IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車体下面構造 図1
  • 特許-車体下面構造 図2
  • 特許-車体下面構造 図3
  • 特許-車体下面構造 図4
  • 特許-車体下面構造 図5
  • 特許-車体下面構造 図6
  • 特許-車体下面構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】車体下面構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20220628BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B62D37/02 Z
B62D25/20 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018056449
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019166984
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】西田 周平
(72)【発明者】
【氏名】久我 秀功
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 浩之
(72)【発明者】
【氏名】深町 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-053321(JP,A)
【文献】特開2017-039354(JP,A)
【文献】特開2012-148647(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02765065(EP,A2)
【文献】独国特許出願公開第102014014834(DE,A1)
【文献】実開昭63-095909(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
B62D 25/20
B62D 35/02
B60R 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、
当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造であって、
上記トレーリングアームの下部に車両下面視でこれを覆う板状の整流用のアームカバーが取付けられ、
当該アームカバーは、上記リヤサスペンションの基準車重位置において車両側面視で後ろ下がり傾斜角を有する主面部と、当該主面部の前方位置で後ろ下がりの傾斜角が相対的に小さい前方部とを有し、
当該前方部の前縁は、上記リヤサスペンションの基準車重位置においては、上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあり、上記リヤサスペンションのリバウンド位置においては、上記前方部の前縁が上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあって、かつ、上記前方部に相対的に小さい傾斜により上記主面部を車両前方に延長した仮想面よりもフロアアンダカバー後端部に上方から漸近しており、
上記アームカバーは、当該アームカバーの後端上部と、トレーリングアーム前端部を枢支するアームピボットとを結ぶ線より下方に位置しており、
サスペンションスプリングの下部を受けるスプリング座金のスプリング受け部に対向する上記アームカバーの主面部が形成されており、
該主面部に対して上記アームピボット側の上記前方部が前下方向に屈曲形成され、
上記主面部は、リバウンド位置において後傾していることを特徴とする
車体下面構造。
【請求項2】
左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、
当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造であって、
上記トレーリングアームの下部に車両下面視でこれを覆う板状の整流用のアームカバーが取付けられ、
当該アームカバーは、上記リヤサスペンションの基準車重位置において車両側面視で後ろ下がり傾斜角を有する主面部と、当該主面部の前方位置で後ろ下がりの傾斜角が相対的に小さい前方部とを有し、
当該前方部の前縁は、上記リヤサスペンションの基準車重位置においては、上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあり、上記リヤサスペンションのリバウンド位置においては、上記前方部の前縁が上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあって、かつ、上記前方部に相対的に小さい傾斜により上記主面部を車両前方に延長した仮想面よりもフロアアンダカバー後端部に上方から漸近しており、
上記アームカバーは、当該アームカバーの後端上部と、トレーリングアーム前端部を枢支するアームピボットとを結ぶ線より下方に位置しており、
サスペンションスプリングの下部を受けるスプリング座金のスプリング受け部に対向する上記アームカバーの主面部が直線状に形成されており、
該主面部に対して上記アームピボット側の上記前方部が前下方向に屈曲形成されたことを特徴とする
車体下面構造。
【請求項3】
上記主面部に対して反アームピボット側の上記アームカバー後方部が後上方向に屈曲形成されたことを特徴とする
