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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】階段昇降体験装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/02 20060101AFI20220628BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20220628BHJP
   E04F 11/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
E04F11/02
G09B9/00 K
E04F11/00 200
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017091062
(22)【出願日】2017-05-01
(65)【公開番号】P2018188847
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】飯島 進也
(72)【発明者】
【氏名】並木 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】及川 和幸
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-172169(JP,A)
【文献】特開2000-172164(JP,A)
【文献】特開平10-273956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/17
G09B 9/00、25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上り方向又は下り方向のいずれか一方向に進行させる階段昇降体験装置であって、
基台部と、
前記基台部に対して段差を有して階段状に取り付けられる複数の踏板部と、
を備え、
前記上り方向に進行させる上り階段の場合には、上り開始部と、上り中間部と、上り終了部とのうち、前記上り終了部のみに、前記基台部に対して交換可能に取り付けられる踏板ユニットが有する踏板部が備えられ、
前記下り方向に進行させる下り階段の場合には、下り開始部と、下り中間部と、下り終了部とのうち、前記下り終了部のみに、前記基台部に対して交換可能に取り付けられる踏板ユニットが有する踏板部が備えられ、
前記踏板ユニットの踏板部の鉛直下部に設けられた高さ調整部材と前記基台部とが接する面である当接面と、当該踏板ユニットの踏面との間隔である踏面間隔を、交換前の踏板ユニットの前記踏面間隔と異ならせることにより、前記踏板ユニットが有する踏板部の踏面の高さと、他の前記踏板部の踏面の高さとが互いに異なる
階段昇降体験装置。
【請求項2】
側板部をさらに備え、
前記側板部の上端部は、非直線形状の輪郭を有する、
請求項に記載の階段昇降体験装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の階段昇降体験装置の使用方法であって、
交換可能に構成されている踏板部を交換することによって、交換の前後で踏面の高さを変更する、
階段昇降体験装置の使用方法。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の階段昇降体験装置の使用方法であって、
交換可能に構成されている踏板部を交換することによって、交換の前後で踏面の傾斜を変更する、
階段昇降体験装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、階段昇降体験装置およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、踏面の長さ、蹴上げの高さを可変とした階段装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1の階段装置は、隣接する踏板の水平方向の間隔(踏面の長さ)および/または鉛直方向の間隔(蹴上げの高さ)を増減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-273956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の階段装置では、隣接する踏板の水平方向の間隔(踏面の長さ)および/または鉛直方向の間隔(蹴上げの高さ)を増減するために、踏板スライド手段、踏板送り手段、踏板昇降手段などが設けられている。そのため、特許文献1の階段装置では、装置全体が大型化してしまう。
