビームのみが示される。
【0052】
特に位相変調光変調器SLM(ここではECB(電気制御複屈折)モードで動作される)は、2つの構造化半波長プレート(sHWP1およびsHWP2)と同一方向の光軸を有する2つの一軸平面平行結晶プレートとの間に埋め込まれる(
図V16参照)。第1に、ビーム分離は第1の一軸結晶(一軸結晶1)によって2つの互いに直交する偏光サブビームにビーム分割が実行され、次にSLMによって互いに独立に(好ましくはそれらの位相で)変調され、続いて第2の一軸結晶(一軸結晶2)によって再結合される。2つのサブビームは続いて、配置の出口に配置される約45°に配置された直線ポラライザによって干渉するようにされる。この場合、ディスプレイサンドイッチまたは一軸結晶1および2、SLM並びに半波長プレートの配置は、2つのサブビームの別個の光路の領域において完全に対称に構成される。配置の出口における開口絞り(ブラックマスク)および直線ポラライザのみがSLMの中心に関して点鏡面対称ではない。複屈折性一軸性媒体または結晶の光軸は、界面に対する角度θが、2つの一軸性媒体に対して一定のウォークオフ角(通常ビームと異常ビームとの間の角度)を生じるように配向される。
【0053】
図8は較正された基準状態におけるディスプレイのサンドイッチを示す。入射光は45°で線形に偏光され、第1の平面平行一軸結晶プレート(一軸結晶1)に当たる。結晶プレート上に適用されると、SLMの1ピクセルおきにカバーし、クロストークを防止する吸収マスクまたは開口絞りがある。結晶プレートにおいて、45°の偏光された光は分離され、通常ビームとしての点を有する円で示される垂直偏光された光は、スネルの法則および一軸結晶の通常の屈折率に従って屈折される。ここに示した一軸結晶との界面への直角入射の例では、これは通常ビームも一軸結晶を垂直に通過することを意味する。両側の矢印によって示される水平偏光された光は、異常ビームとして伝搬する。異常ビームの方向はこの場合、一軸結晶の異常の反射係数および結晶軸の向きによって与えられる。第1の平面平行結晶プレートから出射するとき、互いに垂直な偏光(s-polおよびp-pol)を有する2つのビームは再び入射ビームに対して平行に進む。好ましくは位相変調SLMは垂直に入射する偏光を必要とするため、水平偏光を有するサブビームは構造化された半波長プレート(sHWP1)で偏光において90°回転され、垂直偏光を有するサブビームは構造化された半波長プレートでは変更されない。したがって、構造化された半波長プレートは、空間的に構造化され、サブビームの光学特性を領域的に変更しない、構造化されたビーム作用コンポーネントを表す。SLMは垂直偏光で一様に進むが、異なるまたは所定の(所望の)位相遅れが、それぞれのマクロピクセルで表されることを意図される値に対応する、2つのサブビームに与えられてもよい(
図V3参照)。続いて、第1の結晶プレートの通常ビームはさらなる構造化半波長プレート(sHWP2)によって水平偏光に90°回転され、これによって後続の第2の結晶プレート(一軸結晶2)で異常ビームとして伝搬する。第1の結晶プレート(一軸結晶1)の異常ビームは、第1の半波長プレート(sHWP1)によってその偏光に既に回転されており、第2の半波長プレート(sHWP2)を偏光方向の変更なしに通過する。それゆえ、このビームは第2の結晶プレート(一軸結晶2)においては通常ビームとして伝搬する。2つのサブビームは、第2の結晶プレートの出口で再結合され、再び入射ビームに対して平行に進行する。それらは、下流の45°の直線ポラライザによって干渉するように作られている。マクロピクセルの振幅は、2つの位相変調サブピクセルの2ビーム干渉によって調整される。マクロピクセルの位相値は、SLMの個々のマクロピクセル間の相対位相差によって生成されます。この原理は「二重位相ホログラム表現」として知られている(
図V3参照)。
【0054】
本発明に係る解決策の動作モードを
図8bを用いて説明するが、入射ビームは角度αだけ傾斜しており、したがって較正された基準状態とは異なる方法でSLMに当たる。サブビームは、通常ビームおよび異常ビームとして第1の結晶プレートを経由して伝搬し、結晶プレートから再度入射ビームと平行に出射する。通常ビームの方向はスネルの屈折法則および一軸結晶の通常屈折係数によって与えられ、異常ビームの方向は一軸結晶の異常屈折係数と結晶軸の向きによって与えられる。幾何学的な傾斜によって、サブビーム1において、第1の結晶プレートの出口に付加的な相対位相遅れΔφ
1=k・OPD
1が存在し(k=|k|=2π/λ-波数、OPD-光路差(または光路長差))、光路差はOPD=δ・sin(α) (δ-2つのサブビーム間の距離)によって与えられる。反対の状況がさらなる結晶プレート2への入り口において発生する。ここで、サブビーム2は付加的な相対位相遅れΔφ
2=k・OPD
2が発生する。個別に延びるビーム経路内の全ての構成部品の対称的な構成で、2つの光路差OPD
1とOPD
2は有利には互いに打ち消しあうので、Δφ
2-Δφ
1=0である。
【0055】
この問題を説明するために、
図8は個別の構成部品の間に空気層があり、全ての構成部品が基板ガラス無しで使用されるように示されている。しかしながら、提案された解決策による複素値変調器の場合には、全ての構成部品が互いに接する、例えば空気層無しに互いに接着されて基板ガラスに接してもよい。しかしながら、整合されたビームパスOPD
1=OPD
2の提案された原理は、対称なビームパスがもたらされる場合にも効果的である。この場合、基板と同じ、接着剤などの接着材料、またはガラス材料を使用するように注意されるべきである。一般論として、周囲の光学媒体は、2つのサブビームの光路長OPL
1およびOPL
2の合計が異なる入射角に対してそれぞれ一定であるように対称に構成されるべきである。
【0056】
さらなる有利な実施形態または特徴は:
・提案された解決策は、面内LC変調に基づくSLMにも同様に使用されてもよい(
図9または
図V17参照)。面内変調を有するLCモードのための一例はHAN-LCモード(ハイブリッド配向ネマチック液晶モード)である。別の例はCIPR(連続面内回転)である。電場中のLC分子の面内回転が面外(面外)回転より支配的であるスメクティックLCモードも面内モードとみなすことができる。コレステリックLCモード(ULHに一様に横たわっているらせん)もまた面内モードと見なされてもよい。本明細書で使用されるコンテキストにおいて、面内は電場における液晶の光軸の回転方向に関連し、その場合例えばULHのような場合、電場自体はLCレイヤに対して垂直に印加されてもよい。しかしながら、面内変調のために、面内モードが円偏光を必要とするため、偏光選択性の分離(PSC1、一軸結晶1)および結合(PSC2、一軸結晶2)の間の光学構成部品の列は以降の方法、45°で配置された構造化されていない四分の一波長のプレート(QWP1)、SLM(面内LCモード)、-45°で配置された構造化されていない四分の一波長のプレート(QWP2)、で選択されるべきである。この構成において、前述した面内LCモード(HAN,CIPR,スメクティック,ULH)における位相シフトは、右円偏光と左円偏光とでは符号が反対であることに注意すべきである。しかしながら、これは、ホログラム値の計算または表現において考慮されてもよく、SLM自体の駆動には影響しない。使用される四分の一波長プレート(QWP)が構造化されていないことは有利なことである。
・一軸性光学媒体の通常ビームおよび異常ビームのあいだの最大角度(ウィークオフ角)は、媒体の光軸の位置、通常ビームのk個のベクトルの方向、および屈折係数n
o、n
