(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20220627BHJP
B21D 37/14 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B21D5/02 F
B21D37/14 G
(21)【出願番号】P 2020148221
(22)【出願日】2020-09-03
(62)【分割の表示】P 2017560720の分割
【原出願日】2016-05-25
【審査請求日】2020-09-03
(32)【優先日】2015-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500522149
【氏名又は名称】ウィルソン トゥール インターナショナル インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エル.ロジャース
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-137619(JP,A)
【文献】特開平11-028519(JP,A)
【文献】特開2007-203344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
B21D 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるタングスタイルを有する工具と共に使用するように構成されている工具ホルダであって、
該工具ホルダは、
ハウジング
であって、該ハウジング内に工具のタングを受け入れて保持するための溝を定めるハウジングと、
機械的に作動可能であり、且つ前記ハウジング内に設けられている開口部を通して
操作員に接触可能である機構と、
該機構に作動的に連結されており、且つ、クランププレートと1つ又は複数の締付け指片とを備える、クランプアセンブリと、を備え、
該クランププレートは、前記1つ又は複数の締付け指片を跨いで延びる長さを有する縦に延びるクランプ本体として定められ、該クランプ本体は、前記1つ又は複数の締付け指片に接触する端部を有し、該1つ又は複数の締付け指片は、該締付け指片と前記ハウジングの固定壁の間に、異なるタングスタイルを有する工具を固定するために回転することが可能であり、前記1つ又は複数の締付け指片の移動は、前記機構の調整から生じる前記クランププレート端部の移動に対応し、
前記クランププレートは、該クランププレート内に備えられている少なくとも2つの異なる許容範囲領域を有し、第1の許容範囲領域が、前記クランプ本体の長さ方向に交差して定められている複数の第1のスリットを備え、これによって前記1つ又は複数の締付け指片に接触している複数のクランププレートの部分を形成し、第2の許容範囲領域が前記クランププレートの部分の各々の深さ方向に交差して定められ
、
前記工具を前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に固定するときに、前記機構の調整を制限して、異なるタングスタイルを有する1つ又は複数の工具と前記工具ホルダとに対する損傷を防止するために、前記クランプアセンブリの1つ又は複数の構成要素が、前記ハウジング内に収容されており、且つ、前記機構と前記クランププレートとの間に作動的に連結され、
前記機構と前記締付け指片は、前記ハウジングと前記溝との反対側のハウジング側部に配置され、前記機構と前記締付け指片は、反対側に位置する前記ハウジング側部の上部隅と下部隅とにそれぞれに配置されている、
ことを特徴とする工具ホルダ。
【請求項2】
前記第1及び第2の許容範囲領域は、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に工具を固定する時に、1つ又は複数の締付け指片に対して補完的な許容範囲を共同して提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項3】
前記クランプ本体の長さは、前記複数の第1のスリットが前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する許容範囲を提供するように、前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に交差しており、一方、第2の許容範囲領域が、こうした対応する移動の方向における許容範囲を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項4】
前記第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の対応する範囲内の深さに各々が定められている複数の第2のスリットを備える、ことを特徴とする請求項3に記載の工具ホルダ。
【請求項5】
前記複数の第1のスリットは、前記複数の第2のスリットに対して交差方向配置の形で延びるように定められている、ことを特徴とする請求項4に記載の工具ホルダ。
【請求項6】
前記第2の許容範囲領域は、1つ又は複数の締付け部分との接触点において前記クランププレートの部分の各々の上に備えられている形状記憶材料を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の工具ホルダ。
【請求項7】
前記クランププレートの部分は、前記形状記憶材料の位置決めのための切り抜き部分を伴って定められている、ことを特徴とする請求項6に記載の工具ホルダ。
【請求項8】
前記機構は、前記構成要素に作動的に連結されている端部を有するアームであり、予め決められた調整範囲が、前記ハウジングに対する相対的な前記アームの回転範囲であり、前記アームの前記回転範囲は180度以下に制限されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の工具ホルダ。
【請求項9】
前記機構はねじ頭部を備え、予め決められた調整範囲は、前記ねじ頭部に加えられる最大トルクまでの前記ねじ頭部の回転範囲である、ことを特徴とする請求項
1に記載の工具ホルダ。
【請求項10】
異なるタングスタイルを有する工具と共に使用するように構成されている工具ホルダであって、
ハウジング
であって、該ハウジング内に工具のタングを受け入れて保持するための溝を定めるハウジングと、
機械的に作動可能であり、且つ、前記ハウジング内に設けられている開口部を通して
操作員に接触可能である機構と、
該機構に作動的に連結されており、且つ、クランププレートと1つ又は複数の締付け指片とを備えるクランプアセンブリと、を備え、
前記クランププレートは、前記1つ又は複数の締付け指片を跨いで延びる長さを有する縦に延びるクランプ本体として定められており、該クランプ本体は、前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に前記工具を固定するために移動させられる、前記1つ又は複数の締付け指片に接触する端部を有し、前記1つ又は複数の締付け指片の移動は、前記機構の調整から生じる前記クランププレートの端部の移動に対応し、
前記クランプアセンブリの1つ又は複数の構成要素が、前記ハウジングの中に収容され、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に前記工具を固定する時に、異なるタングスタイルを有する1つ又は複数の工具と前記工具ホルダとに対する損傷を防止するように前記機構の調整を制限するために、前記機構と前記クランププレートとの間に作動的に連結され、
前記クランププレートは、該クランププレート内に備えられている少なくとも2つの異なる許容範囲領域を有
し、
前記機構と前記締付け指片は、前記ハウジングと前記溝との反対側のハウジング側部に配置され、前記機構と前記締付け指片は、反対側に位置する前記ハウジング側部の上部隅と下部隅とにそれぞれに配置されている、
ことを特徴とする工具ホルダ。
【請求項11】
第1の許容範囲領域がクランプ本体の端部の長さ方向に交差して定められ、第2の許容範囲領域がクランプ本体の端部の深さ方向に交差して定められている、ことを特徴とする請求項
10に記載の工具ホルダ。
【請求項12】
前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する許容範囲を前記第1の許容範囲領域が提供するように、前記クランプ本体の長さが、前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する方向にあり、前記第2の許容範囲領域はこうした対応する移動の方向において許容範囲を提供する、ことを特徴とする請求項
11に記載の工具ホルダ。
【請求項13】
前記第1の許容範囲領域は、前記クランプ本体の長さ方向に交差して定められている複数の第1のスリットを備え、これによって前記1つ又は複数の締付け指片に接触している複数のクランププレートの部分を形成し、前記第1の許容範囲領域と前記第2の許容範囲領域は、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に工具を固定する時に、前記1つ又は複数の締付け指片に対して補完的な許容範囲を共同で提供する、ことを特徴とする請求項
11に記載の工具ホルダ。
【請求項14】
前記第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の対応する範囲内の深さに各々が定められている複数の第2のスリットを備え、前記
複数の第1のスリットは、前記
複数の第2のスリットに対して交差方向配置の形で延びるように定められている、ことを特徴とする請求項
13に記載の工具ホルダ。
【請求項15】
前記第2の許容範囲領域は、1つ又は複数の締付け部分との接触点において前記クランププレートの部分の各々の上に備えられている形状記憶材料を含む、ことを特徴とする請求項
13に記載の工具ホルダ。
【請求項16】
前記機構は前記構成要素に作動的に連結されている端部を有するアームであり、前記予め決められた調整範囲は前記ハウジングに対する前記アームの回転範囲であり、該アームの回転範囲は180度以下に制限されている、ことを特徴とする請求項
10に記載の工具ホルダ。
【請求項17】
前記アームの端部は前記締付けアセンブリの締付けナットに作動的に連結され、前記締付けナットは、該締付けナットの外周部の一部分の周りを延びる溝を伴って設けられ、該溝の中に前記ハウジング内に堅固に保持されているピンが突き出し、該ピンに対する前記アームによる前記締付けナットの相対的な回転が、前記クランププレートの対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする請求項
16に記載の工具ホルダ。
【請求項18】
前記溝の長さに沿った複数の点が、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着されている異なるタングスタイルを有する工具を固定するための、前記
クランププレートと前記1つ又は複数の締付け指片との移動に対応して定められている、ことを特徴とする請求項
17に記載の工具ホルダ。
【請求項19】
前記アームは前記締付けアセンブリのカムに回転自在に連結されており、前記カムはカムカートリッジ内に保持され、前記アームを介し且つ前記カムカートリッジに対する前記カムの回転が、前記カムカートリッジに対する作動的な連結によって前記クランププレートの対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする請求項
16に記載の工具ホルダ。
【請求項20】
前記カムカートリッジは、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着される意図されたタングスタイルに基づいて、カムの回転の前に配置され、前記アームを介し且つ前記カムカートリッジに対する前記カムの移動が、意図されたタングスタイルに対応して定められ、前記クランププレートと前記1つ又は複数の締付け指片との移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする請求項
19に記載の工具ホルダ。
【請求項21】
前記機構はねじ頭部を備え、前記予め決められた調整範囲は前記ねじ頭部に加えられる最大トルクでの前記ねじ頭部の回転範囲である、ことを特徴とする請求項
20に記載の工具ホルダ。
【請求項22】
前記ねじ頭部は前記締付けアセンブリの内部クラッチと選択的に係合させられ、該内部クラッチは、調整中に前記ねじ頭部に加えられる最大トルクまで前記ねじ頭部に対して前記内部クラッチを係合させるクラッチピンを含み、前記最大トルクまでの前記ねじ頭部の回転による前記内部クラッチの回転が、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着されている異なるタングスタイルを有する工具を固定するための、前記クランププレートと前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする請求項
