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特許7095472画像形成装置、コンピュータウイルスのスキャン方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、コンピュータウイルスのスキャン方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/56 20130101AFI20220628BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G06F21/56 340
H04N1/00 127B
H04N1/00 838
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018146850
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020021404
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】原田 裕典
(72)【発明者】
【氏名】澤柳 一美
(72)【発明者】
【氏名】南 猛
(72)【発明者】
【氏名】崎山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松原 賢士
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-343836(JP,A)
【文献】特開2011-039599(JP,A)
【文献】国際公開第2007/013176(WO,A1)
【文献】特開2000-029799(JP,A)
【文献】特開2006-277633(JP,A)
【文献】特開2005-293117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/56
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを端末装置から受信する画像形成装置であって、
前記データがコンピュータウイルスに感染しているか否かを判別するスキャンのための、当該画像形成装置によって使用される第一の定義データ、および、当該スキャンのための、前記端末装置によって使用される第二の定義データ、のいずれが、より新しいコンピュータウイルスに対応する新定義データであるかを判別する、判別手段と、
前記第一の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記データに対して前記スキャンを行う、スキャン手段と、
前記第二の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記端末装置に対して、前記スキャンが行われた前記データを要求する、データ要求手段と、
を有することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記データ要求手段は、前記第二の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記データが生成された時期および当該データが最後に編集された時期のいずれか後の時期よりも前記端末装置が当該データに対して前記スキャンを行った時期のほうが前であったときに、当該スキャンが行われた当該データを要求する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判別手段は、当該画像形成装置が前記データを前記端末装置から受信した際に、前記第一の定義データおよび前記第二の定義データのいずれが前記新定義データであるかを判別する、
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記端末装置に前記第二の定義データを更新する指令を与える、指令手段を有する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第二の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記第一の定義データを更新する、更新手段を有する、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第二の定義データが対応するコンピュータウイルスの新しさを示す端末定義バージョンを取得する、取得手段、を有し、
前記判別手段が、前記第一の定義データが対応するコンピュータウイルスの新しさを示すMFP定義バージョン、および、取得した前記端末定義バージョンに基づいて、当該第一の定義データおよび前記第二の定義データのいずれが前記新定義データであるかを判別する、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記MFP定義バージョンを記憶する記憶手段を有し、
前記取得手段は、前記端末定義バージョンを前記端末装置から取得する、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記データを取得する際に前記端末定義バージョンを取得する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
データを端末装置から受信し、
前記データがコンピュータウイルスに感染しているか否かを判別するスキャンのための第一の定義データを記憶し、
前記第一の定義データ、および、前記スキャンのための、前記端末装置に記憶されている第二の定義データ、のいずれが、より新しいコンピュータウイルスに対応する新定義データであるかを判別し、
前記第一の定義データが前記新定義データであると判別した場合に、前記データに対して前記スキャンを行い、
前記第二の定義データが前記新定義データであると判別した場合に、前記端末装置に対して、前記スキャンが行われた前記データを要求する、
ことを特徴とするコンピュータウイルスのスキャン方法。
