(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20220627BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20220627BHJP
G01S 13/62 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H01Q23/00
G01S13/34
G01S13/62
(21)【出願番号】P 2019547930
(86)(22)【出願日】2018-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2018029420
(87)【国際公開番号】W WO2019073677
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2017199460
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】三木 健一
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/120826(WO,A1)
【文献】特開2004-212178(JP,A)
【文献】特開2016-146550(JP,A)
【文献】特開2010-062614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
G01S 13/34
G01S 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子、第2端子及び第3端子を有するバイポーラトランジスタと、
前記第1端子に接続され、準ミリ波帯以上の周波数の信号を直接発振により出力する共振パターンと、
前記第2端子に接続され、前記周波数の信号の送受信が可能なアンテナとして動作する面状の開放伝送線路と、を備え、
前記第1端子と前記第2端子との端子間容量が、前記第1端子と前記第3端子との端子間容量及び前記第2端子と前記第3端子との端子間容量よりも相対的に大きく、
前記第3端子に電源が供給されているときに前記開放伝送線路を伝送する前記信号の一部が、前記第1端子と前記第2端子との静電容量を介して前記第1端子に帰還
し、
前記第2端子と一端が接続されるフィルターパターンと、
前記第2端子と前記フィルターパターンとの間に介挿される整合用のオープンスタブと、をさらに備え、
前記フィルターパターンの他端が接地され、
前記開放伝送線路が、前記第1端子と容量結合される、
高周波モジュール。
【請求項2】
前記第3端子と前記電源との間に介挿入されるオープンスタブをさらに備え、
前記オープンスタブは、隣接する導電体との間の浮遊容量の増加を抑制しつつ前記準ミリ波帯以上の周波数を広帯域化するものである、
請求項1
に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記開放伝送線路は、前記信号を放射するとともに対象物で反射された前記信号の反射波を受信する、
請求項
1または2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記開放伝送線路の開放端に接続され、前記反射波を異なる位置でホモダイン検波する二つのダイオードをさらに備える、
請求項
3に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記二つのダイオードは、二つの端子を接続した前記バイポーラトランジスタで構成される、
請求項
4に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記バイポーラトランジスタは、3端子型トランジスタである、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記バイポーラトランジスタは、2つの端子がエミッタ又はソースを成す4端子型トランジスタであり、エミッタ又はソース端子の一端を開放とし、3端子型トランジスタとして構成される、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記開放伝送線路を臨む部位に所定サイズの窓が開口された金属ケースに収納される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
基板と、
前記基板の表面に形成された複数の導電膜パターンと、
前記基板に実装され、かつ、エミッタ、コレクタ及びベースを有するバイポーラトランジスタと、を備え、
前記複数の導電膜パターンは、
前記ベースと導通し、かつ、準ミリ波帯以上の周波数の信号を直接発振により出力する共振パターンを含む第1導電膜パターンと、
前記コレクタと導通し、電源と繋がる第2導電膜パターンと、
