IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナカヨの特許一覧

<>
  • 特許-主装置および着信通知方法 図1
  • 特許-主装置および着信通知方法 図2
  • 特許-主装置および着信通知方法 図3
  • 特許-主装置および着信通知方法 図4
  • 特許-主装置および着信通知方法 図5
  • 特許-主装置および着信通知方法 図6
  • 特許-主装置および着信通知方法 図7
  • 特許-主装置および着信通知方法 図8
  • 特許-主装置および着信通知方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】主装置および着信通知方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20220628BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H04M3/42 E
H04Q3/58 101
H04M3/42 U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018201970
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020068509
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】城田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 純治
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-306515(JP,A)
【文献】特開2008-182465(JP,A)
【文献】特開2006-238132(JP,A)
【文献】特表2013-524694(JP,A)
【文献】特開2005-086584(JP,A)
【文献】特開2013-207726(JP,A)
【文献】特開2010-231492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0097632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内線電話端末を収容する主装置であって、
前記内線電話端末が割り当てられたユーザ毎に、面会者、面会日時を含む用件データが登録された用件リストを記憶する用件リスト記憶手段と、
前記内線電話端末が割り当てられたユーザ毎にプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報記憶手段と、
前記内線電話端末が割り当てられたユーザ毎に、利用可能な連絡ツールが登録された連絡ツールリストを記憶する連絡ツールリスト記憶手段と、
着信した場合に、前記用件リスト記憶手段から、着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザの用件リストを特定し、当該用件リストから、前記着信呼の発信元を面会者とする用件データを抽出し、当該用件データに含まれている面会日時および現在日時に基づいて着信重要度を決定する着信重要度決定手段と、
前記プレゼンス情報記憶手段から、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザのプレゼンス情報を特定し、当該ユーザのプレゼンス情報に基づいて作業重要度を決定する作業重要度決定手段と、
前記着信重要度決定手段により決定された着信重要度および前記作業重要度決定手段により決定された作業重要度に基づいて通知優先度を決定する通知優先度決定手段と、
前記連絡ツールリスト記憶手段から、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザの連絡ツールリストを特定し、前記通知優先度決定手段により決定された通知優先度および前記作業重要度決定手段により特定された前記ユーザのプレゼンス情報に基づいて、当該連絡ツールリストから連絡ツールを選択する連絡ツール選択手段と、
前記連絡ツール選択手段により選択された連絡ツールを用いて、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザへの着信通知を実施する着信通知手段と、を備えている
ことを特徴とする主装置。
【請求項2】
請求項1に記載の主装置であって、
前記連絡ツールリストには、
複数の連絡ツールが優先順位に対応付けられて登録されており、
前記連絡ツール選択手段は、
前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザの連絡ツールリストから複数の連絡ツールを選択し、
前記着信通知手段は、
前記連絡ツール選択手段により選択された複数の連絡ツールのなかから、利用する連絡ツールを優先順位に従って決定し、決定した連絡ツールを用いて、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザへの通知を実施し、当該通知に失敗したならば、利用する連絡ツールを優先順位に従って再度決定し、再度決定した連絡ツールを用いて、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザへの着信通知を実施する
ことを特徴とする主装置。
【請求項3】
請求項2に記載の主装置であって、
前記着信通知手段は、
前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザへの着信通知に利用する連絡ツールが、当該内線電話端末への呼出、当該内線電話端末への通話中着信、あるいは着信呼の転送である場合、当該連絡ツールによる通知先から着信応答を所定時間内に受信しなかったならば、当該連絡ツールによる着信通知に失敗したと判断する
ことを特徴とする主装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の主装置であって、
前記内線電話端末と接続中の会議通話呼がある場合に、当該内線電話端末の発話頻度を監視する発話頻度監視手段をさらに有し、
前記作業重要度決定手段は、
前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザのプレゼンス情報が会議通話中である場合に、当該ユーザのプレゼンス情報および前記発話頻度監視手段による当該内線電話端末の発話頻度の監視結果に基づいて作業重要度を決定する
ことを特徴とする主装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の主装置であって、
