(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20220628BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20220628BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 V
H01L43/08 Z
(21)【出願番号】P 2018059255
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2020-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】林 承彬
(72)【発明者】
【氏名】大川 秀一
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204151(WO,A1)
【文献】特開2017-161519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0193556(US,A1)
【文献】特開2017-090192(JP,A)
【文献】特開2009-276159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/09
G01R 33/02
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面を有する実装基板と、
前記実装基板の前記実装面に搭載され、前記実装面に対して垂直な素子形成面に感磁素子が形成されたセンサ基板と、
前記素子形成面に対して垂直な方向の磁束を前記感磁素子に集める第1の外部磁性体と、
前記実装基板と前記第1の外部磁性体との間に配置され、前記第1の外部磁性体が前記実装面から所定の高さに位置するよう支持する第1の非磁性支持体と、を備えることを特徴とする記載の磁気センサ。
【請求項2】
前記第1の外部磁性体は、前記素子形成面に対して垂直な方向を長手方向とする棒状体であり、前記長手方向における一端は、前記素子形成面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記感磁素子は、第1及び第2の感磁素子を含み、
前記センサ基板の前記素子形成面上には、第1の磁性体層と、第1の磁気ギャップを介して前記第1の磁性体層と対向する第2の磁性体層と、第2の磁気ギャップを介して前記第1の磁性体層と対向する第3の磁性体層とが設けられ、
前記第1の感磁素子は、前記第1の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、
前記第2の感磁素子は、前記第2の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、
前記第1外部磁性体の前記一端は、前記第1の磁性体層を覆っていることを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記感磁素子は、第3及び第4の感磁素子をさらに含み、
前記センサ基板の前記素子形成面上には、第3の磁気ギャップを介して前記第1の磁性体層と対向する第4の磁性体層と、第4の磁気ギャップを介して前記第1の磁性体層と対向する第5の磁性体層とが設けられ、
前記第3の感磁素子は、前記第3の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、
前記第4の感磁素子は、前記第4の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、
前記実装面を基準とした前記第1外部磁性体の高さの中心位置は、前記第1及び第4の感磁素子と前記第2及び第3の感磁素子の間に位置することを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ。
【請求項5】
第2の外部磁性体と、
前記第2の外部磁性体が前記実装面から所定の高さに位置するよう支持する第2の非磁性支持体と、をさらに備え、
前記センサ基板は、前記素子形成面の反対側に位置する裏面と、前記素子形成面及び前記実装面に対して垂直であり互いに反対側に位置する第1及び第2の側面とをさらに有し、
前記第2の外部磁性体は、前記センサ基板の前記第1の側面
を覆う部分、前記第2の側面
を覆う部分及び前記裏面を覆う
部分を有することを特徴とする請求項
3又は4に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記第2の外部磁性体は、
前記第1の側面を覆う部分に接続され、前記第2の磁性体層と重なるよう前記センサ基板の前記素子形成面を覆う
部分、及び、前記第2の側面を覆う部分に接続され、前記第3の磁性体層と重なるよう前記センサ基板の前記素子形成面を覆う部分をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の磁気センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気センサに関し、特に、感磁素子に磁束を集める外部磁性体を備えた磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサには、感磁素子が形成されたセンサ基板の他に、感磁素子に磁束を集めるための外部磁性体が用いられることがある。例えば、特許文献1の
