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特許7095584車両用表示制御装置、車両用表示システム、車両用表示制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】車両用表示制御装置、車両用表示システム、車両用表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20220628BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220628BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220628BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220628BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20220628BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/16 A
H04N7/18 J
H04N7/18 K
G06T7/00 650B
B60R1/20 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018232707
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2020094901
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 泉
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162030(JP,A)
【文献】特開2016-012277(JP,A)
【文献】特開2010-218568(JP,A)
【文献】国際公開第2015/104860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00- 1/31
11/02
11/04
B60W 10/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G06T 7/00
G08G 1/00-99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置を示す第一位置情報を取得する第一位置情報取得部と、
あらかじめ登録された他車両の現在位置を示す第二位置情報と、前記他車両を特定する
他車両特定情報とを取得する、他車両情報取得部と、
前記自車両の周囲を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得部
と、
前記映像データ取得部が取得した前記映像データから、前記他車両を含む車両を検出す
る他車両検出部と、
前記第一位置情報と前記第二位置情報との対比、および、前記他車両検出部が検出した
検出結果と、前記他車両情報取得部が取得した他車両特定情報との対比に基づいて、前記
映像データに前記他車両が含まれているかを判定する他車両判定部と、
前記他車両判定部が前記映像データに前記他車両が含まれていると判定した場合、前記
映像データに加えて前記他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成する表示映像生
成部と、
前記表示映像生成部が生成した前記表示映像を表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項2】
前記他車両判定部は、前記第二位置情報が前記第一位置情報に対して前記撮影部の撮影
方向を示し、かつ、前記第一位置情報と前記第二位置情報との距離が所定距離未満である
ことを示し、かつ、前記他車両検出部が検出した検出結果と、前記他車両情報取得部が取
得した前記他車両特定情報とが一致した場合に、前記映像データに前記他車両が含まれて
いると判定する、
請求項1に記載の車両用表示制御装置。
【請求項3】
前記他車両判定部は、前記映像データに前記他車両が含まれていると判定された場合で
あって、前記第二位置情報が前記第一位置情報に対して前記撮影部の撮影方向を示し、か
つ、前記第一位置情報と前記第二位置情報との距離が所定距離未満であることを示してい
る場合、前記映像データに前記他車両が含まれない状態となっても、前記映像データに前
記他車両が含まれているとみなす、
請求項2に記載の車両用表示制御装置。
【請求項4】
前記自車両の走行情報を取得する走行情報取得部、
をさらに備え、
前記他車両判定部は、前記走行情報取得部が取得した前記走行情報によって、前記映像
データに前記他車両が含まれていると判断するための前記第一位置情報と前記第二位置情
報との距離を変動させる、
請求項2または3に記載の車両用表示制御装置。
【請求項5】
前記走行情報取得部は、前記自車両が走行中の道路情報を取得し、
前記他車両判定部は、前記走行情報取得部が取得した走行中の道路情報が走行速度の比
較的高い道路であることを示す場合、前記映像データに前記他車両が含まれていると判断
するための前記第一位置情報と前記第二位置情報との距離を、走行速度の比較的低い道路
の場合より長くする、
請求項4に記載の車両用表示制御装置。
【請求項6】
前記走行情報取得部は、前記自車両の所定区間の平均走行速度を示す平均走行速度情報
を取得し、
前記他車両判定部は、前記走行情報取得部が取得した前記平均走行速度情報が前記自車
両の平均走行速度が比較的高いことを示す場合、前記映像データに前記他車両が含まれて
いると判断するための前記第一位置情報と前記第二位置情報との距離を、前記平均走行速
度情報が前記自車両の平均走行速度が比較的低いことを示す場合より長くする、
請求項4に記載の車両用表示制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用表示制御装置と、
前記撮影部及び前記表示部少なくとも備える、
