(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20220628BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20220628BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G03G15/16
B65H5/00 A
G03G15/00 455
(21)【出願番号】P 2017246525
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江木 誠
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-177891(JP,A)
【文献】特開2012-103422(JP,A)
【文献】特開平01-117151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0092310(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
5/04
5/08-5/20
5/24-5/38
29/52
G03G 13/02
13/14-13/16
15/00
15/02
15/14-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写部と、
前記転写部によって転写されたトナー像を前記記録媒体上に定着する定着部と、
前記転写部から前記定着部に搬送される前記記録媒体が通過する記録媒体搬送路と、
を備えた画像形成装置において、
前記記録媒体搬送路には、前記記録媒体の搬送方向に沿って複数の除電部材が前記記録媒体と非接触となるように配置されており、
前記記録媒体搬送路は、
導電性材料で形成された第1搬送ガイドと、
前記記録媒体の搬送方向に対し前記第1搬送ガイドの上流側に配置され、非導電性材料で形成された第2搬送ガイドと、
を有し、
前記除電部材は、
前記第1搬送ガイドと、前記第1搬送ガイドに貼り付けられる第1除電シートと、で構成される第1除電部材と、
前記第2搬送ガイドと、前記第2搬送ガイドに貼り付けられる第2除電シートと、で構成される第2除電部材と、
を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1搬送ガイドは、金属製のガイド板と、前記ガイド板の表面から突出するように配置される樹脂製のガイドリブとを有し、
前記第1除電シートは、前記記録媒体の搬送方向に対し前記ガイド板の上流側端部に貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1搬送ガイドは、
10
6
Ω以上の抵抗値を有する抵抗器を介して接地されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1搬送ガイドは、
電圧が所定値以上になると電気抵抗が低くなる性質を有する電子部品を介して接地されていることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写部と、
前記転写部によって転写されたトナー像を前記記録媒体上に定着する定着部と、
前記転写部から前記定着部に搬送される前記記録媒体が通過する記録媒体搬送路と、
を備えた画像形成装置において、
前記記録媒体搬送路には、前記記録媒体の搬送方向に沿って複数の除電部材が前記記録媒体と非接触となるように配置されており、
前記記録媒体搬送路は、導電性材料で形成された搬送ガイドを有し、
前記除電部材は、
前記搬送ガイドに貼り付けられる第1除電シートと、前記第1除電シートと前記搬送ガイドとの間に介在する導電性部材と、で構成される第1除電部材と、
前記記録媒体の搬送方向に対し前記第1除電シートの上流側において前記搬送ガイドに貼り付けられる第2除電シートと、前記第2除電シートと前記搬送ガイドとの間に介在する絶縁性部材と、で構成される第2除電部材と、
を含むことを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送ガイドは、金属製のガイド板と、前記ガイド板の表面から突出するように配置される樹脂製のガイドリブとを有し、
前記第1除電シートは前記導電性部材を介して前記ガイド板に貼り付けられており、前記第2除電シートは前記絶縁性部材を介して前記ガイド板に貼り付けられていることを特徴とする請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送ガイドは、
10
6
Ω以上の抵抗値を有する抵抗器を介して接地されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送ガイドは、
電圧が所定値以上になると電気抵抗が低くなる性質を有する電子部品を介して接地されていることを特徴とする請求項
5又は請求項