eによって決定される。光学媒体としての方解石については、例えば通常の光入射および波長532nmに対する係数を使用する場合、これはθ=48.2°を与える。さらなる対称化(製造、使用)を理由として、この場合には光軸を約45°に配置することが有利であってもよく、これは結晶プレートを研磨および研削する処理によって達成されてもよい。従って同一のビームオフセットを確実にするためにやや厚いプレートが要求されるが、設置または製造中に誤って方向付けるリスクは最小化される。
・偏光分離および結合は他の偏光センシティブな光学構成部品で実行されてもよい。有利な例は、例えば体積格子または偏光格子であり、偏光選択性に加えて高い回折効率(理想的には100%)によって区別される。この場合、各波長に対して、2つの格子がそれぞれ分離エレメント(結晶プレート1)および結合エレメント(結晶プレート2)ごとに設けられなければならないことに留意されたい。
・別の利点は、波面の隣接する2つの部分が従来の単純な構成の場合のように2ビーム干渉をもたらさず、むしろ波面の同一部分が最初に分割され、次に変調され、最後に再結合されるという事実から生じる。したがって、入射波面の側方の小さな波面誤差は、従来の単純な実施形態の場合のように出射波面における振幅誤差には寄与しない。2つのサブ波で独立して行われるSLMによる変調とは別に、従来の単純な方法は横方向にずれた干渉の原理(横方向に変位した同一の波面を有する波面の重ね合わせ)に従って動作するが、一方で提案方法は、マッハツェンダー干渉原理(波面の分離と再結合)、その2つの分岐は一致している(すなわち、両方のサブブランチで等しい光路長)。
【0057】
<付録1>
付録の表示または図の説明が以下に与えられ、それらの番号付けは接頭辞Vによって示される。
【0058】
図V1は、先行技術に係るビーム結合器を側面図の右上および三次元図の底部に有する配置を概略的に示す。
【0059】
同一の直線偏光の光ビームは位相変調光変調器(位相限定SLM)の2つのピクセルを通過し、続いて、2つのピクセルのうちの1つから来る光の偏光を変え、第2ピクセルから来る光の偏光を変更しないでおく、構造化された半波長プレートを通過する。例えば複屈折性レイヤのような偏光選択性構成部品は、ピクセル1から来る光によってまっすぐに、または逸脱せずに通過され、ピクセル2から来る光はある角度で偏光選択性構成部品を通過する。偏光選択性構成部品の出口では、両方のピクセルの光は同じ位置および互いに平行に、したがって結合されて出射する。
【0060】
2つのピクセルの2つの偏光方向に対してプラスまたはマイナス45度に配置された直線ポラライザ(例えば45度のポラライザならびにピクセルの光の0および90度の偏光方向)は光を透過し、透過強度は2つのピクセルの相対位相に依存し、SLMにおいて位相変調によって調整されうる。ポラライザに到達する両方のピクセルの光が同一の位相を有する場合、最大透過率が生じる。光がπだけ位相シフトされる場合、最小の透過率が生じる。
【0061】
2つのピクセルの平均位相変調と共に、この構成は光の複素値の変調に使用されてもよい。多数のピクセルペアを有する光変調器は、それぞれのピクセルペアについてそれぞれ振幅および位相値を生成する。
【0062】
これはホログラフィック3Dシーンを符号化するために使用されてもよい。しかしながら、説明のために、光変調器の2D画像の表現の例が以下で説明される。
【0063】
図V2は光変調器上の2D画像の強度の結果を示し、これは
図V1で説明される1つの配置で達成される。表現される画像の各画像点の強度は、光変調器の2つのピクセルの変調された位相の差によって調整され、そして2つのピクセルの光は、
図V1に記載されるようにビーム結合器の出口で合成される。ポラライザを通して見える濃淡画像は、この場合、適度なコントラストを有するノイズの多いグレー値のプロファイルを有する。
【0064】
さらなる試験的な調査は、
図V1に係る先行技術に係る配置が機械的応力に対して敏感に反応することを示している。例えば、
図V1のビーム結合器の配置が位置するフレームの機械的なねじれの結果として、さらなるコントラストの損失または表される2Dシーンの反転さえも起こりうる。
【0065】
図V3は、右下に位相値φ
1およびφ
2が書き込まれる光変調器の2つの隣接ピクセルの配置を概略的に示す。マクロピクセルの振幅、すなわちこの場合はビーム結合器の後に結合される2つのピクセルの光の振幅は以下のように与えられる。
ポラライザが透過する強度は振幅の2乗に比例する。
2つのピクセルの位相差の関数としての振幅および強度の変調は基本的に2つのビームの干渉に対応する。
【0066】
それゆえ、2つのピクセルの位相差が差分Δφを有する場合、変調強度Iも所望の値から逸脱する。
【0067】
2つのビーム干渉に対する既知の方程式が、A
1=A
2=0.5に対して以下のように得られる。
図V4は、左側に、グラフにプロットされた振幅および強度をΔφの関数として示す。
【0068】
Michelsonコントラストは右側にプロットされる。
所望の位相値が調整されうる場合、次、I
max=1およびI
min=0である。しかしながら、位相変調の誤差がある場合、コントラストが減少するように、I
maxは減少し、I
minは増加する。
【0069】
図V5は2D画像の強度変調における位相誤差の影響を図示している。
【0070】
左上に示されているのは、誤差のない画像の表現であり、画像点に対するピクセルペアは、それぞれ所望の位相Φ1およびΦ2を変調する。
【0071】
続いて、増加誤差Δφが位相差Φ1-Φ2に加えられ、濃淡画像への影響が示される。
【0072】
誤差ΔΦ=π/8は1から0.924までのMichelsonコントラストCMを減少させる。
【0073】
増加誤差ΔΦは、最初はコントラストの低下をもたらし、それからさらに増大する誤差と共に、表される画像の反転をもたらす。
【0074】
これらの関係の下で、最大許容位相誤差はΔΦ≦π/8であることが確立された。この誤差に関して、表現される画像はすでに視認可能な変化が生じている。しかしながら、これらは主観的にまだ許容できるものとして評価される。言及したように、この許容可能な位相誤差の確立は主観的な基準を表す。許容可能な誤差について別の制限を確立することも可能であろう。
【0075】
図V6は、屈折率n
oおよびn
eを有する一軸性複屈折性媒体中の通常ビームおよび異常ビームの光の伝搬を示し、複屈折性媒体は両側で同一の等方性媒体によって囲まれ、この等方性媒体は屈折率nを有する。
【0076】
特に、等方性媒質と一軸性複屈折媒質との間の光の屈折もまた、入射光ビームが複屈折性媒質との界面に斜めに当たるときに考慮される。
【0077】
複屈折性媒体から出射するビーム(通常ビームと異常ビーム)は互いに平行であるがオフセットしている。
【0078】
数式は、点O(複屈折媒質への入射)と、点P'および点P''(複屈折媒質からの2つのビームの出射)との間の通常ビームの光路OPL
0、異常ビームの光路OPL
eに対して与えられる。
および
これらの数式はVeiras et al., Appl.Opt. 2010, pages 2769-2777.の論文から取られた。
【0079】
ここで、αは法線に対する入射ビームの入射角であり、それによって等方性媒体内の複屈折性媒体に当たる。Lは複屈折性媒質の厚さである。Θは、複屈折性媒体の光軸がその表面に対して有する角度である。δは入射面と光軸の界面への投射との間の角度である。
【0080】
図V7は、光が複屈折材料に垂直ではなく0~0.5度の範囲の小さい角度αの下で当たるときに、複屈折性媒体の内側の通常ビームと異常ビームについて光路がどのように変化するかの計算の結果をグラフで示す。
【0081】
