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特許7094970モジュール式飛行編隊制御ユニットを有する無人航空機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】モジュール式飛行編隊制御ユニットを有する無人航空機
(51)【国際特許分類】
   B64C 19/02 20060101AFI20220627BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20220627BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220627BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20220627BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20220627BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220627BHJP
   G08G 5/04 20060101ALI20220627BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B64C19/02
B64C13/18 Z
B64C27/08
B64D45/00 Z
G01C21/20
G08G1/00 X
G08G5/04 A
G08G1/09 H
G08G1/09 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019543887
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 AT2018060082
(87)【国際公開番号】W WO2018195573
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】GM50076/2017
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】519290611
【氏名又は名称】アルス エレクトロニカ リンツ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ホルトナー,ホルスト
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/019595(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0303814(US,A1)
【文献】特開2017-052389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 19/02
B64C 13/18
B64C 27/08
B64D 45/00
G01C 21/20
G08G 1/00
G08G 5/04
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一飛行用に製造された無人航空機(1)であって、
前記航空機(1)の空中における飛行を可能にする駆動ユニット(2)と、
無線遠隔制御装置から制御情報を受信するか、または前記航空機(1)の飛行経路を制御するために、記憶された位置情報によって特徴付けられた空中における前記航空機(1)の位置を制御するように構成された飛行制御ユニット(3)と
を有し、
前記航空機(1)は、航空機(1)とは別のハウジングにモジュール方式で収容された飛行編隊制御ユニット(6)を備え
前記飛行編隊制御ユニット(6)は、
前記飛行制御ユニット(3)との第1のインタフェース(7)と、
飛行編隊地上管制ユニット(15)もしくは他の航空機(1)の飛行編隊制御ユニット(6)に対する第2の無線インタフェース(8)と、
を有し、
前記飛行編隊制御ユニット(6)が、前記無線遠隔制御装置に対応する制御情報を生成する信号生成手段もしくは送信する送信手段を有し、少なくとも2台の航空機(1)の編隊飛行に関連する飛行編隊制御情報を前記第1のインタフェース(7)を介して前記飛行制御ユニット(3)へ出力するように構成されることを特徴とする、無人航空機。
【請求項2】
前記第1のインタフェース(7)が、前記信号生成手段とのケーブルインタフェースによって形成され、前記ケーブルインタフェースを介して、前記飛行編隊制御ユニット(6)が、以下のプロトコルまたは概念、すなわち、超小型航空機通信プロトコル(Micro Air Vehicle Communication Protocol)、CANバスプロトコル(CAN Bus Protocol)、I2C、UART接続、前記無線遠隔制御装置のエミュレーションのいずれか1つに従って、前記無線遠隔制御装置と通信することを特徴とする、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記第1のインタフェース(7)が、前記送信手段との第1の無線インタフェースとして構成されることを特徴とする、請求項1に記載の航空機。
【請求項4】
