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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220627BHJP
   H05H 1/00 20060101ALI20220627BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H05H1/00 A
H05H1/46 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020117323
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2021044539
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2019163822
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】東野 秀史
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-024764(JP,A)
【文献】特開2015-114313(JP,A)
【文献】特開平03-145127(JP,A)
【文献】特開昭61-152017(JP,A)
【文献】特開2016-127087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/00
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、
前記チャンバの内部にガスを供給可能なガス供給部と、
前記チャンバの内部に設けられ、処理物が載置可能な載置部と、
前記チャンバの内部を減圧可能な減圧部と、
前記チャンバに設けられ、前記載置部と対向する窓と、
前記チャンバの外部であって、前記窓の、前記載置部側とは反対側の面に設けられ、前記チャンバの内部にプラズマを発生可能なプラズマ発生部と、
前記窓の内部に局所的に設けられ、前記チャンバの中心軸に対して傾いた面を有する光路変更部と、
前記窓の側面側に設けられ、前記光路変更部の前記面と向き合う検出部と、
を備え、
前記検出部は、前記光路変更部の前記面を介して前記処理物の表面に光を照射し、前記処理物の表面で反射され、前記光路変更部の前記面でさらに反射された光が入射可能であり、前記検出部は、干渉光からプラズマ処理の終点検出を行うプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記光路変更部の前記面は、平坦な面であり、前記面と前記チャンバの中心軸との間の角度は、45°である請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記検出部から前記面に向かう光の、前記面への入射角は45°であり、反射角は45°である請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記光路変更部は、前記窓の、前記載置部側とは反対側の面に開口する凹部である請求項1~3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記光路変更部にかかる荷重は、前記窓の許容荷重の5.0%以下である請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記窓の側面の、前記検出部と対向する部分には平坦面が設けられ、
前記平坦面と、前記検出部と、の間に設けられた導光部をさらに備えた請求項1~5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記導光部は、複数の光ファイバを有し、
前記検出部は、複数の分光器を有し、
1つの前記光ファイバが、1つの前記分光器に接続されている請求項6記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記チャンバの内部空間に前記載置部を支持する支持部をさらに備え、
前記支持部は、
前記載置部が設けられる取付部と、
前記チャンバの内部を延び、一端が前記取付部と接続され、前記チャンバの外部の空間と繋がった空間を内部に有する梁と、
を有し、
前記梁の前記載置部側の側部の肉厚をt1とし、前記梁の前記載置部側とは反対側の側部の肉厚をt2とした場合に、以下の式を満足する請求項2~7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
t1>t2
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライエッチングなどに用いられるプラズマ処理装置には、処理物の状態を検出する検出部が設けられている。例えば、プラズマ処理の終点検出においては、処理物の表面に照射された光の散乱強度の変化に基づいて処理の終点を検出している。また、プラズマ処理の終点検出においては、プラズマの発光スペクトルの変化に基づいて処理の終点を検出する場合もある。また、プラズマ処理の終点検出においては、処理物の、処理が行われる領域における反射光または透過光に基づいて処理の終点を検出する場合もある。すなわち、一般的には、プラズマ処理の終点は、プラズマ処理の最中に生じる光学的な変化に基づいて検出している。
【0003】
ここで、チャンバの側面に設けられた検出窓(透過窓)と、チャンバの外部に設けられ、検出窓を介して、プラズマの発光を検出する検出部と、備えたプラズマ処理装置が提案されている。また、板状を呈し、チャンバの天井に設けられた窓と、チャンバの内部から窓に入射し、窓の内部を伝搬して、窓の側面から放射される光を検出する検出部と、備えたプラズマ処理装置が提案されている。これらの検出部は、例えば、プラズマが発生した領域全体のような広い範囲における発光を検出している。この場合、検出部に入射する光の強度は、広い範囲における光の強度の平均値となるので、処理物の表面の僅かな変化を検出するのが困難となる。
【0004】
近年においては、処理部分の微細化が進み、例えば、形成される凹凸や孔などの開口率が1%以下となる場合もある。この様な場合には、除去される物質の量が少なくなるため、光の変化量が微小となる。そのため、広い範囲における発光を検出すると、処理物の表面の僅かな変化を検出するのがさらに困難となる。