【請求項10】
データを端末装置から受信する画像形成装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記データがコンピュータウイルスに感染しているか否かを判別するスキャンのための、当該画像形成装置によって使用される第一の定義データ、および、当該スキャンのための、前記端末装置によって使用される第二の定義データ、のいずれが、より新しいコンピュータウイルスに対応する新定義データであるかを判別する処理を実行させ、
前記第一の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記データに対して前記スキャンを行う処理を実行させ、
前記第二の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記端末装置に対して、前記スキャンが行われた前記データを要求する処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データがウイルスに感染しているか否かをチェックする画像形成装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー、スキャン、ファックス、およびボックスなどの様々な機能を備えた画像形成装置が普及している。このような画像形成装置は「MFP(Multi Function Peripherals)」と呼ばれることがある。
【0003】
画像形成装置は、例えば、外部の装置からデータ(ファイル)を受信し、そのデータに基づいてジョブを実行できる。
【0004】
画像形成装置が外部の装置から受信するデータは、コンピュータウイルス(以下、「ウイルス」と記載する。)に感染している場合がある。そのため、画像形成装置は、受信したデータがウイルスに感染していないことのチェック(以下、「スキャン」と記載する。)を、そのデータを対象としたジョブを実行するときに行うことがある。以下、このようなスキャンを「リアルタイムスキャン」と記載する。
【0005】
しかし、リアルタイムスキャンを行うと、リアルタイムスキャンを行わない場合と比べて、ジョブを実行するときの画像形成装置の負荷が大きくなることがある。
【0006】
以下の特許文献には、状況に応じてスキャンを行いまたは行わないようにする発明が、開示されている。
【0007】
特許文献1に記載のコンピュータウイルスの検出方法において、ウイルスチェックデータを更新する際、更新前ウイルスチェックデータと追加ウイルスチェックデータとを区別して記憶し、更新後チェック済データに対しては、ウイルスチェックを実行しない。また、更新前チェック済データに対しては、追加ウイルスチェックデータのみを使用してウイルスチェックを実行し、未チェックデータに対しては、更新前ウイルスチェックデータおよび追加ウイルスチェックデータを使用してウイルスチェックを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-34623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の発明は、スキャンのための定義データが更新されてからスキャンが行われていないデータに対して、スキャンを行う。そのため、ジョブを実行するときの画像形成装置の負荷を軽減できないことがある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑み、外部の装置からデータを受信して、そのデータを対象としたジョブを実行するときにコンピュータウイルスのスキャンを行う(つまりリアルタイムスキャンを行う)画像形成装置において、ジョブを実行するときの負荷を従来よりも軽減することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、データを端末装置から受信する画像形成装置であって、前記データがコンピュータウイルスに感染しているか否かを判別するスキャンのための、当該画像形成装置によって使用される第一の定義データ、および、当該スキャンのための、前記端末装置によって使用される第二の定義データ、のいずれが、より新しいコンピュータウイルスに対応する新定義データであるかを判別する、判別手段と、前記第一の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記データに対して前記スキャンを行う、スキャン手段と、前記第二の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記端末装置に対して、前記スキャンが行われた前記データを要求する、データ要求手段と、を有する。
【0012】
好ましくは、前記データ要求手段は、前記第二の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記データが生成された時期および当該データが最後に編集された時期のいずれか後の時期よりも前記端末装置が当該データに対して前記スキャンを行った時期のほうが前であったときに、当該スキャンが行われた当該データを要求する。
【0013】
好ましくは、前記判別手段は、当該画像形成装置が前記データを前記端末装置から受信した際に、前記第一の定義データおよび前記第二の定義データのいずれが前記新定義データであるかを判別する。
【0014】
または、前記第一の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記端末装置に前記第二の定義データを更新する指令を与える、指令手段を有する。
【0015】
または、前記第二の定義データが前記新定義データであると判別された場合に、前記第一の定義データを更新する、更新手段を有する。
【0016】
