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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/02 20060101AFI20220627BHJP
   H01F 29/04 20060101ALI20220627BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H01F29/02 C
H01F29/02 B
H01F29/04 502C
H01F27/02 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021560794
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2019046122
(87)【国際公開番号】W WO2021106065
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】江口 直紀
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192054(JP,A)
【文献】特開2015-106582(JP,A)
【文献】特開2008-91393(JP,A)
【文献】特表2016-524349(JP,A)
【文献】特表2017-515308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/02
H01F 29/04
H01F 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
変圧器のタンク内に配置され、変圧器本体の巻線のタップを選択するタップ選択器と、
選択された前記タップに回路を切り換える切換開閉器と、
前記切換開閉器を前記タンク内で収容し、前記切換開閉器が通過可能な油槽開口部が形成された油槽本体と、
前記油槽本体の前記油槽開口部を閉塞する油槽蓋と、
前記油槽本体から張り出し、前記タンクに接合され、前記タンクの開口部と前記油槽本体との間を閉塞するフランジと、
前記フランジに配置され、前記タンク外に配置された駆動源の動力を前記タンク内に導入する中継部と、
前記タンク内に配置され、前記中継部によって前記タンク内に導入された前記動力を前記タップ選択器および前記切換開閉器に伝達する駆動軸と、
を備え、
前記中継部は、
前記タンク内で前記駆動軸に連結されたシャフトと、
前記駆動源の前記動力が入力され、前記動力を前記シャフトに伝達する駆動部と、
前記シャフトに連結され、前記タップ選択器によって選択された前記タップの位置を表示可能に形成されたタップ指示機構と、
前記駆動部および前記タップ指示機構を収容するケーシングと、
を備える、
負荷時タップ切換器。
【請求項3】
前記タップ指示機構は、
前記シャフトの回転を伝達する歯車と、
前記歯車が組み付けられた歯車軸と、
前記歯車軸を回転可能に支持するギアケースと、
を備える、
請求項2に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項4】
前記歯車および前記歯車軸は、樹脂材料により一体形成されている、
請求項3に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項5】
前記歯車には、前記タップ選択器によって選択される前記タップの位置に対応付けられた文字および記号のうち少なくともいずれか一方が凹凸によって明示されている、
請求項4に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項6】
前記中継部は、前記タップ指示機構に表示された前記タップの位置を前記ケーシングの外側から視認可能とする透明材料により形成された覗き部を備える、
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項7】
前記駆動軸は、
前記中継部に連結される第1端部と、
前記第1端部とは反対側に位置する第2端部と、
を備え、
前記駆動軸は、前記第1端部から前記第2端部に向かうに従い前記油槽本体に近付く、
請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、負荷時タップ切換器に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷時タップ切換器は、変圧器運転中(負荷時)にタップを切り換える装置である。一般に、負荷時タップ切換器は、タップ選択器と、切換開閉器と、を有する。タップ選択器は、変圧器タップ巻線において運転するタップを選択する。切換開閉器は、選択されたタップに回路を切り換える。切換開閉器は、絶縁油と共に油槽に収容されている。油槽は、切換開閉器の取出口となる開口を閉塞する油槽蓋を備える。切換開閉器のメンテナンス時には、切換開閉器を油槽から取り出す必要がある。切換開閉器を油槽から取り出す場合、複雑な作業を要する。このため、切換開閉器のメンテナンス工数を削減することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5707071号公報