前記内線電話端末毎に、当該内線電話端末が割り当てられているユーザに対応付けられた用件リスト管理端末のアドレス情報を記憶する用件リスト管理端末情報記憶手段と、
前記用件リスト管理端末から用件データを取得する用件データ取得手段と、
前記用件データ取得手段により取得された用件データを、当該用件データの取得元である前記用件リスト管理端末に対応付けられているユーザに割り当てられた前記内線電話端末に対応付けられて、前記用件リスト記憶手段に記憶されている用件リストに登録する用件データ登録手段と、
前記着信通知手段により前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザへの着信通知が実施された場合、当該ユーザに対応付けられて前記用件リスト管理端末情報記憶手段に登録されているアドレス情報により特定される前記用件リスト管理端末に、前記着信重要度決定手段により前記用件リスト記憶手段に記憶されている当該ユーザの用件リストから抽出された用件データの識別情報を含む着信関連用件情報を送信する着信関連用件情報送信手段と、をさらに備えている
ことを特徴とする主装置。
【請求項6】
請求項5に記載の主装置であって、
前記着信関連用件情報送信手段は、
前記着信呼の着信日時および前記着信通知手段により着信利用に通知された連絡ツールの情報を前記着信関連用件情報に含めて送信する
ことを特徴とする主装置。
【請求項7】
複数の内線電話端末を収容する主装置の着信通知方法であって、
着信した場合に、着信呼の発信先である内線電話端末が割り当てられたユーザについて、面会者、面会日時を含む用件データが登録された用件リストから、前記着信呼の発信元を面会者とする用件データを抽出し、当該用件データに含まれている面会日時および現在日時に基づいて着信重要度を決定し、
前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザのプレゼンス情報に基づいて作業重要度を決定し、
前記決定された着信重要度および作業重要度に基づいて通知優先度を決定し、
前記決定された通知優先度および当該ユーザのプレゼンス情報に基づいて、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザが利用可能な連絡ツールが登録された連絡ツールリストから連絡ツールを選択し、
前記選択した連絡ツールを用いて、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザに着信を通知する
ことを特徴とする着信通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主装置に関し、特に、主装置に着信した呼を発信先に通知する着信通知技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発信元に手間をかけさせることなく、緊急を要する内容や重要な相手からの着信に対して即座に対応することが可能な電話装置が開示されている。
【0003】
この電話装置は、通話中に着信した場合に、着信した呼の発信元に対してメッセージを要求して録音する。そして、録音されたメッセージからキーワードを抽出してそのランク情報を取得し、取得したランク情報に応じたビープ音を通話中の使用者に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-19600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電話装置は、発信先(使用者)が電話に即座に応答できない状況にある等、発信先の事情を考慮していない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、発信元からの着信を、発信元および発信先双方の状況に応じて、発信先に適切に通知することが可能な着信通知技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明において、複数の内線電話端末を収容する主装置は、内線電話端末が割り当てられたユーザ毎に、面会者および面会日時を含む用件データが登録された用件リストと、プレゼンス情報と、利用可能な連絡ツールが登録された連絡ツールリストと、を記憶している。そして、着信した場合に、着信呼の発信先である内線電話端末が割り当てられたユーザの用件リストから、着信呼の発信元を面会者とする用件データを抽出し、この用件データに含まれている面会日時および現在日時に基づいて着信重要度を決定するとともに、このユーザのプレゼンス情報に基づいて作業重要度を決定する。それから、決定した着信重要度および作業重要度に基づいて通知優先度を決定し、決定した通知優先度およびこのユーザのプレゼンス情報に基づいて、このユーザの連絡ツールリストから連絡ツールを選択して、選択した連絡ツールを用いて着信を通知する。
【0008】
例えば、本発明は、
複数の内線電話端末を収容する主装置であって、
前記内線電話端末が割り当てられたユーザ毎に、面会者、面会日時を含む用件データが登録された用件リストを記憶する用件リスト記憶手段と、
前記内線電話端末が割り当てられたユーザ毎にプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報記憶手段と、
前記内線電話端末が割り当てられたユーザ毎に、利用可能な連絡ツールが登録された連絡ツールリストを記憶する連絡ツールリスト記憶手段と、
着信した場合に、前記用件リスト記憶手段から、着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザの用件リストを特定し、当該用件リストから、前記着信呼の発信元を面会者とする用件データを抽出し、当該用件データに含まれている面会日時および現在日時に基づいて着信重要度を決定する着信重要度決定手段と、
前記プレゼンス情報記憶手段から、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザのプレゼンス情報を特定し、当該ユーザのプレゼンス情報に基づいて作業重要度を決定する作業重要度決定手段と、
前記着信重要度決定手段により決定された着信重要度および前記作業重要度決定手段により決定された作業重要度に基づいて通知優先度を決定する通知優先度決定手段と、
前記連絡ツールリスト記憶手段から、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザの連絡ツールリストを特定し、前記通知優先度決定手段により決定された通知優先度および前記作業重要度決定手段により特定された前記ユーザのプレゼンス情報に基づいて、当該連絡ツールリストから連絡ツールを選択する連絡ツール選択手段と、