または、前記第二の定義データが対応するコンピュータウイルスの新しさを示す端末定義バージョンを取得する、取得手段、を有し、前記判別手段が、前記第一の定義データが対応するコンピュータウイルスの新しさを示すMFP定義バージョン、および、取得した前記端末定義バージョンに基づいて、当該第一の定義データおよび前記第二の定義データのいずれが前記新定義データであるかを判別する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、外部の装置からデータを受信して、そのデータを対象としたジョブを実行するときにコンピュータウイルスのスキャンを行う画像形成装置において、ジョブを実行するときの負荷を従来よりも軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】スキャンシステムの全体の例を示す図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図3】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
図4】端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図5】端末装置の機能的構成の例を示す図である。
図6】状況データの例を示す図である。
図7】状況データの他の例を示す図である。
図8】スキャンシステムの全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。
図9】スキャンシステムの全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1はスキャンシステム100の全体の例を示す図である。図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。図4は端末装置2のハードウェア構成の例を示す図である。図5は端末装置2の機能的構成の例を示す図である。
【0020】
図1に示すスキャンシステム100は、画像形成装置1、複数台の端末装置2A、2B、…、定義ファイル管理サーバ3、ウイルス管理サーバ4、および通信回線5などによって構成されている。以下、端末装置2A、2B、…を「端末装置2」と総称する。
【0021】
スキャンシステム100において、画像形成装置1は、その画像形成装置1に記憶されているデータに対して、そのデータがコンピュータウイルス(以下、「ウイルス」と記載する。)に感染しているかどうかのチェック(以下、「スキャン」と記載する。)を行う。
【0022】
画像形成装置1は、端末装置2から文書または写真などの画像の画像ファイル6Aを受信すると、その画像ファイル6Aに対して画像形成装置1自身がスキャンを行うか否かを、ウイルス管理サーバ4から受信した状況データ6Bに基づいて判別する。状況データ6Bの詳細は後に説明する。
【0023】
そして、画像形成装置1は、スキャンを行うと判別すると、定義ファイル管理サーバ3から受信した定義ファイル6Cに基づいて画像ファイル6Aに対してスキャンを行う。行わないと判別すると、端末装置2によってスキャンが行われた画像ファイル6Aを、端末装置2に要求する。定義ファイル6Cの詳細は後に説明する。
【0024】
画像形成装置1、端末装置2、定義ファイル管理サーバ3、およびウイルス管理サーバ4は、通信回線5を介して互いに通信することができる。通信回線5として、LAN(Local Area Network)回線、インターネット、公衆回線、または専用回線などが用いられる。
【0025】
図1に示す画像形成装置1は、コピー、PCプリント、ファックス、スキャナ、およびボックスなどの機能を集約した装置である。一般に、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることがある。
【0026】
PCプリント機能は、端末装置2から受信した画像ファイル6Aに基づいて、画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンティング」または「ネットワークプリント」などと呼ばれることもある。
【0027】
ボックス機能は、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザが自分の記憶領域によって画像ファイルなどを保存し管理するための機能である。グループごとにボックスを設けておき、グループのメンバで共用することもできる。ボックスは、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。
【0028】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、タッチパネルディスプレイ10e、操作キーパネル10f、NIC(Network Interface Card)10g、無線LAN通信ユニット10h、モデム10i、スキャンユニット10j、およびプリントユニット10kなどによって構成される。
【0029】
CPU10aは、画像形成装置1のメインCPUである。RAM10bは、画像形成装置1のメインメモリである。
【0030】
タッチパネルディスプレイ10eは、ユーザに対するメッセージを示す画面、ユーザがコマンドまたは情報を入力するための画面、およびCPU10aが実行した処理の結果を示す画面などを表示する。さらに、タッチされた位置を示す信号をCPU10aへ送る。
【0031】
操作キーパネル10fは、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
【0032】
NIC10gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで他の装置との通信を行う。
【0033】
無線LAN通信ユニット10hは、無線LANの規格、つまり、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11の規格に基づいて他の装置と通信を行う。
【0034】
モデム10iは、ファックスとの間で、G3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
【0035】