【0005】
この場合、狭い領域における光の変化が検出できれば、微細な処理であっても処理の終点を精度良く検出することができ、ひいては、微細な処理を精度良く行うことが可能となる。
そこで、狭い領域における光の変化を検出することができるプラズマ処理装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-66935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、狭い領域における光の変化を検出することができるプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るプラズマ処理装置は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、前記チャンバの内部にガスを供給可能なガス供給部と、前記チャンバの内部に設けられ、処理物が載置可能な載置部と、前記チャンバの内部を減圧可能な減圧部と、前記チャンバに設けられ、前記載置部と対向する窓と、前記チャンバの外部であって、前記窓の、前記載置部側とは反対側の面に設けられ、前記チャンバの内部にプラズマを発生可能なプラズマ発生部と、前記窓の内部に局所的に設けられ、前記チャンバの中心軸に対して傾いた面を有する光路変更部と、前記窓の側面側に設けられ、前記光路変更部の前記面と向き合う検出部と、を備えている。検出部は、前記光路変更部の前記面を介して前記処理物の表面に光を照射し、前記処理物の表面で反射され、前記光路変更部の前記面でさらに反射された光が入射可能である。検出部は、干渉光からプラズマ処理の終点検出を行う。

【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、狭い領域における光の変化を検出することができるプラズマ処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図2】載置モジュールを例示するための模式斜視図である。
図3】光路変更部を例示するための模式断面図である。
図4】(a)、(b)は、光路変更部の変形例を例示するための模式断面図である。
図5】光路変更部の他の変形例を例示するための模式断面図である。
図6】窓の側面に設けられた平坦面を例示するための模式平面図である。
図7】(a)、(b)は、他の実施形態に係る光路変更部を例示するための模式断面図である。
図8】他の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1を例示するための模式断面図である。 図2は、載置モジュール3を例示するための模式斜視図である。
図1に示すように、プラズマ処理装置1には、チャンバ2、載置モジュール3、電源部4、電源部5、減圧部6、ガス供給部7、処理状態検出部8、および制御部9を設けることができる。
【0012】
チャンバ2は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有することができる。
チャンバ2は、本体部21、天板22、および窓23を有することができる。
本体部21は、略円筒形状を呈し、一方の端部に底板21aが一体に設けられている。本体部21の他方の端部は開口している。本体部21は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。また、本体部21は、接地することができる。本体部21の内部には、プラズマPが発生する領域21bが設けられている。本体部21には、処理物100を搬入搬出するための搬入搬出口21cを設けることができる。搬入搬出口21cは、ゲートバルブ21c1により気密に閉鎖することができる。
【0013】
処理物100は、例えば、フォトマスク、マスクブランク、ウェーハ、ガラス基板などとすることができる。ただし、処理物100は、例示をしたものに限定されるわけではない。
【0014】
天板22は、板状を呈し、本体部21の開口を塞ぐように設けることができる。天板22は、底板21aと対向させて設けることができる。天板22の中央領域には、厚み方向を貫通する孔22aを設けることができる。孔22aの中心は、チャンバ2(本体部21)の中心軸2a上に設けることができる。孔22aは、後述の電極51から放射された電磁波を透過させるために設けることができる。天板22は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0015】
窓23は、板状を呈し、天板22に設けることができる。窓23は、孔22aを塞ぐように設けることができる。すなわち、窓23は、チャンバ2に設けられ、載置部31と対向している。窓23は、光と電磁場を透過させることができ、且つ、エッチング処理を行った際にエッチングされにくい材料から形成することができる。窓23は、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0016】
図1および図2に示すように、載置モジュール3は、載置部31、支持部32、およびカバー33を有することができる。載置モジュール3は、チャンバ2(本体部21)の側面からチャンバ2(本体部21)の内部に突出し、先端側に載置部31が設けられる片持ち構造を有することができる。処理物100は、載置部31に載置することができる。載置部31は、プラズマPが発生する領域21bの下方に位置している。
【0017】
載置部31は、電極31a、絶縁リング31b、および台座31cを有することができる。
電極31aは、金属などの導電性材料から形成することができる。電極31aの上面は、処理物100を載置するための載置面とすることができる。電極31aは、例えば、台座31cにネジ止めすることができる。また、電極31aには、ピックアップピン31a1(図2参照)、および温度制御部などを内蔵させることができる。ピックアップピン31a1は、複数設けることができる。
【0018】
複数のピックアップピン31a1は、棒状を呈し、電極31aの上面から突出可能に設けることができる。複数のピックアップピン31a1は、処理物100の受け渡しを行う際に用いることができる。そのため、複数のピックアップピン31a1は、図示しない駆動部により、電極31aの上面からの突出と、電極31aの内部への引き込みが行えるようになっている。複数のピックアップピン31a1の数や配置は、処理物100の大きさや平面形状などに応じて適宜変更することができる。