前記エミッタと導通し、接地されたフィルターパターンと前記準ミリ波帯以上の周波数の信号の送受信が可能なアンテナとして動作し、前記ベースと容量結合を成す面状の開放伝送線路とを含む第3導電膜パターンと、を含み、
前記開放伝送線路を伝送する前記信号の一部が、前記ベースとの間の端子間容量と容量結合とで生じる静電容量を介して前記ベースに帰還する、
高周波モジュール。
【請求項10】
前記開放伝送線路は、前記準ミリ波帯以上の周波数の信号を放射するとともに前記信号が対象物で反射された反射波の受信が可能なサイズに形成され、
前記開放伝送線路の開放端には、所定の間隔をおいて二つのダイオードが接続され、
各ダイオードは、それぞれ前記反射波を異なる位相でホモダイン検波することにより、前記対象物が動く方向の識別を可能にするドップラー信号を出力する、
請求項9に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
前記第1導電膜パターン及び前記第2導電膜パターンは、前記信号の周波数におけるインピーダンスがそれ以外の周波数のインピーダンスよりも大きくなるパターンである、
請求項9または10に記載の高周波モジュール。
【請求項12】
前記第2導電膜パターンは、前記第1導電膜パターンまたは前記第3導電膜パターンと対向する部分が狭く、前記第1導電膜パターン及び前記第3導電膜パターンから離れるにつれて広くなるオープンスタブを含む、
請求項9から11のいずれか一項に記載の高周波モジュール。
【請求項13】
前記第3導電膜パターンは、前記接地されたフィルターパターン及び前記開放伝送線路と前記エミッタとの間に形成された整合用のオープンスタブを含む、
請求項9から12のいずれか一項に記載の高周波モジュール。
【請求項14】
前記開放伝送線路を臨む部位に所定サイズの窓が開口された金属ケースに収納される、
請求項
9から13のいずれか一項に記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準ミリ波帯のトランジスタ発振器や対象物の動きを検出する電波センサなどに使用可能な超小型の高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドアの自動開閉、電気機器の自動ON/OFF、照明の自動点灯消灯など機器の多機能化が進んでいる。また、人の安全な暮らしを見守る見守りセンサや不審者などを検知するセキュリティーセンサなどの開発が進んでいる。これらの機器やセンサでは、対象物の動きを電波により検出する電波センサが使われている。
【0003】
この種の電波センサに関し、特許文献1には、2つの混合器に入力する局部発振信号と受信信号の位相を気にしないで混合器などの配置をしても対象物の遠近情報を確実に認識することができる方向識別型のドップラーモジュールが開示されている。このドップラーモジュールでは、局部発振信号と反射波である受信信号とを混合する混合器を2個直列に接続し、その一方側から第1の局部発振信号と受信信号とを入力させるとともに、第2の局部発振信号をさらに2個の混合器の接続部にも入力させ、それぞれの出力を検出することにより、対象物が遠ざかるか近づくかの遠近情報を検出する。
【0004】
また、特許文献2には、高い周波数を送信でき、回路構成が簡単で安価に製造できるとされる電波センサ用モジュールが開示されている。この電波センサ用モジュールは、基準電波を逓倍するとともに逓倍された出力電波をアンテナから放射させ、ターゲットで反射されて時間遅れの生じた入力電波をホモダイン検波する逓倍および検波手段を備えて構成される。
【0005】
また、特許文献3には、マイクロストリップライン、非線形素子である発振素子、バラクタダイオードで構成される局部発振器を備えるドップラーレーダが開示されている。局部発振器は、外部より入力端へ発振源である主発振器の信号の一部を注入した後、主発振器の信号と局部発振信号との位相同期状態中に入力端からRF(高周波)受信信号を入力する。これにより、発振素子をミキサ(混合器ないし混合回路)としても動作させ、出力端より中間周波数信号を取り出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2004-85293号公報
【文献】特開平2003-194918号公報
【文献】特開平2001-16042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたドップラーモジュールでは、ミキサの出力と信号入力とが共通となるため、整合が容易でない。また、発振器やアンテナが別体であるため、全体として大きな面積が必要となり、小型化に限界がある。
また、特許文献2に開示された電波センサ用モジュールの発振器は逓倍方式であるためスプリアスが多く、強固なフィルタが必要である。そのため、小型化に限界がある。
また、特許文献3に開示されたドップラーレーダでは、サーキュレータやFET(電界効果トランジスタ)などの高価な素子を使用するため、低コスト化が進みにくい。
【0008】
