(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】転写後化学修飾二重鎖RNA
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20220627BHJP
A01N 57/16 20060101ALI20220627BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220627BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20220627BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
C12N15/113 ZNA
A01N57/16 101A
A01P3/00
A01P7/04
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2019521707
(86)(22)【出願日】2017-11-06
(86)【国際出願番号】 US2017060110
(87)【国際公開番号】W WO2018085752
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-06-18
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519142158
【氏名又は名称】ナノスール エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】アランチェット,ジュアン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】チェルラ,スリービシュヌ
(72)【発明者】
【氏名】アランチェット,グラシエラ,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ロゼマ,デービッド,ビー.
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/130607(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/028649(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0142896(US,A1)
【文献】国際公開第2016/100401(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/066681(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0167090(US,A1)
【文献】特表2007-504151(JP,A)
【文献】特表2013-541334(JP,A)
【文献】特開2012-147677(JP,A)
【文献】特表2011-511636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0248841(US,A1)
【文献】国際公開第2000/066605(WO,A2)
【文献】特表2009-513151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写後修飾二重鎖RNA(MdsRNA)を含む組成物であって、前記MdsRNAが、30を超えるヌクレオチド塩基対を有する二重鎖RNAを含み、前記ヌクレオチドの少なくとも5%は、独立して式(I):
【化1】
(式中、nが1であり、R
1は、置換アルキル;アルケニル;置換アルケニル;アルキニル;置換アルキニル;アリール;置換アリール;C2~C10アルキル、C2~C10アルケニル若しくはC2~C10アルキニル(アルキル及びアルケニルは、直鎖状、分枝状又は環状であり得る);H;メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;tert-ブチル;ペンチル;ヘキシル;シクロヘキシル;ヘプチル;オクチル;ノニル;デシル;ビニル;アリル;エチニル;ベンジル;シンナミル;C6~C14アリール;C6~C14置換アリール;ヘテロシクリル;C5~C14ヘテロシクリル;フェニル;一若しくは二置換フェニル(前記置換基は、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル及びトリフルオロメチルから選択される);2-ニトロフェニル;4-ニトロフェニル;2,4-ジニトロフェニル;2-トリフルオロメチルフェニル;4-トリフルオロメチルフェニル;スチリル;C8~C16置換スチリル;2-アミノフェニル;一若しくは二置換2-アミノフェニル(前記置換基は、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル及びトリフルオロメチルから選択される);N-(C
mH
2m+1)-2-アミノフェニル若しくはN-アリール-2-アミノフェニル(式中、mは、12以下の整数であり、アリールは芳香族部分である);2-アミノ-3-メチル-フェニル;2-アミノ-5-クロロフェニル;2-メチル-5-クロロフェニル;N-メチル-2-アミノフェニル;N-エチル-2-アミノフェニル;N-プロピル-2-アミノフェニル;N-ブチル-2-アミノフェニル;N-ペンチル-2-アミノフェニル;N-メチル-2-アミノ-4-ニトロフェニル;2-メチル-3-フリル;2-メチルニコチル若しくはN-トリフルオロメチル-2-アミノフェニル;シラニル;置換シラニル;C1~C10アルキルシラニル;C3~C12トリアルキルシラニル;C2~C12アルコキシアルキル;C3~C12アルコキシアルケニル;C2~C12アルキルチオアルキル;アルキルスルホニル;C1~C10アルキルスルホニル;C1~C10ハロアルキル;C2~C10ハロアルケニル若しくはC1~C10アミノアルキル;-(CH
2CH
2O)
pCH
3、-(CH
2CH
2O)
pH又は-(CH
2CH
2O)
pCOOR
4(pは、1~8の整数であり、R
4は、H、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである);-(CH
2CH
2O)
8COOH;-CH
2CH
2OH;-(CH
2CH
2O)
4OH;-(CH
2CH
2O)
6OH;-(CH
2CH
2O)
8OH;-(CH
2CH
2O)
8COOMe;-(CH
2CH
2O)
4OMe;-(CH
2CH
2O)
6OMe;-(CH
2CH
2O)
8OMe;-CH
2OCH
3;-CH
2OCH
2CH
3;又は-CH
2OCH
2CH
2OCH
3であり、塩基は、独立して、核酸塩基であり又はそれを含む。)
を含む、組成物。
【請求項2】
(CO)
n-R
1が
、ベンゾイル又はN-メチルアントラノイルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記リボヌクレオチドの少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも60%又は少なくとも90%が、独立して式(I)を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記MdsRNAが、標的宿主内の発現RNAに対してホモロジー及び/又は相補性を有する配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記標的宿主が、動物、昆虫、真菌、植物、原生動物又は雑草である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記昆虫、真菌又は雑草が:鞘翅類(Coleopteran)、鱗翅類(Lepidopteran)、双翅類(Dipteran)、半翅類(Hemipteran)、膜翅類(Hymenopteran)、コロラドハムシ、トウモロコシルートワーム、ヒアリ、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、コナガ、ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)、ボタンタケ目(Hypocreales)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フサリウム・アベナセア(Fusarium avenacea)、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・スポロトリチオイデス(Fusarium sporotrichioides)、オオホナガアオゲイトウ(Palmer Amaranth)、シロザ(Common Lambsquarters)、ヒメムカシヨモギ(Horseweed)、アサガオ(Morning Glory)、アマランサス(Waterhemp)、ショクヨウガヤツリ(Nutsedge)、ホウキギ(Kochia)、ブタクサ(Common Ragweed)、オオブタクサ(Giant Ragweed)及びベラドンナ(Nightshade)からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記MdsRNAが、標的宿主内の遺伝子の発現を低減する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
賦形剤、担体、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、肥料からなる群から選択される少なくとも1つの薬剤を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記MdsRNAが、5重量%未満、1重量%未満、0.9重量%未満、0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満又は0.001重量%未満の量で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に規定されるMdsRNAを形成するための二重鎖RNAの転写後化学修飾方法であって、
a)30を超える塩基対を有する非修飾二重鎖RNAを含む非修飾dsRNA(UdsRNA)混合物を、水及び非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の混合物を含む溶液中で形成することと、
b)前記UdsRNA混合物を30~95℃に加熱することと、
c)反応関与体を30~95℃に加熱することと、ここで前記反応関与体は
、R
3-X[式(III)]を含むアシル化剤(式中、R
3は、R
1-(CO)であり、Xは、OH、ONa、OK、塩素原子、シアノ基、イミダゾリド、又はアルカノイルオキシである)
である、
d)前記反応関与体を前記UdsRNA混合物に加えることと、
e)前記組み合わせたUdsRNA混合物及び反応関与体を、前記反応関与体がリボース2’ヒドロキシルを化学修飾して式(I)を含むヌクレオチドを形成するのに必要な時間の間、30~95℃に加熱することにより前記MdsRNAを形成することと、
f)場合により前記MdsRNAを単離又は精製することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記反応関与体が、
N-メチルイサト酸無水物(NMIA
)又はシアン化ベンゾイル(BzCN
)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記非プロトン性溶媒が:DMSO、DMF、ジメチルアセトアミド、THF、ジオキサン、アセトニトリル及びウレア又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記UdsRNA混合物中の非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の混合物の割合が、15%~95%、40%~95%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記UdsRNA混合物が、前記反応関与体を加える前に30~80℃で0~30分間インキュベートされる、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応関与体を加える前又は後のいずれかに、前記UdsRNA混合物に触媒が加えられる、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒が:ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,6-ジベンジル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(BnsDMAP)、1,6-ジエチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(EtsDMAP)及び1,6-ジメチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(MesDMAP)、アミジン、イソチオウレア、グアニジン、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及び1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(azabentriazole)(HOAt)又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
UdsRNA:反応関与体のモル比が、1:3~1:300、1:10、1:10~1:50、1:50~1:100又は1:100~1:200である、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
非ヒト動物、植物、原生動物又は真菌宿主における発現された遺伝子の発現を阻害する方法であって、有効量の請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を前記宿主に適用することを含む、方法。
【請求項19】
前記MdsRNAが、植物、種子、餌又は土壌に適用される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月7日出願の米国仮特許出願第62/418,581号及び2017年1月16日出願の米国仮特許出願第62/446,722号による優先権を主張するものであり、これら出願の各々は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
MdsRNAが標的植物、動物(昆虫を含む)又は真菌に関する遺伝子発現を阻害することが可能であるように、化学修飾ヌクレオチドを有する約30塩基対(bp)よりも長い修飾二重鎖RNA(MdsRNA)の組成物について記載する。そのような組成物は、作物保護に用途を有する。
【背景技術】
【0003】
RNA干渉(RNAi)は、天然に存在する生物学的プロセスであり、このプロセスにより二本鎖リボ核酸(dsRNA)は配列特異的方法で標的遺伝子発現をサイレンシング(ノックダウン)する。細胞酵素は、dsRNAを使用して、メッセンジャーRNA(mRNA)及び非翻訳RNAを含む一本鎖RNA(ssRNA)を標的化及び切断する。RNAiは、植物、真菌及び動物を含む多くの真核生物内で起こることが既知であり、遺伝子発現の選択的かつ効率的な調節のための大きな可能性を提供する。
【0004】
dsRNAは、mRNA又は非翻訳RNAの配列に相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有し、センス鎖は、mRNA又は非翻訳RNAの配列と実質的に同一である。センス及びアンチセンス配列は、別個のRNA鎖又は単一の鎖上に存在し得る。単一の鎖上に存在する場合、相補的な配列は、ハイブリダイズしないヘアピン又はループ配列によって接続される。
【0005】
先行技術に記載される、作物を冒す標的化される雑草、昆虫及び真菌に対するRNAi媒介による遺伝子抑制は、外因的に供給される非修飾dsRNA(UdsRNA)を使用して達成されている(米国特許第9,121,022号;Ivashuta et al.2015;米国特許出願公開第20160215290号;Koch et al.2016)。dsRNAが昆虫内でRNAiを誘導するのに使用され、昆虫の食餌中に供給される場合、効率的な取り込み及び加工のために時には60塩基対(bp)又はより長いdsRNAが必要であることが見出されている(Bolognesi et al.2012)。
【0006】
約30塩基対(bp)を超える長さのUdsRNAの調製は、インビトロ転写(Timmons 2006)及び発酵(Fire et al.1998)により達成されている。作物保護用途に必要なUdsRNAの調製及び精製のための商業的に実現可能な大規模方法が記載されている(米国特許出願公開第20160177299号)。しかしながら、UdsRNAは、環境及び宿主内のヌクレアーゼによる分解に感受性であり、遺伝子発現の阻害の有効性が低減されている(Baum 2016)。
【0007】
DsRNA分解は、化学的手段により修飾されたヌクレオチドを有する小型(<30bp)干渉dsRNA(siRNA)の化学合成を用いることにより、インビトロ及びインビボ研究において及びヒト治療法のために対処されている(Ku et al.2015)。化学修飾ヌクレオチドを有するsiRNAの製剤は、単鎖RNA(ssRNA)鎖の伸長において付加される各ヌクレオチドに関する保護-脱保護の連続的な化学反応を含む(Micura 2002)。そのようなプロセスの複雑さ及び出費は、RNAiを誘発する約30bpよりも長いRNA分子(RNAiトリガー)において有意に増大する。リボースの2’-OH位で化学修飾されたヌクレオチドを使用した、昆虫を標的とする化学的に合成されるsiRNAも記載されているが(Gong et al.2013)、数グラムを超える量又は約30bpを超える長さの化学修飾dsRNAを調製するためには、修飾siRNAの費用及び合成の複雑さは、経済的に実現可能でも又は十分に拡張可能でもない。
【0008】
単鎖RNA(ssRNA)の転写後化学修飾は、米国特許6,867,290号に記載されるように、分析目的で使用されている。2’-OH位において化学修飾されたssRNAは、続くステップにおいてUdsRNAを製造するための鋳型として記載され、それにより増幅のための手段と、その後の微量の非修飾ssRNAの検出とを提供する。ssRNA修飾は、水が5%以下存在するジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒として使用して行われた。
【0009】
分析目的のためのssRNAの転写後化学修飾は、Merino(2005)によっても記載されている。Merinoは、10% DMSOを含む水性媒体中でssRNAをN-メチルイサト酸無水物(NMIA)と反応させて、一本鎖ヌクレオチドにおけるN-メチル-アンスラニル酸の2’-O-エステルを生成した。この方法による誘導体化は非効率であった。反応容器内の15%未満のssRNA鎖が修飾され、修飾されたものは、平均で、ssRNA鎖当たりNMIAの単一の2’-O-エステルを有した。これらの条件下で、dsRNAは、80倍超の低い効率で反応し、ステム領域内の0.18%未満のヌクレオチドが修飾され、ステム末端の1つヌクレオチド内(即ち、単鎖領域の1ヌクレオチド内)のみで修飾された。同様の結果が他の反応関与体とのRNAの反応に関して観察されている(Nodin 2015)。1-メチル-7-ニトロイサト酸無水物(1M7)、シアン化ベンゾイル(BzCN)、2-メチル-3-フロ酸イミダゾリド(FAI)及び2-メチルニコチン酸イミダゾリド(NAI)は、RNAの2’-リボースエステルを転写後に生成するのに使用されたが、同様に低い割合の修飾を有し、修飾は不対ヌクレオチド又はそれらに隣接する対ヌクレオチドで主に起こった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
RNAiは、農業及び都市環境における有害生物及び雑草の低減、管理又は制御に対する有望な手法を提供する。しかしながら、UdsRNA又は高度に修飾された合成siRNAからなるRNAiトリガーを使用する現在のRNAi技術は、農業又は都市環境での使用のためには、法外な費用がかかる。更に、現在のsiRNA生成は、十分な拡張性を有さない。大規模で経済的に製造することができ、使用の時点まで分解に抵抗するよう十分に安定であり、有効な殺虫性又は除草性応答を引き出すのに十分活性であり、哺乳動物、とくにヒト及び環境に安全であると考慮されるに十分な選択性を有する、農業及び都市用途のためのRNAiトリガーが必要とされている。
【0011】
本発明者らは:30ヌクレオチド長を超えるセンス配列と、30ヌクレオチド長を超えるアンチセンス配列とを有する、30を超える塩基対を有する二重鎖RNA(dsRNA)を含み、センス配列及びアンチセンス配列は、少なくとも85%相補的であり、dsRNAヌクレオチドの少なくとも5%は、転写後に化学修飾されている、転写後化学修飾二重鎖RNA(MdsRNA)を記載する。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、30を超える、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90又は少なくとも100の塩基対を有する。いくつかの実施形態では、センス及びアンチセンス配列は、独立して、30を超える、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90又は少なくとも100ヌクレオチド長である。転写後化学修飾は、環境内、及びいくつかの宿主生物による消化中の長いdsRNAの安定性を改善する。しかしながら、化学修飾は環境内で最終的な分解を受けやすく、それにより環境に対する負の影響を低減する。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、標的遺伝子を発現している宿主生物への送達又は適用後、RNA干渉(RNAi)又は他の機構の生物学的プロセスを介して、標的遺伝子の発現を阻害又はノックダウンする。記載されるMdsRNAは、容易に拡張可能な方法で、経済的に製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