ことを特徴とする車両用表示システム。
【請求項8】
自車両の現在位置を示す第一位置情報を取得する第一位置情報取得ステップと、
あらかじめ登録された他車両の現在位置を示す第二位置情報と、前記他車両を特定する
他車両特定情報とを取得する、他車両情報取得ステップと、
前記自車両の周囲を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ス
テップと、
前記映像データ取得ステップによって取得された映像データから、前記他車両を含む車
両を検出する他車両検出ステップと、
前記第一位置情報と前記第二位置情報との対比、および、前記他車両検出ステップによ
って検出された検出結果と、前記他車両情報取得ステップによって取得された他車両特定
情報との対比に基づいて、映像データに他車両が含まれていることを判定する他車両判定
ステップと、
前記他車両判定ステップによって前記映像データに前記他車両が含まれていると判定さ
れた場合、前記映像データに加えて前記他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成
する表示映像生成ステップと、
前記表示映像生成ステップによって生成された表示映像を表示部に表示させる表示制御
ステップと、
を含む車両用表示制御方法。
【請求項9】
自車両の現在位置を示す第一位置情報を取得する第一位置情報取得ステップと、
あらかじめ登録された他車両の現在位置を示す第二位置情報と、前記他車両を特定する
他車両特定情報とを取得する、他車両情報取得ステップと、
前記自車両の周囲を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ス
テップと、
前記映像データ取得ステップによって取得された映像データから、前記他車両を含む車
両を検出する他車両検出ステップと、
前記第一位置情報と前記第二位置情報との対比、および、前記他車両検出ステップによ
って検出された検出結果と、前記他車両情報取得ステップによって取得された他車両特定
情報との対比に基づいて、映像データに他車両が含まれていることを判定する他車両判定
ステップと、
前記他車両判定ステップによって前記映像データに前記他車両が含まれていると判定さ
れた場合、前記映像データに加えて前記他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成
する表示映像生成ステップと、
前記表示映像生成ステップによって生成された表示映像を表示部に表示させる表示制御
ステップと、
を車両用表示制御装置として動作するコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示制御装置、車両用表示システム、車両用表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両で走行する場合、相互の現在位置情報を共有して、地図上に、自車両の位置を示す自車マークと、複数の他車両の位置を示す他車群マークとを表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-271272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、他車両の位置を地図上で把握可能であっても、相互に目視で確認できない場合、適切に追従できているのかの把握が適切にできない場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両周辺の他車両を適切に認識可能にすることができる車両用表示制御装置、車両用表示システム、車両用表示制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用表示制御装置は、自車両の現在位置を示す第一位置情報を取得する第一位置情報取得部と、あらかじめ登録された他車両の現在位置を示す第二位置情報と、前記他車両を特定する他車両特定情報とを取得する、他車両情報取得部と、前記自車両の周囲を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得部と、前記映像データ取得部が取得した前記映像データから、前記他車両を含む車両を検出する他車両検出部と、前記第一位置情報と前記第二位置情報との対比、および、前記他車両検出部が検出した検出結果と、前記他車両情報取得部が取得した他車両特定情報との対比に基づいて、前記映像データに前記他車両が含まれているかを判定する他車両判定部と、前記他車両判定部が前記映像データに前記他車両が含まれていると判定した場合、前記映像データに加えて前記他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成する表示映像生成部と、前記表示映像生成部が生成した前記表示映像を表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る車両用表示システムは、上記の車両用表示制御装置と、前記撮影部、前記表示部のうち少なくともいずれかを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る車両用表示制御方法は、自車両の現在位置を示す第一位置情報を取得する第一位置情報取得ステップと、あらかじめ登録された他車両の現在位置を示す第二位置情報と、前記他車両を特定する他車両特定情報とを取得する、他車両情報取得ステップと、前記自車両の周囲を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記映像データ取得ステップによって取得された映像データから、前記他車両を含む車両を検出する他車両検出ステップと、前記第一位置情報と前記第二位置情報との対比、および、前記他車両検出ステップによって検出された検出結果と、前記他車両情報取得ステップによって取得された他車両特定情報との対比に基づいて、映像データに他車両が含まれていることを判定する他車両判定ステップと、前記他車両判定ステップによって前記映像データに前記他車両が含まれていると判定された場合、前記映像データに加えて前記他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成する表示映像生成ステップと、前記表示映像生成ステップによって生成された表示映像を表示部に表示させる表示制御ステップと、を含む。
