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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】電気コネクタセット
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20220628BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/11 302E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021551625
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2020037643
(87)【国際公開番号】W WO2021070761
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2019187604
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】眞室 稔
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152083(JP,A)
【文献】特開2001-319711(JP,A)
【文献】特開2015-211031(JP,A)
【文献】特開2006-269418(JP,A)
【文献】特開2013-114950(JP,A)
【文献】特開2018-116925(JP,A)
【文献】特開2015-008053(JP,A)
【文献】特開2017-212035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/10-13/14
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体を有する第1基板と、
前記第1基板の前記第1導体に実装される第1実装部および第2実装部と、前記第1実装部と前記第2実装部との間で湾曲して延びる凸部とを有する第1内部端子と、
第2導体を有する第2基板と、
前記第2基板の前記第2導体に実装される第3実装部と、前記第3実装部を底部に形成する凹部とを有する第2内部端子と、を備え、
前記第1内部端子の前記凸部と、前記第2内部端子の前記凹部とが嵌合されるように構成された、電気コネクタセット。
【請求項2】
前記第2内部端子は、前記凹部の前記底部から一方側に立ち上がる第1部分と、他方側に立ち上がる第2部分とを有し、前記第1部分は自由片である、請求項1に記載の電気コネクタセット。
【請求項3】
前記第3実装部とは別に、前記第2内部端子を前記第2基板の前記第2導体に実装させる第4実装部をさらに備え、
前記第2内部端子はさらに、前記第2部分に接続される凸部と、前記凸部から前記第4実装部まで延びる第3部分とを有する、請求項2に記載の電気コネクタセット。
【請求項4】
前記第2内部端子を保持する絶縁体をさらに備え、
前記第2内部端子の前記第3部分は幅の広くなった幅広部を有し、
前記絶縁体は、前記第3部分の前記幅広部を収容するように凹んだ第1切欠きを有する、請求項3に記載の電気コネクタセット。
【請求項5】
前記絶縁体はさらに、前記第2内部端子の前記凸部に対して外側に凹んだ第2切欠きを有する、請求項4に記載の電気コネクタセット。
【請求項6】
前記第2内部端子の前記1部分の幅は、前記第2部分の幅よりも大きい、請求項2から5のいずれか1つに記載の電気コネクタセット。
【請求項7】
前記第1、第2導体は、電源に接続する導体である、請求項1から6のいずれか1つに記載の電気コネクタセット。
【請求項8】
前記第1、第2導体は、グランドに接続する導体である、請求項1から6のいずれか1つに記載の電気コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1コネクタと第2コネクタを嵌合させて構成した電気コネクタセットが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の第1コネクタは、複数の第1内部端子と、複数の第1内部端子を保持する絶縁性のハウジングとを備える。第1内部端子のそれぞれは、半田によって配線基板の電極に接続される。
【0004】
