(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】読み出し中のMRAMにおける信号の増幅
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20220627BHJP
G11C 13/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G11C11/16 212
G11C11/16 214
G11C11/16 230
G11C13/00 270F
G11C13/00 312
G11C13/00 314
G11C13/00 400H
(21)【出願番号】P 2021103560
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511242535
【氏名又は名称】サンディスク テクノロジーズ エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5080 Spectrum Drive,Suite 1050W,Addison,Texas 75001,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワード・パーキンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・オトゥール
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・フランキン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・トレント
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501524(JP,A)
【文献】特開2010-152986(JP,A)
【文献】特開2010-80009(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143383(WO,A1)
【文献】特開2013-30241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/16
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
クロスポイントメモリアレイに接続するように構成されている制御回路であって、前記クロスポイントメモリアレイが、第1の導電線と第2の導電線との間に配置されたメモリセルを含む、制御回路と、nMOSFETと並列なpMOSFETを含み、前記第1の導電線に接続された第1のトランジスタ対と、を含み、前記メモリセルが、閾値切替セレクタと直列な記憶素子を含み、
前記メモリセルを選択するために、前記制御回路は、前記nMOSFETが非導電状態にある間に、前記pMOSFETで前記第1の導電線の電圧をプルアップするように構成されており、
前記制御回路は、続いて、前記pMOSFETが非導電状態にあり、かつ前記nMOSFETが導電状態にある間に、前記メモリセルを読み出すように構成されている、装置。
【請求項2】
前記メモリセルの前記選択によって引き起こされる前記pMOSFETの抵抗の低下は、前記nMOSFETが前記導電状態にあるときの前記nMOSFETの抵抗によって置き換えられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記メモリセルを読み出すために、前記制御回路は、前記pMOSFETが前記非導電状態にあり、かつ前記nMOSFETが前記導電状態にある間に、前記第1のトランジスタ対を介した前記第1の導電線上の電圧を検出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記メモリセルの前記選択の後、かつ前記メモリセルの前記読み出しの準備の際に、前記制御回路が、前記nMOSFETを前記非導電状態から前記導電状態に変更し、前記pMOSFETを前記導電状態から前記非導電状態に変更するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記メモリセルを読み出すために、前記制御回路は、
前記メモリセルの潜在的に破壊的な書き込みを実行する前に、前記pMOSFETが前記非伝導状態にあり、かつ前記nMOSFETが前記導電状態にある間に、前記第1のトランジスタ対を介した前記第1の導電線上の第1の電圧を検出することと、
前記メモリセルの前記潜在的に破壊的な書き込みを実行した後に、前記pMOSFETが前記非導電状態にあり、かつ前記nMOSFETが前記導電状態にある間に、前記第1のトランジスタ対を介した前記第1の導電線上の第2の電圧を検出することと、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧に基づいて、前記メモリセルのデータ状態を判定することと、を行うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電圧の前記検出の後、かつ前記メモリセルの前記潜在的に破壊的な書き込みの準備の際に、前記制御回路が、前記nMOSFETを前記導電状態から前記非導電状態に変更し、前記pMOSFETを前記非導電状態から前記導電状態に変更するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記メモリセルの前記潜在的に破壊的な書き込みの後、かつ前記第2の電圧の前記検出の準備の際に、前記制御回路が、前記nMOSFETを前記非導電状態から前記導電状態に変更し、前記pMOSFETを前記導電状態から前記非導電状態に変更するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記制御回路が、前記メモリセルの前記潜在的に破壊的な書き込み中に、前記pMOSFETを前記導電状態に維持し、前記nMOSFETを前記非導電状態に維持するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記第2の電圧が指定量を超えて前記第1の電圧を超えるときに、前記データ状態が低抵抗データ状態であると判定し、前記第2の電圧が指定量を超えて前記第1の電圧を超えないときに、前記データ状態が高抵抗データ状態であると判定するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記制御回路が、
前記第1の電圧を蓄えるように構成されている第1のコンデンサと、
オフセット電圧を蓄えるように構成されている第2のコンデンサと、
前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサを直列に接続するように構成されているスイッチと、
前記第2の電圧を、直列の前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサの両端電圧と比較するように構成されているコンパレータと、を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
nMOSFETと並列なpMOSFETを含み、前記第2の導電線を前記制御回路に接続するように構成されている第2のトランジスタ対であって、前記制御回路は、前記メモリセルを選択するために、前記第2のトランジスタ対の前記pMOSFETが前記非導電状態にある間に、前記第2のトランジスタ対の前記nMOSFETで前記第2の導電線の電圧をプルダウンするように構成されている、第2のトランジスタ対を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
方法であって、
高抵抗状態から低抵抗状態にメモリセルの閾値切替セレクタを切り替えることであって、第1の導電線が前記メモリセルの第1の端部に接続されており、第2の導電線が前記メモリセルの第2の端部に接続されており、nMOSFETと並列なpMOSFETを含む第1のトランジスタ対が、前記第1の導電線に接続されており、前記切り替えることは、前記nMOSFETを非導電状態に維持しながら、前記pMOSFETで前記第1の導電線の電圧を設定することを含む、切り替えることと、
前記閾値切替セレクタが前記低抵抗状態にあるときに、前記pMOSFETが非導電状態にあり、かつ前記nMOSFETが導電状態にある間に、前記第1のトランジスタ対を介した前記第1の導電線上の第1の電圧を感知することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の電圧の前記感知の後に、前記メモリセルが高抵抗状態にあることを確実にするために、前記メモリセルの潜在的に破壊的な書き込みを実行することと、
前記潜在的に破壊的な書き込みの前記実行の後、前記pMOSFETが前記非導電状態にあり、かつ前記nMOSFETが導電状態にある間に、前記第1のトランジスタ対を介した前記第1の導電線上の第2の電圧を感知することと、
前記第1の電圧を前記第2の電圧と比較することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電圧の前記感知の後に、前記メモリセルが高抵抗状態にあることを確実にするために、前記メモリセルの潜在的に破壊的な書き込みを実行することと、
前記潜在的に破壊的な書き込みの前記実行の後、前記pMOSFETが非導電状態にあり、かつ前記nMOSFETが導電状態にある間に、前記第1のトランジスタ対を介した前記第1の導電線上の第2の電圧を感知することと、
前記第1の電圧を前記第2の電圧の合計と比較することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の電圧の前記感知の後、かつ前記メモリセルの前記潜在的に破壊的な書き込みの前に、前記nMOSFETを前記導電状態から前記非導電状態に変更し、前記pMOSFETを前記非導電状態から前記導電状態に変更することと、
前記メモリセルの前記潜在的に破壊的な書き込みの後、かつ前記第2の電圧の前記感知の前に、前記nMOSFETを前記非導電状態から前記導電状態に変更し、前記pMOSFETを前記導電状態から前記非導電状態に変更することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
装置であって、
クロスポイントメモリアレイであって、前記クロスポイントメモリアレイが、メモリセルを含み、前記メモリセルが、閾値切り替えセレクタと直列なMRAMを含む、クロスポイントメモリアレイと、
メモリセルの第1の端部に接続されている第1の導電線と、
メモリセルの第2の端部に接続されている第2の導電線と、
nMOSFETと並列なpMOSFETを含み、前記第1の導電線に接続されている、第1のトランジスタ対と、
nMOSFETと並列なpMOSFETを含み、前記第2の導電線に接続されている、第2のトランジスタ対と、
制御回路であって、前記メモリセルを選択するために、前記制御回路が、前記第1のトランジスタ対の前記pMOSFETは介するが、前記nMOSFETは介さずに前記第1の導電線の電圧をプルアップし、前記第2のトランジスタ対の前記nMOSFETは介するが、前記pMOSFETは介さずに前記第2の導電線の電圧をプルダウンするように構成されており、前記メモリセルを読み出すために、前記制御回路が、一度目に前記第1のトランジスタ対の前記nMOSFETは介するが、前記pMOSFETは介さない前記第1の導電線の電圧を感知するように構成されている、制御回路と、を含む、装置。
【請求項17】
前記一度目に前記第1の導電線の電圧を感知するために、前記制御回路が、前記第2の導電線の電圧をプルダウンするように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記メモリセルを読み出すために、前記制御回路が、二度目に前記第1のトランジスタ対の前記nMOSFETは介するが、前記pMOSFETは介さない前記第1の導電線の前記電圧を感知し、前記一度目の後、かつ前記二度目の前に、前記メモリセルの潜在的に破壊的な書き込みを実行するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記メモリセルの前記潜在的に破壊的な書き込みを実行するために、前記制御回路が、前記第1のトランジスタ対の前記pMOSFETは介するが、前記nMOSFETは介さずに前記第1の導電線の電圧をプルアップするように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記メモリセルを読み出すために、前記制御回路は、前記潜在的に破壊的な書き込みにより、指定量を超えて前記第1の導電線の前記電圧が増加するかどうかを判定するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
メモリは、携帯電話、デジタルカメラ、個人情報端末、医療用電子機器、モバイルコンピューティングデバイス、非モバイルコンピューティングデバイス、及びデータサーバなどの様々な電子デバイスに広く使用されている。メモリは、不揮発性メモリ又は揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリにより、不揮発性メモリが電源に接続されていないときでも、情報を記憶及び保持することが可能になる。
【0002】
不揮発性メモリの一例として、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random access memory、MRAM)があり、これは、データを記憶するために電子電荷を使用するいくつかの他のメモリ技術とは対照的に、記憶されるデータを表すために磁化を使用する。一般に、MRAMは、半導体基板上に形成された多数のメモリセルを含み、そこでは、各メモリセルが、(少なくとも)1ビットのデータを表す。データのビットは、メモリセル内の磁気素子の磁化方向を変化させることによって、メモリセルに書き込まれ、ビットは、メモリセルの抵抗を測定することによって読み出される。低抵抗は、典型的には「0」ビットを表し、高抵抗は、典型的には「1」ビットを表す。
【図面の簡単な説明】
【0003】
同様に番号付けされた要素は、異なる図で共通の構成要素を指す。
【0004】
【
図1】ホストに接続されたメモリシステムの例示的な実装のブロック図である。
【0005】
【
図2】
図1のFEP回路110の例示的な実装のブロック図である。
【0006】
【
図3】
図1のBEP回路112の例示的な実装のブロック図である。
【0007】
【
図4】
図1のメモリパッケージ104の例示的な実装のブロック図である。
【0008】
【
図5A】本明細書で説明される技術を実装することができるメモリシステムの一例のブロック図である。
【0009】
【
図5B】
図5Aの行ドライバ524及び列ドライバ514のうちの例示的なドライバを示す。
【0010】
【
