(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20220628BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20220628BHJP
H01C 13/02 20060101ALN20220628BHJP
H01G 4/40 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
H01G4/228 J
H01G4/38 A
H01C13/02 D
H01G4/40 A
H01G4/40 304A
H01G4/40 321A
(21)【出願番号】P 2017091897
(22)【出願日】2017-05-02
【審査請求日】2020-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2016126688
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健一
(72)【発明者】
【氏名】冨川 満広
(72)【発明者】
【氏名】若田 英子
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135910(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201107(JP,U)
【文献】実開平01-133816(JP,U)
【文献】特開2004-172602(JP,A)
【文献】特開平07-202514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/10
H01G 4/14-4/22
H01G 4/228
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機能層と、当該第1機能層を挟んで設けられた第1電極層及び第2電極層と、を有し、前記第1電極層、前記第1機能層、及び前記第2電極層がこの順に積層された第1電子部品と、
前記第1電子部品に対して積層され、第2機能部と、当該第2機能部を挟んで設けられた少なくとも一対の電極と、を有する第2電子部品と、
を有し、
前記第1電子部品の前記第2電極層は、分割された複数の電極層から構成され、
前記第2電子部品における前記第2機能部の一対の主面の延在方向は、前記第1電子部品における前記第1機能層、前記第1電極層及び前記第2電極層の延在方向と一致し、
前記第2機能部の両端に前記一対の電極が設けられ、且つ、前記第2機能部の一方の主面と前記第2電極層を構成する複数の電極層とが対向した状態で、前記第2電子部品の一対の電極は、前記第2電極層の前記複数の電極層に含まれる互いに異なる電極層に対してそれぞれ電気的に接続し、
前記第1電子部品及び前記第2電子部品の両方がコンデンサであるか、
前記第1電子部品がインダクタまたはヒューズであって前記第2電子部品がコンデンサである、電子部品。
【請求項2】
誘電体層と、当該誘電体層を挟んで設けられた第1電極層及び第2電極層と、を有し、前記第1電極層、前記誘電体層、及び前記第2電極層がこの順に積層された第1電子部品と、
前記第1電子部品に対して積層され、誘電体と、当該誘電体を挟んで設けられた一対の電極と、を有する第2電子部品と、
を有し、
前記第1電子部品の前記第2電極層は、分割された複数の電極層から構成され、
前記第2電子部品における前記誘電体の一対の主面の延在方向は、前記第1電子部品における前記誘電体層、前記第1電極層及び前記第2電極層の延在方向と一致し、
前記誘電体の両端に前記一対の電極が設けられ、且つ、前記誘電体の一方の主面と前記第2電極層を構成する複数の電極層とが対向した状態で、前記第2電子部品の一対の電極は、前記第2電極層の前記複数の電極層に含まれる互いに異なる電極層に対してそれぞれ電気的に接続し、
前記第1電子部品の前記第1電極層は、前記第2電極層に含まれ前記第2電子部品の一対の電極が電気的に接続する電極層に対応して、複数に分割され、
前記第1電子部品の静電容量よりも前記第2電子部品の静電容量が大きく、
前記第1電子部品の等価直列インダクタンスよりも前記第2電子部品の等価直列インダクタンスが大き
く、
前記第1電子部品及び前記第2電子部品の両方がコンデンサである、電子部品。
【請求項3】
前記第1電極層のうち、前記第2電極層に含まれ前記第2電子部品の一対の電極が電気的に接続する電極層に対応する領域の一部が、複数に分割されている請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1電子部品と前記第2電子部品との間であって電気的に接続されている領域とは異なる領域に、前記第1電子部品及び前記第2電子部品に対して当接する絶縁性材料が設けられる請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第2電子部品の一対の電極と、前記第2電極層に含まれ前記第2電子部品の一対の電極が電気的に接続する電極層との間に、導電性材料が設けられる請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品内蔵基板に用いられる受動部品については、信号品質の向上に係る要求がある。この点について、例えば、特許文献1,2では、金属膜、誘電体層及び金属箔により構成された所謂薄膜コンデンサの製造方法が示されている。特許文献1,2に記載のような薄型のコンデンサは、高周波領域における信号品質に影響する等価直列インダクタンス(ESL)を従来のコンデンサと比較して低くすることにおいて有利であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-34417号公報
