(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】車両用収納装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/30 20140101AFI20220628BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20220628BHJP
E05C 21/00 20060101ALI20220628BHJP
E05C 9/04 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
E05B83/30 A
B60R7/06 G
E05C21/00 A
E05C9/04
(21)【出願番号】P 2018056930
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 耕司
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-166640(JP,A)
【文献】特開2013-23995(JP,A)
【文献】特開2001-301531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0205624(US,A1)
【文献】独国特許発明第102013011172(DE,B3)
【文献】特開2008-2118(JP,A)
【文献】特開2008-265506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 83/30
B60R 7/06
E05C 21/00
E05C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する開閉自在な収納部材と、
前記収納部材に設けられ、前記収納部材から突出した状態において、保持部材に接して前記収納部材を閉位置に保持する規制部材と、
前記収納部材を開ける際に
操作される操作部と、前記操作部の操作に連動して前記規制部材を前記保持部材との係合を解除方向に動作させ
る連動部とを有する動作部材と、
を備える車両用収納装置であって、
前記収納部材は、アウター部材とインナー部材とで構成され、
前記アウター部材は、前記動作部材の前記操作部が配置される開口部と、前記アウター部材と前記インナー部材との間で前記動作部材を支持する支持部材
を有し、
前記インナー部材は、前記支持部材と対向してアウター部材に向けて突出するように設けられ、前記操作部の操作に伴って応力が掛かった状態の前記支持部材に接して前記支持部材の変形を抑制する変形抑制部
を有する車両用収納装置。
【請求項2】
前記変形抑制部は、前記
アウター部材に向かって突出したリブを含む請求項
1に記載の車両用収納装置。
【請求項3】
前記
アウター部材には、前記
インナー部材に向かって突出し、前記支持部材が前記
インナー部材に向かって変形した状態において、前記リブに接する突出部が設けられている請求項
2に記載の車両用収納装置。
【請求項4】
前記リブは、車幅方向に延びて構成される請求項
2に記載の車両用収納装置。
【請求項5】
少なくとも支持部材は、樹脂からなる請求項1~
4のいずれか1項に記載の車両用収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のダッシュボードなどに配置される車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のダッシュボードなどに配置され、必要に応じて物品が収納される車両用収納装置(グローブボックス)が知られている。このような車両用収納装置には、ロック装置が設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ロック装置には、収納部材よりも外方に突出することによって、保持部材(ダッシュボード)に引っ掛かり、収納部材を閉位置に保持する規制部材(ロッド部材)が備えられている。規制部材は、ロック装置に備えられた連動部材(連動部及び操作部)によって動作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、車両用収納装置を開けるために操作部を操作すると、操作部が支持されている支持部材(前面パネルの凹部)が応力を受けて変形して、規制部材が連動部材から外れる虞がある。このような場合、収納部材が開けられなくなる可能性が考えられる。
