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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】保護ユニットを有する製造設備
(51)【国際特許分類】
   B21D 55/00 20060101AFI20220627BHJP
   B21D 5/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B21D55/00
B21D5/02 M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019548306
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 AT2018060057
(87)【国際公開番号】W WO2018161101
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】A50173/2017
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】トーマス デンクマイヤー
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03969955(US,A)
【文献】実開昭60-088200(JP,U)
【文献】特開2016-097421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 55/00
B21D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に板金から形成すべき工作物(2)を自由に曲げ、あるいは刻印曲げするための、製造設備(1)であって、
-機械フレーム(7)、下方のプレスビーム(13)、上方のプレスビーム(16)及びプレスビーム(13、16)に配置され、あるいは形成された工具収容部(19、20)を備えた曲げプレス(3)、特にプレスブレーキ、を有し、
-少なくとも1つの曲げパンチ(5)と少なくとも1つの曲げダイ(6)とを備えた少なくとも1つの曲げ工具(4)を有し、
-工具収容部(19、20)と工具貯蔵部(31)との間で曲げ工具(4)を移動させるため、あるいは工具収容部(19、20)に対して曲げ工具(4)の位置を変化させるための、工具操作ユニット(30)を有し、
-少なくとも1つの保護部材(32)と調整装置(33、44)とを備えた保護ユニット(29)を有し、前記調整装置(33、44)によって少なくとも1つの保護部材(32)が曲げプレス(3)に対して、曲げ工具(4)を少なくとも領域的に覆う保護位置から、曲げ工具(4)を少なくとも領域的に解放する解放位置へ変位可能であり、かつ少なくとも1つの保護部材(32)がプレート形状に形成されており、かつ第1の長手端縁(34)と第2の長手端縁(35)を有し、かつ2つの長手端縁(34、35)によって保護部材(32)の幅(36)が定められており、かつ保護ユニット(29)が曲げプレス(3)の前の供給領域内に配置されている、
ものにおいて、
-調整装置(33)が少なくとも2つのブラケット(37)と、それぞれ第1の終端領域(39)と第2の終端領域(40)を備えた少なくとも2つの保持アーム(38)とを有しており、かつ保持アーム(38)のそれぞれ第1の終端領域(39)がブラケット(37)にリンク支承されており、かつ保持アーム(38)のそれぞれ第2の終端領域(40)が少なくとも1つの保護部材(32)の、第1のプレスビーム(13)とは逆の第1の長手端縁(34)にリンク結合されており、かつ少なくとも2つのブラケット(37)が、少なくとも1つの保護部材(32)の長手方向の広がりの方向に互いに離隔して配置されており
-少なくとも1つの保護部材(32)の、その両方の長手端縁(34、35)の間の幅(36)が、曲げ工具(4)が完全に開放されている場合の工具収容部(19、20)の間の開口幅に相当し、及び/又は
-保持アーム(38)の長手方向の延びがそれぞれ、少なくとも1つの保護部材(32)のその両方の長手端縁(34、35)の間の幅(36)にほぼ相当する
ことを特徴とする製造設備。
【請求項2】
特に板金から形成すべき工作物(2)を自由に曲げ、あるいは刻印曲げするための、製造設備(1)であって、
-機械フレーム(7)、下方のプレスビーム(13)、上方のプレスビーム(16)及びプレスビーム(13、16)に配置され、あるいは形成された工具収容部(19、20)を備えた曲げプレス(3)、特にプレスブレーキ、を有し、
-少なくとも1つの曲げパンチ(5)と少なくとも1つの曲げダイ(6)とを備えた少なくとも1つの曲げ工具(4)を有し、
-工具収容部(19、20)と工具貯蔵部(31)との間で曲げ工具(4)を移動させるため、あるいは工具収容部(19、20)に対して曲げ工具(4)の位置を変化させるための、工具操作ユニット(30)を有し、
-少なくとも1つの保護部材(32)と調整装置(33、44)とを備えた保護ユニット(29)を有し、前記調整装置(33、44)によって少なくとも1つの保護部材(32)が曲げプレス(3)に対して、曲げ工具(4)を少なくとも領域的に覆う保護位置から、曲げ工具(4)を少なくとも領域的に解放する解放位置へ変位可能であり、かつ少なくとも1つの保護部材(32)がプレート形状に形成されており、かつ第1の長手端縁(34)と第2の長手端縁(35)を有し、かつ2つの長手端縁(34、35)によって保護部材(32)の幅(36)が定められており、かつ保護ユニット(29)が曲げプレス(3)の前の供給領域内に配置されている、
ものにおいて、
-調整装置(44)が少なくとも2つのリニアガイド配置(45)を有し、かつリニアガイド配置(45)の各々が、第1のガイドレール(46)と第2のガイドレール(47)及び少なくとも1つの他のガイドレール(48)を有し、かつ第1のガイドレール(46)がそれぞれ曲げプレス(3)の固定位置に配置されており、かつそれぞれ少なくとも1つの他のガイドレール(48)が少なくとも1つの保護部材(32)に固定されており、かつ少なくとも2つのガイドレール配置(45)が少なくとも1つの保護部材(32)の長手方向の広がりの方向に互いに離隔して配置されている、
ことを特徴とする製造設備。
【請求項3】
保護ユニット(29)、上方のプレスビーム(16)に保持されている、ことを特徴とする請求項1に記載の製造設備(1)。
【請求項4】
少なくとも2つの保持アーム(38)が、少なくとも1つの保護部材(32)の保護位置と解放位置との間でそれぞれ下限の150°と上限の200°を有する角度領域から選択された、特に180°の値を有する揺動角度だけ揺動可能である、ことを特徴とする請求項1又は3に記載の製造設備(1)。
【請求項5】