6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、転写部において像担持体上のトナー像が転写された用紙等の記録媒体を定着部に搬送する搬送ガイドを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いる画像形成装置においては、主に粉末の現像剤(トナー)が使用され、感光体ドラム(像担持体)表面の感光層を帯電装置によって所定の表面電位(トナーの帯電極性と同極性)に帯電させた後、露光装置によって感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、形成された静電潜像を現像装置内のトナーによって可視化し、そのトナー像を感光体ドラムに対向する転写部を通過する用紙(記録媒体)上に転写した後、定着部で定着処理を行うプロセスが一般的である。
【0003】
また、転写部から定着部に至る用紙搬送路に金属製の搬送ガイドを配置し、搬送ガイドに用紙を引き寄せながら搬送することで用紙の挙動を安定させる構成が知られている。この構成においては、トナー像を転写した後の用紙に残留電荷が多く残存していると、金属製の搬送ガイドとの間で微小放電が発生することがある。その結果、用紙上の未定着トナーが飛散してトナー像に乱れが発生するおそれがあった。また、飛散した未定着トナーが搬送ガイドや定着部材に付着し、後続の用紙に再付着して用紙汚れが発生するという問題点もあった。
【0004】
そこで、特許文献1には、トナー像が転写された転写材を適度に除電するために、転写手段の転写材搬送方向下流側に除電手段を設けるとともに、除電手段の転写材搬送方向下流側に導電性繊維部材を配置した画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トナー像が転写された用紙の除電効果を求めすぎると、今度は用紙と除電部材や導電シートとの間で微小放電が発生し、画像劣化を発生させるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、記録媒体と除電部材との間の微小放電を発生させずに記録媒体の残留電荷を除去可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、像担持体と、転写部と、定着部と、記録媒体搬送路と、除電部材と、を備えた画像形成装置である。像担持体は、トナー像を担持する。転写部は、像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する。定着部は、転写部によって転写されたトナー像を記録媒体上に定着する。記録媒体搬送路は、転写部から定着部に搬送される記録媒体が通過する。除電部材は、記録媒体搬送路に記録媒体の搬送方向に沿って記録媒体と非接触となるように複数配置される。記録媒体の搬送方向に対し下流側に配置される除電部材は、上流側に配置される除電部材に比べて電荷容量が大きい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の構成によれば、転写部においてトナー像が転写された記録媒体は、記録媒体の搬送方向に対し上流側に設けられた電荷容量の小さい除電部材に接近することにより、トナー像の乱れを発生させることなく記録媒体の残留電荷をある程度除去することができる。その後、記録媒体が搬送方向に対し下流側に設けられた電荷容量の大きい除電部材に接近することにより、記録媒体の残留電荷を十分に除電することができる。また、下流側の除電部材に記録媒体が到達するときには上流側の除電部材によって記録媒体の残留電荷がある程度除電されているため、電荷容量の大きい下流側の除電部材と記録媒体との間での微小放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図
【
図2】第1実施形態の画像形成装置100における用紙搬送路11、反転搬送路17周辺の部分断面図
【
図3】第1実施形態の画像形成装置100の搬送ユニット23に配置される第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31周辺を画像形成装置100の正面側から見た斜視図
【
図4】第1実施形態の画像形成装置100における第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31周辺の断面拡大図
【
図5】第1実施形態の画像形成装置100の変形例であって、バリスタ43を介してガイド板30aを接地した構成を示す第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31周辺の断面拡大図
【
図6】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置100における第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31周辺の断面拡大図
【
図7】
図6における第1除電シート33および第2除電シート35の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す概略図である。画像形成装置(例えばモノクロプリンター)100本体内には、帯電、露光、現像及び転写の各工程によりモノクロ画像を形成する画像形成部Pが配設されている。
【0012】
画像形成部Pには、感光体ドラム1の回転方向(
図1の反時計回り方向)に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写ローラー5、クリーニング装置6、及び除電装置7が配設されている。画像形成部Pでは、感光体ドラム1を