図6には、実装基板(B)と、素子形成面が実装面と平行になるよう実装基板に搭載されたセンサ基板(10)と、センサ基板の素子形成面上に載置された外部磁性体(21)とを備える磁気センサが開示されている。特許文献1に記載された磁気センサのように、センサ基板の素子形成面上に外部磁性体を載置すれば、垂直方向の磁界に対する検出感度を高めることが可能となる。
【0003】
特許文献1に記載された磁気センサにおいて、垂直方向の磁界に対する検出感度をより高めるためには、外部磁性体の高さをより高くすればよい。しかしながら、外部磁性体の高さを高くすると、外部磁性体を安定的に支持することが困難となる。このような問題を解決するためには、特許文献2に記載されているように、素子形成面が実装面に対して垂直となるよう、センサ基板を寝かせて実装基板に搭載する方法が考えられる。これによれば、外部磁性体を実装基板に固定することが可能となることから、外部磁性体の長さが長い場合であっても、外部磁性体の支持が不安定となることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-276159号公報
【文献】特開2017-90192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載された磁気センサは、実装面に対して垂直な方向における外部磁性体の高さがセンサ基板の高さとほぼ一致していることから、センサ基板のサイズや外部磁性体の長さによっては、反磁界の影響が大きくなり、磁界の検出特性が低下するという問題があった。
【0006】
これを解決するためには、外部磁性体の高さを低くすることによって、外部磁性体をより細長形状とすればよいが、この場合には、外部磁性体の高さ位置がセンサ基板上の感磁素子に対してオフセットしてしまうという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、外部磁性体を安定的に支持することができるとともに、感磁素子に対するオフセットを生じることなく、反磁界の影響を低減可能な磁気センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による磁気センサは、実装面を有する実装基板と、実装基板の実装面に搭載され、実装面に対して垂直な素子形成面に感磁素子が形成されたセンサ基板と、素子形成面に対して垂直な方向の磁束を感磁素子に集める第1の外部磁性体と、実装基板と第1の外部磁性体との間に配置され、第1の外部磁性体が実装面から所定の高さに位置するよう支持する第1の非磁性支持体とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、素子形成面が実装面に対して垂直となるよう、センサ基板を寝かせて実装基板に搭載していることから、外部磁性体の長さが長い場合であっても、外部磁性体を安定的に支持することができる。しかも、第1の外部磁性体を所定の高さ位置で支持する第1の非磁性支持体を備えていることから、感磁素子に対するオフセットを生じることなく、外部磁性体をより細長形状とすることが可能となる。これにより、反磁界の影響が低減する。
【0010】
本発明において、第1の外部磁性体は、素子形成面に対して垂直な方向を長手方向とする棒状体であり、長手方向における一端は、素子形成面を覆っていても構わない。これによれば、第1の外部磁性体によって集磁された磁束が素子形成面にぶつかることから、感磁素子に効率よく磁束を印加することが可能となる。
【0011】
本発明において、感磁素子は、第1及び第2の感磁素子を含み、センサ基板の素子形成面上には、第1の磁性体層と、第1の磁気ギャップを介して第1の磁性体層と対向する第2の磁性体層と、第2の磁気ギャップを介して第1の磁性体層と対向する第3の磁性体層とが設けられ、第1の感磁素子は、第1の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、第2の感磁素子は、第2の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、第1外部磁性体の一端は、第1の磁性体層を覆っていても構わない。これによれば、第1の外部磁性体によって集磁された磁束が第1の磁性体層を介して第2及び第3の磁性体層に分配されることから、第1の感磁素子と第2の感磁素子に逆方向の磁束を与えることが可能となる。
【0012】
本発明において、感磁素子は、第3及び第4の感磁素子をさらに含み、センサ基板の素子形成面上には、第3の磁気ギャップを介して第1の磁性体層と対向する第4の磁性体層と、第4の磁気ギャップを介して第1の磁性体層と対向する第5の磁性体層とが設けられ、第3の感磁素子は、第3の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、第4の感磁素子は、第4の磁気ギャップによって形成される磁路上に配置され、実装面を基準とした第1外部磁性体の高さの中心位置は、第1及び第4の感磁素子と第2及び第3の感磁素子の間に位置するものであっても構わない。これによれば、第1の外部磁性体によって集磁された磁束が第1の磁性体層を介して第2~第5の磁性体層に分配されることから、第1及び第3の感磁素子と第2及び第4の感磁素子に逆方向の磁束を与えることが可能となる。しかも、第1外部磁性体の高さの中心位置が第1及び第4の感磁素子と第2及び第3の感磁素子の間に位置していることから、第1~第4の感磁素子に与えられる磁束のばらつきを低減することが可能となる。
【0013】
本発明による磁気センサは、第2の外部磁性体と、第2の外部磁性体が実装面から所定の高さに位置するよう支持する第2の非磁性支持体とをさらに備え、センサ基板は、素子形成面の反対側に位置する裏面と、素子形成面及び実装面に対して垂直であり互いに反対側に位置する第1及び第2の側面とをさらに有し、第2の外部磁性体は、センサ基板の第1の側面、第2の側面及び裏面を覆うものであっても構わない。これによれば、第2の外部磁性体によって集磁された磁束がセンサ基板の裏面及び側面を介して素子形成面に与えられることから、感磁素子に効率よく磁束を印加することが可能となる。
