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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】ドア制御装置及びドア制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20220628BHJP
   E05F 15/60 20150101ALI20220628BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01H9/54 C
E05F15/60
B60J5/04 C
H01H9/54 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019051140
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020155264
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】日吉 武男
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-69124(JP,A)
【文献】特開2012-104252(JP,A)
【文献】特開2015-86532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の操作に応じてバスに設けられているドアを開くための開制御信号を出力する第1回路から、前記開制御信号を取得するとともに、前記操作部の操作に応じて前記ドアを閉じるための閉制御信号を出力する第2回路から、前記閉制御信号を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記開制御信号と、前記閉制御信号との切り替わり状態に基づいて、前記第1回路、前記第2回路又は前記操作部における不具合の発生を検出する不具合検出部と、
前記不具合検出部が前記不具合の発生を検出すると、前記第1回路及び前記第2回路のうち、前記不具合に影響しない回路を特定し、前記取得部が当該回路から取得する制御信号に基づいて、前記ドアの開閉制御を行うドア制御部と、
を備えるドア制御装置。
【請求項2】
前記開制御信号は、前記ドアを開くことを指示する開指示状態、又は前記ドアを開くことを指示しない開不指示状態のいずれかを示し、
前記閉制御信号は、前記ドアを閉じることを指示する閉指示状態、又は前記ドアを開じることを指示しない閉不指示状態のいずれかを示し、
前記不具合検出部は、前記取得部が取得した前記開制御信号が開不指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉不指示状態を示している状態、又は前記開制御信号が開指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉指示状態を示している状態のいずれかが所定時間以上継続した後、前記取得部が取得した前記開制御信号が開指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉不指示状態を示している第1状態、又は前記開制御信号が開不指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉指示状態を示している第2状態と、前記第1状態又は前記第2状態とは異なる状態とが所定回数切り替わると、前記不具合の発生を検出する、
請求項1に記載のドア制御装置。
【請求項3】
前記不具合検出部が前記不具合の発生を検出すると、前記不具合が発生していることを示す情報を通知する通知部をさらに備える、
請求項1又は2に記載のドア制御装置。
【請求項4】
前記不具合検出部が前記不具合の発生を検出すると、前記不具合が発生していることを示す情報を記憶部に記憶させる記憶制御部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のドア制御装置。
【請求項5】
バスに設けられているコンピュータが実行する、
操作部の操作に応じてバスに設けられているドアを開くための開制御信号を出力する第1回路から、前記開制御信号を取得するとともに、前記操作部の操作に応じて前記ドアを閉じるための閉制御信号を出力する第2回路から、前記閉制御信号を取得するステップと、
取得された前記開制御信号と、前記閉制御信号との切り替わり状態に基づいて、前記第1回路又は前記第2回路における不具合の発生を検出するステップと、
前記不具合の発生が検出されると、前記不具合に影響しない回路を特定し、当該回路から取得される制御信号に基づいて、前記ドアの開閉制御を行うステップと、