21に記載の工具ホルダ。
【請求項23】
前記締付け指片が異なるタングスタイルを有する工具のいずれかを固定する時に、前記ねじ頭部のさらなる回転が、最大トルクをもたらすと共に、これに対応して、前記ねじ頭部からの前記内部クラッチの係合解除を伴うクラッチピンの潰れを結果的に生じさせる、ことを特徴とする請求項
22に記載の工具ホルダ。
【請求項24】
前記ねじ頭部は、前記ハウジング内に設けられているポケット内において前記締付けアセンブリのクラッチプレートに選択的に係合させられ、該クラッチプレートは複数の歯を含み、該複数の歯は、前記クラッチプレートと前記ポケットの壁との間に保持されているクラッチばねに基づいて、調整中に、前記ねじ頭部に対して最大トルクが加えられるまで、前記ねじ頭部の対応する凹みに向かって付勢され、前記最大トルクまでの前記ねじ頭部の回転による前記クラッチプレートの回転が、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着されている異なるタングスタイルを有する工具を固定するための、前記クランププレートと前記1つ又は複数の締付け指片の対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする請求項
21に記載の工具ホルダ。
【請求項25】
前記締付け指片が異なるタングスタイルを有する工具のいずれかを固定する時に、前記
ねじ頭部のさらなる回転が、最大トルクをもたらすと共に、これに対応して、前記ねじ頭部からの前記クラッチプレートの係合解除を伴う、前記ポケット内の前記クラッチばねの潰れを結果的に生じさせる、ことを特徴とする請求項
24に記載の工具ホルダ。
【請求項26】
ハウジング
であって、該ハウジング内に工具のタングを受け入れて保持するための溝を定めるハウジングと、
機械的に作動可能であり、且つ、前記ハウジング内に設けられている開口部を通して
操作員に接触可能である機構と、
該機構に作動的に連結されており、且つ、クランププレートと1つ又は複数の締付け指片とを有するクランプアセンブリと、を備えた工具ホルダであって、
前記クランププレートは、前記1つ又は複数の締付け指片を跨いで延びる長さを有する縦に延びるクランプ本体として定められ、前記クランプ本体は、前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に工具を固定するために移動させられる前記1つ又は複数の締付け指片に接触する端部を有し、前記1つ又は複数の締付け指片の移動は、前記機構の調整から生じる前記クランププレートの端部の移動に対応し、
前記クランププレートは、該クランププレート内に備えられている少なくとも2つの異なる許容範囲領域を有し、第1の許容範囲領域は、クランプ本体の長さを方向に交差して定められている複数の第1のスリットを備え、これによって前記1つ又は複数の締付け指片に接触している複数のクランププレートの部分を形成し、第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の各々の深さ方向に交差して定められ、前記第1及び第2の許容範囲領域は、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に工具を固定する時に、1つ又は複数の締付け指片に対して補完的な許容範囲を共同して提供
し、
前記工具を前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に固定するときに、前記機構の調整を制限して、異なるタングスタイルを有する1つ又は複数の工具と前記工具ホルダとに対する損傷を防止するために、前記クランプアセンブリの1つ又は複数の構成要素が、前記ハウジング内に収容されており、且つ、前記機構と前記クランププレートとの間に作動的に連結され、
前記機構と前記締付け指片は、前記ハウジングと前記溝との反対側のハウジング側部に配置され、前記機構と前記締付け指片は、反対側に位置する前記ハウジング側部の上部隅と下部隅とにそれぞれに配置されている、
ことを特徴とする工具ホルダ。
【請求項27】
前記クランプ本体の長さは、前記
複数の第1のスリットが前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する許容範囲を提供するように、前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片の対応する移動に交差する方向にあり、一方、第2の許容範囲領域が、こうした対応する移動の方向において許容範囲を提供する、ことを特徴とする請求項
26に記載の工具ホルダ。
【請求項28】
前記第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の対応する範囲内の深さにおいて各々が定められている複数の第2のスリットを備える、ことを特徴とする請求項
27に記載の工具ホルダ。
【請求項29】
前記
複数の第1のスリットは、前記
複数の第2のスリットに対する交差方向配置の形で延びるように画定されている、ことを特徴とする請求項
28に記載の工具ホルダ。
【請求項30】
前記第2の許容範囲領域は、1つ又は複数の締付け部分との接触点において前記クランププレート部分の各々の上に備えられている形状記憶材料を含む、ことを特徴とする請求項
27に記載の工具ホルダ。
【請求項31】
前記クランプアセンブリの1つ又は複数の構成要素は、前記ハウジングに対して前記機構を複数の位置に規定し、該複数の位置の各々は前記固定壁に対する前記締付け指片に関する異なる設定に対応し、前記複数の位置のうちの2つ以上の位置の各々が、前記工具ホルダと共に使用可能である異なるタングスタイルを有する工具に対応する、請求項1~30の何れか一項に記載の工具ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、工業用機械又は装置と共に使用するための工具ホルダに関する。さ特に、本発明は、プレスブレーキ上で使用可能である工具ホルダと、工具を工具ホルダに固定するための、このような工具ホルダのアセンブリとに関する。
【背景技術】
【0002】
金属薄板と他の被加工物とが、広範囲の有用な製品の形に製造されることが可能である。一般的に使用される製作(即ち、製造)工程は、金属薄板と他の被加工物とにおける、曲げ加工、折り曲げ加工、及び/又は、穴形成加工を含む。このような工程のために使用される装置は、ターレットプレス及び他の工業用プレス(例えば、シングルステーションプレス)、トランプスタイル(Trumpf style)の機械及び他のレールタイプ(rail type)のシステム、プレスブレーキ、シート供給システム(sheet feed system)、コイル供給システム(coil feed system)、及び、シート材料の打抜き又はプレスのために適合化されている他のタイプの製造装置を含む多様なタイプを含む。
【0003】
ブレスブレーキに関しては、こうしたプレスブレーキは下部テーブルと上部テーブルとを備えており、及び、一般に、金属被加工物を変形させるために使用される。これらのテーブルの一方(典型的には、上部テーブル)が、他方のテーブルに向かって垂直方向に移動可能であるように構成されている。一方のテーブルが他方のテーブルに向かって動かされる時に、テーブルの間に置かれている被加工物が成形される(例えば、適切な形状に曲げられる)ことが可能であるように、成形工具がこれらのテーブルに取り付けられている。典型的には、上部テーブルが、底部の被加工物変形表面を有する雄型の成形工具(押抜き具)を保持し、及び、底部テーブルが、雄型工具の被加工物変形表面に対して垂直方向に位置合わせされている上部表面を有する、適切に形成された雌型工具(金型)を保持する。
【0004】
すでに知られているように、成形工具は、一般に、テーブル上に備えられている1つ又は複数の工具ホルダを使用して、プレスブレーキテーブルに取り付けられている。特に、工具のタング(tang)又はシャンクが、溝を定めるホルダの互いに反対側に位置した部分の間に挿入される。多くの場合には、この溝は、工具ホルダの第1の壁の固定部分と、その反対側に位置する工具ホルダの第2の壁の可動部分とによって画定される。異なる形状とサイズの形で成形工具が入手可能なので、工具のためのタングも、特にそのプロファイルに関して、様々である。1つのタングのタイプ(概して、アメリカンスタイルとして知られている)は、工具本体から上向きに延びる滑らかな直線状の垂直側部を有し、及び、工具ホルダの互いに反対側に位置する部分の間にタングが装着される時に、この工具ホルダの互いに反対側に位置する部分が、この垂直側部上に接触する。他のタングのタイプ(概して、欧州タイプ又は高精度タイプとして知られている)が、その垂直側部内に画定されている1つ又は複数の溝を有し、及び、これらの溝は、特定の場合に、工具がその溝の垂直側部の間に装着されて、その後で工具ホルダの互いに反対側に位置する部分によって接触される時に、工具を自己着座させることに使用される。
【0005】
各々のタングスタイル(tang style)がそれ自体の特有の利点を提供する。例えば、直線スタイルのタングを使用する場合には、工具ホルダに対する工具類の装着と工具ホルダからの取外しとが比較的に容易であり、及び、工具類が、工具ホルダの様々な作りによってより容易に収容されるということが、見出されることが多い。他方では、溝付きスタイルのタングを使用する場合には、高精度で被加工物を機械加工するために、工具類が(着座機構を介して)工具ホルダによってより正確に保持されることが可能である。従来においては、工具ホルダは、1つのスタイルの工具のタングだけを収容するように設計された。しかし、このことは、これに相応して、こうしたホルダと共に使用されることが可能である多様な工具類を制限した。したがって、プレスブレーキ工業界は、異なるタングスタイルを有する工具と共に使用されることが可能な工具ホルダ設計の導入を求め始めた。しかし、こうした設計はこれまで欠点が無いわけではなかった。
【0006】
例えば、これらの工具ホルダの多くは、異なるタングスタイルに適合することにおいて、アダプターと共に機能するように設計されてきた。幾つかの設計では、こうしたアダプターは、異なるタングスタイルに対応するために、(複数のアダプターの場合に)取り替えられること、又は、(単一のアダプターの場合に)再方向配置されることを必要とする。残念であるが、アダプターを方向配置することが必要であることは、相応する機械の停止時間をもたらすだけでなく、さらには、不適切な方向配置とこれに対応する生産エラーとの危険性を生じさせる。したがって、おそらくはより常套的な他の工具ホルダ設計では、異なるタングスタイルに適合するようにアダプターの方向配置を変化させる代わりに、アダプターが、設定された方向配置の形に保持され、及び、タングスタイルに対応する異なる距離にツールタングに向かって内方に移動させられる。しかし、こうした異なる移動と、こうした移動に対応するように加えられる力の変化とが、典型的には、その力の精密な調整を必要とし、又は、さらに、タングと工具ホルダとの間の接触によるタング及び/又は工具ホルダに対する損傷が結果的に生じる可能性がある。こうした調整は、従来においては、油圧式手段、空気圧式手段、電気式手段、又は、他の同様の手段によって実現されており、これによって、その加えられる力が正確に管理されることが可能であるが、しかし、これらの要素の組み込みが、その設計に対して複雑性と総合的なコストとを付加する。
【0007】
