(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】向上したスループット及びプロセス柔軟性を備えたCMP機械
(51)【国際特許分類】
B24B 37/30 20120101AFI20220627BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220627BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20220627BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20220627BHJP
【FI】
B24B37/30 Z
H01L21/304 621B
H01L21/304 622G
H01L21/68 A
B24B41/06 A
(21)【出願番号】P 2019558761
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 US2018026590
(87)【国際公開番号】W WO2018200165
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-23
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519379905
【氏名又は名称】アクス テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】トロヤン ダニエル レイ
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131772(JP,A)
【文献】特開2001-144057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0038993(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0141954(US,A1)
【文献】特開2001-315058(JP,A)
【文献】特開2001-326201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0044266(US,A1)
【文献】特開2000-061821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/30
H01L 21/304
H01L 21/677
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部であって、回転軸がこの支持部を貫いて延在する支持部と、
第1部分及びこの第1部分に対向する第2部分を備える少なくとも1つの細長部材であって、前記第1部分は、前記支持部に回転可能に接続し、この細長部材を、前記支持部に対して単一方向に少なくとも約270°である回転角にわたって前記回転軸の周りに旋回させるように構成されている少なくとも1つの細長部材と、
前記第2部分に接続し、基板を保持し加工するように構成されているキャリアヘッドと
を備える基板キャリアヘッドシステム。
【請求項2】
前記回転角が、単一方向に実質的に無制限である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記キャリアヘッドが、加圧され、これにより基板がプラテンで研磨パッドと接触してこの研磨パッドによって加工されることが可能になるように構成されている膜を備える請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャリアヘッドに、前記基板を、第1プラテンで前記基板に対して第1プロセスを実施することを可能にする第1位置から、第2プラテンで前記基板に対して第2プロセスを実施することを可能にする第2位置へと移動させるように構成されている制御装置
をさらに備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1プロセス及び第2プロセスが異なる請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1プロセスがバルク除去プロセスであり、前記第2プロセスが微細除去プロセスである請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの支持部であって、第1回転軸が前記支持部を貫いて延在する少なくとも1つの支持部と、
第1部分及びこの第1部分に対向する第2部分を有する第1リンクであって、前記第1部分は、前記支持部に回転可能に接続し、この第1リンクを、前記支持部に対して第1回転角にわたって前記第1回転軸の周りに旋回させるように構成されており、第2回転軸が前記第2部分を貫いて延在し、前記第1回転軸及び前記第2回転軸は互いに対してほぼ平行である第1リンク、並びに
第3部分及びこの第3部分に対向する第4部分を有する第2リンクであって、前記第3部分は、前記第2部分に回転可能に接続し、前記第2リンクを前記第1リンクに対して、第2回転角にわたって前記第2回転軸の周りに旋回させるように構成されている第2リンク
を備える少なくとも1つの細長部材と、
前記第4部分に接続し、基板を保持し加工するように構成されているキャリアヘッドと
を備える基板キャリアヘッドシステム。
【請求項8】
前記第1回転角が、単一方向に少なくとも約270°である請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記キャリアヘッドが、基板に対して圧力を加え、前記基板がプラテンによって加工されることが可能になるように構成されている請求項
7又は請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1リンク及び前記第2リンクの同期した回転に少なくとも一部は基づいて、前記キャリアヘッドをプラテンの中心に向かって直線的に移動するように構成されている請求項7又は請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
請求項
7から請求項10のいずれか一項に記載のシステムを備え、前記キャリアヘッドによって保持された基板を加工するように構成されている少なくとも1つのプラテンをさらに備える化学機械平坦化装置。
【請求項12】
少なくとも2つの請求項7から請求項11のいずれか一項に記載のシステムを備え、各システムは、
少なくとも2つの細長部材及び少なくとも2つのキャリアヘッドと、
各キャリアヘッドによって取り扱われる少なくとも4つの基板を加工するように構成されている少なくとも2つのプラテンと
をさらに備え、
前記第1回転角は、単一方向に少なくとも約270°である化学機械平坦化装置。
【請求項13】
第2プラテンをさらに備え、前記少なくとも1つの細長部材が、前記基板を、第1プラテンで前記基板に対して第1プロセスを実施することを可能にする第1位置から、前記第2プラテンで前記基板に対して第2プロセスを実施することを可能にする第2位置へと移動するように構成されている請求項11に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも第1基板キャリアヘッドシステム及び第2基板キャリアヘッドシステムであって、各キャリアヘッドシステムが、
支持部であって、回転軸がこの支持部を貫いて延在する支持部、
第1部分及びこの第1部分に対向する第2部分を備える少なくとも1つの細長部材であって、前記第1部分は、前記支持部に回転可能に接続し、この細長部材を前記支持部に対して一定の回転角にわたって前記回転軸の周りに旋回させるように構成されている少なくとも1つの細長部材、並びに
