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特許7095076立体内視鏡対物光学系及びそれを備えた内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】立体内視鏡対物光学系及びそれを備えた内視鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20220627BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20220627BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220627BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20220627BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B23/26 C
A61B1/00 522
A61B1/00 731
G02B13/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020513100
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2019006445
(87)【国際公開番号】W WO2019198348
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018076034
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】榛澤 豊治
(72)【発明者】
【氏名】菅 武志
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/006505(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/017854(WO,A1)
【文献】特表2016-527566(JP,A)
【文献】国際公開第2014/129089(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/084494(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/199614(WO,A1)
【文献】特開2012-226248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、
負屈折力の第1レンズ群と、
正屈折力の第2レンズ群と、
正屈折力の後側レンズ群と、を有し、
前記第2レンズ群は、両凸正レンズと、両凹負レンズと、両凸正レンズと、からなり、
前記後側レンズ群は、第1後群と、第2後群と、を有し、
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群は、各々の光軸が一致するように配置され、
前記第1レンズ群の光軸は、前記第1後群の光軸と前記第2後群の光軸との間に位置し、
前記第1後群と前記第2後群は、各々、物体側から順に、第1副群と、開口絞りと、第2副群と、からなり、
前記第1副群は、最も物体側から順に、負レンズと、正レンズと、が配置され、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする立体内視鏡対物光学系。
0<-f21n/fSUB≦3 (1)
ここで、
f21nは、前記第1副群の最も物体側の前記負レンズの焦点距離、
fSUBは、前記第1後群の焦点距離、又は前記第2後群の焦点距離、
である。
【請求項2】
前記第1副群は正の屈折力を有し、
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の立体内視鏡対物光学
系。
0.2(mm)≦-L×f1/f2≦2(mm) (2)
ここで、
Lは、前記第1後群の光軸と前記第2後群の光軸との間隔、
f1は、前記第1レンズ群の焦点距離、
f2は、前記第2レンズ群の焦点距離、
である。
【請求項3】
前記第2副群は、負屈折力の前側副群と、正屈折力の後側副群と、からなり、
前記前側副群が光軸に沿って移動することで、合焦が行われることを特徴とする請求項1に記載の立体内視鏡対物光学系。
【請求項4】
前記後側副群の最も物体側に正レンズが位置し、
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項3に記載の立体内視鏡対物光学
系。
0.6≦f22R1/f22R≦1.9 (3)
ここで、
f22R1は、前記正レンズの焦点距離、
f22Rは、前記後側副群の焦点距離、
である。
【請求項5】
記第2副群の前記後側副群は、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズと、からなり、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項3に記載の立体内視鏡対物光学系。
0.9≦-f21n/f21p≦1.5 (4)
ここで、
f21nは、前記第1副群の最も物体側の前記負レンズの焦点距離、
f21pは、前記第1副群の前記正レンズの焦点距離、
である。
【請求項6】
記第2副群の前記後側副群は、物体側から順に、正レンズと、正レンズと、負レンズと、からなり、
以下の条件式(4’)を満足することを特徴とする請求項3に記載の立体内視鏡対物光学系。
0.5≦-f21n/f21p≦1 (4’)
ここで、
f21nは、前記第1副群の最も物体側の前記負レンズの焦点距離、
f21pは、前記第1副群の前記正レンズの焦点距離、
である。
【請求項7】
記第2副群は、負屈折力の前側副群と、正屈折力の後側副群と、からなり、
前記第2副群の前記後側副群は、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズと、からなり、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の立体内視鏡対物光学系。
0.9≦-f21n/f21p≦1.5 (4)
ここで、
f21nは、前記第1副群の最も物体側の前記負レンズの焦点距離、
f21pは、前記第1副群の前記正レンズの焦点距離、
である。
【請求項8】
記第2副群は、負屈折力の前側副群と、正屈折力の後側副群と、からなり、
前記第2副群の前記後側副群は、物体側から順に、正レンズと、正レンズと、負レンズと、からなり、
以下の条件式(4’)を満足することを特徴とする請求項1に記載の立体内視鏡対物光学系。
0.5≦-f21n/f21p≦1 (4’)
ここで、
f21nは、前記第1副群の最も物体側の前記負レンズの焦点距離、
f21pは、前記第1副群の前記正レンズの焦点距離、
である。
【請求項9】
請求項1に記載の立体内視鏡対物光学系と、
前記立体内視鏡対物光学系によって形成された光学像を撮像する撮像素子と、を有することを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体内視鏡対物光学系及びそれを備えた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いた観察では、組織の立体構造をより細かく把握できる拡大観察が有効とされている。拡大観察を行う光学系では、焦点が合う物点位置を遠点から近点に移動させることで、組織を拡大表示できる。
【0003】
焦点を合わせることができる範囲(以下、「合焦範囲」という)のうち、光学系から最も遠い物点の位置を遠点とし、光学系に最も近い物点の位置を近点とする。また、近点観察を近点の物体に合焦した状態での観察とし、遠点観察を遠点の物体に合焦した状態での観察とする。
【0004】
遠点観察では、広い範囲を観察できることが望まれている。一方、近点観察では、物体の立体情報が得られることが望まれている。
