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特許7095384ゲート駆動回路およびスイッチング電源装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】ゲート駆動回路およびスイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20220628BHJP
   H03K 17/16 20060101ALI20220628BHJP
   H03K 17/567 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/16 Z
H03K17/567
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018090505
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2019198168
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】兼田 博利
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-110878(JP,A)
【文献】特開2016-059108(JP,A)
【文献】特開2013-207821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00- 1/44
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路であって、
第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗と、
前記第1電位よりも低い第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗と、
前記第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子と、
前記第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子と、
前記主スイッチング素子をオンとするオン期間の長さに応じて、前記第1抵抗の抵抗値および前記第2抵抗の抵抗値のうち少なくとも一方の抵抗値を変化させる制御回路と
を備えるゲート駆動回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記オン期間が第1期間である場合に、前記オン期間が前記第1期間よりも短い第2期間である場合よりも前記第2抵抗の抵抗値を大きく設定する請求項1に記載のゲート駆動回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記オン期間が第3期間である場合に、前記オン期間が前記第3期間よりも短い第4期間である場合よりも前記第1抵抗の抵抗値を小さく設定する請求項1に記載のゲート駆動回路。
【請求項4】
前記第1抵抗および前記第2抵抗の少なくとも一方は、入力される電圧に応じて抵抗値を連続的に変更可能な電圧制御抵抗であり、
前記制御回路は、前記オン期間が予め定められた範囲内において長くなるにしたがって、抵抗値を大きくする電圧を前記電圧制御抵抗に供給する
請求項2または3に記載のゲート駆動回路。
【請求項5】
前記電圧制御抵抗は、制御端子に入力される電圧に応じて2つの主端子間の抵抗値を変化させる電界効果トランジスタを有する請求項4に記載のゲート駆動回路。
【請求項6】
前記制御回路は、
入力される制御信号に応じて前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を制御し、
前記制御信号によって前記主スイッチング素子をオンとすることを指定された期間の長さに応じて前記オン期間の長さを決定する
請求項1から5のいずれか一項に記載のゲート駆動回路。
【請求項7】
前記制御回路は、今回の前記オン期間における前記少なくとも一方の抵抗値を、前回またはそれ以前の前記オン期間の長さに応じて設定する請求項6に記載のゲート駆動回路。
【請求項8】
前記制御信号は、前記オン期間をパルスにより指定し、
前記制御回路は、前記パルスの幅に応じて前記少なくとも一方の抵抗値を設定する
請求項6または7に記載のゲート駆動回路。
【請求項9】
主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路であって、
第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗と、
前記第1電位よりも低い第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗と、
前記第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子と、
前記第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子と、
前記主スイッチング素子がオンの間に前記主スイッチング素子を流れる電流を含む測定対象電流の大きさを検出する検出部と、
検出された前記測定対象電流の大きさに応じて、前記第1抵抗の抵抗値および前記第2抵抗の抵抗値のうち少なくとも一方の抵抗値を変化させる制御回路と
を備え
前記制御回路は、前記主スイッチング素子をオンとする各オン期間のうち、今回のオン期間における前記第2抵抗の抵抗値を、前回以前のオン期間における前記測定対象電流の大きさに応じて設定するゲート駆動回路。
【請求項10】
主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路であって、
第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗と、
前記第1電位よりも低い第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗と、
前記第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子と、
前記第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子と、
前記主スイッチング素子がオンの間に前記主スイッチング素子を流れる電流を含む測定対象電流の大きさを検出する検出部と、
検出された前記測定対象電流の大きさに応じて、前記第1抵抗の抵抗値および前記第2抵抗の抵抗値のうち少なくとも一方の抵抗値を変化させる制御回路と
を備え
前記制御回路は、前記測定対象電流の大きさが第3の大きさと検出された場合に、前記測定対象電流の大きさが前記第3の大きさよりも小さい第4の大きさと検出された場合よりも前記第1抵抗の抵抗値を小さく設定するゲート駆動回路。
【請求項11】
前記制御回路は、前記測定対象電流の大きさが第1の大きさと検出された場合に、前記測定対象電流の大きさが前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさと検出された場合よりも前記第2抵抗の抵抗値を大きく設定する請求項9または10に記載のゲート駆動回路。
【請求項12】
前記検出部は、前記主スイッチング素子がオンの間における予め定められたタイミングで前記測定対象電流の大きさをサンプリングする請求項9から11いずれか一項に記載のゲート駆動回路。