この計算は、試験的構造においてビーム結合器として、またはビーム分離器および請求項3または4に記載のビーム結合器として使用されるような方解石プレートに対して実行される。
【0082】
周囲の媒体はこの場合n=1の空気である。方解石プレートはno=1.663145かつne=1.488541である。方解石プレートの厚みは約756マイクロメートルである。光軸と界面との間の角度は約48.2°である。計算は光の波長532nmに対して実行される。
【0083】
計算が示すように、通常ビームの光路長OPLoはαの増加と共に増加し、異常ビームの光路長OPLeはαの増加と共に減少する。
【0084】
角度αが0から0.5度に変化すると、これは48nmの通常ビームと異常ビームとの光路差OPD=OPLo-OPLeの変化をもたらす。532nmに対して、これは約0.09λである。これは位相差0.18πに対応する。
【0085】
0.5度の角度の変化があるときの複屈折性レイヤの内部の光路の変化は、すでにπ/8より大きいので、表される濃淡画像にすでに影響を与えるであろうが、それでもなお比較的小さく、すなわち、それは、小さなアラインメント変化に対する試験的に見出された配置の強い感度を説明しない。
【0086】
図V8はさらなる考察を示しており、ここでは一軸性複屈折性媒体および周囲の等方性媒体における全経路差を考慮に入れている。
【0087】
図V6と比較して、OとP'およびP''との間の光路ではなく、OとQ'と、およびOとQ''とのそれぞれの間の光路が計算される。
【0088】
入射角αの関数として、通常ビームと異常ビームとの間の総位相差について式が与えられる。
この場合、αもまた、法線に対する入射ビームの入射角であり、それによって等方性媒体中の複屈折性媒体に当たる。Lは複屈折性媒体の厚さである。Θは、複屈折性媒体の光軸がその表面に対して有する角度である。 δは入射面と光軸の界面への投影との間の角度である。さらに、n
oおよびn
eもまた複屈折材料の屈折率であり、nは周囲の等方性材料の屈折率である。λ
νは光の波長である。
【0089】
図V9は、約756マイクロメートルの厚さを有する方解石プレートについて計算された、入射角αおよび角度δの両方の関数としての絶対位相差ΔΦの計算を示す。
【0090】
α=0°、すなわち法線入射、およびδ=0°の基準状態に対して、通常ビームと異常ビームとの間の位相差ΔΦ=757.7radが得られる。
【0091】
例えば、角度αが0から0.5度まで変化し、δ=0°が残っている場合、位相差ΔΦ=766radに増加する。
【0092】
さらに角度δが変化する場合、これはまた、αがより大きい場合により相応してより大きくΔΦに影響を及ぼす。
【0093】
図V10は2πの剰余のΔΦの変化を示す。したがって、α=0°、すなわち法線入射およびδ=0°の基準が0に設定される。αが変化した場合、δ=0°のままでは、角度α=0.181度でも、α=0と比較して、ΔΦがπだけ変化することがわかる。
【0094】
図V11は、「ブラックボックス」モデルの形におけるΔΦの角度依存的な変化の影響の解析を示す。
【0095】
ビーム結合器またはこの場合は反対方向に進むビーム分離器は「ブラックボックス」と見なされ、周囲の媒体の位相シフトのみが考慮される。
【0096】
基準状態、すなわち法線光入射において、2つのピクセルが「同相」になるように、2つの位相ピクセルの内の1つに位相変調オフセットを加えることによって、ビーム結合器の較正が行われる。この方法で較正されたビーム結合器は所望の振幅変調をもたらすであろう。
【0097】
πだけの位相差ΔΦの変化、したがってコントラストの判定は、入射角αが0.181度だけ変化した場合に既に発生するであろう。これらの較正は84マイクロメートルの光変調器のピクセルピッチに対して実行され、それに対して756マイクロメートルの方解石プレートの必要な厚さが得られる。
【0098】
光変調器とビーム結合器とを有する配置が一度較正されると、複屈折レイヤに対する光源の傾斜はコントラスト反転を引き起こす。したがって、この配置は、入射光の傾斜に関する非常に小さい耐性を有する。
【0099】
図V12は光変調器のピクセルピッチの関数としての許容可能な角度変化Δαの依存性を示す。
【0100】
開始点はπ/8の許容可能なΔΦ
maxである。これは許容可能な光路差を与える。
波長532nmに対する計算は以下を与える。
84マイクロメートルのピクセルピッチに対して、許容可能な値Δαは約0.02度の範囲にある。より小さなピクセルピッチに対して、この値はいくらか増加し、20マイクロメートルのピッチにおいて0.1度に近づく。
【0101】
この角度範囲において、振幅変調の望ましくない変化を回避するために、照射波面は複屈折性レイヤに対して一定に保たれる必要がある。
【0102】
最後に、上述した例示的な実施形態は単に特許請求の範囲に記載の教示を説明するのに役立つが、それを例示的な実施形態に限定するものではないことを特に指摘すべきである。これに関連して、本明細書に開示された本発明による教示の知識を用いて、当業者は可能な限りにおいて、記載された例示的な実施形態および/または個々の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0103】
<付録2>
付録2の表示または図の説明は以下に与えられ、それらの番号付けは同様に接頭辞Vで示される。反射性の配置で動作される光変調器に関する別の態様が以下に説明される。この態様は、一方では上述の態様とは別に実施することができるが、他方では上記の概念と併せて使用することもできる、すなわち、特に、光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合する装置と関連して、および/または付録1に記載の光ビームを結合する装置への光の入射角の変化に対する感度と関連する。
【0104】
以降の図は最初に反射性の空間光変調器(SLM)におけるLC変調、例えばLCoSの概略的な構成を説明する。この場合、反射性の空間光変調器(SLM)の構成の種類は図面で以下のように説明される。
(a):「面内」変調を有するLCモードを有する光変調器における位相変調の配置
(b):180度までの回転角度のための「面内」変調を有するLCモードを有する光変調器における位相変調の配置
(c):「面外」変調を有するLCモードを有する光変調器における位相変調の配置
図V19は「面外」LCモード、この例ではECB(電気的に制御される複屈折)を有する液晶LCによる位相変調に基づく光変調器SLMを備える先行技術に係る構成を示す。直線偏光を有する光は、LCレイヤを通過し、次いでミラーで反射され、反対方向に光変調器SLMのLCレイヤを通過する。オフ状態では、LCレイヤは厚さdおよび複屈折率Δnを有し、その積は半波長板(λ/2レイヤ)に対応する。これはd*Δn=λ/2に対応し、そして二重パスでは2*d*Δn=λを与える。
【0105】
LC分子の配向が入射偏光方向と平行である場合、光の偏光はLCレイヤを通過するときに回転しない。しかしながら、LCレイヤに電圧を印加することで、光路は実効Δnが減少することで変更される。この光路の変化は光の位相変調のために使用される。
【0106】
図V20はLCoSにおける先行技術に係るそのような配置の構成を概略的に示す。LCoSはバックプレーンおよびピクセルマトリクスを備える。ピクセル電極自体は一般的に反射性に構成されており、ミラーと駆動用の電極とは同一のレイヤで結合される。LCoSはさらに、ITO(インジウム錫酸化物)製の透明電極Eを有するカバーガラスDGを含む。加えて、LCoSは、LC分子の配向のための配置レイヤを含み、これは例えばポリイミドPIからなるか、または任意に無機材料、例えばSiO2からなる。
