(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】遊具システム
(51)【国際特許分類】
A63G 31/00 20060101AFI20220627BHJP
A63B 5/00 20060101ALI20220627BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A63G31/00
A63B5/00 Z
G03B21/00 D
(21)【出願番号】P 2020110047
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2022-01-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501041894
【氏名又は名称】チームラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100220696
【氏名又は名称】廣瀬 一郎
(72)【発明者】
【氏名】猪子 寿之
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/069219(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0335930(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2018-0112656(KR,A)
【文献】特開2009-261532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
A63F 9/24
A63F13/00-13/98
A63G 1/00-33/00
G03B21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に敷設された弾性変形する複数の跳ね部材と、
前記複数の跳ね部材に対して映像光を投影するプロジェクタと、
ユーザによって前記跳ね部材が踏まれたことを検出するための踏込みセンサを備え、
前記踏込みセンサは、前記複数の跳ね部材の上方に検査光を射出して、当該検査光に触れた物体の位置を検出する平面センサであり、
前記平面センサによって前記跳ね部材の上方において前記物体が検出されたとき、当該跳ね部材が踏まれたと判断する
遊具システム。
【請求項2】
制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記踏込みセンサからのセンシング情報に基づいて、ユーザによって踏まれた前記跳ね部材及びその近くに位置する他の前記跳ね部材の両方又は少なくともいずれか一方に投影される映像光が変化するように、前記プロジェクタを制御する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の跳ね部材が設置された空間内を移動するユーザの位置を追跡するための追跡センサをさらに備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
床面上に敷設された弾性変形する複数の跳ね部材と、
前記複数の跳ね部材に対して映像光を投影するプロジェクタと、
ユーザによって前記跳ね部材が踏まれたことを検出するための踏込みセンサと、
前記複数の跳ね部材が設置された空間内を移動するユーザの位置を追跡するための追跡センサと、
制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記踏込みセンサ及び前記追跡センサからのセンシング情報に基づいて、特定のユーザによって踏まれた前記跳ね部材に関する情報を記憶し、
前記特定のユーザによって踏まれた前記跳ね部材の順序に応じて、前記プロジェクタから投射される映像光を制御する
遊具システム。
【請求項5】
前記床面上には、前記複数の跳ね部材の間の間隙を埋めるように緩衝部材がさらに敷設されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記跳ね部材は、弾性材料で形成された略半球形状又は略全球形状のドーム部を有し、
前記ドーム部の内部には、空気が充填されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記跳ね部材の投影面は、映像光を拡散反射する表面処理が施されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
床面上に敷設された弾性変形する複数の跳ね部材と、
前記複数の跳ね部材に対して映像光を投影するプロジェクタを備え、
前記複数の跳ね部材は、前記床面上に規則的に並べられており、
前記複数の跳ね部材は、複数のグループに分けられ、
前記プロジェクタは、同じグループに属する前記跳ね部材には色又は模様が共通する映像光を投影し、別のグループの前記跳ね部材には色又は模様が異なる映像光を投影する
遊具システム。
【請求項9】
床面上に敷設された弾性変形する複数の跳ね部材と、
