(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
B60K15/05 B
(21)【出願番号】P 2020566514
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001614
(87)【国際公開番号】W WO2020149418
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2019006130
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】柴口 翔
(72)【発明者】
【氏名】市村 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】横田 潤
(72)【発明者】
【氏名】南 篤志
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-68779(JP,A)
【文献】特開2017-178049(JP,A)
【文献】特開2015-63240(JP,A)
【文献】特開2018-144704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0355262(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体を供給するための第1供給口を収容し、第1蓋板により開閉される第1収容凹部と、
第2の液体を供給するための第2供給口を収容し、第2蓋板により開閉される第2収容凹部と、
を備え、
前記第1収容凹部が、車体の車幅方向外側に向かって開閉可能に前記車体の外側面に設けられ、
前記第1収容凹部は、
車幅方向を向き前記第1供給口が設けられた底壁と、
前記底壁の周囲から前記外側面に向かい起立する周壁と、
を含み、
前記第1収容凹部の内部に、前記第2収容凹部の前記第2蓋板のロックを解除するロック解除操作部が、設けられ、
前記ロック解除操作部は、前記周壁の車両上方を向いた面に、前記第1供給口に対して車両前後方向に偏位した箇所に配置されている、
車両。
【請求項2】
前記ロック解除操作部は、
前記周壁に取着されるベースと、
前記ベース上に車幅方向に移動可能に配置され、当該移動によって前記第2蓋板のロックを解除するハンドル部と
を有する、
請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記ハンドル部は、車幅方向内側に向かうにつれて上方に変位するように傾斜している、請求項2記載の車両。
【請求項4】
前記ハンドル部は、
車両前後方向かつ車幅方向に延在する基板部と、
前記基板部の車両前後方向中央部で車両上方に突出すると共に車幅方向に延在する突出部と、
前記基板部の車幅方向外側端部から車両上方に起立し前記突出部と連結される指掛部と、
を備える、
請求項2又は3記載の車両。
【請求項5】
前記基板部は、上面が車両前後方向中央部から車両前後方向端部に向かうに連れて下方に傾斜する、請求項4記載の車両。
【請求項6】
前記基板部の前記突出部と前記指掛部とが交差する箇所の近傍に水抜き孔が設けられている、請求項5記載の車両。
【請求項7】
前記基板部の下面には、下方に突出すると共に車幅方向に延びるビードが設けられ、
前記ベースの上面には、上方に突出する突起が設けられ、
前記ビード及び前記突起は、車両前後方向において互いに当接可能に位置している、
請求項4から6のいずれか1項記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アルコールなどの主燃料と、ガソリンなどの副燃料とを併用する内燃機関を搭載した車両が提供されている(例えば、特許文献1)。
このような車両においては、主燃料を供給するための主燃料給油口が設けられた主燃料用凹部と、主燃料用凹部を開閉する主燃料用蓋板と、副燃料を供給するための副燃料供給口が設けられた副燃料用凹部と、副燃料用凹部を開閉する副燃料用蓋板とが車体に設けられる。
さらに、主燃料用凹部を主燃料用蓋板により閉塞した状態をロックする主燃料用ロック機構およびロックを解除する主燃料用ロック解除機構が設けられると共に、副燃料用凹部を副燃料用蓋板により閉塞した状態をロックする副燃料用ロック機構およびロックを解除する副燃料用ロック解除機構が設けられる。