を備えるドア制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスに設けられているドアの開閉を制御するドア制御装置及びドア制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスに設けられているドアの開閉を制御する装置が知られている。例えば、特許文献1には、運転者によるシーソー式トグルスイッチの操作部の操作に応じて検出される、ドアを開く指示とドアを閉じる指示とに基づいて、ドアの開閉を制御する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-69124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、シーソー式トグルスイッチの操作部の操作に基づいてドアの開閉を制御することから、ドアを開く指示が行われるとともにドアを閉じる指示が行われない組み合わせ、又は、ドアを開く指示が行われないとともにドアを閉じる指示が行われる組み合わせに限定してドアの開閉制御が行われる。したがって、ドアを開く指示を行うための信号を出力する回路やドアを閉じる指示を行うための信号を出力する回路のいずれかに故障が発生した場合には、運転者が操作部を操作しても、上述した2つの組み合わせの一方にしか遷移できず、ドアの開閉制御が行われなくなるという問題が発生する。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ドアの開閉制御が行われなくことを抑制することができるドア制御装置及びドア制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るドア制御装置は、操作部の操作に応じてバスに設けられているドアを開くための開制御信号を出力する第1回路から、前記開制御信号を取得するとともに、前記操作部の操作に応じて前記ドアを閉じるための閉制御信号を出力する第2回路から、前記閉制御信号を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記開制御信号と、前記閉制御信号との切り替わり状態に基づいて、前記第1回路、前記第2回路又は前記操作部における不具合の発生を検出する不具合検出部と、前記不具合検出部が前記不具合の発生を検出すると、前記第1回路及び前記第2回路のうち、前記不具合に影響しない回路を特定し、前記取得部が当該回路から取得する制御信号に基づいて、前記ドアの開閉制御を行うドア制御部と、を備える。
【0007】
前記開制御信号は、前記ドアを開くことを指示する開指示状態、又は前記ドアを開くことを指示しない開不指示状態のいずれかを示し、前記閉制御信号は、前記ドアを閉じることを指示する閉指示状態、又は前記ドアを開じることを指示しない閉不指示状態のいずれかを示し、前記不具合検出部は、前記取得部が取得した前記開制御信号が開不指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉不指示状態を示している状態、又は前記開制御信号が開指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉指示状態を示している状態のいずれかが所定時間以上継続した後、前記取得部が取得した前記開制御信号が開指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉不指示状態を示している第1状態、又は前記開制御信号が開不指示状態を示すとともに前記閉制御信号が閉指示状態を示している第2状態と、前記第1状態又は前記第2状態とは異なる状態とが所定回数切り替わると、前記不具合の発生を検出してもよい。
【0008】
前記ドア制御装置は、前記不具合検出部が前記不具合の発生を検出すると、前記不具合が発生していることを示す情報を通知する通知部をさらに備えてもよい。
前記ドア制御装置は、前記不具合検出部が前記不具合の発生を検出すると、前記不具合が発生していることを示す情報を記憶部に記憶させる記憶制御部をさらに備えてもよい。
【0009】
本発明の第2の態様に係るドア制御方法は、バスに設けられているコンピュータが実行する、操作部の操作に応じてバスに設けられているドアを開くための開制御信号を出力する第1回路から、前記開制御信号を取得するとともに、前記操作部の操作に応じて前記ドアを閉じるための閉制御信号を出力する第2回路から、前記閉制御信号を取得するステップと、取得された前記開制御信号と、前記閉制御信号との切り替わり状態に基づいて、前記第1回路又は前記第2回路における不具合の発生を検出するステップと、前記不具合の発生が検出されると、前記不具合に影響しない回路を特定し、当該回路から取得される制御信号に基づいて、前記ドアの開閉制御を行うステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドアの開閉制御が行われなくことを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るバスにおけるドア制御機構を説明するための図である。
