(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】防水シート接合装置および防水シート接合方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/00 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
B29C65/00
(21)【出願番号】P 2018129162
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000223403
【氏名又は名称】住ベシート防水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩和
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-214928(JP,A)
【文献】特開昭61-001884(JP,A)
【文献】特開昭63-077568(JP,A)
【文献】特開2010-194842(JP,A)
【文献】実開平03-026531(JP,U)
【文献】実開平04-130827(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-63/48,65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性を有する防水シートを溶剤により接合する防水シート接合装置であって、
前記溶剤を前記防水シートに供給する供給系と、
回転可能に支持された車輪を有し、該車輪が回転することにより前記供給系ごと走行する走行系とを備え、
前記供給系は、前記溶剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に連通し、前記溶剤が通過する流路と、
前記流路に連通し、前記流路を通過した前記溶剤を前記防水シートに吐出するノズルと、
前記流路内の前記溶剤を前記ノズル側に向かって送り出すポンプと、
前記車輪の回転力を前記ポンプを作動させる動力として、前記ポンプに伝達する力伝達部とを有
し、
前記ポンプは、前記流路の途中に設けられ、互いに噛み合う2つの歯車を有する歯車ポンプで構成され、
前記力伝達部は、前記2つの歯車のうちの一方の歯車と前記車輪とを連結するタイミングベルトを有し、前記走行系が前進したときには前記一方の歯車を正転させ、前記走行系が後退したときには前記一方の歯車を反転させ、
前記一方の歯車が正転している状態では、前記ノズルから前記溶剤が吐出され、
前記一方の歯車が反転している状態では、前記ノズルからの前記溶剤の吐出が停止することを特徴とする防水シート接合装置。
【請求項2】
防水性を有する防水シートを溶剤により接合する防水シート接合装置であって、
前記溶剤を前記防水シートに供給する供給系と、
回転可能に支持された車輪を有し、該車輪が回転することにより前記供給系ごと走行する走行系とを備え、
前記供給系は、前記溶剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に連通し、前記溶剤が通過する流路と、
前記流路に連通し、前記流路を通過した前記溶剤を前記防水シートに吐出するノズルと、
前記流路内の前記溶剤を前記ノズル側に向かって送り出すポンプと、
前記車輪の回転力を前記ポンプを作動させる動力として、前記ポンプに伝達する力伝達部とを有
し、
前記ポンプは、前記流路の途中に設けられ、回転可能に支持されたインペラを有するインペラポンプ、または、前記流路の途中に設けられ、互いに噛み合う2つの歯車を有する歯車ポンプで構成されており、
前記走行系は、前記防水シートの変形を矯正する矯正機構を備えることを特徴とする防水シート接合装置。
【請求項3】
防水性を有する防水シートを溶剤により接合する防水シート接合装置であって、
前記溶剤を前記防水シートに供給する供給系と、
回転可能に支持された車輪を有し、該車輪が回転することにより前記供給系ごと走行する走行系とを備え、
前記供給系は、前記溶剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に連通し、前記溶剤が通過する流路と、
前記流路に連通し、前記流路を通過した前記溶剤を前記防水シートに吐出するノズルと、
前記流路内の前記溶剤を前記ノズル側に向かって送り出すポンプと、
前記車輪の回転力を前記ポンプを作動させる動力として、前記ポンプに伝達する力伝達部とを有
し、
前記ポンプは、前記流路の途中に設けられ、回転可能に支持されたインペラを有するインペラポンプ、または、前記流路の途中に設けられ、互いに噛み合う2つの歯車を有する歯車ポンプで構成されており、
前記走行系は、走行速度を検出する検出部と、該検出部の検出結果を表示する表示部とを有することを特徴とする防水シート接合装置。
【請求項4】
前記ポンプは、前記走行系が前進したときには、前記溶剤を前記ノズルから吐出するように作用し、前記走行系が後退したときには、前記ノズルからの前記溶剤の吐出を停止させるよう作用する請求項
2または3に記載の防水シート接合装置。
【請求項5】
前記ポンプは、前
記インペラポンプで構成され、
前記力伝達部は、前記インペラと前記車輪とを連結するタイミングベルトを有し、前記走行系が前進したときには前記インペラを正転させ、前記走行系が後退したときには前記インペラを反転させる請求項2
ないし4のいずれか1項に記載の防水シート接合装置。
【請求項6】
前記ポンプは、前
記歯車ポンプで構成され、
前記力伝達部は、前記2つの歯車のうちの一方の歯車と前記車輪とを連結するタイミングベルトを有し、前記走行系が前進したときには前記一方の歯車を正転させ、前記走行系が後退したときには前記一方の歯車を反転させる請求項2