前記連絡ツール選択手段により選択された連絡ツールを用いて、前記着信呼の発信先である前記内線電話端末が割り当てられたユーザへの着信通知を実施する着信通知手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、着信した場合に、発信元との面会予定に基づいて着信重要度を決定するとともに、発信先のプレゼンス情報に基づいて作業重要度を決定し、着信重要度および作業重要度双方に基づいて通知優先度を決定している。そして、決定した通知優先度および発信先のプレゼンス情報に基づいて発信先への連絡ツールを選択する。したがって、本発明によれば、発信元からの着信を、発信元および発信先双方の状況に応じて、発信先に適切に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る着信通知システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係る着信通知システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
図3図3は、本発明の一実施の形態に係る着信通知システムの動作例を説明するためのシーケンス図であり、図2の続きである。
図4図4は、主装置1の概略機能構成図である。
図5図5は、用件リスト記憶部107の登録内容例を模式的に表した図である。
図6図6は、プレゼンス情報記憶部108の登録内容例を模式的に表した図である。
図7図7は、連絡ツールリスト記憶部109の登録内容例を模式的に表した図である。
図8図8は、主装置1の着信通知処理を説明するためのフロー図である。
図9図9は、主装置1の着信通知処理を説明するためのフロー図であり、図8の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る着信通知システムの概略構成図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態に係る着信通知システムは、WAN(Wide Area Network)に接続された主装置1と、主装置1に収容された複数の内線電話端末2-1~2-n(以下、単に内線電話端末2とも呼ぶ)と、アクセスポイント(AP)4を介してWAN5に接続された複数の携帯端末3-1~3-n(以下、単に携帯端末3とも呼ぶ)と、を備えて構成されている。
【0014】
内線電話端末2は、「在席」、「離席」、「会議中」、「外出」といったユーザのプレゼンス情報を主装置1に通知するプレゼンス通知機能を有している。ここで、プレゼンス通知機能は、主装置1に通知するプレゼンス情報が「会議中」である場合、ユーザから受け付けた会議室の部屋番号を併せて通知する。
【0015】
携帯端末3は、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に設けられ、ユーザによって携帯される。また、携帯端末3は、電話機能、プッシュ通知機能、および用件リスト(ToDoリスト)管理機能を有している。ここで、用件リスト管理機能は、ユーザによって設定された面会者、面会日時、および用件の処理状況を示す処理フラグを含む用件データを用件リストに登録して管理する。
【0016】
主装置1は、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に、ユーザの用件リストを、このユーザが携帯する携帯端末3から取得して記憶するとともに、このユーザのプレゼンス情報を記憶する。また、主装置1は、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に、このユーザが利用可能な連絡ツールが登録された連絡ツールリストを記憶している。連絡ツールには、内線電話端末2への呼出、通話中の内線電話端末2への通話中着信音(トーン音)送出、携帯端末3への着信転送、携帯端末3へのプッシュ通知、留守録等がある。
【0017】
また、主装置1は、内線電話端末2を発信先とする呼がWAN5あるいは他の内線電話端末2から着信した場合に、この着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザの用件リスト、プレゼンス情報、および連絡ツールリストに基づいて、このユーザへの連絡ツールを選択する。そして、選択した連絡ツールを用いて、このユーザに着信を通知する。
【0018】
図2および図3は、本実施の形態に係る着信通知システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
主装置1は、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に、ユーザが携帯する携帯端末3に定期的にアクセスして、主装置1に記憶されているこのユーザの用件リストを、この携帯端末3の用件リスト管理機能により管理されている用件リストに同期させる(S100)。
【0020】
また、主装置1は、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に、内線電話端末2の通話状態およびこの内線電話端末2から通知されたプレゼンス情報に基づいて、主装置1に記憶されているプレゼンス情報のうち、この内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報を更新する(S101)。
【0021】
ここで、WAN5から主装置1に、発信先の内線電話端末2の指定を伴う呼が着信したものとする(S102)。これを受けて、主装置1は、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザの用件リストを特定し、この用件リストから着信呼の発信元を面会者とする用件データであって、処理フラグが未処理を示している用件データを検索する。そして、該当する用件データを検出できたならば、この用件データに含まれている面会日時および現在日時に基づいて、着信呼の重要度(発信元の発信先への連絡緊急度)を示す着信重要度を決定する(S103)。例えば、現在日時が面会日時に近いほど着信重要度を高くし、現在日時が面会日時を経過している場合は着信重要度を最高レベルに決定する。
【0022】
つぎに、主装置1は、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報に基づいて、ユーザの電話応答の困難性を示す作業重要度を決定する(S104)。例えば、プレゼンス情報が、「会議中」、「通話中」等の電話応答が難しい状態を表している場合は、作業重要度を「高」に設定し、「在席」、「離席」等の電話応答できる状態を表している場合は、作業重要度を「低」に設定する。また、その他、電話応答の困難性の判断が難しい状態を表している場合は、作業重要度を「中」に設定する。
【0023】