ところで、階段昇降時に発生する災害には、例えば、階段の使用者が、階段昇降時に、つまずくこと、空足を踏むことなどがある。階段昇降時の災害を抑制するためには、一般に、階段昇降時の注意事項、階段昇降時の災害事例等を確認することが、机上において行われている。一方、それらの確認を机上において行うよりも、階段の使用者に階段を実際に昇降させることによって、つまずきなどを擬似的に体験させる方が、階段昇降時の災害を効果的に抑制できると考えられる。
しかしながら、従来においては、階段の使用者につまずきなどを擬似的に体験させることができる体験装置が存在しなかった。そのため、階段昇降時の災害を十分に抑制することができなかった。
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、階段昇降時の災害を十分に抑制することができる階段昇降体験装置およびその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上り方向又は下り方向のいずれか一方向に進行させる階段昇降体験装置であって、基台部と、前記基台部に対して段差を有して階段状に取り付けられる複数の踏板部と、を備え、前記上り方向に進行させる上り階段の場合には、上り開始部と、上り中間部と、上り終了部とのうち、前記上り終了部のみに、前記基台部に対して交換可能に取り付けられる踏板ユニットが有する踏板部が備えられ、前記下り方向に進行させる下り階段の場合には、下り開始部と、下り中間部と、下り終了部とのうち、前記下り終了部のみに、前記基台部に対して交換可能に取り付けられる踏板ユニットが有する踏板部が備えられ、前記踏板ユニットの踏板部の鉛直下部に設けられた高さ調整部材と前記基台部とが接する面である当接面と、当該踏板ユニットの踏面との間隔である踏面間隔を、交換前の踏板ユニットの前記踏面間隔と異ならせることにより、前記踏板ユニットが有する踏板部の踏面の高さと、他の前記踏板部の踏面の高さとが互いに異なる階段昇降体験装置である。
【0009】
本発明の一態様の階段昇降体験装置において、側板部をさらに備え、前記側板部の上端部は、非直線形状の輪郭を有する。
このように構成することで、側板部の上端部が直線形状である場合よりも、階段昇降体験装置の使用者が、交換用踏板ユニットの踏板部の踏面が高くなっていたり、傾斜していたりすることに気付いてしまうおそれを抑制することができる。
【0010】
本発明の一態様は、本発明の一態様の階段昇降体験装置の使用方法であって、交換可能に構成されている踏板部を交換することによって、交換の前後で踏面の高さを変更する、階段昇降体験装置の使用方法である。
【0011】
本発明の一態様は、本発明の一態様の階段昇降体験装置の使用方法であって、交換可能に構成されている踏板部を交換することによって、交換の前後で踏面の傾斜を変更する、階段昇降体験装置の使用方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、階段昇降時の災害を十分に抑制することができる階段昇降体験装置およびその使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の階段昇降体験装置の一例を概略的に示す正面図である。
図2図1の左側から見た階段昇降体験装置の概略的な斜視図である。
図3】基台部を説明するための図である。
図4】交換できない蹴込板部、踏板部などが基台部に取り付けられた状態を示す図である。
図5】蹴込板部、踏板部、踊り場踏板部、踏板ユニットなどが基台部に取り付けられた状態を示す図である。
図6図5に示す踏板ユニット、交換用踏板ユニットなどの拡大図である。
図7図5に示す踏板ユニット、交換用踏板ユニットなどの拡大図である。
図8】階段昇降体験装置の使用時に行われる処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、実施形態の階段昇降体験装置1の一例を概略的に示す正面図である。図2は、図1の左側から見た階段昇降体験装置1の概略的な斜視図である。
図1および図2に示す例では、階段昇降体験装置1が、基台部11と、蹴込板部12U1~12U4と、踏板部13U1~13U4と、踏板ユニット15U5、15U6と、踊り場踏板部18と、蹴込板部12D1~12D4と、踏板部13D1~13D4と、踏板ユニット15D5、15D6と、側板部19aと、手すり19bとを備えている。
【0016】
図3は、基台部11を説明するための図である。
図3に示す例では、基台部11が、上り階段部11Uと、踊り場部11Lと、下り階段部11Dとを備えている。上り階段部11Uには、上り開始部11U1と、上り中間部11U2と、上り終了部11U3とが含まれる。下り階段部11Dには、下り開始部11D1と、下り中間部11D2と、下り終了部11D3とが含まれる。
【0017】