ないし4のいずれか1項に記載の防水シート接合装置。
【請求項7】
前記一方の歯車が正転している状態では、前記ノズルから前記溶剤が吐出され、
前記一方の歯車が反転している状態では、前記ノズルからの前記溶剤の吐出が停止する請求項
6に記載の防水シート接合装置。
【請求項8】
前記ノズルは、前記溶剤を吐出する際、前記防水シートの裏側に挿入される請求項1ないし
7のいずれか1項に記載の防水シート接合装置。
【請求項9】
前記防水シートは、帯状をなすものであり、
前記供給系は、前記ノズルを複数有し、前記複数のノズルのうちの少なくとも2つのノズルは、前記溶剤を吐出する際、前記防水シートの幅方向の両側から、前記防水シートの裏側に挿入される請求項1ないし
8のいずれか1項に記載の防水シート接合装置。
【請求項10】
前記車輪は、前記溶剤が供給された前記防水シートを表側から転圧するローラで構成されている請求項
8または
9に記載の防水シート接合装置。
【請求項11】
前記供給系は、前記ノズルを鉛直軸回りに回動可能に支持する回動支持部を有する請求項1ないし
10のいずれか1項に記載の防水シート接合装置。
【請求項12】
前記供給系は、前記流路の途中に設けられ、前記流路を通過する前記溶剤の流量を調整する流量調整部を有する請求項1ないし
11のいずれか1項に記載の防水シート接合装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の防水シート接合装置を用いて、前記防水シートを接合する接合工程を有することを特徴とする防水シート接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シート接合装置および防水シート接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の高耐久化が求められるに伴って、多くの建築物の屋上やベランダ等において、防水シートを敷設施工したシート防水構造が採用されている。シート防水構造としては、例えば、2枚の防水シートの縁部同士を上下に重ね合わせて、その重ね合わせ部を接着剤によって接合したものが知られている。
【0003】
防水シート同士の重ね合わせ部に接着剤を供給するには、その供給装置として、シートの簡易接合装置を用いることができる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の供給装置は、接着剤を貯留するタンクと、タンクに接続され、接着剤が通過するチューブと、チューブの先端部に接続され、接着剤が前記重ね合わせ部に排出されるノズルとを有している。この供給装置は、サイフォンの原理により、タンクからノズルまで接着剤を送り出すことができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の供給装置では、サイフォンの原理を利用しているため、タンク内の接着剤の液面の高さによって、ノズルから排出される接着剤の排出量が変化するという問題がある。この場合、前記重ね合わせ部での接着強度が安定しない、すなわち、均一とならないおそれがある。また、特許文献1に記載の供給装置では、前記チューブの途中に設けられたバルブが開状態である限り、前記重ね合わせ部の接合作業をするかしないかに関わらず、接着剤がノズルから排出され続けてしまうという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、貯留部内の溶剤の貯留量によらず、ノズルから排出される溶剤の排出量を一定にすることができ、また、溶剤の排出とその停止とを容易に操作することができる防水シート接合装置、および、かかる防水シート接合装置を用いた防水シート接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)~(13)の本発明により達成される。
(1) 防水性を有する防水シートを溶剤により接合する防水シート接合装置であって、
前記溶剤を前記防水シートに供給する供給系と、
回転可能に支持された車輪を有し、該車輪が回転することにより前記供給系ごと走行する走行系とを備え、
前記供給系は、前記溶剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に連通し、前記溶剤が通過する流路と、
前記流路に連通し、前記流路を通過した前記溶剤を前記防水シートに吐出するノズルと、
前記流路内の前記溶剤を前記ノズル側に向かって送り出すポンプと、
前記車輪の回転力を前記ポンプを作動させる動力として、前記ポンプに伝達する力伝達部とを有し、
前記ポンプは、前記流路の途中に設けられ、互いに噛み合う2つの歯車を有する歯車ポンプで構成され、
前記力伝達部は、前記2つの歯車のうちの一方の歯車と前記車輪とを連結するタイミングベルトを有し、前記走行系が前進したときには前記一方の歯車を正転させ、前記走行系が後退したときには前記一方の歯車を反転させ、
前記一方の歯車が正転している状態では、前記ノズルから前記溶剤が吐出され、
前記一方の歯車が反転している状態では、前記ノズルからの前記溶剤の吐出が停止することを特徴とする防水シート接合装置。
(2) 防水性を有する防水シートを溶剤により接合する防水シート接合装置であって、
前記溶剤を前記防水シートに供給する供給系と、
回転可能に支持された車輪を有し、該車輪が回転することにより前記供給系ごと走行する走行系とを備え、
前記供給系は、前記溶剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に連通し、前記溶剤が通過する流路と、
前記流路に連通し、前記流路を通過した前記溶剤を前記防水シートに吐出するノズルと、
前記流路内の前記溶剤を前記ノズル側に向かって送り出すポンプと、