保持アーム(38)が解放位置においてそれぞれブラケット(37)から始まって、下方のプレスビーム(13)とは逆の側へ張り出し、かつ少なくとも1つの保護部材(32)が保持アーム(38)の、上方のプレスビーム(16)とは逆の側において、かつ下方のプレスビーム(13)の方向に懸架して配置されている、ことを特徴とする請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項6】
保護位置において、ブラケット(37)から始まる保持アーム(38)も、保持アーム(38)にリンク結合されている少なくとも1つの保護部材(32)も、下方のプレスビーム(13)の方向に懸架された配置を有している、ことを特徴とする請求項1、3~5のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項7】
ブラケット(37)が上方のプレスビーム(16)に次のように、すなわち保護位置において、かつ曲げ工具(4)が完全に開放されている場合に、少なくとも1つの保護部材(32)の第2の長手端縁(35)が下方のプレスビーム(13)へ向けられており、かつ少なくとも1つの保護部材(32)の第2の長手端縁(35)が少なくとも下方の工具収容部(19)まで延びるように、配置されている、ことを特徴とする請求項1、3~6のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項8】
少なくとも2つのブラケット(37)が、上方のプレスビーム(16)の上方の終端セクション内に配置されている、ことを特徴とする請求項1、3~7のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置(43)が設けられており、前記少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置(43)が保持アーム(38)の1つと作動可能に接続されている、ことを特徴とする請求項1、3~8のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項10】
保護ユニット(29)が、上方のプレスビーム(16)に保持されている、ことを特徴とする請求項2に記載の製造設備(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの保護部材(32)の、その両方の長手端縁(34、35)の間の幅(36)が、曲げ工具(4)が完全に開放されている場合の工具収容部(19、20)の間の開口幅に相当する、ことを特徴とする請求項2又は10に記載の製造設備(1)。
【請求項12】
少なくとも2つのリニアガイド配置(45)の最大の調整距離が次のように、すなわち保護位置において、かつ曲げ工具(4)が完全に開放されている場合に、少なくとも1つの保護部材(32)の第2の長手端縁(35)が下方のプレスビーム(13)へ向けられており、かつ少なくとも1つの保護部材(32)の第2の長手端縁(35)が少なくとも下方の工具収容部(19)まで延びるように、選択されている、ことを特徴とする請求項2、10及び11のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項13】
少なくとも2つのリニアガイド配置(45)が、上方のプレスビーム(16)に垂直方向に配置されている、ことを特徴とする請求項2、10~12のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項14】
リニアガイド配置(45)の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの駆動部材(49)が設けられている、ことを特徴とする請求項2、10~13のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項15】
駆動部材(49)の1つが、第1のガイドレール(46)と第2のガイドレール(47)の間に設けられている、ことを特徴とする請求項14に記載の製造設備(1)。
【請求項16】
駆動部材(49)の1つが、第2のガイドレール(47)と少なくとも1つの他のガイドレール(48)との間に設けられている、ことを特徴とする請求項14又は15に記載の製造設備(1)。
【請求項17】
少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置(43)が設けられており、前記少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置(43)が少なくとも1つの保護部材(32)と作動可能に接続されている、ことを特徴とする請求項2、10~16のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に板金から形成すべき工作物を自由に曲げるための、保護ユニットを備えた製造設備に関するものであって、その保護ユニットは少なくとも1つの保護部材を有しており、この保護部材は特に曲げ工具を交換する際にその曲げ工具を必要に応じてカバーするために用いられる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許第3186256号明細書)は、互いに対して変位可能な少なくとも1つの曲げ工具の間で工作物又は加工中の製品を形成するための曲げ機械を記述している。曲げ工具は、曲げパンチと曲げダイとを有しており、それらはそれぞれプレスビームに保持されている。プレスビームの1つは曲げプロセスを実施するために機械フレームにおいて垂直方向に変位可能に案内されている。操作側及び曲げるべき板金が供給される側において、曲げ工具の前段にプレート形状の保護部材が配置されている。保護部材を固定するために保持ロッドが設けられており、その保持ロッドがプレスビームの側方に位置する、機械フレームの側面に固定されている。保持ロッドは、保護部材の上方に配置されていて、複数の操作部材を支持しており、それらは保護部材を垂直に変位させるためにそれと結合されている。保護位置と解放位置との間の操作部材の変位ストロークは、電磁石として形成された操作部材の比較的短い操作距離によって制限されている。保護部材の垂直変位は、形成すべき工作物の、曲げプロセスの際に高く揺動する部分セクションのために障害輪郭が形成されないようにするために、用いられる。したがってさらに、すべての駆動場合において曲げ工具の前に充分な自由空間を形成することはできない。
【0003】
互いに対して変位可能な少なくとも1つの曲げ工具の間で工作物又は加工中の製品を形成するための曲げ機械用の保護部材の他の形態が、特許文献2(米国特許第3969955号明細書)から知られている。この曲げ工具は、曲げパンチと曲げダイを有し、それらがそれぞれプレスビームに保持されている。プレスビームの1つは、曲げプロセスを実施するために機械フレームにおいて垂直方向に変位可能に案内されている。プレート形状に形成された保護部材は、上方の変位可能なプレスビームにおいて、互いに対して離隔して配置された少なくとも2つの継ぎ手配置を介して、長孔を備えたフラットプロフィールに保持されている。フラットプロフィールは、その中に設けられた長孔によって上方のプレスビームに対して垂直方向に変位することができる。さらに保護部材は、必要に応じて継ぎ手配置によって操作側の方向へ前へむかって揺動し、あるは高く跳ね上がることができる。ここでは、わずかな垂直の変位ストロークしか得られない。保護部材が高く跳ね上がった場合でも、障害輪郭を形成することなく充分な自由空間を提供することはできない。