スキャンユニット10jは、ADF(Auto Document Feeder)またはプラテンガラスの上にセットされた原稿に記されている画像を読み取って画像ファイルを生成する。
【0036】
プリントユニット10kは、スキャンユニット10jによって読み取られた画像のほか、NIC10gによって他の装置から受信した画像ファイルに示される画像を用紙に印刷する。
【0037】
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、上述のコピーなどの機能を実現するためのアプリケーションが記憶されている。また、MFPスキャンプログラム10P(図3参照)が記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。
【0038】
MFPスキャンプログラム10Pは、主に、端末装置2から受信した画像ファイル6Aに対して定義ファイル6Cに基づいてスキャンを行うプログラムである。MFPスキャンプログラム10Pの詳細については、後に説明する。
【0039】
MFPスキャンプログラム10Pによると、図3の定義ファイルデータベース101~画像ファイル記憶部109が画像形成装置1に実現される。
【0040】
図1に戻り、端末装置2は、文書などを作成する装置である。端末装置2として、ノート型パソコン、ファックス、スマートフォン、またはタブレットコンピュータなどが用いられる。以下、端末装置2として、ノート型パソコンが用いられる場合を例に説明する。
【0041】
端末装置2は、図4に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、補助記憶装置20d、NIC20e、無線LAN通信ユニット20f、および入力デバイス20gなどによって構成される。
【0042】
入力デバイス20gは、ユーザの操作を受け付けて、受け付けた操作の内容を示す信号をCPU20aへ送る。入力デバイス20gとして、キーボードまたはポインティングデバイスなどが用いられる。
【0043】
ROM20cまたは補助記憶装置20dには、ワープロソフト、描画ソフトまたはウェブブラウザなどのアプリケーションなどが記憶されている。また、端末スキャンプログラム20P(図5参照)が記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによって実行される。
【0044】
端末スキャンプログラム20Pは、主に、画像ファイル6Aに対して定義ファイル6Cに基づいてスキャンを行うプログラムである。端末スキャンプログラム20Pの詳細については、後に説明する。
【0045】
端末スキャンプログラム20Pによると、図5の定義ファイルデータベース201~ファイル再送部205が端末装置2に実現される。
【0046】
図1に戻り、定義ファイル管理サーバ3は、次のような動作を行う装置である。すなわち、新たなウイルスが発見されるたびに、そのウイルスのパターンを示す定義ファイル6Cを生成して記憶する。定義ファイル6Cを画像形成装置1および端末装置2に送信する。
【0047】
定義ファイル6Cには、生成された順に「1」、「2」、「3」、…というバージョンが付けられている。例えば、バージョンが「3」である定義ファイル6Cは、バージョンが「1」である定義ファイル6Cよりも、新しいウイルスに対応している。
【0048】
ウイルス管理サーバ4は、状況データ6Bを生成して記憶し、また、状況データ6Bを画像形成装置1に送信する装置である。
【0049】
定義ファイル管理サーバ3およびウイルス管理サーバ4として、ウイルスの対策のサービスを行っている既存のサーバを用いてもよい。
【0050】
図6は、状況データ6Bの例を示す図である。図7は、状況データ6Bの他の例を示す図である。
【0051】
以下、図3の定義ファイルデータベース101~画像ファイル記憶部109の動作および図5の定義ファイルデータベース201~ファイル再送部205の動作を、画像形成装置1が定義ファイル6Cを要求する場合、および、画像形成装置1がPCプリントのジョブを実行するように指示された場合を例に、図6、7を参照しながら説明する。
【0052】
画像形成装置1の定義ファイルデータベース101(図3参照)には、定義ファイル61Cおよびそのバージョンが記憶されている。定義ファイル61Cには、画像形成装置1が定義ファイル管理サーバ3から以前に受信した定義ファイル6Cに示されるパターンが、集約されている。定義ファイル61Cのバージョンは、画像形成装置1が最後に受信した定義ファイル6Cのバージョンである。
【0053】
定義更新部102は、定期的に(例えば、毎日午前0時)またはユーザの指示に基づいて、定義ファイル管理サーバ3に対して定義ファイル6Cを要求する。併せて、定義ファイル61Cのバージョンを通知する。
【0054】
定義ファイル管理サーバ3は、画像形成装置1から通知された定義ファイル61Cのバージョンよりも新しいバージョンの定義ファイル6Cを、画像形成装置1に送信する。このような定義ファイル6Cが複数あれば、これらの定義ファイル6Cをすべて送信する。
【0055】
定義更新部102は、定義ファイル6Cを受信すると、定義ファイル6Cに示されるパターンを定義ファイル61Cに追加することで、定義ファイル61Cを更新する。このとき、定義ファイル61Cのバージョンを、受信した定義ファイル6Cのバージョンに変更(つまり上書き)する。定義ファイル6Cを複数、受信したときは、最も新しい定義ファイル6Cのバージョンに変更する。定義ファイル61Cを更新した日およびバージョンを、ウイルス管理サーバ4に通知する。
【0056】
ウイルス管理サーバ4は、状況データ6Bを、定義ファイル6Cに基づいてスキャンを行う装置ごとにつまり画像形成装置1および端末装置2ごとに、例えば図6に示すように記憶する。
【0057】
画像形成装置1の状況データ6B(以下、「状況データ6B1」と記載する。)には、定義ファイル61Cが更新された日、定義ファイル61Cのバージョン、および、特定の領域(例えば補助記憶装置10d)に記憶されているすべてのファイルに対して画像形成装置1によってスキャンが行われた日、が示される。
