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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】画像表示処理システム及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017213452
(22)【出願日】2017-11-06
(65)【公開番号】P2019083960
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 友規子
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0157825(US,A1)
【文献】特開2014-153313(JP,A)
【文献】特開2003-315369(JP,A)
【文献】特開2013-24697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部上において計測位置を表す計測マーカーを生成し、前記計測マーカーを前記画像表示部に表示するための制御を行うデータ制御部と、
前記計測マーカーに対応付けた計測マーカー指定部と、
前記計測マーカー指定部をユーザーが指定する指定操作に基づいて、前記計測マーカーを選択する計測マーカー選択制御部と、
を備え、
前記計測マーカー指定部は、前記データ制御部において生成され、前記画像表示部に表示される識別ラベルであり、
前記識別ラベルは、前記画像表示部に表示されている前記計測マーカーにより特定される計測位置又は物理量がリスト化されたものであり、
前記識別ラベル上の任意の位置を指定する指定操作において、当該指定操作によって指定された位置の座標データを取得する識別ラベル選択位置取得部を更に有し、
前記計測マーカー選択制御部は、前記識別ラベル選択位置取得部によって取得された前記座標データに基づいて、前記計測マーカーを選択
前記画像表示部上において前記計測位置を指定する第2の指定操作によって指定された前記各計測位置の座標データ、又は前記第2の指定操作によって指定された前記各計測位置間の計測範囲の物理量データ、のいずれかのデータを取得するデータ取得部を更に備え、
前記データ制御部は、前記データ取得部によって取得されたデータを、前記識別ラベル上に表示するための制御を行い、
前記識別ラベルは、前記計測範囲の物理量の相対的な大きさを判断可能となるような、記号又はアイコンを表示する、
ことを特徴とする画像表示処理システム。
【請求項2】
前記計測マーカーが、前記計測マーカー選択制御部によって選択された場合に、前記計測マーカーが示す前記計測範囲又は前記計測位置を再度設定する操作が可能となる、
ことを特徴とする請求項に記載の画像表示処理システム。
【請求項3】
前記画像表示部は、タッチパネル機能を有する画像表示部であって、
前記識別ラベル選択位置取得部は、ユーザーが、前記画像表示部に表示された前記識別ラベル上の任意の位置を指定する指定操作の際に、前記画像表示部に触れるタッチ操作の位置の前記座標データを取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示処理システム。
【請求項4】
医用画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部上において計測位置を表す計測マーカーを生成し、前記計測マーカーを前記画像表示部に表示するための制御を行うデータ制御部と、
前記計測マーカーに対応付けた計測マーカー指定部と、
前記計測マーカー指定部をユーザーが指定する指定操作に基づいて、前記計測マーカーを選択する計測マーカー選択制御部と、
を備え、
前記計測マーカー指定部は、前記データ制御部において生成され、前記画像表示部に表示される識別ラベルであり、
前記識別ラベルは、前記画像表示部に表示されている前記計測マーカーにより特定される計測位置又は物理量がリスト化されたものであり、
前記識別ラベル上の任意の位置を指定する指定操作において、当該指定操作によって指定された位置の座標データを取得する識別ラベル選択位置取得部を更に有し、
前記計測マーカー選択制御部は、前記識別ラベル選択位置取得部によって取得された前記座標データに基づいて、前記計測マーカーを選択
前記画像表示部上において前記計測位置を指定する第2の指定操作によって指定された前記各計測位置の座標データ、又は前記第2の指定操作によって指定された前記各計測位置間の計測範囲の物理量データ、のいずれかのデータを取得するデータ取得部を更に備え、
前記データ制御部は、前記データ取得部によって取得されたデータを、前記識別ラベル上に表示するための制御を行い、
前記識別ラベルは、前記計測範囲の物理量の相対的な大きさを判断可能となるような、記号又はアイコンを表示する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示処理システム及び画像処理装置に係り、特に医用画像上における計測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像上で一度計測した範囲を編集する場合、従来では、医用画像上の個々の計測範囲を示す範囲カーソルを選択することにより、編集したい計測範囲を選択していた(例えば、特許文献1〔0067〕~〔0076〕)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5883147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同一の医用画像上において、複数の計測範囲又は計測位置が設定されていることがある。さらに、それらの各計測範囲又は計測位置は互いに近い箇所に位置している場合や、互いに重なり合っているような場合がある。
【0005】
上記のような場合、複数の計測範囲又は計測位置の中から所望の計測範囲又は計測位置を選択して編集する際、計測範囲又は計測位置同士が近接している、若しくは重なり合っているため、選択しにくいという課題があった。特に、指や専用のタッチペン等を用いて直接画面をタッチするタッチパネルにおいては、意図せずに所望の箇所とは違う箇所をタッチしてしまう誤操作が起きやすいため、上記のような課題は顕著である。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の目的は、計測編集を実施する際、ユーザーが編集する計測位置をできるだけ簡単に選択可能な画像表示処理システムと、そのシステムを用いた画像処理装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の画像表示処理システムの発明は、