【0004】
曲げ機械のための保護部材の他の形態を記述するのは、特許文献3(米国特許第4030364号明細書)である。上方のプレスビームは、固定の機械フレームに対して垂直方向に変位可能である。プレート形状に形成された保護部材は、その一番下の位置において、上方のプレスビームの上方に固定的に配置された、機械フレームの支持部材に補助ロープによって保持されている。支持部材のこの一番下の位置において、曲げるべき板金のために、小さい高さで形成された供給間隙が設けられている。曲げプロセスの途上で上方のプレスビームが下方移動する場合に、何回か方向変換されるロープホイストによって、保護部材を持ち上げることができる。ロープホイストのロープの一方の端部は保護部材と、そして他方の端部はプレスビームと堅固に結合されている。ロープホイストのロープの2回の方向変換は支持部材において行われ、その場合にさらに2回の間で上方のプレスビームの後ろ側において方向変換が1回行われる。上方のプレスビームが下方のプレスビームの方向へ移動する場合に、ロープホイストによって保護部材が下方のプレスビームに対して持ち上げられ、それによって以前は小さかった供給間隙の高さが増大される。その場合に欠点は、保護部材の変位運動は上方のプレスビームが変位する場合のみに可能であって、保護部材の変位運動が上方のプレスビームの変位ストロークに依存していることである。さらにロープホイスト配置は複雑であり、駆動において必ずしも完全には信頼できない。
【0005】
特許文献4(特開平11-300421号公報)は、曲げ機械のためのプレート形状の保護部材を有する保護装置の他の形成を記述している。機械フレームの固定の側面の領域内に、それぞれ保護部材の高さを調節するためのロープホイストが設けられている。ロープホイストの各々は、保護部材から始まって垂直方向に第1の方向変換ローラへ延びて、そこから側面の後ろ側の領域内に位置する第2の方向変換ローラへ延びて、そこからシリンダピストン配置によって形成される操作部材へ延びている。保護部材の可能な変位距離は、操作部材の変位ストロークによって定められている。その場合の欠点は、保護部材の配置がそのすべての位置において不安定なことである。
【0006】
設備において垂直方向に変位可能な他の保護装置が、特許文献5(実開平06-34736号公報)から知られている。保護装置の2つの長手端部の領域内で、その上方にそれぞれ駆動されるローラが配置されている。ローラの各々の回りに引っ張りロープが巻き付けられており、その場合に引っ張りロープのそれぞれ第1の端部が保護装置と、そしてそれぞれ第2の端部がカウンターウェイトと結合されている。2つのローラへもたらされる駆動モーメントにより、かつカウンターウェイトの支援によって、保護装置は垂直の方向において単純にその保護位置から解放位置へ変位することができる。そのために変位機構用の複数の設備コンポーネントが設けられ、その場合にロープホイストに基づいて保護部材の安定しない配置が存在し、さらに障害輪郭が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第3186256号明細書
【文献】米国特許第3969955号明細書
【文献】米国特許第4030364号明細書
【文献】特開平11-300421号公報
【文献】実開平06-34736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服して、工具交換する際の危険領域を確実かつ簡単にカバーすることを可能にし、かつ保護部材の解放位置において曲げプロセスを実施する際に障害輪郭が形成されることのない、装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項に記載の、特にそのために設けられた保護ユニットを有する、製造設備によって解決される。
【0010】
本発明に係る製造設備は、特に、板金から形成すべき工作物を自由曲げし、あるは刻印曲げするために用いることができ、かつ以下の設備コンポーネントを有している:
-機械フレーム、下方のプレスビーム、上方のプレスビーム及びプレスビームに配置され、あるいは形成された工具収容部を有する曲げプレス、特にプレスブレーキ、
-少なくとも1つの曲げパンチと少なくとも1つの曲げダイとを有する少なくとも1つの曲げ工具、
-曲げ工具を工具収容部と工具貯蔵部との間で移動させ、あるいは工具収容部に対する曲げ工具の位置を変化させるための工具操作ユニット、
-少なくとも1つの保護部材と調整装置とを有する保護ユニットであって、その調整装置によって少なくとも1つの保護部材が曲げプレスに対して、曲げ工具を少なくとも領域的に覆う保護位置から、曲げ工具を少なくとも領域的に解放する解放位置へ変位可能であり、かつ少なくとも1つの保護部材がプレート形状に形成されており、かつ第1の長手端縁と第2の長手端縁とを有し、かつその2つの長手端縁によって保護部材の幅が定められており、かつその場合に保護ユニットが曲げプレスの前の供給領域内に配置されており、その場合に
-あるいは、調整装置が少なくとも2つのブラケットと、それぞれ第1の終端領域と第2の終端領域とを備えた少なくとも2つの保持アームを有しており、かつそれらの保持アームのそれぞれ第1の終端領域がブラケットにリンク支承されており、かつ保持アームのそれぞれ第2の終端領域が少なくとも1つの保護部材の、第1のプレスビームとは逆の第1の長手端縁とリンク結合されており、かつ少なくとも2つのブラケットが少なくとも1つの保護部材の長手方向の広がりの方向に互いに離隔して配置されており、
-あるいは、調整装置が少なくとも2つのリニアガイド配置を有し、かつリニアガイド配置の各々が第1のガイドレールと第2のガイドレール及び少なくとも1つの他のガイドレールを有しており、第1のガイドレールがそれぞれ曲げプレスの固定位置に配置されており、かつそれぞれ少なくとも1つの他のガイドレールが少なくとも1つの保護部材に固定されており、かつ少なくとも2つのリニアガイド配置が少なくとも1つの保護部材の長手方向の広がりの方向において互いに離隔して配置されている。
【0011】
それによって得られる利点は、それぞれ調整装置の選択に応じて少なくとも1つの保護装置のためにその保護位置とその解放位置との間で充分に長い変位距離が提供されることにある。それによって保護位置のために、曲げ工具を有する開放された曲げ工具の間のフロント領域内で確実なカバーを得ることができる。少なくとも1つの保護部材がその解放位置に移動された場合に、保護部材は選択された変位距離が充分に長いことに基づいて、プレスビームに保持される曲げ工具から、曲げプロセスを実施するために保護部材が障害輪郭を形成しない距離だけ変位される。
