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特許7095152投票管理装置、投票管理方法、ならびに、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】投票管理装置、投票管理方法、ならびに、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/34 20120101AFI20220627BHJP
【FI】
G06Q50/34
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021070777
(22)【出願日】2021-04-20
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【弁理士】
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】直井 和久
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-71753(JP,A)
【文献】特開2018-165933(JP,A)
【文献】特開平11-338949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公営競技における投票券の販売を管理する投票管理装置であって、
ユーザが購入を希望する前記投票券の内容を示す、投票対象及び投票金額を含む投票情報を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額に、提携事業者から付与された電子バリューが使用されているか否かを判別する判別部と、
前記判別部により前記投票金額に前記電子バリューが使用されていると判別されると、前記投票情報に含まれる前記投票対象のオッズを取得するオッズ取得部と、
前記オッズ取得部により取得された前記オッズが閾値以下である場合に、前記ユーザが過去の直近期間に購入した前記投票券の購入履歴を取得する履歴取得部と、
前記履歴取得部により取得された前記購入履歴に基づいて、低オッズの前記投票券に対して前記ユーザが投票できる許容額を示す投票許容額を設定する設定部と、
前記投票情報に含まれる前記投票金額が、前記設定部により設定された前記投票許容額を超える場合に、前記投票情報の受け付けを取り消す取消部と、
を備えることを特徴とする投票管理装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記購入履歴における前記投票金額を合計した合計投票金額が一定金額を超える場合に、第1の許容額を前記投票許容額に設定し、前記合計投票金額が前記一定金額を超えない場合に、前記第1の許容額よりも額が低い第2の許容額を前記投票許容額に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の投票管理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記購入履歴における前記投票金額を合計した合計投票金額が前記ユーザに対して規定された上限額を超えない場合において、前記上限額から前記合計投票金額を減算した額を前記投票許容額に設定し、前記合計投票金額が前記上限額を超えた場合において、前記投票許容額に0を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の投票管理装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記購入履歴における前記投票金額を合計した合計投票金額に比例する額を前記投票許容額に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の投票管理装置。
【請求項5】
前記履歴取得部により取得された前記購入履歴には、前記投票券が購入された時点のオッズ履歴が含まれており、
前記設定部は、前記購入履歴に含まれる前記オッズ履歴に基づいたオッズ分布に対する、前記オッズ取得部により取得された前記オッズの乖離度を求め、当該乖離度が基準値よりも大きい場合に、当該乖離度の大きさに反比例する額を前記投票許容額に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の投票管理装置。
【請求項6】
前記取消部が前記投票情報の受け付けを取り消した際に、前記受付部が受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額を、前記投票許容額に修正した投票情報を提案する提案部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の投票管理装置。
【請求項7】
公営競技における投票券の販売を管理する投票管理装置が実行する投票管理方法であって、
ユーザが購入を希望する前記投票券の内容を示す、投票対象及び投票金額を含む投票情報を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにて受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額に、提携事業者から付与された電子バリューが使用されているか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて前記投票金額に前記電子バリューが使用されていると判別されると、前記投票情報に含まれる前記投票対象のオッズを取得するオッズ取得ステップと、
前記オッズ取得ステップにて取得した前記オッズが閾値以下である場合に、前記ユーザが過去の直近期間に購入した前記投票券の購入履歴を取得する履歴取得ステップと、
前記履歴取得ステップにて取得した前記購入履歴に基づいて、低オッズの前記投票券に対して前記ユーザが投票できる許容額を示す投票許容額を設定する設定ステップと、
前記投票情報に含まれる前記投票金額が、前記設定ステップにて設定した前記投票許容額を超える場合に、前記投票情報の受け付けを取り消す取消ステップと、
を備えることを特徴とする投票管理方法。
