(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】結束要素の一部を1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に固定するための結束機および方法
(51)【国際特許分類】
B65B 13/32 20060101AFI20220627BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20220627BHJP
【FI】
B65B13/32
B23K26/21 G
(21)【出願番号】P 2019538497
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2018053609
(87)【国際公開番号】W WO2018149842
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-11-27
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519254255
【氏名又は名称】サンド ビルスタ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド,オーヴ
(72)【発明者】
【氏名】マルステドゥト,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルソン,エリック
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06403917(US,B1)
【文献】特表2002-522309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00-13/34
B23K 26/00-26/70
B29C 65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ワイヤまたはストラップ形態の細長い結束要素(3)を1つまたは複数の対象物(16)を巻いて受け入れ、その後、前記結束要素(3)を後退させて、それ
を空間(4)に受け入れた1つまたは複数の対象物(16)の周囲で固縛するように構成される空間(4)の周囲にループ状に送り込むための送り装置(5)と;
-前記結束要素の一部(3a)を前記空間(4)の周囲にループ状に送り込んだ後に、第1の結束要素部(7a)を前記結束要素の先端で握持して係止するための把持装置(11)と;
-溶接部(8)を前記空間(4)の周囲にループ状に送り込まれる前記結束要素の前記一部(3a)
の終端で前記第1の結束要素部(7a)と隣接する第2の結束要素部(7b)との間に形成し、それによって前記結束要素のこの一部(3a)を前記1つまたは複数の対象物(16)の周囲にループ状に固定するためのレーザ溶接装置(12)と;
-電子制御装置(60)とを備える結束機であり、
前記電子制御装置(60)は、前記第2の結束要素部(7b)
の終端で前記結束要素(3)の引張り強度を軽減するために、前記レーザ溶接装置(12)を制御して、レーザビーム(14)を前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で前記結束要素(3)を横断した領域(30)上に向けるように構成されることを特徴とする結束機であって、前記電子制御装置(60)は、前記領域(30)を引張応力の影響下に置き、それによって前記結束要素を前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で破断させるために、前記送り装置(5)を制御して、前記結束要素(3)を後退させるように構成される結束機。
【請求項2】
前記電子制御装置(60)は、前記レーザ溶接装置(12)を制御して、前記領域(30)を前記レーザビーム(14)の影響下で前記結束要素に切り込むことなく加熱することによって、前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で、前記結束要素(3)の前記引張り強度を軽減するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記電子制御装置(60)は、前記領域(30)を加熱するために、前記レーザ溶接装置(12)を制御して、前記レーザビームの焦点がずれている状態で前記領域(30)の上で前記レーザビーム(14)を走査させるように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記電子制御装置(60)は、前記レーザ溶接装置(12)を制御して、前記レーザビーム(14)の前記影響の下前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で前記結束要素(3)を横断する1つまたは複数の凹部(32;32 ')を形成し、それにより前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で前記結束要素(3)を横断する破断線(33)を提供することによって、前記第2の結束要素部(7b)の前記終端において前記結束要素(3)の前記引張り強度を軽減するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の結束機。