請求項1または2に記載の車体下面構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体下面構造に関し、詳しくは、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前後方向に延びる左右一対のトレーリングアームと、これらを車幅方向に延びて連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションが知られている。
【0003】
上記トーションビーム式リヤサスペンションを備えた車両において、後輪ホイールハウス内部へ床下走行風が流入すると、走行風の後流が乱れるので、後輪ホイールハウス内へ上記床下走行風が流入するのを制御すべく、上述のトレーリングアーム下面にアームカバーを取付け、当該アームカバーでトレーリングアームを下方から覆うことが一般的である。
【0004】
一方でリヤサスペンションの前方には車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが設けられている。
この場合、トレーリングアームが車両走行中に上下動した際、上述のフロアアンダカバー下面と、アームカバーとが、前後方向において不連続となって、フロアアンダカバー下面を流れる床下走行風がアームカバーによって乱されないことが要請されると共に、フロアアンダカバー下面やアームカバーの高さ位置は、各カバー毎のばらつきや乗車人数等により変動するため、この点に対する対策も必要であった。
【0005】
ところで、特許文献1には、トーションビーム式リヤサスペンションのトレーリングアームと、当該トレーリングアームの下部を覆う整流用のアームカバーと、を備えた構造が開示されている。
また、特許文献2には、トーションビーム式リヤサスペンションと、後部車体下面に設けられた整流用のリヤアンダカバーとを備えた構造が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記各特許文献1,2の何れにおいても、トレーリングアームの下部を覆う整流用のアームカバーと、リヤサスペンション前方の車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーとの協調に関する課題がないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5235220号公報
【文献】特開2017-39354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、リバウンド位置などトレーリングアームの傾斜が大きくなった場合でも、アームカバー前縁とフロアアンダカバー後端部との間の隙を挟めることができ、この段差に起因する後流の乱れを小さくすることができる車体下面構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による車体下面構造は、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造であって、上記トレーリングアームの下部に車両下面視でこれを覆う板状の整流用のアームカバーが取付けられ、当該アームカバーは、上記リヤサスペンションの基準車重位置において車両側面視で後ろ下がり傾斜角を有する主面部と、当該主面部の前方位置で後ろ下がりの傾斜角が相対的に小さい前方部とを有し、当該前方部の前縁は、上記リヤサスペンションの基準車重位置においては、上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあり、上記リヤサスペンションのリバウンド位置においては、上記前方部の前縁が上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあって、かつ、上記前方部に相対的に小さい傾斜により上記主面部を車両前方に延長した仮想面よりもフロアアンダカバー後端部に上方から漸近しており、上記アームカバーは、当該アームカバーの後端上部と、トレーリングアーム前端部を枢支するアームピボットとを結ぶ線より下方に位置しており、サスペンションスプリングの下部を受けるスプリング座金のスプリング受け部に対向する上記アームカバーの主面部が形成されており、該主面部に対して上記アームピボット側の上記前方部が前下方向に屈曲形成され、上記主面部は、リバウンド位置において後傾しているものである。
【0010】
上記構成によれば、アームカバーの前方部の前縁が、リヤサスペンションの基準車重位置およびリバウンド位置の何れにおいても、フロアアンダカバーの底面部よりも高い位置にあって、当該底面部より下方に突出しないので、床下走行風を乱さない。
【0011】
また、リバウンド位置などトレーリングアームの傾斜が大きくなった場合でも、上記前方部の緩い傾斜により、アームカバー前縁とフロアアンダカバー後端部との間の隙を挟めることができ、この段差に起因する後流の乱れを小さくすることができる。
【0012】
さらに、上記アームカバーは、当該アームカバーの後端上部と、トレーリングアーム前端部を枢支するアームピボットとを結ぶ線より下方に位置しており、サスペンションスプリングの下部を受けるスプリング座金のスプリング受け部に対向する上記アームカバーの主面部が形成されており、該主面部に対して上記アームピボット側の上記前方部が前下方向に屈曲形成され、上記主面部は、リバウンド位置において後傾している。
【0013】
これにより、上述の主面部と上述の前方部との形状により、主面部を下方に位置させつつ、上記前方部をフロアアンダカバーにその上方から近接させることができ、フロアアンダカバーの取付け高さのばらつきをも吸収することができる。