【請求項8】
公営競技における投票券の販売を管理するコンピュータに、
ユーザが購入を希望する前記投票券の内容を示す、投票対象及び投票金額を含む投票情報を受け付ける受付手順、
前記受付手順にて受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額に、提携事業者から付与された電子バリューが使用されているか否かを判別する判別手順、
前記判別手順にて前記投票金額に前記電子バリューが使用されていると判別されると、前記投票情報に含まれる前記投票対象のオッズを取得するオッズ取得手順、
前記オッズ取得手順にて取得した前記オッズが閾値以下である場合に、前記ユーザが過去の直近期間に購入した前記投票券の購入履歴を取得する履歴取得手順、
前記履歴取得手順にて取得した前記購入履歴に基づいて、低オッズの前記投票券に対して前記ユーザが投票できる許容額を示す投票許容額を設定する設定手順、
前記投票情報に含まれる前記投票金額が、前記設定手順にて設定した前記投票許容額を超える場合に、前記投票情報の受け付けを取り消す取消手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票管理装置、投票管理方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
競輪、競馬、競艇といった公営競技の投票券を、インターネットを介して、ユーザ端末から購入できる投票システムが知られている。
この投票システムでは、例えば、ユーザが操作するユーザ端末と、投票券の販売を管理する投票管理装置とが、インターネットを介して通信接続され(ログイン等がなされ)、ユーザが購入を望む投票券の内容を示す投票情報が、ユーザ端末から投票管理装置へ送信される。そして、この投票情報を受信した投票管理装置が、公営競技の主催者サーバに対して、投票情報に示される投票券の販売を要請することで、ユーザが望む投票券の購入が完了するようになっている。
【0003】
このような投票システムでは、ユーザ端末から投票券を購入する際に、ユーザが意図せずに誤発注してしまう場合もある。例えば、あるレースの投票券をユーザが購入しようとする場合、そのレースの投票画面にて、投票対象(一例として、競輪であれば、賭式に応じた車番や枠番の組)と、投票金額(一例として、ベット数×単価)とを入力することになる。その際に、これら投票対象や投票金額をユーザが誤って入力してしまい、ユーザが気付かないまま、投票画面の購入ボタンを押下してしまうと、誤発注した内容で投票券を購入してしまうことになる。
【0004】
このようなユーザの誤りに対応すべく、例えば、特許文献1には、ユーザが購入しようとする投票券の異常を判定可能な情報処理装置の発明が開示されている。この特許文献1の発明では、ユーザが購入しようとする投票券の内容と、そのユーザが過去に購入した投票券の内容とを、そのユーザの投票成績を加味して比較することで、投票券の内容に異常があるか否か(変則度が閾値を超えているかどうか)を判定し、異常がある場合に、購入を確定する直前の確認画面(購入内容確認ページ)にて、アラートを表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6516431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の発明は、ユーザの投票成績を考慮することで、そのユーザが購入しようとする投票券についての異常を柔軟に判定できるようになっている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の発明では、以下に説明するような不正行為の蓋然性が高い投票券の購入に対しては、異常として判定することができなかった。
【0008】
現在、競輪等を対象とした投票システムでは、例えば、提携事業者から付与されたポイント等の電子バリューを使用して、投票券の購入が行えるようになっている。このような電子バリューを使用できる投票システムでは、投票券を購入せずに、電子バリューを現金化(所定口座への振替等)することができない仕様となっており、投票券が的中した場合には、電子バリューを使用せずに投票券を購入した場合と同様に、払戻金を受け取ることができる。
しかしながら、一部には、勝者がほぼ確実と予想されるレース(いわゆる、鉄板レース)の投票券だけを、電子バリューを使用して購入するユーザもいる。つまり、鉄板レースの場合、勝者と目される投票対象のオッズは、おおよそ、2.0未満の低オッズとなり、的中しても投票金額に対して払戻金が大きく増える訳ではないものの、的中する可能性は高いため、払戻金を受け取ることができる可能性も高くなる。そのため、電子バリューを使ってこのような低オッズの投票券を購入する行為は、電子バリューの現金化に繋がることが懸念される。
【0009】
なお、低オッズの投票券について、電子バリューを使用して購入できないように制限を設けることも考えられるが、低オッズの投票券をある程度まで購入する状況は普通に起こり得るため、電子バリューの現金化を意図しない通常のユーザにとっては、投票の自由が不当に損なわれてしまうことになる。
そのため、電子バリューの現金化を図る不正行為の蓋然性が高い投票券の購入を適切に防止することのできる技術が求められていた。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、不正行為の蓋然性が高い投票券の購入を適切に防止することのできる投票管理装置、投票管理方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点に係る投票管理装置は、
公営競技における投票券の販売を管理する投票管理装置であって、
ユーザが購入を希望する前記投票券の内容を示す、投票対象及び投票金額を含む投票情報を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額に、提携事業者から付与された電子バリューが使用されているか否かを判別する判別部と、
前記判別部により前記投票金額に前記電子バリューが使用されていると判別されると、前記投票情報に含まれる前記投票対象のオッズを取得するオッズ取得部と、