図4は、交換できない蹴込板部12U1、踏板部13U1などが基台部11に取り付けられた状態を示す図である。
図4に示す例では、階段昇降体験装置1の製造時に、蹴込板部12U1が、基台部11の上り階段部11Uの上り開始部11U1に取り付けられる。次いで、踏板部13U1が、基台部11の上り階段部11Uの上り開始部11U1に取り付けられる。踏板部13U1の上面は、踏面13aU1を構成している。
また、蹴込板部12U2は、基台部11の上り階段部11Uの上り開始部11U1に取り付けられる。次いで、踏板部13U2が、基台部11の上り階段部11Uの上り開始部11U1に取り付けられる。踏板部13U2の上面は、踏面13aU2を構成している。
また、蹴込板部12U3は、基台部11の上り階段部11Uの上り中間部11U2に取り付けられる。次いで、踏板部13U3が、基台部11の上り階段部11Uの上り中間部11U2に取り付けられる。踏板部13U3の上面は、踏面13aU3を構成している。
また、蹴込板部12U4は、基台部11の上り階段部11Uの上り中間部11U2に取り付けられる。次いで、踏板部13U4が、基台部11の上り階段部11Uの上り中間部11U2に取り付けられる。踏板部13U4の上面は、踏面13aU4を構成している。
すなわち、踏板部13U1~13U4は、基台部11に対して、段差を有して階段状に取り付けられる。
【0018】
また、図4に示す例では、階段昇降体験装置1の製造時に、蹴込板部12D4が、基台部11の下り階段部11Dの下り中間部11D2に取り付けられる。次いで、踏板部13D4が、基台部11の下り階段部11Dの下り中間部11D2に取り付けられる。踏板部13D4の上面は、踏面13aD4を構成している。
また、蹴込板部12D3は、基台部11の下り階段部11Dの下り中間部11D2に取り付けられる。次いで、踏板部13D3が、基台部11の下り階段部11Dの下り中間部11D2に取り付けられる。踏板部13D3の上面は、踏面13aD3を構成している。
また、蹴込板部12D2は、基台部11の下り階段部11Dの下り開始部11D1に取り付けられる。次いで、踏板部13D2が、基台部11の下り階段部11Dの下り開始部11D1に取り付けられる。踏板部13D2の上面は、踏面13aD2を構成している。
また、蹴込板部12D1は、基台部11の下り階段部11Dの下り開始部11D1に取り付けられる。次いで、踏板部13D1が、基台部11の下り階段部11Dの下り開始部11D1に取り付けられる。踏板部13D1の上面は、踏面13aD1を構成している。
すなわち、踏板部13D1~13D4は、基台部11に対して、段差を有して階段状に取り付けられる。
【0019】
また、図4に示す例では、階段昇降体験装置1の製造時に、踊り場踏板部18が、基台部11の踊り場部11Lに取り付けられる。踊り場踏板部18の上面は、踏面18aを構成している。
【0020】
階段昇降体験装置1の使用時には、踏板ユニット15U5(図6参照)が、例えばボルトおよびナットによって、基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付けられる。踏板ユニット15U5は、交換用踏板ユニット15U5X(図6参照)と交換可能に構成されている。
【0021】
また、階段昇降体験装置1の使用時には、踏板ユニット15U6(図6参照)が、例えばボルトおよびナットによって、基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付けられる。踏板ユニット15U6は、交換用踏板ユニット15U6X(図6参照)と交換可能に構成されている。
【0022】
また、階段昇降体験装置1の使用時には、踏板ユニット15D5(図7参照)が、例えばボルトおよびナットによって、基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられる。踏板ユニット15D5は、交換用踏板ユニット15D5Xa、15D5Xb(図7参照)と交換可能に構成されている。
【0023】
また、階段昇降体験装置1の使用時には、踏板ユニット15D6(図7参照)が、例えばボルトおよびナットによって、基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられる。踏板ユニット15D6は、交換用踏板ユニット15D6X(図7参照)と交換可能に構成されている。
踏面13aU1~13aU4、13aD1~13aD4、18aは、ボルト頭部のように見える化粧ボルト頭部を備える。
【0024】
図5は、蹴込板部12U1~12U4、12D1~12D4、踏板部13U1~13U4、13D1~13D4、踊り場踏板部18、踏板ユニット15U5、15U6、15D5、15D6などが基台部11に取り付けられた状態を示す図である。