医用画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部上において計測位置を表す計測マーカーを生成し、前記計測マーカーを前記画像表示部に表示するための制御を行うデータ制御部と、
前記計測マーカーに対応付けた計測マーカー指定部と、
前記計測マーカー指定部をユーザーが指定する指定操作に基づいて、前記計測マーカーを選択する計測マーカー選択制御部と、
を備え、
前記計測マーカー指定部は、前記データ制御部において生成され、前記画像表示部に表示される識別ラベルであり、
前記識別ラベルは、前記画像表示部に表示されている前記計測マーカーにより特定される計測位置又は物理量がリスト化されたものであり、
前記識別ラベル上の任意の位置を指定する指定操作において、当該指定操作によって指定された位置の座標データを取得する識別ラベル選択位置取得部を更に有し、
前記計測マーカー選択制御部は、前記識別ラベル選択位置取得部によって取得された前記座標データに基づいて、前記計測マーカーを選択
前記画像表示部上において前記計測位置を指定する第2の指定操作によって指定された前記各計測位置の座標データ、又は前記第2の指定操作によって指定された前記各計測位置間の計測範囲の物理量データ、のいずれかのデータを取得するデータ取得部を更に備え、
前記データ制御部は、前記データ取得部によって取得されたデータを、前記識別ラベル上に表示するための制御を行い、
前記識別ラベルは、前記計測範囲の物理量の相対的な大きさを判断可能となるような、記号又はアイコンを表示する、
ことを特徴としている。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像表示処理システムにおいて、
前記計測マーカーが、前記計測マーカー選択制御部によって選択された場合に、前記計測マーカーが示す前記計測範囲又は前記計測位置を再度設定する操作が可能となる、
ことを特徴としている。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像表示処理システムにおいて、
前記画像表示部は、タッチパネル機能を有する画像表示部であって、
前記識別ラベル選択位置取得部は、ユーザーが、前記画像表示部に表示された前記識別ラベル上の任意の位置を指定する指定操作の際に、前記画像表示部に触れるタッチ操作の位置の前記座標データを取得する、
ことを特徴としている。
【0013】
請求項に記載の画像処理装置の発明は、
医用画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部上において計測位置を表す計測マーカーを生成し、前記計測マーカーを前記画像表示部に表示するための制御を行うデータ制御部と、
前記計測マーカーに対応付けた計測マーカー指定部と、
前記計測マーカー指定部をユーザーが指定する指定操作に基づいて、前記計測マーカーを選択する計測マーカー選択制御部と、
を備え、
前記計測マーカー指定部は、前記データ制御部において生成され、前記画像表示部に表示される識別ラベルであり、
前記識別ラベルは、前記画像表示部に表示されている前記計測マーカーにより特定される計測位置又は物理量がリスト化されたものであり、
前記識別ラベル上の任意の位置を指定する指定操作において、当該指定操作によって指定された位置の座標データを取得する識別ラベル選択位置取得部を更に有し、
前記計測マーカー選択制御部は、前記識別ラベル選択位置取得部によって取得された前記座標データに基づいて、前記計測マーカーを選択
前記画像表示部上において前記計測位置を指定する第2の指定操作によって指定された前記各計測位置の座標データ、又は前記第2の指定操作によって指定された前記各計測位置間の計測範囲の物理量データ、のいずれかのデータを取得するデータ取得部を更に備え、
前記データ制御部は、前記データ取得部によって取得されたデータを、前記識別ラベル上に表示するための制御を行い、
前記識別ラベルは、前記計測範囲の物理量の相対的な大きさを判断可能となるような、記号又はアイコンを表示する、
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明では、計測マーカーに対応付けた計測マーカー指定部を選択することにより編集する計測位置を設定できるため、計測位置が近接しているような場合でもユーザーは容易に所望の計測位置を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の超音波診断装置を示す全体図
図2】超音波診断装置のハードウェアブロック図
図3A】超音波診断装置のブロック図
図3B】画像処理部のブロック図
図4】第一実施形態における計測範囲の設定と編集に関するフローチャート
図5A】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5B】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5C】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5D】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5E】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5F】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5G】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5H】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図5I】第一実施形態における計測範囲設定処理において表示される画面遷移例
図6】第一実施形態における識別ラベル表示例
図7】第二実施形態における計測位置の設定と編集に関するフローチャート
図8A】第二実施形態における計測位置設定処理において表示される画面遷移例
図8B】第二実施形態における計測位置設定処理において表示される画面遷移例
図8C】第二実施形態における計測位置設定処理において表示される画面遷移例