同様に、第2コネクタは、複数の第2内部端子と、複数の第2内部端子を保持する絶縁性のハウジングとを備える。第2内部端子のそれぞれは、半田によって配線基板の電極に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-116925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気コネクタセットの電気的特性をより向上させることが求められている。
【0007】
従って、本発明の目的は、電気的特性を向上させた電気コネクタセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電気コネクタセットは、第1導体を有する第1基板と、前記第1基板の前記第1導体に実装される第1実装部および第2実装部と、前記第1実装部と前記第2実装部との間で湾曲して延びる凸部とを有する第1内部端子と、第2導体を有する第2基板と、前記第2基板の前記第2導体に実装される第3実装部と、前記第3実装部を底部に形成する凹部とを有する第2内部端子と、を備え、前記第1内部端子の前記凸部と、前記第2内部端子の前記凹部とが嵌合されるように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気的特性を向上させた電気コネクタセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施の形態の第1コネクタの上面側の斜視図
図1B】実施の形態の第1コネクタの下面側の斜視図
図1C】実施の形態の第1コネクタの分解斜視図
図1D】実施の形態の第1基板の概略平面図
図2A】実施の形態の第2コネクタの上面側の斜視図
図2B】実施の形態の第2コネクタの下面側の斜視図
図2C】実施の形態の第2コネクタの分解斜視図
図2D】実施の形態の第2基板の概略平面図
図3A】実施の形態の電気コネクタセットを第1コネクタ側から見た斜視図
図3B】実施の形態の電気コネクタセットを第2コネクタ側から見た斜視図
図4A】実施の形態の第1内部端子を下方側から見た斜視図
図4B】実施の形態の第1内部端子を上方側から見た斜視図
図5A】実施の形態の第2内部端子を下方側から見た斜視図
図5B】実施の形態の第2内部端子を上方側から見た斜視図
図6A】実施の形態の第2絶縁体および第2内部端子の概略平面図
図6B図6Aの一部拡大図
図7A】変形例における第1内部端子と第1、第2実装部材を示す概略側面図
図7B】変形例における第2内部端子と第3、第4実装部材を示す概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1態様によれば、第1導体を有する第1基板と、前記第1基板の前記第1導体に実装される第1実装部および第2実装部と、前記第1実装部と前記第2実装部との間で湾曲して延びる凸部とを有する第1内部端子と、第2導体を有する第2基板と、前記第2基板の前記第2導体に実装される第3実装部と、前記第3実装部を底部に形成する凹部とを有する第2内部端子と、を備え、前記第1内部端子の前記凸部と、前記第2内部端子の前記凹部とが嵌合されるように構成された、電気コネクタセットを提供する。
【0012】
このような構成によれば、第1内部端子に実装部が2つあることにより、実装部が1つだけの場合に比べて、第1内部端子を流れる電気の経路を分散させることができる。これにより、内部端子が電源に接続される場合には、電流の集中箇所を分散させることで、過電流による発熱を抑制することができる。また、内部端子がグランドに接続される場合には、内部端子のグランド端子としての電位の変化を抑制することができ、シールド性を向上させることができる。このようにして、電気コネクタセットの電気的特性を向上させることができる。
【0013】
本発明の第2態様によれば、前記第2内部端子は、前記凹部の前記底部から一方側に立ち上がる第1部分と、他方側に立ち上がる第2部分とを有し、前記第1部分は自由片である、第1態様に記載の電気コネクタセットを提供する。このような構成によれば、第1部分を自由片とすることで、設計の自由度が向上する。
【0014】