前記車輪の回転力を前記ポンプを作動させる動力として、前記ポンプに伝達する力伝達部とを有し、
前記ポンプは、前記流路の途中に設けられ、回転可能に支持されたインペラを有するインペラポンプ、または、前記流路の途中に設けられ、互いに噛み合う2つの歯車を有する歯車ポンプで構成されており、
前記走行系は、前記防水シートの変形を矯正する矯正機構を備えることを特徴とする防水シート接合装置。
(3) 防水性を有する防水シートを溶剤により接合する防水シート接合装置であって、
前記溶剤を前記防水シートに供給する供給系と、
回転可能に支持された車輪を有し、該車輪が回転することにより前記供給系ごと走行する走行系とを備え、
前記供給系は、前記溶剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に連通し、前記溶剤が通過する流路と、
前記流路に連通し、前記流路を通過した前記溶剤を前記防水シートに吐出するノズルと、
前記流路内の前記溶剤を前記ノズル側に向かって送り出すポンプと、
前記車輪の回転力を前記ポンプを作動させる動力として、前記ポンプに伝達する力伝達部とを有し、
前記ポンプは、前記流路の途中に設けられ、回転可能に支持されたインペラを有するインペラポンプ、または、前記流路の途中に設けられ、互いに噛み合う2つの歯車を有する歯車ポンプで構成されており、
前記走行系は、走行速度を検出する検出部と、該検出部の検出結果を表示する表示部とを有することを特徴とする防水シート接合装置。
【0008】
(4) 前記ポンプは、前記走行系が前進したときには、前記溶剤を前記ノズルから吐出するように作用し、前記走行系が後退したときには、前記ノズルからの前記溶剤の吐出を停止させるよう作用する上記(2)または(3)に記載の防水シート接合装置。
【0009】
(5) 前記ポンプは、前記インペラポンプで構成され、
前記力伝達部は、前記インペラと前記車輪とを連結するタイミングベルトを有し、前記走行系が前進したときには前記インペラを正転させ、前記走行系が後退したときには前記インペラを反転させる上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の防水シート接合装置。
【0010】
(6) 前記ポンプは、前記歯車ポンプで構成され、
前記力伝達部は、前記2つの歯車のうちの一方の歯車と前記車輪とを連結するタイミングベルトを有し、前記走行系が前進したときには前記一方の歯車を正転させ、前記走行系が後退したときには前記一方の歯車を反転させる上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の防水シート接合装置。
【0011】
(7) 前記一方の歯車が正転している状態では、前記ノズルから前記溶剤が吐出され、
前記一方の歯車が反転している状態では、前記ノズルからの前記溶剤の吐出が停止する上記(6)に記載の防水シート接合装置。
【0012】
(8) 前記ノズルは、前記溶剤を吐出する際、前記防水シートの裏側に挿入される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の防水シート接合装置。
【0013】
(9) 前記防水シートは、帯状をなすものであり、
前記供給系は、前記ノズルを複数有し、前記複数のノズルのうちの少なくとも2つのノズルは、前記溶剤を吐出する際、前記防水シートの幅方向の両側から、前記防水シートの裏側に挿入される上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の防水シート接合装置。
【0014】
(10) 前記車輪は、前記溶剤が供給された前記防水シートを表側から転圧するローラで構成されている上記(8)または(9)に記載の防水シート接合装置。
【0015】
(11) 前記供給系は、前記ノズルを鉛直軸回りに回動可能に支持する回動支持部を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の防水シート接合装置。
【0016】
(12) 前記供給系は、前記流路の途中に設けられ、前記流路を通過する前記溶剤の流量を調整する流量調整部を有する上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の防水シート接合装置。
【0019】
(13) 上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の防水シート接合装置を用いて、前記防水シートを接合する接合工程を有することを特徴とする防水シート接合方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、貯留部内の溶剤の貯留量によらず、ノズルから排出される溶剤の排出量を一定にすることができ、また、溶剤の排出とその停止とを容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の防水シート接合装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す防水シート接合装置が前進している状態を示す垂直部分断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す防水シート接合装置が後退している状態を示す垂直部分断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の防水シート接合装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の防水シート接合装置の第3実施形態を示す側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の防水シート接合装置の第4実施形態を示す垂直部分断面図である。