【請求項5】
前記結束機(1)は、前記第2の結束要素部(7b)が前記第1の結束要素部(7a)に重なり合った状態で、前記第1の結束要素部(7a)に対して前記第2の結束要素部(7b)を押し込むための押し込み装置(21)を備え、前記電子制御装置(60)は、前記第1および第2の結束要素部(7a、7b)間の前記溶接部(8)が前記レーザ溶接装置(12)によって形成されるときに、前記押し込み装置(21)を制御して、一瞬の間、前記第2の結束要素部(7b)を、前記第1の結束要素部(7a)に対して押し込まれた状態を保つように構成されることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の結束機。
【請求項6】
-前記結束機(1)は、前記第1の結束要素部(7a)を支持するための支持部材(22)を備え;
-前記押し込み装置(21)は、前記支持部材(22)と共働するように構成される押し込み部材(23)を備え、前記第1および第2の結束要素部(7a、7b)は、前記押し込み部材(23)と前記支持部材(22)との間の空間に受け入れることができ、前記押し込み部材(23)は、前記押し込み部材(23)が前記支持部材(22)から後退するような後退した第1の位置と、前記第1および第2の結束要素部(7a、7b)を共に押し込むために、前記押し込み部材(23)を前記支持部材(22)に対して押圧するような前進した第2の位置との間で、前記支持部材(22)に対し可動であり;
-前記押し込み部材(23)は、通路(25)を備えており、それを通して前記レーザ溶接装置(12)
のレーザ溶接ヘッド(13)からのレーザビーム(14)を、前記押し込み部材(
23)が前記第2の位置にあり、前記第1および第2の結束要素部(7a、7b)を前記押し込み部材(23)と前記支持部材(22)との間に共に押し込むように保つときに、前記第2の結束要素部(7b)上の領域に向け得ることを特徴とする、請求項5に記載の結束機。
【請求項7】
前記把持装置(11)はクランプ部材(26)を備え、前記クランプ部材(26)が前記支持部材(22)から後退して、前記第1の結束要素部(7a)が前記クランプ部材(26)と前記支持部材(22)との間に通すことができる後退した位置と、前記クランプ部材(26)と前記支持部材(22)との間に前記第1の結束要素部(7a)を握持して係止するために、前記クランプ部材(26)を前記支持部材(22)に対抗して押圧する前進した位置との間で、前記支持部材(22)に対し可動であることを特徴とする、請求項6に記載の結束機。
【請求項8】
前記支持部材(22)は、互いに対向して位置する第1および第2支持ジョー(27a、27b)を備え、前記第1および第2の支持ジョー(27a、27b)は、前記第1および第2の支持ジョー(27a、27b)が前記第1の結束要素部(7a)の支持体を形成する前進した支持位置と、前記第1および第2の結束要素部(7a、7b)が第1および第2の支持ジョー(27a、27b)間の間隙(28)を通過できるようにするために、第1および第2の支持ジョー(27a、27b)が互いから後退する後退した解放位置との間で、互いに対して可動であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の結束機。
【請求項9】
前記結束機(1)はバンド掛け機であり、前記結束要素(3)は金属またはプラスチック材料からなるストラップであることを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の結束機。
【請求項10】
前記結束機(1)はワイヤ結束機であり、前記結束要素(3)は金属材料からなるワイヤであることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の結束機。
【請求項11】
ワイヤまたはストラップ形態の細長い結束要素(3)の一部(3a)を1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に固定するための方法であり、前記方法は:
-前記1つまたは複数の対象物を結束機(1)の対象物受容空間(4)に位置付ける工程と;
-前記結束要素(3)を前記結束機(1)に含まれる送り装置(5)を用いて前記空間(4)の周囲にループ状に送り込む工程と;
