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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】コネクタ、配線構造及び基板間接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/75 20110101AFI20220627BHJP
   H01R 24/38 20110101ALI20220627BHJP
   H01R 9/05 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H01R12/75
H01R24/38
H01R9/05 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020567175
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029449
(87)【国際公開番号】W WO2021024941
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019143542
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512310147
【氏名又は名称】宏致日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513314171
【氏名又は名称】宏致電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACES ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.13,Dongyuan Rd.,Zhongli City,Taoyuan County 32063,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宣和
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-008979(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104218405(CN,A)
【文献】国際公開第2017/053149(WO,A1)
【文献】特開2019-087462(JP,A)
【文献】特許第3035547(JP,B1)
【文献】特開2007-220535(JP,A)
【文献】特開2011-003300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70
H01R 24/38
H01R 9/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同軸ケーブルのそれぞれの芯線と接続される複数の第1コンタクトと、
複数の前記同軸ケーブルの外部シールドと接続される第2コンタクトと、
前記同軸ケーブルとは異なる複数の電線と接続される複数の第3コンタクトと、
前記第1~第3コンタクトを収容するとともに、前記第1~第3コンタクトに機械的に接続された前記同軸ケーブル及び前記電線を収容するハウジングと、
を備え、
回路基板に実装された相手コネクタと垂直嵌合することにより、前記回路基板と前記同軸ケーブル及び前記電線とを電気的に接続し、
複数の前記第1コンタクトは、それぞれ、前記相手コネクタにおける対応する第1相手コンタクトと接触する第1接点面を有し、
前記第2コンタクトは、前記相手コネクタの第2相手コンタクトと接触する第2接点面を有し、
複数の前記第3コンタクトは、それぞれ、前記相手コネクタにおける対応する第3相手コンタクトと接触する第3接点面を有し、
複数の前記第1接点面及び前記第2接点面は、嵌合方向に沿う第1仮想平面上に一列に並んで配置され、
複数の前記第3接点面は、前記第1仮想平面と対向する第2仮想平面上に、前記第1接点面及び前記第2接点面の並び方向と平行に一列に配置されている、
電線対基板用のコネクタ。
【請求項2】
前記相手コネクタは、スマートフォンのメイン基板に接続されたフレキシブルプリント基板に実装される基板対基板用のコネクタと嵌合可能であり、
前記回路基板は、アンテナモジュール基板である、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2接点面は、複数の前記第1接点のうちの隣接する2つの前記第1接点面の間に配置されている、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第2コンタクトは、前記第1コンタクトと前記第3コンタクトとの間に介在する遮蔽部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記遮蔽部は、前記第1コンタクトを取り囲んでいる、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、複数の前記同軸ケーブル及び複数の前記電線を、前記嵌合方向と直交する方向に延在させた状態で収容する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、複数の前記同軸ケーブルを一列に並んだ状態で収容するとともに、複数の前記電線を前記同軸ケーブルと同じ方向に一列に並んだ状態で収容し、
前記同軸ケーブル及び前記電線は、前記嵌合方向において重なる、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第2コンタクトは、前記第2接点面を有する第2接点部と前記外部シールドと接触するシールド結線面を有するシールド結線部とを連結する中継部、を有し、
記中継部は、一枚の板材で形成されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
複数の同軸ケーブルのそれぞれの芯線と接続される複数の第1コンタクトと、
複数の前記同軸ケーブルの外部シールドと接続される第2コンタクトと、
前記同軸ケーブルとは異なる複数の電線と接続される複数の第3コンタクトと、
前記第1~第3コンタクトを収容するとともに、前記第1~第3コンタクトに機械的に接続された前記同軸ケーブル及び前記電線を収容するハウジングと、
を備え、
回路基板に実装された相手コネクタと垂直嵌合することにより、前記回路基板と前記同軸ケーブル及び前記電線とを電気的に接続し、
複数の前記同軸ケーブルを一列に並んだ状態で収容するとともに、複数の前記電線を前記同軸ケーブルと同じ方向に一列に並んだ状態で収容し、
前記同軸ケーブル及び前記電線は、嵌合方向と直交する方向に延在し、前記嵌合方向において重なる、
電線対基板用のコネクタ。
【請求項10】
複数の同軸ケーブルのそれぞれの芯線と接続される複数の第1コンタクトと、
複数の前記同軸ケーブルの外部シールドと接続される第2コンタクトと、
を備え、
回路基板に実装された相手コネクタと垂直嵌合することにより、前記回路基板と前記同軸ケーブルとを電気的に接続し、
複数の前記第1コンタクトは、それぞれ、前記相手コネクタにおける対応する第1相手コンタクトと接触する第1接点部を有し、
前記第2コンタクトは、前記相手コネクタの第2相手コンタクトと接触する第2接点部、前記外部シールドと結線されるシールド結線部、及び、前記第2接点部と前記シールド結線部とを連結する中継部、を有し、
記中継部は、一枚の板材で形成されている、