工具ホルダの設計における、未だ言及されておらず且つ考察されていない1つの変数が、組込み許容範囲(built-in tolerance)である。例えば、一般に、工具(例えば、そのタング)の全体寸法、又は、工具ホルダの動作(例えば、工具ホルダの1つ又は複数の可動部分の1つ又は複数の閉鎖動作)に関する相違のような、各々の工具及び工具ホルダ設計に伴った、わずかな度合いの相違がある。これらの相違は単独ではかなり無視できるほど小さいと考えられることが可能であるが、しかし、こうした相違は、工具ホルダ内に成形工具を装着するという状況の場合のように、集合的に遭遇させられる時には、問題を生じさせる可能性がある。例えば、こうした相違は、工具ホルダの中に装着された後に、工具類に関する対応する度合いの遊びを結果的に生じさせる。こうした相違を考慮して、許容範囲領域(area of tolerance)が工具ホルダ設計において設けられてきた。例えば、工具ホルダは、設計におけるこうした許容範囲領域を設けるために、スプリングのような形状記憶材料又は構造を備える場合が多い。しかし、こうした要素を付加してさえ、工具とホルダとの間に結果的に生じさせる緩み又は遊びが存在することが依然として見出される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上記の問題とその他の問題とに対処し、及び、そうすることにおいて、異なるタングスタイルを有する工具と共に使用可能である効果的で効率的な工具ホルダを提供するための、工具ホルダ設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施態様が工具ホルダ設計に関する。場合によっては、工具ホルダは、異なるタングスタイルを有する工具と共に使用されることが可能なクランプアセンブリを有する。工具ホルダは、場合によっては、その工具ホルダ内に備えられている少なくとも2つの異なる許容範囲領域を有し、及び、これらの許容範囲領域はその工具ホルダ設計に対する補完的な許容範囲を提供する。場合によっては、工具ホルダは、工具を工具ホルダ内に固定する時に1つ又は複数の工具と工具ホルダとに対する損傷を防止するために、その機械的に作動可能な機構の調整を制限する1つ又は複数の内部構成要素と共に機能する、機械的に作動可能な機構を有することが可能である。
【0010】
一実施態様では、工具ホルダが提供される。この工具ホルダは、そのハウジング内に工具タングを受け入れて保持するための溝を定めるハウジングと、手動で調整可能であり且つハウジングの中を通して接触可能であるアクチュエーター機構と、そのアクチュエーター機構に作動的に連結されており且つ1つ又は複数の締付け指片(clamping finger)を備えるクランプアセンブリとを有する。これらの1つ又は複数の締付け指片は、異なるタングスタイルを有する工具をその締付け指片とハウジングの固定壁との間に固定するために移動することが可能である。1つ又は複数の締付け指片の移動は、アクチュエーター機構の調整に対応し、及び、アクチュエーター機構は、ハウジングに対して相対的な複数の位置に調整可能である。この位置の各々は、ハウジングの固定壁に対する締付け指片に関する異なる設定に対応し、及び、この位置のうちの2つ以上の位置の各々が、工具ホルダと共に使用可能である工具の異なるタングスタイルに対応する。
【0011】
別の実施態様では、工具ホルダが提供される。この工具ホルダは、そのハウジング内に工具タングを受け入れて保持するための溝を定めるハウジングと、手動で回転可能であり且つハウジングを通して接触可能である、ねじ付きインサートと、このインサートに作動的に連結されており且つ異なるタングスタイルを有する工具をそのクランプアセンブリとハウジングの固定壁との間に固定するように構成されている、クランプアセンブリとを有する。このクランプアセンブリの移動はねじ付きインサートの回転に対応し、及び、このねじ付きインサートはハウジングに対して相対的に複数の位置に回転することが可能である。この位置の各々は、ハウジング固定壁に対する相対的なクランプアセンブリに関する異なる設定に対応し、及び、この位置のうちの2つ以上の位置の各々が、工具ホルダと共に使用可能である工具の異なるタングスタイルに対応し、及び、ねじ付きインサートは、クランプアセンブリとハウジング固定壁との間に工具を固定する時に、異なるタングスタイルを有する1つ又は複数の工具と工具ホルダとに対する過剰な回転とこれに対応する損傷とを防止するために、回転範囲を有する。
【0012】
次の図面は、本発明の特定の実施形態を例示し、及び、したがって、本発明の範囲を限定するものではない。これらの図面は、(特に明言しない限り)必ずしも一定の比率で描かれているわけではなく、及び、以下の詳細な記述における説明に関連して使用することが意図されている。本発明の実施形態が、以下で、添付図面に関連付けて説明され、及び、同じ番号が同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的な成形工具がその中に装着されている形で工具ホルダが示されている、本発明の特定の実施形態による工具ホルダの斜視図である。
【
図2A】本発明の特定の実施形態による、工具ホルダの中に装着されている異なるタングスタイルを示す、
図1の工具ホルダの内部側面図である。
【
図2B】本発明の特定の実施形態による、工具ホルダの中に装着されている異なるタングスタイルを示す、
図1の工具ホルダの内部側面図である。
【
図4】本発明の特定の実施形態による、
図1の工具ホルダのクランプアセンブリの斜視図である。
【
図5A】本発明の特定の実施形態による、
図4のクランプアセンブリの締付けナットの側面図である。
【
図5B】
図5Aの線V-Vに沿った、本発明の特定の実施形態による
図4のクランプアセンブリの締付けナットの断面図である。
【
図5C】本発明の特定の実施形態による、
図4のクランプアセンブリの締付けナットの斜視図である。
【
図6】線VI-VIに沿った
図3の工具ホルダの断面図である。
【
図9A】本発明の特定の実施形態による、
図4のクランプアセンブリと共に使用可能である代替案のクランププレートの側面図である。
【
図9B】本発明の特定の実施形態による、
図4のクランプアセンブリと共に使用可能である代替案のクランププレートの側面図である。
【
図10】本発明の特定の実施形態による、追加の工具ホルダの斜視図である。
【
図11】本発明の特定の実施形態による、線XI-XIに沿った
図10の工具ホルダの断面図である。
【
図12】本発明の特定の実施形態による、線XII-XIIに沿った
図10の工具ホルダの一部分の断面図である。
【
図13】本発明の特定の実施形態による、
図10の工具ホルダのクランプアセンブリの斜視図である。
【
図14】本発明の特定の実施形態による、別の工具ホルダの斜視図である。
【
図15】線XV-XVに沿った
図14の工具ホルダの断面図である。
【
図16】クラッチヘッドとクラッチプレートとの部分拡大図がさらに示されている、
図14の工具ホルダのクラッチ機構(
図15に示されている)の側面図である。
【
図18】本発明の特定の実施形態による、
図14のクランプアセンブリの斜視図である。
【
図19】本発明の特定の実施形態による、別の工具ホルダの斜視図である。
【
図21】本発明の特定の実施形態による、
図19の工具ホルダのクランプアセンブリの斜視図である。
【
図22】本発明の特定の実施形態による、別の工具ホルダの斜視図である。
【
図23】線XXIII-XXIIIに沿った
図22の工具ホルダの断面図である。
【
図24A】工具ホルダのトランスファーピンに対して異なる方向配置にある、
図22の工具ホルダのねじ付きインサート(
図23に示されているねじ付きインサートに類似している)の断面図である。
【
図24B】工具ホルダのトランスファーピンに対して異なる方向配置にある、
図22の工具ホルダのねじ付きインサート(
図23に示されているねじ付きインサートに類似している)の断面図である。
【
図25】本発明の特定の実施形態による、
図22のクランプアセンブリの斜視図である。
【
図26】トランスファーピンに接触するように画定されているねじ付きインサートの末端表面を示す、
図24Bのねじ付きインサート及びトランスファーピンの方向配置から間隔を開けられている、ねじ付きインサート及びトランスファーピンの斜視図である。
【
図27】本発明の特定の実施形態による、
図22の工具ホルダの代替案に関する、
図23の断面図に類似した断面図である。
【
図28】
図27の工具ホルダのねじ付きインサート(
図27に示されている)の代替案の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明が本質的に例示的なものであり、及び、本発明の範囲、適用性、又は、構成を限定することを全く意図されていない。むしろ、以下の説明は、本発明の例示的な実施形態を実現するための幾つかの実際的な実例を提供する。構造と、材料と、寸法と、製造プロセスの例とが、選択された要素のために提供され、及び、他の要素が、本発明の技術分野の当業者にとって既知であるものを使用する。当業者は、記述されている具体例の多くが様々な適切な代替策を有するということを認識するだろう。
【0015】
図1が、本発明の特定の実施形態による工具ホルダ100の斜視図を示し、及び、工具ホルダ100は、その中に装着されている例示的な成形工具102と共に示されている。図示されているように(及び、
図10の工具ホルダ200、
図14の工具ホルダ300、
図19の工具ホルダ400、
図22の工具ホルダ500と同様に)、工具ホルダ100はモジュール型の設計である。したがって、特定の実施形態では、工具ホルダ100は、プレスブレーキ機械のテーブル(例えば、上部テーブル)に(例えば、細長い棒104を介して)作動的に連結されるか、又は、こうしたテーブルと共に形成されることが可能であるが、工具ホルダ100は、全く同様に、他の工業機械と共に使用されることが可能である。例えば、工具ホルダ100、200、300、400、及び、500は、金属シート又は他の被加工物における、曲げ、折り曲げ、及び/又は、穴の形成のような、任意の様々な成形プロセスを実現するように構成されている工業機械と共に使用されることが可能である。さらに、工具ホルダ100、200、300、400、及び、500は、概ねコンパクトなサイズであるように例示的に示されているが、これらの工具ホルダの長さ(例えば、ホルダ100の長さ106)は、特に、必要に応じて(例えば、プレスブレーキのための意図されたテーブルの長さと工具細工用途に基づいて)変化させられることが可能である。
【0016】
図1を続けて参照すると(及び、代替的な内部図を示す
図2Aと
図2Bを参照すると)、工具ホルダ100の構成要素の大部分が、工具ホルダ100のハウジング110の内側に配置されている。これは、同様に、
図10の工具ホルダ200に関して(
図11の断面図を参照して)説明され、
図14の工具ホルダ300に関して(
図15の断面図を参照して)説明され、
図19の工具ホルダ400に関して(
図20の断面図を参照して)説明され、及び、
図22の工具ホルダ500に関して(
図23の断面図を参照して)説明される。したがって、工具ホルダのこれらの内在化された構成要素は、一般に、作業環境からの汚染物質から概して保護されるだけでなく、さらには操作員による変更を必要とせずに、標準的な使用のために構成されている。
【0017】
上述したように、多くの場合には、非機械的なソース(例えば、油圧式手段、空気圧式手段、電気式手段、又は、他の類似の手段)が、これらの構成要素の作動を高精度で調整するように、工具ホルダ設計によって実現されている。しかし、こうしたソースの使用は、さらに、そのシステムに関する複雑性及び/又はコストの増大を結果的に生じさせている。こうしたシステムとは対照的に、本明細書で具体化されている工具ホルダ100、200、300、400、500は、機械的に作動させられることが可能である。特に工具ホルダ100、200、300、400、500の各々に関して、アクチュエーター機構が備えられており、操作員にとって接触可能であるように工具ホルダハウジングの中を通して露出させられている。例えば、
図1の工具ホルダ100を再び参照すると、ハンドル又はアーム108がハウジング110から延びる。同様に、
図14の工具ホルダ300と
図22の工具ホルダ500とが、それぞれに露出させられているクラッチ機構308とねじ付きインサート508とを示し、及び、
図19の工具ホルダ400が、各々が露出させられている、トランスファーねじ409と組合せの形で使用されるハンドル又はアーム408を示す。
【0018】
図10のツールアセンブリ200を参照すると、トルクねじ機構208が、本明細書で説明されているその他の構成とは違って、工具ホルダハウジング210の中を通して露出させられている形で示されているが、追加の構成要素(例えば、クランププレート122’)が、さらに、操作者に対して露出させられており且つ接触可能である形で示されている。そのために、工具ホルダの特定の構成要素がそれに対する定期的な目視検査又は保守点検を必要とする場合に、このハウジングの設計がそれに対応して変更されることが可能である。しかし、典型的には工具ホルダ200がこうした代替的な設計を示すが、しかし、そのハウジング210は、同様に、工具ホルダ300のハウジング310(又は、工具ホルダ500のハウジング510)に類似した形で同様に提供されることが可能であり、これによって、クランププレート122"がそのハウジング内に備えられる(
図11と
図15又は
図23に比較して確認されるべきである)。同様に、図示されていないが、工具ホルダ100、300、400、及び、500のハウジング設計が別の形に構成されることが可能であり、例えば、工具ホルダ200のハウジングの設計と同様に設計されることが可能であるということを理解されたい。