-前記結束要素の一部(3a)を前記空間(4)の周囲にループ状に送り込んだ後に、第1の結束要素部(7a)を前記結束要素(3)
の先端で握持して係止する工程と;
-前記結束要素(3)を前記送り装置(5)を用いて後退させて、それを前記1つまたは複数の対象物の周囲で固縛する工程と;
-前記結束機(1)に含まれるレーザ溶接装置(12)を用いて、前記空間(4)の周囲にループ状に送り込まれる前記結束要素の前記一部(3a)
の終端で、前記第1の結束要素部(7a)と隣接する第2の結束要素部(7b)との間に溶接部(8)を形成し、それによってこの前記結束要素の一部(3a)を前記1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に固定する工程とを備え、
前記第1および第2の結束要素部(7a、7b)間の前記溶接部(8)の前記形成後に、前記レーザ溶接装置(12)からのレーザビーム(14)は、前記第2の結束要素部(7b)
の終端で前記結束要素(3)
の引張り強度を軽減するために、前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で前記結束要素(3)横断する領域(30)上へ向けられることを特徴とする方法において、前記結束要素(3)は、前記領域(30)を引張応力の影響下に置くために、前記送り装置(5)を用いて後退し、それによって前記結束要素(3)を前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で破断させる方法。
【請求項12】
前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で前記結束要素(3)の前記引張り強度は、前記レーザビーム(14)の前記影響下で前記結束要素に切り込むことなく前記領域(30)を加熱することによって軽減することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザビーム(14)は、前記領域(30)を加熱するために、前記レーザビームの焦点がずれている状態で前記領域(30)の上で走査されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の結束要素部(7b)の前記終端における前記結束要素(3)の前記引張り強度は、前記レーザビーム(14)の前記影響下の前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で、前記結束要素(3)を横断する1つまたは複数の凹部(32;32 ')を形成し、それによって前記第2の結束要素部(7b)の前記終端で前記結束要素(3)を横断する破断線(33)を提供することによって軽減することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の結束機に関する。本発明は、1つまたは複数の対象物の周囲に細長い結束要素の一部をループ状に固定するための請求項11の前提部に記載の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストラップまたはワイヤ形態の結束要素を対象物または複数の対象物の束の周囲にループ状にあてがい、結束要素を対象物/束の周囲で固縛し、その後、結束要素の重複部分を連結して、結束要素を対象物/束の周囲に固定するための自動結束機は、多くの異なる構成において公知である。米国特許第6403917号明細書(特許文献1)には、レーザ溶接装置が、ストラップ形態で結束要素の重複部分の間に溶接部を形成するために使用され、それによって結束要素を対象物または複数の対象物の束の周囲にループ状に固定する結束機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述のタイプの新規かつ有利な結束機を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、本目的は、請求項1に記載の特徴を有する結束機を用いて実現される。
【0006】
本発明の結束機は:
-ワイヤまたはストラップ形態の細長い結束要素を1つまたは複数の対象物に巻いて受け入れ、その後、結束要素を後退させて、それを上記空間に受け入れた1つまたは複数の対象物の周囲で結束要素を固縛するように構成される空間の周囲にループ状に送り込むための送り装置と;
-上記空間の周囲に結束要素の一部をループ状に送り込んだ後に、結束要素の先端で第1の結束要素部を握持して係止するための把持装置と;
-上記空間の周囲にループ状に送り込まれる結束要素の一部の終端で、上記第1の結束要素部と隣接する第2の結束要素部との間に溶接部を形成し、それによって、この結束要素の一部を上記1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に固定するためのレーザ溶接装置とを備え、レーザ溶接装置および送り装置は、結束機に含まれる電子制御装置を用いて制御される。
