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特許7095070燃料電池スタック圧縮のシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】燃料電池スタック圧縮のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/248 20160101AFI20220627BHJP
【FI】
H01M8/248
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020503264
(86)(22)【出願日】2018-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018043327
(87)【国際公開番号】W WO2019023144
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】62/536,157
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505163578
【氏名又は名称】ヌヴェラ・フュエル・セルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】ラント,ベンジャミン・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ガンビーニ,フィリッポ
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-124291(JP,A)
【文献】特開平10-040946(JP,A)
【文献】特開2000-299121(JP,A)
【文献】米国特許第05484666(US,A)
【文献】特開2009-200045(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0819601(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルスタックを圧縮する方法であって、
第1のエンドプレート上に、電気化学セルスタックを配置する工程;
該電気化学セルスタック上で、該第1のエンドプレートとは反対の端部に圧縮プレートを位置決めする工程;
該圧縮プレート上に、1つまたはそれより多くの圧縮部材を配置する工程;
該1つまたはそれより多くの圧縮部材が第2のエンドプレート中の1つまたはそれより多くの開口部と整合するように、該圧縮プレートの上に第2のエンドプレートを位置決めする工程;
該1つまたはそれより多くの圧縮部材を介して、該圧縮プレートに力を適用し、該力により該電気化学セルスタックを圧縮する工程;
該第1のエンドプレートおよび該第2のエンドプレートに、1つまたはそれより多くの張力部材を取り付ける工程であって、該張力部材は、該第1のエンドプレートと該第2のエンドプレートとの間の一定の距離を維持するように構成される、工程;および
該第2のエンドプレートに1つまたはそれより多くのロックナットを取り付ける工程であって、該ロックナットは、該第2のエンドプレートに対して該1つまたはそれより多くの圧縮部材および該圧縮プレートの位置を固定するように構成される、工程
を含む、上記方法。
【請求項2】
1つまたはそれより多くの圧縮部材を配置する工程が、前記電気化学スタックの活性領域にわたり、前記1つまたはそれより多くの圧縮部材の少なくとも1つを均一に分散させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたはそれより多くの圧縮部材の少なくとも1つが、ベルビルワッシャーと圧縮キャップとのスタックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたはそれより多くのロックナットが、前記圧縮プレートに前記力を適用する前に、前記第2のエンドプレートに取りつけられるように配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電気化学セルスタックが予め決定された高さに圧縮されるまで、前記力を適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記予め決定された高さで、前記1つまたはそれより多くの張力部材の各端部における一連の穴が、前記第1のエンドプレート中の一連の穴および前記第2のエンドプレート中の一連の穴と整合している、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のエンドプレートのスタック上に前記電気化学セルを配置する前に、前記張力部材の1つまたはそれより多くを、前記第1のエンドプレートに取り付ける工程;および
前記第1のエンドプレートに取り付けられた前記1つまたはそれより多くの張力部材を使用して、前記第1のエンドプレート上に、前記電気化学セルスタックを整合させる工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたはそれより多くのロックナットを、予め決定されたトルク値に締めることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
電気化学セルスタック;および
圧縮状態下で該電気化学セルスタックを保持するように構成された圧縮システム
を含む電気化学セルスタックアセンブリであって、該圧縮システムは、
該電気化学セルスタックの両方の端部に位置決めされた第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレート;
該第1のエンドプレートおよび該第2のエンドプレートに連結され、該第1のエンドプレートと該第2のエンドプレートとの間の一定の距離を維持するように構成された一連の張力部材;
該第2のエンドプレートと該電気化学セルスタックとの間に配置された圧縮プレート;
該圧縮プレートと接触している圧縮部材であって、該圧縮プレートに力を移動させるように構成される、圧縮部材;
