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特許7095439情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/13 20190101AFI20220628BHJP
   G06F 16/182 20190101ALI20220628BHJP
   G06F 16/906 20190101ALI20220628BHJP
【FI】
G06F16/13 200
G06F16/182 100
G06F16/906
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018126363
(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公開番号】P2020008901
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 賢司
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-276488(JP,A)
【文献】特開2009-217499(JP,A)
【文献】特開2007-122180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
属性情報が付与された複数の要素を含む移行元の元情報、及び移行先の格納可能な要素数を表す制限情報を取得する取得部と、
前記元情報の各要素の前記属性情報を用いて前記要素を分類し、分類の単位を階層の単位として、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当するよう前記元情報の階層構造を生成する生成部と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記元情報は、階層化された各階層に前記属性情報が付与された複数の要素を含む階層構造を有する元情報であり、前記制限情報は、移行先の階層内に格納可能な要素数を表す制限情報である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記移行先の前記制限情報が表す要素数になるまで、前記元情報の階層構造を生成する請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、分類された中の要素数が少ない分類から階層を生成し、前記制限情報が表す要素の数になるまで階層を生成する請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記属性情報を分類する際の優先順位を設定する設定部を更に備え、
前記生成部が前記設定部によって設定された前記優先順位に従って階層構造を生成する請求項1~4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部が分類した分類結果を表示部に表示する表示制御を行う制御部を更に備え、
前記設定部が、前記優先順位を受け付ける受付部を含み、前記表示部に表示された分類結果の中の優先順位を前記受付部が受け付けた前記優先順位に設定する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、分類した前記属性情報を階層名として階層構造を生成する請求項1~6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、分類した前記属性情報の数の階層を作成しても、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当しない場合、更新日を階層の単位として階層構造を生成する請求項1~7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、更新日を階層の単位として階層構造を生成しても、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当しない場合、サブフォルダの階層を生成する請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記生成部は、サブフォルダの階層を生成しても、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当しない場合、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当するまで、サブフォルダの下にフォルダを生成する請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置の前記生成部によって生成された階層構造に従って前記元情報を格納する情報格納装置と、
を備えた情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1~10の何れか1項に記載の情報処理装置の各部として機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォルダツリーによって管理されている文書の管理を検索フォルダでの管理に変換する文書管理装置が提案されている。詳細には、文書管理装置は、変換元となるフォルダツリーの各階層に含まれる文書の属性を新たに定義し、フォルダツリーに属する各文書に対し、文書を格納する上位の階層のフォルダ名称を、定義された属性の属性値として付与する。そして、フォルダツリーを構成する各フォルダを、フォルダの名称を検索条件とし属性値が付与された文書の検索が可能な検索フォルダに変換している。
【0003】