床面上の前記跳ね部材に対して映像光を投影するプロジェクタと、
壁面に設置された弾性変形する複数の跳ね部材と、
壁面の前記跳ね部材に対して映像光を投影するプロジェクタを備える
遊具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等に設置された複数の跳ね部材に映像光を投影する遊具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋内又は屋外に設置された遊具にプロジェクションマッピングを行うアスレチック施設が知られている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアスレチック施設は、既存の遊具にプロジェクションマッピングを行うものに過ぎず、ユーザに与える体験としては斬新さに欠けるものであった。
【0005】
そこで、本発明は、より斬新でユーザの興味を惹き付けることのできる遊具システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遊具システムに関する。本発明に係る遊具システムは、床面上に敷設された弾性変形する複数の跳ね部材と、複数の跳ね部材に対して映像光を投影するプロジェクタを備える。跳ね部材は、弾性材料で形成された半球形状または全球形状の部位を有することが好ましい。本発明の遊具システムは、基本的に、映像光が投影された複数の跳ね部材の上を、ユーザが歩き渡るという遊び方を想定している。これより、ユーザに対して斬新な体験を提供することができる。また、ユーザのバランス感覚を養うことができる。
【0007】
本発明に係る遊具システムは、ユーザによって跳ね部材が踏まれたことを検出するための踏込みセンサをさらに備えることが好ましい。踏込センサの例は、複数の跳ね部材の上方に検査光を射出して、当該検査光に触れた物体の位置を検出する平面センサ(光学センサ)である。この場合、本システムは、平面センサによって跳ね部材の上方において物体が検出されたとき、当該跳ね部材が踏まれたと判断することとすればよい。その他、踏込センサとしては、跳ね部材内に収納されたセンサを用いることもできる。例えば、跳ね部材内に感圧センサや振動センサを収納することによっても、ユーザによって跳ね部材が踏まれたことを検出できる。
【0008】
本発明に係る遊具システムは、制御装置をさらに備える。制御装置は、踏込センサからのセンシング情報に基づいて、ユーザによって踏まれた跳ね部材及びその近くに位置する他の跳ね部材の両方又は少なくともいずれか一方に投影される映像光が変化するように、プロジェクタを制御する。例えば、ユーザによって踏まれた跳ね部材に投影される映像光の色や模様を変化させることができる。また、ある跳ね部材に投影される映像光によってその跳ね部材が回転したり動いたりしている映像表現を行っている状況において、その跳ね部材の近くに位置する他の跳ね部材がユーザによって踏まれたときに、その跳ね部材に投影されている映像を停止させて、あたかもその跳ね部材の回転や動きがとまったかのように表現してもよい。これにより、ユーザは、跳ね部材から次の跳ね部材へと飛び移りやすくなる。
【0009】
本発明に係る遊具システムは、複数の跳ね部材の上を移動するユーザの位置を追跡するための追跡センサをさらに備えることが好ましい。追跡センサを用いることで、特定のユーザがどのように跳ね部材が敷設された空間を移動しているのかを把握することができる。
【0010】
本発明に係る遊具システムにおいて、制御装置は、踏込センサ及び追跡センサからのセンシング情報に基づいて、特定のユーザによって踏まれた跳ね部材に関する情報を記憶し、特定のユーザによって踏まれた跳ね部材の順序に応じて、プロジェクタから投射される映像光を制御することが好ましい。例えば、ある特定のユーザが、予め規定された順序に従って複数の跳ね部材上を踏破したときに、課題の達成を知らせるような映像をプロジェクタによって映し出すことができる。これにより、ユーザに対して、自由に跳ね部材上を歩き回るという遊び方だけでなく、課題達成を目標として予め指定された順序で跳ね部材上を歩くという遊び方を提案することができる。
【0011】
本発明に係る遊具システムにおいて、床面上には、複数の跳ね部材の間の間隙を埋めるように緩衝部材(クッション)がさらに敷設されていることが好ましい。これにより、跳ね部材の横ずれを防止するとともに、跳ね部材上からユーザが落下した場合に備えて、ユーザの安全性を提供することができる。
【0012】
本発明に係る遊具システムにおいて、跳ね部材は、弾性材料で形成された略半球形状又は略全球形状のドーム部を有し、ドーム部の内部には、空気が充填されていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る遊具システムにおいて、跳ね部材の投影面(前述したドーム部の表面)は、映像光を拡散反射する表面処理が施されていることが好ましい。これより、跳ね部材表面において映像光の反射を抑制し、より効果的な映像演出を行うことができる。