【文献】特開2008-34418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子機器の高機能化に伴って、電子機器に用いられる電子部品においても、高容量化と高周波領域における信号品質の向上との両立という点において、更なる改良が望まれている。また、電子機器の高機能化に伴って、複数のコンデンサ等の電子部品が組み合わせて用いられる場合が増加している。したがって、これらの電子部品の効率的な配置及び接続することが求められている。
【0005】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、複数の電子部品を効率よく配置し接続することが可能な電子部品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電子部品は、第1機能層と、当該第1機能層を挟んで設けられた第1電極層及び第2電極層と、を有する第1電子部品と、前記第1電子部品に対して積層され、第2機能部と、当該第2機能部を挟んで設けられた少なくとも一対の電極と、を有する第2電子部品と、を有し、前記第1電子部品の前記第2電極層は、分割された複数の電極層から構成され、前記第2電子部品の一対の電極は、前記第2電極層の前記複数の電極層に含まれる互いに異なる電極層に対してそれぞれ電気的に接続する。
【0007】
上記の電子部品によれば、第1電子部品の第2電極層に含まれる互いに異なる電極層に対して、第2電子部品の一対の電極のそれぞれが接続されることで、2つの電子部品が組み合わせられた電子部品が形成される。したがって、上記の電子部品によれば、複数の電子部品を効率よく配置し接続することが可能となる。
【0008】
また、本発明の一形態に係る電子部品は、誘電体層と、当該誘電体層を挟んで設けられた第1電極層及び第2電極層と、を有する第1電子部品と、前記第1電子部品に対して積層され、誘電体と、当該誘電体を挟んで設けられた一対の電極と、を有する第2電子部品と、を有し、前記第1電子部品の前記第2電極層は、分割された複数の電極層から構成され、前記第2電子部品の一対の電極は、前記第2電極層の前記複数の電極層に含まれる互いに異なる電極層に対してそれぞれ電気的に接続し、前記第1電子部品の前記第1電極層は、前記第2電極層に含まれ前記第2電子部品の一対の電極が電気的に接続する電極層に対応して、複数に分割され、前記第1電子部品の静電容量よりも前記第2電子部品の静電容量が大きく、前記第1電子部品の等価直列インダクタンスよりも前記第2電子部品の等価直列インダクタンスが大きい。
【0009】
上記の電子部品では、第1電子部品に対して、第1電子部品よりも静電容量が大きい第2電子部品を積層して接続することにより、電子部品としての静電容量を第2電子部品の容量で賄うことが可能となることから、高容量化を容易に実現することができる。また、第2電子部品の一対の電極に対して、第2電子部品よりも等価直列インダクタンスの低い第1電子部品の第2電極層を構成する電極層が電気的に接続すると共に、これらの電極層に対応して配置され複数に分割された第1金属層を介して外部の電子部品等と接続可能とされる。第1電子部品は、第2電子部品よりも等価直列インダクタンスが低い。また、第1電子部品及び第2電子部品内を電流が流れた場合の磁界は電流の流れる方向により相殺されるため、等価直列インダクタンスを低減することができる。したがって、上記の電子部品によれば、高容量化と高周波領域における信号品質の向上とを両立することを可能とする。
【0010】
ここで、前記第1電極層のうち、前記第2電極層に含まれ前記第2電子部品の一対の電極が電気的に接続する電極層に対応する領域の一部が、複数に分割されている態様とすることができる。
【0011】
上記のように、第2電極層に含まれ、第2電子部品の一対の電極が電気的に接続する電極層に対応する領域の一部が、複数に分割されている構成を有することで、電子部品の等価直列インダクタンスをさらに低くすることができることから、電子部品の高周波領域における信号品質がさらに向上する。
【0012】
また、前記第1電子部品と前記第2電子部品との間であって電気的に接続されている領域とは異なる領域に、前記第1電子部品及び前記第2電子部品に対して当接する絶縁性材料が設けられる態様とすることができる。
【0013】
上記のように、第1電子部品と第2電子部品との間に絶縁性材料が設けられる構成とすることで、絶縁性材料が第1電子部品と第2電子部品とを物理的に接続する構成となることから、電子部品の耐久性が向上する。また、絶縁性材料が設けられることで、電子部品における絶縁信頼性も高められる。
【0014】
また、前記第2電子部品の一対の電極と、前記第2電極層に含まれ前記第2電子部品の一対の電極が電気的に接続する電極層との間に、導電性材料が設けられる態様とすることができる。
【0015】
上記のように、導電性材料を介して第1電子部品と第2電子部品とが電気的に接続されている構成の場合、導電性材料が第1電子部品と第2電子部品とを物理的に接続する構成となることから、電子部品の耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の電子部品を効率よく配置し接続することが可能な電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一形態に係る電子部品を説明する概略断面図である。
【
図4】電子部品の製造方法の変形例を説明する図である。
【
図5】変形例に係る電子部品を説明する概略断面図である。
【
図6】変形例に係る電子部品を説明する概略断面図である。
【