前記飛行編隊制御ユニット(6)が、前記航空機(1)が所定の飛行区域(12)にあるかどうかを監視する位置決定手段(9)を有し、前記航空機(1)が前記所定の飛行区域(12)から離れる危険性がある場合、前記飛行編隊制御ユニット(6)は、前記航空機(1)の変更された飛行経路を指定するかもしくは計画された飛行経路を修正する飛行編隊制御情報を前記飛行制御ユニット(3)へ出力するように構成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項5】
前記飛行編隊制御ユニット(6)が、特別飛行命令もしくは帰還命令を前記第2の無線インタフェース(8)を介して前記飛行編隊地上管制ユニット(15)から受信すると、所定の特別飛行経路(14)に沿って、および/または所定の帰還着陸位置(13)まで前記航空機(1)を制御するために、前記航空機(1)の変更された飛行経路を指定するかもしくは計画された飛行経路を修正する飛行編隊制御情報を前記飛行制御ユニット(3)へ出力するように構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項6】
前記飛行編隊制御ユニット(6)が、前記飛行編隊地上管制ユニット(15)との間に十分な無線接続が存在しなかった期間を決定する時間測定手段を有し、前記飛行編隊制御ユニット(6)が、最大期間を超えると、それぞれ、所定の飛行区域(12)内で、もしくは所定の立入禁止区域の上空を飛行することなく、所定の帰還着陸位置(13)まで前記航空機(1)を制御するために、前記航空機(1)の変更された飛行経路を指定するかもしくは計画された飛行経路を修正する飛行編隊制御情報を前記飛行制御ユニット(3)へ出力するように構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項7】
ハウジングに設けられた前記モジュール式飛行編隊制御ユニット(6)には、LED光源(17)、レーザ光源(18)、光反射装置、花火発射装置、発煙手段、表示手段、スピーカ、マイクロフォン、具体的にはカメラなどの光学センサ、画像認識ユニット、距離センサ、温度センサ、湿度センサ、輸送ユニットの補助ユニットのうちの1つまたは複数が設けられていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項8】
前記航空機(1)が、ドローン、具体的にはマルチコプタとして構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項9】
飛行編隊内の少なくとも2台の無人航空機(1)を制御するシステム(10)であって、前記航空機(1)が、請求項1~8のいずれか一項に記載のモジュール式飛行編隊制御ユニット(6)と、任意には前記システム内に飛行編隊地上管制ユニット(15)とを備え、前記飛行編隊地上管制ユニット(15)が、前記航空機(1)の前記飛行編隊制御ユニット(6)の第2の無線インタフェース(8)およびその第1のインタフェース(7)を介して前記航空機(1)の飛行制御ユニット(3)と通信するように構成され、および/または前記モジュール式飛行編隊制御ユニット(6)が、前記第2の無線インタフェース(8)を介して互いに通信するように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項10】
異なる構造を有する少なくとも2台の航空機(1)が、それぞれモジュール式飛行編隊制御ユニット(6)を有し、編隊飛行のためのシステム(10)に設けられることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
飛行編隊のシステム(10)に提供された航空機(1)による前記飛行編隊において地上域で、前記飛行編隊地上管制ユニット(15)および/または前記航空機(1)の前記飛行編隊制御ユニット(6)と通信する前記移動式飛行編隊制御ユニット(6)を含む、地上域移動のための少なくとも1台の車両、具体的には乗用車または水上域移動のための少なくとも1台の車両が提供されることを特徴とする、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記航空機(1)が、単一飛行用に製造された市販の航空機によって形成されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
無人航空機(1)用の飛行編隊制御ユニット(6)であって、前記飛行編隊制御ユニット(6)がモジュール方式でハウジングに設けられ、請求項1~8のいずれか一項に記載の特徴を有することを特徴とする、飛行編隊制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の空中における飛行を可能にする駆動ユニットと、無線遠隔制御装置から制御情報を受信するか、または航空機の飛行経路を制御するために、記憶された位置情報によって特徴付けられた空中における航空機の位置を制御するように構成された飛行制御ユニットとを有する無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
公的な行事および私的な行事で、または一般に、それぞれエンターテイメント産業における芸術もしくは情報の表現に関連して、空中にイラストを提供することを望まれることが多い。これは、例えば火工品を使用すること、飛行機でバナーもしくは展示品を牽引すること、光で噴水を照らすこと、動かない高層建物の正面にイラストを投影すること、または、航空ショーの際の有色煙によって実現されることができる。
【0003】
