(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】撹拌スムージー製造方法、製造容器
(51)【国際特許分類】
A47J 43/042 20060101AFI20220628BHJP
B65D 85/72 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
A47J43/042
B65D85/72 200
(21)【出願番号】P 2017007735
(22)【出願日】2017-01-19
【審査請求日】2019-12-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】土谷 滝
(72)【発明者】
【氏名】工藤 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】立木 貞史
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-024021(JP,A)
【文献】特許第3805642(JP,B2)
【文献】特開2002-080097(JP,A)
【文献】特開2012-125255(JP,A)
【文献】国際公開第86/05672(WO,A1)
【文献】特表2012-527968(JP,A)
【文献】実開昭54-143400(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/00-44/02
B65D 85/50-85/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料が収容される容器と、
前記容器に熱融着されて前記材料を前記容器内に密封するシール蓋と、
を備え、
前記容器は、内部に突出した凸部が設けられ、前記凸部が、前記容器側部の上下方向に設けられた複数の突条であり、
前記突状が設けられた部位における前記容器の平断面が6弁の花弁状であり、
前記突条は、容器高さ下側位置の1/2以上7/8以下の範囲に設けられ、
前記凸部が設けられていない部位における前記容器の平断面が円形である、
撹拌スムージー製造容器。
【請求項2】
前記容器の側部は、下側が縮径するように傾斜している、
請求項1に記載の撹拌スムージー製造容器。
【請求項3】
前記容器内径寸法に対する径方向における前記突条の突出寸法の比率が、高さ方向で底部側に向けて増加するように設定されることを特徴とする
請求項1記載の撹拌スムージー製造容器。
【請求項4】
前記容器周方向における内側輪郭が複数の円弧により形成されることを特徴とする
請求項1から3のいずれか記載の撹拌スムージー製造容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撹拌スムージー製造容器を用いてスムージーを製造する方法であって、
前記シール蓋を開封せずに前記撹拌スムージー製造容器を自転公転させて前記材料を粉砕・撹拌する撹拌工程を有する、撹拌スムージー製造方法。
【請求項6】
前記シール蓋を開封せずに前記材料を冷凍する冷凍工程を有することを特徴とする
請求項5記載の撹拌スムージー製造方法。
【請求項7】
前記冷凍工程の後に、前記シール蓋を開封せずに前記材料を軟化させる軟化工程を有することを特徴とする
請求項6記載の撹拌スムージー製造方法。
【請求項8】
前記撹拌工程の前に、前記撹拌スムージー製造容器を撹拌装置にセットする工程を有することを特徴とする、
請求項7に記載の撹拌スムージー製造方法。
【請求項9】
容器と、
前記容器内に収容された材料と、
前記容器に熱融着されて前記材料を前記容器内に密封するシール蓋と、
を備え、
前記容器は、内部に突出した凸部が設けられ、前記凸部が、前記容器側部の上下方向に設けられた複数の突条であり、
前記突状が設けられた部位における前記容器の平断面が6弁の花弁状であり、
前記突条は、容器高さ下側位置の1/2以上7/8以下の範囲に設けられ、
前記凸部が設けられていない部位における前記容器の平断面が円形であり、
前記材料は、塊状として冷凍されており、かつ材料間に隙間ができた状態で前記容器内に複数収納されている、
容器入りスムージー材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撹拌スムージー製造方法、製造容器に関し、特に、封入容器に密閉された冷凍材料を開封せずに撹拌してスムージーを製造するとともに、これを店頭などで提供する方法に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやジューススタンドといった路面店等の店頭で、野菜・果実などを粉砕混合したジュース、スープ、あるいは、アイスクリーム、ムースなどのデザートや、シェイクなどのドリンク類を提供することがある。
この場合、材料を、店頭で粉砕・撹拌・混合するために、容器内に回転刃を有するミキサーを使用していた。
ミキサーの例として、特許文献1に記載されるもの他が知られている。
【0003】
また、撹拌容器を設置して氷が含有された飲料を提供する装置として特許文献2に記載されるもの他が知られている。
このような撹拌容器を設置して、顧客等が任意に注出可能な状態で設置した場合、衛生状態が保証されていない容器が飲料の製造に用いられることも想定される。
【0004】
また、ミキサーを用いた場合には、複数種類のドリンク類を提供する際に、容器内部および回転刃をその都度洗浄する必要があるが、回転刃の取り扱いには注意を要する。
これを回避するために、回転刃を有さずに、内部に凹凸のある容器を回転させるタイプの撹拌容器等が知られている。
このような例として、特許文献3に記載される撹拌脱泡装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-186235号公報