該第2のエンドプレートに対する該圧縮部材および該圧縮プレートの位置を固定する、該第2のプレートに取り付けられたロックナット
を含む、上記電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項10】
前記第2のプレートが、前記圧縮部材を受け入れるように構成された開口部を有する、請求項9に記載の電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項11】
前記第2のプレート中の前記開口部が、ねじ込み用部を有しており、前記ロックナットが、前記ロックナットを前記開口部にねじ込むことによって前記第2のプレートに取り付けられる、請求項10に記載の電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項12】
前記ロックナットが、前記圧縮部材と接触するように前記開口部にねじ込まれるように構成される、請求項10に記載の電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項13】
前記圧縮システムが、前記圧縮プレートの上に均一に配置された複数の圧縮部材を含む、請求項9に記載の電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項14】
前記圧縮部材が、ベルビルワッシャーと圧縮キャップとのスタックを含む、請求項9に記載の電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項15】
前記圧縮プレートが、上に前記ベルビルワッシャーのスタックが配置されている整合用ロッドを含む、請求項14に記載の電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項16】
前記圧縮キャップが、円錐型であり、前記ロックナットが、前記圧縮キャップと重なるように構成された、対応する円錐型のキャビティーを有する、請求項14に記載の電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項17】
電気化学セルスタックのための圧縮システムであって、
該電気化学セルスタックの両方の側に位置決めされるように構成される、第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレート;
該第1のエンドプレートおよび該第2のエンドプレートに連結され、該第1のエンドプレートと該第2のエンドプレートとの間に一定の距離を維持するように構成された一連の張力部材;
前記第2のエンドプレートと前記電気化学セルスタックとの間に配置されるように構成された圧縮プレート;
該圧縮プレートと接触し、該圧縮プレートに力を移動するように構成された圧縮部材;
該第2のエンドプレートに対する該圧縮部材および該圧縮プレートの位置を固定する、該第2のプレートに取り付けられるように構成されたロックナット
を含む、圧縮システム。
【請求項18】
前記第2のプレートが、前記圧縮部材を受け入れるように構成された開口部を有する、請求項17に記載の圧縮システム。
【請求項19】
前記第2のプレート中の前記開口部が、ねじ込み用部を有しており、前記ロックナットが、前記ロックナットを前記開口部にねじ込むことによって前記第2のプレートに取り付けられる、請求項18に記載の圧縮システム。
【請求項20】
前記ロックナットが、前記圧縮部材と接触するように前記開口部にねじ込まれるように構成される、請求項18に記載の圧縮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2017年7月24日付けで出願された米国仮出願第62/536,157号の利益を主張する。
[002]本発明の開示は、圧縮のシステムおよび方法、より特定には、燃料電池スタック圧縮のためのシステムおよび方法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
[003]電気化学セル、例えば燃料電池または電解セルは、化学反応により電流を生成したり、または電流の流れを使用して化学反応を誘導したりするのに使用できるデバイスである。燃料電池は、燃料(例えば、水素、天然ガス、メタノール、ガソリンなど)および酸化剤(例えば、空気または酸素)の化学エネルギーを、電気および廃棄物(例えば、熱および水)に変換することができる。燃料電池は、第1の電極(例えば、負電荷を有するアノード)、第2の電極(例えば、正電荷を有するカソード)、およびイオン伝導性材料(例えば、電解質)を含んでいてもよい。様々な燃料電池技術は様々な電解質材料を利用することができる。
【0003】
[004]一般的に、単一の電池は、比較的小さい電位を生じ得る。したがって、総出力電圧を高めるために、多くの場合、個々の電池を共に(例えば、連続して)スタックして、燃料電池または電気化学セルスタックを形成することができる。電気化学セルスタック中の個々の電池の数は、用途とその用途に必要な電気化学セルスタックからの出力電圧の量によって決めることができる。スタック中の電気化学セルは、圧縮システムによって圧縮および保持することができる。電気化学スタックを圧縮するための一部の既存の圧縮システムは、1種またはそれより多くの圧縮力を電気化学セルスタックにかけるためのタイロッド、バンド、および/またはスプリングを使用する。既存の圧縮システムは、圧縮状態下で電気化学スタックを保持するためのメカニズムを提供しているが、これらは最適とはいえない。例えば、これらの既存のシステムは、過度に複雑であり、重く、高価になる可能性がある。既存のシステムを利用してスタックを圧縮するための手順は、長時間であり複雑であることが多い。加えて、既存の圧縮システムによって適用された圧縮力は、必ずしもスタック全体に均一に適用されるとは限らず、それがスタック内のガス拡散層、ミクロ多孔質層、セルの膜、および他の構成要素の接触抵抗;電気伝導;および空孔率に影響を与える可能性がある。