【0006】
本発明の目的は、閉じられた状態の収納部材を開けるときに規制部材が連動部材から外れることを抑制できる車両用収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の車両用収納装置は、収納部材と、規制部材と、動作部材と、支持部材と、変形抑制部と、を有している。収納部材は、物品を収納し、開閉自在に設けられている。規制部材は、収納部材に設けられ、収納部材から突出した状態において、保持部材に接して収納部材を閉位置に保持する。動作部材は、収納部材を開ける際に操作される操作部と、操作部の操作に連動して規制部材を保持部材との係合を解除方向に動作させる連動部とを有する。収納部材は、アウター部材とインナー部材とで構成され、アウター部材は、動作部材の操作部が配置される開口部と、アウター部材とインナー部材との間で動作部材を支持する支持部材を有し、インナー部材は、支持部材と対向してアウター部材に向けて突出するように設けられ、操作部の操作に伴って応力が掛かった状態の支持部材に接して支持部材の変形を抑制する変形抑制部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、閉じられた状態の収納部材を開けるときに規制部材が連動部材から外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のグローブボックスが配置された車両の車内を示す模式図。
【
図3】
図2のグローボックスのインナー部材を示す斜視図。
【
図4】
図2のグローボックスのインナー部材以外の部材を示す斜視図。
【
図5】操作ノブを引っ張っていない状態のグローボックスの要部を示す斜視図。
【
図6】操作ノブを引っ張った状態のグローボックスの要部を示す斜視図。
【
図7】
図6のグローボックスを側方から部分的に断面にして示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「グローブボックス10の構成」
グローブボックス10の構成を説明する。
【0011】
実施形態の収納部材であるグローブボックス10(車両用収納装置)は、
図1に示すように、車両1の車内に配置されている。なお、各図において、車両前方FR及び車両後方RRと、車幅方向Dw(車内側INR及び車外側OTR)と、車高方向Dgとを矢印を用いて表している。車両1は、一例として、運転席が車両前方FRに向かって右側に配置されている。グローブボックス10は、一例として、助手席側のダッシュボード20(保持部材)に配置されている。グローブボックス10には、物品が収納される。グローブボックス10は、
図1に示すように、ダッシュボード20に設けられた保持部20aに開閉自在に配置されている。
【0012】
ダッシュボード20の一端部20bには、
図2に示すグローブボックス10の第1ロッド部材12(規制部材)の先端部12bが引っ掛けられる。ダッシュボード20の他端部20cには、
図2に示すグローブボックス10の第2ロッド部材13(規制部材)の先端部13bが引っ掛けられる。
【0013】
グローブボックス10は、
図2~
図7に示すように、アウター部材11と、第1ロッド部材12と、第2ロッド部材13と、リンク部材14と、ベース部材15と、ねじ16と、操作ノブ17と、ばね18と、インナー部材19とを有している。
【0014】
アウター部材11(収納部材の第1収納部)は、
図2及び
図4~
図7に示すように、インナー部材19(収納部材の第2収納部)と共にグローブボックス10の収納部材を構成する。板状のアウター部材11の正面部11aは、
図2及び
図4に示すように、起立している。長方形状の開口部11bは、
図2及び
図4に示すように、正面部11aに開口されている。開口部11bには、操作ノブ17が配置される。挿入部11cは、
図4、
図5及び
図7に示すように、箱状からなる。挿入部11cは、開口部11bの縁から車両前方FRに向かって窪み、上方が開口されている。挿入部11cには、車両1の乗員などが操作ノブ17を操作するために手が挿入される。
【0015】
アウター部材11の第1支持部11d(支持部材)及び第2支持部11f(支持部材)は、
図4~
図6に示すように、ベース部材15を介して、リンク部材14及び操作ノブ17を支持する。第1支持部11dは、