前記第2部分に接続し、基板を保持し加工するように構成されているキャリアヘッド
を備える少なくとも第1基板キャリアヘッドシステム及び第2基板キャリアヘッドシステムと、
前記第1キャリアヘッドシステムによって保持された第1基板及び前記第2キャリアヘッドシステムによって保持された第2基板を加工するように構成されている少なくとも1つのプラテンと
を備える化学機械平坦化装置。
【請求項15】
前記回転角が、単一方向に少なくとも約270°である請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記回転角が、単一方向に実質的に無制限である請求項14又は請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1キャリアヘッドシステムに、第1基板を、第1プラテンで前記第1基板に対して第1プロセスを実施するための第1位置から、第2プラテンで第2基板に対して第2プロセスを実施するための第2位置へと移動させるように構成されている制御装置をさらに備える請求項14から請求項16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記第1プロセス及び第2プロセスが異なる請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2基板キャリアヘッドシステムが加工状態に留まる間、前記第1基板キャリアヘッドシステムをオフライン状態に置くように構成されている制御装置をさらに備える請求項14から請求項16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記制御装置が、前記第1キャリアヘッドシステム又は第2キャリアヘッドシステムに、前記少なくとも1つのプラテンの研磨パッドを交換させるように構成されている請求項17又は請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
あらゆる優先権主張出願への参照による援用
本願は、2017年4月26日出願の米国特許仮出願第62/602,538号に基づく優先権を主張する。この仮出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
分野
開示された技術は、半導体加工設備、より具体的には、設置面積の減少をもたらし、かつ密集空間での対象物の取り扱い及び操作を可能にする操作能力を有する化学機械平坦化(chemical mechanical planarization:CMP)システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
CMP装置は、半導体製造業界で広く使用されている。
【0004】
今日の市場における特定のニーズに対するソリューションを可能にするための実質的に異なるアーキテクチャ(構造)を有する機械に対するニーズが存在する。今日利用可能なこの種の機械は、制限されたウェハの取り扱い及び多ウェハ加工オプションに起因するスループットの低下を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開示された技術の目的は、設置面積の減少並びにスループット及び機能性の向上を備える改良された化学機械平坦化(CMP)装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、基板キャリアヘッドシステムが開示され、この基板キャリアヘッドシステムは、支持部であって、回転軸がこの支持部を貫いて延在する支持部と、第1部分及びこの第1部分に対向する第2部分を備える少なくとも1つの細長部材であって、上記第1部分は、上記支持部に回転可能に接続し、この細長部材を、上記支持部に対して単一方向に少なくとも約270°である回転角にわたって上記回転軸の周りに旋回させるように構成されている少なくとも1つの細長部材と、上記第2部分に接続し、基板を保持し加工するように構成されているキャリアヘッドとを備える。
【0007】
1つの態様によれば、上記回転角は、単一方向に実質的に無制限である。
【0008】
さらに別の態様によれば、上記キャリアヘッドは、加圧され、これにより基板がプラテンで研磨パッドと接触してこの研磨パッドによって加工されることが可能になるように構成されている膜を備える。
【0009】
別の態様によれば、上記キャリアヘッドに、上記基板を、第1プラテンでその基板に対して第1プロセスを実施することを可能にする第1位置から、第2プラテンでその基板に対して第2プロセスを実施することを可能にする第2位置へと移動させるように構成されている制御装置が開示される。
【0010】
さらに別の態様によれば、上記第1プロセス及び第2プロセスは異なる。
【0011】
別の態様によれば、上記第1プロセスはバルク除去プロセスであり、上記第2プロセスは微細除去プロセスである。
【0012】
別の実施形態によれば、基板キャリアヘッドシステムが開示され、この基板キャリアヘッドシステムは、少なくとも1つの支持部であって、第1回転軸がこの支持部を貫いて延在する少なくとも1つの支持部と、第1部分及びこの第1部分に対向する第2部分を有する第1リンクであって、この第1部分は、上記支持部に回転可能に接続し、この第1リンクを、上記支持部に対して第1回転角にわたって上記第1回転軸の周りに旋回させるように構成されており、第2回転軸が上記第2部分を貫いて延在し、上記第1回転軸及び第2回転軸は互いに対してほぼ平行である第1リンク、並びに第3部分及びこの第3部分に対向する第4部分を有する第2リンクであって、この第3部分は、上記第2部分に回転可能に接続し、この第2リンクを、上記第1リンクに対して第2回転角にわたって上記第2回転軸の周りに旋回させるように構成されている第2リンクを備える少なくとも1つの細長部材と、上記第4部分に接続し、基板を保持し加工するように構成されているキャリアヘッドとを備える。
【0013】
1つの態様によれば、上記第1回転角は、単一方向に少なくとも約270°である。
【0014】
さらに別の態様によれば、上記キャリアヘッドは、基板に対して圧力を加え、基板がプラテンによって加工されることが可能になるように構成されている。
【0015】
別の態様によれば、当該システムは、上記第1リンク及び上記第2リンクの同期した回転に少なくとも一部は基づいて、上記キャリアヘッドをプラテンの中心に向かって直線的に移動するように構成されている。
【0016】
さらに別の態様によれば、当該システムは、上記キャリアヘッドによって保持された基板を加工するように構成されている少なくとも1つのプラテンをさらに備える。
【0017】
別の態様によれば、少なくとも2つの一実施形態に係る基板キャリアヘッドシステムが開示され、この基板キャリアヘッドシステムにおいて、各システムは、少なくとも2つの細長部材及び少なくとも2つのキャリアヘッドと、各キャリアヘッドによって取り扱われる少なくとも4つの基板を加工するように構成されている少なくとも2つのプラテンとをさらに備え、上記第1回転角は、単一方向に少なくとも約270°である。
【0018】
さらに別の態様によれば、第2プラテンが開示され、この第2プラテンにおいて、上記少なくとも1つの細長部材は、基板を、上記第1プラテンでその基板に対して第1プロセスを実施することを可能にする第1位置から、第2プラテンでその基板に対して第2プロセスを実施することを可能にする第2位置へと移動するように構成されている。
【0019】