【請求項13】
主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路であって、
第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗と、
前記第1電位よりも低い第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗と、
前記第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子と、
前記第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子と、
前記主スイッチング素子がオンの間に前記主スイッチング素子を流れる電流を含む測定対象電流の大きさ、および、前記主スイッチング素子がオフの間に前記主スイッチング素子に直列に接続される対向スイッチング素子の負側主端子の側から正側主端子の側に向かって流れる電流を含む対向側測定対象電流の大きさを検出する検出部と、
検出された前記測定対象電流の大きさに応じて前記第2抵抗の抵抗値を変化させ、検出された前記対向側測定対象電流の大きさに応じて前記第1抵抗の抵抗値を変化させる制御回路と
を備えるゲート駆動回路。
【請求項14】
主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路であって、
第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗と、
前記第1電位よりも低い第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗と、
前記第1電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子と、
前記第2電位および前記主スイッチング素子のゲートの間に前記第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子と、
前記主スイッチング素子がオフの間に前記主スイッチング素子に直列に接続される対向スイッチング素子の負側主端子の側から正側主端子の側に向かってを流れる電流を含む対向側測定対象電流の大きさを検出する検出部と、
前記対向側測定対象電流の大きさに応じて、前記第1抵抗の抵抗値を変化させる制御回路と
を備えるゲート駆動回路。
【請求項15】
前記制御回路は、前記対向側測定対象電流の大きさが第3の大きさと検出された場合に、前記対向側測定対象電流の大きさが前記第3の大きさよりも小さい第4の大きさと検出された場合よりも前記第1抵抗の抵抗値を小さく設定する請求項13または14に記載のゲート駆動回路。
【請求項16】
前記検出部は、前記対向スイッチング素子がオンの間における予め定められたタイミングで前記対向側測定対象電流の大きさをサンプリングする請求項13から15のいずれか一項に記載のゲート駆動回路。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のゲート駆動回路と、
前記主スイッチング素子と、
前記主スイッチング素子に逆並列に接続された還流ダイオードと
を備えるスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート駆動回路およびスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子に接続されたゲート抵抗を備えるゲート駆動回路では、ゲートに対する信号経路上に電圧昇降手段や遅延回路、可変抵抗などを設けている(例えば、特許文献1~4参照)。
特許文献1 特許3941309号
特許文献2 特許3666843号
特許文献3 特許3568848号
特許文献4 特開2016-059108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のゲート駆動回路では、簡易な構成でスイッチング損失およびサージ電圧をバランスよく低減することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路を提供する。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位よりも低い第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、主スイッチング素子をオンとするオン期間の長さに応じて、第1抵抗の抵抗値および第2抵抗の抵抗値のうち少なくとも一方の抵抗値を変化させる制御回路を備えてよい。
【0005】
制御回路は、オン期間が第1期間である場合に、オン期間が第1期間よりも短い第2期間である場合よりも第2抵抗の抵抗値を大きく設定してよい。
【0006】
制御回路は、オン期間が第1期間である場合に、オン期間が第3期間よりも短い第4期間である場合よりも第1抵抗の抵抗値を小さく設定してよい。
【0007】
第1抵抗および第2抵抗の少なくとも一方は、入力される電圧に応じて抵抗値を連続的に変更可能な電圧制御抵抗であってよい。制御回路は、オン期間が予め定められた範囲内において長くなるにしたがって、抵抗値を大きくする電圧を電圧制御抵抗に供給してよい。
【0008】
電圧制御抵抗は、制御端子に入力される電圧に応じて2つの主端子間の抵抗値を変化させる電界効果トランジスタを有してよい。
【0009】
制御回路は、入力される制御信号に応じて第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を制御してよい。制御回路は、制御信号によって主スイッチング素子をオンとすることを指定された期間の長さに応じてオン期間の長さを決定してよい。
【0010】
制御回路は、今回のオン期間における少なくとも一方の抵抗値を、前回またはそれ以前のオン期間の長さに応じて設定してよい。
【0011】
制御信号は、オン期間をパルスにより指定してよい。制御回路は、パルスの幅に応じて少なくとも一方の抵抗値を設定してよい。
【0012】
本発明の第3の態様においては、主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路を提供する。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位よりも低い第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、主スイッチング素子がオンの間に主スイッチング素子を流れる電流を含む測定対象電流の大きさを検出する検出部を備えてよい。ゲート駆動回路は、検出された測定対象電流の大きさに応じて、第1抵抗の抵抗値および第2抵抗の抵抗値のうち少なくとも一方の抵抗値を変化させる制御回路を備えてよい。
【0013】
制御回路は、測定対象電流の大きさが第1の大きさと検出された場合に、測定対象電流の大きさが第1の大きさよりも小さい第2の大きさと検出された場合よりも第2抵抗の抵抗値を大きく設定してよい。
【0014】
制御回路は、測定対象電流の大きさが第3の大きさと検出された場合に、測定対象電流の大きさが第3の大きさよりも小さい第4の大きさと検出された場合よりも第1抵抗の抵抗値を小さく設定してよい。
【0015】
検出部は、主スイッチング素子がオンの間における予め定められたタイミングで測定対象電流の大きさをサンプリングしてよい。