【0014】
この発明による車体下面構造は、また、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造であって、上記トレーリングアームの下部に車両下面視でこれを覆う板状の整流用のアームカバーが取付けられ、当該アームカバーは、上記リヤサスペンションの基準車重位置において車両側面視で後ろ下がり傾斜角を有する主面部と、当該主面部の前方位置で後ろ下がりの傾斜角が相対的に小さい前方部とを有し、当該前方部の前縁は、上記リヤサスペンションの基準車重位置においては、上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあり、上記リヤサスペンションのリバウンド位置においては、上記前方部の前縁が上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあって、かつ、上記前方部に相対的に小さい傾斜により上記主面部を車両前方に延長した仮想面よりもフロアアンダカバー後端部に上方から漸近しており、上記アームカバーは、当該アームカバーの後端上部と、トレーリングアーム前端部を枢支するアームピボットとを結ぶ線より下方に位置しており、サスペンションスプリングの下部を受けるスプリング座金のスプリング受け部に対向する上記アームカバーの主面部が直線状に形成されており、該主面部に対して上記アームピボット側の上記前方部が前下方向に屈曲形成されている。
【0015】
上記構成によれば、アームカバーの前方部の前縁が、リヤサスペンションの基準車重位置およびリバウンド位置の何れにおいても、フロアアンダカバーの底面部よりも高い位置にあって、当該底面部より下方に突出しないので、床下走行風を乱さない。
【0016】
また、リバウンド位置などトレーリングアームの傾斜が大きくなった場合でも、上記前方部の緩い傾斜により、アームカバー前縁とフロアアンダカバー後端部との間の隙を挟めることができ、この段差に起因する後流の乱れを小さくすることができる。
【0017】
しかも、上述の主面部と上述の前方部との形状により、主面部を下方に位置させつつ、上記前方部をフロアアンダカバーにその上方から近接させることができ、フロアアンダカバーの取付け高さのばらつきをも吸収することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記主面部に対して反アームピボット側の上記アームカバー後方部が後上方向に屈曲形成されたものである。
上記構成によれば、上記アームカバー後方部の屈曲形状により、アームカバー後端部の路面当たりを回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、リバウンド位置などトレーリングアームの傾斜が大きくなった場合でも、アームカバー前縁とフロアアンダカバー後端部との間の隙を挟めることができ、この段差に起因する後流の乱れを小さくすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の車体下面構造を備えた車両の側面図。
図2図1の要部の底面図。
図3図2のA-A線に沿うフロア下の断面図。
図4図3の要部拡大断面図。
図5】車体下面構造を後方上部から見た状態で示す斜視図。
図6】車体下面構造を前方下部から見た状態で示す斜視図。
図7】車体下面構造を車両前方かつ車幅方向外側から見た状態で示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
リバウンド位置などトレーリングアームの傾斜が大きくなった場合でも、アームカバー前縁とフロアアンダカバー後端部との間の隙を挟めることができ、この段差に起因する後流の乱れを小さくするという目的を、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造であって、上記トレーリングアームの下部に車両下面視でこれを覆う板状の整流用のアームカバーが取付けられ、当該アームカバーは、上記リヤサスペンションの基準車重位置において車両側面視で後ろ下がり傾斜角を有する主面部と、当該主面部の前方位置で後ろ下がりの傾斜角が相対的に小さい前方部とを有し、当該前方部の前縁は、上記リヤサスペンションの基準車重位置においては、上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあり、上記リヤサスペンションのリバウンド位置においては、上記前方部の前縁が上記フロアアンダカバーの底面部より高い位置にあって、かつ、上記前方部に相対的に小さい傾斜により上記主面部を車両前方に延長した仮想面よりもフロアアンダカバー後端部に上方から漸近しており、上記アームカバーは、当該アームカバーの後端上部と、トレーリングアーム前端部を枢支するアームピボットとを結ぶ線より下方に位置しており、サスペンションスプリングの下部を受けるスプリング座金のスプリング受け部に対向する上記アームカバーの主面部が形成されており、該主面部に対して上記アームピボット側の上記前方部が前下方向に屈曲形成され、上記主面部は、リバウンド位置において後傾しているという構成にて実現した。
【実施例
【0022】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車体下面構造を示し、図1は当該車体下面構造を備えた車両の側面図、図2図1の要部の底面図、図3図2のA-A線に沿うフロア下の断面図である。