【0009】
本発明に係るプログラムは、自車両の現在位置を示す第一位置情報を取得する第一位置情報取得ステップと、あらかじめ登録された他車両の現在位置を示す第二位置情報と、前記他車両を特定する他車両特定情報とを取得する、他車両情報取得ステップと、前記自車両の周囲を撮影する撮影部が撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記映像データ取得ステップによって取得された映像データから、前記他車両を含む車両を検出する他車両検出ステップと、前記第一位置情報と前記第二位置情報との対比、および、前記他車両検出ステップによって検出された検出結果と、前記他車両情報取得ステップによって取得された他車両特定情報との対比に基づいて、映像データに他車両が含まれていることを判定する他車両判定ステップと、前記他車両判定ステップによって前記映像データに前記他車両が含まれていると判定された場合、前記映像データに加えて前記他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成する表示映像生成ステップと、前記表示映像生成ステップによって生成された表示映像を表示部に表示させる表示制御ステップと、を車両用表示制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両周辺の他車両を適切に認識可能にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第一実施形態に係る表示システムを示すブロック図である。
図2図2は、第一実施形態に係る表示システムのモニタの構成例を示す概略図である。
図3図3は、自車両と他車両との位置関係の一例を示す図である。
図4図4は、第一実施形態に係る表示システムで生成した表示映像の一例を示す図である。
図5図5は、第一実施形態に係る表示システムで生成した表示映像の他の例を示す図である。
図6図6は、自車両と他車両との位置関係の他の例を示す図である。
図7図7は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、第二実施形態に係る表示システムで生成した映像の一例を示す図である。
図9図9は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用記録制御装置、車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[第一実施形態]
図1図2を用いて、表示システム(車両用表示システム)1を搭載した自車両Vについて概略を説明する。図1は、第一実施形態に係る表示システムを示すブロック図である。図2は、第一実施形態に係る表示システムのモニタの構成例を示す概略図である。表示システム1は、あらかじめ登録した他車両の存在を示す情報を、光学式ミラーに代替して自車両Vの周囲を確認するための表示ユニット(表示部)50に表示する。例えば、表示システム1は、複数の車両で連れ立って走行する際に、あらかじめ登録した他車両の存在を示す情報を表示ユニット50に表示する。表示システム1は、自車両Vに搭載されている。表示システム1は、自車両Vに載置されているものに加えて、可搬型で自車両Vにおいて利用可能な装置であってもよい。
【0014】
表示システム1は、カメラユニット10と、GPS(Global Positioning System)受信部20と、操作部30と、通信部40と、表示ユニット50と、表示制御装置(車両用表示制御装置)60とを有する。
【0015】
カメラユニット10は、自車両Vの周囲を撮影するカメラである。カメラユニット10は、複数のカメラを含んでもよい。本実施形態では、カメラユニット10は、後方カメラ11と、左側後方カメラ12と、右側後方カメラ13とを含む。以下の説明において、後方カメラ11と左側後方カメラ12と右側後方カメラ13との区別を特に要しない場合、カメラユニット10と記載する。
【0016】
後方カメラ11は、自車両Vの後方に配置され、自車両Vの後方を中心とした周辺を撮影する。後方カメラ11は、撮影した後方映像データを表示制御装置60の映像データ取得部61へ出力する。
【0017】
左側後方カメラ12は、自車両Vの左側方に配置され、自車両Vの左側後方を中心とした周辺を撮影する。左側後方カメラ12は、左サイドモニタ52に表示される左側後方映像を撮影する。左側後方カメラ12は、撮影した左側後方映像データを表示制御装置60の映像データ取得部61へ出力する。
【0018】
右側後方カメラ13は、自車両Vの右側方に配置され、自車両Vの右側後方を中心とした周辺を撮影する。右側後方カメラ13は、右サイドモニタ53に表示される右側後方映像を撮影する。右側後方カメラ13は、撮影した右側後方映像データを表示制御装置60の映像データ取得部61へ出力する。
【0019】
GPS受信部20は、図示しないGPS衛星から電波を受信する。GPS受信部20は、受信した電波の信号を表示制御装置60の第一位置情報取得部64へ出力する。
【0020】
操作部30は、表示システム1に対するユーザからの各種の操作を受け付ける。操作部30は、例えば、物理的な操作手段や、表示ユニット50に配置されたタッチパネル、遠隔操作装置などで実現することができる。例えば、操作部30は、他車両を登録する操作を受付可能である。
【0021】
通信部40は、通信ユニットである。通信部40は、有線または無線によって外部機器との間で情報の通信を行う。通信部40は、インターネット、携帯電話回線、車車間通信、路車間通信などいずれの方法で通信を行ってもよい。また、通信部40は、情報通信機器と通信してもよく、情報通信機器を通じて外部機器とデータの送受信を行ってもよい。
【0022】