つぎに、主装置1は、以上のようにして決定した着信重要度および作業重要度に基づいて、ユーザへの通知の緊急度を示す通知優先度を決定する(S105)。具体的には、作業重要度が同じである場合には、着信重要度が高いほど高くなり、着信重要度が同じである場合には、作業重要度が高いほど低くなるように、通知優先度を決定する。
【0024】
つぎに、主装置1は、以上のようにして決定した通知優先度と、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報と、に基づいて、このユーザの連絡ツールリストから、着信呼の連絡に使用する連絡ツールを選択する(S106)。ここでは、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報が「通話中」であり、優先順位1位の第1連絡ツールとして「通話中着信」が選択され、優先順位2位の第2連絡ツールとして「プッシュ通知」が選択されたものとする。
【0025】
つぎに、主装置1は、第1連絡ツールを用いて、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザへの着信通知を実施する(S107)。ここでは、第1連絡ツールとして「通話中着信」が選択されているので、主装置1は、別の呼に接続されて通話中である着信呼の発信先の内線電話端末2に通話中着信音(トーン音)を送出して着信を通知する。
【0026】
第1連絡ツールとして選択された「通話中着信」が通知先(通話中着信音の送出先)からの着信応答を前提とするものなので、主装置1は、内線電話端末2から着信応答が送られてくるのを待つ(S108)。
【0027】
ここで、内線電話端末2から着信応答が送られてくることなく、所定時間の経過によりタイムアウトしたものとする(S109)。この場合、主装置1は、第1連絡ツールを用いた着信通知に失敗したものと判断し(S110)、第2連絡ツールを用いて、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザへの着信通知を実施する(S111)。ここでは、第2連絡ツールとして「プッシュ通知」が選択されているので、主装置1は、着信呼の発信元の情報を含み、ユーザに割り当てられた内線電話端末2に着信があったことを知らせるためのメッセージを生成して、このメッセージを、このユーザが携帯する携帯端末3にプッシュ通知により送信する。
【0028】
第2連絡ツールとして選択された「プッシュ通知」が通知先(携帯端末3)からの着信応答を前提としないものなので、主装置1は、第2連絡ツールを用いた着信通知に成功したものと判断する(S112)。
【0029】
それから、主装置1は、着信呼の発信先が電話に出られないこと、および、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザに着信呼の発信元から電話があったことを通知したことを伝えるメッセージを作成する。そして、着信呼に自動応答して、着信呼の発信元にこのメッセージを送出する(S113)。
【0030】
つぎに、主装置1は、着信呼の着信日時および発信元の情報と、着信通知に利用した連絡ツール(ここでは「プッシュ通知」)および通知先(ここでは携帯端末3)の情報と、S103において着信重要度の決定に用いた用件データの識別情報である用件IDと、を含む着信関連用件情報を生成する。そして、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザが携帯する携帯端末3に、この着信関連用件情報をプッシュ通知により送信する(S114)。
【0031】
これを受けて、携帯端末3は、用件リスト管理機能によって管理されているユーザの用件リストから、着信関連用件情報に含まれている用件IDにより特定される用件データを特定し、この用件データに、着信関連用件情報に含まれている着信呼の着信日時および発信元の情報と、着信通知に利用した連絡ツールおよび通知先の情報と、を追加して、用件データを更新する(S115)。
【0032】
つぎに、主装置1の詳細を説明する。
【0033】
なお、内線電話端末2は、ユーザから受け付けた操作に従いユーザのプレゼンス情報(「在席」、「離席」、「会議中」、「外出」等)を主装置1に通知(プレゼンス情報「会議中」の場合は会議室の部屋番号を併せて通知)するプレゼンス通知機能を備えた既存の内線電話機を利用することができるので、その詳細な説明を省略する。また、携帯端末3も、電話機能、プッシュ通知機能、および用件リスト管理機能を備えた既存のスマートフォン、タブレットPC等を利用することができるので、その詳細な説明を省略する。
【0034】
図4は、主装置1の概略機能構成図である。
【0035】
図示するように、主装置1は、内線電話端末インターフェース部100と、WANインターフェース部101と、呼制御部102と、中継部103と、プッシュ通知部104と、記憶部105と、プレゼンス情報管理部110と、用件リスト同期部111と、発話頻度監視部112と、着信重要度決定部113と、作業重要度決定部114と、通知優先度決定部115と、連絡ツール選択部116と、着信通知制御部117と、を備えている。
【0036】
内線電話端末インターフェース部100は、内線電話端末2と接続するためのインターフェースであり、WANインターフェース部101は、WAN5に接続するためのインターフェースである。
【0037】
呼制御部102は、SIP(Session Initiation Protocol)等の所定の呼制御プロトコルに従い、内線電話端末2とWAN5との間、あるいは内線電話端末2同士間の通話路の確立・解放を実施する。また、呼制御部102は、着信呼に自動応答し、後述の中継部103を介して着信呼の発信元から送られてきた伝言メッセージを録音する留守録機能を有している。
【0038】
中継部103は、RTP(Realtime Transport Protocol)等の所定の伝送プロトコルに従い、呼制御部102によって内線電話端末2とWAN5との間あるいは内線電話端末2同士間に確立された通話路を中継する。
【0039】
プッシュ通知部104は、WANインターフェース部101を介して携帯端末3に情報をプッシュ通知により送信する。
【0040】
記憶部105は、電話帳記憶部106と、用件リスト記憶部107と、プレゼンス情報記憶部108と、連絡ツールリスト記憶部109と、を有する。
【0041】
電話帳記憶部106は、内線電話端末2の電話番号毎に、内線電話端末2が割り当てられたユーザの氏名、所属、およびこのユーザが携帯する携帯端末3の電話番号、アドレス情報を含むユーザ情報、あるいは、内線電話端末2が設置された会議室の部屋番号を含む会議室情報を有する内線電話端末情報を記憶する内線電話端末情報記憶部1060と、顧客の電話番号毎に、顧客の氏名、名称等を含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶部1061と、を有する。
【0042】