【0019】
温度制御部は、例えば、冷媒の循環ライン(流路)やヒータなどとすることができる。温度制御部は、例えば、図示しない温度センサからの出力に基づいて、電極31aの温度、ひいては電極31aに載置された処理物100の温度を制御することができる。
【0020】
絶縁リング31bは、リング状を呈し、電極31aの側面を覆うことができる。絶縁リング31bは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
台座31cは、電極31aと、支持部32の取付部32aとの間に設けることができる。台座31cは、電極31aと、支持部32の間を絶縁するために設けることができる。台座31cは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。台座31cは、例えば、支持部32の取付部32aにネジ止めすることができる。
【0021】
支持部32は、チャンバ2の内部空間において載置部31を支持することができる。支持部32は、チャンバ2の側面と、載置部31の下方との間を延びるものとすることができる。
支持部32は、取付部32a、梁32b、およびフランジ32cを有することができる。取付部32a、梁32b、およびフランジ32cは、例えば、アルミニウム合金などから形成することができる。
【0022】
取付部32aは、チャンバ2の内部空間において、載置部31の下方に位置することができる。取付部32aの中心が、チャンバ2の中心軸2a上に位置するように、取付部32aを設けることができる。取付部32aは、筒状を呈し、載置部31側の端面には孔32a1を設けることができる。載置部31側とは反対側の端面には孔32a2を設けることができる。ブスバー42cや冷媒用の配管などは、孔32a1を介して電極31aに接続することができる。
【0023】
孔32a2は、ブスバー42cや冷媒用の配管などを接続したり、電極31aのメンテナンスを行ったりする際に用いることができる。取付部32aの載置部31側の端面には、載置部31(台座31c)を設けることができる。そのため、取付部32aの平面形状は、載置部31の平面形状と同じとすることができる。取付部32aの平面寸法は、載置部31の平面寸法と同程度か若干大きくすることができる。
【0024】
梁32bの一方の端部は、取付部32aの側面に接続することができる。梁32bの他方の端部は、フランジ32cと接続することができる。梁32bは、チャンバ2の内部空間を、チャンバ2の側面からチャンバ2の中心軸2aに向けて延びるものとすることができる。梁32bは、角筒状を呈するものとすることができる。梁32bの内部空間は、フランジ32cに設けられた孔32c1を介して、チャンバ2の外部の空間(大気空間)と繋げることができる。そのため、ブスバー42cは大気空間に接することができる。梁32bの内部空間がチャンバ2の外部の空間と繋がっていれば、梁32bの内部空間の圧力が、チャンバ2の外部の空間の圧力(例えば、大気圧)と同じになる。また、梁32bの内部空間は、取付部32aの内部空間と繋げることができる。この場合、支持部32の内部空間の圧力が、チャンバ2の外部の空間の圧力(例えば、大気圧)と同じになる。
【0025】
フランジ32cは、板状を呈し、厚み方向を貫通する孔32c1を有することができる。フランジ32cは、チャンバ2の外側壁に取り付けることができ、例えば、チャンバ2の外側壁にネジ止めすることができる。
【0026】
チャンバ2の側面には、孔2bを設けることができる。孔2bは、取付部32aに取り付けられた載置部31が通過可能な大きさと形状を有することができる。そのため、孔2bを介して、載置部31が設けられた載置モジュール3をチャンバ2から取り外したり、載置部31が設けられた載置モジュール3をチャンバ2に取り付けたりすることができる。
【0027】
すなわち、孔2bを介して、載置部31が設けられた取付部32aおよび梁32bを、チャンバ2の内部に搬入することおよびチャンバ2の外部に搬出することが可能となっている。なお、載置モジュール3の取り付けと取り外しを容易にするために、チャンバ2の外側壁にスライダーを設けることもできる。
【0028】
カバー33は、取付部32aの、載置部31側とは反対側の端面に設けることができる。カバー33は、例えば、取付部32aにネジ止めすることができる。カバー33を取付部32aに取り付けることで、孔32a2が気密に閉鎖されるようにすることができる。カバー33の形状には特に限定がなく、ドーム状のカバー33としてもよいし、板状のカバー33としてもよい。カバー33は、例えば、アルミニウム合金などから形成することができる。
【0029】
ここで、片持ち構造を有する支持部32とすれば、チャンバ2の内部空間において、載置部31の下方に空間を設けることができるので、載置部31の直下に減圧部6を配置することが可能となる。載置部31の直下に減圧部6を配置することができれば、実効排気速度が大きく、且つ、偏りのない軸対称な排気を行うことが容易となる。また、片持ち構造を有する支持部32とすれば、水平方向から、載置部31が設けられた支持部32をチャンバ2から取り外したり、載置部31が設けられた支持部32をチャンバ2に取り付けたりすることができる。そのため、載置部31がチャンバ2の底面に固定されている場合に比べて、プラズマ処理装置のメンテナンスが容易となる。
【0030】
ところが、載置部31には金属製の電極31aが設けられている。また、載置部31には、ピックアップピン31a1やその駆動部、冷媒の循環ラインやヒータなどの温度制御部なども設けられている。そのため、載置部31の重量が重くなる。支持部32は片持ち構造を有しているため、先端側に設けられた載置部31の重量が重くなると荷重が偏り、載置部31を支える梁32bの先端が下方に撓むおそれがある。梁32bの先端が下方に撓むと、載置部31が傾くおそれがある。例えば、載置部31の重量は56~70kgf(重量キログラム)となる場合がある。この様な場合には、載置モジュール3の先端が0.2mm程度下方に下がる場合がある。
【0031】