【0007】
本発明によれば、レーザ溶接装置および送り装置は、上記1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に固定した結束要素の一部を結束要素の残存部から解放するためにも使用される。これは、レーザ溶接装置を、第2の結束要素部の終端で結束要素の引張り強度を軽減させるために、第2の結束要素部の終端で結束要素を横断した領域上へレーザビームを向けるように作製して、ここで、送り装置は、上記領域を引張応力の影響下に置くために、結束要素を後退させ、それによって結束要素を第2の結束要素部の終端で破断させるように作製されることで実現される。これによって、別個の切断部材が結束要素を切断するために必要とされず、それは結束機の複雑性を軽減することになる。さらに、本発明による解決策により、結束要素は、レーザビームが結束要素を通して切断する必要なしに破断させ得て、それは工程を非常に素早く、かつ貫通するレーザビームによって第2の結束要素部の下で結束要素のループ部の一部に損傷を与える危険を冒さずに実行できることを意味する。
【0008】
本発明の一実施形態によると、電子制御装置は、レーザ溶接装置を制御して、上記領域を上記レーザビームの影響の下結束要素に切り込むことなしに加熱することによって、結束要素の引張り強度を第2の結束要素部の終端で軽減するように構成される。結束要素がレーザビームの影響の下蒸発して取り除かれる代わりに、レーザビームの影響の下加熱されるという事実は、レーザビームによって生じる火花の生成が回避され、または少なくとも最小限に抑えられることを意味する。
【0009】
本発明による結束機のさらに有利な特徴は、以下の説明および従属請求項から明らかとなる。
【0010】
本発明は、請求項11に記載の特徴を有する方法にも関する。
【0011】
本発明による方法のさらに有利な特徴は、以下の説明および従属請求項から明らかとなる。添付図面を参照して、実施例として引用される本発明の好ましい実施形態の具体的な説明は下記に従う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による結束機の概略図である、
【
図2a】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図2b】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図2c】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図2d】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図2e】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図2f】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図2g】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図2h】対象物の周囲に結束要素をループ状に固定する工程中にそれぞれの段階で見られるような、
図1の結束機に含まれる複数の部分のうち部分的に分けた概略図である、
【
図3a】前進した支持位置に支持部材の2つのジョーを伴って見られるような、
図1の結束機に含まれる支持部材の模式的な正面図である、
【
図3b】後退した解放位置に支持部材のジョーを伴って見られるような、支持部材の模式的な正面図である、
【
図4】結束要素のループ部が結束要素の残存部から解放される前の結束要素上の加熱領域を図示している、1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に巻かれて固定されるストラップ形態の結束要素の一部を上方から見た平面図である、
【
図5】結束要素のループ部が結束要素の残存部から解放されるときに見られるような、
図4に対応する平面図である、
【
図6】
図5の線VI~VIにしたがって切断された図である、
【
図7】結束要素のループ部が結束要素の残存部から解放される前の結束要素上の破断線を図示している、1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に巻かれて固定されるストラップ形態の結束要素の一部を上方から見た平面図である、
【
図8】
図7の線VIII~VIIIにしたがって切断された図である、
【
図9】結束要素のループ部が結束要素の残存部から解放される前の結束要素上の破断線の代替形式を図示している、1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に巻かれて固定されるストラップ形態の結束要素の一部を上方から見た平面図である、