【文献】特開2010-273639号公報
【文献】特開2013-132590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたミキサーや特許文献2に記載された飲料製造装置では、店頭での分解洗浄等の操作が必要で、その際、特にミキサーでは回転刃の取り扱いには注意を要するという問題上がった。また、これらの装置では、洗浄を店頭でおこなうために、衛生的に問題が発生する場合があるためこれを回避したいという要求があった。
さらに、氷など固い材料が入った内容物を粉砕・撹拌・混合する場合には、ミキサーの作動音がおおきくなり、店頭などの環境が悪化するという問題があった。
【0007】
また、特許文献3記載の撹拌脱泡装置では、アイスクリームやシェイクなどのドリンク類を提供する場合に、内容物から気泡が抜けて脱泡されてしまい、嵩が減る、ミキサーでつくったような気泡がないため舌触り等の食感あるいは飲用感が悪い、といった問題があるため、これを改善したいという要求があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.衛生的に管理された除隊で密封された材料を、開封せずに密閉したままの状態で店頭において粉砕・撹拌・混合して提供可能とすること。
2.店頭での洗浄作業をなくし、衛生的にドリンク類を提供可能とすること。
3.脱泡を低減し、気泡を含む食感・飲用感を維持してドリンク類を提供可能とすること。
4.内容物の嵩減りを防止すること。
5.密封材料の効率的な粉砕・撹拌・混合を可能とすること。
6.店頭における提供時間の削減を図ること。
7.ドリンク類の提供に際して、店頭などの環境悪化を防止すること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の撹拌スムージー製造容器は、材料が収容される容器と、前記容器に熱融着されて前記材料を前記容器内に密封するシール蓋とを備え、前記容器は、内部に突出した凸部が設けられ、前記凸部が、前記容器側部の上下方向に設けられた複数の突条であり、前記突状が設けられた部位における前記容器の平断面が6弁の花弁状であり、前記突条は、容器高さ下側位置の1/2以上7/8以下の範囲に設けられ、前記凸部が設けられていない部位における前記容器の平断面が円形である、ことにより上記課題を解決した。
本発明の撹拌スムージー製造容器は、前記容器内径寸法に対する径方向における前記突条の突出寸法の比率が、高さ方向で底部側に向けて増加するように設定できる。
本発明の撹拌スムージー製造容器は、前記容器周方向における内側輪郭が複数の円弧により形成されることができる。
本発明の撹拌スムージー製造方法は、上記のいずれか記載の撹拌スムージー製造容器を用いてスムージーを製造する方法であって、
前記シール蓋を開封せずに前記撹拌スムージー製造容器を自転公転させて前記材料を粉砕・撹拌する撹拌工程を有することができる。
本発明の撹拌スムージー製造方法は、前記シール蓋を開封せずに材料を冷凍する冷凍工程を有することができる。
本発明の撹拌スムージー製造方法は、前記シール蓋を開封せずに材料を軟化させる軟化工程を有することができる。
【0010】
本発明の撹拌スムージー製造容器は、内部に突出した凸部が設けられ、前記凸部が、容器側部の上下方向に設けられた複数の突条とされることにより、開封することなく材料を粉砕・撹拌して衛生的にスムージーを製造することができるとともに、必要以上に脱泡せずに嵩減りを防止して充分な材料の粉砕・撹拌によって口当たりのよいスムージーを製造することが可能となる。これにより、衛生的に管理された工場等で販売前に材料を容器に密閉し、この材料を密閉した状態を維持して容器を店頭で販売し、店頭で購入した顧客が容器を開封することなくスムージーを製造することが可能となる。
また、突条が、容器高さ下側位置の1/2以上7/8以下の範囲に設けられることにより、公転により移動距離の大きな容器下側に突条を設けることで効率的に材料を粉砕・撹拌し、短時間で充分材料を粉砕・撹拌し、口当たりのよいスムージーを製造することが可能となる。
【0011】
さらに、前記突条が設けられた部位における前記容器の平断面が6弁の花弁状であることにより、必要以上に粉砕・撹拌時間をかけることなく短時間で充分材料を粉砕・撹拌し、口当たりのよいスムージーを製造することが可能となる。
【0013】
本発明の撹拌スムージー製造容器は、前記容器内径寸法に対する径方向における前記突条の突出寸法の比率が、高さ方向で底部側に向けて増加するように設定されることにより、隣り合った突条の間に材料が挟まって粉砕・撹拌されないことを防止して、効率的に材料を粉砕・撹拌し、短時間で充分材料を粉砕・撹拌し、口当たりのよいスムージーを製造することが可能となる。
【0014】
本発明の撹拌スムージー製造容器は、前記側部が容器中心軸線に対して傾斜する角度が、容器の公転軸に対する自転軸の傾斜角度に対して、0.1°~25°の範囲となるように設定されることにより、公転における材料の突条への衝突を効率的におこなって、材料が突条に衝突する作用を大きくすることができるので、短時間で充分材料を粉砕・撹拌し、口当たりのよいスムージーを製造することが可能となる。同時に、隣り合った突条の間に材料が挟まって粉砕・撹拌されないことを防止できる。
【0015】
本発明の撹拌スムージー製造容器は、シール蓋により、密封状態を維持しつつ、容器を公転自転させて、効率的に材料を粉砕・撹拌し、短時間で充分材料を粉砕・撹拌し、口当たりのよいスムージーを製造することができる。
【0016】
本発明の撹拌スムージー製造容器は、前記容器周方向における内側輪郭が複数の円弧により形成されることにより、容器強度を維持しつつ、効率的に材料を粉砕・撹拌し、短時間で充分材料を粉砕・撹拌し、口当たりのよいスムージーを製造することができる。
【0017】