したがって、不規則に適用された圧縮力は、スタックの全体的な性能に影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[005]開示された燃料電池スタック圧縮のシステムおよび方法は、上述した問題および/または他の既存の技術の問題の1つまたはそれより多くを克服することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[006]一形態において、本発明の開示は、電気化学セルスタックを圧縮する方法に向けられる。本方法は、第1のエンドプレート上に、電気化学セルスタックを配置する工程、および電気化学セルスタック上で、第1のエンドプレートとは反対の端部(at an end opposite the first endplate)に圧縮プレートを位置決め(positioning)する工程を含み得る。本方法はまた、圧縮プレート上に、1つまたはそれより多くの圧縮部材を配置する工程も含み得る。本方法はさらに、1つまたはそれより多くの圧縮部材が、第2のエンドプレート中の1つまたはそれより多くの開口部と整合(alignment)するように、圧縮プレートの上に第2のエンドプレートを位置決めする工程を含み得る。本方法はまた、1つまたはそれより多くの圧縮部材を介して、圧縮プレートに力を適用し、力により電気化学セルスタックを圧縮する工程も含み得る。本方法はさらに、第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートに、1つまたはそれより多くの張力部材を取り付けるする工程であって、張力部材は、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に一定の距離を維持するように構成される、工程を含み得る。本方法はまた、第2のエンドプレートに1つまたはそれより多くのロックナットを締め付ける工程であって、ロックナットは、第2のエンドプレートに対する1つまたはそれより多くの圧縮部材および圧縮プレートの位置を決定するように構成される、工程も含み得る。
【0006】
[007]別の形態において、本発明の開示は、電気化学セルスタックアセンブリに向けられる。本アセンブリは、電気化学セルスタック、および圧縮状態下で電気化学セルスタックを保持するように構成された圧縮システムを含み得る。圧縮システムは、電気化学セルスタックの両端部(opposite ends)に位置決めされた第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレート、ならびに第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートに連結され、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に一定の距離を維持するように構成された一連の張力部材を含み得る。圧縮システムはまた、第2のエンドプレートと電気化学セルスタックとの間に積層された圧縮プレートも含み得る。圧縮システムはさらに、圧縮プレートと接触している圧縮部材であって、圧縮プレートに力を移動させるように構成される、圧縮部材を含み得る。圧縮システムはまた、第2のエンドプレートに対する圧縮部材および圧縮プレートの位置を決定する、第2のプレートに取り付けられたロックナットも含み得る。
【0007】
[008]別の形態において、本発明の開示は、電気化学セルスタックのための圧縮システムに向けられる。圧縮システムは、電気化学セルスタックの両側に位置決めされるように構成された第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレート、ならびに第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートに連結され、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に一定の距離を維持するように構成された一連の張力部材を含み得る。圧縮システムはまた、第2のエンドプレートと電気化学セルスタックとの間に積層されるように構成された圧縮プレートも含み得る。圧縮システムはさらに、圧縮プレートと接触し、圧縮プレートに力を移動するように構成された圧縮部材を含み得る。圧縮システムはまた、第2のエンドプレートに対する圧縮部材および圧縮プレートの位置を決定する、第2のプレートに取り付けられるように構成されたロックナットも含み得る。
【0008】
[009]前述の一般的な説明と以下の詳細な説明はいずれも単に典型的で説明的なものにすぎず、特許請求された開示を限定しないことが理解されると予想される。
[010]添付の図面は、本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を構成し、本発明の開示の実施態様を例示し、その記載と共に本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[011]図1は、例示的な実施態様による電気化学セルスタックアセンブリの斜視図である。
図2】[012]図2は、例示的な実施態様による図1の電気化学セルスタックアセンブリの部分分解斜視組み立て図である。
図3】[013]図3は、例示的な実施態様による圧縮プレートの上面斜視図である。
図4】[014]図4は、例示的な実施態様によるベルビルワッシャーの上面斜視図である。
図5】[015]図5は、例示的な実施態様による圧縮キャップの底面斜視図である。
図6】[016]図6は、例示的な実施態様による圧縮ツールの底面斜視図である。
図7】[017]図7は、例示的な実施態様による電気機械的セルスタックアセンブリを圧縮するために位置決めされた図6の圧縮ツールを有する図1の電気化学セルスタックの一部の斜視図である。
図8】[018]図8は、例示的な実施態様による電気機械的セルスタックアセンブリを圧縮するために位置決めされた図6の圧縮ツールを有する図1の電気化学セルスタックの一部の断面側面図である。
図9】[019]図9は、例示的な実施態様による電気機械的セルスタックアセンブリの部分分解斜視組み立て図である。
図10】[020]図10は、例示的な実施態様による図9の電気化学セルスタックアセンブリの斜視図である。