図5C】電流ドライバ575の例示的なブロック図を示す。
【0011】
【0012】
【
図6】本明細書で説明される技術を実装することができるメモリシステムの別の実施例のブロック図である。
【0013】
【
図7A】
図5A又は
図6のメモリアレイ502内の例示的なメモリセルの断面図を示す。
【0014】
【
図7B】
図7Aのメモリセルと一致する、メモリセルの例示的なクロスポイントメモリアレイ750の斜視図を示す。
【0015】
【
図8A】
図7Aの記憶素子710の例示的なI-Vプロットを示す。
【0016】
【
図8B】
図7Aのセレクタ702の例示的なI-Vプロットを示す。
【0017】
【
図8C】
図7Aのメモリセル700の例示的なI-Vプロットを示す。
【0018】
【
図9A】クロスポイントメモリアレイ750の第1のレベルと一致する例示的な回路を示す。
【0019】
【
図9B】
図9A、及び
図7Bのクロスポイントメモリアレイ750の第2のレベルと一致する例示的な回路を示す。
【0020】
【
図10A】選択されたワード線WL3_1上の電圧をプルアップするときに、pMOSFETがオンであり、nMOSFETがオフである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。
【0021】
【
図10B】選択されたワード線WL3_1上の電圧を感知するときに、pMOSFETがオフであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。
【0022】
【
図10C】選択されたワード線WL3_1上の電圧を感知するときに、pMOSFETがオンであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。
【0023】
【
図10D】選択されたビット線BL0上の電圧をプルアップするときに、pMOSFETがオフであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。
【0024】
【
図10E】選択されたビット線BL0が接地に設定される感知プロセス中に、pMOSFETがオフであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。
【0025】
【
図10F】選択されたビット線BL0が接地に設定される感知プロセス中に、pMOSFETがオンであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。
【0026】
【
図11A】
図7Aのメモリセル700などの選択されたメモリセルの書き込み動作を実行するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【0027】
【
図11B】
図7Aのメモリセル700などの選択されたメモリセルに対して単一電圧検出で読み出し動作を実行するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【0028】
【
図11C】
図7Aのメモリセル700などの選択されたメモリセルの二重電圧検出を用いて読み出し動作を実行するための例示的プロセスのフローチャートを示す。
【0029】
【0030】
【0031】
【
図12C】
図9Aと一致するトランジスタ対Wd3_1のpMOSFET及びnMOSFETの並列の例示的な抵抗を示す。
【0032】
【
図13A】
図11Aの書き込みプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
【0033】
【
図13B】
図13Aと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。
【0034】
【
図13C】
図11Bの読み出しプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
【0035】
【
図13D】
図13Cと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。
【0036】
【
図13E】
図11Cのステップ1100~1108のプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
【0037】
【
図13F】
図13Eと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。
【0038】
【
図13G】
図11Cのステップ1110の書き込みバックプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
【0039】
【
図13H】
図15Aと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
MRAMメモリセルを読み出すための装置及び技術を説明する。
【0041】
MRAMメモリセルは、異なる磁化状態に基づいて異なるデータ状態を有することができる磁気スイッチング材料を含み、各状態は異なる抵抗を有する。MRAMメモリセルは、約50ナノ秒印加された一方向の電流によって低抵抗状態(例えば、25kΩ)に書き込まれ、反対方向の電流によって高抵抗状態(例えば、50kΩ)に書き込まれる2端子デバイスとすることができ、その電流は、約50ナノ秒で低抵抗に書き込むために必要な電流を超えてもよい。例えば、限界寸法(CD)が20nmであり、メモリセルの抵抗領域(RA)プロダクトが10である場合には、20%などである。電流は、メモリセルの自由層における磁気変化を誘導する。
【0042】
更に、多くのメモリセルがクロスポイントメモリアレイ内に配置されるときに、各メモリセルは、オボニック閾値スイッチなどのセレクタと直列な記憶素子(例えば、磁気スイッチング材料を含む)を含むことができる。セレクタは、導電又は非導電状態にあることができる。特定のメモリセルを書き込む又は読み出すために、電圧及び/又は電流信号が、メモリセルと接触しているそれぞれのワード線及びビット線を介して印加されて、セレクタがその導電状態に設定する。これは、メモリセルの選択と呼ばれる。セレクタがその導電状態になると、それぞれのワード線及びビット線を介した書き込み又は読み出しのために、電圧及び/又は電流を記憶素子に印加することができる。例えば、「自己参照読み出し(SRR)」は、ある方向にビットを選択し、それを読み出してあるレベルを生成し、そのレベルを記憶し、その方向のビットを書き込み、それを読み出して調整された記憶レベルと比較することによって、AP(高抵抗状態)又はP(低抵抗状態)に、いずれかの方向で実行されてもよい。このような調整は、SRRがAP状態にある場合には、後で比較するための電圧の正の増加、又はSRRがP状態にある場合には後の比較のための電圧の負の減少であってもよい。
【0043】
書き込みの後、読み出し動作が実行されて、メモリセルのデータ状態を判定することができる。読み出し動作は、電流が印加されたときにメモリセルを横切る電圧を判定することを伴うことができる。読み出しのための1つの手法は、電圧を一度目に感知し、次いで、メモリセルが高抵抗状態にあることを確実にする潜在的に破壊的な書き込みを実行し、次いで、電圧を二度目に感知することを伴う。電圧が指定量を超えて増加する場合、メモリセルは最初に低抵抗状態にあり、書き込み動作によって高抵抗状態にプログラミングされたと結論付けることができる。この場合、書き込み動作は破壊的である。電圧が指定量を超えて増加しない場合、メモリセルは最初に高抵抗状態にあり、書き込み動作後に高抵抗状態に留まると結論付けることができる。この場合、書き込み動作は破壊的ではない。
【0044】
双方向の書き込み能力を提供するために、メモリセルに接続されたワード線及びビット線は両方とも、メモリセルに電圧及び/又は電流を通すためのMOSFETなどのトランジスタを含むことができる。MOSFET、又は金属酸化物-半導体電界効果トランジスタは、Vonと呼ばれる適切なゲート-ソース間電圧でバイアスされるときに、導電状態で提供される。しかしながら、Vonは、メモリセルがその抵抗状態を変化させるときに変化する可能性がある。これは、メモリセルの読み出しから生成される電圧の感知に影響を及ぼす。この読み出しは、デコードトランジスタと選択されたメモリビット(セル)との直列組み合わせの後の感知アンプ(感知回路)内へのデコードトランジスタを通ってグローバルノードへの経路で発生する可能性がある。
【0045】
本明細書で提供される技術は、上記及び他の問題に対処する。各ビット線及びワード線は、nMOSFET(nチャネルMOSFET)と並列なpMOSFET(pチャネルMOSFET)を含むトランジスタ対に接続されている。ビット線及びワード線は、導電線である。導電線は、各メモリセルの第1の端部(例えば、下部)に接続する第1の導電線と、各メモリセルの第2の端部(例えば、頂部)に接続する第2の導電線と、を含む。読み出しされるメモリセルを選択するときに、第1の導電線の電圧は、pMOSFETを使用して正電圧にプルアップ(増加)され得る一方、第2の導電線の電圧は、nMOSFETを使用して、例えば0Vまでプルダウン(減少)され得る。-この手法は、セレクタがオンにされている間にキャパシタンスを最小化する。セレクタのそのようなオンにすることは、セレクタの両端電圧がVth(セレクタ)、例えば2.2VからVhold(セレクタ)、例えば1.3Vにコラプスするため、記憶素子を通る過渡電流を誘導し、セレクタの両端電圧が減少するため、メモリビットを通る放電電流をもたらす。定常状態読み出し電流を上回るそのような電流は、ビットが書き込まれた後に得られた読み出しレベルと比較するために、レベルを記憶することができる前に、記憶素子の早期状態変化を誘発し得る。
【0046】
1つのオプションでは、選択されたメモリセルを読み出すときに、記憶素子と直列のビットセレクタを選択し、オンにするために使用されるpMOSFETに加えて、選択されたメモリビットのセレクタがオンになった後に、第1の導電線の並列nMOSFETがまた、それをオンにすることによって使用されてもよい。nMOSFETは、サイクルがアクティブ化されたときにホスト提供アドレス用いてビットを選択するデコードトランジスタを通過するグローバルノードにおけるメモリセルの両端電圧のより正確な感知を可能にするために、pMOSFETの抵抗の減少を相殺する抵抗を追加する。感知アンプ回路によって感知される電圧の振幅は、したがって、より良好に保存される。電圧が一度目及び二度目に感知される上記の読み出し動作のタイプでは、nMOSFETは、各時間に、pMOSFETと共にオンに(導電状態に設定)され得る。nMOSFETは、潜在的に破壊的な書き込み動作中にpMOSFETがオンにされている間に、オンのまま又はオフに(非導電状態に設定)され得る。そして、nMOSFETがオンにされ、その結果、潜在的に破壊的な書き込み後の読み出しは、書き込み前の読み出しと同じ条件を有し、結果レベルの比較を可能にして、記憶素子のビット状態が書き込み後に変化したかどうかを判定することができる。
【0047】
別の選択肢では、選択されたメモリセルを読み出すときに、pMOSFETはオフにされる一方、並列nMOSFETがオンにされる。これはトランジスタ対の総抵抗を増加させ、感知回路によって感知される電圧は、記憶素子が破壊的書き込み後に低抵抗状態から高抵抗状態(LRSからHRS)に変化する場合、増幅されるようにし、第2の読み出しはまた、nMOSFETのみがオンの状態でなされる。電圧が一度目及び二度目に感知される上記の読み出し動作のタイプ、例えば、SRRでは、nMOSFETは、各時間に、pMOSFETがオフされる一方で、オンにすることができる。nMOSFETは、潜在的に破壊的な書き込み動作中にpMOSFETがオンにされる一方で、オンのまま又はオフにすることができる。
【0048】
ビットの初期選択中にpMOSFETは用いるがnMOSFETは用いないことにより、キャパシタンスが低減され、メモリセルにわたる過剰電圧をより速く放電させることが可能になり、それにより、初期読み出し中に得られるビット誤り率(及び外乱)が低減る。
【0049】
一般に、書き込み動作及び読み出し動作の両方は、選択中対その後の読み出し及び画期込み動作中の導電状態の並列トランジスタ対の一方又は両方のトランジスタの選択によって、導電状態で最適化することができる。
【0050】
これらの利点及び他の利点は、以下に説明される。
【0051】
図1は、ホストに接続されたメモリシステムの例示的な実装のブロック図である。メモリシステム100は、本明細書で提案される技術を実装することができる。メモリシステムの例としては、ソリッドステートドライブ(「SSD」)、メモリカード、及び埋め込みメモリデバイスが挙げられる。他のタイプのメモリシステムも使用することができる。
【0052】
図1のメモリシステム100は、コントローラ102と、データを記憶するための1つ以上のメモリパッケージ104に配置された不揮発性メモリと、DRAM又はReRAMなどのローカルメモリ106と、を含む。コントローラ102は、フロントエンドプロセッサ(FEP)回路110と、1つ以上のバックエンドプロセッサ(BEP)回路112と、を含む。1つのアプローチでは、FEP回路110はASICで実装され、各BEP回路112は別個のASICで実装される。他のアプローチでは、統一コントローラASICは、フロントエンド機能及びバックエンド機能の両方を組み合わせることができる。ASICは、コントローラ102がシステムオンチップ(SoC)として製造されるように、同じ半導体上に実装することができる。FEP回路110及びBEP回路112は両方ともそれら自体のプロセッサを含むことができる。1つのアプローチでは、FEP回路110及びBEP回路112は、FEP回路110がマスターであり、各BEP回路112がスレーブであるマスタースレーブ構成で動作する。例えば、FEP回路110は、フラッシュ変換層(FTL)又は媒体管理層(MML)を実装することができる。
図2も参照されたい。BEP回路112は、FEP回路110の要求でメモリパッケージ/ダイ内のメモリ動作を管理する。例えば、BEP回路112は、読み出し、消去、及びプログラミングプロセスを実行することができる。加えて、BEP回路112は、バッファ管理を実行し、FEP回路110によって要求される特定の電圧レベルを設定し、エラー訂正(ECC)を実行し、メモリパッケージへのトグルモードインターフェースを制御することができる。各BEP回路112は、それ自体のメモリパッケージのセットを担当することができる。代替的には、インターフェースは、DDR5又はLPDDR5などのJEDEC業界標準DDR又はLPDDRであってもよい。
【0053】
メモリパッケージ104は、1つ以上のメモリダイを含むことができる。したがって、コントローラ102は、1つ以上の不揮発性メモリダイに接続されている。1つのアプローチでは、メモリパッケージ104内の各メモリダイは、抵抗性ランダムアクセスメモリ(ReRAM、MRAM若しくはFeRAM又は相変化メモリ(PCM)など)に基づいてストレージクラスメモリ(SCM)を利用する。
