(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】化粧品向けの使用のためのアニゴザントス・フラビダスの抽出物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20220627BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2019541897
(86)(22)【出願日】2017-10-13
(86)【国際出願番号】 IB2017056370
(87)【国際公開番号】W WO2018073714
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-05
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519139538
【氏名又は名称】インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン・アッティア
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ピーター・ショート
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・ベジャン-ラヴァレ
(72)【発明者】
【氏名】エステル・ロワン
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】Moisturising Mask,(ID#)1864866,Mintel GNPD,2012年08月,<https://www.gnpd.com/sinatra/search_results/?&search_id=mtpdyzWivw&page=0&search_type=products>
【文献】Longevity Serum,(ID#)1014246,Mintel GNPD,2008年12月,<https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1014246/from_search/gDO0bzdYoX/?page=1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 36/00-36/05
A61K 36/07-36/9068
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物
からなる老化防止活性剤。
【請求項2】
皮膚用の皺防止剤、平滑化剤、調色剤、再構成剤、または再形成剤として
の、請求項1に記載の
老化防止活性剤。
【請求項3】
皮膚老化の1つ以上の徴候の予防、遅延、及び/または処置を企図した化粧品組成物のため
の、請求項1または2に記載の
老化防止活性剤。
【請求項4】
皮膚老化の徴候が、皮膚表面、特に唇及び瞼表面の小皺及び/または皺の出現、皮膚、特に首の皮膚の衰えもしくはたるみ、皮膚の密度の喪失、皮膚の堅さの喪失、皮膚の張性の喪失、皮膚の弾力性の喪失、皮膚の収縮性の喪失、皮膚の維持の喪失、皮膚の緩慢化、皮膚の平滑な外観の変化、皮膚の荒れの増加、及び顔の輪郭の変化からなる群より選択される、請求項3に記載の
老化防止活性剤。
【請求項5】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物が、花、葉、茎、及びこれらの組み合わせから選択されるアニゴザントス・フラビダスの地上部から得られる、請求項1から4のいずれか一項に記載の
老化防止活性剤。
【請求項6】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物が、極性溶媒での抽出により得られる、請求項1から5のいずれか一項に記載の
老化防止活性剤。
【請求項7】
化粧品組成物が、ビタミン、日光遮蔽剤、及びサンスクリーン、老化防止剤または皺防止剤、酸化防止剤、リフトアップ剤、引き締め剤、シミ防止剤、赤み防止剤、スリミング剤、排出剤、保湿剤、緩和剤、洗浄剤もしくは角質剥離剤、マット化剤、皮脂調整剤、明色化活性剤、セルフタンニング活性剤、ブロンズ化促進剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの付加的美容作用剤をさらに含む、請求項3から6のいずれか一項記載の
老化防止活性剤。
【請求項8】
化粧品組成物が、水溶液、水性アルコール溶液、水中油型(O/W)または油中水型(W/O)または多相(三相:W/O/WまたはO/W/O)エマルション、ナノエマルション、水性ゲル、または、小球体、懸濁液、好ましくは水性もしくは水性-アルコール性媒体、リポソーム懸濁液、粉末、ローション、ミルク、クリーム、膏薬、ゲル、泡沫、及び軟膏による水性相中の脂肪相の分散物からなる群より選択される、請求項3から7のいずれか一項に記載の
老化防止活性剤。
【請求項9】
化粧品組成物が、ローション、ミルク、セラム、水性もしくは油性のゲル、エマルション、クリーム、特に日中用クリームもしくは夜用クリーム、クリームゲル、スキンケアウォーター、軟膏、バーム、ファンデーション、スプレー、アイシャドウ、スティック、口紅、グロス、リップバーム、泡沫、デオドラント、栄養マスク、シャワージェル、及び角質剥離もしくは洗浄剤の形態である化粧品、メイクアップ製品、または身体衛生製品から選択される、請求項3から8のいずれか一項に記載の
老化防止活性剤。
【請求項10】
対象の皮膚表面に美容上有効な量の
請求項3から9のいずれか一項に記載の老化防止活性剤を適用する工程を含む、対象における皮膚老化の徴候を処置または予防するための美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野、特に老化防止美容作用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、外的攻撃から有機体を保護するための最初の障壁である。この臓器は数層の組織で構成されている。皮膚の最外部分である表皮、真皮、線維芽細胞と細胞外マトリックスとからなり、皮膚の凝集及び栄養機能を果たす結合組織、及び脂肪細胞からなる皮下組織が挙げられる。
【0003】
表皮は、ケラチノサイトのいくつかの細胞層からなる。基底層と呼称され、特に皮膚幹細胞を含む表皮の胚葉、棘のある層であり、数層の多角形細胞からなる有棘層(Stratum spinosum)、細胞質封入体であるケラトヒアリン顆粒を含有する1から3層の扁平細胞を含む顆粒の層である顆粒層(Stratum granulosum)、及び最後に、角質細胞と呼称される角質が豊富な無核細胞から構成され、最終的な角化細胞分化段階に相当する角質の層である角質層(Stratum corneum)が特に挙げられる。
【0004】
角質層の最も外側の細胞は絶えず除去され、落屑として既知の過程に従ってより下層の細胞と置き換えられる。角質層の細胞再生は、表皮の基底層の細胞が分化し、これらが角質細胞の形態で角質層に到達するまで表皮の様々な層を通って徐々に移動する細胞成熟の過程に基づいている。
【0005】
皮膚の老化は、それが通常の老化現象から生じるか、または外的要因、例えば、UV光線への曝露によって促進されるかによらず、細胞分化及び/または再生の機能不全を含み、皮膚の全ての層の萎縮をもたらす。組織学的な観点では、真皮の質の低下、特に表皮の厚さの減少及び細胞外マトリックスの一貫性の喪失が、特に観察される。かくして、細胞外マトリックスにおいて、コラーゲン繊維の減少、規則性の低減、またI型コラーゲンに対するIII型コラーゲンの比率の増大が観察される。真皮乳頭層の弾性繊維の数もまた減少し、真皮網状層の弾性繊維が変質する。審美的観点では、これらの変質は、皮膚の外観及びその機械的特性の変化をもたらす:皮膚は滑らかさが低減し、より粗く、その微起伏はより顕著であり、皮膚は時間とともに深い皺を形成しうる小皺を呈しうる。皮膚はまた、特に顔または首に組織の弛みまたは緩み、皺の強調をもたらしうる、弾力性、色調、及び張りの喪失を示す。皮膚老化は、顔色の均一性に影響を及ぼし、色素斑の出現を招きうる。
【0006】
市場には、皮膚の緩みを防止または軽減することを企図した多数の老化防止化粧品がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】フランス特許出願第1358589号
【文献】フランス特許出願第1262303号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Zhishen et al., Food Chemistry, 1999, 64, 555-559
【文献】Bachelier et al., Cah. OSTRUM.ser. Pedol. Vo. IV, 3-1966
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それにもかかわらず、現時点では、皮膚老化から生じる変質、特に皮膚の緩みに関連する変質を予防または処置するための新たな老化防止活性剤が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、老化防止剤としてのアニゴザントス・フラビダスの抽出物の化粧品向けの使用に関する。特に、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚用の皺防止剤、平滑化剤、調色剤、再構成剤、または再形成剤として使用可能である。
【0011】
典型的には、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚老化の1つ以上の徴候の予防、遅延、及び/または処置を企図した化粧品組成物中に活性剤として存在する。皮膚の老化の徴候は、皮膚表面、特に唇及び瞼表面の小皺及び/または皺の出現、皮膚、特に首の皮膚の衰えもしくはたるみ、皮膚の密度の喪失、皮膚の堅さの喪失、皮膚の張性の喪失、皮膚の弾力性の喪失、皮膚の収縮性の喪失、皮膚の維持の喪失、皮膚の緩慢化、皮膚の平滑な外観の変化、皮膚の荒れの増加、及び顔の輪郭の変化からなる群より選択される。