図11】[021]図11は、例示的な実施態様による図10の電気化学セルスタックアセンブリの一部の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[022]以下、本発明の開示の例示的な実施態様について詳細に述べ、その例を添付の図面で例示する。可能な限り、同じまたは類似の部品を指すために図面全体にわたり同じ参照番号が使用される。本発明の開示のデバイスおよび方法は、発電のための電気化学セルとして説明されるが、様々な種類の燃料電池または電気化学セル、これらに限定されないが、電解セル、水素精製器、水素エキスパンダー、および水素ポンプなどと共に採用できることが理解される。
【0011】
[023]図1は、例示的な実施態様による電気化学セルスタックアセンブリ10の斜視図を示す。アセンブリ10は、電気化学セルスタック12、および圧縮状態下でスタック12を保持するように構成された圧縮システム14を含んでいてもよい。電気化学セルスタック12は、本明細書でスタック12として言及される場合もあり、重なり合ってスタックされた1つまたはそれより多くの電気化学セルを含み得る(個々の電池は示されていない)。本明細書で言及されるスタック12はまた、追加の構成要素、例えば集電プレート、絶縁シート、冷却プレートなども含み得る。
【0012】
[024]図2は、例示的な実施態様による電気化学セルスタックアセンブリ10の部分分解組み立て図を示す。内部構成要素がより見やすくなるように、図1に示されるアセンブリ10の数々の構成要素が除去されていることに留意されたい。図1および2で示されるように、圧縮システム14は、第1のエンドプレート、例えば固定されたエンドプレート16、および第2のエンドプレート、例えば固定されていないエンドプレート18を含んでいてもよい。固定されたエンドプレート16および固定されていないエンドプレート18は、電気化学セルスタック12の両方の端部に位置決めされるように構成されていてもよい。固定されたエンドプレート16および固定されていないエンドプレート18は、1つまたはそれより多くの張力部材、例えば複数の張力プレート20によって、互いに一定の距離で固定されるように構成されていてもよく、このような張力部材は、スタック12の外側に沿って伸長するように構成されていてもよい。また圧縮システム14は、固定されていないエンドプレート18とスタック12との間に積層されるように構成された圧縮プレート22を含んでいてもよい。電気化学セルスタックアセンブリ10の最初の圧縮の間、圧縮プレート22に、固定されたエンドプレート16に向かって(例えば、液圧プレスによって)圧縮力を適用してもよく、それによりスタック12を圧縮することができる。この力は、固定されていないエンドプレート18中の1つまたはそれより多くの対応する開口部26内に位置決めされた1つまたはそれより多くの圧縮部材24を介して圧縮プレート22に移動させることができる。例示的な実施態様によれば、各圧縮部材24は、圧縮キャップ28およびベルビルワッシャーのスタック30を含んでいてもよい。組み立ての間、スタック12の望ましいレベルの圧縮が達成されたら、1つまたはそれより多くのロックナット32を、固定されていないエンドプレート18に取り付けることができる。各ロックナット32は、電気化学セルスタック12の圧縮状態を維持できるように、固定されていないエンドプレート18に対する圧縮部材24の位置を決定し、それによって圧縮プレート22の位置も決定するように構成されていてもよい。例示的な実施態様によれば、固定されたエンドプレート16は、別の固定されていないエンドプレート18、圧縮プレート22、圧縮部材24、およびロックナット32で置き換えられていてもよい。このような実施態様において、圧縮システム14の一方の端部に、外部の力を適用してもよいし、一方で、圧縮システム14の他方の端部で、ロックナット32を締めてもよい。
【0013】
[025]例示的な実施態様により圧縮システム14を使用して電気化学セルスタック12を圧縮する方法は、図2で示されるように、固定されたエンドプレート16上に、電気化学セルスタック12を配置することから始めることができる。スタック12を配置することは、固定されたエンドプレート16の頂部上に、スタック12の全てを一度に配置すること、またはばらばらのスタック12を組み立てることを含み得る。一部の実施態様において、固定されたエンドプレート16上でのスタック12の適した整合を容易にするために、スタック12を配置する前に、1つまたはそれより多くの張力プレート20を、固定されたエンドプレート16に取り付けてもよい。例えば、図2で示されるように、2つの張力プレート20を、固定されたエンドプレート16の隣接する側に取り付けることで、配置の間にスタック12を詰め込んだりまたは押し込んだりすることができる角を形成することができる。
【0014】
[026]張力プレート20は、あらゆる好適な手段によって、固定されていないエンドプレート18および固定されたエンドプレート16に連結することができる。例えば、図1および2で示されるように、複数のエンドプレートのボルト31を、張力プレート20中の貫通穴39に通し、固定されていないエンドプレート18および固定されたエンドプレート16中の対応するエンドプレートの穴37にねじ込むことができる。他の取り付け手段も利用できることが意図されている。例えば、他の実施態様において、張力プレート20は、固定されていないエンドプレート18および固定されたエンドプレート16中に形成された対応する溝にスライドするように設計されたレールを各端部に有するように構成されていてもよい。
【0015】