図5に示す例では、交換用踏板ユニット15U5X、15U6Xではなく、踏板ユニット15U5、15U6が、基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付けられた場合に、上り階段部第1~7蹴上げ高さは等しい値になる。
上り階段部第1蹴上げ高さは、床面と踏面13aU1との鉛直方向の間隔である。上り階段部第2蹴上げ高さは、踏面13aU1と踏面13aU2との鉛直方向の間隔である。上り階段部第3蹴上げ高さは、踏面13aU2と踏面13aU3との鉛直方向の間隔である。上り階段部第4蹴上げ高さは、踏面13aU3と踏面13aU4との鉛直方向の間隔である。上り階段部第5蹴上げ高さは、踏面13aU4と踏面153aU5との鉛直方向の間隔である。上り階段部第6蹴上げ高さは、踏面153aU5と踏面153aU6との鉛直方向の間隔である。上り階段部第7蹴上げ高さは、踏面153aU6と踏面18aとの鉛直方向の間隔である。
また、図5に示す例では、交換用踏板ユニット15D5Xa、15D5Xb、15D6Xではなく、踏板ユニット15D5、15D6が、基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられた場合に、下り階段部第1~7蹴上げ高さは等しい値になる。
下り階段部第1蹴上げ高さは、踏面18aと踏面13aD1との鉛直方向の間隔である。下り階段部第2蹴上げ高さは、踏面13aD1と踏面13aD2との鉛直方向の間隔である。下り階段部第3蹴上げ高さは、踏面13aD2と踏面13aD3との鉛直方向の間隔である。下り階段部第4蹴上げ高さは、踏面13aD3と踏面13aD4との鉛直方向の間隔である。下り階段部第5蹴上げ高さは、踏面13aD4と踏面153aD5との鉛直方向の間隔である。下り階段部第6蹴上げ高さは、踏面153aD5と踏面153aD6との鉛直方向の間隔である。下り階段部第7蹴上げ高さは、踏面153aD6と床面との鉛直方向の間隔である。
【0025】
図1および図2に示す例では、階段昇降体験装置1の製造時に、手前側(図2の右側)の側板部19aと、奥側(図2の左側)の側板部19aとが取り付けられる。また、手前側の側板部19aには、手前側(図2の右側)の手すり19bが取り付けられ、奥側の側板部19aには、奥側(図2の左側)の手すり19bが取り付けられる。
【0026】
図6は、図5に示す踏板ユニット15U5、交換用踏板ユニット15U5Xなどの拡大図である。図7は、図5に示す踏板ユニット15D5、交換用踏板ユニット15D5Xa、15D5Xbなどの拡大図である。詳細には、図6(A)は踏板ユニット15U5の拡大図、図6(B)は交換用踏板ユニット15U5Xの拡大図である。図6(C)は踏板ユニット15U6の拡大図、図6(D)は交換用踏板ユニット15U6Xの拡大図である。図7(A)は踏板ユニット15D5の拡大図、図7(B)は交換用踏板ユニット15D5Xaの拡大図、図7(C)は交換用踏板ユニット15D5Xbの拡大図である。図7(D)は踏板ユニット15D6の拡大図、図7(E)は交換用踏板ユニット15D6Xの拡大図である。
【0027】
図6(A)に示す例では、踏板ユニット15U5が、蹴込板部152U5と、踏板部153U5とを備えている。踏板部153U5の上面は、踏面153aU5を構成している。踏板ユニット15U5と基台部11との当接面と、踏面153aU5との間隔は、交換用踏板ユニット15U5Xと基台部11との当接面と、交換用踏板ユニット15U5Xの踏面との間隔よりも小さい。
その結果、図6(B)に示す例では、踏板ユニット15U5の代わりに、交換用踏板ユニット15U5Xが基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付けられた場合における交換用踏板ユニット15U5Xの踏面の高さは、踏板ユニット15U5が基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付けられた場合における踏板ユニット15U5の踏面153aU5の高さよりも高い。つまり、踏板ユニット15U5の踏板部153U5の踏板状態と、交換用踏板ユニット15U5Xの踏板部の踏板状態とは異なる。
従って、階段昇降体験装置1の使用時に、踏板ユニット15U5から交換用踏板ユニット15U5Xへの交換が行われると、上り階段部第5蹴上げ高さ(踏面13aU4と、踏板ユニット15U5の踏面153aU5または交換用踏板ユニット15U5Xの踏面との鉛直方向の間隔)が増加する。
そのため、踏板ユニット15U5から交換用踏板ユニット15U5Xへの交換が行われたことを知らさせていない階段昇降体験装置1の使用者が上り階段部11Uを上る場合に、階段昇降体験装置1の使用者は、交換用踏板ユニット15U5Xにつまずきやすくなる。その結果、階段昇降体験装置1の使用者は、つまずきを擬似的に体験することができる。