【0005】
立体情報は、立体視を行うことで得ることができる。立体視では、視差を有する一対の画像が用いられる。視差を有する一対の画像は、視差を有する一対の光学像から得る。視差を有する一対の光学像は、一対の光学系を並列に配置することで得ることができる。
【0006】
一対の光学像を形成する光学系が、特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0007】
特許文献1には、負の屈折力を有する第1負レンズ群と、正の屈折力を有する第1正レンズ群と、正の屈折力を有する第2正レンズ群と、を有する結像光学系が開示されている。第1負レンズ群と第1正レンズ群は、共通の中心軸に沿って配置され、第2正レンズ群が、共通の中心軸を挟んで視差方向に並んで配置されている。
【0008】
特許文献2には、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、一対の第3レンズ群と、からなる内視鏡対物光学系が開示されている。一対の第3レンズ群は、互いに視差方向に並列に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6072381号公報
【文献】特許第5945649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の光学系や特許文献2の光学系では、立体感を向上させようとすると、軸外主光線の光学系の入射角が大きくなる。この場合、一対の光学系における光束が大きくなる。その結果、一対の光学系におけるレンズ径が大きくなる。
【0011】
一対の光学系におけるレンズ径が大きくなると、2つの光学系が接触する。接触を避けるためには、2つの光学系を離すか、又は、一対の光学系の有効口径を小さくすれば良い。しかしながら、2つの光学系を離すと全体の光学系が大きくなる。また、有効口径を小さくすると、広い画角の確保が難しい。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、広い画角を有し、適切な立体感が得られ、小型の立体内視鏡対物光学系及びそれを備えた内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る立体内視鏡対物光学系は、
物体側から順に、
負屈折力の第1レンズ群と、
正屈折力の第2レンズ群と、
正屈折力の後側レンズ群と、を有し、
第2レンズ群は、両凸正レンズと、両凹負レンズと、両凸正レンズと、からなり、
後側レンズ群は、第1後群と、第2後群と、を有し、
第1レンズ群と第2レンズ群は、各々の光軸が一致するように配置され、
第1レンズ群の光軸は、第1後群の光軸と第2後群の光軸との間に位置し、
第1後群と第2後群は、各々、物体側から順に、第1副群と、開口絞りと、第2副群と、からなり、
第1副群は、最も物体側から順に、負レンズと、正レンズと、が配置され、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0<-f21n/fSUB≦3 (1)
ここで、
f21nは、第1副群の最も物体側の負レンズの焦点距離、
fSUBは、第1後群の焦点距離、又は第2後群の焦点距離、
である。
【0014】
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡は、
立体内視鏡対物光学系と、
立体内視鏡対物光学系によって形成された光学像を撮像する撮像素子と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、広い画角を有し、適切な立体感が得られ、小型の立体内視鏡対物光学系及びそれを備えた内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】軸外光が結像される様子を示す図である。
図2】実施例1の立体内視鏡対物光学系のレンズ断面図である。
図3】実施例1の立体内視鏡対物光学系の収差図である。
図4】実施例2の立体内視鏡対物光学系のレンズ断面図である。
図5】実施例2の立体内視鏡対物光学系の収差図である。
図6】実施例3の立体内視鏡対物光学系のレンズ断面図である。
図7】実施例3の立体内視鏡対物光学系の収差図である。
図8】実施例4の立体内視鏡対物光学系のレンズ断面図である。
図9】実施例4の立体内視鏡対物光学系の収差図である。
図10】実施例5の立体内視鏡対物光学系のレンズ断面図である。
図11】実施例5の立体内視鏡対物光学系の収差図である。
図12】本実施形態の内視鏡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態に係る立体内視鏡対物光学系と内視鏡について、図面を用いて、このような構成をとった理由と作用を説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下の説明における正レンズには、正屈折力の単レンズと正屈折力の接合レンズが含まれる。負レンズには、負屈折力の単レンズと負屈折力の接合レンズが含まれる。
【0018】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群と、正屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の後側レンズ群と、を有し、後側レンズ群は、第1後群と、第2後群と、を有し、第1レンズ群と第2レンズ群は、各々の光軸が一致するように配置され、第1レンズ群の光軸、第1後群の光軸及び第2後群の光軸は、同一平面上に位置し、第1レンズ群の光軸は、第1後群の光軸と第2後群の光軸との間に位置し、第1後群と第2後群は、各々、第1副群と、開口絞りと、第2副群と、からなり、第1副群は負レンズを有し、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0<-f21n/fSUB≦3 (1)
ここで、
f21nは、第1副群の負レンズの焦点距離、
fSUBは、第1後群の焦点距離、又は第2後群の焦点距離、
である。
【0019】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群と、正屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の後側レンズ群と、を有する。第1レンズ群と第2レンズ群は、各々の光軸が一致するように配置されている。
【0020】
第1レンズ群の光軸、第1後群の光軸及び第2後群の光軸は、同一平面上に位置している。第1レンズ群の光軸は、第1後群の光軸と第2後群の光軸との間に位置している。よって、第1後群と第2後群は、並列に配置されている。
【0021】
第1後群と第2後群は、同一の光学系である。第1後群と第2後群は、各々、第1副群と、開口絞りと、第2副群と、からなる。第1副群は、負レンズを有する。
【0022】
その結果、本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、広い画角の確保、適切な立体感の確保、及び光学系の小型化が実現できる。この点について説明する。
【0023】
図1は、軸外光が結像される様子を示す図である。図1(a)は、従来の光学系における軸外光が結像される様子を示す図、図1(b)は、本実施形態の立体内視鏡対物光学系における軸外光が結像される様子を示す図である。図1(a)と図1(b)では、レンズは簡略な図で表示されている。
【0024】
図1(a)と図1(b)に示すように、光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群G1と、正屈折力の第2レンズ群G2と、を有する。このようにすることで、光学系の画角を広くできる。
【0025】
画角が広い光学系では、第1レンズ群に入射する軸外主光線LBの角度ε1が大きい。この場合、適切な立体感を確保しようとすると、従来の光学系では、後側レンズ群GRに入射する軸外主光線の角度ε2が大きくなる。その結果、後側レンズ群GRにおける光束径が大きくなる。