【0012】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、アニゴザントス・フラビダスの地上部、例えば花、葉、茎、及びこれらの組み合わせから得られる。所定の実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、極性溶媒を用いた、好ましくは高温条件下での抽出によって得られる。
【0013】
上述の通り、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、化粧品組成物中に活性剤として存在し得る。前記化粧品組成物は、好ましくは、ビタミン、日光遮蔽剤及びサンスクリーン、老化防止剤または皺防止剤、酸化防止剤、リフトアップ剤、引き締め剤、シミ防止剤、赤み防止剤、スリミング剤、排出剤、保湿剤、緩和剤、洗浄剤もしくは角質剥離剤、マット化剤、皮脂調整剤、明色化活性剤、セルフタンニング活性剤、日焼け促進剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの付加的美容作用剤をさらに含みうる。
【0014】
所定の実施態様では、化粧品組成物は、水溶液、水性アルコール溶液、水中油型(O/W)または油中水型(W/O)または多相(三相:W/O/WまたはO/W/O)エマルション、ナノエマルション、特に、100nm未満の液滴を有するO/Wナノエマルション、水性ゲル、または、小球体、懸濁液、好ましくは水性もしくは水性-アルコール性媒体、リポソーム懸濁液、粉末、ローション、ミルク、クリーム、膏薬、ゲル、泡沫、及び軟膏による水性相中の脂肪相の分散物からなる群より選択される。化粧品組成物は、化粧品、メイクアップ製品、または身体衛生製品、例えば、ローション、ミルク、セラム、水性もしくは油性のゲル、エマルション、クリーム、特に日中用クリームもしくは夜用クリーム、クリームゲル、スキンケアウォーター、軟膏、バーム、ファンデーション、スプレー、アイシャドウ、スティック、口紅、グロス、リップバーム、泡沫、デオドラント、栄養マスク、シャワージェル、及び角質剥離もしくは洗浄剤から選択される。
【0015】
本発明はまた、老化の徴候の予防または処置における使用のための化粧品組成物に関し、前記組成物は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物、特に以上に定義されるもの、及び1つ以上の医薬品として許容される賦形剤を含む。
【0016】
さらなる態様によれば、本発明は、「前駆体」組成物、すなわち、
・10から50質量%、好ましくは20から40質量%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、好ましくは、アニゴザントス・フラビダスの液体抽出物、
・50から90質量%、好ましくは60から80質量%の担体、好ましくは、水性溶媒、有機溶媒、好ましくは低級アルコール、例えばエタノール、プロパンジオール、ブチレングリコール、グリセロール、またはイソプロパノール、親油性剤、及びこれらの混合物から選択されるもの、及び
・任意の、0.1から30質量%の化粧品として許容される付加的賦形剤、好ましくは、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、安定剤、ベクトル化剤、増粘剤、乳化剤、親水性もしくは親油性のゲル化剤、香料、鉱物油もしくは有機油、及びこれらの組み合わせから選択されるもの
を含み、百分率は前記組成物の全質量に対する質量で表される、化粧品組成物の調製のための組成物に関する。
【0017】
例として、化粧品組成物を調製するための前記組成物は、
・20から40質量%のアニゴザントス・フラビダスの水性抽出物、及び
・60から80質量%のグリセロール
を含み、百分率は前記組成物の全質量に対する質量で表される。
【0018】
本発明の目的はまた、本発明による「前駆体」組成物と、化粧品としての観点で許容される1つ以上の賦形剤及び/または美容効果を有する1つ以上の付加的活性剤とを混合する工程を含む、本発明による化粧品組成物の調製方法である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、TGF-βまたは0.1%の濃度の「抽出物」と呼称される0.1%濃度の組成物と共にインキュベートされた線維芽細胞によって産生された、コントロールに対する百分率で表されるプロコラーゲンIの量を示す(実施例1)。「抽出物」組成物は、5質量%のアニゴザントス・フラビダスの花の水性抽出物、35質量%未満の水、及び50質量%を超えるグリセロールを含む。
【
図2】
図2は、ウシ胎児血清(FCS)と共に、0.2%濃度の「抽出物」組成物(抽出物0.2%)と共に、また0.1%濃度の「抽出物」組成物(抽出物0.1%)の存在下でインキュベートされた線維芽細胞によって産生された、コントロールに対する百分率で表されるテネイシンXの量を示す(実施例2)。
【
図3】
図3AからCは、皺(BW)の底部からのヒト線維芽細胞の収縮力に対する「抽出物」の効果に関する結果を示す(実施例4)。
図3Aは、0.1%(v/v)の「抽出物」組成物の存在下、0.2%(v/v)の「抽出物」組成物の存在下、及び活性剤の非存在下(コントロール(-))で、BW線維芽細胞によって加えられた収縮力の24時間に亘る変化を示す。
図3Bのヒストグラムは、
図3Aの曲線の曲線下面積(AUC)に相当する。
図3Cのヒストグラムは、
図3Aの曲線の最大収縮力に相当する。 BW:活性剤なしのBW線維芽細胞(ネガティブコントロール)、0.1%(v/v)の「抽出物」組成物(活性剤0.1%)の存在下、及び0.2%(v/v)の「抽出物」組成物(活性剤0.2%)の存在下でインキュベートしたBW線維芽細胞。
【
図4】
図4は、皺の底部からの線維芽細胞におけるα-SMアクチン繊維の免疫標識の画像を示す:コントロール(A)、0.2%の「抽出物」とのインキュベーション後(B)、及び0.1%の「抽出物」とのインキュベーション後(C)。
【
図5】
図5A及び5Bは、「抽出物」組成物(0.2%の活性剤)(カンガルーの足0.2%)の存在下及び前記組成物の非存在下(コントロール)における、時間の関数としての非細胞皮膚等価物によって及ぼされる収縮力を示す。
【
図6】
図6は、2%の「抽出物」を含有するクリーム(クリームB)との比較した、偽剤クリーム(クリームA)で処置した顔のカラスの足跡皺の深さの、抽出物適用1時間後及び処置28日後の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
アニゴザントス・フラビダスは、主にオーストラリア南西部に見られるハエモドルム科の固有種である。この植物は、一般的に黄色または赤色の花を特徴とし、その形状はカンガルーの足を彷彿とさせる。出願人の知る限り、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、化粧品に、最も頻繁にはコンディショニング剤として、例えばシャンプー組成物中に使用されてきた。アニゴザントス・フラビダスの抽出物について、化粧品としての生物学的活性は記載されていない。
【0021】
出願人は、アニゴザントス・フラビダスの水性抽出物を調製し、この抽出物の生物学的活性を研究した。
【0022】
驚くべきことに、出願人は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物が、皮膚の細胞外マトリックスの構成及び組成において重要な役割を果たす生物学的標的に対して活性であることを示した。実施例に示されるように、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、真皮線維芽細胞によるプロコラーゲンIの合成を促進することができ、角質細胞によるコラーゲンXVIIの合成を増加させることができる。本出願人はまた、アニゴザントス・フラビダスの抽出物が、皮膚の弾性繊維の構成及び安定性、並びに細胞外マトリックスのコラーゲン繊維の組織化において重要な役割を果たす糖タンパク質であるテネイシンXの合成を刺激できることを示した。アニゴザントス・フラビダスの抽出物はまた、線維芽細胞中のアクチンアルファ2(アルファ平滑筋アクチン(α-SMA)としても既知)の合成を刺激し、ひいては皺の底部の線維芽細胞によって生じる収縮力の増加をもたらす。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、非細胞皮膚等価物によって及ぼされる収縮力を増大可能であることも示されており、このことは、物理的作用による真皮の繊維に対する抽出物の即時緊張効果を示唆している。
【0023】
出願人はまた、0.6質量%のアニゴザントス・フラビダスの水性抽出物を含む日中用クリームの老化防止効果を評価することを目的とした臨床試験も行った。これらの試験は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物が長期的に皺の深さを著しく減少させることによって皮膚に緊張-再形成効果を及ぼすことを示した。アニゴザントス・フラビダスの抽出物が、即時の緊張効果を発揮することも示されており、これは、その皮膚への適用の最初の数分後から観察することができる。
【0024】
このため、これらの結果に関して、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚老化の徴候を予防または処置するための老化防止剤として化粧品分野において応用できる。
アニゴザントス・フラビダスの抽出物はまた、短期間で皮膚を引き締め、且つ/または皮膚の外観または維持を改善するための即時作用性緊張剤としての用途を有する。
【0025】