空中にイラストを提供する上述の全ての例示的な可能性には、一般的な欠点および/または特定の欠点がある。これら欠点のいくつかを以下に例として挙げる。火工品の使用は、潜在的な危険性および環境に対する悪影響がある。航空ショーは実質的に潜在的な危険性があり、非常に高価であり、複雑で情報量の多いイラストを可能にするには飛行機の移動は根本的に速過ぎる。横断幕を牽引する場合の欠点はかなり類似している。横断幕のイラストもしくは情報はそれぞれ静的であり、2次元にすぎず、ほとんどの場合あまり見えない。光を使用して噴水を照らすことでは、高さ、3次元性および複雑さが制限される。これら解決策のいずれによっても、特定の最小サイズの、基本的に同じイラストを再現することができる、動的で双方向的で再利用可能なイラストを空中に作成することは不可能である。
【0004】
近年、無人航空機の技術分野、具体的には「ドローン」または「マルチコプタ」の分野におけるUAVの開発により、空中にこのようなイラストを提供するためにこのような航空機が使用されているという事実に至った。
【0005】
2012年9月1日にオーストリアのリンツで開催された公開音楽行事「クランヴォルケ」では、空中の動的なイラストおよび視覚表現を示すために、49台の「クワドロコプタ」が動的な飛行編隊に統合された。各クワドロコプタは、光拡散画面とこの画面内のLED光源とを有していた。このようにして各クワドロコプタは、イラストの「ピクセル」、いわゆる「SPAXEL」を空中に形成した。
【0006】
したがって、UAVを使用したこのような飛行編隊の提供は、空中にイラストを提供するための上述の可能性の欠点しか解決しないが、利用される技術および必要な専門知識に関してはかなり困難である。特に、動的な飛行編隊内での使用に関する特別な要件を満たすために、各UAVのハードウェアおよびソフトウェアを煩雑な方法で開発し、定期的に調整する必要がある。さらに、飛行編隊群の空軍管理に関して特定の専門知識と経験が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、上述の問題に対処し、かつ少なくともその問題に関連する欠点を軽減する無人航空機を提供するという課題に基づいている。さらに、この文脈では、時間消費やシステムコストなどの経済的基準だけでなく、編隊飛行を可能にする技術もまた改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、飛行制御ユニットとの第1のインタフェースと、飛行編隊地上管制ユニットもしくは他の航空機の飛行編隊制御ユニットとの第2の無線インタフェースとを有するモジュール式飛行編隊制御ユニットを提供することで解決され、飛行編隊制御ユニットは、無線遠隔制御装置に対応する制御情報を生成する信号生成手段もしくは送信する送信手段を有し、少なくとも2台の航空機の編隊飛行に関連する飛行編隊情報を第1のインタフェースを介して飛行制御ユニットへ出力するように構成される。
【0009】
市販の構造型の無人航空機、具体的には市販のドローンに有利に取り付けられるかもしくは組み込まれてもよい本発明のモジュール式飛行編隊制御ユニットにより、とりわけ、市販の構造型の航空機による空中における描画のための動的な飛行編隊群を提供することが全く初めて可能になる。航空機は、飛行制御ユニットによって駆動ユニットを制御するための技術的機能を必要とするだけである。航空機の飛行および/または一群もしくは飛行編隊群の編隊飛行にそれぞれ必要かつ有利な任意の他の機能は、飛行編隊制御ユニットによって想定され、任意にはそれに対応して飛行制御ユニットに送信される。このようにして、例えば(市販の手動)無線遠隔制御装置の制御情報が送信されるかまたはシミュレーションされる。モジュール式飛行編隊制御ユニットのハードウェアおよびソフトウェアは、航空機とは別に製造され、開発され、および/または継続的に改善されてもよく、これは上述の問題および基準に関して別の大きな利点をもたらす。
【0010】
第1のインタフェースは、無線遠隔制御装置に対応する制御情報を生成する信号生成手段とのケーブルインタフェースを介して有効に構成される。このようにして、飛行編隊制御ユニットと飛行制御ユニットとの間の非常に安全で遮断しにくい接続が可能になる。飛行編隊制御ユニットは、以下のプロトコルまたは概念、すなわち、超小型航空機通信プロトコル(Micro Air Vehicle Communication Protocol)、CANバスプロトコル(CAN Bus Protocol)、I2C、UART接続、無線遠隔制御装置のエミュレーションのいずれか1つに従って、ケーブルインタフェースを介して無線制御ユニットと有効に通信する。
【0011】
第1のインタフェースは、無線遠隔制御装置に対応する制御情報を送信する送信手段との第1の無線インタフェースとして有効に構成される。このようにして、例えば、飛行編隊制御ユニットの航空機へのかなり単純な組込みもしくは可能な限り単純な取り付けを実現してもよい。有利な実施形態では、飛行編隊制御ユニットは、航空機が所定の飛行区域にあるかどうかを監視する位置決定手段を有し、航空機が所定の飛行区域から離れる危険性がある場合、飛行編隊制御ユニットは、航空機の変更された飛行経路を指定するかもしくは計画された飛行経路を修正する飛行編隊制御情報を飛行制御ユニットへ出力するように構成される。このようにして、とりわけ、例えば任意の監視者もしくは無作為の通行人に対して安全であると定義された飛行安全区域から航空機が離れることを防ぐことにより、または航空機が最大通信範囲の限界を超えることを防ぐことにより、システムの安全性を向上させることができる。これに関して、特に有利な実施形態では、飛行編隊制御ユニットは、特別飛行命令もしくは帰還命令を第2の無線インタフェースを介して飛行編隊地上管制ユニットから受信すると、所定の特別飛行経路に沿って、もしくは所定の帰還着陸位置において航空機を制御するために、航空機の変更された飛行経路を指定するかもしくは計画された飛行経路を修正する飛行編隊制御情報を飛行制御ユニットへ出力するように構成されてもよい。