【0028】
図6(C)に示す例では、踏板ユニット15U6が、蹴込板部152U6と、踏板部153U6とを備えている。踏板部153U6の上面は、踏面153aU6を構成している。踏板ユニット15U6と基台部11との当接面と、踏面153aU6との間隔は、交換用踏板ユニット15U6Xと基台部11との当接面と、交換用踏板ユニット15U6Xの踏面との間隔よりも小さい。
その結果、図6(D)に示す例では、踏板ユニット15U6の代わりに、交換用踏板ユニット15U6Xが基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付けられた場合における交換用踏板ユニット15U6Xの踏面の高さは、踏板ユニット15U6が基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付けられた場合における踏板ユニット15U6の踏面153aU6の高さよりも高い。つまり、踏板ユニット15U6の踏板部153U6の踏板状態と、交換用踏板ユニット15U6Xの踏板部の踏板状態とは異なる。
従って、階段昇降体験装置1の使用時に、踏板ユニット15U6から交換用踏板ユニット15U6Xへの交換が行われると、上り階段部第7蹴上げ高さ(踏板ユニット15U6の踏面153aU6または交換用踏板ユニット15U6Xの踏面と、踏面18aとの鉛直方向の間隔)が減少する。
そのため、踏板ユニット15U6から交換用踏板ユニット15U6Xへの交換が行われたことを知らさせていない階段昇降体験装置1の使用者が上り階段部11Uを上る場合に、階段昇降体験装置1の使用者は、踏面18aにおいて空足を踏みやすくなる。その結果、階段昇降体験装置1の使用者は、空足を踏むことを擬似的に体験することができる。
【0029】
図7(A)に示す例では、踏板ユニット15D5が、蹴込板部152D5と、踏板部153D5とを備えている。踏板部153D5の上面は、踏面153aD5を構成している。踏板ユニット15D5と基台部11との当接面と、踏面153aD5との間隔は、交換用踏板ユニット15D5Xaと基台部11との当接面と、交換用踏板ユニット15D5Xの踏面との間隔よりも大きい。
その結果、図7(B)に示す例では、踏板ユニット15D5の代わりに、交換用踏板ユニット15D5Xaが基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられた場合における交換用踏板ユニット15D5Xaの踏面の高さは、踏板ユニット15D5が基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられた場合における踏板ユニット15D5の踏面153aD5の高さよりも低い。つまり、踏板ユニット15D5の踏板部153D5の踏板状態と、交換用踏板ユニット15D5Xaの踏板部の踏板状態とは異なる。
従って、階段昇降体験装置1の使用時に、踏板ユニット15D5から交換用踏板ユニット15D5Xaへの交換が行われると、下り階段部第5蹴上げ高さ(踏面13aD4と、踏板ユニット15D5の踏面153aD5または交換用踏板ユニット15D5Xaの踏面との鉛直方向の間隔)が増加する。
そのため、踏板ユニット15D5から交換用踏板ユニット15D5Xaへの交換が行われたことを知らさせていない階段昇降体験装置1の使用者が下り階段部11Dを下る場合に、階段昇降体験装置1の使用者は、交換用踏板ユニット15D5Xaの踏面において空足を踏みやすくなる。その結果、階段昇降体験装置1の使用者は、空足を踏むことを擬似的に体験することができる。
【0030】
また、図7(A)に示す例では、踏板ユニット15D5と基台部11との当接面と、踏面153aD5とが平行であるのに対し、交換用踏板ユニット15D5Xbと基台部11との当接面と、交換用踏板ユニット15D5Xbの踏面とは平行ではない。
その結果、図7(C)に示す例では、踏板ユニット15D5の代わりに、交換用踏板ユニット15D5Xbが基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられた場合における交換用踏板ユニット15D5Xbの踏面は、踏板ユニット15D5が基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられた場合における踏板ユニット15D5の踏面153aD5(概略水平面)に対して傾斜している。つまり、踏板ユニット15D5の踏板部153D5の踏板状態と、交換用踏板ユニット15D5Xbの踏板部の踏板状態とは異なる。
従って、階段昇降体験装置1の使用時に、踏板ユニット15D5から交換用踏板ユニット15D5Xbへの交換が行われると、階段昇降体験装置1の使用者が下り階段部11Dを下る場合に、階段昇降体験装置1の使用者は、水平面に対して傾斜した交換用踏板ユニット15D5Xbの踏面を通過しなければならなくなる。