【
図10】
図9の線X~Xにしたがって切断された図である、
【
図11】1つまたは複数の対象物の周囲にループ状に巻かれて固定されるワイヤ形態の結束要素の一部を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態による結束機1に含まれる部分のうちいくつかを、極めて概略的に
図1に示す。結束機1は:
-ワイヤまたはストラップ形状の細長い結束要素3を、1つまたは複数の対象物に巻いて受け入れるように構成された空間4の周囲にループ状に案内するためのガイドトラック2と;
-結束要素3を供給コイル6から、上記ガイドトラック2の中へ、かつガイドトラックに沿って上記空間4の周囲にループ状に送り込み、その後、結束要素3を後退させて、上記空間4に受け入れられた1つまたは複数の対象物の周囲で結束要素3を固縛するための送り装置5と;
-結束要素を送り装置5によって後退させるときに、結束要素3の一部を一時的に蓄積し、そのうえ、その後に結束要素が送り装置5によって前方へ送り込まれるときに、結束要素の蓄積部分を解放するためのアキュムレータ9と;
-上記の1つまたは複数の対象物の周囲に結束要素3を固定するためのシーリングユニット10とを備える。
【0014】
例えばガイドトラック2は、上記空間4に面した長手方向の開口部を備えたレール形状を有し得る。明確にするため、ガイドトラック2は
図2e~2gにおいて省略されている。
【0015】
図示の実施形態では、送り装置5は2つの回転可能な送りローラ5a、5bを備え、それらは互いに対向して位置し、送りローラ間のニップ部に受け入れられる結束要素3の一部の両側と接触するように構成される。送りローラ5a、5bのうち少なくとも一方は、結束要素3をその長手方向に移動するために、可逆駆動モータの形態をしたアクチュエータ(図示せず)によって回転可能に可動させている。駆動モータは電動モータであることが好ましいが、別の方法として油圧または空気圧モータであってもよい。送り装置5は、結束要素3を送り込みかつ後退させるための他のいかなる好適なタイプのアクチュエータも備え得る。
【0016】
上述のシーリングユニット10に含まれる複数の部分のうちいくつかは、
図2a~2hに極めて概略的に示されている。シーリングユニット10は:
-上記空間の周囲に結束要素の一部3aをループ状に送り込んだ後に、結束要素の先端で第1の結束要素部7a(
図2bおよび2cを参照)を握持して係止するための把持装置11と;
-上記空間4の周囲でループ状に送り込まれる結束要素の一部3aの終端で、上記第1の結束要素部7aと隣接する第2の結束要素部7bとの間に、溶接部8(
図2e~2hを参照)を形成し、それによって、上記1つまたは複数の対象物の周囲に結束要素のこの一部3aをループ状に固定するためのレーザ溶接装置12(
図2aを参照)とを備える。
【0017】
レーザ溶接装置12はレーザ溶接ヘッド13を備え、第1および第2の結束要素部7a、7b間の上記溶接部8は、レーザ溶接ヘッドから放射されるレーザビーム14(
図2dを参照)を用いて形成される。レーザ溶接装置12は、所望の目標領域に放射されたレーザビーム14を向けて集中させるような従来型の手段を備える。
【0018】
結束機1は、結束機の動作を制御するための電子制御装置60(
図1に極めて概略的に図示した)をさらに備える。電子制御装置60は、レーザ溶接装置12に接続しており、レーザ溶接装置を制御して、レーザ溶接装置のレーザビーム14を結束要素3の所望の一部に向かって集中させるように構成される。電子制御装置60は、送り装置5にも接続しており、その動作を制御するようにも構成される。
【0019】
レーザ溶接装置12は、前記第2の結束要素部7bの前記終端で前記結束要素3の引張り強度を軽減するために、レーザビーム14(
図2eを参照)を第2の結束要素部7bの終端で、すなわち、送り装置5に対向する第2の結束要素部7bの終端で結束要素3を横断して延在する領域30(
図4、7および9を参照)上へ向けるようにも構成されて、そこで、
図2gに示すように、送り装置5は、上記領域30を引張応力の影響下に置くために、結束要素3を後退させ、それによって結束要素を第2の結束要素部7bの終端で破断させるように構成される。これによって、対象物または複数の対象物16の周囲に巻かれて配置される結束要素のループ部15は、結束要素の残存部3bから解放される。
【0020】
レーザ溶接ヘッド13は、レーザ溶接ヘッドから放射したレーザビーム14の方向および動作を制御するための1つまたは複数のコンピュータ制御の走査ミラーを備え得る。別の方法として、レーザビーム14の方向および動作は、レーザ溶接ヘッド13全体のコンピュータ制御の動作によって制御され得る。レーザ溶接ヘッド13は集束レンズ17を備え、それを通してレーザビーム14がレーザ溶接ヘッドから出てくる。
【0021】