皮膚の細胞外マトリックスの組織化、凝集及び弾力性に関与するいくつかの重要なタンパク質の合成に対する作用により、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、細胞外マトリックス、特に、成熟したもしくは年配の皮膚における真皮の再構築及び再組織化を促進するために使用することができる。一般的に、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚のたるみの処置もしくは予防、皮膚の弾力性の改善、あるいはまた皮膚の皺及び小皺の処置もしくは予防に使用することができる。しかるに、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、緊張剤もしくはリフトアップ剤として、あるいは皮膚の再形成及び再構成のための作用剤として使用することができる。特に、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚の弾力性の喪失及び/または皮膚の細胞外マトリックスの変化に関連する皮膚の非病理的変化、例えば、細胞外マトリックスの構成成分、例えば弾性繊維の、定性的または定量的変化から生じる細胞外マトリックスの破壊を処置もしくは予防するための美容作用剤として使用することができる。
【0026】
本発明によるアニゴザントス・フラビダス抽出物の使用
第一の態様によれば、本発明は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物の非治療的な化粧品向けの使用に関する。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、化粧品、特に老化防止剤として使用することができます。
【0027】
本発明の文脈において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物とは、アニゴザントス・フラビダス植物の地上部、例えば、葉、花、茎、及びこれらの組み合わせから得られる抽出物を意味する。特定の一実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、アニゴザントス・フラビダスの花及び/または茎から得られる抽出物である。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、あらゆる既知の抽出技術によって得られる。好ましくは、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、極性溶媒での抽出によって調製される。典型的には、極性溶媒は、水、アルコール、エステル、ケトン、及びこれらの混合物から選択できる。エステルの例として、酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸ブチルを挙げることができる。アルコールには、これらに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メタノール、及びポリオール、例えばグリセロールを包含する。ケトンの例としては、アセトン、シクロヘキサノン、またはメチルエチルケトンを挙げることができる。
【0028】
特定の一実施態様では、抽出溶媒は、水、アルコール、及び水性-アルコール性混合物、例えば水/エタノール、水/メタノール、または水/グリセロール混合物から選択される。ある特定の実施態様では、抽出溶媒は水である。
【0029】
極性溶媒による抽出は、当業者に既知のあらゆる方法、例えば、煎出、浸出、浸漬、フィルター浸出、滲出によって実施することができる。例えば、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、水中または水-アルコール混合物中での熱時抽出によって得ることができる。適切な熱時抽出技術は煎出である。
「煎出」なる語は、効率的な抽出を得るために適した期間に亘って、水中で植物材料を煮沸する意味を企図する。
【0030】
抽出工程を、1つ以上の処置、例えば、凍結、乾燥、凍結乾燥、粉砕、またはこれらの組み合わせを経たアニゴザントス・フラビダスの植物材料に対して実施することができる。所定の実施態様では、抽出は、粉砕工程を経た生のもしくは乾燥した植物材料に対して行われる。抽出の最後に、抽出物は、植物材料の液相からの分離を可能にするあらゆる方法によって、例えば、遠心分離及び/または濾過によって、回収することができる。
【0031】
例として、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、
・アニゴザントス・フラビダスの地上部、典型的には花及び茎を乾燥及び粉砕することにより植物材料を準備する工程、
・植物材料を極性溶媒を用いて、典型的には水または水性-アルコール性混合物を用いて、好ましくは高温条件下で、例えば煎出によって、抽出する工程、
・固体植物材料を。好ましくは濾過によって除去する工程
を含む方法によって得ることができる。
【0032】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物を調製する方法は、抽出及び/または濾過工程の最後に1つ以上の追加の工程を含んでもよい。この方法は、例えばpH調整剤、安定剤、及び/または化粧品として許容される担体もしくは支持体を添加することによって抽出物を製剤化する工程、抽出物を濃縮する工程、または抽出物を乾燥させる工程を含んでよい。
【0033】
付加的または代替的な一実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、フラボノイド、ポリフェノール、及び炭水化物を含む。フラボノイドは、抽出物の乾物に対するナリンギン当量で1%から15%、例えば5%から15%または1%から8%を占めてよく、ポリフェノールは、抽出物の乾物に対するクロロゲン酸当量で5%から30%、例えば5%から25%、12%から20%、10%から30%、または15%から20%を占めてよく、糖は、抽出物の乾物に対するグルコース当量で、35%から65%、例えば35%から55%、40%から60%または40%から50%を占めて良い。ポリフェノール、フラボノイド、及び糖の含有量は、クロロゲン酸(Folin-Ciocalteuの方法)、ナリンゲニン(Zhishen et al., Food Chemistry, 1999, 64, 555-559の方法)及びグルコース(Bachelier et al., Cah. OSTRUM.ser. Pedol. Vo. IV,3-1966)からそれぞれ得られる標準範囲を用い、比色法によって決定される。
【0034】
抽出過程の最後に得られるアニゴザントス・フラビダスの抽出物は、0.1から40質量%、好ましくは0.1から10質量%、例えば0.1から4質量%の範囲の乾物含量を含み得る。
所定の実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、抽出物の乾物に対して1質量%未満のフェルラ酸を含む。好ましくは、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、フェルラ酸を含まない。
【0035】
特定の一実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、以下の特徴のうち1つ以上(例えば、2、3、4、5、または全部)を特徴とする:
・アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、アニゴザントス・フラビダスの地上部分から、極性溶媒での抽出により、好ましくは水中もしくは水性-アルコール混合物中での煎出により得られる、
・アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、0.1から10質量%の乾物含量を含む、
・フラボノイドは、抽出物の乾物に対するナリンギン当量で5%から15質量%、例えば7%から13質量%を占める、
・糖は、抽出物の乾物に対するグルコース当量で35%から65質量%、例えば40%から60質量%を占める、
・ポリフェノールは、抽出物の乾物に対するクロロゲン酸当量で5%から25質量%、例えば10%から20質量%を占める、
・アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、抽出物の乾物に対して1質量%未満のフェルラ酸を含む。
【0036】
本発明による使用において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、液体形態、例えば水中または水性-アルコール性混合物、例えば水/グリセロール混合物中の液体形態であってよい。別の実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、乾燥固体形態、典型的には粉末の形態であってよい。アニゴザントス・フラビダスの乾燥抽出物は、抽出溶媒をあらゆる既知の方法によって、例えば噴霧乾燥、蒸発、または凍結乾燥によって除去することにより得られる。
【0037】
さらなる例として、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、固体担体、例えばマルトデキストリンに吸収された形態であってよい。
【0038】
特定の実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、水中または水性-アルコール性混合物中、好ましくは水/グリセロール混合物中の液体抽出物である。前記水性-アルコール混合物は、1/9から9/1、好ましくは1/9から2/1の範囲の水/アルコール体積比を有してよい。
【0039】
本発明の目的のために、「老化防止剤」なる語は、皮膚の老化の徴候の予防または処置を可能にする生物学的活性を有する化粧品活性剤を意味することを企図する。
【0040】
「皮膚老化の徴候の防止」なる表現は、皮膚老化の徴候の出現の遅延または防止を意味することを企図する。
「皮膚老化の徴候の処置」なる表現は、皮膚老化の徴候の出現の低減、減少、緩和、矯正、または遅延を意味することを企図する。
【0041】