いくつかの実施形態では、転写後化学修飾は、リボース2’-OH修飾を含む。いくつかの実施形態では、リボース2’-OH修飾は、独立して:
【化1】
により表される構造を含み、式中、nは、0又は1であり、R
1は、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビルであり又はそれを含み、塩基は、独立して、非限定的に:アデニン、グアニン、シトシン又はウラシル等の核酸塩基を含む(1’、2’、3’、4’及び5’は、リボース環における炭素原子位置を示す)。
【0013】
いくつかの実施形態では、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル又は置換アリールであり得る。いくつかの実施形態では、R1は、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル又はC1~C10アルキニルであり得、アルキル及びアルケニルは、直鎖状、分枝状又は環状であり得る。いくつかの実施形態では、R1は、アリール、置換アリール、C6~C14アリール又はC6~C14置換アリールであり得る。いくつかの実施形態では、R1は、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、C5~C14ヘテロシクリル又は置換C5~C14ヘテロシクリルであり得る。いくつかの実施形態では、R1は、スチリル、C8~C16置換スチリル、2-アミノフェニル又は置換2-アミノフェニルであり得る。いくつかの実施形態では、n=1であり、R1は、N-アルキル-2-アミノフェニル又はN-アリール-2-アミノフェニル(aminophenhyl)であり得、アルキルは、式-CmH2m+1(mは、12以下の整数である)を有し、アリールは、芳香族部分である。いくつかの実施形態では、R1は、C2~C12アルコキシアルキル、C2~C12アルコキシアルケニル、C2~C12アルキルチオアルキル、アルキルスルホニル、C1~C10アルキルスルホニル、C1~C10ハロアルキル、C1~C10ハロアルケニル又はC1~C10アミノアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、n=0であり、R1は、シラニル、置換シラニル、C1~C10アルキルシラニル又はC3~C12トリアルキルシラニルであり得る。いくつかの実施形態では、n=0であり、R1は、-(CH2CH2O)pCH3、-(CH2CH2O)pH又は-(CH2CH2O)pCOOR4であり得、pは2以上の整数であり、R4は、H、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである。
【0014】
いくつかの実施形態では、MdsRNAの2’-OH位で化学的に置換されたリボース環の数は、MdsRNAのリボース環の総数の5%~100%の範囲である。いくつかの実施形態では、MdsRNAの2’-OH位で化学的に置換されたリボース環の数は、MdsRNAのリボース環の総数の5%を超え、10%を超え、20%を超え、25%を超え、30%を超え、40%を超え、50%を超え、60%を超え、70%を超え、75%を超え、80%を超え又は90%を超える。MdsRNAの化学修飾ヌクレオチドは、ランダムであり得る。換言すれば、化学修飾ヌクレオチドは、互いに隣接し、又は1、2、3若しくはそれを超える非修飾ヌクレオチドにより分離され得る。
【0015】
30を超える塩基対を有するUdsRNAを転写後化学修飾して、MdsRNAを製造する容易に拡張可能な方法を記載し、ここでdsRNAヌクレオチドの少なくとも5%は、式(I)を含む。いくつかの実施形態では、UdsRNA転写後修飾化学修飾プロセスは:
(a)30を超える塩基対を有するUdsRNAの混合物を、水及び非プロトン性溶媒を含む溶液中で形成することと、
(b)混合物に、適切な量の:
i)R2-X[式(II)]を含むアルキル化剤、(式中、R2は、R1であり、Xは、ヒドロキシル、ハロゲン又はシアノである)又は
ii)R3-X[式(III)]を含むアシル化剤、(式中、R3は、R1-(CO)であり、Xは、H、ONa、塩化物、シアン化物、アルカノイルオキシ又は環状無水物である)を加えることと、
(c)アルキル化剤又はアシル化剤がリボース2’ヒドロキシルと反応して、式(I)を含むヌクレオチドを形成するのに必要な時間の間、混合物を約30℃~約95℃に加熱することによりMdsRNAを形成することと、
(d)場合により、式(I)を有する修飾ヌクレオチドを含むMdsRNAを単離又は精製することと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、化学修飾プロセスは、ステップ(b)及び/又は(c)中に触媒を加えることを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、R2は、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、シラニル又は置換シラニル、メチルスルホニルであり得る。いくつかの実施形態では、R2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル又は置換アリールであり得る。いくつかの実施形態では、R2は、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル又はC1~C10アルキニルであり得、アルキル及びアルケニルは、直鎖状、分枝状又は環状であり得る。いくつかの実施形態では、R2は、アリール又はC6~C14置換アリールであり得る。いくつかの実施形態では、R2は、C5~C14ヘテロシクリルであり得る。いくつかの実施形態では、R2は、(CH2CH2O)pCOOR4であり得、pは2以上の整数であり、R4は、H、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである。
【0018】
いくつかの実施形態では、R3は、アルカノイル、置換アルカノイル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、シンナモイル、置換シンナモイル(cinnalmoyl)、アントラノイル又は置換アントラノイルであり得る。いくつかの実施形態では、R3は、C1~C10アルカノイル若しくは置換アルカノイル、アロイル若しくはC6~C14置換アロイル、シンナモイル若しくはC8~C16置換シンナモイル、又はアントラノイル若しくは置換アントラノイルであり得る。いくつかの実施形態では、式(III)の環状無水物は、イサト酸無水物、N-アルキルイサト酸無水物又はN-アリールイサト酸無水物であり得、アルキルは式-CmH2m+1を有し、mは12以下の整数である。
【0019】
いくつかの実施形態では、式IIのアルキル化剤は、フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(FDNB)であり得る。いくつかの実施形態では、式IIIのアシル化剤は、N-メチルイサト酸(methylisatooic)無水物(NMIA)又はシアン化ベンゾイル(BzCN)であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、MdsRNAは、動物、真菌又は植物内で発現された標的遺伝子に対する配列ホモロジーを含む。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、発現されたRNAに対する配列ホモロジーを含む。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、標的遺伝子の発現を阻害する。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、二重鎖RNAを転写後修飾して、MdsRNAを形成する方法を記載し、該方法は、
a)30を超える塩基対を有する非修飾二重鎖RNAを含む非修飾dsRNA(UdsRNA)混合物を、水及び非プロトン性溶媒を含む溶媒中で形成することと、
b)前記UdsRNA混合物を約30~95℃に加熱することと、
c)反応関与体を約30~95°に加熱することであって、反応関与体は、:
i)R2-X[式(II)]を含むアルキル化剤(式中、R2は、R1であり、Xは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノである)、又は
ii)R3-X[式(III)]を含むアシル化剤、(式中、R3は、R1-(CO)-であり、Xは、OH、ONa、OK、塩化物、シアン化物、イミダゾリド、アルカノイルオキシである)、又は
からなる群から選択される、加熱することと、
d)反応関与体をUdsRNA混合物に加えることと、
e)反応関与体がリボース2’ヒドロキシルを化学的に修飾して、式(I)を含むヌクレオチドを形成するのに必要な時間の間、UdsRNA混合物及び反応関与体を約30~95℃に加熱することによりMdsRNAを形成することと、
f)場合によりMdsRNAを単離又は精製することと、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子は、標的遺伝子の発現の阻害が、動物、真菌若しくは雑草を殺滅し、動物、真菌若しくは雑草の成長若しくは食欲を阻害し、又は、動物、真菌若しくは雑草の繁殖を遅延させるように選択される。標的遺伝子の発現の阻害は、動物、真菌若しくは雑草を制御し、動物、真菌若しくは雑草を殺滅し、動物、真菌若しくは雑草の成長若しくは食欲を阻害し、又は、動物、真菌若しくは雑草の繁殖を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、昆虫、真菌又は植物は、農業的に有意なものである。いくつかの実施形態では、農業的に有意な動物、真菌又は植物は、昆虫、真菌又は雑草である。昆虫は、非限定的に:鞘翅類(Coleopteran〉(カブトムシ等)、鱗翅類(Lepidopteran)(チョウ又はガ等)、膜翅類(Hymenopteran)(ハバチ、カリバチ、ハナバチ及びアリ等)、双翅類(Dipteran)(ハエ等)又は半翅類(Hemipteran)(ナンキンムシ等)であり得る。真菌は、非限定的に:ボタンタケ目(Hypocrealesan)であり得る。雑草は、特定の状況又は位置において望ましくないと考えられる植物である。雑草は、非限定的に、オオホナガアオゲイトウ(Palmer Amaranth)、シロザ(Common Lambsquarters)、ヒメムカシヨモギ(Horseweed)、アサガオ(Morning Glory)、アマランサス(Waterhemp)、ショクヨウガヤツリ(Nutsedge)、ホウキギ(Kochia)、ブタクサ(Common Ragweed)、オオブタクサ(Giant Ragweed)又はベラドンナ(Nightshade)であり得る。いくつかの実施形態では、記載されるMdsRNAを使用して、農業又は都市環境における動物、真菌又は植物を制御し、動物、真菌若しくは植物を殺滅し、動物、真菌若しくは植物の成長、食欲若しくは給餌を阻害し、又は、動物、真菌若しくは植物の繁殖を遅延させることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、植物標的遺伝子は、植物内の遺伝子の発現の阻害が、植物成長、生存能、品質又は収穫高を増大させるように選択される。
【0024】
動物、真菌又は植物における標的遺伝子の発現の阻害に好適なMdsRNAの作製方法を記載し、該方法は:
a)宿主動物、真菌、植物内の標的遺伝子を特定することと、
b)少なくとも30塩基対を有するdsRNAを発現するための発現ベクターを作製することであって、dsRNAは標的遺伝子に対する配列ホモロジーを含む、作製することと、
c)発現ベクターを使用して、UdsRNA転写産物を生成することと、
d)転写産物を転写後修飾して、MdsRNAを生成することと、
e)場合によりMdsRNAを精製することと、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本方法は、MdsRNAの大規模製造に使用することができる。UdsRNAの大規模生産(転写)は、当該技術分野で利用可能な方法を用いて達成することができ、該方法は、非限定的に:インビトロ転写(Krieg et al.1987)、細菌又は酵母発現系を使用する反応器内での発酵(Fire et al.1998)、植物発現系の使用、及び/又は、所望のポリヌクレオチドの転写と、バクテリオファージQβ又はMS2のもの等の自己集合バクテリオファージカプシドタンパク質の発現とのカップリング(米国特許第20160208221号及び米国特許第20140302593号)を含む。次いで、UdsRNAは、記載されるように化学修飾され得る。いくつかの実施形態では、Qβ又はMS2ウイルス様粒子内のUdsRNAは、化学修飾され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、記載されるMdsRNAを含む組成物を記載する。いくつかの実施形態では、MdsRNA含有組成物は、農業用途用に配合される。いくつかの実施形態では、MdsRNAは:賦形剤、担体、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、肥料、溶媒、界面活性剤、結合剤、充填剤、湿潤剤、増粘薬剤、泡制御剤、分散剤、錠剤崩壊剤、pH調整剤、キレート化剤、保存剤及び色素を含む群から選択される1つ以上の薬剤と組み合わされ、又は該薬剤を含む組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、組成物の50重量%未満で含まれる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、侵入(例えば、昆虫、真菌又は雑草侵入による)を処置、制御、制限は低減するための方法を提供し、該方法は、記載されるMdsRNAの1つ以上を含む組成物を、潜在的侵入の侵入範囲に適用することを含む。侵入又は潜在的な侵入の範囲は、農業環境であり得る。農業環境には、非限定的に、田畑、果樹園及び畜産経営が含まれる。農業範囲内の昆虫、真菌又は雑草における標的遺伝子の発現の阻害により、昆虫、真菌又は植物を原因とする作物損害、又は収穫高の低下を、MdsRNAによる処理の非存在下で測定された損害又は収穫高の低下と比較して低減することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、非限定的に農作物植物を含む植物における標的遺伝子の発現を低減する方法を記載し、該方法は、記載されるMdsRNAの1つ以上を含む組成物を、植物に適用することを含む。植物は、研究室、温室、苗畑、田畑、果樹園又は他の農業環境又は他の自然環境内にあり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、記載されるMdsRNAを含む組成物は、噴霧等によって田畑に適用される。いくつかの実施形態では、記載されるMdsRNAを含む組成物は、その上で昆虫又は真菌が給餌される植物表面に適用される。摂取された後、記載されるMdsRNAは、有害生物の腸を裏打ちする細胞により吸収され、処理され、宿主標的遺伝子転写産物を標的とする有効なRNAiトリガーを生成して、標的遺伝子の発現を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】UdsRNAと比較した、RNase IIIによる消化に対するMdsRNAの耐性の増大を示す画像。UdsRNAはBzCNにより修飾されてMdsRNAを生成し、約40%のヌクレオチドが修飾された。次いでUdsRNA及びMdsRNAをRNase IIIで処理した。次いで、RNAe III消化の前(レーンA)及び後(レーンB)のUdsRNA及びMdsRNAサンプルを、電気泳動し、臭化エチジウム染色により可視化した。
【
図2】3つのスーパーDMAP求核試薬を表す化学構造:A 1,6-ジベンジル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(BnsDMAP)、B 1,6-ジエチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(EtsDMAP)、及びC 1,6-ジメチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(MesDMAP)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明者らは、30を超える、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90又は少なくとも100塩基対を有し、リボース環の少なくとも5%が2’-OH位において転写後化学修飾されているMdsRNAを記載する。本発明者らは、MdsRNAを含む組成物、並びにMdsRNAの作製及び使用方法も記載する。MdsRNAは、配列特異的な方法で、例えばRNA干渉又はアンチセンス機構を介して、昆虫、真菌及び/又は植物等の農業的に有意な有害生物における遺伝子発現を阻害することが可能である。非修飾二重鎖RNA(UdsRNA)の転写後修飾のためのプロセスも記載する。本発明者らは更に、MdsRNAを含む組成物を使用した、農業又は都市環境内での有害生物の阻害又は制御方法を記載する。
【0032】
MdsRNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖を有するdsRNAを含み、dsRNAは、少なくとも30塩基対のヌクレオチド(塩基対)を含み、ヌクレオチドリボースの少なくとも5%は、転写後修飾されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、MdsRNAは、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90又は少なくとも100塩基対の長さを有する。MdsRNAセンス鎖はセンス配列を含み、MdsRNAアンチセンス鎖はアンチセンス配列を含む。アンチセンス配列は、標的遺伝子転写mRNA又は非翻訳RNA(即ち、発現RNA)に存在するヌクレオチド配列に対して100%(完全に)相補的、又は少なくとも90%(実質的に)相補的、又は少なくとも80%(部分的に)相補的である。センス配列は、アンチセンス配列に対して100%(完全に)相補的、又は少なくとも90%(実質的に)相補的、又は少なくとも80%(部分的に)相補的である。センス配列はまた、標的遺伝子mRNA又は非翻訳RNAに存在するヌクレオチド配列(標的配列)と100%同一、少なくとも90%同一、又は少なくとも80%同一であり得る。センス配列及び対応するアンチセンス配列は、互いに部分的に(少なくとも80%)、実質的に(90%)又は完全に(100%)相補的である。いくつかの実施形態では、MdsRNAと、標的遺伝子転写mRNA又は非翻訳RNA配列の対応する配列との間の相補性(アンチセンス配列)又は同一(センス配列)の領域は、30を超える、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90又は少なくとも100ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、アンチセンス配列は、30を超える、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90又は少なくとも100ヌクレオチド長の連続配列を含み、該配列は、標的遺伝子転写mRNA又は非翻訳RNA内の対応する連続配列に対して100%相補的又は少なくとも80%相補的である。MdsRNAセンス及びアンチセンス配列は、同じ長さであり得又は異なる長さであり得る。好適なセンス及びアンチセンス配列は、当該技術分野で容易に入手可能な既知の方法を用いて特定することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、MdsRNAセンス鎖は、アンチセンス鎖に接続される。センス鎖は、ハイブリダイズしないヘアピン又はループ配列を介してアンチセンス鎖に接続され得る。ループ配列は、約4~100又はそれを超えるヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、ループは、150以上のヌクレオチド長である(Hauge et al.2009)。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、非限定的に:プロモーター配列、5’配列、3’配列、ターミネーター配列及びポリA配列を含む1つ以上の追加の配列を更に含む。
【0035】
プロモーターは、遺伝子の転写を開始させるDNAの領域(配列)である。プロモーターは、細菌プロモーター、古細菌プロモーター、真核生物プロモーター又はPol I、Pol II若しくはPoll IIIプロモーターであり得る。いくつかの実施形態では、細菌プロモーターは、転写開始部位から約35bp上流に配列5’-TTGACA-3’を含み、転写開始部位から約10bp上流に配列5’-TATAAT-3’を含む。異なる発現システムとの使用に好適な他のプロモーターは、当該技術分野にて周知である。
【0036】
MdsRNA
いくつかの実施形態では、MdsRNAの塩基対ヌクレオチドの5%超がリボース2’-OH位において転写後化学修飾される。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、リボース2’-OH位に置換を含む。いくつかの実施形態では、記載されるMdsRNAは、バックボーンリボース2’-OH位において化学的に置換されたヌクレオチドを含み、化学的に置換されたヌクレオチドは、独立して式(I):
【化2】
を含み、式中、nは、0又は1であり、R
1は、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビルであり又はそれを含み、塩基は、独立して、非限定的に:アデニン、グアニン、シトシン又はウラシル等の核酸塩基を含む(1’、2’、3’、4’及び5’は、リボース環における炭素原子位置を示す)。
【0037】