図4~
図7に示すように、挿入部11cの上端から上方に延びている。第2支持部11fは、第1支持部11dと車幅方向Dwに沿って隣り合うように、挿入部11cの上端から上方に延びている。第1支持部11d及び第2支持部11fには、ベース部材15がねじ16によって固定される。
【0016】
アウター部材11の突出部11eは、
図4~
図7に示すように、第1支持部11dからインナー部材19に向かって突出し、かつ、車幅方向Dwに延びている。突出部11eは、第1支持部11dがインナー部材19に向かって変形した状態において、第1リブ19bなどに接する。
【0017】
アウター部材11の第1側部11gは、
図4に示すように、正面部11aの車幅方向Dwに沿った一方に設けられた側板である。第1挿通部11hは、
図4に示すように、第1側部11gに開口された穴であって、第1ロッド部材12の先端部12bが挿通される。第2側部11iは、
図4に示すように、正面部11aの車幅方向Dwに沿った他方に設けられた側板である。第2挿通部11jは、
図4に示すように、第2側部11iに開口された穴であって、第2ロッド部材13の先端部13bが挿入される。
【0018】
第1ロッド部材12(規制部材)は、
図2及び
図4~
図7に示すように、グローブボックス10をダッシュボード20に閉じる機能を有している。長尺形状の第1ロッド部材12は、
図4に示すように、基端部12aから先端部12bに向かって車幅方向Dwに延びている。第1ロッド部材12の先端部12bは、
図4に示すようにアウター部材11の第1挿通部11hに挿入され、かつ、
図2に示すようにインナー部材19の第1挿通部19fに挿入される。先端部12bは、
図1及び
図2に示すように、ダッシュボード20の一端部20bに引っ掛けられる。連結部12cは、
図5に示すように、基端部12aに形成された窪みからなり、リンク部材14の第1突起部14bが挿入される。
【0019】
第2ロッド部材13は、
図2及び
図4~
図7に示すように、グローブボックス10をダッシュボード20に閉じる機能を有している。長尺形状の第2ロッド部材13は、
図4に示すように、基端部13aから先端部13bに向かって車幅方向Dwに延びている。第2ロッド部材13の先端部13bは、
図4に示すようにアウター部材11の第2挿通部11jに挿入され、かつ、
図2に示すようにインナー部材19の第2挿通部19hに挿入される。先端部13bは、
図1及び
図2に示すように、ダッシュボード20の他端部20cに引っ掛けられる。連結部13cは、
図5に示すように、基端部13aに形成された窪みからなり、リンク部材14の第2突起部14cが挿入される。
【0020】
リンク部材14(動作部材の連動部)は、
図4~
図7に示すように、第1ロッド部材12と第2ロッド部材13とを、車幅方向Dwに沿って移動させる。本体部14aは、
図5~
図7に示すように、円盤形状からなり、ベース部材15の保持部15bに保持される。第1突起部14bは、
図5~
図7に示すように、球状の突起からなり、本体部14aの車両前方FRの側面に形成されている。第2突起部14cは、
図5~
図7に示すように、球状の突起からなり、本体部14aの車両前方FRの側面において、第1突起部14bと同心円上に形成されている。
【0021】
ベース部材15は、
図4~
図7に示すように、リンク部材14を回転自在に保持する。ベース部材15の本体部15aは、長方体形状からなり、アウター部材11の第1支持部11dと第2支持部11fとに接する。保持部15bは、本体部15aに開口された窪みからなり、ばね18の付勢力によってリンク部材14を回転自在に保持する。ヒンジ部15cは、本体部15aの車両後方RRの側面に形成され、操作ノブ17の回転部17cが取り付けられる。ベース部材15は、アウター部材11とは独立した部材として構成しているが、アウター部材11と一体に構成してもよい。
【0022】
ねじ16によって、
図4~
図6に示すように、アウター部材11の第1支持部11d及び第2支持部11fに、ベース部材15がねじ留めされる。
【0023】
操作ノブ17(操作部)は、
図2及び
図4~