【0019】
上述したように、工具ホルダ100、200、300、400、及び、500の各々は、機械的に作動させられるように構成されることが可能である。こうした機械的作動は、特定の実施形態では、工具ホルダを備えており且つ手動で調整されるように手が届くことを可能にされているアクチュエーター機構から生じる。そのために、特定の実施形態では、アクチュエーター機構は、操作者の操作によって調整されるように構成されている。工具ホルダ内に工具を固定する場合には、特定の実施形態では、アクチュエーター機構に対して行われる手動の調整が、単一の段階又は操作の形で実行可能である。本明細書でさらに詳細に後述するように、アクチュエーター機構の使用が、工具ホルダ内に工具が固定されることを可能にし、及び、さらには、使用される工具タングスタイルに関して保証されている締付け圧力を提供する。特定の実施形態では、アクチュエーター機構の使用の結果として得られるこうした圧力の大きさが、工具ホルダ内に工具を固定するために提供されるだけでなく、さらには、これに対応する形で、工具及び/又は工具ホルダに対する損傷の危険性を最小限にするように、アクチュエーター機構の特定の箇所において調整される。
【0020】
背景としての役割を果たす上述の説明と共に、
図1の工具ホルダ100に議論の中心を戻す。すでに上述したように、工具ホルダ100はハウジング110を含み、及び、工具ホルダ100の構成要素の大部分がこのハウジング110内に保持されている。工具ホルダ100の作動のために、アーム108が使用され、及び、このアーム108は、ハウジング110内(例えば、前方ハウジング壁114内)に画定されている穴112から延びる形で示されている。すでに上述したように、
図2Aと
図2Bは、工具ホルダ100の内部側面図を示し、及び、特に、その工具ホルダ100に固定されている異なるタングスタイルを有する工具を示す(溝付きスタイルの工具102aが
図2Aに示されており、及び、直線状スタイルの工具102bが
図2Bに示されている)。これらの図は、ハウジング110の側方表面プレート116が取り除かれている工具ホルダ100を示し、及び、さらに詳細に後述するように、(
図2Aと
図2Bの各々に部分的に示されている)アーム108の異なる位置に基づいた、ハウジング110内に収容された構成要素の位置を示す。特定の実施形態では、これらの内部構成要素は、締付けナット118と、締付けボルト120と、クランププレート122と、1つ又は複数の締付け指片124とを含む。こうした内部構成要素は、この場合に共同して前進移動する時に、締付けアセンブリ130として示されており(別個にこのアセンブリ130を示す
図4を参照されたい)、及び、さらに、例えばホルダ100のアーム108のような、アクチュエーター機構を含むことが可能である。
【0021】
図1の工具ホルダ100と同様に、
図10の工具ホルダ200と、
図14の工具ホルダ300と、
図19の工具ホルダ400と、
図22の工具ホルダ500とが、機械式の締付けアセンブリ、即ち、
図13に示されている締付けアセンブリ230と、
図18に示されている締付けアセンブリ330と、
図21に示されている締付けアセンブリ430と、
図25に示されている締付けアセンブリ530をそれぞれ有するように構成されている。しかし、本明細書でさらに後述されるように、クランプアセンブリ130、230、330、430、530はそれ自体の構造的相違点を有し、及び、各々がクランププレートと1つ又は複数の締付け指片とを含む。そのために、これらの工具ホルダのアクチュエーター機構の手動調節がある場合には、クランププレートの位置決めが、これに対応して、工具ホルダに対して/工具ホルダから異なるタングスタイルを有する工具を固定/釈放するために、1つ又は複数の締付け指片と協調して変化させられる。特定の実施形態では、アクチュエーター機構の異なる調整が、異なるタングスタイルを有する各々の工具に対してそれぞれに必要とされる。しかし、他の実施形態では、工具のタングスタイルに違いに係わらず、同一の調整がアクチュエーター機構のために必要とされることが可能である。
【0022】
工具ホルダ100について再び言及すると、
図3は、本発明の特定の実施形態によるアーム108に関する動き(又は、調整)の範囲を示す、工具ホルダ100の正面図を示す。そのために、アーム108は、工具ホルダ100のハウジング110に対して相対的に回転するように構成されている。
図4を参照すると、アーム108は、このアーム108と締付けナット118とが対応して共に回転するように、締付けナット118に作動的に連結されている。
図5Aと
図5Bと
図5Cは、締付けナット118の側面図と断面図と斜視図を示す。
図5A(及び、工具ホルダ100の断面図を示す
図6)を参照すると、特定の実施形態では、アクチュエーターアーム108の連結された端部が、締付けナット118の頭部118b内に画定されている対応する穴118aの中に受け入れられる。さらに、(
図4を参照すると)、特定の実施形態では、ハウジング110の周りでアクチュエーターアーム108を回転させる際のレバー式構造を形成するために、アクチュエーターアーム108が(ハウジング110に向かって)さらに傾斜させられることが可能であるように、穴118aが細長い形状を有する。
【0023】
図3を再び参照すると、特定の実施形態では、アクチュエーターアーム108と締付けナット118の回転が、共同して180度以下の範囲に制限される。
図2Aと
図2Bとに戻ると、特定の実施形態では、アクチュエーターアーム108の制限された回転範囲は、ハウジング110の内側に堅固に保持されているストップピン126と、締付けナット頭部118bの外周部内に画定されている溝118cとの協働に基づいている。特に、ストップピン126は溝118cの中に延びるように位置合わせされており、これによって、締付けナット118の回転がその溝の長さに制限される。
図5A-5Cを参照すると、締付けピン118の溝118cがおそらく最も明瞭に示されている。特に、
図5Cは、アクチュエーターアーム108が開始位置A(
図3を参照されたい)にある時にハウジング110内に備えられている状態での締付けナット118の初期方向配置を示す。
図5Aと
図5Bにさらに示されているように、特定の実施形態では、溝118cは、締付けナット頭部118bの外周部の周りに180度以下に延び、したがって、これに対応して、締付けナット118とアクチュエーターアーム108の両方の回転をこの範囲に制限する。
【0024】
特定の実施形態では、アクチュエーターアーム108の回転範囲に沿って、アクチュエーターアーム108のための複数の停止点(例えば、対応する戻り止め118dによって溝118c内に画定されている)が存在している(しかし、戻り止めを使用しない場合にも、指片124とタングとの間の対応する接合力が、こうした停止点におけるアクチュエーターアーム108に対する重力と共に、十分である可能性がある)。特定の実施形態では、これらの停止点が、工具ホルダ100がそれを収容するように構成されている異なるタングスタイルの数量に対応する。
図3に戻ると、アクチュエーターアーム108と締付けナット118が、少なくとも2つの設定された停止点、即ち、(
図2bに示されている)直線状スタイルのタング102bに関する1つの停止点128aと、(
図2aに示されている)溝付きスタイルのタング102aに関する別の停止点128bとを有するように示されている。
図2Aと
図2Bと
図3を参照すると、アクチュエーターアーム108が(点Aから開始して)時計方向に移動させられる時に、締付けアセンブリ130のクランププレート122と、これに対応して、1つ又は複数の締付け指片124とが、ハウジング110の遠方の壁に対して必要な長さに、工具ホルダ100の内方に横断させられる。特に、回転範囲に沿った停止点128a、128bは、壁132、136の間に装着される時に、異なるスタイルのタング102b、102aを固定するように、近傍の壁136内に画定されている対応する穴134から1つ又は複数の締付け指片124が突出させられる場合の突出長さに対応する。
【0025】
図4の締付けアセンブリ130に戻ると、締付けナット118は締付けボルト120に調整可能な形で連結されており、及び、この締付けボルト120は、クランププレート122に作動的に連結されている。特定の実施形態では(及び、さらには、
図5Cに示されている締付けナット118の斜視図を参照すると)、締付けナット118は、
図6の工具ホルダ100の断面図に示されているように、締付けボルト120の端部をねじ止め式に受け入れるように構成されている、その締付けナット118の頭部118bの反対側に位置するねじ山付き穴118eによって画定されている。さらに続けて
図4と
図6を参照すると、締付けボルト120は、ハウジング110内に堅固に保持されている方向配置ピン138との接触によって、回転しないように固定されている形に保持されている。したがって、アクチュエーターアーム108が初期位置Aから停止点128a、128bの一方に回転させられる時に、これに対応して、締付けナット118が締付けボルト120を中心として回転する。しかし、締付けボルト120が回転可能な形で保持されているので、これに対応して締付けボルト120が締付けナット118の内方に移動する。
【0026】
続けて
図4と
図6を参照すると、図示されている特定の実施形態では、締付けボルト120は、クランププレート122内に画定されている穴122eの中を通って延び、及び、締付けボルト120の頭部120aは、(
図7に示されている)クランププレート122の後方側部122cに位置させられている。したがって、停止点128a、128bに向かうアクチュエーターアーム108の回転が、締付けナット118の対応する回転を結果的に生じさせ、及び、このことが、対応する形で、締付けナット118の中への締付けボルト120の受け入れと、クランププレート122の内方への引張りとを結果的に生じさせる。クランププレート122のこうした内方への引張りが、工具ホルダ壁132、136の間に装着された工具タングに向かう、1つ又は複数の締付け指片124の対応する突き出しを引き起こす。再び
図3を参照すると、アクチュエーターアーム108のより大きい度合いの回転が、締付け指片124のより大きな度合いの突出に対応する。従って、締付け指片124が、溝付きタングに接触するために、さらに大きく突き出すことが必要なので、アクチュエーターアーム108の(停止点128bへの)より大きい度合いの回転が確実なものにされ、且つ、これとは対照的に、アクチュエーターアーム108のより小さい度合いの回転が、コンパクトな直線状スタイルのタングに締付け指片が接触するために必要とされる。
【0027】
当然であるが、装着された異なるタングスタイルを有する工具を工具ホルダ100から取り外すために、アクチュエーターアーム108は、これに対応して、停止点128a、128bのどちらかから開始点Aに戻るように反時計回りに回転させられる。そのために、アクチュエーターアーム108のこの回転は締付けナット118の対応する回転を結果的に生じさせ、及び、このことが、これに対応した、締付けナット118からの締付けボルト120の一部分の引き抜きを生じさせ、さらに、これに対応する締付けボルト頭部120aの外方への伸長を生じさせ、及び、このことが、対応するクランププレート122の外方移動と、工具ホルダ100の溝からの、近傍の壁136の対応する穴134の中への締付け指片124の対応する後退とを結果的に生じさせる。
【0028】
上述したように、組込み許容範囲が工具ホルダの設計において考慮され、及び、こうした考慮は、具体化された工具ホルダ設計において失われない。
図1の工具ホルダ100、
図10の工具ホルダ200、
図14の工具ホルダ300、
図19の工具ホルダ400、及び、
図22の工具ホルダ500の許容範囲領域が、そのクランプアセンブリにおけるクランププレートと1つ又は複数の締付け指片との共通使用を原因として、同じ許容範囲領域を有するように構成されている。そのために、本明細書で具体化されている工具ホルダ設計では、(クランププレート122の接触端部122bの水平方向長さに沿って)締付け指片124に対して加えられる力に沿って、且つ、(クランププレート122の接触端部122bの深さ内において)こうした力に対して横断方向に(又は、交差して)、許容範囲領域を導入することによって、増大した許容範囲が、その工具ホルダ設計から得られるということが、すでに判明している。例えば、工具ホルダ100の1つ又は複数の締付け部分とその中に固定されている工具との間に、自由度又は遊びが実質的に存在しない。そのために、この許容範囲の補完が、異なるタングスタイルの使用の場合に特に適切に機能する。これに関する1つの論理的根拠は、こうした許容範囲領域が、互いに対する近接性と、加えられる力に対する異なる(例えば、横断方向の)平面におけるそのフォーカスとによって、集合的な機能に関してより適切に適合させられているからである。