用件リスト記憶部107には、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に用件リストが記憶されている。
【0043】
図5は、用件リスト記憶部107の登録内容例を模式的に表した図である。
【0044】
図示するように、用件リスト記憶部107には、ユーザ毎に、このユーザが割り当てられている内線電話端末2に対応付けられて、用件リストのテーブル1070が記憶されている。用件リストのテーブル1070には、この用件リストのテーブル1070に対応する内線電話端末2が割り当てられたユーザの用件データのレコード1071が記憶される。用件データのレコード1071は、識別情報である用件IDを登録するためのフィールド1072と、面会日時を登録するためのフィールド1073と、面会者を登録するためのフィールド1074と、面会者の連絡先の電話番号を登録するためのフィールド1075と、上述の着信関連用件情報(図3のS114参照)を登録するためのフィールド1076と、用件の処理状況(処理済みか、それとも未処理か)を示す処理フラグを登録するためのフィールド1077と、を有する。
【0045】
プレゼンス情報記憶部108には、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎にプレゼンス情報が記憶されている。
【0046】
図6は、プレゼンス情報記憶部108の登録内容例を模式的に表した図である。
【0047】
図示するように、プレゼンス情報記憶部108には、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎にプレゼンス情報のレコード1080が記憶されている。プレゼンス情報のレコード1080は、対応する内線電話端末2の電話番号を登録するためのフィールド1081と、この内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ名を登録するためのフィールド1082と、このユーザのプレゼンス情報を登録するためのフィールド1083と、を有する。
【0048】
連絡ツールリスト記憶部109には、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に連絡ツールリストが記憶されている。
【0049】
図7は、連絡ツールリスト記憶部109の登録内容例を模式的に表した図である。
【0050】
図示するように、連絡ツールリスト記憶部109には、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に連絡ツールリストのテーブル1090が記憶されている。連絡ツールリストのテーブル1090は、ユーザのプレゼンス情報毎に連絡ツールリストのサブテーブル1091を有し、連絡ツールリストのサブテーブル1091には、通知優先度毎に連絡ツールリストのレコード1092が記録されている。連絡ツールリストのレコード1092は、通知優先度を登録するためのフィールド1093と、優先順位1位の連絡ツールである第1連絡ツールを登録するためのフィールド1094と、優先順位2位の連絡ツールである第2連絡ツールを登録するためのフィールド1095と、優先順位3位の連絡ツールである第3連絡ツールを登録するためのフィールド1096と、を有する。
【0051】
ここでは、連絡ツールリストのレコード1092に、優先順位1位~3位の連絡ツールを登録できるようにフィールド1094~1096を設けているが、連絡ツールリストのレコード1092は、優先順位1位~n(ただし、n≧2)位の連絡ツールを登録できるようにフィールドを設けたものであればよい。
【0052】
プレゼンス情報管理部110は、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に、呼制御部102における内線電話端末2の呼制御状態(「待受状態」、「通話中」、「会議通話中」等)と、内線電話端末インターフェース部100および呼制御部102を介して内線電話端末2から通知されたプレゼンス情報(「在席」、「離席」、「会議中」、「外出」等)に基づいて、ユーザのプレゼンス情報を判定する。そして、この内線電話端末2に対応付けられてプレゼンス情報記憶部108に記憶されているレコード1080(この内線電話端末2の電話番号がフィールド1081に登録されているレコード1080)のフィールド1083に登録されているプレゼンス情報を、新たに判定したプレゼンス情報に更新する。
【0053】
用件リスト同期部111は、内線電話端末2が割り当てられたユーザ毎に、内線電話端末2に対応付けられて用件リスト記憶部107に記憶されている用件リストのテーブル1070を、ユーザが携帯する携帯端末3に保持されている用件リストに同期させる。具体的には、定期的に、内線電話端末情報記憶部1060を参照して、内線電話端末2が割り当てられたユーザが携帯する携帯端末3のアドレス情報を特定し、WANインターフェース部101を介してこの携帯端末3にアクセスする。そして、この携帯端末3に保持されている用件リストに基づいて、内線電話端末2に対応付けられて用件リスト記憶部107に記憶されている用件リストのテーブル1070を更新する。
【0054】
発話頻度監視部112は、呼制御部102によって会議通話路(多者通話路)が確立されて会議通話中である内線電話端末2の発話頻度を監視する。具体的には、内線電話端末インターフェース部100において、会議通話中の内線電話端末2から受信する音声データから発話を検知することにより、この内線電話端末2の発話頻度を監視する。
【0055】
着信重要度決定部113は、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線電話端末インターフェース部100を介して内線電話端末2から、呼制御部102に呼が着信した場合に、着信呼の重要度(発信元の発信先への連絡緊急度)を示す着信重要度を決定する。
【0056】
作業重要度決定部114は、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線電話端末インターフェース部100を介して内線電話端末2から、呼制御部102に呼が着信した場合に、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザの電話応答の困難性を示す作業重要度を決定する。
【0057】
通知優先度決定部115は、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線電話端末インターフェース部100を介して内線電話端末2から、呼制御部102に呼が着信した場合に、この着信呼について、着信重要度決定部113により決定された着信重要度および作業重要度決定部114により決定された作業重要度に基づいて、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザへの通知の緊急度を示す通知優先度を決定する。
