(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ソフトウェア無線機
(51)【国際特許分類】
H04B 1/00 20060101AFI20220627BHJP
G06F 15/78 20060101ALI20220627BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20220627BHJP
【FI】
H04B1/00 103
G06F15/78 560
G06F8/65
(21)【出願番号】P 2021506224
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004293
(87)【国際公開番号】W WO2020189064
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2019049151
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大希
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-109397(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181333(WO,A1)
【文献】境 裕樹 et al.,ソフトウェア無線プラットフォーム評価ボードの開発,電子情報通信学会2005年総合大会講演論文集 通信1,2005年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/00
G06F 15/78
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハードウェアモジュールを有し、前記複数のハードウェアモジュールを制御する無線通信ソフトウェアを外部よりダウンロードして無線機機能を実現するソフトウェア無線機であって、
前記ハードウェアモジュールは、CPUと、リコンフィギュラブルモジュール
およびスタティックモジュールの少なくとも一つで構成され、前記リコンフィギュラブルモジュールおよ
び前記スタティックモジュールとのインタフェースは所定パターンに分類して構成され、
前記ソフトウェア無線機の上位から制御情報を取得し、前記制御情報は制御IDが割り振られ、前記CPUは前記制御IDのパターンから、通信方式共通の制御情報と通信方式固有の制御情報に振り分け、前記リコンフィギュラブルモジュールおよ
び前記スタティックモジュールのインタフェース
とし、
前記リコンフィギュラブルモジュールおよび前記スタティックモジュールのインタフェースにおいて、
前記通信方式共通で使用する制御情報は、前記制御IDごとに設けられた複数の制御IDバス線を介して、前記スタティックモジュールから前記リコンフィギュラブルモジュールへ供給され、
前記通信方式固有の制御情報は、アドレスバス、データバス、および、イネーブル信号線を利用して、前記データバスを介して、前記スタティックモジュールから前記リコンフィギュラブルモジュールへ供給される、ことを特徴とするソフトウェア無線機。
【請求項2】
前記スタティックモジュールは、
前記通信方式共通で使用する制御情報が格納される第1メモリと、
前記通信方式固有の制御情報が格納される第2メモリと、
前記第1メモリに格納された前記通信方式共通で使用する制御情報を読み出して、前記制御IDごとのデータへ変換して、前記複数の制御IDバス線へ供給する第1読み出し回路と、を有し、
前記リコンフィギュラブルモジュールは、
前記第2メモリに格納された前記通信方式固有の制御情報を、前記アドレスバス、前記データバス、および、前記イネーブル信号線を利用して、アクセスする第1読み出し回路を有する、ことを特徴とする請求項
1に記載のソフトウェア無線機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソフトウェア無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア無線機は、ソフトウェアプログラムによって無線機の実行プログラムを切り替えることにより、無線機における同一のハードウェアリソースで複数の無線通信方式に対応できる無線機である。ソフトウェア無線機においては、ネットワークから所望の機能を定義したファイルをダウンロードし、パーシャルリコンフィグ技術を使用して、所望の通信方式を有したモジュールをリコンフィグすることによって、ソフトウェア無線機内のモジュールの構成を変更し、複数の無線通信方式を実現するようになる。無線通信方式が搭載されているリコンフィギュラブルモジュールは、CPUによって制御情報が送られ制御され、CPUと通信方式を搭載したリコンフィギュラブルモジュールのインタフェースは、制御情報を受け渡しするバスで接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-274300号公報