【0029】
特定の実施形態では、
図2Aと
図2Bと
図7と
図8に示されているように、工具ホルダ100と特にクランプアセンブリ130とに関する許容範囲領域が、(おそらくは、
図7に最も適切に示されている)クランププレート122の接触端部122bの水平方向の長さhに沿って画定されている複数のスリット140と、(おそらくは、
図2Aと
図2Bと
図8に最も適切に示されている)クランププレート122の接触端部122bの深さd内に画定されている複数のスリット142として、実現されている。そのために、クランププレート122上のスリット140、142の分布によって、そのスリット140、142は、工具/工具ホルダ締付け力に関して共通しているが提供されている許容範囲が無視できるほどの度合いではない400ポンドの力を受ける時に、スリット140、142が集合的に作動させられる。
図9Aと
図9Bを参照すると、予想される力に対する十分な適合である許容範囲領域を依然として生じさせながら、クランププレート122の深さd内に画定されているスリット142が変更されることが可能であるという、さらに別の分析が示されている。そのために、特定の実施形態では、代替案のクランププレート構成123、123’が使用されることが可能であり、及び、クランプ端部123b、123b’の切り抜き部分が、ウレタンのような形状記憶材料144a、144bで満たされている。
【0030】
上述した他の
図10の工具ホルダ200、
図14の工具ホルダ300、
図19の工具ホルダ400、及び、
図22の工具ホルダ500に関して述べると、これらの工具ホルダは、工具ホルダ100に比較して類似した設計を有する。特に、これらの工具ホルダは、機械的にアクチュエーター機構を有することが可能であり、及び、同様に、クランププレート及び締付け指片の同様の設計を含み且つ使用することが可能である。そのために、工具ホルダ200、300、400、500の許容範囲領域は、上述したように、クランププレートに関する同一のスリット構成(又は、スリットと形状記憶材料との組合せ)を同様に使用して、有利な形で影響を及ぼされることが可能である。さらに詳細に上述したように、これらの工具ホルダ200、300、400、500は、ツールアセンブリ100に類似した全体的機能(即ち、異なるタングスタイルに対する保証された圧力を提供すると同時に、こうした異なるタングスタイルを有する工具を固定するために)を共有するが、工具ホルダ200、300、400、500は構造的に互いに異なっており、したがって、これに対応して、それぞれにそのクランプアセンブリ230、330、430、530を介してこうした機能を果たす、互いに異なる仕方を有する。
【0031】
上述した
図10の工具ホルダ200から説明を始めると、この工具ホルダ200は、工具ホルダ200の構成要素の大半を収容するハウジング210を含む。さらに説明されているように、工具ホルダ200の作動機構が、トルクねじ機構208の形状をとる。図示されている特定の実施形態では、このトルクねじ機構208は、ハウジング210内に画定されている穴212から(例えば、ハウジング210の前方壁214を経由して)突き出る。そのために、トルクねじ機構208は、工具ホルダ200を機械的に作動させるために、(図示されている六角穴付き頭部を介して)ハウジング210に対して相対的に回転するように構成されている。
図13を参照すると、工具ホルダ200のクランプアセンブリ230は、機構208と、内部クラッチ232と、ねじ付きインサート234と、トランスファーピン236と、クランププレート122’と、1つ又は複数の締付け指片124’によって形成されている。
図1の工具ホルダ100と比較する時に理解されるように、工具ホルダ200のクランプアセンブリ230は、アクチュエーター機構と共に使用されるタングのスタイルにではなく、アクチュエーター機構に加えられる作動力の大きさに依存している。
【0032】
図11を参照すると、内部クラッチ232は、通常の装着状態では、トルクねじ機構208に作動的に連結されている。したがって、機構208と内部クラッチ232は、一体的に回転するように構成されている。図示されているように、内部クラッチ232は、さらに、内部クラッチ232が回転する時にねじ付きインサート234が雌ねじ238に沿って外方に移動させられるように、ねじ付きインサート234に連結されている。ねじ付きインサート234のこの外方への移動によって、トランスファーピン236は、これに対応して、(ねじ付きインサート234との端部同士の接触によって)外方に移動させられる。図示されているように、トランスファーピン236の外方移動は、これに対応する外方移動を生じさせ、プレート端部122b’とは反対側に位置するクランププレート122’の端部122a’が締付け指片124’に接触する。プレート端部122a’のこうした外方移動lは、1つ又は複数のボルト240を中心としてプレート122’が回転することを生じさせ、したがって、反対側に位置するクラッチプレート端部122b’が締付け指片124’に係合し、工具ホルダ200の反対側に位置する壁246に対して、装着された工具タングを固定するために、工具ホルダ200の近傍壁244内に画定されている対応する穴242から締付け指片124’が突き出すことを生じさせる。
【0033】
図12を参照すると(及び、
図11を参照すると)、トルクねじ機構208の頭部208aの意図された装着状態において、内部クラッチ232が、クラッチトラック(clutch track)252のポケット250の中を延びるクラッチピン248によって、頭部208aに対して保持されている。しかし、締付け指片124’が工具タングに対して押しつけられている場合のように、意図された装着よりも高いが頭部208aに対して(及び、これによってトルクねじ機構208に対して)加えられる場合には、例えば、クラッチピン248がトラックポケット248から押し出され、これによってクラッチ232をトルクねじ機構208から係合解除するようにクラッチ232を作動させる。したがって、トルクねじ機構208は、自由に回転するままにされて、係合解除される。そのために、トルクねじ機構208は、これに対応して(クラッチピン248を介して)クラッチ232によって再係合させられるように、逆の形で回転させられるままにだけされ、及び、クラッチ232の逆回転が、ねじ付きインサート234とトラスファーピン236とクランププレート122’との後退に対応し、さらにこれに対応して、締付け指片124’が工具の釈放のために工具から後退する。そうでない場合には、締付け指片124’は、工具を固定するその突出状態を維持する。
【0034】
図14の工具ホルダ300に説明を進めると、上述したように、この工具ホルダ300は、工具ホルダ300の構成要素の大部分を収容するハウジング310を含む。さらに説明すると、工具ホルダ300の作動機構はクラッチねじ308の形態をとる。図示されている特定の実施形態では、クラッチねじ308は、(例えば、ハウジング310の前方壁314内において)ハウジング310内に画定されている穴312から突き出す。そのために、クラッチねじ308は、工具ホルダ300を機械的に作動させるために、(例えば、図示されている六角穴付き頭部を介して)ハウジング210に対して相対的に回転するように構成されている。
図18を参照すると、工具ホルダ300のクランプアセンブリ330は、クラッチねじ308(さらに具体的には、クラッチねじ頭部308a)と、クラッチプレート332と、クラッチばね334と、トランスファーねじ336と、トランスファーピン338と、クランププレート122”と、1つ又は複数の締付け指片124”によって形成されている。理解されるように、
図10の工具ホルダ200と同様に、工具ホルダ300のクランプアセンブリ330は、トルク閾値を伴って機能し、このトルク閾値は、それが超えられる時に、クラッチねじ308の頭部308aを自動的に係合解除する。したがって、工具ホルダ300のクランプアセンブリ330は、この工具ホルダ300と共に使用されるタングのスタイルによってではなく、アクチュエーター機構に加えられる作動力の大きさに依存している。
【0035】
工具ホルダ200のクランプアセンブリ230と同様に、クラッチねじ308の頭部308aは、意図された荷重よりも大きい荷重がそのクラッチねじ頭部308aに対して及ぼされる時に(クラッチねじ308の作動によって)分離するアセンブリを有するように、作動的に構成されている。特に、
図17に示されているように、クラッチねじ308の回転のために意図されている荷重の条件の下で、クラッチねじ頭部308aが、クラッチプレート332とクラッチばね334とトランスファーねじ336と協働して作用するように構成されている。そのために、ねじ頭部308aとクラッチプレート332は、頭部308の通常の荷重の場合には、ハウジング310内に画定されているポケット339内において、ねじ頭部308aとクランププレート332に作用するクラッチばね334に基づいて、共に回転するように構成されている。
図15を参照すると、クラッチプレート332はトランスファーねじ336に連結されており、したがって、クラッチプレート332が回転する時に、トランスファーねじ336は雌ねじ337に沿って外方に移動させられる。トランスファーねじ336のこの外方移動によって、トランスファーピン338は、これに対応して、(トランスファーねじ336との端部相互間の接触によって)外方に移動させられる。図示されているように、トランスファーピン338の外方移動は、締付け指片124”に接触するプレート端部122b”とは反対側に位置する、クランププレート122”の端部122a”を伴う、対応する外方移動を生じさせる。プレート端部122a”のこうした外方への偏向は、プレート122”が1つ又は複数のボルト340を中心として旋回することを生じさせ、したがって、反対側に位置するクラッチプレート端部122b”が締付け指片124”に係合し、及び、装着された工具タングをホルダ300の反対側の壁346に対して押し付けて固定するために、工具ホルダ300の近傍壁344内に画定されている対応する穴342から外に締付け指片124”が突き出すことを生じさせる。
【0036】
図15と
図16を参照すると、トルクねじ機構308の頭部308aの意図された荷重の場合に、クラッチプレート322は、ハウジングポケット339内の閉じ込めからのクラッチばね334による圧力によって頭部308aに作動的に接合される。しかし、工具タングに対して締付け指片124”が押し当てられる場合のような、意図された荷重よりも高い荷重が頭部308aに(及び、これによって、クラッチねじ308に)加えられる場合には、クラッチばね33が潰れ、これによってクラッチプレート歯332aが、頭部308aの下側部の周りに画定されている嵌合凹み308bから離脱することを可能にする。こうした係合解除が生じると、頭部308aは自由に回転して係合解除されたままにされる。そのために、頭部308aは、対応してクラッチプレート332と再係合させられるように、(クラッチばね334の跳ね返り状態に戻ることによって)反対の仕方で回転させられるままにされるだけであり、及び、クラッチプレート232の逆回転が、トラスファーねじ336とトランスファーピン338とクランププレート122”の後退に対応するだろうし、及び、締付け指片124”は、これに対応して、工具の釈放のためにその工具から後退する。そうでない場合には、締付け指片124”は、その突出状態にあり、工具を固定する。
【0037】
さらに、
図19の工具ホルダ400を参照すると、上述したように、この工具ホルダ400は、この工具ホルダ400の構成要素の大半を収容するハウジング410を含む。さらに詳細に説明すると、工具ホルダ400の作動機構が、トランスファーねじ409との関連において使用されるハンドル又はアーム408の形状をとる。図示されている特定の実施形態では、アーム408とトランスファーねじ409の両方が、(例えば、ハウジング410の前方壁414内において)それぞれにハウジング410内に画定されている対応するスロット411と穴412とから突き出る。そのために、トランスファーねじ409は、直線状スタイルのタング(この場合にはトランスファーねじ409はハウジング410から後退させられる)、又は、溝付きスタイルのタング(この場合にはトランスファーねじ409はハウジング410の中に前進させられる)のどちらのために、締付けシステム430を設定するために、ハウジング410に対して相対的に(例えば、図示されている六角穴付き頭部によって)回転するように構成されている。
【0038】