図8D】第二実施形態における計測位置設定処理において表示される画面遷移例
図8E】第二実施形態における計測位置設定処理において表示される画面遷移例
図8F】第二実施形態における計測位置設定処理において表示される画面遷移例
図9】第二実施形態における識別ラベル表示例
図10】第二実施形態において、計測領域として線分を設定した場合の画面表示例
図11】第三実施形態における画面表示例
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の超音波診断装置Uの全体図である。図2は、超音波診断装置Uの内部構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示されるように、この超音波診断装置Uは、超音波診断装置本体1と、ケーブル22を介して超音波診断装置本体1に接続された超音波探触子2(超音波プローブ)とを備える。超音波診断装置本体1には、操作入力部18と出力表示部19とが設けられている。超音波診断装置本体1の制御部15(図3A参照)は、操作入力部18のキーボードやマウスといった入力デバイスに対する外部からの入力操作に基づき、超音波探触子2に駆動信号を出力して超音波を出力させ、また、超音波探触子2から超音波受信に係る受信信号を取得して各種処理を行い、必要に応じて出力表示部19の液晶画面などに結果などを表示させる。なお、出力表示部19は、超音波診断装置Uに含まれず超音波診断装置Uの外部に設けられていても良い。
【0018】
図2に示されるように、この超音波診断装置Uは、超音波探触子2、CPU(Central Processing Unit)3、ROM(Read Only Memory)4、操作パネル5、RAM(Random Access Memory)6、HDD(Hard Disk Drive)7、通信部8などにより構成されている。
【0019】
超音波診断装置本体1は、図3Aに示すように、送信部12と、受信部13と、送受信切替部14と、制御部15と、画像処理部16と、記憶部17と、操作入力部18と、出力表示部19などを備えている。このうち、送信部12、受信部13及び制御部15により送受信制御手段が構成される。
【0020】
送信部12は、制御部15から入力される制御信号に従って超音波探触子2に供給するパルス信号を出力し、超音波探触子2により超音波を発生させる。送信部12は、例えば、クロック発生回路、パルス発生回路、パルス幅設定部、及び、遅延回路を備えている。クロック発生回路は、パルス信号の送信タイミングや中心周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。パルス発生回路は、所定の周期で予め設定された電圧振幅のバイポーラー型の矩形波パルスを発生させる回路である。パルス幅設定部は、パルス発生回路から出力される矩形波パルスのパルス幅を設定する。パルス発生回路で生成された矩形波パルスは、パルス幅設定部への入力前又は入力後に、超音波探触子2の個々の振動子21ごとに異なる配線経路に分離される。遅延回路は、生成された矩形波パルスを各振動子21に送信するタイミングに応じて、これらの配線経路ごとに設定された遅延時間それぞれ遅延させて出力させる回路である。
【0021】
受信部13は、制御部15の制御に従って超音波探触子2から入力された受信信号を取得する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、超音波探触子2の各振動子21により受信された超音波に応じた受信信号を予め設定された所定の増幅率でそれぞれ増幅する回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号を所定のサンプリング周波数でデジタルデータに変換する回路である。サンプリング周波数は、ナイキスト周波数が後述の受信周波数より高い必要があり、例えば、60MHzである。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子21ごとに対応した配線経路ごとに遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成する回路である。
【0022】
送受信切替部14は、制御部15の制御に基づいて、振動子21から超音波を発信する場合に駆動信号を送信部12から振動子21に送信させる一方、振動子21が出射した超音波に係る信号を取得する場合に受信信号を受信部13に出力させるための切り替え動作を行う。
【0023】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)3、HDD(Hard Disk Drive)7及びRAM(Random Access Memory)6などを備えている。CPU3は、HDD7に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM6にロードし、当該プログラムに従って超音波診断装置Uの各部の動作を統括制御する。HDD7は、超音波診断装置Uを動作させる制御プログラム及び各種処理プログラムや、各種設定データ等を記憶する。これらのプログラムや設定データは、HDD7の他、例えば、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーを用いた補助記憶装置に読み書き更新可能に記憶させることとしても良い。RAM6は、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリーであり、CPU3に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0024】
画像処理部16は、制御部15のCPU3とは別個に、超音波の受信データに基づく診断用画像を作成するための演算処理を行うCPUやRAMなどを備えた処理制御部16aを有する。この診断用画像には、輝度分布により被検体の構造を示すBモード画像、ドップラー効果を利用して計測された血流状態などを示すDモード画像、及び被検体内部の歪みの分布を示す弾性画像などが含まれる。また、診断用画像には、出力表示部19に略リアルタイムで表示させる画像データやその一連の動画データ、スナップショットの静止画データなどが含まれる。
なお、処理制御部16aによる演算処理が制御部15のCPUにより行われる構成であっても良い。