【0054】
コントローラ102は、インターフェース130を介してホスト120と通信する。インターフェースは、PCIエクスプレス(PCIe)を介したNVMエクスプレス(NVMe)又はDDR5若しくはLPDDR5などのプロトコルを実装することができる。メモリシステム100を用いて動作するために、ホスト120は、バス128に沿って接続されたホストプロセッサ122、ホストメモリ124、及びPCIeインターフェース126を含む。ホストメモリ124は、DRAM、SRAM、不揮発性メモリ、又は別のタイプの記憶装置などの物理メモリである。ホスト120は、この例ではメモリシステム100の外部にあり、これとは別個である。別のアプローチでは、メモリシステム100はホスト120に埋め込まれる。
【0055】
図2は、
図1のFEP回路110の例示的な実装のブロック図である。PCIeインターフェース150は、ホスト120(
図1)及びホストプロセッサ152と通信する。ホストインターフェース152は、ネットワークオンチップ(NOC)154に接続されている。NOCは、典型的にはSoC内のコア間の集積回路上の通信サブシステムである。NOCは、同期及び非同期クロックドメインにまたがるか、又は非クロック型の非同期論理を使用することができる。NOC技術は、ネットワーキング理論及び方法をオンチップ通信に適用する。NOC154は、メモリプロセッサ156、SRAM160、及びDRAMコントローラ162と通信する。DRAMコントローラ162は、DRAM106などのローカルメモリ106を動作させ、これと通信するために使用される。SRAM160は、メモリプロセッサ156によって使用されるローカルRAMメモリである。メモリプロセッサ156は、FEP回路を走らせ、様々なメモリ動作を実行するために使用される。NOCはまた、2つのPCIeインターフェース164及び166と通信する。
図1では、SSDコントローラは2つのBEP回路112を含み、したがって、2つのPCIeインターフェース164及び166が存在する。各PCIeインターフェースは、BEP回路112のうちの1つと通信する。BEP回路112及びPCIeインターフェースの数は変動することができる。
【0056】
FEP回路110は、フラッシュ変換層(FTL)、又はより一般的には、メモリ管理(例えば、ガベージコレクション、ウェアレベリング、及び負荷バランシング)、論理-物理アドレス変換、ホストとの通信、DRAM(ローカル揮発性メモリ)の管理、及びSSD又は他の不揮発性記憶システムの全体動作の管理を実行する媒体管理層(MML)158を含むことができる。MML158は、メモリエラーを処理することができ、ホストとのインターフェースをとるメモリ管理の一部として、統合され得る。特に、MMLは、FEP回路110内のモジュールであってもよく、ホストからの書き込みを、ダイのメモリ構造(
図5及び
図6Aのメモリアレイ502など)それぞれ変換するメモリデバイスのファームウェア内にアルゴリズムを含んでもよい。MML158は、1)メモリの耐久性が制限されている場合があること、2)メモリ構造がページの倍数単位でのみ書き込むことができること、及び/又は3)メモリ構造はブロックとして消去されない限り書き込むことができないことを理由に必要とされ得る。MML158は、ホストに可視でないことがあるメモリ構造のこれらの潜在的制限を理解する。したがって、MML158は、ホストからの書き込みをメモリ構造内への書き込みに変換しようと試みる。
【0057】
図3は、
図1のBEP回路112の例示的な実装のブロック図である。いくつかのアプローチでは、BEP回路はコントローラの一部である。BEP回路は、FEP回路110と通信する(例えば、
図2のPCIeインターフェース164及び166のうちの1つと通信する)ためのPCIeインターフェース200を含む。PCIeインターフェース200は、2つのNOC202及び204.と通信する。1つのアプローチでは、2つのNOCが組み合わされる。NOC202及び204は、それぞれSRAM230及び260に接続され、それぞれバッファ232及び262に接続され、それぞれプロセッサ220及び250に接続され、それぞれXORエンジン224及び254と、それぞれ(エラー訂正を実行するために使用される)ECCエンジン226及び256を介して、それぞれデータ経路コントローラ222及び252に接続されている。XORエンジンにより、データを組み合わせ、プログラミングエラーがある場合に回復を可能にする方式で記憶することができる。
【0058】
データ経路コントローラ222及び252は、各々が、この例では4つのチャネルを介して、メモリパッケージと通信するインターフェースモジュール228及び258にそれぞれ接続されている。したがって、NOC202及び204は各々、メモリパッケージと通信するための4つのチャネルを有する。各インターフェース228/258は、4つのトグルモードインターフェース(TMインターフェース)、4つのバッファ、及び4つのスケジューラを含む。チャネルの各々に対して、1つのスケジューラ、バッファ、及びTMインターフェースが存在する。データ経路コントローラ222及び252は、プロセッサ、FPGA、マイクロプロセッサ、又は他のタイプのコントローラを含むことができる。XORエンジン224及び254並びにECCエンジン226及び256は、ハードウェアアクセラレータなどの専用ハードウェア回路とすることができる。他のアプローチでは、XORエンジン224及び254並びにECCエンジン226及び256は、ソフトウェアで実装することができる。スケジューラ、バッファ、及びTMインターフェースは、ハードウェア回路とすることができる。
【0059】
図4は、
図1のメモリパッケージ104の例示的な実装のブロック図である。メモリパッケージは、データ線及びチップイネーブル線を含むメモリバス294に接続された複数のメモリダイ292を含む。メモリバス294は、BEP回路112のTMインターフェースと通信するためのトグルモードインターフェース296に接続する(例えば、
図3を参照)。メモリパッケージは、メモリバス及びTMインターフェースに接続された小型コントローラを含むことができ、1つ以上のメモリダイを有することができる。1つのアプローチでは、各メモリパッケージは、8つ又は16個のメモリダイを含むが、ダイの数は変動することができる。代替的には、このようなコントローラ、ECC、及びウェアレベリング機能は、ECC及びウェアレベリングを有する「オンチップ」コントローラとして、各メモリチップ内に実装することができる。
【0060】
図5Aは、本明細書で説明される技術を実装することができるメモリシステムの一例のブロック図である。メモリシステム500は、メモリセルのメモリアレイ502を含む。例えば、メモリセルは、クロスポイントアレイで行及び列に配置することができ、ワード線などの導電線は行方向に延在し、ビット線は列方向に延在する。例えば、
図7Bを参照のこと。メモリシステム500は、行制御回路520を含み、その出力508は、メモリアレイ502のそれぞれのワード線に接続されている。行制御回路520は、システム制御論理回路560から、M行のアドレス信号のグループ及び様々な制御信号を受信する。行制御回路は、行デコーダ522、行ドライバ524及びブロック選択回路526のような回路を、読み出し及び書き込み動作の両方のために含んでもよい。メモリシステム500はまた、列制御回路510も含み、その入力/出力506は、メモリアレイ502のそれぞれのビット線に接続されている。列制御回路510は、システム制御論理回路560からN列のアドレス信号のグループ及び様々な制御信号を受信する。列制御回路は、列デコーダ512、列ドライバ514、ブロック選択回路516、並びに読み出し/書き込み回路、及びI/Oマルチプレクサなどの回路を含んでもよい。
図5Bも参照のこと。
【0061】
システム制御論理回路560は、ホストからデータ及び命令を受信し、ホストに出力データ及びステータスを提供する。他のアプローチでは、システム制御論理560は、コントローラ回路がホストと通信している状態で、別個のコントローラ回路からデータ及び命令を受信し、そのコントローラ回路に出力データを提供する。システム制御論理回路560は、メモリ動作のダイレベル制御を提供する状態マシン561を含むことができる。1つのアプローチでは、状態マシンはソフトウェアによってプログラム可能である。他のアプローチでは、状態マシンは、ソフトウェアを使用せず、ハードウェア(例えば電気回路)内に完全に実装される。別のアプローチでは、状態マシンはマイクロコントローラによって置き換えられる。システム制御論理回路560はまた、メモリ動作中にメモリアレイ502の行及び列に供給される電力及び電圧を制御する電力制御回路562を含むことができる。システム制御論理560は、1つ以上の状態マシン、レジスタ563、及びメモリシステム500の動作を制御するための他の制御論理を含んでもよい。システム制御論理回路560はまた、感知増幅器などの感知回路564を含むことができる。感知回路は、本明細書で説明されるように、メモリセルのデータ状態を判定するために、読み出し動作において使用することができる。例えば、
図12Bを参照のこと。
【0062】
いくつかのアプローチでは、システム制御論理回路560を含むメモリシステム500の要素の全ては、単一ダイの一部として形成することができる。他のアプローチでは、システム制御論理回路560の一部又は全ては、異なるダイ上に形成することができる。
【0063】
本文書の目的のために、語句「制御回路」、「1つ以上の制御回路」などは、行制御回路520、列制御回路510、コントローラ、状態マシン、マイクロコントローラ、及び/又はシステム制御論理回路560、又は不揮発性メモリを制御するために使用される他の類似回路によって表されるような他の制御回路を含むことができる。
【0064】
メモリアレイ502は、例えば、単一レベルのクロスポイントアレイ又は複数のレベルのクロスポイントアレイ(
図7B)を含むことができる。メモリ構造は、ウェハなどの単一の基板の上方に形成することができる。
【0065】
1つのアプローチでは、メモリアレイ502は、ウェハなどの単一の基板の上方に複数のメモリレベルが形成される不揮発性メモリセルの3次元メモリアレイを含む。メモリ構造は、シリコン(又は他のタイプの)基板の上方に配された活性領域を有するメモリセルの1つ以上の物理レベルに、モノリシックに形成される任意のタイプの不揮発性メモリを含み得る。一実施例では、不揮発性メモリセルは、電荷トラップ層を有する垂直NANDストリングを含む。
【0066】
別のアプローチでは、メモリアレイ502は、不揮発性メモリセルの2次元メモリアレイを含む。一実施例では、不揮発性メモリセルは、浮遊ゲートを利用するNANDフラッシュメモリセルである。他の種類のメモリセル(例えば、NOR型フラッシュメモリ)も使用することができる。
【0067】
メモリ構造502に含まれるメモリアレイアーキテクチャ又はメモリセルの正確なタイプは、上記の実施例に限定されない。多くの異なるタイプのメモリアレイアーキテクチャ又はメモリ技術を使用して、メモリ構造を形成することができる。メモリアレイ502のメモリセルに適した技術の他の例としては、ReRAMメモリ(抵抗性ランダムアクセスメモリ)、磁気抵抗メモリ(例えば、MRAM、スピントランスファートルクMRAM、スピン軌道トルクMRAM)、FeRAM、相変化メモリ(例えば、PCM)などが挙げられる。メモリアレイ502のメモリセルアーキテクチャに適した技術の例としては、2次元アレイ、3次元アレイ、クロスポイントアレイ、積層型2次元アレイ、垂直ビット線アレイなどが挙げられる。
【0068】
ReRAMクロスポイントメモリの一例としては、X線及びY線(それぞれ、例えば、ワード線及びビット線)によってアクセスされるクロスポイントアレイに配置された可逆抵抗スイッチング素子が挙げられる。別のアプローチでは、メモリセルは、導電性ブリッジメモリ素子を含んでもよい。導電性ブリッジメモリ素子はまた、プログラム可能なメタライゼーションセルと呼ばれ得る。導電性ブリッジメモリセルは、固体電解質内のイオンの物理的再配置に基づく状態変化素子として使用され得る。場合によっては、導電性ブリッジメモリセルは、2つの電極間に固体電解質薄膜を有する、2つの固体金属電極を含んでもよく、一方は、比較的不活性であり(例えば、タングステン)、他方は、他の電気化学的に活性である(例えば、銀又は銅)。温度が上昇すると、イオンの移動度も増加し、導電性ブリッジメモリセルのプログラミング閾値が低下する。したがって、導電性ブリッジメモリセルは、温度に対して広範囲のプログラミング閾値を有し得る。
【0069】
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、磁気記憶素子を用いてデータを記憶する。素子は、各々が薄い絶縁層によって分離された磁化を保持することができる、2つの強磁性プレートから形成される。
図7Aも参照のこと。2つのプレートのうちの一方(基準層)は、特定の極性に設定された永久磁石であり、他方のプレート(自由層)は、メモリを記憶するために外部フィールドのものと一致するように変更することができる磁化を有する。メモリデバイスは、このようなメモリセルのグリッドから構築される。プログラミングのための1つのアプローチでは、互いに直角で、セルに平行で、セルの上方に1つ、下方に1つで配置された一対の導電線の間に各メモリセルがある。電流が導電線を通過するときに、誘導磁場が生成される。MRAMベースのメモリアプローチは、以下でより詳細に論じられる。
【0070】
位相変化メモリ(Phase change memory、PCM)は、カルコゲナイドガラス特有の挙動を利用する。1つのアプローチは、単にレーザパルス(又は別の光源からの光パルス)でゲルマニウム原子の調整状態を変化させることによって、非熱位相変化を達成するために、GeTe-Sb2Te3超格子を使用する。したがって、プログラミングの線量はレーザパルスである。メモリセルは、メモリセルが光を受信することをブロックすることによって抑制され得る。他のPCMアプローチでは、メモリセルは、電流パルスによってプログラムされる。この文書では「パルス」の使用にはスクエアパルスを必要としないが、(連続的又は非連続的な)音の振動若しくはバースト、電流、電圧、光、又は他の波を含む。
【0071】
本明細書で説明される技術は、単一の特定のメモリ構造、メモリ構成、又は材料組成に限定されるものではなく、本明細書で説明され、当業者に理解されるような技術の精神及び範囲内の多くの関連するメモリ構造を網羅する。
【0072】