トランスファーねじ409が、意図されたタングスタイルに対応する設定で提供される時は、アーム408が、工具ホルダ400を機械的に作動させるために使用される。
図21を参照すると、工具ホルダ400のクランプアセンブリ430が、アーム408と、カムカートリッジ432と、カム434と、トラスファーピン436と、クランププレート122’”と、1つ又は複数の締付け指片124’”とによって形成されている。理解されるように、回転範囲に沿ったアーム408の前進(図ではAからB)が、締付け指片124’”と接触させる形にクランププレート122’”の反対側の端部122b’”を内方に回転させて、これによって、さらに詳細に後述するように、意図されたスタイルのタングと接触する形に締付け指片124’”を移動させるように、クランププレート122’”が一方の端部122a’”上に押し当てられることを結果的に生じさせるので、アーム408による工具ホルダ400の作動は、
図1の工具ホルダ100に幾分か類似している。
【0039】
本発明の特定の実施形態による、側壁416が取り除かれている時のハウジング410の内部側面図を示す、
図20を参照する。図示されているように、アーム408の作動(回転)時に、カムカートリッジ432内のカム434が方向を変えられ(回転させられ)、これによって、カム434の対応する外側表面が、カムカートリッジ432の対応する内側壁に接触させられ、これによって、カムカートリッジ432の反対側の外側壁をトランスファーピン436に押し当たるように外方に偏向させる。カムカートリッジ432の外側壁とのこうした接触によって、トランスファーピン436がこれに対応してクランププレート端部122a’”に突き当たるように方向付けられ、したがって、クランププレート122’”が1つ又は複数のボルト438を中心として旋回し、これによって反対側のクラッチプレート端部122b’”が締付け指片124’”を偏向させ、及び、装着された工具タングを工具ホルダ400の反対側の壁444に対して押し当たる形で固定するように、締付け指片124’”が、工具ホルダ400の近傍壁442内に画定されている対応する穴440から突き出ることを生じさせる。
【0040】
装着された異なるタングスタイルの工具を工具ホルダ400から取り外すために、アーム408は、これに対応して、(点Bから点Aに)逆戻りするように回転させられる。そのために、アーム108のこのような回転が、カム434の当初の方向配置へのカム434の対応する回転を結果的に生じさせ、さらに、このことがクランププレート122’”がそのクランププレート122の以前の位置に逆戻りするように旋回することと、他方では、これに対応して、工具ホルダ400の溝から近傍壁442の対応する穴440の中に締付け指片124’”が旋回して戻ることとを結果的に生じさせる。
【0041】
図22の工具ホルダ500を参照すると、工具ホルダ500は、ここで説明するように、その他の工具ホルダ100、200、300、及び、400の構造及び対応する機能性に関して多くの類似点を有する。そのために、工具ホルダ500はこれらの他の工具ホルダの幾つかの特性を有するが、工具ホルダ500は、さらに、独特であり且つさらに好適である特徴を有する。こうした類似点及び特徴の具体例が、工具ホルダ500に関する後述の説明から明らかになるだろう。
【0042】
(それぞれに工具ホルダ500の斜視図と断面図とを示す)
図22と
図23とを参照すると、工具ホルダ500は、工具ホルダ100、200、300、400に類似している、工具ホルダ構成要素の大部分を収容するハウジング510を含む。しかし、工具ホルダ500は、比較的により少数の構成要素しか必要とせず、及び、したがって、より単純な設計しか必要としない。したがって、この設計は、製造コストを低減させるだけでなく、保守整備コストも低減させる(即ち、構成要素がより少数であるという理由から、機械的故障の可能性が減少させられる)傾向がある。こうした好ましい側面と他の好ましい側面とが、工具ホルダ500と共に使用されるコンパクトで多機能性の作動機構から生じる。
【0043】
上述したように、本明細書で具体化されている工具ホルダは、その工具ホルダに関して工具の保持(又は釈放)を起動すると同時に、さらには、使用される工具のタングスタイルのために保証されている締付け圧力を提供するために、作動機構を使用する。工具ホルダ500の場合には、この作動機構はねじ付きインサート508を含む。特定の実施形態では、さらに詳細に後述するように、インサート508は二重螺旋ねじを形成する。特に、(工具ホルダ500の他の構造から分離されたインサート508を示す)
図26を参照すると、第1の螺旋が、(工具ホルダ500のための締付力を容易化する)インサートの雄ねじ532によって提供されることが可能である。さらに、第2の螺旋が、(工具の保持/釈放のためのインサート508の上流の構成要素の移動の多くを容易化する)インサートの先頭端部508aに画定されているピッチ溝534によって、提供されることが可能である。詳細に後述するように、インサート508の二重螺旋設計が、作動プロセスが効果的であり且つ効率的であることを可能にする。
【0044】
図22に戻ると、(及び、
図23を参照して)、示されている特定の実施形態では、ねじ付きインサート508が、工具ホルダハウジング510内に(例えば、その前方壁514内に)画定されている穴512から突き出す。そのために、インサート508は、工具ホルダ500を機械的に作動させるために、(ハウジング510内に画定されているねじ付き穴538内で)ハウジング510に対して相対的に(例えば、六角穴付き頭部508bによって)回転するように構成されている。本明細書でさらに詳細に説明するように、及び、
図1の工具ホルダ100と同様に、工具ホルダ500のねじ付きインサート508の異なる調整(回転)が、これに対応して、異なるタングスタイル(例えば、溝付きタングと直線状タング)を有する工具を保持するために必要とされる。
【0045】
上述の説明を続けると、ねじ付きインサート508は、ハウジング510に対して時計回りと反時計回りの両方向に回転可能であるように構成されている。特定の実施形態では、どちらかの方向へのインサート508の回転範囲が360度(即ち、フル回転)未満であり、及び、おそらくはより好ましい実施形態では、回転の範囲は180度以下である。より詳細に後述するように、ねじ付きインサート508は、工具ホルダ500に関する個別的な設定に対応する、こうした回転範囲に沿った複数の位置を占める。
図22を参照すると、示されている特定の実施形態では、ねじ付きインサート508のこうした回転可能な位置が、これに対応して、標示502、504、506として、穴512の外周部の周りにおいて、ハウジング510上に刻印されている。上述したように、各々の標示502、504、506は、工具ホルダ500に関する対応する設定として識別/関連付けされる。特に、標示502は、溝付きスタイルのタングに関する工具ホルダ500の固着設定/状態を知らせ、標示504は、直線状スタイルのタングに関する工具ホルダ500の固着設定/状態を知らせ、及び、標示506は、工具タングスタイルに無関係に、工具ホルダ500に関する固着解除設定/状態を知らせる。
【0046】
図22を参照して上述の説明をさらに続けると、ねじ付きインサート508は、工具が保持されるべきか又は釈放されるべきかに応じて、及び、保持される場合には工具のタングのスタイルに応じて、必要に応じて、こうした設定標示502、504、506の間でトグルされる(即ち、回転させられる)ように構成されている。特定の実施形態では、インサート508の回転位置とこれに対応する工具ホルダ500の設定とが、(インサート508の露出端部508d上の)指標508cの使用と、ハウジング510上の所望のこうした設定標示502、504、506の整合とによって、視覚的に表示される。
【0047】
図23と
図24Aと
図24Bを参照すると(及び、
図26をさらに参照すると)、インサート508の回転範囲は、特定の実施形態では、トラスファーピン536(例えば、トランファーピンの丸い端部又は球形端部536a)と、インサート508の先頭端部508aに画定されているピッチ溝534との間の連結に基づくことが可能である。例えば、ピン536は溝534の中に延びるように位置合わせされ、一方、このピンの垂直位置がハウジング510内で維持される。したがって、インサート508の回転範囲は、溝の長さに限定されることが可能である(インサート508が回転させられる時に、この溝の長さに沿って、及び、この溝の長さの範囲内を、ピン536が移動する)。しかし、特定の実施形態では、溝534/ピン536の連結が、インサート508の回転の範囲を画定/制限する上での幾つかの要因の中の一要因に過ぎないことが可能である。例えば、特定の実施形態では、(インサート508が中に受け入れられる)ねじ付きボス538の深さが、さらに、インサート508の回転範囲を定めることに寄与する(又は、さらに効果がある)要因であることも可能である。そのために、
図23を参照すると、これに対応してボス538の深さが制限され、インサート508の過剰な回転の可能性を効果的に排除することが可能である。
【0048】
図26を参照すると、(及び、
図24Aと
図24Bとを参照すると)、ねじ付きインサート508の溝534が示されている。図示されている溝534は、インサート508の先頭端部508aの周りで湾曲している。特定の実施形態では、溝534は、その長さによって、インサート508の回転を180度以下に制限するように構成されている。そのために、(及び、
図22を再び参照すると)、設定標示502、504、506が、これに対応して穴512の周りに分布しており、したがって、例えば「固着」設定標示502から「固着解除」設定標示506への反時計回り方向(又は、これとは逆の時計回り方向)での移動時に、インサート指標508cのトグルが、類似の回転角度に沿って実現されるだろう。
【0049】
工具ホルダ500のクランプアセンブリ530の構成要素と、こうした構成要素の概略的な配置とを示す、
図25を参照する。上述したように、クランプアセンブリ530は、限られた量の構成要素を有し、特に、これらの構成要素は、ねじ付きインサート508と、トランスファーピン536と、クランププレート122”と、1つ又は複数の締付け指片124”とを含む。上述したように、及び、
図23と
図24Aと
図24Bとにさらに示されているように、トランスファーピン536は、(ねじ付きインサートの溝534を介して)ねじ付きインサート508に連結されている。そのために、(例えば設定標示502、504、506への)インサート508の異なる回転が、トラスファーピン536の異なる横方向調整(及び、トランスファーピン536に連結されているクランププレート122”に対する調整)に対応する。クランププレート122”と締付け指片124”とが
図14の工具ホルダ300からの同じ構成要素と同じ参照番号を有するということに留意されたい。そのために、これらの構成要素の各々は、
図14の工具ホルダ400と
図22の工具ホルダ500において、類似の形で構成されており且つ配置されている。しかし、工具ホルダ300と工具ホルダ500のこれらの構成要素が、(例えば、工具ホルダ100のクランププレート122と工具ホルダ200のクランププレート122’の場合と同様に)構造的な相違点を同様に有するが、工具ホルダ内に工具を保持/釈放する類似の機能性を依然として有するということを理解されたい。
【0050】
上記の説明を続け、さらに
図24Aと
図24Bとを参照すると、ねじ付きインサート508とトラスファーピン536とが、(
図23に示されている断面図に類似した)断面図の形で示されており、このねじ付きインサート508は、工具ホルダ500に関する設定標示502、506(
図22を参照されたい)に対応する回転位置で示されている。そのために、これらの設定502、503(及び、設定504)は、インサート端部508a内に画定されている溝534に沿ったピン536の位置に特に基づいた、ねじ付きインサート508との連結によるトラスファーピン536の異なる調整に相当する。上述したように、溝534は、その長さに沿ってピッチを有するように画定されている。理解されるように、溝534の長さに沿ったその溝534のピッチとこれに対応する深さとが、クランププレート122”と締付け指片124”に対する対応する影響を伴って、インサート508と溝534とが回転させられる時に、トランスファーピン536の調整の量に直接的に影響を与える。溝534に沿ったピッチと深さに関する一般性(generality)が、
図23と
図26を参照して、
図24Aと
図24Bとから得られることが可能である。
【0051】
図24A(及び、同じ構成を示す