【文献】特開2006-309533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CPUと通信方式を搭載したリコンフィギュラブルモジュールのインタフェースをデータバスのみで接続してしまうと、通信方式固有の制御情報を必要とするリコンフィギュラブルモジュールを追加する際、制御情報を受け渡しするバスが存在しない為、通信方式の追加が出来なくなる。また、開発済みのリコンフィギュラブルモジュールを次期開発のソフトウェア無線機に転用する際、次期開発のソフトウェア無線機にバスが存在しない場合、開発済みのリコンフィギュラブルモジュールを使用できない。さらに、データバスを多く使用すると使用リソースが増え、配置配線が困難になり大規模なリソースを必要とするリコンフィギュラブルモジュールを使用する事が出来ず、使用できる通信方式に制限が発生する可能性がある。
【0005】
本開示の課題は、CPUとリコンフィグラブルモジュールとのハードウェアリソースのインタフェースが共通化されたソフトウェア無線機を提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0008】
すなわち、ソフトウェア無線機は、複数のハードウェアモジュールを有し、前記複数のハードウェアモジュールを制御する無線通信ソフトウェアを外部よりダウンロードして無線機機能を実現する。前記ハードウェアモジュールは、CPU、リコンフィギュラブルモジュールおよびスタティックモジュールの少なくとも一つで構成される。前記リコンフィギュラブルモジュールおよび前記スタティックモジュールとのインタフェースは所定パターンに分類して構成される。前記ソフトウェア無線機の上位から制御情報を取得する。前記制御情報は制御IDが割り振られ、前記CPUは前記制御IDのパターンから、通信方式共通の制御情報と通信方式固有の制御情報に振り分け、前記リコンフィギュラブルモジュールおよび前記スタティックモジュールのインタフェースとする。
【発明の効果】
【0009】
上記ソフトウェア無線機によれば、CPUとリコンフィグラブルモジュールとのハードウェアリソースのインタフェースを共通化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ソフトウェア無線機を説明する図である。
【
図2】
図2は、ソフトウェア無線機のソフトウェア構造を示す図である。
【
図3】
図3は、ソフトウェア無線機を構成する半導体装置を説明する図である。
【
図4】
図4は、制御IDのパターンを説明する図である。
【
図5】
図5は、制御情報の一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、メモリ装置に格納された通信方式共通の制御情報のデータ構成を示す図である。
【
図7】
図7は、メモリ装置に格納された通信方式固有の制御情報のデータ構成を示す図である。
【
図8】
図8は、通信方式を新規に開発した場合のリコンフィギュラブルモジュールの構成を説明する図である。
【
図9】
図9は、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2を新規開発のソフトウェア無線機に使用する際の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施態様、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0012】
(実施態様)
ソフトウェア無線機(100)は、CPU(1)、リコンフィギュラブルモジュール(2)およびスタティックモジュール(3)で構成される。上位から取得する制御情報には制御IDが割り振られ、CPU(1)は制御IDのパターンから、通信方式共通で使用する制御情報(5a)と通信方式固有の制御情報(5b)に振り分ける。CPU(1)とリコンフィギュラブルモジュール(2)およびスタティックモジュール(3)とのインタフェースは所定のインタフェースに分類して構成される。所定のインタフェースは2種類あり、通信方式共通で使用する制御情報(5a)を受け渡しする為のインタフェース(36、21)と、通信方式固有の制御情報(5b)を受け渡しする為のインタフェース(37、22)である。両インタフェースはメモリ装置(31、32)を用いる。
【0013】