さらに別の実施形態によれば、化学機械平坦化装置が開示され、この化学機械平坦化装置は、少なくとも第1基板キャリアヘッドシステム及び第2基板キャリアヘッドシステムであって、各キャリアヘッドシステムが、支持部であって、回転軸がこの支持部を貫いて延在する支持部、第1部分及びこの第1部分に対向する第2部分を備える少なくとも1つの細長部材であって、この第1部分は、上記支持部に回転可能に接続し、この細長部材を上記支持部に対して一定の回転角にわたって上記回転軸の周りに旋回させるように構成されている少なくとも1つの細長部材、並びに上記第2部分に接続し、基板を保持し加工するように構成されているキャリアヘッドを備える少なくとも第1基板キャリアヘッドシステム及び第2基板キャリアヘッドシステムと、上記第1キャリアヘッドシステムによって保持された第1基板及び上記第2キャリアヘッドシステムによって保持された第2基板を加工するように構成されている少なくとも1つのプラテンとを備える。
【0020】
1つの態様によれば、上記回転角は、単一方向に少なくとも約270°である。
【0021】
別の態様によれば、上記回転角は、単一方向に実質的に無制限である。
【0022】
さらに別の態様によれば、上記第1キャリアヘッドシステムに、第1基板を、第1プラテンでその第1基板に対して第1プロセスを実施するための第1位置から、第2プラテンで第2基板に対して第2プロセスを実施するための第2位置へと移動させるように構成されている制御装置が開示される。
【0023】
別の態様によれば、上記第1プロセス及び第2プロセスは異なる。
【0024】
さらに別の態様によれば、上記第2基板キャリアヘッドシステムが加工状態に留まる間、上記第1基板キャリアヘッドシステムをオフライン状態に置くように構成されている上記制御装置が開示される。
【0025】
別の態様によれば、上記制御装置は、上記第1キャリアヘッドシステム又は第2キャリアヘッドシステムに、上記少なくとも1つのプラテンの研磨パッドを交換させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
開示された技術の上記の特徴及び優位点、並びに付加的な対象物の特徴及び優位点は、添付の図面を参照した開示された技術の実施形態の、以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通してよりよく理解されるであろう。図面では、特段の記載がない限り、同じ参照数字が同じ要素に対して使用される。
【0027】
【
図1A】
図1Aは、開示された技術の実施形態に係る化学機械平坦化(CMP)システムの平面図である。
【
図1B】
図1Bは、開示された技術の実施形態に係るCMPシステムの側面図である。
【
図2】
図2は、CMPシステムの例示のキャリアヘッドアセンブリの断面図である。
【
図3A】
図3Aは、開示された技術の実施形態に係る、リンクを備えるCMP装置の平面図である。
【
図3B】
図3Bは、開示された技術の実施形態に係る、リンクを備えるCMP装置の平面図である。
【
図4】
図4は、開示された技術の実施形態に係る、プラテンを備えるCMPシステムの平面図である。
【
図5】
図5は、開示された技術の実施形態に係る例示的なCMPシステムの等角図である。
【
図6】
図6は、開示された技術の実施形態に係るCMPシステムの例示的な動作方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
開示された技術は、典型的なCMP機械の設置面積と比べて設置面積の減少をもたらすCMP機械に関し、この設置面積の減少により、その機械が密集空間でウェハ対象物を取り扱って操作することを可能にする操作能力がもたらされる。開示された技術は、支持部に接続されたひじ関節及び肩部を有する屈伸可能なアームを備えるCMP機械にも関する。開示された技術は、ウェハを研磨するための重要な時間が後続のウェハの研磨によって中断されたり妨害されたりしないように、互い違い(交替)プロセスの一部として2以上のウェハを単一の研磨プラテン(研磨定盤)で研磨するための操作能力を有するCMP機械にも関する。開示された技術は、機械の休止期間を引き起こすことなくプラテンパッドが効率的に取り外されて事前調節されたプラテンパッドと交換されてもよいシステムを提供することにより、改善されたオフライン消耗品の準備にも関する。というのも、開示された技術は、そのシステム内の他のプラテンを利用することに関するからである。
【0029】
今日の市場における特定のニーズに対するソリューションを可能にするための実質的に異なるアーキテクチャを有する機械に対するニーズが存在する。今日利用可能なこの種の機械、及びそれらのそれぞれの短所としては、加工工程と連続してウェハの取り扱い及び挿入(ローディング)/取り出し(アンローディング)を実施する必要があることに起因してスループットが低下している機械、1つのプラテンあたり1つのウェハのみしか加工することができない機械、互いに固定可能に連結されているためにウェハキャリア(1又は複数)が研磨プラテンの間をすべての他のヘッドと同時に移動することを要する機械、加工操作並びに/又はウェハの挿入/取り出し操作が他のヘッド及び/若しくはプラテンで完了するのをウェハキャリア(1若しくは複数)が待っている間、1つのプラテンが利用できない機械、並びにウェハを複数のプラテン間で加工するために1つのウェハキャリアから別のウェハキャリアへとウェハを移すことを要する機械が挙げられる。
【0030】
開示された技術は、特定の実施形態に関して、そして特定の図面を参照して記載されることになる。本開示はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載された図面は、概略的なものにすぎず、限定を意図したものではない。図面では、説明の目的で、要素のうちのいくつかのもののサイズは誇張されて、原寸に比例していない場合がある。寸法及び相対寸法は、本開示の現実の実施化に必ずしも対応していない。
【0031】
多くの類似の用途の中でも半導体IC、MEMSデバイス及びLEDの製造における薄膜の平坦化のための化学機械研磨(CMP)の採用及び使用は、これらの種類のデバイス用の「チップ」を製造するすべての会社のあいだで一般的である。この採用は、携帯電話、タブレット及び他の携帯機器、並びにデスクトップ型及びラップトップ型のコンピュータのためのチップの製造を含む。ナノテクノロジー及び微細加工の成長は、医療分野、自動車用分野及びモノのインターネット(「IoT」)におけるデジタル機器の限りなく広がる使用及び採用に対して大きい有望さをもたらす。薄膜の平坦化のための化学機械研磨は、1980年代の初頭にIBM Corporationの科学者及び技術者によって考案され、開発された。今日、このプロセスは世界中に広がり、ほぼすべてのデジタル機器の製造における真の実現技術の1つである。
【0032】
集積回路は、導体材料(銅、タングステン、アルミニウム等)、絶縁層(二酸化ケイ素、窒化ケイ素等)、及び半導性物質(ポリシリコン)の多層及び交互層を備えて製造される。これらの層の連続的な組み合わせが順次ウェハ表面に設けられるが、表面の埋め込まれたデバイスのため、局所的な起伏がデバイス構造体に形成され、これは二酸化ケイ素絶縁体層の場合も同様である。これらの望まれない局所的な起伏は平らにされる又は「平坦化される」必要があり、そのあとでようやく次の層を重ねることができるようになる。銅層の場合、銅は、コンタクトビアを充填して、デバイスからデバイスへ、及び層から層への電子の移動のための有効な縦方向(深さ方向)経路を作製するために表面に堆積される。この手順は、設けられる(通常、蒸着プロセスによって設けられる)各層に対して続けられる。導体材料の多層(金属の多層)の場合、これは、望み通りの電気回路を成し遂げるために数多くの研磨手順(導体、絶縁体、及び半導体材料の各層に対して1回)を生じる可能性がある。