[027]スタック12の配置後、本方法は、図2で示されるように、スタック12上の、固定されたエンドプレート16とは反対の端部に圧縮プレート22を位置決めすることを含んでいてもよい。圧縮プレート22は、スタック12の上面と同一平面上になるように構成された全体的に平坦なプレートであってもよい。図2で示されるように、圧縮プレート22の形状は、スタック12の形状に対応し、スタック12の活性領域と整合するように構成されていてもよい。スタックの活性領域は、各セルの整合された活性領域に対応していてもよく、このような整合された活性領域は、各セルのアノード、カソード、および電解質が重なる領域を含んでいてもよい。圧縮プレート22は、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、他の金属、および/またはプラスチック材料で作製されていてもよい。圧縮プレートは、約4分の1インチから約4分の3インチの間の厚さを有していてもよい。
【0016】
[028]一部の実施態様において、圧縮プレート22は、図2で示されるように、スタック12から離れるように上面から伸長する、1つまたはそれより多くの整合用ロッド34を含んでいてもよい。図3は、4つの整合用ロッド34を有する圧縮プレート22の1つの例示的な実施態様の拡大斜視図を示す。図3で示されるように、整合用ロッド34は、圧縮プレート22の中心からほぼ等距離になるように、上面にわたり均一に分散されていてもよい。他の実施態様において、圧縮プレート22は、それより多い数または少ない数の整合用ロッド34を有していてもよい。例えば、一部の実施態様において、圧縮プレート22は、1、2、3、5、6、8、10個またはそれより多くの整合用ロッドを有していてもよい。整合用ロッド34の数および圧縮プレート22のサイズは、スタック12の断面積に比例して、増加または減少させることができる。例えば、各セルが約200cm~約220cmの活性領域を有するスタックは、4つの整合用ロッド34および4つの対応する圧縮部材24を有する圧縮プレート22を使用して圧縮することができる。別の例において、各セルが約100cm~約110cmの活性領域を有するスタックは、2つの整合用ロッド34および2つの対応する圧縮部材24を有する圧縮プレート22を使用して圧縮することができる。したがって、圧縮システム14は、それぞれ約50cmの活性領域につき1つの圧縮部材24が利用できるように構成されていてもよい。1つのみの整合用ロッド34を有する圧縮プレート22の実施態様は、整合用ロッドが圧縮プレート22の中心に位置決めされるように構成されていてもよい。例示的な実施態様において、各セルが約250cm~約350cmの活性領域を有するスタックは、4つまたはそれより多くの整合用ロッド34および4つまたはそれより多くの対応する圧縮部材24を有する圧縮プレート22を使用して圧縮することができる。その他の例示的な実施態様において、各セルが約150cm~約250cmの活性領域を有するスタックは、4つの整合用ロッド34および4つの対応する圧縮部材24を有する圧縮プレート22を使用して圧縮することができる。例示的な実施態様において、各セルが約50cm~約150cmの活性領域を有するスタックは、2つの整合用ロッド34および2つの対応する圧縮部材24を有する圧縮プレート22を使用して圧縮することができる。異なる数の整合用ロッド34および/または圧縮部材24を使用できることが理解されると予想される。
【0017】
[029]圧縮プレート22を配置した後、スタック12を圧縮する方法は、圧縮プレート22上に、1つまたはそれより多くの圧縮部材24を配置する工程を含んでいてもよい。例示的な実施態様によれば、図2で示されるように、圧縮システム14は、4つの圧縮部材24を含んでいてもよく、圧縮部材を配置する工程は、スタック12の活性領域にわたり、4つの圧縮部材24を均一に分散させることを含んでいてもよい。本明細書に記載されるように、各圧縮部材24は、ベルビルワッシャーのスタック30の頂部上にスタックされた圧縮キャップ28を含んでいてもよい。圧縮プレート22が整合用ロッド34を含む実施態様の場合、各ベルビルワッシャーのスタック30が各整合用ロッド34を包囲するように配置してもよい。
【0018】
[030]ベルビルワッシャーのスタック30は、重なり合ってスタックされた複数のベルビルワッシャーを含み得る。例えば、図2で示されるように、ベルビルワッシャーのスタック30は、重なり合ってスタックされた4つのベルビルワッシャーを含み得る。他の実施態様において、各ベルビルワッシャーのスタック30は、それより多い数の、または少ない数のベルビルワッシャーを含み得る。例えば、一部の実施態様において、ベルビルワッシャーのスタック30は、1、2、3、5、6、7、またはそれより多くのベルビルワッシャーを含み得る。
【0019】
[031]図4は、例示的な実施態様によるベルビルワッシャー33の拡大斜視図を示す。図4で示されるように、ベルビルワッシャー33は、中央の貫通穴35を有する実質的に円錐台の形状を有していてもよい。ベルビルワッシャー33は、ばねのような特性を示し、圧縮下にある場合、固定されていないエンドプレート18と固定されたエンドプレート16との間の構成要素の振動および膨張を吸収するように構成されていてもよい。
【0020】
[032]複数のベルビルワッシャー33は、ベルビルワッシャーのスタック30を形成するときに、様々な配置でスタックすることができる。例えば、4つのベルビルワッシャー33を有するベルビルワッシャーのスタック30において、第1の2つのベルビルワッシャーは、互いにぴったり重なるように同じ方向を有していてもよく、残りの2つのワッシャーは、互いに同じ方向を有していてもよいが、第1の2つのベルビルワッシャーに対して逆さまになるようにひっくり返すこともできる。その結果、外側の2つのベルビルワッシャー間に挟まれた2つのベルビルワッシャーは、ぴったり重なってはいないが、その代わりに、圧縮されていないとき、ちょうどそれらの外側のエッジが接触するようになっている。ベルビルワッシャー33の他の配置を使用して、ベルビルワッシャーのスタック30を形成できることも意図されている。
【0021】
[033]図5は、例示的な実施態様による圧縮キャップ28の拡大底面斜視図を示す。圧縮キャップ28は、スタック12圧縮の間、それが配置されているベルビルワッシャーのスタック30に圧縮力を移動させるように構成されていてもよい。また圧縮キャップ28は、ロックナット32を取り付けてその場に固定したら、ロックナット32とベルビルワッシャーのスタック30との間に圧縮力を移動させるように構成されていてもよい。