本発明は、従来よりも簡素な構成で小型化且つ量産が容易となり、併せてより一層の低コスト化が可能となる高周波モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1端子、第2端子及び第3端子を有するトランジスタと、前記第1端子に接続され、準ミリ波帯以上の周波数の信号を直接発振により出力する共振パターンと、前記第2端子に接続され、前記周波数の信号の送受信が可能なアンテナとして動作する面状の開放伝送線路と、を備え、前記第1端子と前記第2端子との端子間容量が、前記第1端子と前記第3端子との端子間容量及び前記第2端子と前記第3端子との端子間容量よりも相対的に大きく、前記第3端子に電源が供給されているときに前記開放伝送線路を伝送する前記信号の一部が、前記第1端子と前記第2端子との静電容量を介して前記第1端子に帰還する、高周波モジュールである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、トランジスタで準ミリ波帯の信号を直接発振させ、その信号を開放伝送線路から放射させるので、逓倍方式で発振させる際に必要な回路やスプリアス除去のためフィルタなどが不要となり、簡素かつ小型で安価な高周波モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本実施形態の高周波モジュールの外観図であり、上面図。
【
図1B】本実施形態の高周波モジュールの外観図であり、Y方向から見た側面図。
【
図1C】本実施形態の高周波モジュールの外観図であり、X方向から見た側面図。
【
図1D】本実施形態の高周波モジュールの外観図であり、裏面図。
【
図3】導電膜パターンと実装部に素子が実装された基板の状態説明図。
【
図4】導電膜パターンと素子により実現される電子回路の模式図。
【
図5】共振器の反射型と帰還型の特徴を示した図表。
【
図6】発振素子に用いられる半導体素子の特徴を示した図表。
【
図7A】二つのドップラー信号の信号波形例であり、対象物が近づくときの例。
【
図7B】二つのドップラー信号の信号波形例であり、対象物が遠ざかるときの例。
【
図9A】金属ケースが存在しない場合のビームパターン。
【
図9B】金属ケースが存在する場合のビームパターン。
【
図10】本実施形態の高周波モジュールの放射特性図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、準ミリ波帯の電波のドップラー効果を利用して対象物の動きを検出するドップラーモジュール(電波センサ)として動作する高周波モジュールに適用した場合の実施の形態例を説明する。ドップラーモジュールでは、発振器、アンテナ、ミキサが標準部品となる。準ミリ波帯で動作する従来のドップラーモジュールでは、これらの部品を別体としたり、二つのアンテナを用いて配線の引き回しを行う。また、その理由については後述するが、本願出願人の製品を含め、発振器に用いる電子素子は高価であり、ミキサの構成も複雑である。本実施形態では、これらを安価な電子素子を用い、かつ一つの電子回路として一体化することにより、従来よりも格段に小型で低コストとなる高周波モジュールを実現したものである。
【0013】
図1A~
図1Dは、本実施形態の高周波モジュールの外観図であり、
図1Aは上面図、
図1BはY方向から見た側面図、
図1CはX方向から見た側面図、
図1Dは裏面図である。
高周波モジュール1は、シールド用の金属ケース10と、その表面側に金属ケース10が被嵌される基板20と、を有する。基板20は略矩形状の絶縁体であり、対向する一対の短側面には、表裏面にわたって金属製の端子21~26が形成され、一対の長側面には四つの窪みが形成されている。裏面は
図1Dに示される通り、端子21~26が露出しているので、電源供給や信号出力のための配線が容易になっている。
【0014】
金属ケース10は有底矩形筒状であり、有底部には窓11が開口されている。この窓11の役割については後述する。金属ケース10の側面のうち対向する一対の短側面は、対向する一対の長側面よりも短く、基板20への被嵌時に間隙12が形成され、これにより端子21~26との接触が回避される。金属ケース10の一対の長側面には、基板20の上記窪みに係合するための舌片10a~10dが形成されている。
【0015】
基板20に金属ケース10が被嵌されたときの全体のサイズは、縦13mm、横16mm、厚さ1.6mmの略直方体状となる。このサイズは、同じ周波数を用い、かつアンテナを別体とした(つまりアンテナを含まない)本願出願人の従来製品と比較して体積比で20%以下である。これだけ小型化が進んだ製品は、他社製品を含めても現時点では見当たらない。
【0016】
基板20の表面には、複数の導電膜パターンが形成されている。