載置部31には処理物100が載置されるため、処理物100が載置される載置面は少なくとも処理物100の主面の面積以上の面積が必要となる。そのため、載置部31の平面寸法が大きくなる。平面寸法が大きい載置部31が傾くと、チャンバ2内のガスの流れが乱れたり、プラズマ密度が不均一となったりして、処理特性が不均一となるおそれがある。
【0032】
この場合、載置部31の傾きを抑制するために、載置部31を支える梁32bの断面寸法を大きくすると、排気が妨げられて、実効排気速度が低下したり、偏りのない軸対称な排気が困難となったりするおそれがある。この場合、載置部31を支える梁32bを複数にすると、1つの梁32bの断面寸法は小さくできるので、実効排気速度の低下を抑制することができる。また、複数の梁32bの配置を工夫すれば、軸対称な排気を行うこともできる。しかしながら、梁32bを複数にすると、チャンバ2の側面に固定する部分の寸法が大きくなるので、支持部32の取り付け及び取り外しが困難となって、メンテナンス性が低下するおそれがある。
【0033】
そこで、本実施の形態に係る支持部32には、内部に空間を有する梁32bが設けられている。そして、前述したように、梁32bの内部空間がチャンバ2の外部の空間と繋がっている。すなわち、梁32bの内部空間の圧力が、チャンバ2の外部の空間の圧力(例えば、大気圧)と同じとなっている。また、梁32bの載置部31側の側部(上側の側部)の肉厚をt1とし、梁32bの載置部31側とは反対側の側部(下側の側部)の肉厚をt2とした場合に、「t1>t2」となっている。
【0034】
そのため、プラズマ処理を行う際には、梁32bの内部の圧力と、梁32bの外部の圧力との差に応じた等分布荷重が、梁32bの上側の側部と下側の側部に加わることになる。この場合、梁32bの上側の側部と下側の側部に加わる等分布荷重は等しくなる。そのため、「t1>t2」となっていれば、梁32bの上側の側部の撓み量が、梁32bの下側の側部の撓み量よりも大きくなる。その結果、梁32bの先端が上方に撓むようになるので、載置部31の重量による下方への撓みを、圧力差による上方への撓みで相殺することが可能となる。なお、肉厚t1、t2の具体的な寸法は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0035】
次に、図1に戻って、電源部4、電源部5、減圧部6、ガス供給部7、処理状態検出部8、および制御部9について説明する。
電源部4は、いわゆるバイアス制御用の高周波電源とすることができる。すなわち、電源部4は、載置部31上の処理物100に引き込むイオンのエネルギーを制御するために設けることができる。
【0036】
電源部4は、電源41および整合部42を有することができる。
電源41は、イオンを引き込むのに適した周波数(例えば、27MHz~1MHzの周波数)を有する高周波電力を出力することができる。
整合部42は、マッチング回路42a、ファン42b、およびブスバー42cを有することができる。
マッチング回路42aは、電源41側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるために設けることができる。マッチング回路42aは、ブスバー(配線部材)42cを介して、電源41と電極31aとに電気的に接続することができる。すなわち、電源41は、ブスバー42cを介して、載置部31に設けられた電極31aと電気的に接続することができる。
ファン42bは、支持部32の内部に空気を送ることができる。ファン42bは、支持部32の内部に設けられたブスバー42cやマッチング回路42aを冷却するために設けることができる。
【0037】
また、整合部42は、支持部32のフランジ32cに設けることができる。整合部42がフランジ32cに設けられていれば、載置モジュール3をチャンバ2(本体部21)から取り外したり、載置モジュール3をチャンバ2(本体部21)に取り付けたりする際に、載置モジュール3と整合部42を一体に移動させることができる。そのため、メンテナンス性の向上を図ることができる。
また、梁32bの内部空間は、整合部42を介して、チャンバ2(本体部21)の外部の空間と繋がっている。そのため、梁32bの内部空間の圧力は、チャンバ2の外部の空間の圧力(例えば、大気圧)と同じとすることができる。
【0038】
電源部5は、プラズマPを発生させるための高周波電源とすることができる。すなわち、電源部5は、チャンバ2の内部において高周波放電を生じさせてプラズマPを発生させるために設けることができる。
本実施の形態においては、電源部5が、チャンバ2の外部であって、窓23の、載置部31側とは反対側の面に設けられ、チャンバ2の内部にプラズマPを発生させるプラズマ発生部となる。
【0039】
電源部5は、電極51、電源52、マッチング回路53、およびファラデーシールド54を有することができる。
電極51は、チャンバ2の外部であって、窓23の上に設けることができる。電極51は、電磁場を発生させる複数の導体部と複数の容量部(コンデンサ)とを有したものとすることができる。
電源52は、100KHz~100MHz程度の周波数を有する高周波電力を出力することができる。この場合、電源52は、プラズマPの発生に適した周波数(例えば、13.56MHzの周波数)を有する高周波電力を出力することができる。また、電源52は、出力する高周波電力の周波数を変化させるものとすることもできる。
【0040】
マッチング回路53は、電源52側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるために設けることができる。マッチング回路53は、配線55を介して、電源52と電極51とに電気的に接続することができる。マッチング回路53は、ブスバーを介して、電源52と電極51とに電気的に接続することもできる。
【0041】
ファラデーシールド54は、窓23と電極51との間に設けることができる。ファラデーシールド54は、板状を呈し、金属などの導電性材料から形成することができる。ファラデーシールド54は、中心から放射状に延びる複数のスリットを有することができる。また、ファラデーシールド54の、電極51側の面には、絶縁材料を用いた絶縁膜を設けることができる。ファラデーシールド54の導電性材料から形成された部分は、接地することができる。
【0042】
なお、図1に例示をしたプラズマ処理装置1は、上部に誘導結合型電極を有し、下部に容量結合型電極を有する二周波プラズマ処理装置である。
