(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】多極コネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/646 20110101AFI20220628BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20220628BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20220628BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01R13/646
H01R12/71
H05K3/36 Z
H05K1/11 D
(21)【出願番号】P 2020563125
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2019049503
(87)【国際公開番号】W WO2020137719
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2018244488
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 吉朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 葵
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0263109(US,A1)
【文献】特開2017-33909(JP,A)
【文献】特開2019-87382(JP,A)
【文献】特開2016-12567(JP,A)
【文献】実開平1-165574(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/646
H01R 12/71
H05K 3/36
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、
前記第1コネクタに嵌合が可能な構造を含む、第2コネクタと、
前記第1コネクタが実装される第1基板と、
前記第2コネクタが実装される第2基板と、
前記第1基板上に形成された第1グランド導体パターンと、
前記第2基板上に形成された第2グランド導体パターンと、
を備え、
前記第1コネクタは、
第1絶縁性部材と、
前記第1絶縁性部材に保持され、第1方向に配列された、複数の第1内部端子と、
前記第1絶縁性部材に保持され、接地電位に接続される、第1外部端子と、を備え、
前記第2基板は、
前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時において、前記第1外部端子と対向する位置に前記第2グランド導体パターンが存在しない、第2導体パターン非形成領域を有
し、
前記第1外部端子と前記第2グランド導体パターンとは、接触しておらず、離れている、
多極コネクタセット。
【請求項2】
前記第2コネクタは、第2外部端子を備え、
前記第1外部端子は、凸部を有し、
前記第2外部端子は、凹部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌合され、
前記第2導体パターン非形成領域は、前記凸部に重畳する、
請求項1に記載の多極コネクタセット。
【請求項3】
前記第2コネクタは、第2外部端子を備え、
前記第1外部端子は、外壁によって形成された凹部を有し、
前記第2外部端子は、凸部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌合され、
前記凸部と前記凹部との嵌合時において、前記第2導体パターン非形成領域は、前記外壁に重畳する、
請求項1に記載の多極コネクタセット。
【請求項4】
前記第2コネクタは、
第2絶縁性部材と、
前記第2絶縁性部材に保持された、複数の第2内部端子と、
前記第2絶縁性部材に保持され、接地電位に接続される第2外部端子と、を備え、
前記第1基板は、前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時において、前記第2外部端子と対向する位置に前記第1グランド導体パターンが存在しない第1導体パターン非形成領域を有する、
請求項2または3に記載の多極コネクタセット。
【請求項5】
前記第1導体パターン非形成領域は、平面視したとき、少なくとも1つの前記第1内部端子を囲むように形成される、
請求項4に記載の多極コネクタセット。
【請求項6】
第1コネクタと、
前記第1コネクタに嵌合する第2コネクタと、
前記第2コネクタが配置される基板と、
前記基板上に形成されたグランド導体パターンと、
を備え、
前記第1コネクタは、
第1絶縁性部材と、