請求項1に記載のシステム。
【0014】
本発明に係る遊具システムにおいて、複数の跳ね部材は、床面上に規則的に並べられていることが好ましい。より具体的には、跳ね部材は縦横方向に等間隔で並べられ、床面上に敷き詰められていることが好ましい。なお、跳ね部材が「敷き詰められている」状態とは、同じサイズのある跳ね部材と他の跳ね部材との間に、別の同じサイズの跳ね部材が設置可能な程度の隙間が生じていない状態を意味する。この場合、複数の跳ね部材は、複数のグループに分けられる。そして、プロジェクタは、同じグループに属する跳ね部材には色又は模様が共通する映像光を投影し、別のグループの跳ね部材には色又は模様が異なる映像光を投影する。色又は模様が共通する映像光とは、完全に同一の映像光だけでなく、同じグループに属するものであることがユーザにとって当然に理解できる程度に同一視される映像光が含まれる。このように、規則的に並べたられた跳ね部材を複数のグループに分けて、それぞれのグループに異なる映像光を投影する。これにより、例えば、同じグループの跳ね部材上のみを歩き渡るように促すなど、ユーザに遊具の遊び方を自然と理解させることができる。
【0015】
本発明に係る遊具システムは、壁面に設置された弾性変形する複数の跳ね部材と、壁面の複数の跳ね部材に対して映像光を投影するプロジェクタをさらに備えることとしてもよい。このように、床面だけでなく壁面にも跳ね部材を設置することで、多数の跳ね部材に囲まれた空間を構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より斬新でユーザの興味を惹き付けることのできる遊具システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係る遊具システムの一実施例を示した写真である。
【
図2】
図2は、遊具システムに含まれる装置の配置例を模式的に示している。
【
図3】
図3は、遊具システムに含まれる装置を示したブロック図である。
【
図4】
図4は、跳ね部材に対する映像光の投影方法の一例を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0019】
図1は、本発明に係る遊具システムの一実施例を示している。
図1に示されるように、床面、壁面、天井面で構成された屋内空間のうち、床面と壁面には複数の半球形状の跳ね部材10が規則的に敷き詰められている。各跳ね部材10は、人一人が乗ることができる程度の大きさである。跳ね部材10は、塩化ビニル樹脂やシリコーン等の弾性を有する合成樹脂材料で形成されている。跳ね部材10は、ユーザにより踏み込まれると弾性変形し、踏込みが終わると元の形状に戻る。このため、跳ね部材10上では、ユーザは、トランポリンやバランスボールなどのように飛び跳ねて遊ぶことができる。
【0020】
各跳ね部材10の表面には、プロジェクタ(
図1では不図示)により、映像光が投影され、様々な色や模様が映し出されている。
図1に示した例では、各ユーザは、複数の跳ね部材10上を歩き渡って、図面手前のスタート地点から図面奥側のゴール地点に到達することを目指している。複数の跳ね部材10は、色又は模様によってグループ分けされている。一つのグループによって、スタート地点からゴール地点までのルートが形成されており、各ルートは難易度に応じて跳ね部材10の配置が異なる。ユーザは、同じグループに属する跳ね部材10上のみを渡ってスタート地点からゴール地点まで到達するという遊びを行うことができる。そして、同じグループに属する跳ね部材10のみを渡ってゴールまで辿り着けた場合、課題の達成を祝福するような映像がプロジェクタによって投影されることとなる。
【0021】
また、跳ね部材10には、高速に回転しながら蠢いているような映像光が投影されている。ユーザが跳ね部材10に近づくと、回転する映像光は止まり、視覚的に跳ね部材10が踏みやすくなる。ユーザの位置は、例えば空間内に設置された追跡センサ(例えばTOFセンサ)や踏込みセンサ(例えばレーザレンジセンサ)により検出される。また、ユーザによって踏み込まれた跳ね部材10は色や模様が変化し、ユーザによって踏み込まれたことが一目でわかるようになっている。また、踏み込み終えてから所定時間が経過する、各跳ね部材10の色や模様は元に戻る。
【0022】
図2は、遊具システム100を構成する各装置の配置例を示している。また、
図3は、遊具システム100を構成する各装置のブロック図である。
図2及び
図3に示されるように、遊具システム100は、複数の跳ね部材10、プロジェクタ20、踏込みセンサ30、追跡センサ40、スピーカ50、及び制御装置60を含む。
【0023】
跳ね部材10は、前述したとおり、床面に設置される。また、
図2では図示を省略しているが、跳ね部材10は、