【0058】
端末装置2の状況データ6Bには、端末装置2に記憶されている定義ファイル62Cが更新された日、定義ファイル62Cのバージョン、および、特定の領域(例えば補助記憶装置20d)に記憶されているすべてのファイルに対して端末装置2によってスキャンが行われた日、が示される。以下、端末装置2Aの状況データ6Bを「状況データ6B2」、端末装置2Bの状況データ6Bを「状況データ6B3」と記載する場合がある。
【0059】
定義ファイル62Cには、端末装置2が定義ファイル管理サーバ3から以前に受信した定義ファイル6Cに示されるパターンが、集約されている。定義ファイル62Cのバージョンは、端末装置2が最後に受信した定義ファイル6Cのバージョンである。以下、端末装置2Bの定義ファイル62Cを「定義ファイル62C2」と記載する場合がある。
【0060】
ウイルス管理サーバ4は、定義ファイル61Cが更新された日およびバージョンが通知されると、状況データ6B1の「定義ファイル更新日」を、通知された日に変更し、状況データ6B1の「バージョン」を、通知されたバージョンに変更する。
【0061】
更新指令部103は、定義ファイル61Cが更新されると、端末装置2に記憶されている定義ファイル62Cを更新させる指令(以下、「更新指令」と記載する。)を、端末装置2に対して、次のように与える。
【0062】
更新指令部103は、ウイルス管理サーバ4に対してすべての状況データ6Bを要求する。ウイルス管理サーバ4からすべての状況データ6Bを受信すると、状況データ6B1(つまり画像形成装置1自身の状況データ6B)が示すバージョンよりも古いバージョンを示す、端末装置2の状況データ6Bを、特定する。特定した状況データ6Bの端末装置2に対して、更新指令を与える。なお、状況データ6Bを特定できなければ更新指令を与えない。
【0063】
ウイルス管理サーバ4から受信した状況データ6Bが図6のようなものであれば、更新指令部103は、状況データ6B3を特定して、端末装置2Bに対して更新指令を与える。
【0064】
端末装置2の定義ファイルデータベース201(図5参照)には、上述の定義ファイル62Cおよびそのバージョンが記憶されている。
【0065】
定義更新部202は、画像形成装置1から更新指令が与えられると、定義ファイル管理サーバ3に対して定義ファイル6Cを要求する。併せて、定義ファイル62Cのバージョンを通知する。
【0066】
定義ファイル管理サーバ3は、端末装置2から通知された定義ファイル62Cのバージョンよりも新しいバージョンの定義ファイル6Cおよびその定義ファイル6Cのバージョンを、端末装置2に送信する。このような定義ファイル6Cが複数あれば、これらの定義ファイル6Cをすべて送信する。
【0067】
定義更新部202は、定義ファイル6Cを受信すると、定義ファイル6Cに示されるパターンを定義ファイル62Cに追加することで、定義ファイル62Cを更新する。定義ファイル62Cのバージョンを、受信した定義ファイル6Cのバージョンに変更する。定義ファイル6Cを複数、受信したときは、最も新しい定義ファイル6Cのバージョンに変更する。定義ファイル62Cを更新した日およびバージョンを、ウイルス管理サーバ4に通知する。
【0068】
定義ファイル6Cを受信した装置が端末装置2Bであれば、端末装置2Bの定義更新部202が定義ファイル62C2を更新する。定義ファイル62C2を更新した日およびバージョンを、ウイルス管理サーバ4に通知する。
【0069】
ウイルス管理サーバ4は、定義ファイル62C2が更新された日およびバージョンが端末装置2Bから通知されると、状況データ6B3の「定義ファイル更新日」および「バージョン」を、通知された内容にしたがって変更する。
【0070】
なお、定義更新部202は、画像形成装置1の定義更新部102と同様に、定期的に(例えば、毎日午前12時)またはユーザの指示に基づいて、上述と同様に、定義ファイル管理サーバ3に対して定義ファイル6Cを要求してもよい。定義ファイル管理サーバ3は、端末装置2から要求されると、上述と同様に、定義ファイル6Cを画像形成装置1に送信すればよい。
【0071】
定義ファイルデータベース101に記憶されている定義ファイル61Cは、スキャン部105によって用いられる。定義ファイルデータベース201に記憶されている定義ファイル62Cは、スキャン部204によって用いられる。
【0072】
画像形成装置1のスキャン部105は、定期的に(例えば週一回)またはユーザの指示に基づいて、定義ファイル61Cを用いて、特定の領域に記憶されているすべてのファイルに対してスキャンを行う。スキャンを行うと、スキャンを行った日をウイルス管理サーバ4に通知する。
【0073】
端末装置2のスキャン部204も同様に、定期的に(例えば週一回)またはユーザの指示に基づいて、定義ファイル62Cを用いて、特定の領域に記憶されているすべてのファイルに対してスキャンを行う。スキャンを行った日をウイルス管理サーバ4に通知する。
【0074】
ウイルス管理サーバ4は、スキャンが行われた日が通知されると、通知した装置の状況データ6Bの「スキャン実行日」を、通知された日に変更する。
【0075】
ユーザは、印刷の対象となる画像の画像ファイル6Aを用意する。例えば、端末装置2のアプリケーションで文書などを作成することで用意する。または、インターネット上のサーバからウェブブラウザで画像ファイル6Aをダウンロードすることで用意してもよいし、画像ファイル6Aを補助記憶装置20dに予め記憶させておきアプリケーションでそのファイルを開くことで用意してもよい。
【0076】
なお、画像ファイル6Aには、画像ファイル6A自身が生成された日および画像ファイル6Aの内容が最後に変更された日のいずれか新しい方が「画像ファイル更新日」として示されている。
【0077】
ユーザは、画像形成装置1に、用意された画像ファイル6Aの画像を用紙に印刷するように指示する。すなわち、画像ファイル6Aを対象としたPCプリントのジョブを実行するように指示する。すると、以下のような処理が行われる。