前記第1絶縁性部材に保持され、第1方向に配列された、複数の第1内部端子と、
前記第1絶縁性部材に保持され、接地電位に接続される、第1外部端子と、を備え、
前記基板は、
前記第1コネクタと前記第2コネクタの嵌合時において、前記第1外部端子と対向する位置に前記グランド導体パターンが存在しない、導体パターン非形成領域を有する、
多極コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコネクタを嵌合して構成される多極コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコネクタを互いに嵌合して構成される多極コネクタセットが考案されている。例えば、特許文献1に記載の多極コネクタセットは、第1のコネクタの端子と、第2のコネクタの端子とを互いに嵌合させることによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような多極コネクタセットを基板に実装する場合、第1コネクタおよび第2コネクタと、基板のグランドとの間で容量結合が発生する。このことによって、例えば、30GHz以上の高周波帯域において特性劣化が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、高周波帯域における特性劣化を抑制する多極コネクタセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる多極コネクタセットの一態様は、第1コネクタと、第1コネクタに嵌合が可能な構造を含む第2コネクタと、第1コネクタが実装される第1基板と、第2コネクタが実装される第2基板と、第1基板上に形成された第1グランド導体パターンと、第2基板上に形成された第2グランド導体パターンと、を備える。第1コネクタは、第1絶縁性部材と第1絶縁性部材に保持され、第1方向に配列された複数の第1内部端子と、第1絶縁性部材に保持され、接地電位に接続される第1外部端子と、を備える。第2基板は、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時において、第1外部端子と対向する位置に第2グランド導体パターンが存在しない第2導体パターン非形成領域を有する。
【0007】
この構成では、第2基板の第1外部端子と対向する位置に、グランド導体が形成されない。すなわち、第1外部端子と第2グランド導体パターン(グランド)との間で容量結合が発生しないため、特性劣化を抑制できる。
【0008】
この発明にかかる多極コネクタセットの一態様は、第1コネクタと、第1コネクタに嵌合する第2コネクタと、第2コネクタが配置される基板と、基板上に形成されたグランド導体パターンと、を備える。第1コネクタは、第1絶縁性部材と、第1絶縁性部材に保持され、第1方向に配列された複数の第1内部端子と、第1絶縁性部材に保持され、接地電位に接続される第1外部端子と、を備える。基板は、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時において、第1外部端子と対向する位置にグランド導体パターンが存在しない、導体パターン非形成領域を有する。
【0009】
この構成では、基板上の第1外部端子と対向する位置に、グランドが形成されない。すなわち、第1外部端子とグランド導体パターン(グランド)との間で容量結合が発生しないため、特性劣化を抑制できる。例えば、第1コネクタが伝送線路に直接的に接続される構造であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高周波帯域における特性劣化を抑制する多極コネクタセットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)は第1の実施形態に係る第1コネクタ10の平面図であり、
図1(B)は第1の実施形態に係る第2コネクタ20の平面図である。
【
図2】
図2(A)は第1の実施形態に係る第1グランド導体パターン115の平面図であり、
図2(B)は第1の実施形態に係る第2グランド導体パターン215の平面図である。
【
図3】
図3は第1の実施形態に係る第1コネクタ10の外観斜視図である。
【
図4】
図4は第1の実施形態に係る第2コネクタ20の外観斜視図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)は、第1の実施形態に係る多極コネクタセット1の平面図である。
【
図6】
図6(A)-
図6(C)は、第1の実施形態に係る多極コネクタセット1の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る多極コネクタセットについて、図を参照して説明する。
図1(A)は第1の実施形態に係る第1コネクタ10の平面図であり、
図1(B)は第1の実施形態に係る第2コネクタ20の平面図である。