電線対基板用のコネクタ。
【請求項11】
第1基板と、
アンテナモジュール基板である第2基板と、
前記第1基板に接続され高周波信号の伝送に用いられる複数の同軸ケーブルと、
前記第1基板に接続され電源系統又は制御系統に用いられる複数の電線と、
複数の前記同軸ケーブル及び複数の前記電線に一体的に取り付けられる第1コネクタと、
前記第2基板に実装される第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合することにより、前記第1基板と前記第2基板とが電気的に接続される、
配線構造。
【請求項12】
前記第2コネクタは、スマートフォンのメイン基板に接続されたフレキシブルプリント基板に実装される基板対基板用のコネクタと嵌合可能である、
請求項11に記載の配線構造。
【請求項13】
前記第1基板は、スマートフォン以外の通信機器のメイン基板である、
請求項12に記載の配線構造。
【請求項14】
前記通信機器は、ヒンジ部を有し、
複数の前記同軸ケーブル及び複数の前記電線は、前記ヒンジ部を跨ぐように配置される、
請求項13に記載の配線構造。
【請求項15】
前記メイン基板に実装されるサブ基板をさらに備え、
前記メイン基板は、前記サブ基板を介して、前記同軸ケーブルに接続されている、
請求項13又は14に記載の配線構造。
【請求項16】
前記第1コネクタは、
複数の前記同軸ケーブルのそれぞれの芯線と接続される複数の第1コンタクトと、
複数の前記同軸ケーブルの外部シールドと接続される第2コンタクトと、
複数の前記電線と接続される複数の第3コンタクトと、
前記第1~第3コンタクトを収容するとともに、前記第1~第3コンタクトに機械的に接続された前記同軸ケーブル及び前記電線を収容するハウジングと、
を有する、
請求項11から15のいずれか一項に記載の配線構造。
【請求項17】
第1基板に接続され高周波信号の伝送に用いられる複数の同軸ケーブル及び前記第1基板に接続され電源系統又は制御系統に用いられる複数の電線を電線対基板用の第1コネクタに一体的に取り付けるステップと、
第2コネクタを実装したアンテナモジュール基板である第2基板を準備するステップと、
前記第1コネクタと前記第2コネクタを嵌合することで、前記第1基板と前記第2基板を電気的に接続するステップと、
を備える、基板間接続方法。
【請求項18】
前記第2コネクタは、スマートフォンのメイン基板に接続されたフレキシブルプリント基板に実装される基板対基板用のコネクタと嵌合可能である、
請求項17に記載の基板間接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に移動通信機器の機器内配線などに用いるためのコネクタ及び配線構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代(第5世代、5G)の移動通信システムが実現されようとしている。移動通信機器の機器内配線などに用いる様々な同軸ケーブルやコネクタが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-218064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次世代においては、移動通信機器としてスマートフォンのみでなくノートパソコン等を使用することが想定されている。しかしながら、スマートフォン以外の移動通信機器にスマートフォン用のアンテナモジュールを使用することが望まされており、スマートフォン用のアンテナモジュールをノートパソコン等の回路基板に接続する方法について検討中である。
【0005】
また、次世代では既存周波数帯よりも高い周波数帯を用いるが、高周波数帯では電波伝搬損失が増大するため、次世代用のアンテナモジュールにおいては、例えばアンテナ指向性など様々な条件が厳しくなっている。制約の多い次世代用のアンテナモジュールにあっては、電気的に接続させるための配線材も複数の中から選択できるようにした方がよい。例えば、回路基板とアンテナモジュールとの距離が長くなる場合において、これらをフレキシブルプリント基板で接続させようとするとコストや配線路の確保などの問題が生じる。回路基板とアンテナモジュールとの距離が長くなる場合には、これらを同軸ケーブルで接続することが適当である。一方、回路基板とアンテナモジュールとの距離が短い場合、移動通信機器本体の厚さが薄い場合には、これらをフレキシブルプリント基板で接続することが適当である。このように、厳しい制約事項を有する次世代用のアンテナモジュールが様々な種類や形状の移動通信機器に搭載できるように、回路基板とアンテナモジュールとの最適な伝送路を選択できるようにしておくことが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、移動通信機器の回路基板に他種の移動通信機器のモジュール基板を最適な配線材を用いて接続することができるコネクタ配線構造及び基板間接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、
複数の同軸ケーブルのそれぞれの芯線と接続される複数の第1コンタクトと、
複数の前記同軸ケーブルの外部シールドと接続される第2コンタクトと、
前記同軸ケーブルとは異なる複数の電線と接続される複数の第3コンタクトと、
前記第1~第3コンタクトを収容するとともに、前記第1~第3コンタクトに機械的に接続された前記同軸ケーブル及び前記電線を収容するハウジングと、
を備え、
回路基板に実装された相手コネクタと垂直嵌合することにより、前記回路基板と前記同軸ケーブル及び前記電線とを電気的に接続し、
複数の前記第1コンタクトは、それぞれ、前記相手コネクタにおける対応する第1相手コンタクトと接触する第1接点面を有し、
前記第2コンタクトは、前記相手コネクタの第2相手コンタクトと接触する第2接点面を有し、
複数の前記第3コンタクトは、それぞれ、前記相手コネクタにおける対応する第3相手コンタクトと接触する第3接点面を有し、
複数の前記第1接点面及び前記第2接点面は、嵌合方向に沿う第1仮想平面上に一列に並んで配置され、
複数の前記第3接点面は、前記第1仮想平面と対向する第2仮想平面上に、前記第1接点面及び前記第2接点面の並び方向と平行に一列に配置されている。
また、本発明の配線構造は、
第1基板と、
アンテナモジュール基板である第2基板と、
前記第1基板に接続され高周波信号の伝送に用いられる複数の同軸ケーブルと、
前記第1基板に接続され電源系統又は制御系統に用いられる複数の電線と、
複数の前記同軸ケーブル及び複数の前記電線に一体的に取り付けられる第1コネクタと、
前記第2基板に実装される第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合することにより、前記第1基板と前記第2基板とが電気的に接続される。
また、本発明の基板間接続方法は、
第1基板に接続され高周波信号の伝送に用いられる複数の同軸ケーブル及び前記第1基板に接続され電源系統又は制御系統に用いられる複数の電線を電線対基板用の第1コネクタに一体的に取り付けるステップと、
第2コネクタを実装したアンテナモジュール基板である第2基板を準備するステップと、
前記第1コネクタと前記第2コネクタを嵌合することで、前記第1基板と前記第2基板を電気的に接続するステップと、を備える。
【0008】