この場合、主燃料用ロック解除機構は、主燃料用ロック解除操作部を操作することでロックを解除し、副燃料用ロック解除機構は、副燃料用解除操作部を操作することでロックを解除する。
これら主燃料用ロック解除操作部および副燃料用解除操作部の双方を車室内に設けた場合、操作部を取り違えて誤操作を行なうおそれがある。
また、近年、内燃機関を搭載すると共に、内燃機関の排気浄化装置として尿素を用いた尿素水還元式SCR(Selective Catalytic Reduction)装置を搭載した車両が提供されている。
このような車両においては、燃料を供給するための給油口が設けられた給油用凹部と、給油用凹部を開閉する給油用蓋板と、尿素水を供給するための還元剤供給口が設けられた還元剤用凹部と、還元剤用凹部を開閉する還元剤用蓋板とが車体に設けられる。
さらに、給油用凹部を給油用蓋板により閉塞した状態をロックする給油用ロック機構およびロックを解除する給油用ロック解除機構が設けられると共に、還元剤用凹部を還元剤用蓋板により閉塞した状態をロックする還元剤用ロック機構およびロックを解除する還元剤用ロック解除機構が設けられる。
この場合、給油用ロック解除機構は、給油用ロック解除操作部を操作することでロックを解除し、還元剤用ロック解除機構は、還元剤用ロック解除操作部を操作することでロックを解除する。
これら給油用ロック解除操作部および還元剤用ロック解除操作部の双方を車室内に設けた場合、上記従来技術と同様に、ロック解除操作部を取り違えて誤操作を行なうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
本開示は、誤操作により誤った蓋板を開放することを防止し、しかもロック解除操作部の操作時に指が燃料あるいは還元剤などの液体で汚れることがなく、使い勝手が向上した車両に関する。
【0005】
典型的実施例によれば、車両は、第1の液体を供給するための第1供給口を収容し、第1蓋板により開閉される第1収容凹部と、第2の液体を供給するための第2供給口を収容し、第2蓋板により開閉される第2収容凹部と、を備える。前記第1収容凹部が、車体の車幅方向外側に向かって開閉可能に前記車体の外側面に設けられる。前記第1収容凹部は、車幅方向を向き前記第1供給口が設けられた底壁と、前記底壁の周囲から前記外側面に向かい起立する周壁とを含む。前記第1収容凹部の内部に、前記第2収容凹部の前記第2蓋板のロックを解除するロック解除操作部が、設けられる。前記ロック解除操作部は、前記周壁の車両上方を向いた面に、前記第1供給口に対して車両前後方向に偏位した箇所に配置される。
【0006】
この構造によれば、第2蓋板のロックを解除する場合には、第1収容凹部の第1蓋板を開放し、第1収容凹部内のロック解除操作部材を操作するといった一連の操作を行なう必要がある。このため、第1蓋板と誤って第2蓋板を開放することを防止する上で有利となる。
また、ロック解除操作部が、周壁の車両上方を向いた面の第1供給口に対して車両前後方向に偏位した箇所に設けられている。このため、第1供給口に液体を供給する際に液体がこぼれたとしても、液体はロック解除操作部から外れた箇所に流れ、ロック解除操作部に液体が付着することがない。このため、第2蓋板を開放するためにロック解除操作部を操作しても液体で指が汚れることがなく、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る車両の側面図である。
【
図2】
図2は、給油用凹部および還元剤用凹部を示す側面図である。
【
図3】
図3は、給油用凹部を車両前後方向と直交する鉛直面で破断した断面図である。
【
図4】
図4は、還元剤用解除操作部材およびベースの斜視図である。
【
図5】
図5は、還元剤用解除操作部材の指掛部に指を掛けた状態を示す説明図である。
【
図9】
図9(A)はベースの平面図、
図9(B)はベースの正面図、
図9(C)はベースの下面図である。
【
図12】
図12(A)は還元剤用解除操作部材の平面図、
図12(B)は還元剤用解除操作部材の正面図、
図12(C)は還元剤用解除操作部材の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下の図面において符号UPは車両上方を示し、符号FRは車両前方を示し、符号INは車幅方向内側を示す。