通信方式共通で使用する制御情報(5a)はメモリ装置(31)にテーブルを持たせ、スタティックモジュール(3)とリコンフィギュラブルモジュール(2)のインタフェース(36、21)は所定のバス形式(複数の制御IDバス線)で接続する。
【0014】
通信方式固有の制御情報(5b)は、メモリ装置(32)に、総ID数、ID番号、データのテータ長(LENGTH)、データ(DATA)を書き込み、リコンフィギュラブルモジュール(2)内で、必要なバス形式(複数の制御IDバス線)に変換する。通信方式固有の制御情報(5b)において、スタティックモジュール(3)とリコンフィギュラブルモジュール(2)のインタフェース(37、22)は所定のバス形式(アドレス、データ、イネーブル)とする。
【0015】
通信方式共通で使用する制御情報(5a)を受け渡しする為のインタフェース(36、21)は、どの通信方式においても同じである為、増減はなく、通信方式が変更されても、インタフェース(36、21)の変更は不要である。
【0016】
実施態様によれば、CPU1とリコンフィギュラブルモジュール(RM)2とスタティックモジュール(SM)3とのインタフェースをパターン化することにより、インタフェースの共通化ができるので、各ハードウェアモジュールの設計が簡素化され、設計効率を向上することができる。
【0017】
また、通信方式固有の制御情報(5b)の変更が必要とされる場合、メモリ装置(32)の内部の値のみが書き変わるだけである為、アドレス、データ、イネーブルの構成は変更する必要はない。したがって、ソフトウェア無線機(100)に新たな通信方式を追加する際、CPU(1)と受け渡しする2つのインタフェース(36、21と37、22)の変更が不要となり、新規通信方式の追加が可能となる。2つのインタフェース(36、21と37、22)が共通化されているため、一度開発した通信方式を次期開発のソフトウェア無線機に使用する事が可能となり、開発効率が向上される。さらに膨大なバスを使用する必要が無いため配置配線が容易となることから、多くのリソースを必要とする通信方式を使用する事が容易となる。
【実施例】
【0018】
ソフトウェア無線技術とは、ハードウェアそのものには変更を加えることなく、制御ソフトウェアを変更することによって無線通信方式を切り替えることが可能な無線通信技術である。
図1にソフトウェア無線機100の概要を示す。ソフトウェア無線機100のハードウェアモジュールとしては、アンテナ101、高周波部102、A/D・D/A部103、デジタル信号処理部104、制御部105を含む。アンテナ101は無線周波数信号の送受信を行う。高周波部102は、アンテナ101で受信した無線周波数帯の受信信号を低周波数帯の受信信号に変換する、または低周波数帯の送信信号を無線周波数帯の送信信号に変換する。A/D・D/A部103は、受信したアナログ信号をデジタル信号に変換する、または送信するデジタル信号をアナログ信号に変換する。デジタル信号処理部104は、送信信号の符号化、受信信号の復号等の処理を行う。制御部105は、例えばソフトウェアプログラムを格納するメモリとそのメモリに格納されたソフトウェアプログラムを実行するCPUとを備え、ネットワーク106を介して制御端末107からの制御を受けるとともに、ソフトウェア無線機のハードウェアモジュールの制御を行う。
【0019】
図2にソフトウェア無線機100のソフトウェア構造を示す。
【0020】
ハードウェアモジュール220~222はそれぞれ
図1の高周波部102、A/D・D/A部103、デジタル信号処理部104に相当する。ハードウェアデバイスドライバー210~212はそれぞれ、これらのハードウェアモジュール220~222を駆動する。これらは所定のOS(Operating System)209上で動作するが、CORBA(Common Object Request Broker Architecture)ミドルウェア208により、アプリケーションとOS・ハードウェアとが分離可能とされている。
【0021】
ソフトウェア無線機100に電源投入されると、まずOS209、ハードウェアデバイスドライバー210~212、CORBAミドルウェア208が起動される。続いて、環境ソフトウェア215が起動される。環境ソフトウェア215はソフトウェア無線機100が動作するために、常時起動されている必要のあるソフトウェアプログラムであり、ユーザインタフェースソフトウェア201、ドメイン管理ソフトウェア202、ハードウェア管理ソフトウェア204、ハードウェア制御ソフトウェア205~207が含まれている。ハードウェア制御ソフトウェア205~207もそれぞれハードウェアデバイスドライバー210~212に対応して設けられ、これらを制御する上位のソフトウェアプログラムである。