いくつかの実施形態では、R1は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール又は置換アリールであり得る。いくつかの実施形態では、R1は、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル又はC1~C10アルキニルであり得、アルキル及びアルケニルは、直鎖状、分枝状又は環状であり得る。いくつかの実施形態では、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ビニル、アリル、エチニル、ベンジル、シンナミル等であり得る。いくつかの実施形態では、R1は、C6~C14アリール又はC6~C14置換アリールであり得る。いくつかの実施形態では、R1は、ヘテロシクリル又はC5~C14ヘテロシクリルであり得る。いくつかの実施形態では、n=0であり、R1は、フェニル、一又は二置換フェニルであり得、置換基は、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル及びトリフルオロメチルから選択される。いくつかの実施形態では、n=0であり、R1は、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、2-トリフルオロメチルフェニル又は4-トリフルオロメチルフェニルであり得る。いくつかの実施形態では、R1は、スチリル又はC8~C16置換スチリルであり得る。いくつかの実施形態では、n=1であり、R1は水素である。いくつかの実施形態では、n=1であり、R1は、フェニル、一若しくは二置換フェニル2-アミノフェニル又は一若しくは二置換2-アミノフェニルであり得、置換基は、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル及びトリフルオロメチルから選択される。いくつかの実施形態では、n=1であり、R1は、N-アルキル-2-アミノフェニル又はN-アリール-2-アミノフェニルであり得、アルキルは、式-CmH2m+1(mは、12以下の整数である)を有し、アリールは、芳香族部分である。いくつかの実施形態では、n=1であり、R1は、2-アミノ-3-メチル-フェニル、2-アミノ-5-クロロフェニル、2-メチル-5-クロロフェニル、N-メチル-2-アミノ(N-methyla-2-mino)フェニル、N-エチル-2-アミノフェニル、N-プロピル-2-アミノフェニル、N-ブチル2-アミノフェニル、N-ペンチル-2-アミノフェニル、N-メチル-2-アミノ-4-ニトロフェニル、2-メチル-3-フリル、2-メチルニコチル又はN-トリフルオロメチル-2-アミノフェニルであり得る。いくつかの実施形態では、n=0であり、R1は、シラニル、置換シラニル、C1~C10アルキルシラニル又はC3~C12トリアルキルシラニルであり得る。いくつかの実施形態では、R1は、C2~C12アルコキシアルキル、C2~C12アルコキシアルケニル、C2~C12アルキルチオアルキル、アルキルスルホニル、C1~C10アルキルスルホニル、C1~C10ハロアルキル、C1~C10ハロアルケニル又はC1~C10アミノアルキルであり得る。C1~C10は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9及びC10を含む。同様に、C2~C12は、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11及びC12を含む。同じく、C5~C14、C6~C14、C8~C16、C3~C12は、所定の範囲内の個々の可能な式の各々を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、n=0であり、R1は、-(CH2CH2O)pCH3、-(CH2CH2O)pH又は-(CH2CH2O)pCOOR4であり得、pは、2以上の整数であり、R4は、H、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである。いくつかの実施形態では、pは、2~8の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、R1は、-(CH2CH2O)8COOH、-CH2CH2OH、-(CH2CH2O)4OH、-(CH2CH2O)6OH、-(CH2CH2O)8OH、-(CH2CH2O)8COOMe、-(CH2CH2O)4OMe、-(CH2CH2O)6OMe、-(CH2CH2O)8OMe、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3又は-CH2OCH2CH2OCH3であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、MdsRNAのリボース環の10%超、20%超、25%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、75%超、80%超又は90%超は、2’-OH位で置換されている。いくつかの実施形態では、MdsRNAのリボース環の5~95%、10~95%、20~95%、30~95%、40~95%、50~95%、60~95%、70~95%、80~95%、90~95%、10~90%、10~80%、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、0~30%又は10~25%は、2’-OH位で置換されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、dsRNAのリボース環の1つ以上の2’-OH基において化学修飾を含む疎水性部分を有するMdsRNAコンストラクトを記載する。疎水性部分は、MdsRNAの親油性の特性を増大させ、それらの有機溶媒中での溶解度の増大、及び水中での溶解度の低下をもたらす。本発明者らは、リボース環の40%がベンゾイル基で化学修飾されたMdsRNAは、対応するUdsRNAと比較して水中の溶解度が30%低いことを観察した。疎水性の増大は、生体膜を横切るMdsRNAの拡散を増大又は向上させ得る。拡散の増大は、より低い濃度で有害生物宿主内の標的遺伝子ノックダウンを改善し、それにより適用の全費用を低減することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、式Iの化学修飾dsRNAコンストラクトに関する計算されたオクタノール/水分配係数(Kow)又はHLBは、増大する。リボース環の40%がベンゾイル基で化学修飾された、いくつかのMdsRNAは、対応するUdsRNAと比較して、Kowが15倍を超えて増大した。リボース環の40%が(の)N-メチルアンスラニル基で化学修飾された、いくつかのMdsRNAは、対応するUdsRNAと比較して、Kowが30倍を超えて増大した。生体膜を横切る化学修飾dsRNAの、予想される拡散率は、より高い。より高い拡散は、遺伝子発現の阻害におけるMdsRNAの有効性の増大をもたらすと見なされている。
【0042】
いくつかの実施形態では、記載されるMdsRNAは、それらの対応する非修飾dsRNAよりも安定である。安定性の増大は、宿主又は環境のリボヌクレアーゼによるMdsRNAの分解を低減するため、送達及び/又は有効性を改善することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、記載されるMdsRNAコンストラクトは、二重鎖リボヌクレアーゼによる分解に対して、改善された安定性を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、記載されるMdsRNAは、宿主生物における標的遺伝子発現を阻害又はノックダウンする。標的遺伝子発現の阻害は、宿主生物の生存率の低下に繋がる場合がある。いくつかの実施形態では、標的遺伝子発現の阻害は、宿主生物の成長、勢い、疾病抵抗性、生存能、乾燥耐性等の改善に繋がる場合がある。いくつかの実施形態では、宿主によるMdsRNAの摂取により標的遺伝子発現の阻害がもたらされる。理論に束縛されるものではないが、摂取されたMdsRNAは、宿主の細胞機構によってRNAiトリガーに加工され、これは次いでRNA干渉により遺伝子発現を阻害し得ると考えられる。
【0045】
当業者は、本発明の教示が、アプタマー、アンチセンス、mRNA及び他の長いRNAの調製において有用なssRNAの安定性を改善するよう適合され得ることを理解するであろう。当業者は、本発明の教示が、例えば中でも蠕虫、アメーバ、外寄生生物、寄生真菌又は原虫を原因とする寄生虫症の処置に関して示される、ヒト又は動物の抗寄生虫活性成分の製剤において有用なRNAの安定性を改善するよう適合され得ることを理解するであろう。
【0046】
UdsRNAの転写後修飾
本発明者らは、化学反応関与体がリボースの2’-OH位の十分なヒドロキシルと反応して、記載されるMdsRNAを生成するように、UdsRNAを好適な範囲の反応条件下で好適な化学反応関与体と反応させることを記載する。記載される製剤は、改善された有効性を提供し、かつ拡張可能である。それらは、農業及び/又は都市使用のために経済的に製造されるように十分大きい体積で行うことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、式(I)を含むMdsRNAを形成するためのUdsRNAの転写後修飾は:
(a)所望のUdsRNAを、水及び非プロトン性溶媒を含む溶媒混合物と約30℃~約80℃の温度で接触させることと、
(b)場合によりUdsRNA溶媒混合物を触媒と接触させることと、
(c)混合物を:
(i)R2-X[式(II)]を含むアルキル化剤、又は
(ii)R3-X[式(III)]を含むアシル化剤から選択される化学反応関与体と接触させることと、
(c)場合によりUdsRNA溶媒混合物を1つ以上の触媒と接触させることと、
(d)反応関与体がUdsRNAを所望の程度に修飾するのに必要な時間の間、約30℃~約95℃に加熱することにより、MdsRNAを形成することと、を含む。
【0048】
好適な非プロトン性溶媒としては、非限定的に:DMSO、DMF、ジメチルアセトアミド、THF、ジオキサン、アセトニトリル及びウレアが挙げられる。溶媒混合物中の非プロトン性溶媒の割合は、40%~95%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%であり得る。溶媒混合物の温度は、約30℃~約80℃又は約50℃~約70℃又は約60℃~約70℃で様々であり得る。
【0049】
好適な触媒としては、非限定的に:DMAP(ジメチルアミノピリジン)、1,6-ジベンジル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(BnsDMAP)、1,6-ジエチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(EtsDMAP)、1,6-ジメチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(MesDMAP(Rycke et al.2010))、アミジン、イソチオウレア、グアニジン、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール(HOBt)及び1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(azabentriazole)(HOAt)が挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、式(II)のR2は、R1である。いくつかの実施形態では、式(II)のR2は、非限定的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル、C1~C10アルキニル、アリール、置換C6~C14アリール、C5~C14ヘテロシクリル又は(CH2CH2O)pCOOR4であり得、pは、2以上の整数であり、R4は、H、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである。アルキル及びアルケニルは、直鎖状、分枝状又は環状であり得る。いくつかの実施形態では、式(II)のXは、非限定的に、ヒドロキシル、ハロゲン又はシアノであり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、好適な式(II)のアルキル化剤としては、非限定的に:塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化ベンジル、1-フルオロ-2-ニトロベンゼン,1-フルオロ-4-ニトロベンゼン、1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン、クロロ-2,4-ジニトロベンゼン、フルオロ-2-トリフルオロメチルフェニル、フルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル、エチルアルコール、n-ブチル臭化物、オクタンニトリル、4-ブロモアニソール、シンナミルアルコール及び塩化トリメチルシリル(trimehylsilyl)が挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、式(III)のR3は、R1-(CO)である。いくつかの実施形態では、式(III)のR3は、非限定的に、C1~C10アルカノイル、置換アルカノイル、ベンゾイル、アロイル、C6~C14置換アロイル、シンナモイル、C8~C16置換シンナモイル、アントラノイル又は置換アントラノイルであり得る。いくつかの実施形態では、式(III)のXは、非限定的に、H、ONa、塩化物、シアン化物、アルカノイルオキシ又は環状無水物であり得る。好適な無水物としては、非限定的に、イサト酸無水物、置換イサト酸無水物、N-アルキルイサト酸無水物及びN-アリールイサト酸無水物が挙げられ、アルキルは、式-CmH2m+1を有し、式中、mは5以上の整数であり、アリールは芳香族部分である。
【0053】
いくつかの実施形態では、式(III)の好適なアシル化剤としては、非限定的に、塩化ホルミル、塩化アセチル、塩化ブタノイル、塩化ピバロイル、塩化ベンゾイル、シアン化ベンゾイル、酢酸無水物、プロピオン無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、N-メチルイサト酸無水物(NMIA)、N-エチルイサト酸無水物、N-プロピルイサト酸無水物、N-ブチルイサト酸無水物、N-ペンチルイサト酸無水物、1-メチル-7-ニトロイサト酸無水物、N-トリフルオロメチルイサト酸無水物、3-メチルイサト酸無水物、5-クロロイサト酸無水物、5-クロロイサト酸無水物、2-メチル-3-フロ酸イミダゾリド及び2-メチルニコチン酸イミダゾリドが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、UdsRNAとアルキル化又はアシル化剤とのモル比は、約1:3~約1:300の範囲である。いくつかの実施形態では、UdsRNAとアルキル化又はアシル化剤とのモル比は、約1:3~約1:10、約1:10~約1:50、約1:50~約1:100又は約1:100~約1:200の範囲である。
【0055】
いくつかの実施形態では、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、UdsRNAをNMIAと反応させる。
【0056】
いくつかの実施形態では、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、UdsRNAをBzCNと反応させる。
【0057】
いくつかの実施形態では、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、UdsRNAをFDNBと反応させる。
【0058】
いくつかの実施形態では、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、UdsRNAをBzCNと反応させる。
【0059】
いくつかの実施形態では、UdsRNAに触媒が加えられ、次いでこれを、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、NMIA、BzCN又はFDNBと反応させる。
【0060】
いくつかの実施形態では、触媒は、NMIA、BzCN又はFDNBをUdsRNAに加えた後に、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、加えられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、DMAPは、NMIA又はBzCNをUdsRNAに加えた後、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、加えられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、炭酸カリウムは、FDNBをUdsRNAに加えた後、15%~90%のジメチルスルホキシドを含む溶媒混合物中、40℃~70℃の温度範囲で約30分間、加えられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、反応後、MdsRNAを含む混合物を約25℃に急速に冷却し、その後、水又は他の好適な溶媒を急速に加える。
【0064】
いくつかの実施形態では、反応後、MdsRNAを含む混合物を、30分間を超える時間をかけて約25℃に徐々に冷却し、その後、水又は他の好適な溶媒を、30分間を超える時間をかけて加える。
【0065】
いくつかの実施形態では、MdsRNAを構成する、化学的に誘導体化されたRNA分子を単離及び精製する。MdsRNAは、場合により、沈殿、抽出、部分的に混和性の溶媒を用いた抽出、限外濾過吸着、当該技術分野で既知の他の方法、又はそれらの組み合わせによって単離精製され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、水で希釈後のMdsRNAを含む約25℃の混合物は、更に約4℃に冷却され、MdsRNAを含む不溶性画分は、場合により、濾過、デカンテーション、部分的に混和性の溶媒を用いた抽出、遠心分離、限外濾過又はそれらの組み合わせによって回収される。
【0067】
いくつかの実施形態では、エタノール、メタノール又はアルコールの混合物で希釈後のMdsRNAを含む約25℃の混合物は、更に約-20℃に冷却され、MdsRNAを含む不溶性画分は、場合により、濾過、デカンテーション、部分的に混和性の溶媒を用いた抽出、遠心分離、限外濾過又はそれらの組み合わせによって回収される。
【0068】
ここにて本明細書に記載される方法は、例に記載されるものからの配列を修飾して、標的化宿主生物内の標的化遺伝子の配列を反映することによって、異なる宿主内の異なる遺伝子を標的とするように修飾することができる。従って、記載される例は、任意の所定の宿主細胞における特定の遺伝子を抑制するのに最高のRNAi効果を得るためのツールと、そのようなRNAiトリガーを大量に生産するための手段とを当業者に提供する。
【0069】
宿主生物における遺伝子の阻害に好適なMdsRNA
本発明者らは、宿主生物における標的遺伝子の阻害に好適なMdsRNAの形成方法を記載し、該方法は:
a)宿主生物内でmRNA又は非翻訳RNAを発現している標的遺伝子を特定することと、
b)発現RNAの配列に相補的な配列を有するUdsRNAを発現するための発現ベクターを作製することと、
c)UdsRNA転写産物を生成することと、
d)転写産物を転写後修飾して、MdsRNAを生成することと、
e)場合によりMdsRNAを精製することと、を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明者らは、宿主内で標的遺伝子の発現を阻害するための組成物の生成方法を記載し、該方法は:
a)標的遺伝子を選択することであって、標的遺伝子は、宿主内でRNAを発現する、選択することと、
b)発現RNAの配列の少なくとも一部分をコードするdsRNA転写産物を生成することと、
c)dsRNA転写産物を転写後に化学修飾して、標的遺伝子の発現を阻害することが可能なMdsRNAを形成することと、
d)場合によりMdsRNAを精製することと、を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、宿主生物は、農業有害生物であり得る。農業有害生物は、非限定的に、農産物に対して、又は農産物の生産に対して、又は動物若しくはヒト集団に対して負の影響を有する、又は有する可能性がある動物、真菌又は植物であり得る。農業有害生物は、非限定的に、昆虫、真菌又は雑草あり得る。負の影響は、作物収穫高若しくは産物収穫高の低下、又は疾病の伝播若しくは蔓延、又は果物若しくは野菜のより低い品質であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子は、農業有害生物の成長又は繁殖に必要な遺伝子である。そのような必須遺伝子の例としては、非限定的に、脱皮又は他の幼虫発達事象の制御、アクチン又は他の細胞構造成分に関与する遺伝子、及び標的有害生物の生存能に必須の実質的に任意の遺伝子が挙げられる。
【0073】
いくつかの実施形態では、発現ベクターを使用して、RNA転写産物を生成する。UdsRNAを発現するための発現ベクターは、当該技術分野で周知である。発現ベクターは、センス配列及びアンチセンス配列、又はセンス配列及びアンチセンス配列の両方を有するRNAを発現することができる。センス配列を発現するための発現ベクターは、高頻度で、相補的な又は対応するアンチセンス配列を発現するための発現ベクターと対にされる。いくつかの実施形態では、センス及びアンチセンスベクターは、別個に転写され、続いてRNA転写産物は、センス及びアンチセンス配列の塩基対合を可能にする条件下で組み合わされ得る。センス及びアンチセンス配列の両方を発現するための発現ベクターは、センス及びアンチセンス配列を含む別個の転写産物を発現することができる。いくつかの実施形態では、センス及びアンチセンス配列の両方を発現するための発現ベクターは、単一の転写産物上にセンス及びアンチセンス配列の両方を発現することができる。センス及びアンチセンス配列の両方を含む転写産物は、ヘアピン又はループ配列を含む。