本発明の撹拌スムージー製造方法は、撹拌スムージー製造容器を開封することなく材料を粉砕・撹拌して衛生的にスムージーを製造することができるとともに、粉砕・撹拌装置を洗浄する必要が無く衛生状態を維持したまま衛生的にスムージーを提供することが可能となる。同時に、必要以上に脱泡せずに嵩減りを防止して充分な材料の粉砕・撹拌によって口当たりのよいスムージーを製造することが可能となる。これらにより、衛生的に管理された工場等で販売前に材料を容器に密閉し、この材料を密閉した状態を維持して容器を店頭で販売し、店頭で購入した顧客が容器を開封することなくスムージーを製造することが可能となる。
【0018】
本発明の撹拌スムージー製造方法は、材料を冷凍する冷凍工程を有することにより、冷凍材料を基にした衛生的で口当たりのよいスムージーを提供することができる。
【0019】
本発明の撹拌スムージー製造方法は、材料を軟化させる軟化工程を有することにより、粉砕・撹拌する撹拌工程を短縮しても材料を充分に粉砕・撹拌することを可能として、冷凍材料を基にした衛生的で口当たりのよいスムージーを提供することができる。
【0024】
本発明の撹拌スムージーの提供方法は、上記のいずれか記載の撹拌スムージー製造方法により製造されたスムージーを提供することにより、路面店などの店頭で、製造装置の洗浄をおこなうことなく、衛生状態を維持したまま、口当たりのよい他種類のスムージーを、少ない提供時間により提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、材料を封入してから密封したまま開封することなく材料を粉砕・撹拌して衛生的にスムージーを製造可能とするとともに、粉砕・撹拌装置を洗浄する必要が無く衛生状態を維持したまま衛生的にスムージーを提供可能とし、同時に、必要以上に脱泡せずに嵩減りを防止して充分な材料の粉砕・撹拌によって口当たりのよいスムージーを製造可能できるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る撹拌スムージー製造方法の第1実施形態における撹拌スムージー製造装置を示す模式図である。
【
図2】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第1実施形態におけるシールのない状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第1実施形態を示す正面図である。
【
図5】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第1実施形態を示す正断面図である。
【
図6】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第1実施形態を示す平面図である。
【
図7】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第1実施形態における寸法を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る撹拌スムージー製造方法の第1実施形態における撹拌スムージー製造装置のアダプタを示す平面図である。
【
図9】本発明に係る撹拌スムージー製造方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【
図10】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第2実施形態を示す平面図である。
【
図11】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第2実施形態を示す正面図である。
【
図12】本発明に係る撹拌スムージー製造方法の第2実施形態における撹拌スムージー製造装置のアダプタを示す模式図である。
【
図13】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第3実施形態を示す平面図である。
【
図14】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第3実施形態を示す正面図である。
【
図15】本発明に係る撹拌スムージー製造容器の第4実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る撹拌スムージー製造方法、提供方法、製造容器の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0028】
本実施形態における撹拌スムージーは、例えば、コンビニエンスストアなどの店頭で、顧客が購入する固形物や削氷などを含有する冷たい飲料等を意味する。具体的には、スムージー、シェイク、ヨーグルトドリンク、ジュース、フレッシュジュース、冷スープ、ゼリー飲料、タピオカ等粒状物を含有する飲料等が挙げられる。
【0029】
本実施形態における撹拌スムージー製造方法は、製造工場等で密封された容器を開封せずに、店頭で材料を粉砕撹拌して提供するものとされている。
【0030】
図1は、本実施形態の撹拌スムージー製造方法における撹拌スムージー製造装置を示す模式図であり、
図8は、本実施形態の撹拌スムージー製造装置における容器アダプタを示す模式図であり、図において、符号1は、撹拌スムージー製造装置である。
【0031】
本実施形態に係る撹拌スムージー製造装置1は、後述する容器20を自転公転する自転公転手段とされ、
図1に示すように、公転回転軸L1と自転回転軸L2とを備えている。垂直方向に延びる公転回転軸L1に対して、自転回転軸L2は例えば45°の角度で斜めに交差するように構成されている。公転回転軸L1と自転回転軸L2との交差角は45°に限定されるものではなく、スムージーの製造条件に合わせて適時設定することが好ましい。
【0032】