本発明の第3態様によれば、前記第3実装部とは別に、前記第2内部端子を前記第2基板の前記第2導体に実装させる第4実装部をさらに備え、前記第2内部端子はさらに、前記第2部分に接続される凸部と、前記凸部から前記第4実装部まで延びる第3部分とを有する、第2態様に記載の電気コネクタセットを提供する。このような構成によれば、第2内部端子に実装部が2つあることにより、第1内部端子と同様に、第2内部端子を流れる電気の経路を分散させることができ、電気コネクタセットの電気的特性を向上させることができる。
【0015】
本発明の第4態様によれば、前記第2内部端子を保持する絶縁体をさらに備え、前記第2内部端子の前記第3部分は幅の広くなった幅広部を有し、前記絶縁体は、前記第3部分の前記幅広部を収容するように凹んだ第1切欠きを有する、第3態様に記載の電気コネクタセットを提供する。このような構成によれば、絶縁体に第1切欠きを設けて第2内部端子の幅広部を収容することで、第2内部端子を絶縁体に位置決めすることができる。
【0016】
本発明の第5態様によれば、前記絶縁体はさらに、前記第2内部端子の前記凸部に対して外側に凹んだ第2切欠きを有する、第4態様に記載の電気コネクタセットを提供する。このような構成によれば、絶縁体に第2切欠きを設けることで、第1内部端子と第2内部端子が篏合したときに、第2内部端子の凸部が外側に押されて変形するスペースを確保することができる。
【0017】
本発明の第6態様によれば、前記第2内部端子の前記1部分の幅は、前記第2部分の幅よりも大きい、第2態様から第5態様のいずれか1つに記載の電気コネクタセットを提供する。このような構成によれば、自由片である第1部分の幅を第2部分の幅よりも大きくすることで、自由片のばね定数を大きくすることができ、第2部分および第2部分に接続された凸部のばね定数の値に近付けることができる。これにより、第1内部端子との接点が確保しやすくなる。
【0018】
本発明の第7態様によれば、前記第1、第2導体は、電源に接続する導体である、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の電気コネクタセットを提供する。このような構成によれば、内部端子が電源に接続される場合には、第1内部端子に実装部が2つあることにより、実装部が1つだけの場合に比べて内部端子を流れる電気の経路を分散させて、過電流による発熱を抑制することができる。
【0019】
本発明の第8態様によれば、前記第1、第2導体は、グランドに接続する導体である、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の電気コネクタセットを提供する。このような構成によれば、内部端子がグランドに接続される場合には、第1内部端子に実装部が2つあることにより、実装部が1つだけの場合に比べて内部端子を流れる電気の経路を分散させて、グランド端子としての電位の変化を抑制でき、シールド性が向上する。
【0020】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態)
図1A図1Cは、実施の形態の第1コネクタ2を示す図である。図2A図2Cは、実施の形態の第2コネクタ4を示す図である。図3A図3Bは、電気コネクタセット6を示す斜視図である。
【0022】
図1A図1Cに示す第1コネクタ2と、図2A図2Cに示す第2コネクタ4を互いに嵌合させることで、図3A図3Bに示す電気コネクタセット6が構成される。実施の形態では、第1コネクタ2はオス型の多極コネクタであり、第2コネクタ4はメス型の多極コネクタである。
【0023】
図1A図1Dを用いて、第1コネクタ2について説明する。図1Aは、第1コネクタ2の上面側の斜視図、図1Bは、第1コネクタ2の下面側の斜視図、図1Cは、第1コネクタ2の分解斜視図である。図1Dは、第1コネクタ2が実装される第1基板7を示す概略平面図である。
【0024】
図1A図1Dでは、第1コネクタ2の長さ方向(長手方向)をX方向、幅方向(短手方向)をY方向、長手方向と短手方向に直交する高さ方向(上下方向)をZ方向とする。
【0025】
図1A図1Cに示すように、第1コネクタ2は、複数の第1内部端子8と、第1外部端子10と、第1絶縁体12とを備える。
【0026】
