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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】流体の遮断システムおよび遮断方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/105 20060101AFI20220627BHJP
   F16L 41/06 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
F16L55/105
F16L41/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021568682
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006294
(87)【国際公開番号】W WO2021177055
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2020037588
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399130348
【氏名又は名称】株式会社水研
(73)【特許権者】
【識別番号】000231877
【氏名又は名称】日本鋳鉄管株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏之
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-225423(JP,A)
【文献】特開2009-168199(JP,A)
【文献】特開2013-199991(JP,A)
【文献】実開昭58-086991(JP,U)
【文献】米国特許第05524663(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/105
F16L 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系材料で構成された直管2と、前記直管2内の流体の流れを止める平板状のナイフゲート1とを備えた、遮断システムであって、
前記ナイフゲート1の遠位端側には前記直管2を切り開いて前記直管2の円周方向Rに細長く延びるスリット状の開口20を形成する半円弧状で山型歯を有していない滑らかな第1切レ刃13が形成され、
前記ナイフゲート1の近位端側には前記開口20を定義する前記直管2の切断面21,22に接する円弧帯状のシール部14が形成され、
前記ナイフゲート1は前記半円弧状の第1切レ刃13と円弧帯状の前記シール部14との間を連ねる一対の側縁部15,15を有し、
前記ナイフゲート1の半円弧状の第1切レ刃13および前記一対の側縁部15,15は前記直管2の内周面23に沿って前記内周面23に食い込んでおり、
前記ナイフゲート1は前記第1切レ刃13から前記シール部14まで、ならびに、前記一対の側縁部15,15の間において、第1面11と前記第1面11の反対側の第2面12とを有する平板状に形成され、
前記スリット状の開口20は前記直管1において円周方向Rに延び、
前記ナイフゲート1のシール部14は、前記開口20の円周方向Rの一方の端25から他方の端26まで延び、かつ、前記一方の端25から他方の端26まで、前記内周面23から前記直管1の最も外側の最外周面24まで延びて、前記円弧帯状に形成されており、
ここにおいて、前記一対の側縁部15,15には、それぞれ、前記第1切レ刃13に連なる第2切レ刃17が形成されており、
前記シール部14における前記開口20の一対の端25,26に接する両端は切レ刃状に尖っており、
ここにおいて、前記開口20は、前記ナイフゲート1の第1面11および第2面12に対し、前記直管2が逃げたり変形したりする余地がある状態で、
前記直管2に予め溝を切削することなく、前記第1切レ刃13のトップ13Tが前記直管2の前記最外周面24に当接し、続いて前記ナイフゲート1を往復回転させることなく、前記第1切レ刃13が前記直管2を前記最外周面24から前記直管2の内部の空間27に向かって直進して切り込んだ後切り進み、前記半円弧状の第1切レ刃13の全体が前記直管2の内周面23の半周部分に食い込んで形成されたものであり、
ここにおいて、
前記ナイフゲート1にゴムパッキンを設けずに、前記円弧帯状のシール部14が直管2の切断面に接することで流体を止水する、遮断システム。
【請求項2】
請求項1において、前記一対の側縁部15,15に形成された第2切レ刃17間の幅は、前記直管2の内径φよりも大きい、遮断システム。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、
前記直管2の一部および前記ナイフゲート1を囲繞するケース30と、
前記ケース30内に配置された前記ナイフゲート1の第1切レ刃13が前記直管1を切り開いて前記開口20を形成し、前記第1切レ刃13が前記内周面23に沿って食い込むまで前記ナイフゲート1を移動させる弁棒43とを更に備える、遮断システム。