「皮膚老化の徴候」なる表現は、経時的(経時老化)及び/または光誘発性(光老化)によらない老化に起因する、皮膚の外観または機械的特性の非病理的変化または変質を意味することを企図する。したがって、皮膚老化の徴候は、皮膚の外観または機械的特性の非病理的変化または変質を意味する。
【0042】
したがって、老化の徴候は、以下に限定されるものではないが、皮膚、特に表皮の薄化、微起伏の出現、唇及び瞼を含む皮膚表面の小皺及び/または皺の出現、皮膚の衰えまたはたるみ、皮膚の輝きの喪失、くすんだ顔色、皮膚の色素斑、眼の下のクマ、皮膚の密度の喪失、皮膚の堅さの喪失、皮膚の張性の喪失、皮膚の収縮性の喪失、皮膚の弾力性の喪失、皮膚の滑らかな外観の変化、皮膚の粗さの増加、及び顔の輪郭の変化を包含する。本発明の目的のために、「皮膚」及び「皮膚性」なる語は、人体の皮膚の任意の部分、特に唇及び瞼を含む顔、首、及び手の皮膚を意味する。
【0043】
上記の通り、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、細胞外マトリックスの構造及び皮膚の弾力性に関与する様々な重要なタンパク質の合成を促進することができる。
【0044】
したがって、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚の機械的特性、特に、皮膚のしなやかさ、弾力性、硬さ、または緊張性の変化を改善、回復、または防止するために使用することができる。例えば、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、成熟した皮膚または高齢の皮膚の機械的特性の変化を改善、回復、または防止するために使用することができる。
【0045】
「成熟した皮膚」なる語は、40歳以上の男性または女性の、加齢による弾力性の喪失を呈する皮膚を意味することを企図する。
【0046】
特定の一実施態様では、本発明による抽出物は、皮膚の機械的特性の変化、特に皮膚の弾力性の喪失に関連する皮膚の老化の徴候を処置または予防するために使用される。しかるに、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚の平滑化、増加、リフトアップもしくは再リフトアップ、再構成もしくは再形成のための作用剤として使用することができる。アニゴザントス・フラビダスの抽出物はまた、皮膚の即時の緊張剤としても使用することができる。
【0047】
「平滑化のための作用剤」なる語は、唇を含む皮膚の微起伏を軽減及び/または矯正することのできる美容作用剤を意味することを企図しており、前記微起伏は皺または小皺の形態である。
「リフトアップもしくは再リフトアップのための作用剤」なる語は、皮膚に緊張作用を及ぼすことのできる美容作用剤を意味することを企図しており、これにより皮膚の外観は改善され、皺はより目立たなくなる。
【0048】
「皮膚の再形成のための作用剤」なる語は、皮膚の弾力性の喪失またはたるみに続く、特に顔の輪郭及び首のレベルの皮膚の不規則な外観を軽減できる作用剤を意味することを企図する。
「リフトアップ剤」なる語は、皮膚に緊張効果を与えて皮膚の微起伏を緩和することのできる美容作用剤を意味することを企図する。
【0049】
「再構築剤」なる語は、老化に起因する皮膚の細胞外マトリックスの変質、例えば細胞外マトリックスの弾性繊維の喪失または変質、あるいは細胞外マトリックスのコラーゲンの喪失または変質を予防または処置することのできる美容作用剤を意味することを企図する。
「即時緊張剤または即時効果緊張剤」なる表現は、皮膚に緊張効果を与えて皮膚の弾力性を増大させ且つ/または皮膚の外観もしくは維持を改善することができ、この効果が、典型的には皮膚への適用後数分(例えば5分)から1時間の間に視認可能な美容作用剤を意味することを企図する。
【0050】
例として、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚、特に唇または瞼の小皺及び/または皺の出現、皮膚、例えば首の皮膚の衰え、皮膚の弛みもしくは緩み、皮膚の密度の喪失、皮膚の堅さの喪失、皮膚の張性の喪失、皮膚の弾力性の喪失、皮膚の緩み、皮膚の滑らかな外観の変化、皮膚の粗さの増加、及び顔の輪郭の変化の予防または処置のために使用可能である。アニゴザントス・フラビダスの抽出物はまた、成熟もしくは高齢の皮膚により若々しい外観を与えるため、且つ/または成熟もしくは高齢の皮膚の血色または輝きを改善するために使用することができる。
【0051】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、老化のために損傷した皮膚の細胞外マトリックスを再構築または再構成するための美容目的に使用することができる。特に、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚の細胞外マトリックスの組織化に関与するタンパク質の合成を促進するための美容目的に使用することができる。「皮膚の細胞外マトリックスの構成に関与するタンパク質」なる表現は、細胞外マトリックスの構成タンパク質、例えば、コラーゲン、エラスチン、もしくはフィブリリン、あるいは、細胞外マトリックスの構成タンパク質の発現もしくは構成に関与するタンパク質、例えばテネイシンXを意味することを企図する。所定の実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皮膚、特に成熟した皮膚におけるプロコラーゲンI、コラーゲンXVII、及びテネイシンXから選択されるタンパク質の合成を刺激するための美容作用剤として使用される。別の実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、成熟または高齢の皮膚の真皮線維芽細胞の収縮力を増大させるための美容作用剤として使用される。別の実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、真皮代謝を刺激するために使用される。
【0052】
特定の実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、美容効果を有する活性剤と組み合わせて使用される。こうした作用剤は、以下に記載され、とりわけ、皺防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、保湿剤、リフトアップ剤、及び引締剤を包含する。
【0053】
本発明による使用において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は皮膚に適用される。前記抽出物は、好ましくは皮膚に塗布することを企図した組成物中に美容作用剤として存在する。前記組成物は典型的には化粧品組成物である。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、一般に前記化粧品組成物の全質量に対して0.0001から10質量%、好ましくは0.001%から5質量%、より好ましくは0.005%から3質量%を占める。例として、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、化粧品組成物の0.01%から3.0質量%、例えば0.6質量%を占めることができる。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、化粧品組成物に液体抽出物の形態で、乾燥抽出物の形態で、あるいはまた本明細書の以下に記載の「前駆体」組成物の形態で、添加することができる。
【0054】
前記化粧品組成物は、1つ以上の化粧品として許容される賦形剤、及び美容効果を有する任意の1つ以上の付加的活性剤を含んでよい。典型的には、前記化粧品組成物は、
・0.0001%から10%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、
・0%から20%の1つ以上の付加的活性剤、及び
・70%から99.9999%の1つ以上の化粧品として許容される賦形剤、
を含み、百分率は化粧品組成物の全質量に対する質量で表される。
【0055】
特定の実施態様では、前記化粧品組成物は、
・0.001%から5質量%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、
・0.001%から10%の1つ以上の付加的活性剤、及び
・85%から99.998%の1つ以上の化粧品として許容される賦形剤、
を含む。
別の実施態様では、前記化粧品組成物は、
・0.01%から5質量%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、
・0.01%から10%の1つ以上の付加的活性剤、及び
・85%から99.98%の1つ以上の化粧品として許容される賦形剤、
を含む。
【0056】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、好ましくは液体形態で存在する。
追加または代替の一実施態様では、化粧品組成物は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物からの乾物の質量で0.001%から10%、例えば0.005%から1%、または0.005%から0.5%含む。
【0057】
「美容効果を有する活性成分」、「美容効果を有する活性剤」、または「美容効果を有する化粧品もしくは活性剤」は、皮膚もしくは皮膚付属物に少なくとも1つの美容効果を及ぼすことができる化合物を意味することを企図する。「美容効果」なる語は、皮膚または唇などの粘膜の外観を修正及び/または改善、外的攻撃(日光、風、湿気、乾燥、化学品)からの保護、あるいはまた、老化に関連する現象の予防及び/または修正を目的とするあらゆる非治療的効果を意味することを企図する。
【0058】