図5Aの素子は、メモリアレイ502及び他の要素の全てを含む周辺回路の2つの部分にグループ化することができる。メモリ回路の重要な特性は、メモリアレイ502.に割り当てられるメモリシステム500のメモリダイの面積を増加させることによって増大させることができるそのキャパシティである。しかしながら、これにより、周辺回路に利用可能なメモリダイの面積が減少する。更に、オンチップで提供され得るシステム制御論理回路560の機能が制限される。したがって、メモリシステム500のためのメモリダイの設計における基本的なトレードオフは、メモリアレイ502に充てられる面積の量と周辺回路に充てられる面積の量である。
【0073】
加えて、メモリアレイ502及び周辺回路は、NMOS、PMOS、及びCMOSなどの異なる製造技術を使用してもよい。
【0074】
これらの問題に対処するために、以下で説明されるアプローチは、
図5Aの要素を別個に形成されたダイ上に分離することができ、それらのダイは、その後、一緒に接合される。具体的には、メモリアレイ502は、1つのダイ上に形成することができ、1つ以上の制御回路を含む周辺回路素子の一部又は全てを、別個のダイ上に形成することができる。例えば、メモリダイは、フラッシュNANDメモリ、MRAMメモリ、PCMメモリ、ReRAMメモリ、又は他のメモリタイプのメモリセルのアレイなどのメモリセルのみから形成することができる。次いで、デコーダ及び感知増幅器などの素子を含む周辺回路の一部又は全てを、別個のダイに移動させることができる。これにより、メモリダイの各々は、その技術に従って個別に最適化されることができる。例えば、NANDメモリダイは、CMOS処理のために最適化することができる別個の周辺回路ダイ上に移動された、CMOS素子について心配することなく、NMOSベースのメモリアレイ構造のために最適化することができる。これにより、周辺要素のためのより多くの空間が可能になり、これは、容易に組み込まれない可能性がある追加の能力を組み込むことができ、それらは、メモリセルアレイを保持する同じダイのマージンに制限されている。次いで、2つのダイは、接合されたマルチダイメモリ回路内で一緒に結合することができ、一方のダイ上のアレイは、他方のダイ上の周辺素子に接続されている。
図6を参照のこと。
【0075】
図5Bは、
図5Aの行ドライバ524及び列ドライバ514のうちの例示的なドライバを示す。ドライバは、ワード線及びビット線などの導電線上に電圧及び電流を生成及び調整するためのチャージポンプ及びレギュレータ回路を含むことができる。ドライバは、ワード線(WL)ドライバ524a、WL nMOSFETトランジスタドライバ524b、WL pMOSFETトランジスタドライバ524c、及びWL分離トランジスタドライバ524dを含む。電圧ドライバは、ビット線(BL)ドライバ513G、BL nMOSFETトランジスタドライバ513H、BL pMOSFETトランジスタドライバ514c、及びBL分離トランジスタドライバ514dを更に含む。WLドライバ及びBLドライバは、電圧及び/又は電流ドライバとすることができる。例えば、
図5Cのドライバ575を参照のこと。
【0076】
図5Cは、電流ドライバ575の例示的なブロック図を示す。電流ドライバは、例えば、
図5Aの行制御回路520及び/又は列制御回路510の一部として提供することができ、異なる方法で実装することができる。電流ドライバは、メモリセルにデータを書き込むこと、メモリセルを選択すること、及びメモリセルの潜在的に破壊的な書き込みを実行することを含むタスクを実行するために、所望の電流及び/又は電圧を設定するために使用される書き込み電流ソースとすることができる。
【0077】
例示的な電流ドライバは、Texas Instruments,Inc.のモデルDAC7811に基づくものであり、12ビット、シリアル入力、マルチプライデジタルアナログ変換器を含む。電流ドライバは、デジタル入力に基づいて、固定又は変動する電流を出力する。電流ドライバは、12ビットR-2R DAC570、DACレジスタ571、入力ラッチ572、制御論理及び入力シフトレジスタ574、及びパワーオンリセット回路573を含む。
【0078】
制御論理及び入力シフトレジスタへの入力は、NOT(SYNC)、SCLK、及びSDINを含む。NOT(SYNC)は、アクティブ低制御入力である。これは、入力データに対するフレーム同期信号である。SYNCが低くなると、それは、SCLK及びSDINのバッファに電力を供給し、入力シフトレジスタが有効になる。データは、以下のクロックのアクティブエッジ上のシフトレジスタにロードされる。シリアルインターフェースは、クロックをカウントし、データは、16番目のアクティブクロックエッジ上のシフトレジスタにラッチされる。SCLKは、シリアルクロック入力である。デフォルトでは、データは、シリアルクロック入力の立ち下がりエッジ上の入力シフトレジスタにクロックされる。SDINは、シリアルデータ入力である。データは、シリアルクロック入力のアクティブエッジ上の16ビット入力レジスタにクロックされる。パワーオンリセットで電源投入すると、データは、SCLKの立ち下がりエッジ上のシフトレジスタにクロックされる。SDOは、複数のデバイスを連鎖させるためのような、制御論理及び入力シフトレジスタのシリアルデータ出力である。
【0079】
DAC570の出力は、RFB、IOUT1、及びIOUT2を含む。RFBは、DACのためのフィードバック抵抗器である。IOUT1は、DACの電流出力である。VOUTは、電流ソースの出力電圧である。IOUT2は、DACのアナログ接地である。例示的な電流及び電圧出力は、
図13E~13Hに提供される。
【0080】
図5Dは、
図5CのDAC回路570の実施例を示す。回路は、12個のデータビット、DB0~DB11に基づいてデジタル制御され、DB0は、少なくとも最下位ビット(LSB)であり、DB11は、最上位ビット(MSB)である。回路は、直列に配置された抵抗Rの抵抗器581のセットと、ラダーの異なる脚部に並列に配置された抵抗2Rの抵抗器582のセットとを含む。加えて、各2R抵抗器は、それぞれのデータビットの値に基づいて、抵抗器を出力経路IOUT1又はIOUT2に接続することができるスイッチ583のセット内のスイッチに接続されている。回路は、異なる脚部に電流を生成するために使用され、DACフルスケール電流を決定する基準電圧Vrefを受信する。データビットに基づいて、対応する電流が出力として提供される。
【0081】
図6は、本明細書で説明される技術を実装することができるメモリシステムの別の実施例のブロック図である。これは、
図5Aの配置の代替であり、例えば、メモリシステム600内に接合されたダイペアを提供するためにウェハ-ウェハ接合を使用して実装されてもよい。制御ダイ611及び別個のメモリダイ601が結合されている。制御ダイは、システム制御論理回路560、行制御回路520、及び列制御回路510を含む周辺回路を含む。コントローラ102からの機能などの追加の要素もまた、制御ダイ611内に移動させることができる。
【0082】
列制御回路510は、貫通導電経路上のメモリアレイ502に結合されている。導電経路は、列デコーダ512、列ドライバ514、及びブロック選択回路516とメモリアレイ502のビット線との間に電気接続を提供してもよい。導電経路は、制御ダイ611内の列制御回路510から制御ダイ611上のパッドを通って延在してもよい。これらのパッドは、メモリダイ601の対応するパッドに接合しており、メモリダイ601の対応するパッドは、メモリアレイ502のビット線に接続されている。メモリアレイ502の各ビット線は、列制御回路510に接続する対応する導電経路を有してもよい。同様に、行制御回路520は、導電経路を通ってメモリアレイ502に結合することができる。導電経路の各々は、ワード線、ダミーワード線、又は選択ゲート線に対応してもよい。制御ダイ611とメモリダイ601との間に追加の電気経路が設けられてもよい。
【0083】
システム制御論理回路560、列制御回路510、行制御回路520及び/又はコントローラ102(又は同等の機能回路)は、
図5に示される他の回路の全て又はサブセットと組み合わせて、又は
図6における制御ダイ611及び
図5の同様の要素は、本明細書で説明される機能を実行する1つ以上の制御回路の一部とみなすことができる。制御回路は、ハードウェアのみ、又はハードウェアとソフトウェア(ファームウェアを含む)との組み合わせを含むことができる。例えば、本明細書に記載する機能を実施するためにファームウェアによってプログラムされたコントローラは、制御回路の一例である。制御回路は、プロセッサ、FGA、ASIC、集積回路、又は他のタイプの回路を含むことができる。
【0084】
以下の考察では、メモリアレイ502は、主にクロスポイントアーキテクチャの文脈で議論されるが、より多くの議論をより一般的に適用することができる。クロスポイントアーキテクチャでは、下にある基板に対して第1の方向に走る、ワード線などの導電線又はワイヤの第1のセットと、下にある基板に対して第2の方向に走る、ビット線などの導電線又はワイヤの第2のセットと、を含む。メモリセルは、ワード線とビット線との交点に位置する。これらのクロスポイントにおけるメモリセルは、上述のものを含む多数の技術のいずれかに従って形成することができる。以下の考察は、MRAMメモリセルを使用したクロスポイントアーキテクチャに基づくアプローチに主に焦点を合わせる。
【0085】
図7Aは、
図5A又は
図6のメモリアレイ502内の例示的なメモリセルの断面図を示す。メモリセル700は、セレクタ702と直列な記憶素子710を含む。メモリアレイは、多数のメモリセルから構成することができる。例示的なメモリセル700は、チタン(Ti)又は窒化チタン(TiN)などの金属で形成された下部電極701及び上部電極706を含む。記憶素子は、この例ではMRAMであり、基準層703、トンネルバリア704、及び自由層705を含む。基準層は、例えば、Ta、W、Ru、CN、TiN、及びTaN.などの導電性金属を含む導電性スペーサと結合されたCoFeB及びCoPtの二重層などの強磁性金属を含んでもよい。自由層は、1~2nmオーダーの厚さを有するCoFe又はCoFeB合金などの強磁性金属を含んでもよい。Ir層は、自由層とトンネルバリアとの間に設けることができ、Ta、W、又はMoでドープすることができる。トンネルバリアは、例えば、MgO又は他の絶縁材料を含んでもよい。自由層の異方性を高めるために、MgOなどのキャップ層を自由層の上方に設けることができる。記憶素子の抵抗は、その磁化に基づいて変化する。
【0086】
上部導電線が、メモリセルの上端部731に接続されている一方、下部導電線が、メモリセルの下端部721に接続されている。一方の端部は第1の端部であり、他方の端部は第2の端部である。導電線の一方はワード線であり、他方はビット線である。
【0087】
セレクタは、上方、下方、又は側方など、記憶素子に対して任意の位置にあることができる。セレクタは、この例では記憶素子の下方にある。
【0088】
メモリセルはバイポーラ(双方向)であってもよく、これは、1つの極性の電圧がその端子の両端に印加されて高抵抗状態(HRS)に書き込み(プログラムする)、反対の極性の電圧がその端子の両端に印加されて低抵抗状態(LRS)に書き込む。例えば、
図8Cを参照のこと。したがって、記憶素子は、2つ以上の状態の間で可逆的に切り替えられてもよい。ある抵抗状態はバイナリ「0」を表してもよく、同時に別の抵抗状態はバイナリ「1」を表してもよい。しかしながら、2つを超えるデータ/抵抗状態が、相変化メモリなどのいくつかのタイプの記憶素子技術に使用されてもよく、これらの全ては、説明される手段によって有益に選択され、感知されてもよい。
【0089】
セレクタは、例えば、オボニック閾値スイッチング材料を含むことができる。実施例としては、Ge-Se、Ge-Se-N、Ge-Se-As、Ge-Se-Sb-N、Ge58Se42、GeTe6、Si-Te、Zn-Te、C-Te、B-Te、Ge-As-Te-Si-N、Ge-As-Se-Te-Si及びGe-Se-As-Teが挙げられる。
【0090】
セレクタは、記憶素子へのアクセスを制御する。具体的には、電圧又は電流を記憶素子に印加してその抵抗状態を変化させるために、対応するセレクタは、最初に、十分に高い電圧、例えば、閾値電圧よりも高い大きさの電圧を印加することによって非導電状態から導電状態に切り替えられなければならない。
図8Bも参照のこと。
【0091】
メモリセルの状態は、基準層及び自由層の磁化の相対的な配向に基づく。2つの層が反対方向に磁化される場合、メモリセルは、反平行(AP)、高抵抗状態(HRS)である。2つの層が同じ方向に磁化される場合、メモリセルは、並列(P)、低抵抗状態(LRS)である。
【0092】
磁化方向は、基準層対して固定され、自由層に対して変化することができる。データは、基準層と同じ向き又は反対の向きを有するように自由層をプログラミングすることによってMRAMメモリセルに書き込まれる。1つのアプローチでは、
図7BのようなMRAMメモリセルのアレイは、全てのメモリセルをLRSに設定することによって初期状態にされる。次いで、選択されたメモリセルは、磁界を基準層の反対側に反転させることによって、その自由層をHRSに配置することによってプログラムすることができる。基準層は、自由層をプログラミングするときにその配向を維持する。
【0093】
MRAMに記憶されたデータ状態を感知(読み出し)するために、電圧がメモリセルの両端に印加されて、その抵抗状態を決定する。電圧又は電流は、メモリセルの両端のいずれかの方向に印加され得る。1つのアプローチでは、電圧は電流を駆動することによって印加される。例えば、
図13E及び
図13Fを参照のこと。
【0094】
MRAMの1つのタイプは、垂直なスピントランスファートルク(STT)MRAMであり、自由層は、自由層の平面に垂直な切換可能な磁化方向を含む。STTは、磁気トンネル接合内の磁気層の配向が、スピン偏極電流を使用して修正され得る効果である。電荷キャリア(電子など)は、キャリアに固有のわずかな量の角運動量であるスピンとして知られる特性を有する。電流は、一般に、非偏極である(例えば、50%のスピン上向き電子及び50%のスピン下向き電子からなる)。スピン偏極電流は、どちらかのスピンの電子がより多い電流である(例えば、過半量のスピン上向き電子、又は過半量のスピン下向き電子)。書き込み動作では、電流を基準層を通過させることによって、スピン分極電流を生成することができる。このスピン分極電流が自由層に向けられる場合、角度運動量を自由層に伝達し、磁化の方向を変更することができる。
【0095】
抗平行対平行(AP2P)書き込みの場合、矢印741は、電子書き込み電流、例えば、電子(e-)移動の方向を表し、矢印742は、電流の流れの方向(I)を表す。例えば、