図2(A)は第1の実施形態に係る第1グランド導体パターン115の平面図であり、
図2(B)は第1の実施形態に係る第2グランド導体パターン215の平面図である。
図3は第1の実施形態に係る第1コネクタ10の外観斜視図である。
図4は第1の実施形態に係る第2コネクタ20の外観斜視図である。
図5(A)、
図5(B)は、第1の実施形態に係る多極コネクタセット1の平面図である。
図6(A)-
図6(C)は、第1の実施形態に係る多極コネクタセット1の特性を示すグラフである。なお、以下の実施形態における各図において、縦横の寸法関係は適宜強調して記載しており、実寸での縦横の寸法関係と一致しているとは限らない。図を見やすくするため、一部の符号を省略して記載する。
【0013】
図1(A)、
図1(B)、
図2(A)、
図2(B)、
図3、
図4に示すように、多極コネクタセット1は、第1コネクタ10、第2コネクタ20、第1基板110、第2基板210を備える。多極コネクタセット1は、第1コネクタ10と第2コネクタ20と嵌合することによって構成されている。なお、
図1(A)、
図1(B)、
図2(A)、
図2(B)、
図3、
図4においては、図を分かりやすくするために、グランド導体パターンが形成されていない領域にハッチングを行っている。
【0014】
まず、
図1(A)、
図2(A)、
図3を用いて、第1コネクタ10の構成について説明する。
【0015】
第1コネクタ10は、第1外部端子120、複数の第1内部端子121、第1絶縁性部材122を備える。第1コネクタ10を平面視した場合の長手方向に沿った方向を第1方向とする。第1絶縁性部材122は、平面視において略矩形である。なお、平面視とは、相手方コネクタが嵌合する方向から視た場合を指す。
【0016】
第1絶縁性部材122は、複数の溝を有しており、第1内部端子121は、該溝に嵌合されて保持されている。より具体的には、第1内部端子121は、第1方向に沿って規則的に配列されている。言い換えれば、第1内部端子121は、第1絶縁性部材122に形成された溝に合わせて配列されている。第1内部端子121はそれぞれ、信号電位又は接地電位に接続される導体である。
【0017】
第1外部端子120、第1内部端子121は、例えば、リン青銅を用いて形成されている。このことによって、所定の硬さを有しながら、弾性変形が可能となる。第1絶縁性部材122は、絶縁性を有する部材であり、例えば樹脂を用いて形成されている。
【0018】
第1外部端子120は、第1絶縁性部材122を平面視した際の第1方向における両端に形成されている。第1外部端子120は、凹部を有する形状である。この凹部は、第1外部端子120が有する外壁によって形成されている。より具体的には、外壁の形状は、平面視において略U字型をそれぞれ±90°回転させた形状である。第1外部端子120は、このU字型の開口がある部分が対向するように形成されている。
【0019】
次に、第1基板110の構造について説明する。第1基板110は、第1グランド導体パターン115を有する。第1基板110の一方主面には、第1コネクタ10が実装されている。
【0020】
第1グランド導体パターン115は、第1スリット151、第2スリット152、第3スリット153を備える。
【0021】
第1スリット151は、第1グランド導体パターン115が矩形状に形成されていない領域である。第2スリット152は、第1グランド導体パターン115が櫛歯状に形成されていない領域である。第3スリット153は、第1グランド導体パターン115が略四角環状に形成されていない領域である。第1グランド導体パターン115は、ビア等(図示を省略)によって、第1基板110の他の層のグランド導体パターン等に接続されている。
【0022】
より具体的な第1グランド導体パターン115の形状について説明する。
【0023】
第1スリット151は、上述の第1外部端子120が形成する凹部に形成されている。すなわち、第1スリット151は、第1外部端子120を形成する外壁に囲まれる形状である。言い換えれば、第1外部端子120によって形成される凹部には、第1グランド導体パターン115が形成されてない(存在しない)。なお、第1スリット151は、本発明の「第1導体パターン非形成領域」に対応する。
【0024】
第2スリット152は、第1コネクタ10を平面視して、上述の隣り合う第1内部端子121の間に形成されている。言い換えれば、隣り合う第1内部端子121の間には、第1グランド導体パターン115が形成されていない。
【0025】
第3スリット153は、第1コネクタ10を平面視したとき、特定の第1内部端子121を囲むように形成されており、特定の第1内部端子121を第1基板110の内層に形成された導体パターン(図示を省略)へ接続されている。
【0026】
次に、
図1(B)、
図2(B)、