【0022】
ソフトウェア無線機100の特徴として、フィルタ、変復調、等化、同期機能などの無線機能をプログラブル化し、ソフトウェアプログラムの書き換えにより無線パラメータである変調方式、送受信周波数、帯域幅、伝送速度などのシステム固有の無線機能を変更可能としている。これら書き換えられるソフトウェアプログラムが、無線通信ソフトウェア203である。このため、無線通信ソフトウェア203は電源投入時でも起動可能だが、その多くはユーザインタフェースソフトウェア201からの指示に基づいて起動する。
【0023】
ユーザインタフェースソフトウェア201は、ドメイン管理ソフトウェア202および無線通信ソフトウェア203と接続・通信する。ドメイン管理ソフトウェア202はユーザインタフェースソフトウェア201の他、ハードウェア管理ソフトウェア204と接続し、ハードウェア管理ソフトウェア204はハードウェア制御ソフトウェア205,206,207と接続する。ハードウェア制御ソフトウェア205,206,207は、無線通信ソフトウェア203とハードウェアデバイスドライバー210,211,212と接続し、無線通信ソフトウェア203はユーザインタフェースソフトウェア201とハードウェア制御ソフトウェア205,206,207と接続する。
【0024】
図3にソフトウェア無線機100を構成する半導体装置10を示す。ソフトウェア無線機100を構成する半導体装置10は、FPGA(Field Programmable Gate Array)の汎用メモリと論理回路でソフトプロセッサとして構成されるCPU1と、ハードウェア構成や結線などもプログラムによって動的に変更可能(再構成可能)なリコンフィギュラブルモジュール(RM)2と、ハードウェア構成や結線などもプログラムによって設定は可能であるが動的に変更しないスタティックモジュール(SM)3と、で構成される。この例では、CPU1およびリコンフィギュラブルモジュール2が、スタティックモジュール3に囲まれているように描かれているが、これに限定されない。CPU1、リコンフィギュラブルモジュール2、スタティックモジュール3は、半導体装置10のチップ上において、別々の領域に配置されてもよい。
図1の制御部105はCPU1を含み、デジタル信号処理部104はリコンフィギュラブルモジュール2で構成される。ハードウェアモジュールは、CPU1と、リコンフィギュラブルモジュール2および/またはスタティックモジュール3の少なくとも一つで構成される。
【0025】
CPU1は、上位モジュール4に格納された制御情報5を読み出すことができる。制御情報5は、通信方式共通で使用する制御情報5aと、通信方式固有で使用する制御情報5bと、含む。各々の制御情報5a、5bには、所定の制御IDが割り振られている。CPU1は、上位モジュール4から制御情報5を読み出した時、読み出した制御情報5内の制御IDのパターンを判別して、制御情報5を制御情報5aと制御情報5bとに振り分けて、CPU1の内部に設けられたメモリ部1aへ格納する。
【0026】
図4は、制御IDのパターンを説明する図である。
図4には、制御IDを16ビットのサイズで表現した際の一例が示されている。通信方式共通で使用する制御情報5aの制御IDのパターンは、16ビット目が「0(ゼロ)」である。一方、通信方式固有で使用する制御情報5bの制御IDのパターンは、16ビット目が「1」である。CPU1は、制御IDのパターンにおいて、16ビット目が「0(ゼロ)」であるか、16ビット目が「1」であるかを判断基準として、制御情報5aと制御情報5bとを振り分ける。制御IDを16ビットのサイズで表現した場合、通信方式共通の制御情報5aの制御IDは、最小の制御IDが0x0000であり、最大の制御IDが0x7FFFである。また、通信方式固有の制御情報5bの制御IDは、最小の制御IDが0x8000であり、最大の制御IDが0xFFFFである。
【0027】
図5は、制御情報の一例を説明する図である。制御IDのパターンにおいて、通信方式共通と示す様に、通信方式共通の制御情報5aの内容は、周波数情報設定、送信許可設定、送信出力設定を含む。周波数情報設定は、周波数の切り替えを行う制御に関する。送信許可設定は、送信の許可を行う制御に関する。送信出力設定は、送信出力のレベルの制御に関する。制御IDのパターンにおいて、通信方式固有と示す様に、通信方式固有の制御情報5bは、モード設定を含む。リコンフィギュラブルモジュール2がAM(振幅)変調を行う回路であれば、モード設定はAM変調モード設定に対応する。リコンフィギュラブルモジュール2がFM(周波数)変調を行う回路であれば、モード設定はFM変調モード設定に対応する。
【0028】