【0016】
本発明の第4の態様においては、主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路を提供する。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位よりも低い第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、主スイッチング素子がオンの間に主スイッチング素子を流れる電流を含む測定対象電流の大きさ、および、主スイッチング素子がオフの間に主スイッチング素子に直列に接続される対向スイッチング素子の負側主端子の側から正側主端子の側に向かって流れる電流を含む対向側測定対象電流の大きさを検出する検出部を備えてよい。ゲート駆動回路は、検出された測定対象電流の大きさに応じて第2抵抗の抵抗値を変化させ、検出された対向側測定対象電流の大きさに応じて第1抵抗の抵抗値を変化させる制御回路を備えてよい。
【0017】
本発明の第5の態様においては、主スイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路を提供する。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第1抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位よりも低い第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に接続される第2抵抗を備えてよい。ゲート駆動回路は、第1電位および主スイッチング素子のゲートの間に第1抵抗と直列に接続される第1スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、第2電位および主スイッチング素子のゲートの間に第2抵抗と直列に接続される第2スイッチング素子を備えてよい。ゲート駆動回路は、主スイッチング素子がオフの間に主スイッチング素子に直列に接続される対向スイッチング素子の負側主端子の側から正側主端子の側に向かってを流れる電流を含む対向側測定対象電流の大きさを検出する検出部を備えてよい。ゲート駆動回路は、対向側測定対象電流の大きさに応じて、第1抵抗の抵抗値を変化させる制御回路を備えてよい。
【0018】
制御回路は、対向側測定対象電流の大きさが第3の大きさと検出された場合に、対向側測定対象電流の大きさが第3の大きさよりも小さい第4の大きさと検出された場合よりも第1抵抗の抵抗値を小さく設定してよい。
【0019】
検出部は、対向スイッチング素子がオンの間における予め定められたタイミングで対向側測定対象電流の大きさをサンプリングしてよい。
【0020】
本発明の第6の態様においては、スイッチング電源装置を提供する。スイッチング電源装置は、第1~第4の何れかの態様のゲート駆動回路を備えてよい。スイッチング電源装置は、主スイッチング素子を備えてよい。スイッチング電源装置は、主スイッチング素子に逆並列に接続された還流ダイオードを備えてよい。
【0021】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置100を示す。
図2】制御信号を示す。
図3】第2の実施形態に係るスイッチング電源装置200を示す。
図4】主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるサージ電圧と、出力電流値Icとの関係を示す。
図5】主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるサージ電圧と、第2抵抗64の抵抗値との関係を示す。
図6】還流ダイオード4の逆回復特性を示す。
図7】第1抵抗63,第2抵抗64の抵抗値を一定とした場合の主スイッチング素子2のオン期間の出力電流値Icと、主スイッチング素子2のスイッチング時に発生するスイッチング損失との関係を示す。
図8】主スイッチング素子2のオン期間の出力電流値Icを一定とした場合の第1抵抗63,第2抵抗64の抵抗値と、主スイッチング素子2のスイッチング時に発生するスイッチング損失との関係を示す。
図9】主スイッチング素子2のターンオフ時における電圧および電流を示す。
図10】主スイッチング素子2のターンオン時における電圧および電流を示す。
図11】対向スイッチング素子1のターンオン時における還流ダイオード4の逆回復時の電圧および電流を示す。
図12】オン期間の長さ(または測定対象電流の大きさ)と、第2抵抗64の抵抗値との関係を示す。
図13図12のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるサージ電圧を示す。
図14図12のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるスイッチング損失を示す。
図15】オン期間の長さと、第1抵抗63の抵抗値との関係を示す。
図16図15のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオン時に還流ダイオード3で生じるサージ電圧を示す。
図17図15のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオン時に生じるスイッチング損失を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
【0024】
[1.第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置100を示す。スイッチング電源装置100は、一例としてモータ駆動用または電力供給用に用いられる電力変換装置の1相分を示したものであり、正側電源線101および負側電源線102と、電源出力端子105との接続を切り換えることで電源出力端子105から変換した電圧を出力する。また、本実施形態におけるスイッチング電源装置100は、スイッチング素子がオンとされるオン期間の長さと、オン期間の終了時点でスイッチング素子に流れている電流の瞬時値との間に相関があることを利用して、スイッチング時のサージ電圧および/または損失を低減する。ここで、正側電源線101および負側電源線102の間には例えば600~800Vの直流電圧が印加されてよい。また、電源出力端子105には誘導負荷106が接続されてよい。スイッチング電源装置100は、正側の主スイッチング素子1および負側の主スイッチング素子2と、主スイッチング素子1,2に逆並列に接続された還流ダイオード3,4と、正側のゲート駆動回路5と、負側のゲート駆動回路6とを備える。
【0025】
[1-1.主スイッチング素子]
主スイッチング素子1,2は、負側電源線102および正側電源線101の間に直列に順次接続されている。例えば、主スイッチング素子1,2は、それぞれ正側電源線101の側にコレクタ端子が接続され、負側電源線102の側にエミッタ端子が接続される。主スイッチング素子1および主スイッチング素子2の中点には電源出力端子105が接続されてよい。
【0026】
主スイッチング素子1,2は、後述のゲート駆動回路5,6によってオン/オフが切り換えられる。一例として、主スイッチング素子1,2は、電力変換装置における上アームおよび下アームを構成している。
【0027】