また、図3Bに記載の画像処理部16は、被検体の医用画像を生成、又は医用画像の再構成処理を行う画像生成部51と、出力表示部19に表示するための医用画像を選択し、その表示制御を行う画像選択・表示制御部52と、計測範囲又は計測位置を指定する計測マーカー70(図5B参照)、計測結果を含む識別ラベル90(図6参照)の生成、表示制御を行うデータ制御部53と、医用画像上で指定された計測範囲又は計測位置を特徴付ける予め定めた物理量(距離、角度、面積など)や座標などを計測する計測部(データ取得部)56と、選択された識別ラベル90上の位置の座標データを取得する識別ラベル選択位置取得部54と、ユーザーによって選択された計測マーカー70を選択する計測マーカー選択制御部55と、院内ネットワークに接続するための通信インターフェース(以下「通信I/F」という)57と、出力表示部19上において、計測範囲又は計測位置を指定する操作を受け付ける操作部58と、を含む。画像処理部16は、画像処理部16内の各構成要素の機能を実現するためのソフトウェアと、演算・制御装置及び記憶装置を含むハードウェアと、の組み合わせにより構成される。
【0025】
記憶部17は、生成された医用画像を記憶する画像記憶部17aと、計測マーカー70と、計測マーカー70に対応する識別ラベル90上の計測範囲又は計測位置と、を対応付けて記憶・保存する計測情報記憶部17bと、によって構成されている。また、記憶部17は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリーである。或いは、この記憶部17は、高速書き換えが可能な各種不揮発性メモリーであっても良い。記憶部17は、画像処理部16で処理されてリアルタイム表示やこれに準じた表示に用いられる診断用画像データをフレーム単位で記憶する。記憶部17に記憶された診断用画像データは、制御部15の制御に従って読み出され、出力表示部19に送信されたり、図2中の通信部8を介して超音波診断装置Uの外部に出力されたりする。このとき、出力表示部19の表示方式がテレビジョン方式の場合には、記憶部17と出力表示部19との間にDSC(Digital Signal Converter)が設けられて、走査フォーマットが変換された後に出力されれば良い。
【0026】
操作入力部18は、押しボタンスイッチ、キーボード、マウスパッド、若しくはトラックボール、又は、これらの組み合わせを備えており、ユーザーの入力操作を操作信号に変換し、超音波診断装置本体1に入力する。
【0027】
出力表示部19は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイといった種々の表示方式のうち、いずれかを用いた表示画面とその駆動部を備える。また、上記の表示方式に加えて、抵抗膜方式や表面弾性波方式等を用いたタッチパネルを用いることも可能である。出力表示部19は、制御部15から出力された制御信号や、画像処理部16で生成された診断用画像データに従って表示画面(各表示画素)の駆動信号を生成し、表示画面上に超音波診断に係るメニュー、ステータスや、受信された超音波に基づく計測データの表示を行う。
【0028】
これらの操作入力部18や出力表示部19は、超音波診断装置本体1の筐体に一体となって設けられたものであっても良いし、USBケーブルなどを介して外部に取り付けられるものであっても良い。また、超音波診断装置本体1に操作入力端子や表示出力端子が設けられていれば、これらの端子に従来の操作用及び表示用の周辺機器を接続して利用するものであっても良い。
【0029】
超音波探触子2は、超音波(ここでは、1~30MHz程度)を発振して生体などの被検体に対して射出(発信)するとともに、射出した超音波のうち被検体で反射された反射波(エコー)を受信して電気信号に変換する音響センサーとして機能する。この超音波探触子2は、超音波を送受信する複数の振動子21の配列である振動子配列210と、ケーブル22とを備えている。ケーブル22は、その一端に超音波診断装置本体1とのコネクター(図示略)を有し、超音波探触子2は、このケーブル22により超音波診断装置本体1に対して着脱可能に構成されている。ユーザーは、この超音波探触子2における超音波の送受信面、すなわち、振動子配列210から超音波を出射する方向の面を被検体に所定の圧力で接触させて超音波診断装置Uを動作させ、超音波診断を行う。
【0030】
振動子配列210は、圧電体とその変形(伸縮)により電荷が現れる両端に設けられた電極とを有する圧電素子を備えた複数の振動子21の配列であり、本実施形態では、所定の走査方向SDへの一次元配列である。振動子21に電圧パルス(パルス信号)が順番に供給されることで各圧電体に生じる電界に応じて圧電体が変形し、超音波が発信される。また、振動子21に所定の周波数帯の超音波が入射すると、その音圧により圧電体の厚さが変動(振動)することで当該変動量に応じた電荷が生じ、当該電荷量に応じた電気信号に変換、出力される。
【0031】
超音波探触子2は、送信部12からのパルス信号に基づきこの振動子配列210における配列順に各振動子21から超音波を送信することで、振動子配列方向に平行な走査方向SDに超音波の走査(スキャン)を行う。
【0032】
超音波探触子2は、リニア電子走査方式、セクター電子走査方式、コンベックス電子走査方式等の各種電子走査方式や、リニア走査方式、セクター走査方式、アーク走査方式、ラジアル走査方式等の各種機械走査方式のいずれの方式を採用したものであっても良い。また、この超音波診断装置Uは、診断対象に応じて異なる複数の超音波探触子2のいずれかを超音波診断装置本体1に接続して利用可能な構成とすることができる。
また、超音波探触子2は、圧力センサーを備え、超音波探触子2の被検体への圧力を計測して制御部15に出力する構成としても良い。超音波探触子2は、更に、超音波探触子2の送受信面を超音波の送受信方向に前後移動させるモーターを備え、予め設定された圧力で被検体に押し付けたり開放したりすることが可能であっても良い。
【0033】
本実施形態では、超音波診断装置に限られるわけではなく、医療画像を取り扱う装置であればいずれでも良く、X線画像診断装置、X線CT装置、MRI装置、PET装置等、医用画像撮像装置の種別は問わない。また、本発明に係る画像表示処理システムを、医用画像診断装置や医用画像撮像装置に搭載することなく、端末装置に接続していない、いわゆるスタンドアローン状態の画像表示装置などに適用しても良く、PACSサーバーなどの画像データベースから読み出された画像に対して用いても良い。
【0034】