また、本発明のコネクタの前記相手コネクタは、フレキシブルプリント基板に実装されるコネクタに嵌合可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のコネクタは、前記同軸ケーブルの前記外部シールドと直接または間接に接続し、且つ前記第1コンタクトと前記第3コンタクトとの間の少なくとも一部を遮蔽する第1遮蔽板を備え、前記第1遮蔽板は、前記モジュール基板のグランドに直接または間接に接続することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコネクタは、前記同軸ケーブルの前記外部シールドと直接または間接に接続し、且つ前記第1コンタクト及び前記第3コンタクトを配置する方向外側における前記第1コンタクトの少なくとも一部を遮蔽する第2遮蔽板を備え、前記第2遮蔽板は、前記モジュール基板のグランドに直接または間接に接続することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のコネクタは、前記同軸ケーブルの前記外部シールドと直接または間接に接続し、且つ前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトを配列する方向片側または両側における前記第1コンタクトの少なくとも一部を遮蔽する第3遮蔽板を備え、前記第3遮蔽板は、前記モジュール基板のグランドに直接または間接に接続することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のコネクタは、前記同軸ケーブルが前記コネクタに挿入される挿入方向が前記相手コネクタと嵌合する嵌合方向と直交する方向に沿う方向であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のコネクタは、前記同軸ケーブルが前記電線より前記相手コネクタと嵌合する嵌合部側に挿入されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のコネクタは、前記電線が前記同軸ケーブルより前記相手コネクタと嵌合する嵌合部側に挿入されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の配線構造は、メイン基板と、第1モジュール基板と、同軸ケーブル用コネクタ及びフレキシブルプリント基板に実装されるコネクタに嵌合可能であり、前記第1モジュール基板に実装されている第1コネクタと、前記第1コネクタに嵌合する第2コネクタと、前記第2コネクタに取り付けられており、前記メイン基板と前記第1モジュール基板とを電気的に接続する配線材と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の配線構造は、前記第2コネクタに取り付けられており、前記メイン基板と前記第1モジュール基板とを電気的に接続する電線を更に備え、前記配線材によって形成される第1回路及び前記電線によって形成される第2回路は、異なる回路であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の配線構造は、前記メイン基板及び前記配線材が前記メイン基板に実装されている第2モジュール基板を介して電気的に接続されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の配線構造の前記配線材は、前記配線構造を内蔵する携帯電子機器のヒンジ部に配置されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の配線構造の前記配線材は、同軸ケーブルまたはフレキシブルプリント基板であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の配線構造の前記第1モジュール基板は、スマートフォン用通信モジュール基板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、移動通信機器の回路基板に他種の移動通信機器のモジュール基板を最適な配線材を用いて接続することができるコネクタ配線構造及び基板間接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施の形態に係るアンテナモジュール基板と回路基板との間の配線に係る配線構造の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態に係るアンテナモジュール基板に実装されるレセプタクルコネクタ及び該レセプタクルコネクタに嵌合したプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図5】第1の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す分解図である。
図6】第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタが嵌合した状態を示す図である。
図7】他の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図8】他の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す分解図である。
図9】他の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタが嵌合した状態を示す図である。
図10】他の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図11】他の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図12】他の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す分解図である。
図13】他の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタが嵌合した状態を示す図である。
図14】第2の実施の形態に係るアンテナモジュール基板に実装されるレセプタクルコネクタ及び該レセプタクルコネクタに嵌合したプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図15】第2の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図16】第2の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図17】第2の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す分解図である。
図18】第2の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す分解図である。
図19】第2の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタが嵌合した状態を示す図である。
図20】第2の実施の形態に係るプラグコネクタを構成する