【
図10】
図10は、防水シートの施工状態の一例を示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、防水シートの施工状態の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の防水シート接合装置および防水シート接合方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の防水シート接合装置の第1実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1中の矢印A方向から見た図である。
図3は、
図1中の矢印B方向から見た図である。
図4は、
図1中の矢印C方向から見た図である。
図5は、
図1に示す防水シート接合装置が前進している状態を示す垂直部分断面図である。
図6は、
図1に示す防水シート接合装置が後退している状態を示す垂直部分断面図である。
図10は、防水シートの施工状態の一例を示す分解斜視図である。
図11は、防水シートの施工状態の一例を示す分解斜視図である。
【0024】
なお、以下では、説明の都合上、
図1、
図2および
図5~
図11中の上側を「上(または上方)」または「表側」、下側を「下(または下方)」または「裏側」と言う。また、
図1および
図7中の斜め左下側、
図2中の左側、
図3および
図4中の下側、
図5および
図6中の左側を「前(または前方)」と言う。また、
図1および
図7中の斜め右上側、
図2中の右側、
図3および
図4中の上側、
図5および
図6中の右側を「後(または後方)」と言う。また、
図1~
図9に示すように、互いに直交する3軸をx軸、y軸およびz軸とする。また、x軸とy軸を含むxy平面が水平となっており、z軸が鉛直となっている。
【0025】
図1に示す防水シート接合装置(以下単に「接合装置」と言う)1は、防水性を有する防水シート100を溶剤(可溶性溶剤)Qにより接合する装置である。
【0026】
また、本発明の防水シート接合方法は、防水シート100を接合する接合工程を有している。防水シート接合装置1は、この接合工程で用いられる。
【0027】
防水シート100が敷設される(施工される)躯体としては、特に限定されず、例えば、屋上やベランダ等の床面が挙げられる。
【0028】
また、防水シート100の敷設態様としては、特に限定されず、例えば、
図10や
図11に示す態様がある。
【0029】
図10に示す態様では、帯状の防水シート100(以下「防水シート100A」と言う)と、防水シート100Aよりも幅が大きい2枚の防水シート100(以下「防水シート100B」と言う)とを備えている。防水シート100B同士が間を開けて隣り合って、敷設されている。防水シート100Aは、防水シート100B同士の間を埋めるように、上側から敷設されている。そして、防水シート100Aと各防水シート100Bとは、縁部が重なっており、この重なり部101が接合しろとなって、接合装置1により接合される。
【0030】
なお、
図10に示す態様では、2つの防水シート100Bのうちの少なくとも一方の防水シート100Bを断熱パネル、すなわち、いわゆる「塩ビ鋼板」に代えてもよい。断熱パネルは、内層がガルバリウム鋼板(登録商標)やステンレス鋼板等の各種鋼板で構成され、最外層が防水シート100Bと同様に防水性を有するシート(防水シート)で構成されたものである。
【0031】
図11に示す態様では、防水シート100B同士が縁部で重なり合っている。そして、この重なり部101が接合しろとなって、接合装置1により接合される。
【0032】
なお、
図11に示す態様では、2つの防水シート100Bのうちの下側の防水シート100Bを、前述した断熱パネルに代えてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、一例として、
図10に示す態様の接合に接合装置1を用いる場合について説明する。
【0034】
防水シート100の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリ塩化ビニルであるのが好ましい。これにより、例えば、防水シート100同士の密着性を向上させることができる。
【0035】
図1に示すように、防水シート接合装置1は、溶剤Qを防水シート100に供給する供給系10と、供給系10ごと走行する走行系9とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0036】
走行系9は、車体91と、車体91の下部に回転可能に支持された複数の車輪92と、車体91の上部に支持、固定されたハンドル93とを有している。
【0037】
車体91は、y軸方向に並べて配置された2つのフレーム94と、2つのフレーム94を連結する2つの連結板95とを備えている。
【0038】
各フレーム94は、天板941と、天板941の裏側に固定された2枚の側板942とを有している。2枚の側板942は、y軸方向に並べられ、間隙を介して互いに対向して配置されている。
【0039】
各連結板95は、各フレーム94の天板941同士を連結している。なお、連結板95による連結は、解除可能となっていてもよい。
【0040】
図1に示すように、各フレーム94には、2枚の側板942の間に、複数の車輪92が配置されている。各車輪92は、回転可能に支持されたローラで構成されている。そして、各車輪92が回転することにより、接合装置1は、供給系10ごと走行することができる。例えば、
図5に示すように、各車輪92が矢印β