図7】変形例に係る電子部品を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品を説明する概略断面図である。
図1に示す電子部品1は、通信端末を始めとする電子機器等に用いることができる受動部品の一種であるコンデンサとして機能する。
【0020】
図1に示すように、電子部品1は、第1電子部品10と第2電子部品20とを含む。また、第1電子部品10及び第2電子部品20は、図示上下方向に積層されていて、導電性を有する導電性材料31,32によりそれぞれ接続されている。
【0021】
第1電子部品10は、第1電極層11及び第2電極層12より構成される一対の電極層と、一対の電極層間に設けられた第1機能層としての誘電体層13とを有している薄型のコンデンサである。本実施形態では、第1電子部品10が、第1電極層11が金属膜で構成され、誘電体層13が誘電体膜により構成された所謂TFC(Thin Film Capacitor:薄膜コンデンサ)である場合について説明する。第1電子部品10は、3層の厚みの合計が5μm~650μm程度であり、第1電極層11の厚みを0.1μm~50μm程度とし、誘電体層13の厚みを0.05μm~100μm程度とし、第2電極層12の厚みを0.1μm~500μm程度とすることができる。
【0022】
第1電極層11及び第2電極層12は、それぞれ複数に分割されている。
図1に示す例では、第1電極層11は、4つの電極層111~114に分割されている。また、第2電極層12は、2つの電極層121,122に分割されている。また、第1電極層11を構成する電極層111,111と、第2電極層12を構成する電極層121と、が誘電体層13を挟んで対向配置されていて、電極層111,112、電極層121及びこれらの電極層の間の誘電体層13が1つのコンデンサ10Aとして機能する。同様に、第1電極層11を構成する電極層113,114と、第2電極層12を構成する電極層122と、が誘電体層13を挟んで対向配置されていて、電極層113,114、電極層122及びこれらの電極層の間の誘電体層13が1つのコンデンサ10Bとして機能する。このように、2つに分割された電極層121,122に対応して、第1電極層11も複数に分割されている。これにより、第1電子部品10は、一つの誘電体層13を用いたコンデンサ10A,10Bが一体的に形成されているともいえる。
【0023】
第2電極層12は、第2電子部品20との電気的接続に用いられる層である。したがって、第2電極層12をどのように分割するかは、後述の第2電子部品20の電極の形状等によって適宜変更することができる。
【0024】
第1電子部品10における第1電極層11及び第2電極層12の材料としては、主成分がニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、これらの金属を含有する合金、又は金属間化合物である材料が好適に用いられる。ただし、第1電極層11及び第2電極層12の材料は、導電性材料であれば特に限定されない。本実施形態では、第1電極層11(電極層111~114)が銅を主成分とすると共に、第2電極層12(電極層121,122)がニッケルを主成分とする場合について説明する。なお、「主成分」であるとは、当該成分の占める割合が50質量%以上であることをいう。また、第1電極層11及び第2電極層12の態様としては、合金や金属間化合物を形成する場合のほか、二種以上からなる積層構造体である場合も含む。例えば、Ni薄膜上にCu薄膜を設けた二層構造として電極層を形成してもよい。また、第1電極層11及び/又は第2電極層12として純Niを使用する場合、そのNiの純度は99.99%以上が好ましい。さらに、Niを含有する合金の場合、Ni以外の金属として含まれる金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、タングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、銀(Ag)、銅(Cu)からなる群より選ばれる少なくとも一種とすれば好適である。
【0025】
また、誘電体層13は、ペロブスカイト系の誘電体材料から構成される。ここで、本実施形態におけるペロブスカイト系の誘電体材料としては、BaTiO3(チタン酸バリウム)、(Ba1-XSrX)TiO3(チタン酸バリウムストロンチウム)、(Ba1-XCaX)TiO3、PbTiO3、Pb(ZrXTi1-X)O3等のペロブスカイト構造を持った(強)誘電体材料や、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3等に代表される複合ペロブスカイトリラクサー型強誘電体材料等が含まれる。ここで、上記のペロブスカイト構造、ペロブスカイトリラクサー型強誘電体材料において、AサイトとBサイト比は、通常整数比であるが、特性向上のために意図的に整数比からずらしても良い。なお、誘電体層13の特性制御のため、誘電体層13に適宜、副成分として添加物質が含有されていてもよい。
【0026】
上記の第1電子部品10は3層の厚みの合計が5μm~200μm程度であり、第1電極層11、第2電極層12の厚みをそれぞれ2μm~50μm程度とし、誘電体層13の厚みを1μm~100μm程度とすることができる。
【0027】
第2電子部品20は、少なくとも一対の電極と少なくとも一対の電極間に設けられた第2機能部としての誘電体層とを含むコンデンサであり、第1電子部品10に対して積層するように配置される。第1電子部品10と第2電子部品20との積層方向は、第1電子部品10を構成する第1電極層11、誘電体層13、及び第2電極層12の積層方向と同じとされる。本実施形態では、第2電子部品20が一対の電極を有する場合について説明するが、電極の数は多くてもよい。