【0074】
センス及びアンチセンス配列に加えて、発現ベクターは、典型的には、プロモーター配列及びターミネーター配列を含む。発現ベクターはまた、追加の転写5’及び3’配列を含むことができる。発現ベクターはまた、所望のRNA内に転写されないが、クローニングを補助するのに使用される(例えば多重クローニング部位)又は複製(例えば、複製の開始点)、選択(アンピシリン耐性)若しくはファージパッケージングを促進する配列を含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、センス配列は、アンチセンス配列に対して100%未満、相補的であるように設計される。センス鎖は、挿入、欠失、ミスマッチ又は挿入、欠失若しくはミスマッチの組み合わせを有することができる。いくつかの実施形態では、センス配列は、5~33ヌクレオチド毎に追加のヌクレオチド(挿入)を含む。いくつかの実施形態では、センス配列は、5~33ヌクレオチド毎に追加のジヌクレオチド(挿入)を含む。いくつかの実施形態では、センス配列は、5~33ヌクレオチド毎に削除ヌクレオチド(欠失)を含む。いくつかの実施形態では、センス配列は、5~33ヌクレオチド毎にミスマッチ変異を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、UdsRNAの生成に使用されるDNA配列が記載される。記載されるDNA配列は、異なる宿主動物、真菌又は植物が発現した標的遺伝子に基づいて、異なるアンチセンス配列をコードする。DNA配列から生成されたUdsRNAは、修飾されてMdsRNAを形成する。次いで、MdsRNAは精製され、宿主動物、真菌又は植物に供給又は適用されて、宿主における標的遺伝子の発現の低下がもたらされ得る。
【0077】
他の標的遺伝子に対して相補性を有するアンチセンス配列をコードするUdsRNAを生成するためのDNA配列は、当該技術分野で利用可能な知識及び技術を用いて容易に生成される。
【0078】
UdsRNAの転写後修飾、及びMdsRNAの精製は、上記に記載した通りである。
【0079】
記載されるような修飾及び使用のためのUdsRNAの形成は、当該技術分野で典型的な任意の手段により行うことができる。RNA転写物(transcription)を生成する例示的な方法としては、非限定的に、インビトロ転写(Timmons 2006)、古細菌、細菌、酵母、植物若しくは哺乳動物細胞内での発現を用いた発酵(Fire et al.1998)及び/又は所望のポリヌクレオチドの転写と、バクテリオファージQβ又はMS2のもの等の自己集合バクテリオファージカプシドタンパク質の発現とのカップリング(米国特許第20160208221号及び米国特許第20140302593号)が挙げられる。作物保護用途に必要なUdsRNAの調製及び精製のための商業的に実現可能な大規模方法が記載されている(米国特許出願公開第20160177299号)。次いで、UdsRNAは、記載されるように化学修飾され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、本方法は、MdsRNAの大規模製造に使用することができる。いくつかの実施形態では、大規模製造とは、1グラムを超える量におけるものを意味する。いくつかの実施形態では、大規模製造とは、1キログラムを超える量におけるものを意味する。いくつかの実施形態では、大規模製造とは、100キログラムを超える量におけるものを意味する。いくつかの実施形態では、大規模製造とは、1メートルトンを超える量におけるものを意味する。
【0081】
農業/農薬組成物
いくつかの実施形態では、本発明者らは、記載されるMdsRNAを含む組成物を記載する。いくつかの実施形態では、MdsRNA含有組成物は、農業用途用に配合される(農薬組成物)。
【0082】
本明細書で使用されるとき、農薬組成物は、有効量の少なくとも1つのMdsRNA及び場合により1つ以上の許容可能な担体又は賦形剤を含む。担体及び賦形剤は、安全性に関して適切に評価されており、組成物中に意図的に含められるMdsRNA以外の物質である。賦形剤は、a)製造中のMdsRNAの加工を補助する、b)MdsRNAの安定性若しくはバイオアベイラビリティを保護し、支持し若しくは向上させる、c)生成物の同定を補助する、及び/又はd)貯蔵若しくは使用中のMdsRNAの送達の全般的な安全性、有効性の任意の他の特質を向上させるように作用することができる。許容可能な担体又は賦形剤は、不活性物質であり得又はあり得ない。本明細書で使用されるとき、「有効量」は、意図される結果を生じるためのMdsRNAの量を指す。
【0083】
担体及び賦形剤としては、非限定的に:吸収促進剤、抗付着剤(anti-adherent)、消泡剤、抗酸化剤、結合剤、結合剤、緩衝剤(pH調整剤)、キレート化剤、コーティング剤、着色剤、送達向上剤、デキストラン、右旋糖、希釈剤、錠剤崩壊剤、分散剤、乳化剤、増量剤、充填剤、泡制御剤、流動促進剤、保水剤、滑沢剤、油、色素、ポリマー、保存剤、生理食塩水、塩、溶媒、糖、界面活性剤、懸濁剤、徐放マトリクス、甘味剤、増粘剤、等張化剤、ビヒクル、撥水剤及び湿潤剤が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は:除草剤、殺真菌剤、殺虫剤及び肥料を含む群から選択される1つ以上の薬剤を含む。
【0085】
記載されるMdsRNA及びMdsRNAを含む組成物は、このような材料を植物上に又は餌中に適用することを容易にするため、及び田畑内又は都市環境内で使用するために、当業者に既知の多数の異なる方法で加工され得る。本明細書に開示する、記載されるMdsRNA及びMdsRNAを含む組成物は、キット、容器、パック又はディスペンサー内に包装又は収容され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、2つ以上の異なるMdsRNAを含む。MdsRNAは、同じ標的遺伝子に相補的な異なるアンチセンス配列、同じ又は異なる宿主における異なる標的(traget)遺伝子に相補的な異なるアンチセンス配列、異なる又は同様の長さ、及び異なる又は同様の転写後修飾を有することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、乳化可能な農業用濃縮物である。いくつかの実施形態では、乳化可能な農業用濃縮物は、非限定的に;担体、賦形剤、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、肥料又はそれらの組み合わせであり得る少なくとも1つの薬剤を更に含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、1つ以上の除草剤を含む。好適な除草剤の非限定的な例としては、非限定的に、イミダゾリノン、アセトクロール、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アクロレイン、AKH-7088、アラクロール、アロキシジム、アメトリン、アミドスルフロン、アミトロール、アンモニウムスルファメート、アニロホス、アシュラム、アトラジン、アザフェニジン、アジムスルフロン、BAS 620H、BAS 654 00H、BAY FOE 5043、ベナゾリン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ベンスルフロン-メチル、ベンスライド、ベンタゾン、ベンゾフェナップ、ビフェノックス、ビラナホス、ビスピリバック-ナトリウム、ブロマシル、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、ブタクロール、ブタミホス、ブトラリン、ブトロキシジム、ブチレート、カフェンストロール、カルベタミド、カルフェントラゾン-エチル、クロルメトキシフェン、クロラムベン、クロルブロムロン、クロリダゾン、クロリムロン-エチル、クロロ酢酸、クロロトルロン、クロルプロファム、クロルスルフロン、クロルタール-ジメチル、クロルチアミド、シンメチリン、シノスルフロン、クレトジム、クロジナホップ-プロパルギル、クロマゾン、クロメプロップ、クロピラリド、クロランスラム-メチル、シアナジン、シクロエート、シクロスルファムロン、シクロキシジム、シハロホップ-ブチル、2,4-D、ダイムロン、ダラポン、ダゾメット、2,4DB、デスメジファム、デスメトリン、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ-P、ジクロホップ-メチル、ジフェンゾクアットメチルスルフェート、ジフルフェニカン、ジメフロン、ジメピペレート、ジメタクロル、ジメタメトリン、ジメテナミド、ジメチピン、ジメチルアルシン酸、ジニトラミン、ジノカップ、ジノテルブ、ジフェナミド、ジクアットジブロミド、ジチオピル、ジウロン、DNOC、EPTC、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エタメツルフロン-メチル、エトフメセート、エトキシスルフロン、エトベンザニド、フェノキサプロップ-P-エチル、フェヌロン、硫酸第一鉄、フラムプロップ-M、フラザスルフロン、フルアジホップ-ブチル、フルアジホップ-P-ブチル、フルクロラリン、フルメツラム、フルミクロラク-ペンチル、フルミオキサジン、フルオメツロン、フルオログリコフェン-エチル、フルポキサム、フルプロパネート、フルピルスルフロン-メチル-ナトリウム、フルレノール、フルリドン、フルロクロリドン、フルロキシピル、フルルタモン、フルチアセト-メチル、ホメサフェン、フォサミン、グルホシネート-アンモニウム、グリホセート、グリホシネート、ハロスルフロン-メチル、ハロキシホップ、HC-252、ヘキサジノン、イマザメタベンズ-メチル、イマザモックス、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルロン、イミダジリノン、インダノファン、イノキシニル、イソプロツロン、イソウロン、イソキサベン、イソキサフルトール、ラクトフェン、レナシル、リヌロン、MCPA、MCPA-チオエチル、MCPB、メコプロップ、メコプロップ-P、メフェナセット、メタミトロン、メタザクロル、メタベンズチアズロン、メチルアルソン酸、メチルジムロン、メチルイソチオシナネート、メトベンズロン、メトブロムロン、メトラクロル、メトスラム、メトクスロン、メトリブジン、メトスルフロン-メチル、モリネート、モノリニュロン、ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプタラム、ネブロン、ニコスルフロン、ノナン酸、ノルフルラゾン、オレイン酸(脂肪酸)又はベンカルボリザリン(bencarboryzalin)、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサスルフロン、オキシフロルフェン、パラクアットジクロリド、ペブレート、ペンジメタリン、ペンタクロロフェノール、ペンタノクロル、ペントキサゾン、石油、フェンメディファム、ピクロラム、ピペロホス、プレチラクロール、プリミスルフロン-メチル、プロジアミン、プロメトン、プロメトリン、プロパクロル、プロパニル、プロパキザホップ、プロパジン、プロファム、プロピソクロル、プロピザミド、プロスルホカルブ、プロスルフロン、ピラフルフェン-エチル、ピラゾリネート、ピラゾスルフロン-エチル、ピラゾキシフェン、ピリブチカルブ、ピリデート、ピリミノバック-メチル、ピリチオバック-ナトリウム、キンクロラク、キンメラク、キノクラミン、キザロホップ、キザロホップ-P、リムスルフロン、セトキシジム、シズロン、シマジン、シメトリン、塩素酸ナトリウム、STS系(スルホニルウレア)、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホメツロン-メチル、スルホスルフロン、硫酸、タール油、2,3,6-TBA、TCA-ナトリウム、テブタム、テブチウロン、テルバシル、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、ニルクロル、チアゾピル、チフェンスルフロン-メチル、チオベンカルブ、チオカルバジル、トラルコキシジム、トリ-アラート、トリアスルフロン、トリアジフラム、トリベヌロン-メチル、トリクロピル、トリエタジン、トリフルラリン、トリフルスルフロン-メチル、ベルノレート及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、1つ以上の殺真菌剤を含む。好適な殺真菌剤としては、非限定的に、3,3’-エチレンビス(テトラヒドロ-4,6-ジメチル-2H-1,3,5-チアジアジン-2-チオン)、亜鉛又はマンガンエチレンビス(ジチオカルバメート)、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)ジスルフィド、亜鉛プロピレン-ビス-(ジチオカルバメート)、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)エチレンジアミン、ニッケルジメチル-ジチオカルバメート、メチル1-(ブチルカルバモイル)-2-ベンゾイミダゾールカルバメート、1,2-ビス(3-メトキシカルボニル-2-チオウレイド)ベンゼン、1-イソプロピルカルバモイル-3-(3,5-ジクロロフェニル)-ヒダントイン、カリウムN-ヒドロキシメチル-N-メチルジチオカルバメート及び5-メチル-10-ブトキシカルボニルアミノ-10,11-デヒドロジベンゾ(b,f)アゼピン等のカルバミン酸塩殺真菌剤;亜鉛ビス(1-ヒドロキシ-2(1H)ピリジンチオネート)及び2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム塩等のピリジン殺真菌剤;O,O-ジイソプロピルエチルアミンS-ベンジルホスホロチオエート及びO-エチルS,S-ジフェニルジチオホスフェート等のリン殺真菌剤;N-(2,6-ジエチルフェニル)フタルイミド及びN-(2,6-ジエチルフェニル)-4-メチルフタルイミド等のフタルイミド殺真菌剤;N-トリクロロメチルチオ-4-シクロキセン-1,2-ジカルボキシイミド及びN-テトラクロロエチルチオ-4-シクロキセン-1,2-ジカルボキシイミド等のジカルボキシイミド殺真菌剤;5,6-ジヒドロ-2-メチル-1,4-オキサチン-3-カルボキサニリド-4,4-ジオキシド及び5,6-ジヒドロ-2-メチル-1,4-オキサチン-3-カルボキサニリド等のオキサチン殺真菌剤;2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン、2-オキシ-3-クロロ-1,4-ナフトキノン銅硫酸塩等のナフトキノン殺真菌剤;ペンタクロロニトロベンゼン;1,4-ジクロロ-2,5-ジメトキシベンゼン;5-メチル-s-トリアゾール(3,4-b)ベンゾチアゾール;2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール;3-ヒドロキシ-5-メチルイソオキサゾール;N-2,3-ジクロロフェニルテトラクロロフタルアミド酸;5-エトキシ-3-トリクロロメチル-1-2,4-チアジアゾール;2,4-ジクロロ-6-(O-クロロアニリノ)-1,3,5-トリアジン;2,3-ジシアノ-1,4-ジチオ-アントラキノン;銅8-キノリネート、ポリオキシン;バリダマイシン;シクロヘキシミド;メタンアルソン酸鉄;ジイソプロピルエチルアミン-1,3-ジチオラン-2-イリデンマロネート;3-アリルオキシ-1,2-ベンゾイソチアゾール-1,1-ジオキシド;カスガマイシン;ブラストサイジンS;4,5,6,7-テトラ-クロロフタリド;3-(3,5-ジクロロフェニル)-5-エテニル-5-メチルオキサゾリジン-2,4-ジオン;N-(3,5-ジクロロフェニル)-1,2-ジメチルシクロプロパン-1,2-ジカルボキシイミド;S-n-ブチル-5’-パラ-t-ブチルベンジル-N-3-ピリジルジチオカルボニルイミデート;4-クロロフェノキシ-3,3-ジメチル-1-(1H,1,3,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン;メチル-D,L-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(2’-メトキシアセチル)アラニネート;N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]ホスホロ(phosphor)-1-カルボキサミド;N-(3,5-ジクロロフェニル)-スクシンイミド;テトラクロロイソフタロニトリル;2-ジメチルアミノ-4-メチル-5-n-ブチル-6-ヒドロキシピリジミン;2,6-ジクロロ-4-ニトロアニリン;3-メチル-4-クロロベンゾチアゾール-2-オン;1,2,5,6-テトラヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-I,j]ホスホロ(phosphor)-2-オン;3’-イソプロポキシ-2-メチル-ベンズアニリド;1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-イルメチル]-1H,1,2,4-トリアゾール;1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン;塩基性塩化銅;塩基性硫酸銅;N’-ジクロロフルオロメチルチオ-N,N-ジメチル-N-フェニルスルファミド;エチル-N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)チオカルバメート塩酸塩;ピオマイシン(piomycin);S,S-6-メチルキノキサリン-2,3-ジイルジチオ-カーボネート;亜鉛及びマンネブ(manneb)の複合体;ジ-亜鉛ビス(ジメチルジチオカルバメート)エチレンビス(ジチオカルバメート)及びグリホセート;クロロタロニル系殺真菌剤、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン及びトリフロキシストロビン等のストロビルリン系殺真菌剤;並びにミクロブタニル、プロピコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール等のトリアゾール系殺真菌剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、1つ以上の殺虫剤を含む。好適な殺虫剤としては、非限定的に、O,O-ジエチルO-(2-イソプロピル-4-メチル-6-ピリミジニル)ホスホロチオエート、O,O-ジメチルS-2-[(エチルチオ)エチル]ホスホロジチオエート、O,O-ジメチルO-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-チオホスフェート、O,O-ジメチルS-(N-メチルカルバモイルメチル)-ホスホロジチオエート、O,O-ジメチルS-(N-メチル-N-ホルミルカルバモイルメチル)ホスホロ-ジチオエート、O,O-ジメチルS-2-[(エチルチオ)エチル]ホスホロジチオエート、O,O-ジエチルS-2-[(エチルチオ)エチル]ホスホロジチオエート、O,O-ジメチル-1-ヒドロキシ-2,2,2-トリクロロエチルホスホネート、O,O-ジエチル-O-(5-フェニル-3-イソオキサゾリル)ホスホロチオエート、O,O-ジメチルO-(2,5-ジクロロ-4-ブロモフェニル)ホスホロチオエート、O,O-ジメチルO-(3-メチル-4-メチルメルカプトフェニル)-チオホスフェート、O-エチルO-p-シアノフェニルフェニル-ホスホロチオエート、O,O-ジメチル-S-(1,2-ジカルボエトキシエチル)ホスホロジチオエート、2-クロロ-(2,4,5-トリクロロフェニル)ビニルジメチルホスフェート、2-クロロ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-ビニルジメチルホスフェート、O,O-ジメチルO-p-シアノフェニルホスホロチオエート、2,2-ジクロロビニルジメチルホスフェート、O,O-ジエチルO-2,4-ジクロロフェニルホスホロチオエート、エチルメルカプトフェニルアセテートO,O-ジメチルホスホロ-ジチオエート、S-[(6-クロロ-2-オキソ-3-ベンゾオキサゾリニル)メチル]O,O-ジエチルホスホロジチオエート、2-クロロ-1-(2,4-ジクロロフェニル)ビニルジエチルホスフェート、O,O-ジエチルO-(3-オキソ-2-フェニル-2H-ピリダジン-6-イル)ホスホロチオエート、O,O-ジメチルS-(1-メチル-2-エチルスルフィニル)-エチルホスホロチオレート、O,O-ジメチルS-フタルイミドメチルホスホロジチオエート、O,O-ジエチルS-(N-エトキシカルボニル-N-メチルカルバモイルメチル)ホスホロジチオエート、O,O-ジメチルS-[2-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール-5-(4H)-I-(4)-メチル]ジチオホスフェート、2-メトキシ-4H-1,3,2-ベンゾオキサホスホリン2-スルフィド、O,O-ジエチルO-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)ホスホロチエート、O-エチルO-2,4-ジクロロフェニルチオノベンゼンホスホネート、S-[4,6-ジアミノ-s-トリアジン-2-イル-メチル]O,O-ジメチルホスホロジチオエート、O-エチルO-p-ニトロフェニルフェニルホスホロチオエート、O,S-ジメチルN-アセチルホスホロアミドチオエート、2-ジエチルアミノ-6-メチルピリジミン-4-イル-ジエチルホスホロチオネート、2-ジエチルアミノ-6-メチルピリジミン-4-イル-ジメチルホスホロチオネート、O,O-ジエチルO-N-(メチルスルフィニル)フェニルホスホロ-チオエート、O-エチルS-プロピルO-2,4-ジクロロフェニルホスホロジチオエート及びcis-3-(ジメトキシホスフィノキシ)N-メチル-cis-クロトンアミド等のリン酸殺虫剤;1-ナフチルN-メチルカルバメート、S-メチルN-[メチルカルバモイルオキシ]チオアセトイミデート、m-トリルメチルカルバメート、3,4-キシリルメチルカルバメート、3,5-キシリルメチルカルバメート、2-sec-ブチルフェニルN-メチルカルバメート、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾフラニルメチル-カルバミン酸塩、2-イソプロポキシフェニルN-メチルカルバメート、1,3-ビス(カルバモイルチオ)-2-(N,N-ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩及び2-ジエチルアミノ-6-メチルピリジミン-4-イル-ジメチルカルバメート等のカルバミン酸塩殺虫剤;並びにN,N-ジメチルN’-(2-メチル-4-クロロフェニル)ホルムアミジン塩酸塩、硫酸ニコチン、ミルベマイシン、6-メチル-2,3-キノキサリンジチオ環状S,S-ジチオカーボネート、2,4-ジニトロ-6-sec-ブチルフェニルジメチル-アクリレート、1,1-ビス(p-クロロフェニル)2,2,2-トリクロロエタノール、2-(p-tert-ブチルフェノキシ)イソプロピル-2’-クロロエチルスルファイト、アゾキシベンゼン、ジ-(p-クロロフェニル)-シクロプロピルカルビノール、ジ[トリ(2,2-ジメチル-2-フェニルエチル)スズ]オキシド、1-(4-クロロフェニル)-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)ウレア、S-トリシクロヘキシルスズO,O-ジイソプロピルホスホロジチオエート等の他の殺虫剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、1つ以上の肥料を含む。多様な肥料が組成物中に含ませるのに好適である。肥料は、単一栄養素肥料(N、P又はK)、二成分肥料(例えばNP、NK又はPK)、NPK肥料又は多栄養素肥料(例えば、カルシウム、マグネシウム、硫黄、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛、ホウ素、ケイ素、コバルト又はバナジウムの1つ以上を提供することができる)であり得る。肥料は、天然起源又は合成起源のものであり得る。肥料は、液体又は固体であってもよく、遅延又は制御放出を提供してもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、MdsRNAは、組成物中に50重量%未満、含まれる。いくつかの実施形態では、農業組成物中のMdsRNAの量は、組成物の5重量%未満である。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、約1重量%未満、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.01重量%未満又は約0.001重量%未満の量で組成物中に存在する。
