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  • 特許-タンクの支持構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】タンクの支持構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/07 20060101AFI20220628BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B60K15/07
B60K15/063 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017203956
(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公開番号】P2019077253
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 渓人
(72)【発明者】
【氏名】道下 大和
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-207587(JP,A)
【文献】特開2011-126443(JP,A)
【文献】特開2002-120573(JP,A)
【文献】特開平11-310043(JP,A)
【文献】特開2001-225649(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014201328(DE,A1)
【文献】特開2011-148324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0306695(US,A1)
【文献】特開2002-046484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/07
B60K 15/063
F16J 12/00
F02M 37/00
B60K 15/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状胴部を有するタンクの支持構造であって、
車体側から延びると共に、少なくともその一部を前記筒状胴部の下方に位置させた支持面を有する2つのブラケットと、
前記筒状胴部の下方に位置する前記ブラケットの前記支持面に設けられると共に、前記筒状胴部の筒軸心を中心にV字状に傾斜する一対の平面部を含み、該一対の平面部で前記筒状胴部の2カ所を下方から支持する一対の支持部材と、を備え、
前記ブラケットは、前記車体側よりも前記筒軸心側の方が低く傾斜した第1傾斜平面と、前記車体から遠い側よりも前記筒軸心側の方が低く傾斜した第2傾斜平面と、を有し、
前記一対の支持部材のうち第1支持部材が前記筒状胴部の筒軸方向において前記第1傾斜平面から突出した状態で前記第1支持部材の平面が前記第1傾斜平面に固定されており、前記一対の支持部材のうち第2支持部材が前記筒軸方向において前記第2傾斜平面から突出した状態で前記第2支持部材の平面が前記第2傾斜平面に固定されている
ことを特徴とするタンクの支持構造。
【請求項2】
前記筒状胴部が円筒状に形成されると共に、前記一対の平面部が前記筒状胴部の下側外周面の2カ所を接線方向で支持する
請求項1に記載のタンクの支持構造。
【請求項3】
前記ブラケットの車体側の第1所定部位から延出端側の第2所定部位に架け渡されて、前記平面部に支持された前記タンクを前記ブラケットに結束固定するバンド部材をさらに備える
請求項1又は2に記載のタンクの支持構造。
【請求項4】
前記平面部に張り付けられて、該平面部と前記筒状胴部との間に介在するラバー部材をさらに備える
請求項1から3の何れか一項に記載のタンクの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タンクの支持構造に関し、特に、筒状胴部を有するタンクの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタンクの支持構造として、例えば、特許文献1,2には、車体フレームに固定された支持ブラケットに、燃料タンクの円筒胴部の外周形状に沿うように湾曲する半円弧状の支持板を設けると共に、該支持板の上面に燃料タンクを載置してバンド等で結束固定する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-120573号公報
【文献】特開2002-46484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料タンクの円筒胴部の外周形状には、各タンク間で曲率や外径に寸法公差がある。このため、支持板の上面形状と円筒胴部の外周形状とに差異があると、支持板の上面に載置した燃料タンクの姿勢が不安定となり、燃料タンクを支持ブラケットに安定的に保持できない場合がある。
【0005】
また、燃料タンクの容量や外径は、タンク内に貯留する燃料の種類(例えば、液化天然ガス:LNG、圧縮天然ガス:CNG等)に応じて異なる。上記文献に開示の構造では、支持板が燃料タンクの円筒胴部の外周形状に沿うように半円弧状に湾曲するため、外径が異なる複数種類の燃料タンクには適宜に対応できないといった課題もある。
【0006】