以下、生成、表示された医用画像上において、計測範囲又は計測位置を設定し、物理量等を計測し、編集する方法について詳述する。
【0035】
<第一実施形態>
本実施形態は、出力先に表示された医用画像に対して、操作入力部18を操作することで計測マーカー70を表示し、表示された計測マーカー70を移動させることによって計測範囲を指定する。この時同時に、指定された計測範囲を識別するための番号等が定義され、それらの番号等が表示された識別ラベル90が出力先に表示される。また、計測部(データ取得部)56によって、指定された計測範囲の物理量が計測され、その結果が識別ラベル90に併記される。次いで、指定された計測範囲に対して、計測範囲を指定し直す編集作業を行う場合、識別ラベル90中の編集したい計測範囲に該当する部分を選択することで、編集したい計測範囲を選択し、選択された計測範囲を編集し直すことが特徴である。
【0036】
本実施形態では、医用画像中に計測範囲を指定する場合の例を説明する。ここで用いられる計測範囲とは、二点間を取る直線を表しており、座標軸と考えることができる。
ここで、楕円は計測範囲としての座標軸2つ(1軸目と2軸目、若しくは長軸と短軸)を指定することで決まる。本実施形態では、医用画像中に楕円を指定する操作に準じて、計測範囲の指定と編集の方法を説明する。また、ここでは、計測範囲が近接するような2つの楕円を設定する。
【0037】
以下、図4図6を参照して本実施形態を詳述する。図4は、計測範囲の指定と編集に関する処理の流れを示すフローチャートである。図5A図5Iは、計測範囲の指定処理において表示される画面遷移例を示す図であって、図5AはステップS101の画面表示例を示し、図5BはステップS102の画面表示例を示し、図5CはステップS103の画面表示例を示し、図5DはステップS104の画面表示例を示し、図5EはステップS105の画面表示例を示し、図5FはステップS106の画面表示例を示し、図5GはステップS107の画面遷移例を示し、図5HはステップS108の画面遷移例を示し、図5IはステップS109の画面遷移例を示す。図6は識別ラベル90の構成例を示す。
【0038】
以下、図4のステップ順に沿って説明する。図4に示す計測処理の開始前に、超音波診断装置U等により被検体を撮像し、画像信号を取得する。画像生成部51は、その画像信号を用いて医用画像を生成又は再構成する。生成された医用画像は画像記憶部17aに記憶される。その後、ステップS101が開始される。
【0039】
(ステップS101)
画像選択・表示制御部52は、表示対象となる医用画像を画像記憶部17aから読み出したり、通信I/F57を介して画像DB60から取得したりするなどして、表示部の画面上に表示する(S101)。図5Aは、ステップS101における画面表示例である。
【0040】
(ステップS102)
図5Bに示すように、表示された医用画像上において、計測範囲を指定するための計測マーカー70を表示させる。操作者が図示しない計測マーカーボタンを押すなどすると、データ制御部53によって計測マーカー70が表示される。前記計測マーカー70は、未確定であることを表す破線バツ印等で表示される。
【0041】
(ステップS103)
ステップS103では、楕円αの1軸目を設定する。
はじめに、楕円モードを選択する。出力表示部19上、若しくは出力表示部19外に図示しない「楕円モード選択ボタン」等が設けられ、操作者は、前記楕円モード選択ボタン等を押すなどして、医用画像中に楕円を設定するモードにする。
【0042】
楕円は1軸目と2軸目(短軸と長軸)を定めることで決定される。まず、1軸目に関して、1軸目始点として指定したい所望の箇所に前記計測マーカー70を移動させる。移動方法はマウスカーソルを用いたドラッグ、指やタッチペンを用いて画面に触れるタッチ操作などにより行われる。ここでは、タッチ操作を想定して各段階を説明する。操作者は、所望の箇所に計測マーカー70を移動させた後、Setボタンを押すなどすると、操作部58は1軸目始点を確定させる確定操作を受け付ける。なお、前記Setボタンは前記計測マーカー70が表示されると同時に画面上に表示されても良いし、初めから画面上に表示されていても良い。1軸目始点を確定させる確定操作が行われた後、前記計測マーカー70は、前記確定操作が行われたことを表す実線バツ印等で表示され、1軸目始点位置に固定される。
【0043】
続いて、1軸目終点として設定したい所望の箇所に計測マーカー70を移動させる。操作部58によって1軸目始点が確定されると同時に、データ制御部53は、1軸目始点とは別に、1軸目終点として指定する破線バツ印等で表示された計測マーカー70を画面上の任意の位置に表示する。操作者は、前記計測マーカー70を、1軸目終点として指定したい所望の箇所に移動させた後、1軸目始点と同様にSetボタンを押すなどすると、操作部58は1軸目終点を確定させる確定操作を受け付ける。確定後、計測部(データ取得部)56によって計測範囲の物理量が計測される。確定した1軸目終点の計測マーカー70は実線バツ印等で表示される。また、操作部58により1軸目終点を確定させると同時に、データ制御部53は、1軸目の垂直二等分線上の任意の位置に2軸目の一端点として、破線バツ印等で表示された計測マーカー70を表示させる。さらに、データ制御部53は、確定された1軸目を示す計測マーカー70を識別するために、例えばD1のような識別番号を定義する。続いて、図6に示すような識別ラベル90を生成し、定義された識別番号D1を表示する。加えて、計測部(データ取得部)56によって取得された各計測範囲の物理量データを識別ラベル90に併記する。また、この時同時に、D1を示す計測マーカー70と、識別ラベル90上のD1の表示が対応付けられ、計測情報記憶部17bに保存される。図5Cは、ステップS103終了時、すなわち楕円αの1軸目が確定された時点における画面表示例である。
【0044】
図6の識別ラベル90は、楕円の1軸目(長軸)D1、2軸目(短軸)D2、周囲長C、面積Aが表示されており、各項目の物理量が表示されている。1軸目終点確定時には、D1、D2の物理量(長さ)が適当な初期値で表示されるようにしても良い。また、物理量は数値で表示される場合に限らず、例えば、D1、D2を相対的な大きさが分かるように、長さを変えた矢印等のアイコンや記号の表示により表現する、なども可能である。場合によっては、物理量に関する表示は一切せずに識別番号のみを表示することも可能である。