【0026】
後側レンズ群GRでは、レンズ群GR1とレンズ群GR2が、並列に配置されている。後側レンズ群GRにおける光束径が大きくなると、レンズ群GR1とレンズ群GR2の各々で、レンズ径が大きくなる。その結果、レンズ群GR1とレンズ群GR2とが接触する。
【0027】
レンズ群GR1とレンズ群GR2とが接触しないためには、レンズ群GR1とレンズ群GR2との間隔を広げるか、又は、レンズ群GR1とレンズ群GR2の各々で、レンズ径を小さくすれば良い。
【0028】
しかしながら、レンズ群GR1とレンズ群GR2との間隔を広げると、光学系が大きくなる。レンズ群GR1とレンズ群GR2の各々で、レンズ径を小さくすると、有効口径が小さくなる。そのため、画角が狭くなってしまう。
【0029】
これに対して、本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、後側レンズ群GRに負レンズNLが配置されている。負レンズNLは、物体側で、第2レンズ群G2の近くに配置されている。負レンズNLの像側に、開口絞りASが配置されている。
【0030】
このようにすることで、後側レンズ群GRに入射する軸外主光線の角度ε2’は、角度ε2に比べて小さくなる。この場合、後側レンズ群GRにおける光束径が小さくなる。その結果、レンズ群GR1とレンズ群GR2とが接触することはない。
【0031】
レンズ群GR1とレンズ群GR2とが接触しないので、レンズ群GR1とレンズ群GR2との間隔を広げる必要や、レンズ群GR1とレンズ群GR2の各々で、レンズ径を小さくする必要がない。その結果、広い画角の確保と光学系の小型化を両立できる。また、レンズ群GR1とレンズ群GR2との間隔を適切にできるので、適切な立体感を確保できる。
【0032】
図1(b)における間隔Aと間隔Lは、近軸的には、以下の式で定義される。
A(mm)=-L×f1/f2(mm)
ここで、
Aは、所定の間隔、
Lは、レンズ群GR1の光軸AX1とレンズ群GR2の光軸AX2との間隔、
f1は、第1レンズ群G1の焦点距離、
f2は、第2レンズ群G2の焦点距離、
所定の間隔は、第1レンズ群G1の物体側における第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、
である。
【0033】
間隔Lは、後側レンズ群GRにおける、レンズ群GR1の光軸AX1とレンズ群GR2の光軸AX2との間隔である。間隔Lは、第1レンズ群G1と第2レンズG2により変換される。その結果、第1レンズ群の物体側では、第1レンズ群G1の光軸AX1と第2レンズ群G2の光軸AX2との間隔は、間隔Aとなる。
【0034】
レンズ群GR1とレンズ群GR2の各々には、開口絞りASが配置されている。開口絞りASを物体とみなすと、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とで、開口絞りASの像が形成される。開口絞りASの像は、入射瞳と呼ばれる。図1(b)では、入射瞳は、ENPで表示されている。
【0035】
一方の入射瞳の中心と他方の入射瞳の中心との間隔(以下、「入射瞳の中心間隔」という)の値は、間隔Aの値で近似することができる。入射瞳の中心間隔は、人間の目の間隔に相当する。中心間隔の値は、立体感を決める値である。
【0036】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系は、条件式(1)を満足する。条件式(1)は、後側レンズ群に入射する軸外主光線の傾きを小さくする条件式である。
【0037】
値が条件式(1)の下限値を下回る場合、負レンズの屈折力を大きくなりすぎる。この場合、収差補正が難しくなるので、鮮明な光学像が形成されない。値が条件式(1)の上限値を上回る場合、軸外主光線の傾きを十分に小さくできない。そのため、光学系が大きくなるか、又は、広い画角を確保できない。
【0038】
条件式(1)に代えて、以下の条件式(1’)を満足することが好ましい。
0.3<-f21n/fSUB≦3 (1’)
【0039】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、第1副群は正の屈折力を有すると共に、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、を有し、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.2(mm)≦-L×f1/f2≦2(mm) (2)
ここで、
Lは、第1後群の光軸と第2後群の光軸との間隔、
f1は、第1レンズ群の焦点距離、
f2は、第2レンズ群の焦点距離、
である。
【0040】
また、条件式(2)を満足すると良い。条件式(2)は、間隔Aに関する条件式である。前述したように、間隔Aは中心間隔に相当するので、条件式(2)は入射瞳の中心間隔に関する条件式に相当する。よって、条件式(2)を満足することで、適切な立体感が得られる。
【0041】
値が条件式(2)の下限値を下回る場合、立体感が小さくなりすぎる。よって、実用的な立体視ができない。値が条件式(2)の上限値を上回る場合、立体感が大きくなりすぎる。この場合、融像がしにくくなるので、実用的な立体視ができない。
【0042】
条件式(2)に代えて、以下の条件式(2’)を満足することが好ましい。条件式(2’)を満足することで、より適切な立体感が得られる。
0.35(mm)≦-L×f1/f2≦2(mm)2’
【0043】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、第2副群は、負屈折力の前側副群と、正屈折力の後側副群と、からなり、前側副群が光軸に沿って移動することで、合焦が行われることが好ましい。
【0044】
立体内視鏡における観察では、最初に、広い範囲を観察し、その範囲の中から患部を見つけ出す。患部を見つけ出したら、患部に先端部を近接させて、患部を拡大観察する。広い範囲の観察と拡大観察の両方で、適切な立体感が得られることが望まれる。
【0045】
そのためには、光学系に合焦機能を持たせることが望ましい。本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、前側副群が光軸に沿って移動する。前側副群の焦点距離は、第1レンズ群の焦点距離や第2レンズ群の焦点距離よりも、短くできる。そのため、合焦時の移動量を少なくできる。
【0046】
合焦時の移動量が少なくできると、移動機構を小型化できる。また、隣接するレンズとの間隔を狭くできるので、前側副群における光線高を低くできる。よって、小型で合焦機能を有する光学系を実現できる。
【0047】
また、前側副群は第1後群と第2後群の両方に配置されている。この場合、2つの前側副群を一体で移動できるので、移動範囲における体積を小さくできる。その結果、移動機構を小型化できる。
【0048】
また、負屈折力のレンズを移動させるので、拡大観察時の観察倍率を大きくできる。その結果、より大きな拡大効果が得られる。
【0049】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、後側副群の最も物体側に正レンズが位置し、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
0.6≦f22R1/f22R≦1.9 (3)
ここで、
f22R1は、正レンズの焦点距離、
f22Rは、後側副群の焦点距離、
である。
【0050】
後側副群の物体側には、前側副群が配置されている。前側副群の屈折力は負屈折力なので、前側副群から出射する光束は広がり易い。後側副群の最も物体側に正レンズを配置することで、前側副群から出射する光束の広がりを抑えることができる。
【0051】