図2は、基板レイアウトの例示図である。基板20は、横の長さWが16mm、縦の長さHが13mm、厚さが0.6mmで比誘電率は3.2の高周波基板と、横の長さWが16mm、縦の長さHが13mm、厚さ0.3mm、比誘電率4.3の汎用基板と、を張り合わせた基板となっている。汎用基板を張り合わせることにより、基板20の厚みを増し、強度をもたせており、高周波基板の多層構造よりも低コストで構成できる。
基板20には、電子素子を表面実装するための実装部P1~P7が形成されている。実装部P1には、3端子型のトランジスタ、例えばベース、コレクタ及びベースを有するバイポーラトランジスタが実装される。本明細書では、実装部P1のうちベースの接合部位と端子21との間の導電膜パターンを第1導電膜パターン100と呼ぶ。また、実装部P1のうちコレクタの接合部位と端子22との間の導電膜パターンを第2導電膜パターン200と呼ぶ。また、実装部P1のうちエミッタの接合部位と端子23~26との間の導電膜パターンを第3導電膜パターン300と呼ぶ。
【0017】
図3に、各導電膜パターン100,200,300に含まれる個別の導電膜パターンと、実装部P1~P7に素子が実装された基板20の状態を示す。また、
図4に、基板20に形成された各導電膜パターン100,200,300のいずれかと導通する素子により実現される電子回路の模式図を示す。
【0018】
実装部P1には、NPN型のバイポーラトランジスタQ1が実装される。実装形態は任意であるが、本実施形態では表面実装した。バイポーラトランジスタQ1のベースBは、第1導電膜パターン100である共振パターンB11、所定長の伝送線路B12、オープンスタブB13及び端子21と導通する。共振パターンB11は、24GHz帯(例えば24.15GHz)の波長λの略1/4、又は略3/8の長さの面状パターンである。本実施形態では、3.0mmの長さのパターンとした。伝送線路B12は、24GHz帯の波長λの略1/2の長さの線路である。また、共振パターンB11に影響を与えず、24GHz帯でのインピーダンスを大きくするとともに、浮遊容量を減らすため、伝送線路B12の線幅を0.1mmまで細くしてある。
【0019】
オープンスタブB13は、24GHz帯の波長λの略1/4の長さのスタブパターンである。端子21からは、バイアスVbが供給される。その結果、バイポーラトランジスタQ1のベースに、オープンスタブB13、伝送線路B12、共振パターンB11を含めて24GHz帯で影響を受けずにバイアスVbを供給することができる。
【0020】
バイアスVbを任意のタイミングでLowレベルまたはHighレベルのように切り替えることにより、バイポーラトランジスタQ1の動作を停止(OFF動作)させたり、動作を開始(ON動作)させることができる。また、バイアスVbをパルス状の電圧信号としてパルス動作(間欠動作)させ、省電力化を図ることもできる。
オープンスタブB13と端子21との間に、ベース電流調整用抵抗とバイパスコンデンサを接続しても良い。
【0021】
バイポーラトランジスタQ1のコレクタCは、第2導電膜パターン200である伝送線路C11、略扇形のオープンスタブC12と導通する。伝送線路C11は、24GHz帯の波長λの略1/4の長さの線路である。24GHz帯でのインピーダンスを大きくすると共に浮遊容量を減らすため、伝送線路C11の線幅を0.1mmまで細くしてある。オープンスタブC12は、24GHz帯の波長λの略1/4の長さのスタブパターンである。また、隣接する導電体(本例では後述するオープンスタブE11)との間の浮遊容量の増加を抑制しつつ、周波数の広帯域化を図るために、オープンスタブC12は、コレクタCと電源との間に介挿される。オープンスタブC12を略扇形としたのは、隣接するオープンスタブE11に近接する部分の面積を減らすためである。
【0022】
オープンスタブC12と端子22との間の実装部P6には電圧調整用抵抗C13が接合される。また、実装部P7にはバイパスコンデンサC14が接続される。バイパスコンデンサC14の他端は、グランド端子G2に接合する。グランド端子G2は金属ケース10が被嵌されたときに金属ケース10の内壁と導通する。端子22には電源Vcが供給される。その結果、バイポーラトランジスタQ1のコレクタCに、24GHz帯の出力電力を低下させずに発振が安定した状態で電源Vcを供給することができる。
【0023】
バイポーラトランジスタQ1のエミッタEは、第3導電膜パターン300であるオープンスタブE11,E12、チョークコイルとして動作する伝送線路E13、アンテナとして動作する開放伝送線路E14と導通する。チョークコイルは、直流成分を通過させ、準ミリ波帯の信号を遮断するフィルターパターンとして動作する。
オープンスタブE11,E12は24GHz帯の出力整合用のスタブパターンであり、一つで済む場合はオープンスタブE12を省略しても良い。逆に、二つでも足りない場合は、もう一つのオープンスタブを追加しても良い。この時、オープンスタブE12を24GHz帯の波長λの略1/8の長さに設定しながら、オープンスタブE11で整合調整することでオープンスタブE12をノッチフィルタとして作用させてもよい。このように、ノッチフィルタとして作用させることにより、高調波成分(2倍波)を低減することができる。伝送線路E13(チョークコイル)の一端は開放伝送線路E14と一体に形成され、他端は接地電位となるグランド端子G1に接合される。グランド端子G1は金属ケース10が被嵌されたときに金属ケース10の内壁と導通するようにしても良い。