【0093】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、液体として配合される。液体製剤は、下記に記載される重量割合で、MdsRNA及び他の薬剤を全成分の溶解が達成されるまで液体中で混合することにより調製され得る。液体は、水性、イオン性又は有機液体であり得る。好適な液体としては、非限定的に、水、アルコール(例えば、メタノール及びエタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びメチルナフタレン)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン及びケロシン)、エステル(例えば、酢酸エチル及び酢酸ブチル)、ニトリル(例えば、アセトニトリル及びイソブチロニトリル)、エーテル(例えば、ジオキサン及びジイソプロピルエーテル)、酸アミド(例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド)及びハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロエタン、トリクロロエチレン及び四塩化炭素)が挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、液体製剤は、水性製剤である。いくつかの実施形態では、水性製剤は、水、MdsRNA及び他の薬剤のみを含む。いくつかの実施形態では、追加の化合物、溶媒又は補助剤が水性製剤に提供される。
【0095】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、粉末又は細粉として配合される。粉末又は細粉は、粉末又は細粉を作物に直接適用する(即ち、作物への散布により)のに好適であるよう顆粒化されてもよく、又は水等の溶媒に最終的に溶解されるために顆粒化されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、凍結乾燥物である。典型的には、MdsRNA及び他の薬剤は、一緒に凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、1つ以上のMdsRNA及び他の薬剤は、別々に凍結乾燥され得る。
【0096】
多様な好適な固体及びガス状担体が、組成物中に使用され得る。好適な固体担体としては、非限定的に、粘土(例えば、カオリン粘土、珪藻土、合成水和二酸化ケイ素、アタパルジャイト粘土、ベントナイト及び酸粘土)、タルク、増量剤、無機鉱物(例えば絹雲母、粉末化石英、粉末化硫黄、活性炭、炭酸カルシウム及び水和シリカ)の微粉末又は顆粒、及び化学肥料用の塩(例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ウレア及び塩化アンモニウム)が挙げられる。好適なガス状担体としては、例えば、ブタンガス、二酸化炭素及びフルオロカーボンガスが挙げられる。
【0097】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は分散剤を含む。分散剤の例としては、非限定的にメチルセルロース、ポリビニルアルコール、リグニン硫酸ナトリウム、高分子アルキルナフタレンスルホネート、ナトリウムナフタレンスルホネート、ポリメチレンビスナフタレンスルホネート、中性化ポリオキシエチル化誘導体及び環置換アルキルフェノールホスフェートが挙げられる。安定剤を使用して安定なエマルションを生成することもできる。例示的な安定剤としては、非限定的にケイ酸マグネシウムアルミニウム及びキサンタンゴムが挙げられる。
【0098】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、スプレーとしてエアロゾルの形態で配合される。エアロゾルスプレーとして配合される場合、組成物は一般に噴射剤と共に圧力下で容器に入れられる。好適な噴射剤の例としては、フルオロトリクロロメタン及びジクロロジフルオロメタンが挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態では、農薬組成物は、種子を含む。いくつかの実施形態では、農薬組成物は、抗真菌薬MdsRNA及び種子を含む。いくつかの実施形態では、農薬組成物は、MdsRNA、種子を含み、更に殺真菌剤を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、殺真菌性組成物(殺真菌剤を含む農薬組成物)中のMdsRNAの量は、殺真菌性組成物の約5重量%未満、約1重量%未満、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.01重量%未満又は約0.001重量%未満である。殺真菌性組成物の重量は、種子の重量を含まない。
【0101】
いくつかの実施形態では、殺真菌性組成物は、種皮中に存在し、又は種子の内部に存在する。いくつかの実施形態では、殺真菌性組成物は、該組成物が種子の外面を完全に又は部分的に覆うように種子上に形成される。種子を被覆する方法は、当該技術分野にて既知である。
【0102】
農業有害生物の制御方法
いくつかの実施形態では、MdsRNA又はMdsRNAを含む組成物を使用して農業有害生物を制御し又は農業有害生物侵入を処置する。MdsRNAは、有害生物に、又は有害生物により占められる範囲に、又は有害生物の食物源に投与され得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、有害生物を処置又は制御するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、有害生物は、動物、真菌又は雑草である。本方法は、1つ以上の記載されるMdsRNAを含む組成物を、処理するべき範囲に適用することを含む。いくつかの実施形態では、MdsRNAは、5重量%未満の量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、表面に直接適用される。いくつかの実施形態では、表面は、その上で標的化動物又は真菌有害生物が給餌される植物表面である。
【0104】
いくつかの実施形態では、標的宿主内の標的遺伝子の遺伝子発現レベル及び/又はmRNAレベルは、MdsRNA又はMdsRNA含有組成物の適用後、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%低減される。いくつかの実施形態では、農業有害生物の死亡率は、MdsRNA又はMdsRNA含有組成物の適用後、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%増大する。
【0105】
本明細書で使用されるとき、有害生物の制御とは、MdsRNAによる処置の非存在下で測定された作物損害、収穫高罹患率、成長、食欲、摂取又は繁殖の低下と比較して、作物損害、若しくは有害生物を原因とする収穫高の低下を低減し、又は有害生物の罹患率を増大させ、有害生物の成長若しくは食欲若しくは摂取を阻害し、又は有害生物の繁殖を遅延させることを意味する。
【0106】
作物用途
いくつかの実施形態では、本発明者らは、雑草以外の標的植物における標的遺伝子の発現を低減する方法を記載し、該方法は、記載されるMdsRNAの1つ以上を含む組成物を植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、植物は、作物植物である。作物植物は、植物、利益又は生存のために成長及び収穫され得る植物である。作物植物は、非限定的に、食物植物、園芸植物、花卉園芸植物又は工業用植物であり得る。いくつかの実施形態では、植物は、栽培植物である。植物は、研究室、温室、苗畑、田畑、果樹園又は他の農業環境、庭園又は他の天然若しくは都市環境内に存在し得る。いくつかの実施形態では、標的植物は、特定の状況又は位置に望ましいと見なされる植物である。
【0107】
昆虫侵入
いくつかの実施形態では、動物は、昆虫である。いくつかの実施形態では、昆虫は、鞘翅類(Coleopteran)である。鞘翅類(Coleopteran)は、非限定的に、キクイムシ、ニレハムシ、ツヤハダゴマダラカミキリ、シバンムシ、アメリカマツノキクイムシ、キムネクロナガハムシ又はコロラドハムシであり得る。いくつかの実施形態では、昆虫は、鱗翅類(Lepidopteran)である。鱗翅類(Lepidopteran)は、非限定的に、ヨトウムシ、コーンイヤーワーム、モンシロチョウ又はコットンボールワームであり得る。いくつかの実施形態では、昆虫は、膜翅類(Hymenopteran)である。膜翅類(Hymenopteran)は、非限定的に、カミアリ、アルゼンチンアリ、オオアリ、ハキリアリ、サスライアリ、ウィートステムソーフライ(wheat stem sawfly)、カラマツハラアカハバチ、マツハバチ又はトコジラミであり得る。いくつかの実施形態では、昆虫は、双翅類(Dipteran)である。双翅類(Dipteran)は、ハエ、蚊、ブヨ又は潜葉性昆虫であり得るがこれに限定される。いくつかの実施形態では、昆虫は、半翅類(Hemipteran)である。半翅類(Hemipteran)は、非限定的に、アブラムシ、ヨコバイ、害虫(bug)、コナジラミ、コナカイガラムシ又はノミであり得る。いくつかの実施形態では、昆虫は、西洋トウモロコシルートワームである。
【0108】
いくつかの実施形態では、昆虫は、1つ以上の従来の既知の殺虫剤に対する耐性を有する昆虫である。いくつかの実施形態では、ヒアリ等の昆虫は、生物多様性に対して負の影響(Wojcik et al.2001及び/又は殺虫剤に対する耐性(Zhang et al.2016)を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、蚊等の昆虫は、非限定的に:マラリア、デング熱、ジカ熱及びチクングニア熱等の疾病の媒介物として、ヒトの健康に影響を与える可能性がある(Hemingway et al.2004)。いくつかの実施形態では、ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)等の昆虫は、カンキツグリーニング病の媒介物である(Tiwari et al.2011)。
【0109】
鞘翅類(Coleopteran)、鱗翅類(Lepidopteran)、膜翅類(Hymenopteran)、双翅類(Dipteran)及び半翅類(Hemipteran)昆虫有害生物は、直接注入により又はsiRNA前駆体で処理した植物物質上の給餌により導入されるRNAiに感受性であることが既知である。ネイキッドRNAの田畑適用は、一般に、環境特異的及び非特異的分解に対するRNAの感受性に起因して実用的ではない(Baum 2016)。更に、RNAは、給餌の過程中、及び昆虫の腸内の通過中に分解を非常に受けやすい。例えば、一般的には、鱗翅類(Lepidopteran)は鞘翅類(Coleoptera〉よりも遥かに激しくRNAを分解するように思われ、このことはRNAi媒介による制御方法に対するそれらの比較的乏しい感受性の原因であり得る。記載されるMdsRNAの安定性は、RNAi経路へ送達される前にMdsRNAを宿主ヌクレアーゼから保護し、非特異的環境分解を制限する役割を果たす。にもかかわらず、記載されるMdsRNAは、環境面での安全を考慮するように十分に生分解性である。
【0110】
1つ以上のMdsRNAを含む組成物は、昆虫感染を予防するために、感染に先立って植物に適用することができる。組成物はまた、昆虫感染を処置するために、感染の徴候の出現後に適用されてもよい。組成物は、処置される植物部分に応じて多様な方法で適用することができる。例として、組成物は、種子の昆虫感染を予防するために、種まきの前に植物種子に適用することができる。組成物は、新たに種まきした種子の昆虫侵入を防止するために、種まきの時又は種まきの直前に土壌に適用することができる(即ち、発芽前として)。いくつかの実施形態では、組成物は、昆虫侵入の処置又は予防のいずれかのために、植物の発芽後に植物に、又は、発芽後に植物の葉に適用することができる(即ち、発芽後として)。例示的な実施形態では、適用は発芽期、実生成長期、栄養成長期及び生殖成長期中に行われる。いくつかの実施形態では、適用は、栄養成長期及び生殖成長期中に行われる。
【0111】
発芽前種子への組成物の適用は、フィルムコーティング、ペレット化、カプセル化、ドラムコーティング及び流動床コーティング等の様々な種子被覆技術を含むことができる。発芽後植物への適用は、噴霧又は農薬散布技術を含むことができる。
【0112】
有効量の組成物は、当該技術分野で一般に既知のいくつかの方法によって、植物又は種子に適用することができる。当業者が認識するように、「有効量」を含む組成物の量は、植物及びその生成段階、真菌標的、並びに環境条件に応じて様々であり得、及び様々であろう。一般的に言えば、典型的な適用の場合、植物又はその子孫は、約0.01mg/kg~約10重量%の活性成分の濃度を提供するのに十分な組成物の量で処置される。本方法は、植物又はその子孫に対する組成物の1回を超える適用を含むことが想定される。例えば、適用回数は、約1~約5回以上の範囲であり得る。本明細書に詳細に記載される適用は、植物の生活環の同じ又は異なる段階で行われ得る。
【0113】
真菌感染
いくつかの実施形態では、MdsRNAを使用して真菌感染を処置又は予防する。いくつかの実施形態では、真菌は、非限定的に、ベンチュリア属(Venturia)、ポドスフェラ属(Podosphaera)、エリシフェ属(Erysiphe)、モノリニア属(Monolinia)、ミコスフェレラ属(Mycosphaerella)、ウンシヌラ属(Uncinula);担子菌類(Basidiomycete)、ヘミレイア属(Hemileia)、リゾクトニア属(Rhizoctonia)、プッチニア属(Puccinia)、不完全菌(Fungi imperfecti)、ボトリティス属(Botrytis)、ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)、リンコスポリウム属(Rhynchosporium)、フザリウム属(Fusarium)、セプトリア属(Septoria)、セルコスポラ属(Cercospora)、アルテルナリア属(Alternaria)、ピリクラリア属(Pyricularia)、シュードセルコスポレラ属(Pseudocercosporella)、卵菌(Oomycete fungi)、フィトフトラ属(Phytophthora)、ペロノスポラ属(Peronospora)、ブレミア属(Bremia)、ピシウム属(Pythium)、プラスモパラ属(Plasmopara)、ダイズさび病菌(Phakopsora Pachyrhizi)、P・メイボミアエ(P.meibomiae)、スクレロフトラ・マクロスポラ(Scleropthora macrospora)、スクレロフトラ・レイイシエ(Sclerophthora rayissiae)、スクレロスポラ・グラミニコラ(Sclerospora graminicola)、ペロノスクレロスポラ・ソルギ(Peronosclerospora sorghi)、ペロノスクレロスポラ・フィリピネシス(Peronosclerospora philippinensis)、ペロノスクレロスポラ・サッカリ(Peronosclerospora sacchari)ペロノスクレロスポラ・メイディス(Peronosclerospora maydis)、フィソペラ・ゼアエ(Physopella zeae)、セルコスポラ・ゼアエ-メイディス(Cercospora zeae-maydis)、コレトトリチャム・グラミニコーラ(Colletotrichum graminicola)、ボタンタケ目(Hypocreale)、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)、エクセロヒルム・ツルキクム(Exserohilum turcicum)、カバティエル・ゼアエ(Kabatiellu zeae)、ビポラリス・メイディス(Bipolaris maydis)、ギベレラ・アベナセア(Gibberella avenacea)、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・スポロトリチオイデス(Fusarium sporotrichioides)又はフサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)であり得る。いくつかの実施形態では、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)の処理は、マイコトキシンの産生、脱メチル化阻害剤(DMI)に基づく殺真菌剤に対する耐性の出現の危険性、又はテブコナゾールのような従来のDMIに関する発癌性の懸念を低減することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、記載される農薬組成物は、真菌感染を予防するために、感染に先立って植物に適用することができる。いくつかの実施形態では、記載される農薬組成物は、真菌感染を処置するために、感染の徴候の出現後に植物に適用されてもよい。組成物は、処置される植物部分に応じて多様な方法で適用することができる。例として、組成物は、種子の真菌感染を予防するために、種まきの前に植物種子に適用することができる。組成物は、新たに種まきした種子の微生物侵入を防止するために、種まきの時又は種まきの直前に土壌に適用することができる(即ち、発芽前として)。いくつかの実施形態では、組成物は、微生物侵入の処置又は予防のいずれかのために、植物の発芽後に植物に、又は、発芽後に植物の葉に適用することができる(即ち、発芽後として)。例示的な実施形態では、適用は発芽期、実生成長期、栄養成長期及び生殖成長期中に行われる。より典型的には、適用は、栄養成長期及び生殖成長期中に行われる。
【0115】
発芽前種子への組成物の適用は、フィルムコーティング、ペレット化、カプセル化、ドラムコーティング及び流動床コーティング等の様々な種子被覆技術を含むことができる。発芽後植物への適用は、噴霧又は農薬散布技術を含むことができる。
【0116】
有効量の組成物は、当該技術分野で一般に既知のいくつかの方法によって、植物又は種子に適用することができる。当業者が認識するように、「有効量」を含む組成物の量は、植物及びその生成段階、真菌標的並びに環境条件に応じて様々であり得、及び様々であろう。一般的に言えば、典型的な適用の場合、植物又はその子孫は、約0.01mg/kg~約10重量%の活性成分の濃度を提供するのに十分な組成物の量で処置される。本方法は、植物又はその子孫に対する組成物の1回を超える適用を含むことが想定される。例えば、適用回数は、約1~約5回以上の範囲であり得る。本明細書に詳細に記載される適用は、植物の生活環の同じ又は異なる段階で行われ得る。
【0117】
定義
本明細書で使用されるとき、「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオチド以外のリボヌクレオチド(2’-ヒドロキシルヌクレオチド)である。いくつかの実施形態では、MdsRNAにおけるヌクレオチドの少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%が、合成後修飾されている。修飾ヌクレオチドは、非限定的に、リボース2’-OH置換を有するヌクレオチドを含む。
【0118】
転写RNAは、無細胞転写システム、古細菌、細菌若しくは真核生物細胞、又は古細菌、細菌若しくは真核生物細胞抽出物により、DNA配列又はベクターから転写されたRNA分子である。
【0119】
非修飾dsRNAは、化学修飾されていないRNA分子である。
【0120】