図21】比較例に係るアンテナモジュール基板と回路基板との接続の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係る配線構造及び該配線構造が備えるプラグコネクタについて説明する。図1は、第1の実施の形態に係るスマートフォン用のアンテナモジュール基板とパソコンの回路基板との間の配線に係る配線構造を示す図である。この第1の実施の形態に係る配線構造1は、スマートフォン以外の移動通信機器(携帯情報端末、携帯電子機器)、例えばパソコン(ノートパソコン)の回路基板(メイン基板)2と、スマートフォン用通信モジュール基板であるアンテナモジュール基板(第1モジュール基板)8と、アンテナモジュール基板8に表面実装されているプラグコネクタ(コネクタ、第1コネクタ)10と、プラグコネクタ10に嵌合する相手コネクタであるレセプタクルコネクタ12(第2コネクタ、図3参照)と、レセプタクルコネクタ12に取り付けられる配線材である2本の同軸ケーブル6a,6bと、レセプタクルコネクタ12に取り付けられる配線材である5本の電線14a~14eとを備えている。
【0024】
パソコンの回路基板2には、第2モジュール基板である拡張カード(WIFIモジュール基板、マルチカード用コネクタ、マルチカード用スロット、例えばM.2)4が実装されている。拡張カード4には、2本の同軸ケーブル6a,6b及び4本の図示しない同軸ケーブルが接続されている。即ち、回路基板2及び同軸ケーブル6a,6bは、回路基板2に実装されている拡張カード4を介して電気的に接続されている。また、スマートフォン用のアンテナモジュール基板8及び2つの図示しないアンテナモジュール基板は、それぞれ異なる3方向からの電波をキャッチする。同軸ケーブル6a,6bは、プラグコネクタ10及びレセプタクルコネクタ12(図3参照)を介してアンテナモジュール基板8に接続される。同様に、2本の図示しない同軸ケーブルは図示しないアンテナモジュール基板に、残りの2本の図示しない同軸ケーブルは残りの図示しないアンテナモジュール基板に、各々プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタを介して接続される。即ち、同軸ケーブル6a,6b及び4本の図示しない同軸ケーブルは、各々プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタを介して、回路基板2と各々のアンテナモジュール基板とを電気的に接続する。
【0025】
また、回路基板2には5本の電線14a~14eが実装されており、5本の電線14a~14eは、プラグコネクタ10及びレセプタクルコネクタ12を介してアンテナモジュール基板8に接続される。即ち、電線14a~14eは、プラグコネクタ10及びレセプタクルコネクタ12を介して、回路基板2とアンテナモジュール基板8とを電気的に接続する。
【0026】
なお、第1の実施の形態に係る同軸ケーブル6a,6bによって形成される第1回路は通信回路、電線14a~14eによって形成される第2回路は電源回路または制御回路であり、第1回路及び第2回路は異なる回路である。第2回路は、第1回路と異なる回路であればよく、電源回路及び制御回路に限定されない。更に、同軸ケーブル6a,6b及び電線14a~14eは、配線構造1を内蔵するパソコンのヒンジ部に配置される。
【0027】
また、第1の実施の形態においては、モジュール基板としてアンテナモジュール基板8を例に挙げて説明しているが、アンテナモジュール基板8以外のモジュール基板、例えばカメラモジュール基板やLCDモジュール基板であってもよい。
【0028】
図2はレセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合した状態を示す斜視図、図3はレセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合していない状態を示す斜視図、図4はプラグコネクタ10の構成を示す斜視図、図5はプラグコネクタ10の構成を示す分解図である。また、図6(A)はレセプタクルコネクタ12とプラグコネクタ10とが嵌合した状態を示す正面図、図6(B)は図6(A)のA-A断面図、図6(C)は図6(A)のB-B断面図である。なお、図2図6においては、プラグコネクタ10の構成の説明の便宜上、同軸ケーブル6a,6b及び電線14a~14eの先端部のみを図示している。
【0029】
また、以下の説明においては、図2に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。X軸はアンテナモジュール基板8の長手方向、Y軸はアンテナモジュール基板8の短手方向、Z軸はレセプタクルコネクタ12を実装する実装面に直交する方向となるように設定されている。
【0030】
レセプタクルコネクタ12は、アンテナモジュール基板8に搭載されており、スマートフォン用のアンテナモジュール基板8に予め実装されるコネクタであって、プラグコネクタ10のような同軸ケーブル用コネクタ及びフレキシブルプリント基板(FPC)に実装されるコネクタ(図9参照)に嵌合可能である。即ち、アンテナモジュール基板8には本来FPCに実装されるコネクタと嵌合する基板対基板コネクタとして機能するレセプタクルコネクタ12が実装されているが、プラグコネクタ10を用いることにより、スマートフォンに使用されるアンテナモジュール基板8をなんら変更することなくパソコン等のスマートフォン以外の移動通信機器の回路基板2と接続することができる。即ち、同一のアンテナモジュール基板8を異なるアプリケーション(スマートフォン及びパソコン等)に用いることができる。
【0031】
プラグコネクタ10は、アンテナモジュール基板8の表面に交差する方向(直交する方向に沿う方向)にレセプタクルコネクタ12と嵌合する。プラグコネクタ10は、2つのハウジング16a,16b、2つの第1コンタクト18a,18b、グランド金具22、ハウジング24、5つの第3コンタクト26a~26e及びハウジング28を有している。
【0032】
ハウジング16a,16bは、樹脂等の絶縁体である。一方の第1コンタクト18aは、金属等の導体であって、一方のハウジング16aに組み込まれており、第1コンタクト18aの一端部(+Z方向側)には、同軸ケーブル6aの芯線と電気的に接続する芯線接続部が設けられている。また、第1コンタクト18aの他端部(-Z方向側)には、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合した際に、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト30a(第1接続端子、図3参照)と電気的に接続する第1接点部が設けられている。
【0033】
他方の第1コンタクト18bは、金属等の導体であって、他方のハウジング16bに組み込まれており、第1コンタクト18bの一端部(+Z方向側)には、同軸ケーブル6bの芯線と電気的に接続する芯線接続部が設けられている。また、第1コンタクト18bの他端部(-Z方向側)には、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合した際に、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト30e(第1接続端子、図3参照)と電気的に接続する第1接点部が設けられている。
【0034】