【0012】
さらに有利な実施形態では、飛行編隊制御ユニットは、飛行編隊地上管制ユニットとの間に十分な無線接続が存在しなかった期間を決定する時間測定手段を有し、飛行編隊制御ユニットは、最大期間を超えると、それぞれ、所定の飛行区域内で、もしくは所定の立入禁止区域の上空を飛行することなく、所定の帰還着陸位置まで航空機を制御するために、航空機の変更された飛行経路を指定するかもしくは計画された飛行経路を修正する飛行編隊制御情報を飛行制御ユニットへ出力するように構成される。このようにして、不具合に対する保護を高めることができ、飛行編隊地上管制ユニットとの無線接続もしくは制御接続がそれぞれ最大期間よりも長く遮断された場合、航空機は所定の着陸場所まで自律的に飛行する。
【0013】
有利な実施形態では、ハウジングに設けられたモジュール式飛行編隊制御ユニットには、LED光源、レーザ光源、光反射装置、花火発射装置、発煙手段、表示手段、スピーカ、マイクロフォン、具体的にはカメラなどの光学センサ、画像認識ユニット、距離センサ、温度センサ、湿度センサ、輸送ユニットの補助ユニットのうちの1つまたは複数が設けられている。このようにして航空機を、とりわけ、指定された用途に非常に簡単かつ可変的に調整してもよい。
【0014】
航空機は、ドローン、具体的にはマルチコプタとして有効に構成されている。このようにして、とりわけ可用性、入手および調整のコスト、変動性などに関する利点が得られる。これに関して、同一のドローンもしくは同型のドローンを飛行編隊に使用するかどうか(均一な編隊)、または編隊群が複数の完全に異なるドローンもしくは異なる型のドローンで構成されるかどうか(不均一な編隊)は重要でない。
【0015】
さらに、本発明は、飛行編隊内の少なくとも2台の無人航空機を制御するシステムを提供し、航空機は、本発明によるモジュール式飛行編隊制御ユニットと、任意にはシステム内に飛行編隊地上管制ユニットとを備え、飛行編隊地上管制ユニットは、航空機の飛行編隊制御ユニットの第2の無線インタフェースおよびその第1のインタフェースを介して航空機の飛行制御ユニットと通信するように構成され、および/またはモジュール式飛行編隊制御ユニットは、第2の無線インタフェースを介して互いに通信するように構成される。このようにして航空機は、とりわけ、飛行編隊地上管制ユニットの使用の有無に関わらず、動的な編隊飛行によって特に複雑で大きなイラストを描くことができる。
【0016】
このようにして、それぞれモジュール式飛行編隊制御ユニットを有する異なる種類の構造を有する2台の航空機を、編隊飛行のためのシステムにおいて有利に提供してもよい。したがって、例えば空中の複数のイラストを増加させることができる。
【0017】
特に有利には、飛行編隊のシステムに提供された航空機による編隊において地上域で、飛行編隊地上管制ユニットおよび/または航空機の飛行編隊制御ユニットと通信する移動式飛行編隊制御ユニットを有する、地上域移動のための少なくとも1台の車両、具体的には乗用車もしくはロボット、または水上域移動のための少なくとも1台の車両、具体的には船もしくは潜水艦、あるいは例えばツェッペリン型飛行船、固定翼航空機もしくは全翼機などのその他の種類の航空機がさらに提供されてもよい。このようにして、例えば航空機が空中で乗用車の地上域移動に追従してもよく、逆もまた同様であるので、複数のイラストをさらに増加させることができる。
【0018】
航空機は、単一飛行用に製造された市販の航空機によって、具体的にはマルチコプタによって有効に形成される。このようにして、システムを費用効率よく入手し、任意には拡張し、編隊飛行のために特に簡単かつ技術的に確実に調整することができる。本発明によるモジュール式飛行編隊制御ユニットは、各航空機、陸上乗り物もしくは水上船に対応して組み込まれるかもしくは取り付けられる。特に有用なのは、本明細書において飛行編隊制御ユニットがモジュール方式でハウジングに設けられることである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態による無人航空機の概略斜視図である。
図2図1による複数の無人航空機を有するシステムの上面図である。
図3】本発明のさらなる実施形態による複数の無人航空機を有するシステムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明による航空機および本発明によるシステムは、図面に示される例示的な実施形態によって非限定的な方法でより詳細に説明される。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態による無人航空機1を示している。その結果、航空機1は、単一飛行用、より一般的にはいわゆる「オクトコパー」用に製造された市販のドローンとして構成されてもよい。
【0022】
これに関して、航空機1の駆動ユニット2は、例えば8つの電気モータによって駆動される8つのロータユニットで構成される。駆動ユニット2は、空中における航空機1の飛行を可能にする。