図7Aの上向き矢印741の方向に電子書き込み電流を発生させるために、上部導電線730の電圧は、電子の負電荷により、下部導電線730の電圧よりも高く設定される(+V)。電子書き込み電流中の電子は、基準層703を通過する際にスピン分極される。スピン分極された電子がトンネルバリア704を横切ってトンネリングすると、角度運動量の保存により、自由層705及び基準層703の両方にスピントランスファートルクを付与が持たされ得る。このトルクは、基準層の磁化方向に影響を及ぼすのには不十分であるが、自由層の初期磁化配向が基準層に対して反平行(AP)である場合、自由層における磁化配向を基準層の磁化配向と平行(P)にするには十分である。次いで、平行である磁化は、このような電子書き込み電流がオフになる前後では、安定したままの状態である。
【0096】
平行対抗平行(P2AP)書き込みの場合、矢印743は、電子書き込み電流、例えば、電子(e-)移動の方向を表し、矢印744は、電流の流れの方向(I)を表す。自由層及び基準層磁化が最初に平行である場合、自由層の磁化方向は、例えば、上記のケースと反対方向、例えば
図7Aの下向き矢印743の方向に電子書き込み電流を印加することによって、自由層の磁化方向を基準層の磁化方向と逆にすることができる。この場合、下部導電線上に高電圧(+V)を配置することにより、上部導電線730から下部導電線720に電子書き込み電流が印加される。これは、P状態の自由層をAP状態に書き込む。したがって、自由層の磁化は、電子書き込み電流の方向に基づいて2つの安定した配向のいずれかに設定することができる。
【0097】
メモリセル内のデータ(「0」又は「1」)は、その抵抗を測定することによって読み出すことができる。LRSがビット「0」を表すことができる一方で、HRSがビット「1」を表す。読み出し動作では、上部導電線から下部導電線に、例えば、AP2P方向に、又は下部導電線から上部導電線に、例えば、P2AP方向に電子読み出し電流を印加することによって、メモリセルの両端に読み出し電流を印加することができる。読み出し動作では、電子書き込み電流が高すぎる場合、これは、メモリセルに記憶されたデータを中断し、その状態を変更することができる。例えば、電子読み出し電流がP2AP方向を使用する場合、P2AP方向における過度に高い電流又は電圧は、READの開始時に初期ビット状態を表すレベルを記憶することを意図した初期読み出し中に、低抵抗P状態のメモリセルを高抵抗AP状態に切り替えることができる。P2APを書き込むためにより多くの電流を要するため、MRAMメモリセルはいずれの方向にも読み取られ得るが、書き込み動作の方向性質は、ビット誤り率低減をする(中断)ために、一方の方向、すなわちP2AP方向を他方よりも好ましいものとしてもよい。
【0098】
メモリアレイ内の選択されたメモリセルを読み出す又は書き込むために、選択されたメモリセルに対応するビット線及びワード線はバイアスされて、選択されたメモリセルの両端に電圧を配置し、電子の流れを誘導する。これはまた、ビット線及びワード線に接続されたアレイの選択されていないメモリセルの両端に電圧を印加し、電流漏れ及び浪費電力消費をもたらす。電流漏れを低減するための1つのアプローチは、各MRAMと直列にセレクタ素子を配置することである。例えば、閾値スイッチングセレクタは、その閾値電圧よりも低い電圧にバイアスされるときに、高抵抗を有し(オフ又は非導電状態にある)、その閾値電圧よりも高い電圧にバイアスされた後に、低抵抗を有する(オン又は導電状態にある)。閾値スイッチングセレクタは、その電流が保持電流未満に低下させられるか、又は電圧が保持電圧未満に低下させられるまで、オンのままである。
図8Bを参照のこと。これが発生すると、閾値切替セレクタは、閾値電圧よりも大きい電圧が再び印加される(又は閾値電流よりも大きい電流が印加される)まで、オフ状態に戻る。したがって、クロスポイントにおいてメモリセルをプログラミングするために、関連する閾値スイッチングセレクタをオンにし、かつメモリセルを書き込むのに十分な電圧及び/又は電流が印加される。メモリセルを読み出すために、閾値切替セレクタは、メモリセルの抵抗状態が判定され得る前に、同様にオンにされなければならない。1つのアプローチでは、抵抗状態は、読み出し電流、Ireadを印加し、メモリセル(記憶素子及び直列接続セレクタを含む)とビット線及びワード線上の直列選択トランジスタ(グローバル選択ノードを感知増幅器内に含む)の両端の得られた電圧を検出することによって判定される。例えば、電圧は、本明細書で説明されるように、潜在的に破壊的な書き込み動作の前後に検出することができる。
【0099】
MRAM記憶素子710は、閾値切替セレクタがオンにされたときに説明されるように動作するが、閾値切替セレクタの両端に電圧降下が存在する。閾値切替セレクタがその閾値電圧を上回る電圧を印加することによってオンにされた後、バイアス電流又は電圧は、後続の読み出し又は書き込み動作中にセレクタがオンのままとなるように、閾値切替セレクタの保持電流又は保持電圧よりも十分高くあるべきである。
図8A~
図8Cも参照のこと。
【0100】
図7Bは、
図7Aのメモリセルと一致する、メモリセルの例示的なクロスポイントメモリアレイ750の斜視図を示す。メモリアレイは、1つ以上のレベルのメモリセルを含むことができる。この例は、2つのレベル、すなわち第1のレベルL1及び第2のレベルL2.を含む。3つ以上のレベルが使用されてもよい。この簡略化された実施例では、L1上に4本のワード線WL0_1-WL3_1、L1及びL2のための4本のビット線BL0~BL3上、及びL2上に4本のワード線WL0_2-WL3_2が存在する。したがって、ビット線は、2つの隣接するレベルによって共有される。メモリセルの行は、各ワード線に関連付けられ、2列のメモリセル(2つのレベルの各々の1つの列)は、各ビット線に関連付けられている。
図9A及び9Bも参照のこと。メモリセルの配向は、セレクタに対する記憶素子の位置に関して、各層において同じであっても異なっていてもよい。すなわち、メモリセルは、ビット線の電圧及び/又は電流動作の極性が各層に対して同じであるように、L1に対してL2上で反転されてもよい。あるいは、メモリセルは、L1及びL2上で同じに配向されてもよく、それにより、ビット線は、P2APの読み出し及び書き込みのためにL1を選択するときに負をとり、若しくはP2APの読み出し及び書き込みのためにL2を選択するときに正をとるように選択されるか、又は、AP2Pを書き込むために電圧が反転される。
【0101】
ワード線及びビット線は、タングステン若しくは銅(任意の適切な金属)が高濃度ドーピングされた半導体材料、導電性シリサイド、導電性シリサイド-ゲルマニド、又は導電性ゲルマニドなどの導電材料を含む。この実施例では、導体はレール形状であり、ワード線は互いに平行に延在し、ビット線は互いに平行に延在し、ワード線に対して垂直に延在する。
【0102】
各メモリセルは、それぞれのワード線とビット線との交点に位置する。例えば、メモリセル700は、WL3_1とBL3との交点に位置する。電圧をメモリセルの両端に印加するために、制御回路はWL3_1及びBL3の両端に電圧を印加する。
【0103】
上記の例は、メモリセルを円筒形状又は柱形状で、導体をレール形状で示している。しかしながら、他の選択肢もあり得る。
【0104】
図8A~
図8Cは、電流を対数スケールで、電圧を線形スケールで示す。
【0105】
図8Aは、
図7Aの記憶素子710の例示的なI-Vプロットを示す。
図7Aに関連して考察されるように、バイポーラ切替記憶素子は、例えば、記憶素子の両端に正電圧を印加することにより、AP2P書き込みプロセスにおいて、HRSからLRSに切り替えられ、例えば、記憶素子の両端に負電圧を印加することにより、P2AP書き込みプロセスにおいて、例えば、LRSからHRSに切り替えられる。
【0106】
このI-Vプロットは、セレクタとは別の、記憶素子に対するものである。横軸は、AP2P書き込み動作が起きる電圧Vwrite_AP2Pと、P2AP書き込み動作が起きる電圧Vwrite_P2APを示す。Vwrite_AP2Pは、この実施例ではVwrite_P2APよりも大きい。
【0107】
AP2P書き込み動作では、記憶素子は、最初にHRSにある。電圧が0VからVwrite_AP2Pにまで増加するときに、電流は、プロット800によって示されるように増加する(
図8A)。メモリセルが低抵抗状態(LRS)に切り替えられるときの、書き込み動作中の電流の増加は、プロット801によって示される。続いて、電圧が0Vに向かって減少すると、電流もまた、プロット802によって示されるように、減少する(
図8A)。
【0108】
P2AP書き込み動作において、記憶素子は、最初はLRSにある。電圧の大きさが0VからVwrite_P2APにまで増加するときに、電流は、プロット803によって示されるように増加する(
図8A)。メモリセルが高抵抗状態(HRS)に切り替えられるときの、書き込み動作中の電流の減少は、プロット804によって示される。続いて、電圧の大きさが0Vに向かって減少すると、電流もまた、プロット805によって示されるように、減少する。
【0109】
図8Bは、
図7Aのセレクタ702の例示的なI-Vプロットを示す。このI-Vプロットは、メモリセルとは別の、セレクタに対するものである。水平軸は、保持閾値電圧Vhold及び動作閾値電圧Vthを示す。これらの電圧の正極性及び負極性は、
図8Aと一致して、書き込み動作で使用するために示されている。
【0110】
AP2P書き込み動作において、電圧が0VからVthにまで増加するときに、電流は、プロット810によって示されるように増加する。電圧がVthより上方に増加するときに、セレクタはオンになり、プロット811によって示されるように電流が急激に増加する。続いて、プロット812は、電圧が、電流のほんのわずかな変化と共に増加又は減少し得ることを示す。これは、抵抗に依存する。ほとんどの場合、電流は、P状態の電圧と共に線形に増加するが、AP抵抗は、増加する電圧で減少し得る。電流は、電圧が電圧コンプライアンスのために特定のレベルを超えて上昇するときに、変化を停止し得る。AP2P書き込み動作が完了するときに、電圧はVholdまで減少し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらし得る(プロット813)。
【0111】
P2AP書き込み動作において、電圧の大きさが0Vから-Vthにまで増加するときに、電流は、プロット820によって示されるように増加する。電圧の大きさが-Vthより上方に増加するときに、セレクタはオンになり、プロット821によって示されるように電流が急激に増加する。続いて、プロット822は、電圧が、電流のほんのわずかな変化と共に増加又は減少し得ることを示す。書き込み動作が完了すると、電圧の大きさはVholdまで減少し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらし得る(プロット823)。
【0112】
図8Cは、
図7Aのメモリセル700の例示的なI-Vプロットを示す。メモリセルは、セレクタと直列な記憶素子を含む。メモリセルの状態は、セレクタをオンにし、次いで、セレクタの状態を変更するように設計された電圧及び/又は電流を印加することによって変更することができる。
【0113】
電圧及び電流を含む信号は、セレクタがオンになるまで記憶素子に印加することができない。電圧は、セレクタがオンになった後に増加されて、メモリセルの両端に適切な書き込み又は読み出し電圧を提供することができる。
【0114】
AP2P動作において、電圧が0VからVthにまで増加するときに、電流は、プロット830によって示されるように増加する。電圧がVthより上方に増加するときに、セレクタはオンになり、プロット831によって示されるように電流が急激に増加する。電圧は、プロット832によって示されるように、Vwrite_AP2Pにまで更に増加することができ、その時点で設定動作が起こり、電流の急激な増加をもたらす(プロット833)。続いて、書き込み動作が完了するときに、プロット834は、電圧がVholdまで減少することを示し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらす(プロット835)。
【0115】
P2AP書き込み動作において、電圧の大きさが0Vから-Vthにまで増加するときに、電流は、プロット840によって示されるように増加する。電圧の大きさが-Vthより上方に増加するときに、セレクタはオンになり、プロット841によって示されるように電流が急激に増加する。電圧は、プロット842によって示されるように、Vwrite_P2APにまで更に増加することができ、その時点で書き込み動作が起こり、電流の急激な減少をもたらす(プロット843)。続いて、リセット動作が完了するときに、プロット844は、電圧の大きさがVholdまで減少することを示し、その時点でセレクタはオフになり、電流の急激な減少をもたらす(プロット845)。
【0116】
図9Aは、クロスポイントメモリアレイ750.の第1のレベルと一致する例示的な回路900を示す。ワード線WL0_1~WL3_1は、ビット線BL0~BL3と共に示されている。4つの行及び4つの列に配置された16個の例示的なメモリセルが存在し、各行はそれぞれのワード線に接続され、各列はそれぞれのビット線に接続されている。各メモリセルは、1つの端子が第1の導電線に接続され、別の端子が第2の導電線に接続されている、2端子デバイスであってもよい。導電線は、例えば、金属又はドープシリコンであってもよい。
【0117】
例えば、メモリセルM00_1、M01_1、M02_1及びM03_1は、それぞれWL0_1及びBL0~BL3に接続され、メモリセルM10_1、M11_1、M12_1及びM13_1は、それぞれWL1_1及びBL0~BL3に接続され、メモリセルM20_1、M21_1、M22_1及びM23_1は、それぞれWL2_1及びBL0~BL3に接続され、メモリセルM30_1、M31_1、M32_1及びM33_1は、それぞれWL3_1及びBL0~BL3に接続されている。WL3_1及びBL0に接続されたM30_1は、破線で示されるような例示的な選択されたメモリセルである。
【0118】
各ビット線及びワード線は、1つのアプローチでは、BL0及びWL3_1のための例示的な端子915及び916を含む円形端子によってそれぞれ示されるように、開回路によって終端することができる。
【0119】
トランジスタ対は、各導電線に接続されてもよい。例えば、トランジスタ対Wd0_1~Wd3_1は、それぞれワード線WL0_1~WL3_1と直列に接続され、トランジスタ対Bd0~Bd3はそれぞれビット線BL0~BL3と直列に接続されている。Wd0_1~Wd3_1を使用して、それぞれのワード線を選択又は選択解除することができ、Bd0~Bd3を使用して、それぞれのビット線を選択又は選択解除することができる。Wd0_1~Wd3_1はワード線デコーダトランジスタであり、例えば行制御回路520の一部であってもよい。Bd0-Bd3は、ビット線デコーダトランジスタであり、例えば、列制御回路510の一部であってもよい。
【0120】