主スイッチング素子1,2は、シリコンを基材としたシリコン半導体素子である。これに代えて、主スイッチング素子1,2の少なくとも一方はワイドバンドギャップ半導体素子であってもよい。ワイドバンドギャップ半導体素子とは、シリコン半導体素子よりもバンドギャップが大きい半導体素子であり、例えばSiC、GaN、ダイヤモンド、窒化ガリウム系材料、酸化ガリウム系材料、AlN、AlGaN、または、ZnOなどを含む半導体素子である。ワイドバンドギャップ半導体素子は、シリコン半導体素子よりもスイッチング速度を向上させることが可能である。なお、本実施例では主スイッチング素子1,2はIGBTであり、正側電源線101の側がカソードである寄生ダイオード(図示せず)を有してよい。主スイッチング素子1,2はMOSFETまたはバイポーラトランジスタなど、他構造の半導体素子でもよい。
【0028】
[1-2.還流ダイオード]
還流ダイオード3,4は、正側電源線101の側がカソードとなるよう主スイッチング素子1,2に逆並列に接続される。還流ダイオード3,4は、ショットキーバリアダイオードでもよい。還流ダイオード3,4は、シリコン半導体素子でもよいし、ワイドバンドギャップ半導体素子でもよい。
【0029】
[1-3.ゲート駆動回路]
ゲート駆動回路5,6は、外部から入力される制御信号に含まれるターンオン信号およびターンオフ信号に基づいて、対応する主スイッチング素子1,2のゲートを駆動する。ここで、制御信号は図示しない信号源から供給され、主スイッチング素子1,2に同期整流方式でスイッチングを行わせる。例えば、制御信号は、主スイッチング素子1,2の両方がオフとなるデッドタイムを挟んで主スイッチング素子1,2を択一的に(一例として交互に)接続状態とするよう設定される。制御信号は、PWM制御により主スイッチング素子1,2を制御してよい。なお、本実施形態では一例として、制御信号はハイの場合に主スイッチング素子2をオンにすることを指定し、ローの場合に主スイッチング素子2をオフにすることを指定する。正側のゲート駆動回路5は主スイッチング素子1をスイッチング対象とし、負側のゲート駆動回路6は主スイッチング素子2をスイッチング対象とする。なお、ゲート駆動回路5,6は同様の構成であるため、本実施形態では負側のゲート駆動回路6について説明を行い、正側のゲート駆動回路5については説明を省略する。
【0030】
ゲート駆動回路6は、第1電源61および第2電源62と、第1抵抗63および第2抵抗64と、第1スイッチング素子65および第2スイッチング素子66と、制御回路67とを有する。第1電源61および第2電源62はゲート駆動回路6の外部に設けられてもよい。
【0031】
[1-3-1.第1電源および第2電源]
第1電源61および第2電源62は、ゲート駆動回路6に直流電圧を供給する。本実施形態では、第1電源61は第1抵抗63の一端(図中の上端)を第1電位とし、第2電源62は第2抵抗64の他端(図中の下端)を、第1電位よりも低い第2電位とする。第1電源61および第2電源62は互いに直列に接続されてよく、第1電源61および第2電源62の中点は主スイッチング素子2のエミッタ端子に接続されてよい。
【0032】
[1-3-2.第1抵抗および第2抵抗]
第1抵抗63および第2抵抗64は、主スイッチング素子2のゲートに接続されるゲート抵抗である。第1抵抗63および第2抵抗64はそれぞれ可変抵抗であってよく、本実施形態では一例として、入力される電圧に応じて抵抗値を連続的に変更可能な電圧制御抵抗である。このうち第1抵抗63は、第1電源61および主スイッチング素子2のゲートの間に接続される。第2抵抗64は、第2電源62および主スイッチング素子2のゲートの間に接続される。なお、図示は省略するものの、電圧制御抵抗は、制御端子に入力される電圧に応じて2つの主端子間の抵抗値を変化させる電界効果トランジスタを有してよい。これにより、簡易な構成で第1抵抗63,第2抵抗64の抵抗値を制御することができる。電界効果トランジスタはMOSFETでもよいし、JFET(ジャンクションFET)でもよい。電界制御抵抗は、電界効果トランジスタに並列接続された抵抗をさらに有してもよい。
【0033】
[1-3-3.第1スイッチング素子および第2スイッチング素子]
第1スイッチング素子65は、第1電源61と、主スイッチング素子2のゲートとの間に第1抵抗63と直列に接続される。これにより、主スイッチング素子2は、第1スイッチング素子65がオンとなって第1抵抗63を電流が流れるとターンオンされる。本実施形態では一例として、第1スイッチング素子65は、NPN型のバイポーラ型トランジスタであり、第1電源61の側にコレクタ端子が接続され、主スイッチング素子2のゲート側にエミッタ端子が接続され、制御回路67の側にベース端子が接続される。なお、第1スイッチング素子65は、MOSFETまたはIGBTなど、他の構造の半導体素子でもよい。また、本実施形態では第1スイッチング素子65は第1抵抗63よりも主スイッチング素子2の側に配置されているが、第1抵抗63よりも第1電源61の側に配置されてもよい。
【0034】
第2スイッチング素子66は、第2電源62と、主スイッチング素子2のゲートとの間に第2抵抗64と直列に接続される。これにより、主スイッチング素子2は、第2スイッチング素子66がオンとなって第2抵抗64を電流が流れるとターンオフされる。本実施形態では一例として、第2スイッチング素子66は、PNP型のバイポーラ型トランジスタであり、第2電源62の側にコレクタ端子が接続され、主スイッチング素子2のゲート側にエミッタ端子が接続され、制御回路67の側にベース端子が接続される。なお、第2スイッチング素子66は、MOSFETまたはIGBTなど、他の構造の半導体素子でもよい。また、本実施形態では第2スイッチング素子66は第2抵抗64よりも主スイッチング素子2の側に配置されているが、第2抵抗64よりも第2電源62の側に配置されてもよい。
【0035】
第1スイッチング素子65,第2スイッチング素子66のそれぞれには、第1電源61の側がカソードである還流ダイオード(図示せず)が並列に接続されてよい。還流ダイオードは第1スイッチング素子65,第2スイッチング素子66に内蔵されてもよいし、第1スイッチング素子65,第2スイッチング素子66に外付けされてもよい。
【0036】
[1-3-4.制御回路]
制御回路67は、入力される制御信号に応じて第1スイッチング素子65および第2スイッチング素子66を制御する。本実施形態では一例として、制御回路67は、第1スイッチング素子65のベース端子と、第2スイッチング素子66のベース端子とにそれぞれ接続される。
【0037】
また、制御回路67は、第1抵抗63および第2抵抗64の抵抗値をそれぞれ変化させる。制御回路67は、主スイッチング素子2をスイッチングするときのスイッチング損失および/またはサージ電圧を改善するよう抵抗値を変化させてよい。一例として、制御回路67は、素子の破壊を防ぐ程度にサージ電圧を低減しつつ、スイッチング損失を増加させてよい。
【0038】
[1-3-4(1).第2抵抗の制御]