【0078】
端末装置2のジョブ指令部203(図5参照)は、画像ファイル6Aを対象としたPCプリントのジョブを実行するように指示されると、その旨のジョブを画像形成装置1に与えるとともに、ジョブの対象となる画像ファイル6Aを画像形成装置1に送信する。
【0079】
画像形成装置1のスキャン要否判別部104(図3参照)は、ジョブが与えられるとともに画像ファイル6Aを受信すると、画像形成装置1自身が画像ファイル6Aに対してスキャンを行うか否かを、次のように判別する。
【0080】
なお、以下、画像形成装置1がジョブなどを実行するときに、そのジョブなどの対象となるファイルに対して行われるスキャンを、「リアルタイムスキャン」と記載する。
【0081】
スキャン要否判別部104は、ウイルス管理サーバ4に対して状況データ6Bを要求する。ウイルス管理サーバ4から状況データ6Bを受信すると、ジョブを与えた端末装置2の状況データ6Bを特定する。
【0082】
次に、スキャン要否判別部104は、状況データ6B1(つまり画像形成装置1自身の状況データ6B)に示されるバージョンと、特定した状況データ6Bに示されるバージョンと、を比較する。状況データ6B1に示されるバージョンが、特定した状況データ6Bに示されるバージョンよりも新しい場合、画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行うと判別する。そうでない場合つまり古い場合、リアルタイムスキャンを行わないと判別する。
【0083】
すなわち、スキャン要否判別部104は、定義ファイル61Cおよびジョブを与えた端末装置2の定義ファイル62Cのうち、より新しいウイルスに対応する定義ファイル(以下、「新定義ファイル」と記載する場合がある。)を判別する。定義ファイル61Cが新定義ファイルであると判別すると、画像形成装置1自身がリアルタイムスキャンを行うと判別する。定義ファイル62Cが新定義ファイルであると判別すると、リアルタイムスキャンを行わないと判別する。
【0084】
なお、スキャン要否判別部104は、状況データ6B1に示されるバージョンが、特定した状況データ6Bのバージョンと同じである場合のときも、画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行うと判別してもよい。
【0085】
ウイルス管理サーバ4から受信した状況データ6Bが図7のようなものであれば、スキャン要否判別部104は、状況データ6B3を特定した場合(つまり端末装置2Bがジョブを与えた場合)はリアルタイムスキャンを行うと判別する。状況データ6B2を特定した場合(つまり端末装置2Aがジョブを与えた場合)はリアルタイムスキャンを行わないと判別する。
【0086】
スキャン部105は、リアルタイムスキャンを行うとスキャン要否判別部104が判別すると、定義ファイルデータベース101に記憶されている定義ファイル61Cを用いて、画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行う。
【0087】
再送判別部106は、リアルタイムスキャンを行わないとスキャン要否判別部104が判別すると、端末装置2に記憶されている、ジョブの対象となる画像ファイル6Aに対してスキャンを行わせ、かつ、スキャンが行われた後の画像ファイル6Aを画像形成装置1へ送信させる指令(以下、「再送指令」と記載する。)を、ジョブを与えた端末装置2に対して与えるか否かを、次のように判別する。
【0088】
再送判別部106は、特定した状況データ6Bに示されるスキャン実施日と、画像ファイル6Aの画像ファイル更新日と、を比較する。スキャン実施日が画像ファイル更新日よりも古い場合(つまり前の日付である場合)、再送指令を与えると判別する。そうでない場合(つまり同日または後の日付である場合)、再送指令を与えないと判別する。
【0089】
再送指令部107は、再送指令を与えると再送判別部106が判別すると、ジョブを与えた端末装置2に対して再送指令を与える。
【0090】
端末装置2のスキャン部204(図5参照)は、再送指令が与えられると、定義ファイルデータベース201に記憶されている定義ファイル62Cを用いて、ジョブの対象となる画像ファイル6Aに対してスキャンを行う。
【0091】
ファイル再送部205は、スキャン部204が、再送指令に基づいてスキャンを行いかつ画像ファイル6Aがウイルスに感染していないと判別すれば、スキャンが行われた後の画像ファイル6Aを画像形成装置1に送信する。
【0092】
画像形成装置1のジョブ実行部108(図3参照)は、スキャン部105がリアルタイムスキャンを完了した画像ファイル6Aを対象としたジョブ、再送判別部106が再送指令を与えないと判別したときの、画像ファイル6Aを対象としたジョブ、または、端末装置2が再送指令に基づいて送信した画像ファイル6Aを対象としたジョブが実行されるように、画像形成装置1の各部を制御する。
【0093】
また、ジョブ実行部108は、画像ファイル6Aがウイルスに感染していなければ、その画像ファイル6Aを画像ファイル記憶部109に記憶させる。すなわち、ウイルスに感染していないとスキャン部105が判別した画像ファイル6A、再送判別部106が再送指令を与えないと判別したときの画像ファイル6A、または端末装置2が再送指令に基づいて送信した画像ファイル6Aを、記憶させる。
【0094】
なお、画像ファイル6Aがウイルスに感染していれば、その画像ファイル6Aは画像ファイル記憶部109に記憶されない。
【0095】
画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行わないとスキャン要否判別部104が判別した場合(つまり状況データ6B1に示されるバージョンが、特定した状況データ6Bに示されるバージョンより古い場合)、さらに、定義更新部102は、定義ファイル管理サーバ3に対して定義ファイル6Cを要求する。
【0096】