【0024】
開放伝送線路E14は、24GHz帯で共振する長さの導電膜パターンである。開放伝送線路E14の形状は任意である。本実施形態では、バイポーラトランジスタQ1のエミッタEから伝送してきた信号が放射されやすくなり、ホモダイン検波に用いやすくするため、開放端をできるだけ長くした面状パターンとした。また、バイポーラトランジスタQ1のベースBと容量結合しやすくなるように、ベースBと近い部分がベースBに向けて突出する形状とし、放射されずに残った信号(開放伝送線路内で反射した信号)がこの容量結合を介してトランジスタQ1のベースBに帰還し、発振に寄与できるようにした。この時、放射されずに残った信号がバイポーラトランジスQ1のエミッタEに入力されにくいので、バイポーラトランジスタQ1は安定した状態で発振を継続できることとなる。
【0025】
上記突出した部分と対向する開放伝送線路E14の開放端は、間隔dだけ離れて二つの実装部P2,P3のカソード端子と導通する。間隔dは、24GHz帯の波長の略3/8の長さ(本例では2.9mm)とする。その理由については後述する。これらの実装部P2,P4にはダイオードD1,D2が表面実装される。
【0026】
実装部P2にはダイオードD1が表面実装される。このダイオードD1のアノード端子はオープンスタブD11、伝送線路D12を介して実装部P3の一方端及び端子23と導通する。実装部P3の他方端は、端子24と導通する。実装部P3にはバイアス調整用抵抗D13が実装される。端子23からは、ダイオードD1で検波された第1出力信号が出力される。また、端子24にはバイアス電圧Vbbが供給される。
【0027】
実装部P4にはダイオードD2が表面実装される。このダイオードD2のアノード端子はオープンスタブD21、伝送線路D22を介して実装部P5の一方端及び端子25と導通する。実装部P5の他方端は、端子26と導通する。実装部P5にはバイアス調整用抵抗D23が実装される。端子25からは、ダイオードD2で検波された第2出力信号が出力される。また、端子26にはバイアス電圧Vbbが供給される。
【0028】
ダイオードD1,D2は、ミキサダイオード,ショットキーバリアダイオードなどの高周波ダイオードを使用することができる。また、バイポーラトランジスタのベースとコレクタを接続してカソードとして用い、エミッタをアノードとして用いることにより、バイポーラトランジスタをダイオードD1,D2として使用することもできる。特に、発振器として使用するバイポーラトランジスタQ1と同じバイポーラトランジスタをダイオードD1,D2として使用することにより、能動素子の種類が1種類だけとなり、素子調達コストを抑えることができる。
【0029】
[高周波モジュールの動作]
次に、高周波モジュール1の動作について説明する。高周波モジュール1は、バイポーラトランジスタQ1と共振パターンB11と開放伝送線路E14とが、24GHzの信号を直接発振する発振器として動作する。また、開放伝送線路E14が、24GHz帯の信号を送受信するアンテナとして動作する。さらに、二つのダイオードD1,D2が、それぞれ開放伝送線路E14で受信した反射波を異なる位置でホモダイン検波するミキサとして動作する。つまり、高周波モジュール1は、ドップラーモジュールとして必要となる標準部品が一体化した一つの電子回路として動作する。以下、これらの部品(回路)の動作原理について説明する。
【0030】
<発振器>
準ミリ波帯の発振器を実現する手法として、反射型と帰還型とが知られている。
図5は、両者の特徴を示した図表である。
図5に示されるように、回路構成は、いずれもストリップライン(伝送線路)、共振素子及び発振素子が用いられる。発振素子の利得は反射型が1前後で発振可能なのに対し、帰還型は、発振素子の利得が1以上となることが必要となる。ただし、帰還型は、反射型よりも出力を大きくとることができるので、増幅器が不要になるという大きな利点がある。帰還型は、また、反射型よりも出力に含まれるノイズがきわめて小さいという利点もある。
【0031】
他方、発振素子に用いられる半導体素子には、バイポーラトランジスタ、FET(Field effect transistor:ユニポーラトランジスタ)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)があり、それぞれ一長一短がある。
図6は、これらの半導体素子の特徴を示した図表である。
図6に示されるように、準ミリ波帯のような高い周波数帯では、トランジション周波数(利得帯域幅積)f
Tが重要なパラメータとなる。トランジション周波数f