制御回路67は、主スイッチング素子2のオン期間の長さに応じて第2抵抗64の抵抗値を変化させてよい。制御回路67は、主スイッチング素子2のオン期間が第1期間である場合に、オン期間が第1期間よりも短い第2期間である場合よりも第2抵抗64の抵抗値を大きく設定してよい。一例として、制御回路67は、オン期間が予め定められた範囲(一例としてスイッチング周期の長さ以下の範囲)内において長くなるにしたがって、第2抵抗64の抵抗値を大きくする電圧を第2抵抗64に供給する。これにより、主スイッチング素子2をターンオフするときのサージ電圧が低減される。なお、主スイッチング素子2をオンとするオン期間とは、主スイッチング素子2のゲートにオン信号が供給される期間である。オン期間の長さはオン期間の終了時点において主スイッチング素子2に流れている電流の瞬時値と正の相関を示してよく、これは、電源出力端子105に接続されるインダクタンス成分の自己誘導作用により急激な電流変化が妨げられることに起因する。オン期間は例えば制御信号のパルスによって指定されてよく、一例としてスイッチング周波数が1~10kHzのオーダーである場合に、オン期間は100~1000μ秒の長さでよい。
【0039】
制御回路67は、今回のオン期間における第2抵抗64の抵抗値を、前回またはそれ以前のオン期間の長さに応じて設定してよい。第2抵抗64の抵抗値を前回以前のオン期間の長さに応じて設定するとは、例えば、前回以前のオン期間の長さの平均値、または重み付け平均値に基づいて抵抗値を設定することでよい。制御回路67は、オン期間が制御信号のパルスによって指定される場合には、当該パルスの幅に応じて第2抵抗64の抵抗値を設定してよい。なお、今回のオン期間の長さが分かる場合には、制御回路67は、今回のオン期間の長さに応じて今回のオン期間の終期での第2抵抗64の抵抗値を設定してもよい。ここで、今回のオン期間とは、現時点でオン信号が主スイッチング素子2に入力されている場合には、当該オン信号の入力の開始から終了までの期間であり、現時点でオン信号が入力されていない場合には、次のオン信号の入力の開始から終了までの期間である。
【0040】
制御回路67は、制御信号によって主スイッチング素子2をオンとすることを指定された期間の長さに応じてオン期間の長さを決定してよい。例えば、制御回路67は、制御信号がハイである期間中のクロックパルスをカウントすることでオン期間の長さを決定してよい。制御回路67は、積分回路により取得される、制御信号の電圧の立ち上がりから立ち下がりまでの時間積分値をオン期間の長さとして決定してもよい。これらの場合には、制御回路67はオン期間の長さを示す信号を外部から受信することなく、オン期間の長さを決定することができる。これに代えて、制御回路67は、オン期間の長さを外部から取得してもよい。一例として、制御回路67は、オン期間の長さを示す信号を制御信号の生成装置等から取得してよい。この場合には、制御回路67は、オン期間の長さを自身で測定することなく、決定することができる。また、制御信号が立ち下がる前、つまりオン期間が完了する前に、今回のオン期間の長さを取得することができるため、今回のオン期間の長さに基づいて、今回のオン期間の終期での第2抵抗64の抵抗値を制御することができる。
【0041】
[1-3-4(2).第1抵抗の制御]
制御回路67は、主スイッチング素子2のオン期間の長さに応じて、第1抵抗63の抵抗値を変化させてよい。例えば、制御回路67は、オン期間が第3期間である場合に、オン期間が第3期間よりも短い第4期間である場合よりも第1抵抗63の抵抗値を小さく設定してよい。一例として、制御回路67は、オン期間が予め定められた範囲(一例としてスイッチング周期の長さ以下の範囲)内において長くなるにしたがって、第1抵抗63を小さくする電圧を第1抵抗63に供給する。ここで、電源出力端子105に流れる電流の変化は誘導負荷106の自己誘導作用により妨げられるため、主スイッチング素子2のオン期間の長さは、対向オン期間の終了時点、ひいては次に主スイッチング素子2がターンオンする時点において還流ダイオード3に流れている電流の瞬時値と相関を示してよい。対向オン期間とは、主スイッチング素子2に直列に接続された主スイッチング素子1(対向スイッチング素子1とも称する)をオンとする期間である。オン期間が長いと、主スイッチング素子2に流れる電流の瞬時値が大きくなるため、主スイッチング素子2をターンオフしたときに誘導負荷106の自己誘導によって対向スイッチング素子1の還流ダイオード3に流れる電流の瞬時値は大きくなる。そして、還流ダイオード3に流れる電流が大きい場合には、電流が小さい場合と比較して、還流ダイオード3が逆回復するときに生じるサージ電圧は小さくなり得る。そのため、上述のようにオン期間が長くなるに従って第1抵抗63の抵抗値を小さくすることにより、主スイッチング素子2のターンオン速度を速くしてスイッチング損失を低減することができる。また、オン期間が短くなるに従って第1抵抗63の抵抗値を大きくすることにより、主スイッチング素子2のターンオン速度を遅くして還流ダイオード3のサージ電圧を低減することができる。
【0042】
制御回路67は、主スイッチング素子2の今回のオン期間における第1抵抗63の抵抗値を、前回またはそれ以前の主スイッチング素子2のオン期間の長さに応じて設定してよい。また、制御回路67は、オン期間が制御信号のパルスによって指定される場合には、当該パルスの幅に応じて第1抵抗63の抵抗値を設定してよい。制御回路67は、第2抵抗64を制御する場合と同様にして、オン期間の長さを決定してよい。
【0043】
以上のスイッチング電源装置100によれば、制御回路67により主スイッチング素子2のオン期間の長さに応じて第2抵抗64の抵抗値を変化させるので、オン期間の終了時点で主スイッチング素子2に流れている電流の瞬時値に概ね基づいて第2抵抗64の抵抗値が変化する。従って、主スイッチング素子2をターンオフするときのスイッチング損失および/またはサージ電圧を改善することができる。また、制御回路67によりオン期間の長さに応じて第1抵抗63を変化させるので、対向オン期間の終了時点で還流ダイオード3に流れている電流の瞬時値に概ね基づいて第1抵抗63の抵抗値が変化する。従って、主スイッチング素子2をターンオンするときのスイッチング損失および/またはサージ電圧を改善することができる。よって、オン期間の長さに応じて抵抗値を変化させるという簡易な構成で、スイッチング損失およびサージ電圧をバランスよく低減することができる。
【0044】
[1-4.制御信号]
図2は、制御信号を示す。図中、上側の部分は、主スイッチング素子1,2に対する制御信号(PWM出力波形)を生成するために用いられる搬送波および信号波を示し、下側の部分は、生成される制御信号のパルスを示す。制御回路67は、主スイッチング素子2に対する制御信号のパルスの幅に応じて第1抵抗63の抵抗値および第2抵抗64の抵抗値を設定してよい。このように制御信号のパルスの幅に応じて抵抗値を設定する場合には、パルス幅の長さを示す信号を取得して抵抗値を設定する場合と比較して、ゲート駆動回路6の外部から制御回路67への配線の増加を抑えて構成を簡素化することができる。なお、主スイッチング素子1,2のオン期間と、オン期間の終了時点で主スイッチング素子1,2に流れている電流の瞬時値との間の相関を高める観点からは、PWM信号の基本波位相と電流位相とがほぼ一致して力率が概ね1であることが好ましい。
【0045】
[2.第2の実施形態]
図3は、第2の実施形態に係るスイッチング電源装置200を示す。スイッチング電源装置200は、正側の主スイッチング素子1に対応付けられたゲート駆動回路7と、負側の主スイッチング素子2に対応付けられたゲート駆動回路8とを有する。
【0046】
[2-1.ゲート駆動回路]
ゲート駆動回路7,8は、主スイッチング素子1,2がオンの間に主スイッチング素子1,2を流れる電流に応じて第1抵抗および/または第2抵抗の抵抗値を変化させる。なお、正側のゲート駆動回路7の構成は負側のゲート駆動回路8の構成と同様であるため、説明を省略する。