表示ユニット50は、例えば、光学式のミラーを代替する電子ミラーである。本実施形態では、表示ユニット50は、リヤビューモニタ51と、左サイドモニタ52と、右サイドモニタ53とを有する。以下の説明において、リヤビューモニタ51と左サイドモニタ52と右サイドモニタ53との区別を特に要しない場合、表示ユニット50と記載する。
【0023】
リヤビューモニタ51は、一例としては電子ルームミラーである。リヤビューモニタ51を電子ルームミラーとして用いる場合、後方を光学的な反射により確認するためのハーフミラーの有無は問わない。リヤビューモニタ51は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。リヤビューモニタ51は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、リヤビューモニタ51は、図2に示すように、自車両Vの運転者前方の、ウィンドシールドSの車幅方向の中央上部に配置されている。リヤビューモニタ51は、ダッシュボードDの車幅方向の中央上部に配置されていてもよい。リヤビューモニタ51は、表示制御装置60の表示制御部70から出力された映像信号に基づき、自車両Vの後方映像を表示させる。リヤビューモニタ51には、従来の光学式ルームミラーで視認される範囲と同等の範囲で切出された後方表示映像110が表示される。
【0024】
左サイドモニタ52は、一例としては電子左サイドミラーである。左サイドモニタ52は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどを含むディスプレイである。左サイドモニタ52は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、左サイドモニタ52は、図2に示すように、自車両Vの運転者前方の、ダッシュボードDの車幅方向の左側に配置されている。左サイドモニタ52には、表示制御装置60の表示制御部70から出力された映像信号に基づき、自車両Vの左側後方映像が表示される。
【0025】
右サイドモニタ53は、一例としては電子右サイドミラーである。右サイドモニタ53は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどを含むディスプレイである。右サイドモニタ53は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、右サイドモニタ53は、図2に示すように、自車両Vの運転者前方の、ダッシュボードDの車幅方向の右側に配置されている。右サイドモニタ53には、表示制御装置60の表示制御部70から出力された映像信号に基づき、自車両Vの右側後方映像が表示される。
【0026】
表示制御装置60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。表示制御装置60は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。表示制御装置60は、バス80に接続された、映像データ取得部61と、操作制御部62と、通信制御部63と、第一位置情報取得部64と、他車両情報取得部65と、走行情報取得部66と、他車両検出部67と、他車両判定部68と、表示映像生成部69と、表示制御部70とを有する。
【0027】
映像データ取得部61は、カメラユニット10から自車両Vの周辺を撮影した映像データを取得する。より詳しくは、映像データ取得部61は、後方カメラ11が出力した後方映像を示す後方映像データと、右側後方カメラ13が出力した右側後方映像を示す右側後方映像データと、左側後方カメラ12が出力した左側後方映像を示す左側後方映像データとを取得する。映像データ取得部61は、取得した映像データを他車両検出部67と、表示制御部70とへ出力する。
【0028】
操作制御部62は、操作部30がユーザから受け付けた、表示システム1に対する操作信号を受け付ける。操作制御部62は、例えば、操作信号に基づいて、ユーザが操作部30を介して入力した他車両特定情報を記憶部に記憶させる。
【0029】
通信制御部63は、通信部40を制御して、外部機器との通信を制御する。
【0030】
第一位置情報取得部64は、自車両Vの現在位置を示す第一位置情報を取得する。第一位置情報取得部64は、GPS受信部20によって取得した自車両Vの現在位置情報を取得する。第一位置情報取得部64は、第一位置情報を他車両判定部68へ出力する。
【0031】
他車両情報取得部65は、登録された他車両の現在位置を示す第二位置情報を取得する。他車両情報取得部65は、通信部40を介して、登録された他車両から、他車両の現在位置情報を第二位置情報として取得する。他車両情報取得部65は、第二位置情報を他車両判定部68へ出力する。
【0032】
また、他車両情報取得部65は、登録された他車両を特定するための他車両特定情報を取得する。他車両情報取得部65は、他車両特定情報を他車両判定部68へ出力する。
【0033】
他車両特定情報は、例えば、家族または知人が運転する登録された他車両を特定可能な情報である。他車両特定情報は、例えば、連れ立って走行する登録された他車両を特定可能な情報である。または、他車両特定情報は、例えば、蛇行運転または居眠り運転の可能性が高い車両のように、走行中に見つけて登録した、動向を留意したい他車両を特定可能な情報である。他車両特定情報は、他車両を外観によって特定可能な情報である。
【0034】
他車両特定情報は、例えば、車両の外周面に配置されたナンバープレートに記載された数字と文字と記号とを組み合わせた識別文字列の情報、または、車種と車体の色との情報、車両の形状の情報である。他車両特定情報は、例えば、登録した他車両の画像データであってもよい。
【0035】
他車両特定情報は、あらかじめユーザによって登録されて、記憶部に記憶される。または、他車両特定情報は、表示システム1の起動時または動作中など、任意のタイミングで、ユーザによって登録されて、記憶部に記憶される。
【0036】