図5には、スタティックモジュール3とリコンフィギュラブルモジュール2との接続インタフェースも記載されている。通信方式共通の制御情報5aについては、制御IDバスが接続インタフェースとされ、通信方式固有の制御情報5bについては、アドレスバス、データバス、イネーブル信号が接続インタフェースとされる。つまり、制御IDのパターンに基づいて、通信方式共通の制御情報5aの接続インタフェースは制御IDバスとされ、通信方式固有の制御情報5bの接続インタフェースはアドレスバス、データバス、イネーブル信号とされている。スタティックモジュール3とリコンフィギュラブルモジュール2との接続インタフェースについては、後述する。
【0029】
図3に戻って、スタティックモジュール3の構成を説明する。スタティックモジュール3は、メモリ装置(RAM1)31と、メモリ装置(RAM2)32と、メモリ装置(RAM1)31の読み出し回路33と、バス34と、バス35と、第1インタフェース36と、第2インタフェース37と、を具備する。CPU1は、バス34を介して、通信方式共通の制御情報5aをメモリ装置31の各アドレスに制御IDごとのデータテーブルとして書き込む。メモリ装置31の内部情報は
図6に示される(
図6については、後述する)。
【0030】
メモリ装置31に書かれた制御IDごとのデータテーブルは、読み出し回路33によって読み出される。読み出し回路33は、アドレスバスAB1、データバスDB1およびイネーブル信号線EN1を利用して、メモリ装置31をアクセスし、メモリ装置31に書かれた制御IDごとのデータテーブルを読み出す。読み出し回路33は、メモリ装置31から読み出した制御IDごとのデータテーブルを、制御IDごとのデータへ変換する。
【0031】
第1インタフェース36は、複数の制御IDバス線B1~Bnを含む制御IDバスとして構成される。複数の制御IDバス線B1~Bnのおのおのは、制御ID(0x0000~0x7XXX)ごとに設けられている。つまり、複数の制御IDバス線B1~Bnは、制御ID0x0000(0x0000IDと示す)のために設けられた制御IDバス線B1~制御ID0x7XXX(0x7XXXIDと示す)のために設けられた制御IDバス線Bnによって構成される。読み出し回路33によって変換された制御IDごとのデータのおのおのは、対応する制御IDバス線B1(0x0000ID)~制御IDバス線Bn(0x7XXXID)へ供給される。第1インタフェース36は、リコンフィギュラブルモジュール2に接続されることになる。したがって、第1インタフェース36に読み出された制御情報5aは、リコンフィギュラブルモジュール2へ供給されることになる。
【0032】
CPU1は、バス35を介して、通信方式固有の制御情報5bをメモリ装置32に、総ID数、ID情報、データ(DATA)の長さ(LENGTH)、データ(DATA)として書き込む。メモリ装置32の内部情報は
図7に示される(
図7については、後述する。)メモリ装置32は第2インタフェース37に接続されている。
【0033】
第2インタフェース37は、アドレスバスAB2、データバスDB2、イネーブル信号線EN2を含む。メモリ装置32に書き込まれた制御情報5bは、第2インタフェース37を利用して読み出すことができる。第2インタフェース37は、リコンフィギュラブルモジュール2に接続されることになる。したがって、第2インタフェース37に読み出された制御情報5bは、リコンフィギュラブルモジュール2へ供給されることになる。
【0034】
リコンフィギュラブルモジュール2は、第3インタフェース21と、第4インタフェース22と、読み出し回路23と、通信方式回路24と、内部バス25と、を含む。第3インタフェース21は、第1インタフェース36に接続する為に設けられており、通信方式共通の制御情報5aを取得するためのインタフェースとされる。第3インタフェース21は、第1インタフェース36と同様に、複数の制御IDバス線C1~Cnを含む制御IDバスとして構成される。複数の制御IDバス線C1~Cnのおのおのは、制御ID(0x0000~0x7XXX)ごとに設けられている。複数の制御IDバス線C1~Cnは、制御ID0x0000(0x0000IDと示す)のために設けられた制御IDバス線C1(0x0000ID)~制御ID0x7XXX(0x7XXXIDと示す)のために設けられた制御IDバス線(0x7XXXID)によって構成される。第3インタフェース21の制御IDバス線C1(0x0000ID)~制御IDバス線C1(0x7XXXID)と第1インタフェース36の制御IDバス線B1(0x0000ID)~制御IDバス線Bn(0x7XXXID)とは、同一の制御IDのために設けられた制御IDバス線が互いに接続されることになる。したがって、第3インタフェース21には、通信方式共通の制御情報5aが供給される。
