(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】空域内の対象物の協調的検出
(51)【国際特許分類】
F41H 11/02 20060101AFI20220628BHJP
B64C 19/02 20060101ALI20220628BHJP
G01S 13/88 20060101ALI20220628BHJP
F42B 15/01 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
F41H11/02
B64C19/02
G01S13/88 210
F42B15/01
(21)【出願番号】P 2019138279
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】10 2018 121 821.4
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503195311
【氏名又は名称】エアバス・ディフェンス・アンド・スペース・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フォティオス カトスィリエリス
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルド クラハ
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0114324(US,A1)
【文献】特開2009-198212(JP,A)
【文献】特表2013-539854(JP,A)
【文献】特開2017-169076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 19/02
F41H 11/02
F42B 15/01
G01S 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
探索エリア(S)を探索するための方法であって、それぞれの場合に少なくとも1つのレーダ(R)が少なくとも2機のミサイル(AC1、AC2)に配置される方法において、
a)前記探索エリア(S)を探索するための総探索時間を決定すること、
b)前記探索エリアを少なくとも2つの探索サブエリア(TS1、TS2)に分割すること、
c)前記少なくとも2機のミサイルのそれぞれの前記レーダによって前記少なくとも2つの探索サブエリアを探索することであって、前記少なくとも2機のミサイルは前記探索を協同的に実施する、探索すること、を含み、
前記探索サブエリアは検出確率(PD)が最大化されるように選択される、方法。
【請求項2】
前記検出確率が、規定された距離における規定された大きさの対象物に基づいて最大化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの探索サブエリアの前記検出確率が同じである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記総探索時間が規定可能である、または予め定められる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記探索サブエリアが実質的に重ならない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記探索エリアが規定可能である、または変更可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記探索エリアの探索サブエリアへの前記分割が、前記少なくとも2機のミサイルの移動および/または軌道に従って変化する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記探索エリアの探索サブエリアへの前記分割が、前記少なくとも2機のミサイルの移動および/または軌道に従って絶えず適合される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
探索サブエリアが、水平角度、垂直角度および関連する角度幅に基づいて、または三次元座標に基づいて決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2機のミサイルの一方が、探索されるべき前記探索サブエリアを、前記少なくとも1つの他方のミサイルに割り当てる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2機のミサイルがそれぞれ互いに独立して、前記ミサイルの前記レーダによって探索されるべきと考えられる前記探索サブエリアを規定する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記探索エリアの完全な探索が保証される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つのレーダと処理ユニットとを含むミサイルであって、前記処理ユニットが請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されているミサイル。