【請求項4】
ポリオレフィン系材料で構成された直管2内の流体の流れを平板状のナイフゲート1で止める流体の遮断方法であって、
前記平板状のナイフゲート1は第1面11と前記第1面11の反対側の第2面12とを有し、
前記ナイフゲート1の遠位端側には前記直管2を切り開いて前記直管2の円周方向Rに細長く延びるスリット状の開口20を形成する半円弧状の第1切レ刃13が形成され、
前記ナイフゲート1の近位端側には前記開口20を定義する前記直管2の切断面21,22に接する円弧帯状のシール部14が形成され、
ここにおいて、前記遮断方法は、前記ナイフゲート1の第1面11および第2面12に対し、前記直管2が逃げたり変形したりする余地がある状態で、
前記直管に予め溝を切削することなく、前記第1切レ刃13のトップ13Tが前記直管2の最も外側の最外周面24に当接する工程と、
続いて、前記ナイフゲートを往復回転させることなく、前記第1切レ刃13が前記直管2を前記最外周面24から前記直管2の内部の空間27に向かって直進して切り込んだ後切り進む工程と、
前記半円弧状の第1切レ刃13の全体が前記直管2の内周面23の半周部分に食い込む工程と、
これらの工程の後において、
前記ナイフゲート1の半円弧状の第1切レ刃13が前記直管2の内周面23に食い込み、かつ、前記シール部14が前記切断面21,22に接して、前記直管2内の流体の流れを止める工程と、
ここにおいて、
前記ナイフゲート1にゴムパッキンを設けておらず、前記円弧帯状のシール部14が直管2の切断面に接することで前記流体の流れを止めることを実行する、遮断方法。
【請求項5】
請求項4において、予め、前記直管2を切削した溝を形成することなく、前記当接する工程、切り進む工程および食い込む工程を実行して、前記ナイフゲート1で前記開口20を切り開く、遮断方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記食い込む工程の後に、前記ナイフゲート1に取り付けたストッパ16が前記直管2の最外周面24に当接して、前記直管2の内周面23の半周部分に食い込んだ前記第1切レ刃13が更に切り進むのを防止する工程を備える、遮断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオレフィン系の材料からなる直管にナイフゲートを取り付けた流体の遮断システムおよび遮断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、既設や新設のポリエチレン(PE)管にナイフゲートを設置する工法や装置は公知である(特許文献1および2参照)。下記特許文献1,2に開示された発明は、予め、エンドミルで直管に有底の溝を形成して、前記直管に薄皮を形成した後、ナイフゲートが薄皮の部位を貫いて開口を形成し、ナイフゲートが直管内に侵入して、流体の流れを止める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2020/013008(図16
【文献】WO2019/167646(図16
【発明の概要】
【0004】
前記各先行技術は、予め溝を形成することを必須としている。そのため、溝を形成するためのエンドミルや電動工具などが必要になる上、工事の工程数が多く、施工時間も長くなる。
【0005】
また、前記各先行技術においては、予めエンドミルで管を切削して形成した溝と、ナイフゲートで切り開いた開口との2つの部位に対し、ナイフゲートでシールする必要がある。そのため、ゴムパッキンを固着したナイフゲートが必要になったり、止水構造が複雑になり易い。
【0006】
したがって、本発明の目的はこれらの問題を解決し得る流体の遮断システムおよび遮断方法を提供することである。
【0007】
前記各先行技術には、管を予め切削することなく、つまり管に薄皮を形成することなく、ナイフゲートで開口を切り開くことは開示されていない。
【0008】
一方、本出願人はダイカッタでPE管に細長い開口を形成することを提案した(JP2013-199991A)。しかし、この試案例では細長い角筒状のダイカッタがPE管を切り進むことができず、この試みは失敗した。以下、その理由を考察する。
【0009】
この試案例の場合、細長い角筒状のダイカッタがPE管を切り込むと、ダイカッタの刃の厚みの分だけ、PE管が逃げる必要がある。しかし、角筒状のダイカッタに囲まれたPE管の部位は変形することも、圧縮されることも難しく、そのため、ダイカッタがPE管を切り進むことができなかったものと推測される。
【0010】
本発明の遮断システムは、ポリオレフィン系材料で構成された直管2と、前記直管2内の流体の流れを止める平板状のナイフゲート1とを備えた、遮断システムであって、
前記ナイフゲート1の遠位端側には前記直管2を切り開いて前記直管2の円周方向Rに細長く延びるスリット状の開口20を形成する半円弧状の第1切レ刃13が形成され、
前記ナイフゲート1の近位端側には前記開口20を定義する前記直管2の切断面21,22に接する円弧帯状のシール部14が形成され、
前記ナイフゲート1は前記半円弧状の第1切レ刃13と円弧帯状の前記シール部14との間を連ねる一対の側縁部15,15を有し、