レーザ溶接装置12は、第1および第2の結束要素部7a、7b間に溶接部8を形成するため、また第2の結束要素部7bの終端で結束要素3の引張り強度を軽減するに使用されるレーザビーム14を発生させるのに必要なレーザ出力を生み出す、ためのレーザ源18を更に備える。レーザ源18は、溶接に一般的に使用されるいかなるタイプのものでもよい。図示の実施例では、レーザ源18は、光ファイバケーブル19を介してレーザ溶接ヘッド13に接続しており、光ファイバケーブル19は、レーザ源18によって生み出されるレーザ出力をレーザ溶接ヘッド13に案内するように構成される。光ファイバケーブル19は、集束光学素子を含む光コネクタ20を用いて、レーザ溶接ヘッド13に従来の方法で接続している。レーザ溶接ヘッド13から放射されるレーザビーム14の焦点は、光コネクタ20の集束光学素子に含まれる1つまたは複数の光学部材のコンピュータ制御された動作によって調整され得る。
【0022】
図2a~2hに示すシーリングユニット10は、第2の結束要素部7bが第1の結束要素部7aに重なり合った状態で、第2の結束要素部7bを第1の結束要素部7aに対して押し込むための押し込み装置21を備え、押し込み装置21は、第1および第2の結束要素部7a、7b間の溶接部8がレーザ溶接装置12によって形成されるときに、一瞬の間、第2の結束要素部7bが第1の結束要素部7aに対して押し込まれた状態を保つように構成される。図示の実施例では、シーリングユニット10は、第1の結束要素部7aを支持するための支持部材22を備え、押し込み装置21は、支持部材22によって共働するように構成され、かつ、シーリングユニット10のハウジング24に可動に取り付けられる押し込み部材23を備える。第1および第2の結束要素部7a、7bは、押し込み部材23と支持部材22との間の空間に受け入れることができ、押し込み部材23は、押し込み部材23が支持部材22から後退する後退した第1の位置(
図2a~2cおよび2hを参照)と、押し込み部材23が第1および第2の結束要素部7a、7bを共に押し込むために支持部材22に対抗して押圧される前進した第2の位置(
図2d~2gを参照)との間で、支持部材22に対し可動である。押し込み部材23は、通路25を備えており、押し込み部材23が上記第2の位置にあり、第1および第2の結束要素部7a、7bを押し込み部材23と支持部材22との間に共に押し込み続けるときに、通路25を通して前記レーザ溶接装置(12)の前記レーザ溶接ヘッド(13)からのレーザビーム14を、第1および第2の結束要素部7a、7b間の溶接部8を形成するために、前記第2の結束要素部(7b)上の領域に向け得る。押し込み部材23はアクチュエータ(図示せず)を用いて上記第1と第2の位置との間で可動であり、それは電気、空気圧、または油圧で駆動し得る。
【0023】
電子制御装置60は、レーザ溶接装置12を制御し、第1の工程において溶接部8を第1および第2の結束要素部7a、7b間に形成して、その後に、レーザ溶接装置12を制御し、続く第2の工程において結束要素3の引張り強度を第2の結束要素部7bの終端で軽減させるように構成される。押し込み部材23は、レーザビーム14が第2の結束要素部7bの終端で上述の領域30上に向けられるときに、その前進した第2の位置に留まるように構成されることが好ましい。押し込み部材23は、送り装置5が第2の結束要素部7bの終端で結束要素を破断するために結束要素3を後退させるときに、一瞬の間、その前進した第2の位置に留まるように構成されることが好ましい。この場合、結束要素3の張力は、押し込み部材23および支持部材22によって少なくとも部分的に吸収される。別の方法として、押し込み部材23は、送り装置5が第2の結束要素部7bの終端で結束要素を破断するために結束要素3を後退させるときに、一瞬の間、その後退した第1の位置にあるように構成され得る。後者の方法の場合、結束要素3の張力は、第1および第2の結束要素部7a、7b間の溶接部8によって吸収される。
【0024】
図2a~2hに示すシーリングユニット10では、把持装置11は、ハウジング24に可動に取り付けられるクランプ部材26を備える。クランプ部材26は、クランプ部材26が支持部材22から後退して、第1の結束要素部7aをクランプ部材26と支持部材22との間に通すことができる後退した位置(
図2a、2b、および2hを参照)と、クランプ部材26と支持部材22との間に第1の結束要素部7aを握持して係止するために、クランプ部材26を支持部材22に対抗して押圧する前進した位置(
図2c~2gを参照)との間で、支持部材22に対し可動である。クランプ部材26はアクチュエータ(図示せず)を用いて上記の後退した位置と前進した位置との間で可動であり、アクチュエータは電気、空気圧、または油圧で駆動し得る。
【0025】