【請求項14】
請求項13に記載のミサイルを、少なくとも2機含むミサイル編隊であって、空域の探索エリアをカバーするように構成されているミサイル編隊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミサイルでおよびミサイル編隊で探索エリアを探索するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の航空機のほとんどが、最大限可能な結果を伴って任務を果たすために航空機および/またはパイロットにとって重要な役割を果たす多数のセンサを備える。
【0003】
1つのそのようなセンサはレーダであり、例えばそれは位置画像認識のために最も使用されるセンサのうちの1つでもある。レーダは、長距離の対象物または標的を識別または検出するために使用することができる。レーダの特性は、例えばカメラセンサよりも天候の影響を受けにくい。例えばレーダによる標的の検出/追跡は、それがIMC(計器気象状態)のために電気光学的または赤外イメージングセンサではもはや不可能な場合でさえ、依然可能である。
【0004】
航空機は機械的に旋回するレーダアンテナを備えることが多かった。この結果、最適化可能な一対のパラメータを使用して空域の探索を行うことができた。通常、パイロットは、探索すべきと考えられる空域を、ほとんどの場合角度表現および半値幅として定め、および定められた大きさの標的が検出されると考えられる範囲を定める。この情報に基づいて、レーダは波形を最適化し、波形はその後送信される。そのような手法では、探索パターンおよび空域の走査は、最も可能性のある範囲に規定され、探索されている空域の大きさにもっぱら依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、例えばパイロットのための、迅速かつ効果的な位置画像認識が保証され得るように空域の探索を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項の1つに従う方法、ミサイルおよびミサイル編隊によって達成される。記載される以下の態様はその方法に、そのミサイルに、およびそのミサイル編隊に関係することが指摘されるべきである。
【0007】
本発明によれば、探索エリアを探索するための方法が特定され、ここでそれぞれの場合において少なくとも1つのレーダが少なくとも2機のミサイルに配置される。方法は、a)探索エリアを探索するための総探索時間を決定すること、b)探索エリアを少なくとも2つの探索サブエリアに分割すること、c)少なくとも2機のミサイルのそれぞれのレーダによって少なくとも2つの探索サブエリアを探索することを含み、ここで少なくとも2機のミサイルは探索を協同的に実施し、探索サブエリアは検出確率が最大化されるように選択される。
【0008】
レーダは様々な対象物を検出するように構成される。特に、レーダは、探索エリアの探索を実行することができ、それは大抵の場合(空気の)体積である。
【0009】
本発明によれば、探索エリアは、探索エリア内の対象物または標的の検出確率が最大であるように、規定された総探索時間内に探索される。本発明は、規定時間内に三次元探索エリア内の標的または対象物を見つけ出すための改善された検出確率を可能にする。検出されずに残る対象物または標的は可能な限り少ないか全くない。探索エリアの探索は、例えばパイロットによる位置画像認識に最も重要である。未検出の対象物または標的は、任務の間の潜在的な敵対行為のためばかりでなく、空域内での起こり得る衝突の危険性のために問題になる。位置画像認識は、他の標的または対象物の位置または速度の決定を意味する。
【0010】
レーダセンサは、本明細書では簡潔にレーダとも呼ばれ、ミサイルが場合によってはカメラその他などのさらなるセンサに加えて備えるセンサである。そのようなレーダは、レーダの個々の要素の能動的な電子作動を備え得る(アクティブ電子走査配列アンテナ(AESA))。そのようなレーダは、異なる立体角に関してほとんど同時にレーダビームを操作することができ(立体角は水平および垂直角度として特定され、方位角および仰角とも呼ばれる)、それにより適切なビームの向きが可能である。
【0011】