【0033】
CMPプロセスは、これをすべて可能にする多層電気回路の製造における実現技術である。CMPプロセス、システム及び装置は。
【0034】
開示された技術の詳細な実施形態が、これより図面を参照して説明される。
【0035】
図1Aは、支持部102(例えば、本体、柱(軸)、基部、研磨アーム支持部等)と、アーム104(例えば、細長部材又は研磨アーム)と、キャリアヘッド106とを備える化学機械平坦化(CMP)システム100の実施形態を説明する平面図である。アーム104は支持部102に取り付けられており、アーム104にはキャリアヘッド106が取り付けられている。CMPシステム100は、以降でさらに論じるように、アームアタッチメント(図示せず)を回転するための手段も備えてよい。支持部102は、1以上の研磨プラテン(
図4及び
図5に示される)の上方に、適所にアーム104及びキャリアヘッド106を保持するように構成されている構造支持部である。加えて、支持部102は、支持部102に回転可能に取り付けられているアーム104を回転するように構成されている。いくつかの実施形態では、支持部102又はその一部分は、支持部102に取り付けられたアーム104が支持部102の周りに回転するように、回転してもよい。あるいは、支持部102に取り付けられたアーム104が支持部102の周りに回転する一方で、支持部102は動かないように構成されていてもよい。
図1BはCMPシステム100の側面図である。
【0036】
いくつかの実施形態では、支持部102は、CMPシステム100の残部に電気的接続部及び流体接続部を提供するように構成されている。従って、支持部102には、電気的/電気機械的接続部及び流体接続部が支持部102の内部及び/又は支持部102の外周に沿って配置されていてもよい。この電気的接続部は、電力及び電気信号をCMPシステム100の1以上の構成要素(コンポーネント)に送り、CMPシステム100からフィードバックとして電気信号を受信するように構成されている。例えば、CMPシステム100は、支持部102の底部を通りCMPシステム100の種々の構成要素まで供給されうる配線、例えばイーサネット(登録商標)接続部及び電気スリップリングアセンブリを有してもよい。加えて、流体接続部が備えられることが可能であり、この流体接続部は、種々の流体をCMPシステム100(例えば、CMPスラリー)に提供するように構成されていてもよい。この流体接続部は、空気圧及び真空力を当該システムに与えることができる。
【0037】
一実施形態では、CMPシステム100は、回転軸の周りに回転するように構成することができる。従って、支持部102は、アーム104を回転軸の周りに回転するための手段を備える。支持部102は、例えば、電気モーター(例えば、ステッピングモーター、ブラシレスモーター、トルクモーター等)、機械的歯車、磁気連結器若しくは回転連結器又はアーム104又は支持部102上で回転を生成するためのいずれかの他の手段を備えてもよい。
【0038】
図1Aの例では、回転軸は支持部102を通る。回転の度(°)は、
図1A中では記号θによって示されている。しかしながら、回転の方向は、いずれの方向でもよい(時計回り又は反時計回り)。加えて、アーム104及びキャリアヘッド106は、単一方向に少なくとも約270°(すなわち、270°以上の角変位)、回転軸の周りに回転(すなわち、巻き上げ又は巻き戻し)してもよい。別の実施形態では、回転軸の周りのアーム104の回転は連続的(すなわち、無制限)であってもよく、従って、CMPシステム100は、360°以上(すなわち、2πラジアン以上)の角変位を有することができる。
【0039】
加えて、アームに取り付けられたキャリアヘッド106は、下方向(すなわち、下降する方向)及び上方向(すなわち、上昇する方向)に作動することができる。従って、キャリアヘッド106は、CMP加工のための所望の配置に基づいて下降することができ、上昇することもできる。例えば、上昇した配置では、キャリアヘッド106又はアーム104は、キャリアヘッド106に下降するように命じる制御信号を受信してもよい。キャリアヘッド106は、キャリアヘッド106がプラテン(図示せず)の研磨パッドを圧迫するまで下降してもよい。例えば、キャリアヘッド106は、キャリアヘッド106の架台部の下に保持されているウェハを研磨パッドに対して圧迫してもよい。
【0040】
図2は、キャリアヘッド106の断面図である。キャリアヘッド106は、膜アセンブリ205及び膜アセンブリ205が載置されている支持基盤280を備えることができる。支持基盤280は、膜アセンブリに支持を提供するように構成されているいずれの好適な構成物であることができる。支持基盤280は、キャリアアセンブリ106の残部をCMPシステム100に取り付けるかつなぎ合わせることができる。
【0041】
膜アセンブリ205は、示されるように、支持板210、弾性膜220、膜クランプ230、及び外側圧力リング240を備えてもよい。支持板210は、膜アセンブリ205を支持基盤280に取り付けるためのいずれの好適な構成物であってもよい。例えば、支持板210は、1以上のボルト又は他の好適な取り付け要素を使用して支持基盤280に載置されてもよい。支持板210は、種々の場所で、例えば支持基盤280の外周に沿って、支持基盤280に載置されてもよい。
【0042】
支持板210は、弾性膜220を支持するためのいずれの好適な構成物であってもよい。弾性膜220は、いくつかの異なるやり方で支持板210に固定されてよい。弾性膜220は、支持板210が支持基盤280に固定される前又は固定された後に、支持板210に固定されてよい。弾性膜220は、いくつかの好適な異なる保持要素のうちのいずれか、例えば膜クランプ230の使用により支持板210に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、膜クランプ230は、ばね付勢されていてもよい。他の実施形態では、膜クランプ230は、締結機構(例えば、ナット及びボルト等)の使用によりしっかりと締めつけられてもよい。
【0043】
弾性膜220は、例えば
図1Bを参照して上で説明したとおり、膜220がウェハ270を研磨パッドに接触して保持しそのウェハを加工することができるように、支持板210に固定されることができる。用語「基板」及び「ウェハ」は、本明細書中ではほとんど同義で使用され、例えば、半導体又はシリコンウェハ、フラットパネルディスプレイ、ガラス板又はガラスディスク、プラスチック製ワークピース、及び本明細書に開示される装置及びプロセスの1以上の実施形態を実行することができる種々の形態(例えば、円形、正方形、矩形等)及びサイズの他の実質的に剛直、平坦かつ薄いワークピースを包含する。
【0044】