図1において反時計回り方向に回転させながら、感光体ドラム1に対する画像形成プロセスが実行される。
【0013】
感光体ドラム1は、例えばアルミニウム製のドラム素管の外周面に感光層が積層されたものである。本実施形態では、感光層として高硬度で耐久性に優れたアモルファスシリコン(a-Si)感光層を用いている。感光層はアモルファスシリコン感光層に限らず、有機感光層(OPC)を用いてもよい。
【0014】
帯電装置2は、感光体ドラム1の感光層を均一に帯電させる。本実施形態では、帯電ローラーと感光体ドラム1とを接触させ、接触部近傍に生じる電界によって放電するローラー帯電方式の帯電装置が用いられる。帯電装置2はこれに限らず、コロナワイヤーを用いたスコロトロン帯電方式を用いてもよい。
【0015】
露光装置3は、画像データに基づいて光ビームを感光体ドラム1に照射し、感光体ドラム1の感光層の表面に、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。現像装置4は、静電潜像にトナーを付着させてトナー像に現像する。現像装置4へのトナーの供給はトナーコンテナ8から行われる。
【0016】
転写ローラー5は、感光体ドラム1との接触位置において転写ニップ部N(
図4参照)を形成する。転写ローラー5に転写電圧電源(図示せず)から負極性(トナーと逆極性)の電圧を印加することで、用紙が転写ニップ部Nを通過する際に、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が負極性の電荷を注入された転写ローラー5側に引き付けられて用紙上に転写される。
【0017】
クリーニング装置6は、トナー像が用紙に転写された後に、感光体ドラム1の表面の残留トナーを除去する。除電装置7は、感光体ドラム1の表面に除電光を照射して残留電荷を除去する。
【0018】
印字動作を行う場合、パーソナルコンピューター等の上位装置から送信された画像データを画像信号に変換する。一方、画像形成部Pにおいて、帯電装置2により図中の反時計回り方向に回転する感光体ドラム1が均一に帯電され、画像信号に基づいて露光装置3が感光体ドラム1上に光ビームを照射することで、その画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム1表面に形成する。その後、現像装置4の現像ローラーに担持されたトナーを静電潜像に付着させてトナー像を形成する。
【0019】
上記のようにトナー像が形成された画像形成部Pに向けて、用紙収容部10から用紙が用紙搬送路11及びレジストローラー対13を経由して所定のタイミングで搬送され、感光体ドラム1と転写ローラー5とのニップ部Nにおいて感光体ドラム1表面のトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム1から分離され、定着部9に搬送されて加熱及び加圧されることで用紙にトナー像が定着される。定着部9を通過した用紙は、用紙搬送路11の分岐部に配置された分岐ガイド16によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、反転搬送路17に送られて両面印字された後に)、排出ローラー対14を介して用紙排出部15に排出される。
【0020】
図2は、第1実施形態の画像形成装置100における用紙搬送路11、反転搬送路17周辺の部分断面図である。側面カバー20は、画像形成装置100の側面102を構成し、画像形成装置100本体の下方に設けられた支点20aに回動可能に支持されている。側面カバー33の側端縁にはフック21が設けられている。フック21は、画像形成装置100本体の正面側フレーム及び背面側フレームに設けられた係合ピン(図示せず)に係合することにより側面カバー20を閉状態に保持する。側面カバー20の内側面は反転搬送路17の一方の搬送面を構成している。
【0021】
側面カバー20の内側には搬送ユニット23が配置されている。搬送ユニット23は支軸23aを中心として画像形成装置100本体に回動可能に支持されており、反転搬送路17と用紙搬送路11の搬送面の一部を構成する。反転搬送路17は、側面カバー20の内側面と搬送ユニット23の外側面との間で画像形成装置100の側面102に沿って上下方向に延び、略C字状に湾曲して用紙搬送路11に合流する構造となっている。搬送ユニット23の内側面には、用紙の搬送方向上流側(
図2の下側)から順に、レジストローラー対13を構成する片側のローラー13b、転写ローラー5が付設されている。
【0022】
画像形成装置100に対し側面カバー20のみを開方向に回動させることにより、反転搬送路17が広範囲に露出する。また、側面カバー20を搬送ユニット23と共に開方向に回動させることにより、搬送ユニット23が画像形成装置100本体側から離間して用紙搬送路11が広範囲に露出する。一方、側面カバー20を搬送ユニット23と共に閉方向に回動させることにより、搬送ユニット23が画像形成装置100本体側に当接して転写ローラー5が感光体ドラム1に押圧される。
【0023】
図3は、第1実施形態の画像形成装置100の搬送ユニット23に配置される第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31周辺を画像形成装置100の正面側から見た斜視図であり、