92方向に回転した場合には、接合装置1を矢印α1方向に前進させることができる。また、
図6に示すように、各車輪92が矢印β
92と反対方向の矢印β
92’方向に回転した場合には、接合装置1を矢印α2方向に後退させることができる。なお、各フレーム94に配置される車輪92の配置数は、
図2に示す構成では9つであるが、これに限定されない。
【0041】
走行系9は、複数の車輪92のうちのいずれかの車輪92が起動輪、転輪、遊動輪(誘導輪)として機能し、これらを囲むように設置された無限軌道をさらに有する構成となっていてもよい。この構成の場合、接合装置1は、起動輪によって無限軌道を駆動させて、走行することができる。
【0042】
ハンドル93は、各フレーム94の天板941から上方に向かって突出したポール96に支持、固定されている。防水シート100の接合作業を行なう作業者は、ハンドル93を把持して、そのまま接合装置1を矢印α1に押して前進させたり(
図5参照)、または、接合装置1を矢印α2に引いて後退させたり(
図6参照)する操作を行うことができる。
【0043】
供給系10は、溶剤Qを防水シート100に供給する構造体である。供給系10は、y軸方向負側のフレーム94の車体91に支持された第1供給系10Aと、y軸方向正側のフレーム94の車体91に支持された第2供給系10Bとで構成されている。第1供給系10Aと第2供給系10Bとは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、第1供給系10Aについて代表的に説明する。なお、本実施形態では、
図3に示すように、2つのフレーム94の間にx軸方向に沿った仮想線VLを想定した場合、第1供給系10Aと第2供給系10Bとは、仮想線VLに関して対称的に配置されている。
【0044】
図1に示すように、第1供給系10Aは、溶剤Qを貯留する貯留部2と、貯留部2に連通する流路3と、流路3を通過する溶剤Qの流量を調整する流量調整部4と、流路3に連通するノズル5と、流路3内の溶剤Qをノズル5側に向かって送り出すポンプ6と、動力をポンプ6に伝達する力伝達部7とを有している。
【0045】
貯留部2は、本実施形態では、例えば円筒状をなすタンクで構成されている。なお、タンクには、外部と連通する通気孔があるのが好ましい。
【0046】
また、貯留部2は、フレーム94の天板941の上方に向かって突出して設けられた支柱943に固定されている。
【0047】
この貯留部2には、溶剤Qが貯留されている。溶剤Qとしては、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ニトロベンゼン、四塩化炭素、ピリジン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられるが、中でも、テトラヒドロフランであることが好ましい。テトラヒドロフランは、揮発性に優れ、各種樹脂材料が溶解性を示すため、溶着法に用いる溶剤として好ましい。
【0048】
貯留部2の底部21には、流路3が液密的に接続されている。流路3は、貯留部2に連通し、溶剤Qが通過する金属製のパイプで一部または全部を構成することができる。流路3は、複数本のパイプが継手を介して接続されたものであってもよいし、1本のパイプで構成されていてもよい。また、パイプは、その長手方向の途中が1箇所または複数箇所で屈曲または湾曲していてもよい。
【0049】
流路3の貯留部2と反対側には、ノズル5が液密的に接続されている。
図5、
図6に示すように、ノズル5は、偏平形状をなす金属製の中空体で構成され、流路3に連通している。
なお、ノズル5には、当該ノズル5を補強する補強材が設けられていてもよい。
【0050】
また、
図4に示すように、ノズル5は、後方、すなわち、x軸方向負側に向かって開口し、流路3を通過した溶剤Qを防水シート100に吐出する吐出口51を有している。そして、吐出口51から吐出された溶剤Qは、防水シート100Aと防水シート100Bとの接合に供される。吐出口51の形状は、
図4に示す構成ではy軸方向に沿ったスリット状となっているが、これに限定されない。
【0051】
なお、第1供給系10Aのノズル5は、xy平面と平行にy軸方向正側に向かって突出しているが、第2供給系10Bのノズル5は、xy平面と平行にy軸方向負側に向かって突出している。
【0052】
そして、
図4に示すように、第1供給系10Aのノズル5は、溶剤Qを吐出する際には、防水シート100Aの幅方向の一方側、すなわち、y軸方向負側から、防水シート100Aの裏側(防水シート100Aと一方の防水シート100Bとの間)に挿入される。これに対し、第2供給系10Bのノズル5は、溶剤Qを吐出する際には、防水シート100Aの幅方向の他方側、すなわち、y軸方向正側から、防水シート100Aの裏側(防水シート100Aと他方の防水シート100Bとの間)に挿入される。
【0053】
このように、供給系10は、ノズル5を2つ有し、当該2つのノズル5は、溶剤Qを吐出する際、防水シート100Aの幅方向の両側から、防水シート100Aの裏側に挿入される。これにより、各防水シート100Bに対する防水シート100Aの接合作業を一括して行うことができ、よって、その作業時間をできる限り短くすることができる。
【0054】
なお、供給系10が有するノズル5の設置数は、本実施形態では2つであるが、これに限定されず、例えば、3つ以上であってもよい。
【0055】
図5に示すように、ノズル5は、各車輪92よりも前方に位置している。また、前述したように、各車輪92は、ローラで構成されている。これにより、ノズル5を介して溶剤Qが供給された防水シート100Aを表側から転圧することができる。この転圧により、防水シート100Aと防水シート100Bとの接合強度が増加し、よって、防水シート100Aと防水シート100Bとの間の防水性が長期間にわたって維持される。