値が条件式(3)の上限値を上回る場合、前側副群から出射する光束の広がりを抑えることが難しくなる。この場合、後側副群におけるレンズ径が大きくなる。後側レンズ群では、2つの後側副群が並列に配置されている。2つの後側副群の各々で、レンズ径が大きくなる。その結果、2つの後側副群が接触する。
【0052】
2つの後側副群が接触しないためには、2つの後側副群の間隔を広げるか、又は、2つの後側副群の各々で、レンズ径を小さくすれば良い。
【0053】
しかしながら、2つの後側副群の間隔を広げると、光学系が大きくなる。2つの後側副群の各々で、レンズ径を小さくすると、有効口径が小さくなる。そのため、画角が狭くなってしまう。
【0054】
値が条件式(3)の下限値を下回る場合、軸外主光線が大きく屈折される。そのため、コマ収差が増大する。その結果、光学像の周辺部における結像性能が劣化する。
【0055】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、第1副群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、を有し、第2副群の後側副群は、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズと、からなり、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
0.9≦-f21n/f21p≦1.5 (4)
ここで、
f21nは、第1副群の負レンズの焦点距離、
f21pは、第1副群の正レンズの焦点距離、
である。
【0056】
後側副群が、正レンズ、負レンズ、及び正レンズを有することで、各レンズの屈折力を大きくできる。そのため、後側副群の組立が容易にできる。
【0057】
値が条件式(4)の下限値を下回る場合、第1副群の負レンズと第1副群の正レンズとで発生する像面湾曲を補正しにくくなる。値が条件式(4)の上限値を上回る場合、第1副群で光線を屈折させる効果が少なくなる。この場合、第1レンズ群において最も物体側に位置するレンズの外径が大きくなる。そのため、光学系の小型化が難しくなる。
【0058】
本実施形態の立体内視鏡対物光学系では、第1副群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、を有し、第2副群の後側副群は、物体側から順に、正レンズと、正レンズと、負レンズと、からなり、以下の条件式(4’)を満足することが好ましい。
0.5≦-f21n/f21p≦1 (4’)
ここで、
f21nは、第1副群の負レンズの焦点距離、
f21pは、第1副群の正レンズの焦点距離、
である。
【0059】
後側副群が、正レンズ、正レンズ、及び負レンズを有することで、後側副群での収差補正が容易になる。その結果、解像度が高い光学像を形成できる。
【0060】
値が条件式(4’)の下限値を下回る場合、第1副群で軸外主光線が大きく屈折される。そのため、軸外収差の補正が難しくなる。値が条件式(4’)の上限値を上回る場合、第1副群の負レンズの屈折力が小さくなるか、又は、第1副群の正レンズの屈折力が大きくなる。そのため、球面収差の補正が難しくなる。
【0061】
本実施形態に係る内視鏡は、本実施形態に係る立体内視鏡対物光学系と、立体内視鏡対物光学系によって形成された光学像を撮像する撮像素子と、を有することを特徴とする。
【0062】
本実施形態に係る内視鏡によれば、近点観察時に適切な立体感で、鮮明な立体像を観察することができる。
【0063】
以下に、立体視光学系の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0064】
各実施例のレンズ断面図について説明する。図2は、像面に最も合焦している物体位置が固定されている光学系のレンズ断面図である。また、図2以外のレンズ断面図は、合焦する物体位置を可変できる光学系のレンズ断面図である。これらのレンズ断面図において、(a)は遠点合焦時(遠点観察時)のレンズ断面、(b)は近点合焦時(近点観察時)のレンズ断面図である。
【0065】
第1レンズ群はG1、第2レンズ群はG2、第3レンズ群はG3、開口絞りはS、像面(撮像面)はIで示してある。また、第3レンズ群G3と像面Iとの間に、カバーガラスC1とカバーガラスC2が配置されている。
【0066】
第3レンズ群G3は、後側レンズ群である。第3レンズ群G3は、第1後群と第2後群とを有する。第1後群と同じ光学系が、第2後群に用いられている。
【0067】
各実施例の収差図について説明する。図3において、(a)は横収差(DZY)、(b)は非点収差(AS)、(c)は歪曲収差(DT)を示している。いずれも、像面に最も合焦している物体位置での収差図である。
【0068】
図3以外の収差図において、(a)は横収差(DZY)、(b)は非点収差(AS)、(c)は歪曲収差(DT)を示している。いずれも、遠点合焦時の収差図である。(d)は横収差(DZY)、(e)は非点収差(AS)、(f)は歪曲収差(DT)を示している。いずれも、近点合焦時のものである。
【0069】
各収差図において、横軸は収差量を表している。横収差と非点収差については、収差量の単位はmmである。また、歪曲収差については、収差量の単位は%である。収差曲線の波長の単位はnmである。
【0070】
実施例1の立体内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群G1と、正屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、を有する。
【0071】
第1レンズ群G1は、平面を物体側に向けた平凹負レンズL1と、両凹負レンズL2と、両凸正レンズL3と、両凹負レンズL4と、を有する。ここで、両凹負レンズL2と両凸正レンズL3とで、接合レンズが形成されている。
【0072】
第2レンズ群G2は、両凸正レンズL5と、両凹負レンズL6と、両凸正レンズL7と、を有する。ここで、両凹負レンズL6と両凸正レンズL7とで、接合レンズが形成されている。
【0073】
第3レンズ群G3は、第1後群と第2後群とを有する。第1後群と第2後群は、共に、両凹負レンズL8と、両凸正レンズL9と、平面を物体側に向けた平凹負レンズL10と、両凸正レンズL11と、平面を物体側に向けた平凸正レンズL12と、両凹負レンズL13と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL15と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL16と、両凸正レンズL17と、を有する。
【0074】
ここで、両凹負レンズL8と両凸正レンズL9とで、第1接合レンズが形成されている。平凹負レンズL10と両凸正レンズL11とで、第2接合レンズが形成されている。平凸正レンズL12と両凹負レンズL13とで、第3接合レンズが形成されている。負メニスカスレンズL16と両凸正レンズL17とで、第4接合レンズが形成されている。
【0075】
第1後群と第2後群は、共に、正屈折力の第1副群SUB1と、第2副群SUB2と、からなる。開口絞り(絞り)Sは、第1副群SUB1と第2副群SUB2との間に配置されている。
【0076】
第1副群SUB1は、第1接合レンズと第2接合レンズとからなる。第2副群SUB2は、負屈折力の前側副群SUBFと、正屈折力の後側副群SUBRと、からなる。前側副群SUBFは、第3接合レンズからなる。後側副群SUBRは、正レンズと、負レンズと、第4接合レンズと、からなる。
【0077】
実施例1の立体内視鏡対物光学系は、合焦機能を備えていない。
【0078】
非球面は、両凹負レンズL4の物体側面と、両凹負レンズL6の物体側面と、の合計2面に設けられている。
【0079】
実施例2の立体内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群G1と、正屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、を有する。
【0080】