【文献】特許第6067220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、切換開閉器のメンテナンス工数を削減できる負荷時タップ切換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の負荷時タップ切換器は、タップ選択器と、切換開閉器と、油槽本体と、油槽蓋と、フランジと、中継部と、駆動軸と、を持つ。タップ選択器は、変圧器のタンク内に配置されている。タップ選択器は、変圧器本体の巻線のタップを選択する。切換開閉器は、選択されたタップに回路を切り換える。油槽本体は、タンク内で切換開閉器を収容する。油槽本体には、切換開閉器が通過可能な油槽開口部が形成されている。油槽蓋は、油槽本体の油槽開口部を閉塞する。フランジは、油槽本体から張り出している。フランジは、タンクに接合されている。フランジは、タンクの開口部と油槽本体との間を閉塞する。中継部は、フランジに配置されている。中継部は、タンク外に配置された駆動源の動力をタンク内に導入する。駆動軸は、タンク内に配置されている。駆動軸は、中継部によってタンク内に導入された動力をタップ選択器および切換開閉器に伝達する。中継部は、シャフトと、駆動部と、タップ指示機構と、ケーシングと、を持つ。シャフトは、タンク内で駆動軸に連結されている。駆動部は、駆動源の動力が入力され、動力をシャフトに伝達する。タップ指示機構は、シャフトに連結されている。タップ指示機構は、タップ選択器によって選択されたタップの位置を表示可能に形成されている。ケーシングは、駆動部およびタップ指示機構を収容する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の変圧器の一部を示す斜視図。
図2】実施形態の負荷時タップ切換器の一部を示す斜視図。
図3】実施形態の負荷時タップ切換器の一部を示す断面図。
図4】実施形態の歯車機構を示す斜視図。
図5図4のV-V線における断面図。
図6】実施形態の歯車機構の一部を示す斜視図。
図7】実施形態の歯車機構の一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の負荷時タップ切換器を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、実施形態の変圧器の概略図である。
図1に示すように、変圧器1は、図示しない変圧器本体と、変圧器本体を絶縁油と共に収容するタンク2と、タンク2に固定された負荷時タップ切換器3と、を備える。変圧器本体は、鉄心および鉄心に装着された巻線を有する。タンク2は、水平方向に延びる天板5を備える。天板5には、負荷時タップ切換器3が上方から挿入される開口部5aが形成されている。負荷時タップ切換器3は、一部をタンク2内に配置した状態で、天板5の開口部5aを閉塞している。タンク2外には、負荷時タップ切換器3に動力を付与する駆動源としての電動操作機構(不図示)が配置されている。電動操作機構は、モータを備える。電動操作機構は、負荷時タップ切換器3に連結された中継軸(不図示)を回転させて、負荷時タップ切換器3に動力を伝達する。
【0009】
図2は、実施形態の負荷時タップ切換器の一部を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、負荷時タップ切換器3は、変圧器本体の巻線のタップを選択するタップ選択器10と、選択されたタップに回路を瞬時に切り換える切換開閉器11と、切換開閉器11をタンク2内で絶縁油と共に収容する油槽12と、を備える。タップ選択器10は、タンク内2に配置されている。切換開閉器11は、タップ選択器10に対する天板5側に配置されている。油槽12は、タンク2内と油槽12内との連通を遮断している。油槽12は、変圧器本体から切換開閉器11を完全に隔離している。油槽12は、タップ選択器10を上方から支持している。
【0010】
図3は、実施形態の負荷時タップ切換器の一部を示す断面図である。
図1および図3に示すように、油槽12は、油槽本体20と、油槽蓋25と、フランジ27と、を備える。
【0011】