ただし、プラズマの発生方法は例示をしたものに限定されるわけではない。
プラズマ処理装置1は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置や、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置などであってもよい。
【0043】
減圧部6は、載置部31の下方に位置し、チャンバ2の内部が所定の圧力となるように減圧することができる。
減圧部6は、ポンプ61、およびバルブ62を有することができる。
ポンプ61は、チャンバ2の外部に設けることができる。ポンプ61は、チャンバ2の底板21aに設けられた孔21a1に接続することができる。ポンプ61は、チャンバ2の内部にある気体を排気することができる。ポンプ61は、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。なお、バックポンプとして、ルーツ型ドライポンプをターボ分子ポンプに接続することもできる。
【0044】
バルブ62は、弁体62a、および駆動部62bを有することができる。
弁体62aは、板状を呈し、チャンバ2の内部に設けることができる。弁体62aは、孔21a1に対向させることができる。弁体62aの平面寸法は、吸気口61aの平面寸法よりも大きくすることができる。弁体62aを中心軸2a方向から見た場合に、弁体62aはポンプ61の吸気口61aを覆うことができる。
【0045】
駆動部62bは、チャンバ2(本体部21)の中心軸2a方向における弁体62aの位置を変化させることができる。すなわち、駆動部62bは、弁体62aを上昇させたり、弁体62aを下降させたりすることができる。駆動部62bは、弁体62aに接続された軸62a1と、軸62a1を移動させる制御モータ(例えば、サーボモータなど)を備えることができる。バルブ62は、いわゆるポペットバルブとすることができる。
【0046】
ここで、チャンバ2の内部において弁体62aの位置が変化すると、弁体62aとチャンバ2の底板21aとの間の距離が変化する。弁体62aとチャンバ2の底板21aとの間の空間は排気の流路となる。そのため、この部分の寸法を変化させるとコンダクタンスが変化するので、排気量や排気速度などを制御することができる。制御部9は、例えば、チャンバ2の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて駆動部62bを制御して、弁体62aの位置を変化させることができる。なお、真空計は、ダイヤフラム式のキャパシタンスマノメータなどとすることができる。
【0047】
ガス供給部7は、チャンバ2の内部のプラズマPが発生する領域21bにガスGを供給することができる。
ガス供給部7は、ガス収納部71、ガス制御部72、および開閉弁73を有することができる。ガス収納部71、ガス制御部72、および開閉弁73は、チャンバ2の外部に設けることができる。
ガス収納部71は、ガスGを収納し、収納したガスGをチャンバ2の内部に供給することができる。ガス収納部71は、例えば、ガスGを収納した高圧ボンベなどとすることができる。ガス収納部71とガス制御部72は、配管を介して接続することができる。
【0048】
ガス制御部72は、ガス収納部71からチャンバ2の内部に供給するガスGの流量や圧力などを制御することができる。ガス制御部72は、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。ガス制御部72と開閉弁73は、配管を介して接続することができる。
【0049】
開閉弁73は、配管を介して、チャンバ2に設けられたガス供給口22bに接続することができる。なお、ガス供給口22bを複数設け、プラズマPが発生する領域21bに複数の方向から均等にガスGが供給されるようにしてもよい。開閉弁73は、ガスGの供給と停止を制御することができる。開閉弁73は、例えば、2ポート電磁弁などとすることができる。なお、開閉弁73の機能をガス制御部72に持たせることもできる。
【0050】
ガスGは、プラズマPにより励起、活性化された際に、所望のラジカルやイオンが生成されるものとすることができる。例えば、プラズマ処理がエッチング処理である場合には、ガスGは、処理物100の露出面をエッチングすることができるラジカルやイオンが生成されるものとすることができる。この場合、ガスGは、例えば、塩素を含むガス、フッ素を含むガスなどとすることができる。ガスGは、例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合ガス、CHF、CHFとCFの混合ガス、SFとヘリウムガスの混合ガスなどとすることができる。
【0051】
処理状態検出部8は、プラズマ処理の最中に生じる光学的な変化に基づいて、処理物100の状態を検出することができる。例えば、処理状態検出部8は、プラズマ処理の終点検出を行うことができる。
処理状態検出部8は、光路変更部81および検出部82を有することができる。
【0052】
光路変更部81は、窓23の内部に設けることができる。光路変更部81は、窓23から載置部31に向かう方向(窓23の厚み方向)と、窓23から載置部31に向かう方向と直交する方向(窓23の厚み方向に直交する方向)との間で、入射した光の光路を変更する。
例えば、光路変更部81は、窓23の内部に局所的に設けられ、チャンバ2の中心軸2aに対して傾いた面(反射面)を有することができる。
【0053】
図3は、光路変更部81を例示するための模式断面図である。
図3に例示をした光路変更部81は、窓23の、載置部31側とは反対側の面に開口する凹部とすることができる。例えば、光路変更部81である凹部の底面が平坦な面となっており、底面が反射面である面81aとなっている。面81aとチャンバ2の中心軸2aとの間の角度は、45°となるようにすることができる。凹部の外形は、例えば、円柱や、多角柱とすることができる。
【0054】
図3に示すように、光路変更部81は、入射光Laを反射して、入射光Laの光路と、出射光Lbの光路との間の角度が90°となるようにすることができる。すなわち、検出部82から面81aに向かう光の、面81aへの入射角は45°とすることができる。反射角は45°とすることができる。