図2】本実施形態に係るドア制御装置の構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る開制御信号と、閉制御信号との組み合わせが示す状態を説明する図である。
図4】本実施形態に係るドア制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[ドア制御装置4の概要]
本実施形態に係るドア制御装置4の概要について説明する。まず、ドア制御装置4を含む、路線バス等のバスにおけるドア制御機構100について説明する。図1は、本実施形態に係るバスにおけるドア制御機構100を説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、ドア制御機構100は、操作部1と、第1回路2と、第2回路3と、ドア制御装置4と、アクチュエータ5と、ドア6とを備える。操作部1は、バスの運転者が、ドア6の開閉を操作するために用いられる。操作部1は、レバー11と、滑動子12と、可動切片13と、第1接触部14と、第2接触部15と、第1端子16と、第2端子17とを備える。
【0014】
レバー11の内部には、例えばコイルバネが組み込まれており、レバー11の可動切片13側の端部に取り付けられている滑動子12を付勢する。滑動子12は、運転者によるレバー11の操作に応じて、シーソー形の可動切片13を押圧しながら、可動切片13上を移動する。これにより、可動切片13は、中央部を支点としてシーソー運動を行う。可動切片13の両端には、第1接触部14と第2接触部15とが設けられている。可動切片13のシーソー運動に伴い、第1接触部14が第1端子16に接触する状態、第2接触部15が第2端子17に接触する状態、又は第1接触部14及び第2接触部15がいずれも第1端子16及び第2端子17に接触しない状態のいずれかの状態となる。
【0015】
第1回路2は、バスに設けられているドア6を開くための開制御信号を出力する。開制御信号は、ドア6を開くことを指示する開指示状態、又はドア6を開くことを指示しない開不指示状態のいずれかを示す。開指示状態は、例えば、第1回路2の出力側がグランドと接続されている状態(GND状態)であり、開不指示状態は、第1回路2の出力側がグランドと接続されていない状態(OPEN状態)である。第1回路2は、第1接触部14が第1端子16に接触している場合に、開制御信号としてGND状態を示す信号を出力し、第1接触部14が第1端子16に接触していない場合に、開制御信号としてOPEN状態を示す信号を出力する。
【0016】
第2回路3は、バスに設けられているドア6を開くための閉制御信号を出力する。閉制御信号は、ドア6を閉じることを指示する閉指示状態、又はドア6を閉じることを指示しない閉不指示状態のいずれかを示す。閉指示状態は、例えば、第2回路3の出力側がグランドと接続されている状態(GND状態)であり、閉不指示状態は、第2回路3の出力側がグランドと接続されていない状態(OPEN状態)である。第2回路3は、第2接触部15が第2端子17に接触している場合に、閉制御信号としてGND状態を示す信号を出力し、第2接触部15が第2端子17に接触していない場合に、閉制御信号としてOPEN状態を示す信号を出力する。
【0017】
ドア制御装置4は、例えば、バスに搭載されるドアECU(Electronic Control Unit)であり、第1回路2、第2回路3、及びアクチュエータ5と電気的に接続されている。ドア制御装置4は、第1回路2から出力される開制御信号と、第2回路3から出力される閉制御信号とに基づいて、アクチュエータ5を制御することにより、ドア6の開閉を制御する。
【0018】
本実施形態において、ドア制御装置4は、開制御信号として開指示状態を示す信号が出力されているとともに、閉制御信号として閉不指示状態を示す信号が出力されている場合、又は、開制御信号として開不指示状態を示す信号が出力されているとともに、閉制御信号として閉指示状態を示す信号が出力されている場合に、ドアの開閉条件を満たすと判定し、アクチュエータ5を制御することによりドア6の開閉を制御する。
【0019】
ところで、第1回路2及び第2回路3において、回路内部の線路がショートすること等により、開制御信号又は閉制御信号の出力に不具合が発生することがある。従来のドア制御装置では、上述したドア6の開閉条件を満たさない場合に、ドア6の開閉を制御することができず、運転者が操作部1を操作してもドア6の開閉ができなくなるという問題が発生することがある。
【0020】