【0023】
図1に示すように、車体側部において、車両前部のドア開口1を開閉可能に閉塞するサイドドアとしてのフロントドア2と、車両後部のドア開口3を開閉可能に閉塞するサイドドアとしてのリヤドア4とを設けている。
上述のフロントドア2はドアアウタハンドル5を備えており、同様に、上述のリヤドア4もドアアウタハンドル6を備えている。
【0024】
図1に示すように、上述のフロントドア2の前部には、エンジンルームの側方を覆うフロントフェンダパネル7が設けられており、前輪8の位置と対応してフロントフェンダパネル7の下部には前輪ホイールハウス9が一体的に設けられている。
【0025】
図1に示すように、上述のリヤドア4の後部には、荷室側方を覆うリヤフェンダパネル10が設けられており、後輪11の位置と対応してリヤフェンダパネル10の下部には後輪ホイールハウス12が一体的に設けられている。
なお、図1において、13はドアミラー、14は車両後部から左右の車両側部に回り込むように形成されたリヤバンパフェースである。
【0026】
図2に示すように、前輪ホイールハウス9の後縁下端部と後輪ホイールハウス12の前縁下端部との間において、車室下部を車両前後方向に延びるサイドシル15が設けられている。
このサイドシル15は、サイドシルアウタとサイドシルインナ15a(図3参照)とを接合固定して、車両前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えた車体強度部材である。
【0027】
図2に示すように、左右一対のサイドシル15,15には、当該サイドシル15を前後のホイールハウス9,12間にわたって覆うように設けられたガーニッシュ16,16が取付けられている。
【0028】
後輪ホイールハウス12の前縁下端部と対向するように、上述のガーニッシュ16の後端部には、タイヤデフレクタ17を設け、車体側部を流れる側面流が後輪ホイールハウス12内に入り込まないよう、一旦、車外側に指向させた後に、タイヤホイール外面に再付着するように偏向すべく構成している。
【0029】
図3に示すように、車室および荷室の底面を形成するフロアパネル18は、フロントフロアパネル(図示せず)と、リヤシートパン19と、リヤフロアパネル20とを、車両前後方向に連続形成したものである。
【0030】
図2図3に示すように、上述のフロントフロアパネルからリヤシートパン19の前後方向中間部まで車両前後方向に延びる上述のサイドシル15がフロアパネル18に接合固定されている。
【0031】
また、図2図3に示すように、上述のリヤシートパン19の前後方向中間部からリヤフロアパネル20後端まで車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム21を設け、このリヤサイドフレーム21とフロアパネル18との間には、車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム閉断面を形成している。
【0032】
図3に示すように、リヤシートパン19とリヤフロアパネル20との境界部におけるフロアパネル18の上下には、車幅方向に延びるクロスメンバアッパ22とクロスメンバロア23とを接合固定しており、クロスメンバアッパ22とフロアパネル18との間には車幅方向に延びる閉断面24を形成し、クロスメンバロア23とフロアパネル18との間にも車幅方向に延びる閉断面25を形成している。
【0033】
上述のクロスメンバアッパ22およびクロスメンバロア23に対して車両後方側において、左右一対のリヤサイドフレーム21,21間を車幅方向に連結するリヤクロスメンバ26を設けている(図2参照)。
【0034】
一方、図2に示すように、フロア下部のトンネル部には、排気ガスを後方に導く排気管30を設けている。この排気管30には触媒コンバータ31を介設すると共に、リヤクロスメンバ26後部位置まで延びる排気管30の後端部には、サイレンサ32を連通連結しており、このサイレンサ32の左右両側には、一旦、車幅方向外側に延びた後に、車両後方に延びる底面視L字形状のテールパイプ33,33を取付けている。
【0035】
そして、上述のサイレンサ32の前部車幅方向外側と、テールパイプ33のコーナ部との間を、整流用のカバー34で、その下方から覆っている。また、サイレンサ32の後方には、平坦な整流面をもったリヤアンダカバー27が設けられている。
【0036】
図2に示すように、トンネル部を除いて車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバー35,36を設けている。これらの各フロアアンダカバー35,36はその底面に平坦な整流面を備えている。
【0037】
また、これらのフロアアンダカバー35,36は、前側のフロアアンダカバー35と後側のフロアアンダカバー36とを車両前後方向に連続するように形成したものである。
図3に示すように、後輪11を懸架するトーションビーム式リヤサスペンション40を設けている。
【0038】
図2図3に示すように、このリヤサスペンション40は、左右一対のトレーリングアーム41,41と、これらの各トレーリングアーム41,41を車幅方向に延びて連結するトーションビーム42(ねじり棒ばね)と、を備えている。
【0039】
図4図3の要部拡大断面図、図5は車体下面構造を後方上部から見た状態で示す斜視図、図6は車体下面構造を前方下部から見た状態で示す斜視図、図7は車体下面構造を車両前方かつ車幅方向外側から見た状態で示す斜視図である。
【0040】