そのため、踏板ユニット15D5から交換用踏板ユニット15D5Xbへの交換が行われたことを知らさせていない階段昇降体験装置1の使用者が下り階段部11Dを下る場合に、階段昇降体験装置1の使用者は、交換用踏板ユニット15D5Xbの踏面においてバランスを崩しやすくなる。その結果、階段昇降体験装置1の使用者は、バランスを崩して転倒しやすくなることを擬似的に体験することができる。
【0031】
図7(D)に示す例では、踏板ユニット15D6が、蹴込板部152D6と、踏板部153D6とを備えている。踏板部153D6の上面は、踏面153aD6を構成している。踏板ユニット15D6と基台部11との当接面と、踏面153aD6との間隔は、交換用踏板ユニット15D6Xと基台部11との当接面と、交換用踏板ユニット15D6Xの踏面との間隔よりも大きい。
その結果、図7(E)に示す例では、踏板ユニット15D6の代わりに、交換用踏板ユニット15D6Xが基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられた場合における交換用踏板ユニット15D6Xの踏面の高さは、踏板ユニット15D6が基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付けられた場合における踏板ユニット15D6の踏面153aD6の高さよりも低い。つまり、踏板ユニット15D6の踏板部153D6の踏板状態と、交換用踏板ユニット15D6Xの踏板部の踏板状態とは異なる。
従って、階段昇降体験装置1の使用時に、踏板ユニット15D5から交換用踏板ユニット15D5Xa、15D5Xbへの交換が行われず、踏板ユニット15D6から交換用踏板ユニット15D6Xへの交換が行われると、下り階段部第6蹴上げ高さ(踏板ユニット15D5の踏面153aD5と、踏板ユニット15D6の踏面153aD6または交換用踏板ユニット15D6Xの踏面との鉛直方向の間隔)が増加する。
そのため、踏板ユニット15D6から交換用踏板ユニット15D6Xへの交換が行われたことを知らさせていない階段昇降体験装置1の使用者が下り階段部11Dを下る場合に、階段昇降体験装置1の使用者は、交換用踏板ユニット15D6Xの踏面において空足を踏みやすくなる。その結果、階段昇降体験装置1の使用者は、空足を踏むことを擬似的に体験することができる。
【0032】
階段昇降体験装置1の使用者は、階段昇降体験装置1の昇降時につまずき等を擬似的に体験することによって、現実の事例において災害発生に至ったプロセス、発生状況、原因などを当事者の立場に立って考えることができようになる。
また、階段昇降体験装置1の使用者は、階段昇降体験装置1の昇降時につまずき等を擬似的に体験することによって、階段昇降時に潜む危険を察知する能力を向上させることができる。
また、階段昇降体験装置1の使用者は、階段昇降体験装置1の昇降時につまずき等を擬似的に体験することによって、災害へつながる行動を阻止する能力および実行力を養うことができ、安全に対する意識および能力を高めることができる。
【0033】
図8は、階段昇降体験装置1の使用時に行われる処理の一例を説明するフローチャートである。
図8に示す例では、ステップS1において、作業者が、踏板ユニット15U5、15U6を基台部11の上り階段部11Uの上り終了部11U3に取り付ける。また、作業者は、踏板ユニット15D5、15D6を基台部11の下り階段部11Dの下り終了部11D3に取り付ける。
次いで、ステップS2では、階段昇降体験装置1の使用者が、階段昇降体験装置1の昇降を実施する。つまり、階段昇降体験装置1の使用者は、上り階段部11Uを上り、下り階段部11Dを下る。
次いで、ステップS3では、作業者が、踏板ユニット15U5、15U6、15D5、15D6から交換用踏板ユニット15U5X、15U6X、15D5Xaまたは15D5Xb、15D6Xへの交換を行う。その結果、踏板部の踏面の高さの変更、または、踏板部の踏面の高さおよび傾斜の変更が行われる。この交換が行われる旨は、階段昇降体験装置1の使用者に知らされない。
次いで、ステップS4では、階段昇降体験装置1の使用者が、階段昇降体験装置1の昇降を実施する。つまり、階段昇降体験装置1の使用者は、交換用踏板ユニット15U5X、15U6Xが取り付けられた上り階段部11Uを上り、交換用踏板ユニット15D5Xaまたは15D5Xb、および、交換用踏板ユニット15D6Xが取り付けられた下り階段部11Dを下る。
図7に示す例では、ステップS1、S2が実行されるが、他の例では、ステップS1、S2を省略してもよい。
【0034】