前記オッズ取得部により取得された前記オッズが閾値以下である場合に、前記ユーザが過去の直近期間に購入した前記投票券の購入履歴を取得する履歴取得部と、
前記履歴取得部により取得された前記購入履歴に基づいて、低オッズの前記投票券に対して前記ユーザが投票できる許容額を示す投票許容額を設定する設定部と、
前記投票情報に含まれる前記投票金額が、前記設定部により設定された前記投票許容額を超える場合に、前記投票情報の受け付けを取り消す取消部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記観点に係る投票管理装置において、
前記設定部は、前記購入履歴における前記投票金額を合計した合計投票金額が一定金額を超える場合に、第1の許容額を前記投票許容額に設定し、前記合計投票金額が前記一定金額を超えない場合に、前記第1の許容額よりも額が低い第2の許容額を前記投票許容額に設定するようにしてもよい。
【0013】
また、上記観点に係る投票管理装置において、
前記設定部は、前記購入履歴における前記投票金額を合計した合計投票金額が前記ユーザに対して規定された上限額を超えない場合において、前記上限額から前記合計投票金額を減算した額を前記投票許容額に設定し、前記合計投票金額が前記上限額を超えた場合において、前記投票許容額に0を設定するようにしてもよい。
【0014】
また、上記観点に係る投票管理装置において、
前記設定部は、前記購入履歴における前記投票金額を合計した合計投票金額に比例する額を前記投票許容額に設定するようにしてもよい。
【0015】
また、上記観点に係る投票管理装置において、
前記履歴取得部により取得された前記購入履歴には、前記投票券が購入された時点のオッズ履歴が含まれており、
前記設定部は、前記購入履歴に含まれる前記オッズ履歴に基づいたオッズ分布に対する、前記オッズ取得部により取得された前記オッズの乖離度を求め、当該乖離度が基準値よりも大きい場合に、当該乖離度の大きさに反比例する額を前記投票許容額に設定するようにしてもよい。
【0016】
また、上記観点に係る投票管理装置は、
前記取消部が前記投票情報の受け付けを取り消した際に、前記受付部が受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額を、前記投票許容額に修正した投票情報を提案する提案部を更に備えるようにしてもよい。
【0017】
本発明の第2の観点に係る投票管理方法は、
公営競技における投票券の販売を管理する投票管理装置が実行する投票管理方法であって、
ユーザが購入を希望する前記投票券の内容を示す、投票対象及び投票金額を含む投票情報を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにて受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額に、提携事業者から付与された電子バリューが使用されているか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて前記投票金額に前記電子バリューが使用されていると判別されると、前記投票情報に含まれる前記投票対象のオッズを取得するオッズ取得ステップと、
前記オッズ取得ステップにて取得した前記オッズが閾値以下である場合に、前記ユーザが過去の直近期間に購入した前記投票券の購入履歴を取得する履歴取得ステップと、
前記履歴取得ステップにて取得した前記購入履歴に基づいて、低オッズの前記投票券に対して前記ユーザが投票できる許容額を示す投票許容額を設定する設定ステップと、
前記投票情報に含まれる前記投票金額が、前記設定ステップにて設定した前記投票許容額を超える場合に、前記投票情報の受け付けを取り消す取消ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
公営競技における投票券の販売を管理するコンピュータに、
ユーザが購入を希望する前記投票券の内容を示す、投票対象及び投票金額を含む投票情報を受け付ける受付手順、
前記受付手順にて受け付けた前記投票情報に含まれる前記投票金額に、提携事業者から付与された電子バリューが使用されているか否かを判別する判別手順、
前記判別手順にて前記投票金額に前記電子バリューが使用されていると判別されると、前記投票情報に含まれる前記投票対象のオッズを取得するオッズ取得手順、
前記オッズ取得手順にて取得した前記オッズが閾値以下である場合に、前記ユーザが過去の直近期間に購入した前記投票券の購入履歴を取得する履歴取得手順、
前記履歴取得手順にて取得した前記購入履歴に基づいて、低オッズの前記投票券に対して前記ユーザが投票できる許容額を示す投票許容額を設定する設定手順、
前記投票情報に含まれる前記投票金額が、前記設定手順にて設定した前記投票許容額を超える場合に、前記投票情報の受け付けを取り消す取消手順、
を実行させることを特徴とする。
【0019】
上記プログラムは、当該プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。
更に、上記プログラムを記録する情報記録媒体は、非一時的な(non-transitory)記録媒体であり、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。ここで、非一時的な記録媒体とは、有形な(tangible)記録媒体をいう。非一時的な記録媒体は、例えば、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等である。また、一時的な(transitory)記録媒体とは、伝送媒体(伝搬信号)それ自体を示す。一時的な記録媒体は、例えば、電気信号、光信号、電磁波等である。なお、一時的な(temporary)記憶領域とは、データやプログラムを一時的に記憶するための領域であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、不正行為の蓋然性が高い投票券の購入を適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る投票システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る投票管理装置等が実現される典型的な情報処理装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る投票管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】ユーザ端末から送られる投票情報の一例を示す模式図である。