これに対し、本実施形態に係るドア制御装置4は、開制御信号と、閉制御信号との切り替わり状態に基づいて、第1回路2又は第2回路3における不具合の発生を検出する。ドア制御装置4は、不具合が発生を検出したことに応じて、第1回路2又は第2回路3のうち、不具合に影響しない回路から出力される制御信号に基づいてドア6の開閉を制御する。このようにすることで、ドア制御装置4は、ドア6の開閉制御が行われなくなることを抑制することができる。
続いて、ドア制御装置4の構成について説明する。
【0021】
[ドア制御装置4の構成]
図2は、本実施形態に係るドア制御装置4の構成を示す図である。なお、図2では、ドア制御機構100の構成要素のうち、ドア制御装置4と、ドア制御装置4に電気的に接続されている第1回路2、第2回路3、アクチュエータ5、及び警告灯7を図示する。
【0022】
図2に示すように、ドア制御装置4は、記憶部41と、制御部42とを備えるコンピュータである。
記憶部41は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)やハードディスクである。記憶部41は、制御部42を機能させるための各種のプログラムを記憶する。記憶部41は、制御部42を、取得部421、不具合検出部422、記憶制御部423、ドア制御部424、及び通知部425として機能させるドア制御プログラムを記憶する。
【0023】
制御部42は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部42は、記憶部41に記憶されているドア制御プログラムを実行することにより、取得部421、不具合検出部422、記憶制御部423、ドア制御部424、及び通知部425として機能する。
【0024】
取得部421は、操作部1の操作に応じてバスに設けられているドア6を開くための開制御信号を出力する第1回路2から、開制御信号を取得するとともに、操作部1の操作に応じてドア6を閉じるための閉制御信号を出力する第2回路3から、閉制御信号を取得する。
【0025】
不具合検出部422は、取得部421が取得した開制御信号と、閉制御信号との切り替わり状態に基づいて、第1回路2、第2回路3又は操作部1における不具合の発生を検出する。
【0026】
ここで、開制御信号と、閉制御信号との組み合わせが示す状態について説明する。図3は、本実施形態に係る開制御信号と、閉制御信号との組み合わせが示す状態を説明する図である。図3に示すように、開制御信号と、閉制御信号との組み合わせが示す状態として、第1状態~第4状態がある。
【0027】
第1状態は、開制御信号がGNDを示し、閉制御信号がOPENを示す状態である。第1状態は、ドア6の開指示が行われることを示す。
第2状態は、開制御信号がOPENを示し、閉制御信号がGNDを示す状態である。第2状態は、ドア6の閉指示が行われることを示す。
【0028】
第3状態は、開制御信号及び閉制御信号がいずれもOPENを示す状態である。第3状態では、ドア6の開閉制御が行われない。第3状態は、第1回路2又は第2回路3のいずれかがショートしている場合に発生する。また、第3状態は、操作部1の操作状況によって、第1接触部14が第1端子16に接続していないとともに第2接触部15が第2端子17に接続していないことにより発生する。
【0029】
例えば、第2回路3がショートしている場合、運転者が操作部1を操作してドア6が開いている第1状態からドア6を閉じる第2状態に遷移させようとしても、第2状態に遷移せずに第3状態となる。また、第1回路2がショートしている場合、運転者が操作部1を操作してドア6が閉じている第2状態からドア6を開く第1状態に遷移させようとしても、第1状態に遷移せずに第3状態となる。
【0030】
第4状態は、開制御信号及び閉制御信号がいずれもGNDを示す状態である。第4状態では、ドア6の開閉制御が行われない。第4状態は、操作部1の故障により、第1接触部14が第1端子16に接続するとともに、第2接触部15が第2端子17に接続することにより発生する。例えば、運転者が操作部1を操作してドア6が開いている第1状態からドア6を閉じる第2状態に遷移させようとしても、操作部1の故障により第2状態に遷移せずに第4状態となることがある。また、運転者が操作部1を操作してドア6が閉じている第2状態からドア6を開く第1状態に遷移させようとしても、操作部1の故障により第1状態に遷移せずに第3状態となることがある。
【0031】
不具合検出部422は、取得部421が取得した開制御信号が開不指示状態(OPEN)を示すとともに閉制御信号が閉不指示状態(OPEN)を示している第3状態、又は開制御信号が開指示状態(GND)を示すとともに閉制御信号が閉指示状態(GND)を示している第4状態が所定時間以上継続したか否かを判定する。
【0032】