【0028】
本実施形態では、第2電子部品20がMLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor:積層セラミックコンデンサ)である場合について説明する。第2電子部品20は、一対の接続電極21A,21Bと、一対の接続電極21A,21Bの間に設けられ、複数の板状のセラミックグリーンシートを積層して一体化することによって略直方体形状に構成された素体25と、を有している。素体25は、素体25の長手方向に向かい合って互いに平行をなす一対の端面25a,25bと、一対の端面25a,25b間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面25c,25dと、一対の主面25c,25dを連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面(図示せず)と、を有する。一対の主面25c,25dの延在方向は、第1電子部品10の第1電極層11、第2電極層12、及び誘電体層13の延在方向と同様である。また、端面25a,25bの延在方向は第1電子部品10の第1電極層11、第2電極層12、及び誘電体層13の積層方向と同様である。
【0029】
接続電極21Aは、一方の端面25a及び端面25aと直交する二つの主面25c,25dの各縁部の一部を覆うように形成されている。また、接続電極21Bは、他方の端面25b及び端面25bと直交する二つの主面25c,25dの各縁部の一部を覆うように形成されている。第2電子部品20は、例えば、縦が0.2mm~2.2mm程度に設定され、横が0.1mm~1.3mm程度に設定され、厚みが0.1mm~1.3mm程度に設定されている。
【0030】
素体25は、複数の長方形板状の誘電体層22(誘電体:第2機能部)と、複数の内部電極23A及び内部電極23Bとが積層された積層体として構成されている。内部電極23Aと内部電極23Bとは、素体25内において誘電体層22の積層方向に沿ってそれぞれ一層ずつ配置されている。内部電極23Aと内部電極23Bとは、少なくとも一層の誘電体層22を挟むように対向配置されている。複数の誘電体層22は、その境界が視認できない程度に一体化されている。また、内部電極23A,23Bと誘電体層22とが交互に複数積層された領域の外側には、当該領域を積層方向に挟み込むように誘電体層22が設けられる。
【0031】
内部電極23A,23Bは、第1電子部品10における第1電極層11及び第2電極層12と同様の導電性の材料から構成される。内部電極23A,23Bの厚みは、例えば1μm~5μm程度である。内部電極23A,23Bは、積層方向から見て互いに重なりあう領域を有するような形状であれば、特に形状は限定されず、例えば矩形状等の形状とすることができる。内部電極23Aは接続電極21Aと電気的に接続されており、内部電極23Bは接続電極21Bと電気的に接続されている。
【0032】
誘電体層22は、第1電子部品10の誘電体層13と同様に、ペロブスカイト系の誘電体材料から構成される。誘電体層22の厚みは、例えば1μm~5μm程度である。
【0033】
接続電極21A,21Bは、断面がコの字状を呈している。接続電極21A,21Bは、素体25の外面に銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、又はパラジウム(Pd)等を主成分とする導電性ペーストを付着させた後に、所定温度(例えば、700℃程度)にて焼き付け、更に電気メッキを施すことにより形成される。電気メッキには、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)等を用いることができる。
【0034】
上記の第1電子部品10と第2電子部品20とは、導電性材料31,32を介して電気的に接続されている。第1電子部品10と第2電子部品20とは、第2電子部品20の素体25の一方の主面25cと、第1電子部品10の第2電極層12とが対向するように積層される。そして、第1電子部品10の第2電極層12のうち一方側の電極層12Aと、第2電子部品20の一方側の接続電極21Aとが、導電性材料31を介して接続される。これにより、第2電子部品20を構成する一対の電極(内部電極23A及び接続電極21A、内部電極23B及び接続電極21B)は、第1電子部品10における第2電極層12の互いに異なる電極層121,122に対してそれぞれ電気的に接続する構成となる。
【0035】
導電性材料31は、第1電子部品10の第2電極層12を構成する電極層12Aの下面(誘電体層13側とは逆側の面)と、接続電極21Aの主面25c側の外面と、の間を接続するように設けられる。また、第1電子部品10の第2電極層12のうち一方側の電極層12Bと、第2電子部品20の一方側の接続電極21Bとが、導電性材料32を介して接続される。導電性材料32は、第1電子部品10の第2電極層12を構成する電極層12Bの下面(誘電体層13側とは逆側の面)と、接続電極21Bの主面25c側の外面と、の間を接続するように設けられる。
【0036】
導電性材料31,32の材料は、導電性を有している材料であれば特に限定されないが、例えば、主成分がニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、これらの金属を含有する合金、又は金属間化合物である材料が好適に用いられる。また、はんだ合金等を用いることもできる。なお、本実施形態の電子部品1においては、導電性材料31,32は、第1電子部品10と第2電子部品20とを物理的に接続する機能を併せ持つ。したがって、導電性材料31,32は硬度が変化する材料であることが好ましい。はんだ合金は、上記の観点からも導電性材料31,32として好適に用いられる。また、硬化後の導電性材料31,32が、第2電極層12及び接続電極21A,21Bよりも硬度が小さい場合、外部から受ける力等による第2電極層12及び接続電極21A,21Bの変形又は破損等を防ぐことができる。