図4は、第1実施形態の画像形成装置100における第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31周辺の断面拡大図である。
図3および
図4に示すように、搬送ユニット23には第1搬送ガイド30と第2搬送ガイド31とが配置されている。第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31は、転写ローラー5の下流側の用紙搬送路11において転写ニップ部Nを通過した用紙をガイドして定着部9に案内する。
【0024】
第1搬送ガイド30は、金属板を所定の形状に折り曲げて形成されるガイド板30aと、ガイド板30aの表面から突出するように配置される樹脂製のガイドリブ30bとを有する。ガイド板30aは、メガオーム(106Ω)単位の抵抗値を有する抵抗器37(ハイメグ抵抗)を介してグランドに接地(アース)されている。
【0025】
ガイドリブ30bは、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(
図4の紙面と垂直な方向)に所定の間隔を隔てて複数配置されている。ガイドリブ30bに沿って用紙が搬送されることで、用紙とガイド板30aとが非接触状態に維持される。
【0026】
第2搬送ガイド31は樹脂により形成されており、転写ローラー5と第1搬送ガイド30の間に配置されている。
【0027】
前述したように、転写ニップ部Nにおいてトナー像が転写された用紙に残留電荷が多く残存していると、金属製のガイド板30aとの間で微小放電が発生することがある。そこで、ガイド板30aに用紙の残留電荷を除去する第1除電シート33が貼り付けられている。
【0028】
第1除電シート33は、用紙搬送方向に対し第1搬送ガイド30の上流側(
図3、
図4の下側)に、各ガイドリブ30bの隙間を埋めるように第1搬送ガイド30の幅方向(
図4の紙面と垂直な方向)の全域に亘って貼り付けられている。第1搬送ガイド30(ガイド板30a)と第1除電シート33とで本実施形態に用いられる第1除電部材40が構成される。第1除電シート33の材質としては、導電性の不織布等が用いられる。
【0029】
しかし、第1除電部材40による用紙の除電効果が強すぎると、用紙が第1除電部材40を通過する際に用紙と第1除電シート33との間で微小放電が発生し、画像劣化を発生させる。また、用紙の搬送状態のばらつきによって用紙と第1除電シート33との距離が変化すると、用紙と第1除電シート33との間で微小放電が発生する可能性が高くなる。
【0030】
その結果、用紙上の未定着トナーが飛散してトナー像に乱れが発生するおそれがある。また、飛散した未定着トナーが第1搬送ガイド30、第2搬送ガイド31や定着部9の定着部材に付着し、後続の用紙に再付着して用紙汚れが発生するおそれがある。
【0031】
そこで本実施形態では、ガイド板30aに貼り付けられる第1除電シート33に加えて、樹脂製の第2搬送ガイド31に第2除電シート35を貼り付けている。第2搬送ガイド31と第2除電シート35とで本実施形態に用いられる第2除電部材41が構成される。第2除電シート35は、第2搬送ガイド31を通過する用紙に非接触となるように第2搬送ガイド31の幅方向全域に亘って貼り付けられている。第2除電シート35の材質としては、第1除電シート33と同様に導電性の不織布等が用いられる。
【0032】
転写ニップ部Nにおいてトナー像が転写された用紙は、用紙搬送方向に対し上流側の第2除電シート35(第2除電部材41)に接近する。第2除電シート35は樹脂製の第2搬送ガイド31に貼り付けられているため、第2除電部材41の電荷容量は第2除電シート35自体の電荷容量のみである。そのため、第1除電部材40に比べて電荷容量が小さく、トナー像の乱れを発生させることなく用紙の残留電荷をある程度除去することができる。
【0033】
第2除電シート35(第2除電部材41)を通過した用紙は、用紙搬送方向に対し下流側に貼り付けられた第1除電シート33(第1除電部材40)に接近する。第1除電シート33は金属製のガイド板30aに貼り付けられているため、第1除電部材40は第2除電部材41に比べて電荷容量が大きく、除電効果は大きくなる。また、第1除電シート33に用紙が到達するときには第2除電シート35(第2除電部材41)によって用紙の残留電荷がある程度除電されている。これにより、金属製のガイド板30aに貼り付けられた第1除電シート33と用紙との間での微小放電の発生を抑制することができる。
【0034】
さらに、ガイド板30aは高抵抗(106Ω以上)の抵抗器37を介して接地されているため、ガイド板30aからグランドに電流が流れにくくなっている。その結果、第1除電シート33と用紙との間での微小放電をより効果的に抑制することができる。
【0035】
また、ここでは高抵抗(10
6Ω以上)の抵抗器37を介してガイド板30aを接地しているが、
図5に示すように、抵抗器37に代えてバリスタ(varistor)43を用いることもできる。バリスタ43は、2つの電極をもつ電子部品であり、両端子間の電圧が低い場合には電気抵抗が高いが、電圧がある程度以上に高くなると急激に電気抵抗が低くなる性質を有する。バリスタ43を介してガイド板30aを接地することで、抵抗器37の場合と同様にガイド板30aからグランドに電流が流れにくくなるため、第1除電シート33と用紙との間での微小放電を効果的に抑制することができる。