グランド金具22は金属等の導体であって、グランド金具22の一端部(+Z方向側)には、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bと電気的に接続するシールド接続部が設けられている。また、グランド金具22の他端部(-Z方向側)には、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合した際に、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト30b~30d(第2接続端子、図3参照)と電気的に接続する第2接点部20が設けられている。即ち、グランド金具22は、第2コンタクトとして機能するシールド接続部及び第2接点部20を備えており、相手側コンタクト30b~30dを介してアンテナモジュール基板8のグランドに接続する。また、グランド金具22は、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合すると、レセプタクルコネクタ12のシェル34と電気的に接続する。即ち、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bは、グランド金具22及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに接続する。
【0035】
また、グランド金具22は、遮蔽板(第1遮蔽板)21を有している。遮蔽板21は、YZ平面に平行な面に沿う面を有しており、第1コンタクト18a,18bと第3コンタクト26a~26eとの間の少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。即ち、遮蔽板21は、グランド金具22を介して、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bと間接的に接続し、ひいてはグランド金具22及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに接続する。したがって、グランドを強化することができる。グランド金具22は、樹脂等の絶縁体であるハウジング24に組み込まれている
【0036】
また、グランド金具22は、遮蔽板(第3遮蔽板)23a,23bを有している。遮蔽板23a,23bは、ZX平面に平行な面に沿う面を有しており、遮蔽板23aは、第1コンタクト18a,18b及び第2接点部20(第2コンタクト)を配列する方向(-Y方向)側における第1コンタクト18aの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。遮蔽板23bは、第1コンタクト18a,18b及び第2接点部20(第2コンタクト)を配列する方向(+Y方向)側における第2コンタクト18bの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。即ち、遮蔽板23a,23bは、グランド金具22を介して、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bと間接的に接続し、ひいてはグランド金具22及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに接続する。したがって、グランドを強化することができる。
【0037】
なお、遮蔽板21、23a,23bが外部シールド36a,36bと直接接続する構成であってもよく、遮蔽板21、23a,23bがアンテナモジュール基板8のグランドに直接接続する構成であってもよい。また、+Y方向側における第1コンタクト18aの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する遮蔽板、及び-Y方向側における第1コンタクト18bの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する遮蔽板として機能しているのは、第2接点部20(第2コンタクト)である。
【0038】
第1コンタクト18a,18b及び第2接点部20(第2コンタクト)は、Y方向に並列されている。具体的には、-Y方向から第1コンタクト18a、第2接点部20、第1コンタクト18bの順に配列されている。即ち、第2接点部20(第2コンタクト)は、同軸ケーブル6a(第1コンタクト18a)と同軸ケーブル6b(第1コンタクト18b)との間に配置されている。したがって、グランドを強化することができる。レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト30a~30eは、同一方向(+X方向)に向けて露出する接触点を有し、且つ-Y方向から順に並列に配置されている。
【0039】
第3コンタクト26a~26eのそれぞれは、金属等の導体であって、ハウジング24に組み込まれており、第3コンタクト26a~26eのそれぞれ一端部には、電線14a~14eのそれぞれと電気的に接続する電線接続部が設けられている。また、第3コンタクト26a~26eのそれぞれ他端部には、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合した際、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト38a~38e(第3接続端子、図3参照)のそれぞれと電気的に接続する第3接点部が設けられている。第3コンタクト26a~26eは、ハウジング24に組み込まれている。また、第3コンタクト26a~26eは、-Y方向から第3コンタクト26a,26b,26c,26d,26eの順に配列されている。同様に、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト38a~38eは、-X方向に向けて露出する接触点を有し、-Y方向から順に並列に配置されている。
【0040】
なお、相手側コンタクト30a~30eは、相手側コンタクト38a~38eと並行に配置されており、同一形状であって、それぞれアンテナモジュール基板8に表面実装されている。また、相手側コンタクト38a~38eは、形状が相手側コンタクト30a~30eの形状と線対称同一であって、それぞれアンテナモジュール基板8に表面実装されている。相手側コンタクト30aの第1コンタクト18aと接触する部位はバネ形状であって、この部位が第1コンタクト18aの接点部をバネの弾性力を用いて押し付けることにより第1コンタクト18aと確実に接続する。同様に、相手側コンタクト30b~30e及び38a~38eの第1コンタクト18b、第2接点部20及び第3コンタクト26a~26eと接触する部位はバネ形状であって、この部位が第1コンタクト18b、第2接点部20及び第3コンタクト26a~26eの接点部をバネの弾性力を用いて押し付けることにより第1コンタクト18b、第2接点部20及び第3コンタクト26a~26eと確実に接続する。この実施の形態においては、相手側コンタクト30b~30e及び38a~38eがバネ形状を有しているが、第1コンタクト18a,18bの接点部、第2接点部20及び第3コンタクト26a~26eの接点部がバネ形状を有する構成にしてもよい。
【0041】
また、第1コンタクト18a,18b及び第2接点部20の列と、第3コンタクト26a~26eの列とは、X方向に並行となるように配置されている。したがって、プラグコネクタ10を備えるのみで、アンテナモジュール基板8に必要なすべての信号と接続させることができる。第1コンタクト18a,18bの相手側コンタクト30a,30eと接続する接点部及び第2接点部20と、第3コンタクト26a~26eの相手側コンタクト38a~38eと接続する接点部とは、互いに対向している。ハウジング28は、樹脂等の絶縁体であって、第3コンタクト26a~26e及び電線14a~14eをハウジング24と挟んだ状態でハウジング24に固定される。
【0042】
また、第1コンタクト18a,18bは、間接的にアンテナモジュール基板8のグランドに接続する遮蔽板21,23a,23b、グランド金具22及び第2接点部20により全方位囲まれているため、第1コンタクト18a,18bのインピーダンスと同軸ケーブル6a,6bのインピーダンスとが整合した状態で高速信号を良好に伝送することができる。