なお、前記識別ラベル90は、表示/非表示の切り替えボタン等により、表示させるか否かを選択することを可能に構成されていても良い。また、識別ラベル90を画像中の任意の位置に移動させることも可能に構成されていても良い。
【0045】
(ステップS104)
次に、楕円αの2軸目を指定する。操作者は、2軸目の一端点として表示されている計測マーカー70を、所望の箇所に移動させた後、1軸目の場合と同様にSetボタンを押すなどして2軸目の一端点を確定させる確定操作を行い、2軸目を確定させる。2軸目の確定と同時に、1軸目の場合と同様、識別番号や物理量データ等が識別ラベル90上に表示される。なお、2軸目は、一端点が確定すると、楕円αの性質上2軸目自体が確定する。この2軸目の確定操作により、計測領域としての楕円αが確定される。さらに、楕円α確定と同時に、楕円αの周囲長C及び面積Aが計測部(データ取得部)56によって計測され、識別ラベル90上に表示される。図5Dは、ステップS104終了時、すなわち楕円αが指定された時点における画面表示例である。
【0046】
なお、確定操作を行うために用いるSetボタンは、前述したように1軸目始点としての計測マーカー70が表示されてからSetボタンを表示するように構成しても良いし、操作者が計測マーカー70の移動操作を行っていない時間、すなわち画面をタッチしていない間に表示されるようにしても良い。
【0047】
(ステップS105)
ステップS102~ステップS104までの操作と同様の操作により、計測範囲として楕円βを設定する。これにより、医用画像内において、計測領域として2つの楕円(楕円α及び楕円β)が設定される。図5Eは、ステップS105終了時、すなわち2つの楕円α及び楕円βが指定された時点における画面表示例である。
【0048】
(ステップS106)
ステップS101~ステップS105で設定された楕円について、計測範囲の編集を行う場合の操作について説明する。
【0049】
ステップS106では、編集したい計測範囲を選択する操作を行う。この操作は主に、計測情報記憶部17b、識別ラベル選択位置取得部54、計測マーカー選択制御部55により行われる。
操作者はまず、図6に示される識別ラベル90中の、編集したい計測範囲が示されている行内の任意の位置をタッチする。そして、タッチされた位置の座標が、識別ラベル選択位置取得部54によって取得され、どの計測範囲に該当するか判断される。それにより、編集したい計測範囲が認識される。この時、識別ラベル90中における編集したい計測範囲に該当する行が、例えば破線囲い表示等で表示され、選択されたことを示すように表示される。続いて、計測情報記憶部17bに記憶された情報に基づいて、認識された計測範囲に該当する医用画像上の計測マーカー70が、計測マーカー選択制御部55によって選択される。この時、選択された計測マーカー70は、破線バツ印等で表示されることにより、編集可能状態になったことが示される。また、識別ラベル90中における編集したい計測範囲に該当する行と、編集したい計測範囲を示す計測マーカー70は、関連性を示すために共に破線等で表示される。なお、識別ラベル選択位置取得部54によって取得された座標がどの計測範囲に該当するかの判断については、識別ラベル選択位置取得部54によってなされても良いし、計測マーカー選択制御部55によってなされても良い。また、それら2つ以外の図示しない別の処理部を設け、その処理部によって行われても良い。
【0050】
具体的な計測範囲の選択方法を操作の流れに沿って説明する。ここでは、楕円αの2軸目D2を編集する場合を例に挙げる。操作者はまず、図6に示される識別ラベル90中のD2の行をタッチする。D2の行内であれば、どこをタッチしても良い。続いて、タッチされた位置がどの計測範囲に該当するか認識される。この場合、D2の行がタッチされたと認識され、識別ラベル90上のD2の行が浮遊状態を示す破線囲い表示等で強調して表示される。そして、医用画像上の2軸目D2の計測マーカー70が選択され、選択された計測マーカー70が浮遊状態になり、編集可能状態となる。図5Fは、ステップS106終了時、すなわち、楕円αの2軸目D2が編集可能状態になった時点における画面表示例である。
【0051】
(ステップS107)
ステップS106で選択され、編集可能状態になった計測範囲を編集する。操作者は、浮遊状態となった2軸目D2の一端点を所望の位置までドラッグ、タッチ等により移動させた後、画面へのタッチを離すと画面上にSetボタンが現れる。そして、現れたSetボタンを押すなどして2軸目D2を確定させる。図5Gは、ステップS107終了時、すなわち、楕円αの2軸目D2編集後の時点における画面表示例である。
なお、ここでの計測マーカー70の移動操作は、軸の直線上に限られる。すなわち、軸の長さが変わるのみである。このようにすることにより、例えばタッチパネルのように細かな移動操作が困難な場合において、編集操作が容易に行えるといったメリットがある。
【0052】
(ステップS108)
また、上記のような編集操作以外の編集方法も可能であっても良い。例えば、図5Hに示されるように、楕円自体を上下左右に平行移動させる編集方法が可能である。この方法は、例えば、図6の識別ラベル90中の「C(周囲長)」行内の任意の位置を選択することにより可能である。図5Hは、ステップS108終了時、すなわち、楕円αの平行移動編集後の時点における画面表示例である。
【0053】
(ステップS109)
さらに、図5Iに示されるように、楕円自体を回転させる編集方法が可能である。この方法は、例えば、図6の識別ラベル90中の「A(面積)」行内の任意の位置を選択することにより可能である。図5Iは、ステップS109終了時、すなわち、楕円αの回転編集後の時点における画面表示例である。
【0054】
計測範囲の修正必要箇所がなければ、これで全編集作業を完了する。さらに修正する場合は、ステップS106~ステップS109を繰り返し、修正箇所がなくなるまで行う。
【0055】
なお、計測マーカーに関して、編集可能状態では破線バツ印等、確定状態では実線バツ印等で表示されるように構成されているが、これらはどのような形態でも良く、色の変化などにより、周囲とは違った様式で表示されていることが分かるようにしても良い。
【0056】
また、ここでは計測範囲として楕円を指定する場合を例に挙げたが、定義可能な形状であればどのような形状でも指定可能であり、例えば、長方形や三角形などでも良い。また、単一の長さ若しくは幅を測定しても良い。
【0057】