したがって、特定の実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、美容効果を有する付加的有効成分をさらに含む化粧品組成物中に存在してもよい。美容効果を有するこの活性成分は、ビタミン、日光遮蔽剤及びサンスクリーン、老化防止剤、赤み防止剤、酸化防止剤、引締め剤、保湿剤、緩和剤、洗浄剤もしくは角質剥離剤、マット化剤、皮脂調整剤、明色化活性剤、シミ防止活性剤、スリミング剤、排出剤、セルフタンニング活性剤、日焼け促進剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択しうる。特に、化粧品組成物は、トコフェロール、及び/または植物抽出物、例えば亜麻仁抽出物、ビブリオエキソ多糖類抽出物、またはペプチド、例えばトリフルオロアセチルトリペプチド-2を含んでよい。
【0059】
好ましくは、化粧品組成物は、皺防止剤、赤み防止剤、酸化防止剤、保湿活性剤、緩和剤、皮脂調整剤、シミ防止剤、日光遮蔽剤もしくはサンスクリーン、及びこれらの組み合わせから選択される活性剤を含んでよい。さらに好ましくは、美容効果を有する付加的活性剤は、皺防止剤、酸化防止剤、保湿剤、引締め剤、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0060】
保湿剤の例として、尿素、ピドリン酸(PCA)及びこれらの誘導体、特にこれらの塩、例えばアルギニンPCA、キトサンPCA、これらの銅塩(銅PCA)、マグネシウム塩(マグネシウムPCA)、ナトリウム塩(ナトリウムPCA)、またはその亜鉛塩、エチルヘキシルPCA、グルコン酸カルシウム、ヒアルロン酸及びその塩ならびに他のグリコサミノグリカン、フルクトース、グルコース、イソマルトース、ラクトース、トレハロース、ポリデキストロース、サッカロース(スクロース)、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及び別の炭化水素及び誘導体、ポリエチレングリコール、例えば、PEG-7、PEG-8、PEG-10、PEG-12、またはPEG-14、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ベタイン、シトルリン、コラーゲン、及びこれらの誘導体、ヒスチジン、絹加水分解物、ケラチン加水分解物、または大豆加水分解物、多糖類及び/またはポリフェノールに富む植物抽出物、例えばアロエ抽出物、コーンフラワー(矢車菊)、及びこれらの組み合わせを挙げて良い。
【0061】
老化防止剤の例としては、アスコルビン酸及びその誘導体、例えば、リン酸アスコルビルマグネシウム、グリコサミノグリカン及びその誘導体、ヘゴ多糖類、コラーゲン、亜麻仁(亜麻(Linum usitatissimum))抽出物、ペプチド、例えばカプロオイルテトラペプチド-3及びトリフルオロアセチルトリペプチド-2、ミチヤナギ(Polygonum aviculare)の抽出物、褐藻の抽出物、特にアスコフィラム・ノドサム(Ascophyllum nodosum)の抽出物、シダの抽出物、特にシアテア・クミンギ(Cyathea cumingii)の抽出物を挙げることができる。
【0062】
緩和剤の例として、アラントイン、アロエの抽出物、カバノキの抽出物(例えばシラカバ(Betula alba))、ヤナギソウの抽出物(例えばヤナギラン(Epilobium angustifolium))、クリの抽出物(例えばヨーロッパグリ(Castenea sativa))、コーンフラワーの抽出物(例えば矢車菊(Centaurea cyanus))、ツボクサの抽出物(例えばツボクサ(Centella asiatica))、トクサの抽出物(例えばスギナ(Equisetum arvense))、フェンネルの抽出物(例えばウイキョウ(Foeniculum vulgare))、マンサク植物の抽出物(例えばアメリカマンサク(Hamamelis virginiana))、ツタの抽出物(例えばセイヨウキヅタ(Hedera helix)) 、ハイビスカス・サブダリッファ(Habiscus sabdariffa)の抽出物、ユリの抽出物(例えばリリアム・キャンディダム(Lilium candidum))、アオイ科植物の抽出物(例えばウスベニアオイ(Malva sylvestris))、レモンバームの抽出物(例えばMelissa officinalis)、タツナミソウの抽出物(例えばコガネバナ(Scutellaria baicalensis))、ミモザの抽出物(例えばミモザ・テヌイフローラ(Mimosa tenuiflora))、キジムシロの抽出物(例えば、ポテンティラ・エレクタ(Potentilla Erecta))、オリゴ糖の抽出物またはオリゴ糖、例えば、亜麻の抽出物、ペプチド、例えばパルミトイルトリペプチド-8、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0063】
抗酸化剤の例として、HMR(ヒドロキシメチルレゾルシノール)、アスコルビン酸及びその誘導体、ビタミンB9、塩酸ヒスチジン、またはヤナギソウの抽出物(ヤナギラン(Epilobium angustifolium))を挙げることができる。抗酸化作用を有し、且つビタミン型である活性成分は、一般的に化粧品組成物の全質量に対して少なくとも1%の質量百分率で使用される。
皮脂調整剤の例としては、亜麻リグナン、米粉、グルコン酸亜鉛、サルコシン、シナモン(Cinnamomum zeylanicum)の皮の抽出物、アボカドの抽出物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0064】
赤み防止剤としては、サポニン、フラボノイド、ルスコゲニン、エスクロシド、及びこれらを含有する抽出物、例えばナギイカダ(Ruscus)の抽出物、及び特定の精油、例えばラベンダーまたはローズマリーの精油を挙げることができる。
シミ防止剤の例としては、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)の抽出物、ジャックフルーツ(パラミツ(Artocarpus heterophyllus))の抽出物、ウエスタンドック(western dock)(ラズベリー(R.occidentalis))の抽出物、シトラス属に属する植物の抽出物、レスベラトロール、ペプチド、例えば、オリゴペプチド-68、ノナペプチド-1、コウジ酸、アスコルビルリン酸マグネシウム及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0065】
化粧品組成物中に存在する化粧品として許容される賦形剤は、希釈剤、分散剤、ゲル化剤、皮膚軟化剤、ベクトル化剤、例えばポリカチオン性ポリマーまたはリン脂質、ガム、樹脂、溶媒、特に低級アルコール、特にエタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロパンジオール、グリセロール、ソルビトール、及びプロピレングリコール、充填剤、例えば改質及び重合デンプン、二酸化チタン、またはステアリン酸金属塩、保存料、精油、真珠光沢剤、染料、臭気吸収剤、pH調整剤もしくは中和剤、潤滑剤、増粘剤、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤、保湿剤、湿潤剤、香料、有機または無機の顔料、例えば酸化鉄、油性剤、例えば植物起源の油もしくは脂、動物起源の脂肪、合成油、例えばワセリン、シリコーン油(シクロメチコン)、脂肪アルコールエステル、フッ素油、ワックス、変性粘土、ベントン、脂肪酸の金属塩、シリカ、ポリエチレン、雲母、防腐剤、抗微生物剤、担体、例えばミネラルウォーター、スプリングウォーター、またはフローラルウォーター、及び/または化粧品または製薬分野における処方に通常使用される別の物質から選択しうる。
【0066】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、あらゆる種類の化粧品組成物に配合することができる。好ましくは、これは局所投与に適した、特に皮膚への適用に適した形態を有する化粧品組成物である。前記化粧品組成物は、水性または水性-アルコール性溶液、水中油型(O/W)または油中水型(W/O)または多相(三相:W/O/WまたはO/W/O)エマルション、ナノエマルション、特に、100nm未満の液滴を有するO/Wナノエマルション、水性ゲル、分散液、または粉末であってよい。本発明による化粧品組成物は、ローション、ミルク、クリーム、膏薬、ゲル、泡沫、溶液、または軟膏の形態であってよい。より一般的には、本発明による組成物はまた、任意の種類の化粧品の形態であってよい。これは、美容ケア製品またはメイクアップもしくは身体衛生製品、例えばローション、ミルク、セラム、水性もしくは油性ゲル、エマルション、クリーム、クリームゲル、スキンケア水、軟膏、バーム、ファンデーション、スプレー、アイシャドウ、スティック、リップスティック、グロス、泡沫、デオドラント、栄養マスク、シャワージェル、または角質剥離もしくは洗浄製品であってよい。非限定的な例示として、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、成熟または高齢の皮膚を企図した日中用クリーム中の老化防止剤、再リフトアップ剤、または再構築剤として存在してよい。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、顔または首を企図した再生セラム中の老化防止剤として存在してよい。さらなる例として、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、手、首、または胸のためのケアクリーム中に平滑化または再構築活性剤として存在しうる。
【0067】