ゲート駆動回路8は、検出部81および制御回路87を有する。
【0047】
[2-1-1.検出部]
検出部81は、主スイッチング素子2がオンの間に主スイッチング素子2を流れる電流を含む測定対象電流の大きさを検出する。測定対象電流は、主スイッチング素子2を流れる電流に加え、還流ダイオード3および/または還流ダイオード4を流れる電流を含んでよい。また、検出部81は、主スイッチング素子2がオフの間に対向スイッチング素子1の負側主端子(本実施形態ではエミッタ端子)の側から正側主端子(本実施形態ではコレクタ端子)の側に向かってを流れる電流を含む対向側測定対象電流の大きさを検出する。対向側測定対象電流は、還流ダイオード3を流れる電流に加え、対向スイッチング素子1および/または還流ダイオード4を流れる電流を含んでよい。検出部81は、検出結果を制御回路87に供給してよい。なお、本実施形態では後述のように、第1抵抗63を制御するために対向側測定対象電流が用いられる。
【0048】
ここで、本実施形態では一例として、検出部81は、誘導負荷106と直列に設けられた電流センサ810を用い、電源出力端子105に流れる電流を測定対象電流および対向側測定対象電流として測定する。電流センサ810はスイッチング電源装置200の外部に設けられてもよい。なお、測定対象電流を測定するための電流センサ810は他の位置に設けられてもよく、例えば電源出力端子105と負側電源線102との間の電流経路において主スイッチング素子2と直列に設けられてもよい。同様に、対向側対象電流を測定するための電流センサ810も他の位置に設けられてよく、例えば電源出力端子105と正側電源線101との間の電流経路において主スイッチング素子1と直列に設けられてもよいし、主スイッチング素子1のエミッタ端子およびコレクタ端子の間に還流ダイオード3と直列に設けられてもよい。
【0049】
検出部81は、主スイッチング素子2がオンの間における予め定められたタイミングで測定対象電流の大きさをサンプリングしてよい。例えば、検出部81は、主スイッチング素子2がオンである間のいずれのタイミングで測定対象電流をサンプリングしてもよいが、測定対象電流が安定するタイミングでサンプリングすることが好ましい。サンプリングタイミングは、主スイッチング素子2に対する制御信号に基づいて設定されてよく、例えば、主スイッチング素子2に対する制御信号の立ち上がりから一定時間の経過後に設定されてよい。一例として、サンプリングタイミングは、主スイッチング素子2が定常オン状態になっているはずのタイミングでよい。サンプリングタイミングは、主スイッチング素子2がターンオフ動作を開始していない限りにおいて、制御信号の立下りタイミングでもよい。
【0050】
検出部81は、主スイッチング素子2がオフの間(一例として対向スイッチング素子1がオンの間)における予め定められたタイミングで対向側測定対象電流の大きさをサンプリングしてよい。例えば、検出部81は、主スイッチング素子2がオフである間のいずれのタイミングで測定対象電流をサンプリングしてもよいが、対向側測定対象電流が安定するタイミングでサンプリングすることが好ましい。サンプリングタイミングは、主スイッチング素子2に対する制御信号に基づいて設定されてよく、例えば、主スイッチング素子2に対する制御信号の立ち下がりから一定時間の経過後に設定されてよい。一例として、サンプリングタイミングは、主スイッチング素子2が定常オフ状態になっているはずのタイミングでよい。サンプリングタイミングは、主スイッチング素子2の制御信号の立ち下がりからデッドタイムよりも長い一定時間の経過後に設定されてよい。
【0051】
[2-1-2.制御回路]
制御回路87は、制御回路67と同様に、入力される制御信号に応じて第1スイッチング素子65および第2スイッチング素子66を制御する。また、制御回路87は、第1抵抗63および第2抵抗64の抵抗値をそれぞれ変化させる。制御回路87は、主スイッチング素子2をスイッチングするときのスイッチング損失および/またはサージ電圧を改善するよう抵抗値を変化させてよい。一例として、制御回路87は、素子の破壊を防ぐ程度にサージ電圧を低減しつつ、スイッチング損失を増加させてよい。
【0052】
[2-1-2(1).第2抵抗の制御]
制御回路87は、主スイッチング素子2がオンの間に主スイッチング素子2を流れる電流を含んで測定された測定対象電流(一例として電源出力端子105に流れる電流)の大きさに応じて第2抵抗64の抵抗値を変化させてよい。例えば、制御回路87は、測定対象電流の大きさが第1の大きさと検出された場合に、測定対象電流の大きさが第1の大きさよりも小さい第2の大きさと検出された場合よりも第2抵抗64の抵抗値を大きく設定してよい。一例として、制御回路87は、測定対象電流が予め定められた範囲(一例として定格最大電流以下の範囲)内において大きくなるにしたがって、第2抵抗64の抵抗値を大きくする電圧を第2抵抗64に供給する。また、制御回路87は、検出部81により検出される測定対象電流を、第2抵抗64を制御するための電圧に変換して第2抵抗64に供給してよい。これにより、主スイッチング素子2をターンオフするときのサージ電圧が低減される。制御回路87は、今回のオン期間における第2抵抗64の抵抗値を、前回またはそれ以前のオン期間で測定された測定対象電流の大きさに応じて設定してよい。第2抵抗64の抵抗値を前回以前のオン期間で測定された測定対象電流の大きさに応じて設定するとは、例えば、前回以前のオン期間での測定対象電流の大きさの平均値、または重み付け平均値に基づいて抵抗値を設定することでよい。
【0053】
[2-1-2(2).第1抵抗の制御]
制御回路87は、対向スイッチング素子1のエミッタ端子の側からコレクタ端子の側に向かって流れる電流を含む対向側測定対象電流(一例として電源出力端子105に流れる電流)の大きさに応じて第1抵抗63の抵抗値を変化させてよい。例えば、制御回路87は、対向側測定対象電流の大きさが第3の大きさと検出された場合に、対向側測定対象電流の大きさが第3の大きさよりも小さい第4の大きさと検出された場合よりも第1抵抗63の抵抗値を小さく設定してよい。一例として、制御回路87は、対向側測定電流の大きさが予め定められた範囲(一例として定格最大電流以下の範囲)内において大きくなるにしたがって、第1抵抗63を小さくする電圧を第1抵抗63に供給する。また、制御回路87は、検出部81により検出される対向側測定対象電流を、第1抵抗63を制御するための電圧に変換して第1抵抗63に供給してよい。これにより、主スイッチング素子2のターンオン速度を速くしてターンオン損失を低減することができる。また、対向側測定対象電流の大きさが小さくなるに従って第1抵抗63の抵抗値を大きくすることにより、主スイッチング素子2のターンオン速度を遅くして還流ダイオード3のサージ電圧を低減することができる。制御回路67は、今回の主スイッチング素子2のオン期間における第1抵抗63の抵抗値を、前回またはそれ以前の対向スイッチング素子1の対向側測定対象電流の大きさに応じて設定してよい。
【0054】
[2-1-2(3).第1抵抗の制御]