ミサイルは任意の推進の形式を有する任意の種類の飛行装置を含む。例として、航空機、無人航空機(UAV(「無人航空機」)として知られる)、ドローン、誘導ミサイル、ロケットまたはヘリコプター。
【0012】
2機以上のミサイルによって探索エリア内の対象物または標的を検出するための探索作業は協同的に行われる。すなわち探索エリアの協調的探索が行われる。
【0013】
探索エリアは、それぞれのミサイルの少なくとも1つのレーダによってカバーされることができる(空気の)体積である。探索エリアは、水平および垂直角度に基づいて特定することができる。探索エリアを三次元座標に基づいて特定することも可能である。
【0014】
しばしばミサイルは飛行する空域内に飛行編隊で存在する。探索エリアは例えば両方のミサイルの周囲に存在する。好ましくは、探索エリアは飛行方向で見た場合ミサイルの前方に存在する。
【0015】
空域内の探索されるべきエリア、すなわちミサイルの探索エリアは、少なくとも2つの探索サブエリアに分割される。本発明のいくつかの例では、探索サブエリアの数はミサイルの数に一致する。少なくとも2つの探索サブエリアは、ミサイルのそれぞれのレーダによって探索され、ここでそれぞれの場合において1機のミサイルが少なくとも1つの探索サブエリアを探索する。
【0016】
探索サブエリアのまたは探索エリアの探索は協同的探索である。探索エリアの同じエリアをより頻繁に探索しなくてもよいように、探索作業は分散される。2機のミサイルがそれぞれ1つのレーダを有する場合、探索エリアは例えば2つの探索サブエリアに分割される。2機のミサイルがそれらのそれぞれの探索サブエリアを同時にまたは実質的に同時に調べる。いくつかの例では、方法は空中に存在する少なくとも2機のミサイルによって行われる。
【0017】
探索サブエリアは、検出確率が最大化されるように選択される。これにより、探索エリアの最良の分割が見出されること、および同じエリアの度重なる探索が実行されないことが保証される。探索エリアは、既定の総探索時間探索される。例として、探索サブエリアへの探索エリアの異なる分割に関する検出確率は、既定の総探索時間について最大化されることができる。探索サブエリアへの探索エリアの特定の分割に関して、検出確率は最大である。
【0018】
本発明による方法は、例えば探索エリアが単純に、例えば均等な割り当てに分割される場合に生じる、探索の後に探索エリア内に未検出の対象物または標的が存在することを防止するために使用することができる。これは、特に探索エリアが空中に任意の水平および垂直角度で広がる場合に当てはまる。
【0019】
方法のいくつかの例において、総探索時間は、探索エリアを探索するために少なくとも2機のミサイルによって必要とされる協同的な総探索時間である。探索時間は、レーダビームが探索サブエリアを照射し、そしてエコーを受信するために必要とする時間である。いくつかの例では、対象物または標的を突き止めるために受信した信号(エコー)を処理するために必要な時間もまた考慮され得る。
【0020】
一例によれば、検出確率は、規定された距離の規定された大きさの対象物に基づいて最大化される。大きさおよび/または距離はいくつかの例では予め決定される。これは異なる距離の異なる対象物について最大の検出確率を可能にする。
【0021】
一例によれば、少なくとも2つの探索サブエリアに対する検出確率は同じである。探索サブエリアに対する最適な分割は、少なくとも2つの探索サブエリアに対する同じ検出確率に対して得られる。探索サブエリアの分割は、探索エリアの検出確率が最大になるように選択される。この場合、探索サブエリアは互いに異なり、例えば探索サブエリアは互いに空間的に異なる。例として、探索サブエリアの大きさは異なる。1つのサブエリア内の検出確率が増加すると、少なくとも1つの他の探索サブエリア内の検出確率は同時に低下する。
【0022】
一例によれば、総探索時間は規定可能であるかまたは予め定められる。例として、パイロットは総探索時間を規定することができる。必要であれば、総探索時間は変更することができる、またはそれぞれの位置画像認識に一致させることができる。
【0023】
一例によれば、探索サブエリアは実質的に重ならない。いくつかの例では、探索サブエリアは全く重ならない。したがって、探索の協調がより簡単になり、ミサイル間の通信要件が低くなる。探索サブエリアが最小限重なる例がある。重なりが最小限であるか存在しないことで、(サブ)エリアの繰り返される探索を回避し、探索エリアを探索するための探索労力を低く保つことができる。探索エリア内の隙間も回避され、同時に探索エリア内の標的または対象物の検出確率は最大になる。
【0024】