【0036】
なお、第2除電シート35は樹脂製の第2搬送ガイド31に貼り付けられているため、第2除電シート35と用紙との間で微小放電が発生するおそれはない。
【0037】
また、第2除電シート35は、用紙の残留電荷を除去するのみでなく、非導電性である樹脂製の第2搬送ガイド31に蓄積された電荷を自己放電によって逃がす機能も兼ね備えている。従って、樹脂製の第2搬送ガイド31の過剰な帯電によるトナー像の乱れや用紙の搬送状態のばらつきを解消する効果も有する。
【0038】
図6は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置100における第1搬送ガイド30および第2搬送ガイド31周辺の断面拡大図であり、
図7は、
図6における第1除電シート33および第2除電シート35の拡大図である。本実施形態では、金属製のガイド板30aに貼り付けられる除電シートを、第1除電シート33と、用紙搬送方向に対し第1除電シート33の上流側に貼り付けられる第2除電シート35とに分割している。第1除電シート33および第2除電シート35の材質やガイド板30aの接地構造は
図4および
図5に示した第1実施形態と同様である。
【0039】
図7に示すように、第1除電シート33は導電性の両面テープ47aを用いて第1搬送ガイド30に貼り付けられている。第2除電シート35は絶縁性の両面テープ47bを用いて第1搬送ガイド30に貼り付けられている。第1除電シート33と導電性の両面テープ47aとで本実施形態に用いられる第1除電部材40が構成される。また、第2除電シート35と絶縁性の両面テープ47bとで本実施形態に用いられる第2除電部材41が構成される。
【0040】
転写ニップ部Nにおいてトナー像が転写された用紙は、用紙搬送方向に対し上流側に貼り付けられた第2除電シート35(第2除電部材41)に接近する。第2除電シート35はガイド板30aに対して絶縁状態で貼り付けられているため、第2除電部材41の電荷容量は第2除電シート35自体の電荷容量のみである。そのため、第1除電部材40に比べて電荷容量が小さく、トナー像の乱れを発生させることなく用紙の残留電荷をある程度除去することができる。
【0041】
第2除電シート35(第2除電部材41)を通過した用紙は、用紙搬送方向に対し下流側に貼り付けられた第1除電シート33(第1除電部材40)に接近する。第1除電シート33はガイド板30aに対して導通状態で貼り付けられているため、第1除電部材40は第2除電部材41に比べて電荷容量が大きく、除電効果は大きくなる。また、用紙は第2除電部材41によって残留電荷がある程度除電されているため、第1除電シート33と用紙との間での微小放電の発生を抑制することができる。
【0042】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を用紙に直接転写する直接転写方式において、第1除電部材40および第2除電部材41による用紙の残留電荷を除去する方法について説明したが、複数の感光体ドラム上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト上に一次転写してフルカラー画像とした後、中間転写ベルト上に形成されたフルカラー画像を用紙に二次転写する中間転写方式においても、第1除電部材40および第2除電部材41を用いてトナー像が転写された用紙の残留電荷を除去することができる。
【0043】
また、上記各実施形態では、導電性の不織布等からなる第1除電シート33、第2除電シート35を第1搬送ガイド30または第2搬送ガイド31に貼り付けて第1除電部材40、第2除電部材41を形成しているが、用紙搬送方向に対し下流側に配置される除電部材が上流側に配置される除電部材に比べて電荷容量が大きくなるように、3枚以上の除電シートを第1搬送ガイド30または第2搬送ガイド31に貼り付けても良い。
【0044】
さらに、本発明の画像形成装置としては、
図1に示したようなモノクロプリンターに限らず、モノクロ及びカラー複写機、デジタル複合機、カラープリンター、ファクシミリ等の、転写部から定着部へ搬送される用紙の搬送ガイドを備えた他の画像形成装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、像担持体上のトナー像が転写された用紙等の記録媒体を定着部に搬送する搬送ガイドを備えた画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、記録媒体と除電部材との間の微小放電を発生させずに記録媒体の残留電荷を除去可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写ローラー(転写部)
6 クリーニング装置
9 定着部
11 用紙搬送路(記録媒体搬送路)
30 第1搬送ガイド
30a ガイド板
30b ガイドリブ
31 第2搬送ガイド
33 第1除電シート
35 第2除電シート
37 抵抗器
40 第1除電部材
41 第2除電部材
43 バリスタ
47a 両面テープ(絶縁性部材)
47b 両面テープ(導電性部材)
100 画像形成装置
N 転写ニップ部