【0022】
[034]図5で示されるように、圧縮キャップ28は、実質的に円錐台の形状を有していてもよい。圧縮キャップ28はまた、第1の凹んだキャビティー38を含んでいてもよい。第1の凹んだキャビティー38は、ベルビルワッシャー33の一部と、第1の凹んだキャビティー38と同心でそれより深い第2の凹んだキャビティー40とを受け入れるように構成される。第2の凹んだキャビティー40は、圧縮部材24(すなわち、圧縮キャップ28およびベルビルワッシャーのスタック30)が整合用ロッドの全体及び周りに配置されるときに、整合用ロッド34の一部を受け入れるように構成されていてもよい。第1の凹んだキャビティー38および第2の凹んだキャビティー40は、1つまたはそれより多くの圧縮部材24を位置決めする間の整合を容易にするように構成されていてもよい。圧縮キャップ28はまた、図5で例示されるように、中央の貫通穴42も含み得る。
【0023】
[035]図2に戻って参照すれば、1つまたはそれより多くの圧縮部材24を配置した後、スタック12を圧縮する方法は、1つまたはそれより多くの圧縮部材24が、固定されていないエンドプレート18中の1つまたはそれより多くの開口部26と整合するように、圧縮プレート22の上に固定されていないエンドプレート18を位置決めすることを含んでいてもよい。一部の実施態様において、固定されていないエンドプレート18は、圧縮部材24を配置する前に位置決めしてもよく、その後、圧縮部材24を、開口部26に配置してもよい。
【0024】
[036]図2で示されるように、固定されていないエンドプレート18は、固定されていないエンドプレート18を通って伸長する複数のねじ込み用開口部26を有していてもよい。図2に示される固定されていないエンドプレート18は4つのねじ込み開口部26を有するが、他の実施態様において、固定されていないエンドプレート18は、それより多くの(例えば、6、8、10個の)またはそれより少ない(例えば、1、2、3個の)ねじ込み開口部を有していてもよく、その数は、圧縮部材24およびロックナット32の数に対応していてもよいことが予期される。
【0025】
[037]固定されていないエンドプレート18を位置決めした後、ロックナット32を、開口部26に整合させることができる。一部の実施態様において、ロックナット32は、各ロックナット32を対応するねじ込み用開口部26に個別にねじ込むことによって、固定されていないエンドプレート18に部分的に取り付けることができる。
【0026】
[038]固定されていないエンドプレート18を配置した後、スタック12を圧縮する方法は、スタック12を圧縮するように構成された圧縮部材24を介して、圧縮プレート22に力を適用する工程を含んでいてもよい。力は、図6で示されるように、圧縮ツール44を使用して圧縮デバイス(例えば、液圧プレス)によって適用することができる。圧縮ツール44は、1つの表面から同じ方向に伸長する1本またはそれより多くの足46を有する四角形または長方形のブロックを含んでいてもよい。足46は、圧縮プレート22上の圧縮部材24の配置と整合するように位置決めすることができる。例えば、図7および8で示されるように、圧縮ツール44がスタック12の頂部に配置される場合、各足46は、圧縮キャップ28の上面と接触するように構成されていてもよい。足46の直径は、圧縮キャップ28の上面の直径に対応するように構成されていてもよく、それにより、足46が、ロックナット32を通過しながらも圧縮キャップ28の上面と接触することが可能になる。一部の実施態様において、各足46は、圧縮ツール44の整合を容易にするために、圧縮キャップ28の穴42を通過するように構成された整合用ペグ48を含み得る。一部の実施態様において、整合用ペグ48は、合わせ釘(dowel)、ボタン、または他のあらゆる好適な整合用機構であり得る。
【0027】
[039]図8で示されるように、圧縮ツール44を使用して、圧縮部材24(すなわち、圧縮キャップ28およびベルビルワッシャーのスタック30)に力を適用し、次いで圧縮プレート22および電気化学スタック12に移動させることができる。本明細書に記載されるように、力は、スタック12を圧縮するように設計されている。一部の実施態様において、力は、電気化学セルスタック12が予め決定された高さに圧縮されるまで適用されもてよく、この高さは、スタックの設計およびスタック中のセルの数に対応していてもよい。他の実施態様において、力は、予め決定された持続時間にわたり適用することができる。適用された力は、約10キログラム/平方センチメートル~約50キログラム/平方センチメートルの圧力をかけることができる。スタック12は、スタック12の圧縮されていない高さの約50%~約60%、約60%~約70%、または約70%~約80%の高さに圧縮されるように構成されていてもよい。
【0028】
[040]力が適用され、スタック12が望ましいレベル(例えば、予め決定された高さ)に圧縮された後、スタック12を圧縮する方法は、固定されたエンドプレート16および固定されていないエンドプレート18に、1つまたはそれより多くの張力プレート20を取り付ける工程を含んでいてもよい。張力プレート20は、固定されたエンドプレート16と固定されていないエンドプレート18との間の一定の距離を維持するように構成されていてもよい。本明細書に記載されるように、張力プレート20を固定されたエンドプレート16および固定されていないエンドプレート18に取り付けるために、複数のエンドプレートのボルト31を、張力プレート20中の貫通穴39に通し、固定されていないエンドプレート18および固定されたエンドプレート16中の対応する穴37にねじ込むことができる。スタック12を圧縮する前、固定されていないエンドプレート18から固定されたエンドプレート16への距離は、張力プレート20の長さより大きくてもよい。しかしながら、張力プレート20中の穴39ならびに固定されたエンドプレート16および固定されていないエンドプレート18中の対応する穴37は、スタック12が予め決定された高さに圧縮されたときに、整合することができる。張力プレート20は、例えば、アルミニウム、チタン、鋼、炭素繊維などの様々な材料から作製することができる。