特定の実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、ベクトル化剤と組み合わせで化粧品組成物中に存在する。特定の実施態様において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、ベクトル化システムによって製剤化される。ベクトル化システムは、ミセル、単層または多層リポソームを含むリポソーム、ニオソーム、エトソーム、ラメラシステム、ナノソーム、脂質もしくはポリマー小胞、ナノスフェア、天然であってもなくてもよいポリマーのマイクロもしくはナノ粒子、ヒドロゲルからなる群から選択しうる。好ましくは、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、リポソーム及びラメラシステムから選択されるベクトル化システムに封入されている。本発明を実施するためのリポソーム及びラメラシステムの特定の例は、とりわけ、フランス特許出願第1358589号及び第1262303号に記載されている。
【0068】
本発明による追加の目的は、対象における皮膚老化の徴候を処置または予防するための美容方法であって、美容上有効な量のアニゴザントス・フラビダス抽出物の、好ましくは局所経路による、前記対象への投与を含む方法である。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、典型的には、処置しようとする皮膚、例えば顔、首、または手の皮膚に適用される。好ましくは、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、上記のように化粧品組成物中に存在し、よって化粧品組成物の形態、例えばクリームの形態で適用される。上述のように、皮膚老化の兆候は、皮膚の機械的特性の変化、特に皮膚の弾力性の喪失から生じ得る。好ましくは、本発明による美容方法は、皺及び/または小皺の出現、皮膚上の色素斑の出現、皮膚の衰え、皮膚の弛みまたは緩み、皮膚の密度の喪失、皮膚の張りの喪失、皮膚の張性の喪失、皮膚の弾力性の喪失、皮膚の緩み、皮膚の滑らかな外観の変化、肌の粗さの増加、顔の輪郭の変化、及びこれらの組み合わせから選択される皮膚老化の徴候を処置または予防することを目的とする。
【0069】
本発明の目的はまた、皮膚、好ましくは成熟した皮膚に即時の緊張効果を与えるための美容方法であって、美容上有効な量のアニゴザントス・フラビダス抽出物の、好ましくは局所経路による、前記対象への投与を含む方法である。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、典型的には、処置しようとする皮膚、例えば顔、首、または手の皮膚に適用される。
【0070】
本発明による別の目的は、皮膚の細胞外マトリックスの再編成または再構築、及び/または、皮膚中、好ましくは成熟した皮膚中のプロコラーゲンI、コラーゲンXVII、及びテネイシンXから選択されるタンパク質の合成の刺激、及び/または、成熟した皮膚の真皮線維芽細胞の収縮力の増大のための美容方法であり、前記方法は、美容上有効な量のアニゴザントス・フラビダス抽出物の、好ましくは局所的に前記対象への投与を含む。別の実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、真皮代謝の刺激または真皮を再編成もしくは再構成のために使用される。
【0071】
本発明による美容方法及び使用において、アニゴザントス・フラビダスの抽出物の投与すべき用量及び投与頻度は、所望の美容効果、対象の特徴、特に彼らの性別、年齢、皮膚タイプの関数として変動する。典型的には、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、処置しようとする領域に、1日に1回または2回、典型的には朝及び/または夕方に、数週間または数ヶ月にさえ亘り、例えば少なくとも3週間に亘って適用することができる。処置しようとする領域は、典型的には、手、首、顔、または顔の一部、例えば目の周りの領域、唇の周りの領域、及び鼻溝の領域からなる群から選択される。アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、以下に記載のように化粧品組成物の形態で適用することができる。前記化粧品組成物は、典型的には0.001%から10質量%、例えば0.01%から5質量%の抽出物を含む。
【0072】
一例として、顔に老化防止効果を得るために、患者は、アニゴザントス・フラビダス抽出物が0.1質量%である化粧品組成物の1gから2gの用量を、顔面に、朝及び夕方適用して良い。
対象は、女性または男性、典型的には30歳以上、好ましくは40歳以上、または45歳以上であり得る。例えば、対象は、45歳以上の女性であってよい。
【0073】
本発明による追加の目的
さらなる態様によれば、本発明の目的はまた、アニゴザントス・フラビダスの抽出物を含む化粧品組成物である。典型的には、前記化粧品組成物は、
・0.0001%から10%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、
・0%から20%の1つ以上の付加的活性剤、及び
・70%から99.9999%の1つ以上の化粧品として許容される賦形剤、
を含み、百分率は化粧品組成物の全質量に対する質量で表される。
【0074】
特定の実施態様では、前記化粧品組成物は、
・0.001%から5質量%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、
・0.001%から10%の1つ以上の付加的活性剤、及び
・85%から99.998%の1つ以上の化粧品として許容される賦形剤、
を含む。
別の実施態様では、前記化粧品組成物は、
・0.01%から5質量%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、
・0.01%から10%の1つ以上の付加的活性剤、及び
・85%から99.98%の1つ以上の化粧品として許容される賦形剤、
を含む。
【0075】
言うまでもなく、抽出物、付加的活性剤、及び医薬品として許容される賦形剤は、上記の通りである。同様に、化粧品組成物は、上記で説明した通り任意の種類のものであってよい。
特に、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、液体抽出物の形態であってよい。
追加または代替の一実施態様では、化粧品組成物は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物からの乾燥物を0.001%から10質量%、例えば0.005%から1質量%含む。
【0076】
追加の態様によれば、本発明の目的は、化粧品組成物に配合することを企図した組成物である。したがって、この組成物は「前駆体」組成物に該当する。
【0077】
好ましくは、化粧品組成物を調製するためのこの組成物は、
・10から50質量%、好ましくは20から40質量%のアニゴザントス・フラビダスの抽出物、
・50から90質量%、好ましくは60から80質量%の担体、好ましくは、水性溶媒、有機溶媒、好ましくは低級アルコール、例えばエタノール、プロパンジオール、ブチレングリコール、グリセロール、またはイソプロパノール、親油性剤、及びこれらの混合物から選択されるもの、及び
・任意の、0.01から30質量%の化粧品として許容される付加的賦形剤、好ましくは、pH調整剤、緩衝剤、ベクトル化剤、酸化防止剤、防腐剤、安定剤、増粘剤、乳化剤、親水性もしくは親油性のゲル化剤、香料、鉱物油もしくは有機油、及びこれらの組み合わせから選択されるもの
を含み、百分率は前記組成物の全質量に対する質量で表される。
【0078】
アニゴザントス・フラビダスの抽出物は上記の通りであることは言うまでもない。例として、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、極性溶媒での抽出により、アニゴザントス・フラビダスの地上部分から得られる抽出物であってよい。特定の実施態様では、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、例えば水中または水性-アルコール性混合物、例えば水/グリセロール混合物中の液体抽出物であってよい。
【0079】
特定の一実施態様では、化粧品組成物を調製するための組成物は、
・20から40%のアニゴザントス・フラビダスの水性抽出物、及び
・60から80%のグリセロール
を含み、百分率は前記組成物の全質量に対する質量で表される。
【0080】
「前駆体」組成物はまた、緩衝剤またはpH調整剤、例えばクエン酸を含んでよい。典型的には、本発明による「前駆体」組成物は、3.0から4.5の間、典型的には約3.9のpHを有する。
追加または代替の一実施態様では、「前駆体」組成物は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物からの乾物を、0.01%から10質量%、例えば0.05%から5質量%、あるいはまたは0.1%から1質量%含む。
【0081】
本発明の目的はまた、化粧品組成物を調製するための前記「前駆体」組成物の使用である。言うまでもなく、前記最終化粧品または医薬組成物は、本発明による化粧品向けの使用のうちのいずれか1つの実施に特に好適であり、且つ、上記の特徴のうちのいずれか1つを有してよい。
【0082】
「前駆体」組成物は、化粧品組成物中に、最終化粧品組成物または医薬組成物の総質量に対する質量で0.001%から50質量%、好ましくは0.01%から10質量%、例えば0.5%から5質量%、または1.5%から2.5質量%の量で存在してよい。
前記化粧品組成物は、本発明による「前駆体」組成物と、美容上の観点から1つ以上の賦形剤及び/または美容効果を有する1つ以上の追加の活性剤とを混合することによって得られる。
【0083】
本発明によるさらなる目的は、アニゴザントス・フラビダスの抽出物または「前駆体」組成物を1つ以上の化粧品として許容される賦形剤及び/または美容効果を有する1つ以上の付加的活性剤と混合する工程を含む、本発明による化粧品組成物を調製する方法である。
【0084】
本発明の目的はまた、
a)アニゴザントス・フラビダスの植物マトリックスを、好ましくはアニゴザントス・フラビダスの地上部分から、乾燥及び粉砕により準備する工程、
b)植物マトリックスの極性溶媒での抽出、これに次ぐ濾過の工程により液体抽出物を得る工程、