第1レンズ群G1は、平面を物体側に向けた平凹負レンズL1と、両凹負レンズL2と、両凸正レンズL3と、両凹負レンズL4と、を有する。ここで、両凹負レンズL2と両凸正レンズL3とで、接合レンズが形成されている。
【0081】
第2レンズ群G2は、両凸正レンズL5と、両凹負レンズL6と、両凸正レンズL7と、を有する。ここで、両凹負レンズL6と両凸正レンズL7とで、接合レンズが形成されている。
【0082】
第3レンズ群G3は、第1後群と第2後群とを有する。第1後群と第2後群は、共に、両凹負レンズL8と、両凸正レンズL9と、平面を物体側に向けた平凹負レンズL10と、両凸正レンズL11と、平面を物体側に向けた平凸正レンズL12と、両凹負レンズL13と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL15と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL16と、両凸正レンズL17と、を有する。
【0083】
ここで、両凹負レンズL8と両凸正レンズL9とで、第1接合レンズが形成されている。平凹負レンズL10と両凸正レンズL11とで、第2接合レンズが形成されている。平凸正レンズL12と両凹負レンズL13とで、第3接合レンズが形成されている。負メニスカスレンズL16と両凸正レンズL17とで、第4接合レンズが形成されている。
【0084】
第1後群と第2後群は、共に、正屈折力の第1副群SUB1と、第2副群SUB2と、からなる。開口絞り(絞り)Sは、第1副群SUB1と第2副群SUB2との間に配置されている。
【0085】
第1副群SUB1は、第1接合レンズと第2接合レンズとからなる。第2副群SUB2は、負屈折力の前側副群SUBFと、正屈折力の後側副群SUBRと、からなる。前側副群SUBFは、第3接合レンズからなる。後側副群SUBRは、正レンズと、負レンズと、第4接合レンズと、からなる。
【0086】
実施例2の立体内視鏡対物光学系は、合焦機能を備えている。遠点から近点への合焦時、前側副群SUBFが像側に移動する。実施例2の立体視光学系では、第1後群の前側副群SUBFと第2後群の前側副群SUBFを同時に移動させるため、移動機構を簡素化することができる。
【0087】
非球面は、両凹負レンズL4の物体側面と、両凹負レンズL6の物体側面と、の合計2面に設けられている。
【0088】
実施例3の立体内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群G1と、正屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、を有する。
【0089】
第1レンズ群G1は、平面を物体側に向けた平凹負レンズL1と、両凹負レンズL2と、両凸正レンズL3と、両凹負レンズL4と、を有する。ここで、両凹負レンズL2と両凸正レンズL3とで、接合レンズが形成されている。
【0090】
第2レンズ群G2は、両凸正レンズL5と、両凹負レンズL6と、両凸正レンズL7と、を有する。ここで、両凹負レンズL6と両凸正レンズL7とで、接合レンズが形成されている。
【0091】
第3レンズ群G3は、第1後群と第2後群とを有する。第1後群と第2後群は、共に、両凹負レンズL8と、両凸正レンズL9と、平面を物体側に向けた平凹負レンズL10と、両凸正レンズL11と、平面を物体側に向けた平凸正レンズL12と、両凹負レンズL13と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14と、平面を像側に向けた平凸正レンズL15と、平面を物体側に向けた平凹負レンズL16と、両凹負レンズL17と、両凸正レンズL18と、を有する。
【0092】
ここで、両凹負レンズL8と両凸正レンズL9とで、第1接合レンズが形成されている。平凹負レンズL10と両凸正レンズL11とで、第2接合レンズが形成されている。平凸正レンズL12と両凹負レンズL13とで、第3接合レンズが形成されている。平凸正レンズL15と平凹負レンズL16とで、第4接合レンズが形成されている。両凹負レンズL17と両凸正レンズL18とで、第5接合レンズが形成されている。
【0093】
第1後群と第2後群は、共に、正屈折力の第1副群SUB1と、第2副群SUB2と、からなる。開口絞り(絞り)Sは、第1副群SUB1と第2副群SUB2との間に配置されている。
【0094】
第1副群SUB1は、第1接合レンズと第2接合レンズとからなる。第2副群SUB2は、負屈折力の前側副群SUBFと、正屈折力の後側副群SUBRと、からなる。前側副群SUBFは、第3接合レンズからなる。後側副群SUBRは、正レンズと、第4接合レンズと、第5接合レンズと、からなる。
【0095】
実施例3の立体内視鏡対物光学系は、合焦機能を備えている。遠点から近点への合焦時、前側副群SUBFが像側に移動する。実施例3の立体視光学系では、第1後群の前側副群SUBFと第2後群の前側副群SUBFを同時に移動させるため、移動機構を簡素化することができる。
【0096】
非球面は、両凹負レンズL4の物体側面と、両凹負レンズL6の物体側面と、の合計2面に設けられている。
【0097】
実施例4の立体内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群G1と、正屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、を有する。
【0098】
第1レンズ群G1は、平面を物体側に向けた平凹負レンズL1と、両凹負レンズL2と、両凸正レンズL3と、両凹負レンズL4と、を有する。ここで、両凹負レンズL2と両凸正レンズL3とで、接合レンズが形成されている。
【0099】
第2レンズ群G2は、両凸正レンズL5と、両凹負レンズL6と、両凸正レンズL7と、を有する。ここで、両凹負レンズL6と両凸正レンズL7とで、接合レンズが形成されている。
【0100】
第3レンズ群G3は、第1後群と第2後群とを有する。第1後群と第2後群は、共に、両凹負レンズL8と、両凸正レンズL9と、平面を物体側に向けた平凹負レンズL10と、両凸正レンズL11と、平面を物体側に向けた平凸正レンズL12と、両凹負レンズL13と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14と、両凸正レンズL15と、両凹負レンズL16と、両凹負レンズL17と、両凸正レンズL18と、を有する。
【0101】
ここで、両凹負レンズL8と両凸正レンズL9とで、第1接合レンズが形成されている。平凹負レンズL10と両凸正レンズL11とで、第2接合レンズが形成されている。平凸正レンズL12と両凹負レンズL13とで、第3接合レンズが形成されている。両凸正レンズL15と両凹負レンズL16とで、第4接合レンズが形成されている。両凹負レンズL17と両凸正レンズL18とで、第5接合レンズが形成されている。
【0102】
第1後群と第2後群は、共に、正屈折力の第1副群SUB1と、第2副群SUB2と、からなる。開口絞り(絞り)Sは、第1副群SUB1と第2副群SUB2との間に配置されている。
【0103】
第1副群SUB1は、第1接合レンズと第2接合レンズとからなる。第2副群SUB2は、負屈折力の前側副群SUBFと、正屈折力の後側副群SUBRと、からなる。前側副群SUBFは、第3接合レンズからなる。後側副群SUBRは、正レンズと、第4接合レンズと、第5接合レンズと、からなる。
【0104】
実施例4の立体内視鏡対物光学系は、合焦機能を備えている。遠点から近点への合焦時、前側副群SUBFが像側に移動する。実施例4の立体視光学系では、第1後群の前側副群SUBFと第2後群の前側副群SUBFを同時に移動させるため、移動機構を簡素化することができる。
【0105】
非球面は、両凹負レンズL4の物体側面と、両凹負レンズL6の物体側面と、の合計2面に設けられている。
【0106】