【0056】
また、
図3に示すように、流路3(供給系10)は、ノズル5をz軸、すなわち、鉛直軸回りに矢印β
5方向と矢印β
5’方向とに回動可能に支持する回動支持部31を有している。これにより、ノズル5を防水シート100Aの裏側に挿入する際には、ノズル5を矢印β
5方向に回動させて、その挿入操作を行うことができる。また、ノズル5を防水シート100Aの裏側から抜去する際には、ノズル5を矢印β
5’方向に回動させて、その抜去操作を行うことができる。このようにノズル5の挿入、抜去操作を迅速かつ円滑に行うことができる。
【0057】
回動支持部31の構成としては、特に限定されず、例えば、流路3を構成する金属製のパイプを、z軸回りに相対的に回転する外パイプと内パイプとし、この相対的な回転により、ノズル5をz軸回りに回動させるよう構成されたものとすることができる。
【0058】
流路3の途中には、流量調整部4が設けられている。流量調整部4は、例えば、可変絞り弁で構成することができる。これにより、流量調整部4は、絞り開度を変えることによって、流路3を通過する溶剤Qの流量を無段階に調整することができる。このような流量調整部4により、ノズル5から溶剤Qを過不足なく供給することができる。
【0059】
なお、流量調整部4は、手動操作により溶剤Qの流量調整を行うよう構成されていてもよいし、または、例えば溶剤Qの粘度等の諸条件に基づいて自動的に溶剤Qの流量調整を行うよう構成されていてもよい。
【0060】
流路3の途中には、流量調整部4よりも上流側にポンプ6が設けられている。ポンプ6は、流路3内の溶剤Qをノズル5側に向かって送り出すものである。本実施形態では、ポンプ6は、歯車ポンプで構成されている。歯車ポンプとしては、外接歯車ポンプや内接歯車ポンプ等を用いることができるが、外接歯車ポンプを用いるのが好ましい。
【0061】
図5、
図6に示すように、外接歯車ポンプであるポンプ6は、互いに噛み合う2つの歯車、すなわち、駆動歯車(第1歯車)61と、駆動歯車61に噛み合う従動歯車(第2歯車)62と、駆動歯車61および従動歯車62を収納するハウジング63とを有している。
【0062】
駆動歯車61は、力伝達部7を介して、車輪92の回転力が伝達されて回転することができる。
【0063】
従動歯車62は、駆動歯車61と噛み合っており、駆動歯車61からの回転力が伝達されて、駆動歯車61と反対方向に回転することができる。
【0064】
なお、駆動歯車61および従動歯車62は、それぞれ、平歯車で構成されている。また、平歯車の形状および寸法(JIS B 1721に規定)は、駆動歯車61および従動歯車62の双方とも同じとなっている。
【0065】
ハウジング63は、内側に、ポンプ室631を構成している。ポンプ室631内には、駆動歯車61および従動歯車62が回動可能に支持されている。
【0066】
ポンプ6としては、前述したように本実施形態では歯車ポンプを用いているが、これに限定されず、例えば、チューブポンプやダイヤフラムポンプ等の各種ポンプも用いることができる。
【0067】
前述したように、各フレーム94には、2枚の側板942の間に、複数の車輪92が配置されている。そして、
図5、
図6に示すように、接合装置1では、これら複数の車輪92のうちの1つの車輪92(以下「車輪92A」と言う)の回転力を、力伝達部7を介して、ポンプ6に伝達することができる。以下、力伝達部7について説明する。
【0068】
力伝達部7は、車輪92Aと同心的に連結、固定された第1プーリ71と、ポンプ6の駆動歯車61と同心的に連結、固定された第2プーリ72と、第1プーリ71と第2プーリ72と間に配置された第3プーリ73とを有している。なお、第3プーリ73は、大径プーリ731と、大径プーリ731と同心的に連結、固定され、大径プーリ731よりも小径の小径プーリ732とで構成されている。
【0069】
また、力伝達部7は、第1プーリ71と第3プーリ73の大径プーリ731とに掛け回された第1タイミングベルト74と、第2プーリ72と第3プーリ73の小径プーリ732とに掛け回された第2タイミングベルト75とを有している。
【0070】
このように、車輪92Aと、ポンプ6の駆動歯車61(ポンプ6が有する2つの歯車のうちの一方の歯車)とは、複数のプーリおよびタイミングベルトを介して、連結された状態となっている。
【0071】
なお、力伝達部7が有するプーリおよびタイミングベルトの設置数は、本実施形態での設置数に限定されない。
【0072】
また、力伝達部7は、プーリおよびタイミングベルトの他に、さらに他の部材を有していてもよい。この場合、力伝達部7は、例えば、複数の歯車が噛み合って構成された減速機を有していてもよい。
【0073】
そして、
図5に示すように、防水シート100Aと防水シート100Bとの重なり部101にノズル5を挿入した状態で、接合装置1(走行系9)が矢印α1方向に前進したときには、第1プーリ71が車輪92Aとともに、車輪92Aの回転方向(矢印β
92)と同方向の矢印β
71方向に回転する。第1プーリ71の回転力は、第1タイミングベルト74を介して、第3プーリ73の大径プーリ731に伝達される。これにより、大径プーリ731は、小径プーリ732とともに、矢印β
73方向に回転する。また、小径プーリ732の回転力は、第2タイミングベルト75を介して、第2プーリ72に伝達される。これにより、第2プーリ72は、駆動歯車61とともに、矢印β
61方向に回転する(正転する)。また、駆動歯車61の回転力は、従動歯車62に伝達される。これにより、従動歯車62は、矢印β