【0012】
すなわち軸受ベースとしてのブラケットとそれに保持された1つ又複数の保持アームを設けることによって、保護部材が保護位置から解放位置へ高く跳ね上がった場合に、保持アームの長手方向の延びによって定められる変位距離が提供され、その変位距離によって少なくとも1つの保護部材は作業領域から遠く変位することができる。さらにそれによって、少なくとも1つの保護部材が好ましくはすべての駆動位置において、それぞれの保持アームに懸架される配置を得ることができる。
【0013】
それぞれ複数のガイドレールを有するリニアガイド配置の形式の、調整装置の他の可能な形成においても、スペースを削減する調整装置を提供することができ、それにおいては、特に伸縮ガイドによる、直線的な変位運動が可能になる。すなわち複数のガイドレールを設けることによって、解放位置から始まって保護位置へ、そして逆にも同様に充分に長い変位距離を提供することができ、それによってここでも一方で、工具交換する際の曲げ工具の確実なカバーが形成され、他方では曲げプロセスの間、保護部材が解放位置にある場合に障害輪郭が形成されない。
【0014】
他の可能な形成においては、保護ユニット、特にそのブラケット又はその第1のガイドレールは、上方のプレスビームに保持されている。保護ユニット全体が上方のプレスビームに一緒に走行するように保持されていることによって、常に保護ユニット全体が連動され、かつ解放位置において上方のプレスビームと保護ユニット、特に保護部材との間の相対間隔は、常に等しく維持される。解放位置における相対位置が一度定められた場合に、後続の曲げプロセスにおいても、もはや近くに位置する障害輪郭が形成されることはない。
【0015】
さらに、少なくとも1つの保護部材のその両方の長手端縁の間の幅が、曲げ工具が完全に開放されている場合の工具収容部の間の開口幅に相当すると、効果的であり得る。それによって工具交換の間、危険領域を確実にカバーすることができる。さらにそれによって保護部材の組立て高さもしくは幅も、できる限り小さく抑えることができる。
【0016】
他の実施形態は、少なくとも2つの保持アームが少なくとも1つの保護部材の保護位置と解放位置との間でそれぞれ、下限の150°と上限の200°、特に180°を有する値領域から選択された値を有する揺動角度だけ揺動可能であることを、特徴としている。保持アームの充分に大きい揺動角度を設けることによって、一方で、保護位置においても解放位置においても調整装置の場所をとらない配置が形成され、他方では、解放位置において曲げ領域からのできるだけ大きい離隔を得ることができる。
【0017】
他の可能な実施形態は、保持アームの長手方向の延びが、少なくとも1つの保護部材のその両方の長手端縁の間の幅にそれぞれほぼ相当する、という特徴を有している。それによって保護部材の幅が最小となる場合でも、充分な変位距離を得ることができ、それにもかかわらずコンパクトな組立てユニットを提供することができる。
【0018】
他の形成においては、保持アームは解放位置においてそれぞれブラケットから始まって、下方のプレスビームとは逆の側へ張り出し、かつ少なくとも1つの保護部材が保持アームの上方のプレスビームとは逆の側で、かつ下方のプレスビームの方向へ懸架して配置されている。すなわち高く跳ね上がった保持アームとそれに懸架されている少なくとも1つの保護部材の配置とによって、高く跳ね上がった解放位置において保護ユニットの場所をとらない配置を得ることができる。
【0019】
他の実施形態は、保護位置においてブラケットから始まる保持アームも、保持アームにリンク結合されている少なくとも1つの保護部材も、下方のプレスビームの方向に懸架された配置を有することを、特徴としている。したがって保護部材がその解放位置とその保護位置との間で、保持アームの長手方向の延びの2倍だけ、位置変化することができる。
【0020】
他の好ましい実施形態は、ブラケットが上方のプレスビームに次のように、すなわち保護位置において、かつ曲げ工具が完全に開放されている場合に、少なくとも1つの保護部材の第2の長手端縁が下方のプレスビームへ向けられており、かつ少なくとも1つの保護部材の第2の端縁が少なくとも下方の工具収容部まで延びているように、配置されていることを、特徴としている。それによって一方で、保護位置において曲げ工具が開放されている場合でも確実なカバーが得られ、他方では解放位置において充分に大きい離隔を得ることができる。
【0021】
さらに、少なくとも2つのブラケットが上方のプレスビームの上方の終端セクション内に配置されていると、効果的であり得る。プレスビームの上方の終端セクションあるいは終端領域というのは、ブラケットが、下方のプレスビームから広く離隔した領域内に配置されていることを意味する。それによって少なくとも1つの保護部材をその解放位置において曲げ工具からずっと大きい間隔で配置する可能性が提供される。すなわち保護部材によって形成される輪郭は、板金の曲げ領域からずっと離して配置することができる。さらに操作側又は供給側において、保護部材による制限なしの充分な自由空間が形成される。
【0022】
他の代替的な実施形態は、少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置が設けられており、その少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置がレバーアームの1つと作動可能に接続されていることを、特徴としている。すなわち少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置を設けることによって、1つ又は複数の保持アームの管理された揺動運動を得ることができる。さらにまた、操作者が手動で変位させる場合に、保護位置から解放位置への復帰運動も容易にすることができる。そしてまた操作装置によって、重量バランス及びそれと結びついた重量補償も得ることができる。緩衝装置によって、1つ又は複数の保持アームの上方へ張り出した位置から下方へ張り出す位置への下降運動を減速することができる。それによって保持アームとそれに保持されている保護部材の管理された下降運動を得ることができる。
【0023】
他の形成において、少なくとも2つのリニアガイド配置の最大の調整距離は次のように、すなわち保護位置において、かつ曲げ工具が完全に開放されている場合に、少なくとも1つの保護部材の第2の長手端縁が下方のプレスビームへ向けられており、かつ少なくとも1つの保護部材の第2の長手端縁が少なくとも下方の工具収容部まで延びているように、選択されている。すなわち最大の調整距離の選択によって、保護ユニットの保護位置の各々において、保護ユニットのあらかじめ正確に定められた駆動状態を得ることができる。それによってさらに、保護位置においても確実なカバーを保証することができ、その場合に解放位置においては、複数のガイドレールを設けることによって保護部材は曲げ工具の曲げ領域から充分に離れるように変位することができ、それによってこの保護部材によりもはや障害輪郭は形成されない。