【0043】
同軸ケーブル6a,6b及び電線14a~14eがプラグコネクタ10に挿入される挿入方向は-X方向であって、これは、プラグコネクタ10とレセプタクルコネクタ12とが嵌合する嵌合方向(Z方向)と直交する方向または直交する方向に沿う方向である。また、同軸ケーブル6a,6bは、電線14a~14eよりレセプタクルコネクタ12と嵌合する嵌合部側、即ちアンテナモジュール基板8側(-Z方向側)に挿入されている。
【0044】
なお、上述の第1の実施の形態においては、電線及び同軸ケーブル用コネクタ(電線+同軸の複合タイプのコネクタ)であるプラグコネクタ10を例に挙げて説明したが、レセプタクルコネクタ12に、プラグコネクタ10以外の基板対基板コネクタ(BtoBコネクタ)、フレキシブルプリント基板に実装される基板対基板コネクタ(BtoB on FPC)、基板対電線コネクタなどを嵌合させることもできる。即ち、制約の多い次世代用のアンテナモジュールにあっては、電気的に接続させるための配線材も複数の中から選択できるようにした方がよいが、この実施の形態においては、アンテナモジュール基板8が様々な種類や形状の移動通信機器に搭載できるように、回路基板2とアンテナモジュール基板8との最適な配線材(伝送路)が選択できる。
【0045】
例えばプラグコネクタ10に接続する配線材を電線のみにすると、プラグコネクタ10は基板対電線コネクタとなる。また、例えばプラグコネクタ10に代えて、図7に示すようなプラグコネクタ40を用いてもよい。図7はプラグコネクタ40の構成を示す斜視図、図8はプラグコネクタ40の構成を示す分解図である。また、図9(A)はレセプタクルコネクタ12とプラグコネクタ40とが嵌合した状態を示す正面図、図9(B)は図9(A)のA-A断面図、図9(C)は図9(A)のB-B断面図である。プラグコネクタ40は、レセプタクルコネクタ12に嵌合可能なコネクタであって、フレキシブルプリント基板42に実装されるコネクタである。なお、フレキシブルプリント基板42に代えてリジッド基板を用いると、プラグコネクタ40は基板対基板コネクタとなる。
【0046】
プラグコネクタ40は、フレキシブルプリント基板42に実装されており、ハウジング44、10個のコンタクト46a~46e,50a~50e及びシェル52を備えている。フレキシブルプリント基板42は、パソコンのヒンジ部に配置される。コンタクト46a~46e,50a~50eは、ハウジング44に組み込まれている。コンタクト46a~46eのそれぞれは、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ40が嵌合すると、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト30a~30eのそれぞれと電気的に接続する。同様に、コンタクト50a~50eのそれぞれは、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ40が嵌合すると、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト38a~38eのそれぞれと電気的に接続する。また、フレキシブルプリント基板42に表面実装されているシェル52は、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ40が嵌合すると、アンテナモジュール基板8に表面実装されているシェル34と電気的に接続する。即ち、フレキシブルプリント基板42は、シェル52及びシェル34を介してアンテナモジュール基板8のグランドに接続する。
【0047】
コンタクト46a~46eは、-Y方向から順に配列されている。コンタクト50a~50eは、-Y方向から順に配列されている。また、コンタクト46a~46eの列と、コンタクト50a~50eの列とは、X方向に並行となるように配置されている。コンタクト46a~46eの相手側コンタクト30a~30eと接続する接点部と、コンタクト50a~50eの相手側コンタクト38a~38eと接続する接点部とは、互いに対向している。
【0048】
また、上述の第1の実施の形態に係るプラグコネクタ10に代えて、図10図13に示すプラグコネクタ(電線+同軸の複合タイプのコネクタ)54を備えてもよい。図10はレセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ54が嵌合していない状態を示す斜視図、図11はプラグコネクタ54の構成を示す斜視図、図12はプラグコネクタ54の構成を示す分解図である。また、図13(A)はレセプタクルコネクタ12とプラグコネクタ54とが嵌合した状態を示す正面図、図13(B)は図13(A)のA-A断面図、図13(C)は図13(A)のB-B断面図である。なお、図10図13においては、プラグコネクタ54の構成の説明の便宜上、同軸ケーブル6a,6b及び電線14a~14eの先端部のみを図示する。また、プラグコネクタ10の構成と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
プラグコネクタ54は、第1コンタクト31a,31b、グランド金具32、ハウジング33、アッパーシェル47、ミドルシェル48、アンダーシェル49、5つの第3コンタクト34a~34e、及びハウジング35を備えている。第1コンタクト31a,31bは、金属等の導体であって、ハウジング33に組み込まれており、それぞれ同軸ケーブル6a,6bの芯線と電気的に接続する芯線接続部及びレセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト30a,30eと電気的に接続する第1接点部が設けられている。
【0050】
グランド金具32は、金属等の導体であって、ハウジング65に組み込まれており、ミドルシェル48と接続している。グランド金具32には、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト30b~30dと電気的に接続する第2接点部37が設けられている。
【0051】
アッパーシェル47は、金属等の導体であって、電線14a~14eの外部シールドと電気的に接続する。ミドルシェル48及びアンダーシェル49は、金属等の導体であって、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bと電気的に接続する。ここで、ミドルシェル48、アンダーシェル49及び第2接点部37は、相手側コンタクト38b~38dを介してアンテナモジュール基板8のグランドに接続する第2コンタクトとして機能している。
【0052】
アッパーシェル47及びミドルシェル48は互いに接続している。ミドルシェル48及びアンダーシェル49は互いに接続している。ミドルシェル48は、レセプタクルコネクタ12のシェル34と電気的に接続する。したがって、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bは、グランド金具32、アッパーシェル47、ミドルシェル48、アンダーシェル49、及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに接続する。
【0053】