【0037】
電子部品1において、導電性材料31,32の間であって、第1電子部品10及び第2電子部品20の間には絶縁性材料40が設けられる。絶縁性材料40は、第1電子部品10の誘電体層13、第2電極層12の電極層121,122、第2電子部品20の素体25の主面25c、接続電極21A,21B、及び導電性材料31,32と接するように設けられる。絶縁性材料40の材料は、絶縁性の材料であれば特に限定されないが、例えば、非導電性樹脂(Non Conductive Paste:NCP)等、封止樹脂として用いられる樹脂材料が好適に用いられる。絶縁性材料40は、第1電子部品10、第2電子部品20、及び、導電性材料31,32に対して当接した状態で設けられることが好ましい。このような構成とすることで、これらの各部材と絶縁性材料40とが物理的に接続し一体化した状態となることができる。特に、第1電子部品10、第2電子部品20、及び、導電性材料31,32により囲われて形成される空間を満たすように絶縁性材料40が配置されること好ましい。この場合、絶縁性材料40により各部材を一体化した状態を好適に維持することができる。
【0038】
上記のように、絶縁性材料40は、電極層121、導電性材料31及び接続電極21A側の導電性の領域と、電極層122、導電性材料32及び接続電極21B側の導電性の領域と、の絶縁を確保する機能を有するだけではなく、第1電子部品10と第2電子部品20とを物理的に接続する機能を併せ持つ。したがって、絶縁性材料40は、硬度が変化することで、上記の各部品と一体化することが可能な材料であることが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等が好適に用いられる。
【0039】
上記の電子部品1では、第1電子部品10の第1電極層11を構成する電極層111~114が、外部の電子部品等と接続される端子電極として機能する。また、第1電子部品10の第2電極層12を構成する電極層121,122は、第2電子部品20の接続電極21A,21Bと電気的に接続される。
【0040】
電子部品1の第1電子部品10と第2電子部品20とは、静電容量について、第1電子部品10よりも第2電子部品20が大きいという関係を満たす。また、ESL(Equivalent Series Inductance:等価直列インダクタンス)についても、第1電子部品10よりも第2電子部品20が大きいという関係を満たす。この結果、電子部品1全体として、高容量且つ低ESLを実現することができる。この点については後述する。
【0041】
次に、電子部品1の製造方法について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。本実施形態では、第1電子部品10に対応する層を積層した後に第2電子部品20を取り付ける手順について説明するが、この手順に限定されるものではない。
【0042】
まず、
図2(A)に示すように、第1電子部品10に対応する層を積層するための基材50を準備する。基材50は、第1電子部品10に対応する層を積層するための支持部材として用いられるものであり、その材料は特に限定されない。次に、
図2(B)に示すように、基材50上に、第1電極層11となる金属層、誘電体層13、第2電極層12となる金属層をこの順に積層する。その後、
図2(C)に示すように、パターニングにより、第1電子部品10の第2電極層12の形状に応じた加工を行う。この結果、
図1に示す第1電子部品10と同様に電極層121,122が形成される。なお、第1電極層11を複数の電極層に分割する加工は、誘電体層13及び第2電極層12の積層前に行ってもよいし、第2電子部品20を取り付けた後に行ってもよい。
【0043】
次に、
図3(A)に示すように、第2電極層12の電極層121上に導電性材料31を設けると共に、電極層122上に導電性材料32を設ける。
図3(A)では、導電性材料31,32がはんだ合金であり、流動性を有した状態を示している。次に、導電性材料31,32が流動性を有している状態で、
図3(B)に示すように、導電性材料31,32の上方に第2電子部品20を積層する。より具体的には、第2電子部品20の素体25の一方側の主面25cが第2電極層12と対向した状態で、接続電極21Aが導電性材料31と当接し、接続電極21Bが導電性材料32と当接するように、第2電子部品20を第1電子部品10となる各層側へ近付ける。この状態で、導電性材料31,32が硬化すると、導電性材料31,32により第1電子部品10となる層が積層されている積層体に対して第2電子部品20を一体化することができる。
【0044】
なお、第2電子部品20は公知の方法で製造することができる。第2電子部品20は、例えば、誘電体層22と内部電極23A,23Bとが交互に積層された素体25を形成した後、接続電極21,22Bを取り付けることにより形成されるが、その具体的な手順は、特に限定されない。
【0045】
図3(C)に示すように、第1電子部品10に対応する第1電極層11、誘電体層13、第2電極層12に対して、導電性材料31,32を介して第2電子部品20を取り付けた後、主面25cと第2電極層12及び誘電体層13との間に絶縁性材料40を設ける。具体的には、液状の絶縁性材料を主面25cと第2電極層12及び誘電体層13との間に含侵させ、これを硬化させる。その後、基材50を除去すると共に、必要に応じて第1電極層11のパターニング等を行うことで、
図1に示す電子部品1が得られる。
【0046】