【0035】
第4インタフェース22は、第2インタフェース37に接続する為に設けられており、制御情報5bを取得するためのインタフェースとされる。第4インタフェース22は、アドレスバスAB3、データバスDB3、イネーブル信号線EN3を含む。アドレスバスAB3、データバスDB3、イネーブル信号線EN3は、第2インタフェース37のアドレスバスAB2、データバスDB2、イネーブル信号線EN2に、それぞれ接続されることになる。
【0036】
読み出し回路23は、メモリ装置32に格納された通信方式固有の制御情報5bを読み出すために設けられる。読み出し回路23は、アドレスバスAB1、AB2、データバスDB1、DB2、イネーブル信号線EN1、EN2を利用して、メモリ装置32をアクセスする。読み出し回路23は、メモリ装置32の制御情報5bが格納された先頭アドレスを読み出し、総ID数を確認し、総ID数分のデータ(DATA)を読み出し、内部バス25の形式に変換して、通信方式回路24に供給する。
【0037】
内部バス25は、複数の制御IDバス線D1~Dmを含む制御IDバスとして構成される。複数の制御IDバス線D1~Dmのおのおのは、制御ID(0x8000~0x8XXX)ごとに設けられている。つまり、複数の制御IDバス線D1~Dmは、制御ID0x8000(0x8000IDと示す)のために設けられた制御IDバス線D1~制御ID0x8XXX(0x8XXXIDと示す)のために設けられた制御IDバス線Dmによって構成される。読み出し回路23は、メモリ装置31から制御情報5bを、制御IDごとのデータへ変換し、対応する制御IDバス線D1(0x8000ID)~制御IDバス線Dm(0x8XXXID)へ供給する。
【0038】
通信方式回路24は、取得された通信方式共通の制御情報5aと通信方式固有の制御情報5bとに基づいて、周波数情報設定、送信許可設定、送信出力設定、及び、モード設定が行われ、所望の通信方式に対応するように設定される。
【0039】
リコンフィギュラブルモジュール2において、通信方式共通の制御情報5aの取得で使用する第3インタフェース21(複数の制御IDバス線C1~Cn)はどの通信方式においても同じである為、増減はなく、通信方式が変更されても、第3インタフェース21の変更は不要である。また、通信方式固有の制御情報5bは通信方式毎に異なるが、通信方式が変更されても、メモリ装置32に格納する制御情報5bの内部情報、及び、リコンフィギュラブルモジュール2の内部バス25(複数の制御IDバス線D1~Dm)の制御IDバス線の数が変更されるのみで、スタティックモジュール3とのインタフェースである第4インタフェース22の変更は不要である。
【0040】
次に、メモリ装置31に格納された通信方式共通の制御情報5aの内部情報のデータ構成を説明する。
図6は、メモリ装置に格納された通信方式共通の制御情報のデータ構成を示す図である。
図6では、縦方向にアドレスが示され、横方向にビット(BIT)数が示される。この例では、ビット(BIT)数は、0~7の8ビットである。
【0041】
データ構成11は、各制御IDに割り振られたアドレス12と、各制御IDの制御情報を示すデータ(DATA)を書き込む領域13と、を含む。例えば、制御ID0x0000のデータ(DATA)は、32ビットであり、アドレス0x0000~0x0003に書き込まれる。制御ID0x0001のデータ(DATA)は、16ビットであり、アドレス0x0004~0x0005に書き込まれる。制御ID0x0002~制御ID0xXXXXの各データ(DATA)についても、対応するアドレスに書き込まれる。たとえば、制御ID0x0000のデータ(DATA)が更新されると、アドレス0x0000~0x0003に更新データが書き込まれ、制御ID0x0001のデータ(DATA)が更新されると、アドレス0x0004~0x0005に更新データが書き込まれる。
【0042】
次に、メモリ装置32に格納された通信方式固有の制御情報5bのデータ構成を説明する。
図7は、メモリ装置に格納された通信方式固有の制御情報のデータ構成を示す図である。
図7では、縦方向にアドレスが示され、横方向にビット(BIT)数が示される。この例では、ビット(BIT)数は、0~7の8ビットである。
【0043】
データ構成14は、アドレス15の先頭に総ID数を書き込む領域16があり、その次に、制御IDの番号(ID No)を書き込む領域17、データ(DATA)のテータ長(LENGTH)を書き込む領域18、制御IDの制御情報を示すデータ(DATA)を書き込む領域19とで構成されている。この例では、領域16は、アドレス0x0000~0x0003に割り当てられる。領域17は、制御IDの番号が16ビットの場合、アドレス0x0004~0x0005に割り当てられる。領域18は、テータ長(LENGTH)を16ビットで表現する場合、アドレス0x0006~0x0007に割り当てられる。領域19は、データ(DATA)が48ビットの場合、アドレス0x0008~0x000Dに割り当てられる。領域16に書き込まれた総ID数の値分、ID番号(ID