図2a~2hに示す実施形態では、押し込み部材23とクランプ部材26との間に通路35が存在し、レーザ溶接装置12のレーザ溶接ヘッド13からのレーザビーム14を、この通路35を通じて第2の結束要素部7bの終端で上述の領域30に向け得る。
【0026】
図3aおよび3bに示すように、支持部材22は、互いに対向して位置する第1および第2の支持ジョー27a、27bを備え得て、支持ジョー27a、27bは、支持ジョー27a、27bが第1の結束要素部7aの支持体を形成する前進した支持位置(
図3aを参照)と、第1および第2の結束要素部7a、7bが互いに連結された後に、支持ジョー27a、27b間の間隙28を通過できるようにするために、支持ジョー27a、27bが互いに後退する後退した解放位置(
図3bを参照)との間で、互いに対し可動である。図示の実施例では、各支持ジョー27a、27bは、枢動アーム29a、29bに取り付けられ、その回転において、シーリングユニット10のハウジング24に枢着される。ゆえに、この場合には、支持ジョー27a、27bは、支持および解放位置との間で枢転可能である。別の方法として、支持ジョーは、支持および解放位置との間で直線的に可動できる。支持ジョー27a、27bは、アクチュエータ(図示せず)を用いて支持および解放位置との間で可動であり、アクチュエータは、電気、空気圧、または油圧で駆動し得る。
【0027】
把持装置11および押し込み装置21は、勿論、
図2a~2hに示す設計に加えて、他のいかなる好適な設計も有し得る。把持装置11および押し込み装置21の動作は、電子制御装置60によって制御される。
【0028】
第1の別の方法によれば、電子制御装置60は、レーザ溶接装置12を制御して、上記レーザビーム14の影響の下第2の結束要素部7bの終端で上述の領域30を加熱することによって、結束要素3を切断または貫通せずに、第2の結束要素部7bの終端で結束要素3の引張り強度を軽減するように構成される。第2の結束要素部7bの終端で領域30を加熱するために、レーザ溶接装置12は、領域30(
図4の点線で概略的に図示)上でレーザビーム14を走査するように作製され、領域30は、結束要素3の長手方向端部31a、31b間に延在する。レーザビーム14が結束要素3に切り込むことなく問題の領域30を加熱するのを確実にするために、レーザビーム14の焦点は、例えば第2の結束要素部7bの終端で領域30に当てるときに、上述の光コネクタ20の集束光学素子を用いて、レーザビームの焦点がずれるように調整される。領域30がレーザビーム14によって素早く加熱されるとき、
図2gに示すように、送り装置5を作動させて、送り装置5と第2の結束要素部7bとの間の結束要素で発生する引張応力の影響の下結束要素3が加熱領域30で破断するような力を伴って、結束要素3を後方に引く。
【0029】
第2の別の方法によれば、電子制御装置60は、レーザ溶接装置12を制御して、レーザビーム14の影響の下第2の結束要素部7bの終端で結束要素3を横断する1つまたは複数の凹部32、32 ’を形成し、それによって第2の結束要素部7bの終端で結束要素を横断する破断線33を提供することによって、第2の結束要素部7bの終端における結束要素3の引張り強度を軽減させるように構成される。この場合には、レーザビーム14によって、結束要素3に切り込みを行うが、それにより切断することはない。例えば、凹部32、32 'は、結束要素3の厚みの約半分に相当する深さを有し得る。レーザビーム14は、凹部32、32 'を形成するときに、結束要素3の長手方向端部31a、31bのいずれかに到達するのを防ぐことが好ましい。破断線33を、
図7および8に示すように、第2の結束要素部7bの終端で結束要素3を横断して互いに同一線上に配置されるいくつかのより短い凹部32によって形成するか、または、
図9および10に示すように、第2の結束要素部7bの終端で結束要素3を横断して延在する1つのより長い凹部32 'によって形成し得る。破断線33がレーザビーム14によって形成されるときに、送り装置5を作動させて、送り装置5と第2の結束要素部7bとの間の結束要素で発生する引張応力の影響の下結束要素3が破断線33で破断するこのような力を伴って、結束要素3を後方に引く。
【0030】
電子制御装置60は、1つの単一電子制御ユニットによって、または、2つ以上の相互に共働する電子制御ユニットによって実装され得る。
【0031】
結束機1はバンド掛け機の形態を有し得て、結束要素3は金属またはプラスチック材料からなるストラップである。この場合、レーザ溶接装置12は、第2の結束要素部7bが第1の結束要素部7aに重なり合った重ね継手として溶接部8を形成するように構成される。
図4~9に示す実施例では、溶接部8は、平面図に図示するように楕円形状を有する。しかしながら、重なり合う結束要素部7a、7b間の溶接部8は、勿論、他のいかなる好適な構成も有し得る。
【0032】