図4を用いて、第2コネクタ20の構成について説明する。
【0027】
第2コネクタ20は、複数の第2外部端子220、複数の第2内部端子221、第2絶縁性部材222を備える。第2絶縁性部材222は、平面視において略矩形である。
【0028】
第2絶縁性部材222は、第2内部端子221をインサートモールドして形成されている。より具体的には、第2内部端子221は、第1方向に沿って規則的に配列されている。また、第2内部端子221はそれぞれ、信号電位又は接地電位に接続される導体である。
【0029】
第2外部端子220、第2内部端子221は、例えば、リン青銅を用いて形成されている。このことによって、所定の硬さを有しながら、弾性変形が可能となる。また、第2絶縁性部材222は、絶縁性を有する部材であり、例えば樹脂を用いて形成されている。
【0030】
第2外部端子220は、第2絶縁性部材222を平面視した際の第1方向における両端に形成されている。第2外部端子220は、凸部を有する形状である。この凸部は、略直方体形状である。
【0031】
次に、第2基板210の構造について説明する。第2基板210は、第2グランド導体パターン215を有する。第2基板210の一方主面には、第2コネクタ20が実装されている。
【0032】
第2グランド導体パターン215は、第4スリット251、第5スリット252、第6スリット253を備える。
【0033】
第4スリット251は、平面視において略U字型をそれぞれ±90°回転させた形状であり、このU字型の開口がある部分が対向するように、第2グランド導体が形成されていない(存在しない)領域である。第5スリット252は、第2グランド導体パターン215が櫛歯状に形成されていない領域である。第6スリット253は、第2グランド導体パターン215が略四角環状に形成されていない領域である。第2グランド導体パターン215は、ビア等(図示を省略)によって、第2基板210の他の層のグランド導体パターン等に接続されている。なお、第4スリット251は、本発明の「第2導体パターン非形成領域」に対応する。
【0034】
より具体的な第2グランド導体パターン215の形状について説明する。第4スリット251は、上述の第2外部端子220を囲うように形成されている。言い換えれば、第4スリット251は、第2外部端子220を囲うように、第2グランド導体パターン215が形成されてない。
【0035】
第5スリット252は、平面視において、上述の隣り合う第2内部端子221の間に形成されている。言い換えれば、隣り合う第2内部端子221の間には、第2グランド導体パターン215が形成されていない。
【0036】
第6スリット253は、特定の第2内部端子221を囲むように形成されており、特定の第2内部端子221を外部端子(図示を省略)へ接続するための引き出し導体が形成されている。
【0037】
上述の第1コネクタ10、第2コネクタ20、第1基板110、第2基板210を用いて、多極コネクタセット1の構成について説明する。多極コネクタセット1は、第1コネクタ10と、第2コネクタ20とを嵌合するように配置されている。第2コネクタ20の第2外部端子220は、第1コネクタ10の第1外部端子120(第1外部端子120の外壁)に嵌合するように配置される。また、第1コネクタ10の第1内部端子121は、第2コネクタ20の第2内部端子221に接するように配置される。このことによって、第1コネクタ10と第2コネクタ20とは嵌合する。
【0038】
上述したとおり、第1外部端子120、第2外部端子220は、リン青銅等の金属である。このことより、第1外部端子120と第2外部端子220とが嵌合する際の誘い込みが容易になる。また、第1外部端子120、第2外部端子220は、外部からの応力等による、第1絶縁性部材122、第2絶縁性部材222の破損を保護できる。さらには、第1内部端子121、第2内部端子221から外部への不要な輻射をシールドする効果を有する。また、外部からのノイズが、第1内部端子121、第2内部端子221に伝搬することを抑制できる。
【0039】
より具体的な第1コネクタ10と第2コネクタ20とが嵌合した状態を
図5(A)、
図5(B)を用いて説明する。
図5(A)は、第2基板210を省略しており、
図5(B)は、第1基板110を省略している。
【0040】
図5(A)は、多極コネクタセット1を第2コネクタ20(第2基板210)側から視た図である。第1コネクタ10と第2コネクタ20とを嵌合させることによって、第1外部端子120は、平面視において第4スリット251に重畳する。このとき、第1外部端子120に対向する位置には、第2グランド導体パターン215が形成されていない。
【0041】
図5(B)は、多極コネクタセット1を第1コネクタ10(第1基板110)側から視た図である。第1コネクタ10と第2コネクタ20とを嵌合させることによって、第2外部端子220は、平面視において第1スリット151に重畳する。このとき、第2外部端子220に対向する位置には、第1グランド導体パターン115が形成されていない。