研磨パッド材料及びプロセスパラメータと組み合わせて、ウェハ破損が減少するように、膜220は、十分に弾力性があり柔軟であることができる。膜220及び支持板210は、CMP加工の間、膜220と支持板210との間のガス圧力を許容し、膜220をウェハ270に押し付けるようにように構成することができる。例えば、実質的なシール(封止)が膜220と板210との間に形成されてもよい。支持板210は、膜220から離間して、支持板210と膜220との間に隙間又は空洞260が形成されてもよい。空洞260は、膜220が静止状態(例えば、非加圧状態)にあるときに形成されてよい。いくつかの実施形態では、膜220が静止状態にある時に膜220は板210の上に載っているか板210のごく近傍にあり、膜220が膨張している(例えば、加圧されている)時に空洞260が形成される。空洞260は、平坦化の間の膜220に対する、従ってウェハ270に対するガス圧力の変化を再配分し、均等にすることができる。示されるように、ガス圧力を、空気チャネル250を通して膜220の裏面側に与えることができる。空気チャネル250は、支持板210内部に配設されていてもよいし、他の構成物を通してガスを供給することもできる。空気チャネル250は、用途によって、異なるように改変されてもよい(例えば、円管、角管等)。いくつかの実施形態では、この空気チャネルは、ウェハ270を膜アセンブリの下側にとどめておくために真空を提供してもよい。膜220は、このような真空を提供するため、及び/又はウェハ270を膜220から解放するための陽圧を可能にするための孔を備えてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、空洞260は、膜220を支持板210から離間させることによって形成されてもよい。例えば、支持板210は、空洞を形成するための凹型の内側部分を備えることができる。図示された実施形態では、膜アセンブリ205は、空洞260を形成するための外側圧力リング240を備えることができる。他の実施形態では、この膜アセンブリは、圧力リングなしで組み立てられてもよい。例えば、膜220は、膜220を支持板210から隔てる空洞260がなく、直接支持板210に支えられ(接触し)ていてもよい。いくつかの実施形態では、上記膜アセンブリは、同心円状に配置された1以上の圧力リング240を備えてもよい。
【0046】
別の実施形態では、使用される膜220は多領域膜であってもよい。例えば、膜220は、膜220の種々の領域を有効に隔てる膜220の溝(例えば、凹部)及び/又は隆起部を有してもよい。限定を意図しない例では、この溝は、膜の中心から発する一系列の同心円として配置されてもよい。別の例では、上記溝及び隆起部は、ウェハ370が膜アセンブリに取り付けられた時にウェハ370にわたってかかる圧力の分配を改善するために、不規則形状(例えば、相互接続した円(重なり合った円)、非円形の凹部、膜の表面にわたって散らばった円形パターン)であってもよい。
【0047】
膜220は、膜220が取り囲む構造体に膜220がなじむように、柔軟性であってもよい。いくつかの例では、膜220は凸状であってもよい。例えば、膜220は中心が弛んでいてもよい。膜220は、より微細な精度の研磨のために膜220の小さい範囲がウェハ表面と接触しているように、錐体のような形状であってさえもよい。
【0048】
膜材料は、本明細書に記載される平坦化に、及び例えばCMPプロセス用のキャリアヘッド内での使用に好適ないずれの弾性材料であってもよい。いくつかの実施形態では、この膜材料は、ゴム又は合成ゴム材料のうちの一種であってもよい。この膜材料は、エチレンプロピレンジエン単量体(Mクラス)(EPDM)ゴム又はシリコーンのうちの一種であってもよい。あるいは、膜材料は、ビニル、ゴム、シリコーンゴム、合成ゴム、ニトリル、熱可塑性エラストマー、含フッ素エラストマー、水和アクリロニトリルブタジエンゴム、又はウレタン及びポリウレタンフォームのうちの1以上の組み合わせであってもよい。
【0049】
1以上の膜アセンブリが1つのCMPシステム内に実装されてもよい。当該CMPシステムは、稼働中、当該システムからのフィードバックを利用する制御を有して、当該CMPプロセスをより正確に制御してもよい(例えば、可変速モーター制御等)。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図1A、
図1B及び
図2を参照して説明したCMPシステムのアーム(1又は複数)は、キャリアヘッドが支持部に向かって内側に及び/又は支持部から離れるように外側へ振れる(展開する)ことができるように、第2回転軸の周りに屈曲又は回転することができる。いくつかの例では、この細長いアームは、すべて種々の回転軸の周りに回転してもよい複数のリンクを備えてもよい(すなわち、屈伸性アーム又は関節を備えたアーム)。
【0051】
図3A及び
図3Bは、リンク304及び306を備える化学機械平坦化(CMP)システム300実施形態の平面図を示す。CMPシステム300は、
図1A~
図1B及び
図2に記載されたCMPシステム100と実質的に同様である。しかしながら、CMPシステム300は、アーム(1又は複数)が第2回転軸の周りに屈曲又は回転することができ、そのため、キャリアヘッド308は、
図3Bに示されるように支持部に向かって内側に、又は
図3Aに示されるように反対方向に支持部から離れるように外側に振れることができるという点で異なる。例えば、CMPシステム300は、支持部302に取り付けられた第1リンク304、第1リンク304に取り付けられた第2リンク306、及び第2リンク306に取り付けられたキャリアヘッド308を備えてもよい。限定を意図しない例では、上記リンクは、センタージョイント(すなわち、ひじ)で連結されていてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1リンク304は、支持部302に回転可能に取り付けられており、支持部302を通る第1回転軸を画定する。加えて、第1リンク304は、第2リンク306に回転可能に取り付けられて、リンク間の取り付け領域を通る第2回転軸を画定してもよい。あるいは、第1リンク304は、回転するように構成されていなくてもよく、この場合は、第2リンク306だけが第2回転軸の周りに回転するように構成される。上記取り付けセクションは、
図1A~
図1Bを参照して記載したのと同様の特徴を備える、第2リンクを第2回転軸の周りに回転する手段を備える。電気的接続部及び流体接続部も、
図1A~
図1Bを参照して記載したように、同様にリンク全体にわたって備えることができる。
【0053】
従って、第1リンク304及び/又は第2リンク306を含むリンクは、そのそれぞれの回転軸(すなわち、第1回転軸、第2回転軸等)の周りに回転するように構成されていてもよい。例えば、第2リンク306は、上記リンク取り付けセクションを通る第2回転軸の周りに回転するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2リンク306は、第2リンク306が外側へ延在して、他のリンク及び第1回転軸と共に直線を作り出すように、第2回転軸の周りに回転するように構成されていてもよい。他の実施形態では、第2リンク306は、第2回転軸の周りに0°~180°間及び180°~270°間及び270°~360°の範囲を回転してもよい。例えば、第2リンク306は、第2回転軸の周りに実質的に無制限に回転してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、上記リンクは、リンク鎖の中の他のリンクとは独立に、かつ支持部302とは独立に回転してもよい。他の実施形態では、特定の複数のリンクは、それらの動きが別のリンクの動き又は支持部302の動きに依存するように、一緒に連結されていてもよい。例えば、1以上のリンク及び支持部302が、回転歯車又は磁石によって一緒に連結されて、支持部又は別のリンクが回転する時、連結されたリンク又は支持部も動くようになっていてもよい。
【0055】
さらには、当該CMPシステムは、1以上のアームが各支持部に取り付けられている複数の支持部を備えてもよい。例えば、各支持部は2つのアームを有してもよい。さらには、