公転回転軸L1と自転回転軸L2の回転方向は反対方向に回るように設定される。例えば、公転回転軸L1が上から見て、時計方向に回転するものとすると、自転回転軸L2は上から見て反時計方向に回転する。公転回転軸L1の一端と自転回転軸L2の一端のそれぞれの延伸方向は一致している。
【0033】
撹拌スムージー製造装置1には、公転回転軸L1を軸心とする回転軸31を中心として、図示しない駆動モータの動力により回転する回転体30を有する。
回転体31の外周縁には、自転回転軸L2が回転体30に対して、0°~90°の範囲で傾斜角度を設定可能なように保持されている。
【0034】
自転回転軸L2は、図示しない駆動モータの動力がベルト、プーリー、ベアリング等を介して伝達されることにより回転する。自転回転軸L2には、アダプタ受け部15が設けられ、自転回転軸L2の回転によりアダプタ受け部15が回転される。
【0035】
回転体30には図示しないバランス錘を取り付けることもでき、バランス錘によって、回転体30を安定して回転させることが可能となる。この場合、バランス錘とアダプタ受け部15とは、公転回転軸L1を中心とする点対称の配置となるように取り付けることができる。
【0036】
回転体30を回転させると、アダプタ受け部15は、公転回転軸L1を中心に公転しながら、自転回転軸L2を中心に自転することになる。撹拌スムージー製造装置1では、駆動モータで回転体30を回転させると、アダプタ受け部15は公転しながら自転することになる。
【0037】
撹拌スムージー製造装置1は、アダプタ受け部15を所望の回転数で回転させるための調整機構をさらに備えた構成とすることも可能である(図示せず)。撹拌スムージー製造装置1は、公転回転軸L1に対する自転回転軸L2の傾斜角度を調整するための調整機構をさらに備えた構成とすることも可能である(図示せず)。
【0038】
アダプタ受け部15には、容器アダプタ(アダプタ)13が設けられ、容器アダプタ13は材料Mが投入された容器(撹拌スムージー製造容器)20を保持して回転する。
【0039】
容器アダプタ13は、
図8に示すように、容器20の外形に対応して撹拌スムージー製造容器20を同心状に保持可能な形状とされており、内周面には、後述する容器20の突条26に対応した外周面に当接するように突条13aが、突条26に対応した本数・形状として設けられている。容器アダプタ13およびこれに嵌め込まれた容器20は、自転公転時に、保持した容器20と容器アダプタ13とがガタついたり、振動してしまうことがない。
【0040】
容器アダプタ(アダプタ)13は、公転回転軸L1と自転回転軸L2とが、容器(撹拌スムージー製造容器)20の内部に位置する交点L0で交わるように撹拌スムージー製造容器20を保持する。
【0041】
撹拌スムージー製造装置1は、これら公転、および、自転によって発生する対流によって容器20内の材料M(塊状材料、液体状材料、粉末材料)を攪拌することが可能になる。
撹拌スムージー製造装置1として用いる自転公転式攪拌装置としては、例えば、株式会社シンキーのARE-310等が挙げられる。
【0042】
図2は、本実施形態の撹拌スムージー製造容器を示す斜視図であり、
図3は、本実施形態の撹拌スムージー製造容器のシールのない状態を示す斜視図であり、
図4は、本実施形態の撹拌スムージー製造容器を示す正面図であり、
図5は、本実施形態の撹拌スムージー製造容器を示す正断面図であり、
図6は、本実施形態の撹拌スムージー製造容器を示す平面図であり、図において、符号20は、撹拌スムージー製造容器である。
【0043】
本実施形態の撹拌スムージー製造容器(容器)20は、
図2に示すように、略円筒状の有底容器とされ、例えば、PET-G、PS、APET、耐寒PPから選択される樹脂からなるものとされ、上部の開口がシール蓋(蓋部)21によりシールされている。
ここで、PET-Gとは、ポリエチレンテレフタラート(PET)を共重合したものです。重合過程で第2のグリコールを追加して共重合した透明な非晶性樹脂であり、APETとは、非晶性ポリエチレンテレフタレートである。また、PSとは、ポリスチレン樹脂であり、耐寒PPとは、PPにタルクやゴム粒子等の粒子を配合したものである。これらは、いずれも本容器をシート成型で製造する際において好適に使用できるものである。
【0044】
容器20は、断面が略円筒状とされる側部22と、下端を閉塞する底部23とを有し、側部(側面)22の上側が平断面が円形とされる上側部24とされ、この上側部24より下側位置となる下側部25には、内側に突出した突条(凸部)26が上下方向に複数設けられている。
側部22の上端には、
図2,
図3に示すように、外側に延在するフランジ部22aが周設されて、シール蓋21と密着してシール可能とされている。
【0045】
シール蓋21は、フランジ部22aとシール可能なもので、容器を自転公転した際にシールを維持可能なシール性能および強度を有していればよく、例えば、PET等の樹脂フィルムにシーラントを積層したものとされる。
【0046】
側部22と底部23とは連続しており、側部22は、容器20の中心軸線20aに対して、下側が縮径するように傾斜している。側部22の最下端には、全周で縮径する段部22bが設けられている。
これにより、容器20上端のフランジ22a側に比べて容器20下端の段部22b側における径寸法が小さくなるように設定されている。
【0047】
この側部22の傾斜角θ1は、
図4に示すように、0.1°~20°の範囲で傾斜するように設定されている。
これにより、側部22が容器中心軸線20aに対して傾斜する角度が、撹拌時に、撹拌スムージー製造装置1の公転回転軸L1に対する自転回転軸L2の傾斜角度に対して、0.1°~25°の範囲となるように設定されることになる。
【0048】
なお、段部22bは、中心軸線20aと平行にすることもできる。