図5】記憶部に記憶される購入履歴情報の一例を示す模式図である。
図6】オッズ分布を説明するための模式図である。
図7】本実施形態に係る車券販売処理を説明するためのフローチャートである。
図8】他の実施形態に係る投票管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9】提案画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態では、公営競技の1つである競輪の車券(投票券)を、ユーザ端末から購入可能な投票システムについて説明するが、このような競輪に限られず、競馬、競艇といった他の公営競技の投票券を購入する投票システムにおいても、同様に適用可能である。
つまり、以下の実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0023】
(全体構成)
本発明の実施形態に係る投票システム100は、図1に示すように、主催者サーバ200と、投票管理装置300と、ユーザ端末400とを含んで構成される。そして、投票管理装置300とユーザ端末400とは、インターネット900を介して通信可能に接続されている。また、主催者サーバ200と、投票管理装置300とは、例えば、専用回線やVPN(Virtual Private Network)等を介して通信可能に接続されている。
なお、図1には、ユーザ端末400を数台だけ示しているが、発明の理解を容易にするためであり、実際には、投票システム100を利用するユーザ数に応じて、膨大な数のユーザ端末400が含まれているものとする。
【0024】
主催者サーバ200は、競輪の主催者によって設置されたサーバ装置であり、主催するレースに関する情報を管理する。レースに関する情報には、例えば、レース出走情報、オッズ情報、レース結果情報、払い戻し情報等が含まれている。主催者サーバ200は、これらのようなレースに関する情報を投票管理装置300に送信する。また、主催者サーバ200は、投票管理装置300から送られる投票情報(ユーザが購入しようとする車券の内容を示す投票情報)を受信する。
【0025】
投票管理装置300は、競輪の主催者に代わってユーザに車券(投票券)を販売する装置である。投票管理装置300は、主催者サーバ200から受信したレースに関する情報をユーザ端末400に提供する。また、投票管理装置300は、ユーザについての資金情報等を管理すると共に、ユーザ端末400から送られる投票情報を受け付け、不正行為の蓋然性が高い場合に、その投票情報の受け付けを取り消す。一方、不正行為の蓋然性がない場合に、投票管理装置300は、受け付けた投票情報に従った車券の購入を主催者サーバ200に要請する。
【0026】
ユーザ端末400は、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータ等であり、車券を購入するユーザに操作される。
ユーザ端末400は、ユーザからの操作に応じて、投票管理装置300にアクセスし、レースに関する情報を受信して各種の画面を表示する。例えば、ユーザ端末400は、ユーザが車券の購入を望むレースの投票画面を表示する。ユーザは、この投票画面から、賭式に応じた投票対象(車番や枠番の組)や、ベット数に応じた投票金額等を入力することになる。そして、投票画面の購入ボタンがユーザに押下されると、ユーザ端末400は、投票対象、及び、投票金額を含んだ投票情報を、投票管理装置300へ送信する。
なお、ユーザが提携事業者から付与されているポイント(車券の購入に使用できる電子バリュー)を有している場合に、このポイントを使用して車券の購入が可能となっている。例えば、投票画面にて、ユーザが投票金額を入力する際に、ポイントを使用して、投票金額に充当することができる。
【0027】
(情報処理装置の概要構成)
以下、本実施形態に係る投票管理装置300等が実現される典型的な情報処理装置500について説明する。
【0028】
情報処理装置500は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、NIC(Network Interface Card)504と、画像処理部505と、音声処理部506と、補助記憶部507と、インターフェース508と、操作ユニット509と、表示ユニット510と、スピーカ511と、を備える。
【0029】
CPU 501は、情報処理装置500全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。
【0030】
ROM 502には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、補助記憶部507に記憶されたプログラムをRAM 503に読み出してCPU 501による当該プログラムの実行が開始される。
【0031】
RAM 503は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、補助記憶部507から読み出されたプログラムやデータ、その他、通信に必要なデータ等が保持される。
【0032】
NIC 504は、情報処理装置500をインターネット等のコンピュータ通信網に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE-T/100BASE-T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等から構成される。
【0033】