図7に示すように、車両1の乗員などがグローブボックス10の開閉のために操作する。操作ノブ17の本体部17aは、板状からなり、アウター部材11の開口部11bに配置される。取手部17bは、本体部17aの下端から車両前方FRに向かって湾曲した円弧形状からなり、手が引っ掛けられる。回転部17cは、本体部17aの車両前方FRの側面に形成され、ベース部材15のヒンジ部15cに回転自在に取り付けられる。押圧部17dは、本体部17aから車両前方FRに向かって突出した凸形状からなり、リンク部材14を押圧して回転させる。
【0024】
インナー部材19(収納部材の第2収納部)は、
図2~
図7に示すように、アウター部材11と共にグローブボックス10の収納部材を構成する。インナー部材19の被覆部19aは、アウター部材11との間において、第1ロッド部材12、第2ロッド部材13、リンク部材14、ベース部材15などを被覆するカバーである。
【0025】
インナー部材19の第1リブ19b(変形抑制部)は、
図5~
図7に示すように、アウター部材11の第1支持部11dに接して変形を抑制する。第1リブ19bは、車高方向Dgに延びている。第1リブ19bは、被覆部19aから車両後方RRに対して突出して形成されている。第1リブ19bは、第1支持部11dの車幅方向Dwに沿った一方において、第1支持部11dと垂直方向に沿って接する。第1リブ19bは、第1ロッド部材12よりも上方に位置し、第1ロッド部材12と隙間を設けている。
【0026】
ばね18によって、
図7に示すように、リンク部材14に対して、
図5に示す時計方向に付勢力が与えられ、第1ロッド部材12及び第2ロッド部材13が外方に突出される。
【0027】
インナー部材19の第2リブ19c(変形抑制部)は、
図5~
図7に示すように、アウター部材11の第1支持部11dに接して変形を抑制する。第2リブ19cは、車高方向Dgに延びている。第2リブ19cは、被覆部19aから車両後方RRに対して突出して形成されている。第2リブ19cは、第1支持部11dの車幅方向Dwに沿った他方において、第1支持部11dと垂直方向に沿って接する。第2リブ19cは、第1ロッド部材12よりも上方に位置し、第1ロッド部材12と隙間を設けている。
【0028】
インナー部材19の第3リブ19d(変形抑制部)は、
図5~
図7に示すように、アウター部材11の第1支持部11dに接して変形を抑制する。第3リブ19dは、車幅方向Dwに延びている。第3リブ19dは、被覆部19aから車両後方RRに対して突出して形成されている。第3リブ19dは、第1リブ19bと第2リブ19cとの間に形成されている。第3リブ19dは、アウター部材11の第1支持部11dと水平方向に沿って接する。第3リブ19dは、第1ロッド部材12よりも上方に位置し、第1ロッド部材12と隙間を設けている。
【0029】
インナー部材19の第1側壁部19eは、
図3に示すように、車幅方向Dwに沿った一方に設けられた側壁である。第1挿通部19fは、第1側壁部19eに開口された穴であって、第1ロッド部材12の先端部12bが挿通される。第2側壁部19gは、
図3に示すように、車幅方向Dwに沿った他方に設けられた側壁である。第2挿通部19hは、第2側壁部19gに開口された穴であって、第2ロッド部材13の先端部13bが挿入される。
【0030】
「グローブボックス10の主機能」
グローブボックス10の主機能を説明する。
【0031】
アウター部材11の第1支持部11d及び第2支持部11f(以降「第1支持部11d」などと記載)は、ベース部材15を介して操作ノブ17を支持している。このため、
図7に示すように、引張力Tによって操作ノブ17が引っ張られると、第1支持部11dなどには、操作ノブ17から応力が掛かる。これにより、第1支持部11dなどには、
図7に示す反時計方向に曲げモーメントMが発生する。ここで、第1ロッド部材12は、
図7に示すように、操作ノブ17の軸と上下方向に位置を異ならせて配置されている。この結果、第1ロッド部材12の基端部12aは、リンク部材14から引張力P1によって引っ張られる。ここで、第1ロッド部材12の先端部12bは、アウター部材11の第1挿通部11hに挿通されている。このため、第1ロッド部材12は、先端部12bを軸にして傾いて、基端部12aがリンク部材14から外れやすい。
【0032】
一方、インナー部材19は、操作ノブ17を支持していない。このため、インナー部材19は、アウター部材11と異なり、操作ノブ17から直接的に応力が掛からない。インナー部材19の第1リブ19b、第2リブ19c及び第3リブ19dは、
図7に示すように、アウター部材11の第1支持部11dを支持する。第1リブ19b、第2リブ19c及び第3リブ19dは、