複数の第1内部端子8は、図1Dに示す第1基板7に実装される。図1Dに示すように、第1基板7は複数の第1導体50を有する。第1導体50は、第1内部端子8に一対一対応で設けられており、1つの第1導体50に1つの第1内部端子8が実装される。実施の形態では、第1導体50の中央部の表面にレジスト51が設けられており、第1導体50が2か所に分割されている。1つの第1内部端子8は1つの第1導体50に対して2か所にて実装される。これにより、1つの第1内部端子8を1か所のみで第1導体50に実装する場合と比較して、第1内部端子8を流れる電気の経路を分散させることができる。詳細については後述する。なお、図1A図1B図1Cでは、第1基板7の図示を省略している。
【0027】
第1内部端子8は、後述する第2コネクタ4の第2内部端子26(図2A図2C参照)と嵌合して電気的に接続する端子である。第1内部端子8のそれぞれは、同じ導電性の材料から形成される(例えばリン青銅)。第1内部端子8が複数存在することにより、図1A図1Cに示す第1コネクタ2を「多極」コネクタと称する。
【0028】
複数の第1内部端子8は、X方向に沿って互いに間隔を空けた状態で配列されている。実施の形態では、X方向に延びる第1内部端子8の列をY方向に間隔を空けて2列設けている。
【0029】
図1C等に示すように、第1内部端子8はオス型の端子として構成されている。オス型の端子は凸部40を有し、凸部40にて第2内部端子26の凹部42(図2C参照)と篏合する。
【0030】
第1外部端子10は、後述する第2コネクタ4の第2外部端子28(図2A図2C参照)と嵌合して電気的に接続する端子である。第1外部端子10はグランド端子として機能する。第1外部端子10は、前述した第1内部端子8と同じ導電性の材料から形成される(例えばリン青銅)。
【0031】
第1外部端子10はオス型の端子として構成されており、メス型の端子である第2外部端子28に篏合する。第1外部端子10がオス型であることにより、図1A図1Cに示す第1コネクタ2を「オス型」のコネクタと称する。
【0032】
実施の形態の第1外部端子10は、X方向に間隔を空けて第1部分10Aと第2部分10Bとを備える。第1部分10Aと第2部分10Bは、複数の第1内部端子8をX方向に挟むように設けられる。このような構成に限らず、第1部分10Aと第2部分10Bを一体的に構成してもよい。
【0033】
図1A図1Cに示す第1絶縁体12は、複数の第1内部端子8および第1外部端子10を互いに電気的に絶縁した状態で保持する部材である。第1絶縁体12は例えば、絶縁性の材料である樹脂(例えば液晶ポリマー)から形成される。
【0034】
次に、図2A図2Dを用いて、第2コネクタ4について説明する。図2Aは、第2コネクタ4の上面側の斜視図、図2Bは、第2コネクタ4の下面側の斜視図、図2Cは、第2コネクタ4の分解斜視図である。図2Dは、第2コネクタ4が実装される第2基板25を示す概略平面図である。
【0035】
図2A図2Dにおいて、前述した第1コネクタ2と同様に、第2コネクタ4の長さ方向(長手方向)をX方向、幅方向(短手方向)をY方向、高さ方向(上下方向)をZ方向とする。
【0036】
図2A図2Cに示すように、第2コネクタ4は、複数の第2内部端子26と、第2外部端子28と、第2絶縁体30とを備える。
【0037】
複数の第2内部端子26は、図2Dに示す第2基板25に実装される。図2Dに示すように、第2基板25は複数の第2導体60を有する。第2導体60は、第2内部端子26に一対一対応で設けられており、1つの第2導体60に1つの第2内部端子26が実装される。実施の形態では、第2導体60の中央部の表面にレジスト61が設けられており、第2導体60が2か所に分割されている。1つの第2内部端子26は1つの第2導体60に対して2か所にて実装される。これにより、1つの第2内部端子26を1か所のみで第2導体60に実装する場合と比較して、第2内部端子26を流れる電気の経路を分散させることができる。詳細については後述する。なお、図2A図2B図2Cでは、第2基板25の図示を省略している。
【0038】
第2内部端子26は、図1A図1Cに示した第1コネクタ2の第1内部端子8と嵌合して電気的に接続する端子である。第2内部端子26のそれぞれは、同じ導電性の材料から形成される(例えばリン青銅)。第2内部端子26が複数存在することにより、図2A図2Cに示すコネクタを「多極」コネクタと称する。
【0039】
複数の第2内部端子26は、X方向に沿って互いに間隔を空けた状態で配列されている。実施の形態では、X方向に延びる第2内部端子26の列をY方向に間隔を空けて2列設けている。
【0040】