実施例5の立体内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負屈折力の第1レンズ群G1と、正屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、を有する。
【0107】
第1レンズ群G1は、平面を物体側に向けた平凹負レンズL1と、両凹負レンズL2と、両凸正レンズL3と、両凹負レンズL4と、を有する。ここで、両凹負レンズL2と両凸正レンズL3とで、接合レンズが形成されている。
【0108】
第2レンズ群G2は、両凸正レンズL5と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL6と、両凸正レンズL7と、を有する。ここで、負メニスカスレンズL6と両凸正レンズL7とで、接合レンズが形成されている。
【0109】
第3レンズ群G3は、第1後群と第2後群とを有する。第1後群と第2後群は、共に、両凹負レンズL8と、両凸正レンズL9と、平面を物体側に向けた平凹負レンズL10と、両凸正レンズL11と、平面を物体側に向けた平凹負レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、両凸正レンズL14と、平面を像側に向けた平凸正レンズL15と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL16と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL17と、を有する。
【0110】
ここで、両凹負レンズL8と両凸正レンズL9とで、第1接合レンズが形成されている。平凹負レンズL10と両凸正レンズL11とで、第2接合レンズが形成されている。平凹負レンズL12と正メニスカスレンズL13とで、第3接合レンズが形成されている。正メニスカスレンズL16と負メニスカスレンズL17とで、第4接合レンズが形成されている。
【0111】
第1後群と第2後群は、共に、正屈折力の第1副群SUB1と、第2副群SUB2と、からなる。開口絞り(絞り)Sは、第1副群SUB1と第2副群SUB2との間に配置されている。
【0112】
第1副群SUB1は、第1接合レンズと第2接合レンズとからなる。第2副群SUB2は、負屈折力の前側副群SUBFと、正屈折力の後側副群SUBRと、からなる。前側副群SUBFは、第3接合レンズからなる。後側副群SUBRは、正レンズと、正レンズと、第4接合レンズと、からなる。
【0113】
実施例5の立体内視鏡対物光学系は、合焦機能を備えている。遠点から近点への合焦時、前側副群SUBFが像側に移動する。実施例5の立体視光学系では、第1後群の前側副群SUBFと第2後群の前側副群SUBFを同時に移動させるため、移動機構を簡素化することができる。
【0114】
以下に、上記各実施例の数値データを示す。面データにおいて、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、ndは各レンズのd線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数である。
【0115】
また、非球面形状は、光軸方向をz、光軸に直交する方向をyにとり、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12…としたとき、次の式で表される。
z=(y2/r)/[1+{1-(1+k)(y/r)21/2
+A4y4+A6y6+A8y8+A10y10+A12y12+…
また、非球面係数において、「E-n」(nは整数)は、「10-n」を示している。なお、これら諸元値の記号は後述の実施例の数値データにおいても共通である。
【0116】
本実施例では、物体面側のレンズから順に合成焦点距離を計算し、最も焦点距離が大きくなるレンズ範囲(最も負の屈折力が大きくなるレンズ範囲)を、第1レンズ群G1と定義している。第1レンズ群G1の定義は、上記定義に限定されるものではない。
【0117】
また、各種データにおいて、IHは像高、φは開口絞りの直径、Lは第1後群の光軸と第2後群の光軸との間隔、NAは物体側の開口数、ΔIは像面のシフト量である。
【0118】
第3レンズ群のシフト量は、第1レンズ群の光軸と第1後群の光軸との間隔、又は、第1レンズ群の光軸と第2後群の光軸との間隔から求めれば良い。
【0119】
第1後群の像面には第1光学像が形成される。第2後群の像面には第2光学像が形成される。第1後群の光軸と第2後群の光軸位置は、共に、第1レンズ群の光軸に対してシフトしている。そのため、第1レンズ群の光軸上の物点の像は、第1後群の光軸上や第2後群の光軸上に形成されない。すなわち、第1光学像の中心は第1後群の光軸と一致せず、第2光学像の中心は第2後群の光軸と一致しない。
【0120】
像面のシフト量は、第1後群の光軸と第1光学像の中心との差から求めるか、又は、第2後群の光軸と第2光学像の中心との差から求めれば良い。像面のシフト量の符号の正負については、第1後群の光軸よりも第1レンズ群の光軸側に第1光学像の中心が位置している場合、及び、第2後群の光軸よりも第1レンズ群の光軸側に第2光学像の中心が位置している場合を負とする。
【0121】
数値実施例1
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ 10.0000
1 ∞ 0.3000 1.88300 40.76
2 2.7003 0.6100
3 -2.4659 0.3000 1.81600 46.62
4 2.7009 0.6100 1.92286 18.90
5 -18.5670 0.1500
6* -4.6983 0.3000 1.51633 64.14
7 4.6936 0.1025
8 2.1908 0.7300 1.69680 55.53
9 -15.9753 0.1000
10* -13.1672 0.3000 1.85026 32.27
11 4.0126 0.9500 1.49700 81.54
12 -2.0357 0.1000
13 -0.8235 0.2100 1.95906 17.47
14 8.3698 0.3600 1.48749 70.23
15 -0.7912 0.1000
16 ∞ 0.2400 1.81600 46.62
17 0.8312 0.4200 1.80518 25.42
18 -2.0255 0.0500
19(絞り) ∞ 0.19262
20 ∞ 0.3100 1.80610 40.92
21 -1.4007 0.2400 1.75520 27.51
22 2.6888 0.65738
23 1.4452 0.3900 2.00330 28.27
24 7.8217 0.1851
25 -2.5095 0.2038 1.92286 18.90
26 -3.9683 0.6793
27 1.6582 0.2100 1.95906 17.47
28 0.6086 0.5100 1.48749 70.23
29 -1.8356 0.1000
30 ∞ 0.4500 1.51633 64.14
31 ∞ 0.0100 1.51300 64.00
32 ∞ 0.3500 1.50510 63.26
33 ∞ 0.0000
像面 ∞

非球面データ
第6面
k=-1.0541
A4=-4.4267E-02,A6=6.8814E-03,A8=3.0686E-03
第10面
k=-0.2974
A4=-2.3416E-02,A6=-7.5181E-03

各種データ
IH 0.48
φ 0.72
L 1.4
NA 0.00795
ΔI 0.01393
【0122】
数値実施例2
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ d0
1 ∞ 0.3000 1.88300 40.76
2 2.7003 0.6100
3 -2.4659 0.3000 1.81600 46.62
4 2.7009 0.6100 1.92286 18.90
5 -18.5670 0.1500