なお、上記では、第2電子部品20を第1電子部品10に取り付けた後に絶縁性材料40を設ける方法について説明したが、絶縁性材料40は、第1電子部品10となる層が積層されている積層体と第2電子部品20とを一体化する前に形成する構成としてもよい。具体的には、
図4(A)に示すように、導電性材料31,32の間に絶縁性材料40を設ける。
図4(A)では、絶縁性材料40は流動性を有した状態を示している。なお、
図4(A)で示す例では、電極層121,122とは異なる電極層(金属層)が絶縁性材料40に覆われているが、第2電極層12の形状によっては、
図1に示すように絶縁性材料40に覆われる領域には金属層が存在しない状態となる。絶縁性材料に覆われる金属層は、電極として機能しない層であるため、除去されていてもよい。このように、導電性材料31,32及び絶縁性材料40が流動性を有している状態で、
図4(B)に示すように、導電性材料31,32及び絶縁性材料40の上方に第2電子部品20を積層する。その後、導電性材料31,32及び絶縁性材料40を硬化させることで、第1電子部品10となる層が積層されている積層体と第2電子部品20とを一体化する。このようにして、
図3(C)に示す状態と同じ状態を得ることができる。
【0047】
電子部品1は、上記で説明したような構成を有することで、従来の薄型のコンデンサと比較して、高容量化と高周波領域における信号品質の向上とを両立することを可能としている。
【0048】
従来の薄型のコンデンサとは、第1電子部品10のように、誘電体層13の厚さを小さくした構造を有するものである。この場合、伝送路を短くすることができるため、低ESL化を実現することができる。ESLは、コンデンサの内部電極等に由来するインダクタンス成分である。コンデンサは、高周波領域においてESLに依存してインピーダンスが増加する。したがって、高周波領域における信号品質の向上には、コンデンサの低ESL化が重要である。薄型のコンデンサは、その構造から低ESL化に有利であることが知られている。
【0049】
しかしながら、上記の薄型のコンデンサは、静電容量を大きくすることは困難である。従来の薄型コンデンサを高容量化しようとすると、誘電体層の誘電率の向上、電極の広面積化、又は、誘電体の薄型化が必要であったが、いずれも改良が容易なものではない。
【0050】
これに対して、電子部品1では、第1電子部品10に対して、第1電子部品10よりも静電容量が大きい第2電子部品20を積層して接続することで、高容量化及び低ESL化を両立することを可能としている。具体的には、第2電子部品20として高容量の電子部品を採用することで、電子部品1としての静電容量を第2電子部品20の容量で賄うことが可能となることから、高容量化を容易に実現することができる。
【0051】
なお、第1電子部品10の静電容量に対して第2電子部品20の静電容量は数倍程度であることが好ましい。第2電子部品20の静電容量が第1電子部品10と比べて大きくなりすぎると、反共振が発生することが考えられる。
【0052】
また、第2電子部品20の接続電極21A,21Bに対して、それぞれ、第1電子部品10の第2電極層12を構成する電極層121,122が導電性材料31,32を介して接続し、第2電子部品20を挟むように、第1電子部品10により形成されたコンデンサ10A,10Bが配置され、第1電子部品10の第1電極層11の電極層111~114を介して外部の電子部品等と接続される。第1電子部品10は、第2電子部品20と比較してESLが低い。従来から高容量のコンデンサとして第2電子部品20のようなMLCCが知られていたが、上記の構成を有する電子部品1によれば、従来のMLCCよりも低いESLを実現可能とする。
【0053】
なお、第1電子部品10のESLに対する第2電子部品20のESLは10倍以上であることが好ましい。このような関係とすると、電子部品1の構成による低ESL化の効果が大きく向上する。
【0054】
また、電子部品1では、第1電子部品10と第2電子部品20とが積層された構成であることで、第1電子部品10と第2電子部品20との間の電流経路をより短くすることができる。複数のコンデンサを連結する場合、平面上に配置されたコンデンサ同士を導体等で接続する構成が一般的である。しかしながら、この場合は電流経路が長くなり、接続したコンデンサ全体で見た場合、ESLが高くなる。これに対して、電子部品1では、第1電子部品10と第2電子部品20との間の電流経路をより短くする構成とすることで、電子部品1全体としての低ESL化がさらに促進される。
【0055】
このように、本実施形態に係る電子部品1は、従来の薄型コンデンサと比較して、高容量化を実現することができると共に、低ESL化が可能となることから高周波領域における信号品質の向上を実現することができる。
【0056】
また、本実施形態の電子部品1では、外部の電子部品等と接続される端子電極として機能する第1電子部品10の第1電極層11を構成する電極層111~114は、4つに分割されている。第1電子部品10が2つのコンデンサ10A,10Bとして機能するためには、第2電極層の電極層121,122に対向して2つの電極層が設けられていればよい。これに対して、電子部品1では、電極層111,112が第2電極層の電極層121に対向し、電極層113,114が第2電極層の電極層122に対向する構成となっている。このような構成を有することで、電子部品1のさらなる低ESL化が可能となり、電子部品1の高周波領域における信号品質がさらに向上する。なお、本実施形態では、電極層が4つ(2×2)に分割されている場合について説明したが、分割数は、適宜変更することができる。
【0057】