制御回路87は、主スイッチング素子2を流れる電流を含む測定対象電流の大きさに応じて第1抵抗63の抵抗値を変化させてもよい。例えば、制御回路87は、測定対象電流の大きさが第3の大きさと検出された場合に、測定対象電流の大きさが第3の大きさよりも小さい第4の大きさと検出された場合よりも第1抵抗63の抵抗値を小さく設定してよい。一例として、制御回路87は、測定電流の大きさが予め定められた範囲(一例として定格最大電流以下の範囲)内において大きくなるにしたがって、第1抵抗63を小さくする電圧を第1抵抗63に供給する。また、制御回路87は、検出部81により検出される測定対象電流を、第1抵抗63を制御するための電圧に変換して第1抵抗63に供給してよい。これにより、主スイッチング素子2のターンオン速度を速くしてターンオン損失を低減することができる。また、測定対象電流の大きさが小さくなるに従って第1抵抗63の抵抗値を大きくすることにより、主スイッチング素子2のターンオン速度を遅くして還流ダイオード3のサージ電圧を低減することができる。制御回路67は、今回の主スイッチング素子2のオン期間における第1抵抗63の抵抗値を、前回またはそれ以前の対向スイッチング素子1の測定対象電流の大きさに応じて設定してよい。
【0055】
以上のスイッチング電源装置200によれば、制御回路87によって主スイッチング素子2を流れる電流を含む測定対象電流の大きさに応じて第2抵抗64の抵抗値を変化させるので、主スイッチング素子2をターンオフするときのスイッチング損失および/またはサージ電圧を改善することができる。また、制御回路87によって対向スイッチング素子1を流れる電流を含む対向側測定対象電流の大きさに応じて第1抵抗63を変化させるので、主スイッチング素子2をターンオンするときのスイッチング損失および/またはサージ電圧を改善することができる。よって、測定対象電流,対向側測定対象電流の大きさに応じて抵抗値を変化させるという簡易な構成で、スイッチング損失およびサージ電圧をバランスよく低減することができる。
【0056】
[3.スイッチング電源装置の特性]
続いて、スイッチング電源装置100,200の各部の特性について説明する。なお、ゲート駆動回路5,7の特性はゲート駆動回路6,8の特性と同様であるので、説明を省略する。また、主スイッチング素子1の特性は主スイッチング素子2の特性と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
図4は、第2抵抗64の抵抗値を一定とした場合の主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるサージ電圧と、出力電流値Icとの関係を示す。図中の縦軸は主スイッチング素子2のターンオフ時に主スイッチング素子2で生じるサージ電圧を示し、横軸は主スイッチング素子2がオンである期間に主スイッチング素子2を流れる電流を含む出力電流値Icを示す。なお、出力電流値Icは電流の瞬時値でよく、また、電源出力端子105から出力される電流値でよい。また、図中のVccは正側電源線101および負側電源線102の間に設定された電位差を示す。この図に示されるように、主スイッチング素子2がオンである期間の出力電流値Icが大きくなるほど、主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるサージ電圧は大きくなる。
【0058】
図5は、出力電流値Icの大きさを一定とした場合の主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるサージ電圧と、第2抵抗64の抵抗値との関係を示す。図中の縦軸は主スイッチング素子2のターンオフ時に主スイッチング素子2で生じるサージ電圧を示し、横軸は第2抵抗64の抵抗値を示す。この図に示されるように、第2抵抗64の抵抗値が大きくなるほど、主スイッチング素子2のターンオフ時におけるサージ電圧は小さくなる。よって、図4図5によれば、主スイッチング素子2がオンである期間の出力電流値Icが大きい場合には、主スイッチング素子2をターンオフするときのサージ電圧を抑制するのに第2抵抗64の抵抗値を大きくすることが有効であることが分かる。
【0059】
図6は、第1抵抗63の抵抗値を一定とした場合の還流ダイオード3の逆回復特性を示す。図中の縦軸は主スイッチング素子2のターンオン時に還流ダイオード3で生じるサージ電圧を示し、横軸は主スイッチング素子2のターンオン時における還流ダイオード3の電流を示す。この例では、主スイッチング素子2のターンオン時における還流ダイオード3の電流が小さい場合に、還流ダイオード3で生じるサージ電圧は大きくなる。特に、主スイッチング素子2のターンオン時における還流ダイオード3の電流が小さい場合であって、第1抵抗63の抵抗値が小さい場合に、主スイッチング素子2のターンオン時(還流ダイオード3の逆回復時)におけるサージ電圧は大きくなる。
【0060】
図7は、第1抵抗63,第2抵抗64の抵抗値を一定とした場合の主スイッチング素子2のオン期間の出力電流値Icと、主スイッチング素子2のスイッチング(ターンオン,ターンオフ)時に発生するスイッチング損失との関係を示す。図中の横軸は主スイッチング素子2がオンである期間の出力電流値Icを示し、縦軸はスイッチング損失を示す。また、図中の「Eon」はターンオン時に発生する損失を示し、「Eoff」はターンオフ時に発生する損失を示し、「Err」は逆回復損失を示す。この図に示されるように、主スイッチング素子2がオンである期間の出力電流値Icが大きいほど、スイッチング損失は大きくなる。
【0061】
図8は、主スイッチング素子2のオン期間の出力電流値Icを一定とした場合の第1抵抗63,第2抵抗64の抵抗値と、主スイッチング素子2のスイッチング(ターンオン,ターンオフ)時に発生するスイッチング損失との関係を示す。図中の横軸は第1抵抗63,第2抵抗64の抵抗値を示し、縦軸はスイッチング損失を示す。この図に示されるように、第1抵抗63,第2抵抗64の抵抗値が大きいほど、主スイッチング素子2のスイッチング時に主スイッチング素子2に発生する損失Eon、Eoffは大きくなる。一方、第1抵抗63の抵抗値が大きいほど、還流ダイオード3の逆回復損失Errは小さくなる。
【0062】
図9は、主スイッチング素子2のターンオフ時における電圧および電流を示す。図中、横軸は時間であり、縦軸は主スイッチング素子2の素子電圧または素子電流を示す。また、図中、「電圧(抵抗値小)」は第2抵抗64の抵抗値が小さい場合におけるターンオフ時のサージ電圧を示し、「電圧(抵抗値大)」は第2抵抗64の抵抗値が大きい場合におけるターンオフ時のサージ電圧を示す。この図に示されるように、第2抵抗64の抵抗値が小さい場合におけるターンオフ時のサージ電圧は、抵抗値が大きい場合におけるターンオフ時のサージ電圧よりも大きくなる。図中、「電流(抵抗値小)」は第2抵抗64の抵抗値が小さい場合における主スイッチング素子2の素子電流を示し、「電流(抵抗値大)」は抵抗値が大きい場合における素子電流を示す。この図に示されるように、第2抵抗64の抵抗値が小さい場合におけるスイッチングスピードは、抵抗値が大きい場合におけるスイッチングスピードよりも速くなる。
【0063】
図10は、主スイッチング素子2のターンオン時における電圧および電流を示す。図中、横軸は時間であり、縦軸は主スイッチング素子2の素子電圧または素子電流を示す。また、図中、「電圧(抵抗値小)」は第1抵抗63の抵抗値が小さい場合におけるターンオン時の電圧を示し、「電圧(抵抗値大)」は抵抗値が大きい場合におけるターンオン時の電圧を示す。また、図中、「電流(抵抗値小)」は第1抵抗63の抵抗値が小さい場合における主スイッチング素子2の素子電流を示し、「電流(抵抗値大)」は抵抗値が大きい場合における素子電流を示す。この図に示されるように、第1抵抗63の抵抗値が小さい場合におけるスイッチングスピードは、抵抗値が大きい場合におけるスイッチングスピードよりも速くなる。