また、特許文献2には、複数の物理ファイルを分類し、管理するファイル管理装置が提案されている。詳細には、ファイル管理装置は、複数の物理ファイルを分類するための仮想フォルダを生成するプログラムを実行するプロセッサと、複数の物理ファイルのメタデータを管理するためのメタデータ管理情報を格納する記憶装置と、を有している。ファイル管理装置の仮想フォルダは、複数の物理ファイル或いはそれらを格納する複数の物理フォルダが存在する場所とは無関係に、複数の物理ファイル及び物理フォルダのリンク情報を管理するための仮想的なフォルダである。そして、プロセッサは、メタデータ管理情報の複数のファイルのメタデータを構成する文字列から複数のキーワードを抽出し、当該抽出した各キーワードの出現頻度の情報を取得し、出現頻度が所定値以上のキーワードを用いて規定数分の仮想上位フォルダを生成する。また、仮想上位フォルダに対して用いたキーワードを含む別のキーワードを用いて、仮想上位フォルダに関連付けられる仮想下位フォルダを生成し、生成した仮想上位フォルダと仮想下位フォルダとの関係、及び仮想上位フォルダ及び仮想下位フォルダの内容を表示する仮想分類表示を出力する。
【0004】
また、特許文献3には、第1の文書管理システムで管理していたフォルダおよび文書に関するデータを、第2の文書管理システムに登録する情報処理装置が提案されている。詳細には、情報処理装置は、第1文書管理システムで管理していたフォルダを順に登録対象フォルダとし、当該登録対象フォルダがフォルダ階層の深さ制限値以内であるか否かを判定する。深さ制限値以内であると判定した場合は、当該登録対象フォルダを、第2文書管理システムのフォルダ階層において、第1文書管理システムで管理していたときのフォルダ階層に対応する位置へ登録する。一方、深さ制限値を超えていると判定した場合は、当該登録対象フォルダを、第2文書管理システムにおけるフォルダ階層の浅い階層へ登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-123022号公報
【文献】特許第551248号公報
【文献】特開2011-095997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報を他のシステムに移行する際に、移行先のシステムに格納可能な要素(例えば、フォルダやファイルなど)の数に制限があると移行できないことがあった。そこで、移行元の情報が移行先の制限に該当する場合であっても移行元の情報を移行先に移行することが可能な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の情報処理装置は、属性情報が付与された複数の要素を含む移行元の元情報、及び移行先の格納可能な要素数を表す制限情報を取得する取得部と、前記元情報の各要素の前記属性情報を用いて前記要素を分類し、分類の単位を階層の単位として、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当するよう前記元情報の階層構造を生成する生成部と、を含む。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記元情報は、階層化された各階層に前記属性情報が付与された複数の要素を含む階層構造を有する元情報であり、前記制限情報は、移行先の階層内に格納可能な要素数を表す制限情報である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記移行先の前記制限情報が表す要素数になるまで、前記元情報の階層構造を生成する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記生成部は、分類された中の要素数が少ない分類から階層を生成し、前記制限情報が表す要素の数になるまで階層を生成する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4の何れか1項に記載の発明において、前記属性情報を分類する際の優先順位を設定する設定部を更に備え、前記生成部が前記設定部によって設定された前記優先順位に従って階層構造を生成する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記生成部が分類した分類結果を前記表示部に表示する表示制御を行う制御部を更に備え、前記設定部が、前記優先順位を受け付ける受付部を含み、前記表示部に表示された分類結果の中の優先順位を前記受付部が受け付けた前記優先順位に設定する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6の何れか1項に記載の発明において、前記生成部は、分類した前記属性情報を階層名として階層構造を生成する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7の何れか1項に記載の発明において、前記生成部は、分類した前記属性情報の数の階層を作成しても、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当しない場合、更新日を階層の単位として階層構造を生成する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記生成部は、更新日を階層の単位として階層構造を生成しても、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当しない場合、サブフォルダの階層を生成する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記生成部は、サブフォルダの階層を生成しても、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当しない場合、前記移行先の前記制限情報が表す要素数に該当するまで、サブフォルダの下にフォルダを生成する。
【0017】
請求項11に記載の情報処理システムは、請求項1~10の何れか1項に記載の情報処理装置と、前記情報処理装置の前記生成部によって生成された階層構造に従って前記元情報を格納する情報格納装置と、を備える。
【0018】