62方向に回転する。このように、駆動歯車61と従動歯車62とが一括して回転した(正転している)状態となることにより、溶剤Qを貯留部2からノズル5まで送り出す力を生じさせることができる。これにより、ノズル5から溶剤Qが吐出されて、重なり部101を接合することができる。
【0074】
また、前述したように、溶剤Qの吐出後には、重なり部101を各車輪92で転圧することができる。これにより、重なり部101での接合を強固な状態とすることができる。
【0075】
この接合作業終了後、ノズル5を防水シート100Aと防水シート100Bとの間から抜去することができる。
【0076】
また、ノズル5の抜去後、
図6に示すように、接合装置1(走行系9)が矢印α2方向に後退したときには、第1プーリ71が車輪92Aとともに、車輪92Aの回転方向(矢印β
92’)と同方向の矢印β
71’方向に回転する。第1プーリ71の回転力は、第1タイミングベルト74を介して、第3プーリ73の大径プーリ731に伝達される。これにより、大径プーリ731は、小径プーリ732とともに、矢印β
73と反対の矢印β
73’方向に回転する。また、小径プーリ732の回転力は、第2タイミングベルト75を介して、第2プーリ72に伝達される。これにより、第2プーリ72は、駆動歯車61とともに、矢印β
61と反対の矢印β
61’方向に回転する(反転する)。また、駆動歯車61の回転力は、従動歯車62に伝達される。これにより、従動歯車62は、矢印β
62と反対の矢印β
62’方向に回転する。このように、駆動歯車61と従動歯車62とが一括して回転した(反転している)状態となることにより、溶剤Qを貯留部2からノズル5まで送り出す力が消失する。これにより、ノズル5からの溶剤Qの吐出が停止する。
【0077】
以上のように、接合装置1は、ポンプ6を電力供給で作動させるのではく、力伝達部7が、走行時の車輪92Aの回転力をポンプ6を作動させる動力として、ポンプ6に伝達するよう構成されている。そして、接合装置1が前進しているときには、ノズル5から溶剤Qを吐出することができる。一方、接合装置1が後退しているときには、ノズル5からの溶剤Qの吐出が停止する。このように、接合装置1では、当該接合装置1の前進と後退とを切り換えるという簡単な動作で、溶剤Qの吐出(排出)とその停止とを容易に操作することができる。
【0078】
また、前進時の車輪92Aの回転力が一定であれば、ポンプ6の作動状態も一定に安定する。これにより、貯留部2内の溶剤Qの貯留量によらず、ノズル5から排出される溶剤Qの排出量を一定にすることができる。これにより、防水シート100Aの長手方向に沿って、重なり部101での接合強度を均一にすることができ、よって、施工品質が安定する。
【0079】
<第2実施形態>
図7は、本発明の防水シート接合装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【0080】
以下、この図を参照して本発明の防水シート接合装置および防水シート接合方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、走行系の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0081】
図7に示すように、本実施形態では、走行系9は、防水シート100Aに撚れや蛇行(曲り)が生じた場合、その撚れや蛇行を矯正する矯正機構8をさらに備えている。矯正機構8は、y軸方向負側のフレーム94の車体91に支持された第1矯正機構81Aと、y軸方向正側のフレーム94の車体91に支持された第2矯正機構81Bとで構成されている。第1矯正機構81Aと第2矯正機構81Bとは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、第1矯正機構81Aについて代表的に説明する。
【0082】
第1矯正機構81Aは、2本のアーム82と、2本のアーム82同士を連結する連結部83と、連結部83に支持されたガイド部84とを有している。
【0083】
2本のアーム82同士は、長尺状をなし、y軸方向に離間して配置されている。各アーム82は、前方、すなわち、x軸方向正側に向かって突出しており、フレーム94に片持ち支持されている。
【0084】
なお、各アーム82は、x軸方向と平行な矢印β82に沿って移動可能に支持されているのが好ましい。これにより、各アーム82をフレーム94に対して出没させることができ、よって、防水シート100Aの状態等の諸条件に応じて、ガイド部84(第1矯正機構81A)のx軸方向の位置調整を行うことができる。
【0085】
連結部83は、2本のアーム82同士を複数箇所で連結する連結棒831で構成されている。各連結棒831は、アーム82の長手方向に沿って、間隔を置いて配置されている。なお、連結棒831の設置数は、本実施形態では3本であるが、これに限定されず、例えば、1本、2本または4本以上であってもよい。
【0086】
3本の連結棒831のうちの前方に位置する2本の連結棒831には、ガイド部84が支持されている。ガイド部84は、2本の連結棒831の間に架設された支持体841と、支持体841に回転可能に支持されたガイドローラ842とを有している。
【0087】
そして、防水シート100Aに撚れや蛇行(曲り)等の変形が生じている場合、接合装置1は、前進しつつ、ガイドローラ842によって、その変形を矯正することができる。これにより、防水シート100Aが防水シート100Bと接合される前に、防水シート100Aの変形を解消することができる。よって、防水シート100Aは、変形が解消された状態で、防水シート100Bと正確に接合されることとなる。
【0088】
なお、ガイド部84は、y軸方向と平行な矢印β84に沿って移動可能に支持されているのが好ましい。これにより、防水シート100Aの幅に応じて、ガイドローラ842のy軸方向の位置調整を行うことができる。