【0029】
[041]張力プレート20が固定されていないエンドプレート18および固定されたエンドプレート16に取り付けられると、圧縮力は、張力プレート20に移動することができる。スタック12を圧縮する方法は、圧縮ツール44から張力プレート20に力を移動させるために、固定されていないエンドプレート18にロックナット32を取り付ける工程をさらに含んでいてもよい。例えば、ロックナット32は、図8で示されるように、それらが圧縮キャップ28と接触するまで、開口部26に向かって下にねじ込むことができる。ロックナット32は、予め決定されたトルク値に締めてもよい。示した通り、例えば図2、7、および8において、ロックナット32は、締めることに役立つトルクツールを接続できるように構成された表面機構(例えば、穴)を含み得る。ロックナット32には、予め決定された値にトルクをかけることができ、この値は、振動に加えて熱膨張および収縮によるロックナット32の緩みを防ぐように設定されていてもよい。
【0030】
[042]ロックナット32が適切に取り付けられると、ロックナット32は、圧縮キャップ28の円錐型の表面と重なると予想され、それによって圧縮キャップ28、ベルビルワッシャーのスタック30(例えば、圧縮部材24)および圧縮プレート22の動きが制限される。完了したら、圧縮ツール44および圧縮ツール44を介して適用された力を除去してもよいし、スタック12を圧縮状態下のままにしてもよい。
【0031】
[043]圧縮状態下のままで、エンドプレートのボルト31は、張力プレート20と固定されたエンドプレート16と固定されていないエンドプレート18との間で力を移動させることができる。また、固定されていないエンドプレート18とロックナット32との間で力を移動させることもできる。また、ロックナット32と圧縮部材24(例えば、圧縮キャップ28およびベルビルワッシャーのスタック30)との間で力を移動させることもできる。また、圧縮部材24と圧縮プレート22との間で力を移動させることもできる。また、圧縮プレート22とスタック12との間で力を移動させることもできる。これらの構成要素間で移動させる力は、スタック12によってもたらされる膨張力の場合もあり、これは、圧縮システム14によって維持される圧縮力によって打ち消すことができる。
【0032】
[044]本明細書に記載されるように、固定されたエンドプレート16、固定されていないエンドプレート18、および圧縮プレート22の中心の近くに圧縮力を適用および維持することは、力が外側または外縁に維持される従来の圧縮システムと比較して、固定されたエンドプレート16、固定されていないエンドプレート18、および圧縮プレート22の厚さを低減させつつも、たわみを低減したり、またはなくしたりすることを可能にする。厚さの低減は、圧縮システム14および電気化学セルスタックアセンブリ10のコスト、重量、およびサイズの低減を可能にすることになる。また、たわみを低減したり、またはなくしたりすることも、長期にわたる圧縮の均一性および恒久性を増加させ、加えてスタック12に適用される力および圧力の均一性および恒久性も増加させることができる。
【0033】
[045]一部の実施態様において、設計を簡単にする、コストを低減する、重量を低減する、および/または組み立て時間を低減するために、圧縮システム14の特定の構成要素を組み合わせることができる。例えば、図9は、1つまたはそれより多くの張力プレート20を、固定されたエンドプレート16および/または固定されていないエンドプレート18の一部として、固定して取り付けまたは製造できる例示的な実施態様を示す。例えば、2つの張力プレート20および固定されたエンドプレート16は、第1の単一ユニット54として形成でき、2つの他の張力プレート20および固定されていないエンドプレート18は、第2の単一ユニット58として形成できる。このような実施態様の場合、第1の単一ユニット54および第2の単一ユニット58は、電気化学セルスタックアセンブリ10の一部として一緒にボルトで固定することができる。例えば、図10は、横に配置された、ボルト62で一緒に固定された第1の単一ユニット54および第2の単一ユニット58を含む電気化学セルスタックアセンブリ10を示す。このような配置は、例えば固定しなければならないボルトがより少ないため、必要な組み立て時間を減少させることができる。また図10は、第1の単一ユニット54内に存在し得る流体マニホールド66も示す。流体マニホールド66は、電気化学セルスタックアセンブリ10にわたり燃料、酸化剤、および冷却剤を循環させるための導管であり得る。
【0034】
[046]一部の実施態様において、1つまたはそれより多くの張力プレートは、ボルトを使用せずに1つまたはそれより多くのエンドプレートに連結することができる。例えば、ラチェット機構を使用することができ、このメカニズムは、1つまたはそれより多くの張力プレートを、1つまたはそれより多くのエンドプレート上にはめることができるが、外れないようになっている。ラチェット機構に加えて、またはその代わりに、張力プレートは、それらの端部に直角またはフック型の機構を有していてもよく、このような機構は、エンドプレートが液圧プレスによる圧縮下にあるとき、エンドプレートのエッジにスライドさせることができる。一部の実施態様において、これは、蟻継ぎ手(dovetail joint)で実現することができる。例えば、図11は、蟻継ぎ手70を有する電気化学セルスタックアセンブリ10の例示的な実施態様の一部の断面側面図を示す。示した通り、蟻継ぎ手70は、固定されていないエンドプレート18のエッジにスライドさせることができるフック型の機構74を張力プレート20上に含んでいてもよい。固定されていないエンドプレート18のエッジは、張力プレート20上のフック型の機構を受け入れるようにカットされていてもよい。液圧プレスが除去されても、張力プレート上の直角またはフック型の機構は、互いに固定されたエンドプレートを保持することができる。
【0035】