油槽本体20は、下端部に位置する底壁部21と、底壁部21の外周部から上方に延びる周壁部22と、を備える。底壁部21は、タンク2内に配置されている。底壁部21は、タップ選択器10と切換開閉器11との間に配置されている。底壁部21は、上方から見て円形状に形成されている。底壁部21には、伝達軸16が貫通している。伝達軸16は、上下方向に延在している。伝達軸16は、底壁部21によって回転可能に支持されている。伝達軸16は、切換開閉器11を動作させる動力を油槽12外から油槽12内に伝達する(詳細は後述)。周壁部22は、全体としておおよそ円筒状に形成されている。周壁部22は、切換開閉器11を水平方向の外側から囲っている。油槽本体20の上端部には、切換開閉器11が上下方向に通過可能な油槽開口部23が形成されている。油槽開口部23は、上方に開口している。
【0012】
油槽蓋25は、油槽開口部23を閉塞している。油槽蓋25は、上方から見て油槽本体20と同心の円形状に形成されている。油槽蓋25は、油槽本体20の上端部に上方から締結されている。油槽蓋25の外周部は、油槽本体20の周壁部22の上端部に全周にわたって密に接触している。
【0013】
フランジ27は、油槽本体20の上部から張り出すとともに油槽本体20の周囲を全周にわたって延びている。フランジ27は、水平方向に延びている。フランジ27は、タンク2の天板5に接合されている。フランジ27は、天板5に上方から締結されている。フランジ27は、上方から見て天板5の開口部5aの内周縁全体に重なっている。フランジ27は、油槽本体20を天板5の開口部5aに上方から挿入した状態で、開口部5aの周辺に全周にわたって密に接触している。フランジ27は、天板5の開口部5aと油槽本体20との間を閉塞している。フランジ27の外周縁は、上方から見てタップ選択器10の全体を囲うように形成されている。
【0014】
フランジ27は、拡幅部28を備える。拡幅部28は、フランジ27における拡幅部28以外の箇所よりも、油槽本体20から大きく張り出している。拡幅部28には、後述する歯車機構13(中継部)が挿入される貫通孔29が形成されている。貫通孔29は、フランジ27を上下方向に貫通している。貫通孔29の全体は、上方から見てタンク2の天板5の開口部5aの内側に形成されている。
【0015】
油槽12は、主に油槽主部31、油槽頭部32、および頭部蓋33を部品として組み合わせることにより形成されている。油槽主部31は、油槽本体20の上下方向中間部から下端部にわたる部分を含む。油槽主部31の全体は、タンク2内に配置される。油槽主部31は、上方に開口した円筒状に形成されている。油槽頭部32は、油槽本体20の上部、およびフランジ27を含む。油槽頭部32は、全体として円筒状に形成されている。油槽頭部32の下端部は、油槽主部31の上端部の内側に密に挿入されている。油槽頭部32における上下方向中間部には、フランジ27が配置されている。頭部蓋33は、油槽蓋25である。頭部蓋33は、油槽頭部32の上端部の開口を上方から閉塞している。
【0016】
負荷時タップ切換器3は、歯車機構13を備える。歯車機構13は、フランジ27の拡幅部28に配置されている。歯車機構13は、上方から見て油槽本体20とタンク2の開口部5aの内周縁との間に配置されている。歯車機構13には、電動操作機構の動力によって回転する中継軸がタンク2外で連結されている。歯車機構13は、電動操作機構の動力をタンク2外からタンク2内に導入する。
【0017】
図4は、実施形態の歯車機構を示す斜視図である。図5は、図4のV-V線における断面図である。
図4および図5に示すように、歯車機構13は、減速機構40(駆動部)と、シャフト45と、タップ指示機構50と、ケーシング60と、を備える。減速機構40には、電動操作機構の動力が入力される。速機構40は、電動操作機構の動力をシャフト45に伝達する。シャフト45は、タンク2内で後述する駆動軸14に連結されている。タップ指示機構50は、タップ選択器10によって選択されたタップの位置に対応する番号を表示する。タップ指示機構50は、シャフト45に連結され、シャフト45の回転に基づいて動作する。ケーシング60は、シャフト45を保持するとともに、減速機構40およびタップ指示機構50を収容する。
【0018】
図5に示すように、ケーシング60は、シャフト45を回転可能に保持する保持部61と、減速機構40が収容される第1収容部67と、タップ指示機構50が収容される第2収容部71と、を備える。
【0019】