請求項12に記載の情報処理プログラムは、コンピュータを、請求項1~10の何れか1項に記載の情報処理装置の各部として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の情報処理装置によれば、移行元の情報が移行先の制限に該当する場合であっても移行元の情報を移行先に移行することが可能な情報処理装置を提供できる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、階層構造を有する元情報の各階層内の要素数を、移行先の制限に合わせることが可能となる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、移行元の情報を移行先の制限となる要素数に合わせた階層構造にすることが可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、分類された要素数が多い分類から階層を生成するよりも早く移行先の制限となる要素数にすることが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、属性情報を分類する際の優先順位の設定をしない場合に比べて、利用者が希望する情報の管理体系にすることが可能となる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、表示された分類結果の中から利用者が優先順位を設定することが可能となる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、分類した属性情報以外を階層名として階層構造を生成する場合よりも、自然な階層名を付与できる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、分類した属性情報の数の階層を作成しても、移行先の制限情報が表す要素数に該当しない場合でも、移行先の制限情報が表す要素数に該当させることが可能となる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、更新日を階層の単位として階層構造を生成しても、移行先の制限情報が表す要素数に該当しない場合でも、移行先の制限情報が表す要素数に該当させることが可能となる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、サブフォルダの階層を生成しても、移行先の制限情報が表す要素数に該当しない場合でも、移行先の制限情報が表す要素数に該当させることが可能となる。
【0029】
請求項11に記載の情報処理システムによれば、移行元の情報が移行先の制限に該当する場合であっても移行元の情報を移行先に移行することが可能な情報処理システムを提供できる。
【0030】
請求項12に記載の情報処理プログラムによれば、移行元の情報が移行先の制限に該当する場合であっても移行元の情報を移行先に移行することが可能な情報処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る情報処理システムにおける情報処理装置及びクラウドサーバの電気系の要部構成を示すブロック図である。
図3】移行元の情報処理装置、移行先のクラウドサーバ、または、通信回線に接続された他の情報処理装置でデータ移行処理を行う場合の何れかの装置が備える移行処理実行機能を示す機能ブロック図である。
図4】本実施形態に係る情報処理システムにおける移行処理実行部で行われるデータ移行処理の具体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】移行元のデータの項目例を示す図である。
図6】移行元エクスポートデータの一例(1ページ目)を示す図である。
図7】移行元エクスポートデータの一例(2ページ目)を示す図である。
図8】移行元及び移行先の制限情報の一例を示す図である。
図9】移行元エクスポートデータに対して階層1及び階層2をそれぞれ属性情報として付与した例(1ページ目)を示す図である。
図10】移行元エクスポートデータに対して階層1及び階層2をそれぞれ属性情報として付与した例(2ページ目)を示す図である。
図11】エクスポート判断機能によって抽出された属性情報の分類数を抽出した結果を示す図である。
図12】(A)は文書種類の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図であり、(B)はバージョンの属性情報の個数をリストアップした結果を示す図である。
図13】(A)は文書種類の階層を作成した後にバージョンの属性情報の個数をリストアップした結果を示す図であり、(B)はバージョンの階層を作成した後に文書種類の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図である。
図14】文書種類の階層の下にバージョンの階層を作成した後に属性1の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図である。
図15】バージョンの階層の下に文書種類の階層を作成した後に属性1の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図である。
図16】属性優先度設定機能による優先度の設定例を示す図である。
図17】文書種類をバージョンより優先して階層を作成した結果の一例を示す図である。
図18】本実施形態に係る情報処理システムにおける移行処理実行部で行われるデータ移行処理において、抽出した属性情報について全て階層を作成しても制限を満たさなかった場合の具体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本実施形態の一例を詳細に説明する。本実施形態では、複数の情報処理装置、及びサーバが各種ネットワーク等の通信回線を介して各々接続された情報処理システムを一例として説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム10の概略構成を示す図である。
【0033】
本実施形態に係る情報処理システム10は、図1に示すように、複数の情報処理装置14a、14b、・・・と、クラウドサーバ16とを備えている。なお、情報処理装置14a、14b・・・を区別して説明する必要がない場合は、符号末尾のアルファベットを省略して記載することがある。また、本実施形態では、複数の情報処理装置14a、14b、・・・を備える例を説明するが、情報処理装置14は1つでもよい。