側部22の上側部24と下側部25とは、フランジ部22aと略平行な段部22cにより接続されている。
【0049】
この側部22の傾斜、および、段部22bの形成により、公転により移動距離の小さな容器20上側に比べて、相対的に公転により移動距離の大きな容器20下側において、材料Mが側部22に接触・衝突する比率が高くなり、粉砕・撹拌を積極的におこなうことが可能となる。
【0050】
底部23は、
図5に示すように、その中央部分に周縁よりも上側位置となる円形の凸底部23aが設けられている。
また、底部23は、
図6に示すように、突条26の形成された下側部25にあわせて、花弁状に形成されている。
【0051】
下側部25においては、周方向に均等な間隔で内側に突出する凸部となる突条26が6本設けられており、底部23輪郭が6弁となる。
【0052】
突条26が設けられることにより、容器20が自転するときに、突条26に材料Mが衝突して粉砕されるとともに、容器20が自転するときに、上向きと横向きに内容物(材料)Mの流れが発生して攪拌が行われる。すなわち、突条26が回転するときに発生する流れ、およびその流れによって自転公転による規則的な対流を分散させて材料を混合することができる。
【0053】
突条26は、いずれも、段部22bの直上とされる下側部25の下端位置から、下側部25の上位置となる段部22cまで、いずれも均等な高さ寸法となるように上下方向に延在して連続するように設けられる。
突条26の設けられる下側部25の範囲は、容器20の高さにおける下側位置の1/2以上7/8以下の範囲として設定されることができる。
【0054】
下側部25においては、隣り合った突条26の間となる間部25aが、容器20内径よりも曲率半径の小さな円弧状の平断面とされており、その曲率が下側部25の下端から上端に向けて大きくなるように設定され、突条26としての内部突出寸法が、下側部25の下端から上端まで、ほぼ均等になるように設定されている。
【0055】
ここで、間部25aの曲率半径と、容器20の曲率半径との比率は、2/3~1/5の範囲となるように設定されることができ、好ましくは、1/2~1/4の範囲となるように設定される。
【0056】
間部25aの曲率半径は、高さ方向で上から下に向けて、小さくなるように設定される。
隣り合った突条26の中央位置における間部25aは、その上端が上側部24と面一となるように設けられている。
間部25aの外周側が容器アダプタ13に当接することで、自転公転時における容器20の容器アダプタ13への位置固定および回転駆動力の伝達をおこなうことができる。
【0057】
突条26の最内側は、円弧状の平断面となる間部25a端部どうしを滑らかに接続するように上下方向に位置する稜線として形成されている。また、6本の突条26は、いずれも同一形状として形成されており、いずれの突条26も平面視して、中心軸線20aに対して点対称となるように設けられている。なお、1本おきに突条26の突出寸法を変化させ、容器20の周方向に全体として点対称な形状とすることや、間部25aと突条26との間が滑らかでなく、角部を有する形状とされることもできる。この場合でも、後述するように材料Mに対する粉砕・撹拌・混合処理における状態を考慮してその形状が設定される。
【0058】
ここで、突条26の突出寸法とは、ある高さ位置において、複数の突条26でもっとも中心軸線20aに近接する部分を通る円の半径寸法と、その高さにおける下側部25の最外位置から中心軸線20aへの半径寸法との差を意味するものとされる。
したがって、突条26の内側突出寸法は、傾斜面とされる側部22に対して、それぞれの容器20高さ位置で所定の寸法となるように設定される。
【0059】
例えば、突条26の突出寸法、つまり、側部22の傾斜面からの内側への突出寸法が、容器20の高さによらず、一定となるように設定されることができる。この場合、側部22が上から下に向けて縮径しているため、突条26は、側部22の傾斜面からの内側への突出寸法が、その高さにおける容器20内径寸法(最大内直径)に対する比率が、高さ方向でフランジ22a側から底部23側に向けて増加するように設定されることになる。
【0060】
さらに、容器20径方向における突条26の突出寸法そのものが、高さ方向でフランジ22a側から底部23側に向けて積極的に増加するように設定することもできる。
これにより、公転により移動距離の小さな容器20上側における突条26の突出寸法に比べて、相対的に公転により移動距離の大きな容器20下側における突条26の突出寸法が大きくなる。
【0061】
あるいは、容器20径方向における突条26の突出寸法が、下側部25の上側位置に比べて、下側部25の下側位置では大きくなるように、高さ方向で異なる領域を有するように設定することもできる。
これにより、公転により移動距離の小さな容器20上側における突条26の突出寸法に比べて、相対的に公転により移動距離の大きな容器20下側における突条26の突出寸法が大きくなり、材料Mの粉砕・撹拌を積極的におこなうことが可能となる。
【0062】
突条26の容器径方向における突出寸法は、容器内径寸法に対して0.02~0.15の範囲とされることができる。
【0063】
図7は、本実施形態の撹拌スムージー製造容器の寸法の一例を示す正面図である。
本実施形態の撹拌スムージー製造容器20においては、
図7に示す各寸法を、以下のように設定することができる。
【0064】
<例1>
フランジ部22a外径寸法t1;92mm
フランジ部22a内径寸法t2;84mm
容器高さ寸法t3;99mm
下側部25上端高さ寸法t4;53mm
段部22b高さ寸法t5;7mm
段部22b上端外径寸法t6;53.7mm
段部22b下側外径寸法t7;53.4mm
下側部25下端外径寸法t8;56.5mm
なお、図示されていないが、突条26の内側への突出寸法を5mmとすることができる。
【0065】