画像処理部505は、補助記憶部507等から読み出された画像データをCPU 501や画像処理部505が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部505が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され、インターフェース508等を介して表示ユニット510に出力される。つまり、画像処理部505は、CPU 501の制御の下、情報処理装置500が行う処理の進行の中で必要となる画像を生成し、その画像を表示ユニット510に表示させる。
【0034】
音声処理部506は、補助記憶部507等から読み出された音声データを音声信号に変換し、インターフェース508を介してスピーカ511に出力する。つまり、音声処理部506は、CPU 501の制御の下、情報処理装置500が行う処理の進行の中で発生させるべき音声を生成し、その音声をスピーカ511から出力させる。
【0035】
補助記憶部507は、ハードディスク等であり、情報処理装置500全体の動作制御に必要な各種のプログラムや各種のデータを記憶する。例えば、補助記憶部507には、本実施形態に係る投票管理装置300等を実現するためのプログラムが記憶される。そして、CPU 501の制御によって、補助記憶部507は、記憶されたプログラムやデータを適宜読み出し、これらをRAM 503等に一時的に記憶させる。
【0036】
インターフェース508には、操作ユニット509、表示ユニット510、及び、スピーカ511が接続される。なお、インターフェース508は、この他に接続された外部機器との間で必要な情報を送受信してもよい。
【0037】
操作ユニット509は、例えば、ボタンやタッチパネル(タッチスクリーン)であり、情報処理装置500を利用するユーザの操作入力を受け付ける。
【0038】
表示ユニット510は、例えば、液晶表示パネル等であり、画像処理部505により出力された画像データに応じた画像を描画し、情報処理装置500のユーザに提示する。
【0039】
スピーカ511は、音声処理部506により出力された音声データに応じた音声を出力し、情報処理装置500のユーザに提示する。
【0040】
この他に、情報処理装置500は、補助記憶部507の代わりに、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のドライブユニットを備えるようにしてもよい。この場合、情報処理装置500は、ドライブユニットに装着されるDVD-ROM等からプログラムやデータを読み出して、上記と同様に動作する。
【0041】
以下、本実施形態に係る投票管理装置300の機能構成等について、図3図6を参照して説明する。この投票管理装置300は、上記の情報処理装置500により実現される。例えば、情報処理装置500に電源が投入されると、投票管理装置300として機能させるプログラムが実行され、本実施形態に係る投票管理装置300が実現される。
なお、主催者サーバ200、及び、ユーザ端末400も同様に、情報処理装置500によって実現可能であるが、これらについての説明を省略し、本実施形態において最も特徴的な投票管理装置300について説明する。
【0042】
(投票管理装置の機能構成)
図3は、本実施形態に係る投票管理装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。図示するように、投票管理装置300は、受信部310と、送信部320と、記憶部330と、制御部340とを備える。
【0043】
受信部310は、主催者サーバ200又はユーザ端末400から送られる種々の情報を受信する。
例えば、受信部310は、主催者サーバ200から送られるレース出走情報やオッズ情報等を受信する。また、受信部310は、ユーザ端末400から送られる投票情報等を受信する。
【0044】
具体的に、受信部310は、図4に示すような投票情報311をユーザ端末400から受信する。この投票情報311は、ユーザが購入を望む車券の内容を示す情報であり、ユーザID311a、レースID311b、投票対象311c、及び、投票金額311dが含まれている。
なお、ユーザID311aは、投票を行う(車券を購入する)ユーザを識別するための情報であり、また、レースID311bは、投票するレース(開催地等も含む)を識別するための情報である。
また、投票対象311cは、ユーザが投票する車券であり、賭式と買い目とで指定される。ここで、賭式とは、車券の種類を示しており、具体的には、「2車単」、「2車複」、「2枠単」、「2枠複」、「3連単」、「3連複」、及び、「ワイド」の何れかである。また、買い目とは、賭式に応じた車番の組合せ、若しくは、枠番の組合せである。
そして、投票金額311dは、ベット数に応じた金額(ベット数×単価)である。
図4に示す投票情報311では、ユーザが投票する投票対象311cが1つ、つまり、1点買いの場合を示しているが、一例であり、複数点買いの場合もある。その場合、投票対象311c、及び、投票金額311dが、それぞれ追加されることになる。
【0045】
なお、上述したNIC 504等が、このような受信部310として機能しうる。
【0046】
図3に戻って、送信部320は、主催者サーバ200又はユーザ端末400に対して、必要な情報を送信する。
例えば、送信部320は、ユーザに要求されたレースの投票画面等をユーザ端末400へ送信する。そして、この投票画面を送信したユーザ端末400にて、投票対象、及び、投票金額等が入力され、購入ボタンが押下されると、ユーザ端末400から投票情報(上述した図4の投票情報311)が送られてくる。この投票情報等を基に、後述する制御部340によって、不正行為の蓋然性がないことが検証されると、送信部320は、投票情報に示される車券の購入を要請するための要請情報を、主催者サーバ200へ送信する。
【0047】
なお、上述したNIC 504等が、このような送信部320として機能しうる。
【0048】
記憶部330は、ユーザに車券を販売するために必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶部330は、各ユーザに関するユーザ情報の他に、各ユーザによって過去に購入された車券の購入履歴等を記憶する。
【0049】