[047]他の実施態様において、張力プレート20は、固定されたエンドプレート16の頂部の上、およびスタック12の下の周りをスライドするように設計された四角形のテンションスリーブで置き換えてもよい。このような実施態様の場合、テンションスリーブもまた、スタック12の周りの防護シールドとして役立つ場合もある。例えば、テンションスリーブは、スタック12との不注意な接触からの保護、ほこりからの保護、および水からの保護をもたらすことができる。一部の実施態様において、張力プレート20はまた、スタック12を完全に囲むように適合させてもよく、そうすることでそれらも防護シールドとして機能することができる。構造的な張力部材として、加えて防護シールドとして張力プレート20および/またはテンションスリーブを使用することは、電気化学セルスタックアセンブリ10を組み立てるのに必要な部品の数を低減することができ、したがってコスト、組み立て時間、および/またはアセンブリサイズを低減することができる。
【0036】
[048]圧縮システム14およびスタック12を圧縮する方法は、本明細書に記載されるように、スタック12の活性領域にわたり、主要な圧縮力が電気化学セルスタックの活性領域の外縁または外側に移動する圧縮方法で達成されるものより均一な力とそれに対応する圧力の適用を提供することができる。より均一な圧縮は、同じ抵抗(resistivity)を維持しながら、使用される圧縮をより少なくすることを可能にし、それによって電気化学セルスタック12を介したより優れたガスフローおよび性能の改善を可能にする。より均一な圧縮は、より優れた熱の分散を促進することができ、したがって、それがなければより高度に熱が集中すると予想される領域での過熱が原因の電気化学セルスタック12の初期不良が起こる機会を減少させる。
【0037】
[049]本明細書に記載される圧縮システム14および対応する圧縮方法の別の利点は、従来の圧縮システム(例えば、タイロッド圧縮システム)と比較して組み立て時間が低減されることである。組み立て中に圧縮が適用されるところと組み立て後にそれが維持されるところとは同じであるため、外縁に位置するタイロッドに圧縮を移動する工程をなくすことができ、それによって時間を節約することができる。
【0038】
[050]前述の説明は、例証の目的で記載されたものである。これは、全てを網羅したわけではなく、開示された精密な形態または実施態様に限定されない。実施態様の改変および適合は、開示された実施態様の詳細と実施の考察から明らかであると予想される。例えば、電気化学セルスタックに関して説明したが、本明細書に記載される圧縮システムは、電気化学セルスタック以外の他のアセンブリを圧縮することにも適合できることが理解される。
【0039】
[051]さらに、例示的な実施態様を本明細書で説明したが、その範囲には、本発明の開示に基づく等価な要素、改変、省略、組合せ(例えば、様々な実施態様にわたる形態の等価な要素、改変、省略、組合せ)、適合化および/または変更を有する様々な実施態様も含まれる。特許請求の範囲に記載の要素は、概して特許請求の範囲で採用される言語に基づき解釈されるものとし、本明細書に記載の、または出願の手続き中の実施例に限定されず、このような実施例は、非排他的と解釈されるものとする。さらに、開示された方法の工程は、あらゆる形で改変してもよく、例えば工程を並べ替える、および/または工程を挿入したりもしくはなくしたりすることが挙げられる。
【0040】
[052]用語「約」または「およそ」は、本明細書で使用される場合、当業者によって決定される特定の値にとって許容できる誤差範囲内であることを意味し、その値の測定または決定方法、例えば測定システムの限界、に一部依存するものである。例えば、「約」は、当業界の実務において1または1より多くの標準偏差以内を意味する場合がある。代替として、「約」は、所与の値の最大20%、例えば最大10%、最大5%、および最大1%の範囲を意味する場合がある。
【0041】
[053]本開示の特徴および利点は詳細な明細書から明白であり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の本質および範囲内に含まれる全てのシステムおよび方法を網羅していることが意図されている。本明細書で使用されるように、不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、「1つまたはそれより多くの」を意味する。同様に、複数形の用語の使用は、所与の文脈で明確ではない限り、必ずしも複数を意味するとは限らない。「および」または「または」などの言葉は、別段の具体的な指示がない限り、「および/または」を意味する。さらに、本発明の開示を研究することにより、多数の改変およびバリエーションが容易に想起されると予想されるため、例示および記載された正確な構築および操作に本開示を限定することは望ましくなく、したがって、全ての好適な改変および均等物を用いることができ、そのようなものも本開示の範囲内に含まれる。
【0042】
[054]本発明の開示の他の実施態様は、明細書の考察と本明細書に記載の本発明の開示の実施から当業者には明らかであろう。明細書および実施例は単なる例示とみなされ、本発明の開示の真の範囲および本質は、以下の特許請求の範囲により示されることが意図されている。
【符号の説明】
【0043】
10 電気化学セルスタックアセンブリ
12 電気化学セルスタック
14 圧縮システム
16 固定されたエンドプレート
18 固定されていないエンドプレート
20 張力プレート
22 圧縮プレート
24 圧縮部材
26 開口部
28 圧縮キャップ
30 ベルビルワッシャーのスタック
31 ボルト
32 ロックナット
33 ベルビルワッシャー
34 整合用ロッド
37 穴
38 第1の凹んだキャビティー
39 貫通穴
40 第2の凹んだキャビティー
42 貫通穴
44 圧縮ツール
46 足
48 整合用ペグ
54 第1の単一ユニット
58 第2の単一ユニット
62 ボルト
66 流体マニホールド
70 蟻継ぎ手
74 フック型の機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11