遺伝子発現を阻害、下方調節又はノックダウンすることは、遺伝子から転写されたRNAのレベル、又はRNAから翻訳されたポリペプチド、タンパク質若しくはタンパク質サブユニットのレベルにより測定して、遺伝子の発現が、MdsRNAの非存在下で観察されるものを下回って低減されることを意味する。いくつかの実施形態では、MdsRNAによる遺伝子発現の阻害、下方調節又はノックダウンは、対照の活性核酸又はスクランブル配列若しくは不活性化ミスマッチを有する核酸の存在下で観察されるレベルを下回る。
【0121】
本明細書で使用される用語「配列」又は「ヌクレオチド配列」は、標準的なヌクレオチド命名法を使用した文字の連続で記載され、本明細書に記載される修飾ヌクレオチドに重要な、核酸塩基、ヌクレオチド及び/又はヌクレオシドの連続又は順序を指す。
【0122】
本明細書で使用される用語「アシル」は、単独で又は他の基の一部として、有機カルボン酸の基COOHからのヒドロキシル基の除去により形成される部分、例えばRC(O)-を示し、Rは、R1、R1O-、R1R2N-又はR1S-であり、R1は、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロであり、R2は、水素、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルである。
【0123】
本明細書で使用される用語「アシルオキシ」は、単独で又は他の基の一部として、酸素結合(O)を介して結合した上記に記載したアシル基、例えばRC(O)O-を示し、Rは、用語「アシル」に関連して定義した通りである。
【0124】
本明細書で使用される用語「アリル」は、単純なアリル基(CH2=CH-CH2-)を含む化合物だけではなく、置換アリル基、又は環系の一部を形成するアリル基を含む化合物も指す。
【0125】
本明細書で使用される用語「アルキル」又は「アルキル基」は、任意の炭素原子から水素原子を除去することにより、アルカンから誘導される一価基、-CnH2n+1を記載する。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖又は環状であり得、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル等を含む。本明細書で使用されるとき、低級アルキル基は、主鎖中に1~8個の炭素原子を含み、20個までの炭素原子を含む。
【0126】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、1つの炭素-炭素二重結合を有し、一般式-CnH2n-1を有する非環式分枝状又は非分枝状炭化水素である。水素原子の1つ以上は、置換されていてもよい。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であり得、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニル等を含む。本明細書で使用されるとき、アルケニルは、主鎖中に2~8個の炭素原子を含み、20個までの炭素原子を含む。
【0127】
本明細書で使用される用語「アルコキシド」又は「アルコキシ」は、アルコールのコンジュゲート基部である。アルコールは、直鎖、分枝状、環式であり得、アリールオキシ化合物を含む。
【0128】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合及び一般式-CnH2n-3を有する非環式分枝状又は非分枝状炭化水素である。それらは、直鎖又は分枝鎖であり得、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニル等を含む。本明細書で使用されるとき、主鎖中の2~8個の炭素原子及び20個までの炭素原子を含む低級アルキニル。
【0129】
本明細書で使用される用語「芳香族」は、単独で又は他の基の一部として、場合により置換された、非局在化電子を含む平面状のホモ-又はヘテロ環式共役環又は環系を示す。芳香族基は、環部分に5~14個の原子を含む単環式(例えばフラン又はベンゼン)、二環式又は三環式基であり得る。用語「芳香族」は、以下に定義する「アリール」基を包含する。
【0130】
本明細書で使用される用語「アリール」又は「Ar」は、単独で又は他の基の一部として、場合により置換されたホモ環式芳香族基を示す。アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル又は置換ナフチル等の、環部分に6~10個の炭素を含む単環式又は二環式基であり得る。
【0131】
本明細書で使用される用語「カルボシクロ」又は「炭素環式」は、単独で又は他の基の一部として、環の原子の全部が炭素である、場合により置換された、芳香族又は非芳香族のホモ環式環又は環系を示す。いくつかの実施形態では、カルボシクロ」又は「炭素環式」基は、各環に5又は6個の炭素原子を含む。例示的な置換基としては、以下の基の1つ以上が挙げられる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシル、ケト、ケタール、ホスホロ(phosphor)、ニトロ及びチオ。
【0132】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、単独で又は他の基の一部として、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を指す。
【0133】
用語「ヘテロ原子」は、炭素及び水素以外の原子を指す。
【0134】
本明細書で使用される用語「ヘテロ芳香族」は、単独で又は他の基の一部として、少なくとも1つの環に少なくとも1つのヘテロ原子を有する、場合により置換された芳香族基を示す。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族基は、各環に5又は6個の原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族基は、環に1又は2個の酸素原子及び/又は1~4個の窒素原子を含み、炭素を介して分子の残りの部分に結合している。例示的な基としては、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾニル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジル等が挙げられる。例示的な置換基としては、以下の基の1つ以上が挙げられる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシル、ケト、ケタール、ホスホロ(phosphor)、ニトロ及びチオ。
【0135】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクロ」又は「複素環式」は、単独で又は他の基の一部として、少なくとも1つの環に少なくとも1つのヘテロ原子を有する、場合により置換された、完全飽和又は不飽和の、単環式又は二環式の芳香族又は非芳香族基を示す。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロ又は複素環式基は、各環に5又は6個の原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロ基は、環に1又は2個の酸素原子及び/又は1~4個の窒素原子を有し、炭素又はヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合している。例示的なヘテロシクロ基は、上記に記載したヘテロ芳香族を含む。例示的な置換基としては、以下の基の1つ以上が挙げられる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシル、ケト、ケタール、ホスホロ(phosphor)、ニトロ及びチオ。
【0136】
本明細書で使用される用語「炭化水素」及び「ヒドロカルビル」は、専ら炭素及び水素元素を含む有機化合物又は基を記載する。これらの部分はアルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール部分を含む。これらの部分はまた、アルカリール、アルケナリール及びアルキナリール等の、他の脂肪族又は環式炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール部分を含む。特に示さない限り、これらの部分は1~20個の炭素原子を含む。
【0137】
本明細書に記載される「置換ヒドロカルビル」部分は、炭素以外の少なくとも1つの原子で置換されたヒドロカルビル部分であり、ここで該部分は、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素又はハロゲン原子等のヘテロ原子で置換された部分、及び炭素鎖が追加の置換基を含む部分を含む。これらの置換基は、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシル、ケト、ケタール、ホスホ(phospho)、ニトロ及びチオを含む。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
[1]転写後修飾二重鎖RNA(MdsRNA)を含む組成物であって、前記MdsRNAが、30を超えるヌクレオチド塩基対を有する二重鎖RNAを含み、前記ヌクレオチドの少なくとも5%は、独立して式(I):
【化A-1】
(式中、nは、0又は1であり、R
1
は、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビルであり又はそれを含み、塩基は、独立して、核酸塩基であり又はそれを含む。)
を含む、組成物。
[2]R
1
が、アルキル;置換アルキル;アルケニル;置換アルケニル;アルキニル;置換アルキニル;アリール;置換アリール;C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル若しくはC1~C10アルキニル(アルキル及びアルケニルは、直鎖状、分枝状又は環状である);n=1の場合、水素;メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;tert-ブチル;ペンチル;ヘキシル;シクロヘキシル;ヘプチル;オクチル;ノニル;デシル;ビニル;アリル;エチニル;ベンジル;シンナミル;C6~C14アリール;C6~C14置換アリール;ヘテロシクリル;C5~C14ヘテロシクリル;フェニル;一若しくは二置換フェニル(前記置換基は、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル及びトリフルオロメチルから選択される);2-ニトロフェニル;4-ニトロフェニル;2;4-ジニトロフェニル;2-トリフルオロメチルフェニル;4-トリフルオロメチルフェニル;スチリル;C8~C16置換スチリル;2-アミノフェニル;一若しくは二置換2-アミノフェニル(前記置換基は、C1~C10アルキル、C1~C10アルケニル、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル及びトリフルオロメチルから選択される);N-アルキル-2-アミノフェニル若しくはN-アリール-2-アミノフェニル(アルキルは、式-C
m
H
2m+1
(mは、12以下の整数である)を有し、アリールは芳香族部分である);2-アミノ-3-メチル-フェニル;2-アミノ-5-クロロフェニル;2-メチル-5-クロロフェニル;N-メチル-2-アミノフェニル;N-エチル-2-アミノフェニル;N-プロピル-2-アミノフェニル;N-ブチル2-アミノフェニル;N-ペンチル-2-アミノフェニル;N-メチル-2-アミノ-4-ニトロフェニル;2-メチル-3-フリル;2-メチルニコチル若しくはN-トリフルオロメチル-2-アミノフェニル;シラニル;置換シラニル;C1~C10アルキルシラニル;C3~C12トリアルキルシラニル;C2~C12アルコキシアルキル;C2~C12アルコキシアルケニル;C2~C12アルキルチオアルキル;アルキルスルホニル;C1~C10アルキルスルホニル;C1~C10ハロアルキル;C1~C10ハロアルケニル若しくはC1~C10アミノアルキル;-(CH
2
CH
2
O)
p
CH
3
、-(CH
2
CH
2
O)
p
H又は-(CH
2
CH
2
O)
p
COOR
4
(pは、2~8の整数であり、R
4
は、H、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである);-(CH
2
CH
2
O)
8
COOH;-CH
2
CH
2
OH;-(CH
2
CH
2
O)
4
OH;-(CH
2
CH
2
O)
6
OH;-(CH
2
CH
2
O)
8
OH;-(CH
2
CH
2
O)
8
COOMe;-(CH
2
CH
2
O)
4
OMe;-(CH
2
CH
2
O)
6
OMe;-(CH
2
CH
2
O)
8
OMe;-CH
2
OCH
3
;-CH
2
OCH
2
CH
3
;又は-CH
2
OCH
2
CH
2
OCH
3
である、[1]に記載の組成物。
[3](CO)
n
-R
1
が、2,4-ジニトロフェニル、ベンゾイル又はN-メチルアントラノイルである、[1]に記載の組成物。
[4]前記リボヌクレオチドの少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも60%又は少なくとも90%が、独立して式(I)を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
[5]前記MdsRNAが、標的宿主内の発現RNAに対してホモロジー及び/又は相補性を有する配列を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6]前記標的宿主が、動物、昆虫、真菌、植物、原生動物又は雑草である、[5]に記載の組成物。
[7]前記昆虫、真菌又は雑草が:鞘翅類(Coleopteran〉、鱗翅類(Lepidopteran)、双翅類(Dipteran)、半翅類(Hemipteran)、膜翅類(Hymenopteran)、コロラドハムシ、トウモロコシルートワーム、ヒアリ、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、コナガ、ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)、ボタンタケ目(Hypocreales)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フサリウム・アベナセア(Fusarium avenacea)、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・スポロトリチオイデス(Fusarium sporotrichioides)、オオホナガアオゲイトウ(Palmer Amaranth)、シロザ(Common Lambsquarters)、ヒメムカシヨモギ(Horseweed)、アサガオ(Morning Glory)、アマランサス(Waterhemp)、ショクヨウガヤツリ(Nutsedge)、ホウキギ(Kochia)、ブタクサ(Common Ragweed)、オオブタクサ(Giant Ragweed)及びベラドンナ(Nightshade)からなる群から選択される、[6]に記載の組成物。
[8]前記MdsRNAが、標的宿主内の遺伝子の発現を低減する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]賦形剤、担体、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、肥料からなる群から選択される少なくとも1つの薬剤を更に含む、[1]~[8]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]前記MdsRNAが、5重量%未満、約1重量%未満、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.01重量%未満又は約0.001重量%未満の量で存在する、[9]に記載の組成物。
[11]MdsRNAを形成するための二重鎖RNAの転写後化学修飾方法であって、
a)30を超える塩基対を有する非修飾二重鎖RNAを含む非修飾dsRNA(UdsRNA)混合物を、水及び非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の混合物を含む溶液中で形成することと、
b)前記UdsRNA混合物を約30~95℃に加熱することと、
c)反応関与体を約30~95°に加熱することであって、前記反応関与体は:
i)R
2
-X[式(II)]を含むアルキル化剤(式中、R
2
は、R
1
であり、Xは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノである)、又は
ii)R
3
-X[式(III)]を含むアシル化剤(式中、R
3
は、R
1
-(CO)であり、Xは、OH、ONa、OK、塩化物、シアン化物、イミダゾリド、アルカノイルオキシである)、又は
からなる群から選択される、加熱することと、
d)前記反応関与体を前記UdsRNA混合物に加えることと、
e)前記組み合わせたUdsRNA混合物及び反応関与体を、前記反応関与体がリボース2’ヒドロキシルを化学修飾して式(I)を含むヌクレオチドを形成するのに必要な時間の間、約30~95℃に加熱することにより前記MdsRNAを形成することと、
f)場合により前記MdsRNAを単離又は精製することと、を含む、方法。
[12]前記反応関与体が、NMIA、BzCN又はFDNBを含む、[11]に記載のプロセス。
[13]前記非プロトン性溶媒が:DMSO、DMF、ジメチルアセトアミド、THF、ジオキサン、アセトニトリル及びウレア又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、[11]又は[12]に記載のプロセス。
[14]前記UdsRNA混合物中の非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の混合物の割合が、15%~95%、40%~95%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%である、[11]~[13]のいずれか一項に記載のプロセス。
[15]前記UdsRNA混合物が、前記反応関与体を加える前に30~80℃で0~30分間インキュベートされる、[11]~[14]のいずれか一項に記載のプロセス。
[16]前記反応関与体を加える前又は後のいずれかに、前記UdsRNA混合物に触媒が加えられる、[11]~[15]のいずれか一項に記載のプロセス。
[17]前記触媒が:ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,6-ジベンジル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(BnsDMAP)、1,6-ジエチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(EtsDMAP)及び1,6-ジメチル-1,3a,6,8-テトラアザ-1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロフェナレン(MesDMAP)、アミジン、イソチオウレア、グアニジン、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及び1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(azabentriazole)(HOAt)又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、[16]に記載のプロセス。
[18]UdsRNA:反応関与体のモル比が、約1:3~約1:300、約1:10、約1:10~約1:50、約1:50~約1:100又は約1:100~約1:200である、[11]~[17]のいずれか一項に記載のプロセス。
[19]動物、植物、原生動物又は真菌宿主における発現された遺伝子の発現を阻害する方法であって、有効量の[1]~[11]のいずれかの組成物を前記宿主に適用することを含む、方法。
[20]前記MdsRNAが、植物、種子、餌又は土壌に適用される、[19]に記載の方法。
【実施例】
【0138】
実施例1 2’-OH置換アデノシン3’,5’-環式一リン酸塩(cAMP)の調製。単純なサロゲート基質、アデノシン3’,5’-環式一リン酸塩(cAMP)を使用して、NMIAとの反応から得られた生成物をHPLC/MSを用いて同定及び定量化した。実施例3に記載されているdsRNAに使用されたものと同じ反応条件下で、cAMPをNMIAと反応させた。約75%の変換が観察された。予想された親イオン(462Da)の単一の生成物ピークがHPLC/MSにより観察された。
【0139】
次いで生成物を弱塩基性加水分解に供した。これらの条件下で、この生成物ピークはもはや観察されず、対応するヌクレオシドとして同定された他のピークが観察された。形成されたヌクレオシドの量は、加水分解前に存在したヌクレオチドとほぼ同じ量として測定され、NMIAは専らリボースの2’-OHと反応したことが示された。
【0140】