[本実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の階段昇降体験装置1は、基台部11と、基台部11に対して段差を有して階段状に取り付けられる複数の踏板部13U1~13U4、153U5、153U6、13D1~13D4、153D5、153D6とを備える。複数の踏板部の少なくとも一部には、基台部11に対して交換可能に取り付けられる踏板ユニット15U5、15U6、15D5、15D6が有する踏板部153U5、153U6、153D5、153D6が含まれる。階段昇降体験装置1は、踏板部153U5、153U6、153D5、153D6の踏板状態が異なる交換用踏板ユニット15U5X、15U6X、15D5Xa、15D5Xb、15D6Xを備える。
本実施形態の階段昇降体験装置1によれば、踏板部153U5、153U6、153D5、153D6が交換可能に構成されていない場合よりも、例えばつまずき、空足を踏むこと、バランスを崩すことなどのような、階段昇降時の災害を階段昇降体験装置1の使用者に体験させやすくすることができる。その結果、階段昇降体験装置1の使用者が、階段昇降時の災害に現実に遭遇してしまうおそれを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態の階段昇降体験装置1では、踏板部13U1~13U4、153U5、153U6、13D1~13D4、153D5、153D6のうちの一部の踏板部153U5、153U6、153D5、153D6が交換可能に構成されており、残りの踏板部13U1~13U4、13D1~13D4は、交換できないように構成されている。
本実施形態の階段昇降体験装置1によれば、すべての踏板部13U1~13U4、153U5、153U6、13D1~13D4、153D5、153D6が交換可能に構成される場合よりも、階段昇降体験装置1の製造コストを抑制することができる。
【0036】
本発明者等は、鋭意研究において、階段の使用者が、上り階段部の上り開始部や、上り中間部よりも、上り終了部において、つまずいたり、空足を踏んだり、バランスを崩したりするおそれが高いことを見い出した。
そこで、本実施形態の階段昇降体験装置1では、基台部11が、上り開始部11U1と上り中間部11U2と上り終了部11U3とを有する上り階段部11Uを備える。上り開始部11U1および上り中間部11U2に取り付けられる踏板部13U1~13U4は、交換できないように構成されている。上り終了部11U3に取り付けられる踏板部153U5、153U6は、踏板ユニット15U5、15U6を交換用踏板ユニット15U5X、15U6Xに交換することによって、交換可能に構成されている。
本実施形態の階段昇降体験装置1によれば、すべての踏板部13U1~13U4、153U5、153U6が交換可能に構成される場合よりも、階段昇降体験装置1の製造コストを抑制しつつ、上り開始部11U1または上り中間部11U2に取り付けられる踏板部が交換可能に構成されている場合よりも、例えばつまずき、空足を踏むこと、バランスを崩すことなどのような階段昇降時の災害を階段昇降体験装置1の使用者に体験させやすくすることができる。
【0037】
また、本発明者等は、鋭意研究において、階段の使用者が、下り階段部の下り開始部や、下り中間部よりも、下り終了部において、つまずいたり、空足を踏んだり、バランスを崩したりするおそれが高いことを見い出した。
そこで、本実施形態の階段昇降体験装置1では、基台部11が、下り開始部11D1と下り中間部11D2と下り終了部11D3とを有する下り階段部11Dを備える。下り開始部11D1および下り中間部11D2に取り付けられる踏板部13D1~13D4は、交換できないように構成されている。下り終了部11D3に取り付けられる踏板部153D5、153D6は、踏板ユニット15D5、15D6を交換用踏板ユニット15D5Xa、15D5Xb、15D6Xに交換することによって、交換可能に構成されている。
本実施形態の階段昇降体験装置1によれば、すべての踏板部13D1~13D4、153D5、153D6が交換可能に構成される場合よりも、階段昇降体験装置1の製造コストを抑制しつつ、下り開始部11D1または下り中間部11D2に取り付けられる踏板部が交換可能に構成されている場合よりも、例えばつまずき、空足を踏むこと、バランスを崩すことなどのような階段昇降時の災害を階段昇降体験装置1の使用者に体験させやすくすることができる。
【0038】
また、本実施形態の階段昇降体験装置1は、交換可能に構成されている踏板部を1つのみ備えるのではなく、複数の交換可能に構成されている踏板部153U5、153U6、153D5、153D6を備える。
本実施形態の階段昇降体験装置1によれば、1つのみの交換可能に構成されている踏板部が備えられている場合よりも、例えばつまずき、空足を踏むこと、バランスを崩すことなどのような、階段昇降時の災害を階段昇降体験装置1の使用者に体験させやすくすることができる。