図3A~
図3Bを参照して論じられたように、各アームはリンクから構成されてもよい。加えて、複数のプラテンが各支持部に近接して構成されてもよい。例えば、2つのプラテンが2つの支持部の間に置かれて、その2つの支持部の各キャリアヘッドがCMP加工のために各プラテンに接近できるようになっていてもよい。別の例では、1つのプラテンが2つの支持部に近接して構成されてもよく、その場合、
図4に示されるように、各キャリアヘッドは加工のためにそのプラテンに接近するように構成される。
【0056】
いくつかの実施形態では、ウェハは、所定の挿入ステーション(図示せず)に提示され、キャリアヘッド308への挿入のために用意される。プロセス装置前面モジュール(Equipment Front End Module:EFEM)から挿入/取り出しステーションへのウェハ移動は、例えばオーバーヘッドガントリロボット機構を介して成し遂げられれる。
【0057】
キャリアヘッド308は、挿入/取り出しステーション(図示せず)と同心状にかつその頭上に位置決めされ、ウェハはそのステーションからキャリアヘッド106へと移される。当業者なら、ウェハをキャリアヘッドに挿入する及びウェハをキャリアヘッドから取り出すための種々の方法及び手段を理解しているであろう。
【0058】
キャリアヘッド308は、示されるように、研磨プロセスを実施するためにプラテンの上方に位置決めされる。研磨プロセスが進行する間、その後の加工のために次のウェハを挿入/取り出しステーション(図示せず)上に置くことができる。研磨プロセスが完了すると、キャリア308を支持するリンク304及び306並びにリンク間のひじ(すなわち、関節)は関節運動することができ、この結果、キャリアヘッド308が(
図3Aから
図3Bへの進行によって示されるように)支持部302に向かって「しまい込まれ」て、そうではなくてしまい込まれない場合に可能である空間限界よりも小さい空間限界内でこのキャリアの支持部302の周りの回転が可能になる。従って、これは、キャリアヘッド308を取り出しステーションと同心状に及びその上方に位置決めすることを可能にする。
【0059】
次に、キャリアヘッド308は、後続のウェハを挿入ステーションからキャリア308へと移動するための位置へと回転して戻ることができ、次にキャリア308は、加工のためにプラテンの上方に位置決めされうる。
【0060】
加工されたウェハは、次に、取り出しステーションに取り出されて、EFEMへ、又はより一般的には、洗浄システムへと戻されるために移動ロボットによって回収されてもよい。
【0061】
システムのスループットを増大させるために、この同じ過程(シーケンス)を、プラテンを挟んで対称的に配置された対応する組の構成要素に適用して、追加の挿入ステーション及び取り出しステーションを使用してウェハが第2キャリアヘッドへ挿入されているか又は第2キャリアヘッドから取り出されている間にキャリア308がプラテンで加工しているようにすることができる。
【0062】
図4は、これまでに記載されたCMPシステム300及び100に類似し、キャリアヘッド410及び412の各々によって保持された基板を加工するように構成されているプラテン414を備えるCMPシステム400の例示実施形態を説明する。いくつかの実施形態では、アーム406及び408はアーム104に実質的に類似している。あるいは、アーム406及び408は、
図3A~
図3Bを参照して記載されたリンク304及び306等のリンクを備えてもよい。加えて、キャリアヘッド410及び412は、キャリアヘッド106又は308に実質的に類似していてよく、支持部404及び402は、支持部102又は302に実質的に類似していてよい。具体例では、プラテン414は、いずれの数の形状(例えば、円形、正方形等)で構成することができ、従って、中心を有することになる。
図4の例では、プラテン414は、中心416を有する円である。加えて、CMPシステム400はいずれの数のプラテンを備えて構成することもでき、この場合、例えば、各プラテン又は隣接するプラテンの対がいくつかの対応する支持部を有する。
【0063】
加えて、アーム406及び408の各々は、支持部402及び404の各々を通るそれぞれの回転軸の周りに回転することができる。さらには、各アームは、270°以上の角変位でそれぞれの回転軸の周りに回転するように構成されていてもよい。いくつかの例では、アーム406及び/又は402は、それそれぞれの回転軸の周りに実質的に無制限に回転するように構成されていてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、CMPシステム400は、1ウェハ対象物を1以上のキャリアヘッドに挿入し及び/又はウェハ対象物を1以上のキャリアヘッドから取り出すための1以上のステーションを備えてもよい。例えば、各キャリアヘッドは、ウェハをキャリアヘッド上に挿入し又はウェハをキャリアヘッドから取り出すための専用の挿入ステーション及び/又は取り出しステーションを有してもよい。2以上のキャリアヘッドは、同じ、又は異なるプラテンでの加工のための、互いに対して共通の挿入/取り出しステーションを有してもよい。加えて、各ステーションは、支持部404及び402の各々からおよそ同じ半径方向距離に置かれてもよい。あるいは、各ステーションは、支持部404及び402の各々から異なる半径方向距離に置かれてもよい。各ステーションは、他のステーション(1又は複数)に対して支持部から同じ又は異なる半径方向距離に置かれてもよい。このように、
図4の1以上のアームがリンクを備える実施形態では、そのアームは、種々の支持部の異なる構成物及び場所におけるより大きい柔軟性を備えて、その種々のステーションの種々の構成物に到達するように関節運動してもよい。
【0065】
従って、複数のウェハが共通のプラテンで加工されてもよい。これは、1つのプラテンで1つのウェハを加工することよりもスループットを増大させるための特定の用途で望ましい可能性がある。限定を意図しない例では、2以上のウェハがキャリアヘッド410及び412に挿入されてもよい。挿入は挿入ステーション(図示せず)で行われてよい。加えて、いくつかの例では挿入ステーションとは別個の構成を有する取り出しステーションが存在してもよい。両方のキャリアヘッド410及び412は、両方のウェハが実質的に同時に加工されてもよいように、プラテン414の上方に(示されるとおり)位置決めされてもよい。両方のウェハの加工が完了すると、キャリアは取り出しのために好適なステーション(図示せず)の上方に位置決めされ、次いで、後続の加工のために追加のウェハをキャリア410及び412に挿入するための好適な挿入ステーション(図示せず)の上方に位置決めされる。あるいは、キャリアヘッドは、そのそれぞれのウェハの加工を交互に行うか行き違え(交替し)てもよい。例えば、キャリアヘッド410は、第1ウェハをプラテン414で特定の時間又はプロセス全体の特定の割合(百分率)に対して加工してもよい。一方で、キャリアヘッド412は、キャリアヘッド412がそのヘッドを下げて第2ウェハをプラテン412に接して加工するための制御信号を受信するまで、キャリアヘッド412がプラテン412を圧迫しないように、上昇した位置に構成されてもよい。キャリアヘッド412がそのヘッドを下げるための制御信号を受信すると、キャリアヘッド410は、第1ウェハがもはや加工されてはいないようにキャリアヘッド410のヘッドを上げるための制御信号を受信することができる。あるいは、キャリアヘッド410は、両方のキャリアヘッドが同時に処理されるように、そのヘッドを下げたままにしてもよい。