【0058】
連絡ツール選択部116は、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線電話端末インターフェース部100を介して内線電話端末2から、呼制御部102に呼が着信した場合に、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザに対する着信呼の連絡ツールを選択する。
【0059】
着信通知制御部117は、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線電話端末インターフェース部100を介して内線電話端末2から、呼制御部102に呼が着信した場合に、連絡ツール選択部116により選択された連絡ツールを用いて、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザに対する着信通知を実施する。
【0060】
また、着信通知制御部117は、着信呼の着信日時および発信元の情報と、着信通知に利用した連絡ツールおよび通知先の情報と、着信重要度決定部113において着信重要度の決定に用いられた用件データの用件IDと、を含む着信関連用件情報を生成する。そして、プッシュ通知部104を介して、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザが携帯する携帯端末3に、着信関連用件情報をプッシュ通知により送信する。
【0061】
図8および図9は、主装置1の着信通知処理を説明するためのフロー図である。
【0062】
このフローは、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線電話端末インターフェース部100を介して内線電話端末2-k(ただし、1≦k≦n)から、呼制御部102に呼が着信することにより開始される。
【0063】
まず、着信重要度決定部113は、内線電話端末2-kからの着信呼の着信重要度を決定する(S200)。
【0064】
具体的には、着信呼の発信先である内線電話端末2-kに対応付けられて用件リスト記憶部107に記憶されている用件リストのテーブル1070から、着信呼の発信先の電話番号がフィールド1075に登録されている用件データのレコード1071であって、フィールド1077に登録されている処理フラグが「未処理」のレコード1071を検索する。そして、検索したレコード1071のフィールド1073に登録されている面会日時と現在日時とを比較して、着信重要度を決定する。
【0065】
例えば、該当するレコード1071を検索できなかった場合は、内線電話端末2-kからの着信呼の着信重要度を「低」に決定する。一方、該当するレコード1071を検索できた場合において、フィールド1073に登録されている面会日時が、現在日時から所定時間(例えば24時間)より後ならば、内線電話端末2-kからの着信呼の着信重要度を「中」に決定し、所定時間以内あるいは現在日時より前ならば、内線電話端末2-kからの着信呼の着信重要度を「高」に決定する。
【0066】
つぎに、作業重要度決定部114は、作業重要度を決定する(S201)。
【0067】
具体的には、プレゼンス情報記憶部108から、着信呼の発信先である内線電話端末2の電話番号がフィールド1081に登録されているプレゼンス情報のレコード1080を特定する。そして、このレコード1080のフィールド1083に登録されているプレゼンス情報に基づいて、作業重要度を決定する。また、プレゼンス情報が「会議通話中」の場合は、発話頻度監視部112におけるこの内線電話端末2の発話頻度の監視結果を考慮して、作業重要度を決定する。
【0068】
例えば、プレゼンス情報が「在席」、「離席」の場合は、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザが電話応答できる状態にあるため、作業重要度「低」と決定し、プレゼンス情報が「会議中」、「通話中」の場合は、このユーザの電話応答が難しい状態にあるため、作業重要度「高」と決定し、プレゼンス情報が「外出」の場合は、このユーザの電話応答の困難性判断が難しい状態にあるため、作業重要度「中」と判断する。また、プレゼンス「会議通話中」の場合は、発話頻度が所定頻度以上であるならば、電話応答が難しい状態にあるため、作業重要度「高」と決定し、所定頻度未満であるならば、電話応答の困難性の判断が難しい状態にあるため、作業重要度「中」と決定する。
【0069】
つぎに、通知優先度決定部115は、以上のようにして決定された着信重要度および作業重要度に基づいて、通知優先度を決定する(S202)。
【0070】
具体的には、作業重要度が同じである場合、着信重要度が高いほど高くなり、着信重要度が同じである場合、作業重要度が高いほど低くなるように、通知優先度を決定する。例えば、下表のように決定する。
【0071】
【表1】
【0072】
つぎに、連絡ツール選択部116は、ユーザへの着信通知に使用する連絡ツールを選択する(S203)。
【0073】
具体的には、着信呼の発信先である内線電話端末2に対応付けられて、連絡ツールリスト記憶部109に記憶されている連絡ツールリストのテーブル1090を特定する。また、プレゼンス情報記憶部108から、この内線電話端末2の電話番号がフィールド1081に登録されているプレゼンス情報のレコード1080を特定し、このレコード1080のフィールド1083からユーザのプレゼンス情報を特定する。
【0074】
それから、特定した連絡ツールリストのテーブル1090から、特定したユーザのプレゼンス情報に対応付けられている連絡ツールリストのサブテーブル1091を特定し、さらに、このサブテーブル1091から、S202で決定した通知優先度がフィールド1093に登録されている連絡ツールリストのレコード1092を特定する。そして、このレコード1092のフィールド1094~1096に登録されている連絡ツールを、ユーザへの着信通知に使用する連絡ツールとして選択する。
【0075】
つぎに、着信通知制御部117は、カウンタ値Nを「N=1」に設定し(S204)、選択した連絡ツールのなかから第N連絡ツールを実施する(S205)。
【0076】
具体的には、第N連絡ツールが「呼出(内線電話端末)」の場合、着信通知制御部117は、着信呼の発信先である内線電話端末2への呼出を呼制御部102に指示する。これを受けて、呼制御部102は、着信呼の発信先である内線電話端末2を着信鳴動させ、この内線電話端末2から着信応答があったならば、この内線電話端末2と着信呼の発信元との間に通話路を確立する。そして、中継部103に、この通話路を介して、着信呼の発信先である内線電話端末2と着信呼の発信元との間の通話を中継させる。