【0107】
ホログラフィックディスプレイに位相変調LCoSを使用するときの1つの制限は、特定のLCモード、例えばECBモードの遅い切り替え時間、特に受動的なスイッチオフ時間である。
【0108】
スイッチング時間を改善するための1つの可能性は、両方のスイッチングプロセス、すなわち面外電界でスイッチオンすること、および面内電界でスイッチオフすることを積極的に行うことであろう。
【0109】
図V21および
図V22は、面内電界でそのような能動的なスイッチオフを可能にするためにLCoSの電極を変更する可能性を示す。
【0110】
図V21は、カバーガラスDG上の平坦なITO電極を微細構造化された電極LEで置き換えた配置を示す。
【0111】
図V22は、これに代えて、カバーガラスDGにおいて平坦な電極tEが依然として使用されているが、その上の絶縁レイヤIおよび後者の上の追加のライン電極LEが使用されている配置を示す。面外電界を印加するために、ライン電極と平坦なITO電極Eとは同じ電圧値で駆動されるが、この電圧値はピクセル電極に印加される電圧とは異なる。能動的なスイッチオフのために、ライン電極と平坦なITO電極とは異なる電圧で駆動され、面内コンポーネントの電界分布が得られる。
【0112】
図V23および
図V24は、面内電界によって駆動される面内LCモード、例えばIPSまたはHAN内で電極およびミラーを使用する可能性を示す。これらのLCモードは従来、透過性のディスプレイでのみ使用され、反射性のLCoSでは使用されない。
【0113】
LCの変調は2つの電極間の面内電界内で行われるので、LCoSでは従来通りである単一レイヤ内の電極とミラーの組み合わせは使用できない。電極間の金属ミラーレイヤは不要な短絡回路を招くであろう。
【0114】
したがって、
図V23では、電極Eの上に反射性の誘電体レイヤのスタックDEを使用することが提案されている。ホログラフィックディスプレイにおけるレーザでの動作のために、誘電体レイヤのスタックDEは、使用されるレーザ波長での高い反射率に対して最適化されてもよい。
【0115】
しかしながら、電極EとLCレイヤとの間のレイヤスタックは、誘電体レイヤDEのない構成と比較して、電極Eにおける同じ電圧に対して、光変調器SLMのLCレイヤの内側の電界の強度が減少するという効果を有する。
【0116】
したがって、
図V24は、より厚い電極Eおよび反射性の誘電体レイヤのスタックDEを電極E間のみで、その上方には配置しない配置を示す。これにより、誘電体レイヤのスタックDEにおいてLCレイヤ内の所望の面内電界と組み合わせて所望の反射が得られる。
【0117】
図V25は、先行技術による、面内変調を用いたLCモードにおける位相変調のための構成を概略的に示す。直線偏光を有する入射光は、最初に、その光軸が入射偏光方向に対して45°に配向されている四分の一波長プレートQWPを通過する。次に光は、その光学的厚さが半波長プレートの厚さに対応するLCレイヤを通過し、次に第1の四分の一波長プレートQWPと平行な光軸を有するさらなる四分の一波長プレートQWPを通過する。2つの四分の一波長プレートQWPは、例えば、無色の四分の一波長プレートとして構成することができる。次に光はミラーで反射され、逆の順序で個別のレイヤを通って復路を通過する。これもまた、入射光と同じ偏光方向を有する直線偏光をもたらす。液晶レイヤの駆動により、液晶の光軸の面内回転が行われる。この回転は位相変調を引き起こし、それはそれぞれ往路と復路の両方で回転角の2倍に対応する。したがって、この構成における全体的な位相変調は、最大で回転角の4倍になる。プラス/マイナス45度(±π/4)の面内回転は、±πの位相変調を実現するのに十分である。
【0118】
図V26は、
図V24のように電極Eおよび誘電体ミラーDEを有するLCoSにおいて、
図V25に表された概略配置による面内LCモードに基づく位相変調のための1つの可能な実施を示す。
【0119】
図V27は、先行技術による、面内変調を用いたLCモードにおける位相変調のための(
図V25と比較して)異なる配置を概略的に示す。直線偏光を有する入射光は、再び最初に、その光軸が入射偏光方向に対して45°に配向されている四分の一波長プレートQWPを通過する。光は次に、光学的厚さが四分の一波長プレートに対応するLCレイヤを通過する。次に光はミラーで反射され、逆の方向で2つのレイヤを通過する。液晶レイヤの駆動により、液晶の光軸の面内回転が行われる。この回転は位相変調を生じさせる。この場合、全体の位相変調(往路および復路)は回転角の2倍に対応する。
【0120】
±90度(±π/2)のLCの光軸の回転は、それゆえ±πの位相変調を達成するために必要である。
【0121】
図V28は、
図V24のように電極Eおよび誘電体ミラーDEを有するLCoSにおいて、
図V27に表された概略配置による面内LCモードに基づく位相変調のための1つの可能な実施を示す。LCoSにおいて、この構成はLCレイヤとLCoSの後方との間に付加的な四分の一波長プレートが必要とされないという利点を有する。回転角の要件は、±90の範囲で駆動できることである。
【0122】
面内モードと面外モードの両方について、位相変調LCoSについてこれまで説明した構成はすべて、入射偏光が変更されないという特性を有し、入射光と同一の直線偏光の光もLCoSから戻る。
【0123】
ビーム分離またはビーム結合のための複屈折性レイヤまたは他の偏光選択性構成部品を含む、特に請求項1または2に記載のように、光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置のために、異なる偏光を有する2つの隣接ピクセルの光を組み合わせることが必要である。一方、LCレイヤ自体は、所望のように位相を変調するために、しばしば特定の入射偏光を必要とする。
【0124】
図V29は、光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを組み合わせるための、請求項1または2に記載の装置と組み合わせた位相変調光変調器の課題を説明する。
【0125】
以降の図は隣接ピクセルにおいて反射光の所望の異なる偏光を達成するための様々な構成を示す。これに関して、これらの構成は、請求項1から17のいずれか1項に記載のように、光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを組み合わせる装置、および/または、請求項1から17のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置を有する、二次元画像および/または三次元画像コンテンツ、および/または移動シーンを表現する装置に統合するのに適している。
【0126】
図V30は、面内変調LCモードのために隣接ピクセルに対して異なる偏光を生成する配置を概略的に示す。この構成は、入射側に構造化されたポラライザsPを備え、それによって水平または垂直のいずれかの偏光のみが、異なるピクセルに対する入射光に対して変調器に入射する。例えば、変調器は、垂直および水平成分を有する、45度の線形に偏光された光で照射されうる。構造化されたポラライザsPはそれぞれ入射光の適切な偏光された部分を透過させる。次に、45度の高速軸を有する四分の一波長プレートnsQWPは入射光をそれぞれ円偏光に変換するが、円偏光の方向感度は隣接ピクセルごとに異なる。したがって、右円および左円偏光された光は隣接ピクセルで交互に得られる。
【0127】