不具合検出部422は、第3状態又は第4状態が所定時間以上継続したと判定した後に、取得部421が取得した開制御信号が開指示状態(GND)を示すとともに閉制御信号が閉不指示状態(OPEN)を示している第1状態、又は開制御信号が開不指示状態(OPEN)を示すとともに閉制御信号が閉指示状態(GND)を示している第2状態と、第1状態又は第2状態とは異なる状態(第3状態又は第4状態)とが所定回数切り替わると、不具合の発生を検出する。
【0033】
具体的には、まず、不具合検出部422は、第3状態又は第4状態が所定時間以上継続したと判定した後に、第3状態又は第4状態から第1状態又は第2状態に切り替わったことを検出すると、計時を開始する。そして、不具合検出部422は、計時を開始してから第2時間以内に、第1状態又は第2状態と、第3状態又は第4状態とが所定回数切り替わると、不具合の発生を検出する。ここで、所定時間は例えば2秒、所定回数は例えば3回、第2時間は例えば10秒である。このようにすることで、ドア制御装置4は、操作部1における中途半端な操作により第3状態が発生した場合に、不具合として誤検出することを防止することができる。
【0034】
記憶制御部423は、不具合検出部422が不具合の発生を検出すると、不具合が発生したことを示す情報を記憶部41に記憶させる。具体的には、記憶制御部423は、不具合検出部422が不具合の発生を検出すると、不具合が発生したことを示す情報と、不具合が発生した時刻とを関連付けて不具合履歴情報として記憶部41に記憶させる。このようにすることで、例えば、バスの整備担当者は、記憶部41に記憶されている不具合履歴情報を参照することにより、不具合が発生していることを認識することができる。
【0035】
ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合の発生を検出していない場合、取得部421が第1回路2から取得する開制御信号と、第2回路3から取得する閉制御信号とに基づいてアクチュエータ5を制御することにより、ドア6の開閉制御を行う。ドア制御部424は、取得部421が取得した開制御信号と閉制御信号とが、図3に示す第1状態を示している場合、ドア6を開ける制御を行う。ドア制御部424は、取得部421が取得した開制御信号と閉制御信号とが、図3に示す第2状態を示している場合、ドア6を閉じる制御を行う。
【0036】
また、ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合の発生を検出すると、第1回路2及び第2回路3のうち、不具合に影響しない回路を特定し、取得部421が当該回路から取得する信号に基づいて、ドア6の開閉制御を行う。
【0037】
具体的には、ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合の発生を検出した後に取得部421が取得した開制御信号と閉制御信号とに基づいて、図3に示す状態の遷移を特定する。ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合の発生を検出した後に、第3状態から第1状態に遷移していることを特定すると、第1回路2を不具合に影響しない回路と特定する。また、ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合の発生を検出した後に、第3状態から第2状態に遷移していることを特定すると、第2回路3を不具合に影響しない回路と特定する。
【0038】
ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合の発生を検出した場合に、第4状態から第1状態に遷移していることを特定すると、第2回路3を不具合に影響しない回路と特定する。また、ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合の発生を検出した後に、第4状態から第2状態に遷移していることを特定すると、第1回路2を不具合に影響しない回路と特定する。
【0039】
そして、ドア制御部424は、不具合に影響しない回路から取得部421が取得する信号に基づいて、アクチュエータ5を制御することによりドア6の開閉制御を行う。例えば、ドア制御部424は、第1回路2を不具合に影響しない回路と特定した場合、第1回路2から出力される開制御信号がGNDを示している場合に、ドア6を開ける制御を行い、開制御信号がOPENを示している場合に、ドア6を閉じる制御を行う。また、ドア制御部424は、第2回路3を不具合に影響しない回路と特定した場合、第2回路3から出力される閉制御信号がOPENを示している場合に、ドア6を開ける制御を行い、開制御信号がGNDを示している場合に、ドア6を閉じる制御を行う。
【0040】