第3コンタクト34a~34eは、金属等の導体であって、ハウジング35に組み込まれている。第3コンタクト34a~34eの一端部には、電線14a~14eのそれぞれと電気的に接続する電線接続部が設けられている。また、第3コンタクト34a~34eの他端部には、レセプタクルコンタクト12の相手側コンタクト38a~38eと電気的に接続する第3接点部を有している。同軸ケーブル6a,6b及び電線14a~14eがプラグコネクタ54に挿入される挿入方向は-X方向であって、これは、プラグコネクタ54とレセプタクルコネクタ12とが嵌合する嵌合方向(Z方向)と直交する方向または直交する方向に沿う方向である。プラグコネクタ54によれば、加工容易性及び量産性を向上させることができる。
【0054】
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態に係る配線構造について説明する。この第2の実施の形態に係る配線構造において、プラグコネクタ10以外の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る配線構造と同様の構成を有している。第2の実施の形態に係る配線構造は、第1の実施の形態に係るプラグコネクタ10に代えてプラグコネクタ55(図14参照)を備えている。なお、第1の実施の形態に係る配線構造と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図14はレセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ55が嵌合した状態を示す斜視図、図15はレセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ55が嵌合していない状態を示す斜視図、図16はプラグコネクタ55の構成を示す斜視図、図17及び図18はプラグコネクタ55の構成を示す分解図である。また、図19(A)はレセプタクルコネクタ12とプラグコネクタ55とが嵌合した状態を示す正面図、図19(B)は図19(A)のA-A断面図、図19(C)は図19(A)のB-B断面図である。なお、図14図19においては、プラグコネクタ55の構成の説明の便宜上、同軸ケーブル6a,6b及び電線14a~14eの先端部のみを図示している。
【0056】
プラグコネクタ55は、図14図19に示すように、2つの第1コンタクト60a,60b、グランド金具61、ハウジング65、アッパーシェル69、ミドルシェル59、アンダーシェル70、5つの第3コンタクト62a~62e、及びハウジング64を備えている。図20は、2つの第1コンタクト60a,60b、グランド金具61、及び5つの第3コンタクト62a~62eの構成を示す図である。
【0057】
第1コンタクト60a,60bは、金属等の導体であって、ハウジング65に組み込まれている。第1コンタクト60aの一端部67aには、同軸ケーブル6aの芯線と電気的に接続する芯線接続部が設けられている。第1コンタクト18aの他端部68aには、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ55が嵌合した際に、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト(第1接続端子)38aと電気的に接続する第1接点部が設けられている。同様に、第1コンタクト60bの一端部67bには、同軸ケーブル6bの芯線と電気的に接続する芯線接続部、第1コンタクト60bの他端部68bには、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ10が嵌合した際にレセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト(第1接続端子)38eと電気的に接続する第1接点部が設けられている。
【0058】
グランド金具61は金属等の導体であって、樹脂等の絶縁体であるハウジング65に組み込まれている。グランド金具61は、金属等の導体であるアッパーシェル69と接続しており、アッパーシェル69は、金属等の導体であるミドルシェル59及び金属等の導体であるアンダーシェル70と接続している。アッパーシェル69には、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bと電気的に接続するシールド接続部72a,72bが設けられている。同様に、ミドルシェル59には、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bと電気的に接続するシールド接続部71a,71bが設けられている。
【0059】
グランド金具61には、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ55が嵌合した際に、レセプタクルコネクタ12の相手側コンタクト(第2接続端子)38b~38dと電気的に接続する第2接点部66が設けられている。ここで、アッパーシェル69のシールド接続部72a,72b、ミドルシェル59のシールド接続部71a,71b及びグランド金具61の第2接点部66は、相手側コンタクト38b~38dを介してアンテナモジュール基板8のグランドに接続する第2コンタクトとして機能している。
【0060】
また、アッパーシェル69、ミドルシェル59及びアンダーシェル70は、上述したように互いに接続しており、アンダーシェル70は、レセプタクルコネクタ12及びプラグコネクタ55が嵌合すると、レセプタクルコネクタ12のシェル34と電気的に接続する。したがって、同軸ケーブル6a,6bの外部シールド36a,36bは、グランド金具61、アッパーシェル69、ミドルシェル59、アンダーシェル70、及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに接続する。
【0061】
また、グランド金具61は、第1遮蔽板71及び図示しない第1遮蔽板を有している。第1遮蔽板71及び図示しない第1遮蔽板は、YZ平面に平行な面に沿う面を有している。第1遮蔽板71は、第1コンタクト60aと第3コンタクト62aとの間の少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。図示しない第1遮蔽板は、第1コンタクト60bと第3コンタクト62eとの間の少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。第1遮蔽板71及び図示しない第1遮蔽板は、グランド金具61、アッパーシェル69、ミドルシェル59、アンダーシェル70、及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに間接的に接続する。
【0062】
グランド金具61は、第2遮蔽板73を有している。第2遮蔽板73は、YZ平面に平行な面に沿う面を有し、第1コンタクト60a,60bの+X方向側に配置される。即ち、第2遮蔽板73は、第1コンタクト60a、60b及び第3コンタクト62a~62eを配置する方向外側(+X方向側)における第1コンタクト60a,60bの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。第2遮蔽板73は、グランド金具61、アッパーシェル69、ミドルシェル59、アンダーシェル70、及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに間接的に接続する。
【0063】