【0024】
他の可能な、場合によってはそれ自体自立した実施形態は、少なくとも2つのリニアガイド配置が上方のプレスビームに垂直方向に保持されている、特徴を有している。それによって保護位置と解放位置の間で正確に直線的な変位運動を得ることができる。保護ユニット全体が常に上方のプレスビームによって連動されることによって、解放位置において上方のプレスビームと保護ユニット、特に保護部材との間の相対間隔は常に等しく維持することができる。すなわち解放位置における相対位置が一度定められた場合に、後続の曲げプロセスにおいても近くに位置する障害輪郭が形成されることはない。
【0025】
他の実施形態は、リニアガイド配置の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの駆動部材が設けられていることを、特徴としている。少なくとも1つの駆動部材を設けることによって、解放位置から保護位置への、かつ/又は保護位置から解放位置への変位プロセスにおいて、管理された変位運動を得ることができる。
【0026】
他の好ましい実施形態は、駆動部材の1つが第1のガイドレールと第2のガイドレールの間に設けられていることを、特徴としている。それによって最初の2つのガイドレールの間に前もって正確に定められた変位運動を得ることができる。
【0027】
さらに、駆動部材の1つが第2のガイドレールと少なくとも1つの他のガイドレールの間に設けられていると、効果的であり得る。それによって個々のガイドレールの間の均一な変位運動を保証することができる。
【0028】
そして他の実施形態は、少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置が設けられており、その少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置が少なくとも1つの保護部材と作動可能に接続されていることを、特徴としている。すなわち少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置を設けることによって、1つ又は複数の保持アームの管理された揺動運動を得ることができる。さらに操作者が手動で変位させる場合に、保護位置から解放位置への復帰運動を容易にすることができる。そしてまた操作装置によって重量バランス及びそれと結びついた重量補償も得ることができる。緩衝装置によって、1つ又は複数の保持アームの上方へ張り出した位置から下方へ張り出す位置への下降運動を減速させることができる。したがって保持アームをそれに保持されている保護部材と共に管理して下降運動させることができる。
【0029】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
図は、それぞれ著しく簡略化された図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】曲げプレスと図式的に示唆される保護ユニットとを有する製造設備を示す正面図である。
図2図1の製造設備を示す側面図である。
図3】示唆される曲げプレスとともに保護ユニットの第1の可能な形成をその保護位置において示す図式的な正面図である。
図4図3に示す保護ユニットをその保護位置において示す側面図である。
図5図3に示す保護ユニットをその解放位置において示す側面図である。
図6】示唆される曲げプレスとともに保護ユニットの他の可能な形成をその保護位置において示す図式的な正面図である。
図7図6に示す保護ユニットを、調整装置を見る上面図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。
【0032】
その場合に「特に」という概念は、以下においては、対象又は方法ステップの可能な特殊な形態又はより詳細な特殊化と考えることができるが、必ずしもその必然的な好ましい実施形態又はやり方を示すものである必要はない。
【0033】
図1と2には、製造設備1が著しく簡略化した表示で図式的に示されており、その製造設備は、ここでは特に、板金から製造すべき工作物2をダイ曲げを用いて自由に曲げるように形成されている。
【0034】
この場合において曲げるために使用される製造設備1は、互いに対して変位可能な少なくとも1つの曲げ工具4の間で工作物2又は加工中の製品を形成するための曲げ機械、この実施例においては曲げプレス3、特にプレスブレーキ又はダイ曲げプレスを有している。曲げ工具4は、この実施例において少なくとも1つの曲げパンチ5、大体において複数の曲げパンチ5及びそれと協働する少なくとも1つの曲げダイ6、大体において複数の曲げダイ6を有している。その場合に少なくとも1つの曲げパンチ5は、曲げプレス3において製造すべき工作物2の上方に配置されており、かつそこに適切に保持され、特に挟持されている。少なくとも1つの曲げダイ6も曲げプレス3に保持され、特にそれに締めつけ保持されている。
【0035】
この種の曲げプレス3においては、座標系として原則的に「X」方向と称されるのは、水平方向かつ曲げ工具4の、特にその曲げパンチ5と曲げダイ6の長手方向に対して垂直に延びる方向である。したがってこれは、供給方向又は取り出し方向にも相当する方向である。「Y」方向というのは、垂直方向であって、したがって曲げ工具4の高さ方向及びさらに水平平面に対して垂直の方向に延びる方向である。そして「Z」方向というのは、曲げ工具4、特にその曲げパンチ5と曲げダイ6の長手方向もしくは長手方向の延びの方向に延びる方向である。したがって曲げ工具4によって定められる曲げエッジの長手方向も、「Z」方向に延びるように方向づけされている。
【0036】
曲げプレス3の機械フレーム7は、たとえば底プレート8を有しており、その上に垂直に立ち上がるように、互いに対して横方向に離隔し、かつ互いに対して平行に方向づけされた側壁9、10が配置されている。これらは、好ましくは、たとえば板金変形部分から形成された中実の横結合材11によって、底プレート8から離隔した、その終端領域において互いに結合されている。
【0037】
側壁9、10は、工作物2を変形させるための自由空間を形成するために、ほぼC字形状に形成することができ、その場合に側壁9、10の底近傍の脚のフロント端面12に、特に底プレート8上に立ち上がる固定の第1のプレスビーム13又は下方のプレスビーム13が固定されている。この固定位置に配置された固定のプレスビーム13は、プレステーブルと称することもでき、そのプレステーブルに曲げ工具4の一部が配置され、かつ保持もされている。底プレート8から離隔した脚のフロント端面14には、テーブルビームを形成するプレスビーム13に対して変位可能な他のプレスビーム16、特に圧力ビームが、リニアガイド15内で案内されて支承されている。プレスビーム16は、第2のプレスビーム又は上方のプレスビーム又は圧力ビームとも称することができる。
【0038】