図7に示すように、H形状に形成され、十分な剛性を備えている。
【0033】
換言すると、第1リブ19b、第2リブ19c及び第3リブ19dは、車両前方FRに向かって傾斜しようとする第1支持部11dなどを裏側から強固に支える。第1支持部11dなどは、ベース部材15を介してリンク部材14を支持しているが、第1リブ19b、第2リブ19c及び第3リブ19dによって、
図7に示す左方に傾斜するように変形することを抑制できる。この結果、グローブボックス10は、操作ノブ17を操作して開けるときに第1ロッド部材12がリンク部材14から外れることを抑制できる。
【0034】
なお、第2ロッド部材13は、
図7に示すように、操作ノブ17の回転部17cと水平方向に沿った位置に配置されている。したがって、操作ノブ17が
図7に示す反時計方向に回転されて曲げモーメントMが発生し、第1支持部11dなどが
図7の左方に変形した場合、第2ロッド部材13は、リンク部材14から押圧力P2によって押圧される。このため、第2ロッド部材13は、リンク部材14から外れにくい。
【0035】
「グローブボックス10の効果」
グローブボックス10の効果を説明する。
【0036】
実施形態のグローブボックス10において、第1リブ19b、第2リブ19c及び第3リブ19d(以降「第1リブ19bなど」と記載)は、第1支持部11dと別体に構成され、操作ノブ17の操作に伴って応力が掛かった状態の第1支持部11dに接して第1支持部11dの変形を抑制する。第1リブ19bなどは、操作ノブ17が操作されても、その操作ノブ17から直接的に応力を受けない。これにより、第1リブ19bなどは、リンク部材14及び操作ノブ17を支持する第1支持部11dなどを、十分に支持することができる。この結果、グローブボックス10は、操作ノブ17を操作して開けるときに、第1ロッド部材12がリンク部材14から外れることを抑制できる。
【0037】
更に、第1リブ19bなどは、操作ノブ17の操作に伴って応力が掛かった状態の第1支持部11dが、リンク部材14と共に、第1ロッド部材12に対して近づく部分に設けられている。これにより、第1支持部11dがリンク部材14と共に第1ロッド部材12から遠ざかろうとする部分の変形を、第1リブ19bなどによって抑制することができる。このような構成にしているのは、アウター部材11の第1支持部11dが、インナー部材19に設けられた第1リブ19bなどによって車両前方FRから支持されているからである。換言すると、第1支持部11dが第1リブ19bから車両後方RRに向かって遠ざかるように変形することを直接抑制することは難しい。したがって、第1支持部11dの一部の部分が第1リブ19bなどに近づくように変形することを抑制することによって、第1支持部11dの他の部分が第1リブ19bなどから遠ざかるように変形することを抑制する。この結果、グローブボックス10は、操作ノブ17を操作して開けるときに第1ロッド部材12がリンク部材14から外れることを抑制できる。
【0038】
また、第1支持部11dが設けられたアウター部材11は、閉め切った車内において露出していることから、車内温度が上昇すると、昇温して軟化し易い。一方、第1リブ19bなどが設けられたインナー部材19は、車両1のダッシュボード20の内部に隠れているため、車内温度が上昇しても、昇温が抑制され軟化し難い。したがって、操作ノブ17を引っ張ったときに第1ロッド部材12がリンク部材14から外れることを抑制できる。
【0039】
特に、本実施形態のグローブボックス10は、第1リブ19bなどを用いることによって、高温によって軟化し易くなった第1支持部11dの変形を抑制することができる。また、本実施形態のグローブボックス10は、第1リブ19bなどを用いることによって、薄肉化して軽量化を図った第1支持部11dの変形を抑制することができる。また、本実施形態のグローブボックス10は、第1リブ19bなどを用いることによって、耐熱温度が低い材料を用いた第1支持部11dの変形を抑制することができる。
【0040】
実施形態において、アウター部材11は、第1支持部11dを設けている。インナー部材19は、第1リブ19bなどを設けている。このような構成によって、第1支持部11d及び第1リブ19bなどは、独立した特別な部材によって構成したり、特別なスペースを設けたりすることなく構成することができる。換言すると、第1支持部11d及び第1リブ19bなどは、グローブボックス10を構成する既存の部品に設けて具現化することができる。