保持部61は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。保持部61は、フランジ27の貫通孔29(図3参照)に挿入されている。保持部61と貫通孔29との間は、密に閉塞されている。保持部61の下端部は、タンク2内に臨んでいる。保持部61の内側には、シャフト45が挿通されている。保持部61の内側には、下側軸受62Aおよび上側軸受62Bが装着されている。下側軸受62Aおよび上側軸受62Bは、シャフト45を保持部61に対して回転可能に支持している。下側軸受62Aは、保持部61の下端面に形成された座ぐり63に配置されている。上側軸受62Bは、保持部61の上端面に形成された座ぐり64に配置されている。保持部61は、オイルシール65を保持している。オイルシール65は、保持部61の内周面とシャフト45の外周面との間をシールする。オイルシール65は、保持部61の上端開口と下端開口との連通を遮断している。オイルシール65は、タンク2内の絶縁油が保持部61の内側を通過することを抑制している。オイルシール65は、上下に一対配置されている。オイルシール65は、下側軸受62Aと上側軸受62Bとの間に配置されている。
【0020】
第1収容部67は、タンク2外に配置されている。第1収容部67は、減速機構40のウォームホイール42を収容するホイール収容部68と、減速機構40のウォーム41を収容するウォーム収容部69と、を備える。ホイール収容部68は、保持部61の上方に配置されている。ホイール収容部68は、保持部61に連なっている。ホイール収容部68は、有底筒状に形成され、保持部61と同軸に配置されている。ホイール収容部68の内側の底面には、保持部61の上端部が開口している。ウォーム収容部69は、ホイール収容部68に水平方向で隣接している。ウォーム収容部69は、水平の1方向に延びる筒状に形成されている(図4参照)。ウォーム収容部69の内部空間は、ホイール収容部68の内部空間に開口している。なお、第1収容部67内には、オイルシール65によってタンク2内の絶縁油の進入が規制されている。
【0021】
第2収容部71は、タンク2外に配置されている。第2収容部71は、第1収容部67の上方に配置されている。第2収容部71は、上方に開口した本体72と、本体72の上部開口を閉塞する蓋体73と、を備える。本体72は、ホイール収容部68に連なっている。本体72は、有底筒状に形成され、ホイール収容部68と同軸に配置されている。本体72の内径は、ホイール収容部68の内径よりも大きい。本体72の内側の底面には、ホイール収容部68の上端部が開口している。蓋体73は、金属材料により円板状に形成されている(図4参照)。蓋体73は、本体72から取り外し可能に形成されている。蓋体73は、本体72に上方から締結されている。
【0022】
シャフト45は、上下方向に延在している。シャフト45は、ケーシング60の保持部61に挿通されている。シャフト45は、保持部61からタンク2内に突出している。シャフト45は、保持部61から上方に突出している。シャフト45の上端面には、後述する第1歯車軸52Aの下端部が挿入される凹部46が形成されている。シャフト45の下端部には、駆動軸14に係合する係合凸部47が形成されている。係合凸部47は、下方に突出し、シャフト45の中心軸線に対して直交するように延在している。
【0023】
減速機構40は、中継軸の回転を減速してシャフト45に伝達する。減速機構40は、回転軸方向を変更して中継軸の回転をシャフト45に伝達する。減速機構40は、中継軸が連結されるウォーム41と、ウォーム41と噛み合うウォームホイール42と、を備える。ウォーム41は、一端部をケーシング60の外側に突出させた状態で、第1収容部67のウォーム収容部69に収容されている(図4も併せて参照)。ウォーム41は、水平方向に延在している。ウォーム41は、ウォーム収容部69に回転可能に保持されている。ウォーム41の一端部は、ケーシング60外で中継軸に連結されている。これにより、ウォーム41は、中継軸の回転に基づいて回転する。ウォームホイール42は、上下方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。ウォームホイール42の中心には、シャフト45が挿通される軸孔が形成されている。ウォームホイール42は、シャフト45に固定されている。これにより、シャフト45は、ウォームホイール42と一体回転する。
【0024】
図6および図7は、実施形態の歯車機構の一部を示す斜視図である。図6では、図4に示す歯車機構13から蓋体73を取り外した状態を示す。図7では、図6に示す歯車機構13から後述する上板55を取り外した状態を示す。
図6および図7に示すように、タップ指示機構50は、複数の歯車51と、各歯車51が1つずつ組み付けられた複数の歯車軸52と、複数の歯車軸52を回転可能に支持するギアケース53と、を備える。タップ指示機構50は、各部品を一体に組み合わせてユニット化した状態で、ケーシング60の第2収容部71の本体72の内側に上方から組み込むことが可能となっている。
【0025】