【0023】
「オクトコパー」は、8つのロータユニットを有する「マルチコプタ」の変形例である。航空機1は、マルチコプタの別の変形例として、例えば4つのロータユニットを有する市販の「クワッドコプタ」などとして代替的に構成されてもよく、任意の数のロータユニットが基本的に可能である。しかし、無人航空機1は、空中において自身の位置を安定させることができる任意の航空機(例えばツェッペリン型飛行船、気球など)であってもよい。同様に、模型飛行機を飛行編隊で飛行させることも可能である。
【0024】
したがって「空中」という用語は、それぞれ人工もしくは自然の空間もしくは建物の内部または外部の人工もしくは自然の地面の上の任意の可能な空間に関する。
【0025】
航空機1は、航空機1の飛行経路を制御するために、空中における航空機1の駆動ユニット2、すなわちロータユニットを制御するように構成された飛行制御ユニット3をさらに有する。飛行制御ユニット3は、手動で操作される無線遠隔制御装置(図示せず)もしくは図2に示される飛行編隊地上管制ユニット15のユーザから制御情報を受信する。したがって航空機1は、空中で飛行経路をとるために、さらなる技術的機能および/または「知能」を必要としない。
【0026】
無線遠隔制御装置は、航空機1と一緒に販売されている市販の無線遠隔制御装置であってもよい。あるいは、市販のコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどを使用してもよい。したがって、飛行制御ユニット3を使用して、空中の所定の位置へ所定の飛行速度で航空機1を制御することが可能である。この目的のために、駆動ユニット2のロータは飛行制御ユニット3によって適切に制御される。
【0027】
さらに、本発明の航空機1は、天候の影響から保護されモジュール方式でハウジングに収容されたモジュール式飛行編隊制御ユニット6を有する。本発明によるモジュール式飛行編隊制御ユニット6は、単一飛行用に製造された市販の航空機1、具体的には市販のドローンに連結されてもよい。この目的のために、飛行編隊制御ユニット6は、図1に描かれた矢印に沿って航空機1に取り付けられるように構成され、さらに任意には航空機1から取り外されるように構成される。これは、例えば差込接続、接着剤接続もしくはねじ式接続などの、任意の種類の解除可能な取付具もしくは解除不可能な取付具によって実行されてもよい。あるいは、飛行編隊制御ユニット6は、例えばカバーを介して利用可能な航空機1の一体型ハウジングに挿入されてもよい。
【0028】
モジュール式飛行編隊制御ユニット6は、飛行制御ユニット3との第1のインタフェース7ならびに第2の無線インタフェース8を有する。飛行編隊制御ユニット6は、例えばGPS受信機などの位置決定手段9をさらに有し、それによって現在の位置情報を識別してもよい。第1のインタフェース7は、図1に示す例示的な実施形態によるケーブルインタフェースによって形成される。位置情報は、飛行編隊制御ユニット6に記憶されるか、または飛行編隊制御ユニット6が図2に示す飛行編隊地上管制ユニット15から受信する。位置情報は、飛行編隊制御ユニット6によって、任意には記憶ユニット4によって記録されてもよい。位置情報は、必要に応じてもしくは追加的に、飛行編隊制御ユニット6によって基本的に即時に計算されてもよい。
【0029】
あるいは、この現在の位置情報は、第1のインタフェース7を介して、例えばGPS受信機などの飛行制御ユニット3に既に設置されている位置決定手段によって送信されてもよい。
【0030】
代替的または追加的に、位置情報は記憶ユニット4に記憶されてもよく、ここで、飛行編隊制御ユニット6は、記憶ユニット4から位置情報を受信する。さらに、飛行編隊制御ユニット6は現在の位置情報を記憶ユニットに送信してもよく、その後、現在の位置情報は、例えばさらなる制御のためにもしくはバックアップとして記憶される。
【0031】
市販の航空機1の飛行制御ユニット3は、航空機1と一緒に販売される無線遠隔制御装置の制御情報を受信する無線受信機を有し、この無線受信機は飛行制御ユニット3の回路基板に差込接続によって取り付けられる。この例示的な実施形態によれば、無線受信機は、飛行編隊制御ユニット6を連結するために抜去され、任意には取り外され、飛行編隊制御ユニット6は無線受信機の代わりに差込接続される。ここで、飛行編隊制御ユニット6は、無線遠隔制御装置、具体的には無線受信機に対応する制御情報を生成する信号生成手段を有し、それによって飛行編隊制御ユニット6は、制御情報が市販の無線遠隔制御装置の無線受信機によって提供されるかのような方法で航空機1の飛行制御ユニット3を制御する。このようにして、飛行編隊制御ユニット6は、ケーブルを介して第1のインタフェース7を経て飛行編隊情報を飛行制御ユニット3に出力してもよい。
【0032】
飛行編隊制御ユニット6は、例えば現在位置と計画された目標位置、例えば対応する航空機1の記憶された位置情報との差異を識別し、飛行制御ユニット3が受信してもよい位置偏差を制御信号に変換し、これらの制御信号を第1のインタフェース7を介して飛行制御ユニット3に送信し、飛行制御ユニット3は、その後、それに応じてこれらの制御信号を駆動ユニット2に送信する。このようにして航空機1は、それぞれの飛行経路に沿って目標位置まで移動する。
【0033】