なお、図3においては、窓23の厚み方向から光が入射する場合(載置部31側から光路変更部81に光が入射する場合)を例示したが、検査光が窓23の側面側(周端面側)から光路変更部81に入射する場合も、光路変更部81によって検査光の進行方向が変えられる。そして、光路変更部81から出射し、処理物100で反射した検査光も、入射光Laと同様に光路変更部81によって検査光の進行方向が変えられる。
【0055】
図3に例示をした光路変更部81は、前述の通り、凹部となっている。光路変更部81の内部は空間であってもよいし、気体、液体、固体が充填されていてもよい。また、面81aに反射率の高い材料を含む膜(例えば、酸化チタンを含む膜)を形成することもできる。光路変更部81の内部に、気体、液体、固体を充填したり、面81aに膜を設けたりする場合には、絶縁性を有する気体、液体、固体を用いることが好ましい。この様にすれば、光路変更部81が、電源部5により形成された電磁場に影響を及ぼすのを抑制することができる。
また、面81aに凹凸があると、凹凸によって光が散乱してしまうので、面81aの平面度を高くすることが好ましい。例えば、光学研磨によって、面81aの表面粗さをRa0.02以下とすることができる。
【0056】
図4(a)、(b)は、光路変更部の変形例を例示するための模式断面図である。
図4(a)に示すように、深さ寸法dの小さい光路変更部81bとすることができる。深さ寸法dが小さければ、光路変更部81bとなる凹部の切削加工に用いる切削工具の長さを短くすることができる。切削工具の長さが短い分だけ、切削工具の剛性を高めることができる。このため、切削工具の振動が少なくなり、光路変更部81bとなる凹部の底面(面81ba)の平面度が向上する。深さ寸法dは、例えば、面81baが円形の場合は、その直径の0.5倍以上、1.0倍以下とすることが好ましい。なお、面81baが四角形の場合、その内接円の直径の0.5倍以上、1.0倍以下とすることが好ましい。
【0057】
また、図4(b)に示すように、底面(面81ca)の面積が大きい光路変更部81cとすることができる。面81caの面積を大きくすることで、断面積の大きい切削工具を用いることができる。切削工具の断面積が大きい分だけ、切削工具の剛性を高めることができる。このため、切削工具の振動が少なくなり、光路変更部81cとなる凹部の底面(面81ca)の平面度が向上する。
なお、凹部の深さを小さくし、かつ、凹部の底面の面積を大きくしてもよい。この様にすれば、底面の平面度をさらに向上させることができる。また、光学研磨が行い易くなるので、底面の平面度を所望の値とすることがさらに容易となる。
【0058】
ここで、中心軸2aに直交する方向の、光路変更部81の断面積(図6に記載の「D」を参照)は、窓23の載置部31側とは反対側の面の面積の1.95%以下とすることが好ましい。あるいは、光路変更部81にかかる荷重が、窓23の許容荷重の9.8%以下となるようにすることが好ましい。光路変更部81にかかる荷重がこの程度であれば、光路変更部81が有る窓23の耐久性を、光路変更部81が無い窓の耐久性とほぼ同等とみなすことができる。つまり、この様にすれば、窓23の強度(耐真空強度)を維持することができる。
【0059】
また、中心軸2aに直交する方向の、光路変更部81の断面積(図6に記載の「D」を参照)は、窓23の載置部31側とは反対側の面の面積の0.5%以下とすることがより好ましい。あるいは、光路変更部81にかかる荷重が、窓23の許容荷重の5.0%以下とすることがより好ましい。この様にすれば、窓23の静電容量の変化を僅かなものとすることができるので、光路変更部81が、電源部5により形成された電磁場に影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0060】
図5は、光路変更部の他の変形例を例示するための模式断面図である。
図5に例示をした光路変更部81dは、平坦な側面81daを有する多角柱状(例えば、四角柱状)を呈した凹部である。光路変更部81dの側面81daは、窓23の上面(載置部31側とは反対側の面)に対して45°の角度で傾斜している。この様にすれば、窓23の上面に直交する方向から側面81daに入射した入射光Laを、窓23の上面に平行な方向に向けて反射された出射光Lbとすることができる。この場合、凹部の側面は、凹部の底面と比べて面積を大きくすることが容易であるので、光学研磨が行い易くなる。
【0061】
ここで、窓23の載置部31側の面から、窓23の内部に入射した光の一部は、窓23の内部を反射して窓23の側面(周端面)から外部に出射する。そのため、検出部82により、窓23の側面から外部に出射する光を検出することもできる。しかしながら、この様にすると、検出部82に入射する光の強度は、比較的広い範囲における光の強度の平均値となるので、処理物100の表面の僅かな変化を検出するのが困難となる。
【0062】
近年においては、処理部分の微細化が進み、例えば、形成される凹凸や孔などの開口率が1%以下となる場合もある。この様な場合には、除去される物質の量が少なくなるため、光の変化量が微小となる。そのため、広い範囲における発光を検出すると、処理物100の表面の僅かな変化を検出するのがさらに困難となる。
【0063】
また、前述したように、窓23の上には、電極51やファラデーシールド54などが設けられている。そのため、窓23の厚み方向に出射する光を検出するようにすると、電極51やファラデーシールド54などが邪魔になって、適切な位置の光が検出できなくなる場合がある。
【0064】
前述したように、光路変更部81は、断面積を小さくすることができ、窓23における任意の位置に設けることができる。そのため、適切な位置の、狭い領域(検出領域)における光の変化を検出することが可能となる。その結果、微細な処理であってもプラズマ処理の終点を精度良く検出することができ、ひいては、微細な処理を精度良く行うことが可能となる。
【0065】
また、入射光の光路と、出射光の光路との間の角度が90°となるようにすることができるので、窓23の側面側に検出部82を配置することができる。そのため、電極51やファラデーシールド54などの形状や配置に関わりなく適切な位置に検出部82を配置することが可能となる。
【0066】
検出部82は、窓23の側面側に設けられ、光路変更部81の面81aと向き合う位置に設けることができる。