【0034】
各情報処理装置14及びクラウドサーバ16は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、イントラネット等の通信回線12を介して各々接続されている。そして、情報処理装置14及びクラウドサーバの各々は、通信回線12を介して各種データの送受信を相互に行うことが可能とされている。
【0035】
本実施形態に係る情報処理システム10は、クラウドサーバ16が、クラウドサービスとして文書を管理する文書管理サービスを提供する。文書管理サービスは、例えば、情報処理装置14からクラウドサーバ16にアクセスすることにより、クラウドサーバ16に情報としての各種文書を格納したり、クラウドサーバ16に格納された管理対象の文書の閲覧等が可能とされている。
【0036】
続いて、本実施形態に係る情報処理装置14及びクラウドサーバ16の電気系の要部構成について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理システム10における情報処理装置14及びクラウドサーバ16の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、情報処理装置14及びクラウドサーバ16は基本的には一般的なコンピュータの構成とされているので、情報処理装置14を代表して説明する。
【0037】
本実施の形態に係る情報処理装置14は、図2に示すように、CPU14A、ROM14B、RAM14C、HDD14D、キーボード14E、ディスプレイ14F、及び通信回線IF(インタフェース)部14Gを備えている。CPU14Aは、情報処理装置14の全体の動作を司る。ROM14Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM14Cは、CPU14Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。HDD14Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。キーボード14Eは各種の情報を入力するために用いられる。ディスプレイ14Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線IF部14Gは、通信回線12に接続され、当該通信回線12に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上の情報処理装置14の各部はシステムバス14Hにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施の形態に係る情報処理装置14では、HDD14Dを記憶部として適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の他の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0038】
以上の構成により、本実施の形態に係る情報処理装置14は、CPU14Aにより、ROM14B、RAM14C、及びHDD14Dに対するアクセス、キーボード14Eを介した各種データの取得、ディスプレイ14Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、情報処理装置14は、CPU14Aにより、通信回線IF部14Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0039】
このように構成された本実施形態に係る情報処理システム10では、上述したように、クラウドサーバ16が、クラウドサービスとして文書を管理する文書管理サービスを提供する。例えば、情報処理装置14に格納された情報を管理対象の文書としてクラウドサーバ16に移行することで、クラウドサーバ16によって文書の管理が行われる。
【0040】
ところが、移行元の文書を移行する際に、移行先の制限として、移行先のシステムに格納可能な要素の数に制限が設けられていることがある。例えば、フォルダに含められる要素(例えば、フォルダやファイルなど)の数に制限が設けられていることがある。一方、情報処理装置14などにおけるローカルの環境では、フォルダに含められる要素の数に制限がない。情報処理装置14のフォルダに、移行先の制限数を超える要素が含まれている場合に、クラウドサーバ16へ移行しようとすると、制限数を超えて移行できない。
【0041】
そこで、本実施形態では、移行元の要素数が移行先の制限に該当する場合に、移行先の制限に合わせて情報を移行するデータ移行処理を行う。なお、データ移行処理は、移行元の情報処理装置14、移行先のクラウドサーバ16、または、通信回線12に接続された他の情報処理装置の何れかで行う。
【0042】
続いて、データ移行処理の詳細について説明する。図3は、移行元の情報処理装置14、移行先のクラウドサーバ16、または、通信回線12に接続された他の情報処理装置でデータ移行処理を行う場合の何れかの装置が備える移行処理実行機能を示す機能ブロック図である。
【0043】
データ移行処理は、移行処理実行部22によって行われる。すなわち、移行元の情報処理装置14、移行先のクラウドサーバ16、または、通信回線12に接続された他の情報処理装置が移行処理実行部22として機能する。
【0044】
移行処理実行部22は、図3に示すように、制限情報設定機能24、階層データ分析機能26、エクスポート判断機能28、及び属性優先度設定機能30を含む。なお、階層データ分析機能26及びエクスポート判断機能28は取得部に対応し、エクスポート判断機能28は生成部に対応する。また、属性優先度設定機能30は設定部に対応する。
【0045】
制限情報設定機能24は、移行元及び移行先の各々のシステムの制限情報を設定する。本実施形態では、移行元及び移行先のそれぞれのシステムの同一階層の要素数を設定する。なお、制限情報設定機能24による制限情報の設定は、入力画面に従って利用者が操作することによって設定する形態としてもよい。或いは、双方のシステムから制限情報を取得して設定する形態としてもよい。