上述と同様に、定義ファイル管理サーバ3は、定義ファイル6Cを画像形成装置1に送信する。また、定義更新部102は、受信した定義ファイル6Cに基づいて定義ファイル61Cを更新し、定義ファイル61Cを更新した日およびバージョンをウイルス管理サーバ4に通知する。また、ウイルス管理サーバ4は、通知された内容にしたがって状況データ6B1を変更する。
【0097】
一方、画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行うとスキャン要否判別部104が判別した場合(つまり状況データ6B1に示されるバージョンが、特定した状況データ6Bに示されるバージョンより新しい場合)、さらに、更新指令部103は、特定された状況データ6Bの端末装置2に対して更新指令を与える。
【0098】
定義更新部202は、更新指令が与えられると、定義ファイル管理サーバ3に対して定義ファイル6Cを要求する。併せて、定義ファイル62Cのバージョンを通知する。上述と同様に、定義ファイル管理サーバ3は、定義ファイル6Cを端末装置2に送信する。また、定義更新部202は、受信した定義ファイル6Cに基づいて、定義ファイル62Cを更新し、定義ファイル62Cを更新した日およびバージョンをウイルス管理サーバ4に通知する。また、ウイルス管理サーバ4は、通知された内容にしたがって状況データ6Bを変更する。
【0099】
図8および図9は、スキャンシステム100の全体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0100】
次に、スキャンシステム100における全体的な処理の流れを、図8、9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0101】
画像形成装置1は、MFPスキャンプログラム10Pに基づいて、図8、9に示す手順で処理を実行する。端末装置2は、端末スキャンプログラム20Pに基づいて、図8、9に示す手順で処理を実行する。
【0102】
画像形成装置1は、予め定められた時間になると(図8の#601でYes)、定義ファイル6Cを定義ファイル管理サーバ3に要求する(#602)。なお、ユーザの指示に基づいて、定義ファイル6Cを要求してもよい。
【0103】
定義ファイル管理サーバ3は、画像形成装置1からの要求に応じて、定義ファイル6Cを送信する(#641)。
【0104】
画像形成装置1は、定義ファイル6Cを定義ファイル管理サーバ3から受信すると、記憶している定義ファイル61Cを更新し(#603)、更新した日などをウイルス管理サーバ4に通知する(#604)。
【0105】
ウイルス管理サーバ4は、画像形成装置1から通知された内容にしたがって、状況データ6B1を変更する(#631)。
【0106】
なお、画像形成装置1は、画像形成装置1のすべてのファイルに対してスキャンを行うと、スキャンを行った日をウイルス管理サーバ4に通知する。このとき、ウイルス管理サーバ4は、ステップ#631と同様に、状況データ6B1を変更する。
【0107】
画像形成装置1は、定義ファイル6Cを更新しまた更新した日などを通知すると、状況データ6Bをウイルス管理サーバ4に要求する(#605)。
【0108】
ウイルス管理サーバ4は、画像形成装置1からの要求に応じて、状況データ6Bを送信する(#632)。
【0109】
画像形成装置1は、状況データ6Bを受信した後、更新指令を端末装置に与えると判別すると(#606でYes)、更新指令をその端末装置2に与える(#607)。
【0110】
端末装置2は、画像形成装置1からの更新指令に基づいて、定義ファイル6Cを定義ファイル管理サーバ3に要求する(#621)。
【0111】
定義ファイル管理サーバ3は、端末装置2からの要求に応じて、定義ファイル6Cを送信する(#642)。
【0112】
端末装置2は、定義ファイル6Cを受信すると、記憶している定義ファイル62Cを更新し(#622)、更新した日などをウイルス管理サーバ4に通知する(#623)。
【0113】
ウイルス管理サーバ4は、端末装置2から通知された内容にしたがって、その端末装置2の状況データ6Bを変更する(#633)。
【0114】
なお、端末装置2は、端末装置2のすべてのファイルに対してスキャンを行うと、スキャンを行った日をウイルス管理サーバ4に通知する。ウイルス管理サーバ4は、ステップ#633と同様に、その端末装置2の状況データ6Bを変更する。
【0115】
端末装置2は、ユーザからジョブの実行を指示されると(図9の#701でYes)、画像形成装置1に、そのジョブを与えるとともに画像ファイル6Aを送信する(#702)。
【0116】
画像形成装置1は、端末装置2からジョブが与えられると(#711でYes)、状況データ6Bをウイルス管理サーバ4に要求する(#712)。
【0117】
ウイルス管理サーバ4は、画像形成装置1から状況データ6Bが要求されると(#731でYes)、状況データ6Bを送信する(#732)。
【0118】
画像形成装置1は、状況データ6Bを受信した後、リアルタイムスキャンを画像形成装置1自身が行うと判別すると(#713でYes)、リアルタイムスキャンを画像ファイル6Aに対して行う(#714)。
【0119】
また、画像形成装置1は、再送指令を行うと判別すると(#715でYes)、再送指令を端末装置2に与える(#716)。
【0120】
端末装置2は、画像形成装置1からの要求に応じて、スキャンを画像ファイル6Aに対して行う(#703)。画像ファイル6Aがウイルスに感染していなければ(#704でNo)、その画像ファイル6Aを画像形成装置1に送信する(#705)。
【0121】
画像形成装置1は、画像ファイル6Aを対象としたジョブを実行する(#717)。画像ファイル6Aがウイルスに感染していなければ(#718でNo)、その画像ファイル6Aを記憶する(#719)。
【0122】