具体的に、記憶部330は、図5に示すような購入履歴331を記憶する。この購入履歴331には、ユーザID331a、購入日時331b、レースID331c、投票対象331d、投票金額331e、及び、購入時オッズ331fが含まれている。
なお、購入日時331bは、ユーザが車券を購入した日時を示している。
また、購入時オッズ331fは、ユーザが車券を購入した時点における投票対象331dのオッズを示している。
【0050】
この他にも、記憶部330は、各レースの詳細情報(選手名、脚質、競走得点、販売を締め切る締切時刻等)、オッズ情報(各買い目に応じたオッズ)、ユーザの資金情報(車券を購入するための資金額等)、並びに、提携事業者から付与されているポイント(車券の購入に使用できる電子バリュー)を記憶する。
なお、オッズ情報は、レース開始前に変動するため、主催者サーバ200から逐次取得され、最新の情報に更新される。
また、上述したように、ユーザがポイントを有している場合に、このポイントを使用して車券の購入が可能となっている。
この実施形態では、ユーザの資金情報やポイントが、投票管理装置300にて管理されている場合について説明するが、一例であり、別のサーバ(主催者サーバ200及び投票管理装置300とは異なるサーバ)にて管理されていてもよい。
【0051】
なお、上述した補助記憶部507等が、このような記憶部330として機能しうる。
【0052】
図3に戻って、制御部340は、投票管理装置300全体を制御する。この制御部340は、受付部341、判別部342、オッズ取得部343、履歴取得部344、設定部345、取消部346、及び、要請部347を含んでいる。
【0053】
受付部341は、上述した受信部310がユーザ端末400から受信した投票情報を受け付ける。つまり、受付部341は、上述した図4に示すような投票情報311を受け付ける。
【0054】
判別部342は、上記の受付部341が受け付けた投票情報に含まれる投票金額に、ユーザのポイントが使用されているか否かを判別する。
つまり、判別部342は、ユーザ端末400の投票画面にて、投票金額が入力される際に、ユーザのポイントが充当されたかどうかを判別する。
【0055】
オッズ取得部343は、上記の判別部342により、投票金額にポイントが使用されていると判別されると、投票情報に含まれる投票対象のオッズを取得する。
つまり、オッズ取得部343は、ユーザが購入を望む投票対象の現在のオッズを、主催者サーバ200から取得する。なお、ユーザが複数点買いの場合、オッズ取得部343は、各投票対象の現在のオッズを、主催者サーバ200からそれぞれ取得する。
【0056】
履歴取得部344は、上記のオッズ取得部343が取得したオッズが閾値以下である場合に、ユーザが過去の直近期間に購入した車券の購入履歴を取得する。
例えば、オッズ取得部343が取得したオッズが1.9以下である場合に、履歴取得部344は、上述した図5に示す購入履歴331(該当するユーザID331aの情報)から、購入日時331bが過去3ヶ月以内の購入履歴を取得する。
なお、オッズの閾値である1.9は一例であり、他の値であってもよい。また、直近期間の3ヶ月以内は一例であり、他の期間であってもよい。
【0057】
設定部345は、上記の履歴取得部344が取得した購入履歴に基づいて、低オッズの車券(投票対象)に対してそのユーザが投票できる許容額を示す投票許容額を設定する。
例えば、設定部345は、以下に説明する4つの手法の何れかに基づいて、投票許容額を設定する。
【0058】
(第1の手法)
設定部345は、履歴取得部344が取得した購入履歴の合計投票金額がユーザに規定された上限額を超えない場合において、その上限額から合計投票金額を減算した額を投票許容額に設定し、一方、合計投票金額が上限額を超えた場合において、投票許容額に0を設定する。
例えば、設定部345は、過去3ヶ月以内の購入履歴における合計投票金額が、12万円(上限額)を超えない場合において、その12万円から合計投票金額を減算した額を投票許容額に設定し、一方、合計投票金額が12万円(上限額)を超えた場合において、投票許容額に0円を設定する。
なお、上限額である12万円は一例であり、他の金額であってもよい。
【0059】
(第2の手法)
設定部345は、履歴取得部344が取得した購入履歴の合計投票金額に比例する額を投票許容額に設定する。
例えば、設定部345は、過去3ヶ月以内の購入履歴における合計投票金額に、0.1(1未満の正の定数)を乗算した額を投票許容額に設定する。
なお、1未満の正の定数である0.1は一例であり、他の値であってもよい。
【0060】
(第3の手法)
設定部345は、上述した履歴取得部344が取得した購入履歴における投票金額を合計した合計投票金額が一定金額を超えるかどうかに応じて、投票許容額を設定する。
例えば、設定部345は、過去3ヶ月以内の購入履歴における合計投票金額が、10万円(一定金額)を超える場合に、2万円(第1の許容額)を投票許容額に設定し、一方、合計投票金額が10万円(一定金額)を超えない場合に、1万円(第2の許容額)を投票許容額に設定する。
なお、一定金額である10万円は一例であり、他の金額であってもよい。同様に、第1の許容額である2万円は一例であり、また、第2の許容額である1万円は一例であり、他の金額であってもよい。
【0061】
(第4の手法)
設定部345は、ユーザが過去に購入した車券のオッズ分布と、オッズ取得部343が取得したオッズとに基づいて投票許容額を設定する。
例えば、設定部345は、過去3ヶ月以内の購入履歴におけるオッズ履歴(購入時オッズ等)に基づいたオッズ分布に対する、オッズ取得部343が取得したオッズ(つまり、ユーザが購入しようとする投票対象の現在のオッズ等)との乖離度(乖離率)を求める。そして、乖離度が基準値よりも大きい場合に、その乖離度の大きさに反比例する額を投票許容額に設定する。
【0062】