一例によれば、探索エリアは規定可能または変更可能である。一例として、パイロットは、水平または垂直角度および関連する(半値)幅(方位角および仰角における(半値)幅とも呼ばれる)を設定することによって探索エリアを規定することができる。必要であれば、探索エリアをそれぞれの位置画像認識に一致させることができる。いくつかの例では、探索エリアは予め定められる。
【0025】
一例によれば、探索エリアの探索サブエリアへの分割は、少なくとも2機のミサイルの移動および/または軌道に従って変化する。
【0026】
一例によれば、探索エリアの探索サブエリアへの分割は、少なくとも2機のミサイルの移動および/または軌道に従って絶えず適合される。探索エリアは、例えば三次元座標によって規定される。ミサイルは探索エリア内を移動し、これは水平および垂直角度(方位角および仰角)およびその角度幅が変化することを意味する。
【0027】
一例によれば、探索サブエリアは、水平角度、垂直角度および関連する角度幅に基づいて、または三次元座標に基づいて決定される。全ての探索サブエリアを水平角度、垂直角度に基づいて決定することも可能である。いくつかの例では、1つまたは複数の探索サブエリアを三次元座標によって決定することが可能であり、例えば探索サブエリアの角または表面は特定される。
【0028】
一例によれば、少なくとも2機のミサイルの一方は、探索されるべき探索サブエリアを少なくとも1機の他方のミサイルに割り当てる。これにより方法の集中制御を達成することが可能になる(集中型方法)。割り当てはミサイルのいずれかによって実施することができる。いくつかの例では、ミサイルの一方はこれに関して指示される。集中制御により探索作業を最適化することが可能になる。
【0029】
一例によれば、少なくとも2機のミサイルはそれぞれ互いに独立して、ミサイルのレーダによって探索されるべきと考えられる探索サブエリアを規定する。それぞれのミサイルによる探索されるべきエリアの独立した割り当ては、局所的制御を達成する(非集中型方法)。探索されるべきエリアは、それぞれのミサイルがそれ自体に割り当てるが、探索エリアが集中制御に基づいてミサイルによって異なる探索サブエリアに分割される場合、サブエリアと同一であり得る。
【0030】
一例によれば、探索エリアの完全な探索が保証される。換言すると、探索エリアの探索は最大検出確率で総探索時間内に完了される。
【0031】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのレーダと処理ユニットとを含むミサイルが提供される。処理ユニットは本発明による方法を実行するように構成される。
【0032】
本発明の一態様によれば、少なくとも2機のミサイルを含むミサイル編隊が提供され、ミサイル編隊は空中の探索エリアをカバーするように構成される。
【0033】
本発明の一態様によれば、それぞれがその中に配置された少なくとも1つのレーダを有する少なくとも2機のミサイルを使用して探索エリアを協調的に探索することは非常に有益である。特に、この方法は、三次元探索エリアを探索するときに時間の節約をもたらす。探索エリアが任意に規定された方位角および仰角(水平および垂直角度)および関連する角度幅で存在する場合、従来技術におけるような探索エリアの単純な分割、例えば探索エリアを半分にすることは、総探索時間の大幅な遅れにつながる。そのような時間の遅れは、本発明による方法の場合、ほぼ終結される。探索サブエリアは重ならない(探索サブエリアの最小限の重なり、例えば、いくつかの例では探索サブエリアの共通の境界が存在する場合がある)。この方法は、探索エリアを可能な限り最良のサブエリアに分割するので、所望の検出確率を保証するために探索エリアを協調的に探索するのに必要な総探索時間は最小である。換言すると、探索エリアを探索するために必要とされる時間は最小化され、この際、所定の距離の所定の大きさの標的または対象物に対する最低限の検出確率が保証される。パイロットによって規定することができる三次元体積の探索についての時間の節約がその結果である。特に、任意に規定された探索エリアの場合に、これはより効果的でありそしてとりわけ明らかにより速い探索をもたらす。
【0034】
本方法の例示的実施形態の特徴はミサイルおよびミサイル編隊の実施形態にも適用され、その逆もまた同様であることが指摘されるべきである。さらに、それらの特徴を明示的に言及されていないものに対して自由に組み合わせることも可能である。
【0035】
本発明のこれらのおよびさらなる態様はさりげなくほのめかすことによっておよび以下の実施形態を参照して明らかになるだろう。
【0036】
添付の図面に基づいて本発明の例示的実施形態をより詳細に以下で考察する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】2機のミサイルおよび探索エリアを概略的な形で示す。