光路変更部81が設けられていれば、チャンバ2の内部において発生した光の一部が、光路変更部81の面81aに反射して検出部82に入射する。そのため、検出部82は、受光部を有するものとすることができる。例えば、検出部82は、光路変更部81を介して受光部に入射した光の波長の変化に基づいて、処理物100の状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出することができる。
【0067】
なお、「光路変更部81の面81aと向き合う位置」とは、窓23の載置部31側の面から、窓23の内部に入射した光(入射光La)のうち、光路変更部81の面81aで反射した光(出射光Lb)を検出部82で検知できる位置である。
【0068】
また、例えば、検出部82は、投光部と受光部を有するものとすることができる。投光部は、光路変更部81を介して処理物100の表面に検査光を照射することができる。受光部は、処理物100の表面で反射し、光路変更部81を介して受光部に向かう光と、投光部から出射した光の干渉光を受光することができる。例えば、検出部82は、光路変更部81の面81aを介して処理物100の表面に光を照射する。処理物100の表面で反射され、光路変更部81の面81aでさらに反射された光は、検出部82に入射する。
この場合、検出部82は、干渉光の変化に基づいて、処理物100の状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出することができる。
【0069】
なお、検出部82は、例示をしたものに限定されるわけではなく、光学的な変化を検出可能なものであればよい。例えば、検出部82は、分光器をさらに有していてもよい。分光器が設けられていれば、所定の波長を有する光を抽出することができるので、検出精度の向上を図ることができる。
【0070】
また、投光部と受光部を有する検出部82の場合、処理物100の表面で反射された光の多くが光路変更部81の面81aに入射することが好ましい。つまり、光路変更部81によって曲げられた検査光の光軸と、処理物100の表面で反射された検査光の光軸とがほぼ同じであることが好ましい。このためには、窓23と載置部31とが略平行であることが好ましい。しかし、前述の通り、載置部31を支持する支持部32が片持ち構造を有する場合、載置部31が傾くおそれがある。このため、投光部と受光部を有する検出部82と、片持ち構造を有する載置部31と、を用いる場合、梁32bの下側の側部の肉厚(t2)よりも梁32bの上側の側部の肉厚(t1)を厚くすることが好ましい(t1>t2)。「t1>t2」とれば、窓23と載置部31とを略平行とすることが容易となるので、光路変更部81によって曲げられた検査光の光軸と、処理物100の表面で反射された検査光の光軸とがほぼ同じとなるようにすることができる。
【0071】
また、図1に示すように、光路変更部81と検出部82は、導光部83を介して接続することもできる。この場合、導光部83は、光路変更部81の面81aと向き合う様にする。導光部83は、例えば、光ファイバなどとすることができる。導光部83は、必ずしも必要ではなく、検出部82を窓23の側面に近接させて設けるようにしてもよい。ただし、導光部83を設ければ、検出部82を所望の位置に設けるのが容易となる。
【0072】
図6は、窓の側面に設けられた平坦面を例示するための模式平面図である。
図6に示すように、窓23の側面の、検出部82または導光部83と対向する部分に平坦な面23aを設けることができる。導光部83を設ける場合には、導光部83は、窓23の側面の面23aと検出部82との間に設けることができる。この様にすれば、検出部82または導光部83と窓23との光学的な接続を容易とすることができる。
【0073】
また、面23aに凹凸があると、凹凸によって光が散乱してしまうので、面81aと同様に面23aの平面度を高くすることが好ましい。例えば、光学研磨によって、面23aの表面粗さをRa0.02以下とすることができる。
なお、面23aと光路変更部81の面81aとは、軸2aに直交する方向であって、図6における紙面の上下方向において平行となるように設けるとよい。このようにすれば、検出部82または導光部83と、光路変更部81と、の光学的な接続を容易とすることができる。
【0074】
また、導光部83は、複数の光ファイバを有することができる。検出部82は、複数の分光器を有することができる。そして、1つの光ファイバが、1つの分光器に接続されるようにすることができる。この様にすれば、前述した干渉光の検出が容易となる。
【0075】
また、光路変更部81は複数設けることもできる。光路変更部81が複数設けられていれば、複数の箇所における処理の状態を知ることができる、また、検出に用いる光路変更部81を選択すれば、検出部82の数を増すことなく、複数の箇所における処理の状態を知ることができる。
【0076】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えたものとすることができる。
制御部9は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置1に設けられた各要素の動作を制御することができる。例えば、制御部9は、処理状態検出部8(検出部82)からの出力に基づいて、プラズマ処理を終了させることができる。
【0077】
図7(a)、(b)は、他の実施形態に係る光路変更部181を例示するための模式断面図である。
図7(a)、(b)に示すように、光路変更部181は、窓23の内部に設けることができる。光路変更部181は、平坦な端面181aを有し、端面181aとチャンバ2の中心軸2aとの間の角度が45°となるようにすることができる。
【0078】
図7(a)に示すように、光路変更部181は窓23の内部に埋め込むことができる。例えば、窓23を形成する際に光路変更部181を埋め込むことができる。例えば、窓23にレーザを照射して、窓23の内部を加工することで光路変更部181を形成することができる。
【0079】
図7(b)に示すように、窓23に凹部181bを設け、凹部181bの内部に光路変更部181を設けることができる。