【0077】
また、第N連絡ツールが「転送(会議室)」の場合、着信通知制御部117は、着信呼の発信先である内線電話端末2の電話番号に対応付けられてプレゼンス情報記憶部108に記憶されているプレゼンス情報のレコード1080のフィールド1083に登録されているプレゼンス情報から会議室の部屋番号を取得し、それから、内線電話端末情報記憶部1060を参照し、この部屋番号の会議室に設置されている内線電話端末2の電話番号を特定する。つぎに、呼制御部102に、この会議室に設置されている内線電話端末2の電話番号を通知して着信転送を指示する。これを受けて、呼制御部102は、着信通知制御部117より通知された電話番号により特定される内線電話端末2(着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザが会議中の会議室に設置されている内線電話端末2)を着信鳴動させ、この内線電話端末2から着信応答があったならば、この内線電話端末2と着信呼の発信元との間に通話路を確立する。そして、中継部103に、この通話路を介して、着信通知制御部117より通知された電話番号により特定される内線電話端末2と着信呼の発信元との間の通話を中継させる。
【0078】
また、第N連絡ツールが「転送(携帯電話)」の場合、着信通知制御部117は、内線電話端末情報記憶部1060を参照し、着信呼の発信先である内線電話端末2の電話番号に対応付けられている携帯端末3の電話番号を特定する。それから、この携帯端末3の電話番号を通知して着信転送を呼制御部102に指示する。これを受けて、呼制御部102は、着信通知制御部117より通知された電話番号により特定される携帯端末3(着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザが携帯する携帯端末3)に着信呼を転送する。そして、この携帯端末3から着信応答があったならば、この携帯端末3と着信呼の発信元との間に通話路を確立する。
【0079】
また、第N連絡ツールが「通話中着信」の場合、着信通知制御部117は、着信呼の発信先である内線電話端末2への通話中着信を呼制御部102に指示する。これを受けて、呼制御部102は、着信呼の発信先である通話中の内線電話端末2に通話中着信音を送出し、この内線電話端末2から着信応答があったならば、この内線電話端末2に接続されている通話呼を保留にして、この内線電話端末2と着信呼の発信元との間に通話路を確立する。そして、中継部103に、この通話路を介して、着信呼の発信先である内線電話端末2と着信呼の発信元との間の通話を中継させる。
【0080】
また、第N連絡ツールが「プッシュ通知(携帯電話)」の場合、着信通知制御部117は、内線電話端末情報記憶部1060を参照し、着信呼の発信先である内線電話端末2の電話番号に対応付けられている携帯端末3のアドレス情報を特定するとともに、顧客情報記憶部1061を参照し、着信呼の発信元の電話番号に対応付けられている顧客情報を特定する。また、呼制御部102から着信呼の着信日時を取得する。それから、プッシュ通知部104に、この特定した携帯端末3のアドレス情報および顧客情報と、着信呼の着信日時と、を通知してプッシュ通知を指示する。これを受けて、プッシュ通知部104は、着信通知制御部117より通知された顧客情報により特定される顧客から着信日時に着信があった旨のメッセージを生成し、このメッセージを、着信通知制御部117より通知されたアドレス情報により特定される携帯端末3(着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザが携帯する携帯端末3)にプッシュ通知により送信する。
【0081】
また、第N連絡ツールが「留守録」の場合、着信通知制御部117は、呼制御部102に留守録を指示する。これを受けて、呼制御部102は、着信呼に自動応答して、主装置1と着信呼の発信元との間に通話路を確立する。そして、この通話路を介して着信呼の発信元に、着信呼の発信先が電話に出られないので伝言を残すように依頼する旨のメッセージを送出して留守録を開始する。
【0082】
つぎに、着信通知制御部117は、実施した第N連絡ツールが「呼出(内線電話端末)」、「転送(携帯電話)」、「転送(会議室)」、および「通話中着信」のいずれかである場合(S206でYES)、呼制御部102が着信呼の発信先あるいは転送先から着信応答を受信するのを待つ(S207)。そして、着信応答を受信することなく、所定時間の経過によりタイムアウトした場合(S208でYES)、第N連絡ツールによる通知に失敗したと判断し、カウンタ値Nを一つインクリメントして「N=N+1」に設定する(S209)。なお、タイムアウトまでの所定時間は、カウンタ値Nが小さいほど、つまり優先順位が高いほど長くなるように変化させてもよい。それから、S205に戻り、S203で選択した連絡ツールのなかから第N連絡ツールを実施する。
【0083】
一方、タイムアウト前に(S208でNO)、呼制御部102が着信応答を受信した場合(S207でYES)、着信通知制御部117は、顧客情報記憶部1061を参照し、着信呼の発信元の電話番号に対応付けられている顧客情報を特定するとともに、呼制御部102から着信呼の着信日時を取得する。そして、着信呼の着信日時と、顧客情報と、第N連絡ツールおよび第N連絡ツールによる着信通知の通知先と、S200において着信重要度の決定に用いた用件データの用件IDと、を含む着信関連用件情報を生成する(S213)。それから、着信通知制御部117は、内線電話端末情報記憶部1060を参照し、着信呼の発信先である内線電話端末2の電話番号に対応付けられている携帯端末3のアドレス情報を特定し、プッシュ通知部104に、この携帯端末3のアドレス情報と着信関連用件情報とを通知してプッシュ通知を指示する。これを受けて、プッシュ通知部104は、着信通知制御部117より通知されたアドレス情報により特定される携帯端末3(着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザが携帯する携帯端末3)に着信関連用件情報をプッシュ通知により送信する(S214)。
【0084】
また、着信通知制御部117は、S205で実施した第N連絡ツールが「呼出(内線電話端末)」、「転送(携帯電話)」、「転送(会議室)」、および「通話中着信」のいずれでもない場合(S206でNO)、第N連絡ツールが「留守録」ならば(S210で「留守録」)、上述のS213に進む。一方、第N連絡ツールが「プッシュ通知(携帯端末)」である場合(S210で「プッシュ通知」)、着信通知制御部117は、電話に出られないこと、および、第N連絡ツールを用いて着信があったことを連絡した旨のメッセージを生成し、このメッセージを呼制御部102に通知して応答を指示する。これを受けて、呼制御部102は、着信呼に自動応答して、主装置1と着信呼の発信元との間に通話路を確立する(S211)。そして、この通話路を介して着信呼の発信元に、着信通知制御部117から受け取ったメッセージを送出し(S212)、それから、上述のS213に進む。