Tは、どのくらいの高周波信号までを増幅できるかという限界を示すもので、HEMTが最も高い。また、発振素子では、寄生発振や共振をなくすため、もしくは寄生発振や共振する周波数を使用周波数よりも高い周波数に移動させるために、端子間容量(端子間に生じる静電容量、以下同じ)は極力小さくしなければならない。この端子間容量が最も小さいのはHEMTである。また、発振方式も直接発振が最も簡易である。そのため、従来、準ミリ波帯以上の周波数帯で用いる発振器の発振素子には、HEMTが多用されていた。
しかし、HEMTは、両電源(正負バイアス)使用が通例であるが、たとえば構成が簡素となる単電源(正バイアス)の使用ではソースを直接接地できないことから発振周波数の安定性が小さいし、消費電力も大きく、価格も高価である。
【0032】
一方、バイポーラトランジスタは、トランジション周波数fTが低く、使用する周波数が高くなるにつれて端子間容量による寄生発振や共振が多くなる。そのため、準ミリ波帯では使用されにくかった。準ミリ波帯で使用する場合であっても、直接発振が困難であるため、実用的には逓倍方式の発振とするしかなかった。逓倍方式では増幅回路の追加が生じたり、スプリアス除去のため強固なフィルタを追加しなければならない。そのため、結果として小型化や低コスト化が困難となる。
【0033】
また、バイポーラトランジスタにおける端子間容量は、ベースとコレクタ間の端子間容量Ccb、コレクタとエミッタ間の端子間容量Cce、エミッタとベース間の端子間容量Cebがあり、Ccb<Cce<Cebとなる。つまり、エミッタとベース間の端子間容量Cebが一番大きく、これが高周波帯における寄生発振や共振の一因となっていた。
しかし、バイポーラトランジスタは、発振の安定性が最も高く、電源も単電源で良く、価格が低いという大きな利点がある。
【0034】
本実施形態の高周波モジュール1では、バイポーラトランジスタQ1の端子間容量Cebが大きいことを逆に利用して、これを帰還型の発振に用いることとした。例えば発振動作が安定するエミッタ接地型としつつエミッタEを出力とし、開放伝送線路E14を伝送しつつ放射に使用されなかった信号を、エミッタEとベースBとの端子の静電容量と容量結合で生じた静電容量でベースBに帰還させ、より安定して発振を継続させる構成とした。
【0035】
また、バイポーラアンテナQ1にSiGeトランジスタ、すなわちシリコン(Si)にゲルマニウム(Ge)を混合したトランジスタを使用することにより、トランジション周波数fTを高めることができる。そのため、24GHzの信号をより安定的に直接発振することができるようになる。
【0036】
本発明者のシミュレーションによれば、端子間容量Cebを信号の帰還に用いることにより、結果的に他の端子間容量Ccb,Cceの影響も小さくなった。しかし、高周波モジュール1では、伝送線路B12,C11,D12,D21の線幅を極力細くしたり(本例では0.1mm)、導電膜パターンを特徴的な形状及び配置にすることにより、浮遊容量、寄生発振あるいは共振の防止を徹底した。例えば、エミッタ接地型では、エミッタEを直近でグランド端子に接続するのが通例である。しかし、本実施形態では通例の構成とは異なり、エミッタEから整合用のオープンスタブE11,E12及びチョークコイルとして動作する伝送線路E13を介して接地するようにした。これにより、エミッタEとグランド端子G1との間で生じる浮遊容量を減らすことができ、寄生発振や共振が抑えられ、24GHz帯でより安定した発振特性を得ることができるようになった。
上述したように、オープンスタブC12の形状を略扇形としたのも浮遊容量を減らすための方策の一つである。すなわち、オープンスタブC12のうちオープンスタブE11に近接する部分を細くして面積を減らすことにより、エミッタE-コレクタC間の浮遊容量の増加を抑制している。
【0037】
<アンテナ>
上述したように基板20のサイズがきわめて小さいことから、開放伝送線路E14の面積も小さく、放射効率も十分でない。そのため、放射効率の高いアンテナを別体で設けた場合に比べて利得は低くなるが、高周波モジュール1では、アンテナと発振器、並びに後述するミキサが一体化しており、これらをつなぐ伝送線路の引き回しによる損失が少ない。そのため、アンテナを別体に設けた場合よりも給電電力を大きくとることができる。本発明者のシミュレーションによれば、アンテナを別体に設けた本願出願人の製品と同等以上の送受信特性が得られることが判明している。
【0038】
高周波モジュール1は、開放伝送線路E14だけをアンテナとして用いている。つまり、1アンテナ型のモジュールとして使用する。ドップラーモジュールの場合、通常は整合や位相調整が容易となることから、従来は2アンテナ型が主流であった。しかし、2アンテナ型の場合、小型化のためにアンテナの間隔が近づくとアンテナ間の結合が生じ、この結合により分解能が低下する。また、1アンテナ型であっても、従来のドップラーモジュールの場合、分配器(分岐器)等が必要となり、回路が複雑で面積拡大となってしまう。小型化に適したサーキュレータ,アイソレータなど使用すれば面積拡大は回避されるが、これらの部品はコストが高い。本実施形態の高周波モジュール1は、高価な部品を使用しないので、分解能の低下を抑制させつつコスト的にも有利となる。