他車両特定情報は、ユーザが識別文字列の情報、または、車種と車体の色との情報を、操作部30に入力することによって登録される。または、他車両特定情報は、ユーザが表示ユニット50に表示された表示映像の他車両映像をタッチ操作することによって、認識された他車両の外観や、認識されたナンバープレートなどが他車両特定情報として登録されてもよい。
【0037】
他車両特定情報は、ユーザが削除処理を行うまで記憶部に記憶されていてもよい。他車両特定情報は、表示映像の表示を終了するまでの間、記憶部に記憶して、表示映像の表示を終了する際に、記憶部から削除してもよい。他車両特定情報は、ナビゲーションシステムに目的地が設定されている場合、目的地に到着するまでの間、記憶部に記憶して、目的地に到着した後、表示映像の表示を終了する際に、削除してもよい。
【0038】
走行情報取得部66は、自車両Vの走行情報を取得する。走行情報は、自車両Vの速度情報を含む。走行情報取得部66は、CAN(Controller Area Network)等の通信を介して自車両Vの走行情報を取得する。走行情報取得部66は、自車両Vの走行情報に加えて、通信部40を介して、登録された他車両から、他車両の走行情報を取得してもよい。
【0039】
走行情報取得部66は、自車両Vが走行中の道路の道路情報を取得してもよい。道路情報は、走行中の道路が高速道路であるか一般道路であるかを示す情報、走行中の道路の制限速度情報、または、走行中の道路の渋滞情報を含む。走行情報取得部66は、通信部40を介して、外部機器から道路情報を取得する。
【0040】
走行情報取得部66は、自車両Vの所定区間の平均走行速度を示す平均走行速度情報を取得してもよい。走行情報取得部66は、CAN等の通信を介して、自車両Vの平均走行速度情報を取得する。
【0041】
他車両検出部67は、映像データ取得部61が取得した映像データから、車両を認識して検出する。より詳しくは、他車両検出部67は、映像データに対して、例えば、車両認識辞書を使用して、映像データに写された車両を認識する。他車両検出部67は、映像データに含まれる全ての車両を認識してもよく、映像データに対して所定以上の大きさで写されている車両を認識することとしてもよい。他車両検出部67は、後方映像データから、自車両Vの後方に存在する車両を検出する。他車両検出部67は、左側後方映像データから、自車両Vの左側後方に存在する車両を検出する。他車両検出部67は、右側後方映像データから、自車両Vの右側後方に存在する車両を検出する。
【0042】
他車両判定部68は、第一位置情報と第二位置情報との対比、および、他車両検出部67が検出した検出結果と、他車両情報取得部65が取得した他車両特定情報との対比に基づいて、映像データに他車両情報取得部65で特定された他車両が含まれていることを判定する。
【0043】
より詳しくは、他車両判定部68は、第一位置情報取得部64が取得した自車両Vの現在位置を示す第一位置情報と、他車両情報取得部65が取得した他車両の現在位置を示す第二位置情報とを対比して、自車両Vと他車両との距離が閾値未満であるかを判定する。閾値は、例えば、映像データの撮影範囲に対応する距離とすることが好ましい。閾値は、例えば、500m程度とする。
【0044】
また、他車両判定部68は、他車両検出部67が検出した映像データの車両に画像処理を行って、他車両情報取得部65が取得した他車両特定情報に一致する車両の有無を判定する。より詳しくは、他車両判定部68は、検出した映像データの車両に画像処理を行って、例えば、識別文字列、または、車種や車両の形状、車体の色などを認識する。そして、他車両判定部68は、映像データから認識した情報と、他車両特定情報とを対比して、例えば、識別文字列、または、車種や車両の形状、車体の色などが一致するかを判定する。
【0045】
このようにして、他車両判定部68は、自車両Vと他車両との距離が閾値未満であり、映像データから認識された情報が他車両特定情報に一致する場合、あらかじめ登録された他車両が存在すると判定する。他車両判定部68は、自車両Vと他車両との距離が閾値未満ではない場合、または、映像データから認識された情報が他車両特定情報に一致しない場合、あらかじめ登録された他車両が存在しないと判定する。
【0046】
また、他車両判定部68は、第一位置情報と第二位置情報とを対比し、第二位置情報が第一位置情報に対してカメラユニット10の撮影方向を示しており、かつ、第一位置情報と第二位置情報とが所定距離未満である場合、他車両検出部67が検出した検出結果と、他車両情報取得部65が取得した他車両特定情報とを対比して一致した場合、映像データに他車両が含まれていると判定する。
【0047】
より詳しくは、他車両判定部68は、第二位置情報が、カメラユニット10の撮影範囲に含まれる場合、第二位置情報が第一位置情報に対してカメラユニット10の撮影方向を示すと判定する。本実施形態では、他車両判定部68は、第二位置情報が、後方カメラ11の撮影範囲、左側後方カメラ12の撮影範囲、または、右側後方カメラ13の撮影範囲のいずれかに含まれる場合、第二位置情報が第一位置情報に対してカメラユニット10の撮影方向を示すと判定する。
【0048】
このようにして、他車両判定部68は、他車両がカメラユニット10の撮影範囲に含まれ、自車両Vと他車両との距離が閾値未満であり、映像データから認識された情報が他車両特定情報に一致する場合、他車両が存在すると判定する。
【0049】
さらに、他車両判定部68は、走行情報取得部66が取得した走行情報によって、映像データに登録された他車両が含まれていると判断するための第一位置情報と第二位置情報との距離の閾値を変動させてもよい。より詳しくは、他車両判定部68は、走行情報が示す速度に応じて、距離の閾値を変動させてもよい。例えば、他車両判定部68は、速度が高いほど、閾値を長くしてもよい。
【0050】
さらに、他車両判定部68は、走行情報取得部66が取得した走行中の道路情報が走行速度の比較的高い道路であることを示す場合、第一位置情報と第二位置情報との距離の閾値を、走行速度の比較的低い道路であることを示す場合より長くしてもよい。例えば、他車両判定部68は、走行中の道路情報が高速道路であることを示す場合、距離の閾値を、一般道であることを示す場合に比べて長くしてもよい。