図2C等に示すように、第2内部端子26はメス型の端子として構成されている。メス型の端子は凹部42を有し、凹部42にて第1内部端子8の凸部40(図1C参照)と篏合する。
【0041】
第2外部端子28は、図1A図1Cに示した第1コネクタ2の第1外部端子10と嵌合して電気的に接続する端子である。第2外部端子28はグランド端子として機能する。第2外部端子28は、前述した第2内部端子26と同じ導電性の材料から形成される(例えばリン青銅)。
【0042】
第2外部端子28はメス型の端子として構成されており、オス型の端子である第1外部端子10を内側に誘い込む機能を有する。図2Cに示すように、第2外部端子28は、第1外部端子10を誘い込むための傾斜面であるガイド部21を備える。第2外部端子28がメス型であることにより、図2A図2Cに示す第2コネクタ4を「メス型」のコネクタと称する。
【0043】
第2外部端子28は、複数の第2内部端子26を取り囲む形状を有する。第2内部端子26の周囲を第2外部端子28で取り囲むことにより、第2内部端子26と第1内部端子8によるノイズの発生を抑制することができる。
【0044】
実施の形態では、第2外部端子28を一体的な環状の部材として構成している。このような形状に限らず、第2外部端子28を複数の別体の部材で構成してもよい。
【0045】
第2外部端子28はさらに、ロック部19を備える。ロック部19は、第2外部端子28に第1外部端子10が篏合した際に、第1外部端子10の抜け止めとして作用する突起である。第1外部端子10と第2外部端子28の篏合時に、ロック部19は必ずしも第1外部端子10と接触しなくてもよい。
【0046】
図2A図2Cに示す第2絶縁体30は、前述した第2内部端子26および第2外部端子28を互いに電気的に絶縁した状態で保持する部材である。第2絶縁体30は例えば、絶縁性の材料である樹脂(例えば液晶ポリマー)から形成される。
【0047】
図3A図3Bに示す電気コネクタセット6は、上述したオス型の第1コネクタ2をメス型の第2コネクタ4に篏合させることで構成される。図3Aは、電気コネクタセット6を第1コネクタ2側から見た斜視図であり、図3Bは、電気コネクタセット6を第2コネクタ4側から見た斜視図である。
【0048】
第1コネクタ2を第2コネクタ4に篏合させる際には、第1コネクタ2の第1外部端子10(オス型)を、第2コネクタ4の第2外部端子28(メス型)に篏合させる。さらに、第1コネクタ2の第1内部端子8の凸部40(オス型)を、第2コネクタ4の第2内部端子26の凹部42(メス型)に篏合させる。ただし、嵌合の順番は適宜入れ替え可能である。
【0049】
上述した構成を有する電気コネクタセット6において、第1コネクタ2の第1内部端子8を第1基板7に実装する実装構造と、第2コネクタ4の第2内部端子26を第2基板25に実装する実装構造について、図4A図4B図5A図5Bを用いて説明する。
【0050】
図4Aは、第1内部端子8を下方側から見た斜視図であり、図4Bは、第1内部端子8を上方側から見た斜視図である。
【0051】
図4A図4Bに示すように、第1内部端子8には、第1実装部52と第2実装部54が設けられている。第1実装部52は、第1内部端子8の一方側の端部であり、第2実装部54は、第1内部端子8の他方側の端部である。第1実装部52は、第1実装部材52Aを介して第1基板7の第1導体50に実装され、第2実装部54は、第2実装部材54Aを介して第1導体50に実装される。第1実装部材52Aと第2実装部材54Aはともに、第1内部端子8を第1導体50に実装するための部材である。実施の形態における第1実装部材52Aと第2実装部材54Aは半田を用いている。図4A図4Bでは、第1実装部材52Aと第2実装部材54Aを模式化して図示しており、実際には溶融した後に濡れ広がった状態となっている。
【0052】
図4A図4Bに示すように、第1内部端子8は凸部40を有する。凸部40の両端は折り返されており、第1実装部52と第2実装部54を構成している。第1実装部52および第2実装部54の底面には、第1実装部材52Aと第2実装部材54Aがそれぞれ接触している。
【0053】
第1内部端子8を第1導体50に実装する実装部52、54を2つ設けることにより、実装部を1つのみ設ける場合と比較して、第1内部端子8を流れる電気の経路を分散させることができる。
【0054】