続いて、光は、四分の一波長プレートの光学的厚さに対応する光学的厚さの光変調SLMのLCレイヤを通過し、ミラーに当たり、前述したエレメントを介して戻る。LC分子の面内回転の場合には、位相変調は回転角の2倍に比例して行われるが、位相変調の符号は左円光と右円光とでは異なる。本発明によれば、位相値を光変調器に書き込む際に、例えば書き込まれるべき同一の位相に対して、適切な電圧を印加することで偶数ピクセル列に正の回転角を、そして奇数ピクセル列にLC分子の負の回転角を生成することで考慮される。
【0128】
特に小さいピクセルの場合、構造化されたポラライザとLCレイヤとの間の光伝搬の間の回折効果の影響は小さく保たれるべきである。この目的のために、構造化されたポラライザとLCレイヤとの間の距離を最小にすることが好都合である。
【0129】
それゆえ、有利には、四分の一波長プレートおよび構造化されたポラライザは「インセル(同セル)」、すなわち、LCレイヤの近くのカバーガラス(
図V30には示さない)の内側に配置される。
【0130】
外側に構造化されたポラライザを有するこの配置は、位相変調が右円偏光および左円偏光の両方に対して行われるので、面内変調LCには好都合である。
【0131】
それとは対照的に、位相変調は、直線偏光の面外変調LCに対しては行われるが、特定の偏光方向に対して、例えばオフ状態のLC分子の配向に平行な(すなわち、例えば、PIレイヤの機械的ラビングによるLCの配向中のラビング方向に平行な)ECBモードの場合にのみ行われる。
【0132】
したがって、構造化されたポラライザを有する面外変調LCの配置は、位相を変調する2つおきのピクセルのみをもたらすことができ、他のピクセルについては、位相はピクセルの駆動とは無関係に一定である。この関係性は
図V31で説明する。
【0133】
図V32はこの課題に対する解決策を示す。
図V30のように、構造化されたポラライザsPを有する配置を示す。次に、異なる直線偏光された光が、厚さが好ましくはλ/2レイヤに対応する、光変調器SLMのLCレイヤのピクセルを通過する。しかしながら、加えて、LCレイヤはLC分子のピクセルごとの構造化された配列を有する。LC分子の配向は、各ピクセルの前の構造化されたポラライザsPの透過方向と平行である。そのような配向は、例えば、光変調器SLMの製造中に、適切なマスクを使用することによる光整列によって実行されてもよい。分子の適切な配向のため、LC分子の面外変調の場合は、各ピクセルで位相変調が実行される。しかしながら、LCの構造化された配向を必要とする、そのような配置は複雑である。
【0134】
このため、
図V33によれば、他の可能性、すなわち構造化されたポラライザsPを有する面外変調LCを使用することが提案される。このために、構造化された半波長プレートHWPが構造化されたポラライザsPと光変調器SLMのLCレイヤとの間に配置されている。1ピクセルおきに、構造化された半波長プレートHWPは90度偏光を回転させる。それによって達成される効果は、半波長プレートHWPを通過した後かつLCレイヤに入射する際に、構造化されたポラライザsPを通過した後で構造化された半波長プレートHWPが通過する前に最初に異なって偏光された光がすべてのピクセルに対して等しく偏光されることである。 続いて、オフ状態におけるLC分子の配向(例えばラビング方向)は、それが入射偏光方向と平行になるように選択される。それゆえ、LCレイヤの面外変調の場合、位相変調は全てのピクセルに対して調整されうる。LCレイヤを通過した後、構造化された半波長プレートHWPからの往路において、構造化されたポラライザsPによって透過されるように再度偏光される。したがって、結果は、光変調器SLMから出てくる光の、隣接するピクセルに対して異なる所望の偏光を有する位相変調である。
【0135】
図V34は、更なる構成(d)において、面外変調LCおよび隣接ピクセルに対する光変調器SLMから出射する光の異なる偏光を用いた位相変調の別の可能性を示す。この構成は構造化されたLCレイヤおよび構造化されたポラライザなしに行うことができる。直線で45度だけ偏光された光は、45度の配向の光軸を有する等方性でλ/2レイヤを交互に備える構造化された半波長プレートsHWPに当たる。往路において、等方性材料は光軸を変更することなく、45度の光軸は入射光の偏光方向に対して平行であるため、光は回転することなく45度で半波長プレートsHWPを通過する。続いて光は透過方向0度であるポラライザPに当たる。光の約50%がポラライザPによって吸収され、他の50%が均一な偏光で位相変調を調整することができる光変調器SLMのLCレイヤに到達する。光は、ポラライザPを通って戻る復路上で変更されない偏光で通過する。構造化された半波長プレートsHWPによって、偏光は、45°配向の光軸を有する部分においてのみ90度回転される。区間の間に等方性材料を有する、構造化された半波長プレートsHWPの区間において、偏光は回転されない。装置から出てくる光は、必要に応じて、やはり隣接ピクセルに対して交互に異なる偏光を有する。有利には、配置におけるこの異なる偏光は、光が通過する最終レイヤにおいてのみ生成される。さらに、上述の実施形態とは対照的に、単一の構造化されたレイヤ、すなわち構造化された半波長プレートsHWPのみが必要とされる。
【0136】
この配置の不利な点は、ポラライザPが光変調器SLMのLCレイヤと構造化された半波長レイヤsHWPとの間に配置されることである。LCレイヤと半波長プレートsHWPとの間の光伝搬における望ましくない回折効果を最小にするために、ポラライザPの厚さはそれ故に小さく保たれなければならない。100マイクロメートル以上の厚みを有する従来のフィルムポラライザは小さなピクセルサイズに使用できないであろう。しかしながら、5から10マイクロメートルの厚みの範囲の特別な薄いフィルムポラライザは代替案を表す。
【0137】
図V35は
図V34の構成のより詳細な図を示す。ピクセルピッチ及びそれと比較した光変調器SLM、構造化された半波長プレートsHWP、およびポラライザPの相対厚みなどのいくつかの要素は規格に対して正確に示されている。
【0138】
反射型の光変調器は、(左から右へ)ピクセルの中間スペースに随意に「ブラックマスク」BMを備える、反射性の電極Eを駆動するためのバックプレーンBP、例えばポリイミドといった光変調器SLMの液晶LCの配向のためのレイヤPI、光学的厚さが少なくともλ/2レイヤに対応する(しかしながらより大きな光学的厚さを持ってきてもよい)液晶レイヤLC、第2の配向レイヤPI、透過性の電極配置LE、および例えばITO、を備える。
図V22の説明で上述したように、本例は、FFSタイプの電極LE、すなわちライン電極ならびにそれに続く絶縁レイヤIおよび平坦な電極tEを含む。電極tEには数マイクロメートルの厚みを有するポラライザレイヤP(薄型フィルムポラライザ)が続き、ピクセルで整列された構造化された半波長プレートsHWP(ポラライザの透過方向に対して45度の光軸を有する複屈折が非複屈折の等方性区間と、
図V34に記載されるように交互になる)。第2の配向レイヤPI、電極LE、tE、ポラライザPおよび構造化された半波長プレートsHWPはカバーガラスDGの内側に配置されている(後者は縮尺通りではない)。
【0139】
製造中に、これらのレイヤは通常、まず最初にカバーガラスDG上に塗布され、続いてカバーガラスDGはバックプレーン側BPの配置で配向され、LCレイヤが最後に導入される。
【0140】
1つの特定の実施形態では、それぞれ2つのピクセルの光を重ね合わせるためのカバーガラスDGはまた、複屈折Savart(サバール)プレートとしても構成されてもよい。例えば、カバーガラスは光軸の適切な向きを有する石英ガラスから作られてもよい。他の実施形態では、カバーガラスDBは商用に利用可能なディスプレイガラスであり、外部サバールプレートによるビーム経路が光変調器の配置に続く。