光路変更部181は、反射率が高く、絶縁性を有する材料から形成することが好ましい。例えば、光路変更部181は、窓23の内部を加工しものや、酸化チタンを含む膜などとすることができる。絶縁性を有する光路変更部181とすれば、光路変更部181が、電源部5により形成された電磁場に影響を及ぼすのを抑制することができる。

【0080】
図8は、他の実施形態に係るプラズマ処理装置101を例示するための模式断面図である。
図8に示すように、プラズマ処理装置101には、チャンバ102、載置部103、電源部4、電源部5、減圧部106、ガス供給部7、処理状態検出部8、および制御部109を設けることができる。なお、プラズマ処理装置101においても、電源部5が、チャンバ102の内部にプラズマPを発生させるプラズマ発生部となる。
【0081】
チャンバ102は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有することができる。
チャンバ102は、本体部102aおよび窓23を有することができる。
本体部102aは、天板、底板、および略円筒形状の側部が一体化されたものとすることができる。本体部102aは、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。また、本体部102aは、接地することができる。本体部102aの内部には、プラズマPが発生する領域102bが設けられている。本体部102aには、処理物100を搬入搬出するための搬入搬出口102cを設けることができる。搬入搬出口102cは、ゲートバルブ102dにより気密に閉鎖することができる。
【0082】
載置部103は、チャンバ102(本体部102a)の内部であって、本体部102aの底面の上に設けることができる。載置部103は、電極103a、台座103b、および絶縁リング103cを有することができる。載置部103の内部は、外部の空間(大気空間)と繋げることができる。
【0083】
電極103aは、プラズマPが発生する領域102bの下方に設けることができる。電極103aの上面は処理物100を載置するための載置面とすることができる。電極103aは、金属などの導電性材料から形成することができる。また、前述した電極31aと同様に、電極103aには、複数のピックアップピンや温度制御部などを内蔵させることができる。
【0084】
台座103bは、電極103aと、本体部102aの底面の間に設けることができる。台座103bは、電極103aと、本体部102aの間を絶縁するために設けることができる。台座103bは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0085】
絶縁リング103cは、リング状を呈し、電極103aの側面、および台座103bの側面を覆うように設けることができる。絶縁リング103cは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0086】
本実施の形態に係るプラズマ処理装置101にも前述した電源部4を設けることができる。前述したように、電源部4は、いわゆるバイアス制御用の高周波電源とすることができる。また、マッチング回路42aは、ブスバー42cを介して、電源41と電極103aとに電気的に接続することができる。載置部103の内部は大気空間に繋がっているため、ブスバー42cは大気空間に接することができる。
【0087】
プラズマ処理装置101も、上部に誘導結合型電極を有し、下部に容量結合型電極を有する二周波プラズマエッチング装置とすることができる。ただし、プラズマの発生方法は例示をしたものに限定されるわけではない。
プラズマ処理装置101は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置や、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置などであってもよい。
【0088】
減圧部106は、ポンプ106aおよび圧力制御部106bを有することができる。
減圧部106は、チャンバ102の内部が所定の圧力となるように減圧することができる。ポンプ106aは、例えば、ターボ分子ポンプなどとすることができる。なお、バックポンプとして、ルーツ型ドライポンプをターボ分子ポンプに接続することもできる。ポンプ106aと圧力制御部106bは、配管を介して接続することができる。
【0089】
圧力制御部106bは、チャンバ102の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ102の内圧が所定の圧力となるように制御することができる。なお、真空計は、ダイヤフラム式のキャパシタンスマノメータなどとすることができる。圧力制御部106bは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。圧力制御部106bは、配管を介して、本体部102aに設けられた排気口102eに接続することができる。
【0090】
制御部109は、CPUなどの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えたものとすることができる。制御部109は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置101に設けられた各要素の動作を制御することができる。例えば、制御部109は、処理状態検出部8(検出部82)からの出力に基づいて、プラズマ処理を終了させることができる。
本実施の形態に係るプラズマ処理装置101にも、処理状態検出部8が設けられているため、前述した効果を享受することができる。
【0091】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1、101が備える構成要素の形状、材料、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0092】
1 プラズマ処理装置、2 チャンバ、2a 中心軸、3 載置モジュール、4 電源部、5 電源部、6 減圧部、7 ガス供給部、8 処理状態検出部、9 制御部、23 窓、31 載置部、81 光路変更部、81a 面、82 検出部、83 導光部、100 処理物、101 プラズマ処理装置、102 チャンバ、103 載置部、106 減圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8