2つのプレスビーム13、16の互いに対向し、互いに対して平行に延びる端面17、18上に、1つ又は複数の曲げ工具4を装填するための工具収容部19、20を配置することができる。1つ又は複数の曲げ工具4は、詳しく図示されないアダプタを介在させて工具収容部19、20に保持することもでき、その場合にこれは、個々のコンポーネント又は曲げ工具4全体の交換プロセスのためには、どちらかと言うと好ましくないと思われるが、可能性を示すことはできる。
【0039】
図示される曲げプレス3は、変位可能なプレスビーム16、すなわち圧力ビームのための駆動配置21として、電気エネルギによって駆動される2つの駆動手段22を有しており、それらの駆動手段はエネルギ網23から給電される制御装置24とワイヤ接続されている。制御装置24と通信接続されている入力端末25を介して、たとえば曲げプレス3の駆動、特に曲げ工具4の交換プロセスも制御することができる。
【0040】
駆動手段22は、たとえば、一般に知られているような、電動のスピンドルドライブ26とすることができ、そのスピンドルドライブの操作手段27が、圧力ビームによって形成される上方のプレスビーム16を可逆的に操作移動させるために、そのプレスビームと、たとえば駆動結合されている。しかしそれとは関係なく、1つ又は複数の駆動手段22を油圧及び/又は空気圧操作可能な操作手段によって形成することも可能である。その場合にシリンダ-ピストン配置を使用することができる。しかしまた、たとえば偏心ドライブ、ニーレバードライブ、ラックドライブなどのような、他の駆動手段も考えられる。
【0041】
たとえば供給装置及び/又はコントロール装置のような、この種の曲げプレス3を駆動するために必要な他の詳細は、説明が不必要に長くなるのを回避するために、この明細書においては省かれている。
【0042】
曲げるべき板金を載置して支持するために、曲げプレスの前方の領域内-したがって供給領域内に、載置テーブル28を設け、あるいは配置することができる。載置テーブル28は、一部のみが示されており、曲げるべき板金のための載置平面を形成する。
【0043】
さらに製造設備1は、ここには詳しく図示されないマニピュレータを有することができ、そのマニピュレータが変形すべき、もしくは折り曲げるべき板金の積み重ねストックから少なくともその1片を取り出して、曲げプレス3の作業領域もしくは操作側へ移動させる。
【0044】
マニピュレータ自体は把持器を有することができ、その把持器が把持フィンガーを有する。把持フィンガーは、形成すべき工作物2へ向いた側にそれぞれクリップ面を有している。2つの把持フィンガーが互いに対し、かつ充分なクリップ力をもたらすために適切に揺動することによって、クリップ面の協働を介して板金もしくは形成すべき工作物2がマニピュレータによって保持されて、適切に移動され、かつ位置決めされる。把持器の把持フィンガーによって、適切な把持及びその後のクリップ運動によって、板金から形成すべき工作物2のための充分な保持が保証される。
【0045】
さらに、曲げプレス3の操作側もしくは供給側の領域内及びそれに伴って必要に応じて1つ又は複数の曲げ工具4の前に、保護ユニット29を配置し、あるいは設けることができることが、示唆されている。保護ユニット29は、操作側もしくは供給側の領域内で曲げ工具4が完全に開放された場合に工具収容部19、20の間の開放幅を、工具収容部とそこにある曲げ工具4への意図されない接近が阻止される程度に覆うために、用いられる。この実施例において上方のプレスビーム16は、曲げプロセスを実施するために下方のプレスビーム13に対して変位可能である。工具交換するために、以前から知られているように、上方のプレスビーム16は下方のプレスビーム13からずっと離れて配置されている。
【0046】
大体において工具交換は、プレスビーム13、16の後ろ側で、簡単に示唆される工具操作ユニット30によって行われる。それによって操作者は、曲げプレス3のフロント領域内とそれに伴って曲げ工具4の領域内へきわめて接近することがあり、それによって注意していないと移動する工具コンポーネント又は工具操作ユニット30による損傷がもたらされることがあり得る。工具操作ユニット30は、工具収容部19、20と工具貯蔵部31の間で曲げ工具4を移動させ、あるいは曲げ工具4を工具収容部19、20におけるその位置に関して位置変更するために用いられる。
【0047】
保護ユニット29は、少なくとも1つのプレート形状に形成された保護部材32を有している。大体においてこれは、透けて見える、あるいは透明な材料、特にプラスチックから形成されている。保護部材32は、図1と2においてはそれぞれ第2又は上方のプレスビーム16のすぐ前に配置されており、その場合にこの保護部材は両方の図においていわゆる解放位置で、1点鎖線で示されている。さらに保護部材32は、図1においてはいわゆる保護位置において実線でも示されている。その場合に曲げプレス3における、特に第2又は上方のプレスビーム16における、その保持、支承及び可能な変位機構の詳細な表示は省かれており、その場合に次の図3から5及び6と7においてそのためのいくつかの可能な形成が示され、かつ詳細に説明される。ここで解放位置というのは、保護部材32がプレスビーム13、16に保持された曲げ工具4への自由な接近を可能にするものである。
【0048】
保護位置は、曲げパンチ5と曲げダイ6が少なくとも領域的に、あるいは完全に離隔して配置された場合に少なくとも1つの保護部材32が、操作側又は供給側から始まって、曲げ工具4の工具交換の際に操作者が開放されて互いに離隔して配置されたプレスビーム13、16の間へ達することができない程度に接近部を覆い、あるいは保護する場合に、与えられる。工具交換は、好ましくは自動的に行うことができ、その場合にこれは、大体において、機械フレーム7の操作側の後方に位置する領域内で行われる。工具交換の実施は、ずっと以前から知られているように、たとえば工具操作ユニット30、特に専用のマニピュレータ及び/又はリアストッパユニットによって行うことができる。
【0049】
少なくとも1つの保護部材32が、通常1つ又は複数の曲げプロセスが実施される、その解放位置にある場合に、少なくとも曲げ工具4の領域内に障害輪郭のない充分な操作空間が維持される。障害輪郭は、設備部分又は機械コンポーネントによって形成されることがあり、それが、曲げプロセスの実施に必要な作業空間内へ張り出して、したがって曲げプロセスを阻止し、それにともなって制限する。
【0050】
少なくとも1つの保護部材32の調節又は変位は、図1と2には詳しく示されていない調整装置33によって行うことができる。この調整装置33によって少なくとも1つの保護部材32が曲げプレス3に対して、曲げ工具4を少なくとも領域的に、好ましくは完全に覆う保護位置から、曲げ工具4を少なくとも領域的に、好ましくは完全に解放する解放位置へ変位することができる。変位(調整)は、手動のみによって、あるいはまたは専用の駆動手段によって、行うことができる。
【0051】