【0051】
さらに、他車両判定部68は、走行情報取得部66が取得した平均走行速度情報が自車両Vの平均走行速度が比較的高いことを示す場合、第一位置情報と第二位置情報との距離の閾値を、平均走行速度情報が平均走行速度が比較的低いことを示す場合より長くしてもよい。
【0052】
表示映像生成部69は、映像データ取得部61が取得した映像データから、表示ユニット50の表示範囲に合わせて切出した表示映像を生成する。より詳しくは、表示映像生成部69は、後方映像データから、リヤビューモニタ51の表示範囲に合わせて切出した後方表示映像110を生成する。表示映像生成部69は、左側後方映像データから、左サイドモニタ52の表示範囲に合わせて切出した左側後方表示映像を生成する。表示映像生成部69は、右側後方映像データから、右サイドモニタ53の表示範囲に合わせて切出した右側後方表示映像を生成する。以下の説明において、後方表示映像110と左側後方表示映像と右側後方表示映像との区別を特に要しない場合、表示映像と記載する。
【0053】
また、表示映像生成部69は、他車両判定部68が映像データに登録された他車両が含まれていると判定した場合、映像データに加えて登録された他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成する。より詳しくは、表示映像生成部69は、後方映像データに登録された他車両が含まれていると判定した場合、後方映像データに加えて登録された他車両の存在を示す情報を含めた後方表示映像110を生成する。表示映像生成部69は、左側後方映像データに登録された他車両が含まれていると判定した場合、左側後方映像データに加えて登録された他車両の存在を示す情報を含めた左側後方表示映像を生成する。表示映像生成部69は、右側後方映像データに登録された他車両が含まれていると判定した場合、右側後方映像データに加えて登録された他車両の存在を示す情報を含めた右側後方表示映像を生成する。
【0054】
登録された他車両の存在を示す情報は、例えば、他車両の映像を囲んで強調する枠の映像や、他車両特定情報に基づいて他車両を示す「○○さんの車」といった文字情報である。
【0055】
図3ないし図5を用いて、表示映像の一例として、リヤビューモニタ51に表示された後方表示映像110について説明する。図3は、自車両と登録された他車両との位置関係の一例を示す図である。図4は、第一実施形態に係る表示システムで生成した表示映像の一例を示す図である。図5は、第一実施形態に係る表示システムで生成した表示映像の他の例を示す図である。図3に示すように、登録された他車両V1が自車両Vの後方に存在する場合について説明する。図4に示すように、リヤビューモニタ51に表示された後方表示映像110には、他車両映像111に重ねて登録された他車両の存在を示す情報として枠映像150が表示される。または、図5に示すように、後方表示映像110には、登録された他車両映像111と、第三の車両映像112、第三の車両映像113とが写っている。他車両映像111に重ねて「○○さんの車」との他車両の存在を示す情報を含む吹出映像160が表示される。
【0056】
図6を用いて、表示映像の他の例について説明する。図6は、自車両と登録された他車両との位置関係の他の例を示す図である。図6に示すように、登録された他車両V2が自車両Vの右側後方に存在する場合、右サイドモニタ53に表示された右側後方表示映像において、他車両映像に重ねた枠映像を表示させたり、吹出映像を表示させたりする。
【0057】
表示制御部70は、表示映像生成部69が生成した表示映像を表示ユニット50に表示させる。より詳しくは、表示制御部70は、表示映像生成部69が生成した後方表示映像110をリヤビューモニタ51に表示させる。表示制御部70は、表示映像生成部69が生成した左側後方表示映像を左サイドモニタ52に表示させる。表示制御部70は、表示映像生成部69が生成した右側後方表示映像を右サイドモニタ53に表示させる。
【0058】
次に、図7を用いて、表示システム1の表示制御装置60における処理の流れについて説明する。図7は、第一実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
自車両Vの動作中、表示システム1が起動されている。表示制御装置60の映像データ取得部61は、後方カメラ11からの後方映像データと右側後方カメラ13からの右側後方映像データと左側後方カメラ12からの左側後方映像データとを取得する。
【0060】
表示制御装置60は、映像データの表示を開始する(ステップS100)。より詳しくは、表示制御装置60は、表示制御部70によって、表示映像生成部69が生成した表示映像を表示ユニット50に表示させる。表示制御装置60は、ステップS101に進む。
【0061】
表示制御装置60は、すでに他車両が登録されているか否かを判定する(ステップS101)。より詳しくは、表示制御装置60は、ステップS101の処理が2回目以降であり、前回以前の処理において、すでに他車両が登録されていると判定する場合(ステップS101でYes)、ステップS103に進む。表示制御装置60は、他車両が登録されていない場合や、他車両が登録されていても、既に登録されている他車両とは異なる新たな他車両を登録する場合は、他車両が特定されていないと判定し(ステップS101でNo)、ステップS102に進む。
【0062】
ステップS101で他車両が登録されていないと判定された場合、表示制御装置60は、他車両が新たに登録された否かを判定する(ステップS102)。より詳しくは、表示制御装置60は、他車両を登録する処理が行われ、登録された他車両を特定する他車両特定情報が取得されたか否かを判定する。表示制御装置60は、他車両が登録されている場合(ステップS101でYes)または他車両が登録された場合(ステップS102でYes)、ステップS103に進む。表示制御装置60は、他車両が登録されていないと判定する場合(ステップS102でNo)、ステップS108に進む。
【0063】