本実施形態によれば、各計測範囲の物理量等が記載された識別ラベル90をタッチすることで、編集したい計測範囲を選択することができる。これにより、各計測範囲同士が近接している場合や重なり合っている場合に、計測範囲を容易に選択することが可能となる。このようなことは、タッチパネルディスプレイのような、画面上をタッチする際に細かい操作が難しい場合には、特に有効である。具体的には、矢印型のマウスカーソル等であれば、計測範囲が近接しているような場合でも、カーソルの先端が尖っているため意図する計測範囲を選択しやすいが、指でタッチするタッチパネルのような場合では、意図する箇所とは異なる計測範囲をタッチしてしまう誤操作が起きやすい。このような場合に本実施形態による計測範囲の選択方法が有効である。
【0058】
更に、識別ラベル90中の各計測範囲の物理量を、数値に限らず矢印等で表示することも可能にすることにより、各計測範囲の相対的な大きさを把握しやすくなる。このようなことは、例えば、楕円の2軸のうち長い方を編集したいなどの場合に特に有効である。
【0059】
また、本実施形態では、画面上に表示される識別ラベルを選択することにより、編集したい計測範囲を示す計測マーカーを選択するが、選択方法はそれに限られない。例えば、画面上ではない部分に、計測マーカー指定部としてのボタン等が配置されており、そのボタンを押すなどして計測範囲を示す計測マーカーを選択する方法や、編集したい計測範囲を示す計測マーカーに該当する識別番号等を言葉で発することにより、その音声が聞き取られ、音声通りの計測マーカーが選択される方法などがある。
【0060】
<第二実施形態>
本実施形態は、医用画像を表示し、計測位置を指定し、編集したい計測位置を編集する、といった一連の動作は第一実施形態と同様であるが、計測位置の指定方法、及び計測位置の編集方法が第一実施形態とは異なる。
【0061】
第一実施形態では、直線状の計測範囲を設定して編集する場合を例に挙げていたが、本実施形態では、座標点のような計測位置を設定して編集する場合を例に挙げて説明する。この場合、二点間の直線等の計測範囲とは異なり、各々の点の間の物理量は表示されなくても良い。
【0062】
以下、図7図9を参照して本実施形態を詳述する。図7は、計測位置の指定と編集に関する処理の流れを示すフローチャートである。図8A図8Fは、計測位置の指定処理において表示される画面遷移例を示す図であって、図8AはステップS201の画面表示例を示し、図8BはステップS202の画面表示例を示し、図8CはステップS203の画面表示例を示し、図8DはステップS204の画面表示例を示し、図8EはステップS205の画面表示例を示し、図8FはステップS206の画面表示例を示す。図9は識別ラベル90の構成例を示す。
【0063】
以下、図7のステップ順に沿って説明する。図7に示す計測処理の開始前に、超音波診断装置Uにより被検体を撮像し、画像信号を取得する。画像生成部51は、その画像信号を用いて医用画像を生成又は再構成する。生成された医用画像は画像記憶部17aに記憶される。その後、ステップS201が開始される。
なお、以下、第一実施形態と同様の操作を行う部分に関しては、適宜説明を省略する。
【0064】
(ステップS201)
画像選択・表示制御部52は、表示対象となる医用画像を画像記憶部17aから読み出したり、通信I/F57を介して画像DB60から取得したりするなどして、表示部の画面上に表示する(S201)。図8Aは、本ステップにおける画面表示例である。
【0065】
(ステップS202)
図8Bに示すように、表示された医用画像上において、物理量の計測等を行う対象となる計測位置を指定するため、第一実施形態と同様に、図示しない計測マーカーボタンを押すなどして、計測マーカー70を表示する。前記計測マーカー70は、未確定であることを表す破線バツ印等で表示される。
【0066】
計測領域を決定するために、操作者が医用画像中の計測したい計測領域に沿って複数の点を指定し、それらの隣接した各点が自動的に線分で結ばれることによって計測領域が指定される。まず、破線バツ印で表示された計測マーカー70を、1点目P1として指定したい所望の箇所に移動させる。移動方法はドラッグ、タッチなどにより行われる。所望の箇所に移動後、第一実施形態と同様に、Setボタンを押すなどして、1点目P1を確定させる確定操作を行う。この時同時に、指定した1点目P1を識別するための識別番号としてP1が定義される。確定操作の後、計測部(データ取得部)56によって1点目P1の座標が取得される。以下、Setボタンを押すたびに座標データが取得される。確定した1点目P1の計測マーカー70は実線バツ印等で表示される。さらに、この確定操作の後、2点目P2として指定するための計測マーカー70が破線バツ印で表示される。また、実線バツ印で表示されている1点目の計測マーカー70と、破線バツ印で表示されている2点目P2の計測マーカー70が、データ制御部53により自動的に線分で結合される。さらにこの時、第一実施形態と同様に、データ制御部53により、図9に示されるような識別ラベル90が表示され、各計測位置の座標データと医用画像中の計測位置を示す計測マーカー70とが対応付けられ、計測情報記憶部17bに保存される。図8Bは、ステップS202終了時、すなわち、P1設定時における画面表示例である。
【0067】
(ステップS203)
続いて、2点目P2を指定する。まず、複数点により囲まれた形状を指定するモード(以下、複数点モード)を選択する。第一実施形態と同様に、操作者は、出力表示部19上、若しくは出力表示部19外に設けられた「複数点モード選択ボタン」を押すなどして、医用画像中に、複数点により囲まれた形状を設定するモードにする。
【0068】
続いて、第一実施形態と同様に、2点目P2として指定するために破線バツ印で表示された計測マーカー70を、2点目P2として指定したい所望の箇所に移動させた後、Setボタンを押すなどして確定させる。この確定操作と同時に、確定した2点目P2は実線バツ印で表示され、3点目P3として指定するための計測マーカー70が破線バツ印で表示される。また、実線バツ印で表示されている2点目P2の計測マーカー70と、破線バツ印で表示されている3点目P3の計測マーカー70が、自動的に線分で結合される。さらにこの時、2点目P2の確定操作と同時に、識別ラベル90の表示が2点目P2の座標情報を含むものに書き換えられる。図8Cは、ステップS203終了時、すなわち、2点目P2指定時における画面表示例である。
【0069】
(ステップS204)