電気コネクタセット6の使用時に、第1導体50は電源、グランドあるいは信号線路のいずれかに接続される。第1導体50が電源に接続される場合には、第1内部端子8を流れる電気の経路を分散させることで、第1内部端子8において過電流による発熱を抑制することができる。また、第1導体50がグランドに接続される場合には、第1内部端子8を流れる電気の経路を分散させることで、第1内部端子8における電位の変化を抑制することができ、第1内部端子8のグランド端子としてのシールド性を向上させることができる。このようにして、電気コネクタセット6の電気的特性を向上させることができる。
【0055】
第1内部端子8の実装部を1つのみ設ける場合は、導体抵抗の関係から最短経路に電流密度が集中して発熱しやすい構造となるため、電源などの大電流を流す用途に使用できない可能性がある。これに対して、実施の形態の第1内部端子8は2つの実装部52、54を設けることで発熱性を抑制しているため、大電流の用途にも使用することができる。このようにして、大電流用途にも高周波用途にも使用することができる。また、第1内部端子8の幅を太くせずに大電流を流すことできるため、第1コネクタ2の長手方向Xの寸法を小さくすることができ、部材点数も削減することができ、コストダウンを図ることができる。
【0056】
図5Aは、第2内部端子26を下方側から見た斜視図であり、図5Bは、第2内部端子26を上方側から見た斜視図である。
【0057】
図5A図5Bに示すように、第2内部端子26には、第3実装部56と第4実装部58が設けられている。第3実装部56は、第3実装部材56Aを介して第2基板25の第2導体60に実装され、第4実装部58は、第4実装部材58Aを介して第2導体60に実装される。第3実装部材56Aと第4実装部材58Aはともに、第2内部端子26を第2導体60に実装するための部材である。実施の形態における第3実装部材56A、第4実装部材58Aは半田を用いている。図5A図5Bでは、図4A図4Bと同様に第3実装部材56Aと第4実装部材58Aを模式化して図示している。
【0058】
図5A図5Bに示すように、第2内部端子26はさらに、底部26Aと、第1部分26Bと、第2部分26Cと、凸部26Dと、第3部分26Eとを有する。
【0059】
底部26A、第1部分26Bおよび第2部分26Cは、第2内部端子26の凹部42を構成する部分である。底部26Aは凹部42の底面であって、第3実装部56を構成する。第3実装部56の底面には第3実装部材56Aが接触している。第1部分26Bは、底部26Aから一方側に立ち上がる部分であり、第2部分26Cは、底部26Aから他方側に立ち上がる部分である。第1部分26Bの先端は他の部材に接続されておらず、自由端となっており、第1部分26Bは自由片である。換言すれば、第1部分26Bは一端が他の部材に接続されておらず、他端が第2基板25の第2導体60に実装される部分である底部26Aに接続されている。第2部分26Cは自由片ではなく、底部26Aと凸部26Dに接続されている。
【0060】
凸部26Dは、凹部42が凹む方向とは反対方向、すなわち上方に突出した部分である。凸部26Dは滑らかに湾曲した形状を有し、第3部分26Eに接続される。第3部分26Eは、凸部26Dから第4実装部58まで延びる。第4実装部58の底面には第4実装部材58Aが接触している。
【0061】
このように、第2内部端子26を第2導体60に実装する実装部56、58を2つ設けることにより、第1内部端子8と同様の効果を奏することができ、電気コネクタセット6の電気的特性を向上させることができる。
【0062】
上述したように、実施形態の電気コネクタセット6によれば、第1内部端子8は、第1基板7の第1導体50に実装される第1実装部52および第2実装部54を有し、第2内部端子26は、第2基板25の第2導体60に実装される第3実装部56を有する。このような構成によれば、第1内部端子8に実装部52、54が2つあることにより、実装部が1つだけの場合に比べて、第1内部端子8を流れる電気の経路を分散させることができる。本実施形態では、第2内部端子26も2つの実装部56、58を有しているが、第1内部端子8に2つの実装部52、54を設けることで、第2内部端子26の実装部の数に関わらず、第3実装部56のみが設けられるような場合であっても、電気コネクタセット6を流れる電気の経路を分散させる効果を奏することができる。
【0063】