したがって、例示的な実施形態では、飛行編隊制御ユニット6によって、特に飛行編隊群において、飛行編隊地上管制ユニット15、飛行編隊制御ユニット6、飛行制御ユニット3の順の通信経路を介して空中の航空機1を制御することが可能である。それにより、航空機1の飛行経路は、それぞれ修正されるかもしくは「無効」にされてもよく、飛行編隊地上管制ユニット15により飛行編隊情報を用いて任意の時点で飛行制御ユニット3に対して取り消されて上書きされる。同様に、優先順位の設定に応じて、飛行編隊制御ユニット6によって任意に送信される飛行経路は、立入禁止区域の上空を飛行されないようにするために、例えば任意の時点で、必要に応じてそれぞれ修正されるかまたは無効にされてもよい。このようにして、航空機1の飛行経路は、特に安全性および/または飛行編隊の知能が要求する場合に、飛行編隊地上管制ユニット15および/または飛行編隊制御ユニット6によって基本的に即時に任意の時点で調整されてもよい。
【0034】
衝突を防止するために、飛行編隊地上管制ユニット15によって、もしくは飛行経路を記憶する前にあらかじめ衝突試験が実施されてもよく、または、飛行編隊制御ユニット6に設置されたセンサのフィードバックをさらに考慮して、飛行編隊制御ユニット6によって航空機1の飛行中に衝突対策が実施される。
【0035】
あるいは、航空機1は飛行制御ユニット6をさらに有してもよく、飛行制御ユニット6は、航空機1の飛行経路を制御するために、記憶された位置情報によって特徴付けられた空中における航空機1の位置を制御するように構成される。次いで、位置情報は、飛行制御ユニット3の記憶ユニット4または別個の記憶ユニット4に記憶される。飛行制御ユニット3は位置情報を記憶ユニット4から受信し、さらに現在の位置情報を記憶ユニット4に送信してもよく、現在の位置情報はその後、例えば制御もしくはバックアップとして記憶される。航空機1が、記憶された位置情報によって特徴付けられた位置を制御するように構成される場合であっても、飛行経路は飛行において、飛行制御ユニット3が飛行編隊制御ユニット6から受信する対応位置情報によって従うことになる。これに関して制御情報は、地上局、具体的には飛行編隊地上管制ユニット15によって、もしくは飛行編隊制御ユニット6によって直接提供される。制御情報はプロトコルを介して送信されるか、または(手動)無線遠隔制御装置の制御情報がシミュレーションされる。例えば(手動)無線遠隔制御装置によって「右方向」に移動した航空機1は、飛行編隊制御ユニット6が目標位置に到達したことを認識し、かつ飛行編隊制御6が「保持位置」に切り替わるまで、飛行編隊制御ユニット6によって右に移動され、飛行制御ユニット3は、飛行編隊制御ユニット6の仕様に従って駆動ユニット2を制御する。
【0036】
位置情報は、例えば「全地球測位システム(GPS)」に基づく空中の3次元座標、例えばGPS交換形式(GPS Exchange Format,GPX)のデータである。GPX形式のデータは地理データを含んでもよく、この地理データは、緯度、経度および高度からなる地理座標である。航空機1、具体的には飛行編隊制御ユニット6および/または飛行制御ユニット3は、GPS受信機5をさらに有する。あるいは、データはまた、ガリレオ(Galileo)システム、グロナス(GLONASS)システム、ベイドゥ/コンパス(Beidou/Compass)システムもしくは任意の他の衛星ナビゲーションシステムおよび/または時間表示システム、または、建物の内部または外部の航空機1の位置決定(送信信号の送信による位置決定、光学式位置決定システムなど)のためのローカルもしくは建物でのナビゲーションシステムに基づいていてもよい。
【0037】
航空機1の飛行経路は、位置の時系列に対応し、この時系列はGPX形式のデータとすることができる。時系列の範囲により、航空機1の飛行速度が決定される。有利には、具体的にはシステムの実行時間にさらに関する位置の時系列順が例えばユーザの対話によって変更されるか、または、1つまたは複数の航空機の新しい位置がユーザの対話から得られる。この文脈では、ユーザの対話がシステムに送信される方法は重要でない。
【0038】
無線遠隔制御装置は、(中央)(地上)局と多くの移動局(1:n)の間の通信用に特に設計された装置であってもよく、そのプロトコルは、飛行編隊もしくは編隊群におけるこのような通信用に調整される。例示的な実施形態では、無線遠隔制御装置は、飛行編隊地上管制ユニット15と航空機1の飛行編隊制御ユニット6との間の通信を提供する。あるいは、各飛行編隊制御ユニット6は各飛行編隊制御ユニット6(n:m)と直接通信することもでき、この場合、プロトコルは以前のものとは異なる。帯域幅および周波数に関して無線経路が変わらなくてもよい実施形態が有利である。
【0039】
あるいは、第1のインタフェース7は第1の無線インタフェースとして構成されてもよく、飛行編隊制御ユニットは、航空機1と一緒に販売される市販の無線遠隔制御装置に対応する制御情報を送信する送信手段を有する。この場合、飛行制御ユニットの無線受信機は飛行制御ユニットの回路基板の差込接続から抜去されず、むしろ飛行編隊制御ユニットの送信手段によって送信される飛行編隊制御情報の無線受信機として使用される。したがって飛行制御手段は、受信した制御情報がパイロットによって操作される無線遠隔制御装置によって送信されたかのように動作し、この制御情報は、実際にはすぐ近くに取り付けられた飛行編隊制御ユニット6から得られる。このようにして、良好で安全な無線接続が得られ、購入した無線遠隔制御装置を使用して航空機を飛行させる可能性を維持することができる。