通知部425は、不具合検出部422が不具合の発生を検出すると、不具合が発生していることを示す情報を通知する。例えば、通知部425は、不具合検出部422が不具合の発生を検出すると、ドア6の開閉制御に不具合が発生していることを通知するための警告灯7を点灯させることにより、ドア6の開閉制御に不具合が発生したことを運転者に通知する。なお、通知部425は、音声により不具合が発生していることを通知したり、運転席に設けられている表示部に不具合が発生していることを示す情報を表示させることにより、不具合が発生していることを通知したりしてもよい。このようにすることで、運転者は、ドア6が動作するもののドア6の開閉制御に不具合が発生していることを認識し、整備依頼等を行うことができる。
【0041】
[ドア制御装置4における処理の流れ]
続いて、図4を参照しながら、ドア制御装置4における処理の流れについて説明する。図4は、本実施形態に係るドア制御装置4における処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
まず、取得部421は、第1回路2から開制御信号を取得するとともに、第2回路3から閉制御信号を取得する(S1)。
続いて、ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合を検出しているか否かを判定する(S2)。ドア制御部424は、不具合検出部422が不具合を検出していないと判定すると、S3に処理を移し、不具合を検出していると判定すると、S10に処理を移す。
【0043】
S3において、ドア制御部424は、S1において取得された開制御信号と、閉制御信号とが第1状態を示すか否かを判定する。ドア制御部424は、第1状態を示すと判定すると、S4に処理を移し、アクチュエータ5を制御することによりドア6を開くドア開制御を実行する。ドア制御部424は、第1状態を示さないと判定すると、S5に処理を移す。
【0044】
S5において、ドア制御部424は、S1において取得された開制御信号と、閉制御信号とが第2状態を示すか否かを判定する。ドア制御部424は、第2状態を示すと判定すると、S6に処理を移し、アクチュエータ5を制御することによりドア6を閉じるドア閉制御を実行する。ドア制御部424は、第2状態を示さないと判定すると、S7に処理を移す。
【0045】
S7において、不具合検出部422は、S1において取得された開制御信号と、閉制御信号とが第3状態又は第4状態を所定時間継続して示しているか否かを判定する。不具合検出部422は、第3状態又は第4状態を所定時間継続して示していると判定すると、S8に処理を移し、第3状態又は第4状態を所定時間継続して示していないと判定するとS1に処理を戻す。
【0046】
S8において、不具合検出部422は、S1において取得された開制御信号と、閉制御信号とが示す所定の状態の切り替わりが所定回数発生したか否かを判定する。ここで、所定の状態の切り替わりは、第1状態から第3状態又は第4状態への切り替わり、第2状態から第3状態又は第4状態への切り替わりである。不具合検出部422は、所定の状態の切り替わりが所定回数発生したと判定すると、不具合の発生を検出し(S9)、所定の状態の切り替わりが所定回数発生していないと判定すると、S1に処理を移す。
【0047】
S10において、ドア制御部424は、S1において取得された開制御信号と、閉制御信号とが示す状態の切り替わりに基づいて、第1回路2及び第2回路3のうち、不具合に影響しない回路を特定する。
【0048】
S11において、ドア制御部424は、S10において特定された回路から出力される制御信号に基づいてアクチュエータ5を制御することにより、ドア6の開閉制御を行う。
【0049】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るドア制御装置4は、第1回路2から開制御信号を取得するとともに、第2回路3から閉制御信号を取得し、当該開制御信号と閉制御信号との切り替わり状態に基づいて、第1回路2、第2回路3又は操作部1における不具合の発生を検出する。そして、ドア制御装置4は、不具合の発生を検出すると、第1回路2及び第2回路3のうち、不具合に影響しない回路を特定し、当該回路から取得する制御信号に基づいて、ドア6の開閉制御を行う。このようにすることで、ドア制御装置4は、ドア6の開閉制御が行われなくなることを抑制することができる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0051】
1・・・操作部
2・・・第1回路
3・・・第2回路
4・・・ドア制御装置
41・・・記憶部
42・・・制御部
421・・・取得部
422・・・不具合検出部
423・・・記憶制御部
424・・・ドア制御部
425・・・通知部
5・・・アクチュエータ
6・・・ドア
7・・・警告灯
100・・・ドア制御機構
図1
図2
図3
図4