【0039】
<ミキサ>
ミキサは、開放伝送線路E14と、この開放伝送線路E14に接続された二つのダイオードD1,D2により構成される。コレクタCに電源Vcが供給され、ベースBにバイアス電圧Vbが入力されている間、開放伝送線路E14には、共振パターンB11で直接発振され、エミッタEを通じて伝送された信号が流入し、連続的に放射される。放射された信号は、対象物で反射され、反射波として開放伝送線路E14で受信される。
以後の説明では、放射された信号を「放射信号」、反射波として受信される信号を「反射信号」と呼ぶ。
【0040】
各ダイオードD1,D2には、開放伝送線路E14を通じて、直接発振された信号(放射信号と同じ)と反射信号とが入力され、ホモダイン検波される。ホモダイン検波された信号は、移動物の動く方向を識別するためのドップラー信号となり、それぞれ端子23,25から出力される。すなわち、対象物が高周波モジュール1に近づいたり、遠ざかったりすると、電波のドップラー効果により、各ダイオードD1,D2から、移動物の動く速度に応じた位相の変化を伴うドップラー信号が出力される。以下、ダイオードD1でホモダイン検波され、端子23から出力される信号を第1ドップラー信号、ダイオードD2でホモダイン検波され、端子25から出力される信号を第2ドップラー信号と呼ぶ。
【0041】
放射信号(反射信号も同じ)の波長をλ、対象物と開放伝送線路E14までの距離をL(ベクトル量)、信号波形の振幅をA、発振角周波数をωとすると、ダイオードD1に入力される放射信号VT1、反射信号VR1、第1ドップラー信号VM1は、それぞれ以下の式で表される。
VT1 = AT1Sin(ωt+θT1)
VR1 = AR1Sin(ωt+θR1+4πL/λ)
VM1 = AM1Sin(θT1-θR1-4πL/λ)
【0042】
同様に、ダイオードD2に入力される放射信号VT2、反射信号VR2、第2ドップラー信号VM2は、それぞれ以下の式で表される。
VT2 = AT2Sin(ωt+θT2)
VR2 = AR2Sin(ωt+θR2+4πL/λ)
VM2 = AM2Sin(θT2-θR2-4πL/λ)
【0043】
位相差θは、それぞれ以下の条件式を満たす。
θT1<θT2,θR1<θR2,(θT1-θR1)≠(θT2-θR2)
そのため、第1ドップラー信号VM1と第2ドップラー信号VM2の位相差θは、以下の式で表される。
θ=(θT2-θR2)-(θT1-θR1)
【0044】
開放伝送線路E14の突出した部分と対向する開放端に間隔dでダイオードD1,D2を接続することにより上記条件式を満たし、位相差がθとなるドップラー信号を出力することができる。
移動物を一定の速度で高周波モジュール1に近づけたり、遠ざけたりしたときの第1ドップラー信号V
M1と第2ドップラー信号V
M2の信号波形例を
図7Aと
図7Bに示す。
図7Aは近づくとき、
図7Bは遠ざかるときの例である。
図7Aに示されるように、対象物が近づくと第1ドップラー信号(V
M1)71は第2ドップラー信号(V
M2)72よりも位相差θだけ遅れる。また、
図7Bに示されるように、対象物が遠ざかると第2ドップラー信号(V
M2)72が第1ドップラー信号(V
M1)71よりも位相差θだけ遅れる。そのため、例えば第1ドップラー信号(V
M1)71の信号波形を基準としたときの第2ドップラー信号(V
M2)72の信号波形の位相差θと位相の変位方向(位相遅れまたは位相進み)を検出することにより、移動物が動く方向を識別することができる。
【0045】
第1ドップラー信号(VM1)71と第2ドップラー信号(VM2)72の位相差θ等を検出する処理は、高周波モジュール1及び電源ユニットと共に所定筐体に組み込まれるアナログ・デジタル変換器とDSP(digital signal processor)により実行される。
【0046】
本発明者のシミュレータによれば、移動物が動く速度を一定にしたときの位相差θは265度であった。これは、ダイオードD1,D2の間隔dを24GHz帯の周波数の波長λの略3/8の長さ(本例では2.9mm)としたためである。移動物の動きの速度のばらつきなどを考慮すると、位相差θは約270度(3π/2)となることが望ましいが、実用的には235度~315度の範囲でも十分な移動物の方向識別性能が得られる。
【0047】
<金属ケース>
次に、金属ケース10および窓11の作用について説明する。
図8は、基板20の表面と窓11との位置関係を示す図である。開放伝送線路E14を伝搬する信号は、
図8の矢印のように、給電側からその対向する開放端で折り返し、再び給電側の開放端で折り返す。信号の一部はバイポーラトランジスタQ1のベースBの方向に向かい、開放端で折り返す。このように、開放伝送線路E14における信号の伝送方向は複雑である。そのため、信号の放射方向が歪み、