【0014】
本発明において、第2の外部磁性体は、センサ基板の素子形成面をさらに覆うものであっても構わない。これによれば、磁束の漏洩をより低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明による磁気センサは、外部磁性体を安定的に支持することができるとともに、感磁素子に対するオフセットを生じることなく、反磁界の影響を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による磁気センサ1の外観を示す略斜視図である。
【
図3】
図3は、感磁素子R1~R4の接続関係を説明するための回路図である。
【
図4】
図4は、第1の変形例による磁気センサ1Aの外観を示す略斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の変形例による磁気センサ1Bの外観を示す略斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施形態による磁気センサ2の外観を示す略斜視図である。
【
図8】
図8は、第3の変形例による磁気センサ2Aの外観を示す略斜視図である。
【
図9】
図9は、第4の変形例による磁気センサ2Bの外観を示す略斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3の実施形態による磁気センサ3の外観を示す略斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4の実施形態による磁気センサ4の外観を示す略斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第5の実施形態による磁気センサ5の外観を示す略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態による磁気センサ1の外観を示す略斜視図である。また、
図2は、磁気センサ1のxy平面図である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本実施形態による磁気センサ1は、実装基板10と、実装基板10の実装面12に搭載されたセンサ基板20、第1の外部磁性体40及び第1の非磁性支持体50とを備えている。実装基板10はマザーボードやモジュール基板などであり、その実装面12はxz平面を構成している。
【0020】
センサ基板20は略直方体形状を有し、xy平面を構成する素子形成面21と、yz平面を構成し互いに反対側に位置する第1及び第2の側面23,24と、素子形成面21の反対側に位置し、xy平面を構成する裏面22を有している。側面23,24は、素子形成面21と略直交する面であるが、完全に直交する必要はない。また、裏面22は素子形成面21と略平行な面であるが、完全に平行である必要はない。
【0021】
センサ基板20の素子形成面21には、感磁素子R1~R4及び磁性体層31~35が形成されている。感磁素子R1~R4は、磁束密度によって物理特性の変化する素子であれば特に限定されないが、磁界の向きに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子であることが好ましい。本実施形態においては、感磁素子R1~R4の感度方向(固定磁化方向)は、x方向におけるプラス側に全て揃えられている。
【0022】
磁性体層31~35は、素子形成面21上における磁路として機能する。磁性体層31~35としては、樹脂材料に磁性フィラーが分散された複合磁性材料からなる膜であっても構わないし、ニッケル又はパーマロイなどの軟磁性材料からなる薄膜もしくは箔であっても構わないし、フェライトなどからなる薄膜又はバルクシートであっても構わない。
【0023】
磁性体層31は素子形成面21のx方向における略中央部に配置されており、磁性体層31から見てx方向における一方側(左側)に磁性体層32,34が配置され、磁性体層31から見てx方向における他方側(右側)に磁性体層33,35が配置されている。磁性体層32,34と磁性体層33,35は、磁性体層31のx方向における中心を横切る仮想的なyz面に対して対称形である。また、磁性体層32と磁性体層34、並びに、磁性体層33と磁性体層35は、磁性体層31のy方向における中心を横切る仮想的なxz面に対して対称形である。
【0024】
磁性体層31と磁性体層32~35は、それぞれy方向に延在する磁気ギャップG1~G4を介して対向しており、これら磁気ギャップG1~G4によって形成される磁路上に感磁素子R1~R4がそれぞれ配置される。磁気ギャップG1~G4の幅方向についてはx方向である必要はなく、z方向であっても構わないし、x方向成分及びz方向成分を有する斜め方向であっても構わない。さらに、感磁素子R1~R4が厳密に磁気ギャップG1~G4間に位置している必要はなく、磁気ギャップの存在によって形成される磁路上に位置していれば足りる。
【0025】
外部磁性体40は、フェライトなど透磁率の高い軟磁性材料からなる集磁体であり、z方向の磁束を感磁素子R1~R4に集める役割を果たす。外部磁性体40はz方向を長手方向とする棒状体であり、z方向における一端41は、素子形成面21に形成された磁性体層31の略中心部を覆っている。このため、外部磁性体40によって集磁された磁束は、感磁素子R1~R4にほぼ均等に分配される。