1つのアプローチでは、各トランジスタデコーダ対は、nMOSFETと並列なpMOSFET(制御ゲート上に円で示されている)を含む。例えば、Wd0_1-Wd3_1は、それぞれpMOSFET940~943、及びそれぞれnMOSFET944~947を含む。Bd0~Bd3は、それぞれnMOSFET960~963、及びそれぞれpMOSFET964~967を含む。ワード線のためのトランジスタ対は共通経路910に接続され得る一方で、ビット線のためのトランジスタ対は共通経路920に接続され得る。共通経路910はWLドライバ524a(
図5B)に接続することができ、共通経路920は、書き込み動作などにおいて、BLドライバ513Gに接続することができる。共通経路はまた、読み出し動作などにおいて、感知回路564(
図5A)に接続され得る。あるいは、0V又は接地で駆動される一方の導電線により、他方の導電線は、読み出し動作において、感知回路564に接続され得る。
【0121】
書き込み又は読み出しのためにメモリセルM30_1を選択するために、Wd3_1及びBd0は、メモリセルに電圧/電流を印加するために導電状態で提供される。トランジスタ対Wd3_1内では、トランジスタ943及び947の一方又は両方は、書き込み動作において経路910からWL3_1に電圧/電流を接続するために、又は読み出し動作において経路910を介したWL3_1の電圧を感知するように提供され得る。同様に、トランジスタ対Bd0内では、トランジスタ960及び964の一方又は両方は、書き込み動作において経路920からBL0に電圧/電流を接続するために、又は読み出し動作において経路920を介したBL0上の電圧を感知するように提供され得る。一般に、エンハンスメント型トランジスタの場合、nMOSFETは、正のゲート-ソース間電圧が印加されたときに導電状態にあり、pMOSFETは、負のゲート-ソース間電圧が印加されたときに導電状態にあり、両方の場合において、ゲート-ソース間電圧の大きさはトランジスタのVthを超える。
図10F~10Fも参照のこと。
【0122】
回路はまた、各ワード線及びビット線に接続された分離トランジスタを含む。例えば、WL0_1~WL3_1は、それぞれ分離待機トランジスタ930~933に接続されている。WL分離トランジスタは、分離待機電圧(例えば、1.65V)を、書き込み又は読み出し動作において非選択であるワード線に通すために、導電状態で提供され得る。WL分離トランジスタは、1つのアプローチでは、nMOSFETであってもよく、経路920上の共通電圧に接続されたソースを有する。選択されたワード線、例えばWL3_1に関しては、分離トランジスタ933は、ワード線から分離電圧を切り離すために非導電状態で提供される。これにより、駆動電圧/電流又は感知電圧が、それぞれ書き込み動作又は読み出し動作においてトランジスタ対Wd3_1を通過することができる。
【0123】
同様に、BL0~BL3は、それぞれ分離トランジスタ950~953に接続されている。BL分離トランジスタは、分離電圧(例えば、1.65V)を、書き込み又は読み出し動作において非選択であるビット線に通すために、導電状態で提供され得る。BL分離トランジスタは、1つのアプローチでは、pMOSFETであり、経路921上の共通電圧に接続されたドレインを有してもよい。このような経路921の電圧は、経路920の電圧と同じであってもよい。
【0124】
選択されたビット線BL0に関しては、分離トランジスタ950は、ビット線から分離電圧を切り離すために非導電状態で提供される。これにより、駆動電圧/電流又は感知電圧が、それぞれ書き込み動作又は読み出し動作においてトランジスタ対Bd0を通過することができる。
【0125】
1つのアプローチでは、非選択のワード線及び非選択のビット線の両方に接続されている非選択のメモリセルは、それらの端子の両方において、書き込み動作中に等しい正の電圧(分離電圧)でバイアスされて、選択されていないメモリセルが書き込まれるのを防止することができる。選択されていないメモリセルは、読み出し又は書き込み動作に対して選択されていないメモリセルである。選択されているメモリセルは、読み出し又は書き込み動作に対して選択されているメモリセルである。分離電圧は、選択されたメモリセルの書き込み動作又は読み出し動作によって選択されていないメモリセルが影響を受けることを防止するのに十分であり、例えば、活性動作中にWL及びBLのいずれかに印加される最小電圧及び最大電圧のほぼ平均で、選択されていないセルは、選択されていないときに、それの両端でVth(セレクタ)を超えないようにする。
【0126】
トランジスタ対及び分離トランジスタのpMOSFET及びnMOSFETは、行デコーダ制御回路及び列デコーダ制御回路が適切な制御ゲート電圧(Vcg)を設定することによって、導電又は非導電状態で提供され得る。トランジスタ対内では、制御ゲート電圧は、pMOSFET及びnMOSFETに対して独立して制御され得る。nMOSFET及びpMOSFETの制御ゲートは、各トランジスタ対において別々に制御することができ、各トランジスタは、その経路を選択又は選択解除するために使用することができる。
【0127】
図9Bは、
図9Aと一致する例示的な回路990、及び
図7Bのクロスポイントメモリアレイ750の第2のレベルを示す。
図7Bに関連して述べたように、ビット線BL0~BL3は、第1及び第2のレベルのメモリセル間で共有することができる。ワード線デコーダは、第1のレベルと同様の配列を有することができる。ワード線WL0_2~WL3_2は、ビット線BL0~BL3と共に示されている。16個のメモリセルがある。例えば、メモリセルM00_2、M01_2、M02_2及びM03_2は、それぞれWL0_2及びBL0~BL3に接続され、メモリセルM10_2、M11_2、M12_2及びM13_2は、それぞれWL1_2及びBL0~BL3に接続され、メモリセルM20_2、M21_2、M22_2及びM23_2は、それぞれWL2_2及びBL0~BL3に接続され、メモリセルM30_2、M31_2、M32_2及びM33_2は、それぞれWL3_2及びBL0~BL3に接続されている。WL3_2及びBL0に接続されたM30_2は、破線で示されるような例示的な選択されたメモリセルである。
【0128】
各ビット線及びワード線は、1つのアプローチでは、BL0及びWL3_2に対する例示的な端子915a及び916aを含む円形端子によってそれぞれ示されるように、開回路によって終端することができる。
【0129】
トランジスタ対は、各導電線に接続されてもよい。例えば、トランジスタ対Wd0_2~Wd3_2は、それぞれワード線WL0_2~WL3_2と直列に接続されている。Wd0_2~Wd3_2を使用して、それぞれのワード線を選択又は選択解除することができ、Bd0~Bd3を使用して、それぞれのビット線を選択又は選択解除することができる。Wd0_2~Wd3_2はワード線デコーダトランジスタであり、例えば行制御回路520の一部であってもよい。
【0130】
1つのアプローチでは、各トランジスタデコーダ対は、nMOSFETと並列なpMOSFETを含む。例えば、Wd0_2~Wd3_2は、それぞれpMOSFET980~983、及びそれぞれnMOSFET984~987を含む。ワード線のトランジスタ対は、共通経路910aに接続されてもよい。共通経路910aは、WLドライバ524a(
図5B)、例えば、20nmのCD MRAMの書き込み動作において約30μAを提供する電流ソースに接続されてもよい。あるいは、共通経路910aは、読み出し動作などで、例えば、約15μAを提供する電流ソース、及び感知回路564(
図5A)に接続されてもよい。
【0131】
書き込み又は読み出しのためにメモリセルM30_2を選択するために、Wd3_2及びBd0は、メモリセルの両端に電圧を印加するために導電状態で提供される。トランジスタ対Wd3_2内では、トランジスタ983及び987の一方又は両方は、書き込み動作において経路910aからWL3_2への電圧/電流を接続するために、又は読み出し動作において経路910aでWL3_2上の電圧を感知するために導電状態で提供され得る。同様に、トランジスタ対Bd0(
図9A)内では、トランジスタ960及び964の一方又は両方は、書き込み動作において経路920からBL0への電圧/電流を接続するために、又は読み出し動作において経路920でBL0上の電圧を感知するために導電状態で提供され得る。
【0132】
加えて、WL0_2~WL3_2は、それぞれ分離トランジスタ970~973に接続されている。WL分離トランジスタは、1つのアプローチでは、nMOSFETであってもよく、経路920a上の共通電圧に接続されたソースを有する。選択されたワード線、例えばWL3_2に関しては、分離トランジスタ973は、ワード線から分離電圧を切り離すために非導電状態で提供される。これにより、駆動電圧/電流又は感知電圧が、それぞれ書き込み動作又は読み出し動作においてトランジスタ対Wd3_2を通過することができる。
【0133】
各導電線(例えば、ワード線又はビット線)に接続されたトランジスタ対は、最適化された双方向書き込み能力を提供する。冒頭で述べたように、1つ以上のトランジスタを導電状態で提供することによって、書き込み及び読み出しの両方を最適化することができる。特に、メモリセルを選択するとき、WL3_1などの第1の導電線の電圧を、電流ソースによって駆動されるpMOSFETを使用して正電圧までプルアップ(増加させる)ことができる一方で、BL0などの第2の導電線の電圧を、
図9AのBd0におけるnMOSFET960などのnMOSFETを使用して、約0Vにプルダウン(減少させる)させることができる。このアプローチは、デコーダ対の1つのトランジスタのみを使用することによって、選択器がオンにされる間、キャパシタンスを最小化し、pMOSFETは、Vthの損失が回避されるため、nMOSFETよりも高いノードをプルすることができる。しかしながら、セレクタがオンであり、WL電圧がより低くなった後に選択されたメモリセルを読み出すときに、1つの選択肢では、第1の導電線の並列nMOSFETはまた、並列又は単独で使用されてもよい。nMOSFETは、メモリセルの両端電圧の正確な感知を可能にするために、pMOSFETの抵抗の減少を相殺する抵抗を追加する。感知回路によって感知される電圧の振幅は、したがって、保存される(又はnMOSFET単独が使用される場合には増加される)。別の選択肢では、選択されたメモリセルを読み出すときに、pMOSFETはオフにされる一方、並列nMOSFETがオンにされる。これにより、MRAMをLRSからHRSに変更する場合、感知回路によって感知される電圧が増幅されるようにトランジスタ対の総抵抗が増加する。
【0134】
図10Aは、選択されたワード線WL3_1上の電圧をプルアップするときに、pMOSFETがオンであり、nMOSFETがオフである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。ワード線電圧のプルアップは、例えば、デコードされたビットのセレクタの選択プロセス中に、又は書き込み中に生じ得る。1つのアプローチでは、各々
図5CなどのpMOSFETを使用して、ビットを選択するために読み出し電流ソースを、及びビットを書き込むための書き込み電流ソースを使用してプルアップされる。読み出しはpMOSFETで行うことができる。あるいは、自己参照読み出し(SRR)の書き込み後のMRAM変化状態からの感知増幅器への差分信号を改善するために、p及びnMOSFETを両方ともオンにすることができる。あるいは、信号は、pMOSFETをオフにし、セレクタがオンになった後にnMOSFETをオンにすることによってのみ、nMOSFETで読み出すことによって更に増加させてもよい。
【0135】
図10A~
図10Cでは、トランジスタ対Wd3_1は、nMOSFET947と並列なpMOSFET943を含む。
図10A~
図10Fでは、pMOSFETの制御ゲート、ドレイン、及びソースは、Gp、Dp及びSpによってそれぞれ示され、nMOSFETの制御ゲート、ドレイン及びソースは、Gn、Dn、及びSnによってそれぞれ示される。更に、pMOSFET及びnMOSFETは、いくつかの構成において、パスゲートとして活動してもよい。
【0136】
矢印は、共通経路910からWL3_1へとpMOSFETを通過し、ソース(Sp)からドレイン(Dp)への電流の流れ方向を表す。上述したように、pMOSFETは、大きさがトランジスタのVthを超える負のゲート-ソース間電圧が印加されるときに、導電状態にある。これは、例えば、0Vをゲート(Gp)に印加し、例えば1VのVthを仮定して、ソースに例えば1Vよりも大きい正電圧を印加することによって達成することができる。nMOSFETは、ゲート-ソース間電圧がVthを超えないとき、非導電状態にある。これは、例えば、0Vをゲートに印加することによって達成することができる。
【0137】
図10Bは、選択されたワード線WL3_1上の電圧を感知するときに、pMOSFETがオフであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。感知中、WL3_1の電圧は、共通経路910及びトランジスタ対Wd3_1を介して感知回路によって感知され、特に、本実施例ではnMOSFET947を介して感知される。例えば、ゲート(Gp)に3.3Vを印加することによって、pMOSFETをオフにする。例えば、ゲート(Gn)に3.3Vを印加することによって、nMOSFETをオンにする。矢印は、WL3_1から共通経路910へとnMOSFETを通過し、ドレイン(Dn)からソース(Sn)への電流の流れ方向を表す。
【0138】
図10Cは、選択されたワード線WL3_1上の電圧を感知するときに、pMOSFETがオンであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。感知中、WL3_1の電圧は、共通経路910及びトランジスタ対Wd3_1を介して、特に、この実施例では、nMOSFET947及びpMOSFET943を介して感知回路により感知される。例えば、ゲート(Gp)に0Vを印加することによって、pMOSFETをオンにする。Wd3_1上の電圧は、pMOSFETのソースにおいて正電圧であり、|Vgs|>Vthを提供するのに十分高いと仮定される。例えば、ゲート(Gn)に3.3Vを印加することによって、nMOSFETをオンにする。Wd3_1上の電圧は、nMOSFETのドレイン(Dn)において正電圧であり、制御ゲート電圧(Gn)よりも低くてもよい。2つのトランジスタが並列である場合、DpはSnと同じであり、SpはDnと同じである。
【0139】
図10Dは、選択されたビット線BL0を、例えば0VにプルダウンするときにpMOSFETがオフであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。ビット線電圧のプルダウンは、例えば、デコードされたビットのセレクタの選択プロセス中、又はそのビットの読み出し若しくは書き込み中に発生する可能性がある。選択又は書き込みは、上述のように双方向とすることができる。したがって、一方向では、ワード線はビット線よりも高くバイアスされ、反対方向に、ビット線はワード線よりも高いバイアスされる。ビット線がより高くバイアスされるときに、例えば、pMOSFETによって駆動することができる。