図3図5図6図7に示すように、上述のトレーリングアーム41は、外側アーム部材43と内側アーム部材44との2部材を接合固定して、車両の略前後方向に延びるアームである。
【0041】
図3に示すように、上述のトレーリングアーム41の前端部は、アームピボット45およびアームブラケット46を介して車体に枢支されている。また、該トレーリングアーム41の遊端つまり後端部には、図5に示すように、一対のブラケット47,48を接合固定しており、これらの各ブラケット47,48でダンパ49の下端枢支部50を枢支している。
【0042】
上述のダンパ49は、トレーリングアーム41の後端部と車体、例えば、リヤサイドフレーム21との間に取付けられている。一方で、トレーリングアーム41の後部車幅方向外側には、ブラケット51B等を介して、後輪11を支持するスピンドルハブ51(いわゆるハブ)が取付けられている。
【0043】
図3図4に示すように、上述のトーションビーム42は内部中空の閉断面構造に形成されている。
そして、図4図5図7に示すように、トレーリングアーム41とトーションビーム42との連結コーナ部には、下部バネ座52が溶接手段にて取付けられている。
【0044】
図3図4に示すように、この下部バネ座52と上下方向に対向して上述のリヤサイドフレーム21の下面には上部バネ座53が取付けられている。
上述の上部バネ座53の下面部と下部バネ座52の上面部とには、それぞれスプリングリテーナ54,55を配置固定し、これら上下のスプリングリテーナ54,55間には、サスペンションスプリングとしてのコイルスプリング56を張架している。
【0045】
図2図3図4に示すように、上述のフロアアンダカバー35,36は、リヤサスペンション40の前方に設けられ、車体下面を覆う整流用のカバーである。
図2図3図4図6に示すように、上述のトレーリングアーム41の下部には、車両下面視でこれを覆う板状の整流用のアームカバー60が取付けられている。
【0046】
図6に示すように、上述のアームカバー60はボルト、ナット等の取付け部材61,62,63を用いて、その三箇所が対応部品に取付けられている。
図6図7に示すように、アームカバー60の前外コーナ部は、取付け部材61およびブラケット64を介して、トレーリングアーム41の外側アーム部材43に取付けられており、アームカバー60の車幅方向内側かつ前後方向中間部は、図5図6に示すように、取付け部材62を介して、下部バネ座52に取付けられており、アームカバー60の車幅方向外側後端部は、図6に示すように、取付け部材63を介して、トレーリングアーム41の内側アーム部材44に取付けられている。
【0047】
ここで、上述の取付け部材61,62,63のボルトは、図6に示すように、アームカバー60の底面から上方に窪んだ凹状の取付け部60c,60d,60eに配置されており、ボルト頭部で走行風を乱さないよう構成している。
【0048】
図4において、トーションビーム42、下部バネ座52、アームカバー60を、リヤサスペンション40の基準車重位置Xと、フルバンプ位置Yと、リバウンド位置Zと、でそれぞれ示している。
【0049】
同図に示すように、当該アームカバー60は、リヤサスペンション40の基準車重位置X(図4の実線位置参照)において車両側面視で後ろ下がり傾斜角を有する主面部60mと、当該主面部60mの前方位置で後ろ下がりの傾斜角が相対的に小さい前方部60fとを有しており、当該前方部60fの前縁は、上述のリヤサスペンション40の基準車重位置Xにおいては、フロアアンダカバー36の底面部36bよりも高い位置にあり、リヤサスペンション40のリバウンド位置Z(図4の仮想線位置参照)においては、上述の前方部60fの前縁がフロアアンダカバー36の底面部36bより高い位置にあって、かつ、該前方部60fに相対的に小さい傾斜により上記主面部60mを車両前方に延長した仮想面αよりもフロアアンダカバー36の後端部に上方から漸近するよう構成している。
【0050】
これにより、アームカバー60の前方部60fの前縁が、リヤサスペンション40の基準車重位置Xおよびリバウンド位置Zの何れにおいても、フロアアンダカバー36の底面部36bよりも高い位置にあって、当該底面部36bより下方に突出することなく、床下走行風を乱さないよう構成したものである。
【0051】
しかも、リバウンド位置Zなどトレーリングアーム41の傾斜(後傾角度)が大きくなった場合でも、アームカバー60の前方部60fの緩い傾斜により、アームカバー60前縁とフロアアンダカバー36後端部との間の隙を挟め、この段差に起因する後流の乱れを小さくすべく構成したものである。
【0052】
図4に示すように、上述のフロアアンダカバー36の後端部には底面部36bから上方に立上る縦壁36aが一体形成されており、これにより、フロアアンダカバー36の剛性向上を図っている。
【0053】
また、同図に示すように、アームカバー60は、当該アームカバー60の後端上部60bと、トレーリングアーム41前端部を枢支するアームピボット45とを結ぶ線βよりも下方に位置しており、サスペンションスプリングとしてのコイルスプリング56の下部を受ける下部バネ座52(スプリング座金)のスプリング受け部52aに対向するアームカバー60の上記主面部60mが直線状に形成されており、当該主面部60mに対してアームピボット45側の上記前方部60fが前下方向に屈曲形成されている。
【0054】
これにより、主面部60mに対する前方部60fの屈曲形状により、主面部60mを下方に位置させつつ、上述の前方部60fをフロアアンダカバー36にその上方から近接させ、フロアアンダカバー36の取付け高さのばらつきをも吸収すべく構成したものである。