【0066】
加えて、
図1A~
図1B、
図2、
図3又は
図4に関して記載されたCMPシステムは、例えば
図5に示されるように、いくつかの異なる組み合わせで実装されてもよい。例えば、
図5は、第1CMPシステム520及び第2CMPシステム530を備えるCMP装置500を説明する。この示された実施形態では、各CMPシステムは、リンクを備える2つのアーム及び2つのプラテンを備える。従って、各プラテンは、このCMPシステムの各々から1以上のウェハを加工するように構成されている。
【0067】
図5の例示実施形態では、CMPシステム520及び530は、リンクを有する2つのアームを有する。
図5のCMPシステム520及び530はアームがリンクを備えて示されているが、当該システムは、アームのうちの1以上が
図1及び
図4を参照して記載されたようなリンクを有しないように、構成することができるということを理解されたい。加えて、CMPシステム520及び530は、そのそれぞれの支持部から延在する任意の数のアームを有することができる。さらには、CMP装置500は、任意の数のプラテンを有することができる。いくつかの実施形態では、1つの支持部に取り付けられている上記2つのアームは、それらが互いに位置を変えるように、互いに同じ方向に、実質的に同時に、共通の回転軸の周りに回転することができる。
【0068】
加えて、CMPシステム520及び530は、示されるように制御装置(コントローラ)510を備えてもよい。あるいは、制御装置510は、CMPシステム内部(例えば、CMPシステム520及び/又は530の支持部の内部)に置かれてもよい。加えて、制御装置510は電子制御装置、機械式、空気式又は組み合わせであることができる。加えて、本明細書に記載される装置及びシステムのいずれも、本明細書に記載される方法の機能性及び追加の機能性を提供するように構成することができる制御装置(例えば、制御装置510、
図5)を備えることができる。加えて、本明細書に記載される装置及びシステムのいずれも、CMPキャリアヘッドの方向及び角変位をたどる(監視する)ためのデバイス(例えば、アブソリュートエンコーダ等)を備えることができる。加えて、本明細書に記載される装置及びシステムのいずれも、回転又はスピン(高速回転)するように構成されている研磨パッドを有するプラテンを備えることができる。さらには、加えて、本明細書に記載される装置及びシステムのいずれも、回転又はスピンするように構成されているキャリアヘッドを備えることができる。例えば、ウェハを保持するキャリアヘッドは、スピンしているプラテンに接してそのウェハを加工している間、そのウェハをスピンさせてもよい。
【0069】
加えて、上述のウェハキャリアは、外側リンク(又は、リンクがない場合はアーム)の外側部分に取り付けられており、このウェハキャリアは、加工されているウェハに対して圧力を加える。ウェハキャリアヘッドは、所望の操作に応じて、プラテンに向かって下降することができ、プラテンから離れるように上昇することもできる。ウェハキャリアは、CMP加工の前後にウェハの挿入及び取り出しの操作を支えるようにも構成されている。キャリアヘッドは、両方のリンクの同期した回転運動により直線的に(又は、プラテンが円である場合は半径方向に)プラテンの中心に向かって(中心416に関して上記のとおり)移動するようにも構成されている。例えば、キャリアヘッドは、ウェハをプラテンの一領域に圧迫することができる。その場合、上記制御装置は、ウェハがプラテンの中心に向かって移動するように、両方のリンクに同期した動きで回転するように命令してもよい。さらには、上記キャリアヘッドは、線又は半径に沿って内方向及び外方向に振動するようにさらに構成されている。
【0070】
さらに、各プラテンは、パッド調節器システム(示されているが番号は付いていない)を備えてもよい。このパッド調節器は、研磨プラテン全体又はそのいずれかの一部分にわたって掃引することができる。パッド調節器は、ウェハを研磨する前、研磨している最中、及び/又は研磨した後にパッドを調節する(整える)ように構成することができる。
【0071】
別の実施形態では、上記CMP制御装置は、少なくとも2つのCMPキャリアヘッドシステムを有するシステムにおいて、第1プラテンの研磨パッド(例えば、消耗品)を交換するようにいずれかのキャリアヘッドシステムを制御するようにさらに構成されていてもよい。このような実施形態では、第1プラテンが一時的にオフラインである間、第2キャリアヘッドシステムは第2プラテンでウェハを加工し続けてもよい。例えば、研磨パッドがオフラインで(すなわち、CMP加工ステーションから離れたところで)用意又は事前調節されてもよい。上記制御装置は、第1キャリアヘッドシステムをオフライン状態(例えば、例えば、メインテナンスモード又は修復モードにあって、第1キャリアヘッドがウェハを加工していない状態)に置いてもよい。第2キャリアヘッドシステムは、加工状態を継続してもよい。従って、この制御装置は、第1キャリアヘッドシステムに、事前調節された研磨パッドを当該システムに取り付けるように命令してもよい。いくつかの実施形態では、この取り付けは、その事前調節された研磨パッドがそのあるべき位置で取り付けられうるように、キャリアヘッドを取り外すことを必要とするであろう。他の実施形態では、事前調節された研磨パッドが別個のアタッチメントに取り付けられうるように、その別個のアタッチメントがそのキャリアヘッドの代わりに組み込まれる必要がある可能性がある。
【0072】
いくつかの実施形態では、CMPシステム500は、複数のプラテンで複数のウェハの加工を有利に行き違える(入れ替える)ように構成されていてもよい。例えば、CMPシステムは、第1キャリアヘッドシステム及び第2キャリアヘッドシステムを備え、各システムが第1アーム及び第2アームを有してもよい。加えて、各アームは一端に取り付けられたキャリアヘッドを有する。
【0073】
第2キャリアヘッドシステムが第2アームを用いて第2プラテンで第2ウェハを加工する間、第1キャリアヘッドシステムは、第1アームを用いて第1プラテンで第1ウェハを加工してもよい。第1ウェハが所定の時間又は全加工の所定の百分率(例えば、80%加工済み)まで加工されると、第1アームは回転して、その第1ウェハを第2CMPプロセスのための第2プラテンへと移動することができる。いくつかの実施形態では、この第1及び第2のCMPプロセスは異なる。例えば、第1プロセスは、バルク(大雑把な)除去プロセスであってもよいのに対し、第2プロセスは微細除去プロセスであってもよく、上記バルク除去プロセスは微細除去プロセスよりもウェハから多くの材料を除去する。例えば、いくつかの実施形態では、バルク除去プロセスは、プロセス全体についてウェハから除去される材料全体の80%を除去し、微細除去プロセスは20%を除去する。加えて、第2ウェハは第2プラテンで加工され続けてもよい。一方、第3ウェハが第1キャリアヘッドシステムの第2アームを使用して挿入されて、第1ウェハが除去されると第1プラテンで加工され、そしてこのプロセス自体が後続のウェハ加工のために繰り返されてもよい。
【0074】
図6は、本明細書に開示される特定の実施形態に従ってCMPシステムを動作させるための例示の方法600を説明するフロー図である。いくつかの態様では、方法600は、
図1A~
図1Bのシステム100によって実施されてもよい。いくつかの態様では、方法600は、
図3A~
図3Bのシステム300によって実施されてもよい。いくつかの態様では、方法600は、
図4のシステム400によって実施されてもよい。いくつかの態様では、方法600は、
図5のシステム500、又は他のシステムによって実施されてもよい。