具体的に設定部345は、過去3ヶ月以内の購入履歴における購入時オッズ等に基づいて、図6に示すようなオッズ分布ODをプロットし、ユーザが購入しようとする投票対象の現在のオッズ等との乖離度を求める。そして、乖離度が30%(基準値)よりも大きい場合に、その乖離度の大きさに反比例する額を投票許容額に設定する。つまり、乖離度が30%よりも大きい場合に、設定部345は、乖離度が小さいほど大きな額を投票許容額に設定し、逆に、乖離度が小さいほど大きな額を投票許容額に設定する。一例として、設定部345は、乖離度が31~40%で、3万円を投票許容額に設定し、乖離度が41~50%で、2万5千円を投票許容額に設定し、乖離度が51~60%で、2万円を投票許容額に設定し、乖離度が61~70%で、1万5千円を投票許容額に設定し、乖離度が71~80%で、1万円を投票許容額に設定し、乖離度が81以上で、5千円を投票許容額に設定する。
なお、基準値である30%は一例であり、他の値であってもよい。また、投票許容額を設定するための基準となる各乖離度、及び、設定する各投票許容額は一例であり、他の値及び額であってもよい。
【0063】
図3に戻って、取消部346は、投票情報に含まれる投票金額が、上記の設定部345により設定された投票許容額を超える場合に、その投票情報の受け付けを取り消す。
つまり、ユーザが購入しようとする低オッズの車券が、上記の4つの手法の何れかで設投票許容額を超える場合に、取消部346は、その車券の受け付け(受付部341が受け付けた投票情報)を取り消す。
【0064】
要請部347は、上記の取消部346によって、取り消されなかった投票情報に示される車券の販売を、主催者サーバ200に請求する。
つまり、要請部347は、投票情報に従った要請情報を主催者サーバ200に送信することでユーザが望む車券の購入を確定させる。
【0065】
なお、上述したCPU 501等が、このような構成からなる制御部340として機能しうる。
【0066】
(投票管理装置の動作)
以下、このような構成の投票管理装置300の動作について図7を参照して説明する。図7は、投票管理装置300が実行する車券販売処理の流れを示すフローチャートである。この車券販売処理は、例えば、ユーザ端末400を操作するユーザが、投票管理装置300にログインした後であって、何れかのレースの投票顔面にて投票対象及び投票金額等を入力して購入ボタンを押下することで開始される。
【0067】
まず、投票管理装置300は、投票情報を受け付ける(ステップS11)。
すなわち、制御部340(受付部341)は、受信部310が受信した投票情報を受け付ける。具体的に、制御部340は、ユーザ端末400から送られた図4に示すような投票情報311を受け付ける。
【0068】
投票管理装置300は、ポイントが使用されたか否かを判別する(ステップS12)。
すなわち、制御部340(判別部342)は、上記のステップS11にて受け付けた投票情報に含まれる投票金額に、ユーザのポイントが使用されているか否かを判別する。つまり、制御部340は、ユーザ端末400の投票画面にて、投票金額が入力される際に、ユーザのポイントが充当されたかどうかを判別する。
【0069】
投票管理装置300は、ポイントが使用されていないと判別すると(ステップS12;No)、後述するステップS19に処理を進める。
【0070】
一方、ポイントが使用されたと判別した場合(ステップS12;Yes)に、投票管理装置300は、オッズを取得する(ステップS13)。
すなわち、制御部340(オッズ取得部343)は、投票情報に含まれる投票対象のオッズを取得する。つまり、制御部340は、ユーザが購入を望む投票対象の現在のオッズを、主催者サーバ200から取得する。
【0071】
投票管理装置300は、オッズが閾値以下であるか否かを判別する(ステップS14)。
例えば、制御部340は、ユーザが購入を望む投票対象の現在のオッズが、1.9以下であるか否かを判別する。
【0072】
投票管理装置300は、オッズが閾値以下でないと判別すると(ステップS14;No)、後述するステップS19に処理を進める。
【0073】
一方、オッズが閾値以下であると判別した場合(ステップS14;Yes)に、ユーザの購入履歴を取得する(ステップS15)。
すなわち、制御部340(履歴取得部344)は、ユーザが過去の直近期間に購入した車券の購入履歴を取得する。
例えば、制御部340は、図5に示す購入履歴331(該当するユーザID331aの情報)から、購入日時331bが過去3ヶ月以内の購入履歴を取得する。
【0074】
投票管理装置300は、投票許容額を設定する(ステップS16)。
すなわち、制御部340(設定部345)は、上記のステップS15にて取得した購入履歴に基づいて、低オッズの車券(投票対象)に対してそのユーザが投票できる投票許容額を設定する。
例えば、制御部340は、第1~第4の手法の何れかに基づいて、投票許容額を設定する。
【0075】
つまり、第1の手法の場合、制御部340は、購入履歴における投票金額を合計した合計投票金額が一定金額を超えるかどうかに応じて、投票許容額を設定する。
例えば、制御部340は、過去3ヶ月以内の購入履歴における合計投票金額が、10万円を超える場合に、2万円を投票許容額に設定し、一方、合計投票金額が10万円を超えない場合に、1万円を投票許容額に設定する。
【0076】
また、第2の手法の場合、制御部340は、購入履歴の合計投票金額がユーザに規定された上限額を超えない場合において、その上限額から合計投票金額を減算した額を投票許容額に設定し、一方、合計投票金額が上限額を超えた場合において、投票許容額に0を設定する。
例えば、制御部340は、過去3ヶ月以内の購入履歴における合計投票金額が、12万円を超えない場合において、その12万円から合計投票金額を減算した額を投票許容額に設定し、一方、合計投票金額が12万円を超えた場合において、投票許容額に0円を設定する。
【0077】
また、第3の手法の場合、制御部340は、購入履歴の合計投票金額に比例する額を投票許容額に設定する。
例えば、制御部340は、過去3ヶ月以内の購入履歴における合計投票金額に、0.1を乗算した額を投票許容額に設定する。
【0078】
また、第4の手法の場合、制御部340(設定部345)は、ユーザが過去に購入した車券のオッズ分布と、ステップS13にて取得したオッズとに基づいて投票許容額を設定する。
例えば、制御部340は、過去3ヶ月以内の購入履歴におけるオッズ履歴(購入時オッズ等)に基づいた図6に示すようなオッズ分布に対する、ステップS13にて取得したオッズとの乖離度を求める。そして、乖離度が基準値よりも大きい場合に、その乖離度の大きさに反比例する額を投票許容額に設定する。