前記ナイフゲート1の半円弧状の第1切レ刃13および前記一対の側縁部15,15は前記直管2の内周面23に沿って前記内周面23に食い込んでおり、
前記ナイフゲート1は前記第1切レ刃13から前記シール部14まで、ならびに、前記一対の側縁部15,15の間において、第1面11と前記第1面11の反対側の第2面12とを有する平板状に形成され、
前記スリット状の開口20は前記直管1において円周方向Rに延び、
前記ナイフゲート1のシール部14は、前記開口20の円周方向Rの一方の端25から他方の端26まで延び、かつ、前記一方の端25から他方の端26まで、前記内周面23から前記直管1の最も外側の最外周面24まで延びて、前記円弧帯状に形成されている。
【0011】
一方、本発明の遮断方法は、ポリオレフィン系材料で構成された直管2内の流体の流れを平板状のナイフゲート1で止める流体の遮断方法であって、
前記平板状のナイフゲート1は第1面11と前記第1面11の反対側の第2面12とを有し、
前記ナイフゲート1の遠位端側には前記直管2を切り開いて前記直管2の円周方向Rに細長く延びるスリット状の開口20を形成する半円弧状の第1切レ刃13が形成され、
前記ナイフゲート1の近位端側には前記開口20を定義する前記直管2の切断面21,22に接する円弧帯状のシール部14が形成され、
ここにおいて、前記遮断方法は、
前記第1切レ刃13のトップ13Tが前記直管2の最も外側の最外周面24に当接する工程と、
前記第1切レ刃13が前記直管2を前記最外周面24から前記直管2の内部の空間27に向かって切り進む工程と、
前記半円弧状の第1切レ刃13の全体が前記直管2の内周面23の半周部分に食い込む工程と、
これらの工程の後において、
前記ナイフゲート1の半円弧状の第1切レ刃13が前記直管2の内周面23に食い込み、かつ、前記シール部14が前記切断面21,22に接して、前記直管2内の流体の流れを止める。
【0012】
本発明によれば、ダイカッタではなく、平板状のナイフゲートで直管に開口を切り開く。そのため、ナイフゲートの第1面および第2面に対し、直管が逃げたり変形したりする余地があり、ナイフゲートによる直管の切り込みが可能となる。
【0013】
また、本発明においては、溝を予め形成していない直管の最外周面に第1切レ刃が当接して第1切レ刃が直管を切り開く。そのため、直管に予め溝を形成する工程や工具が不必要になる。したがって、システムのコストが安く施工時間も著しく短くなる。
【0014】
また、平板状のナイフゲートの第1切レ刃および側縁部が直管の内周面に食い込み、円弧帯状のシール部が直管の切断面に接することで、流体を止水する。そのため、ナイフゲートにゴムのパッキンを設けておらず、ナイフゲートの構造が簡便になって、大幅なコストダウンが図られる。
【0015】
本発明において、ポリオレフィン系材料とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン等をいう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の遮断方法の当接する工程および切り進む工程を示す本システムの概略斜視図である。
図2図2は同じく切り進む工程および食い込む工程を示す本システムの概略斜視図である。
図3図3(a),(b)および(c)は、それぞれ、本システムの一実施例を示す概略の平面図,横断面図および縦断面図である。
図4図4は本遮断方法の一実施例を示す本システムの概略横断面図である。
図5図5は本システムの他の例を示す横断面図である。
図6図6は実験例として採用し得る本システムの横断面図である。
図7図7は同じく縦断面図である。
【0017】
図3(b)、図5(a)および図5(b)において、ナイフゲートとPE管の接触部分にはドット模様が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましいシステムにおいては、前記一対の側縁部15,15には、それぞれ、前記第1切レ刃13に連なる第2切レ刃17が形成されている。
【0019】
この場合、第1切レ刃に連なる各側縁部に第2切レ刃が形成されているため、第1切レ刃で切り込んだスリット状の開口の端に各側縁部がスムースに侵入する。
【0020】
更に好ましくは、前記シール部14における前記開口20の一対の端25,26に接する両端は切レ刃状に尖っている。
この場合、ナイフゲートのシール部14の両端の平面断面の形状は、開口20の端25,25の平面断面の形状と合致する。そのため、止水機能が高まる。
【0021】
好ましくは、前記一対の側縁部15,15に形成された第2切レ刃と第2切レ刃との間の幅は、前記直管2の内径φよりも大きい。
【0022】
この場合、一対の側縁部の第2切レ刃間の前記幅が直管2の内径よりも大きいため、ナイフゲートが直管に対して芯ズレしていても、止水が可能となる。
【0023】
好ましくは、前記直管2の一部および前記ナイフゲート1を囲繞するケース30と、
前記ケース30内に配置された前記ナイフゲート1の第1切レ刃13が前記直管1を切り開いて前記開口20を形成し、前記第1切レ刃13が前記内周面23に沿って食い込むまで前記ナイフゲート1を移動させる弁棒43とを更に備える。