【0026】
図3は、感磁素子R1~R4の接続関係を説明するための回路図である。
【0027】
図3に示すように、感磁素子R1は端子電極E3,E6間に接続され、感磁素子R2は端子電極E4,E5間に接続され、感磁素子R3は端子電極E3,E4間に接続され、感磁素子R4は端子電極E5,E6間に接続されている。ここで、端子電極E6には電源電位Vccが与えられ、端子電極E4には接地電位GNDが与えられる。そして、感磁素子R1~R4は全て同一の磁化固定方向を有していることから、外部磁性体40によって集磁された磁束が感磁素子R1~R4に分配されると、外部磁性体40からみて一方側に位置する感磁素子R1,R3の抵抗変化量と、外部磁性体40からみて他方側に位置する感磁素子R2,R4の抵抗変化量との間には差が生じる。これにより、感磁素子R1~R4は差動ブリッジ回路を構成し、磁束密度に応じた感磁素子R1~R4の電気抵抗の変化が端子電極E3,E5に現れることになる。
【0028】
端子電極E3,E5から出力される差動信号は、実装基板10又はその外部に設けられた差動アンプ14に入力される。差動アンプ14の出力信号は、端子電極E2にフィードバックされる。
図3に示すように、端子電極E1と端子電極E2との間には補償コイルCが接続されており、これにより、補償コイルCは差動アンプ14の出力信号に応じた磁界を発生させる。かかる構成により、磁束密度に応じた感磁素子R1~R4の電気抵抗の変化が端子電極E3,E5に現れると、磁束密度に応じた電流が補償コイルCに流れ、逆方向の磁束を発生させる。これにより、外部磁束が打ち消される。そして、差動アンプ14から出力される電流を検出回路16によって電流電圧変換すれば、外部磁束の強さを検出することが可能となる。
【0029】
非磁性支持体50は、シリコン、ガラス、樹脂などの非磁性材料からなり、外部磁性体40が実装面12から所定の高さに位置するよう支持する役割を果たす。つまり、外部磁性体40のy方向における高さは、センサ基板20のy方向における高さよりも低く、このため外部磁性体40を実装基板10に直接固定すると、外部磁性体40のy方向における位置が磁性体層31の中心位置からずれてしまうが、実装基板10と外部磁性体40の間に非磁性支持体50を介在させることによって外部磁性体40を底上げすることにより、外部磁性体40の一端41を磁性体層31の中心に配置することができる。但し、外部磁性体40の一端41が磁性体層31の完全な中心に位置することは必須でなく、外部磁性体40のy方向における高さの中心位置が感磁素子R1,R4と感磁素子R2,R3の間に位置すれば足りる。
【0030】
このように、本実施形態においては、素子形成面21が実装面12に対して垂直となるよう、センサ基板20を寝かせて実装基板10に搭載していることから、外部磁性体40のz方向における長さが長い場合であっても、外部磁性体40を安定的に支持することができる。しかも、非磁性支持体50を用いて外部磁性体40のy方向における位置を底上げしていることから、外部磁性体40のy方向における高さを低くしつつ、磁性体層31の略中心部分に磁束を集めることができる。これにより、外部磁性体40のy方向における高さがセンサ基板20のy方向における高さと略同じである場合と比べ、外部磁性体40がより細長形状となることから、反磁界の影響を低減することが可能となる。そして、外部磁性体40によって集磁された磁束は、磁性体層31の略中心部分に供給されることから、磁束を感磁素子R1~R4にほぼ均等に分配することが可能となる。
【0031】
尚、
図1に示す例では、外部磁性体40と非磁性支持体50のz方向における長さ及びx方向における幅がいずれも一致しているが、本発明においてこの点は必須でない。したがって、
図4に示す第1の変形例による磁気センサ1Aのように、非磁性支持体50が複数に分割されていても構わないし、
図5に示す第2の変形例による磁気センサ1Bのように、非磁性支持体50のx方向における幅が外部磁性体40のx方向における幅よりも広くても構わない。
【0032】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態による磁気センサ2の外観を示す略斜視図である。また、
図7は、磁気センサ2のxy平面図である。
【0033】
図6及び
図7に示すように、本実施形態による磁気センサ2は、実装基板10の実装面12に搭載された第2の外部磁性体60及び第2の非磁性支持体70をさらに備えている点において、第1の実施形態による磁気センサ1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態による磁気センサ1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0034】
外部磁性体60は、外部磁性体40と同様の軟磁性材料からなり、センサ基板20の側面23,24及び裏面22を覆うとともに、z方向を長手方向とする形状を有している。これにより、第1の実施形態による磁気センサ1と比べて、z方向の外部磁界に対する指向性をさらに高めることが可能となる。また、本実施形態においては、外部磁性体60の一部が素子形成面21に形成された磁性体層32~35の一部を覆っている。これによれば、外部磁性体40、磁性体層31~35、外部磁性体60をこの順に経由する磁路において漏洩磁束が低減されることから、より高い検出感度を得ることが可能となる。
【0035】