【0079】
投票管理装置300は、投票金額が投票許容額を超えているか否かを判別する(ステップS17)。
すなわち、制御部340は、ステップS11にて受け付けた投票情報に含まれる投票金額が、上記のステップS16にて設定した投票許容額を超えているかどうかを判別する。
【0080】
投票管理装置300は、投票金額が投票許容額を超えていると判別すると(ステップS17;Yes)、受け付けた投票情報を取り消す(ステップS18)。
すなわち、制御部340(取消部346)は、ステップS11にて受け付けた投票情報に含まれる投票金額が、ステップS16にて設定した投票許容額を超える場合に、その投票情報の受け付けを取り消す。
【0081】
一方、投票金額が投票許容額を超えていないと判別した場合(ステップS17;No)に、投票管理装置300は、投票情報に示される車券の販売を主催者サーバ200に要請する(ステップS19)。
すなわち、制御部340(要請部347)は、投票情報に従った要請情報を主催者サーバ200に送信することでユーザが望む車券の購入を確定させる。
【0082】
このような車券販売処理により、低オッズの車券をユーザがポイントを使用して購入しようとする際に投票許容額を適宜設定し、低オッズの車券の投票金額が投票許容額を超える場合に、不正行為の蓋然性が高いと判別し、その車券の購入に係る投票情報の受け付けを取り消す。
一方、低オッズの車券の投票金額が投票許容額を超えていない場合に、不正行為の蓋然性がないと判別し、受け付けた投票情報に従った車券の購入を主催者サーバ200に要請する。
【0083】
この結果、不正行為の蓋然性が高い投票券の購入を適切に防止することができる。
【0084】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、低オッズの車券の投票金額が投票許容額を超える場合に、制御部340(取消部346)が、その車券の購入に係る投票情報の受け付けの取り消しだけを行う場合について説明したが、投票情報を取り消す際に、その投票情報に含まれる投票金額を、投票許容額に修正した投票情報を提案するようにしてもよい。
【0085】
図8は、他の実施形態に係る投票管理装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。図示するように、投票管理装置300は、受信部310と、送信部320と、記憶部330と、制御部340とを備える。
なお、受信部310~記憶部330は、上述した図3の投票管理装置300と同じ構成である。
【0086】
制御部340は、受付部341、判別部342、オッズ取得部343、履歴取得部344、設定部345、取消部346、要請部347、及び、提案部348、を含んでいる。
なお、受付部341~要請部347は、上述した図3の制御部340と同じ構成である。つまり、図8の投票管理装置300は、制御部340に、提案部348が更に含まれる点において、図3の投票管理装置300と異なっている。
【0087】
この提案部348は、取消部346が、投票情報を取り消す際に、その投票情報に含まれる投票金額を、投票許容額に修正した投票情報をユーザに提案する。
例えば、提案部348は、図9に示すような提案画面TGを、送信部320を制御して送信し、ユーザ端末400に表示させる。この提案画面TGには、低オッズの車券の投票金額を投票許容額まで下げることを提案する本文HBと、YesボタンBT1と、NoボタンBT2とが含まれている。
この提案画面TGにて、ユーザにYesボタンBT1が押下されると、投票金額が投票許容額に修正された投票情報が、ユーザ端末400から投票管理装置300へ再度送信される。一方、NoボタンBT2がユーザに押下されると、投票情報が取り消されたままになる。
【0088】
この場合、ユーザが低オッズの車券を、投票金額を下げても購入したい場合に、投票画面での再入力を省略することができる。
【0089】
上記の実施形態では、競輪の車券(投票券)を、ユーザ端末から購入可能な投票システム100について説明したが、このような競輪に限られず、競馬、競艇といった他の公営競技の投票券を購入する投票システムにおいても、同様に適用可能である。
【0090】
以上説明したように、本発明によれば、不正行為の蓋然性が高い投票券の購入を適切に防止する投票管理装置、投票管理方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0091】
100 投票システム
200 主催者サーバ
300 投票管理装置
310 受信部
320 送信部
330 記憶部
340 制御部
341 受付部
342 判別部
343 オッズ取得部
344 履歴取得部
345 設定部
346 取消部
347 要請部
348 提案部
400 ユーザ端末
500 情報処理装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 NIC
505 画像処理部
506 音声処理部
507 補助記憶部
508 インターフェース
509 操作ユニット
510 表示ユニット
511 スピーカ
900 インターネット
【要約】
【課題】不正行為の蓋然性が高い投票券の購入を適切に防止できる投票管理装置等を提供する。
【解決手段】投票システムにおいて、投票管理装置300の受付部341は、ユーザが購入を希望する車券の内容を示す、投票対象及び投票金額を含む投票情報を受け付ける。判別部342は、投票情報に含まれる投票金額にポイントが使用されているか否かを判別する。オッズ取得部343は、投票金額にポイントが使用されていると判別されると、投票対象のオッズを取得する。履歴取得部344は、取得されたオッズが閾値以下である場合に、ユーザが過去の直近期間に購入した車券の購入履歴を取得する。設定部345は、購入履歴に基づいて、低オッズの投票券に対してユーザが投票できる投票許容額を設定する。そして、取消部346は、投票金額が投票許容額を超える場合に、投票情報の受け付けを取り消す。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9