ここで、実施の形態の第2内部端子26では、局所的に幅を変化させている。具体的には、底部26A、第2部分26Cおよび凸部26Dは一律に同じ幅を有するのに対して、第1部分26Bおよび第3部分26Eは局所的に幅の広くなった幅広部70、72をそれぞれ有する。
【0064】
第1部分26Bの幅広部70は、第1部分26Bのばね定数を大きくするために設けられる。第1部分26Bは一方側が自由端であるため、第2部分26Cや凸部26Dのように両側が第3実装部56と第4実装部58に固定された部分と比較して、ばね定数が小さくなり、柔らかくなりやすい。これに対して、凸部26Dは自由片に比べて変形しにくく、ばね定数が高い。よって、第2内部端子26が第1内部端子8と篏合する際に、自由片である第1部分26Bの方が接触圧が弱くなる傾向にある。その際、ばね定数を高めようと、第2内部端子26全体の幅を太くすると、凸部26Dが変形しにくくなり、篏合しにくくなる。そこで、第2部分26Cや凸部26Dの幅を底部26Aの幅と同じにしたまま、第1部分26Bに幅広部70を設けることで、第2内部端子26のばね定数を局所的に大きくしている。これにより、第1部分26Bのばね定数を第2部分26Cや凸部26Dのばね定数の値に近付けることができ、それぞれに同等の弾性力を持たせることができる。このような構成によれば、第2内部端子26の凹部42に第1内部端子8の凸部40を篏合させたときに、第1内部端子8の凸部40に対してY方向の両側から挟む方向にそれぞれ力を均等に作用させることができる。これにより、精度良い篏合を実現させることができる。このように、自由片である第1部分26Bを選択的に太くして、凸部26Dのばね定数に近づけることで、接触圧を保ちつつ適度な嵌合を実現することができる。
【0065】
上述したように、自由片である第1部分26Bの幅を第2部分26Cの幅よりも大きくすることで、第1部分26Bのばね定数の値を第2部分26Cおよび凸部26Dのばね定数の値に近付けることができる。なお、第1部分26Bと第2部分26Cの幅を設定する際には、第1部分26Bの平均幅あるいは最大幅を、第2部分26Cの平均幅あるいは最大幅よりも大きくするように設定すればよい。
【0066】
一方で、第3部分26Eの幅広部72は、第2内部端子26を前述した第2絶縁体30に位置決めするために設けられる。具体的には、図6A図6Bを用いて説明する。
【0067】
図6Aは、第2絶縁体30および第2内部端子26の平面図である。図6Aでは便宜的に一部の第2内部端子26を抜いた状態を示す。図6Bは、図6Aの一部拡大図である。
【0068】
図6Aに示すように、第2絶縁体30には複数の第2内部端子26を配置するための空隙74が設けられている。
【0069】
空隙74のそれぞれは、図6Bに示すように、第1切欠き76と、第2切欠き78とを有する。
【0070】
第1切欠き76は、前述した第2内部端子26の幅広部72を配置するための切欠きである。第1切欠き76は、第2内部端子26に対して、第2コネクタ4の長さ方向であるX方向の外側に凹んだ凹部として設けられる。第1切欠き76に幅広部72を配置することで、空隙74における第2内部端子26のY方向の移動を規制することができ、第2内部端子26を第2絶縁体30に位置決めすることができる。
【0071】
第2切欠き78は、第2内部端子26の凸部26Dを受けるための切欠きである。第2切欠き78は、第2内部端子26の凸部26Dに対して、第2コネクタ4の幅方向であるY方向の外側に凹んだ凹部として設けられる。第2切欠き78を設けることにより、第1内部端子8が第2内部端子26に篏合して第2内部端子26の凸部26Dが外側に押されたときに、凸部26Dが変形するスペースを確保することができる。これにより、第2内部端子26が所望の弾性力を発揮することができ、精度良い篏合を実現することができる。
【0072】
(変形例)
第1内部端子8の実装部材52A、54Aおよび第2内部端子26の実装部材56A、58Aの変形例について、図7A図7Bを用いて説明する。
【0073】
図7Aは、変形例における第1内部端子8の第1実装部材152Aおよび第2実装部材154Aを示す概略側面図である。
【0074】
図7Aに示すように、第1実装部材152Aおよび第2実装部材154Aは、実施の形態の第1実装部材52Aおよび第2実装部材54Aと比較してY方向の長さが長く設定されている。
【0075】