No)、テータ長(LENGTH)、データ(DATA)の組は、領域16に書き込まれた総ID数の値分、書き込まれる。例えば、CPU1から制御情報が3つ伝送されれば、総ID数を書き込む領域16に、総ID数として3が書き込まれ、その後、ID番号(ID No)、テータ長(LENGTH)、データ(DATA)の組が、3つ書き込まれる。
【0044】
次に、通信方式を新規に開発した場合のリコンフィギュラブルモジュールの構成を説明する。
図8は、通信方式を新規に開発した場合のリコンフィギュラブルモジュールの構成を説明する図である。
図8において、リコンフィギュラブルモジュール2は開発済みの通信方式回路24を含み、新規開発したリコンフィギュラブルモジュール2Aは新規開発した通信方式回路24Aを含む。また、
図8のソフトウェア無線機100Aが
図3のソフトウェア無線機100と異なる点は、
図8のソフトウェア無線機100Aにおいて、半導体装置10に、リコンフィギュラブルモジュール(RM)2Aが追加されている点である。リコンフィギュラブルモジュール2Aは、第1インタフェース36および第2インタフェース37に接続されている。
図8のソフトウェア無線機100Aの他の構成及び動作は、
図3のソフトウェア無線機100の構成及び動作と同じであるので、説明は省略する。
【0045】
リコンフィギュラブルモジュール2Aにおいて、新規開発した通信方式回路24Aの構成は開発済みの通信方式回路24と異なるが、リコンフィギュラブルモジュール2Aの他の構成は、内部バス25Aを構成する複数の制御IDバス線の本数が変更されていることを除き、リコンフィギュラブルモジュール2と同じとされている。つまり、第3インタフェース21と第4インタフェース22と読み出し回路23と内部バス25の基本的構成は、リコンフィギュラブルモジュール2Aとリコンフィギュラブルモジュール2とで同じ構成にされている。内部バス25Aは、前述の様に、リコンフィギュラブルモジュール2の内部バス25と比較して、複数の制御IDバス線の本数が変更されている。内部バス25Aは、複数の制御IDバス線D1~Doを含む制御IDバスとして構成される。複数の制御IDバス線D1~Doのおのおのは、制御ID(0x8000~0x9XXX)ごとに設けられている。
【0046】
リコンフィギュラブルモジュール2Aの第3インタフェース21は、リコンフィギュラブルモジュール2の第3インタフェース21と同様に、スタティックモジュール3の第1インタフェース36に接続される。また、リコンフィギュラブルモジュール2Aの第4インタフェース22は、リコンフィギュラブルモジュール2の第4インタフェース22と同様に、スタティックモジュール3の第2インタフェース37に接続される。
【0047】
したがって、ソフトウェア無線機100Aの第1インタフェース36および第2インタフェース37の構成を変更することなく、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2による通信方式と、新規開発したリコンフィギュラブルモジュール2Aは新規な通信方式とをソフトウェア無線機100Aにおいて利用することができる。
【0048】
今後、複数のリコンフィギャラブルモジュールを新規に開発した場合、複数の新規開発したリコンフィギャラブルモジュールのおのおのに、第3インタフェース21および第4インタフェース22を採用する。これにより、ソフトウェア無線機(100、100A)の第1インタフェース36および第2インタフェース37の構成を変更することなく、ソフトウェア無線機(100、100A)に新規開発した複数のリコンフィギャラブルモジュール(RM)を追加することができる。これにより、ソフトウェア無線機で、新規な複数の通信方式を使用することが可能となる。
【0049】
次に、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2を、新規開発ないし次期開発のソフトウェア無線機に使用する際の構成を説明する。
図9は、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2を新規開発のソフトウェア無線機に使用する際の構成を説明する図である。