6* -4.6983 0.3000 1.51633 64.14
7 4.6936 0.1025
8 2.1908 0.7300 1.69680 55.53
9 -15.9753 0.1000
10* -13.1672 0.3000 1.85026 32.27
11 4.0126 0.9500 1.49700 81.54
12 -2.0357 0.1000
13 -0.8235 0.2100 1.95906 17.47
14 8.3698 0.3600 1.48749 70.23
15 -0.7912 0.1000
16 ∞ 0.2400 1.81600 46.62
17 0.8312 0.4200 1.80518 25.42
18 -2.0255 0.0500
19(絞り) ∞ d1
20 ∞ 0.3100 1.80610 40.92
21 -1.4007 0.2400 1.75520 27.51
22 2.6888 d2
23 1.4452 0.3900 2.00330 28.27
24 7.8217 0.1851
25 -2.5095 0.2038 1.92286 18.90
26 -3.9683 0.6793
27 1.6582 0.2100 1.95906 17.47
28 0.6086 0.5100 1.48749 70.23
29 -1.8356 0.1000
30 ∞ 0.4500 1.51633 64.14
31 ∞ 0.0100 1.51300 64.00
32 ∞ 0.3500 1.50510 63.26
33 ∞ 0.0000
像面 ∞

非球面データ
第6面
k=-1.0541
A4=-4.4267E-02,A6=6.8814E-03,A8=3.0686E-03
第10面
k=-0.2974
A4=-2.3416E-02,A6=-7.5181E-03

各種データ
IH 0.48
φ 0.72
L 1.4
遠点観察時 近点観察時
NA 0.00795 0.02626
ΔI 0.01393 0.05381
d0 10 2
d1 0.19262 0.8
d2 0.65738 0.05
【0123】
数値実施例3
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ d0
1 ∞ 0.3000 1.88300 40.76
2 2.7003 0.6100
3 -2.4659 0.3000 1.81600 46.62
4 2.7009 0.6100 1.92286 18.90
5 -18.5670 0.1500
6* -4.6983 0.3000 1.51633 64.14
7 4.6936 0.1025
8 2.1908 0.7300 1.69680 55.53
9 -15.9753 0.1000
10* -13.1672 0.3000 1.85026 32.27
11 4.0126 0.9500 1.49700 81.54
12 -2.0357 0.1000
13 -1.1309 0.2100 1.95906 17.47
14 1.5997 0.3600 1.48749 70.23
15 -1.3908 0.1000
16 ∞ 0.2200 1.80610 40.92
17 1.5184 0.3700 1.80518 25.42
18 -1.4145 0.0500
19(絞り) ∞ d1
20 ∞ 0.3100 1.80518 25.42
21 -6.1791 0.2400 1.53172 48.84
22 1.9254 d2
23 1.4918 0.3900 2.00330 28.27
24 7.1660 0.0500
25 1.3286 0.3300 1.77250 49.60
26 ∞ 0.2300 1.80518 25.42
27 1.4096 0.1300
28 -18.3946 0.2100 1.95906 17.47
29 0.5534 0.5600 1.48749 70.23
30 -1.2753 0.1000
31 ∞ 0.4500 1.51633 64.14
32 ∞ 0.0100 1.51300 64.00
33 ∞ 0.3500 1.50510 63.26
34 ∞ 0.0006
像面 ∞

非球面データ
第6面
k=-1.0541
A4=-4.4267E-02,A6=6.8814E-03,A8=3.0686E-03
第10面
k=-0.2974
A4=-2.3416E-02,A6=-7.5181E-03

各種データ
IH 0.48
φ 0.74
L 1.4
遠点観察時 近点観察時
NA 0.00776 0.02563
ΔI 0.01399 0.05364
d0 10 2
d1 0.19277 0.8
d2 0.65723 0.05
【0124】
数値実施例4
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ d0
1 ∞ 0.3000 1.88300 40.76
2 2.7003 0.6100
3 -2.4659 0.3000 1.81600 46.62
4 2.7009 0.6100 1.92286 18.90
5 -18.5670 0.1500
6* -4.6983 0.3000 1.51633 64.14
7 4.6936 0.1025
8 2.1908 0.7300 1.69680 55.53
9 -15.9753 0.1000
10* -13.1672 0.3000 1.85026 32.27
11 4.0126 0.9500 1.49700 81.54
12 -2.0357 0.2000
13 -1.2746 0.2100 1.95906 17.47
14 0.7836 0.3600 1.48749 70.23
15 -1.6364 0.1000
16 ∞ 0.2400 1.81600 46.62
17 1.5793 0.4900 1.84666 23.78
18 -1.1918 0.0500
19(絞り) ∞ d1
20 ∞ 0.4100 1.81600 46.62
21 -3.3553 0.2400 1.71736 29.52
22 1.6881 d2
23 1.5758 0.4900 2.00330 28.27
24 3.4809 0.1000
25 1.2152 0.5800 1.72916 54.68
26 -28.0805 0.2800 1.84666 23.78
27 16.1478 0.1300
28 -1.9818 0.2100 1.92286 18.90
29 0.5602 0.5600 1.48749 70.23
30 -1.2459 0.1180
31 ∞ 0.4500 1.51633 64.14
32 ∞ 0.0100 1.51300 64.00
33 ∞ 0.3500 1.50510 63.26
34 ∞ -0.0001
像面 ∞

非球面データ
第6面
k=-1.0541
A4=-4.4267E-02,A6=6.8814E-03,A8=3.0686E-03
第10面
k=-0.2974
A4=-2.3416E-02,A6=-7.5181E-03

各種データ
IH 0.48
φ 0.74
L 1.4
遠点観察時 近点観察時
NA 0.0041 0.02526
ΔI 0.0079 0.0551
d0 20 2
d1 0.08 0.495
d2 0.485 0.05
【0125】
数値実施例5
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ d0
1 ∞ 0.3000 1.88300 40.76
2 5.0431 0.4300
3 -4.6915 0.3000 1.74100 52.64
4 4.9455 0.6100 1.92286 18.90
5 130.4245 0.3800
6 -1.8638 0.3000 1.48749 70.23
7 2.3779 0.4105
8 4.3309 0.7300 1.69680 55.53
9 -3.8769 0.1000
10 33.9260 0.3000 1.85026 32.27
11 3.3817 0.9500 1.49700 81.54