【0141】
図V36は
図V35に示すものと類似の配置を示すが、LCレイヤを有する面内変調光変調器SLMの場合である。右から左に、最初にカバーガラスDG、構造化された半波長プレートsHWPおよびポラライザPは同一である。しかしながら、ポラライザPの左に、SLMの面内位相変調が円偏光を必要とするため、四分の一波長プレートQWPも続く。本例において、面内電界内で面内変調を実行するLCモードの場合、LCレイヤの右側に電極は必要とされない。両側に配置される配向レイヤPIを有するLCレイヤが示される。この場合、LCレイヤは四分の一波長の光学的厚さのレイヤを有する。
【0142】
図V24および関連付けられた説明で言及されるように、面内電界を有するLCモードの場合、電極間のスペースにある誘電体ミラーDEを有する線状電極Eが使用されてもよい。これらは図の左側に示される。
【0143】
しかしながら、平面外に印加された電界内で液晶分子の平面内回転を有するLCモードもある。例えば、スメクチックなLC分子を用いたLCモードまたはコレステリック液晶を用いたULH(uniform lay helix)モードがある。これらのために、
図V36に示されているのと同じ配置であるが、バックプレーン側に平坦な電極およびガラス基板を有する、波長プレートおよびポラライザを使用することができる。電極配置は
図35に示す例に対応する。
【0144】
図V37は、LCレイヤにおける面外変調のための他の配置を示す。光変調器SLMのLCレイヤとミラーの間の後方側で、異なる光学的厚さを有する構造化された四分の一波長レイヤsQWPは、光軸の配置が前の図における半波長プレートのそれに対応する四分の一波長レイヤ((非複屈折)等方性レイヤと交互に45度の光軸を持つ(複屈折)四分の一波長レイヤ)に対応する。
【0145】
直線偏光された光(0°)は光変調器SLMに当たり、LCレイヤを介して偏光を有する往路上を進行する。2ピクセルごとに、構造化された四分の一波長プレートsQWPによって偏光が90度回転される。ECBモードを有する面外変調LCは、直線偏光方向のうちの1つに対してのみ位相を変調するので、2ピクセルごとに(構造化された四分の一波長プレートsQWPのうちの45°の四分の一波長レイヤsQWPの位置において)、LCレイヤを最初に通過する間にのみ光の位相変調が行われる。それゆえ、LCレイヤはより大きい光学的厚さを有し、それにも関わらず全てのピクセルに対して2πの位相変調を達成するために少なくとも1波長プレートに対応する。
【0146】
図V38は同一の構成のより詳細な図を示す。ここに、左から右へ、バックプレーンBP、ピクセルギャップ内の反射性ピクセル電極EおよびブラックマスクBM、構造化された四分の一波長プレートsQWP、配向レイヤPI、例えばポリイミド、光変調器SLMのLCレイヤ、第2配向レイヤPI、平坦なITO電極tEおよびカバーガラスDGが示される。この場合、一方で構造化された四分の一波長レイヤsQWPはピクセル電極Eと同じ基板上の後方側に配置され、他方でカバーガラスDGは構造化されたエレメントを全く有していないので、したがって、バックプレーンBPに対してカバーガラスDGを取り付けるときには整列は不要である。不利なことに、より厚いLCレイヤは一般的により遅い反応時間を有する。
【0147】
図V39は別の可能な構成を示す。ここでは、構造化されていない四分の一波長のレイヤsQWPが光変調器SLMのLCレイヤとミラーとの間の後方側に適用される。構造化された四分の一波長レイヤsQWPは、光変調器SLMのLCレイヤから見えるように、他方に配置される。しかしながら、この配置は
図V38で説明したものより複雑である。
【0148】
以降の図はLCレイヤおよびミラーの間の後方側にポラライザを有する別の構成を示す。それゆえ偏光はLCレイヤを介した第1および第2の経路の間で変更される。
【0149】
面内LCモードについて最初に説明される。
【0150】
図V40は2つの四分の一波長プレートsQWPおよびQWPを有する配置の説明を示し、その前者は非構造化され、後者は構造化されている。直線偏光された光は、第1の四分の一波長プレートQWPによって、円偏光された光に変換される。+45度および-45度の光軸を交互に有する第2の(構造化された)四分の一波長プレートsQWPによって、光は、0度および90度の偏光方向を交互に有する直線偏光に再び変換される。例えば透過配置では、位相変調用の液晶レイヤを2つの四分の一波長レイヤQWPとsQWPとの間に配置することができる。
【0151】
2つの四分の一波長レイヤを1回通過するために、1ピクセルおきに異なる直線偏光を得るという目的が達成される。
【0152】
しかしながら、反射配置の場合、2つの四分の一波長レイヤQWPおよびsQWPを2回通過する間に、偏光回転が逆転し、すべてのピクセルに対して同じ偏光が得られる。
【0153】
以下に説明する構成の手法は、四分の一波長レイヤを通過する1回目と2回目の経路の間、すなわちミラー側の近くで、一方の経路で四分の一波長プレートの影響を除去し、他方で他のパスで維持するポラライザを配置することからなる。
【0154】
図V41はそのような構成を示す。この図はまた、光変調器SLMに照射するフロントライト照射装置FL(WO2010/149583A1と同等の方法で構成することができる)を示す。しかしながら、フロントライト照射装置FLは実施形態の一部である必要はない。任意選択的に、照射は、例えば偏光ビーム分離キューブによっても実行することができ、偏光を45度回転させるさらなる半波長プレートを任意選択でビーム分離キューブと配置との間に配置することができる。
【0155】
45°の直線偏光を有する光は互いに+45°および-45°の配向の光軸を有する構造化された四分の一波長プレートsQWPに当たる。四分の一波長プレートsQWPの配向は、入射光の偏光方向に対して選択的に垂直または平行であるので、その偏光状態は直線的で45°のままである。
【0156】
直線偏光された光は光変調器SLMのLCレイヤを通過し、次いで、同様に45°の向きの光軸で、四分の一波長プレートQWP、そして反射性のポラライザrP(または随意に透過性のポラライザおよびミラーの組み合わせ)に当たる。
【0157】
0度で直線偏光した光のみがポラライザrPから戻り、逆の順序で前述したレイヤを通過する、すなわち、四分の一波長プレートQWPを通過した後に円偏光され、LCレイヤを通過し、次いで構造化されたフィルムを通過した後四分の一波長プレートsQWPは、隣接ピクセルに対して0度または90度で交互に直線偏光される。
【0158】
選択的に、構造化されたおよび非構造化された四分の一波長プレートsQWP、QWPの配置は、交換可能であり、これによって構造化された四分の一波長プレートsQWPはLCレイヤおよびポラライザrPの間に適用される。
【0159】
しかしながら、他の実施形態のいくつかのように、後方にポラライザrPを有する実施形態は、ポラライザrPによって50%の入射光が失われるという不利益も有する。
【0160】
図V42はいくつかの構成の詳細な図を示す。右から左に、ガラス基板DG、ガラス基板DGの内部のITO電極、構造化された四分の一波長プレートsQWP、この場合はポリイミドである液晶LCの配向のためのレイヤPI、光学的厚さが半波長プレートに対応する光変調器SLMの液晶レイヤ、この場合はまたポリイミドである液晶の配向のための更なるレイヤPI、および更なる半波長プレートQWPが示される。
【0161】
面内フィールドを生成するためのピクセル電極Eはピクセルギャップのバックプレーン側に配置される。それらの間は反射性ポラライザであり、この場合はワイヤグリッドポラライザWGPである。ワイヤグリッドポラライザは金属性であり、それゆえ導電性であるため、ポラライザWGPを覆い、ポラライザWGPおよび電極Eとの間に横方向に絶縁レイヤIが存在する。