また、本実施形態の電子部品1では、第1電子部品10と第2電子部品20との間(及び導電性材料31,32の間)に絶縁性材料40が設けられている。このような構成とすることで、絶縁性材料40が第1電子部品10と第2電子部品20とを物理的に接続する構成となることから、電子部品1の耐久性が向上する。さらに、絶縁性材料40は、電極層121、導電性材料31及び接続電極21A側の導電性の領域と、電極層122、導電性材料32及び接続電極21B側の導電性の領域と、の絶縁を確保することができるため、絶縁信頼性が向上する。
【0058】
また、本実施形態の電子部品1では、導電性材料31,32により、第1電子部品10と第2電子部品20とが接続されている。この場合、導電性材料31,32が第1電子部品10と第2電子部品20とを物理的に接続する構成となることから、電子部品1としての耐久性が向上する。また、導電性材料31,32が、第2電極層12及び接続電極21A,21Bよりも硬度が小さい場合、外部から受ける力等による第2電極層12及び接続電極21A,21Bの変形又は破損等を防ぐことができる。また、熱等により硬化する導電性材料31,32を介して第1電子部品10と第2電子部品20とを接続する構成とすると、導電性材料31,32の硬化により第1電子部品10及び第2電子部品20を好適に支持することができるため、電子部品1の耐久性及び接続信頼性が向上する。
【0059】
図5及び
図6では、本実施形態に係る電子部品1の変形例に係る電子部品を示している。
図5に示す電子部品2は、
図1に示す電子部品1と比較して、絶縁性材料40が設けられていない。このように、絶縁性材料40を備えていない場合であっても、第1電子部品10の第2電極層12を構成する電極層121,122と第2電子部品20の接続電極21A,21Bとが導電性材料31,32を介して接続されているので、電子部品として一体化される。したがって、電子部品2についても、高容量化を実現することができると共に、低ESL化が可能となることから高周波領域における信号品質の向上を実現することができる。
【0060】
図6に示す電子部品3は、
図1に示す電子部品1と比較して、導電性材料31,32が設けられていない。すなわち、第1電子部品10と第2電子部品20とが直接接続されている。このように、第1電子部品10の電極層121,122と第2電子部品20の接続電極21A,21Bとを直接接続する方法としては、例えば、溶着等が挙げられるが、接続の方法については特に限定されない。電子部品3のように、第1電子部品10と第2電子部品20とが直接接続されている構成の場合、
図1に示す電子部品1よりも第1電子部品10と第2電子部品20との間の距離が短くなる。すなわち、電子部品1内での電流経路をより短くすることができる。したがって、低ESL化の観点で、電子部品1よりも高い効果が得られる。なお、電子部品3についても、電子部品2と同様に、絶縁性材料40が設けられていない構成とすることもできる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、1つの第1電子部品10に対して、1つの第2電子部品20が接続されている例について説明したが、1つの第1電子部品10に対して複数の第2電子部品20が接続されている構成であってもよい。この場合、第1電子部品10の第2電極層12は、上記実施形態と同様に少なくとも2つに分割されていてもよいし、複数の第2電子部品20それぞれの電極に対応させて分割されていてもよい。第2電極層12の分割の形状に対応させて、第1電極層11も同一の数又はそれ以上に分割する点は、電子部品1と同様である。複数の第2電子部品20を第1電子部品10に対して組み合わせる構成とした場合、電子部品としての静電容量をさらに向上させることが可能となり、電子部品としての高性能化を実現することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、第1電子部品10がTFCPであり、第2電子部品20がMLCCである場合について説明したが、第1電子部品10及び第2電子部品20は、上記の特定種類のコンデンサに限定されず、適宜変更することができる。また、第2電子部品20の電極の形状や配置等に応じて、第1電子部品10の第2電極層12に含まれる複数の電極層の形状及び配置等を変更することができる。また、複数の電極層の形状及び配置等に応じて、第1電極層11に含まれる複数の電極層の形状及び配置を変更することができる。
【0064】
(他の電子部品の組み合わせ)
上記の電子部品1~3は、第1電子部品10がTFCPであり、第2電子部品20がMLCCである。しかしながら、本発明の一形態に係る電子部品を構成する2つの電子部品の組み合わせは上記に限定されない。以下では、2つの電子部品の組み合わせの変更例について説明する。
【0065】
本発明の一形態に係る電子部品に含まれる所謂薄膜状の第1電子部品としては、上記実施形態で説明したコンデンサのほか、インダクタ、抵抗、ヒューズ、及び、コンデンサ+抵抗の構成が挙げられる。第1電子部品をインダクタとして構成する場合には、第1電極層11及び第2電極層12により挟まれる第1機能層として、誘電体層ではなく、例えば、FeNi(パーマロイ)又はCoTaZr軟磁性層を用いることができる。また、第1電子部品を抵抗として構成する場合には、第1電極層11及び第2電極層12により挟まれる第1機能層として、例えば、Ni-Cr系抵抗材料のNiCrTa、TaN、Ta-SiO2等を用いることができる。また、第1電子部品をサーミスタとして構成する場合には、第1電極層11及び第2電極層12により挟まれる第1機能層として、例えば、Mn、Co、Ni、及び、Fe等から構成される複合化合物等を用いることができる。また、第1電子部品をヒューズとして構成する場合には、第1電極層11及び第2電極層12により挟まれる第1機能層として、例えば、BaTiO3等を用いることができる。