グランド金具61は、第3遮蔽板74a,74b,75及び図示しない第3遮蔽板を有している。第3遮蔽板74aは、ZX平面に平行な面に沿う面を有し、第1コンタクト60aの-Y方向側に配置される。即ち、第3遮蔽板74aは、第1コンタクト60a、60b及び第3コンタクト62a~62eを配置する方向片側(-Y方向側)における第1コンタクト60aの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。
【0064】
第3遮蔽板74bは、ZX平面に平行な面に沿う面を有し、第1コンタクト60bの+Y方向側に配置される。即ち、第3遮蔽板74bは、第1コンタクト60a、60b及び第3コンタクト62a~62eを配置する方向片側(+Y方向側)における第1コンタクト60bの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。
【0065】
第3遮蔽板75は、第1コンタクト60aの+Y方向側に配置される。即ち、第3遮蔽板75は、第1コンタクト60a、60b及び第3コンタクト62a~62eを配置する方向片側(+Y方向側)における第1コンタクト60aの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。図示しない第3遮蔽板は、第1コンタクト60bの-Y方向側に配置される。即ち、図示しない第3遮蔽板は、第1コンタクト60a,60b及び第3コンタクト62a~62eを配置する方向片側(-Y方向側)における第1コンタクト60bの少なくとも一部(一部または全部)を遮蔽する。第3遮蔽板74a,74b,75及び図示しない第3遮蔽板は、グランド金具61、アッパーシェル69、ミドルシェル59、アンダーシェル70、及びレセプタクルコネクタ12のシェル34を介して、アンテナモジュール基板8のグランドに間接的に接続する。また、第2コンタクトとしての第2接点部66は、第3遮蔽板としても機能している。
【0066】
ここで、第1コンタクト60aは、間接的にアンテナモジュール基板8のグランドに接続する第1遮蔽板71、第2遮蔽板73、第3遮蔽板74a、第3遮蔽板75及び第2接点部66により全方位囲まれているため、第1コンタクト60aのインピーダンスと同軸ケーブル6aのインピーダンスとが整合した状態で高速信号を良好に伝送することができる。同様に、第2コンタクト60bは、間接的にアンテナモジュール基板8のグランドに接続する第1遮蔽板71、第2遮蔽板73、第3遮蔽板74a、第3遮蔽板75及び第2接点部66により全方位囲まれているため、第1コンタクト60bのインピーダンスと同軸ケーブル6bのインピーダンスとが整合した状態で高速信号を良好に伝送することができる。
【0067】
なお、第1遮蔽板71、第2遮蔽板73、第3遮蔽板74a、第3遮蔽板75は、外部シールド36a,36bと直接接続する構成であってもよく、第1遮蔽板71、第2遮蔽板73、第3遮蔽板74a、第3遮蔽板75がアンテナモジュール基板8のグランドに直接接続する構成であってもよい。
【0068】
図16及び図17に示すように、ハウジング56には、電線14a~14eが組み込まれる。グランドプレート58は、電線14a~14eそれぞれをシールドするシールド部57a~57eと電気的に接続する。
【0069】
第3コンタクト62a~62eは、金属等の導体であって、ハウジング64に組み込まれている。第3コンタクト62a~62eの一端部には、電線14a~14eのそれぞれと電気的に接続する電線接続部63a~63eが設けられている。また、第3コンタクト62a~62eの他端部には、レセプタクルコンタクト12の相手側コンタクト(第3接続端子)30a~30eと電気的に接続する図示しない第3接点部を有している。
【0070】
同軸ケーブル6a,6b及び電線14a~14eがプラグコネクタ55に挿入される挿入方向は-X方向であって、これは、プラグコネクタ55とレセプタクルコネクタ12とが嵌合する嵌合方向(Z方向)と直交する方向または直交する方向に沿う方向である。また、電線14a~14eは、同軸ケーブル6a,6bよりレセプタクルコネクタ12と嵌合する嵌合部側、即ちアンテナモジュール基板8側(-Z方向側)に挿入されている。
【0071】
図21は、比較例に係るスマートフォン用のアンテナモジュール基板8とパソコンの回路基板2との接続の概略構成を示す図であって、スマートフォン用のアンテナモジュール基板8とパソコンの回路基板2とを接続しようとしたとき想到する接続方法の一つである。図21に示すように、アンテナモジュール基板8のレセプタクルコネクタ12には、ショートフレキシブルプリント基板100に実装されたプラグコネクタ(図示せず)が接続されており、ショートフレキシブルプリント基板100は、プリント基板102に基板対基板コネクタ104で接続されている。更に、同軸ケーブル6a,6bはプリント基板102に基板対電線コネクタ106で、電線14a~14eはプリント基板102に基板対電線コネクタ108で接続されている。図1図21とを比較したとき、プラグコネクタ10(同様にプラグコネクタ54)は、図21に示すショートフレキシブルプリント基板100に実装された図示しないコネクタ、ショートフレキシブルプリント基板100、プリント基板102、基板対基板コネクタ104、基板対電線コネクタ106及び基板対電線コネクタ108のすべての機能を兼ね備えたコネクタであって、これらを一つにまとめたものである。即ち、上述の実施の形態に係るプラグコネクタ10,54,55を用いることにより、配線のシンプル化だけでなく、低コスト化を実現することができる。
【0072】
なお、上述の各実施の形態においては、2本の同軸ケーブルを備える場合を例に挙げて説明したが、1本または3本以上の同軸ケーブルを備えるようにしてもよい。同様に、上述の各実施の形態においては、5本の電線を備える場合を例に挙げて説明したが、4本以下または6本以上の電線を備えるようにしてもよい。また、上述の各実施の形態においては、同軸ケーブル及び電線を備える場合を例に挙げて説明したが、いずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0073】
また、上述の各実施の形態においては、第1コンタクト(シグナルコンタクト)の間に第2コンタクト(グランドコンタクト)が配置される場合を例に挙げて説明したが、第1コンタクト及び第2コンタクトの配列順序は限定されない。例えば、2つの第1コンタクト及び3つの第2コンタクトを有し第2コンタクトの間が第1コンタクトとなるように第1コンタクト及び第2コンタクトを配列するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…配線構造、2…回路基板、4…拡張カード、6a,6b…同軸ケーブル、8…アンテナモジュール基板、10,40,54,55…プラグコネクタ、12…レセプタクルコネクタ、14a~14e…電線、16a,16b,24,28,33,35,44,64,65…ハウジング、18a,18b,31a,31b,60a,60b…第1コンタクト、20,37,66…第2接点部、21,23a,23b…遮蔽板、48a~48c…第2コンタクト、22,32,61…グランド金具、26a~26e,34a~34e,62a~62e…第3コンタクト、30a~30e,38a~38e…相手側コンタクト、34,52…シェル、36a,36b…外部シールド、42…フレキシブルプリント基板、46a~46e,50a~50e…コンタクト、47,69…アッパーシェル、48,59…ミドルシェル、49,70…アンダーシェル、71…第1遮蔽板、72…第2遮蔽板、74a,74b,75…第3遮蔽板。
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