続いて、ステップS203と同様の操作によって、3点目P3以降を指定する。本実施形態では6つの点を指定した場合を例に説明するが、複数点であればいくつの点を指定しても良い。
【0070】
操作者は、6点目P6を確定させる確定操作を行った後、6点目P6が最終点であることを示すために、図示しないCompleteボタンを押すなどの操作を行う。この操作を行うことで、データ制御部53によって、最終点であると判断された6点目P6と、1点目P1が線分で結合され、識別ラベル90にC(周囲長)及びA(面積)が新たに書き加えられる。なお、6点目P6が最終点であることを示す操作は、Completeボタンを押す操作に限らず、例えば、Setボタンを2回押すなど、他の方法によって行われても良い。図8Dは、ステップS204終了時、すなわち、6点目が確定され計測領域が指定された時点における画面表示例である。
【0071】
また、上記のCompleteボタンを押すなどした際に、計測領域内の最長距離及び最短距離が自動的に計測されるようにしても良い。その場合、測定結果が図9の識別ラベル90に追加で表示される。
【0072】
(ステップS205)
ステップS204で確定された複数点により囲まれた形状について、計測位置の編集を行う場合の操作について説明する。
【0073】
ステップS205では、編集したい計測位置を選択する操作を行う。この操作は主に、第一実施形態と同様に、計測情報記憶部17b、識別ラベル選択位置取得部54、計測マーカー選択制御部55により行われる。
【0074】
具体的な計測位置の選択方法を操作の流れに沿って説明する。ここでは、1点目P1を編集する場合を例に挙げる。操作者はまず、図9に示される識別ラベル90中のP1の行をタッチする。P1の行内であれば、どこをタッチしても良い。続いて、タッチされた箇所がどの計測位置に該当するか認識される。この場合、P1の行がタッチされたと認識される。この時、識別ラベル90中におけるP1の行が、破線囲い表示等で表示される。そして、医用画像上のP1の計測マーカー70が選択され、選択された計測マーカー70が破線バツ印で表示され、編集可能状態となる。図8Eは、ステップS205終了時、すなわち、P1が編集可能状態になった時点における画面表示例である。
【0075】
(ステップS206)
ステップS205で選択され、編集可能状態になった計測位置を編集する。操作者は、浮遊状態となった1点目P1を所望の箇所までドラッグ、タッチなどにより移動させた後、画面へのタッチを離すと画面上にSetボタンが現れる。そして、現れたSetボタンを押すなどして1点目を確定させる。なお、ここでの計測マーカー70の移動操作は、平面上どこでも移動可能である。図8Fは、ステップS206終了時、すなわち、P1編集後の時点における画面表示例である。
【0076】
計測位置の修正箇所がなければ、これで全編集作業を完了する。さらに修正する場合は、ステップS205からステップS206を繰り返し、修正必要箇所がなくなるまで行う。
【0077】
本実施形態では、6つの点により囲まれた形状を例に挙げたが、2つの点のみ設定した場合、直線を設定することになる。直線を指定した場合の、医用画像及び識別ラベル90の画面表示例を図10に示す。識別ラベル90中に表示されているLは、P1´とP2´から成る線分の長さを表す。
【0078】
また、第一実施形態と同様に、計測マーカーの表示はどのような形態でも良く、色の変化などにより、周囲とは違った様式で表示されていることが分かるようにしても良い。
【0079】
本実施形態によれば、各計測位置の座標等が記載された識別ラベル90をタッチすることで、編集したい計測位置を選択することができる。これにより、各計測位置同士が近接している場合や重なり合っている場合に、計測位置を容易に選択することが可能となる。また、本実施形態のような複数点により囲む形状の場合、より正確に形状を設定するために点の数が多くなることや点同士が非常に近くに位置することも考えられる。そのような場合に、本実施形態は特に有効である。
【0080】
<第三実施形態>
本実施形態は、医用画像上に設定された計測範囲又は計測位置を編集する場合において、第一実施形態で示した直線状の計測範囲と、第二実施形態で示した座標点のような計測位置が、同一画像上に設定されている場合の計測範囲又は計測位置の編集方法について説明する。
【0081】
図11は、第一実施形態で設定した楕円と、第二実施形態で設定した複数点により囲まれた形状が、同一画像上にある場合の画面表示例である。
計測範囲又は計測位置を編集する場合、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、識別ラベル90中の編集したい計測範囲又は計測位置に該当する行をタッチすることにより、対応する画像中の計測マーカー70が選択される。また、選択された計測マーカー70が、それぞれに準じたモードで編集可能になる。例えば、図11における楕円αの1軸目D1を編集する場合、第一実施形態と同様に、識別ラベル90中のD1の行をタッチする。それにより、医用画像中の楕円αの1軸目D1が選択され、「楕円モード」で編集可能になる。他方、複数点により囲まれた形状のP1が選択された場合は、「複数点モード」で編集可能になる。
【0082】
本実施形態によれば、各計測範囲又は計測位置の物理量等が記載された識別ラベルをタッチすることで、編集したい計測範囲又は計測位置を選択することができる。これにより、各計測範囲又は計測位置がそれぞれ近接している場合や重なり合っている場合に、計測範囲又は計測位置を容易に選択することが可能となる。このようなことは、タッチパネルディスプレイのような、画面上をタッチする際に細かい操作が難しい場合には、特に有効である。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0084】
U:超音波診断装置
2:超音波探触子
12:送信部
13:受信部
14:送受信切替部
15:制御部
16:画像処理部
16a:処理制御部
17:記憶部
17a:画像記憶部
17b:計測情報記憶部
18:操作入力部
19:出力表示部
21:振動子
22:ケーブル
51:画像生成部
52:画像選択・表示制御部
53:データ制御部
54:識別ラベル選択位置取得部
55:計測マーカー選択制御部
56:計測部(データ取得部)
57:通信I/F
58:操作部
60:画像DB(画像データベース)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11