【0046】
階層データ分析機能26は、移行元エクスポートデータ20を分析し、移行元エクスポートデータ20から属性情報を階層毎に抽出する。例えば、同一属性が無いかを判断することにより、データ移行先の文書管理体系の選択肢を増やす。また、階層データ分析機能26は、移行元エクスポートデータ20の中の階層を属性情報として付与する。なお、移行元エクスポートデータ20は、移行元システムから取得する。具体的には、移行元システムのエクスポート機能により、移行元の情報をエクスポートすることにより移行対象の情報を移行元エクスポートデータ20として出力する。例えば、情報処理装置14からクラウドサーバ16に情報を移行する際には、情報処理装置14が、移行対象の情報を移行元エクスポートデータ20として出力する。
【0047】
エクスポート判断機能28は、階層データ分析機能26の分析によって属性情報として階層が付与された移行元エクスポートデータ20内の要素を、属性情報を用いて分類し、属性情報の分類数を抽出する。そして、分類数が少ない属性情報から階層を作成し、制限情報設定機能24によって設定された制限に該当する階層になるまで階層を作成する。すなわち、分類数の少ない属性を1階層目とし、次に少ない属性を2階層目として順次作成し、制限情報設定機能24により設定された値よりも少なくなる要素数になるまで階層を作成する。
【0048】
属性優先度設定機能30は、エクスポート判断機能28において階層を生成する際の属性情報の優先度を設定する。すなわち、優先度を設定することにより、移行先の文書管理体系に使われる優先順位を変更する。これにより、利用者が希望する文書管理体系が表現される。なお、属性優先度設定機能30は、属性情報を分類する際の優先順位を受け付ける受付部を含んでも良い。例えば、属性優先度設定機能30による優先度の設定は、移行処理実行部22が設けられた装置の操作部(キーボード14E、16E等)を受付部として入力画面に従って利用者が操作することによって設定する形態としてもよい。或いは、予め定めた優先度を移行元のシステムや通信回線12に接続された情報処理装置14から取得する形態としてもよい。
【0049】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る情報処理システム10において行われるデータ移行処理の具体的な処理について説明する。図4は、本実施形態に係る情報処理システム10における移行処理実行部22で行われるデータ移行処理の具体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、移行元の情報処理装置14、移行先のクラウドサーバ16、または、通信回線12に接続された他の情報処理装置の何れかで行われるものとする。
【0050】
ステップ100では、階層データ分析機能26が、移行元のエクスポート機能18によってエクスポートされた移行元エクスポートデータ20を取得してステップ102へ移行する。
【0051】
ステップ102では、エクスポート判断機能28が、制限情報設定機能24によって設定された移行先及び移行元の制限情報としての同一階層の要素数を取得してステップ104へ移行する。
【0052】
ステップ104では、階層データ分析機能26が、移行元エクスポートデータ20の中の階層を属性情報として付与してステップ106へ移行する。
【0053】
ステップ106では、エクスポート判断機能28が、階層データ分析機能26によって分析よって属性情報として階層が付与された移行元エクスポートデータ20を属性情報を用いて分類して、属性分類数を抽出してステップ108へ移行する。
【0054】
ステップ108では、エクスポート判断機能28が、エクスポート判断機能28において階層を生成する際の属性情報の優先度の設定があるか否かを判定する。該判定は、属性優先度設定機能30により、エクスポート判断機能28において階層を生成する際の属性情報の優先度が設定されているか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ110へ移行し、肯定された場合にはステップ112へ移行する。
【0055】
ステップ110では、エクスポート判断機能28が、階層データ分析機能26によって分析された属性情報の分類数に基づいて階層を生成して一連のデータ変換処理を終了する。すなわち、分類数の少ない属性情報を1階層目とし、次に少ない属性情報を2階層目として順次作成し、制限情報設定機能24により設定された値よりも少なくなる要素数になるまで階層を作成する。
【0056】
一方、ステップ112では、エクスポート判断機能28が、属性優先度設定機能30によって設定された優先度に応じて階層を生成して一連の処理を終了する。すなわち、設定された属性情報の優先度に従って階層を作成する。そして、分類数の少ない属性情報を1階層目とし、次に少ない属性情報を2階層目として順次作成し、制限情報設定機能24により設定された値よりも少なくなる要素数になるまで階層を作成する。
【0057】
次に、上述の移行処理実行部22で行われるデータ移行処理を具体的な例を挙げて説明する。移行元のデータが図5に示す条件である例を用いて説明する。図5は、移行元のデータの項目例を示す図である。また、図6は、移行元エクスポートデータ20の一例(1ページ目)を示す図であり、図7は、移行元エクスポートデータ20の一例(2ページ目)を示す図である。
【0058】
移行元のデータは、図5に示すように、項目として、ファイル名、階層、機能、文書種類、バージョン、及び更新日を有する。具体的には、図6、7に示すように、114のファイルを有する。
【0059】
データ移行処理では、階層データ分析機能26が、図6、7に示す114のファイルを移行元エクスポートデータ20として取得する。
【0060】
また、ここで、制限情報設定機能24が、図8に示す内容の制限情報を設定した場合を説明する。すなわち、移行元のシステムは同一階層の要素数に制限がなく、移行先のシステムは、同一階層の要素数の制限が20とされている。