【0042】
上述のとおり、第1外部端子120、第1内部端子121、第2外部端子220、第2内部端子221は、リン青銅を用いて形成されている。すなわち、これらの端子と第1グランド導体パターン115および第2グランド導体パターン215が近接する際には、容量結合が発生する。
【0043】
しかしながら、第1外部端子120に対向する位置に第4スリット251を設けているため、容量結合の発生を緩和することができる。
【0044】
同様に、第2外部端子220に対向する位置に第1スリット151を設けているため、容量結合の発生を緩和することができる。
【0045】
上述の構成から分かるように、第1スリット151の形状は、第2外部端子220を平面視した形状と、略同じ形状であることが好ましい。同様に、第4スリット251の形状は、第1外部端子120を平面視した形状と、略同じ形状であることが好ましい。
【0046】
図6(A)-
図6(C)を用いて、上述の構成を適用した多極コネクタセット1と従来のコネクタセットの電気特性について、グラフを用いて説明する。従来の多極コネクタセットは、第1スリット151、第4スリット251が形成されていないものである。
【0047】
図6(A)は、従来の多極コネクタセットと、本発明の多極コネクタセット1のリターンロス(反射特性)を示すグラフである。従来の多極コネクタセットを破線で示し、本発明の多極コネクタセット1を実線で示す。
【0048】
図6(A)に示すように、従来の多極コネクタセットは、周波数が約33GHz付近でリターンロスが急激に悪化する。一方、本発明の多極コネクタセット1は、周波数が約43GHz付近までリターンロスの急激な悪化が生じない。すなわち、本発明の多極コネクタセット1の特性の悪化は、周波数が約43GHz付近まで起こらない。したがって、従来の多極コネクタセットよりも高い周波数で利用可能である。
【0049】
図6(B)は、従来の多極コネクタセットと、本発明の多極コネクタセット1の電圧定在波比(反射特性)を示すグラフである。従来の多極コネクタセットを破線で示し、本発明の多極コネクタセット1を実線で示す。
【0050】
図6(B)に示すように、
図6(A)と同様に従来の多極コネクタセットは、周波数が約33GHz付近で電圧定在波比が急激に悪化する。一方、本発明の多極コネクタセット1は、周波数が約43GHz付近まで電圧定在波比の悪化は生じない。すなわち、本発明の多極コネクタセット1の特性の悪化は、周波数が約43GHz付近まで起こらない。したがって、従来の多極コネクタセットよりも高い周波数で利用可能である。
【0051】
図6(C)は、従来の多極コネクタセットと、本発明の多極コネクタセット1の挿入損失(通過特性)を示すグラフである。従来の多極コネクタセットを破線で示し、本発明の多極コネクタセット1を実線で示す。
【0052】
図6(C)に示すように、
図6(A)、
図6(B)と同様に従来の多極コネクタセットは、周波数が約33GHz付近で挿入損失が急激に悪化する。一方、本発明の多極コネクタセット1は、周波数が約43GHz付近まで挿入損失の悪化は生じない。すなわち、本発明の多極コネクタセット1の特性の悪化は、周波数が約43GHz付近まで起こらない。したがって、従来の多極コネクタセットよりも高い周波数で利用可能である。
【0053】
上述の多極コネクタセット1を用いることで、コネクタおよび端子と、グランドとの間に発生する容量結合を抑制することができる。よって、周波数が30GHz以上の高周波帯域における特性劣化を抑制し、所望の周波数帯域外に特性劣化をシフトさせることができる。
【0054】
なお、上述の構成では、第1グランド導体パターン(第1基板)、第2グランド導体パターン(第2基板)に導体が形成されていない領域を形成する例について示した。しかしながら、どちらか一方を形成することでも効果が得られる。ただし、第1グランド導体パターン(第1基板)、第2グランド導体パターン(第2基板)の両方に導体が形成されていない領域を形成してもよい。第1基板、第2基板には、リジッド基板に限らず、フレキシブル基板など、コネクタを実装可能な基部を構成することができる部材を用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1…多極コネクタセット
10…第1コネクタ
20…第2コネクタ
110…第1基板
115…第1グランド導体パターン
120…第1外部端子
121…第1内部端子
122…第1絶縁性部材
151…第1スリット
152…第2スリット
153…第3スリット
210…第2基板
215…第2グランド導体パターン
220…第2外部端子
221…第2内部端子
222…第2絶縁性部材
251…第4スリット
252…第5スリット
253…第6スリット