本開示の技術は、タンクをブラケットに安定的に保持することができるタンクの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術は、筒状胴部を有するタンクの支持構造であって、車体側から延びると共に、少なくともその一部を前記筒状胴部の下方に位置させたブラケットと、前記筒状胴部の下方に位置する前記ブラケットの所定部位に設けられると共に、前記筒状胴部の筒軸心を中心にV字状に傾斜する一対の平面部を含み、該一対の平面部で前記筒状胴部の2カ所を下方から支持する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記筒状胴部が円筒状に形成されると共に、前記一対の平面部が前記筒状胴部の下側外周面の2カ所を接線方向で支持することが好ましい。
【0009】
また、前記ブラケットの車体側の第1所定部位から延出端側の第2所定部位に架け渡されて、前記平面部に支持された前記タンクを前記ブラケットに結束固定するバンド部材をさらに備えることが好ましい。
【0010】
また、前記平面部に張り付けられて、該平面部と前記筒状胴部との間に介在するラバー部材をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の技術によれば、タンクをブラケットに安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るタンクの支持構造が適用されたタンクユニット及び、タンクユニットが取り付けられた車体フレームの一部を示す模式的な斜視図である。
図2】本実施形態に係るタンクの支持構造を示す模式的な斜視図である。
図3】本実施形態に係るタンクの支持構造をタンク胴部の筒軸方向から視た模式図である。
図4】本実施形態に係るタンクの支持構造に外径の異なる種類の燃料タンクを保持させた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本実施形態に係るタンクの支持構造について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
図1は、本実施形態に係るタンクの支持構造が適用されたタンクユニット10及び、タンクユニット10が取り付けられた車体フレーム1の一部を示す模式的な斜視図である。
【0015】
車体フレーム1は、例えば、トラック等のキャブオーバ型車両の車体骨格フレームであって、その前端側には、運転室としてのキャブ(不図示)や、タンクユニット10から供給される燃料(例えば、天然ガス)により駆動する動力源としてのエンジン(不図示)等が搭載されている。
【0016】
車体フレーム1は、車体前後方向に延びる左右一対のシャシフレーム2,3と、これらシャシフレーム2,3に車体幅方向に架け渡された複数のクロスメンバ4とを備えている。シャシフレーム2,3は、車体幅方向内側に開口する断面略U字状に形成されている。クロスメンバ4は、車体前方又は後方に向けて開口する断面略U字状に形成されている。なお、これらシャシフレーム2,3やクロスメンバ4の形状は、断面U字状に限定されず、断面矩形状等、他の形状であってもよい。
【0017】
左右のシャシフレーム2,3の少なくとも一方には、タンクユニット10が取り付けられている。タンクユニット10は、左右何れのシャシフレーム2,3に取り付けられる場合も略同様に構成されるため、以下では、右側のシャシフレーム3に取り付けられるタンクユニット10について説明する。
【0018】
タンクユニット10は、燃料タンク50と、前後一対の支持ブラケット11F,11Rと、前後一対の固定バンド20F,20Rと、第1連結ピン37F,37Rと、第2連結ピン38F,38Rと、バンド張力調整機構39F,39Rとを備えている。
【0019】
燃料タンク50は、略円筒状のタンク胴部51と、タンク胴部51の前端から略半球状に突出してタンク胴部51の前端開口を塞ぐタンク前端部52と、タンク胴部51の後端開口を塞ぐと共に、不図示の燃料供給配管等が接続されるコネクタ等を有するタンク後端部53とを備えている。燃料タンク50は、タンク胴部51を、その軸心方向(筒軸方向)が車体前後方向となるように前後の支持ブラケット11F,11Rに保持されている。
【0020】
図2に示すように、前後の支持ブラケット11F,11Rは、全体として略L字状に形成されており、車体上下方向に延びる固定部12Aと、斜めに延びる傾斜部12Bと、車体幅方向に延びる支持部12Cと、前後一対の型板部12D,12Eと、湾曲板部12Fと、左右一対の支持板部材40A,40Bとを備えている。前後の支持ブラケット11F,11Rは、燃料タンク50のタンク胴部51(図1参照)の車体前後方向の長さよりも短い間隔で前後に離間してシャシフレーム3の車体幅方向外側の側壁3Aに取り付けられている。
【0021】
固定部12Aは、シャシフレーム3の壁面3Aに沿って、側壁3Aの上端から下端に亘って車体上下方向に延設されている。固定部12Aは、複数のボルト14を、シャシフレーム3の車体幅方向内側の側面に溶接等で固定された不図示の裏面ナットと螺合することにより固定される。
【0022】
傾斜部12Bは、固定部12Aの下端から車体幅方向外側に斜め下方に向けて延設されている。支持部12Cは、傾斜部12Bの下端から車体幅方向外側にタンク胴部51(図1参照)の下方を略水平方向に延設されている。これら傾斜部12B及び、支持部12Cの車体幅方向の長さは、少なくとも、タンク胴部51(図1参照)の直径よりも長くなるように形成されている。
【0023】