【0040】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、第1のケーブルインタフェースは、例えば以下のプロトコル、すなわち超小型航空機通信プロトコル(Micro Air Vehicle Communication Protocol)およびCANバスプロトコル(CAN Bus Protocol)に従って通信する規格に従って定義されたインタフェースによって実現されてもよい。これは、市販の航空機1が飛行制御ユニットとのこのようなインタフェースを既に有している場合に特に合理的である。
【0041】
航空機1は、空中において安定した略静止位置にある一方で、航空機の対称軸線11は略垂直に向けられている。空中における対称軸線11を中心とした、および/またはこの場合は略水平な回転軸線(図示せず)を中心とした航空機1の向きは、例えば駆動ユニット2によって実現される。対称軸線および回転軸線を中心としたあらゆる配向が可能である。
【0042】
図2は、一例として、図1に示す第1の実施形態による複数の無人航空機1および飛行編隊地上管制ユニット15からなるシステム10を示している。
【0043】
航空機1の飛行編隊制御ユニット6は、自身に含まれる第1のインタフェース7を介して、上述の説明に従って飛行制御ユニット3と通信するように構成される。飛行編隊地上管制ユニット15は、飛行編隊地上管制通信ユニット16および飛行編隊制御ユニット6の第2の無線インタフェース8を介して、飛行編隊制御ユニット6と通信するように構成される。したがって、航空機1は、飛行編隊において飛行編隊地上管制ユニット15によって制御されて移動してもよい。これに関して有利には、例えば、他の全ての航空機1は編隊知能に基づいて、制御された航空機1に追従するので、例えば100台以上の多数の航空機1を移動させるために1~5台の航空機1のみを制御すれば十分な場合がある。このようにして、送信情報の必要な量を著しく低減することができる。
【0044】
この文脈における「編隊知能」とは、編隊群飛行の特定の利点を意味しており、編隊群飛行とは、具体的には、最も近くに位置する個体の相互依存関係における、複数の個体の移動および/または個体間の距離の継続的な調整、この場合は個々の航空機1間の距離の継続的な調整による、飛行編隊内の複数の個体の集団移動、この場合は複数の航空機の集団移動のことである。この文脈における「編隊飛行」とは、飛行編隊地上管制ユニット15および複数の飛行編隊制御ユニット6で構成されるシステムが、飛行編隊制御ユニット6を備えた航空機1を自動的に、かつ共通の空間(空中)で可能な限り衝突が発生しないように移動させる能力を意味する。
【0045】
任意には、航空機1は、第2の無線インタフェース8を介してモジュール式飛行編隊制御ユニット6によって互いにさらに通信してもよく、飛行編隊制御ユニット6は、第1のインタフェース7を介して、航空機1の編隊飛行に関連する編隊制御情報をそれぞれの飛行制御ユニット3へ出力するように構成される。このようにして、例えば飛行編隊制御ユニット6に取り付けられた距離センサの助けにより、航空機1は、例えば上述の編隊飛行知能に基づいて移動することができる。
【0046】
飛行区域12および帰還着陸位置13は、例えば空間座標、具体的には緯度、経度および高度情報におけるGPS座標によって定義され、飛行区域は、事実上略垂直に上方へ延び、かつ、上方への航空機1の最大飛行高度もしくは操作者の高度指定によって制限される。したがって、飛行編隊制御ユニット6の位置決定手段9により、航空機1が所定の飛行区域12内にあるかどうかを監視してもよい。飛行編隊制御ユニット6は、航空機1が所定の飛行区域12から離れる危険性がある場合、航空機1の変更された飛行経路を指定する飛行編隊制御情報を飛行制御ユニット3へ出力するように構成される。
【0047】
このような状況は、上部に示す航空機1について図2に示されており、次のシーケンスが基本的に即時に実行される。飛行編隊制御ユニット6は、位置決定手段9と、航空機1の現在の飛行経路および/または記憶された飛行経路によって、航空機1が所定の飛行区域12から離れる危険性があることを記録する。これは、例えば強い突風によって引き起こされる可能性があり、この突風は航空機1を所定の飛行区域12から外れる方向に付勢する。飛行編隊制御ユニット6はこの情報を飛行編隊地上管制ユニット15に送信し、飛行編隊地上管制ユニット15は、それぞれ特別飛行命令もしくは帰還命令を飛行編隊制御ユニット6に送信する。この帰還命令を受信すると、このようにして航空機を所定の特別飛行経路14に沿って所定の帰還着陸位置13まで制御するために、飛行編隊制御ユニット6は航空機1の変更された飛行経路を飛行制御ユニット3に出力する。
【0048】
任意には、飛行編隊制御ユニット6は、飛行編隊地上管制ユニット15との間に十分な無線接続が存在しなかった期間を決定する追加の時間測定手段を有してもよく、飛行編隊制御ユニット6は、最大期間を超えると、所定の飛行区域12内で、任意には所定の立入禁止区域の上空を飛行することなく、所定の帰還着陸位置13まで航空機1を制御するために、航空機1の飛行経路を修正する。
【0049】