図23)を参照すると、インサート508が、工具ホルダ500に関する設定標示502に対応する回転位置534aにおいて示されている。上述したように、設定標示502は、溝付きスタイルのタングに関する工具ホルダ500の固着設定/状態を知らせる。この設定では、溝付きスタイルのタングに関する固着状態を実現するために、ピン536(及び、クランププレート122”と締付け指片124”)を対応する形で外方に作動/方向付けるように、(溝534との接触による)ピン536の最大の調整/突き出しが保証される。したがって、特定の実施形態では、インサート508のこの回転位置においてピン536と接触している溝534の深さが、(溝長さの他の部分に比べて)その深さの最小レベルであるか又は最小レベルに近い。このピン位置534aにおいて溝534が最小深さなので、特定の実施形態では、このピンは、対応して、溝の長さの一方の末端に又はこの末端の付近に位置しており、及び、このピン位置で始まって溝長さの反対側の末端に向かって進行する溝534のピッチが低下するか又は減少するだろう。
【0052】
図24B(及び、同一の構成を分解組立図の形で示す
図26)を参照すると、インサート508は、工具ホルダ500に関する設定標示506に対応する回転位置534cにおいて示されている。上述したように、設定標示506は、タングスタイルには無関係に、工具ホルダ500に関する固着解除設定/状態を知らせる。この設定では、工具ホルダに関する固着解除設定/状態を実現する(
図27を参照されたい)ために、ピン536(及び、クランププレート122”と締付け指片124”)を対応する形で内方に引き戻すか又は後退させるように、(溝534との接触による)ピン536の最小の調整/突き出しが保証される。したがって、特定の実施形態では、インサート508のこの回転位置におけるピン536との接触状態にある溝534の深さが、(溝長さの他の部分に比較して)最大レベルにあるか又は最大レベルに近い。このピン位置534cにおいて溝534が最大深さなので、特定の実施形態では、このピンは、これに対応して、溝の長さの他方の末端において又はこの他方の末端の付近に位置しており、及び、このピン位置で始まって溝長さの反対側の末端に向かって進行する溝534のピッチが上昇するか又は増大するだろう。
【0053】
明確には示されていないが、設定標示504に対応するねじ付きインサート508の回転位置に関する溝534内のピン位置534bが、
図26において参照され、及び、
図24Aと
図24Bとにおいて示されている構成の中間であるだろう。上述したように、設定標示504は、直線状スタイルのタングに関する工具ホルダ500の固着設定/状態を知らせる。こうした設定では、ピン536の位置が標示506からトグルされ終わっている場合に、直線状スタイルのタングに関する固着状態を実現するために、(インサート508からの)ピン536の保証された調整が、(クランププレート122”と締付け指片124”と共に)ピン536を内方に押し動かすことを含むだろう。これとは逆に、ピン536の位置が標示502からトグルされている場合に、保証された調整が、これに対応して、溝付きスタイルのタングに関する工具ホルダ500の固着設定/状態から後退するために、(クランププレート122”と締付け指片124”と共に)ピン536を内方に引き戻す/後退させるだろう。したがって、特定の実施形態では、インサート508のこの回転位置においてピン536と接触している溝534の深さが、その深さの最大レベルと最小レベルの中間であり、及び、そのために、ピン位置534bは、これに対応して、溝長さの中間点に又は中間点付近に位置させられるだろう。ピン位置534bにおけるピッチは、ピン位置534aに比べて低下/減少しているだろうが、依然としてピン位置534cに比べて上昇/増大しているだろう。
【0054】
溝534に関して上述した一般的なピッチ(及び、深さ)の特徴を考慮して、インサート508の雄ねじ532と、上述したインサート508の二重螺旋設計の好ましい側面とについて言及する。インサート508の外径に関して、インサート508の雄ねじ532の故に、インサート508はピッチを有する。そのために、雄ねじ532と溝534のピッチは加算性であり、及び、その設計は、トラスファーピン536の調整/移動に関して効果的な形で機能するだろう。特定の実施形態では、2つのピッチが互いに異なり、特に、(雄ねじ532の)インサート外径ピッチは(溝534の)インサート末端ピッチよりも小さい。一例では、雄ねじ532のピッチは2mmであってもよく、及び、溝534のピッチはより大きく画定され、例えば、3.75mmだろう。この場合には、ピッチが同様に加算性であり、5.75mmの全体ピッチに等しい。しかし、そのピッチの大きさの違い(溝のピッチがインサートの雄ねじのピッチよりも大きい)のために、この設計は効率的に機能するだろうし、即ち、インサート508の小さい回転(内方の移動)が、ピン536の大きな横方向移動に対応するだろう(及び、クランププレート122”と締付け指片124”の大きな移動に対応するだろう)。
【0055】
続けて
図26を参照すると、特定の実施形態では、ねじ付きインサート508の設定標示502、504、506の1つ又は複数に対応する停止点にピン536を閉じ込めることを補助するために、1つ又は複数の停止点がインサート508の回転の範囲に沿って溝534内に画定されることが可能である。そのために、特定の実施形態では、こうした停止点が、上述したピン位置534a、534b、536cにおいて画定され、及び、溝534内の対応する回転止め534a’、534b、534c’として画定されている。さらに溝534に関して、特定の実施形態では、その溝534の幅がその長さ全体において一定不変のままである。したがって、溝長さの全体において変化させられる主要パラメーターが、溝の深さである。
【0056】
図22に戻ると、インサート508が、「固着解除」設定標示506から時計回りに回転させられる時に、ピン536は、溝534に沿って、(ピン位置534cにおける)最大の深さ又は最大に近い深さから、(設定標示504に対応するピン位置534bにおける、又は、設定標示502に対応するピン位置534aにおける)より小さい深さに移動する。これに対応して、トラスファーピン536は、クランププレート122”の上部部分122a”に向かって外方に押し動かされ、このことが、プレート122”がボルト540を中心として旋回することを生じさせる。したがって、プレート122”の下部部分122b”の対応する内方旋回によって、1つ又は複数の締付け指片124”が、ハウジング510の遠方壁546に関して必要な長さに工具ホルダ500の内方に横断させられる。このために、壁544、546の間に装着される時に、溝534に沿った上述の停止点534a’、534b’が、異なるタングスタイル(例えば、溝付きタングスタイルと直線状タングスタイル)をそれぞれに固定するために1つ又は複数の締付け指片124”が近傍壁544内に画定されている対応する穴542から突出させられる、突出の長さに一致する。
【0057】
図27と
図28を参照すると、これらの図は、これらの図の際だった主要な要素がねじ付きインサート508’の代替的な設計なので、
図22の工具ホルダ500に関連付けられている。そのために、
図27は、代替的なインサート508’を使用する代替的な工具ホルダ500’の(
図23の断面図に類似した)断面図であり、一方、
図28はインサート508’の斜視図を示す。(特に、
図26と比較する時に)
図28から明らかになるべきものは、溝550がインサート508’の雄ねじ532’内に画定されているということである。したがって、工具ホルダ500’に関するインサート508’の機能は、インサート508’に関する回転の範囲が制限されているとういうことを除いて、工具ホルダ500に関してすでに説明されている機能に類似している。
【0058】
図27を参照すると、停止ピン526がホルダハウジング510’内に堅固に保持されており、及び、ねじ付きインサート508’の外周部に画定されている溝550が、停止ピン526に整合するように配置されている。したがって、インサート508’の回転が、溝550の長さに制限される。特定の実施形態では、溝550は、インサート508’の外周部の周りを180度にわたって延びることが可能であり、したがって、これに対応して、この範囲にインサート508’の回転を制限することが可能である。理解されるように、インサート508’の使用が、インサート508の先頭端部508a内に画定されている溝534の設計にあまり大きく焦点を当てずに、180度以下にねじ付きインサート508の回転を維持する代替的な方法である。しかし、インサート508の溝534に関係する設計上の考慮は、工具ホルダ500に関する構成要素の複雑性と数量とを最小にすることを促進するという点で有益であった。
【0059】
こうして、「機械的に作動させられるクランプアセンブリを有し且つ異なるタングスタイルを有する工具のために使用可能である工具ホルダ」の実施形態が開示される。当業者は、本発明が、本明細書で開示されている実施形態以外の実施形態によって実現されることが可能であるということを理解するだろう。この開示されている実施形態は、限定のためではなく、例示のために示されており、及び、本発明は後述の特許請求項だけによって限定される。
その他実施態様の一例としては以下のものがある。
[態様15]
前記アクチュエーター機構は、前記ハウジング内に設けられている穴から延びており、且つ前記クランプアセンブリに作動的に連結されている締付けナットに連結されているアームであり、該アームの回転範囲が前記締付けナットの回転範囲に制限されている、ことを特徴とする工具ホルダ。
[態様16]
前記アクチュエーター機構はねじ頭部を備え、該ねじ頭部の回転範囲は該ねじ頭部に加えられる最大トルクで制限されている、ことを特徴とする工具ホルダ。
[態様21]
異なるタングスタイルを有する工具と共に使用するように構成されている工具ホルダであって、
該工具ホルダは、
ハウジングと、
機械的に作動可能であり、且つ前記ハウジング内に設けられている開口部を通して接触可能である機構と、
該機構に作動的に連結されており、且つ、クランププレートと1つ又は複数の締付け指片とを備える、クランプアセンブリと、を備え、
該クランププレートは、前記1つ又は複数の締付け指片を跨いで延びる長さを有する縦に延びるクランプ本体として定められ、該クランプ本体は、前記1つ又は複数の締付け指片に接触する端部を有し、該1つ又は複数の締付け指片は、該締付け指片と前記ハウジングの固定壁の間に、異なるタングスタイルを有する工具を固定するために回転することが可能であり、前記1つ又は複数の締付け指片の移動は、前記機構の調整から生じる前記クランププレート端部の移動に対応し、
前記クランププレートは、該クランププレート内に備えられている少なくとも2つの異なる許容範囲領域を有し、第1の許容範囲領域が、前記クランプ本体の長さ方向に交差して定められている複数の第1のスリットを備え、これによって前記1つ又は複数の締付け指片に接触している複数のクランププレートの部分を形成し、第2の許容範囲領域が前記クランププレートの部分の各々の深さ方向に交差して定められている、ことを特徴とする工具ホルダ。
[態様22]
前記第1及び第2の許容範囲領域は、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に工具を固定する時に、1つ又は複数の締付け指片に対して補完的な許容範囲を共同して提供する、ことを特徴とする態様21に記載の工具ホルダ。
[態様23]
前記クランプ本体の長さは、前記複数の第1のスリットが前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する許容範囲を提供するように、前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に交差しており、一方、第2の許容範囲領域が、こうした対応する移動の方向における許容範囲を提供する、ことを特徴とする態様21に記載の工具ホルダ。
[態様24]
前記第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の対応する範囲内の深さに各々が定められている複数の第2のスリットを備える、ことを特徴とする態様23に記載の工具ホルダ。
[態様25]
前記複数の第1のスリットは、前記複数の第2のスリットに対して交差方向配置の形で延びるように定められている、ことを特徴とする態様24に記載の工具ホルダ。
[態様26]
前記第2の許容範囲領域は、1つ又は複数の締付け部分との接触点において前記クランププレートの部分の各々の上に備えられている形状記憶材料を含む、ことを特徴とする態様23に記載の工具ホルダ。
[態様27]
前記クランププレートの部分は、前記形状記憶材料の位置決めのための切り抜き部分を伴って定められている、ことを特徴とする態様26に記載の工具ホルダ。