【0140】
図10D~
図10Fでは、トランジスタ対Bd0は、nMOSFET960.と並列なpMOSFET964を含む。
【0141】
矢印は、共通経路920からBL0へとnMOSFETを通過し、ドレイン(Dn)からソース(Sn)への電流の流れ方向を表す。これは、例えば、nMOSFETのゲートに3.3Vを印加することによって達成することができる。例えば、ゲートに3.3Vを印加することによって、pMOSFETをオフする。
【0142】
図10Eは、選択されたビット線BL0が接地に設定される感知プロセス中に、pMOSFETがオフであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。感知のための1つの選択肢中、BL0の電圧は、共通経路920.において、接地、例えば0Vに設定することができる。例えば、ゲートに3.3Vを印加することによって、pMOSFETをオフにし、例えば、ゲートに3.3Vを印加することによって、nMOSFETをオンにする。矢印は、BL0から共通経路920へとnMOSFETを通過し、ドレイン(Dn)からソース(Sn)への電流の流れ方向を表す。
【0143】
図10Fは、選択されたビット線BL0が接地に設定される感知プロセス中に、pMOSFETがオンであり、nMOSFETがオンである構成の
図9AのWLトランジスタ対Wd3_1を示す。この選択肢では、例えば、ゲートに0Vを印加することによって、pMOSFETをオンにし、例えば、ゲートに3.3Vを印加することによって、nMOSFETをオンにする。
【0144】
図11Aは、
図7Aのメモリセル700などの選択されたメモリセルの書き込み動作を実行するための例示的プロセスのフローチャートを示す。ステップ1000は、メモリアレイ内のメモリセルをLRS(P)状態に設定するために、上部導電線を介して電流を駆動することを含む。全てのメモリ位置においてこのことを繰り返すことにより、全てのビットをLRS状態にする。このアプローチでは、全てのメモリセルは、同じ既知の状態にある。下部導電線は、1つのアプローチにおいて、固定された電圧に設定することができる。ステップ1001は、メモリアレイに記憶されるデータを受信することを含む。例えば、データは、通信インターフェースを介して受信することができる。ステップ1002は、データに基づいて、HRS(AP)状態にプログラムされるメモリセルを識別することを含む。例えば、これらは1ビットを記憶することを意図するビットとすることができる。ステップ1003は、識別されたメモリセルを選択し、それをP状態からAP状態にプログラムするために、下部導電線を介して電流を駆動することを含む。上部導電線は、1つのアプローチにおいて、固定された電圧に設定することができる。上部及び下部導電線への言及は、
図7Aのメモリセル構成と一致する。
図13A及び13Bも参照のこと。
【0145】
図11Bは、
図7Aのメモリセル700などの選択されたメモリセルに対して単一電圧検出で読み出し動作を実行するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。プロセスは、例えば、
図7BのL1又はL2に適用することができる。ステップ1010は、メモリセルのセレクタをデコードしてオンにする動作を開始することを伴う。第1の導電線は、メモリセルの第1の端部及び第1のトランジスタ対に接続することができ、第2の導電線は、メモリセルの第2の端部及び第2のトランジスタ対に接続することができる。例えば、
図9Aでは、M30_1は、L1において選択されたメモリセルであり、第1の導電線は、第1のトランジスタ対Wd3_1に接続されているWL3_1であり、第2の導電線は、第2のトランジスタ対Bd0に接続されているBL0である。別の実施例において、
図9Bでは、M30_2は、L2において選択されたメモリセルであり、第1の導電線はBL0であり、第1のトランジスタ対Bd0に接続され、第2の導電線は、第2のトランジスタ対Wd3_2に接続されたWL3_2である。
【0146】
ステップ1011は、第1のトランジスタ対のnMOSFETが非導電状態にある間に第1のトランジスタ対のpMOSFETで第1の導電線の電圧をプルアップすることにより、かつ第2のトランジスタ対のpMOSFETが非導電状態にある間に第2のトランジスタ対のnMOSFETで第2の導電線の電圧をプルダウンすることによって、メモリセルを選択することを含む。第1の導電線の電圧をプルアップすることは、
図13C及び13Dに示されるように、第1の導電線に電流Ireadを印加することを伴うことができる。第2の導電線の電圧をプルダウンすることは、第2の導電線を0V付近に駆動することを伴うことができる。選択することは、上述のように、非導電状態から導電状態にメモリセルのセレクタを切り替えることができる。例えば、
図8Cと一致して、0VからVth(セレクタ)まで増加する電圧をメモリセルの両端に印加することができる。t1~t2における
図13C及び13Dを参照のこと。選択ステップ1011は、読み出し電流ソースを使用して、ワード線及びビット線に所望の電圧及び電流を提供する。
【0147】
一般に、MRAMクロスポイントアレイは、導電線に対してnMOSFETよりも電圧においてプルアップされる導電線に対するpMOSFETを使用することによって、セレクタのより広いVth範囲にわたって選択することができるが、これは、pMOSFETが正の電源に近接することができるは、nMOSFETは正の電源からそのVthを引いたもの、つまり、約1Vの範囲の損失があるものにプルする可能性があるためである。メモリセルが各層に同じ配向を有する場合、電圧においてプルアップされる導電線は、メモリセルの下方の第1の導電線であってもよく、電圧においてプルダウンされる導電線は、第1のレベルでメモリセルの上方の第2の導電線であってもよい。セレクタをオンにすることは、過剰電圧が記憶素子を介してブリードオフされる際に、メモリセルの両端の過渡電圧を誘導する。メモリセルの内部直列抵抗は、20kΩのオーダーである。過剰電圧はVth-Vholdであり、これは、Vholdが増加した場合、又はキャパシタンス及びVthが低減された場合に低減され得る。過剰電圧のエネルギーによって記憶素子の状態を反転させるリスクを最小限に抑えるために、キャパシタンスを低減することによって過渡持続時間を最小化すべきである。
【0148】
ビット線は、
図7Bのように、そのより長い長さ及び2つの層間の配置により、より大きなキャパシタンスを有する傾向があり、そのため、消散時間の大部分は、ワード線キャパシタンスによって設定される。キャパシタンスを低減することにより、ブリードオフ時間及び読み出し待ち時間を低減することができる。1つのオプションは、長さを短くし、ワイヤ間間隔を増加させることである。別の選択肢は、タイルワイヤを駆動するために使用されるトランジスタのサイズを低減することである。別の選択肢は、ワード線上のnMOSFETは同等の駆動に対して3倍小さい可能性があるため、nMOSFETでワード線を選択し、pMOSFETでより高いキャパシタンスのビット線を選択することである。pMOSFETでハイにプルし、nMOSFETでローにプルすることで、駆動トランジスタにおけるVthの損失が回避されるため、所与の電源に対して許容されるVthの最大範囲を可能にする。しかしながら、これらのアプローチは問題である。例えば、各レベルのメモリセルが同じ配向を有する場合、マルチレベルメモリデバイスの製造が簡略化される。この場合、レベルのうちの1つは、pMOSFETでワード線をハイにプルしなければならず、他のレベルは、ワード線をnMOSFETでローにプルして、より高い許容されたVth(セレクタ)を取得する。
【0149】
単一のn又はpMOSFETのみで選択することにより、キャパシタンスが低減され、より高いVthを可能にするが、記憶素子がその状態を変化させるときに信号差が低減される。例えば、メモリセルが、LRSにおいて25kΩの抵抗及びHRSにおいて50kΩの抵抗を有し、読み出し電流Ireadは15μAである場合、メモリセルの両端電圧は、LRSにおいて375mVであり、HSRにおいて750mVである。これは、2つの状態間のMRAMの両端の375mVの信号差である。しかしながら、MOSFETのドレイン-ソース抵抗Rdsは、メモリセルのHRSが感知回路において電圧を増加させる結果として、より大きいVonから低減される。結果として、信号差は、例えば、250~300mVに減少する可能性があり、読み出し中のメモリセルの状態の変化を検出することがより困難になる。
【0150】
感知回路における信号を最適化するために、2つの選択肢を提供する。第1の選択肢(ステップ1012a)は、低減されたキャパシタンスに対して1つのトランジスタのみ、例えば、レベル1のpMOSFETを使用して、セレクタを選択して、より高いVthを可能にし、次いで、pMOSFETのオンを維持しながら読み出し中に利用可能なnMOSFETをオンにすることを伴う。この場合、読み出し中、pMOSFETの増加したVonは、nMOSFETの減少したVonによって相殺されて、全体的な抵抗はほぼ一定のままとなり、ほぼ完全な信号差が感知回路に渡されるようにする。
【0151】
第2の選択肢(ステップ1012b)は、低減されたキャパシタンスに対して1つのトランジスタのみ、つまり、レベル1のpMOSFETを使用して、セレクタを選択して、より高いVthを可能にし、次いで、セレクタがオンとなった後にpMOSFETをオフにしながら読み出し中に利用可能なnMOSFETをオンにすることで、オンにする間のキャパシタンスを低減すべく選択のために1つのトランジスタのみを使用することを伴う。選択肢は、pMOSFETが選択中により広い範囲のVth(セレクタ)を可能にすることである。次いで、選択の後に、SRRの第1の読み出し中に、読み出し及びレベル記憶のためのnMOSFETのみに変換する。nMOSFETのより高い抵抗は、感知回路におけるより高い信号をもたらす。このアプローチは、メモリセルの抵抗面積(RA)積が、5以下のような比較的低いときに好適である。RAが10以上のような比較的高い場合、感知回路における信号は、感知回路又は電源の範囲を超えて高すぎることがある。次いで、両方をオンにすることが好ましいことがある。
【0152】
第1のオプションでは、ステップ1012aは、第1のトランジスタ対において、nMOSFETを導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持することを含む。1つのアプローチでは、メモリセルの選択の後、かつメモリセルの読み出しの準備の際に、制御回路が、nMOSFETを非導電状態から導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持するように構成されている。
【0153】
第2のオプションでは、ステップ1012bは、第1のトランジスタ対において、セレクタがオンになった後に、pMOSFETを非導電状態に変更し、nMOSFETを導電状態に維持することを含む。一貫性のために、SRRの破壊的な書き込みの前後の第1及び第2の読み出しは、同じオプションを使用するべきである。1つのアプローチでは、メモリセルの選択の後、かつメモリセルの読み出しの準備の際に、制御回路が、pMOSFETを導電状態から非導電状態に変更し、nMOSFETを導電状態となるようにオンするように構成される。
【0154】
共通ステップ1013は、第1のトランジスタ対を介した第1の導電線上の電圧Vreadを検出することと、それを基準電圧Vrefと比較することと、を含む。
図12Aの例示的なセンス回路を参照のこと。t2~t3における
図13C及び13Dも参照のこと。
【0155】
図11Cは、
図7Aのメモリセル700などの選択されたメモリセルの二重電圧検出を用いて読み出し動作を実行するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。ステップ1100、1101、1102a及び1102bは、それぞれ
図11Bのステップ1010、1011、1012a及び1012bに対応する。ステップ1101の選択がt1~t2において発生する
図13E及び
図13Fを参照のこと。
【0156】
第1のオプションは、ステップ1102a 1104a及び1106aを含み、第2のオプションは、ステップ1102b、1104b及び1106bを含む。
【0157】
この二重電圧感知アプローチでは、ステップ1103において第1の電圧が検出され、ステップ1107において第2の電圧が検出される。具体的には、共通ステップ1103は、第1のトランジスタ対を介した第1の導電線上の第1の電圧を検出及び記憶することを含む。例えば、第1の電圧Vread1は、
図12Bの感知回路の第1のコンデンサC1内に蓄えることができる。t2~t3における
図13E及び13Fも参照のこと。
【0158】
第1のオプションでは、ステップ1104aは、第1のトランジスタ対において、nMOSFETを非導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持することを含む。1つのアプローチでは、第1の電圧の検出の後、かつメモリセルの潜在的に破壊的な書き込みの準備の際に、制御回路が、nMOSFETを導電状態から非導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持するように構成されている。
【0159】
第2のオプションでは、ステップ1104bは、第1のトランジスタ対において、nMOSFETを非導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持することを含む。1つのアプローチでは、第1の電圧の検出の後、かつメモリセルの潜在的に破壊的な書き込みの際に、制御回路が、nMOSFETを非導電状態から導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持するように構成されている。
【0160】
共通のステップ1105は、第1のトランジスタ対を介したメモリセルの潜在的に破壊的な書き込みを実行することを含む。この書き込み動作は、メモリセルがHRSにあることを確実にする。メモリセルが既にHRSにある場合、書き込みは非破壊的である。しかしながら、メモリセルがLRSにある場合、書き込みは、メモリセルのデータ状態を変更するために破壊的である。t3~t5における
図13E及び13Fも参照のこと。
【0161】
第1のオプションでは、ステップ1106aは、第1のトランジスタ対において、nMOSFETを導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持することを含む。1つのアプローチでは、メモリセルの潜在的に破壊的な書き込みの後、かつ第2の電圧を検出のための準備の際に、制御回路が、nMOSFETを非導電状態から導電状態に変更し、pMOSFETを導電状態に維持するように構成されている。