<例2>
フランジ部22a外径寸法t1;88mm
フランジ部22a内径寸法t2;80mm
容器高さ寸法t3;97.5mm
下側部25上端高さ寸法t4;67mm
下側部25下端外径寸法t8;52.34mm
なお、図示されていないが、突条26の内側への突出寸法を5mmとすることができる。
【0066】
以下、本実施形態における撹拌スムージー製造方法について図面に基づいて説明する。
【0067】
図9は、本実施形態における撹拌スムージー製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態における撹拌スムージー製造方法は、
図9に示すように、容器形状設定工程S01と、冷凍工程S02と、密閉工程S03と、保存工程S04と、軟化工程S05と、セット工程S06と、撹拌工程S07と、を有するものとされる。
【0068】
本実施形態における撹拌スムージー製造方法において、
図9に示す容器形状設定工程S01は、提供するスムージーの材料Mを容器20に密閉するに当たって、この材料Mが塊状とされ、その最長径寸法に対して、突条26の突出寸法、突条26の本数、間部25aの曲率半径、下側部25の高さ寸法、側部22の傾斜角度θ1、フランジ部22a内径寸法等をそれぞれ最適化するように設定するものとされる。この際、材料の種類(材質、および、液状か固体状か粉末状かなど)、硬さ(粉砕しやすさ)、空気含有率、等に対応して、容器20形状を設定することになる。
【0069】
ここで、塊状の材料Mの最長径寸法とは、容器20に収納される塊状材料Mのうち、その最大のものの径寸法を意味する。したがって、複数種類の材料Mを密閉する場合には、そのうちの最大のものに対して、容器20形状を設定することになる。
つまり、複数種類のスムージーに対応して同一の容器20を使用する場合には、これらのすべてに対応可能な容器20形状とする。
また、このとき、それぞれの材料Mの最長径寸法が、いずれも0.2mm~底面23の径寸法の半分以下の範囲となるように設定することができる。
【0070】
次いで、
図9に示す冷凍工程S02として、容器形状設定工程S01で設定した容器20に収納する材料Mを冷凍しておく。材料Mとしては、生フルーツ、冷凍フルーツ、カットフルーツ、野菜、氷、砕氷、粒氷、クラッシュアイス、シャーベット、アイスクリーム、ヨーグルト、牛乳、生クリーム、カスタードクリーム等のペースト、砂糖その他調味料や香辛料などの粉体等、を挙げることができる。また、材料Mが1種類、または、2種類以上とされることができる。
【0071】
なお、材料Mとしては、気泡を含むことができるが、材料Mそのものは気泡を含まないこともできる。また、材料Mは、塊状として冷凍されることが好ましく、容器20内に複数収納された際に塊状の材料M間に、隙間ができた状態とされることが好ましい。
また塊状の材料Mの最長径寸法に対して、隣り合った突条26の間隔、つまり、間部25aの幅寸法が異なる寸法となるようにすることが好ましい。
【0072】
次いで、
図9に示す密閉工程S03として、工場等の衛生状態を管理可能な場所において、冷凍工程S02で冷凍した材料Mを容器20内部に収納する。このとき、容器20高さに対して所定の比率の嵩高さとなるように材料Mを容器20内部に収納する。
なお、このとき、冷凍した塊状の材料Mに、調味料などの粉末材料を追加して同封することなども可能である。
【0073】
その後、シール蓋21をフランジ部22aに加熱処理等することによって密着させて、容器20を密閉する。この密閉工程S03においては、材料Mが冷凍状態を維持していることが好ましい。
また、密閉工程S03において、容器20内の材料Mが容器20の高さ寸法に対して、1/2以上7/8以下の範囲となるように密閉されることができる。
密閉工程S03終了時に、塊状の材料M間に隙間が存在して、互いに多少移動可能な状態とされていることが好ましい。
【0074】
次いで、
図9に示す保存工程S04として、例えば、冷凍倉庫における保管、冷凍トラックなどによる店舗までの配送等として、所定の保存温度に設定して材料Mの収納された容器20を保存する。
保存工程S04における保存温度としては、流通状態での設定温度である-18℃以下、好ましくは、-20℃~-30℃程度に設定されることができる。
【0075】
次いで、
図9に示す軟化工程S05として、スムージーを販売する店舗などにおける保管、冷凍トラックなどによる店舗までの配送等として、所定の軟化温度に設定して材料Mの収納された容器20を保存する。
【0076】
軟化工程S05における軟化温度としては、保存工程S04における保存温度よりも高い-10℃~以下、好ましくは、-14℃~-5℃程度、または、-5℃~-10℃程度に設定されることができる。軟化工程S05における軟化温度としては、撹拌工程S07における撹拌を容易にできる温度でかつ衛生状態を維持できる温度であればよく、この条件を見てしていれば、上記の温度範囲に限定されるものではない。
【0077】
なお、この軟化工程S05における温度管理は、軟化手段として、店舗に設置された調温庫内に容器20を保管することにより温度管理が可能となる。あるいは、軟化手段として、軟化温度に設定された店舗内の陳列棚に容器20を陳列することで温度管理が可能となる。または、軟化手段として、配送トラック等における温度設定を軟化温度にすることもできる。
【0078】
さらに、軟化工程S05における処理としては、保存温度として保管された容器20および材料Mを、コンビニエンスストア等の店頭に設置された電磁調理器(電子レンジ)等による加熱手段を利用することにより積極的に加熱(加温)して、軟化温度まで温度状態を上昇させることも可能である。この場合、加熱手段が軟化手段とされる。
【0079】
次いで、