プレート形状に形成された保護部材32は、その長手方向の延びの方向に延びるように配置された第1の長手端縁34と第2の長手端縁35とを有している。2つの長手端縁34、35が保護部材32の幅36を定める。幅36は、横間隔と称することもでき、その横間隔は、互いに対して大体において平行に延びる長手端縁34、35に関して垂直方向に求められる。保護部材32の長手方向の延びは、好ましくは、プレスビーム13、16あるいはそれに配置された工具収容部19、20の長手方向の延びにほぼ相当するように、選択されている。保護ユニット29、特に少なくとも1つの保護部材32と調整装置33は、曲げプレス3の前の供給領域内に配置されている。したがって配置は、曲げプレス3に関してフロント側で行われる。以下で詳細に説明する可能な形成において、保護ユニット29は上方のプレスビーム16に保持されている。したがって上方のプレスビーム16が変位する場合に、保護ユニット29も連動される。
【0052】
図3から5には、保護ユニット29の可能な、そして場合によってはそれ自体自立した実施形態が示されており、その場合に先行する図1と2におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを回避するために、先行する図1と2における詳細な説明が参照するよう指示され、もしくは参照される。
【0053】
見通しをよくするために、2つのプレスビーム13、16は部分的にのみ示唆されている。調整装置33は、さらに簡略化し、様式化して示されている。
【0054】
調整装置33は、少なくとも2つのブラケット37と、好ましくは同一の数の保持アーム38-この例においては同様に少なくとも2つの保持アーム38-とを有している。
【0055】
保持アーム38は、レバーアームあるいは揺動アームと称することもできる。保持アーム38の各々は、第1の終端領域39と、その長手方向においてそれから離隔して配置された第2の終端領域40とを有している。ブラケット37の各々は、たとえば曲げプレス3の機械フレーム7に、しかし特に曲げプレス3の上方のプレスビーム16に、配置され、特にそれと固定的に結合されており、かつ少なくとも1つの保護部材32の長手方向の広がりの方向に互いに離隔して配置されている。
【0056】
保持アーム38の各々は、その第1の終端領域39においてそれぞれブラケット37の各々にリンク的に軸承されており、それによって第1の軸承箇所が形成されている。さらに保持アーム38の各々は、その第2の終端領域40において、第1のプレスビーム13とは逆の第1の長手端縁34において少なくとも1つの保護部材32とリンク結合されており、それによってそれぞれ第2の軸承箇所が形成されている。このリンク結合によって、一方で保持アーム38がそれぞれのブラケット37を中心に揺動することができ、他方では少なくとも1つの保護部材32が好ましくは常に懸架される配置において一緒に変位することができる。
【0057】
少なくとも1つの保護部材32の両方の長手端縁34、35の間の上述した幅36は、曲げ工具4が完全に開放されている場合の工具収容部19、20の間の開口幅にほぼ相当する。したがって上方のプレスビーム16が最大に跳ね上がった位置において、2つの工具収容部19、20の間の間隙を常に確実にカバーすることができる。
【0058】
保持アーム38をブラケット37にそれぞれリンク軸承することによって、保持アーム38は少なくとも1つの保護部材32と共に保護部材32の保護位置から保護部材32の解放位置へ変位することができ、特に揺動することができる。これらのブラケット37は、上方のプレスビーム16の長手方向の延びに関して平行かつ互いに整合するように方向づけされた第1の揺動軸41を形成する。各保持アーム38の揺動は、揺動軸41に関して垂直に方向づけされた揺動平面内で行われる。すなわち少なくとも2つの保持アーム38が少なくとも1つの保護部材32の保護位置と解放位置との間でそれぞれ、下限の150°と上限の200°を有する角度領域から選択された、特に180°の値を有する揺動角度だけ揺動することができる。
【0059】
保護部材32が保護位置にある場合に、保持アーム38は好ましくは懸架されており、したがってブラケット37に垂直に保持されて、下方のプレスビーム13の方向へ張り出す。これらは保護部材32の解放位置においては、下方のプレスビーム13とは逆の側へ上方へ向かって張り出す。少なくとも1つの保護部材32は、解放位置においては保持アーム38の、上方のプレスビーム16とは逆の側に、かつ下方のプレスビーム13の方向へ懸架して保持アーム38に配置されている。
【0060】
保護位置においては、ブラケット37から始まる保持アーム38も、保持アーム38とリンク結合されている少なくとも1つの保護部材32も、下方のプレスビーム13の方向に懸架される配置を有する。懸架というのは、重力に基づく位置である。
【0061】
上述したように、保持アーム38のそれぞれ第2の終端領域39と保護部材32の第1の長手端縁34との間に、第2の揺動軸42を有する第2の軸受箇所が形成されている。
【0062】
好ましくは2つの終端領域39、40の、特にそれぞれそこに形成されている揺動軸41、42の間の、保持アーム38の長手方向の延びは、それぞれ、少なくとも1つの保護部材32のその2つの長手端縁34、35の間の幅36にほぼ相当する。しかしまた、保持アーム38の長手方向の延びを幅36よりも大きく、あるいは小さく選択することもできる。
【0063】
障害輪郭なしに曲げ工具の領域内に充分な自由空間を形成するために、ブラケット37は上方のプレスビーム16に次のように、すなわち保護位置において、かつ曲げ工具4が完全に開放されている場合に、少なくとも1つの保護部材32の第2の長手端縁35が下方のプレスビーム13を向くように、配置されている。少なくとも1つの保護部材32の第2の長手端縁35は、好ましくは少なくとも下方の工具収容部19まで延びている。少なくとも2つのブラケット37が、上方のプレスビーム16の上方の終端セクション内に配置されていると、効果的であることが明らかにされている。
【0064】
変位運動及び/又はその実施を容易にするために、さらに少なくとも1つの図式的に示唆される操作及び/又は緩衝装置43を設けることもできる。その場合に好ましくは、少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置43は保持アーム38の1つと作動可能に接続されている。緩衝及び/又は重量補償のために、トーションばね、保持アーム38と結合されて、上方のプレスビーム16まで延びる引っ張りばねなどを設けることができる。さらに、保持アーム38の少なくとも1つを、角度変位するための回転ドライブと結合することができる。操作装置は特に、保護位置と開放位置の間及びその逆において実施すべき操作運動のために、重量をバランスさせるために用いることができる。したがって操作者のために操作運動を力に関して容易にすることができる。
【0065】