他車両が登録されている場合、表示制御装置60は、登録された他車両との距離が閾値未満であるかを判定する(ステップS103)。表示制御装置60は、第一位置情報と第二位置情報との距離が閾値未満である場合(ステップS103でYes)、ステップS104に進む。表示制御装置60は、第一位置情報と第二位置情報との距離が閾値未満ではない場合(ステップS103でNo)、ステップS106に進む。
【0064】
ステップS103において、登録された他車両との距離が閾値未満であると判定された場合、表示制御装置60は、映像データ取得部61が取得した映像データに登録された他車両が写っているかを判定する(ステップS104)。表示制御装置60は、映像データに登録された他車両が写っている場合(ステップS104でYes)、ステップS105に進む。表示制御装置60は、映像データに登録された他車両が写っていない場合(ステップS104でNo)、ステップS108に進む。
【0065】
映像データに登録された他車両が写っている場合、表示制御装置60は、表示ユニット50に表示されている表示映像に、登録された他車両の存在を示す情報を表示する(ステップS105)。より詳しくは、表示制御装置60は、表示映像生成部69によって、映像データに加えて登録された他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成する。そして、表示制御装置60は、表示制御部70によって、表示映像生成部69が生成した表示映像を表示ユニット50に表示させる。表示制御装置60は、ステップS108に進む。
【0066】
ステップS103において、登録された他車両との距離が閾値未満ではないと判定された場合、表示制御装置60は、表示ユニット50に表示されている表示映像に、登録された他車両の存在を示す情報を表示中であるかを判定する(ステップS106)。表示制御装置60は、登録された他車両の存在を示す情報を表示中であると判定する場合(ステップS106でYes)、ステップS107に進む。表示制御装置60は、登録された他車両の存在を示す情報を表示中ではないと判定する場合(ステップS106でNo)、ステップS108に進む。
【0067】
ステップS106において、登録された他車両の存在を示す情報を表示中であると判定された場合、表示制御装置60は、表示ユニット50に表示されている表示映像において、登録された他車両の存在を示す情報の表示を停止する(ステップS107)。表示制御装置60は、ステップS108に進む。
【0068】
表示制御装置60は、表示映像の表示を終了するかを判定する(ステップS108)。より詳しくは、表示制御装置60は、終了トリガの有無に基づいて、表示映像の表示を終了するか否かを判定する。終了トリガは、例えば、エンジンオフ、ギヤをパーキングに入れた、サイドブレーキを動作させたなどの組合せで終了トリガとなる。終了トリガは、ユーザの操作によって終了トリガとなってもよい。表示制御装置60は、終了トリガがある場合、表示映像の表示を終了すると判定し(ステップS108でYes)、処理を終了する。表示制御装置60は、終了トリガがない場合、表示映像の表示を終了しないと判定し(ステップS108でNo)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0069】
このようにして、登録された他車両が映像データに存在する場合、登録された他車両の存在を示す情報を、表示ユニット50のリヤビューモニタ51、左サイドモニタ52、または、右サイドモニタ53に後方表示映像110、左側後方表示映像、または、右側後方表示映像として表示する。
【0070】
本実施形態は、あらかじめ登録された他車両が映像データに存在する場合、周囲を撮影した映像データに加えて他車両の存在を示す情報を含める。本実施形態によれば、表示映像によって、他車両の確認を適切に行うことができる。
【0071】
本実施形態によれば、例えば、家族または知人が運転する他車両が近くを走行していることを、表示ユニット50に表示された表示映像を視認することによって、容易に認識することができる。本実施形態によれば、例えば、複数の車両で連れ立って走行する際に、表示ユニット50に表示された表示映像を視認することによって、適切に追従していることを容易に認識することができる。または、他車両特定情報は、例えば、蛇行運転または居眠り運転の可能性が高い車両のように、動向を留意したい他車両が近くを走行している場合、表示ユニット50に表示された表示映像を視認することによって、他車両の存在を容易に認識することができる。
【0072】
[第二実施形態]
図8図9を参照しながら、本実施形態に係る表示システム1について説明する。図8は、第二実施形態に係る表示システムで生成した映像の一例を示す図である。図9は、第二実施形態に係る表示システムの表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。表示システム1は、基本的な構成は第一実施形態の表示システム1と同様である。以下の説明においては、表示システム1と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。表示システム1は、表示制御装置60の他車両判定部68と表示映像生成部69とにおける処理が、第一実施形態と異なる。
【0073】
他車両判定部68は、第一位置情報と第二位置情報とを対比し、第二位置情報が第一位置情報に対してカメラユニット10の撮影方向を示しており、かつ、第一位置情報と第二位置情報との距離が所定距離未満である場合、他車両検出部67が検出した検出結果と、他車両情報取得部65が取得した他車両特定情報とを対比して一致した後、映像データに他車両が含まれない状態となっても、映像データに他車両が含まれているとみなす。
【0074】
より詳しくは、他車両判定部68は、第二位置情報が第一位置情報に対してカメラユニット10の撮影方向を示しており、かつ、第一位置情報と第二位置情報との距離が所定距離未満である場合、一度、他車両判定部68が一致すると判定した後、自車両Vとあらかじめ登録された他車両との間に第三の車両が割り込んで、映像データに他車両が写らなくなったとしても、映像データに他車両が含まれているとみなす。