図1に表したように、壁面に設置することも可能である。跳ね部材10は、塩化ビニル樹脂やシリコーンなどの弾性素材で形成された半球形状のドーム部11と、このドーム部11を床面(又は壁面)に固定するための支持部12を含む。ドーム部11の内部は中空となっており、空気が充填されている。このため、ドーム部11は、ユーザによって踏み込まれることで弾性変形する。また、ドーム部11の表面には、プロジェクタ20によって照射された映像光が投影される。ドーム11の表面は、映像光を拡散反射する表面処理がなされており、マットな質感となっていることが好ましい。これにより、映像光がドーム部11表面において反射することを抑制されるため、映像光がドーム部11表面に綺麗に映り込むようになる。
【0024】
また、
図2に示されるように、跳ね部材10のドーム部11の直径φは、300~800mmであることが好ましく、400~700mm又は500~600mmであることが特に好ましい。また、跳ね部材10の床面から頂点までの高さhは、100~500mmであることが好ましく、150~400mm又は200~300mmであることが特に好ましい。
【0025】
また、跳ね部材10同士の間には隙間が設けられているが、この隙間を埋めるように緩衝部材13(クッション)が配置されていることが好ましい。緩衝部材13は、ユーザが跳ね部材10から落下したり足を踏み外したときに、そのユーザの安全を確保する目的で設置される。緩衝部材13の厚みは、跳ね部材10の高さhの半分以下とするとよい。
【0026】
プロジェクタ20は、跳ね部材10の上方に設置され、跳ね部材10(特にドーム部11)の表面に所定の映像光を投影する。プロジェクタ20は、天井面に設けることが好ましいが、壁面に設けることとしてもよい。また、床面全体に敷き詰められた跳ね部材10に対して映像光を投影するには、複数台のプロジェクタ20を用いるとよい。プロジェクタ20は、一台で複数の跳ね部材10に対して映像光を投影することができる。また、1つの跳ね部材10に対しては、複数台のプロジェクタ20によって映像光が投影されること好ましい。つまり、各プロジェクタ20の映像光の投影範囲は、他のプロジェクタ20の映像光の投影範囲と重畳させるとよい。このように、1つの跳ね部材10に対して複数のプロジェクタ20によって複数方向から映像光を投影することで、ユーザの影によって跳ね部材10に映像光が映らなくなる領域を少なくすることができる。
【0027】
踏込みセンサ30は、主にユーザによって跳ね部材10が踏み込まれたことを検出するためのセンサである。踏込みセンサ30としては、例えばレーザーレンジセンサなどの光学式の平面センサを用いることができる。レーザーレンジセンサは、複数の跳ね部材10の上方に検査光を射出して、当該検査光に触れた物体の位置を検出する。跳ね部材10の頂点から検査光までの距離は、10~200mm程度とすることが好ましく、特に100mm以下又は80mm以下とすることが好ましい。レーザーレンジセンサの検査光に物体(主にユーザの足)が触れた位置が、跳ね部材10の直上であれば、その物体を検出したときに跳ね部材10が踏み込まれたと判断することができる。また、レーザーレンジセンサを用いれば、ユーザの足を検出できるため、現在ユーザがどの位置に立っているかを特定できる。なお、踏込みセンサとしては、レーザーレンジセンサに代えて、跳ね部材10内部に設けられた振動センサや感圧センサを採用することもできる。
【0028】
追跡センサ40は、主に複数の跳ね部材10が設置された空間においてユーザの位置の移動を追跡するためのセンサである。追跡センサとしては、例えばTOF(Time of Flight)センサを採用することができる。TOFセンサは、例えば赤外線などの不可視の検査光を対象物体(ユーザ)に向けて照射する光源と、対象物で反射した検査光を受光するイメージセンサを備えており、パルス変調した検査光を画角内に照射し、イメージセンサでこのパルスの位相遅れを計測することで対象物までの往復の距離を求める。これにより、空間におけるユーザの位置を特定できる。また、定期的にユーザの位置を特定することで、空間内を移動するユーザを追跡することができる。追跡センサ40は、ユーザの位置を効率的に特定できるように、例えば壁面の上方や天井面など、ユーザが移動する空間の上方に設置しておけばよい。
【0029】
スピーカ50は、効果音やBGMを出力する。スピーカ50から出力される音は、プロジェクタ20による映像光と連動したものであることが好ましい。
【0030】
制御装置60は、プロジェクタ20、踏込みセンサ30、追跡センサ40、及びスピーカ50にバスなどを介して接続されており、これら各種装置の挙動を制御する。制御部60としては、汎用的なコンピュータを用いることができる。制御装置60は、本発明に係る遊具システム100全体を制御するための所定のプログラムを記憶しており、このプログラムに従って各種装置の制御を行う。
【0031】
例えば、制御装置60は、プロジェクタ20に対して映像光のデータを提供するとともに、このプロジェクタ20を制御して、床面又は壁面に設置された跳ね部材10に対して特定の映像光を投影させる。踏込みセンサ30によって特定の跳ね部材10の踏込みが検出されると、制御装置60は、そのセンシング情報に基づいてプロジェクタ20を制御して、踏み込まれた特定の跳ね部材10に投影する映像光を変化させる。また、その際に、制御装置60は、踏み込まれた特定の跳ね部材10に対応した効果音やBGMをスピーカ50から出力してもよい。