【
図2】探索するべき探索エリアを例示的な様式において座標系で示す。
【
図3】探索するべき探索エリアを例示的な様式において座標系で示す。
【
図4】
図2からの探索エリアS1のそれぞれ2つの探索サブエリアTS1、TS2への分割を示す。
【
図5】
図3からの探索エリアS2のそれぞれ2つの探索サブエリアTS1、TS2への分割を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は2機のミサイルAC1、AC2と探索エリアSとを概略的な形で示す。2機のミサイルAC1、AC2は空中に存在する。各ミサイルAC1、AC2は、レーダRを有する。探索エリアSは、ミサイルAC1、AC2の周辺にある三次元領域である。ミサイルAC1、AC2は、いくつかの例示的実施形態において飛行編隊として飛ぶ。
【0039】
探索エリアSは、それぞれのミサイルAC1、AC2のレーダRによって探索される2つの探索サブエリアTS1、TS2に分割される。探索サブエリアTS1、TS2は重ならない。サブエリアTS1、TS2の探索は、協同的に実行される。以下の図に示されるように、探索サブエリアTS1、TS2は、探索エリアS全体を構成する。
【0040】
図2および3はそれぞれ探索エリアS1または2を示す。ミサイルAC1、AC2は、高度10kmで飛び、示されるY軸上で互いに500m離れる。描写可能性の理由で、ミサイルAC1、AC2は、互いにほとんど区別されない。数的な記述が例示される。以下において、探索エリアまたは探索サブエリアは、方位角θ(水平角度)および仰角φ(垂直角度)ならびに方位角について角度半値幅θ-S1、θ-S2および仰角について角度半値幅φ-S1、φ-S2によって特定される。
【0041】
図2において、探索エリアS1は、ミサイルAC1、AC2のそれぞれのレーダRによって探索されていると考えられ、前記レーダは方位角θ=0°および仰角φ=0°で中心に置かれ、すなわち探索エリアS1はミサイルAC1、AC2のすぐ前方に、方位角について-25°~25°の角度幅θ-S1で、および仰角について-25°~25°の角度幅φ-S1で存在すると考えられる。そのような探索エリアは、他のミサイルとの衝突を避けるために一般的である。
【0042】
図3において、探索エリアS2は、ミサイルAC1、AC2のそれぞれのレーダRによって探索されていると考えられ、前記レーダは方位角θ=30°および仰角φ=20°で中心に置かれ、探索エリアS2は方位角について5°~55°の角度幅θ-S1でおよび仰角について-5°~45°の角度幅φ-S1で存在すると考えられる。そのような探索エリアは、威嚇している可能性のある標的または対象物が接近しているとパイロットが報告された状況を表す。無人ミサイルの場合、ミサイルの適用可能な装置またはシステムが情報を受信する。他の実施形態では、地上局が情報を受信することが可能である。
【0043】
2つの
図2および3において、探索エリアS1、S2は、検出確率PDが最大化されている状態で、所与のレーダ交差領域σおよび範囲について、総探索時間内に探索されると考えられる。本方法によれば、探索エリアS1またはS2は、2機のミサイルAC1、AC2のそれぞれのレーダRによって協同的に探索される2つの探索サブエリアに分割される。この場合の探索サブエリアは重ならない。各探索サブエリアは検出確率を有する。
【0044】
この例示的実施形態において、探索エリアS1、S2の分割は、したがって、2つの探索サブエリアTS1、TS2の検出確率PD_TS1、PD_TS2が探索エリアS1、S2を探索するために最大化されるように見出されると考えられる。最も適切には、2つの探索サブエリアTS1、TS2の検出確率PD_TS1、PD_TS2は同じである。この場合、探索エリアS1、S2を探索するための総探索時間は予め決定され、規定または予め定めることができる。
【0045】
探索エリアS1またはS2を分割する方法は、それぞれの場合において2つの探索サブエリアTS1、TS2の異なる組み合わせについて実行され、探索エリアS1またはS2を探索するための検出確率PDが確認される。探索エリアS1、S2の最良の分割を得るために、それぞれの場合において方位角範囲または仰角範囲が、本例において変更される。各ミサイルAC1、AC2は、方位角範囲の一部だけを除いて仰角範囲全体を、または仰角範囲の一部だけを除いて方位角範囲全体を探索する。他の例では、分割の基本として別の組み合わせ取ることもできる。
【0046】
組み合わせごとに、2つの探索サブエリアTS1、TS2の検出確率PD、PD_TS1、PD_TS2が確認される。最大検出確率PDに関する2つの探索サブエリアTS1、TS2の組み合わせは、後続する探索エリアS1またはS2の探索のために使用される。この例示的実施形態において、2つの探索サブエリアTS1、TS2の検出確率PD_TS1、PD_TS2は同じである。