c)化粧品として許容される担体を、濾過による液体抽出物に添加する工程、
d)任意の、化粧品として許容される賦形剤をろ液に添加する工程、
e)任意の、pH調整工程
を含む、本発明による「前駆体」組成物を調製するための方法である。
工程c)、d)、及びe)工程を任意の順序で実施することができる。
【0085】
特定の実施態様では、化粧品として許容される担体はグリセロール及び/または水を含む。
抽出工程は、上記のように、例えば水または水性-アルコール性混合物を極性溶媒として使用して、実施することができる。
本発明の他の態様及び利点は、以下の実施例を読むことで明らかになるであろうが、これらは例示的であり、何ら限定的ではないと見なされるべきである。
【実施例】
【0086】
以下の実施例は、以下で「抽出物」と呼称される組成物を用いて実施した。前記「抽出物」組成物は、
・約1.6質量%の固形分を含有するアニゴザントス・フラビダスの花または茎の水性抽出物30質量%、及び
・70質量%のグリセロール
を含む。
本発明の目的のために、これは「前駆体」組成物である。
【0087】
実施例1:ヒト皮膚線維芽細胞によるプロコラーゲンIの合成に対するアニゴザントス・フラビダスの抽出物の効果
・状況
コラーゲンは、皮膚の機械的特性に深く関わるタンパク質の一群を構成する。プロコラーゲンIは、結合組織の主要構成要素であるI型コラーゲンの前駆体である。年齢とともに、皮膚中のコラーゲン含有量は減少し、これは皮膚表面に皺または小皺の形成をもたらす。
本研究の目的は、ヒト皮膚線維芽細胞によるプロコラーゲンの合成に対するアニゴザントス・フラビダスの抽出物の効果を決定することであった。
【0088】
・プロトコル
「抽出物」組成物を以下の濃度:0.1%及び0.05%(v/v)で試験した。TGF-βをポジティブコントロールとして選択し、10ng/mlで試験した。ネガティブコントロールは、「抽出物」組成物またはTGFβで処理されていない細胞に相当する。
線維芽細胞は、ヒトの真皮から単離し、10%のウシ胎児血清、1%の抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)、及び1%のL-グルタミンを補足した特定のDMEM培地中に、37℃で、5%未満のCO2及び湿度95%の下で維持した。
マイクロプレートウェル毎に2.5×104の細胞を、完全DMEM培地中に播種した。細胞をインキュベーターに24時間入れた。次いで培養培地を無血清DMEMと交換した。マイクロプレートは、細胞静止状態に到達させるために、インキュベーター内にさらに24時間放置した。
「抽出物」組成物またはTGF-βを所望の濃度で添加した。マイクロプレートをさらに24時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、上清を除去し、ELISA(MK101Z, Ozyme)で分析してプロコラーゲンIを定量した。
【0089】
・結果
得られた結果を
図1に示す。
図1は、未処理細胞と比較した、処理された細胞におけるプロコラーゲンI合成の活性化百分率を示す。
「抽出物」組成物またはTGFβで処理された線維芽細胞は、未処理細胞よりも大量のプロコラーゲンIを産生した。コラーゲンI合成に対する「抽出物」組成物の効果は、用量依存的である。したがって、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、真皮線維芽細胞のプロコラーゲンIを刺激する。
【0090】
実施例2:ヒト皮膚線維芽細胞によるテネイシンXの合成に対するアニゴザントス・フラビダスの抽出物の効果
テネイシンXは、細胞外マトリックス(ECM)の弾性繊維の構造と安定性の両方を調節するタンパク質である。これは、コラーゲン繊維の組織化にも貢献する。テネイシンXは、結合組織の剛性と弾力性において重要な役割を果たす。テネイシンXの遺伝性欠乏は、エーラスダンロス症候群として既知の遺伝病を引き起こしうる。
この研究の目的は、ヒト皮膚線維芽細胞によるテネイシンX合成に対する「抽出物」組成物の効果を決定することであった。
【0091】
・プロトコル
「抽出物」組成物を以下の濃度:0.2%及び0.1%(v/v)で試験した。10%のウシ胎児血清をポジティブコントロールとして使用した。ネガティブコントロールは、「抽出物」でもウシ胎児血清でも処理されていない細胞に相当する。
線維芽細胞は、ヒトの腹部真皮から単離し、10%のウシ胎児血清、1%の抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)、及び1%のL-グルタミンを補足した特定のDMEM培地中に、37℃で、5%未満のCO2及び湿度95%の下で維持した。
マイクロプレートウェル毎に2.5×104の細胞を、完全DMEM培地中に播種した。細胞をインキュベーターに24時間入れた。次いで培養培地を無血清DMEMと交換した。マイクロプレートは、細胞静止状態に到達させるために、インキュベーター内にさらに24時間放置した。
「抽出物」組成物またはウシ胎児血清を所望の濃度で添加した。添加後、細胞をさらに24時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、上清を除去し、ELISAで分析してテネイシンXを定量した。
並行して、インキュベーションの終わりに、細胞溶解物に含まれるタンパク質をブラッドフォード法によって定量した。
【0092】
・結果
得られた結果を、p値<0.05についてスチューデントt検定にかけた。結果を
図2に示す。
図2は、各実験条件について、タンパク質の総量に対する割合で表した、培地中に存在するテネイシンXの量を示す。「抽出物」組成物は、ネガティブコントロール(未処理細胞)と比較して、テネイシンXの量を用量依存的に増加させることに留意されたい。換言すれば、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、ヒト線維芽細胞中のテネイシンXを刺激する。
【0093】
実施例3:ヒト角化細胞によるコラーゲンXVII合成に対するアニゴザントス・フラビダスの抽出物の効果
コラーゲンXVIIは、表皮接着に関与する細胞内要素と細胞外要素との結合の維持に必須の役割を果たす膜貫通タンパク質である。
この研究の目的は、ヒト角化細胞によるコラーゲンXVII合成に対する「抽出物」組成物の効果を決定することであった。
【0094】
・プロトコル
「抽出物」組成物を0.4%(v/v)の濃度で試験した。TGF-βをポジティブコントロールとして選択し、10ng/mlで試験した。ネガティブコントロールは、「抽出物」でもTGFβでも処理されていない細胞に相当する。
角化細胞は、ヒトの表皮細胞株から単離し、10%のウシ胎児血清、1%の抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)、及び1%のL-グルタミンを補足した特定のDMEM培地中に、37℃で、5%未満のCO2及び湿度95%の下で維持した。
マイクロプレートウェル毎に5×104の細胞を、完全DMEM培地中に播種し、インキュベーターに24時間入れた。次いで培養培地を、1%のウシ胎児血清、1%の抗生物質、及び1%のL-グルタミンを含むDMEM培地と交換した。マイクロプレートは、インキュベーター内にさらに24時間放置した。
インキュベーションの終わりに、「抽出物」組成物またはTGF-βを所望の濃度で添加した。マイクロプレートをさらに24時間インキュベートした。
1/100に希釈した抗コラーゲンXVII抗体を使用して免疫標識することによりコラーゲンXVIIを検出及び定量し、フルオレセインに結合した二次抗体で明示した。蛍光強度は、コラーゲンXVII発現レベルに相当する。画像はImage Jソフトウェアを用いて処理した。
【0095】
・結果
蛍光測定値は、ネガティブコントロールについて測定された蛍光強度の測定値に対して正規化した。「抽出物」組成物と共にインキュベートされた細胞の蛍光強度において+27%の増加が観察され、これは、未処理細胞と比較して、コラーゲンXVII発現の増加を示す。TGF-β(ポジティブコントロール)とのインキュベーションにより、ネガティブコントロールと比較して257%の蛍光シグナルの増加をもたらした。
まとめると、アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、ヒト角化細胞によるコラーゲンXVII合成を刺激する。
【0096】
実施例4:抽出物の緊張効果の評価:皺の底からの線維芽細胞によって発生する収縮力の定量化及びα-SMアクチンの定量化
GlassBoxPlus(登録商標)システムによって、皺の底からの線維芽細胞から得られる真皮「等価物」に対する化粧品活性剤の緊張効果を定量化することが可能である。皺の底部からの線維芽細胞は、隣接する皺のない皮膚の線維芽細胞よりも収縮力が少ない。GlassBoxPlus(登録商標)システムにおける収縮力の測定後に、皮膚等価物中のα-SMアクチンの免疫標識を実施することも可能である。この研究の目的は、抽出物の、細胞可塑性、遊走、及び運動性に関与するα-SMアクチンの合成及び線維芽細胞の収縮性に対する効果を示すことであった。
【0097】
・プロトコル
<線維芽細胞培養>
直径2mmの生検材料をリフト(外科用廃棄物;63歳の女性)の皺のない皮膚のレベル及び皺内から採取した。
従来の外植技術を、健康な皮膚(HF)及び皺の底(BW)から線維芽細胞を抽出するために使用する。外植片を、10%のウシ胎児血清(FCS)、40mg/lのゲンタマイシン、及び2mg/のファンギゾンを補足した「ダルベッコ改変イーグル培地」(DMEMc)培地中に、37℃で、5%未満のCO2及び湿度95%の下で培養した。培地は週に2回更新する。線維芽細胞が十分な量になった時点で、これらをトリプシン-EDTAの作用下で剥離し、同じ培養条件下で継代培養し、増幅させる。
【0098】
<GlassBoxPlus(登録商標)システムと収縮力の測定>
皮膚等価物を、8つの長方形セルからなる培養皿中で成長させる。