実施例2 UdsRNAの調製。化学修飾のための続く反応における記載される方法を試験するために、既知の配列のUdsRNAを調製した。5’末端にバクテリオファージSP6プロモーター、コロラドハムシ(レプチノターサ・デケムリネエータ(Leptinotarsa decemlineata)系統FreevilleアクチンmRNA、ジェンバンク配列ID:gb|KJ577616.1、ヌクレオチド1-297)からのβアクチン(配列番号13)の297bp断片に対応するセンス及びアンチセンス鎖、並びに3’末端にNcoI制限部位を含むCPB_β-A_ds(配列番号3)を、関心対照の領域のPCR増幅によりクローン化し、続いてcolE1起源、マルチクローニング部位及びアンピシリン耐性遺伝子(配列番号1)を含むGeneArt(商標)/Thermo Fisher Scientific(Waltham、MA)のpMAプラスミド内に連結し、バクテリオファージSP6ポリメラーゼがプラスミド内に挿入されたクローン化断片を転写するように配向した。プラスミドを使用してOne Shot BL21(DE3)Chemically Competent E.coli(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)細胞を形質転換した。プラスミドを含むBL21(DE3)をアンピシリンを含むLB培地中で37℃で、0.8に等しいOD(600nm)まで成長させた。QIAprep(登録商標)Spin Miniprep Kit(Qiagen、Hilden、Germany)を使用して、製造業者の説明書に従ってプラスミドを単離した。NcoI(New England Biolabs、Ipswich、MA)を使用して、コンストラクト内に導入された制限部位にて単離プラスミドを切断した。消化後、鋳型を1.5%アガロースゲル上の電気泳動により精製し、PureLink(商標)Quick Gel Extraction Kit(Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して製造業者の説明書に従って単離した。転写は、MAXIscript(登録商標)SP6 Kit(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を使用して製造業者の説明書に従って行った。手短には、RNA転写後、DNA鋳型をDNAseとのインキュベーションにより除去し、次いでフェノール:クロロホルムを用いた抽出により精製し、10mM Tris-HCl、pH7、0.1% SDS中のSephadex G100クロマトグラフィーにより精製した。NaClを加えて0.3Mに到達させた。RNA 1μg当たり0.1ngのRNAe(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)を用いて37℃で30分間インキュベーションすることにより、一本鎖RNAを消化した。RNAse A 1ng当たり200ngのProteinase K(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)を用いて37℃で1時間インキュベーションすることによりRNase Aを除去した)。RNA_CPB_β-A_ds_dsと命名されたRNA生成物を、2.5容積のエタノールを用いた沈殿により回収した。遠心分離により得られたペレットを風乾させ、水に溶解し、使用まで-20℃で貯蔵した。記載される他の全てのDNAコンストラクトを同様の方法でクローン化及び転写し、得られたRNAコンストラクトを同様の方法で単離した。
【0141】
DNAコンストラクトCPB_β-A_1-14_mut(配列番号25)、CPB_β-A_1-22_mut(配列番号26)、CPB_β-A_1-33_mut(配列番号27)、RIFA_A_1-5_mut(配列番号28)、RIFA_A_1-7_del(配列番号29)、RIFA_A_1-7_mut(配列番号30)、RIFA_A_1-7_ins(配列番号31)、RIFA_A_1-10(配列番号32)、RIFA_A_2-7_mut(配列番号33)、RIFA_A_2-7_ins(配列番号34)、DBM_AChE2_dsDNA(配列番号35)及びRIFA_A_ds_ds(配列番号36)は、DNAコンストラクトCPB_β-A_ds_ds(配列番号3)を使用して調製したRNA転写産物に関して記載されるものと同様の方法で、RNA転写産物を使用して別々に調製した。得られたRNA生成物は、それらが由来するDNAコンストラクトに従って命名され、即ちRNA_CPB_β-A_1-14_mut、RNA_CPB_β-A_1-22_mut、RNA_CPB_β-A_1-33_mut、RNA_RIFA_A_1-5_mut、RNA_RIFA_A_1-7_del、RNA_RIFA_A_1-7_mut、RNA_RIFA_A_1-7_ins、RNA_RIFA_A_1-10、RNA_RIFA_A_2-7_mut、RNA_RIFA_A_2-7_ins、RNA_DBM_AChE2_dsDNA及びRNA_RIFA_A_ds_dsと命名された。
【0142】
DNAコンストラクトCPB_β-A_1-5_mut(配列番号4)、CPB_β-A_1-7_del(配列番号5)、CPB_β-A_1-7_mut(配列番号6)、CPB_β-A_1-7_ins(配列番号7)、CPB_β-A_1-10_mut(配列番号8)、CPB_β-A_2-7_mut(配列番号11)及びCPB_β-A_2-7_ins(配列番号12)を使用して、DNAコンストラクトCPB_β-A_ds_ds(配列番号3)を使用して調製したRNA転写産物に関して記載されるものと同様の方法で、RNA転写産物を別々に調製することができる。得られたRNA生成物は、それらが由来するDNAコンストラクトに従って命名され、即ちRNA_CPB_β-A_1-7_del、RNA_CPB_β-A_1-7_mut、RNA_CPB_β-A_1-7_ins、RNA_CPB_β-A_1-10_mut、RNA_CPB_β-A_2-7_mut、RNA_CPB_β-A_2-7_insと命名される。同様のUdsRNAを、他の宿主内の他の遺伝子に対して作製することができる。
【0143】
実施例3 2’-N-メチルアントラノエート(methylanthranoate)MdsRNAの調製。NMIAとdsRNAの間の効率的な反応を可能にする、記載される方法を、MdsRNAの調製に関して本明細書に記載されるように、実施例2で調製したUdsRNAを本明細書に記載されるNMIAと反応させることにより試験した。
【0144】
12.5μLのRIFA-A_ds_ds(配列番号16)の3.2g/L水溶液を17.5μLのジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Aldrich、St.Louis、MO)に加え、67℃に温め、この温度に保った。67℃で15分後、67℃に予熱した40μLのNMIA(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)の97g/L DMSO溶液を加え、混合した。その直後に、67℃に予熱した10μLの4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)の40.3g/L DMSO溶液を加え、混合した。従って、反応が行われた溶媒は、84体積%のDMSO及び16体積%の水から構成された。混合物を同じ温度で30分間保ち、次いで約1時間かけて室温に冷却させた。溶液を440μLの水と混合し、24μLの5M NaCl水溶液を加え、混合した。粗生成物を遠心分離により分離した。ペレットを6mLの水に溶解し、3,000ダルトンの名目上分子量制限を有する再生セルロース膜Louis、MO)で濾過して、0.5mLの残留物(retentate)を得るまで生成物を更に精製した。12回の追加の濾過を行い、得られた各残留物に1.5mLの水を加えた。最後の限外濾過後に500μLの水性生成物を得た。
【0145】
10μLの5M NaOH水溶液で処理した、上記で得られた40μLの水性の精製生成物の完全加水分解後に、生成物の誘導体化度を概算した。得られたN-メチルアントラニル酸及びRNAヌクレオチドの254nmでのUV吸光度を、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器と連結したHPLCを使用して定量化した。UdsRNAの約93%のヌクレオチドが反応したことが見出された。反応混合物中のNMIAのより低い濃度を用いて、より低い誘導体化度、即ち13%~56%を得た。反応は、47℃もの低い反応温度及び69%もの低いDMSOにおいても行った。
【0146】
UdsRNAとNMIAとの間の反応は、異なる条件下で行うこともできる。反応は、5分間~30分間継続させ、37℃~95℃の温度で、10%DMSO~64% DMSO、及び11%水~75%水、及び11%酢酸エチル~33%酢酸エチルの溶媒中、0.04M~0.09MのNaCl濃度を有して、DMAPの代わりに又はDMAPと組み合わせてBnsDMAP、EtsDMAP及びMesDMAP(
図2に示す)の組み合わせを使用して、行うことができる。高い温度、高い%であるが100%よりも低いDMSO、及び低いNaCl濃度は、低い温度、低い%のDMSO若しくは100%に近いDMSO、又は高いNaCl濃度よりも、より高い誘導体化度に繋がることが認められる。
【0147】
実施例2で調製した以下のUdsRNAコンストラクトも、別々にNMIAと反応させることができる:非限定的に、RNA_CPB_β-A_ds_ds、RNA_CPB_β-A_1-5_mut、RNA_CPB_β-A_1-7_del、RNA_CPB_β-A_1-7_mut、RNA_CPB_β-A_1-7_ins、RNA_CPB_β-A_1-10_mut、RNA_CPB_β-A_2-7_mut、RNA_CPB_β-A_2-7_insを含む。得られた誘導体化RNAコンストラクトは、元のRNAに接頭辞NMIA_を加えて命名され、即ちNMIA_RNA_CPB_β-A_ds_ds、NMIA_RNA_CPB_β-A_1-7_del、NMIA_RNA_CPB_β-A_1-7_mut、NMIA_RNA_CPB_β-A_1-7_ins、NMIA_RNA_CPB_β-A_1-10_mut、NMIA_RNA_CPB_β-A_2-7_mut、NMIA_RNA_CPB_β-A_2-7_insと命名される。
【0148】
実施例4 2’-ベンゾエートMdsRNAの調製。RIFA_A_ds_ds(配列番号16)の12.5μLの3.2g/L水溶液を、37.5μLのジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Aldrich、St.Louis、MOに加え、67℃に温め、この温度で保った。67℃で15分後、67℃に予熱した10μLの4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、Sigma Aldrich、St.Louis、MO)の40.3g/L DMSO溶液を加え、混合した。その直後に、67℃に予熱した20μLのBzCN(BOC Sciences、Shirley、NY)の218g/L DMSO溶液を加え、混合した。混合物を同じ温度で30分間保ち、次いで約1時間かけて室温に冷却させた。MdsRNAの単離は、実施例3に記載したものと同様に行った。
【0149】
生成物の誘導体化を実施例3に記載したように概算した。約40%のUdsRNAヌクレオチドが化学修飾されていた。反応混合物中のBzCNのより低い濃度を用いて、より低い誘導体化度、即ち26%~17%を得た。
【0150】
実施例5 2’-(2,4-ジニトロフェノキシ)MdsRNAの調製。12.5μLのRIFA_A_ds_ds(配列番号16)の3.2g/L水溶液を45.5μLのジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Aldrich、St.Louis、MO)に加え、67℃に温め、この温度で保った。67℃で15分後、67℃に予熱した20μLのFDNB(Sigma Aldrich、St.Louis、MO)の118g/L DMSO溶液を加え、混合した。その直後に、2μLの炭酸カリウム(Sigma Aldrich、St.Louis、MO)の20.7g/L水溶液を加え、混合した。混合物を同じ温度で30分間保ち、次いで約1時間かけて室温に冷却させた。MdsRNAの単離は、実施例3に記載したものと同様に行った。生成物の誘導体化を実施例3に記載したように概算し、基質dsRNAの約23%のヌクレオチドが反応したことが見出された。反応混合物中のFDNBのより低い濃度を用いて、より低い誘導体化度、即ち6%及び2%を得た。
【0151】
実施例6 MdsRNAの特性のUdsRNAの特定との比較。実施例4に記載した、約40%のそのヌクレオチドがBzCNと反応したMdsRNAを、RNAe IIIによる消化に対するその安定性を試験することにより更に特徴づけた。MdsRNAは、UdsRNAと比較して、RNAe IIIによる消化に対して有意に改善された安定性を有することが見出された。
【0152】
例えば、実施例4に記載したBzCNを用いた化学修飾の前及び後の約600ngのRNAのサンプルを、別個の実験で、1単位のRNAe III(New England BioLabs、Ipswich、MA)と共に、供給者により推奨される緩衝液(50mM Tris、1mM DTT、50mM NaCl、20mM MnCl
2)中で37℃で20分間インキュベートした後、EDTAを加えて最終濃度50mMとした。RNAe IIIによる消化後に得られた約300ngのRNAを、95℃で10分間加熱することにより変性させ、6%ポリアクリルアミドTBE-ウレアゲル(Life Technologies)を70℃で変性させるNOVEX(登録商標)内の電気泳動により分析した。RNAバンドを臭化エチジウム染色(0.2μg/ml)(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)により可視化した。
図1は、UdsRNAがRNAe III処理により完全に分解されたことを示す(RNAe IIIとのインキュベーションの前(レーンA)及び後(レーンB)のバンドを比較されたい)。対照的に、MdsRNAはRNAe III処理に耐性を示し、RNAe処理後に有意な完全長RNAが尚存在する(RNAe IIIとのインキュベーションの前(レーンA)及び後(レーンB)のバンドを比較されたい)。
【0153】
実施例3、4及び5で調製したMdsRNA材料の、対応するUdsRNA基質の水溶性よりも低い水溶性が、それらの精製中に観察された。この疎水性の増大は、単にNaCl濃度を増大することによって水溶液から沈殿させることにより、単離目的で有利に使用された。更に、誘導体化度が増大するにつれて水溶性が低下した。従って、そのようなMdsRNA RNAiトリガーは、対応するUdsRNA基質よりも、疎水性の生体膜を通してより容易に拡散することが予想される。
【0154】
実施例7 コロラドハムシ侵入に対するMdsRNAの有効性。コロラドハムシのβ-アクチン遺伝子を標的とするMdsRNAが、同じ遺伝子を標的とするUdsRNAと比較して、同様の又はより高い有効性を示すか否かを決定するために、コロラドハムシβ-アクチン遺伝子を標的とするMdsRNAを、記載されるように生成する。
【0155】
実施例2で調製したUdsRNA及び実施例3に記載したように調製したMdsRNAを使用して、コロラドハムシに対するそれらの有効性を試験することができる。各処理又は対照サンプルをジャガイモ葉のディスクの表面に適用した。対照サンプルは、転写後誘導体化非関連UdsRNA(ネガティブコントロール)を含む。ジャガイモ葉ディスクの表面に対する水等の追加の対照実験も行う。この処理は試験開始前に葉表面を乾燥させる。前処理期間中、全ての食物をコロラドハムシ幼虫容器から除去し、処理葉の導入前に幼虫を4時間飢餓させる。飢餓期間後、幼虫をペトリ皿内の処理したジャガイモ葉上に置き、ここで幼虫は、葉組織が食い尽くされるまでディスク上で給餌される。幼虫は、別々の時間に、処理したジャガイモ葉上で複数回給餌されてもよく(通常のジャガイモ葉の食餌を付与される)、次いで死亡率について毎日監視される。最後の暴露後、幼虫を未処理ジャガイモ葉上で一定期間又は死亡まで、いずれかが最初に起こるまで維持する。実験期間中、死亡率の評価を毎日行う。
【0156】
実施例3で調製したMdsRNAは、必須アクチン遺伝子の発現の抑制によって、コロラドハムシの殺滅において実施例2で調製した非誘導体化RNAコンストラクトと同様の又はそれより高い有効性を有することが予想される。水又は転写後誘導体化非関連RNAコンストラクト(ネガティブコントロール)で処理したコホートは、死亡率を殆ど又は全く示さないことが予想され、NMIAとの反応により誘導体化されたそのようなRNAコンストラクトがコロラドハムシに対して本来有毒ではないことを示す。転写後にNMIAで誘導体化されたβ-アクチンRNAを含むMdsRNAを消費しているコホートにおける幼虫の高い死亡率は、転写後にNMIAで誘導体化されたRNAコンストラクトが遺伝子発現阻害剤を構成することを示す。転写後にNMIAで誘導体化されたβアクチンRNAを含むMdsRNAを消費しているコホートおけるコロラドハムシの、非誘導体化RNAコンストラクトの死亡率と同様の又はそれより高い死亡率は、NMIAによる転写後修飾誘導体化により引き出される改善を示す。
【0157】
同様の実験を、コロラドハムシ又は他の標的宿主における他の標的遺伝子を有するMdsRNAを使用して行うことができる。
【0158】
実施例8 MdsRNAの田畑有効性。MdsRNAがUdsRNAと比較して環境分解に対して同様に耐性又はより耐性であるか否かを決定するために、それらを田畑、研究室又は温室内の植物上の葉に適用することができる。適用後の様々な日に、処理した葉を植物から切り取り、標的昆虫に給餌することができる。記載されるMdsRNAを、観察される標的宿主活性の低下又は標的宿主の罹患率の増大に関して、UdsRNA及び対照RNAと比較することができる。
【0159】
MdsRNA及び対照UdsRNAはまた、田畑内で成長した植物に適用し、葉表面上で様々な日数の間、乾燥させて、dsRNAの残存率を試験することができる。
【0160】
MdsRNAは、環境分解に対する耐性の増大を示し、また処理した植物の葉上で給餌されている標的宿主の罹患率の増大をもたらすことが予想される。MdsRNAを消費しているコホートにおける標的宿主の罹患率の増大は、MdsRNAが宿主の処置又は制御に有効であることを示す。
【0161】
実施例9 西洋トウモロコシルートワーム侵入に対するMdsRNAの有効性。MdsRNAが宿主生物における標的遺伝子発現を効果的に阻害する能力は、西洋トウモロコシルートワーム配列含有RNAを転写するための、及び転写されたRNAを記載されるように転写及び修飾した後、得られたMdsRNAを加工及び供給するための、DNA配列を構築することによって試験することができる。Bolognesi et al.(2012)は、宿主昆虫に供給された際に西洋トウモロコシルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)Snf7オルソログ、DvSnf7の発現の抑制に有効なRNAi前駆体を生成することを報告された西洋トウモロコシルートワーム配列を記載している。西洋トウモロコシルートワームDvSnf7遺伝子は、生物のエンドソーム選別複合体(ESCRT-III)の重要な構成要素をコードし、この必須遺伝子の有意な抑制は幼虫の死をもたらす。転写後誘導体化RNAコンストラクトは、実施例3に記載されたものと同様に調製される。
【0162】
ダイエットオーバーレイ(diet overlay)方法論を用いてバイオアッセイを行う。市販の西洋トウモロコシルートワーム食餌を、SCR食餌(Bio-Serv、Frenchtown、NJ)に関する製造業者のガイドラインに従って、0.06%(v/v)のホルマリン、pHを9に上昇させるための10% KOH(v/v)、及び0.62%(w/v)の凍結乾燥トウモロコシ根組織の追加を含む、Bolognesi et al.(2012)により記載されるいくつかの調整を用いて調製する。200μLの融解食餌を96ウェルプレート(Falcon)の24ウェル内にピペッティングし、室温で凝固させる。0.5ng~500ngの範囲の既知の量の試験サンプル、及びおよそ2~200ngの非誘導体化又は誘導体化RNAを含む対照サンプルを、各ウェル内に重ねる。非誘導体化対照は、実施例2に記載したRNA_CPB_dsと同様に調製したRNA_WCR_DvSnf7_dsを含み、これはDvSnf7遺伝子(ポジティブコントロール)の抑制により西洋トウモロコシルートワームの殺滅に有効であるとBolognesi et al.(2012)により記載されている。導体化対照は、西洋トウモロコシルートワーム(ネガティブコントロール)とは完全に非関連の転写後誘導体化RNAを含む。プレートを風乾し、ウェル当たり1つの幼虫を加える。プレートをMylarで密封し、#1又は#2虫ピンにより各ウェルに通気口を加え、27℃で12日間インキュベートする。10匹の幼虫のコホートに、個々のDvSnf7 MdsRNA又は対照配列の各々を給餌して、各実験サンプル又は対照に関する10個のデータ点を提供する。成長阻害(毎日の写真から評価した幼虫サイズ)及び死亡率を各コホートに関して決定する。
【0163】
実験の各実験及び対照コホートは、10の同一の処理を受ける10匹の個々の幼虫からなっている。個々の幼虫が全用量を消費することを確実にする唯一の方法のため、各幼虫は、隔離して投与される。実験手順の過程で死んだ任意の幼虫を処理して、総mRNAを回収し、更なる分析を行い得るまでサンプルを-80℃で保存する。
【0164】
12日間の実験期間が完了した後、各コホートの成長率及び総死亡率を評価し、残りの生きた幼虫を犠牲にし、総mRNAを回収する。転写後誘導体化非関連RNAコンストラクトで処理したコホートは、死亡率を殆ど又は全く示さないことが予想され、NMIAとの反応により誘導体化されたそのようなRNAコンストラクトが幼虫に対して本来有毒ではないことを示す。ポジティブコントロールで処理したコホートは、高い死亡率を示すことが予想され、このdsRNAによるDvSnf7遺伝子発現の抑制が、それを消費する幼虫の死をもたらすというBolognesi et al.(2012)の観察と一致する。転写後にNMIAで誘導体化されたBolognesi et al.(2012)のRNAを含むMdsRNAを消費しているコホートにおける幼虫の高い死亡率は、転写後にNMIAで誘導体化されたRNAコンストラクトが有効なRNAiトリガーを構成することを示す。
【0165】
全ての場合、アクチン遺伝子の発現を標準的なマーカーに対して定量化し、結果を各実験コホートが示す死亡率と比較することによりmRNAサンプルを分析する。低下した無傷DvSnf7 mRNAは、遺伝子発現の有効なRNAi抑制を示す。無傷DvSnf7 mRNAは、qPCR、qrtPCR、差次的ノーザンブロット分析又は同様の定量化方法により測定することができる。
【0166】
西洋トウモロコシルートワームに対する他の配列、及び他の宿主生物内の他の標的に対する配列を使用して、同様の実験行うことができる。給餌の方法は、宿主生物に対応させるために変更される。いくつかの実施形態では、これらの実験は、最も強力なRNA配列を特定するために行われる。MdsRNAは大規模で製造することもでき、農業用途用に配合することができる。