12 -2.6859 0.1200
13 -1.3145 0.2100 2.00330 28.27
14 0.6756 0.4100 1.51633 64.14
15 -1.8029 0.1000
16 ∞ 0.2400 1.84666 23.78
17 7.9287 0.4900 1.80610 40.92
18 -1.1000 0.0500
19(絞り) ∞ d1
20 ∞ 0.3200 1.49700 81.54
21 1.1309 0.3300 1.84666 23.78
22 1.2208 d2
23 1.7338 0.7000 1.48749 70.23
24 -7.4321 0.1000
25 1.8975 0.6000 1.49700 81.54
26 ∞ 0.1300
27 1.2646 0.5100 1.51633 64.14
28 9.4761 0.3000 1.95906 17.47
29 0.7000 0.3400
30 3.1035 0.4500 1.51633 64.14
31 ∞ 0.0100 1.51300 64.00
32 ∞ 0.3500 1.50510 63.26
33 ∞ 0.0000
像面 ∞

各種データ
IH 0.45
φ 0.8
L 0.7
遠点観察時 近点観察時
NA 0.00663 0.02061
ΔI 0.01399 0.05266
d0 10 2
d1 0.11969 0.465
d2 0.53031 0.185
【0126】
次に、各実施例における条件式の値を以下に掲げる。-(ハイフン)は該当する構成がないことを示す。実施例2~5については、条件式(1)の値が2つ記載されている。上段の値は近点観察時の値で、下段の値は遠点観察時の値である。

実施例1 実施例2 実施例3
(1)-f21n/fSUB 1.908 1.694 0.889
1.908 0.973
(2)-L×f1/f2 0.56 0.56 0.56
(3)f22R1/f22R 0.855 0.855 0.81
(4)-f21n/f21p 1.101 1.101 -
(4’)-f21n/f21p - - 0.827

実施例4 実施例5
(1)-f21n/fSUB 0.609 0.551
0.678 0.623
(2)-L×f1/f2 0.56 0.56
(3)f22R1/f22R 1.453 1.7
(4)-f21n/f21p - -
(4’)-f21n/f21p 0.741 0.654
【0127】
図12は、本実施形態の内視鏡を示す図である。本実施形態の内視鏡は、立体視内視鏡である。立体視内視鏡1は、本体部2と、光源装置3と、カメラコントロールユニット4(以下、「CCU4」という)と、スキャンコンバータ5と、モニタ6と、シャッタメガネ7とを有する。
【0128】
本体部2は、挿入部8と、把持部9とを有する。挿入部8は、体腔内等に挿入される部分で、硬質の外套管で形成されている。外套管は、円管形状で、ステンレス等の金属等からなる。このように、立体視内視鏡1は、硬性内視鏡である。把持部9は、術者により把持される部分である。
【0129】
把持部9には、ライトガイド口金10が設けてある。ライトガイド口金10に、ライトガイドケーブル11の一端が接続される。ライトガイドケーブル11の他端には、ライトガイトコネクタ12が設けられている。ライトガイドケーブル11は、把持部9と光源装置3に着脱自在で接続される。
【0130】
光源装置3は、ランプ13とレンズ14とを有する。ランプ13は、例えば、白色光の照明光を発生する。レンズ14は、照明光を集光する。レンズ14で集光された照明光は、ライトガイドコネクタ12の端面に照射される。端面に照射された照明光は、ライトガイドケーブル11内のライトガイドにより、本体部2に伝送される。
【0131】
本体部2には、ライトガイド15が設けられている。ライトガイド15は把持部9内で屈曲され、挿入部8内を挿通されている。ライトガイド15は、ライトガイドケーブル11から供給された照明光を、挿入部8の先端部16に固定された先端面に伝送する。これにより、先端面から前方に照明光が射出される。
【0132】
先端部16内には、本実施形態の立体視光学系が配置されている。立体視光学系は、第1レンズ群18aと、第2レンズ群18bと、後側レンズ群18cと、を有する。後側レンズ群18cは、第1後群18c1と、第2後群18c2と、を有する。
【0133】
物体17は、照明光で照明される。物体17からの光は、第1レンズ群18aと第2レンズ群18bに入射する。第2レンズ群18bから出射した光は、第1後群18c1に入射し、これにより、結像位置に第1光学像が形成される。第2レンズ群18bから出射した光は第2後群18c2に入射し、これにより、結像位置に第2光学像が形成される。
【0134】
第1光学像と第2光学像は、同一の領域に形成される。よって、第1光学像と第2光学像を撮像する場合、1つの撮像素子又は2つの撮像素子を用いれば良い。立体視内視鏡1では、結像位置に、撮像素子19aと撮像素子19bとが配置されている。
【0135】
出力部20には、信号ケーブル21の一端が接続されている。信号ケーブル21の他端は、CCU4に接続されている。撮像素子19から出力された信号は、信号ケーブル21を経由して、CCU4に入力される。
【0136】
CCU4では、撮像素子19から出力された信号に対して、信号処理が行われる。CCU4で信号処理された画像信号は、スキャンコンバータ5に入力される。スキャンコンバータ5では、CCU4から出力された信号が映像信号に変換される。
【0137】
映像信号は、モニタ6に入力される。モニタ6は、入力された映像信号を表示する。モニタ6には、視差のある2つの画像が交互に表示される。シャッタメガネ7は、シャッター機能を有する。シャッタメガネ7を用いることで、モニタ6に表示された画像を、立体的に視認することができる。
【0138】
(付記)
なお、これらの実施例から以下の構成の発明が導かれる。
(付記項1)
負屈折力が最も小さい負レンズが、第1レンズ群の最も像側に位置していることを特徴とする立体内視鏡対物光学系。
(付記項2)
第1レンズ群が4枚のレンズからなることを特徴とする立体内視鏡対物光学系。
(付記項3)
第1後群における入射瞳と第2後群における入射瞳との間隔が、0.4mmから4mmの間にあることを特徴とする立体内視鏡対物光学系。第1後群における入射瞳と第2後群における入射瞳との間隔は、0.7mmから1mmの間にあることを特徴とする立体内視鏡対物光学系。
(付記項4)
第1レンズの入射側からみた第1後群内の開口絞りと第2後群内の開口絞りの間隔(入射瞳の間隔)が、0.2mmから1.6mmであることを特徴とする立体内視鏡対物光学系。好ましくは、入射瞳の間隔が0.35mmから1.0mmである。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上のように、本発明は、広い画角を有し、適切な立体感が得られ、小型の立体内視鏡対物光学系及びそれを備えた内視鏡に適している。
【符号の説明】
【0140】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
SUB1 第1副群
SUB2 第2副群
SUBF 前側副群
SUBR 後側副群
S 開口絞り(絞り)
C1、C2 カバーガラス
I 像面
1 立体視内視鏡
2 本体部
3 光源装置
4 カメラコントロールユニット(CCU)
5 スキャンコンバータ
6 モニタ
7 シャッタメガネ
8 挿入部
9 把持部
10 ライトガイド口金
11 ライトガイドケーブル
12 ライトガイトコネクタ
13 ランプ
14 レンズ
15 ライトガイド
16 先端部
17 物体
18a 第1レンズ群
18b 第2レンズ群
18c 後群レンズ群
18c1 第1後群
18c2 第2後群
19、19a、19b 撮像素子
20 出力部
21 信号ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12