【0061】
次に、階層データ分析機能26は、移行元エクスポートデータ20を分析し、移行元エクスポートデータ20から属性情報を階層毎に抽出する。また、階層データ分析機能26は、移行元エクスポートデータ20の中の階層を属性情報として付与する。図9、10は、各ファイルが属する階層を属性情報として付与した例を示す。具体的には、図9は、移行元エクスポートデータ20に対して階層1及び階層2をそれぞれ属性情報として付与した例(1ページ目)を示す図であり、図10は、移行元エクスポートデータ20に対して階層1及び階層2をそれぞれ属性情報として付与した例(2ページ目)を示す図である。
【0062】
また、 エクスポート判断機能28は、階層データ分析機能26の分析よって属性情報として階層が付与された移行元エクスポートデータ20から属性情報を分類して、属性情報の分類数を抽出する。図11は、エクスポート判断機能28によって抽出された属性情報の分類数を抽出した結果を示す図である。すなわち、図11に示すように、属性情報の分類数としては、ファイル数(ID)が114、ファイル名が106、階層が8、機能が13、文書種類及びバージョンが4、更新日が98、更新日(年月)が14、階層1が5、階層2が6とされている。
【0063】
続いて、上述したように、エクスポート判断機能28が、分類数が少ない属性情報から階層を作成し、制限情報設定機能24によって設定された制限に該当する階層になるまで階層を作成する。具体的には、図12に示すように、分類数が少ない属性情報が、文書種類及びバージョンがそれぞれ4であるので、それぞれについて属性情報毎の個数をリストアップする。図12(A)は、文書種類の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図であり、図12(B)は、バージョンの属性情報の個数をリストアップした結果を示す図である。図12(A)、(B)に示すように、それぞれ制限数の20を満たしていないので、次に多い属性情報の個数をリストアップする。図13(A)は、文書種類の階層を作成した後にバージョンの属性情報の個数をリストアップした結果を示す図であり、図13(B)は、バージョンの階層を作成した後に文書種類の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図である。図13(A)、(B)に示すように、それぞれ未だ制限数の20を満たしていないので、次に多い属性情報の個数をリストアップする。図14は、文書種類の階層の下にバージョンの階層を作成した後に属性1の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図であり、図15は、バージョンの階層の下に文書種類の階層を作成した後に属性1の属性情報の個数をリストアップした結果を示す図である。このようにして順次階層を作成して、制限数の20を満たすまで階層を作成することにより、移行先の制限に合わせたデータ変換処理が行われる。
【0064】
図16は、属性優先度設定機能30による優先度の設定例を示す図である。エクスポート判断機能28が階層を作成する際に設定に従った属性情報を優先して階層を作成する。図16の例では、文書種類をバージョンより優先する例を示す。また、図17は、文書種類をバージョンより優先して階層を作成した結果の一例を示す図である。
【0065】
続いて、抽出した属性について全て階層を作成しても制限を満たさなかった場合の移行処理実行部22で行われるデータ変換処理について説明する。図18は、本実施形態に係る情報処理システム10における移行処理実行部で行われるデータ移行処理において、抽出した属性情報について全て階層を作成しても制限を満たさなかった場合の具体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
ステップ200では、エクスポート判断機能28が、更新日フォルダを付与してステップ202へ移行する。
【0067】
ステップ202では、エクスポート判断機能28が、制限値の条件を満たせないか否かを判定する。制限値の条件を満たせず判定が肯定されるとステップ204へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0068】
ステップ204では、エクスポート判断機能28が、サブフォルダn(nは自然数)を付与してステップ206へ移行する。
【0069】
ステップ206では、エクスポート判断機能28が、制限値の条件を満たせないか否かを判定する。制限値の条件を満たせず判定が肯定されるとステップ208へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0070】
ステップ208では、エクスポート判断機能28が、nをn+1としてステップ204へ戻って上述の処理を繰り返す。すなわち、制限値の条件を満たすまでサブフォルダnを付与する。
【0071】
なお、上記の実施形態では、情報処理装置14に格納された情報をクラウドサーバ16に移行する場合を一例として説明したが、これに限るものではない。例えば、クラウドサーバ16に格納された情報を他のクラウドサーバ16に移行する場合を適用してもよい。
【0072】
また、上記の実施形態に係る情報処理システム10で行われるデータ移行処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、これらの各処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0073】
また、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
10 情報処理システム
12 通信回線
14 情報処理装置
16 クラウドサーバ
18 エクスポート機能
20 移行元エクスポートデータ
22 移行処理実行部
24 制限情報設定機能
26 階層データ分析機能
28 エクスポート判断機能
30 属性優先度設定機能
図1
図2
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