【0162】
ポラライザWGPは1つの直線偏光方向を反射するがそれに垂直な偏光方向を透過するため、この場合ポラライザWGPの背後のバックプレーン側に透過光を吸収するためのブラックマスクBMがある。
【0163】
図V43は
図V41および
図V42と比較してより有利な構成を示す。この設定において、両方の四分の一波長プレートQWPは構造化されていない。かわりに、バックプレーン側の反射性のポラライザsrPはピクセルごとに構造化される。
【0164】
バックプレーン上の金属性のワイヤグリッドポラライザWGPもまた、半導体プロセスによる構造化方法で製造されてもよい。構造化された配置はバックプレーン側にのみ存在するため、SLMの製造中に、カバーガラスをバックプレーンと同じ位置に整列する必要はない。
【0165】
ポラライザsrPの往路において、入射光は構造化されていないレイヤのみを通過する。ポラライザsrPにおいて、0°および90°の直線的に偏光された光は続いて隣接ピクセルで交互に反射される。光は四分の一波長プレートQWPを通過するので、それは円偏光され、それから光変調器SLMのLCレイヤおよびさらなる四分の一波長プレートQWPは、隣接するピクセルにおいて0°および90°に交互に直線偏光された配置から再び出射される。
【0166】
図V44はいくつかの構成の詳細な図を示す。右から左に、ガラス基板DG、ガラス基板の内部のITO電極、第1の四分の一波長プレートQWP、この場合はポリイミドである液晶の配向のためのレイヤPI、光学的厚さが半波長プレートに対応する光変調器SLMの液晶レイヤ、この場合はまたポリイミドである液晶の配向のための更なるレイヤPI、および更なる半波長プレートQWPが示される。面内フィールドを生成するためのピクセル電極Eはピクセルギャップのバックプレーン側に配置される。それらの間は反射性ポラライザであり、この場合はワイヤグリッドポラライザWGPである。ポラライザWGPは、例えば「ワイヤ」の異なる配向、すなわち、例えば、図示された下側のピクセルの図の平面と平行で、図示された上側のピクセルの図の平面と垂直な、金属糸の配向によって構造化される。ポラライザWGPに構造化によって、1ピクセルおきに(
図44の上方のピクセルにおいて)0度の直線偏光の光は反射され、他のピクセル(
図V44の下方のピクセルにおいて)90度の直線偏光の光は反射される。前述の構成で既に述べたように、ポラライザWGP上およびポラライザWGPと電極Eとの間に横方向に絶縁層Iがある。同様に、ポラライザWGPの後ろのバックプレーン側にもブラックマスクBMがある。
【0167】
図V45は、面外変調を伴うLCモードのための後方側ポラライザrPの使用を示す。フロントライト照射装置FLの使用が再度示される。フロントライト照射装置FLからの0°の直線偏光された光は、構造化された四分の一波長プレートsQWPに当たり、これによって隣接ピクセルに対する光は交互に右円および左円偏光され、次に光が光変調器SLMのLCレイヤおよびポラライザrP上に伝搬する。入射円光の直線成分のみがポラライザrPによって反射され、50%の光の損失が再び生じる。直線に偏光された光は次にLCレイヤを通過し、再び四分の一波長プレートsQWPを通過し、これによって隣接するピクセルに対して右円および左円偏光され、次にフロントライト照射装置FLを通過し、次にさらに非構造化された四分の一波長プレートQWPを通過し、その後隣接ピクセルに対して交互に0度、90度だけ直線に偏光される。
【0168】
図V46は本構成の詳細を示す。右から左にガラス基板DG、電極tE、ガラス基板DG内部のLEが示される。
図V35と同様の方法で、電極tEは平坦なITOレイヤtE、絶縁レイヤIおよび線電極構造LEでできている。この場合、平坦な電極tEはスイッチを入れるための面外電界を生成するために使用され、線電極LEは、面内電界によって光変調器SLMのLCの迅速なスイッチオフを得るために使用され得る。
【0169】
電極tEおよびLEには、構造化された四分の一波長プレートsQWP、この場合はポリイミドである液晶LCの配向のためのレイヤPI、光学的厚さが半波長プレートに対応する液晶レイヤ、およびこの場合はまたポリイミドである液晶の配向のための更なるレイヤPIが続く。バックプレーン側には、反射性のポラライザrPが続く。金属製のワイヤグリッドポラライザの場合、ポラライザおよびピクセル電極は面外のLCモードと同一である。
【0170】
ポラライザrPの下で、光を吸収するためのブラックマスクBMが存在する。電極はブラックマスクBMを介して実際のバックプレーンBPに電気的に接続される。
【0171】
反射型のビーム結合器に使用される光変調器SLMの図示された構成であって、光変調器SLMが液晶の面内変調または面外変調に基づく構成は、液晶LC自体が一般的に、LCレイヤを通過する規定の偏光状態に対してのみ所望の位相変調を生成するという欠点を有する。
【0172】
例えばサバールプレート内の光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置の2つのピクセルの光の結合に必要とされるように、LCレイヤおよび他の光学レイヤを2回通過した後、所望の位相変調を得るが同時に隣接ピクセルに対して相互に垂直に出射する直線偏光を得る目的は、しばしば光強度の損失を伴ってのみ達成され得る。
【0173】
図示される構成の多くが入射光の50%を吸収するポラライザを備える。この損失は、光変調器の効率を低下させ、そのエネルギー消費を増加させる。
【0174】
それゆえ、有利には、別の構成が
図V47で以下のように説明され、その位相変調がマイクロミラーHSの変位、すなわち機械的調整に基づく、MEMS光変調器(MEMS=Micro-Electro-Mechanical Systems)を備える。変位可能ミラーHSによる位相変調は入射偏光とは独立である。MEMSミラーHSの前面に、等方性レイヤと交互に45°の四分の一波長レイヤを備える構造化された四分の一波長プレートsQWPが使用される場合、0°の入射直線偏光の場合に、この構造化された四分の一波長sQWPは隣接するMEMSミラーHSに対して直線または円偏光を交互に生成する。従来使用されたLCモードと対照的に、MEMSミラーHSは円偏光および直線偏光された入射光に対して同一の位相変調を別個に生成することができる。
【0175】
MEMSミラーHSによって反射された光が構造化された四分の一波長プレートsQWPを2度目に通過することで、円偏光された光は直線偏光に戻るが、入射方向に対して90度回転する。四分の一波長プレートsQWPの等方性レイヤが割り当てられる隣接ピクセルにおいて、光は0度の直線偏光されたままである。この場合、SLM上に付加的なポラライザは必要なく、それゆえ光強度は失われない。
【0176】
図V47は、光を導入するためのフロントライト照射装置FL複屈折性であり、サバールプレート(ビーム分離器および/またはビーム結合器)として使用されるカバーガラスDGを有する。構造化された四分の一波長プレートsQWPは、続いて、例えばカバーガラスDG内に適用されてもよい。フロントライトFLから到達する光は、オフセットすることなくカバーガラスDGを通過し、次に四分の一波長プレートsQWPとMEMSミラーHSとからなる構成を通過する。カバーガラスDG(サバールプレート)を通る往路上で、偏光が90度回転された状態で上方ピクセルに対してオフセットが生じ、それにより下方ピクセルと重ね合わされる。
【0177】