非磁性支持体70は、非磁性支持体50と同様の非磁性材料からなり、外部磁性体60が実装面12から所定の高さに位置するよう支持する役割を果たす。つまり、外部磁性体60のy方向における高さは、センサ基板20のy方向における高さよりも低く、このため外部磁性体60を実装基板10に直接固定すると、外部磁性体60が感磁素子R1~R4に対してy方向にオフセットしてしまうが、実装基板10と外部磁性体60の間に非磁性支持体70を介在させることによって外部磁性体60を底上げすることにより、オフセットを解消することができる。
【0036】
このように、本実施形態による磁気センサ2は、第2の外部磁性体60を備えていることから、z方向の外部磁界に対する指向性をさらに高めることが可能となる。しかも、非磁性支持体70を用いて外部磁性体60のy方向における位置を底上げしていることから、外部磁性体60のy方向における高さを低くしつつ、感磁素子R1~R4に対するy方向のオフセットを解消することができる。これにより、外部磁性体60がより細長形状となることから、反磁界の影響を低減することが可能となる。
【0037】
尚、
図6に示す例では、非磁性支持体50と非磁性支持体70の両方を用いているが、本発明においてこの点は必須でない。したがって、
図8に示す第3の変形例による磁気センサ2Aのように、非磁性支持体70を省略し、外部磁性体60のy方向における高さをセンサ基板20のy方向における高さと全体的に略一致させても構わないし、
図9に示す第4の変形例による磁気センサ2Bのように、非磁性支持体50を省略し、外部磁性体40のy方向における高さをセンサ基板20のy方向における高さと全体的に略一致させて構わない。
【0038】
<第3の実施形態>
図10は、本発明の第3の実施形態による磁気センサ3の外観を示す略斜視図である。
【0039】
図10に示すように、本実施形態による磁気センサ3は、外部磁性体40のy方向における高さがセンサ基板20の近傍において拡大されたテーパー形状を有している点において、第2の実施形態による磁気センサ2と相違している。これに伴い、非磁性支持体50のy方向における高さは、センサ基板20の近傍において縮小されている。その他の基本的な構成は第2の実施形態による磁気センサ2と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
本実施形態によれば、外部磁性体40のy方向における高さがセンサ基板20の近傍において拡大されていることから、外部磁性体40によって集磁された磁束を効率よく磁性体層31に供給することが可能となる。また、センサ基板20から離れた部分においては、外部磁性体40のy方向における高さが縮小されていることから、第1及び第2の実施形態と同様、反磁界の影響を低減することが可能となる。
【0041】
本実施形態が例示するように、本発明において外部磁性体40のy方向における高さが一定である必要はなく、一部分の高さが拡大されていても構わない。
【0042】
<第4の実施形態>
図11は、本発明の第4の実施形態による磁気センサ4の外観を示す略斜視図である。
【0043】
図11に示すように、本実施形態による磁気センサ4は、外部磁性体60のy方向における高さがセンサ基板20の近傍において拡大されている点において、第2の実施形態による磁気センサ2と相違している。これに伴い、非磁性支持体70のy方向における高さは、センサ基板20の近傍において縮小されている。その他の基本的な構成は第2の実施形態による磁気センサ2と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
本実施形態によれば、外部磁性体60のy方向における高さがセンサ基板20の近傍において拡大されていることから、外部磁性体60によって集磁された磁束を効率よく磁性体層32~35に供給することが可能となる。また、センサ基板20から離れた部分においては、外部磁性体60のy方向における高さが縮小されていることから、第1及び第2の実施形態と同様、反磁界の影響を低減することが可能となる。
【0045】
本実施形態が例示するように、本発明において外部磁性体60のy方向における高さが一定である必要はなく、一部分の高さが拡大されていても構わない。
【0046】
<第5の実施形態>
図12は、本発明の第5の実施形態による磁気センサ5の外観を示す略斜視図である。
【0047】
図12に示すように、本実施形態による磁気センサ5は、外部磁性体60のx方向における幅がセンサ基板20から離れた部分で縮小されている点において、第2の実施形態による磁気センサ2と相違している。これに伴い、非磁性支持体70の平面形状も外部磁性体60の平面形状と一致するよう加工されているが、非磁性支持体70の平面形状については、第2の実施形態における非磁性支持体70の形状と同じであっても構わない。その他の基本的な構成は第2の実施形態による磁気センサ2と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0048】
本実施形態によれば、外部磁性体60のx方向における幅がセンサ基板20から離れた部分で縮小されていることから、外部磁性体60がより細長形状となる。これにより、第2の実施形態と比べて、反磁界の影響をよりいっそう低減することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1~5,1A,1B,2A,2B 磁気センサ
10 実装基板
12 実装面
14 差動アンプ
16 検出回路
20 センサ基板
21 素子形成面
22 裏面
23,24 側面
31~35 磁性体層
40 第1の外部磁性体
41 外部磁性体の一端
50 第1の非磁性支持体
60 第2の外部磁性体
70 第2の非磁性支持体
C 補償コイル
E1~E6 端子電極
G1~G4 磁気ギャップ
R1~R4 感磁素子