図9に示すセット工程S06として、スムージーを購入希望の顧客が支払いを済ませた後、顧客本人、あるいは、店舗の店員が、渡された容器20を店頭に設置された撹拌スムージー製造装置1の容器アダプタ13内にセットする。容器アダプタ13は、容器20の外形に対応した形状とされている。具体的には、容器20の突条26に対応した凹凸としての突条13aが容器アダプタ13内部に形成されている。このため、この突条13aに沿って容器20を容器アダプタ13内の所定位置に載置することが可能となるとともに、次の撹拌工程S07において容器20がガタついたり、振動してしまうことがない。
【0080】
このとき、容器20の密閉は維持された状態であり、衛生的に良好な状態が維持されている。また、撹拌スムージー製造装置1の容器アダプタ13には、容器20の外側のみが当接し、容器20の内側、あるいは、材料Mが直接当接することがない。
【0081】
次いで、
図9に示す撹拌工程S07として、撹拌スムージー製造装置1を動作させて、容器20を内部の材料Mごと撹拌・粉砕・混合する。
このとき、撹拌条件として、公転数が500~2000rpmの範囲、自転数が300~1000rpmの範囲、また、公転軸に対する自転軸の傾きが0°以上90°以下の範囲とされることができる。
【0082】
上記の撹拌条件とすることで、嵩減りを低減して、容器20の2/3程度まで充填されたスムージーを、撹拌時間を3分以下、好ましくは、1分以下、さらに、1分程度とすることができる。なお、製造されたスムージーの嵩高さは、密閉された材料Mの嵩高さに対して、嵩減りの割合が5~50%、好ましくは、10~35%とされることができる。
【0083】
ここで、撹拌工程S07においては、容器20を自転公転させているため、材料Mには、公転回転軸L1回りの運動と、自転回転軸L2回りの運動とが発生する。同時に、材料Mには、突条26によって打撃反射されることで、ランダムな運動が発生する。これらの加わった材料Mが、さらに容器20やシール蓋21に対して衝突する。
【0084】
このとき、公転回転軸L1と自転回転軸L2とが、容器(撹拌スムージー製造容器)20の内部に位置する交点L0で交わるように設定されているため、
図1に示すように、公転回転軸L1に対して底部23に近い側とその反対側とに位置するフランジ部22a付近において、撹拌スムージー製造容器20内で撹拌される材料Mに対する作用力が、逆向きになる。
【0085】
つまり、
図1において、公転回転軸L1よりも右側の低い位置にあるフランジ部22a付近では、容器20内で撹拌される材料Mに対する作用力が、図中矢印CF1として示すように右向きとなる。これに対して、
図1において、公転回転軸L1よりも左側の高い位置にあるフランジ部22a付近では、容器20内で撹拌される材料Mに対する作用力が、図中矢印CF2として示すように左向きとなる。
【0086】
これにより、スムージーを店頭で撹拌して製造し、顧客に提供することが可能となる。この後、製造されたスムージーを顧客は、シール蓋21をはがして開封する、あるいは、シール蓋12にストローなどを突き刺してこれを飲用に供することができる。
【0087】
本実施形態の撹拌スムージー製造容器20を用いた、撹拌スムージー製造方法、撹拌スムージー提供方法においては、撹拌スムージー製造容器20の内部に密封した材料Mを、密封状態を維持したまま自転公転させて粉砕・撹拌することで、衛生的に管理された状態でスムージーを製造することを可能とすることができる。同時に、上記の撹拌スムージー製造容器20を用いることにより、過度に脱泡することなく、適度に気泡を含んだ状態でスムージーを製造することができる。これにより、嵩減りすることなく口当たりのよいスムージーを提供することができる。
【0088】
本実施形態においては、店頭に設置されたミキサー等の装置洗浄などの作業をおこなうことが必要ないため、他種類のスムージーを提供する際でも、そのトータルの作業時間を極めて短縮することができる。
例えば、3種類のスムージーをそれぞれ顧客に提供する場合でも、必要な作業時間を一日当たり、3~6時間削減することが可能となる。
【0089】
また、軟化工程S05により、保存工程S04よりも材料Mを軟化させた状態で撹拌工程S07をおこなうことができるため、撹拌工程S07にかかる時間を短縮し、スムージーを短時間に所望の状態として製造することが可能となる。同時に,上記のように撹拌条件を設定することにより、撹拌スムージー製造装置1による撹拌時に発生する騒音としての動作音を低減して、店頭などの提供場所における環境悪化を防止することが可能となる。
【0090】
さらに、上記の撹拌スムージー製造容器20、および、容器20の外形に対応した内部形状を有する容器アダプタ13を用いることで、日常での使用に比べて大きな力のかかる撹拌工程S07においても、容器20の破損、シール漏れ等の発生を防止して、スムージーを提供することができる。
【0091】
また、撹拌スムージー製造容器20における突条26等の形状を上記のように設定することで、材料Mを好適に撹拌・粉砕・混合し、嵩減りすることなく適度に気泡を含んだ口当たりのよいスムージーを提供することができる。
【0092】
以下、本発明に係る撹拌スムージー製造方法、提供方法、製造容器の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図10は、本実施形態における撹拌スムージー製造容器を示す平面図であり、
図11は、本実施形態における撹拌スムージー製造容器を示す正面図であり、
図12は、本実施形態における撹拌スムージー製造装置におけるアダプタを示す平面図である。
本実施形態において上述した第1実施形態と異なるのは突条26の数に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
本実施形態においては、下側部25において、突条26が四本とされている。
【0094】
本実施形態の撹拌スムージー製造容器20においては、