【0047】
この例では、水平角度、垂直角度および距離に基づいて見出された幾何学的分割、対象物または標的の最大検出確率PDならびに予め決定された総探索時間は、探索エリアS1またはS2の信頼できる探索を、ひいては信頼できる位置画像認識をもたらす。例として、衝突の差し迫る危険は回避され得る。また、探索エリアS1、S2の探索が完全に総探索時間内に完了されることが保証される。
【0048】
図4および5は、
図2、3からの探索エリアS1、S2のそれぞれの場合における2つの探索サブエリアTS1、TS2への分割を示す。各探索サブエリアTS1、TS2は、ミサイルAC1、AC2の1つと関連付けられ、それぞれのミサイルAC1、AC2のレーダRによって探索される。
【0049】
図4は探索サブエリアTS1、TS2への対称的な分割を明らかにする。そのような分割は直観的かつ単純である。仰角に関する分割比は、探索サブエリアTS1、TS2について25°/25°である。探索エリアS1は
図2に示される通りである。
【0050】
図5は探索サブエリアTS1、TS2へ分割を明らかにする。仰角に関する分割比は、探索サブエリアTS1、TS2について27.8°/22.2°である。探索エリアS2は
図3に示される通りである。
【0051】
図は、探索エリアがレーダセンサのアンテナ法線の周囲で対称の場合(
図2参照)、探索サブエリアTS1、TS2の対称的な分割が、標的または対象物について最大検出確率PDをもたらすことを示す。対照的に、探索エリアが対称でない場合、対称的な分割は、最大検出確率PD未満の検出確率PDをもたらす。さらなる例において、2つの探索サブエリアTS1、TS2への探索エリアS1、S2の分割は、ミサイルの移動または軌道とともに変化する。いくつかの例では、探索サブエリアTS1、TS2への分割は、絶えず適応される。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法は例えばミサイルAC1の適用可能な装置において実行される。これは他方のミサイルAC2の位置だけを必要とする(
図1も参照のこと)。次いで前記ミサイルは探索されるべき探索サブエリアTS2を他方のミサイルAC2に割り当てる。例として、以下の値だけが他方のミサイルAC2に伝送される:他方のミサイルAC2に割り当てられた探索サブエリアTS2の方位角および仰角中心線ならびに半値幅。これは方法の集中制御を達成する。
【0053】
しかしながら、ミサイルAC1、AC2が、ミサイルAC1、AC2のレーダRによって探索されると考えられる探索サブエリアTS1、TS2を、それぞれ互いに独立して規定することも可能である。それぞれのミサイルAC1、AC2によって探索されるべき探索サブエリアTS1、TS2の独立した割り当ては、局所制御を達成する。
【0054】
記載されるミサイルAC1、AC2は、方法を実行するためにおよび探索エリアを探索するために必要に応じて装備される。例として、そのようなミサイルはまた、方法を実行するためのプロセスユニットを有する。
【0055】
図6は、従来技術に基づく空域中のエリアSの探索を示す。探索は非協同的に実行される。具体的には、それぞれのミサイルAC1、AC2によって探索されるエリアA、Bは、これらのエリアA、Bが
図6に示されるように広く重なるように分割される。これはエリアSを探索するための規定された総探索時間内に最大検出確率をもたらさず、より低い信頼性の位置画像認識をもたらす。
【0056】
上記の例示的な実施形態は様々な方法で組み合わせることができる。特に、方法の態様は、装置の実施形態におよび装置の使用に使用することもでき、逆もまた同様である。図中の記載は概略的であり、一定の縮尺ではない。同じ参照符号が異なる図中でおよび後に続く図の説明において使用される場合、これらは同一または同様の要素を示す。しかしながら、同一または同様の要素は、異なる参照符号で示されることもある。
【0057】
さらに、「含む(comprising)」は、他の要素もステップも排除せず、「a」または「1つ」は多数を排除しないことが指摘されるべきである。さらに、例示的実施形態の1つを参照して記載した特徴またはステップは上記の他の例示的実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用することもできることが指摘されるべきである。特許請求の範囲中の参照符号は、限定とみなされるつもりはない。
【符号の説明】
【0058】
S 探索エリア
TS1 探索サブエリア
TS2 探索サブエリア
AC1 ミサイル
AC2 ミサイル
R レーダ
A エリア
B エリア