前後の型板部12D,12Eは、略L字状の平板部材であって、その外縁12Gの形状を固定部12A、傾斜部12B及び、支持部12Cの形状に沿うように少なくとも二箇所で屈折する直線状とされている。また、前後の型板部12D,12Eの内縁12Hの形状は、燃料タンク50のタンク胴部51(図1参照)の外周よりも大きな曲率半径で湾曲して窪む半円弧状とされている。前後の型板部12D,12Eは、その外縁12Gを固定部12A、傾斜部12B及び、支持部12Cの表面に溶接等により接合することで固定されている。
【0024】
湾曲板部12Fは、前後の型板部12D,12Eの内縁12Hの形状に沿った半円弧状の湾曲板であって、その前後の端縁を型板部12D,12Eの内縁12Hに溶接等により接合することで固定されている。湾曲板部12Fの上面には、燃料タンク50のタンク胴部51(図1参照)を支持する左右一対の支持板部材40A,40Bが設けられている。支持板部材40A,40Bの詳細については後述する。
【0025】
前後の型板部12D,12Eの上端側には、不図示の連結ピンを挿通可能な第1挿通孔35がそれぞれ貫通形成されている。また、前後の型板部12D,12Eの車体幅方向外側の端部側には、不図示の連結ピンを挿通可能な第2挿通孔36がそれぞれ貫通形成されている。さらに、前後の型板部12D,12Eの第2挿通孔36の近傍には、バンド張力調整機構39F,39Rが設けられている。
【0026】
すなわち、これら第1及び第2挿通孔35,36に、図1に示すように、固定バンド20F,20Rの一端を回動可能に支持する第1連結ピン37F,37Rと、固定バンド20F,20Rの他端を回動可能に支持する第2連結ピン38F,38Rとをそれぞれ挿通し、バンド張力調整機構39F,39Rにより固定バンド20F,20Rの締め付け力を調整することにより、燃料タンク50のタンク胴部51が支持ブラケット11F,11Rに結束固定されるようになっている。
【0027】
図3に示すように、左右一対の支持板部材40A,40Bは、支持ブラケット11F,11Rの湾曲板部12Fの上面に、タンク胴部51の筒軸心Xを中心にタンク胴部51の外径よりも短い間隔で左右に離間して配置されている。また、左右一対の支持板部材40A,40Bは、タンク胴部51の筒軸方視において、その上面が左右対称に略V字状となるように、互いに近接側を反近接側よりも下方に位置させて略同角度で傾斜して設けられている。支持板部材40A,40Bの上面には、好ましくは、タンク胴部51の外周面に接触して燃料タンク50の滑り止めとして機能するゴム等のラバー部材41A,41Bが貼り付けられている。
【0028】
以上詳述した本実施形態のタンクの支持構造によれば、支持ブラケット11F,11Rに燃料タンク50のタンク胴部51を支持する左右一対の支持板部材40A,40Bが配設されている。これら一対の支持板部材40A,40Bは、その上面が左右対称に略V字状となるように、互いに略同角度で傾斜して設けられている。すなわち、支持板部材40A,40Bの上面に載置される燃料タンク50のタンク胴部51が、その下側外周面の2カ所を支持板部材40A,40Bによって接線方向で支持されるように構成されている。
【0029】
これにより、タンク間でタンク胴部51に曲率や外径等の寸法公差があっても、左右一対の支持板部材40A,40Bによって燃料タンク50が筒軸心Xに左右方向へのずれを生じることなく適正な位置に支持されるようになり、燃料タンク50を支持ブラケット11F,11Rに安定的に保持することが可能になる。
【0030】
また、燃料タンク50が支持ブラケット11F,11Rに安定して保持されることにより、燃料タンク50を固定バンド20F,20Rで結束固定する際の作業性も効果的に向上させることができる。
【0031】
また、図4に示すように、支持ブラケット11F,11Rに燃料タンク50よりも小径(又は、大径)の燃料タンク60を保持させる場合であっても、燃料タンク60の下側外周面の計2カ所が左右一対の支持板部材40A,40Bによって確実に支持されるため、固定バンド20F,20Rの締め付け量を調整すれば、外径が異なる複数種類の燃料タンク50,60にも適宜に対応することが可能になる。
【0032】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0033】
例えば、支持板部材40A,40Bは、左右一対の別体ものとして説明したが、これらをV字状に屈曲する一枚の板状部材で一体に形成してもよい。この場合も上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0034】
また、タンクユニット10が取り付けられる位置は、シャシフレーム2,3に限定されず、クロスメンバ4等の他の車体部位に取り付けられてもよい。
【0035】
また、支持ブラケット11F,11Rの個数は、前後一対(2個)として説明したが、燃料タンク50のタンク胴部51の長さに応じてそれらの個数を増やしてもよい。
【0036】
また、本実施形態の適用範囲は、天然ガスを貯留する燃料タンク50に限定されず、支持板部材40A,40Bに載置される筒状のタンク胴部51を有するものであれば、軽油等の他の燃料を貯留する燃料タンク、或いは、コンプレッサ等により圧縮される圧縮エアーを貯留する高圧タンク等であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 車体フレーム
2,3 シャシフレーム
4 クロスメンバ
10 タンクユニット
11F,11R 支持ブラケット
12A 固定部
12B 傾斜部
12C 支持部
12D,12E 型板部
12F 湾曲板部
20F,20R 固定バンド
40A,40B 支持板部材
41A,41B ラバー部材
50 燃料タンク
51 タンク胴部
52 タンク前端部
53 タンク後端部
図1
図2
図3
図4