それぞれの中に、その下部が重合時に皮膚等価物が付着するグリッドからなる、2つの柔軟なスライドを配置する。皮膚等価物は、2つのスライドの間で成長して、中央でわずかに縮小する長方形の形状をもたらす。従来機構でのこの形状は「ディアボロ」形状と呼称される。
線維芽細胞によって生じる収縮力の影響下で、スライドは歪む。これらの歪みは光ファイバによって測定される。この歪みは皮膚等価物内に発生した力に比例する。測定は、PC取得カード及び適切なソフトウェアを使用してリアルタイムで実施される。
融合した時点で、単層培養線維芽細胞をトリプシン処理し、次いでMallassezスライドを用いて細胞懸濁液を8×105細胞/mlとするために計数する。皮膚等価物産生培地を、6容量の1.76X培地(DMEMc、NaHCO3、NaOH、抗生物質、FCS)、3容量のラットテールI型コラーゲン(2mg/ml)、及び1容量の細胞懸濁液(8×105細胞/ml)を混合することによって調製する。
混合物を、GlassBoxPlus(登録商標)の長方形セルに注ぐ。37℃にて数分でゲルが形成される。「抽出物」組成物(培地中の最終濃度:0.1%及び0.2%(v/v))またはTGF-β1(2.5ng/ml)(ポジティブコントロール)を含む様々な培地、またはこれらを含まない培地(ネガティブコントロール)を添加し、等尺力を24時間に亘って測定する。
【0099】
<α-SMアクチンのラベリング>
α-SMアクチン繊維の免疫標識は、抗α-SMアクチンマウスモノクローナル抗体の使用により実施される。FITCに結合した抗マウス二次抗体により、免疫標識を実施し、局在化することができる。核はヘキスト染料で染色した。488nmでの共焦点顕微鏡検査及び705nmの二光子励起顕微鏡検査によって、観察が行われた。
皮膚等価物の断片は、直径5mmの生検パンチを用いて得られる。皮膚等価物を低温アセトン中に入れ、浸透させる。PBSで洗浄した後、過酸化水素水性溶液を添加して内因性ペルオキシダーゼを除去する。PBSですすいだ後、皮膚等価物をグリシン溶液に入れ、固定剤のアルデヒド基に起因する背景ノイズを排除する。その後、皮膚等価物を、二次抗体に起因するであろう非特異的結合をブロックすることのできるブロック溶液に入れる。組織を一次抗体中に一晩入れる。PBSで洗浄した後、二次抗体を添加する。1時間のインキュベーション及びPBSでの洗浄の後、核をヘキスト染料で10分間染色する。
PBSですすいだ後、皮膚等価物を、Eukittを用いてスライドとカバースリップとの間に載せる。スライドを40倍の倍率の共焦点顕微鏡(Zeiss LSM510 NLO)で観察し、写真を撮る。
【0100】
<統計分析>
収縮力の研究のために、二因子分散分析が行われ、次いで必要に応じてフィッシャー検定が行われる。有意性は、p<0.05の場合にのみ保持される。曲線下面積(AUC)は、勾配(収縮率)及び最大収縮と共に算出され、これらは全てGraphPad Prism(登録商標)5ソフトウェアを用いて行われる。これらのデータについて、一因子分散分析が行われ、次いで必要に応じてフィッシャー検定を行われる。有意性は、p<0.05の場合にのみ保持される。
【0101】
<結果>
皺の底部の線維芽細胞(BW)によって生じる収縮力は、健康な線維芽細胞(HF)によって生じるものよりも著しく低い。AUCc(時間の関数としての、収縮力を表す曲線の曲線下面積)及び最大収縮は、HF線維芽細胞(データ非表示)と比較して、BW線維芽細胞については有意に減少することが観察される。線維芽細胞のTGF-β1とのインキュベーションは、BW線維芽細胞及びHF線維芽細胞の両方において、AUC及び最大収縮力の有意な増加を誘発する。
「抽出物」組成物とのインキュベーションは、BW線維芽細胞群において収縮力の有意な増加をもたらす:最大収縮力及びAUCは有意に増加する。これらの結果は
図3A、
図3B、及び
図3Cに示される。「抽出物」組成物はまた、HF線維芽細胞における収縮力を全体的に増大させるが、観察された増大は、BW線維芽細胞について得られたものよりも小さい。免疫標識実験は、「抽出物」組成物がBW線維芽細胞によるα-SMアクチン発現を刺激することを示している(
図4参照)。
アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、皺のある皮膚からの線維芽細胞の収縮力を有意且つ特異的に刺激する。それゆえ、これは、成熟または年配の皮膚に対して緊張及びリフトアップ効果を発揮する。
【0102】
実施例5:抽出物の即時の物理的緊張効果の評価
GlassBoxPlus(登録商標)システムを用い、発生した収縮力を測定することによって、非細胞皮膚等価物に対する抽出物の即時の緊張効果を定量化することも可能であった。
【0103】
・プロトコル
<GlassBoxPlus(登録商標)システム及び収縮力の測定>
非細胞皮膚等価物は、8つの長方形セルからなる培養皿中で重合させる。8個の長方形の細胞からなる培養皿中で重合する。それぞれの中に、その下部が重合時に非細胞皮膚等価物が付着するグリッドからなる、2つの柔軟なスライドを配置する。抽出物の存在下または非存在下でのコラーゲンゲルの重合は、スライドの歪みを引き起こす力を発生させる。この歪みは光ファイバによって測定される。この歪みは非細胞皮膚等価物内に発生した力に比例する。ます。それは、非細胞真皮等価物内に発生した力に比例する。
皮膚等価物産生培地を、6容量の1.76X培地(DMEMc、NaHCO3、NaOH、抗生物質、FCS)、3容量のラットテールI型コラーゲン(2mg/ml)、及び1容量のDMEMcを混合することによって調製する。
混合物を、GlassBoxPlus(登録商標)の長方形セルに注ぐ。37℃にて数分でゲルが形成される。「抽出物」組成物(培地中の最終濃度:0.2%(v/v))を含む様々な培地またはこれを含まない培地(ネガティブコントロール)を添加し、等尺力を24時間に亘って測定する。
【0104】
<統計分析>
収縮力の研究のために、二因子分散分析が行われ、次いで必要に応じてフィッシャー検定、p<0.05が行われる。
曲線下面積(AUC)、勾配(収縮率)、及び最大収縮は、GraphPad Prism(登録商標)5ソフトウェアを用いて算出される。これらのデータについて、一因子分散分析が行われ、次いで必要に応じてフィッシャー検定(p<0.05)を行われる。
【0105】
<結果>
収縮力は、コントロール群と比較して、0.2%の「抽出物」の存在下で有意に増加する。この増加は、測定開始後1時間30分で顕著であり、0.2%の抽出物の存在下で少なくとも11時間まで継続する(
図5A及び5B)。AUC(時間の関数としての、収縮力を表す曲線の下の面積)及び最大収縮が、抽出物で処置していないコントロール群と比較して、本発明による抽出物で処置した群では有意に増加することも観察される。
アニゴザントス・フラビダスの抽出物は、非細胞皮膚等価物の収縮力を有意且つ特異的に刺激する。したがって、本発明によるアニゴザントス・フラビダスの抽出物は、即時の、収斂性の、緊張性、及びリフトアップの物理的効果を発揮し、したがって、成熟した皮膚に即時の緊張効果をもたらすために使用することができる。
【0106】
実施例6:抽出物を含む化粧品組成物の例
【表1】
クリームBの抗老化特性を、実施例7に示される臨床試験で評価した。
【0107】
【0108】
【0109】
実施例7:抽出物の皺防止効果の臨床評価
<テストしたクリーム>
・2%の「抽出物」組成物を含むクリームB(実施例5参照)。
・クリームA:2%の「抽出物」組成物が2%の脱イオン水で置き換えられている事実を除いて、クリームBと同様の組成を有する偽剤クリーム。
【0110】
<プロトコル>
以下のプロトコルに従って、2%の「抽出物」組成物を含有するクリームB製品と比較して、クリームA製品(プラセボクリーム)の使用についての試験を行った。
42人の志願者が目隠しで試験に参加させ、専用プログラムによって確立された無作為リストに従って2つのグループに分けた。
・クリームAを受けるA群:フォトタイプIIからIVの、全皮膚タイプの45から69歳(平均年齢:56.4歳)の21人名の女性であって、そのうち57%が敏感肌である群、
・クリームBを受けるB群:フォトタイプIIからIVの、全皮膚タイプの46から77歳(平均年齢:60.8歳)の21人名の女性であって、そのうち48%が敏感肌である群
製品は実験室で志願者によって初めて適用された。その後の適用は、1日2回の適用の割合で、自己適用によって、志願者の家で実施された。
最初の適用後T+1時間:製品の除去後の関連領域における、皮膚科医による皮膚パラメータの評価による試行製品の耐性評価。
T+7日間:7日間使用した後の関連領域における、皮膚パラメータの評価による追跡製品の耐性評価(電話連絡による)。
T+28日:試験28日後の皮膚パラメーターの評価に従う、皮膚科医による試行製品の耐性評価。
ボランティアによる、専用のアンケートを利用した、追跡製品の品質の自己評価。
さらに、カラスの足跡皺の平均深さに関して製品の有効性の評価を実施した。
有効性測定は、T0、T1h(すなわち適用の1時間後)、及びT28(すなわち試験製品の適用の28日後)に実施した。1時間での測定により、抽出物の即時緊張効果を評価することが可能になった。T28での測定により、長期間に亘る抽出物の老化防止効果、特に皺防止効果を評価することができた。皺の深さの評価を、LifeViz Micro(登録商標)システム(Quantificare)を使用する皮膚表面の起伏の定量化によって実施した。LifeViz Micro(登録商標)は、関連の皮膚領域への構造化された光の投影に基づく、非接触測定方法である。
【0111】
<結果>
クリームBは、試験中、患者により十分に忍容された。
アニゴザントス・フラビダスの抽出物を含有するクリームBで処理した皮膚は、適用28日後に、クリームA(偽剤クリーム)で処置した皮膚と比較して有意な10%の皺深さの減少を示した(
図6)。5%の皺深さの減少は、クリームBの適用の1時間後に見られ、本発明による抽出物の即時緊張効果を明示している(
図6)。