【0066】
一方、本発明の一形態に係る電子部品に含まれる所謂チップ状の第2電子部品としては、上記実施形態で説明したコンデンサのほか、インダクタ、抵抗、及び、ヒューズの構成が挙げられる。第2電子部品をインダクタ、抵抗、又は、ヒューズとして構成する場合に、少なくとも一対の金属に挟まれる第2機能部の材料は、第1電子部品をインダクタ、抵抗、又は、ヒューズとして構成する場合に第1機能層として用いられる材料と同じである。
【0067】
なお、本発明の一形態に係る電子部品における第1電子部品及び第2電子部品の種類(構成)の組み合わせは特に限定されないが、電子部品が所望の機能を発揮するためには、第1電子部品と第2電子部品との組み合わせは特定のものに限定される。例えば、第1電子部品がコンデンサである場合、第2電子部品として、コンデンサ(上記実施形態で説明した電子部品1~3)、インダクタ、又は、ヒューズを組み合わせることができる。上記実施形態で説明したように、第1部品がコンデンサであり、第2部品がコンデンサである場合には、この電子部品はESLを低減させる機能を有する。また、第1部品がコンデンサであり、第2部品がインダクタである場合には、この電子部品は回路における抵抗を低下させる機能を有する。また、第1部品がコンデンサであり、第2部品がヒューズである場合には、この電子部品はフィルターとして機能する。
【0068】
第1電子部品がインダクタである場合、第2電子部品としてコンデンサを組み合わせることができる。第1電子部品がインダクタであり、第2電子部品がコンデンサである場合には、この電子部品は、フィルターとして機能する。
【0069】
第1電子部品が抵抗である場合、第2電子部品としてコンデンサ又はサーミスタを組み合わせることができる。第1電子部品が抵抗であり、第2電子部品がコンデンサである場合には、この電子部品は、回路における抵抗を低下させる機能を有する。また、第1電子部品が抵抗であり、第2電子部品がサーミスタである場合には、この電子部品は、温度による抵抗値の調整を行う機能を有する。
【0070】
第1電子部品がサーミスタである場合、第2電子部品として抵抗を組み合わせることができる。第1電子部品が抵抗であり、第2電子部品がサーミスタである場合には、この電子部品は、回路における抵抗を低下させる機能を有する。
【0071】
第1電子部品がヒューズである場合、第2電子部品としてコンデンサを組み合わせることができる。第1電子部品がヒューズであり、第2電子部品がコンデンサである場合には、大電流によりコンデンサがショートしてもヒューズによりコンデンサは遮断され、安全性が担保される。
【0072】
さらに、第1電子部品がコンデンサ+抵抗である場合、第2電子部品としてコンデンサを組み合わせることができる。第1電子部品がコンデンサ+抵抗であり、第2電子部品がコンデンサである場合には、この電子部品は、インピーダンスの反共振を調整しながら、ESLの低減を実現することができる。
【0073】
また、第1電子部品がコンデンサ+抵抗である場合、第2電子部品としてインダクタを組み合わせることもできる。第1電子部品がコンデンサ+抵抗であり、第2電子部品がインダクタである場合には、抵抗はダンピング抵抗として機能する。
【0074】
上記のように、電子部品の第1電子部品及び第2電子部品の組み合わせに関係なく、第1電子部品の第2電極層に含まれる互いに異なる電極層に対して、第2電子部品の少なくとも一対の電極のそれぞれが接続されることで、2つの電子部品が組み合わせられた電子部品を得ることができる。この結果、複数の電子部品を組み合わせて使用することが求められた場合に、複数の電子部品を効率よく配置し接続することが可能となる。近年、電子機器等の高機能化や用途に応じて、複数の電子部品を基板上等に配置することが求められる場合があるが、基板上に電子部品を多数配置すると基板上において電子部品が占める面積の割合が増大することが考えられる。一方、チップ状の電子部品を基板上で上下方向に積むと、電子部品を配置するための高さを十分に確保することが求められると共に、電子部品に対する配線が複雑になる可能性があった。これに対して、本実施形態の電子部品のように、第1電子部品を、第1電極層、第2電極層及び第1機能層からなる薄膜部品として、第2電子部品と組み合わせることで、従来の電子部品の配置及び接続と比較して、2つの電子部品を効率よく配置し接続することができる。
【0075】
なお、上記実施形態では第2電子部品がチップ状である場合について説明したが、第2電子部品も第1電子部品と同様に薄膜状であってもよい。
図7は、第2電子部品が薄膜状である場合の電子部品4を説明する図である。
図7に示す電子部品4では、第2電子部品60が一対の電極層61A,61Bと、第2機能部としての誘電体層62とにより構成されている。また、電極層61Aは、導電性材料31を介して第1電子部品10の第2電極層12のうちの電極層121と電気的に接続されている。同様に、電極層61Bは、導電性材料32を介して第1電子部品10の第2電極層12のうちの電極層122と電気的に接続されている。このように、第2電子部品60も薄膜部品として構成されると、電子部品としてのさらなる低背化を達成することができる。また、電子部品4のように、第1電子部品10及び第2電子部品60の両方が薄膜部品として構成されている場合でも、絶縁性材料40を両者の間に設けることで、これらが一体化された状態を好適に維持することができる。
【符号の説明】
【0076】
1,2,3,4…電子部品、10…第1電子部品、11…第1電極層、12…第2電極層、13…誘電体層、20,60…第2電子部品、21A,21B…接続電極、22…誘電体層、23A,23B…内部電極、111~114,121,122…電極層。