別の方法として、結束機1はワイヤ結束機の形態を有し得て、結束要素3は金属またはプラスチック材料からなるワイヤである。この場合、レーザ溶接装置12は、第1および第2の結束要素部7a、7b間の境界面で長手継手として溶接部8を形成するように構成され、第2の結束要素部7bは、
図11に示すように、第1の結束要素部7aと並列に、かつ、第1の結束要素部7aの側面に位置する。
【0033】
ストラップ形態の結束要素3を上述した結束機1を用いて対象物16の周囲にループ状に固定するための動作シーケンスを、ここで
図2a~2hを参照して説明する。
図2a~2hに示す実施形態では、レーザ溶接装置12は、第2の結束要素部7bが第1の結束要素部7aに重なり合った重ね継手として溶接部8を形成するように構成される。
【0034】
第1の工程では、送り装置5のモータは、結束要素3を、供給コイル6から前方に向けて、クランプ部材26の中の通路34(
図2aを参照)を通してガイドトラック2内へ送り込むために、第1の方向に作動する。結束要素3の送り込み中には、クランプ部材26はその後退した位置にあり、押し込み部材23はその後退した第1の位置にあり、支持ジョー27a、27bは支持位置にある。結束要素3は、対象物16の周囲でループ状にガイドトラック2で前方へ送り込まれる。その次に、結束要素3の先端がガイドトラック2を出て、クランプ部材26と支持部材22(
図2bを参照)との間の間隙を通過し、そこですぐに、結束要素3の先端が停止部材(図示せず)を始動させて、送り装置5のモータが停止する。続いて、クランプ部材26は、結束要素3の先端で第1の結束要素部7aを握持するために、その前進した位置に移動して、それによってクランプ部材26と支持部材22との間の第1の結束要素部7aを係止する。その後、
図2cに示すように、送り装置5のモータは、結束要素3を後方に引っ張り、それによって対象物16の周囲で結束要素3を締めるために逆回転する。
図2bおよび2cに示すように、シーリングユニット10は、ガイドトラック2に対して可動であり、結束要素3を対象物の周囲で締めるときに、対象物16の方へ移動するように構成される。結束要素3が対象物16の周囲で固縛されるときに、押し込み部材23と支持部材22(
図2dを参照)との間に第1および第2の結束要素部7a、7bを共に押し込むために、送り装置5のモータを停止させ、押し込み部材23をその前進した第2の位置に移動させる。その次に、結束要素部7a、7bの間に溶接部8を形成するために、レーザ溶接装置12を作動させて、相互に重なり合う結束要素部7a、7b上にレーザビーム14を集中させ、それによって結束要素を対象物16の周囲にループ状に固定する。その後に、
図2eに示すように、結束要素3の引張り強度を第2の結束要素部7bの終端で軽減させるために、レーザ溶接装置12を作動させて、レーザビーム14を第2の結束要素部7bの終端で結束要素3を横断する領域30上へ向ける。押し込み部材23と送り装置5との間に延在する結束要素の一部は、有利なことに、レーザビーム14を上記領域30上に向けるときに、一瞬の間、弛んだ状態に保たれる。その後、
図2gに示すように、送り装置5は、上記領域30を引張応力の影響下に置くために、結束要素3(
図2fを参照)を後退させて、それによって、結束要素に第2の結束要素部7bの終端で破断させるように構成される。最後に、クランプ部材26をその後退した位置に戻して、押し込み部材23をその後退した第1の位置に戻し、そこですぐに、シーリングユニット10から結束要素のループ部15を解放するために、支持ジョー27a、27bが解放位置へ移動する。
【0035】
上記動作シーケンスと類似した動作シーケンスが、1つまたは複数の対象物の周囲で金属ワイヤ形態の結束要素3をループ状に固定するのに使用され得る。金属ワイヤの場合、第2の結束要素部7bは、第1の結束要素部7aと並列かつ第1の結束要素部7aの側面の位置に案内されて、レーザビームを第1および第2の結束要素部7a、7b間の境界面に向けるときに、押し込み部材23を、第1および第2の結束要素部7a、7bを互いに近い定位置に保つように構成されるクランプ部材と置き換える。
【0036】
本発明は、勿論、上記実施形態において、いかなる方法であれ制限されない。それどころか、その修正に対する多くの可能性は、添付の特許請求の範囲に記載したような本発明の基本的な着想を逸脱することなく、当該技術分野における当業者には明らかとなる。例えば、本発明による結束機は、コンパクティング機によって圧縮したワイヤからなるコイルを結束するために、コンパクティング機と協動するように設計され得る。コンパクティング機と協動する場合、いくつかのシーリングユニットは、圧縮したワイヤからなるコイル周辺の異なる位置で結束要素のループ部をあてがうために、コンパクティング機に装着され、かつ同時に使用され、各結束要素のループ部は、コイルの内側に沿って、その中の中心軸方向の開口部を通り、かつコイルの外側に沿って延在する。