図9Aのようにビーム500が二つに割れた状態となる。そこで、開放伝送線路E14のうち給電側以外の開放端の周縁に沿って矩形状の窓11を形成することにより、開放伝送線路E14の開放端にリアクタンスが装荷されることとなる。この開放伝送線路E14に装荷されるリアクタンスを可変させることにより、開放端から伝搬する信号の位相を最適化し、ビームが一方向に形成されるようにした。
図9Bは、窓11から放射されるビームパターン例であり、開放伝送線路E14と直交する方向にビーム600が形成される様子を示す。
【0048】
ダイオードD1,D2、バイポーラトランジスタQ1、他の導電膜パターンの部分は、金属ケース10で覆われる(シールドされる)。そのため、発振器やホモダイン検波の動作の安定化を図ることができる。
【0049】
図10は、金属ケース10の窓11から放射されるビームパターンの実測図である。実線は金属ケース10の長辺方向のビームパターン(水平方向パターン)であり、破線は金属ケース10の短辺方向のビームパターン(垂直方向パターン)である。窓11の中央部から鉛直方向を0度とすると、垂直方向のビームパターンは0度がピークとなる。水平方向パターンのピークは窓11の中央部から多少ずれるが、これは窓11を矩形状に形成したためと考えられる。ピーク利得はいずれのパターンも1dBiである。半値幅は、水平方向パターンが50度、垂直方向パターンが30度であり、近距離用のセンサに使用するには十分な放射特性が得られている。ビームパターンは、窓11の形状を変えることにより微調整が可能である。
また、金属ケース10の窓11を覆う形で、誘電体で構成された平凸状のレンズを容易に装荷できる。そのため、安価な構成でビームパターンを大きく狭めることもでき、遠距離用のセンサにも対応することができる。
【0050】
<その他の電気的性能>
本実施形態の高周波モジュール1は、EIRP(Effective Isotropic Radiated Power)実効等方放射電力の最大値で+10dBmであり、発振の安定度を示す周波数ドリフトは摂氏1度当たり最大値で0.8MHzであり、消費電流は連続使用時、最大値で30mAであった。また、動作可能な温度範囲は摂氏-30度~摂氏+85度である。
このように、本実施形態によれば、超小型、低背でありながら、室内、又は屋外の使用でも十分な電気的性能の高周波モジュール1を実現することができる。
【0051】
この高周波モジュール1は、電波のドップラー効果を利用した、人、動物、車両その他の対象物の移動速度・移動方向を検出するための電波センサ(ドップラーモジュール)として利用できるほか、対象物の存在の有無を検知する物体検知センサとして利用することもできる。そのため、さまざまな電子応用機器に高周波モジュール1を搭載することができ、電子応用機器の利用分野の多様化に貢献することができる。
【0052】
<変形例>
本実施形態では、3端子型のトランジスタとしてNPN型のバイポーラトランジスタを用いた場合の例を説明したが、この限りでない。2つの端子がエミッタを成す4端子型トランジスタ(エミッタ2端子、コレクタ1端子、ベース1端子で構成)でもエミッタ端子の一端を開放とし、他方の端子と開放伝送線路を接続すれば3端子型トランジスタと同様に使用することができる。エミッタの端子間を最短パターンで接続し、1端子として使用しても良い。また、バイポーラトランジスタ以外のトランジスタ、例えば、FET(Field Effect Transistor)を用いて構成してもよい。この場合、4端子型トランジスタ(ソース2端子、ドレイン1端子、ゲート1端子で構成)でもソース端子の一端を開放とし、他方の端子と開放伝送線路を接続すれば3端子型トランジスタと同様に使用することができる。
【0053】
本発明は、トランジスタの端子間容量が相対的に大きい二つの端子の一方である第1端子に、準ミリ波帯以上の周波数の信号を直接発振により出力する共振パターンが接続され、二つの端子の他方である第2端子にアンテナとして動作する面状の開放伝送線路が接続され、上記二つの端子以外の第3端子に電源が供給されているときに開放伝送線路を伝送する信号の一部が第1端子、第2端子との静電容量、すなわち第1端子と第2端子との端子間容量、及び、第1端子と開放伝送線路との容量結合とで生じる静電容量を介して第1端子に帰還する点に特徴の一つがあるので、少なくとも3端子を有する半導体素子であれば、どのような種類ないし接地型のトランジスタを用いても良い。また、ユニポーラトランジスタ、例えば電界効果トランジスタを用いることもできる。
【0054】
本実施形態では、また、発振器、アンテナ、ミキサを一体化した高周波モジュール1の例を説明したが、発振器とアンテナ、あるいは発振器だけの高周波モジュールを構成することもできる。本実施形態では、また、24GHz帯の信号の送受信を行う場合の例を説明したが、準ミリ波帯の他の周波数の信号についても適用が可能である。