【0032】
また、追跡センサ40によってユーザが検出されると、制御装置60は、そのユーザに対して暫定的な識別情報(ID)を割り当てて、そのユーザの移動を追跡する。そして、制御装置60は、その追跡しているユーザのIDに関連付けて、そのユーザが踏み込んだ跳ね部材10の識別情報(ID)を少なくとも一時的に蓄積していく。このとき、制御装置60は、踏込みセンサ30と追跡センサ40によるセンシング情報を利用して、追跡センサ40によって追跡されているユーザが、どの跳ね部材10を踏み込んだかを特定すればよい。これにより、追跡中のユーザが踏み込んだ跳ね部材10とその順序を把握することができる。そして、制御装置60は、追跡中のユーザが踏み込んだ跳ね部材10の順序が、予め規定された所定の順序と合致する場合に、プロジェクタ20から照射される映像光を変化させたり、所定の演出に関わる映像光を照射することができる。また、その際に、スピーカから効果音やBGMを出力することもできる。これにより、ユーザに対して、所定の順序で跳ね部材10上を移動するモチベーションを与えることができる。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態に係る遊具システム100の遊び方の一例を示している。
図4(a)に示されるように、床面には、同じサイズ(直径及び高さ)の多数の跳ね部材10が、等間隔で規則的に敷き詰められている。また、床面にはスタート地点とゴール地点があり、スタート地点からゴール地点まで跳ね部材10が敷設されている。また、多数の跳ね部材10は、複数のグループ(図示した例では9グループ)に分けられており、グループごとに色分け又は模様分けされている。すなわち、同じグループに属する跳ね部材10には、共通する色又は模様の映像光が投影され、別のグループの跳ね部材10は色又は模様が異なっている。そして、あるグループに属する跳ね部材10の上を歩き渡れば、スタート地点からゴール地点まで辿り着くことができるように、多数の跳ね部材10はグループ分けされている。このため、各グループは、スタート地点からゴール地点まで続くレーンであると捉えることもできる。
【0034】
次に、
図4(b)は、多数の跳ね部材10のうち、便宜的に、一つのグループに属する跳ね部材10を抽出して示している。多数の跳ね部材10は、グループごとに色分け又は模様分けされているため、ユーザは、スタート地点からゴール地点に向かうにあたり、最初に踏み込む跳ね部材10を決めると、次はそれと同じグループに属する跳ね部材10へと移動するように誘導される。本発明のシステム100は、追跡センサ40によってユーザを追跡し、踏込みセンサ30によりその追跡中のユーザが踏み込んだ跳ね部材10を特定し、その踏込み順序を記憶する。
図4(b)に示されるように、一度、ユーザによって踏み込まれた跳ね部材10は、投影される映像光が変化して、すでに踏んだことが一見してわかるようになる。このため、ユーザは、システム100の誘導に従って、同じグループ(レーン)に属する跳ね部材10上を渡ってゴール地点を目指すことができる。そして、システム100は、同じグループに属する跳ね部材10が、ユーザによって所定個数以上又は全て踏み込まれたことを検出すると、プロジェクタ20やスピーカ50を制御して、そのユーザを祝福するための映像演出や音響演出を行う。また、システム100は、ユーザが、同じグループに属する跳ね部材10のみの上を歩き渡って(すなわち他のグループの跳ね部材10を踏み込むことなく)スタート地点からゴール地点に到達したときに、同様に、プロジェクタ20やスピーカ50を制御して、そのユーザを祝福するための映像演出や音響演出を行うこととしてもよい。
【0035】
これにより、ユーザに対して、特にルールを教えなくても、上記のようなゲームを楽しませることができる。また、跳ね部材10が敷設された空間に複数のユーザがいる場合、複数のグループ(レーン)を用意しておくことで、ゲーム中にユーザ同士がぶつかって怪我をするなどの事故を抑制することができる。つまり、映像光によってユーザが次に踏むべき跳ね部材10を誘導することで、各ユーザの進むルートを安全にコントロールすることができる。また、ユーザは、同じグループ(レーン)の跳ね部材10を踏破してゴール地へと点辿いたときに所定の映像演出を見ることができるため、達成感を得ることができる。
【0036】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、床面等に設置された複数の跳ね部材に映像光を投影する遊具システムに関する。本発明は、エンターテインメント産業などにおいて好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10…跳ね部材 11…ドーム部
12…支持部 13…緩衝部材
20…プロジェクタ 30…踏込みセンサ
40…追跡センサ 50…スピーカ
60…制御装置 100…遊具システム