図1に示すように、本実施の形態では、車両10は、車室12の後方に荷台14を備えたピックアップトラック10Aである。ピックアップトラック10Aは、駆動輪を駆動する駆動源として不図示の内燃機関を搭載すると共に、内燃機関の排気浄化装置として尿素を用いた不図示の尿素水還元式SCR(Selective Catalytic Reduction)装置を搭載している。
内燃機関と尿素水還元式SCR装置を搭載した車両では、燃料の供給頻度に比べて尿素水の供給頻度は少ないことが多い。
ピックアップトラック10Aには、何れも不図示の、燃料(第1の液体)を貯留する燃料タンクと、還元剤としての尿素水(第2の液体)を貯留する尿素水タンクとが設けられている。
図中、符号16A、16Bは前席用乗降ドア、後席用乗降ドアを示し、符号18A、18Bは前輪、後輪を示す。
【0009】
図1、
図2に示すように、荷台14の前部の側方で後輪18Bの上方に位置する車体20の外板2002の箇所に、給油口22(第1供給口)が設けられた給油用凹部24(第1収容凹部)と、還元剤供給口28(第2供給口)が設けられた還元剤用凹部30(第2収容凹部)とが車両10前後方向に間隔をおいて設けられている。
給油用凹部24は、給油用蓋板26(第1蓋板)により開閉される。還元剤用凹部30は、還元剤用蓋板32(第2蓋板)により開閉される。
本実施の形態では、給油用凹部24が車両10前方に位置し、還元剤用凹部30が給油用凹部24よりも車両10後方に位置している。
【0010】
図2に示すように、給油口22は、キャップ2202により開閉される。給油口22は、不図示の管体を介して給油タンクに連通する。給油タンクへの燃料の供給は、給油ガンを給油口22に挿入することでなされる。
図2、
図3に示すように、給油用凹部24は、車体20の外板2002より車幅方向内側に位置する底壁2402と、底壁2402の周囲から車幅方向外側へ起立する周壁2404とを含む。周壁2404の先端外周により給油用凹部24の開口2410が形成される。この開口2410は、給油用蓋板26により開閉される。給油口22は、底壁2402に設けられる。
給油口22に給油ガン(液体供給用ガン)を挿入しやすいように、底壁2402は、車両10側方で斜め上方に向けられている。
給油用蓋板26は、ヒンジ2602を介して車体20に取着され、給油用凹部24の開口2410を開閉する。
【0011】
給油用凹部24内に、給油用凹部24を閉塞した状態で給油用蓋板26をロックする給油用ロック手段34が設けられる。このロックを解除する給油用ロック解除手段36(オープナーハンドル36)が、車室12内に設けられている。
給油用ロック手段34には、給油用蓋板26が開口2410を閉塞した状態で給油用蓋板26に係合するロック爪などを含んで構成された従来公知の様々な構造が採用可能である。
給油用ロック解除手段36は、給油用蓋板26からロック爪を外すリンク機構とケーブル3602により連結され、この給油用ロック解除手段36を操作することにより給油用蓋板26のロック状態が解除されるといった、従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0012】
図2に示すように、還元剤供給口28は、キャップ2802により開閉される。還元剤供給口28は、不図示の管体を介して尿素水タンクに連通する。尿素水タンクへの尿素水への供給は、例えば尿素水を収容した容器の注ぎ口を還元剤供給口28に挿入することでなされる。あるいは、尿素水供給用(液体供給用)のガンを還元剤供給口28に挿入することでなされる。
還元剤用凹部30は、還元剤供給口28が設けられた底壁3002と、底壁3002の周囲から起立し開口3010を形成する周壁3004とを含む。周壁
3004の先端外周により還元剤用凹部30の開口3010が形成される。この開口3010は、還元剤用蓋板32により開閉される。
還元剤用蓋板32は、ヒンジ3202を介して車体20に取着され、還元剤用凹部30の開口3010を開閉する。
【0013】
還元剤用凹部30内に、還元剤用凹部30を閉塞した状態で還元剤用蓋板32をロックする還元剤用ロック手段38が設けられる。このロックを解除するロック解除操作部40が、給油用凹部24内に設けられている。
還元剤用ロック手段38は、給油用ロック手段34と同様に従来公知の様々な構造が採用可能である。