第1内部端子8における第2内部端子26との接点2箇所をそれぞれ第1接点182、第2接点184とすると、第1接点182が第1実装部材152AとZ方向に重なり、かつ、第2接点184が第2実装部材154AとZ方向に重なるように設計している(点線参照)。
【0076】
このように、接点182、184の直下に第1実装部材152A、第2実装部材154Aをそれぞれ配置することで、接点182、184の直下に実装部材が存在しない構成と比較して、第1内部端子8から第1実装部材152A、第2実装部材154Aへ流れる電気の経路が短くなる。電気の経路が短くなることで、第1内部端子8が電源に接続される場合には発熱性を下げることができ、また、第1内部端子8がグランド端子に接続される場合には、グランド端子の電位の変化を抑制することができ、シールド性を向上させることができる。このような設計により、電気コネクタセット6の電気的特性を向上させることができる。
【0077】
図7Bは、変形例における第2内部端子26の第3実装部材156Aおよび第4実装部材158Aを示す概略側面図である。
【0078】
図7Bに示すように、第3実装部材156Aおよび第4実装部材158Aは、実施の形態の第3実装部材56Aおよび第4実装部材58Aと比較してY方向の長さが長く設定されている。
【0079】
第2内部端子26における第1内部端子8との接点2箇所をそれぞれ第3接点186、第4接点188とすると、第3接点186と第4接点188がともに第3実装部材156AとZ方向に重なるように設計している(点線参照)。
【0080】
このように、接点186、188の直下に第3実装部材156Aを配置することで、接点186、188の直下に実装部材が存在しない構成と比較して、第2内部端子26から第3実装部材156Aへ流れる電気の経路が短くなる。電気の経路が短くなることで、前述した第1内部端子8と同様の効果を奏することができ、電気コネクタセット6の電気的特性を向上させることができる。
【0081】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。例えば、内部端子や外部端子の個数については、任意の数であってもよい。
【0082】
また実施の形態では、第1内部端子8と第2内部端子26のそれぞれに実装部を2つ設ける場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、第1内部端子8に実装部を2つ設け、第2内部端子26には実装部を1つのみ設けるようにしてもよい。この場合、第2内部端子26の第4実装部58を省略して第3実装部56のみを設け、第2基板25の第2導体60に第3実装部56のみを実装するようにしてもよい。この場合、図2Dに示される第2基板25のレジスト61を省略して、2か所に分割されている第2導体60を1つにまとめるように構成してもよい。
【0083】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0084】
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、電気コネクタセットであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
2 第1のコネクタ(オス型多極コネクタ)
4 第2のコネクタ(メス型多極コネクタ)
6 電気コネクタセット
7 第1基板
8 第1内部端子
10 第1外部端子
10A 第1部分
10B 第2部分
12 第1絶縁体
19 ロック部
21 ガイド部
25 第2基板
26 第2内部端子
26A 底部
26B 第1部分
26C 第2部分
26D 凸部
26E 第3部分
28 第2外部端子
30 第2絶縁体
40 凸部
42 凹部
50 第1導体
51 レジスト
52 第1実装部
52A 第1実装部材
54 第2実装部
54A 第2実装部材
56 第3実装部
56A 第3実装部材
58 第4実装部
58A 第4実装部材
60 第2導体
61 レジスト
70、72 幅広部
74 空隙
76 第1切欠き
78 第2切欠き
152A 第1実装部材
154A 第2実装部材
156A 第3実装部材
158A 第4実装部材
182 第1接点
184 第2接点
186 第3接点
188 第4接点
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B