【0024】
本システムはナイフゲートでPE管を止水するため、PE管を切り込む力が得られれば、必ずしも密閉ケースを必要としない。しかし、PE管を切り込むためのケースと弁棒があれば、熟練者でなくても、施工が容易になる。
【0025】
好ましい遮断方法においては、予め、前記直管2を切削して溝を形成することなく、前記第1切レ刃13のトップ13Tが前記直管2の前記最外周面24に当接する。
【0026】
この場合、直管を切削する設備や工程が不必要となり、コストダウンが図られると共に工事時間が短縮され、更に、工事が簡単で熟練者でなくても施工が可能である。
【0027】
更に好ましくは、前記食い込む工程の後に、前記ナイフゲート1に取り付けたストッパ16が前記直管2の最外周面24に当接して、前記ナイフゲート1が更に切り進むのを防止する工程を備える。
【0028】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【実施例
【0029】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0030】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
まず、遮断方法の概略について説明する。
【0031】
図1および図2は遮断方法の概略を示す。
本遮断方法は、図1(a)のナイフゲート1の第1切レ刃13のトップ13Tが直管2の最外周面24に当接する工程、図1(b)~図2(b)の切り進む工程および図2(c)の食い込む工程を含む。
なお、図1および図2においては、直管2のナイフゲート1で切断されていない面にハッチングが施されている。
【0032】
図1の直管2はPE管のようなポリオレフィン系材料で構成されている。一方、ナイフゲート1はステンレススチールのような金属やセラミックで構成されている。
【0033】
つぎに、本遮断システムの一例について説明する。
【0034】
図3(c)の直管2は均一で一様な内径φの内周面23、均一で一様な外径の最外周面24、ならびに、均一で一様な肉厚T(図3(a))を有する。すなわち、直管2は口金から押し出された樹脂パイプである。かかる直管2に開口20が形成されている。
【0035】
図3(a)に示すように、直管2にはナイフゲート1により切り開かれたスリット状の前記開口20が形成されている。図3(b)に示すように、この開口20は直管2の円周方向Rに延びている。図3(a)の前記開口20の端25,26はナイフゲート1と同様に鋭く尖った(テーパ状の)形状である。
【0036】
図3の前記ナイフゲート1は前記直管2内の内部の空間27を流れる流体の流れを止める平板状に形成されている。このナイフゲート1は第1切レ刃13、シール部14および一対の側縁部15,15を有する。
【0037】
図3(b)の前記第1切レ刃13は外方に向って凸の半円弧状で、前記ナイフゲート1の遠位端側に形成され、前記直管2を切り開いて前記直管2の円周方向Rに細長く延びるスリット状の開口20を形成する。
【0038】
前記シール部14は円弧帯状で、前記ナイフゲート1の近位端側に形成され、図3(a)の前記開口20を定義する前記直管2の切断面21,22に接する。
【0039】
図3(b)の前記一対の側縁部15,15は前記半円弧状の前記第1切レ刃13と円弧帯状の前記シール部14との間に設けられ、前記シール部14と第1切レ刃13との間を連ねる。
【0040】
前記ナイフゲート1の半円弧状の第1切レ刃13および前記側縁部15,15は前記直管2の内周面23に沿って前記内周面23に食い込んでいる。
【0041】
図3(b)の前記ナイフゲート1は前記第1切レ刃13から前記シール部14まで、ならびに、前記一対の側縁部15,15の間において、図3(a)のように、第1面11と前記第1面11の反対側の第2面12を有する平板状に形成されている。
【0042】
前述のとおり、図3(a)および(b)の前記スリット状の開口20は前記直管1において円周方向Rに延びている。一方、前記ナイフゲート1のシール部14は、前記開口20の円周方向Rの一方の端25から他方の端26まで延び、かつ、前記一方の端25から他方の端26まで、前記内周面23から前記直管1の最も外側の最外周面24まで延びて、半円弧状に形成されている。
【0043】
図3(b)において、前記一対の側縁部15,15には、それぞれ、前記第1切レ刃13に連なる第2切レ刃17が形成されていてもよい。
【0044】
図3(a)において、前記ナイフゲート1のシール部14における前記開口20の一対の端25,26に接する両端は切レ刃状に尖っている。
【0045】
図3(b)に示すように、前記一対の側縁部15,15に形成された第2切レ刃17と第2切レ刃17との間の距離は、図3(a)の前記直管2の内径φよりも大きい。
【0046】
図3(b)および(c)に示すように、前記ナイフゲート1にはストッパ16が取り付けられていてもよい。このストッパ16は第1切レ刃13が内周面23に食い込んだ後に、直管2の内周面23の半周部分に食い込んだ前記第1切レ刃13が更に切り進むのを防止する。このストッパ16は金属製で弁棒が螺合する雌ネジを備えているのが好ましい。