【0075】
ブロック610では、ウェハを加工するためにCMPシステムが準備される。このCMPシステムは、支持部に回転可能に取り付けられている細長いアームを備える。ブロック620では、そのアームが第1位置から第2位置へ回転される。第1位置から第2位置へのこの回転は、270°超の角変位を生じる。
【0076】
このように、本開示は、順次のウェハの挿入及び取り出しの間、1つのウェハの同時加工を可能にすることにより、両方のウェハが同じプラテンで順次加工され、1つのプラテンで1つのウェハを加工するための高スループットをもたらす。加えて、本開示は、順次のウェハの挿入及び取り出しの間、2つのウェハの加工を同時に可能にすることにより、両方のウェハが同じプラテンで加工され、2つのウェハを1つのプラテンで加工するための高スループットをもたらす。さらに、開示された技術は、システム全体に対しておよそ100%のデューティサイクルをもたらすように構成されている。例えば、当該システムは、本明細書に記載される構成及び実施形態の結果として、ウェハを加工することに関して、休止期間をほとんど経験しない~まったく経験しない可能性がある。さらには、開示された技術は、各CMPシステムについて(すなわち、支持部及びアーム(1又は複数))並びに総じてシステム全体について設置面積の減少を生じるように構成されている。
【0077】
上記の実施形態に対して多くの変更及び改変が加えられてもよく、それらの要素は、いくつかある許容できる実施例の範囲のものであると理解されるべきである。そのような改変及び変更はすべて、本発明では、本開示の範囲内に包含されることが意図されている。上記の記載は特定の実施形態を詳細に説明している。しかしながら、上記の記載が文言上いかに詳細に見えようとも、当該システム及び方法は多くのやり方で実施することができ、他の形態で実装することができるということは分かるであろう。これまでにも記載したとおり、当該システム及び方法の特定の特徴又は態様を記載するときの特定の専門用語の使用は、その専門用語が、専門用語が関連するシステム及び方法の特徴又は態様のいずれかの特定の特色を含むことに限定されると本明細書中で再定義されていることを含意するとは解釈されないことに留意されたい。
【0078】
条件付き語句、とりわけ「can(…できる、…てもよい)」、「could(…できる、…てもよい)」、「might(…てもよい、…可能性がある)」又は「may(…てもよい、…可能性がある)」等は、特段の記載がないかぎり、又は使用される文脈で矛盾すると理解されないがきり、特定の実施形態が特定の特徴、要素及び/又は工程を含むのに対し、他の実施形態は含まないということを伝えると一般に意図される。従って、そのような条件付き語句は、特徴、要素及び/又は工程が1以上の実施形態のために何らかの形で必要とされるということ、又は1以上の実施形態が、ユーザー入力若しくは指示があろうとなかろうと、これらの特徴、要素及び/又は工程がいずれかの特定の実施形態で含まれるか又は実施されるべきであるか否かを決めるためのロジックを必ず含むということを含意するとは一般に意図されていない。
【0079】
句「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」又は「X、Y又はZのうちの少なくとも1つ」等の接続的語句は、特段の記載がないかぎり、項目、項等がX、Y若しくはZのいずれか、又はこれらの組み合わせであってもよいことを伝えるために一般に使用される文脈で理解されるべきである。例えば、用語「又は、若しくは」は、例えば一覧の要素を接続するために使用される場合、用語「又は、若しくは」は、その一覧の中の要素のうちの1つ、いくつか、又はすべてを意味するように、その包含的な意味で(そしてその排他的な意味ではなくて)用いられる。従って、このような接続語句は、特定の実施形態がXのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZのうちの少なくとも1つが各々存在することを要求することを含意するということは一般に意図されていない。
【0080】
さらには、明細書中及び請求項中の用語、第1、第2、第3等は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも順序又は時系列的な順番を記載するために使用されるわけではない。上記用語は、適切な状況下では相互に交換可能であり、本開示の実施形態は、本明細書に記載又は説明されたものとは別の順序で機能することができる。
【0081】
さらに、明細書中及び請求項中の用語、頂部(top)、底部(bottom)、上方(over)、下方(under)等は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的位置を記載するために使用されているわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下では相互に交換可能であり、本明細書に記載される開示の実施形態は、本明細書に記載又は説明されたものとは別の配向で機能することができる。
【0082】
用語「a」は、本明細書で使用する場合、排除的な解釈ではなく包含的な解釈が与えられるべきである。例えば、特段の記載がないかぎり、用語「a」は、「まさに1つ」又は「1つであって1つのみ」を意味すると理解されるべきではない。そうではなく、用語「a」は、請求項で使われるか又は明細書中の別の箇所で使われるかによらず、そして請求項中又は明細書中の別の箇所での「少なくとも1つの」、「1以上の」又は「複数の」等の限量詞の使用とは関係なく、「1以上の」又は「少なくとも1つの」を意味する。
【0083】
用語「comprising(…を含む、備える)」は、本明細書で使用する場合、排除的な解釈ではなく包含的な解釈が与えられるべきである。例えば、1以上のプロセッサを備える汎用コンピュータは、他のコンピュータ構成要素を排除すると解釈されるべきではなく、場合によってはとりわけメモリ、入/出力装置及び/又はネットワークインターフェース等の構成要素を備えてもよい。
【0084】
上記の詳細な説明は、種々の実施形態に適用される新規な特徴を示し、説明し、指摘したが、本開示の趣旨から逸脱せずに、説明されたデバイス又はプロセスの形態及び細部における種々の省略、置き換え及び変更が加えられてもよいことが理解されてもよい。認識されうるとおり、本明細書に記載される開示された技術の特定の実施形態は、本明細書中に示された特徴及び恩恵のすべてを提供するわけではない形態の範囲内で具体化されてもよい。というのも、いくつかの特徴は他のものとは別個に使用又は実施されてもよいからである。本明細書に開示される技術の特定の態様の範囲は、上記の明細書によるのではなく添付の特許請求の範囲によって示される。請求項の均等の意味及び範囲に含まれるすべての変更は請求項の範囲内に包含されることになる。
【符号の説明】
【0085】
100 化学機械平坦化(CMP)システム
102 支持部
104 アーム
106 キャリアヘッド
205 膜アセンブリ
210 支持板
220 弾性膜
230 膜クランプ
240 外側圧力リング
250 空気チャネル
260 空洞
270 ウェハ
280 支持基盤
300 化学機械平坦化(CMP)システム
302 支持部
304 第1リンク
306 第2リンク
308 キャリアヘッド
400 CMPシステム
402、404 支持部
406、408 アーム
410、412 キャリアヘッド
414 プラテン
416 中心
500 CMP装置
510 制御装置
520 第1CMPシステム
530 第2CMPシステム