図7に示した各寸法に対応した数値を、以下のように設定することができる。
<例3>
フランジ部22a外径寸法t1;88mm
フランジ部22a内径寸法t2;80mm
容器高さ寸法t3;97.5mm
下側部25上端高さ寸法t4;67mm
下側部25下端外径寸法t8;52.34mm
なお、図示されていないが、突条26の内側への突出寸法を5mmとすることができる。
【0095】
本実施形態においては、上述した第1実施形態に比べて、比較的大きな寸法とされる塊状の材料Mを用いて、スムージーを製造することができる。
この際、撹拌工程S07における撹拌条件として、公転数が500~2000rpmの範囲、自転数が300~1000rpmの範囲、また、公転軸に対する自転軸の傾きが0°以上90°以下の範囲とされることができる。
上記の撹拌条件とすることで、撹拌時間を3分以下、好ましくは、1分以下、さらに、1分程度とすることができる。
【0096】
本実施形態によれば、第1実施形態と同等の効果を奏することができるとともに、さらに、口当たりのよいスムージーを提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【0097】
以下、本発明に係る撹拌スムージー製造方法、提供方法、製造容器の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図13は、本実施形態における撹拌スムージー製造容器を示す平面図であり、
図14は、本実施形態における撹拌スムージー製造容器を示す正面図である。
本実施形態において上述した第1および第2実施形態と異なるのは突条26の数に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
本実施形態においては、
図13,
図14に示すように、下側部25において、突条26が二本とされており、底部23が2弁の形状となっている。
【0099】
本実施形態の撹拌スムージー製造容器20においては、
図7に示した各寸法に対応した数値を、以下のように設定することができる。
<例4>
フランジ部22a外径寸法t1;88mm
フランジ部22a内径寸法t2;80mm
容器高さ寸法t3;97.5mm
下側部25上端高さ寸法t4;67mm
下側部25下端外径寸法t8;52.34mm
なお、図示されていないが、突条26の内側への突出寸法を5mmとすることができる。
【0100】
本実施形態においては、上述した第1および第2実施形態に比べて、さらに大きな寸法とされる塊状の材料Mや、軟化工程における軟化時間を長くした場合など、比較的柔らかい材料Mを用いて、スムージーを製造することができる。
この際、撹拌工程S07における撹拌条件として、公転数が500~2000rpmの範囲、自転数が300~1000rpmの範囲、また、公転軸に対する自転軸の傾きが0°以上90°以下の範囲とされることができる。
上記の撹拌条件とすることで、撹拌時間を3分以下、好ましくは、1分以下、さらに、1分程度とすることができる。
【0101】
本実施形態によれば、第1および第2実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0102】
以下、本発明に係る撹拌スムージー製造方法、提供方法、製造容器の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図15は、本実施形態における撹拌スムージー製造容器を示す斜視図である。
本実施形態において上述した第1ないし第3実施形態と異なるのは突条26の形状に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0103】
本実施形態においては、
図15に示すように、側部22において、突条26に挟まれた間部25aが上側部24と連続して傾斜した円弧とされ、突条26が下側部25における周方向から中心軸線20aに向けて屈曲して内側に突出した形状とされている。ここで、突条26の周方向寸法としては、6~10mmとすることができる。
【0104】
また、段部22bが設けられず、下側部25が容器の下端まで設けられて、底部23の輪郭形状は、円形から突条26の部分が、切り欠かれたように形成されている。
【0105】
本実施形態の撹拌スムージー製造容器20においては、
図7に示した各寸法に対応した数値を、以下のように設定することができる。
<例5>
フランジ部22a外径寸法t1;88mm
フランジ部22a内径寸法t2;80mm
容器高さ寸法t3;97.5mm
下側部25上端高さ寸法t4;67mm
下側部25下端外径寸法t8;52.34mm
なお、図示されていないが、突条26の内側への突出寸法を6mmとすることができる。
【0106】
本実施形態においては、上述した第1ないし第3実施形態と同等の撹拌条件とすることができる。
【0107】
本実施形態によれば、第1ないし第3実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0108】
なお、上記の各実施形態における容器形状設定工程S01時における材料Mとして、(a)マンゴー、(b)砕氷の下に冷果、(c)かぼちゃ、(d)ミカン(房)、(e)トマト、(f)ブルーベリー、これ以外にも、桃、柿、オレンジ、パイナップル、グレープフルーツ、イチゴ、などを用いることができる。
【符号の説明】
【0109】
1…撹拌スムージー製造装置
15…アダプタ受け部
13…容器アダプタ(アダプタ)
20…撹拌スムージー製造容器(容器)
20a…中心軸線
21…シール蓋(蓋部)
22…側部
22a…フランジ部
22b…段部
22c…段部
23…底部
24…上側部
25…下側部
25a…間部
26…突条(凸部)
30…回転体
31…回転軸
L1…公転回転軸
L2…自転回転軸
M…材料