【0162】
第2のオプションでは、ステップ1106bは、第1のトランジスタ対において、pMOSFETを非導電状態に変更し、nMOSFETを導電状態に維持することを含む。1つのアプローチでは、メモリセルの潜在的に破壊的な書き込みの後、かつ第2の電圧の検出のための準備の際に、制御回路が、pMOSFETを導電状態から非導電状態に変更し、nMOSFETを導電状態に維持するように構成されている。
【0163】
共通ステップ1107は、第1のトランジスタ対を介した第1の導電線上の第2の電圧(Vread2)を検出することを含む。例えば、第2の電圧は、
図12Bの感知回路のコンパレータ1201の反転入力(-)に提供することができる。
【0164】
共通ステップ1108は、第2の電圧が、第1の電圧を指定量を超えて超えるかどうかを判定することを含む。1つのアプローチでは、第2のコンデンサC2は、スイッチ1202を使用してC1及びC2を直列に接続することによってVread1に加えることができるオフセット電圧Voffsetを蓄える。次いで、Vread2との比較のために、組み合わせられた入力Vread1+Voffsetがコンパレータの非反転入力に提供される。オフセット電圧を加えることにより、ステップ1105において、メモリセルがLRSからHRSに切り替わるかどうかのより信頼性の高い判定を行うことができる。
【0165】
ステップ1108に基づいて、ステップ1109a又は1109bに到達する。ステップ1109aは、第2の電圧が指定量を超えて第1の電圧を超えるときに、メモリセルが、低抵抗データ状態を記憶すると結論付け、ステップ1109bは、第2の電圧が指定量を超えて第1の電圧を超えないときに、メモリセルが、高抵抗データ状態を記憶すると結論付ける。ステップ1110は、ステップ1109aに続く書き込みバックプロセスを示し、破壊的な書き込みプロセスによってその状態が変化したメモリセルがその元の状態に復元される。
図13G及び13Hも参照のこと。
【0166】
図12Aは、
図11Bのプロセスと一致する
図7Bの感知回路564の例示的な実装を示す。感知回路は、コンパレータ1201を含む。反転入力に基準電圧Vrefが提供され、スイッチ1210が閉じられたときに、非反転入力に共通経路1204上の検出された電圧Vreadが提供される。Vrefは、LRSメモリセルに期待される電圧V_LRSとHRSメモリセルに期待される電圧V_HRSとの間のレベルに設定することができる。したがって、コンパレータの出力は、メモリセルのデータ状態を示す。
【0167】
図12Bは、
図11Cのプロセスと一致する
図7Bの感知回路564の別の例示的な実装を示す。
図11Cに関連して述べたように、感知回路は、選択されたメモリセル上に第1の電圧Vread1を蓄える第1のコンデンサC1と、オフセット電圧Voffsetを蓄える第2のコンデンサC2と、を含むことができる。一実施例では、Vread1は、LRSにおいて375mVであり、HRSにおいて750mVであり、Voffsetは、100~150mVである。感知の前に、ノード1207及び1208の両端に対応する電圧を印加し、スイッチ1205及び1206を閉じる(導電にする)ことによって、C1をVoffsetまで充電することができる。次いで、これらのスイッチを開き(非導電にする)、C2中のVoffsetを維持することができる。
【0168】
ノード1204は、
図9Aの共通経路910に接続することができる。感知中、共通経路は、トランジスタ対Wd3_1を介してWL3_1などの選択されたワード線に接続されている。これにより、ワード線の電圧をノード1204に伝達することができる。スイッチ1203は、スイッチ1202が開いている間は閉じられ、C1の両端にVread1を提供する。続いて、スイッチ1203を開いて、ワード線からC1を切断する。次いで、スイッチ1202を閉じて、C1と直列なC2を提供する。C2は、1つのアプローチにおいて、コンパレータ1201の非反転入力に接続されている。Vread2を得るために、スイッチ1203が開かれている間にスイッチ1209が閉じられて、ノード1204をコンパレータの反転入力に接続する。代替的には、コンデンサは、コンデンサにも蓄えられたレベル電圧に結合された端部に結合することができる。コンデンサの他方の端部は、例えば、SRRがP2APである場合、レベル1に対して約150mVまで電圧を調整するために、感知増幅器で使用されるときに正に駆動することができる。あるいは、コンデンサの他方の端子は、例えば、SRRがP2APである場合、レベル1に対して蓄えられた電圧-150mVを移動させるように負に駆動することができる。あるいは、SRRがAP2Pである場合、バンプの方向を逆転させることができる。
【0169】
図12Cは、
図9Aと一致するトランジスタ対Wd3_1のpMOSFET及びnMOSFETの並列の例示的な抵抗を示す。pMOSFET及びnMOSFETはそれぞれ、Rp及びRnの抵抗を有し、それらが導電状態にあるときに、トランジスタ対の総抵抗Rtは、1/Rt=1/Rp+1/Rnによって管理される。上述したように、第1のオプションでは、pMOSFETの低減された抵抗Rp(下向き矢印によって表される)は、両方のトランジスタが導電状態にあるときに、nMOSFETの増加された抵抗Rn(上向き矢印によって表される)によって相殺することができる。これにより、信号振幅が保存される。信号振幅を増加させる第2のオプションでは、pMOSFETが非導電状態にあり、nMOSFETが導電状態にあるときに、pMOSFETの低減された抵抗Rpは、nMOSFETの増加された抵抗Rnによって置き換えられる。したがって、nMOSFETが導電状態にあるときに、メモリセルの選択によって引き起こされるpMOSFETの低減された抵抗は、nMOSFETの抵抗によって相殺される。また、nMOSFETが導電状態にあるときに、メモリセルの選択によって引き起こされるpMOSFETの低減された抵抗は、nMOSFETの抵抗に置き換えられる。
【0170】
図13Aは、
図11Aの書き込みプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
図13Bは、
図13Aと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。メモリセルの選択は、t1~t2において発生する。電流Ireadは、ステップ1000と一致して、t2においてセレクタの抵抗がより低いレベルに切り替わるまで、導電線のうちの1つ上で駆動される。このとき、メモリセルがLRSにある場合、電圧は、プロット1300のレベルまで低下する。あるいは、メモリセルがHRSにある場合、電圧は、プロット1301のレベルに維持される。選択プロセスは、書き込みが所望される場合、書き込み電流を伴うことができるが、しかしながら、ビット耐久性は、常に読み出し電流で選択し、次いで電流を書き込み電流に増加させることによって改善し得る。LRSメモリセルは、t3においてHRSに切り替わり、プロセスはt4において終了する。
【0171】
図13Cは、
図11Bの読み出しプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
図13Dは、
図13Cと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。メモリセルの選択は、t1~t2において発生する。Iwriteよりも低い電流Ireadは、ステップ1011と一致して、t2においてセレクタの抵抗がより低いレベルに切り替わるまで、導電線のうちの1つ上で駆動される。このとき、メモリセルがLRS又はHRSにあるかに基づいて、かつトランジスタ対の構成に基づいた電圧のレベルが低下する。特に、LRSに対して、pMOSFETのみがオンであるか、nMOSFET及びpMOSFETの両方がオンであるか、又はnMOSFETのみがオンである場合、プロット1305、1305a及び1305bの電圧が得られる。HRSに対して、pMOSFETのみがオンであるか、nMOSFET及びpMOSFETの両方がオンであるか、又はnMOSFETのみがオンである場合、プロット1306、1306a及び1306bの電圧が得られる。電圧Vreadの検出は、ステップ1013と一致してt2~t3において発生し、プロセスはt3において終了する。
【0172】
図13Eは、
図11Cのステップ1100~1108のプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
図13Fは、
図13Eと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。メモリセルの選択は、t1~t2において発生する。この間、メモリセルは、例えば、Ireadと称される、15μAの固定電流で駆動され、電圧は、例えば、Vth=3Vまでランプアップして、メモリセルを選択する。t2において、セレクタは、その非導電状態からそのより低い抵抗の導電状態に変更され、電圧のVhold(セレクタ)に向かう低下を引き起こす。t2~t3において、プロットは、HRS(AP状態)又はLRS(P状態)にある場合、メモリセルの両端電圧V_HRS又はV_LRSを表す。特に、LRSに対して、pMOSFETのみがオンであるか、nMOSFET及びpMOSFETの両方がオンであるか、又はnMOSFETのみがオンである場合、プロット1311、1311a及び1311bの電圧が得られる。HRSに対して、pMOSFETのみがオンであるか、nMOSFET及びpMOSFETの両方がオンであるか、又はnMOSFETのみがオンである場合、プロット1310、1310a及び1310bの電圧が得られる。Vread1は、t2~t3から検出することができる。
【0173】
t3~t5において、潜在的に破壊的な書き込みは、より高い固定電流Iwrite、例えば、30μAを駆動することによって発生する。t3~t4において、プロット1312は、メモリセルがHRSにあるケースを表し、プロット1313は、メモリセルがLRSにあるケースを表す。t4において、LRSにあるメモリセルは、破壊的な書き込みプロセスにおいてHRSに切り替わるか、HRSにあるメモリセルは、HRSにいるままである。t5~t6において、電流をIreadに低下させ、Vread1との比較のためにVread2を得る。特に、pMOSFETのみがオンであるか、nMOSFET及びpMOSFETの両方がオンであるか、又はnMOSFETのみがオンである場合、プロット1320、1320a及び1320bの電圧が得られる。メモリセルのデータ状態は、t6によって決定され、この時点で、第1の読み出し中に蓄えられ、150mV(Voffset)で調整されたレベルとの比較によって完了する。
【0174】
図13Gは、
図11Cのステップ1110の書き込みバックプロセスと一致するメモリセルに対する電流対時間の例示的なプロットを示す。
図13Hは、
図13Gと一致するメモリセルに対する電圧対時間の例示的なプロットを示す。電流Iwriteは、メモリセルを通って、例えば、30μAの大きさを有してもよい。この電流は、AP状態のターゲットセルに対してAP2P書き込みを実行するように駆動される。t1~t2において、Iwriteが印加され、電圧は0Vから、例えば、-3Vまでランプして、メモリセルを選択し、t2~t3において-3Vに留まる。-3Vは、セレクタのVthとすることができる。t3において、AP状態セルは、電圧の大きさが低下するように、P状態に切り替わる。プロセスは、t4において終了する。
【0175】
1つのアプローチでは、装置は、クロスポイントメモリアレイに接続するように構成されている制御回路であって、クロスポイントメモリアレイが、第1の導電線と第2の導電線との間に配置されたメモリセルを含む、制御回路と、nMOSFETと並列なpMOSFETを含み、第1の導電線に接続された第1のトランジスタ対と、を含み、メモリセルが、閾値切替セレクタと直列な記憶素子を含む、制御回路を含み、メモリセルを選択するために、制御回路は、nMOSFETが非導電状態にある間に、pMOSFETで第1の導電線の電圧をプルアップするように構成されており、制御回路が、続いて、pMOSFETが非伝導状態であり、かつnMOSFETが導電状態にある間に、メモリセルを読み出すように構成されている。
【0176】
別のアプローチでは、方法は、高抵抗状態から低抵抗状態にメモリセルの閾値切替セレクタを切り替えることであって、第1の導電線がメモリセルの第1の端部に接続されており、第2の導電線がメモリセルの第2の端部に接続されており、nMOSFETと並列なpMOSFETを含む第1のトランジスタ対が、第1の導電線に接続されており、切り替えることは、nMOSFETを非導電状態に維持しながら、pMOSFETで第1の導電線の電圧を設定することを含む、切り替えることと、閾値切替セレクタが低抵抗状態にあるときに、pMOSFETが非伝導状態であり、かつnMOSFETが導電状態にある間に、第1のトランジスタ対を介した第1の導電線上の第1の電圧を感知することと、を含む。
【0177】
別のアプローチでは、装置は、クロスポイントメモリアレイであって、クロスポイントメモリアレイが、メモリセルを含み、メモリセルが、閾値切替セレクタと直列なMRAMを含む、クロスポイントメモリアレイと、メモリセルの第1の端部に接続されている第1の導電線と、メモリセルの第2の端部に接続されている第2の導電線と、nMOSFETと並列なpMOSFETを含み、第1の導電線に接続されている、第1のトランジスタ対と、nMOSFETと並列なpMOSFETを含み、第2の導電線に接続されている、第2のトランジスタ対と、制御回路であって、メモリセルを選択するために、制御回路が、第1のトランジスタ対のpMOSFETは介するが、nMOSFETは介さずに第1の導電線の電圧をプルアップし、第2のトランジスタ対のnMOSFETは介するが、pMOSFETは介さずに第2の導電線の電圧をプルダウンするように構成されており、メモリセルを読み出すために、制御回路が、一度目に第1のトランジスタ対のnMOSFETは介するが、pMOSFETは介さない第1の導電線の電圧を感知するように構成されている、制御回路と、を含む。
【0178】
本発明の前述の詳細な説明は、例示及び説明の目的のために提示したものである。前述の詳細な説明は、網羅的であること、又は開示した正確な形態に本発明を限定することを意図したものではない。上記の教示に鑑みて多くの修正及び変形が可能である。説明したアプローチは、本発明の原理及びその実際の用途を最良に説明するために選択されたものであり、それによって、当業者が様々なアプローチで、企図される特定の使用法に適するように様々な修正を伴って、本発明を最良に利用することを可能にする。本発明の範囲は、本明細書に添付の請求項によって定義されることが意図されている。