ロック解除操作部40は、還元剤用蓋板32からロック爪を外すリンク機構と、ケーブル44により連結される。ロック解除操作部40を操作することにより、還元剤用蓋板32のロック状態が解除され、還元剤用蓋板32が開く。
図3に示すように、ケーブル44は、アウターケーブル4402とインナーケーブル4404と、を含む。
【0014】
図2に示すように、ロック解除操作部40は、給油口22の下方に位置する周壁2404において、給油口22と車両前後方向に偏位した箇所に設けられている。
ロック解除操作部40は、例えば合成樹脂で形成されており、
図3~
図5に示すように、ベース46とハンドル部42とを含む。
図3~
図9に示すように、ベース46は、周壁2404に取り付けられる取り付け板部48と、ハンドル部42の一部(後述する差込部52(
図10、
図11参照))が差し込まれる被差込部50と、を備える。取り付け板部48と被差込部50とは一体成形されている。
取り付け板部48は、給油口22の下方に位置する周壁2404上で車幅方向に延在する長さと、この長さに直交する(車両前後方向に延びる)幅とを有している。
取り付け板部48は、車幅方向外側に位置する板状の外側部分48Aと車幅方向内側に位置する板状の内側部分48Bとが湾曲部4802で接続された形状を有する。
図6に示すように、外側部分48Aの上面は、その中心から車両10の前後方向に向かうに連れて下方に傾斜する傾斜面(本実施形態では湾曲面)となっている。外側部分48Aの上面には、車両10の前後方向に間隔をおいて2つの突起4804が設けられている。
図3、
図8、
図9(B)、
図9(C)に示すように、外側部分48Aの下面には、係止爪4806が設けられる。係止爪4806は、周壁2404の開口2410から周壁2404の下方に挿入される。係止爪4806と取り付け板部48の下面とにより、ベース46が開口2410の縁を形成する周壁2404部分に係止している。
また、
図9に示すように、内側部分48Bにはボルト挿通孔4808が設けられる。このボルト挿通孔4808に挿通されたボルトが底壁2402に結合することで、内側部分48Bが底壁2402に締結されている。
【0015】
図4、
図5に示すように、被差込部50は、取り付け板部48の幅方向の中央で湾曲部4802から車幅方向内側に延在する。
図3に示すように、被差込部50は、内側部分48B、底壁2402を貫通し給油用凹部24よりも車幅方向内側に突出している。
図3、
図9(B)に示すように、被差込部50は、中空状である。被差込部50には、被差込部50の車幅方向外側の箇所で車幅方向に延び断面が矩形の第1孔部5002と、被差込部50の車幅方向内側の箇所で車幅方向に延び第1孔部5002と連通する第2孔部5006と、が設けられる。第1孔部5002は、被差込部50の車幅方向外側の端面5004に開口する。第2孔部5006は、第1孔部5002より大きな径で形成されている。
図3に示すように、被差込部50には、第2孔部5006の車幅方向内側で第2孔部5006に連通してアウターケーブル4402の端部が固定される断面が円形の小径孔部5008が設けられている。
第2孔部5006内には、ハンドル部42を車両内側(車幅方向内側)へ付勢する不図示のスプリングが設けられている。
ベース46の外側部分48Aの上面と被差込部50、すなわち第1孔部5002、第2孔部5006、小径孔部5008は、車幅方向内側に向かうにつれて上方に変位するように傾斜している。
【0016】
図3~
図5,
図10~
図12(C)に示すように、ハンドル部42は、基板部54と突出部5402と指掛部56とを備えている。
基板部54は、車幅方向に延在する長さと、この長さに直交する(車両前後方向に延びる)幅とを有している。
図6に示すように、基板部54の上面は、幅方向中央部から幅方向外側に向かうに連れて下方に傾斜する傾斜面(本実施形態では湾曲面)となっている。
基板部54の下面には、基板部54の幅方向に間隔をおいて2つのビード5412が、基板部54の長さ方向に延在形成されている。これらビード5412は、ベース46の突起4804に対して基板部54の幅方向内側で、突起4804と当接可能な位置に設けられ、ハンドル部42が車幅方向に円滑に移動できる。
なお、ここで言う当接可能な位置とは、ハンドル部42に車両前後方向の荷重が加わった際に、ハンドル部42に無理な変形が発生する前にビード5412と突起4804が当接する位置を意味する。例えば、ビード5412と突起4804とを、被差込部50と後述する差込部52との間のガタと同程度の間隔をあけて配置するとよい。