【0047】
つぎに、遮断方法の詳細について説明する。
【0048】
図4(a)に示すように、まず、前記第1切レ刃13のトップ13Tが直管2の最外周面24に当接する。この際、第1切レ刃13に押されて直管2は若干偏平に変形する。
【0049】
前記直管2に予め溝を切削することなく、前記第1切レ刃13のトップ13Tが前記直管2の前記最外周面24に当接する。
【0050】
続いて、図4(b)~図4(d)のように、前記第1切レ刃13が前記直管2を前記最外周面24から前記直管2の内部の空間27に向かって切り込んだ後切り進む。この切り進む際も、直管2には若干の変形が生じる。
【0051】
その後、図4(d)および(e)のように、前記半円弧状の第1切レ刃13の全体が前記直管2の内周面23の半周部分に食い込む。つまり、前記半円弧状の第1切レ刃13がその全長にわたって前記直管2の内周部23の半周部分に食い込む。
【0052】
こうして、前記ナイフゲート1の半円弧状の第1切レ刃13が前記直管2の内周面23に食い込み、かつ、図3の前記シール部14が前記切断面21,22に接して、前記直管2内の流体の流れが止められる。
【0053】
図3(b)および(c)のように、前記食い込む工程の後に、前記ナイフゲート1に取り付けたストッパ16が前記直管2の最外周面24に当接して、前記ナイフゲート1が更に切り進むのを防止する。
【0054】
図5(a)および(b)は本システムの他の例を示す。
【0055】
図5(a)のように、ナイフゲート1の一対の切レ刃状の側縁部15,15は、若干テーパを有していて、直管2を切り込む構造であってもよい。この場合、止水性能が更に高まるだろう。
【0056】
図5(b)のように、シール部14の両端に第3切レ刃18を設けてもよい。
【0057】
つぎに、遮断システムの構造の一例について説明する。
図6および図7に示すシステムは、試験用として1品のみ制作する場合に適した構造である。
【0058】
図6および図7において、密閉ケース30は直管2の一部およびナイフゲート1を水密状態で囲繞する。このケース30は第1および第2分割ケース31,32に分割されていてもよい。第2分割ケース32には弁箱33が結合されている。
【0059】
前記弁箱33内には開弁状態のナイフゲート1および弁棒43が収納されている。弁棒43は周知の構造で、前記ケース30内に配置されたナイフゲート1の第1切レ刃13が前記直管2を切り開いて前記開口20を形成し、前記第1切レ刃13が前記内周面23に沿って食い込むまで前記ナイフゲート1を移動させる。
【0060】
密閉ケース30内には第2分割ケース32と弁箱33との間を仕切る周知のオペレーションバルブ50が設けられていてもよい。オペレーションバルブ50は棒状弁でナイフゲート1が進むアクセス用のスリット51を有していてもよい。
【0061】
なお、ケース30等は鋳物製であってもよい。また、図7において、ナイフゲート1は直管2に開口20を形成した後に、弁箱33内に戻された状態で図示されている。
【0062】
本出願人は鋳物のケース((株)水研製)を改造し、図6および図7のようなナイフゲート1で直管2を切断し、止水テストを行った。その結果、ナイフゲート1で直管2(PE管)を切り開いて、第1切レ刃13が内周面23に到達するまでナイフゲート1を管内に侵入させることができることを確認した。切り粉が発生することなく、このように切り進められるのはナイフゲート1が切り進む際に、PE管が変形するためであろうと推測できる。
【0063】
また、PE管内に流体として水を満たして止水性能を確認したところ、工事に支障の生じるような漏水はなかった。
【0064】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、ナイフゲートはセラミックで形成されていてもよい。
また、ストッパを設ける必要はない。
したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のシステムおよび方法は、水道やガスなどの配管のラインにナイフゲートを挿入し、この挿入したナイフゲートにより流体の流れを止めるのに用いることができる。
また、本発明の工法は、新設の配管の他、不断流で弁挿入を行う場合にも採用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1:ナイフゲート 11:第1面 12:第2面 13:第1切レ刃 13T:トップ 14:シール部
15:側縁部 16:ストッパ 17:第2切レ刃 18:第3切レ刃
2:直管 20:開口 21,22:切断面 23:内周面 24:最外周面
25,26:端 27:内部の空間
30:ケース 31,32:第1および第2分割ケース 33:弁箱
43:弁棒
50:オペレーションバルブ 51:アクセス用のスリット
R:円周方向 T:肉厚 φ:内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7