【0089】
<第3実施形態>
図8は、本発明の防水シート接合装置の第3実施形態を示す側面図である。
【0090】
以下、この図を参照して本発明の防水シート接合装置および防水シート接合方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、走行系の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0091】
図8に示すように、本実施形態では、走行系9は、接合装置1の走行速度を検出する検出部97と、検出部97の検出結果を表示する表示部98とを有している。
【0092】
検出部97としては、特に限定されず、例えば、前記複数の車輪92のうちの1つの車輪92の回転速度に比例した周波数の信号を発生させる信号発生部と、信号発生部で発生した信号に基づいて、接合装置1の走行速度を演算する演算部とを有する電磁式回転検出器等を用いることができる。
【0093】
なお、検出部97は、車輪92の回転数に基づいて、接合装置1の走行速度を検出するよう構成されていてもよい。
【0094】
表示部98は、ケーブル99を介して、検出部97と電気的に接続されたゲージ(スピードメータ)である。この表示部98は、検出部97の検出結果としての接合装置1の走行速度を、デジタル式に表示するよう構成されたものであってもよいし、アナログ式に表示するよう構成されたものであってもよい。
【0095】
ノズル5からの溶剤Qの吐出量は、接合装置1の走行速度に比例する傾向にある。そこで、検出部97と表示部98とを有する構成により、できる限り防水シート100の接合に適した速度で、接合装置1を安定して走行させることができる。これにより、施工品質が向上する。
【0096】
<第4実施形態>
図9は、本発明の防水シート接合装置の第4実施形態を示す垂直部分断面図である。
【0097】
以下、この図を参照して本発明の防水シート接合装置および防水シート接合方法の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、ポンプの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0098】
図9に示すように、本実施形態では、ポンプ6は、インペラポンプで構成されている。このポンプ6は、インペラ64と、インペラ64を収納するハウジング65とを有している。
【0099】
インペラ64は、力伝達部7のタイミングベルト74およびタイミングベルト75等を介して、車輪92の回転力が伝達されて回転することができる。これにより、ハウジング65は、内側に、ポンプ室651を構成している。ポンプ室651内には、インペラ64が回動可能に支持されている。防水シート接合装置1が前進したときには、インペラ64を矢印β64回りに正転させ、遠心力を生じさせて、溶剤Qを送り出すことができる。これと反対に、防水シート接合装置1が後退したときには、インペラ64を矢印β64’回りに反転させることができる。この場合、溶剤Qの送り出しが停止する。
【0100】
以上、本発明の防水シート接合装置および防水シート接合方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、防水シート接合装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0101】
また、
図11に示す態様の接合に接合装置を用いる場合には、第1供給系からの溶剤の供給を停止させた状態として、第2供給系から溶剤を供給することができる。また、この場合、走行系の連結板を取り外して、2つのフレームをそれぞれ分割し、第2供給系からの溶剤の供給を行ってもよい。これは、矯正機構についても同様である。
【0102】
また、供給系は、前記実施形態では第1供給系および第2供給系で構成されているが、これに限定されず、第1供給系および第2供給系のうちの一方が省略されていてもよい。
【0103】
また、走行系の車輪は、前記各実施形態では防水シートを表側から転圧する機能を有しているが、これに限定されず、転圧機能が無くてもよい。この場合、例えば、接合装置を操作する作業者が防水シートを表側から足で踏みつけて、車輪による転圧に代えてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 防水シート接合装置(接合装置)
2 貯留部
21 底部
3 流路
31 回動支持部
4 流量調整部
5 ノズル
51 吐出口
6 ポンプ
61 駆動歯車(第1歯車)
62 従動歯車(第2歯車)
63 ハウジング
631 ポンプ室
64 インペラ
65 ハウジング
651 ポンプ室
7 力伝達部
71 第1プーリ
72 第2プーリ
73 第3プーリ
731 大径プーリ
732 小径プーリ
74 第1タイミングベルト
75 第2タイミングベルト
8 矯正機構
81A 第1矯正機構
81B 第2矯正機構
82 アーム
83 連結部
831 連結棒
84 ガイド部
841 支持体
842 ガイドローラ
9 走行系
91 車体
92 車輪
92A 車輪
93 ハンドル
94 フレーム
941 天板
942 側板
943 支柱
95 連結板
96 ポール
97 検出部
98 表示部
99 ケーブル
10 供給系
10A 第1供給系
10B 第2供給系
100 防水シート
100A 防水シート
100B 防水シート
101 重なり部
Q 溶剤
VL 仮想線
α1 矢印
α2 矢印
β5 矢印
β5’ 矢印
β61 矢印
β61’ 矢印
β62 矢印
β62’ 矢印
β64 矢印
β64’ 矢印
β71 矢印
β71’ 矢印
β73 矢印
β73’ 矢印
β82 矢印
β84 矢印
β92 矢印
β92’ 矢印