【0055】
図4に示すように、上述の主面部60mに対して反アームピボット側(つまり後方側)にはアームカバー60の後方部60rが一体形成されており、この後方部60rは主面部60mに対して後上方向に屈曲形成されている。この後方部60rの屈曲形状により、アームカバー60の後端部の路面当たりを回避すべく構成したものである。
【0056】
さらに、図6に示すように、上述のアームカバー60の底面部には、前方部60f、主面部60mおよび後方部60rの前後方向の全長にわたって複数条のリブ60a,60aが下方に突出して平行に一体形成されており、これにより、アームカバー60の剛性向上を図っている。
【0057】
また、図5図6図7に示すように、アームカバー60の前辺部を除く車幅方向内側辺部、車幅方向外側辺部、後辺部には、上方に立上る縦壁部60gが一体形成されており、この縦壁部60gによってもアームカバー60の剛性向上が図られている。
【0058】
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外側を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0059】
このように、上記実施例の車体下面構造は、左右一対のトレーリングアーム41と、これらを連結するトーションビーム42とからなるトーションビーム式リヤサスペンション40を備え、当該リヤサスペンション40の前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバー36が取付けられた車体下面構造であって、上記トレーリングアーム41の下部に車両下面視でこれを覆う板状の整流用のアームカバー60が取付けられ、当該アームカバー60は、上記リヤサスペンション40の基準車重位置Xにおいて車両側面視で後ろ下がり傾斜角を有する主面部60mと、当該主面部60mの前方位置で後ろ下がりの傾斜角が相対的に小さい前方部60fとを有し、当該前方部60fの前縁は、上記リヤサスペンション40の基準車重位置Xにおいては、上記フロアアンダカバー36の底面部36bより高い位置にあり、上記リヤサスペンション40のリバウンド位置Zにおいては、上記前方部60fの前縁が上記フロアアンダカバー36の底面部36bより高い位置にあって、かつ、上記前方部60fに相対的に小さい傾斜により上記主面部60mを車両前方に延長した仮想面αよりもフロアアンダカバー36の後端部に上方から漸近しているものである(図3図4参照)。
【0060】
この構成によれば、アームカバー60の前方部60fの前縁が、リヤサスペンション40の基準車重位置Xおよびリバウンド位置Zの何れにおいても、フロアアンダカバー36の底面部36bよりも高い位置にあって、当該底面部36bより下方に突出しないので、床下走行風を乱さない。
【0061】
しかも、リバウンド位置Zなどトレーリングアーム41の傾斜が大きくなった場合でも、上記前方部60fの緩い傾斜により、アームカバー60前縁とフロアアンダカバー36後端部との間の隙を挟めることができ、この段差に起因する後流の乱れを小さくすることができる。
【0062】
また、この発明の一実施形態においては、上記アームカバー60は、当該アームカバー60の後端上部60bと、トレーリングアーム41前端部を枢支するアームピボット45とを結ぶ線βより下方に位置しており、サスペンションスプリング(コイルスプリング56参照)の下部を受けるスプリング座金(下部バネ座52参照)のスプリング受け部52aに対向する上記アームカバー60の主面部60mが直線状に形成されており、該主面部60mに対して上記アームピボット45側の上記前方部60fが前下方向に屈曲形成されたものである(図4参照)。
【0063】
この構成によれば、上述の主面部60mと上述の前方部60fとの形状により、主面部60mを下方に位置させつつ、上記前方部60fをフロアアンダカバー36にその上方から近接させることができ、フロアアンダカバー36の取付け高さのばらつきをも吸収することができる。
【0064】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記主面部60mに対して反アームピボット側の上記アームカバー60の後方部60rが後上方向に屈曲形成されたものである(図4参照)。
この構成によれば、上記アームカバー60の後方部60rの屈曲形状により、アームカバー60後端部の路面当たりを回避することができる。
【0065】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のサスペンションスプリングは、実施例のコイルスプリングに対応し、
以下同様に、
スプリング座金は、下部バネ座52に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明は、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造について有用である。
【符号の説明】
【0067】
36…フロアアンダカバー
36b…底面部
40…リヤサスペンション
41…トレーリングアーム
42…トーションビーム
45…アームピボット
52…下部バネ座(スプリング座金)
52a…スプリング受け部
56…コイルスプリング(サスペンションスプリング)
60…アームカバー
60b…後端上部
60f…前方部
60m…主面部
60r…後方部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7