【0017】
基板部54の上面は、幅方向の中央部に上方に突出するように湾曲形成された突出部5402を有している。
突出部5402は、基板部54の車幅方向外側端部から車幅方向内側端部まで延在している。
突出部5402の車幅方向内側端部には、車幅方向内側へ延び、ベース46の被差込部50に差し込まれる差込部52が設けられる。
差込部52は、被差込部50に挿入される箇所であり、断面が矩形に形成されている。
差込部52の先端(車幅方向内側端部)には、インナーケーブル4404が連結されている。
【0018】
図3、
図10、
図11に示すように、指掛部56は、基板部54の車幅方向外側の端部から起立し、上方に至るにつれて次第に車幅方向内側に変位するように傾斜している。指掛部56はまた、突出部5402の車幅方向外側端部とも連結している。
【0019】
ハンドル部42は、ベース46に組み付けられた状態で車幅方向内側に向かうにつれて上方に変位するように傾斜している。すなわち、被差込部50が傾斜していることにより、被差込部50に挿入される差込部52も車幅方向内側に向かうにつれて上方に変位するように傾斜し、この状態で、基板部54の上面も車幅方向内側に向かうにつれて上方に傾斜するように形成されている。
また、基板部54の突出部5402と指掛部56が交差する箇所の近傍、すなわち基板部54と突出部5402との境界部分であり、かつ基板部54と指掛部56との境界部分である箇所には、それぞれ水抜き孔5410が貫通する。
【0020】
インナーケーブル4404は、小径孔部5008に固定されたアウターケーブル4402の内部を通りアウターケーブル4402と共に還元剤用凹部30の外側の箇所に引き回される。インナーケーブル4404の端部は、還元剤用蓋板32からロック爪を外すリンク機構に連結される。ハンドル部42を車幅方向外側に引き出すと、開口2410を閉塞した還元剤用蓋板32のロックが解除される。
【0021】
以上説明したように本実施の形態では、還元剤供給口28を閉塞している還元剤用蓋板32のロックを解除するためのロック解除操作部40が、給油用凹部24内に設けられている。
そのため還元剤用蓋板32を開放するためには、給油用ロック解除手段36を操作して給油用凹部24を開放し、給油用凹部24内のロック解除操作部40を操作するといった一連の操作を行なう必要がある。このため、給油用蓋板26と還元剤用蓋板32とを取り違えて開放することを防止する上で有利となる。
尿素水の供給は、燃料に比べて供給頻度が少ないことが多く、尿素水の供給は燃料の供給と同時に行なうことが多い。このため、ロック解除操作部40を給油用凹部24に設けても尿素水の供給を支障なく行なうことができる。
ロック解除操作部40が、給油口22の下方に位置する周壁2404の箇所に設けられている。したがって、ロック解除操作部40が給油口22の上方や側方に位置する周壁2404の箇所に設けられた場合に比較して、操作部40を視認しやすく操作性の向上を図る上で有利となる。
ロック解除操作部40が給油口22の下方で給油口22と車両前後方向に偏位した箇所に設けられている。したがって、給油ガンを給油口22に給油口22に挿脱する際に燃料がこぼれたとしても、燃料はロック解除操作部40から外れた箇所に流れ、ロック解除操作部40に燃料が付着することがない。そのため、還元剤用蓋板32を開放するためにロック解除操作部40を操作しても燃料で指が汚れることがなく、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
【0022】
ロック解除操作部40は、周壁2404に取付けられるベース46と、ベース46上に移動可能に取付けられるハンドル部42とを有している。そのため、ハンドル部42を操作する際に、ハンドル部42と車体(周壁2404)が擦れることがなく、車体が傷つくことを防止することができる。
【0023】
本実施の形態では、ハンドル部42は車両内側に向かうにつれて上方に変位するように傾斜しているため、給油用凹部24に雨水などが侵入したとしても、雨水などがハンドル部42を伝わって車両内側に侵入することを抑制する上で有利となる。したがって、雨水がハンドル部42に連結されたケーブル44のアウターケーブル4402とインナーケーブル4404との間の隙間に侵入してインナーケーブル4404が錆び、インナーケーブル4404の動きが阻害されるといった不具合を抑制する上で有利となる。