【0064】
図11は、主スイッチング素子2のターンオン時における還流ダイオード3の逆回復時の電圧および電流を示す。図中、横軸は時間であり、縦軸は還流ダイオード3の素子電圧または素子電流を示す。また、図中、「電圧(抵抗値小)」は第1抵抗63の抵抗値が小さい場合に主スイッチング素子2がターンオンされたときの還流ダイオード3のサージ電圧を示し、「電圧(抵抗値大)」は抵抗値が大きい場合のサージ電圧を示す。この図に示されるように、第1抵抗63の抵抗値が小さい場合におけるターンオン時のサージ電圧は、抵抗値が大きい場合におけるサージ電圧よりも大きくなる。図中、「電流(抵抗値小)」は第1抵抗63の抵抗値が小さい場合に主スイッチング素子2がターンオンされたときの還流ダイオード3の逆回復電流を示し、「電流(抵抗値大)」は第1抵抗63の抵抗値が大きい場合における逆回復電流を示す。この図に示されるように、第1抵抗63の抵抗値が小さい場合における逆回復電流は、抵抗値が大きい場合における逆回復電流よりも大きくなる。
【0065】
図12は、オン期間の長さ(または測定対象電流の大きさ)と、第2抵抗64の抵抗値との関係を示す。図中、横軸は主スイッチング素子2のオン期間の長さ、または、オン期間の測定対象電流の大きさを示し、縦軸は第2抵抗64に設定される抵抗値を示す。この図に示されるように、オン期間が長くなるほど、または測定対象電流が大きくなるほど、第2抵抗64の抵抗値は大きく設定される。なお、この例では、オン期間の長さ(または測定対象電流の大きさ)が変化しても主スイッチング素子2がターンオフする時のサージ電圧が変化しないように第2抵抗64の抵抗値が設定されている。
【0066】
図13は、図12のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるサージ電圧を示す。図中、横軸は主スイッチング素子2のオン期間の長さ、または、オン期間の測定対象電流の大きさを示し、縦軸は主スイッチング素子2がターンオフされるときに生じるサージ電圧を示す。この図に示されるように、図12のように抵抗値が設定されることにより、オン期間の長さに関わらず、ターンオフ時のサージ電圧が一定に維持される。
【0067】
図14は、図12のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオフ時に生じるスイッチング損失を示す。図中、横軸は主スイッチング素子2のオン期間の長さ、または、オン期間の測定対象電流の大きさを示し、縦軸は主スイッチング素子2がターンオフされるときのスイッチング損失を示す。また、図中、「抵抗値固定」は第2抵抗64の抵抗値を一定値に維持した場合のスイッチング損失を示し、「抵抗値可変」は第2抵抗64の抵抗値を図12のように設定した場合のスイッチング損失を示す。この図に示されるように、図12のように抵抗値が設定される場合には、抵抗値を一定値に維持する場合と比較して、スイッチング損失が僅かにしか増加しない。
【0068】
図15は、主スイッチング素子2のオン期間の長さと、第1抵抗63の抵抗値との関係を示す。オン期間終了時に主スイッチング素子2に流れていた電流が還流ダイオード3に還流し、対向オン期間の間、還流ダイオード3に流れる。したがって、主スイッチング素子2のオン期間が長いと、主スイッチング素子2に流れる電流、ひいては還流ダイオード3に還流する電流も大きい。図中、横軸は主スイッチング素子2のオン期間の長さ(または対向オン期間の対向側測定対象電流の大きさ、またはオン期間の測定対象電流の大きさ)を示し、縦軸は第1抵抗63に設定される抵抗値を示す。この図に示されるように、オン期間が長くなるほど、第1抵抗63の抵抗値は小さく設定される。なお、この例では、オン期間の長さが変化しても主スイッチング素子2がターンオンして還流ダイオード3が逆回復する時のサージ電圧が変化しないように第1抵抗63の抵抗値が設定されている。
【0069】
図16は、図15のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオン時に還流ダイオード3で生じるサージ電圧を示す。図中、横軸は主スイッチング素子2のオン期間の長さ(または対向オン期間の対向側測定対象電流の大きさ、またはオン期間の測定対象電流の大きさ)を示し、縦軸は主スイッチング素子2がターンオンされるときに還流ダイオード3で生じるサージ電圧を示す。この図に示されるように、図15のように抵抗値が設定されることにより、オン期間の長さに関わらず、還流ダイオード3でのターンオン時のサージ電圧が一定に維持される。
【0070】
図17は、図15のように抵抗値が設定される場合に主スイッチング素子2のターンオン時に生じるスイッチング損失を示す。図中、横軸は主スイッチング素子2のオン期間の長さ(または対向オン期間の対向側測定対象電流の大きさ、またはオン期間の測定対象電流の大きさ)を示し、縦軸は主スイッチング素子2がターンオンされるときのスイッチング損失を示す。また、図中、「抵抗値固定」は第1抵抗63の抵抗値を一定値に維持した場合のスイッチング損失を示し、「抵抗値可変」は第1抵抗63の抵抗値を図15のように設定した場合のスイッチング損失を示す。この図に示されるように、図15のように抵抗値が設定される場合には、抵抗値を一定値に維持する場合と比較して、オン期間が長くなり対向側測定対象電流(還流ダイオード3に流れる電流)が大きくなる場合でのスイッチング損失が低減される。
【0071】
[3.変形例]
なお、上記の実施形態では、第1抵抗63および第2抵抗64をそれぞれ可変抵抗として説明したが、いずれか一方のみを可変抵抗としてもよい。この場合には、制御回路67,87は第1抵抗63および第2抵抗64のうち可変抵抗の抵抗値のみを変化させてよい。
【0072】
また、制御回路67,87は第1抵抗63および/または第2抵抗64の抵抗値を連続的に変化させることとして説明したが、1または複数の閾値を用いて段階的、離散的に変化させてもよい。一例として、制御回路67は、主スイッチング素子2のオン期間の長さが一の閾値よりも小さい場合に第2抵抗64の抵抗値を第1の抵抗値とし、オン期間の長さが当該一の閾値以上の場合に第2抵抗64の抵抗値を第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値としてよい。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0074】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0075】
1 主スイッチング素子、2 主スイッチング素子、3 還流ダイオード、4 還流ダイオード、5 ゲート駆動回路、6 ゲート駆動回路、7 ゲート駆動回路、8 ゲート駆動回路、61 第1電源、62 第2電源、63 第1抵抗、64 第2抵抗、65 第1スイッチング素子、66 第2スイッチング素子、67 制御回路、81 検出部、87 制御回路、100 スイッチング電源装置、101 正側電源線、102 負側電源線、105 電源出力端子、106 誘導負荷、200 スイッチング電源装置、810 電流センサ
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