予め定められた時間になるたびにまたはユーザによって指示されるたびに、画像形成装置1は上述のステップ#601~#607の処理を適宜、行い、端末装置2は上述のステップ#621~#623の処理を適宜、行い、ウイルス管理サーバ4は上述のステップ#631~#633の処理を適宜、行い、定義ファイル管理サーバ3は上述のステップ#641、#642の処理を適宜、行う。また、ジョブの実行が指示されるたびに、端末装置2は上述のステップ#701~#705を適宜、行い、画像形成装置1は上述のステップ#711~#719の処理を適宜、行い、ウイルス管理サーバ4は上述のステップ#731、#732を適宜、行う。
【0123】
本実施形態によると、端末装置2から画像ファイル6Aを受信して、その画像ファイル6Aを対象としたPCプリントのジョブを実行するときにリアルタイムスキャンを行う画像形成装置において、PCプリントのジョブを実行するときの負荷を従来よりも軽減できる。
【0124】
本実施形態において、スキャン部105またはスキャン部204が、すべてのファイルに対してスキャンを行った結果、ウイルスに感染しているファイルなどを発見したときは、画像形成装置1または端末装置2においてウイルスを駆除するための処理が行われてもよい。そして、上述のように、スキャン部105またはスキャン部204はスキャンを行った日をウイルス管理サーバ4に通知すればよい。
【0125】
このとき、スキャン部105またはスキャン部204は、スキャンを行った結果(つまりウイルスに感染しているファイルなどを発見したか否か)を併せて通知してもよい。
【0126】
ウイルス管理サーバ4は、通知された日に基づいて状況データ6Bのスキャン実行日を変更すればよい。スキャンが行われた結果が併せて通知されると、状況データ6Bにその結果を追加すればよい。
【0127】
本実施形態において、更新指令部103は、画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行わないとスキャン要否判別部104が判別した場合であっても、特定された状況データ6Bの端末装置2(つまりジョブを与えた端末装置2)に対して更新指令を与えてもよい。
【0128】
本実施形態では、ウイルスに感染している画像ファイル6Aは、画像ファイル記憶部109に記憶されなかった。しかし、ウイルスに感染している画像ファイル6Aが、画像ファイル記憶部109に記憶されてもよい。この場合、ユーザが画像ファイル6Aを開けることができなくなる処理(例えば、画像ファイル6Aにアクセス制限を掛ける処理)が、画像ファイル6Aに対して行われればよい。
【0129】
本実施形態では、スキャン要否判別部104は、ジョブが与えられるとともに画像ファイル6Aを受信したときに、その画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行うか否かを判別した。しかし、次のようなときに判別してもよい。
【0130】
すなわち、画像形成装置1が、画像形成装置1自身に記憶されている画像ファイル6Aを開けるとき、他の装置(例えば端末装置2)に画像ファイル6Aを送信するとき、または、他の装置から画像ファイル6Aを(ジョブが与えられるか否かに関わらず)受信したときなどに、スキャン要否判別部104は、リアルタイムスキャンを行うか否かを判別してもよい。
【0131】
本実施形態では、スキャン要否判別部104は、リアルタイムスキャンを行うか否かを、状況データ6B1に示されるバージョンおよび特定した状況データ6Bに示されるバージョンに基づいて、判別した。しかし、状況データ6B1の定義ファイル更新日、および、特定した状況データ6Bの定義ファイル更新日に基づいて、判別してもよい。
【0132】
例えば、スキャン要否判別部104は、状況データ6B1の定義ファイル更新日が、特定した状況データ6Bの定義ファイル更新日よりも後の日付である場合に、画像ファイル6Aに対してリアルタイムスキャンを行うと判別する。そうでない場合に、リアルタイムスキャンを行わないと判別する。なお、両者が同日である場合もリアルタイムスキャンを行うと判別してもよい。
【0133】
本実施形態では、スキャンシステム100にウイルス管理サーバ4が存在していた。しかし、ウイルス管理サーバ4が存在していなくてもよい。
【0134】
この場合、画像形成装置1が状況データ6Bを生成し、また、特定の領域(例えば補助記憶装置10dなど)に記憶すればよい。また、画像形成装置1が定義ファイル61Cを更新すると、画像形成装置1自身が状況データ6B1を変更すればよい。また、端末装置2は、定義ファイル62Cが更新された日およびバージョンを画像形成装置1に通知し、画像形成装置1は、その端末装置2の状況データ6Bを、通知された内容にしたがって変更すればよい。
【0135】
なお、端末装置2は、定義ファイル62Cが更新された日およびバージョンを、画像形成装置1にジョブを与えるときに通知してもよい。画像形成装置1は、例えばジョブがPCプリントのジョブである場合、ジョブが与えられかつ画像ファイル6Aが送信されたときに(つまり画像ファイル6Aを受信したときに)、定義ファイル62Cが更新された日およびバージョンが端末装置2から通知される。画像形成装置1は、ジョブを完了すると、その端末装置2の状況データ6Bを、通知された内容にしたがって変更すればよい。
【0136】
その他、スキャンシステム100、画像形成装置1、端末装置2、定義ファイル管理サーバ3、およびウイルス管理サーバ4の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、状況データ6Bの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0137】
6A 画像ファイル(データ)
10d 補助記憶装置(記憶手段)
61C 定義データ(第一の定義データ)
62C 定義データ(第二の定義データ)
102 定義更新部(更新手段)
103 更新指令部(指令手段)
104 スキャン要否判別部(判別手段、取得手段)
105 スキャン部(スキャン手段)
107 再送指令部(データ要求手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9