図5から図7に示すように、ギアケース53は、複数の歯車51の下方に位置する下板54と、複数の歯車51の上方に位置する上板55と、下板54と上板55との間に介在する複数の支柱56と、を備える。下板54は、円板状に形成されている。下板54は、ホイール収容部68の上端開口よりも大径に形成されている。下板54の外周部は、ホイール収容部68の上端開口の周囲で、第2収容部71の本体72の内側の底面に上方から載置されている。下板54の外周部は、第2収容部71の本体72の底部に締結されている。上板55は、下板54に対して間隔をあけて配置されている。上板55は、下板54と平行に配置されている。上板55の外形は、下板54の外形よりも小さい。本実施形態では、上板55は、下板54よりも小径の円板状に形成されている。上板55は、上方から見て複数の歯車51の全体に重なるように形成されている。上板55には、孔55aが形成されている。複数の支柱56は、それぞれ上下方向に同じ大きさに形成されている。各支柱56の下端部は、下板54に固定されている。各支柱56の上端部は、上板55に固定されている。これにより、下板54と上板55との間隔が維持されている。各支柱56は、下板54および上板55に対して締結されている。ただし、各支柱56と下板54および上板55との固定方法は締結に限定されない。
【0026】
図7に示すように、複数の歯車51は、ギアケース53の下板54と上板55との間に配置されている。複数の歯車51は、樹脂材料により形成されている。複数の歯車は、シャフト45(図5参照)の回転に基づいて回転する。複数の歯車は、ピニオン51Aと、減速歯車51Bと、表示歯車51Cと、を備える。ピニオン51Aは、シャフト45と同軸に配置されている。減速歯車51Bは、2段歯車であって、ピニオン51Aおよび表示歯車51Cに噛み合っている。減速歯車51Bは、ピニオン51Aの回転を表示歯車51Cに減速して伝達する。表示歯車51Cは、上方から見て上板55の孔55a(図6参照)に重なる位置に配置されている。
【0027】
表示歯車51Cの上面には、複数の数字58が明示されている。複数の数字58は、タップ選択器10によって選択されるタップの位置に対応付けられている。複数の数字58は、表示歯車51Cの上面に形成された凹凸により明示されている。例えば、凹凸は、掘り込みによって形成されている。複数の数字58は、上方から見て上板55の孔55aと重なる径方向位置において周方向に並んでいる。複数の数字58は、上方から見て上板55の孔55aから視認可能となっている。表示歯車51Cの回転位置に応じて、複数の数字58のうち上方から視認可能な数字が変化する。複数の数字58のうち視認可能な数字は、タップ選択器10によって選択されたタップの位置に対応する番号に一致する。なお、表示歯車51Cには、複数の数字58に代えて、タップの位置に対応付けられた数字以外の文字、および記号のうち少なくともいずれか一方が明示されていてもよい。
【0028】
図5および図7に示すように、複数の歯車軸52は、ピニオン51Aが組み付けられた第1歯車軸52Aと、減速歯車51Bが組み付けられた第2歯車軸52Bと、表示歯車51Cが組み付けられた第3歯車軸52Cと、を備える。第1歯車軸52Aは、ピニオン51Aと同軸に配置されている。第1歯車軸52Aは、樹脂材料によりピニオン51Aと一体形成されている。つまり、第1歯車軸52Aは、ピニオン51Aとの境界において連続性を有するようにピニオン51Aと一体化している。第1歯車軸52Aは、ピニオン51Aから上下両側に突出している。第1歯車軸52Aは、ピニオン51Aよりも下方で下板54に回転可能に支持されている。第1歯車軸52Aは、ピニオン51Aよりも上方で上板55に回転可能に支持されている。第1歯車軸52Aは、下板54よりも下方に突出している。第1歯車軸52Aの下端部は、シャフト45の凹部46に挿入されている。第1歯車軸52Aは、シャフト45に対して回転不能に設けられている。これにより、第1歯車軸52Aは、ピニオン51Aとともにシャフト45と一体回転する。第2歯車軸52Bは、樹脂材料により減速歯車51Bと一体形成されている。第2歯車軸52Bは、減速歯車51Bから上下両側に突出している。第2歯車軸52Bの下端部は、下板54に回転可能に支持されている。第2歯車軸52Bの上端部は、上板55に回転可能に支持されている。第3歯車軸52Cは、樹脂材料により表示歯車51Cと一体形成されている。第3歯車軸52Cは、表示歯車51Cから上下両側に突出している。第3歯車軸52Cの下端部は、下板54に回転可能に支持されている。第3歯車軸52Cの上端部は、上板55に回転可能に支持されている。
【0029】
図1および図4に示すように、歯車機構13は、フランジ27に対して、シャフト45の中心軸線を中心とする取付角度を変更可能とされている。これにより、ケーシング60外に突出したウォーム41の向きを変更できるので、ウォーム41に連結される中継軸の位置によらず、中継軸をウォーム41に連結できる。本実施形態では、歯車機構13は、フランジ27に対して任意の角度で取付可能となっている。歯車機構13は、いずれの角度でフランジ27に取り付けた場合であっても、上方から見て油槽蓋25に重ならないように形成されている。