2つのピクセルの結合された光は次にフロントライト照射装置FLを通過し、45度でポラライザPに当たる。このポラライザPは、サバールプレートを有するビーム結合器において従来通りであるように、2つのピクセルの相対位相の関数として振幅変調に使用される。
【0178】
MEMSによる実施形態は、サバールプレートと同時に使用されるカバーガラスDGの使用に限定されず、フロントライト照射装置FLの使用に限定されない。
【0179】
本質的な特徴は、従来のLCモードに基づくSLMと比較して、構造化された四分の一波長プレートsQWP(あるいは45°光軸、等方性)を有するSLMのより簡単な構成である。
【0180】
図V47に示される配置は、MEMS光変調器に限定されず、位相が入射光の偏光とは無関係に変調され得る他のすべてのタイプの光変調器に対しても同様に使用され得る。これらには、例えば、電界が面外に印加された、ブルー位相のような特別なLCモードも含まれる。
【0181】
DE102009044910A1は、本出願の
図21のビーム結合のための配置の一例を示しており、単一の光学的に複屈折性一軸性コンポーネントの代わりに、ビーム結合器も、2つの光学的複屈折性一軸性コンポーネントとそれらの間に挿入された半波長プレートで構成されている。
【0182】
本明細書に記載の反射性の配置はまた、このようにして形成された複数の光学的複屈折一軸性コンポーネントからなるビーム結合器の配置も任意に含み得る。
【0183】
図V48もまた、
図V47と同様に、MEMS光変調器とフロントライト照明装置FLとを備えた構成を示す。ビーム結合器は、ここでは、光軸(結晶軸)が互いに180度回転している2つの複屈折性の一軸性コンポーネントSp1、Sp2と、および入射光の偏光に対して45度である光軸を有する2つの一軸性成分間に配置された半波長板HWP45とを備える。
【0184】
半波長プレートHWP45は、入射光ビームおよび出射光ビームの偏光をそれぞれ90度回転させるので、入射光ビームおよび出射光ビームはそれぞれ、通常光ビームとしての2つの複屈折性の一軸性成分Sp1および異常光ビームとしての他の複屈折性一軸性成分Sp2として通過する。
【0185】
反射性の光変調器は、一般に、10マイクロメートル未満のピッチを有する小さなピクセルを含み、したがって、例えば大きなピクセルを有する透過型の光変調器よりも、非対称のビーム結合器の配置で、より良好な傾斜許容度を有する。しかしながら、複数の光学的に複屈折性の一軸性コンポーネントSp1、Sp2から構成されるビーム結合器を有する
図V48に示されるような配置は、この傾斜許容度を有利に増加させることができる。
【0186】
複数の光学的複屈折性の一軸性コンポーネントSp1、Sp2からなるビーム結合器の使用は、MEMS光変調器を有する実施形態に限定されず、例えば、V30からV46に示すように、光変調装置の他の実施形態と組み合わせて使用することもできる。
【0187】
以下に、反射性のビームガイドにおいて空間的に光を変調するのに適した光変調装置の実施形態である。光変調装置は先行技術で既知の光変調装置と比較してより高速なスイッチング時間を可能にし、および/またはそのような光変調装置は請求項1から17のいずれか1項に記載の光変調器の隣接配置されたピクセルと相互作用する光ビームを結合するための装置と結合されることができる。とくに、当該ピクセルは付録Iに従って光ビームを結合するための装置への光の入射角の変化に対する感度が低減するように構成されている。特に好ましくは、このような光変調装置は、特に請求項1から17のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置を用いて、二次元および/または三次元画像コンテンツおよび/または移動シーンを表す装置に統合され得る。
【0188】
<実施形態>
1.反射性のビームガイドのための光変調装置であって、複数のピクセルとピクセルを電気的に駆動するためのバックプレーンとを備える空間光変調器を有し、光変調器のピクセルと相互作用する光のピクセルごとの影響が可能になるように構成された少なくとも1つのビーム作用コンポーネントを有し、および/またはスイッチオンプロセスおよび/またはスイッチオフプロセスのために液晶の加速された配向を実現するように形成および構成された少なくとも1つの電極構造を有する。
2.実施形態1に係る光変調装置であって、光変調器のピクセルは制御された配向の変化によって、ピクセルと相互作用する光の位相(光学パス)を変化させる液晶を備える。
3.実施形態2に係る光変調装置であって、液晶は、特にIPS(面内スイッチング)、HAN(ハイブリッド配向ネマチック)もしくはCIPR(連続面内回転)の形態、電場中の液晶の面内回転が面外回転より優勢であるスメクティック液晶モードの形態、または光軸は電場内で面内回転を有する(一様に横たわっているらせん、ULH)コレステリック相の形態で、それらの制御された配向変化によって「面内」変調を実行するように構成される。
4.実施形態2に係る光変調装置であって、液晶は、特にECBモードの形態で、制御された配向の変化によって、「面外」変調を実行するように構成される。
5.実施形態3または4に係る光変調装置であって、バックプレーンと光変調器との間に設けられる構造化された電極配置は、電極が隣接するピクセルギャップに配置され、および/または各ピクセルが-特に実質的に平坦に構成された-電極を含む構造である。
6.実施形態5に係る光変調装置であって、光変調装置の導電性のエレメントからの構造化された電極配置の電気的な絶縁のための少なくとも1つの絶縁レイヤが設けられる。
7.実施形態2から6のうちの1つに係る光変調装置であって、電極構造および/または構造化された電極構造は、光変調器とは反対のバックプレーン側に配置される。
8.実施形態4に係る光変調装置であって、ビーム作用コンポーネントはバックプレーンと光変調器との間に配置され、それによって隣接するピクセルの光がその偏光において異なる影響を受けるように構成および配置される少なくとも1つの構造化された偏光影響装置を備える。
9.実施形態4または8に係る光変調装置であって、ビーム作用コンポーネントは、バックプレーンの光変調器とは反対側に配置され、それによって隣接するピクセルの光がその偏光において異なる影響を受けるように構成および配置される少なくとも1つの構造化された偏光影響装置を備え、当該構造化された偏光影響装置は、構造化された四分の一波長プレート、構造化された半波長プレートまたは構造化されたワイヤグリッドポラライザの形態で構成することができる。
9.実施形態4、8、または9のうちの1つに係る光変調装置であって、ビーム作用コンポーネントは、少なくとも1つの偏光影響装置またはポラライザを含み、少なくとも1つの偏光影響装置またはポラライザは、バックプレーンと光変調器との間および/またはバックプレーンの光変調器とは反対側に配置され、四分の一波長プレート、半波長プレート、またはワイヤグリッドポラライザの形態で構成される。
10.実施形態1から9のうちの1つに係る光変調装置であって、光変調器または反射性のエレメントは隣接するピクセルと相互作用する光が偏光に関して異なる影響を受けるように構成され、駆動可能である。
11.実施形態1から10のうちの1つに係る光変調装置であって、光変調器は半波長プレートまたは四分の一波長プレートの光学的厚さに実質的に対応する光学的厚さを有する。
12.実施形態1から11のうちの1つに係る光変調装置であって、光変調器はピクセルワズにまたは直線上に構造化された異なる特性を有するピクセルを含む。
13.実施形態1から12のうちの1つに係る光変調装置であって、フロントライト照射装置またはニュートラルビーム分離器を用いて、光変調装置の方向に向けられるまたはガイドされる光で照射される。