図9において、リコンフィギュラブルモジュール2は開発済みの通信方式回路24を含み、ソフトウェア無線機100Bは新規開発ないし次期開発のソフトウェア無線機とする。ソフトウェア無線機100Bのリコンフィギュラブルモジュール(RM)2Bの部分に、リコンフィギュラブルモジュール2が採用される。ソフトウェア無線機100BのCPU1およびスタティックモジュール3の構成及び動作は、
図3のソフトウェア無線機100のCPU1およびスタティックモジュール3の構成と同じであるので、説明は省略する。
【0050】
図9に示す様に、ソフトウェア無線機100Bのスタティックモジュール3は、
図3のソフトウェア無線機100のスタティックモジュール3と同様に、第1インタフェース36と、第2インタフェース37と、を有するように構成する。一方、リコンフィギュラブルモジュール2は、
図3で説明されたように、第1インタフェース36に接続する為に設けられた第3インタフェース21と、第2インタフェース37に接続する為に設けられた第4インタフェース22と、を有する。これにより、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2を、新規開発ないし次期開発のソフトウェア無線機100Bに使用することが可能となる。これにより、新規開発ないし次期開発のソフトウェア無線機100Bにおいて、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2による通信方式を利用することが可能となる。
【0051】
実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
【0052】
1)CPU1とリコンフィギュラブルモジュール2とスタティックモジュール3とのインタフェースをパターン化することにより、インタフェースの共通化ができるので、各ハードウェアモジュールの設計が簡素化され、設計効率を向上することができる。
【0053】
2)スタティックモジュール3とリコンフィギュラブルモジュール2との間において、通信方式共通で使用する制御情報(5a)を受け渡しするためインタフェース(36、21)は所定のバス形式(複数の制御IDバス線)で接続する。通信方式共通で使用する制御情報(5a)を受け渡しする為のインタフェース(36、21)は、どの通信方式においても同じである為、増減はなく、通信方式が変更されても、インタフェース(36、21)の変更は不要である。
【0054】
また、スタティックモジュール(3)とリコンフィギュラブルモジュール(2)との間において、通信方式固有の制御情報(5b)を受け渡しする為のインタフェース(37、22)は所定のバス形式(アドレス、データ、イネーブル)とする。通信方式固有の制御情報(5b)の変更が必要とされる場合、メモリ装置(32)の内部の値のみが書き変わるだけである為、アドレス、データ、イネーブルの構成は変更する必要はない。したがって、スタティックモジュール(3)とリコンフィギュラブルモジュール(2)との間のインタフェースを共通化できる。
【0055】
3)ソフトウェア無線機100Aの第1インタフェース36および第2インタフェース37の構成を変更することなく、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2による通信方式と、新規開発したリコンフィギュラブルモジュール2Aは新規な通信方式とをソフトウェア無線機100Aにおいて利用することができる。
【0056】
4)開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2を、新規開発ないし次期開発のソフトウェア無線機100Bに使用することが可能となる。これにより、新規開発ないし次期開発のソフトウェア無線機100Bにおいて、開発済みのリコンフィギュラブルモジュール2による通信方式を利用することが可能となる。
【0057】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の実施の形態によれば、CPUとリコンフィグラブルモジュールとのハードウェアリソースのインタフェースが共通化されたソフトウェア無線機に利用可能である。この出願は、2019年3月15日に出願された日本出願特願2019-049151を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【符号の説明】
【0059】
1:CPU
2:リコンフィギュラブルモジュール
21:第3インタフェース
22:第4インタフェース
23:読み出し回路
10:半導体装置
3:スタティックモジュール
31、32:メモリ装置
33:読み出し回路
36:第1インタフェース、
37:第2インタフェース
100、100A、100B:ソフトウェア無線機