【0030】
図3に示すように、負荷時タップ切換器3は、駆動軸14を備える。駆動軸14タンク2内に配置されている。駆動軸14は、電動操作機構の動力を歯車機構13からタップ選択器10および切換開閉器11に伝達する。
【0031】
駆動軸14は、油槽12の外側に配置されている。駆動軸14は、歯車機構13のシャフト45の下端部に連結された第1端部14aと、第1端部14aとは反対側に位置する第2端部14bと、を備える。第2端部14bは、第1端部14aよりも下方に配置されている。
【0032】
駆動軸14は、第1端部14aを含む軸上部80と、第2端部14bを含む軸下部81と、軸上部80と軸下部81との間に配置された中間部82と、を備える。軸上部80は、上下方向に延在し、歯車機構13のシャフト45と同軸に配置されている。軸上部80の上端面には、シャフト45の係合凸部47(図5参照)を受け入れる溝85が形成されている。溝85の側面は、係合凸部47に対してシャフト45の回転方向に係合している。これにより、軸上部80は、シャフト45と一体回転する。
【0033】
軸下部81は、上下方向に延在している。軸下部81には、タップ選択器10が連結されているとともに、切換開閉器11へ回転を伝達する歯車17が固定されている。歯車17は、伝達軸16に固定された歯車に噛み合っている。これにより、軸下部81の回転は、伝達軸16によって油槽12外から油槽12内に伝達される。軸下部81は、軸上部80よりも油槽本体20側に配置されている。これにより、駆動軸14は、第1端部14aから第2端部14bに向かうに従い油槽本体20に近付いている。
【0034】
中間部82は、軸上部80および軸下部81に連結されている。中間部82は、円筒状に形成されている。なお、中間部82は、中実に形成されていてもよい。中間部82は、軸上部80の下端部に対して第1自在継手83を介して連結されているとともに、軸下部81の上端部に対して第2自在継手84を介して連結されている。これにより、軸下部81は、軸上部80と一体回転する。中間部82は、上下方向に対して傾斜した方向に延びている。具体的に、中間部82は、第1自在継手83から第2自在継手84に向かうに従い油槽本体20に漸次近付いている。
【0035】
負荷時タップ切換器3は、支持部15を備える。支持部15は、タンク2内に配置されている。支持部15は、駆動軸14を回転可能に支持している。支持部15は、駆動軸14の軸上部80を支持する上側支持部90と、駆動軸14の軸下部81を支持する下側支持部91と、を備える。上側支持部90は、油槽本体20に固定されている。具体的に、上側支持部90は、油槽頭部32の下端部に固定されている。上側支持部90は、駆動軸14の軸上部80に装着された転がり軸受を保持している。上側支持部90は、駆動軸14の軸上部80を回転可能に支持している。下側支持部91は、油槽本体20およびタップ選択器10に固定されている(図1を併せて参照)。具体的に、下側支持部91は、油槽主部31の下部およびタップ選択器10の上部に固定されている。下側支持部91は、駆動軸14の軸下部81に装着された転がり軸受を保持している。下側支持部91は、駆動軸14の軸下部81を回転可能に支持している。
【0036】
以上に説明したように、本実施形態の負荷時タップ切換器3は、油槽本体20と、油槽蓋25と、フランジ27と、を備える。油槽本体20は、タンク2内で切換開閉器11を収容する。油槽本体20には、切換開閉器11が通過可能な油槽開口部23が形成されている。油槽蓋25は、油槽開口部23を閉塞する。フランジ27は、油槽本体20から張り出してタンク2に接合されている。このため、切換開閉器11のメンテナンス時には、油槽蓋25を油槽本体20から取り外して油槽開口部23を開放し、タンク2内の絶縁油を抜くことなく油槽本体20内の絶縁油を抜き、切換開閉器11を油槽本体20から取り出すことができる。
【0037】
ここで、負荷時タップ切換器3は、歯車機構13と、駆動軸14と、をさらに備える。歯車機構13は、フランジ27に配置されている。歯車機構13は、タンク2外に配置された電動操作機構の動力をタンク2内に導入する。駆動軸14は、歯車機構13によって導入された動力をタップ選択器10および切換開閉器11に伝達する。この構成によれば、歯車機構13を取り外すことなく油槽本体20から油槽蓋25を取り外すことができる。このため、歯車機構13および駆動軸14の脱着を要さずに、切換開閉器11を油槽本体20から取り出すことができる。したがって、切換開閉器11のメンテナンス工数を削減できる。
【0038】