図6と7には、曲げ機械もしくは曲げプレス3のための保護ユニット29の他の可能な、場合によってはそれ自体自立した実施形態が示されており、その場合にここでも先行する図1から5におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを回避するために、先行する図1から5における詳細な説明が参照するよう指示され、もしくは参照される。ここでも少なくとも1つの保護部材32のための保護位置と解放位置との間でできるだけ長い変位距離が得られる。したがって一方で、操作者が工具交換の間に交換すべき、あるいは装備替えすべき曲げ工具4に対して意図せずに手を触れてしまう危険を著しく減少させることができ、他方では曲げ駆動において保護部材32によって、曲げ工具の領域内及び上方のプレスビーム16の大部分の領域内に障害輪郭が形成されない。
【0066】
ここに図示される実施例において、保護ユニット29のための調整装置44の他の可能な形成が示されており、したがって上述した調整装置33とは異なる参照符号も使用される。原則的な変位距離及び少なくとも1つの保護部材32は、上述したのと同様に形成することができる。
【0067】
ここでは、保護部材32の保護位置と解放位置の間の変位距離を延長するために、ブラケット37と保持アーム38を有するレバー配置の代わりに、複数のリニアガイド配置45が設けられている。リニアガイド配置45は、伸縮ガイド又は伸縮ガイド配置と称することもできる。リニアガイド配置45の各々は、第1のガイドレール46、第2のガイドレール47及び少なくとも1つの他のガイドレール48を有している。それぞれプレスビーム13、16及び少なくとも1つの保護部材32の組立て長さに応じて、それぞれ保護部材32についてリニアガイド配置45の少なくとも2つが設けられる。さらに少なくとも2つのリニアガイド配置45が、少なくとも1つの保護部材32の長手方向の広がりの方向に互いに離隔して配置されている。
【0068】
しかし、ガイドレールの代わりに、充分なストロークを提供する、伸縮シリンダを使用することもできる。
【0069】
第1のガイドレール46は、たとえば曲げプレス3に、特にその機械フレーム7に、しかし好ましくはそれぞれ上方のプレスビーム16に、固定位置で配置され、特にそれに固定されている。少なくとも2つのリニアガイド配置45が、さらに垂直に方向づけされて上方のプレスビーム16に保持されている。少なくとも1つの他のガイドレール48は、それぞれ少なくとも1つの保護部材32の固定位置に配置され、特にそれに固定されている。第2のガイドレール47は、それぞれ第1のガイドレール46のすぐ後ろに設けられている。これらのガイドレールはそれぞれ互いに接して案内されており、それによって定められた変位運動を実施することができる。
【0070】
プレスビーム13、16の開放された位置において、確実なカバーと保護位置を得るために、少なくとも2つのリニアガイド配置45の最大の調整距離は次のように、すなわち保護位置において、かつ曲げ工具4が完全に開放された場合に、少なくとも1つの保護部材32の第2の長手端縁35が下方のプレスビーム13へ向けられ、かつ少なくとも1つの保護部材32の第2の長手端縁35が少なくとも下方の工具収容部19まで延びるように、選択される。
【0071】
さらに、リニアガイド配置45の少なくとも1つにおいて少なくとも1つの駆動部材49が設けられていると、効果的であり得る。少なくとも1つの駆動部材49を設けることによって、少なくとも個々のガイドレール46及び/又は47及び/又は48の間で管理された変位運動を得ることができる。すなわち駆動部材49の1つを第1のガイドレール46と第2のガイドレール47の間に設けることができる。さらに、あるいはそれに加えて、駆動部材49の少なくとも1つを、第2のガイドレール47と少なくとも1つの他のガイドレール48との間にも設けることができる。
【0072】
1つ又は複数の駆動部材49は、たとえば個々のガイドレール間の変位運動の強制ガイドを実施するために用いることができる。すなわちたとえば、ベルトドライブ又はラックとその間に配置されて駆動結合される少なくとも1つの中間ピニオン又は歯車が考えられる。中間ピニオン又は歯車が駆動手段によって駆動される場合に、駆動支援又は自動的な変位を得ることができる。
【0073】
さらに、同様にすでに上述したように、操作及び/又は緩衝装置43を設けることも、可能である。それによって、たとえばロールばねあるいは恒久圧力を供給されるシリンダ-ピストン配置による、重量バランスを得ることもできる。そのために少なくとも1つの操作及び/又は緩衝装置43は、少なくとも1つの保護部材32と作動可能に接続されている。
【0074】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、その場合にここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。
【0075】
保護領域は、請求項によって定められる。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用されるべきである。図示され、かつ説明された様々な実施例からなる個別特徴及び特徴の組合せは、それ自体自立した進歩的解決を表すことができる。自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0076】
具体的な説明内の値領域についてのすべての記載は、その任意の部分領域とすべての部分領域を共に含むものであって、たとえば記載1から10は、下限の1と上限の10から始まるすべての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、たとえば1から1.7、または3.2から8.1、あるいは5.5から10のすべての部分領域、を一緒に含んでいるものとする。
【0077】
最後に形式的に指摘しておくが、構造をよりよく理解するために部材は一部縮尺どおりではなく、かつ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【符号の説明】
【0078】
1 製造設備
2 工作物
3 曲げプレス
4 曲げ工具
5 曲げパンチ
6 曲げダイ
7 機械フレーム
8 底プレート
9 側壁
10 側壁
11 横結合材
12 フロント端面
13 プレスビーム
14 フロント端面
15 リニアガイド
16 プレスビーム
17 端面
18 端面
19 工具収容部
20 工具収容部
21 駆動配置
22 駆動手段
23 エネルギ網
24 制御装置
25 入力端末
26 スピンドルドライブ
27 操作手段
28 載置テーブル
29 保護ユニット
30 工具操作ユニット
31 工具貯蔵部
32 保護部材
33 調整装置
34 第1の長手端縁
35 第2の長手端縁
36 幅
37 ブラケット
38 保持アーム
39 第1の終端領域
40 第2の終端領域
41 第1の揺動軸
42 第2の揺動軸
43 操作及び/又は緩衝装置
44 調整装置
45 リニアガイド配置
46 第1のガイドレール
47 第2のガイドレール
48 他のガイドレール
49 駆動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7