【0085】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0086】
本実施の形態では、着信呼の発信元を面会者とする用件データがある場合に、この用件データに含まれている面会日時と現在日時とを比較して着信重要度を決定するので、例えば、面会日時が差し迫っている、あるいは面会日時を過ぎてしまった面会予定の面会者からの着信は、着信重要度を高くするなど、着信呼の発信元の緊急度に応じて着信重要度を決定することができる。また、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報に基づいて作業重要度を決定するので、会議中、通話中等、電話対応が困難な場合は作業重要度を高くするなど、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報に応じて作業重要度を決定することができる。そして、着信重要度および作業重要度双方に基づいて決定した通知優先度と、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報と、に基づいて、発信先への連絡ツールを選択するので、発信元からの着信を、発信元および発信先双方の状況に応じて、発信先に適切に通知することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、連絡ツールが複数選択された場合に、優先順位に従って連絡ツールを実施する。そして、実施した連絡ツールが「呼出(内線電話端末)」、「転送(携帯電話)」、「転送(会議室)」、および「通話中着信」のいずれかである場合に、この連絡ツールによる通知先から所定時間内に着信応答を受信することなくタイムアウトしたならば、この連絡ツールによる着信通知に失敗したと判断し、つぎの連絡ツールを実施する。そして、優先順位が最も低い連絡ツールを「プッシュ通知」、「留守録」等、連絡ツールによる通知先からの着信応答を必要としないものに設定することにより、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザに、着信呼があった旨を確実に知らせることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、内線電話端末2と接続中の会議通話呼がある場合に、この内線電話端末2の発話頻度を監視している。そして、着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザのプレゼンス情報が「会議通話中」である場合に、このユーザのプレゼンス情報に加えて、この内線電話端末2の発話頻度も考慮して作業重要度を決定している。このため、着信呼の発信先である内線電話端末2が会議通話中であっても、この内線電話端末2が割り当てられたユーザが積極的に発言していないならば作業重要度を低くすることにより、着信重要度が高い着信呼に対しては、連絡ツールに「通話中着信」を利用して、着信をより迅速に知らせることができる。
【0089】
また、本実施の形態では、連絡ツールによって着信呼の発信先である内線電話端末2が割り当てられたユーザへの着信通知が実施された場合に、このユーザが携帯する携帯端末3に、この連絡ツールの選択に利用された作業重要度を決定するために用いられた用件データの用件IDを、着信呼の着信日時および連絡ツールの情報とともに送信している。このため、携帯端末3側において、用件データに関連して面会者から電話があったことを、この用件データに追加して管理することができる。これにより、用件リストの利便性を高めることができる。
【0090】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0091】
例えば、上記の実施の形態では、携帯端末3が用件リスト管理端末としても機能する場合を例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。携帯端末3とは別に用件管理端末を設けてもよい。この場合、内線電話端末情報記憶部1060が内線電話端末2の電話番号に対応付けて記憶するユーザ情報に、この内線電話端末2が割り当てられたユーザの用件リストを管理する用件リスト管理端末のアドレス情報を含め、着信関連用件情報は用件リスト管理端末に送信する。
【0092】
また、上記の実施の形態において、主装置1は、定期的に、用件リスト管理端末として機能する携帯端末3にアクセスして、主装置1が管理するこの携帯端末3のユーザの用件リストを、この携帯端末3により保持されている用件リストに同期させている。しかし、本発明はこれに限定されない。用件リスト管理端末に保持されている用件リスト内の用件データが更新される都度、用件リスト管理端末がこの変更された用件データを主装置1に送信し、これを受けて、主装置1が、この用件リスト管理端末に対応付けられて記憶しているユーザの用件リストを更新してもよい。
【0093】
また、上記の実施の形態では、着信関連用件情報をプッシュ通知により送信しているが、本発明はこれに限定されない。電子メール等のその他の方法により送信するようにしてもよい。
【0094】
また、上記の実施の形態において、図4に示す主装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるか、DSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現される。あるいは、CPUと、メモリと、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースと、を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現される。
【符号の説明】
【0095】
1:主装置 2、2-1~2-n:内線電話端末 3、3-1~3-n:携帯端末 4:アクセスポイント 5:WAN 100:内線電話端末インターフェース部 101:WANインターフェース部 102:呼制御部 103:中継部 104:プッシュ通知部 105:記憶部 106:電話帳記憶部 107:用件リスト記憶部 108:プレゼンス情報記憶部 109:連絡ツールリスト記憶部 110:プレゼンス情報管理部 111:用件リスト同期部 112:発話頻度監視部 113:着信重要度決定部 114:作業重要度決定部 115:通知優先度決定部 116:連絡ツール選択部 117:着信通知制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9