【0041】
実施形態において、第1リブ19bなどは、アウター部材11の第1支持部11dに向かって突出している。このように、第1リブ19bなどは、簡便な構成によって、アウター部材11の第1支持部11dを十分に支持することができる。
【0042】
実施形態において、アウター部材11の突出部11eは、アウター部材11の第1支持部11dが変形した状態において、インナー部材19の第3リブ19dに上方から接触して変形を抑制できる。換言すると、突出部11eは、第3リブ19dに引っ掛かることによって、第3リブ19dをすり抜けることを抑制できる。したがって、突出部11eを用いて、第1支持部11dの変形を一定の範囲内に抑制することができる。
【0043】
実施形態において、第3リブ19dは、車幅方向Dwに延びている。これにより、突出部11eは、第3リブ19dに引っ掛かることによって、第3リブ19dをすり抜けることを抑制できる。
【0044】
実施形態において、樹脂からなる第1支持部11dは、高温によって軟化しても、第1リブ19bなどによって支持されていることから、変形を抑制することができる。第1支持部11dが設けられたアウター部材11は、樹脂を用いて形成することによって、様々な形状を容易に、かつ廉価で製造できる。
【0045】
「変形例」
例えば、第1ロッド部材12や第2ロッド部材13は、アウター部材11及びインナー部材19からなる収納部材に設けられる構成を想定している。これに代えて、第1ロッド部材12や第2ロッド部材13は、収納部材とは別部材に設けられ、その別部材を介して収納部材に設けられる構成としてもよい。
【0046】
また、第1ロッド部材12や第2ロッド部材13は、アウター部材11及びインナー部材19から突出した状態において、ダッシュボード20に接する構成としている。この構成は、アウター部材11及びインナー部材19とは別部材に設けられた第1ロッド部材12や第2ロッド部材13が、アウター部材11及びインナー部材19よりもダッシュボード20に向かって外方に突出した状態において、ダッシュボード20に接する構成を含む。
【0047】
また、上述した実施形態のグローブボックス10は、第1ロッド部材12と第2ロッド部材13とを有する構成を想定している。これに代えて、グローブボックス10は、第1ロッド部材12のみを有する構成としてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態のグローブボックス10は、操作ノブ17を下方から手前に引っ張る構成を想定している。これに代えて、グローブボックス10は、操作ノブ17を上方から手前に引っ張る構成、操作ノブ17を降下させる構成、又は操作ノブ17を上昇させる構成としてもよい。いずれの構成においても、支持部材が変形する虞があるが、変形抑制部によって変形を抑制することができる。
【0049】
また、上述した実施形態のグローブボックス10は、第1ロッド部材12と第2ロッド部材13とをインナー部材19の両端から突出させる構成を想定している。これに代えて、グローブボックス10は、第1ロッド部材12と第2ロッド部材13とをアウター部材11の上端の中央に配置して、アウター部材11の上端の中央から左右に突出させる構成としてもよい。この構成においても、支持部材が変形する虞があるが、変形抑制部によって変形を抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…車両、10…グローブボックス、11…アウター部材(収納部材の第1収納部)、
11d…第1支持部(支持部材)、11e…突出部、11f…第2支持部(支持部材)、
12…第1ロッド部材(規制部材)、12a…基端部、12b…先端部、12c…連結部、
13…第2ロッド部材(規制部材)、13a…基端部、13b…先端部、13c…連結部、
14…リンク部材(動作部材の連動部)、14a…本体部、14b…第1突起部、14c…第2突起部、15…ベース部材、16…ねじ、17…操作ノブ(動作部材の操作部)、18…ばね、19…インナー部材(収納部材の第2収納部)、19b…第1リブ(変形抑制部)、19c…第2リブ(変形抑制部)、19d…第3リブ(変形抑制部)、20…ダッシュボード(保持部材)、20b…一端部、20c…他端部、M…曲げモーメント、T…引張力、P1…引張力、P2…押圧力。