【0167】
実施例10 ヒアリ(RIFA)に対するMdsRNAの有効性。MdsRNAが宿主昆虫内の遺伝子発現を効果的に阻害する能力を、RIFA(ソレノプシス・インビクタ(Solenopsis invicta)Buren)アクチン筋肉(LOC105205816、ジェンバンク:XM_011175337.1を標的とするMdsRNAを生成することにより試験した。ヒアリのアクチン遺伝子は、生物の筋肉の重要な構成要素をコードし、この必須遺伝子の有意な抑制により昆虫の死がもたらされる。RNA_RIFA_A_dsを実施例2に記載したように調製した。得られたRNA_RIFA_A_dsの7つのアリコートを、実施例3に記載したようにNMIAと、実施例4に記載したようにBzCNと、及び実施例5に記載したようにFDNBと別々に反応させた。得られた7つのMdsRNAは、NMIA1_RNA_RIFA_A_ds、NMIA2_RNA_RIFA_A_ds、NMIA3_RNA_RIFA_A_ds、BzCN1_RNA_RIFA_A_ds、BzCN2_RNA_RIFA_A_ds、BzCN3_RNA_RIFA_A_ds及びFDNB_RNA_RIFA_A_dsと命名された。
【0168】
Choi et al.(2012)により記載されたものと同様の単純なバイオアッセイを用いて、MdsRNA NMIA1_RNA_RIFA_A_ds、NMIA2_RNA_RIFA_A_ds、NMIA3_RNA_RIFA_A_ds、BzCN1_RNA_RIFA_A_ds、BzCN2_RNA_RIFA_A_ds、BzCN3_RNA_RIFA_A_ds及びFDNB_RNA_RIFA_A_dsが必須遺伝子発現を抑制することによりRIFAを殺滅及び阻害する能力を試験した。このバイオアッセイは、20匹の働きアリのグループに、1日当たり50μLの、10%ショ糖水溶液中の既知の濃度の試験物質を含む液体を4日間供給し、働きアリの死亡率を測定することを含んでいた。各コホートは、各々、20匹のアリの4つの複製からなっていた。試験条件下で、試験RNAを加えない10%ショ糖溶液を10日間供給されたアリの死亡率は、10%であった。
【0169】
アリの高い死亡率は、MdsRNA NMIA1_RNA_RIFA_A_ds、NMIA2_RNA_RIFA_A_ds、NMIA3_RNA_RIFA_A_ds、BzCN2_RNA_RIFA_A_ds、BzCN3_RNA_RIFA_A_ds及びFDNB_RNA_RIFA_A_dsを消費したコホートで観察された。これらの結果は、MdsRNAがRIFAの殺滅に有効であることを示した。下記の表に示すように、MdsRNAを消費したコホートにおいて、3倍の濃度のUdsRNA(RNA_RIFA_A_ds)を供給されたRIFAと比較して、同様の又はより高い死亡率が観察され、MdsRNAの有意により高い有効性が示された。
【0170】
【0171】
非関連RNA_GFP_dsの7つのアリコートを、実施例3に記載したようにNMIAと、実施例4に記載したようにBzCNと、及び実施例5に記載したようにFDNBと別々に反応させることができる。得られた7つの化学修飾非関連RNAは、NMIA1_RNA_GFP_ds、NMIA2_RNA_GFP_ds、NMIA3_RNA_GFP_ds、BzCN1_RNA_GFP_ds、BzCN2_RNA_GFP_ds、BzCN3_RNA_GFP_ds及びFDNB_RNA_GFP_dsと命名される。これらの化学修飾非関連RNAは、死亡率を殆ど又は全く示さないと予想され、NMIA、BzCN又はFDNBとの反応により誘導体化されたそのようなRNAコンストラクトが、アリに対して本来有毒ではないことを示す。
【0172】
別個の実験において、RIFAアクチンの配列(配列番号17)を含むRIFA_A_1-9_del(配列番号18)を、RNA_CPB_β-A_1-7_delの調製に関して実施例2に記載したように、RNA転写産物RNA_RIFA_A_1-9_delの調製に使用することができる。転写後誘導体化RNAコンストラクトNMIA_RNA_RIFA_A_1-9_delは、実施例3に記載したNMIA_RNA_WCR_CPB_β-A_1-7_delと同様に調製し、上記に記載したように試験する。
【0173】
実施例11 大麦のフサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)侵入に対するMdsRNAの有効性。本明細書に記載される材料が、宿主真菌内でRNAi応答を効果的に誘発する能力を、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae))のチトクロムP450ラノステロールC-14α-脱メチル化酵素(CYP51)遺伝子を標的とするMdsRNAを生成し、該MdsRNAをフサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)に送達することにより試験する。CYP51A、CYP51B及びCYP51C遺伝子の区分を含むセンス鎖、FG_CYP3(配列番号19、米国特許出願第20160215290号でCYP3RNAと命名)及びその対応するアンチセンス鎖、FG_CYP3_アンチセンス(配列番号9)を有するdsRNAを、Koch et al.(2013)に記載されているように調製する。得られたUdsRNAの5つのアリコートを、別個に、実施例3に記載したようにNMIAと、実施例4に記載したようにBzCNと、及び実施例5に記載したようにFDNBと反応させる。得られた5つのMdsRNAは、NMIA1_RNA_FG_CYP3_ds、NMIA3_RNA_FG_CYP3_ds、BzCN1_RNA_FG_CYP3_ds、BzCN3_RNA_FG_CYP3_ds及びFDNB_RNA_FG_CYP3_dsと命名される。
【0174】
別個の実験において、FG_CYP3配列(配列番号19)を含むFG_CYP3_2-10_mut(配列番号20)を使用して、RNA_CPB_β-A_2-7_mutを調製するために実施例2に記載したものと同様の方法で、RNA転写産物RNA_FG_CYP3_2-10_mutを調製する。CYP3配列は、フサリウム・グラミネアルム(F.graminearum)由来の3つのチトクロムP450ラノステロールC-14α-デメチラーゼ遺伝子CYP51A、CYP51B及びCYP51Cの部分配列を含み、これらの遺伝子の有意な抑制は春大麦(ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare))の感染に対する耐性をもたらす。MdsRNA NMIA_RNA_FG_CYP3_2-10_mutは、実施例3に記載したNMIA_RNA_WCR_CPB_β-A_2-7_mutと同様に調製される。
【0175】
Koch et al.(2016)により記載されたものと同様の単純なバイオアッセイを用いて、宿主真菌における遺伝子発現を効果的に阻害する材料の能力を試験する。春大麦(ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare))品種Golden Promiseを人工気候室内で、18℃/14℃(日中/夜間)での16時間の明期(240μmol m-2s-1光束密度)及び65%相対湿度下で成長させる。3週齢の大麦植物の脱離した葉を、1%寒天を含む正方形のペトリ皿(120x120x17mm)内に移動する。試験物質及びネガティブコントロール(緑色蛍光タンパク質を標的とするdsRNA)物質を500μLの水中で、プレート当たり約1~100μgの試験物質又は対照物質に対応する約2~200ng/μLの既知の最終濃度に希釈する。噴霧フラスコ(10mL容量)を使用して葉に噴霧する。フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)を合成低栄養寒天培地上で培養する(Koch et al.2012)。6枚の脱離葉を含む各皿に、試験物質又は対照物質を均一に噴霧し、48時間後にフサリウム・グラミネアルム(F.graminearum)(2x104分生子/mLを含む20μLの溶液)を滴下接種(drop-inoculated)する。プレートを1つの近UV管(PhillipsTLD36W/08)及び1つの白色光管(PhillipsTLD 36W/830HF)からの一定の照明の下で、室温でインキュベートする。
【0176】
接種から6日後、異なる実験にてNMIA1_RNA_CYP3_ds、NMIA3_RNA_CYP3_ds、BzCN1_RNA_CYP3_ds、BzCN3_RNA_CYP3_ds、FDNB_RNA_CYP3_ds又はNMIA_RNA_FG_CYP3_2-10_mutで処理した葉は、対照の噴霧により処理した葉よりも実質的に小さい褐色の病変を発生することが予想される。真菌DNAレベルの定量的リアルタイムPCR分析を用いて、NMIA1_RNA_CYP3_ds、NMIA3_RNA_CYP3_ds、BzCN1_RNA_CYP3_ds、BzCN3_RNA_CYP3_ds、FDNB_RNA_CYP3_ds又はNMIA_RNA_FG_CYP3_2-10_mutで処理した葉に関する真菌成長の低下を確認することができる。これらの結果は、転写後にNMIAで誘導体化されたRNAコンストラクトを含むMdsRNA含有組成物が、植物の真菌疾病の制御に有用な、有効なRNAiトリガーを構成することを示すであろう。
【0177】
フサリウム・グラミネアルム(F.graminearum)に対する他の配列、及び他の宿主真菌内の他の標的に対する配列を使用して同様の実験行うことができる。供給の方法は、宿主生物に対応するように変更される。いくつかの実施形態では、これらの実験は、最も強力なRNA配列を特定するために行われる。MdsRNAは大規模で製造することもでき、農業用途用に配合することができる。
【0178】
実施例12 コナガ(Plutella xylostella)侵入に対するMdsRNAの有効性。MdsRNAが宿主鱗翅類(lepidoptera)における遺伝子発現を阻害する能力は、コナガ(Plutella xylostella)のアセチルコリンエステラーゼ(AChE、EC3.1.1.7)遺伝子の1つを標的とするMdsRNAを生成し、このMdsRNAをコナガ(Plutella xylostella)に送達することにより試験することができる。コナガのアセチルコリンエステラーゼ遺伝子は、神経伝達物質アセチルコリンの加水分解を触媒して神経伝達を終結させるのに必須の酵素をコードし、この必須遺伝子の有意な抑制は死をもたらす。アセチルコリンエステラーゼ(AChE、EC3.1.1.7)遺伝子(配列番号21、ジェンバンク:AY061975.1、ヌクレオチド# 512-810)を標的とするdsRNAを、配列DBM_AChE2_ds(配列番号9)を使用して、実施例2に記載したものと同様に調製した。RNA_DBM_AChE2_dsと命名された、得られたUdsRNAの5つのアリコートを、別個に、実施例3に記載したものと同様にNMIAと、実施例4に記載したものと同様にBzCNと、及び実施例5に記載したものと同様にFDNBと反応させた。得られた5つのMdsRNAはNMIA1_RNA_DBM_AChE2_ds、NMIA3_RNA_DBM_AChE2、BzCN1_RNA_DBM_AChE2_ds、BzCN3_RNA_DBM_AChE2_ds及びFDNB_RNA_DBM_AChE2_dsと命名された。
【0179】
別個の実験において、コナガ(Plutella xylostella)のアセチルコリンエステラーゼ(AChE、EC3.1.1.7)遺伝子(ジェンバンク:AY061975.1ヌクレオチド# 512-810)(配列番号21)の1つの一区分を含むDBM_AChE2_2-10_mut(配列番号22)を使用して、RNA_CPB_β-A_2-7_mutの調製について実施例2で記載したものと同様の方法で、RNA転写産物RNA_DBM_AChE2_2-10_mutを調製することができる。転写後誘導体化RNAコンストラクト(MdsRNA)NMIA_RNA_DBM_AChE2_2-10_mutは、実施例3に記載されたNMIA_RNA_WCR_CPB_β-A_2-7_mutと同様に調製することができる。
【0180】
バイオアッセイを、Gong et al.(2011)により記載されたように葉-噴霧方法を用いてインビトロで行う。コナガ(P.xylostella)の集団は、最初に殺虫剤フリーキャベツ田畑から収集され、キャベツ葉上で25±1℃で、16:8時間の明:暗の光周期及び60~70%相対湿度で、蛹化まで維持される。試験及び対照物質をキャベツ葉の各面上に均一に被覆して、既知の濃度でサンドイッチを形成する。コナガ(P.xylostella)の2齢の幼虫が各処理に使用され、昆虫を試験前に12時間飢餓させる。0.03μg/cm2~300μg/cm2の範囲の既知の量のNMIA_RNA_DBM_AChE2_2-10_mut、水のみの対照を含む対照サンプル、コナガに対して完全に非関連のRNA配列、及び非誘導体化サンプルRNA_DBM_AChE2_2-10_mutを、10~200(μg/ml)の範囲の濃度で噴霧する。新鮮なキャベツディスク(直径2cm)をペトリ皿(直径9cm)内の湿潤フィルター紙上に置く。コナガ(P.xylostella)の10匹の2齢の幼虫を葉に移動し、噴霧する(1mL溶液)。MdsRNA又は対照の各濃度を、4つの複製で適用する。処置した幼虫を処理葉上で、26±1℃、60~70%相対湿度、及び16:8時間(明:暗)光周期で72時間給餌し、幼虫の死亡率を72時間後に記録する。幼虫は、触れるのに応答した動きを停止した際に死んだものと見なす。成長阻害(毎日の写真から評価した幼虫サイズ)及び死亡率を各コホートに関して決定する。実験手順の過程で死んだ任意の幼虫を処理して、総mRNAを回収し、更なる分析を行い得るまでサンプルを-80℃で保存する。
【0181】
72時間の実験期間の完了後、各コホートの成長率及び総死亡率を評価し、残りの生きた幼虫を犠牲にし、総mRNAを回収する。非関連RNAで処理したコホートは、死亡率を殆ど又は全く示さないことが予想され、そのような転写後誘導体化されたRNAコンストラクトが幼虫に対して本来有毒ではないことを示す。NMIA1_RNA_DBM_AChE2_ds、NMIA3_RNA_DBM_AChE2、BzCN1_RNA_DBM_AChE2_ds、BzCN3_RNA_DBM_AChE2_ds、FDNB_RNA_DBM_AChE2_ds又はNMIA_RNA_DBM_AChE2_2-10_mutを消費しているコホートにおける幼虫の死亡率の増大は、MdsRNAが宿主内での遺伝子発現の阻害に有効であることを示す。RNA_DBM_AChE2_ds及びRNA_DBM_AChE2_2-10_mutを消費しているコホートと比較して、NMIA1_RNA_DBM_AChE2_ds、NMIA3_RNA_DBM_AChE2、BzCN1_RNA_DBM_AChE2_ds、BzCN3_RNA_DBM_AChE2_ds、FDNB_RNA_DBM_AChE2_ds又はNMIA_RNA_DBM_AChE2_2-10_mutを消費しているコホートにおける幼虫の同様の又はより高い死亡率は、MdsRNAがUdsRNAよりも高い有効性を有することを示す。
【0182】
全ての場合、AChE2遺伝子の発現を標準的なマーカーに対して定量化し、結果を各実験コホートが示す死亡率と比較することによりmRNAサンプルを分析する。低下した無傷AChE2 mRNAは、遺伝子発現の有効な抑制を示す。無傷AChE2 mRNAは、qPCR、qrtPCR、差次的ノーザンブロット分析又は同様の定量化方法により測定することができる。
【0183】
コナガ(P.xylostella)に対する他の配列、及び他の宿主lepidopteraにおける他の標的に対する配列を使用して、同様の実験を行うことができる。給餌方法は、宿主鱗翅類(lepidoptera)に対応するように変更される。いくつかの実施形態では、これらの実験は、最も強力なRNA配列を特定するために行われる。MdsRNAは大規模で製造することもでき、農業用途用に配合することができる。
【0184】
実施例13 殺虫剤-耐性ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)に対するネオニコチノイド殺虫剤の適用後のMdsRNAの有効性。記載されるMdsRNAを、殺虫剤等の既知の処理と組み合わせて、侵入の処置又は調節を更に向上させることができる。ミカンキジラミ(Diaphorina citri)チトクロムP450様遺伝子の3つの区分(ジェンバンク:XM_017448211.1ヌクレオチド# 1357-1436、ジェンバンク:XM_017446566.1ヌクレオチド# 1878-1957、ジェンバンク:XM_017443370.1ヌクレオチド# 854-933;配列番号23)を含む、ACP_CYP4_2-10_mut(配列番号24)等のMdsRNAを製造し、ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)等の昆虫、又はその上で昆虫が給餌される植物に局所適用することができる。続いて、ネオニコチノイド等の殺虫剤を昆虫又は植物に局所適用することができる。代替的に、殺虫剤は最初に又はMdsRNAと同時に適用される。ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)のチトクロムP450モノオキシゲナーゼ遺伝子は、殺虫剤に耐性の昆虫内の生体異物化合物の代謝に関与する酵素をコードし、これらの遺伝子の有意な抑制は、殺虫剤の投与後に死をもたらす。MdsRNA NMIA_RNA_ACP_CYP4_2-10_mutは、実施例3に記載したNMIA_RNA_WCR_CPB_β-A_2-7_mutと同様に調製する。これらのCYP4遺伝子を標的とするMdsRNAを生成し、実験対照と共にミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)成虫に局所適用した後、ネオニコチノイド殺虫剤イミダクロプリドを適用する。
【0185】
バイオアッセイを、Killini et al.(2014)により記載されたように葉-噴霧方法を用いてインビトロで行う。Florida内、例えばPolk County又はLake County内の商業的なかんきつ園からミカンキジラミ(D.citri)の田畑集団を収集し、それらの大部分は殺虫剤耐性である。NMIA_RNA_ACP_CYP4_2-10_mutの精製サンプル、ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)に対して完全に非関連のRNA配列、及び非誘導体化サンプルRNA_ACP_CYP4_2-10_mutを、RNAaseフリー水を使用して段階希釈して、所望の濃度のRNAiトリガー及び対照サンプルを得る。(0.5ng/mL~1000ng/mL)の範囲の濃度のRNAiトリガー及び対照、並びにRNAaseフリー水のみを使用した他のネガティブコントロールを使用して、ミカンキジラミ(D.citri)成虫を処置する。孵化から数時間以内にミカンキジラミ(D.citri)成虫にCO2下で麻酔をかける。0.1~200ngの試験及び対照サンプルを含む0.2mLの液滴を、10mL Hamilton注射器を使用して、胸部の腹側に局所適用する。5匹の処置成虫を各々、Tiwari、S.et al.(2012)「Biochemical basis of organophosphate and carbamate resistance in Asian citrus psyllid」J Econ Entomol 105:540-548に記載されているように、食物源として寒天ベッドの上にて柑橘類の葉の円板で裏打ちした60mmのプラスチック使い捨てペトリ皿内に置く。ミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)成虫を有するペトリ皿を、25±1℃及び50±5%相対湿度で、14:10時間の明:暗の光周期で、成長チャンバ内で72時間保つ。
【0186】
次いで、処置した成虫を、殺虫剤溶液で処理した葉ディスクを収容する新しいペトリ皿に移動する。手短には、Tiwari et al.2011に記載されているように、葉円板(直径60mm)を切り取り、アセトン中で作製した殺虫剤溶液中に30秒間浸漬し、ドラフト内で1時間風乾させた後、ペトリ皿内に配置する。分析等級のイミダクロプリドのLD50投与量(0.02ng活性成分/mlアセトン)は、Tiwari et al.2011により以前に決定されている。ミカンキジラミ(D.citri)成虫の死亡率を24時間後に評価する。各5匹の昆虫を有する5つの複製(ペトリ皿)を、試験したミカンキジラミ(D.citri)集団の各々に関して行う。生きている昆虫を毎日計数する。
【0187】
非関連RNAで前処理されたコホートは、死亡率を殆ど又は全く示さないと予想され、そのような転写後誘導体化RNAコンストラクトが、殺虫剤耐性を抑制しないことを示す。NMIA_RNA_ACP_CYP4_2-10_mutで前処理したコホートにおける昆虫の死亡率の増大は、MdsRNAがRNAi応答を引き出すのに有効であることを示す。RNA_ACP_CYP4_2-10_mutで前処理したコホートと比較して、NMIA_RNA_ACP_CYP4_2-10_mutで前処理したコホートにおける昆虫の同様の又はより高い死亡率は、MdsRNAが非誘導体化RNAiトリガーを超える改善をもたらすことを示す。
【0188】
ミカンキジラミ(D.citri)に対する他の配列、及び他の宿主有害生物の他の標的に対する配列を使用して、同様の実験行うことができる。MdsRNAはまた、非限定的に殺真菌剤、除草剤及び他の殺虫剤を含む他の有害生物処置と組み合わせることができる。給餌方法は、宿主生物に対応させるために変更される。いくつかの実施形態では、これらの実験は、最も強力なRNA配列を特定するために行われる。MdsRNAは大規模で製造することもでき、農業用途用に配合することができる。
【0189】
実施例14 サンプル配列。上記の実施例に言及された配列。転写後修飾のためのUdsRNAの生成、及び宿主生物内の標的遺伝子の発現の阻害における使用に使用できる追加の例示的な配列を提供する。
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【配列表】