ところで、油槽蓋に歯車機構が配置される従来構成では、油槽内に動力の伝達路の少なくとも一部が配置される。このため、従来構成ではタップ指示機構が油槽内に配置される場合がある。この場合、油槽の構造が複雑化する可能性がある。また、従来構成において、タップ指示機構が油槽外に配置される場合には、タップ指示機構と歯車機構との間の動力伝達路が油槽を貫通するので、タップ指示機構と歯車機構との接続構造が複雑化する可能性がある。本実施形態では、歯車機構13は、シャフト45と、減速機構40と、タップ指示機構50と、ケーシング60と、を備える。シャフト45は、タンク2外で駆動軸14に連結されている。減速機構40は、電動操作機構の動力をシャフト45に伝達する。タップ指示機構50は、シャフト45に連結されている。タップ指示機構50は、タップの位置を表示可能に形成されている。ケーシング60は、減速機構40およびタップ指示機構50を収容する。この構成によれば、減速機構40とタップ指示機構50とをまとめてユニット化して、油槽本体20および油槽蓋25の外側に配置できる。したがって、従来構成と比較して負荷時タップ切換器3の構造を簡素化でき、さらに材料費の低減を図ることができる。また、タップ指示機構50をタンク2外に配置できるので、タップ指示機構50を目視するための覗き窓をタンク2、油槽本体20または油槽蓋25に設ける必要がない。よって、負荷時タップ切換器3の構造を簡素化できる。
【0039】
タップ指示機構50は、歯車51と、歯車軸52と、ギアケース53と、を備える。歯車51は、シャフト45の回転を伝達する。歯車軸52には、歯車51が組み付けられている。ギアケース53は、歯車軸52を回転可能に支持する。この構成によれば、タップ指示機構50をユニット化できる。このため、負荷時タップ切換器3の組み立て性を向上させることができる。
【0040】
歯車51および歯車軸52は、樹脂材料により一体形成されている。この構成によれば、部品点数の削減が可能となる。したがって、材料費の低減を図ることができる。
【0041】
表示歯車51Cには、タップの位置に対応付けられた複数の数字58が凹凸によって明示されている。この構成によれば、複数の数字58を表示歯車51Cの成型時に形成できる。このため、表示歯車が金属材料により形成され、複数の数字を表面処理により形成する構成と比較して、材料費の低減を図ることができる。
【0042】
駆動軸14は、歯車機構13に連結される第1端部14aと、第1端部14aとは反対側に位置する第2端部14bと、を備える。駆動軸14は、第1端部14aから第2端部14bに向かうに従い油槽本体20に近付く。本実施形態では、歯車機構13がフランジ27に配置されているので、油槽蓋に歯車機構が配置される従来構成と比較して、歯車機構13が上方から見て油槽本体20から離れた位置に配置される。このため、仮に駆動軸を油槽本体の外面と平行に延在させると、従来構成と比較して、タンク内で負荷時タップ切換器が占有する領域が大きくなる。よって、本実施形態によれば、タンク2内で負荷時タップ切換器3が占有する領域の拡大を抑制できる。
【0043】
なお、歯車機構13の蓋体73は、覗き部として、透明材料により形成されていてもよい。この場合、蓋体73は、タップ指示機構50に表示されたタップの位置をケーシング60の外側から視認可能とする。これにより、メンテナンス時に蓋体73の開閉を行うことなくタップの位置を確認することができる。したがって、負荷時タップ切換器3のメンテナンス工数を削減できる。
【0044】
本実施形態では、フランジ27に配置され、タンク2外に配置された電動操作機構の動力をタンク2内に導入する中継部として、歯車機構13を採用している。しかしながら、中継部は歯車機構13に限定されない。例えば、中継部は、ウォームギアを備えた減速機構40に代えて、ベベルギアを備えた減速機構を採用してもよい。また、中継部は、減速機構を備えていなくてもよい。すなわち、電動操作機構の動力を減速せずにタンク2内に導入するように構成されていてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、油槽本体20が円筒状に形成されている。しかしながら油槽本体の形状はこれに限定されない。例えば、油槽本体は、上方に開口した直方体状に形成されていてもよい。
【0046】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、油槽蓋は、油槽開口部を閉塞する。フランジは、油槽本体から張り出してタンクに接合されている。歯車機構は、フランジに配置されている。歯車機構は、タンク外に配置された電動操作機構の動力をタンク内に導入する。この構成によれば、歯車機構を取り外すことなく油槽本体から油槽蓋を取り外すことができる。このため、歯車機構の脱着を要さずに、切換開閉器を油槽本体から取り出すことができる。したがって、切換開閉器のメンテナンス工数を削減できる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7