航空機1はまた、第2の無線インタフェース8を介してモジュール式飛行編隊制御ユニット6によって互いに通信してもよく、各飛行編隊制御ユニット6は、飛行編隊地上管制ユニット15などを必要とせずにそれぞれの飛行制御ユニット3を適切に制御する。さらに、飛行編隊制御ユニット6は、他の航空機1の飛行制御ユニット3へのアクセスを任意に有してもよい。図3は、さらなる実施形態によるこのような無人航空機1のシステムを示している。この文脈では、航空機1は、ハウジングに設けられたモジュール式飛行編隊制御ユニット6内に補助ユニットが設けられているという事実を除いて、第1の実施形態の航空機1と基本的に類似している。
【0050】
図3の例では、これらの補助ユニットはLED光源17またはレーザ光源18である。代替的および/または追加的に、光反射装置、花火発射装置、発煙手段、表示手段、スピーカ、マイクロフォン、具体的にはカメラなどの光学センサ、画像認識ユニット、距離センサ、温度センサ、湿度センサ、物品および荷物用の輸送ユニットなどが提供されてもよく、これらの補助ユニットの全ての組合せは、本発明によるモジュール式飛行編隊制御ユニット6の場合に考えられる。
【0051】
システム10の航空機1を、上述の説明による本発明の飛行編隊制御ユニット6によって飛行編隊内で移動させてもよい。航空機1、具体的にはLED光源17およびレーザ光源18により、とりわけ航空機1の位置情報を含むイラスト情報によって、イラストを空中に生成してもよい。本明細書では、図3は、例えば100台以上の航空機1など、基本的により多くの航空機1を有するシステムの切抜き図を代替的に示すことができる。このようにして、有利には飛行編隊制御ユニット6および飛行編隊において制御される多数の航空機1を使用して、例えば大規模で明確に見える視覚表現および投影図などのイラストを動的な3次元の複雑な図の形態で提供してもよく、この場合、動的で双方向的な、基本的に同じイラストを再現することができる。
【0052】
任意には、航空機1を含む飛行編隊において、航空機1の飛行編隊制御ユニット6と地上域で通信する本発明のモジュール式飛行編隊制御ユニット6を有する少なくとも1台の乗用車(図示せず)をさらに提供してもよい。この文脈では、航空機1は、例えば乗用車が地上域で「描く」イラストを空中に基本的に即時に「複写」してもよい。あるいは、これに関して、少なくとも1台の自動車または少なくとも1台の水上船、具体的にはボートもしくは船が提供されてもよい。
【0053】
本発明の航空機またはシステムは、例えば緊急の場合の救助システムおよび/または輸送システムとして、または自転車レースまたはマラソンなどのスポーツイベントの際の情報システムとして使用されてもよいことに言及されるべきである。この文脈では、例えば航空機の大規模な飛行編隊により、大量の援助物資を非常に迅速かつ正確に提供してもよい。特にこの文脈では、災害区域において、いくつかの選択された場所への並行供給を行ない、このようにして配給不足および深刻な地域集会を防ぐことができる。
【0054】
無人航空機という用語は、本発明の範囲内で非常に広く解釈されるものであり、例えば熱気球、ツェッペリン型飛行船、模型飛行機もしくは模型ヘリコプタを含むこともできる。
【0055】
この飛行編隊モジュールの別の可能な用途は、モジュールを装備した全ての航空機用の「トランスポンダおよびブラックボックスシステム」としての用途である。飛行編隊モジュールに組み込まれた記憶ユニットにより、飛行時間、飛行位置、到達速度などの情報を継続的に記録してもよい。耐候性ハウジングの有利な実施形態を例えば耐衝撃性ハウジングとして使用して、衝突事故で終了した状況のために、そのハウジングに記憶された情報を回収後に読み取ってもよく、その情報を(技術的または法的)分析にさらに利用することができる(ブラックボックス機能)。
【0056】
さらに、飛行編隊制御モジュールと地上局との恒久的な接続により、上述の安全・保安対策を一時中断する必要なく、本発明による飛行編隊モジュールを備えた航空機が飛行中に2つの地上局間を移動することが可能になるように、いくつかの地上局を有利に接続する可能性が得られる。したがって、個々の飛行編隊モジュールに関する位置情報は、地上局の送信のままである(トランスポンダ機能)。
【0057】
本発明による飛行編隊制御モジュールを備えた航空機が始動される全ての地上局は、あらゆる安全・保安対策を考慮して、航空機を除外される飛行経路に対する制御をそれぞれ維持、変更、または実施してもよい。これは、監視および制御の可能性に関する限り、航空分野におけるトランスポンダ機能に関する発明の拡張に対応している。
【0058】
特に有利には、ネットワーク内の権限(例えば飛行制御権限)が、ネットワークに参加している地上局を介した個々の飛行編隊制御モジュールの制御について与えられている場合、それぞれが連結された飛行編隊制御モジュールを備えた地上局からなるネットワークが構成される。
【0059】
このように、権限は、航空交通に関する特定の決定された規制および規定を発行する可能性について与えられるだけでなく、速やかに基本的に即時に措置(例えば、災害時のUAV操作のための飛行区域の閉鎖)を実施する可能性も存在しており、それによって全ての安全関連の要件(例えば、問題の各UAVの割り当てられた着陸位置への安全で自律的な着陸)が満たされる。
【0060】
これは、単一のUAVの操作における飛行編隊モジュールの有利な使用をさらにもたらし、具体的には、飛行編隊制御モジュールの記憶モジュールに記録された飛行情報から自動的に、個々のUAVの専門的かつ業界関連の使用について法的に必要な報告書を作成する可能性に関して有利である。
図1
図2
図3