[態様28]
前記工具を前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に固定する時に、前記機構の調整を制限して、異なるタングスタイルを有する1つ又は複数の工具と前記工具ホルダとに対する損傷を防止するために、前記クランプアセンブリの1つ又は複数の構成要素が、前記ハウジング内に収容されており、且つ、前記機構と前記クランププレートとの間に作動的に連結されている、ことを特徴とする態様21に記載の工具ホルダ。
[態様29]
前記機構は、前記構成要素に作動的に連結されている端部を有するアームであり、予め決められた調整範囲が、前記ハウジングに対する相対的な前記アームの回転範囲であり、前記アームの前記回転範囲は180度以下に制限されている、ことを特徴とする態様28に記載の工具ホルダ。
[態様30]
前記機構はねじ頭部を備え、予め決められた調整範囲は、前記ねじ頭部に加えられる最大トルクまでの前記ねじ頭部の回転範囲である、ことを特徴とする態様28に記載の工具ホルダ。
[態様31]
異なるタングスタイルを有する工具と共に使用するように構成されている工具ホルダであって、
ハウジングと、
機械的に作動可能であり、且つ、前記ハウジング内に設けられている開口部を通して接触可能である機構と、
該機構に作動的に連結されており、且つ、クランププレートと1つ又は複数の締付け指片とを備えるクランプアセンブリと、を備え、
前記クランププレートは、前記1つ又は複数の締付け指片を跨いで延びる長さを有する縦に延びるクランプ本体として定められており、該クランプ本体は、前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に前記工具を固定するために移動させられる、前記1つ又は複数の締付け指片に接触する端部を有し、前記1つ又は複数の締付け指片の移動は、前記機構の調整から生じる前記クランププレートの端部の移動に対応し、
前記クランプアセンブリの1つ又は複数の構成要素が、前記ハウジングの中に収容され、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に前記工具を固定する時に、異なるタングスタイルを有する1つ又は複数の工具と前記工具ホルダとに対する損傷を防止するように前記機構の調整を制限するために、前記機構と前記クランププレートとの間に作動的に連結され、
前記クランププレートは、該クランププレート内に備えられている少なくとも2つの異なる許容範囲領域を有する、ことを特徴とする工具ホルダ。
[態様32]
第1の許容範囲領域がクランプ本体の端部の長さ方向に交差して定められ、第2の許容範囲領域がクランプ本体の端部の深さ方向に交差して定められている、ことを特徴とする態様31に記載の工具ホルダ。
[態様33]
前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する許容範囲を前記第1の許容範囲領域が提供するように、前記クランプ本体の長さが、前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する方向にあり、前記第2の許容範囲領域はこうした対応する移動の方向において許容範囲を提供する、ことを特徴とする態様32に記載の工具ホルダ。
[態様34]
前記第1の許容範囲領域は、前記クランプ本体の長さ方向に交差して定められている複数の第1のスリットを備え、これによって前記1つ又は複数の締付け指片に接触している複数のクランププレートの部分を形成し、前記第1の許容範囲領域と前記第2の許容範囲領域は、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に工具を固定する時に、前記1つ又は複数の締付け指片に対して補完的な許容範囲を共同で提供する、ことを特徴とする態様32に記載の工具ホルダ。
[態様35]
前記第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の対応する範囲内の深さに各々が定められている複数の第2のスリットを備え、前記第1の複数のスリットは、前記第2の複数のスリットに対して交差方向配置の形で延びるように定められている、ことを特徴とする態様34に記載の工具ホルダ。
[態様36]
前記第2の許容範囲領域は、1つ又は複数の締付け部分との接触点において前記クランププレートの部分の各々の上に備えられている形状記憶材料を含む、ことを特徴とする態様34に記載の工具ホルダ。
[態様37]
前記機構は前記構成要素に作動的に連結されている端部を有するアームであり、前記予め決められた調整範囲は前記ハウジングに対する前記アームの回転範囲であり、該アームの回転範囲は180度以下に制限されている、ことを特徴とする態様31に記載の工具ホルダ。
[態様38]
前記アームの端部は前記締付けアセンブリの締付けナットに作動的に連結され、前記締付けナットは、該締付けナットの外周部の一部分の周りを延びる溝を伴って設けられ、該溝の中に前記ハウジング内に堅固に保持されているピンが突き出し、該ピンに対する前記アームによる前記締付けナットの相対的な回転が、前記クランププレートの対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする態様37に記載の工具ホルダ。
[態様39]
前記溝の長さに沿った複数の点が、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着されている異なるタングスタイルを有する工具を固定するための、前記クランクプレートと前記1つ又は複数の締付け指片との移動に対応して定められている、ことを特徴とする態様38に記載の工具ホルダ。
[態様40]
前記アームは前記締付けアセンブリのカムに回転自在に連結されており、前記カムはカムカートリッジ内に保持され、前記アームを介し且つ前記カムカートリッジに対する前記カムの回転が、前記カムカートリッジに対する作動的な連結によって前記クランププレートの対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする態様37に記載の工具ホルダ。
[態様41]
前記カムカートリッジは、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着される意図されたタングスタイルに基づいて、カムの回転の前に配置され、前記アームを介し且つ前記カムカートリッジに対する前記カムの移動が、意図されたタングスタイルに対応して定められ、前記クランププレートと前記1つ又は複数の締付け指片との移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする態様40に記載の工具ホルダ。
[態様42]
前記機構はねじ頭部を備え、前記予め決められた調整範囲は前記ねじ頭部に加えられる最大トルクでの前記ねじ頭部の回転範囲である、ことを特徴とする態様31に記載の工具ホルダ。
[態様43]
前記ねじ頭部は前記締付けアセンブリの内部クラッチと選択的に係合させられ、該内部クラッチは、調整中に前記ねじ頭部に加えられる最大トルクまで前記ねじ頭部に対して前記内部クラッチを係合させるクラッチピンを含み、前記最大トルクまでの前記ねじ頭部の回転による前記内部クラッチの回転が、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着されている異なるタングスタイルを有する工具を固定するための、前記クランププレートと前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする態様42に記載の工具ホルダ。
[態様44]
前記締付け指片が異なるタングスタイルを有する工具のいずれかを固定する時に、前記ねじ頭部のさらなる回転が、最大トルクをもたらすと共に、これに対応して、前記ねじ頭部からの前記内部クラッチの係合解除を伴うクラッチピンの潰れを結果的に生じさせる、ことを特徴とする態様43に記載の工具ホルダ。
[態様45]
前記ねじ頭部は、前記ハウジング内に設けられているポケット内において前記締付けアセンブリのクラッチプレートに選択的に係合させられ、該クラッチプレートは複数の歯を含み、該複数の歯は、前記クラッチプレートと前記ポケットの壁との間に保持されているクラッチばねに基づいて、調整中に、前記ねじ頭部に対して最大トルクが加えられるまで、前記ねじ頭部の対応する凹みに向かって付勢され、前記最大トルクまでの前記ねじ頭部の回転による前記クラッチプレートの回転が、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に装着されている異なるタングスタイルを有する工具を固定するための、前記クランププレートと前記1つ又は複数の締付け指片の対応する移動を結果的に生じさせる、ことを特徴とする態様42に記載の工具ホルダ。
[態様46]
前記締付け指片が異なるタングスタイルを有する工具のいずれかを固定する時に、前記ボルト頭部のさらなる回転が、最大トルクをもたらすと共に、これに対応して、前記ねじ頭部からの前記クラッチプレートの係合解除を伴う、前記ポケット内の前記クラッチばねの潰れを結果的に生じさせる、ことを特徴とする態様45に記載の工具ホルダ。
[態様47]
ハウジングと、
機械的に作動可能であり、且つ、前記ハウジング内に設けられている開口部を通して接触可能である機構と、
該機構に作動的に連結されており、且つ、クランププレートと1つ又は複数の締付け指片とを有するクランプアセンブリと、を備えた工具ホルダであって、
前記クランププレートは、前記1つ又は複数の締付け指片を跨いで延びる長さを有する縦に延びるクランプ本体として定められ、前記クランプ本体は、前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に工具を固定するために移動させられる前記1つ又は複数の締付け指片に接触する端部を有し、前記1つ又は複数の締付け指片の移動は、前記機構の調整から生じる前記クランププレートの端部の移動に対応し、
前記クランププレートは、該クランププレート内に備えられている少なくとも2つの異なる許容範囲領域を有し、第1の許容範囲領域は、クランプ本体の長さを方向に交差して定められている複数の第1のスリットを備え、これによって前記1つ又は複数の締付け指片に接触している複数のクランププレートの部分を形成し、第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の各々の深さ方向に交差して定められ、前記第1及び第2の許容範囲領域は、前記締付け指片と前記ハウジングの前記固定壁との間に工具を固定する時に、1つ又は複数の締付け指片に対して補完的な許容範囲を共同して提供する、ことを特徴とする工具ホルダ。
[態様48]
前記クランプ本体の長さは、前記第1の複数のスリットが前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片との対応する移動に対して交差する許容範囲を提供するように、前記クランププレートの端部と前記1つ又は複数の締付け指片の対応する移動に交差する方向にあり、一方、第2の許容範囲領域が、こうした対応する移動の方向において許容範囲を提供する、ことを特徴とする態様47に記載の工具ホルダ。
[態様49]
前記第2の許容範囲領域は、前記クランププレートの部分の対応する範囲内の深さにおいて各々が定められている複数の第2のスリットを備える、ことを特徴とする態様48に記載の工具ホルダ。
[態様50]
前記第1の複数のスリットは、前記第2の複数のスリットに対する交差方向配置の形で延びるように画定されている、ことを特徴とする態様49に記載の工具ホルダ。
[態様51]
前記第2の許容範囲領域は、1つ又は複数の締付け部分との接触点において前記クランププレート部分の各々の上に備えられている形状記憶材料を含む、ことを特徴とする態様48に記載の工具ホルダ。
[態様52]
前記工具ホルダは異なるタングスタイルを有する工具と共に使用するように構成され、前記クランプアセンブリの1つ又は複数の構成要素が前記ハウジング内に収容され、前記締付け指片と前記ハウジングの固定壁との間に工具を固定する時に、異なるタングスタイルを有する1つ又は複数の工具と前記工具ホルダとに対する損傷を防止するように前記機構の調整を制限するために、前記機構と前記クランププレートとの間に作動的に連結されている、ことを特徴とする態様47に記載の工具ホルダ。
【符号の説明】
【0060】
100、200、300、400、500 工具ホルダ
102 成形工具
108 アーム
110 工具ホルダハウジング
118 締付けナット
120 締付けボルト
122、122’、122” クランププレート
124 締付け指片
126 ストップピン
130 締付けアセンブリ
140、142 スリット