【0024】
本実施の形態では、ハンドル部42は、基板部54と、突出部5402と、指掛部56とを備えている。したがって、ハンドル部42は、突出部5402により剛性が高められる。また、突出部5402と指掛部56は連結されているので、ハンドル部42の操作時に指掛部56に加わる荷重を突出部5402により分散させることができ、ハンドル部42の耐久性を高める上で有利となる。さらに、指掛部56に指を掛けた状態で、指先は基板部54の上に位置することになるため、指先が周壁2404に擦れて汚れることがなく、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
指掛部56を車幅方向内側に傾斜させることで、指掛部56に安定して指を掛けることができ、操作性の向上を図る上で有利となる。
【0025】
本実施の形態では、基板部54の上面は、車両前後方向中央部から車両前後方向外側に向かうに連れて下方に傾斜している。これにより、ハンドル部42に泥水などが掛かっても泥水や雨水が基板部54から流れ落ちるため、基板部54に泥水や雨水が溜まることが抑制され、ハンドル部42を操作する際に指が汚れたり、あるいは、寒冷時に基板部54に溜まった泥水や雨水が凍結してハンドル部42の操作が阻害されるといった事態を回避でき、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
【0026】
本実施の形態では、基板部54の突出部5402と指掛部56とが交差する箇所の近傍に、水抜き孔5410が設けられている。傾斜地などで車両10が傾斜した状態となった場合、ハンドル部42に掛かった水は突出部5402と指掛部56とが交差する箇所に溜まり易い。この位置に水抜き孔5410を設けることで、より確実に基板部54に泥水や雨水が溜まることを抑制できる。したがって、ハンドル部42を操作する際に指が汚れることを抑制でき、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
【0027】
本実施の形態では、ベース46の上面に突起4804が、基板部54の下面にビード5412が設けられている。したがって、ハンドル部42を操作する際に、ハンドル部42に車両前後方向の荷重が加わったとしても、突起4804とビード5412とが当接することによってこの荷重を受け止めるとともに、ハンドル部42を車幅方向に摺動するように案内するため、ハンドル部42の破損を抑制するとともに、ハンドル部42の操作を安定して行なえ、操作性の向上を図る上で有利となる。
ベース46の上面に設けられる突起4804は、車幅方向の長さを極力抑えることにより、ベース46の上面に掛かった水の排水性を阻害することを抑制することができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、還元剤用蓋板32(第2蓋板)を開くロック解除操作部40が給油用凹部24(第1収容凹部)に設けられている場合について説明した。
しかしながら、給油用蓋板26(第1蓋板)を開く操作部が還元剤用凹部30(第2収容凹部)に設けられていても本発明は無論適用可能である。この場合は、操作部の操作時に指が還元剤で汚れることがなく、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、第1の液体が燃料、第2の液体が還元剤である場合について説明したが、第1の液体および第2の液体は、車両に供給される液体であればよく限定されるものではない。例えば、第1の液体および第2の液体の一方が主燃料であり、他方が副燃料であってもよい。
【0029】
本出願は、2019年1月17日出願の日本特許出願特願2019-006130に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0030】
10 車両
22 給油口(第1供給口)
24 給油用凹部(第1収容凹部)
2402 底壁
2404 周壁
26 給油用蓋板(第1の蓋板)
28 還元剤供給口(第2供給口)
30 還元剤用凹部(第2収容凹部)
32 還元剤用蓋板(第2の蓋板)
40 操作部(ロック解除操作部)
42 ハンドル部
46 ベース
4804 突起
54 基板部
5402 突出部
5410 水抜き孔
5412 ビード
56 指掛部