【0039】
また、本実施形態の階段昇降体験装置1では、図1および図2に示すように、側板部19aの上端部が例えば波形のような非直線形状の輪郭を有する。
本実施形態の階段昇降体験装置1によれば、側板部19aの上端部が直線形状である場合よりも、階段昇降体験装置1の使用者が、交換用踏板ユニット15U5X、15U6X、15D5Xa、15D5Xb、15D6Xの踏板部の踏面が高くなっていたり、低くなっていたり、傾斜していたりすることに気付いてしまうおそれを抑制することができる。
図1および図2に示す例では、側板部19aの上端部が波形の輪郭を有するを有するが、他の例では、側板部19aの上端部が、例えばジグザグなどのような、波形以外の非直線形状の輪郭を有していてもよい。つまり、他の例における側板部19aの上端部は、階段昇降体験装置1の使用者が、交換用踏板ユニット15U5X、15U6X、15D5Xa、15D5Xb、15D6Xの踏板部の踏面が高くなっていたり、低くなっていたり、傾斜していたりすることに気付いてしまうおそれを抑制する輪郭を有する。
【0040】
図3に示す例では、基台部11が、上り階段部11Uと、踊り場部11Lと、下り階段部11Dとを備えているが、他の例では、基台部11が、上り階段部11Uのみを備えてもよく、下り階段部11Dのみを備えていてもよい。
図1に示す例では、階段昇降体験装置1が、上り階段部11Uに、6個の踏板部13U1~13U4、踏板ユニット15U5の踏板部153U5、および、踏板ユニット15U6の踏板部153U6を備えているが、他の例では、階段昇降体験装置1が、上り階段部11Uに、6個以外の任意の個数の踏板部を備えていてもよい。
図1に示す例では、階段昇降体験装置1が、下り階段部11Dに、6個の踏板部13D1~13D4、踏板ユニット15D5の踏板部153D5、および、踏板ユニット15D6の踏板部153D6を備えているが、他の例では、階段昇降体験装置1が、下り階段部11Dに、6個以外の任意の個数の踏板部を備えていてもよい。
上述した例では、踏板ユニット15U5を交換用踏板ユニット15U5Xに交換し、踏板ユニット15U6を交換用踏板ユニット15U6Xに交換することによって、踏面の高さが高くなるが、他の例では、踏板ユニットを交換用踏板ユニットに交換することによって、踏面の高さを低くしてもよい。
上述した例では、踏板ユニット15D5または踏板ユニット15D6を交換用踏板ユニット15D5Xaまたは15D6Xに交換することによって、踏面の高さが低くなるが、他の例では、踏板ユニットを交換用踏板ユニットに交換することによって、踏面の高さを高くしてもよい。
上述した例では、踏板ユニット15U5、15U6、15D5、15D6のすべてを交換するが、他の例では、踏板ユニット15U5、15U6、15D5、15D6の一部のみを交換してもよい。
図1に示す例では、階段昇降体験装置1が、上り階段部11Uに、2個の交換用踏板ユニット15U5X、15U6Xを備え、下り階段部11Dに、3個の交換用踏板ユニット15D5Xa、15D5Xb、15D6Xを備えているが、他の例では、階段昇降体験装置1が、上り階段部11Uに、3個以上の交換用踏板ユニットを備え、下り階段部11Dに、4個以上の交換用踏板ユニットを備えていてもよい。
図1に示す例では、階段昇降体験装置1が、上り階段部11Uに、2個の交換用踏板ユニット15U5X、15U6Xを備え、下り階段部11Dに、3個の交換用踏板ユニット15D5Xa、15D5Xb、15D6Xを備えているが、他の例では、階段昇降体験装置1が、上り階段部11Uに、1個の交換用踏板ユニット15U6Xのみを備え、下り階段部11Dに、1個の交換用踏板ユニット15D6Xのみを備えていてもよい。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…階段昇降体験装置、11…基台部、13U1…踏板部、13aU1…踏面、13U2…踏板部、13aU2…踏面、13U3…踏板部、13aU3…踏面、13U4…踏板部、13aU4…踏面、15U5…踏板ユニット、153U5…踏板部、153aU5…踏面、15U5X…交換用踏板ユニット、15U6…踏板ユニット、153U6…踏板部、153aU6…踏面、15U6X…交換用踏板ユニット、13D1…踏板部、13aD1…踏面、13D2…踏板部、13aD2…踏面、13D3…踏板部、13aD3…踏面、13D4…踏板部、13aD4…踏面、15D5…踏板ユニット、153D5…踏板部、153aD5…踏面、15D5Xa…交換用踏板ユニット、15D5Xb…交換用踏板ユニット、15D6…踏板ユニット、153D6…踏板部、153aD6…踏面、15U6X…交換用踏板ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8