【0075】
表示映像生成部69は、他車両判定部68が映像データに他車両が含まれているとみなすと判定した場合、映像データに加えて他車両の存在を示す情報を含めた表示映像を生成する。本実施形態では、表示映像生成部69は、映像データにおいて、他車両の位置に対応した枠映像170を吹出映像160とともに表示する。
【0076】
図8を用いて、表示映像の一例として、リヤビューモニタ51に表示された後方表示映像110について説明する。後方表示映像110には、あらかじめ登録された他車両以外の、第三の車両映像114、第三の車両映像115が表示される。あらかじめ登録された他車両の第二位置情報に基づいて、他車両が第三の車両映像114に隠れた位置にいることが判定される。そこで、登録された他車両が第三の車両映像114の陰にかくれていることがわかるように、第三の車両映像114に重ねて「○○さんの車」との他車両の存在を示す情報を含む吹出映像160と破線の枠映像170とを表示する。
【0077】
図9を用いて、表示システム1の表示制御装置60における処理の流れについて説明する。図9に示すフローチャートのステップS200ないしステップS205、ステップS209ないしステップS211の処理は、図7に示すフローチャートのステップS100ないしステップS105、ステップS106ないしステップS108と同様の処理を行う。
【0078】
表示制御装置60は、映像データ取得部61が取得した映像データに他車両が写っているかを判定する(ステップS206)。表示制御装置60は、映像データに登録された他車両が写っている場合(ステップS206でYes)、ステップS211に進む。表示制御装置60は、映像データに登録された他車両が写っていない場合(ステップS206でNo)、ステップS207に進む。
【0079】
表示制御装置60は、登録された他車両との距離が閾値未満であるかを判定する(ステップS207)。表示制御装置60は、第一位置情報と第二位置情報との距離が閾値未満である場合(ステップS207でYes)、ステップS208に進む。表示制御装置60は、第一位置情報と第二位置情報との距離が閾値未満ではない場合(ステップS207でNo)、ステップS210に進む。
【0080】
表示制御装置60は、表示ユニット50に表示されている表示映像に、登録された他車両の存在を示す情報を表示する(ステップS208)。表示制御装置60は、ステップS211に進む。
【0081】
このようにして、第二位置情報が第一位置情報に対してカメラユニット10の撮影方向を示しており、かつ、第一位置情報と第二位置情報との距離が所定距離未満である場合、他車両判定部68が一致すると判定した後、映像データに登録された他車両が写らなくなったとしても、映像データに登録された他車両が含まれているとみなす。
【0082】
上述したように、本実施形態は、第二位置情報が第一位置情報に対してカメラユニット10の撮影方向を示しており、かつ、第一位置情報と第二位置情報との距離が所定距離未満である場合、他車両判定部68が一致すると判定した後、映像データに登録された他車両が写らなくなったとしても、映像データに他車両が含まれているとみなして、登録された他車両の存在を示す情報を表示映像に表示することができる。本実施形態によれば、自車両Vと登録された他車両との間に第三の車両が割り込んで、映像データに他車両が写らなくなったとしても、表示映像によって、登録された他車両の位置を確認しやすくすることができる。
【0083】
さて、これまで本発明に係る表示システム1について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0084】
図示した表示システム1の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部分を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0085】
表示システム1の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0086】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0087】
表示ユニット50に表示映像が表示され、登録された他車両の存在を示す情報として枠映像150または吹出映像160が表示されているとき、ユーザが枠映像150または吹出映像160をタッチ操作することによって、当該他車両の登録を解除可能にしてもよい。これにより、例えば、他車両を誤って登録した場合、または、他車両判定部68によって誤って第三の車両が登録された他車両であると判定された場合、ユーザによって当該他車両の登録を解除することができる。
【0088】
他車両特定情報は、自車両Vと他車両とが相互に登録することによって、記憶部へ記憶されることが好ましい。相互に登録することによって、連れ立って走行する際に、相互の位置を認識しやすくすることができる。また、自車両Vと他車両が相互に登録することで、上述した機能が実行されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 表示システム(車両用表示システム)
10 カメラユニット(撮影部)
11 後方カメラ
12 左側後方カメラ
13 右側後方カメラ
50 表示ユニット(表示部)
51 リヤビューモニタ
52 左サイドモニタ
53 右サイドモニタ
60 表示制御装置(車両用表示制御装置)
61 映像データ取得部
62 操作制御部
63 通信制御部
64 第一位置情報取得部
65 他車両情報取得部
66 走行情報取得部
67 他車両検出部
68 他車両判定部
69 表示映像生成部
70 表示制御部
110 後方表示映像
111 他車両映像
150 枠映像(他車両の存在を示す情報)
160 吹出映像(他車両の存在を示す情報)
V 自車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9